JP2016094364A - 安定化および苦味抑制された口腔内崩壊製剤 - Google Patents

安定化および苦味抑制された口腔内崩壊製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2016094364A
JP2016094364A JP2014231381A JP2014231381A JP2016094364A JP 2016094364 A JP2016094364 A JP 2016094364A JP 2014231381 A JP2014231381 A JP 2014231381A JP 2014231381 A JP2014231381 A JP 2014231381A JP 2016094364 A JP2016094364 A JP 2016094364A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrochloride
orally disintegrating
levocetirizine
polyol
disintegrating preparation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014231381A
Other languages
English (en)
Inventor
中野 善夫
Yoshio Nakano
善夫 中野
林田 知大
Tomohiro Hayashida
知大 林田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ZENSEI YAKUHIN KOGYO KK
Nipro Corp
Original Assignee
ZENSEI YAKUHIN KOGYO KK
Nipro Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ZENSEI YAKUHIN KOGYO KK, Nipro Corp filed Critical ZENSEI YAKUHIN KOGYO KK
Priority to JP2014231381A priority Critical patent/JP2016094364A/ja
Publication of JP2016094364A publication Critical patent/JP2016094364A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】安定化され、苦味を抑えられた原薬(セチリジン塩酸塩、レボセチリジン塩酸塩等)を含有する口腔内崩壊製剤の処方および製法を提供する。
【解決の手段】口腔内崩壊製剤は、セチリジン塩酸塩またはレボセチリジン塩酸塩と、ポリオール類と、pH調節剤とを含み、当該口腔内崩壊製剤を5重量%水懸濁液または5重量%水溶液にしたときのpHが4〜7である。
【選択図】なし

Description

本発明は、一般的には安定かつ苦味を抑制された口腔内崩壊製剤に関し、より特定的には、セチリジン塩酸塩またはレボセチリジン塩酸塩を含有する口腔内崩壊製剤に関する。
抗アレルギー薬として、ヒスタミンの産生を抑える化合物であるセチリジン塩酸塩(一般名;化学名:RS−(2−[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]―1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸)二塩酸塩;特許文献1)およびそのR−エナンチオマーであるレボセチリジン塩酸塩(2−[4−[(R)−(4−クロロフェニル)フェニルメチル]ピペラジン−1−イル]エトキシ]酢酸)二塩酸塩)は、糖アルコール等のポリオールと混合して製剤化すると、種々のエステル化が進行し不安定になることが知られている(特許文献2)。
具体的には、特許文献2で、式Iの化合物(レボセチリジン塩酸塩)は、マンニトールを含むあるポリオールの存在下で、望ましくない反応生成物を生じること、この副反応は、水の存在下及び/又は温度の上昇で増加すること、及びマンニトール及び他のポリオールの存在は、式Iの化合物の安定性の問題を生じる可能性があることが開示されている。
そのため、特許文献3では、薬物を含む第一の処方層及びポリオールを含む第二の処方層を用い二層錠のような形で製剤化し、原薬とポリオールの直接な接触を最小限にして安定化を図ること、および少なくとも1つの層にクエン酸ナトリウムを配合することで安定性が向上することが開示されている。
しかしながら、これらの知見は、あくまでもセチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩とマンニトールなどのポリオールとが配合禁忌であることが示されているにとどまり、それらを直接配合して安定化する方法に関する言及はない。また、特許文献3によれば、第一及び/又は第二の処方層にアルカリ化剤も含むことができ、好ましくはクエン酸ナトリウムであるとされているが、示されている実施例では、層分離させる効果が開示されているだけで、アルカリ化剤の添加効果は示されていない。もちろん薬物とポリオール類を直接混合した場合の安定化の記載はない。
特許文献3には、その不安定化を避けるために、ポリオールを分子量およびその配合量で層別し、さらにある条件および割合で処方化したりすることで、直接原薬に接触しないような二層錠のような形で製剤化することを提案している。その場合、口腔内崩壊製剤に一般に使用されている賦形剤である糖アルコールを使用することが限定され、物性良好な口腔内崩壊性を持った製剤を製しにくい状況であった。
特許文献4には、ポリオールであるシクロデキストリンとセチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩との複合(包摂)化合物にアルカリ化剤を添加することで安定化を図っている。この場合、包摂化で安定性はある程度図ることはできるが、原薬とシクロデキストリンと包摂化合物の間の平衡のずれに伴う原薬の苦味抑制は十分ではなかった。また、アルカリ剤で安定化を図るとしても、シクロデキストリンとの併用での包摂化合物での安定化であり、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩との複合(包摂)化合物、ポリオール類、および、アルカリ剤との3成分に関する安定化について確立された知見はない。
このように、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩に関しては、口腔内崩壊錠用の添加剤としてマンニトールなどの口当たりのよいポリオール類の添加剤とを普通に配合する方法がなく、普通に混合し簡易に製造する方法の開発が望まれるところであった。
欧州特許第0058146号 欧州特許第0811374A1号 特許第4724367号公報 米国特許第8383632号
本発明は、安定化され、苦味を抑制されたセチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩、ポリオール類およびpH調節剤を含有する口腔内崩壊製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩を含有する粒子に、製剤のpHが4〜7になるようにpH調節剤を含有させることにより、口腔内崩壊製剤中のセチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩の、特にポリオール等のアルコール類に対する反応性を抑え、安定性を高めることができ、しかもそのpH調節剤が苦味を抑制することを見出し、本発明を完成させた。
以上の知見に基づき、本発明は口腔内崩壊製剤を提供し、該製剤は、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジンの塩酸塩と、ポリオール類と、pH調節剤を含有する。該製剤は、5%水懸濁液または5%水溶液にしたときのpHが4〜7である。
1つの実施態様では、上記pH調節剤は、クエン酸ナトリウム類(クエン酸三ナトリウム、クエン酸二ナトリウムおよびクエン酸二水素ナトリウム)、コハク酸ナトリウム類、フマル酸ナトリウム類、カルボン酸のアルカリ金属塩である。また、それらの類の塩の1種類以上を混合して使用しても良い。
1つの実施態様では、上記ポリオールは多価アルコールとしては、糖アルコール(エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール等)、ポリエチレングリコール、多糖類であるデキストリン等である。それらのポリオールの1種類以上を混合して用いることもできる。
1つの実施態様では、上記口腔内崩壊製剤の製造方法は、原薬および種々の賦形剤を混合し、直接打錠する直打法、それらを種々湿式造粒法、流動層造粒法で造粒して製する製剤化方法である。
本発明はまた、口腔内崩壊製剤の製造方法を提供し、該方法は、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩に配合性の悪い糖アルコール等のポリオールをpH調節剤と選択的に混合する湿式造粒法により原薬、ポリオールおよびpH調節剤を含有する粒子の造粒工程を含む。
本発明はまた、口腔内崩壊製剤の製造方法を提供し、該方法は、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩に配合性の悪い糖アルコール等のポリオールおよびpH調節剤を核粒子(結晶セルロース、糖類で調製された均一な大きさの微粒子)にレイヤリング等を施し、さらに高分子の膜形成材料をコーティングすることで、苦味を物理的に隠蔽した粒子の造粒工程を含む。
1つの実施態様では、上記方法は、上記工程により得られた顆粒あるいは粒子に崩壊剤、賦形剤、滑沢剤等の添加剤を添加混合し、得られる混合物を打錠する工程をさらに含む。
本発明によれば、安定化され、同時に苦味を抑制した、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩を含有した口腔内崩壊製剤を提供することができる。
本発明の口腔内崩壊製剤は、有効成分としてラセミ体であるセチリジン(2−[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]―1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸)の塩酸塩あるいはそのR−エナンチオマーであるレボセチリジン塩酸塩を含有する、安定化された口腔内崩壊錠等の口腔内崩壊製剤である。
セチリジン塩酸塩およびレボセチリジン塩酸塩はアレルギー薬として種々の製剤が開発されて上市されている。現在上市されているレボセチリジン製剤は5mgのフィルムコート錠およびシロップ剤であり、錠剤は割線から半量に調整できるようになっている。
また、本原薬は構造中にカルボン酸を有しており、特許文献1、2にあるようにポリオール(例えば糖アルコールであるマンニトール)のOH基との間で、ある条件下でエステル化反応が起こり、分解物としてエステル類が生成し、安定な製剤を作製することが困難であった。
たとえば、マンニトール混合製剤において、50℃において6ヵ月でこれら化合物のエステル類が増加し安定性に影響を及ぼしていた(特許文献2)。
通常、エステル化反応は酸性条件下(酸触媒存在下)で進行することが、有機化学の成書に記載されており、とりわけ本発明で検討されているセチリジン塩酸塩およびレボセチリジン塩酸塩のように2塩酸塩のような強酸の原薬については、その5%水溶液のpHが1〜2と低いものであるため、エステル化反応が起こりやすい化合物であることが容易にわかる。
また、pHを上げることで、反応が抑えられることは考えられるが、セチリジン塩酸塩等の原薬はpHを上げ過ぎた場合、アミノ基のプロトン化の影響あるいは酸化反応等を起こすことで、その他の分解物が生じる懸念があることから、pHが高くなりすぎても安定性が低下することが考えられた。
したがって、pHを若干高めることができる添加剤(pH調節剤)を用いて、安定なpHが確保できるようにしてやれば安定化が可能であると考え、この発明に至った。クエン酸三ナトリウムのようなpH調節剤を単独で添加した場合、微視的なpHが高くなりすぎるため、緩和な局所pHを達成できないが、クエン酸二ナトリウム等を配合することでその影響を小さくできる。
具体的には、クエン酸塩類、たとえばクエン酸二ナトリウムを原薬に対して0.5倍〜3倍あるいはクエン酸二水素ナトリウム1〜6倍添加することでエステル化を抑えることができるものである。
これらの塩の添加量は、同時に処方する添加物の種類、量および特性に依存するが、pHが4〜7になるように処方された口腔内崩壊製剤が適している。
また、その際に、当該製剤を水に5重量%溶解あるいは分散させた懸濁液のpHが4〜7に調節された製剤が好ましい。
原薬の苦味は用量が5〜10mgと少ない製剤であっても、口腔内崩壊錠のような口中で崩壊する状態では、原薬が口中に広がることで苦味を強く感じるので、今回添加したクエン酸ナトリウム(pH調節剤)の酸味により、原薬の初期の苦味を低減し、苦味を抑える効果を付与する相乗効果を生み出したものである。
当該塩の添加量の酸味が、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩等の原薬の所定用量における苦味を緩和・低減する濃度になるように配合されるのが望ましい。
本発明の口腔内崩壊製剤は、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩を含有する顆粒あるいは粒子に賦形剤、崩壊剤、滑沢剤結合剤などの添加剤を混合したものを圧縮形成などの方法により一定の形に成型して得られる製剤である。
セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩を含有する粒子は、他にポリオールである糖アルコールおよびpH調節剤を含有する。ポリオールとしては、例えば、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、マルチトール等のポリオールであり、pH調節剤としてはクエン酸ナトリウム等の有機酸塩類が挙げられる。
pH調節剤の配合量としては、製造方法にも依存するが、セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩1部あたり、通常0.5〜8部、好ましくは1〜6部、より好ましくは2〜3部である。0.5gより少ないと、pH上昇効果が弱くなり、安定化効果が鈍る。
また、クエン酸三ナトリウム(10%水溶液でpH=8.0)単独の添加では、pHのコントロールが精度よく行われなく、クエン酸二ナトリウム(6%水溶液でpH=5.0)およびクエン酸二水素ナトリウム(10%水溶液でpH=3.6)の配合で至適pHを達成できるものである。特に原薬および他の添加物の水に懸濁させた液のpHが4〜7に精度よくコントロールする必要性がある。
当該セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩含有口腔内崩壊剤には、pH調節剤および配合性に問題のあるポリオールのほかに、さらに賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、甘味料、香料などの添加剤を含有し得る。
賦形剤としては、特に限定されず、例えば、澱粉、コーンスターチ、糖アルコール以外の糖類(ブドウ糖、果糖、乳糖、白糖、還元麦芽糖、トレハロースなど)、が挙げられる。
崩壊剤としては、特に限定されず、例えば、クロスポビドン、カルボキシスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、澱粉、部分α化澱粉、コーンスターチ、乳糖、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシピロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルメロース、ヒドロキシプロピルスターチが挙げられる。
滑沢剤としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、軽質無水ケイ酸、硬化ナタネ油、硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、安息香酸ナトリウム、L−ロイシン、L−バリンが挙げられる。
流動化剤としては、例えば、ケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩、軽質無水ケイ酸などの無水ケイ酸、水和二酸化ケイ素が挙げられる。
甘味料としては、特に限定されず、例えば、一般的な糖類のほか、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、ステビア、ソーマチンが挙げられる。
香料としては、特に限定されず、例えば、ミント、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ヨーグルト風味が挙げられる。
pH調節剤としては、特に限定されず、例えば、クエン酸、酒石酸、酢酸、乳酸などの有機酸のナトリウム塩等が挙げられる。
上記添加剤の配合方法および配合量は、配合目的に応じて適宜設定される。
セチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩等の原薬を含有する顆粒および粒子は、混合して打錠に供する直打法あるいは湿式造粒法等により造粒される。造粒は、原薬にpH調節剤を混合して行う。混合方法としては、特に限定されず、例えば、単純混合方法、水などの溶媒に溶解・分散した上で混合する方法が挙げられる。湿式造粒法としては、特に限定されず、例えば、流動層造粒乾燥機、攪拌造粒機、円筒押出造粒機、転動流動層造粒コーティング機、スプレードライヤーなどを用いる方法が挙げられる。
本発明の口腔内崩壊製剤は、混合工程あるいは造粒工程で得られた粒子を好ましくは打錠することにより得られる。打錠は、粒子に好ましくは流動化剤および上記添加剤を混合して行う。打錠方法としては、特に限定されず、例えば、打錠用臼、打錠用上杵および下杵を用いて、単発式打錠機、ロータリー式打錠機などにより行う方法が挙げられる。打錠圧としては、特に限定されず、例えば、2〜5kN/cmの範囲であり、製せられた製剤の強度・崩壊性が市場の扱いに耐えうるものであればよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(参考例1)
レボセチリジン塩酸塩と種々のポリオールとの配合性試験をpH調節剤の添加あるいは不添加で調べた。表1に示す処方で試料を調製し、5重量%水溶液にしたときのpHを測定した。また、レボセチリジン塩酸塩の分解産物である類縁物質をHPLCにて定量した。HPLCカラムには、内径4.0mm、長さ25cmのステンレス管に平均粒子径5μmのHPLC用シリカゲルを充填したカラムを用いた。移動相には、アセトニトリル:0.5mol/Lの硫酸試液(2→25)の47:3溶液とし、アイソクラティックで、レボセチリジンおよびその類縁物質を230nmの紫外吸収により検出した。カラムは25℃付近の温度で一定にした。得られたクロマトグラムにおいて、レボセチリジン原薬を分析した際の類縁物質以外のもので検出された類縁物質量のピーク面積をすべての面積で除した%を類縁物質含量(質量%)とした。吸光度補正は施していない。
参考例の各試料を褐色のガラス瓶に入れ、瓶を密封した。この密封したガラス瓶を温度60℃、および40℃75%RHの環境下にて3日間保存した。保存後の試料について、レボセチリジン塩酸塩の配合試験で検出された類縁物質を同様にHPLCにて定量した。
参考例各試料の試験条件(処方と5重量%水溶液にしたときのpH)および結果(類縁物質量)を表1に示す。
Figure 2016094364
表1に示すように、単純に混合して、圧縮した混合物での安定性評価においても、pHをコントロールすることで、ポリオール存在下の原薬でレボセチリジン塩酸塩の安定性が抑制されることが判明した。
(実施例1―A)表2に示す処方で、直打法で口腔内崩壊錠を製した。レボセチリジン塩酸塩5mgに対して2〜4の添加剤をよく混合し、6〜12の後添加物および13の滑沢剤を混合することで、ロータリー打錠機で8mmφのパンチで打錠した。4および6のマンニトールは主にマンニトール(パーリトール50C:ロケットジャパン製)などを用いた。2および4は和光純薬の試薬グレードを、3および10は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社から購入し、5は物産フードサイエンス株式会社製、クロスポビドンはBASFジャパン製、8の結晶セルロースは旭化成ケミカルズ株式会社製、9のカルメロースはニチリン化学株式会社製、香料は高砂香料社製の柑橘系のものを、13のステアリン酸マグネシウムは太平化学株式会社製を用いた。
(実施例1―B)表2に示す処方で、1〜4までの賦形剤を高速撹拌造粒機(FD−VG−10:株式会社パウレック社製)を用いて、混合し、水を添加して造粒し、その後流動層造粒乾燥機(MP−01:株式会社パウレック社製)で乾燥したものを、500μmの篩で整粒し、後添加部分(6〜12)を混合して、さらに13で滑沢化し打錠粒を製した。それを8mmφのパンチでロータリー打錠機(VIRGO:株式会社菊水製作所製)を用いて打錠することで、錠剤を製造した。
(実施例2)
表2に示す処方で1〜3および5を水を添加して造粒し、実施例1−Bと同様の装置と方法で乾燥したものを、500μmの篩で整粒し、後添加部分(6〜12)を混合し、13で滑沢化して打錠粒を製した。それを打錠することで錠剤を製造した。
(比較例1)
表2に示す処方1−AからpH調節剤を除いた処方にて実施例1−Bと同様に調製された製剤を製した。
各実施例と比較例の処方と物性(製剤の崩壊性、硬度、5重量%水懸濁液または5重量%水溶液にしたときのpH)を表2に示す。
Figure 2016094364
(実施例3〜4)
さらに別の系統の試験を、表3の処方系で行った。これは1のセルロース核粒子に2の原薬、結合剤である5のヒプロメロース(TC−5R:信越化学株式会社製)、4の甘味剤および賦形剤である6および7の糖アルコールおよび3のpH調節剤であるクエン酸二ナトリウムを溶解し、転動流動層造粒コーティング機(MP−01)を用いてレイヤリングした乾燥粒子に、同装置でアクリル系高分子(オイドラギットNE−30D:エボニックジャパン社製)あるいはセルロース系高分子(エチルセルロース:ダウケミカル社製)でコーティングを施した顆粒を製し、それにさらに糖アルコールであるマンニトールカルメロース、クロスポビドン等の崩壊剤および結晶セルロース等の賦形剤、甘味剤であるスクラロースおよびpH調節剤であるいクエン酸二ナトリウムを添加混合し、ステアリン酸マグネシウムを加えて滑沢後、直径8mmφの平型パンチをセットしたロータリー打錠で錠剤を製した。比較例2としてレイヤリング粒子および後添加にクエン酸二ナトリウムの入っていない処方について、同様の錠剤を製した。記載の無い原料および装置は実施例1−Bと同じものを使用した。
各実施例と比較例の処方と物性(製剤の崩壊性、硬度、5重量%水懸濁液または5重量%水溶液にしたときのpH)を表3に示す。
Figure 2016094364
(レボセチリジン塩酸塩の安定性評価)
各実施例、各比較例で製造した直後の錠剤について、レボセチリジン塩酸塩の分解産物である類縁物質をHPLCにて定量した。HPLCカラムには、内径4.0mm、長さ25cmのステンレス管に平均粒子径5μmのHPLC用シリカゲルを充填したカラムを用いた。移動相には、アセトニトリル:0.5mol/Lの硫酸試液(2→25)の47:3溶液とし、アイソクラティックで、レボセチリジンおよびその類縁物質を230nmの紫外吸収により検出した。カラムは25℃付近の温度で一定にした。得られたクロマトグラムにおいて、レボセチリジン原薬を分析した際の類縁物質以外のもので検出された類縁物質量のピーク面積をすべての面積で除した%を類縁物質含量(質量%)とした。吸光度補正は施していない。
各実施例および比較例で製造した錠剤を褐色のガラス瓶に入れ、瓶を密封した。この密封したガラス瓶を温度60℃、および40℃75%RHの環境下にて3日間保存した。保存後の錠剤について、レボセチリジン塩酸塩の類縁物質を同様にHPLCにて定量した。原薬および賦形剤に起因するピーク以外の明らかに生成しているピークについて、その増減の結果を表4および5に示した。
Figure 2016094364
Figure 2016094364
表4と表5より明らかなように、レボセチリジン類縁物質の含量は、製剤直後においては、実施例1〜4で製造した錠剤、比較例で製造した錠剤とも同等であったが、3日間の保存後においては、実施例1〜4で製造した錠剤中のレボセチリジン類縁物質量が比較例1および2で製造した錠剤中のレボセチリジン類縁物質量よりも少なかった。
このように、レボセチリジンの分解産物であるエステル類の含量は、製剤直後においては、低いレベルであるが、3日間の保存後においては、実施例1〜4のいずれの処方系についてもpH調節剤の添加によって類縁物質の増加が抑えられ、安定性が増すことが分かった。
(実施例を用いた苦味官能試験結果)
上述のように、実施例で示したレボセチリジン塩酸塩の5mg口腔内崩壊製剤の安定性は、クエン酸塩の添加で改善されることがわかった。次に、これら製剤の苦味についての試験を行った。試験は、実施例および比較例について、40代から60代の9名からなる被検者パネルによる官能評価(舌の上に60秒置き、官能評価する)で行ない、評価は、ビジュアルアナログ法でスコアーの10が苦くないとし、0が耐え難い苦味がある、とした。表6と表7に、その評価結果を平均値で示した。
Figure 2016094364
Figure 2016094364
いずれの実施例も、比較例よりも苦味が抑制されていた。特に、直打および湿式での製造法はレボセチリジン塩酸塩がマスキングされていなので、抑制効果は大きいものであった。一方、微粒子の方はレイヤリングされた原薬含有微粒子にコーティングを施しているので、効果は小さいものであった。打錠の圧力で壊れた微粒子からの苦味は、抑えることが可能であると言える。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。
本発明によれば、安定化され、苦味が抑制されたセチリジン塩酸塩あるいはレボセチリジン塩酸塩を含有する口腔内崩壊製剤を提供することができる。

Claims (7)

  1. セチリジン塩酸塩またはレボセチリジン塩酸塩と、
    ポリオール類と、
    pH調節剤とを含み、
    当該口腔内崩壊製剤を5重量%水懸濁液または5重量%水溶液にしたときのpHが4〜7である、口腔内崩壊製剤。
  2. 前記pH調節剤は、クエン酸ナトリウム類、コハク酸ナトリウム類、フマル酸ナトリウム類およびカルボン酸のアルカリ金属塩の少なくとも1つである、請求項1に記載の口腔内崩壊製剤。
  3. 前記クエン酸ナトリウム類は、クエン酸三ナトリウム、クエン酸二ナトリウムおよびクエン酸二水素ナトリウムの少なくとも1つである、請求項2に記載の口腔内崩壊製剤。
  4. 前記ポリオールは、マンニトール、エリスリトール、ラクチトール、果糖、麦芽糖、還元麦芽糖および多糖類の少なくとも1つである、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の口腔内崩壊製剤。
  5. セチリジン塩酸塩またはレボセチリジン塩酸塩と、ポリオール類と、pH調節剤とを混合して湿式造粒法により粒子にする、セチリジン塩酸塩またはレボセチリジン塩酸塩とポリオール類とpH調節剤とを含有する粒子の造粒工程を含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の口腔内崩壊製剤の製造方法。
  6. セチリジン塩酸塩またはレボセチリジン塩酸塩とポリオール類とpH調節剤とを核粒子にレイヤリングする工程と、さらに高分子膜形成材料をコーティングする工程とを含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の口腔内崩壊製剤の製造方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載の口腔内崩壊製剤の製造方法で得られた製剤に、流動化剤、崩壊剤、賦形剤、滑沢剤を添加し、得られた混合物を打錠する工程をさらに含む、請求項1から請求項4まのでいずれか1項に記載の口腔崩壊製剤の製造方法。
JP2014231381A 2014-11-14 2014-11-14 安定化および苦味抑制された口腔内崩壊製剤 Pending JP2016094364A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014231381A JP2016094364A (ja) 2014-11-14 2014-11-14 安定化および苦味抑制された口腔内崩壊製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014231381A JP2016094364A (ja) 2014-11-14 2014-11-14 安定化および苦味抑制された口腔内崩壊製剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016094364A true JP2016094364A (ja) 2016-05-26

Family

ID=56070626

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014231381A Pending JP2016094364A (ja) 2014-11-14 2014-11-14 安定化および苦味抑制された口腔内崩壊製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016094364A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018203705A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 高田製薬株式会社 レボセチリジン固形製剤
JP2019059710A (ja) * 2017-09-27 2019-04-18 高田製薬株式会社 レボセチリジン固形製剤
JP2019202981A (ja) * 2018-05-21 2019-11-28 高田製薬株式会社 レボセチリジン固形製剤
JP2020015690A (ja) * 2018-07-25 2020-01-30 ニプロ株式会社 レボセチリジン含有錠剤

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005518405A (ja) * 2002-01-15 2005-06-23 ユセベ ファルシム ソシエテ アノニム 処方
CN1660098A (zh) * 2004-12-09 2005-08-31 鲁南制药股份有限公司 含有盐酸西替利嗪的口服药物组合物
JP2005526104A (ja) * 2002-04-04 2005-09-02 ファイザー・プロダクツ・インク 味の良い咀嚼可能な錠剤
JP2007314448A (ja) * 2006-05-24 2007-12-06 Kyowa Yakuhin Kogyo Kk 塩酸セチリジン含有錠剤の製造方法
WO2009054432A1 (ja) * 2007-10-26 2009-04-30 Daiichi Sankyo Company, Limited 口腔内速崩壊性医薬組成物およびその製造方法
JP2009114069A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Sawai Pharmaceutical Co Ltd 口腔内崩壊錠
US20100062061A1 (en) * 2008-09-05 2010-03-11 Kenneth Day Method For Making Cetirizine Tablets
JP2014159393A (ja) * 2013-02-20 2014-09-04 Takada Seiyaku Kk セチリジン顆粒製剤
WO2014181390A1 (ja) * 2013-05-08 2014-11-13 全星薬品工業株式会社 機能性高分子皮膜で被覆された高含量薬物粒子およびそれを含む錠剤ならびにそれらの製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005518405A (ja) * 2002-01-15 2005-06-23 ユセベ ファルシム ソシエテ アノニム 処方
JP2005526104A (ja) * 2002-04-04 2005-09-02 ファイザー・プロダクツ・インク 味の良い咀嚼可能な錠剤
CN1660098A (zh) * 2004-12-09 2005-08-31 鲁南制药股份有限公司 含有盐酸西替利嗪的口服药物组合物
JP2007314448A (ja) * 2006-05-24 2007-12-06 Kyowa Yakuhin Kogyo Kk 塩酸セチリジン含有錠剤の製造方法
WO2009054432A1 (ja) * 2007-10-26 2009-04-30 Daiichi Sankyo Company, Limited 口腔内速崩壊性医薬組成物およびその製造方法
JP2009114069A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Sawai Pharmaceutical Co Ltd 口腔内崩壊錠
US20100062061A1 (en) * 2008-09-05 2010-03-11 Kenneth Day Method For Making Cetirizine Tablets
JP2014159393A (ja) * 2013-02-20 2014-09-04 Takada Seiyaku Kk セチリジン顆粒製剤
WO2014181390A1 (ja) * 2013-05-08 2014-11-13 全星薬品工業株式会社 機能性高分子皮膜で被覆された高含量薬物粒子およびそれを含む錠剤ならびにそれらの製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
日本医薬品添加剤協会 編, 医薬品添加物事典, vol. 第1刷, JPN6018034806, 2007, ISSN: 0003873778 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018203705A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 高田製薬株式会社 レボセチリジン固形製剤
JP2019059710A (ja) * 2017-09-27 2019-04-18 高田製薬株式会社 レボセチリジン固形製剤
JP2019202981A (ja) * 2018-05-21 2019-11-28 高田製薬株式会社 レボセチリジン固形製剤
JP2020015690A (ja) * 2018-07-25 2020-01-30 ニプロ株式会社 レボセチリジン含有錠剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2842549B1 (en) Orally disintegrating tablet and method for producing same
JP4989733B2 (ja) 口腔内崩壊錠
KR101665395B1 (ko) 6-플루오로-3-히드록시-2-피라진카르복사미드 함유 정제 및 조립분말
JP4656672B2 (ja) イミダフェナシンを有効成分とする口腔内速崩錠の製造方法
JP6054940B2 (ja) 1−(3−(2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エトキシ)プロピル)アゼチジン−3−オールまたはその塩を含有する固形医薬組成物
JP4707073B2 (ja) アトルバスタチン経口投与用粒子状医薬組成物
EP3549585B1 (en) Orally disintegrating tablet of edoxaban tosylate hydrate
RU2716595C2 (ru) Твёрдый состав для перорального применения, содержащий иринотекан, и способ его получения
US10398694B2 (en) Multi-layered tablet containing drug unstable to light
JP2016094364A (ja) 安定化および苦味抑制された口腔内崩壊製剤
JP6816972B2 (ja) エゼチミブ含有医薬組成物及びその製造方法、エゼチミブ含有医薬組成物の硬度低下抑制剤及び硬度低下抑制方法、並びにエゼチミブ含有医薬組成物の吸湿抑制剤及び吸湿抑制方法
JP5823592B2 (ja) 安定性が改善された製剤
JP5452050B2 (ja) イミダフェナシンを含有する口腔内崩壊錠
JP7271869B2 (ja) レボセチリジン含有錠剤
JP2019199463A (ja) エチルセルロースで改質された糖又は糖アルコール顆粒を含む口腔崩壊錠
JP2016053001A (ja) 口腔内崩壊錠、及び口腔内崩壊錠の製造方法
JP6194879B2 (ja) 口腔内崩壊錠の製造方法
JP2013014541A (ja) 固形医薬組成物およびその製造法
JP2016222651A (ja) ミグリトール含有口腔内崩壊錠
JP3934150B1 (ja) 固形製剤および製剤組成物
WO2018124283A1 (ja) 医薬組成物
JP2007169264A (ja) 固形製剤および製剤組成物
JP2013119540A (ja) 固形医薬組成物およびその製造法
HU230983B1 (hu) Módosított hatóanyag-leadású gyógyszerkészítmény

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180626

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180816

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180816

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180911