以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
〔第1の実施形態〕
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、パチンコホール島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成され、その操作の前後で特定の演出(たとえば、遊技者参加型演出)に変化をもたらす際に利用される「枠演出用ボタン13(演出用操作手段)」が設けられている。この枠演出用ボタン13は、所定の入力受付期間中に内蔵ランプが点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯時(入力受付期間中)に押下することにより演出に変化をもたらすことができるようになっている。なお、演出用操作手段としては、たとえば、ボタン式、ジョグダイヤル式、非接触型センサを利用したタッチセンサ式、液晶表示装置を利用したタッチパネル式などが挙げられるが、いずれの場合にも遊技者による操作が行われた場合に演出に何らかの変化を与える(操作の前後で演出に変化をもたらす)ために利用できるものであれば特に制限されない。また、上記演出用操作手段について、その種類や設置個数も特に制限されない。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を奏する装飾ランプ45(フルカラーLED)が複数設けられている。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図2に示す遊技盤3は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする部材(流路振分手段)であり、センター飾り48の存在によって遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるように、遊技領域3aのほぼ中央部に配置されている。ただし、この実施形態の場合、センター飾り48は少し右側に膨出した形となっている。
センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、かつ固定ネジなどにより遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。鎧枠部48bは、その略全体が前面装着板48aから前側に突出しており、その内側、すなわち液晶表示装置36側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、この鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
なお図示していないが、センター飾り48には、液晶表示装置36の前側下部に、鎧枠部48bの左側部に設けられた入球口(図示せず)から入球した遊技球を左右方向に自由に転動させて、左右方向中央の落下口(始動口案内路)またはその左右両側から落下させるステージが設けられている。またセンター飾り48には、その適所に、光演出効果を奏するフルカラーLED内蔵の飾り用ランプが複数設けられている。
また遊技盤3の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する複数の可動体役物が配設されている。本実施形態ではセンター飾り48内の右上側、つまり右流下経路3cを通る遊技球の流下を妨害しない位置に第1の可動体役物(時計型役物:80、80a)が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物98)が配設されている。詳細は後述するが、これら可動体役物は、当り遊技中や図柄変動表示ゲーム中などにおいて所定の動作態様で動作可能に構成されている。
第1の可動体役物は、ローマ文字‘I’−‘XII’の数字が付されて12の数字セクター80aに区画された数字表示部80からなる時計盤部と、この数字表示部80上を回動して時分を示すことができる短針および長針からなる時計針97とを有し、全体として時計型役物として構成されている。数字表示部80は、短針が示すセクター区画場所(ローマ文字‘I’−‘XII’の数字セクター80a)毎に裏側又は内部にフルカラーLEDを有し、または数字セクター80a自体がフルカラーLEDで構成されていて、それらのローマ文字‘I’−‘XII’を付した数字セクター80aが個々に独立して異なった色で発光できる構成となっている。
第2の可動体役物は、花心の周りに複数枚の花弁からなる花冠を配し、更にその外側周囲に萼を配して花被を二重にし、以て花の形とした花型役物98からなる。この花型役物98は、半透明の花心および花弁部分が後方からランプやフルカラーLEDにより照らされて美しく光色するとともに、所定の条件を満たすと、その都度、花弁部分のみまたは花心と花弁部分が前後または左右または上下または円周方向にぴくっと動いて元に戻る運動、つまり寸動をする構成となっている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。上記の特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、演出画像とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39では、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作(たとえば、シーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで当否が判明する)により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。
また各種機能表示部には、図示はしていないが、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)が配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。また各種機能表示部には、複数個のLEDからなるラウンド数表示装置(ラウンド報知用LED)が配設されている。このラウンド数表示装置は、大当り(「大当り」の詳細は後述する)に係る規定ラウンド数を報知する「規定ラウンド数報知手段」として機能し、たとえば、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、その規定ラウンド数が報知されるようになっている。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入賞容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入賞困難または入賞不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されており、具体的には、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」の入賞装置として構成されている。普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
普通変動入賞装置41(下始動口35)の下方には、開放扉42bにより下大入賞口40(第1の大入賞口)を開放または拡大可能に構成した特別変動入賞装置42(第1の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には遊技球を検出する下大入賞口センサ42a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37(第3の始動手段)は、普通図柄表示装置39における普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良いし、両流下経路のそれぞれに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより右大入賞口50(第2の大入賞口)を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(第2の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には右大入賞口50に入球した遊技球を検出する右大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
右大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより右大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には右大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を右大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
右大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は右大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより右大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)および特別変動入賞装置42(下大入賞口40)の方向に導かれる。このとき、下始動口35または下大入賞口40が入賞可能状態(開状態)であれば、これらの入賞口に遊技球が入賞しうる。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて右大入賞口50が開いている状態(右大入賞口開状態)であれば、遊技球が右大入賞口50内に導かれる。
なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって右大入賞口50が閉状態であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、下大入賞口40、および左側の3つの一般入賞口43があり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、右大入賞口50、下大入賞口40、および右側の1つの一般入賞口43がある。
なお、下始動口35は、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。
また上始動口34については、概ね左流下経路3bまたは左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球については、入賞が困難または不可能となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球(センター飾り48のステージを経た遊技球を含む)について、これを上始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを上始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
また下大入賞口40については左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし右大入賞口50については左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、下大入賞口40、右大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞右センサ42a、右大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。上記入賞検出スイッチは、フォトスイッチや近接スイッチなどの無接点スイッチや、マイクロスイッチなどの有接点スイッチで構成することができる。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口40は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。なお、各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御部(主制御基板)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出手段に対する演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御基板、液晶制御基板)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源制御基板(図示せず)と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
CPU201は、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUである。Z80は、データバスが8ビット、アドレスバスが16ビットのCPUであるが、広いメモリ空間を必要とせず、その上、高速処理や複雑な数値演算処理も必要としないパチンコ機の制御には最適である。またCPU201は、処理を実行するのに必要なデータの読み書きが行われる複数種類のレジスタを備えている。
ROM202は、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、所定の抽選(たとえば、特別図柄に係る変動パターン抽選)に利用される乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を発揮する割込コントローラ回路、カウンタ回路なども備えている。上記カウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(乱数の大きさ:65536)として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、下大入賞口40への入賞を検出する下大入賞口センサ42aと、右大入賞口50への入賞を検出する右大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、不正検出センサ99とが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
不正検出センサ99は、パチンコ遊技機1に対する不正行為(ゴト行為)を検出する不正行為検出手段として機能し、図示はしていないが、振動センサ、磁気センサ、電波センサなどの各種センサを含むことができる。
上記振動センサは振動検出手段として機能し、パチンコ遊技機1に対し与えられた振動状態(不正振動)を検出する。また上記磁気センサは磁気検出手段として機能し、パチンコ遊技機1(たとえば、遊技盤3の所定領域)に磁石などを近づけたときの磁場の変化を検出する。また上記電波センサは電波検出手段として機能し、パチンコ遊技機1に対して照射された電波(不正電波)を検出する。主制御部20は、斯様な不正検出センサ99からの検出情報に基づき、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段を備えている。
これらの不正検出センサは、一般的には、パチンコ遊技機に係るゲーム性や遊技盤面の構造などを考慮して、機種ごとに応じたセンサが取り付けられる。主制御部20は、不正検出センサ99からの検出信号に基づいて、不正行為があった否かを監視し、不正行為があったと判断した場合には、所定のエラー処理を実行するようになっている。なお、各種センサを用いて、どのような状態を不正行為であると判断するように構成するかについては、機種や遊技性に応じて適宜定めることができる。また上記した各センサは、不正行為が実行されると予想される遊技部品などを守るべく、不正行為が効果的に検出できるように遊技機の適所に配置される。
各不正行為の形態については、次のようなものがある。振動に関する不正行為(所謂「ドツキゴト」)としては、たとえば、遊技機に対して外部から振動を与えて、特定の入賞口または入賞領域(利益状態に影響を及ぼす入賞口や入賞領域)に遊技球を強制的に入賞(通過)させるようにする不正行為が挙げられる。
また磁石(磁力)に関する不正行為(所謂「磁石ゴト」)としては、たとえば、磁石を利用して、特定の入賞口または入賞領域に遊技球を入賞(通過)させるように遊技球を誘導したり、ゲージ配列を利用して複数個の遊技球の固まり(所謂「ブドウ」状態)を作り、特定の入賞口または入賞領域に遊技球の入賞(通過)を容易にしたり、遊技電子部品などを誤作動させたりするなどの不正行為が挙げられる。
また電波に関する不正行為(所謂「電波ゴト」)としては、たとえば、遊技機に不正電波を照射して、センサ・スイッチ類を誤作動させて賞球を不正に得たり、遊技動作に誤作動を与えて強制的に大当りを直撃させたりするなどの不正行為が挙げられる。
上記のような不正行為を検出するために、たとえば、振動センサにより不正行為を判定する場合、振動センサが検出した振動が基準値以上の振動であるか否かを判定し、当該基準値以上ある場合、ドツキゴトなどの不正行為があったと判定することができる。また、振動センサにより所定レベル以上の振動が所定時間継続して検出された場合、ドツキゴトなどの不正行為があったと判定することができる。この場合、所定レベル以上の振動ではあるが、不正と判定されない時間幅の短い振動が、振動センサにより上記所定時間を超える時間内に断続的に検出され、その検出された累積回数が所定値に達した場合に不正行為であると判定することもできる。
また上記磁気センサにより不正行為を判定する場合、たとえば、磁気センサが所定の磁場の変化状態を検出した場合(たとえば、磁気センサが磁気状態を検出して、所定の基準値からあらかじめ定められた許容範囲を外れたことが検出された場合)、またはその変化状態が所定時間継続して検出された場合、磁石による不正行為があったと判定することができる。
また電波センサにより不正行為を判定する場合、たとえば、特定の周波数または特定の周波数帯域の電波を検出した場合、不正電波による不正行為があったと判定することができる。また誤検出を防止するために、その検出回数が所定回数以上(たとえば、2回以上)検出された場合、またはその検出時間が所定時間継続して検出された場合に、不正電波による不正行為があったと判定することができる。
なお、上記各不正検出センサによる不正行為であるか否かの判定は、遊技機の構成や遊技性などにより、不正行為であると想定される現象を検出可能な構成であれば特に制限されない。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、下大入賞口40の開放扉42bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド42cと、右大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39が接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置(図示せず)が接続され、主制御部20は、これに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、ラウンド数表示装置が接続され、主制御部20は、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、遊技進行に関する情報(たとえば、大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲーム実行回数情報など)を、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信可能となっている。上記のホールコンピュータHCは、主制御部20から送られてくる情報に基づき、パチンコホールの遊技機の稼働状況を管理する管理コンピュータであり、遊技機外部に配設されている。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に送信可能となっている。このような主制御部20からの演出制御コマンドは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることを防止するため、一方向通信により演出制御部24に送信される。
払出制御基板(払出制御部)29は、払出制御CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技球の払い出し制御手順を記述した制御プログラムを格納した払出制御ROMと、ワークエリアが形成される払出制御RAMとを搭載していて、1チップマイクロコンピュータを構成している。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払出状態信号の送信などである。
払出制御基板29には、上受け皿9が遊技球で満杯状態を検出する満杯検出センサ60(球受け皿(本実施形態では、上受け皿9)における遊技球の貯留状態を検出する検出センサ)と、前扉開放センサ61(本実施形態では、前枠2および/または前面操作パネル7の開放状態を検出する検出センサ)と、遊技球払出装置19とが接続されている。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ72と、払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ73とが設けられており、払出制御基板29は、これらの各検出信号を受信可能となっている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ74が設けられており、払出制御基板29は、払出モータ74を制御するための制御信号を送信可能となっている。
また払出制御基板29は、上記の満杯検出センサ、前扉開放センサ、補給切れ検出センサ、または球計数センサからの検出信号に基づいて、主制御部20に対し、前枠2・前面操作パネル7の開閉状態信号、満杯検出信号、補給切れ信号、払出不足エラー信号、賞球計数信号等の払出状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、この払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19が正常に機能しているか否か(たとえば、賞球の払い出しの不具合(払出エラー)、上受け皿9が遊技球で満杯状態であるか否かを監視している。
また払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、発射制御基板28に対し発射制御信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。
(2−3.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に乱数を生成するためのカウンタ回路などが設けられている。ROM242は、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、演出の抽選に利用される演出抽選用乱数の乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や時計型役物の数字表示部80や遊技機に配設された演出用の各種LED(演出用LED:図示せず)の発光制御、時計針97や花型役物98の可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な枠演出ボタン13が接続され、演出制御部24は、枠演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。
また演出制御部24は、光演出や音演出を行うために、装飾ランプ45や数字表示部80や適所に配設されたLEDなどを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、および各種役物(時計型役物の時計針97、花型役物98)を動作させるための可動体役物モータ97a、98aに対する駆動制御部(モータ駆動回路:図示せず)などを備えている。演出制御部24は、これら制御部に対し、演出手段に係る制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、時計針97に対する位置検出スイッチ97bと、花型役物98に対する位置検出スイッチ98bとが接続され、演出制御部24はこれらからの検出信号を受信可能となっている。演出制御部24は、各位置検出スイッチ97b、98bからの検出信号に基づき、可動体役物の原点位置(初期位置)から現在の位置を把握し、可動体役物の動作を実行制御し、また可動体役物の動作の不具合(正常動作か否か(たとえば、動作後、原点位置に正しく戻っているか否かなど))を監視する。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示、予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いたパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出表示されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置42が備える下大入賞口ソレノイド42c(図3参照)が作動して開放扉42bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより下大入賞口40が開閉されるか、または、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。なお、下大入賞口40、右大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当り(当選)種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信している。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(後述のリーチ状態を経由するリーチ演出や、疑似変動表示動作を伴う疑似連演出など)の発生を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果情報に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえばリーチ演出の発生を指定するリーチ演出指定用の変動パターン(たとえば、リーチ変動パターン、疑似連(後述の疑似連演出)有りリーチ変動パターンなど)、リーチ演出の発生を指定しない非リーチ演出指定用の変動パターン(たとえば、通常変動パターン、疑似連有り通常変動パターンなど)などが含まれる。また各変動パターンに関する変動時間については、基本的には、リーチ変動パターンは、大当り当選期待感を煽るような演出を指定する変動パターンであるため、その演出時間との関係上、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39に変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39の表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下始動口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下始動口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、各図柄の最大保留記憶数が異なっていても良い(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側の最大保留記憶数を2個、普通図柄側の最大保留記憶数を6個など)。また特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選により得られる利益が相対的に高くなる図柄側の最大保留記憶数を多く設定しても良い。本実施形態では、特別図柄2に係る大当り抽選が、遊技者とり相対的に利益が高い大当り種別が得られることから、たとえば特別図柄1側の最大保留記憶数を2個、特別図柄2側の最大保留記憶数をそれよりも多い4個に設定しても良い。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と略す)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)から高確率(たとえば、39.9分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。なお、特別図柄確変機能の作動開始条件およびその作動終了条件の詳細については、追って説明する。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
また本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。また当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。なお、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」と称する。
ここで本実施形態では、上述の通常遊技状態、潜確状態、時短状態、確変状態などの内部遊技状態に関連した多様な演出を実現するために、一の内部遊技状態をさらに分類して管理している。たとえば上記「通常遊技状態(低確・電サポ無し)」には、「通常状態」および「CHANCE ZONE状態(以下「CZ」と略す)」といった複数種類の通常遊技状態が含まれ、それぞれ異なる遊技状態として管理している。
これにより、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常遊技状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては、「通常状態」と「CZ(内部遊技状態が通常遊技状態のCZ:CZ(通常))」という各遊技状態(変動パターン選択モード(後述の変動パターン振分指定番号(Tcode):図36参照)に対応した1または複数種類の変動パターンのうちから目的の変動パターンを選択することができるようになっている。またこれに起因して、演出制御部24側においては、「通常状態」と「CZ」という各遊技状態に対応した演出モードを設け、これら演出モード下における演出を発生させることができるようになっている(演出モードの詳細については後述する)。またこれに起因して、演出制御部24側においては、「通常状態」と「CZ」という各遊技状態に対応した演出モードを設け、これら演出モード下における演出を発生させることができるようになっている(演出モードの詳細については後述する)。なお本実施形態では、「潜確状態」についても、「潜確状態」と「CZ(内部遊技状態が潜確状態のCZ:CZ(潜確))」という複数種類の遊技状態(変動パターン選択モード)を設け、それぞれ異なる遊技状態として管理している。
本実施形態の場合、「内部遊技状態」には通常遊技状態、潜確状態、時短状態、および確変状態が含まれ、特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態(換言すれば、演出の決定に関する遊技状態)に着目した場合の「遊技状態(変動パターン選択モード)」の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い、通常状態、CZ(通常)、潜確状態、CZ(潜確)、時短状態、および確変状態が含まれる。このように、大当り抽選確率や電サポの有無に着目した「内部遊技状態」と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した「遊技状態(変動パターン選択モード)」とを異なるものとして管理することにより、同一の内部遊技状態下であっても、変動パターン選択モードに対応した特別図柄の変動パターンを選択することができるので、図柄変動表示ゲームの変動時間(ゲーム消化時間)や演出に大きな変化をもたらすことができる。なお説明の便宜上、本明細書中では特に必要のない限り、上記内部遊技状態と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した場合の遊技状態(変動パターン選択モード)とを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。
<4.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4−1.当り種別)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選(当り抽選)を行うようになっている。この当り種別には、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当りA、B」、および「小当り(小当りA、小当りB)」などの複数種類の当りが含まれる。
これら当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当りA、B」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態(当り遊技)への移行契機(発生契機)となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、および「2R短開放潜確大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当り種別となっている。また「12R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りA、B」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも低確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、通常遊技状態または時短状態)に移行させる「非確変大当り」に属する大当り種別となっている。また小当りA〜Bは、当選時の遊技状態を継続させる当り種別となっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、説明の便宜上、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
また上記の当り種別のうち、特図1側(特別図柄変動表示ゲーム1側)の大当り抽選対象の当り種別には、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当り」、および「小当りA〜B」が含まれる(図32(イ)参照)。また特図2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選対象の当り種別には、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りB」が含まれる(図33(ロ)参照)。
なお本実施形態では、特図1側に係る当り種別は「下大入賞口40」を開放させる当り遊技を実行し、上記特図2側に係る当り種別の場合は「右大入賞口50」を開放させる当り遊技を実行するようになっているが本発明はこれに限られない。たとえば、特図1側に当り種別に「右大入賞口50」を開放させる当り遊技を実行する当り種別を含んでいても良いし、特図2側の当り種別に「下大入賞口40」を開放させる当り遊技を実行する当り種別を含んでいても良い。また、ラウンド数に応じて「右大入賞口50」または「下大入賞口40」のいずれかを開放する特殊な当り種別を含んでいても良い。たとえば、16R系の大当り種別の場合を例にとれば、1R目〜所定のラウンド数目(たとえば、8R目)までは下大入賞口40を開放し、その後のラウンド数目以降(たとえば、9R目〜16R目)は右大入賞口50を開放する、といった大当り遊技を実行させることができる。
(4−2.当り遊技)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。
(4−2−1.16R長開放確変大当りによる当り遊技)
16R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「16R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を16ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における右大入賞口50の最大開放時間が「長開放時間」の‘29.8秒’に設定される。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数(たとえば、9個)に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものである。なお、最大開放時間が上記「長開放時間」に設定される開閉パターンを「長開放パターン」と称する。
ラウンド遊技が開始されて右大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の16ラウンドに達していなければ、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても右大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のインターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の「12R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「12R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りA、B」も同様)。
なお、ラウンド遊技間における上記「ラウンド間インターバル時間」は、「残存球排出時間」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間(たとえば、1980ms)を指し、その時間幅として、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52a)を通過するまでに要する十分な時間が確保されている。また「開放前インターバル時間」とは、上述の残存球排出時間が経過して大入賞口内の残存球が排出されたものとみなされた後、次のラウンド遊技における大入賞口が開放されるまでのインターバル区間を定めた時間幅(たとえば、20ms)を指す。この開放前インターバル時間中に下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aが遊技球を検出しても、その遊技球は不正行為による不正入賞とみなし、所定のエラー処理(不正入賞によるエラー処理)を行うようになっている。本実施形態では、残存球排出時間経過後の上記開放前インターバル時間を設けることで、より厳格に、不正入賞を監視することができるようになっている。
(4−2−2.12R長開放確変大当りによる当り遊技)
12R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「12R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を12ラウンドとする以外は、上述した16R確変大当り遊技の内容と基本的には同じある。したがって、この12R確変大当り遊技は、上記16R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技となる(本実施形態では、4ラウンド分の賞球数差がある)。なお本実施形態の場合、既に説明したように、特図1側の12R確変大当り遊技の場合は「下大入賞口40」が開放される当り遊技が実行され、特図2側の12R確変大当り遊技の場合は「右大入賞口50」が開放される当り遊技が実行される。
(4−2−3.12R長開放非確変大当りによる当り遊技)
12R長開放非確変大当りによる当り遊技(以下、「12R非確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を12ラウンドとする大当りであるが、ラウンド数に応じて大当り遊技態様が異なる。具体的には、大当り遊技が実行される期間において、1ラウンド目から特定のラウンド数目までの前半区間(前半部)と、その次のラウンド数目以降から最終ラウンド目まで後半区間(後半部)とで当り遊技動作態様が異なる。
詳しくは、規定ラウンド数(最大ラウンド数)である12R(ラウンド)のうち、前半部の10R目までは大入賞口の最大開放時間は長開放時間の‘29.8秒’に設定される。一方、後半部の11R目以降は大入賞口の最大開放時間は短開放時間の‘0.1秒’に設定される。この「短開放時間」とは、上記長開放時間とは異なり、大入賞口への入賞自体を困難とする時間幅として定めたものである。なお特に必要のない限り、最大開放時間が上記「短開放時間」に設定される開閉パターンを「短開放パターン」と称する。ただし、最大開放時間が上記「長開放時間」よりも短時間に設定される開閉パターンも「短開放パターン」と称する場合がある。
本実施形態では、遊技球落下方向変換部材、または発射装置の性能(たとえば単位時間あたりの遊技球の連射速度性能)あるいは大入賞口の形成位置などにより、上記「短開放時間」内に大入賞口閉鎖条件の一つである「最大入賞数」に達することが困難または不可能となるようになっている。上記12R非確変大当り遊技では、最大開放時間が長開放時間に設定される前半部の10R目までの賞球(利益)を獲得できるにとどまる。
したがって上記「12R非確変大当り遊技」の場合、前半部(1R目〜10R目まで)については「12R確変大当り遊技」と外観上に現れる機械的な遊技動作(下大入賞口40の開閉動作パターン)が同一(実質的同一でも良い)の当り遊技動作態様となるが、後半部(11R目以降)は、それとは異なる当り遊技動作態様(短開放パターン)となっている。そして、12R非確変大当り遊技は、12R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技とされる(本実施形態では、3ラウンド分の賞球数差が生じうる)。
(4−2−3.2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当りA、Bによる当り遊技)
2R短開放潜確大当りによる当り遊技(以下、「2R潜確大当り遊技」と称する)と、2R短開放非確変大当り(2R短開放非確変大当りA、B)による当り遊技(以下、「2R通常大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を2ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口(下大入賞口40または右大入賞口50)の最大開放時間は「短開放時間」の0.1秒に設定される。したがって、2R潜確大当り遊技または2R短開放非確変大当りでは、大入賞口が短開放時間(0.1秒)しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2ラウンド分と少ないことから、実質的には賞球が殆ど得られない大当り遊技となっている(正確には、大入賞口への入賞も発生する可能性はあるが、各ラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は低くなり、実質的に、賞球が殆ど得られない)。
また特図1側の当り種別の2R潜確大当り遊技中の当り中演出(当り遊技中に現出される演出)は、特図1側の当り種別の2R短開放非確変大当りA中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、この2R短開放潜確大当りによる当り中演出を含む当り遊技に係る動作は、2R短開放非確変大当りAに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、2R短開放非確変大当りAに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
以上のように本実施形態では、大当りの種類に応じて、大当り遊技中の賞球数、換言すれば、遊技者が獲得し得る遊技球数(獲得賞球数)が異なるように構成されている。なお、2R潜確大当り遊技や2R短開放非確変大当りでは、最大開放時間を上記短開放時間に設定すると説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、大入賞口への入賞がある程度許容されるように、16R確変大当り遊技や12R確変大当り遊技などと同じ長開放時間を設定しても良いし、上記最大入賞数に達することは困難または不可能であるが、大入賞口への入賞球数をある程度確保できるような開放時間(長開放時間よりも短く、短開放時間よりも長い中間的な開放時間:たとえば、5秒)に設定しても良い。また、当りによる賞球数(特賞数:T1Y)を異ならせるために、大当りの種類に応じて、上記最大入賞数をそれぞれ異なる個数に設定しても良い。
(4−2−4.小当り(小当りA、B)による当り遊技)
小当りA、Bによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、それぞれ大入賞口の開放が2回行われ、1回あたりの大入賞口の最大開放時間が2R潜確大当り遊技の最大開放時間に相当する0.1秒に設定され、1回目の大入賞口の閉鎖後、2回目の大入賞口開放までのインターバル時間が2R潜確大当り遊技や2R通常大当り遊技のラウンド間インターバル時間と同じ時間幅が設定される。また小当り遊技における大入賞口50の閉鎖条件に関しては、大入賞口50の最大開閉動作時間(大入賞口50の開放を2回分実行するための開閉動作時間)が経過した場合か、または大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合かのいずれか一方の条件が満たされた場合となっている。本実施形態の場合、上記最大開閉動作時間内に、大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数に達することがないため、実際には、大入賞口50の最大開閉動作時間が経過した後、具体的には、大入賞口の一連の開閉動作が実行された後、小当り遊技が終了されることになる。つまり、この小当り遊技中において外見から捉えた大入賞口50の開閉動作が、上記2R潜確大当り遊技や2R通常大当り遊技のものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。なお、小当りA、Bは特図1側の大当り抽選対象であるので、小当り遊技の際には、下大入賞口40が開閉制御される。
この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R潜確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で大入賞口を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、あたかも2R短開放潜確大当りや2R短開放非確変大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。
また本実施形態の場合、小当りA、Bは特図1側の大当り抽選対象であるので、小当り遊技中の当り中演出は、2R潜確大当り遊技または2R通常大当り遊技A中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りまたは2R短開放非確変大当りAに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。また、高確率状態中であれば、2R短開放非確変大当りAに当選による低確率状態への転落の緊張感を遊技者に与えることができるようになっている。
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態)
次に図4を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。図4は、各当り遊技後に移行する遊技状態の説明に供する説明図である。図示の各遊技状態は、内部遊技状態ではなく、変動パターン選択モードに着目した遊技状態を示してある。
(4−3−1.16R、12R、5R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
16R、12R、または5R確変大当り遊技終了後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行される。この「確変状態」となった場合には、次回大当りが確定するまで(「大当りが確定」するまでとは、特別図柄が大当りを示す表示態様で停止表示され、大当り遊技の発生が確定した場合や、大当りに当選した場合であっても良い。以下同様)確変状態を継続するようになっている。
なお、次回大当りが確定するまでではなく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動表示動作回数(以下、「特別図柄の変動回数」と略す)が所定回数(特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特別図柄1および2の合計変動回数)):たとえば70回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで確変状態が継続され、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態が終了して、次ゲームから「通常状態(内部遊技状態は、通常遊技状態)」に移行されるように構成しても良い。この場合、所謂「回数切りの確変機」となる。
(4−3−2.5R、12R非確変大当り遊技終了後の遊技状態)
5R、12R非確変大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「時短状態」に移行される。この「時短状態」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、60回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該時短状態が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該時短状態が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている。
(4−3−3.2R潜確大当り遊技終了後の遊技状態)
2R潜確大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」であった場合には「CZ(潜確)」に、潜確状態であった場合は「潜確状態」に、時短状態または確変状態であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。なお、当選時の遊技状態が潜確状態であった場合、潜確状態ではなく、確変状態に移行させても良い。
本実施形態では、当選時の遊技状態が「CZ」の場合、内部遊技状態に応じて次のような移行制御がなされる。当選時における遊技状態が、内部遊技状態が通常遊技状態である「CZ(通常)」であった場合には、内部遊技状態が潜確状態の「CZ(潜確)」に移行され、内部遊技状態が潜確状態の「CZ(潜確)」であった場合には「潜確状態」に移行される。なお、内部遊技状態が潜確状態下の「CZ(潜確)」は、内部遊技状態が通常遊技状態下の「CZ(通常)」と同じ遊技状態(変動パターン選択モード)として管理されるが、その実体は、内部遊技状態が‘潜確状態’の「CZ」である。
2R潜確大当り遊技終了後の「CZ(潜確)」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば4回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りするまで当該「CZ(潜確)」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ(潜確)」が終了して、次ゲームから「潜確状態」に移行され、潜確状態である旨を演出上から、遊技者に明らかにするようになっている。なお図中では、「CZ(4回:潜確)」と表記している。なお詳細は後述するが、本実施形態では、2R潜確大当り遊技終了後、潜確状態への移行期待感を与えるため、後述の小当り遊技後による遊技状態と関連して、2R短開放潜確大当りによる「CZ」の継続回数を、2R短開放非確変大当りまたは小当りによるものよりも多い継続回数に設定してある。
(4−3−4.2R通常大当り遊技終了後の遊技状態)
2R通常大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」であった場合には「CZ(通常)」に、潜確状態、時短状態、または確変状態であった場合には「通常状態」に移行されるようになっている。また当選時の遊技状態が「CZ」であった場合には「CZ(通常)」に移行される。
また2R通常大当り遊技終了後の「CZ(通常)」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば3回)終了するまでの間か、またはその回数内で大当りが確定するまで当該「CZ(通常)」が継続し、その回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ」が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行され、当該通常状態である旨を演出上から、遊技者に明らかにするようになっている。ただし、2R短開放非確変大当りにより設定されるCZの継続回数は、2R短開放確変大当りにより設定される回数(4回)よりも少ない回数(3回)が設定されるようになっている。
本実施形態では、2R潜確大当り遊技と2R通常大当り遊技とを同一または実質的同一の当り遊技動作態様とし、これら当り遊技終了後の遊技状態は、内部遊技状態が異なるものの、変動パターンの決定(演出の決定)に関しては同じ遊技状態(変動パターン選択モード)として管理される「CZ」に移行されうるようになっている。したがって、当り遊技中だけでなく、その当り遊技後の所定の遊技期間中においては(本実施形態の場合は、少なくとも3回)、どちらの当りに当選したのかを遊技者側に悟られないようにしている。これにより、高確率状態への期待感・緊張感を与えることができるようになっている。
(4−4.小当り遊技終了後の遊技状態)
小当り遊技後に関しては、その小当り当選時の内部遊技状態がそのまま継続され、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。したがって、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。
ただし本実施形態では、小当り当選に起因した‘内部遊技状態’の移行制御は行わない一方、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に関する‘遊技状態(変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode)))’の移行制御は行うようになっている。このような移行形態を利用し、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と2R潜確大当り遊技後の遊技状態とを同じ遊技状態に移行させた場合には、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させ、小当り遊技後であっても、2R潜確大当り遊技後と同じ演出モード下による演出を発生させることが可能になる。これにより、演出上からは、2R短開放潜確大当りに当選して「潜確状態」に移行したかも知れない、という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができるようになっている。以下、図4を参照しながら、小当りA、Bに当選した場合における各小当り遊技終了後の遊技状態について詳細に説明する。
ここで上記「変動パターン振分指定番号(Tcode)」とは、‘変動パターン選択モード’として機能し、現在の遊技状態を識別するデータである。「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、主に特別図柄の変動パターンを選択する際に利用され(後述の図12のステップS412(特別図柄変動パターン作成処理)参照)、‘変動パターン選択モード’として働く。図36の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、変動パターン振分指定番号(Tcode)が「00H」の場合は「通常(通常状態)」を示し、「01H」の場合は「確変状態(確変)」を示し、「02H」の場合は「潜確状態」を示し、「03H」の場合は「時短状態(時短)」を示し、「06H」はCZを示す。この変動パターン振分指定番号(Tcode)は、遊技状態に変化があった場合に変更されるようになっている。したがって、変動パターン振分指定番号(Tcode)は上記のような遊技状態を識別する点で、後述の遊技状態判定番号(YJ)のように内部遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
(4−4−1.小当りAに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りAによる小当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」か、または「CZ」であった場合には「CZ」に移行され、他の遊技状態(潜確状態、時短状態、または確変状態)の場合には遊技状態の移行はなく、その当選時の遊技状態が継続されるようになっている。
上記小当りAに関し、当選時の遊技状態が「通常状態」である場合に「CZ」に移行されるときは、そのCZが継続される回数(以下、「CZ継続回数」と称する)として、所定回数(たとえば、2回)が設定される。小当りA当選により「CZ」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が設定されたCZ継続回数が終了するまでの間か、またはその回数内で大当りが確定するまで当該「CZ」が継続し、その回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ」が終了する。なお、この「CZ」が終了したときの遊技状態が「CZ(潜確)」であった場合には、次ゲームから「潜確状態」に移行され、「CZ(通常)」であった場合には、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている(後述の小当りBについても同様)。
(4−4−2.小当りBに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りBによる小当り遊技後は、上述の小当りAの場合と同様の移行制御が行われる(図4の小当りBの欄参照)。ただし、小当りBにより設定されるCZの継続回数は、小当りA(2回)よりも多い回数(たとえば3回)が設定される。
上記「CZ」は、2R潜確大当り遊技終了後にも移行しうる遊技状態である。このため、2R短開放潜確大当り当選、または小当りAまたは小当りBの当選に起因して「CZ」に移行された場合、「CZ」に対応した演出をなす演出モード(CZ演出モード)に滞在することになり、演出上において、内部遊技状態が「潜確状態」であるか否か、つまり大当り当選確率状態が高確率状態であるか低確率状態であるか否かが秘匿される。本実施形態では、通常遊技状態と潜確状態とで内部的な機能である特別図柄確変機能の作動状態に違いはあるものの、外観上に現れる機械的な遊技動作状態が同じ状態となることに着目し(双方ともに‘電サポ無し状態’)、遊技者側に演出上からもどのような遊技状態であるかを察知されないようにすることで、高確率状態の期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
また本実施形態では、上記CZ継続回数に関し、「2R短開放潜確大当り」に当選した場合にはCZ継続回数‘4回’が設定され、これにより変動回数4回限定のCZ(CZ4回)に移行されることになる。そして、このCZが終了した後は(ただし、CZ中、大当りまたは小当りに当選することなくCZが4回終了した場合)、遊技状態がCZから潜確状態に移行される。つまり、演出モードに関しては、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とするCZ演出モード(秘匿演出モード)から、遊技状態を確定的に報知する演出モードに移行される。したがって、「CZ」が4回継続した場合には「潜伏状態」が明白になる。これに関連して、大当り抽選確率状態の変動が行われない小当りAまたは小当りBのいずれかに当選した場合、その当選した小当りに応じて、2R短開放潜確大当りによる4回よりも少ないCZ継続回数(2回〜3回)が設定されるようになっている。これにより、CZ中のゲームが消化される度に、「潜伏状態」が確定的となる4回に達するかもしれないという緊張感を遊技者に与えることができるようになっている。これにより、CZ中のゲームが消化される度に、大当り抽選確率状態が高確率状態である期待感が増し、遊技者に高揚感を与えることができるようになっている。
(4−5.CZ中の当り当選について)
なお本実施形態では、「CZ」中に2R短開放非確変潜確大当り、または小当りA、Bのいずれかに当選した場合、新たなCZ継続回数として、その当選した当りに応じたCZ継続回数が再設定されるようになっている。これにより、2R短開放潜確大当りに当選した場合のCZ継続回数4回以上の状況下を作り出すことができる。たとえば、小当りBに当選してCZ(CZ:3回)に移行し、そのCZ中3回目に小当りBに再度当選した場合、小当りB当選によりCZ継続回数3回が再設定され、CZ期間が「CZ期間3回+再設定された3回」の最大6回まで延長される。つまりCZが4回継続されたとしても必ずしも潜確状態下であることが明白とはならず、意外性に富んだ遊技性を作り出すことができる。
勿論、「CZ」が4回継続した場合には潜確状態下であることが明白となるように構成しても良い。たとえば、通常状態中に小当りに当選に起因して「CZ(通常)」に移行した後、当該「CZ(通常)」中に滞在している限りは、2R短開放非確変潜確大当り、小当りA、および小当りBのいずれかに再当選したとしても、当該「CZ(通常)」の継続回数が最大3回を超えないよう構成することができる。また「CZ(潜確)」中に、2R短開放非確変潜確大当り、小当りA、および小当りBのいずれかに当選した場合、その当り種別に対応したCZ継続回数を新たに設定しない構成とすることができる。これにより、「CZ」が4回継続すれば潜確状態下であることが明白となる、といった遊技性を作り出すことができる。
なおCZ継続回数4回未満で、潜確状態が明らかになる状況下を作り出すこともできる。たとえば、CZ中に2R短開放潜確大当りに当選し、「CZ(潜確)」移行後の1回目に小当りAに当選した場合、小当りA当選によるCZ継続回数‘2回’が再設定されると、CZ期間が「CZ(潜確)」移行後1回+小当りA当選により再設定された2回」となり、本来の‘4回’よりも少ない‘3回’に短縮される。そして、このCZ期間が終了した後は、遊技状態がCZから潜確状態に移行され、後述の演出モードに関しては、潜確状態を確定的に報知する「潜確演出モード」に移行させることができる。これにより、CZが4回継続しなくとも潜確状態が明白となりうるため、意外性に富んだ遊技性を作り出すことができる。なお既に説明したように、2R短開放潜確大当りに当選した場合において、その当選時の遊技状態が「CZ(潜確)」である場合には、その当り遊技後は潜確状態に移行されるので、演出モードに関しては、秘匿演出モードが終了され、潜確演出モードに格上げ移行されることになる。この場合もCZ継続回数4回未満で潜確状態が明らかになりうる。
本実施形態の「CZ」は、CZ継続回数を4回(最大作動保留球数分)としている。このように「CZ」を短期間で終了させる理由は、高確率状態の期待感を煽るといった演出上の関係から、長期間、遊技状態を秘匿しておくとのは遊技者にとって煩わしいからである。そこで本実施形態では、CZ継続回数を最大作動保留球数以下に止め、「短期決着型の演出モード(短期間で遊技状態が判明する演出モード)」となるようにしている。
(4−6.CZ中の変動パターンについて)
なお本実施形態において、「通常状態」や「時短状態」などは、作動保留球数に応じて異なる変動時間を定めた変動パターンが選択されうるようになっている。しかし、CZ中に選択されうるハズレ変動パターンは、作動保留球数にかかわらず、単一のハズレ変動パターン(CZ用ハズレ変動)が選択されるようになっている。つまり、CZ中に選択されるハズレ変動パターンが作動保留球数によらず、同一の変動時間の変動パターンが選択される。これにより、CZ中において「ハズレ」である場合は、図柄変動時間が同じ時間幅、つまり同じ演出時間幅が確保されるようになっている。なお、当りの場合は、当りを報知する関係上、ハズレ変動パターンよりも長時間の変動時間を持つ当り変動パターン(CZ用当り変動)が選択されるようになっている。上述のように、CZ中に選択されるハズレ変動パターンを、作動保留球数によらず同一の変動時間とする理由は次の通りである。
一般的に電サポ無し状態であっても、作動保留球数は比較的短時間で変化しうるものであり(一般的な弾球遊技機では、1回の図柄変動表示ゲーム中に、作動保留球数が1〜3個程度増加するものが多い)、これを利用して作動保留球数に応じた変動パターンを選択させるようにすれば、毎回の図柄変動表示ゲームごとに、演出時間(図柄変動表示ゲームの実行時間)に変化をもたらすことができ、多彩な演出を発生させることが可能である。このような遊技状態として、「通常状態」や「時短状態」などがある。
しかし、作動保留球数に応じて図柄変動表示ゲームの演出時間が異なるようにしてしまうと、今回の図柄変動表示ゲームの演出時間と次回の図柄変動表示ゲームの演出時間とが異なる可能性が高く、短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して複数回の図柄変動表示ゲームに跨って、密接な関連性を持つ演出(たとえば、ストーリー仕立ての物語風の演出)を連続的に展開させていくのが困難になる。たとえば、CZ演出モード下において、関連性を有した複数話のストーリー演出を含む物語風の演出を現出させる場合、すべてのストーリー演出の演出時間が同一であれば、これを連続的に展開させていくのは容易であるが(演出制御部24側の演出の選択処理が容易になり演出制御負担が軽減される)、作動保留球数に応じて演出時間が変化してしまうと、ストーリーを展開する関係上、各ストーリー演出それぞれに対し、作動保留球数0〜3個に対応した多くの演出を設けなくてならず、さらに演出時間が異なる演出同士、関連性を有した表現とする必要があり、演出パターンの種類が増加し、演出制御部24側における演出選択処理に係る演出制御負担が増大してしまう。
また上記のような物語風の演出を現出させる場合、先読み予告演出を利用することも考えられるが、先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出であるので、先読み予告演出の開始タイミングによっては、現存する作動保留記憶数がその都度異なり、上述と同じく短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して密接な関連性を持つ演出を連続的に展開させていくのが困難になると考えられる。また先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出であるので、先読み予告演出の開始タイミングによっては、先読み予告演出の実行回数が毎回異なる可能性が高い。このため、本実施形態のように、CZ演出モードの継続回数が長く続くほど潜確状態の期待感を高まるようにしたり、CZ演出モードが所定回数継続した場合に潜確演出モードに移行させて潜確状態下である旨を確定的に報知したりする、といったことはできない。特にCZ演出モードは、大当り抽選確率を秘匿しうる演出をなす演出モードとして働くため、このような演出モードの下で、高確率状態の期待感を煽るような物語風の演出を展開可能とすることは、遊技の面白みを向上させる上で極めて有効である。なお上記の「物語風の演出」は、たとえば、敵と対峙しながら戦いを繰り広げるような「戦闘(バトル)演出」や、昔話しや童話の内容を展開していくような「筋書き(ストーリー)演出」、図柄変動表示ゲームの実行ごとに遊技者に所定の指令を与える遊技者参加型の「指令(ミッション)演出」など、特定の期間中(CZ中)に展開されうる演出同士に何らかの関係性を有した表現がなされるものであれば特に限定されない。
そこで本実施形態では、演出時間の長短が発生してしまうことを極力抑えるべく、作動保留球数に関係なく、変動時間が同一の変動パターンが選択されるような特定の遊技状態(CZ)を設け、その特定の遊技状態が継続しうる変動回数を当選種別(2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当り、小当りA、小当りB)に応じて固定的なものとし、上記物語風演出の展開を容易なものとして、演出制御負担を軽減することができるようにしている。
また本実施形態では、既に説明したように、CZ継続回数に応じて潜確状態移行への期待感を高めることができるようになっている。そして、その上限回数を最大保留記憶数の同じ値の4回に定めてある。その理由は、次の通りである。
第1に、CZ演出モードのような秘匿演出モードを長期間(たとえば、数十ゲーム間)継続させるようにした場合、遊技者は潜確状態(高確率状態)でないこと確信できるまで(たとえば、秘匿演出モードが終了し、通常状態が確定的となる通常演出モードに移行するなど)、ゲーム数を長期間消化せざるをえない状況に置かれてしまい、遊技者にとり不利なゲーム展開となる。特に近年では、秘匿演出モードが長期間継続するような遊技機を敬遠する遊技者も多く、このため、秘匿演出モードの継続回数を比較的短いゲーム数に定めて、上記「短期決着型の演出モード」とすることが好ましいと考えられる。
第2に、CZ演出モードのような秘匿演出モードの継続回数を定めるに際し、秘匿演出モード下でなす演出を、後述の「先読み予告演出」のような連続予告演出とすることが、遊技の面白みを向上させる上で効果的である。つまり秘匿演出モード下でなす演出が、あたかも先読み予告演出が如く装わせることが好ましいといえる。この点について説明すれば、次の通りである。
先読み予告演出は、現存する作動保留球を対象とする連続予告演出であるので、その実行回数は、最大保留記憶数(4回)までが限界である。この点に着目し、遊技者に対して、CZ演出モード下でなす演出が、恰も先読み予告演出が如く装わせるため、CZ継続回数を最大保留記憶数の4回の範囲内に定めている。これは、多くの遊技者が作動保留球数を報知する保留表示を注視しながら遊技に興じている訳ではなく、通常、保留表示よりも大きく見やすい位置に表示される予告演出を注視しながら遊技に興じている点、また上述したように、作動保留球数が1回の図柄変動表示ゲーム中の期間であっても1個〜3個程度増加し、作動保留球数が短期間で変化しうる(たとえば、CZ突入時に作動保留球が1個であっても次ゲーム開始時点で作動保留球数が2〜4個に増加し可能性が高い)点などの理由からである。本実施形態では、CZ継続回数を最大保留記憶数の範囲内にとどめることで、CZ演出モード下でなす演出を、先読み予告演出(連続予告演出)の如く装わせ、疑似的な連続予告演出とすることができる。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、遊技状態に関連する演出を現出させるための複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。上記演出モードには、具体的には、遊技状態が「通常遊技状態」の場合には「通常演出モード」、「CZ」の場合には「CZ演出モード」、「潜確状態」の場合には「潜確演出モード」、「時短状態」の場合には「時短演出モード」といった、「確変状態」の場合には「確変演出モード」といった、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。なお上記「CZ」である、「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」とは、同一の遊技状態として管理され、「CZ(通常)」または「CZ(潜確)」中の場合は、演出モードが同じ「CZ(CHANCE ZONE)演出モード」下に置かれる。これにより、演出上からは、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)が秘匿状態とされるようになっている。上記「CZ演出モード」は、大当り抽選確率状態を演出上から秘匿状態とする「秘匿演出モード」としての役割を果たす。斯様な「秘匿演出モード」は、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす演出モードとして働く。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態(内部遊技状態を含む)を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする「特定の演出制御コマンド(本実施形態では、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態指定コマンド、時短終了コマンド、当り中に送信される所定のコマンド(「大当り開始インターバルコマンド(大当り開始コマンド)」や「大当り終了インターバルコマンド(大当り終了コマンド)」)などの、主制御部側で管理される遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンドが該当する)」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。また演出制御部24は、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。具体的には、上記の特定の演出制御コマンドにより、主制御部20側で管理される内部遊技状態および変動パターン選択モードを把握し、主制御部20側と整合性を保つ形で、これを管理可能に構成されている。
(5−1−1.各演出モード下の演出について)
各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、たとえば、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景画像演出が現出されるようになっている。また背景画像演出を各演出モードに応じて変化させるものに限らず、各演出モードに対応した異なる絵柄の装飾図柄を利用したり、音演出や光演出などを変化させたりすることにより各演出モードを示唆することもできる。
なお本実施形態の「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」に対応する「CZ演出モード」は、内部遊技状態が潜確状態(高確率状態)であるか通常遊技状態(低確率状態)であるかにかかわらず、同じ演出モードであると説明したが、本発明はこれに限られない。内部遊技状態に応じた、潜確状態(高確率状態)下における「本物のCZ演出モード(第1の秘匿演出モード)」と、通常遊技状態(低確率状態)下における「ガセのCZ演出モード(第2の秘匿演出モード)」とを設け、これら演出モードに移行制御可能に構成しても良い。この場合、「本物のCZ演出モード」と「ガセのCZ演出モード」とで、特定の演出(たとえば、特定のキャラクタ画像)の出現率を異ならせることにより、遊技者に対して、いずれの演出モードに滞在しているかの推測要素を与えることができる。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、上述した演出モード下において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば当落抽選結果、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な予告演出を、上述した演出モード下で現出制御する機能部(予告演出現出制御手段)を備える。本実施形態の予告演出現出制御手段は、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(たとえば当落抽選結果情報、リーチ演出の有無、特別停止図柄種別情報(当り種別に関する情報)、特別図柄の変動時間情報など)に基づき、様々な予告演出を現出制御可能に構成されている。
斯様な予告演出態様には、「リーチ演出(リーチ変動パターンに係る演出態様)」に代表される予告演出の他、これらの演出に付随して、または単独的に発生するものが含まれる。これらの演出態様は、基本的には、複数の予告演出が重複的に発生してゲーム内容を盛り上げるようになっており、当り種別に当選したか否かの信頼度または期待度(以下、「大当り当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感(当り当選期待感)を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものは、「リーチ演出」の他、たとえば「疑似連演出」や「先読み予告演出」などがある。
(5−2−1.リーチ演出)
上記「リーチ演出」とは、所謂「リーチ状態」を伴う演出態様(リーチ状態を伴う変動表示態様)をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終結果を導出表示するような演出態様をいう。このリーチ演出は、大当り当選期待度(大当りである可能性がある旨)を予告(示唆)するものであり、大当り当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、特定のリーチ状態を伴うリーチ演出が出現した場合、通常のリーチ状態(‘ノーマルリーチ(Nリーチ)’)を伴うリーチ演出が出現した場合に比べて、大当り当選期待度が相対的に高まるものがある。このような特定のリーチ状態を伴うリーチ演出を‘スーパーリーチ(SPリーチ)’という。このSPリーチの多くは、大当り期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。またSPリーチには、大当り当選期待度が異なる複数種類のSPリーチ(弱SPリーチ種別(たとえば、弱SPリーチ1〜5(番号が大きいほど期待度が高い)、弱SPリーチ種別よりも当選期待度が高まる「強SPリーチ種別(たとえば、強SPリーチ1〜3)」)が含まれる。
(5−2−2.疑似連演出)
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいい、「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態(見た目上、停止表示したかのように装う変動停止動作)とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回(本実施形態では、最大4回)繰り返すことにより、見た目上、一セットとする変動表示動作が複数回実行されているかのように表現する変動表示態様をいう。この点、複数回の変動表示動作に跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。
この疑似変動を行う場合には、たとえば、仮リーチ状態(仮停止状態前にリーチ状態の可能性がある旨を示唆したり、リーチ図柄が停止するかの如く装ったりする変動表示状態)を形成しながら、一旦ハズレとなる図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を行ったり、あるいは、通常の装飾図柄に替えて特殊な装飾図柄(疑似連の発生可能性がある旨を示唆する特殊な装飾図柄(疑似連発動チャンス図柄))を含ませた図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を行ったりすることができる。斯様な「疑似連」は、主として、疑似連回数が多くなるほど大当り当選期待度が高まるようにその発生率(疑似連回数に応じた疑似連の発生確率)が定められており、特に、リーチ演出の発生可能性を示唆する(リーチ演出を期待させる)予告演出として利用され(本実施形態の場合、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生されうる)、疑似連回数が多くなるほど当り当選期待度が高い、つまり、当り当選期待度が相対的に高いSPリーチ種別の発生が期待できるようになっている。なお上記疑似変動が終了した後に展開される変動表示動作を「本変動」とも称し、たとえばリーチ状態を経由する場合には、この本変動にてリーチ状態が形成されてリーチ演出が現出され、最終的なゲーム結果が導出表示される。
(5−2−3.先読み予告演出)
また演出には、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、大当りの当選可能性がある旨(大当り当選期待度)を事前に報知する先読み予告演出がある。この先読み予告演出については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる(図10のステップS319〜S320、図11のS339〜S340(乱数判定処理〜特別停止図柄データ作成処理)、図12のステップS409(特別電動役物作動判定用乱数判定処理)〜S410(特別停止図柄作成処理)参照)。
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターンを事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる(図10のS323、図11のS343(始動口入賞時乱数判定処理)参照)。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由する「リーチ変動パターン」となるのか、それともリーチ状態を経由しない「通常変動パターン」となるのかについて事前に判定される。なお上記先読み変動パターンは、少なくとも当落抽選結果を利用して判定されるため、演出制御部24側に送信される先読み変動パターン情報には、リーチの有無や疑似連の有無・その回数などの情報だけでなく、変動開始時の変動パターンが、大当り(小当りを含む)当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報も含まれる。この先読み変動パターンの情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターン判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
詳しくは、上記先読み判定結果の情報(少なくとも先読み当り判定結果情報(当落結果を先読み判定した情報)を含む「保留加算コマンド」が主制御部20から演出制御部24に送信され、当該保留加算コマンドを演出制御部24が受信すると、そのコマンドに含まれる先読み判定結果の内容に基づく先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。この保留加算コマンドは2バイトで構成され、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト側のデータと、先読み変動パターンの内容を特定可能とする下位バイト側データとから構成される(図5参照)。したがって、保留加算コマンドには、作動保留球情報と、先読み変動パターン情報とが含まれる。ただし演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合に必ずしも先読み予告演出を現出させるわけではなく、先読み予告演出の実行可否を抽選により決定し、先読み予告演出実行可と決定した場合には、作動保留球の発生したタイミングで、または先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、あるいはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出させるようになっている。
なお作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、上記変動開始時の変動パターンが「SPリーチ1」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明する。このケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が、「強SPリーチ1」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「強SPリーチ」種別である旨、具体的には、「強SPリーチ」という同系統の変動パターン(強SPリーチ1〜3)を纏めて分類した「強SPリーチ種別」である旨を指定することができる。このケースに係る先読み予告演出では、先読みされた「強SPリーチ種別」に関連した演出態様が現出されることになる。したがって先読み予告演出により報知される主な情報は、将来的に実行される図柄変動表示ゲームに関し、大当り当選期待度が高い煽り演出(本ケースでは、強SPリーチ種別)が発生する可能性が高いか低いかといった情報、換言すれば、大当りの当選可能性が高いか低いかといった情報であり、このような情報を作動保留球が消化される前段階において事前に遊技者に報知することにより、今回の図柄変動表示ゲームだけでなく、将来的に実行される図柄変動表示ゲームにも遊技者の関心を向けさせて、遊技の面白みを向上させている。
(5−3−1.先読み予告演出態様:図5)
次に図5を参照しながら、先読み予告演出態様について説明する。図5は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1における先読み予告演出の説明に供する説明図である。
図5を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76と特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている。具体的には、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特図図柄1側に対応)、a2〜d2(特図図柄2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる上記保留加算コマンドを受けた場合、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行う。この先読み予告抽選に当選に係る作動保留球が先読み予告演出の対象となった作動保留球となる(たとえば、図5のハッチングを施した保留表示部b2が該当する)。なお本実施形態では、先読み予告抽選実行条件として、現存する作動保留球に係る先読み変動パターンの中に、リーチ変動パターン種別がないことを条件とする。これは、連続的に発生している先読み予告演出の途中に他のリーチ演出が介在して、本来の先読み予告演出が寸断され、その演出効果が希薄になってしまうのを回避するためである。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。
先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示の青色から、予告表示の黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留色に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。ここで、保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、大当り当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。この保留色は、先読み変動パターンの内容に基づいて抽選により決定される。具体的には、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が、大当り当選期待度の高い保留色が高確率で選択されるようになっている。なお「保留表示変化系」の先読み予告演出態様としては、上述のように保留色を変化させることに限らず、特殊なキャラクタを模したアイコンなどに変化するようにしても良い。このような「保留表示変化系」の先読み予告演出は、作動保留球発生時に現出されることから「入賞時変化系」の先読み予告演出と称される。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、上記の保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出は、複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)に跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。この連続予告演出は複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行される点で、疑似連のように、1回の図柄変動動作中に行われる予告演出とは異なる。
また本実施形態では、上述の「入賞時変化系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出可能となっている。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行し連続表示させるといった「画像表示変化系」の先読み予告演出である。すなわち、「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、一の図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を行うか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選に当選した場合には、その時点で現存する全てまたは一部の保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にする。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球までの現存する作動保留球に係る全てまたは一部の図柄変動表示ゲームにおいて、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像(図示の稲妻を模した予告画像)を表示させる。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告演出も「入賞時変化系」の先読み予告演出と同じく、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。なお、各図柄変動表示ゲームにおいて、先読み専用の異なる予告画像であっても良い。
なお、先読み予告演出の実行形態を次のような形態とすることができる。たとえば(イ)入賞時変化系(保留表示変化系)だけを実行する、(ロ)変動開始時変化系(画像表示変化系)だけを実行する、(ハ)入賞時変化系と変動開始時変化系の双方を実行する、といった種々の実行形態とすることができる。本実施形態では、この(イ)〜(ハ)の形態を実行可能に構成されている。具体的には、先読み予告抽選により、入賞時変化系の先読み予告演出と変動開始時変化系の先読み予告演出とが、それぞれ独立して抽選され、上記(イ)〜(ハ)のいずれの先読み予告演出を実行するか、それとも先読み予告演出自体を実行しないかが決定されるようになっている。つまり、入賞時変化系と変動開始時変化系との少なくとも一方の先読み予告演出が現出可能(入賞時変化系と変動開始時変化系とがそれぞれ独立して現出可能)に構成されている。
したがって、「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らず、またその逆に、「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らない。また、入賞時変化系(保留表示変化系)」の先読み予告演出と「変動開始時変化系(画像表示変化系)」の先読み予告演出とが同時に発生することもある。なお、上記(イ)〜(ハ)のいずれの実行形態をも現出可能に構成しなくても良く、先読み予告演出時は、入賞時変化系(保留表示変化系)のみを実行したり、(画像表示変化系)のみを実行したり、入賞時変化系と変動開始時変化系の双方を必ず実行する、といった入賞時変化系と変動開始時変化系のそれぞれの先読み予告演出が非独立的に現出されるような構成であっても良く、どのような実行形態とするかは、適宜決定することができる。なお、上記先読み予告演出を他の演出手段により現出させても良く、たとえば、可動体役物を先読み専用の動作パターンで動作させて、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って先読み演出として現出可能に構成しても良い。
次に図6を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1が織り成す先読み予告演出態様について説明する。
図中(1)は、図柄変動表示ゲーム中(図示の「↓」は装飾図柄が変動表示中であることを示している)に上始動口34に入賞して特別図柄1側の作動保留球数が3個になったとし、その3個目のうち、第2番目に変動開始動作が実行される作動保留球が先読み予告演出の対象(ここでは、入賞時変化系の先読み予告抽選と変動開始時変化系の先読み予告抽選とに重複当選)となったケースを示している。またここでは、先に保留されていた第1番目と後に保留された第3番目の作動保留球については、先読み予告抽選非当選の作動保留球であったとする。
演出制御部24は、同図(1)示すように、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を通常とは異なる先読み専用の保留表示(以下、「専用保留表示」と称する)に変化させる。このとき、先読み予告の対象ではない第1番目および第3番目の作動保留球に対応する保留表示は、通常の保留表示(以下、「通常保留表示」と称する)のまま維持される。図示では、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を、通常保留表示(白丸(○)印)から専用保留表示(ハッチング付き丸印)に表示態様が変化した場合を示している。これにより、遊技者に対して先読み予告演出が開始された旨が報知される。なお同図(1)は、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して、装飾図柄が「246」で停止表示されたものを示している(結果は「ハズレ」とする)。
遊技進行は同図(2)に移り、主制御部20は、上記第1番目(最も古い作動保留球)であった特別図柄1側の作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化(1つ消化)し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、作動保留球が1つ消化された状態を示す保留表示態様とし、当該第1番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、「変動開始時変化系」の先読み予告演出として、液晶表示装置36の画面内に先読み予告演出用の背景画像(たとえば、稲妻を模した稲妻画像表示による稲妻演出:専用予告画像)を表示させる。これにより、液晶表示装置36の画面は、同図(2)に示すような表示態様となる。
そして遊技進行は同図(3)に移り、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して装飾図柄が「351」で停止表示されたとする(結果は「ハズレ」とする)。
続いて遊技進行は同図(4)に移り、主制御部20は、上記第2番目であった作動保留球、つまり先読み予告演出の対象となった作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、当該第2番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、入賞時変化系の「専用保留表示」は上記シフト時に画面から消え、今回の図柄変動表示ゲームの開始を契機(その作動保留球の消化とともに)に終了される。また変動開始時変化系の専用予告画像(ここでは稲妻演出)も今回の図柄変動表示ゲーム中の発生を最後に終了される。なお同図(4)は、図柄変動表示ゲーム開始直後の液晶表示装置36の画面表示を示したものである。このようにして、一連の先読み予告演出が終了したことになる。その後、今回の図柄変動表示ゲーム中に、大当り当選期待度が相対的に高まる煽り演出(疑似連やリーチ演出(SPリーチ))が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、大当りへの期待感はより一層高まることになる。
このように本実施形態のパチンコ遊技機1では、連続予告演出の一態様として、上記のような先読み予告演出を発生可能に構成されている。これにより、演出のバリエーションを豊富なものとすることができるので、遊技の面白みを向上させることができる。
(6.当り遊技中に係る演出:図32、図33)
次に、当り遊技中に現出されうる演出態様について説明する。
当り遊技中の演出態様には、当り遊技の進行に従って現出される「オープニング演出」、「ラウンド演出(ラウンド開始演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出)」、「エンディング演出」などを含む「当り中演出」の他、大入賞口入賞時に現出される「大入賞口入賞演出(大入賞口入賞時に係る演出)」が含まれる。そして、この大入賞口入賞演出には、大入賞口通常入賞演出とオーバー入賞演出とが含まれる。
上記「オーバー入賞演出」とは、図柄変動表示ゲーム中の予告演出とは異なり、当り遊技中の大入賞口の開閉動作中(大入賞口入賞有効期間)において、大入賞口閉鎖条件となる最大入賞数(たとえば、9個)を超える入賞(オーバー入賞)があったことを条件に実行される演出態様として定められている。このオーバー入賞に係る入賞球は、「オーバー入賞球」と賞される。
なお、オーバー入賞球の扱いについては、大当り種別と小当り種別とで異なる。大当り種別による当り遊技の場合には、「ラウンド遊技」が実行されるため、1回のラウンド遊技において、大入賞口の閉鎖条件である最大入賞数を超えて検出された遊技球が「オーバー入賞球」扱いとなり、このオーバー入賞球が発生したことを条件に、オーバー入賞演出が実行されることになる。しかし、小当り種別による当り遊技(小当り遊技)中の場合は、既に説明したように、大当り種別のようなラウンド遊技という制御が無く、ラウンド遊技を模した「疑似的なラウンド遊技」が実行されるようになっている。したがって、小当り種別の場合には、大当りの種別のように、1回のラウンド遊技における大入賞口の閉鎖条件である最大入賞数を超えて検出された遊技球を「オーバー入賞球」扱いとするのではなく、小当り遊技中全体を通じて、その小当り遊技終了条件となる最大入賞数を超えて検出された遊技球を「オーバー入賞球」として扱い、このオーバー入賞が発生したことを条件に、オーバー入賞演出が実行されるようになっている。
上記オーバー入賞が発生するケースとしては、たとえば、最大入賞数に達することとなる遊技球が大入賞口に入球したが、その遊技球が入賞検出スイッチに検出されるまでの間、またはその遊技球が入賞検出スイッチに検出されて大入賞口の閉鎖直前に、大入賞口内に、偶々、遊技球が入球したケースである。この場合、最大入賞数に達することとなる遊技球が入賞検出スイッチに検出され、大入賞口が閉鎖状態に移行されてもその内部には、まだ遊技球が残存している。この残存している遊技球が残存球排出時間内に検出されることにより、最大入賞数を超えるオーバー入賞が発生することになる。そして、このオーバー入賞球が「オーバー入賞演出」の対象となる。
なおオーバー入賞の発生は、遊技盤面の遊技部材の配置構成(たとえば、入賞口やセンター飾りなどの配設位置、ゲージ構成(遊技くぎの配列)など)や、大入賞口の構造形態(たとえば、検出スイッチまでの経路長)や、開放パターン(たとえば、最大開放時間の長短)にもよるが、設計上、想定外の特賞数が発生してしまうことを防止するために、一般的には、その発生率が抑えられており、オーバー入賞が簡単には発生しないようになっている。たとえば、本実施形態の場合、小当り遊技中、2R潜確大当り遊技中、および2R通常大当り遊技中においては、その大入賞口の最大開放時間などの関係から、オーバー入賞が発生することは皆無となっている。
しかし機種(遊技盤面の遊技部材の配置構成)によっては、遊技球の打ち出しの強さの巧みな調整により、オーバー入賞の発生を意図的に狙い打つことも可能(遊技者の発射操作ハンドル15の操作技術により、オーバー入賞発生率を通常時の打ち出し方よりも高めることが可能)なものもあるが、確実に狙える訳ではない。したがって、オーバー入賞の発生は、専ら‘思わぬ利益を獲得できた’というお得感を遊技者に与えるものであり、オーバー入賞が発生した際には、その旨を報知する「オーバー入賞演出」を現出させて遊技者を祝福し、以って、遊技者に対し満足感を与えることができるようになっている。
大入賞口に対する入賞球については、大入賞口が開放されてから閉鎖条件が成立した後に設定される「残存球排出時間(1980ms)」が経過するまでの‘大入賞口入賞有効期間’中において、大入賞口に係る入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52a)により検出されたものが入賞カウント対象となる。
本実施形態では、下大入賞口40よりも右大入賞口の方がオーバー入賞の発生がし易く形成されている。ただし、上記大入賞口入賞有効期間内であっても過度なオーバー入賞が発生しないように、1回のラウンド遊技中において下大入賞口40に対するオーバー入賞数は概ね2個程度が限界として設計されており、また右大入賞口50に対するオーバー入賞数は、概ね3個程度が限界として設計されている。
大入賞口への入賞数は、大入賞口に係る入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52a)の検出情報に基づき、主制御部20により管理される(後述の図20のステップS565、図22のステップS596の処理参照)。主制御部20は、大入賞口への入賞球を検出した場合において、最大入賞数以下の場合には、通常入賞用の演出制御コマンド(通常用大入賞口入賞コマンド)を演出制御部24に送信する。しかし最大入賞数を超える場合(オーバー入賞が発生した場合)には、オーバー入賞用の演出制御コマンド(OV入賞用大入賞口入賞コマンド)を演出制御部24に送信する(後述の図20のステップS564、図22のステップS595、S597参照)。
演出制御部24は、これらのコマンドに基づき、最大入賞数を超えるまでの入賞球に対しては「大入賞口通常入賞演出」を、オーバー入賞に係る入賞球に対しては「オーバー入賞演出」を現出可能な構成となっている(後述の図22、図28〜図29A、図32〜図33参照)。なお、通常用大入賞口入賞コマンドとOV入賞用大入賞口入賞コマンドとは、下大入賞口40と右大入賞口50とに対応したコマンドが送信されるようになっている。これにより、各大入賞口に応じた入賞演出が現出されるようになっている(後述の図20、図27、図32〜図33参照)。
ここで、上記「オーバー入賞」は、専ら、最大入賞数に十分達しうる大入賞口開放時間が設定されるラウンド遊技中に発生しうる。本実施形態では、大入賞口の最大開放時間が長開放時間(たとえば、29.8秒)に設定されるラウンド遊技中において、オーバー入賞が発生する可能性が高い。一方、大入賞口の最大開放時間が短開放時間(たとえば、0.1秒)に設定されるラウンド遊技中では、オーバー入賞の発生は想定できない。
そこで本実施形態では、当り種別に応じて、オーバー入賞演出の実行・不実行を定めている。これについて図32〜図33を参照しながら説明する。図32(イ)は、特図1側の当り種別のオーバー入賞演出に関する説明図であり、図33(イ)は、特図2側の当り種別のオーバー入賞演出に関する説明図である。
本実施形態では、大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される当り種別、具体的には、2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当り、小当りA、および小当りBについては、オーバー入賞演出が発生しうることが想定できない当り種別であるので、これらの当りは、オーバー入賞演出の実行対象外とされるようになっている(図32(イ)参照)。
一方、大入賞口の最大開放時間が長開放時間に設定される当り種別、具体的には、12R長開放非確変大当り、12R長開放確変大当り、および16R長開放確変大当りについては、オーバー入賞演出が発生しうる当り種別であるので、これらの当り遊技は、オーバー入賞演出の対象とされている(図32(イ)、図33(イ)参照)。ただし12R長開放非確変大当りの場合、1R目〜10R目のラウンド遊技は長開放時間に設定され、11R目〜12R目は短開放時間に設定される当り遊技が実行されることから、11R目〜12R目についてはオーバー入賞演出が実行されることがない。
本実施形態では、オーバー入賞が発生した場合、当り種別に応じて、オーバー入賞演出の実行対象とするか否かを定めている。具体的には、当り種別に応じて、OV入賞用大入賞口入賞コマンドを送信するか否かを定めている。この場合、次のような利点がある。
たとえば、新機種を開発する際、特定の当り種別がオーバー入賞を発生しうる当り遊技を実行するものであっても、遊技性などの理由により、オーバー入賞演出を現出させたくない場合がある。この場合、単に、最大入賞数を超えたか否かに応じてオーバー入賞演出を現出させる構成では、その特定の当り種別をオーバー入賞演出の実行対象から除外するためのプログラムを追加する必要があり、当り種別を追加・変更する度に、プログラムを追記したり削除したりする必要があり、機種ごとに大幅なプログラムの変更を余儀なくされ、開発期間の遅延を招く恐れがある。しかし、当り種別(後述の特別図柄判定用データ)に基づいてOV入賞用大入賞口入賞コマンドを送信の可否を決定する場合、特定の当り種別の場合にはOV入賞用大入賞口入賞コマンドを送信されず、また特定の当り種別を設けない場合には、すべての当り種別でOV入賞用大入賞口入賞コマンドを送信されるので(後述の図22のステップS597参照)、プログラムを闇雲に変更することなく比較的容易に機種変更を実現することができ、新旧機種間の互換性・汎用性に優れる遊技機を提供することができる。
(6−1.大入賞口入賞演出)
次に図32(ロ)および図33(ロ)参照して、大入賞口入賞時に係る演出態様である「大入賞口通常入賞演出」と「オーバー入賞演出」とについて詳細に説明する。
図32(ロ)および図33(ロ)は、大入賞口入賞時に現出する演出態様を選択するための演出選択テーブルを例示したものである。図示の音演出A−0〜A−2、B−0〜B−3は音演出用の演出データ、光演出A−0〜A−1、B−0〜B−3は光演出用の演出データ、可動体演出(可動体役物による演出)A−1、B−1〜B−3は可動体役物の動作用の演出データである。なお、演出データ番号が異なるものは、それぞれ異なる演出データが定められている。つまり、演出番号の異なる光演出A−0〜A−1、B−0〜B−3は、それぞれ異なる演出が現出されることになる。
なお本実施形態では、下大入賞口40と右大入賞口50の2種類の大入賞口を有し、これら大入賞口に入賞した場合、各大入賞口に対応した入賞演出(大入賞口入賞演出)を現出可能に構成されている。
(6−1−1.大入賞口通常入賞演出)
次に、大入賞口通常入賞演出について説明する。
本実施形態では、オーバー入賞となる前、つまり最大入賞数までの入賞球を対象とした入賞演出として「大入賞口通常入賞演出」を現出させるようになっている。この大入賞口通常入賞演出は、入賞毎に大入賞口通常入賞演出が現出されるようになっている。具体的には、下大入賞口40に入賞した場合には、図32(ロ)に示すように、音演出A−0と光演出A−0とが現出されるようになっている。また右大入賞口50に入賞した場合には、図33(ロ)に示すように、音演出B−0と光演出B−0とが現出されるようになっている。この大入賞口通常入賞演出は、各大入賞口に応じて異なる演出が現出されるようになっており、いずれの大入賞口に入賞したのかを報知することがある。これにより、大入賞口入賞時の演出効果を高めることができる。
(6−2.オーバー入賞演出)
また本実施形態では、最大入賞数を超えた場合の入賞球を対象とした入賞演出として「オーバー入賞演出」を現出させるようになっている。このオーバー入賞演出は、音演出と光演出の他、可動体役物の動作態様を利用した演出態様となっている。先ず、下大入賞口40についてのオーバー入賞演出について説明する。
(6−2−1.下大入賞口40に係るオーバー入賞演出:図32(ロ))
図32(ロ)に示すように、下大入賞口40についてのオーバー入賞演出は、専ら、音演出と光演出とを利用した演出態様となっている。ただし所定の条件を満たした場合、オーバー入賞演出の一態様として、時計型役物の時計針97を利用した確変報知演出(詳細は後述する)が現出されるようになっている。
また本実施形態では、図32(ロ)に示すように、オーバー入賞数(1R中のオーバー入賞数)に応じて異なるオーバー入賞演出が現出されるようになっている。具体的には、オーバー入賞が1個〜2個(図示の「+1」および「+2」の欄参照)の場合、光演出については、オーバー入賞数によらずに光演出A−1が現出され、音演出については、オーバー入賞が1個〜2個のそれぞれで異なる音演出A−1〜A−2が現出されるようになっている。これにより、オーバー入賞数に応じてそれぞれ異なるオーバー入賞演出が現出されるので、たとえば、大当り種別の場合、遊技者は、今回のラウンド遊技で何個のオーバー入賞があったかを知ることができるようになっている。なお、オーバー入賞数に応じて音演出だけを異なるものとしているのは、複数個のオーバー入賞があった旨を周囲の他の遊技者にも聞こえるようにすることにより、遊技者が優越感・満足感を得ることができるようにするためである。
(6−2−1(イ).確変報知演出(特殊演出))
次に、確変報知演出について説明する。本実施形態では、オーバー入賞の発生を契機に確変報知抽選を実行し、この抽選に当選した場合、今回の大当りが確変大当り種別であることを報知する確変報知演出を現出するようになっている。
本実施形態では、特図1側の大当り抽選対象となる当り種別のうち、ラウンド遊技数が比較的多い「12R長開放確変大当り」または「12R長開放非確変大当り」が当選した場合、図柄変動表示ゲームにおいて、その当り種別(確変大当りであるか否か)を秘匿する表示結果を導出するようにしている。具体的には、図柄変動表示ゲーム(装飾図柄変動表示ゲーム)において、確変大当り種別(たとえば、16R長開放確変大当りや5R長開放確変大当り)であれば装飾図柄(遊技図柄)の組合せとして「777」や「333」の奇数図柄の組合せ(ここでは、奇数図柄のうち、特定の奇数図柄の組合せ)を表示結果として導出表示して確変大当りを明白にし、非確変大当り種別(たとえば、5R長開放非確変大当り)であれば「222」や「444」などの偶数図柄の組合せを表示結果として導出表示して非確変大当りを明白にするようになっている。
しかし「12R長開放確変大当り」または「12R長開放非確変大当り」が当選した場合には、確変大当りであるか否かを秘匿する表示結果として、たとえば上記「777」や「333」とは異なる奇数図柄の組合せ(たとえば、「111」や「555」)を表示結果として導出表示し、今回の当り種別を秘匿するようになっている。そして、当り遊技中における「当り中演出」において、今回の当り種別が確変大当りで否かを報知可能な構成となっている。
上記「当り中演出」は、大当り開始時の「オープニング演出」、ラウンド遊技中の「ラウンド演出(ラウンド開始演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出)」、ラウンド遊技間の「ラウンド間演出」、および最終ラウンド遊技終了後の「エンディング演出」から構成される。そして、上記12R長開放確変大当りによる「12R確変大当り遊技」と12R長開放非確変大当りによる「12R非確変大当り遊技」の当り中演出においては、主に液晶表示装置36における画像表示により、オープニング演出〜エンディング演出を通じて物語的な関連性を有した「ストーリー形式(物語風)」の演出(物語風演出)が展開されるようになっている。ここでは、味方キャラクタ(遊技者側キャラクタ)と敵キャラクタとが対決する様を模した演出態様、具体的には、主人公キャラクタと敵キャラクタとが戦いを繰り広げていき、その戦闘中に展開される演出内容やその戦闘結果に応じて、今回当選した大当りの種類を推測させる、といった楽しみを遊技者に与える所謂「バトル演出(戦闘演出)」を採用している。上記バトル演出として、自艦(主人公キャラクタ)と敵艦(敵キャラクタ)とが海戦を繰り広げる艦隊戦を模したバトル演出が現出されるようになっている。
ここで上記12R確変大当り遊技や12R非確変大当り遊技とは、既に説明したように、前半部(1R目〜10R目)の当り遊技中の動作態様が同一の動作態様となっている。このため、前半部のラウンド遊技においては、外観上に現れる機械的な遊技動作を見ても、いずれの大当りに起因した当り遊技であるかを見分けることが困難または不可能になっている。本実施形態では、12R確変大当り遊技および12R非確変大当り遊技の前半部がそれぞれ同一となるといった大当り遊技動作態様に着目し、前半部のラウンド遊技における当り中演出の展開を大当りの種類に応じて変化させるとともに、その当り中演出の展開やその演出結果により、今回当選した大当りの種類を推測する楽しみを遊技者に与えることができるようになっている。なおここでは、前半部の最終ラウンドである10R目に、上記バトル演出の演出結果として、確変大当りであるか否かの報知がなされるようになっている。
上記のように、バトル演出結果は10R目まで持ち越されるようにしても良いが、それよりも早めに確変大当りであるか否かを知得して安心したいと欲する遊技者も多く、最終ラウンドよりも前に遊技者に報知することも、遊技興趣を高める上で好ましく、大当り遊技中の演出効果も高まる。
そこで本実施形態では、12R確変大当り遊技中に、オーバー入賞が発生したことに基づき「確変報知抽選」を実行し、これに当選した場合には、所定の演出手段(本実施形態では、時計型役物の時計針97の動作態様)を利用した「確変報知演出」を現出させるようになっている。具体的には、バトル演出結果が判明する10R目を除く、前半部のラウンド遊技においてオーバー入賞が発生したことに基づき、確変報知抽選を実行し、その抽選結果似基づいて、確変報知演出を現出させる。上記確変報知抽選は、演出制御部24がその機能部を担う「オーバー入賞時確変抽選手段」により実行される。
演出制御部24側では、12R確変大当り遊技中に上記「OV入賞用大入賞口入賞コマンド」を受信した場合、確変報知抽選が実行されるようになっている。そして、この確変報知抽選に当選した場合には、時計針97を所定の動作態様で動作制御し、これを確変報知演出として現出させる(図32(ロ)の可動体演出A−1の演出データが選択される)。たとえば、時計針97を高速でぐるぐる回転する、といった確変報知演出を現出して遊技者を祝福する。
上記確変報知演出に利用される演出手段(ここでは、時計針97)は、確変報知抽選結果に基づき、今回の当り種別が確変大当りであるか否かを報知する「特定情報報知手段」として働く。本実施形態の時計針97は、確変報知演出だけに利用されるだけでなく、図柄変動表示ゲームにおいて特定の演出を現出する際の演出手段としても利用される。
なお、上記確変報知抽選による確変報知演出の実行当選確率は特に制限はなく、遊技性に応じて自由に定めることができる。たとえば、オーバー入賞につき20%の確率で当選とすることができる。また、1ラウンド中のオーバー入賞数に応じて当選確率を異ならせることができる。たとえば、「オーバー入賞+1(オーバー入賞1個)」の場合は10%、「オーバー入賞+2(オーバー入賞2個)」の場合は20%の確率で当選とすることができる。
ただし本実施形態の場合、上記確変報知抽選は1R目〜8R目の各ラウンド遊技中において、オーバー入賞が発生するごとに実行されるようになっている。9R目を除外しているのは、次の10R目にはバトル演出結果により確変大当りであるか否かが判明するので、その直前の9R目に報知する必要性に乏しいからである。
そして上記確変報知抽選に当選した場合には、確変報知抽選非当選時の「通常のオーバー入賞演出」に替えて、少なくとも時計針97の動作態様を利用した確変報知演出を現出させるようになっている。なお、上記通常のオーバー入賞演出(ここでは、光演出および音演出)とともに、時計針97を所定の動作態様で動作させても良い。この場合、通常のオーバー入賞演出と確変報知演出とが重複的に現出される演出態様となる。
また上記確変報知抽選に加え、オーバー入賞球の累積個数(ここでは、確変報知演出実行される1R目〜8R目に発生したオーバー入賞球の合計(累積)個数を意味する)に基づき、確変報知演出を必ず現出させる構成としても良い。たとえば、オーバー入賞球の累積個数が所定個数に達するまでは(累積個数≦所定個数(たとえば、3個))確変報知抽選を実行し、オーバー入賞球の累積個数が所定個数を超えた場合には(所定個数<累積個数)、確変報知演出を必ず現出させるように構成することができる。また確変報知抽選によらず、単に、オーバー入賞球の累積個数に基づき、確変報知演出を現出する構成としても良い。たとえば、オーバー入賞球の累積個数が所定個数(たとえば、3個:累積個数=所定個数)に達した場合、確変報知演出を必ず現出させるように構成することができる。
また上記では、12R長開放確変大当りと12R長開放非確変大当りとの関係から、12R確変大当り遊技中に確変報知演出を現出可能な構成を説明した。しかし本発明はこれに限られない。たとえば、図柄変動表示ゲームの表示結果、当り遊技の動作態様や当り中演出態様の関係により、今回の当り種別を秘匿状態とすることが可能なものであれば、いずれも本発明に適用することができる。本実施形態の場合、たとえば、5R長開放確変大当りと5R長開放非確変大当りとの関係から、5R確変大当り遊技中において確変報知演出を現出可能な構成とすることができる。
本実施形態では、オーバー入賞が発生した際の単なる通常のオーバー入賞演出(報知抽選非当選時オーバー入賞演出)だけでなく、オーバー入賞に基づく「特殊オーバー入賞演出(確変報知演出)」を現出可能に構成し、その演出内容により、オーバー入賞が発生した旨を報知するとともに、遊技者が知りたい特定の遊技情報(ここでは、確変大当りか否かの情報)を報知可能な構成となっている。これにより、遊技者は積極的にオーバー入賞を狙うようになり、大当り遊技に対する技術介入性を増すことができるので、遊技の面白みを向上させることができる。また本実施形態の場合、オーバー入賞に起因して、今回の大当り種別情報が報知されうるので、オーバー入賞分の獲得賞球増加による優越感を遊技者に対して与えるだけでなく、確変大当りであるか否かの緊張感も与えることができる。その結果、オーバー入賞時の遊技の面白みを大きく向上させ、大当り遊技が単調化してしまうことを防止することができる。また上記確変報知演出のように、オーバー入賞が発生したことに基づいて遊技者が知りたい遊技情報が報知される構成は、特に遊技技術に長けた遊技中級者〜遊技上級者に対して、満足感のある遊技性を提供することができるので好適である。
(6−2−2.右大入賞口50に係るオーバー入賞演出:図33(ロ))
次に、右大入賞口50に係るオーバー入賞演出について説明する。
右大入賞口50についてのオーバー入賞演出は、下大入賞口40の場合とは異なり、専ら、音演出と光演出と可動体演出(花型役物98の動作態様による視覚的演出)とを利用した演出態様となっており、この点、上記した下大入賞口40の場合とは異なる。
右大入賞口50に係るオーバー入賞演出に対して可動体演出を含ませるのは、右大入賞口50側が下大入賞口40側よりもオーバー入賞し易く形成されている点や、右大入賞口50側が開放されるのは、遊技者にとり相対的に高い利益の当り種別が当選した場合である点などを考慮し、当り遊技中の演出効果を高めて、遊技者に対してより一層の優越感や満足感を与えることができるようにするためである。なお本実施形態の花型役物98は、オーバー入賞時の視覚的演出効果を高めるべく、時計針97のように、図柄変動表示ゲーム中に係る演出手段としては利用されず、オーバー入賞演出専用の演出手段として利用されるようになっている。また花型役物98は、オーバー入賞発生それ自体を報知する可動体役物であるので、時計針97よりも多彩な動作態様を実行可能に構成し、視覚的演出効果の高い可動体役物として構成されている。
図33(ロ)を参照して、右大入賞口50に係るオーバー入賞演出は、下大入賞口40に係るオーバー入賞演出と同じように、オーバー入賞数に応じて異なるオーバー入賞演出が現出されるようになっている。具体的には、オーバー入賞が1〜3個の場合(図示の「+1(オーバー入賞数1個目)」〜「+3(オーバー入賞数3個目)」の欄参照)、光演出については、オーバー入賞数(+1〜+3)に応じて光演出B−0〜B−3が現出され、音演出については、音演出B−1〜B−3が現出されるようになっている。したがって、右大入賞口50の場合は、オーバー入賞数に応じて、それぞれ異なる光演出および音演出が現出されるようになっている。また花型役物98による可動体演出についても同様に、オーバー入賞数に応じて異なる可動体演出が現出されるようになっている。具体的には、オーバー入賞が1〜3個の場合、その個数に応じて、可動体演出B−1〜B−3が現出されるようになっている。可動体演出については、たとえば可動体演出B−1の場合には花弁部分のみまたは花心と花弁部分が前後に寸動し、可動体演出B−2の場合には左右に寸動し、可動体演出B−3の場合には上下に寸動する、などである。
本実施形態では、オーバー入賞した場合に花弁部分のみまたは花心と花弁部分が前後または左右または上下に寸動する構成としたが、これに替えて、花型役物98の全体、または花弁部分だけ、または花心と花弁部分が少し回転する、たとえば1/12回転だけ回転して先に進む運動をする構成や、前側部分である花心および花弁の部分が高速で上下方向に落下して1段進み所定段数目で原位置に戻る運動、または上下動する構成とすることもできる。なお、花型役物98での可動体部での動きを、前後、左右、上下方向の寸動や、回動、落下などの短時間動作系に限定しているのは、連続して2個のオーバー入賞がある場合に対応させて、たとえば花型役物98の全体または花弁部分を半回転ないし1回転させる構成にすると、大入賞口オーバー入賞が1個発生した場合の演出が、2個分の演出を実行する演出相当分の時間長さとなり、長すぎると考えたためである。しかし、連続して2個のオーバー入賞がある場合に対応させて、たとえば花型役物98の全体または花弁部分を半回転ないし1回転させる構成にすることもできる。
なお本実施形態では、オーバー入賞数に応じて、それぞれ異なる光演出、音演出、および可動体演出が現出されるようしているが、本発明はこれに限られない。
たとえば(1)オーバー入賞数に応じて、光演出、音演出、および可動体演出の少なくともいずれか一つが異なる演出態様とすることができる。たとえば、下大入賞口40の場合と同じように、光演出はオーバー入賞数によらず同じ演出態様とし、音演出および/または可動体演出はオーバー入賞数に応じてそれぞれ異なる演出態様とすることができる。この場合、可動体演出は視覚的効果が高いため、光演出および音演出は同一、可動体演出はオーバー入賞数に応じてそれぞれ異なる演出を現出させることが好ましい。
また(2)オーバー入賞数が所定数未満の場合には(たとえば、所定数<3個)「第1の演出態様(たとえば、+1〜+2の場合には、光演出、音演出、および可動体演出が同一の演出態様)」を現出させ、所定数以上の場合には(たとえば、3個≦所定数)には「第2の演出態様(たとえば、光演出、音演出、および可動体演出の少なくともいずれか一つが異なる演出態様)」を現出させる構成とすることができる。
(6−2−1(イ).累積数表示演出:図34)
また右大入賞口50に係るオーバー入賞演出では、時計型役物を利用して、今回の当り遊技を通じて発生したオーバー入賞球の累積個数(以下、「オーバー入賞累積数」と称する)が報知可能に構成されている。具体的には、時計型役物(数字表示部80、時計針97)を利用して、オーバー入賞累積数を報知可能となっている。このオーバー入賞累積数の報知態様を「累積数表示演出」と称する。
本実施形態に係る「時計型役物」は、所定の条件を満たしたとき、たとえば当り遊技中に大入賞口へのオーバー入賞が発生したとき、次の3つの動作を行う機能を具備している。第1の機能は、既に説明したように「確変報知抽選」に当選した場合、時計型役物の時計針97が高速でぐるぐると回転し、遊技者を祝福するという機能である。他の二つは、発色する数字セクター80aの「色と個数」を、当り遊技中の「大入賞口オーバー入賞数の累積個数」と関連させた機能である。すなわち、第2の機能は、当り遊技中にオーバー入賞する毎に時計針97を数字表示部80上で1段階または複数段階歩進させ、停止した時計針97の短針が指す数字セクター80aの数字で、オーバー入賞累積数を報知する一方、時計針97を歩進させた段階分だけの数字セクター80aの区画について、その数字セクター80aのLEDを通常色(オーバー入賞未発生時の発光状態:たとえば、白色)と異なった色(たとえば、黄色)に発色させ、以て遊技者を祝福するという機能である。また、第3の機能は、上記第2の機能によりオーバー入賞毎に時計針97(短針)を数字表示部80上で歩進させて行き、オーバー入賞累積数が所定の累積個数に達した場合、たとえば数字表示部80で表示可能な最大数字の12を超えた場合、時計針97の短針により再度ローマ数字「I」の数字セクターを指し示し、当該数字セクター80aのLEDを虹色に発光させるか、または数字表示部80のLED全体を虹色に発光させ、以て遊技者を祝福するという機能である。
具体的な動作例を示すと次のようになる。本実施形態では、当り遊技開始時に長針と短針が丁度12時(XII)を指す位置)に移動し、すべての数字セクター80aは、消灯状態または初期色の「白色」発光表示態様を保持する。この状態が通常時、つまりオーバー入賞累積数0個の報知態様となっている。
そして、オーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞累積数1個のときは「I」の数字セクターが黄色に光り、時計針97の短針だけが1段階歩進「II」を指す、オーバー入賞累積数が2個のときは「I」と「II」の数字セクター80aが黄色に光り、時計針97の短針が1段階歩進し「II」を指す、オーバー入賞累積数が3個のときは「I」から「III」が黄色に発色し、時計針97の短針が1段階歩進し「III」を指す・・・オーバー入賞累積数が12個のときは「I」から「XII」の数字セクター80aの全部が黄色に光り、時計針97の短針が1周して「XII」を再度指す、オーバー入賞累積数が13個のときは「I」の数字セクター80aが虹色に光り・・・・という一連の動作をして、最終的に合計24個までカウント可能に構成されている。
なお本実施形態では、1ラウンド遊技中、右大入賞口50には、概ね3個のオーバー入賞累積数が限界として設計されているが、総てのラウンド遊技中において当該3個以上のオーバー入賞があるとは想定し難いため、最大24個のオーバー入賞累積数を報知するにとどめている。しかし本発明はこれに限らず、設計上のオーバー入賞累積数の上限数を考慮して、これを報知可能に構成しても良い。たとえば16R確変大当り遊技において総てのラウンド(16ラウンド)において各3個ずつのオーバー入賞があったことを想定し、48個分のオーバー入賞累積数を報知可能に構成しても良い。
またオーバー入賞累積数が所定個数(たとえば、累積個数12個)までは、上記のように、数字セクター80aを利用してオーバー入賞累積数を報知し、当該所定個数を超えた場合(累積個数13個以上である場合)には、光演出、音演出、および可動体演出の少なくともいずれか一つの演出態様を利用して、オーバー入賞累積数が当該所定個数を超えたことを報知することができる。また本実施形態では、オーバー入賞累積数を視覚的効果が比較的高い、数字セクター80aを利用して報知しているが、数字セクター80aに替えて、液晶表示装置36による画像表示演出やLEDや7セグメントによるレベルメーターなどの表示装置により、オーバー入賞累積数を報知可能に構成しても良い。
またオーバー入賞累積数が所定個数に達するごとに、所定の演出態様によりその入賞数に達したことを報知しても良い。この場合は、オーバー入賞累積数自体を明確に報知するわけではなく、オーバー入賞累積数の概算値が報知される。たとえば、オーバー入賞累積数が偶数個ごと(たとえば、2個、4個、6個、・・・12個)に、光演出、音演出、および可動体演出の少なくともいずれか一つの演出態様を利用して、オーバー入賞累積数の概算値を報知可能に構成しても良い。また、オーバー入賞累積数に応じて異なる演出態様としても良い。たとえばオーバー入賞累積数2個に達した場合は第1の演出態様、4個の場合は第2の演出態様、6個の場合は第3の演出態様、・・・12個の場合は第6の演出態様とすることができる。またオーバー入賞累積数が所定個数(たとえば、12個)を超えた場合、それ以降は、同一の演出態様(第7の演出態様)とすることができる。
また、オーバー入賞累積数を可動体演出により報知する場合、複数種類の可動体役物を設け、これらのうち一の可動体役物をオーバー入賞演出に利用し、他の可動体役物をオーバー入賞累積数に係る報知演出に利用することができる。
(6−3.エラー中のオーバー入賞演出について)
次に、エラー中のオーバー入賞演出について説明する。
本実施形態では、エラー中であってもオーバー入賞が発生したときには、オーバー入賞演出を現出可能に構成されている。具体的には、特定の演出手段によりエラーが生じた旨を報知するとともに、オーバー入賞演出に利用される演出手段のうち、その特定の演出手段以外の演出手段によりオーバー入賞が発生した旨を報知するようになっている。
たとえば、エラーが発生した場合、そのエラー種別に応じて、特定の装飾ランプ45やスピーカ46や液晶表示装置36などを利用した音演出、光演出、および画像表示演出の少なくともいずれか一つの演出態様により、遊技動作に異常が生じた旨を報知(エラー報知)することとし、当該エラー中にオーバー入賞が発生した場合には、オーバー入賞演出に利用される演出手段のうち、エラー報知に利用していない演出手段(たとえば、第1の可動体役物(時計針97)および/または第2の可動体役物(花型役物98))を利用して、オーバー入賞演出を実行し、オーバー入賞が発生した旨を報知可能になっている。これにより、エラーが発生している旨(エラー種別情報)と、オーバー入賞が発生した旨(オーバー入賞数および/またはオーバー入賞累積数の報知を含むことができる)とを重複的に報知することができる。このようにエラー中であってもオーバー入賞演出を実行する理由は、次の通りである。
遊技進行中にエラーが発生したが、そのエラーが、遊技を進行しても特に差支えが無いようなエラー種別(遊技続行可能なエラー種別の場合)の場合がある(エラー種別についての詳細は後述する)。たとえば、当り遊技中にエラーが生じたが、そのエラー中に当り遊技を続行したとしても、遊技者に対して特に不利益を生じるさせることなく、当り遊技を続行できるようなエラー種別が挙げられる(たとえば、後述の球詰りエラー(図35参照))。斯様なエラー種別の場合、当り遊技が続行可能であるので、当然、オーバー入賞が発生する可能性がある。このような場合にもエラー報知によりオーバー入賞演出が阻害されてしまうのは、オーバー入賞による優越感・満足感を得たい遊技者にとり好ましくない。
そこで本実施形態では、上記のような遊技続行可能なエラー中にオーバー入賞が発生した場合、エラー報知を実行させるとともに、オーバー入賞が発生したときには、これを報知することができるようになっている。具体的には、装飾ランプ45、スピーカ46、液晶表示装置36などの演出手段によりエラー報知を実行し、そのエラー報知中にオーバー入賞が発生した場合には、少なくともオーバー入賞演出に利用される花型役物98や時計型役物(数字表示部80、時計針97)を正常時と同じように動作させて、これを以って、オーバー入賞が発生した旨を報知するようになっている。これにより、エラー中であってもオーバー入賞が発生した旨を報知できるようになっている。
ただし混同してはならないのは、エラー中の場合には、専ら光演出、音演出、および/または画像表示演出によりエラー報知が実行されるので、オーバー入賞が発生したときには、正常時のオーバー入賞演出そのものが現出されるわけではない。本実施形態の場合、正常時のオーバー入賞演出では、光演出、音演出、および可動体演出(液晶表示装置36による画像表示演出を含んでも良い)を利用し、エラー中のオーバー入賞演出は、少なくとも可動体演出を利用している。端的に言えば、演出手段には、エラー報知とオーバー入賞演出とに兼用される演出手段であるが、エラー中においては、エラー報知に利用され、オーバー入賞演出に利用されない演出手段(第1の演出手段に相当する)と、オーバー入賞演出に利用され、エラー報知には利用されない演出手段(第2の演出手段に相当する))が含まれる。このような第1の演出手段としては、たとえば、装飾ランプ45、スピーカ46、または液晶表示装置36が該当し、第2の演出手段としては、可動体役物(時計針97、花型役物98)が該当する。
したがって本実施形態の場合、通常時(エラー未発生時)にオーバー入賞が発生した際には、「通常時のオーバー入賞演出態様」として、光演出、音演出、画像表示演出、可動体演出による所定のオーバー入賞演出が実行され、エラー中には、これらオーバー入賞演出に係る演出態様のうち可動体演出を除く、光演出、音演出、画像表示演出などを利用したエラー報知が実行され、エラー中にオーバー入賞が発生した際には、エラー報知に利用しない可動体演出によるオーバー入賞演出が実行されるようになっている。
上述のように、エラー報知において、装飾ランプ45、スピーカ46、液晶表示装置36などを利用し、オーバー入賞演出に、可動体役物を利用するのは次の理由からである。
可動体役物は、その形態・動作態様が機種ごとに大きく異なり、旧機種と新機種との間で同一の可動体役物を利用することは極めて少ない。これに対し、パチンコ遊技機1の本体部(筐体部)や旧機種と新機種との間で流用可能な遊技部品(たとえば、発射装置32や遊技球払出装置19などの特定の遊技部品)は概ね年単位で利用され、旧機種と新機種とで同じものが長期間利用されることが多い。つまり、パチンコ遊技機1の本体部(筐体)に形成される装飾ランプ45やスピーカ46、特定の遊技部品などは新機種においてそのまま利用されることになる。またパチンコ遊技機1において、不正行為の対策や根本的な遊技性(たとえば、当り遊技や普電開放遊技の発生手順など)は概ね同じであるので、エラー種別に関しては機種ごとにあまり大差はなく、可動体役物以外の演出手段(光発生手段、音響発生装置、または画像表示装置などの演出手段)を利用したエラー報知に関する制御処理については、旧機種と新機種との間で互換性が高い。このような新機種開発・設計上の観点から、エラー報知手段には、専ら、可動体役物以外の光発生手段、音響発生装置、および/または画像表示装置などの演出手段を利用することが好適だからである。また人間は、光や画像などの二次元的なものよりも三次元的に動く物体に反応することが知られていることから、遊技者に適切にオーバー入賞が発生した旨を知らせるために、三次元的動作を実行する「可動体役物」を利用することが好適である。
なお本実施形態では、エラー報知の実行とオーバー入賞演出の実行とに兼用されうる演出手段を備える構成となっているが、これらがそれぞれ独立して利用される構成である場合、具体的には、エラー報知にしか利用されない1または複数種類のエラー専用演出手段と、オーバー入賞演出にしか利用されない1または複数種類のオーバー入賞専用演出手段とを含む複数種類の演出手段を備える構成とした場合、オーバー入賞専用演出手段がエラー報知に利用されない演出手段であるため、エラー中であるか否かにかかわらず(エラー中において、オーバー入賞演出を現出する際に当該エラー報知に妨げられることなく)、正常時と同一のオーバー入賞演出を現出できることになる。
以下では、エラー報知の実行とオーバー入賞演出の実行とに兼用される演出手段を備える形態について説明するが、本発明は、上述のように、オーバー入賞演出専用の演出手段を設け、エラー中においても正常時と同一のオーバー入賞演出を現出させる形態としても良い。
(エラー種別について)
先ず本発明の理解を容易なものとするために、図35を参照しながら、遊技機1に発生しうるエラー種別について説明する。図35は、遊技機1に発生しうるエラーのうち、本発明と関りの深いエラー種別を代表的に例示したものである。また図示の優先順位とは、遊技機1に対して複数種類のエラーが重複的に発生した場合、エラー報知が優先される順位であり、パチンコ遊技機1に対して深刻なエラーであるほど、その優先順位が高く定められている。なお、エラー報知態様は、各エラー種別に応じたエラー報知が実行され、エラー種別を報知可能なように、装飾ランプ45やLEDによるエラー用光演出、スピーカ46によるエラー用音演出、液晶表示装置36によるエラー用画像表示演出が現出される。
(1)大入賞口不正入賞エラー
優先順位が最も高いエラーとして、「大入賞口不正入賞エラー」がある。この大入賞口不正入賞エラーとは、大入賞口(下大入賞口40、右大入賞口50)の入賞に対して異常入賞(不正入賞)を検出した場合に発生するエラーである。
大入賞口不正入賞エラーとしては、たとえば、当り遊技中でない場合(特別変動入賞装置が未作動時(後述の特別電動役物作動フラグがOFF(≠5AH)状態))において、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aが遊技球を検出した場合、これを不正入賞とみなしてエラーとして検出する。なお本実施形態のパチンコ遊技機1は、当り種別に応じて、下大入賞口40か、または右大入賞口50が開閉制御されるので、当り遊技中は、いずれの大入賞口が開閉制御中であるかを監視している。たとえば、下大入賞口40が開放される当り遊技であるにもかかわらず、右大入賞口50への入賞が検出されれば、これを不正入賞とみなし、エラー報知が実行されるようになっている。
また大入賞口有効入賞期間内であっても、電波ゴトなどの不正行為により、下大入賞口センサ42aや右大入賞口センサ52aが誤作動させられ、強制的に連続オン状態となった場合が想定される。このような場合には、設計上、想定外のオーバー入賞が発生しうる。
そこで本実施形態では、このような不正行為を監視するべく、1ラウンド中のオーバー入賞が設計上想定し得ない入賞数(不正オーバー入賞数)があった場合、これを不正入賞とみなして、エラー報知が実行されるようになっている。具体的には、下大入賞口40の場合は、設計上、概ね2個程度のオーバー入賞数が限界としているので、1ラウンド中のオーバー入賞数がそれよりも過度に多い個数(たとえば、4個)以上検出された場合、これを不正入賞とみなして、エラー報知を実行する。また右大入賞口50の場合は下大入賞口40よりもオーバー入賞が発生し易いように設計されており、設計上、概ね3個程度のオーバー入賞数が限界としているので、1ラウンド中のオーバー入賞数が5個以上検出された場合、これを不正入賞とみなして、エラー報知を実行する。
また上記のように大入賞口ごとに不正オーバー入賞数を定める不正監視形態に限らず、当り種別または当り遊技態様に応じて、不正オーバー入賞数を定めることができる。たとえば、2R短開放潜確大当りや2R短開放非確変大当りのような特定の当り種別の場合、オーバー入賞が発生することがないので、特定の当り種別の場合にオーバー入賞があったときには(特定の当り種別を対象に不正オーバー入賞の発生を監視する)、これを不正入賞とみなして、エラー報知を実行するように構成しても良い。また、12R非確変大当り遊技のように、短開放パターンが実行されるラウンド遊技中もオーバー入賞が発生することはないので、短開放パターンに係るラウンド遊技の場合にオーバー入賞があったときには(特定のラウンド数目を対象に不正オーバー入賞の発生を監視する)、これを不正入賞とみなして、エラー報知をするように構成しても良い。
また当り遊技中を通じて検出されるオーバー入賞数、つまりオーバー入賞累積数が所定個数以上検出された場合(「不正オーバー入賞累積数≦オーバー入賞累積数」の関係を満たす場合)、これを不正入賞とみなして、エラー報知を実行するように構成しても良い。この場合、当り種別またはその当り遊技種別に応じて不正オーバー入賞累積数を定めることができる。たとえば、2R短開放潜確大当りや2R短開放非確変大当りのような特定の当り種別の場合や短開放パターンに係るラウンド遊技の場合には、オーバー入賞が発生することがないので、不正オーバー入賞累積数をたとえば「0個」に定めることができる。また12R長開放確変大当りや16R長開放確変大当りの場合は、オーバー入賞が発生し易いので、このような当り種別の場合には、設計上の下大入賞口40や右大入賞口50のオーバー入賞数の限界値を考慮して、不正オーバー入賞累積数を、たとえば「規定ラウンド数×限界値」を超える個数に定めることができる。この場合、各大入賞口に対応した不正オーバー入賞累積数を定めることができる。
上記大入賞口不正入賞エラーが発生した場合、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aの検出情報を監視する主制御部20から、当該エラーに対応した演出制御コマンド(大入賞口不正入賞コマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、大入賞口不正入賞エラーに対応したエラー報知を開始し、このエラー報知は、電源断するまで継続して行われる。たとえば、当り遊技中に、パチンコホール店員によりパチンコ遊技機1のメイン電源が落とされると、大入賞口不正入賞エラーが解除されるようになっている。この場合、電源復帰後に当り遊技が再度開始される。
上記大入賞口不正入賞エラーの報知態様としては、装飾ランプ45や遊技機の適所に設けられたLEDなどの発光手段によるエラー用光演出(たとえば、不正入賞用光演出)と、スピーカ46によるエラー用音演出(たとえば、不正入賞警告音)と、液晶表示装置36によるエラー用画像表示演出(たとえば、液晶画面に「大入賞口異常エラー。係員をお呼び下さい。」などの警告表示)が現出される。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(2)磁気センサエラー
次に優先順位が高いエラーとして「磁気センサエラー」がある。磁気センサエラーとは、上記磁気センサにより異常検出された場合に発生するエラーである。このエラーは、主に「磁石ゴト」行為を防止するため、上記磁気センサにより磁気異常が検出された場合、これをエラーとして報知する。
上記磁気センサエラーが発生した場合、磁気センサを監視する主制御部20から、当該エラーに対応した演出制御コマンド(磁気センサエラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、磁気センサエラーに対応したエラー報知を開始し、このエラー報知は、電源断するまで継続して行われる。なおパチンコ遊技機1のメイン電源はパチンコホール店員により操作され、パチンコホール店員により電源が遮断されると、磁気センサエラーが解除されるようになっている(後述の電波センサエラー、振動センサエラーなどについても同様)。
上記磁気センサエラーの報知態様としては、大入賞口不正入賞エラーの場合と同じく、装飾ランプ45や遊技機の適所に設けられたLEDなどの発光手段によるエラー用光演出(たとえば、磁気センサエラー用光演出)と、スピーカ46によるエラー用音演出(たとえば、磁気センサエラー音)と、液晶表示装置36によるエラー用画像表示演出(たとえば、液晶画面に「磁気センサエラー。係員をお呼び下さい。」などの警告表示)が現出される。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
なお、後述する「電波センサエラー」、「振動センサエラー」、「下始動口不正入賞絵エラー」の各種エラー報知態様については、大入賞口不正入賞エラーの場合や磁気センサエラーの報知態様と同じく、各エラー種別に対応した装飾ランプ45やLED、スピーカ46、および液晶表示装置36を利用したエラー報知が実行されるようになっている(図35参照)。したがって以下では、エラーの報知態様についての説明は重複記載を避けるために、適宜省略しながら説明する。
(3)電波センサエラー
次に優先順位が高いエラーとして「電波センサエラー」がある。電波センサエラーとは、上記電波センサにより不正電波が検出された場合に発生するエラーである。このエラーは、主に「電波ゴト」行為を防止するため、上記電波センサにより不正電波が検出された場合、これをエラーとして報知する。
上記電波センサエラーが発生した場合、電波センサを監視する主制御部20から、当該エラーに対応した演出制御コマンド(電波センサエラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、電波センサエラーに対応したエラー報知を開始し、このエラー報知は、電源断するまで継続して行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(4)振動センサエラー
次に優先順位が高いエラーとして「振動センサエラー」がある。振動センサエラーとは、上記振動センサにより不正振動が検出された場合に発生するエラーである。このエラーは、主に「ドツキゴト」行為を防止するため、上記振動センサにより異常振動が検出された場合、これをエラーとして報知する。
上記振動センサエラーが発生した場合、振動センサを監視する主制御部20から、当該エラーに対応した演出制御コマンド(振動センサエラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、振動センサエラーに対応したエラー報知を開始し、このエラー報知は、電源断するまで継続して行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(5)下始動口不正入賞エラー
次に優先順位が高いエラーとして「下始動口不正入賞エラー」がある。下始動口不正入賞エラーとは、電サポ無し状態中における普電開放遊技中でない場合において(普電作動中フラグがOFF状態(≠5AH))下始動口35の入賞を検出した場合(下始動口センサ35aが遊技球を検出した場合)に発生するエラーである。上記普電作動中フラグとは、普電開放遊技中であるか否かを判定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普電開放遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(≠5AH)である場合には普電開放遊技中ではない旨を示す。この普電作動中フラグの状態は、普通電動役物管理処理(ステップS58)において管理される。なお電サポ有り状態中の場合は不正入賞を監視していない。これは、電サポ有り状態中であれば、可動翼片47の作動率が飛躍的に高まり、下始動口35が頻繁に開放されるため(普電開放遊技が頻繁に発生するため)、このような状況下で不正入賞を監視する必要性が乏しいからである。
上記下始動口不正入賞エラーが発生した場合、主制御部20側では、下始動口35の入賞を無効扱いとし、入賞がなかったものとして処理し、始動口不正情報タイマに30000ms(30秒)をセットする。また主制御部20から当該エラーに対応した演出制御コマンド(下始動口不正入賞エラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、下始動口不正入賞エラーに対応したエラー報知を開始し、このエラー報知は、始動口不正情報タイマが経過するまで実行される。また、本実施形態では、下始動口35の不正入賞は無効扱いとするため、不正入賞があってもエラー報知を実行させるに止めている。
(6)入賞スイッチエラー
次に優先順位が高いエラーとして「入賞スイッチエラー」がある。入賞スイッチエラーとは、一般入賞口センサ43aが一定時間ON状態を検出した場合に発生するエラーである。入賞スイッチエラーには、たとえば、一般入賞口43が玉詰まりを起こし、一般入賞口センサ43aが遊技球の検出信号を出力し続けることがあり、これをエラーとして報知することとしている。入賞スイッチエラーは、一般入賞口43内部の玉詰まりが原因であることが多いため、基本的には、パチンコホール店員によりその原因が解消されることとなる。
上記入賞スイッチエラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応した演出制御コマンド(入賞スイッチエラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、入賞スイッチエラーに対応したエラー報知を開始する。エラー原因が取り除かれた場合は、主制御部20からエラー解除コマンドが送信され、演出制御部24側では、この解除コマンドを受信した場合、エラー報知を30秒経過後に終了させる。
入賞スイッチエラーの報知態様としては、装飾ランプ45や遊技機の適所に設けられたLEDなどの発光手段によるエラー用光演出(たとえば、入賞スイッチエラー用光演出)と、液晶表示装置36によるエラー用画像表示演出(たとえば、液晶画面に「入賞スイッチエラー。係員をお呼び下さい。」などの警告表示)が現出され、エラー音は実行されない。
(7)払出不足エラー
次に優先順位が高いエラーとして「払出不足エラー」がある。払出不足エラーとは、遊技球払出装置19からの賞球数の払い出しに異常(払い出し不足)があった場合に発生するエラーである。この払出不足エラーは、球計数センサ73により検出される。
上記払出不足エラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応した演出制御コマンド(払出不足エラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、払出不足エラーに対応したエラー報知を開始する。この払出不足エラーは、パチンコホール店員により、遊技球払出装置19が備えるエラー解除スイッチ(図示せず)を押すことにより解除される。エラー原因が取り除かれた場合は、主制御部20からエラー解除コマンドが送信され、演出制御部24側では、この解除コマンドを受信した場合、エラー報知を終了させる。
払出不足エラーの報知態様としては、装飾ランプ45や遊技機の適所に設けられたLEDなどの発光手段によるエラー用光演出(たとえば、払出不足エラー用光演出)と、液晶表示装置36によるエラー用画像表示演出(たとえば、液晶画面に「遊技球が払い出せません。係員をお呼び下さい。」などの警告表示)が現出され、エラー音は実行されない。
(8)球計数エラー
次に優先順位が高いエラーとして「球計数エラー」がある。球計数エラーとは、遊技球払出装置19からの賞球数の払い出しに異常があった場合(払い出すべき賞球数よりも多い払い出しを検出した場合)に発生するエラーである。この球計数エラーは、球計数センサ73により検出される。
上記球計数エラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応した演出制御コマンド(球計数エラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、球計数エラーに対応したエラー報知を開始する。この球計数エラーは、上述した払出不足エラーと同じく、パチンコホール店員により、遊技球払出装置19が備えるエラー解除スイッチを押すことにより解除される。エラー原因が取り除かれた場合は、主制御部20からエラー解除コマンドが送信され、演出制御部24側では、この解除コマンドを受信した場合、エラー報知を終了させる。なお球計数エラーの報知態様は、上述した払出不足エラーの報知態様と同じである。
(9)遊技球補給切れエラー
次に優先順位が高いエラーとして、「遊技球補給切れエラー」がある。図示はしていないが、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の背面には、パチンコホール側島設備の遊技球補給装置(図示せず)から供給される遊技球を貯留する‘遊技球貯留タンク’が形成されている。この遊技球貯留タンクから遊技球を案内するタンクレールに接続して、遊技球払出装置19が設けられている。遊技球補給切れエラーとは、上記遊技球補給装置から遊技球貯留タンクに供給されるべき遊技球が、玉詰まりなどの原因によりその補給が停滞して、遊技球貯留タンク内の遊技球が不足したときに発生するエラーである。遊技球貯留タンク内の遊技球が不足すると遊技球払出装置19から賞球を払い出せなくなるため、これをエラーとして報知するようになっている。遊技球補給切れエラーは、補給切れ検出センサ72により検出される。
上記遊技球補給切れエラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応した演出制御コマンド(遊技球補給切れエラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、遊技球補給切れエラーに対応したエラー報知を開始する。この遊技球補給切れエラーは、パチンコホール店員により遊技球補給装置の玉詰まりなどの原因を取り除くことにより解消される。エラー原因が取り除かれた場合は、主制御部20からエラー解除コマンドが送信され、演出制御部24側では、この解除コマンドを受信した場合、エラー報知を終了させる。
遊技球補給切れエラーの報知態様としては、装飾ランプ45や遊技機の適所に設けられたLEDなどの発光手段によるエラー用光演出(たとえば、遊技球補給切れエラー用光演出)と、液晶表示装置36によるエラー用画像表示演出(たとえば、液晶画面に「遊技球が不足しています。係員をお呼び下さい。」などの警告表示)が現出され、エラー音は実行されない。
(10)球詰りエラー(満杯エラー)
次に優先順位が高いエラーとして「球詰りエラー(満杯エラー)」がある。球詰りエラーとは、遊技球を貯留する上受け皿9が満タン状態となった場合に発生するエラーである。この球詰りエラーは、満杯検出センサ60により検出される。上受け皿9がある程度遊技球で満たされると遊技球払出装置19から賞球を払い出せなくなるため、上受け皿9の遊技球の貯留量が満杯検出センサ60により満タン状態であると判定された場合、これをエラーとして報知するようになっている。なお、球詰りエラーが所定時間継続すると、発射制御基板28が発射装置32による発射動作を停止させるようになっている。
上記球詰りエラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応した演出制御コマンド(球詰りエラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、球詰りエラーに対応したエラー報知を開始する。
なお、この球詰りエラーは、原因となっている上受け皿9の満タン状態を解消するだけで、エラーが解消される。具体的には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14を遊技者自身が操作することにより、上受け皿9に貯留された遊技球が下部のドル箱に移動するので、満タン状態を解消することができる。つまり、球詰りエラーは、上記(1)〜(9)のエラーとは異なり、遊技者自身が自力解除可能なエラーとなっている。
エラー原因が取り除かれた場合は、主制御部20からエラー解除コマンドが送信され、演出制御部24側では、この解除コマンドを受信した場合、エラー報知を終了させる。
球詰りエラーの報知態様としては、液晶表示装置36によるエラー用画像表示演出(たとえば、液晶画面に「球を抜いてください。」などの警告表示)が現出され、スピーカ46によるエラー用音演出(たとえば、球詰りエラー音(たとえば「球を抜いてください」音声)が現出される。このエラー報知は、遊技者自身の操作でエラー解除を促すエラー報知である。なお本実施形態では、上受け皿9により遊技球を貯留するようになっているが本発明はこれに限られない。従来から知られているように、遊技球の貯留先として、上受け皿9と別の受け皿(所謂「下受け皿」:上受け皿9が満タン状態の場合に遊技球が当該下受け皿に排出される排出機構を備え、この下受け皿にも遊技球が貯留されるよう構成したパチンコ遊技機)を設け、この下受け皿が満タン状態であるか否かを満杯検出センサ60により検出可能に構成しても良い。この場合、下受け皿に遊技者が操作可能であり、下受け皿に貯留された遊技球を下方に抜くための球抜き機構を形成し、操作により下受け皿に貯留された遊技球が下部のドル箱に移動するようにすることができる。
(6−3−1.エラー種別に応じたオーバー入賞演出について)
上記に説明したエラーのうち、優先順位の高いエラーほど、パチンコ遊技機1に対する深刻(重大)なエラーとなっている。たとえば、上記(1)〜(5)のエラーは、主として、パチンコ遊技機1が最も警戒すべき不正行為を対象としたエラーであり、斯様なエラーが発生した際、これを解除するには、パチンコ遊技機1の枠2のロック状態を解除して、遊技機1本体内部に配設された電源制御基板(図示せず)のメイン電源を遮断しなければならず、その操作は、当然に遊技者は行うことができず、パチンコホール店員により行われるようになっている。したがって、これらのエラーが発生した際は、不正行為があった可能性が高く、パチンコホール側が、遊技者に対し不正器具の身体調査やパチンコ遊技機1を長時間調査する必要が生じうるものと考えられる。斯様なエラー種別は、最早、進行中の遊技を長時間中断せざるを得ない状況が生まれる可能性が高いことから、本実施形態では「エラーにより遊技続行不可能、または遊技続行が困難なエラー種別(以下、「遊技続行障害エラー」と略す)として分類している。なおここでは、上述の遊技続行障害エラーのエラー区分として、これを「第1種」に属するエラー種別(第1種エラー)として分類している。
次に上記(1)〜(5)よりも深刻度の低いエラーとして、上記(6)〜(9)のエラーがある。たとえば、上記(6)の入賞スイッチエラーは、一般入賞口43に対するスイッチエラーであり、その要因も玉詰まりなどによるものであるから、上記(1)〜(5)のエラーのように、メイン電源を遮断することもなく、エラーを解除できるものである。上記入賞スイッチエラーが発生した場合には、パチンコホール店員がガラス扉6を開放し、一般入賞口43を直接弄ることになるが、上記(1)〜(5)のような不正入賞に関するエラーとは異なり、当り遊技中であれば、その当り遊技の進行を妨げることなく、遊技者が当り遊技後にパチンコホール店員に対してエラー解除を願い出れば良いため、本実施形態では、遊技続行可能なエラー種別としている。
また上記(7)の払出不足エラー、上記(8)の球計数エラー、および上記(9)の遊技球補給切れエラーは、上記(6)の入賞スイッチエラー同様に、これらのエラーも当り遊技の進行を妨げることなく、遊技者が当り遊技後にパチンコホール店員に対してエラー解除を願い出れば良いため、本実施形態では、遊技続行可能なエラー種別としている。ただし上記(7)〜(9)のエラー種別は遊技球払出装置19に係るエラーであり、エラーが解除されるまで、賞球払出動作が停止状態となり賞球未払い状態が継続しうるため、必ずしも正常時のように不具合なく当り遊技を消化できるわけではないが、これらエラーは深刻度が低いエラーに区分し、本実施形態では、特に発射動作が停止されることもなく、エラー中も当り遊技を続行できるようになっている。なお、エラー中であっても入賞球を検出した場合には、主制御部20から払出制御コマンドが送信されるようになっており、賞球未払い状態中の入賞球数は、払出制御コマンドにより払出制御基板(払出制御部)29側が把握することができる。エラーが解除された場合には、払出制御基板29により、その賞球数分の払い出し実行されるようになっているので、遊技者に対して不利益が生じないようになっている。
このように上記(6)〜(9)のエラーは、エラー解除は遊技者自身ではできないが、遊技続行可能なエラー区分として、これを「第2種」に属するエラー種別(第2種エラー)として分類している。
次に上記(6)〜(9)より深刻度の低いエラーとして、上記(10)の球詰りエラー(満杯エラー)がある。このエラーは、既に説明したように、遊技者自身が容易に解除可能なエラーとなっており、そのエラー報知も遊技者自身の操作でエラー解除を促すエラーとなっている。したがって、球詰りエラーが発生しても、そのエラー解除は極めて容易であり、遊技進行上、特に問題なく、上記(6)〜(9)のエラーよりもより正常時と同じように当り遊技を続行することができる。
このように上記(10)のエラーは、エラー解除を遊技者自身で行うことができるものであり、エラーが生じても遊技続行可能なエラー区分として、これを「第3種」に属するエラー種別(第3種エラー)として分類している。この第3種エラーは、エラー解除が遊技者自身で可能であるという点で、第2種エラーとは異なる。
このように、各種エラーを、遊技機に対する深刻度に応じた種別に分類することができる。そこで本実施形態では、この点に着目して、発生中のエラー種別に応じて、オーバー入賞演出(確変報知演出を含むことができる)を実行するか否かを決定可能な構成となっている。具体的には、遊技続行不可能とされるエラー区分の「第1種エラー」が発生した場合、遊技機に対して不正行為があった可能性が高いことから、オーバー入賞演出の本来の意義を発揮させる必要性に乏しく、不正行為があった旨を報知することが最優先的事項であるため、演出についてはエラー報知だけに止めて、オーバー入賞演出自体は実行しない(制限する)ようになっている(エラー報知優先制御:図35の第1種エラーの「オーバー入賞時」の欄参照)。
これに対し、遊技続行可能とされるエラー区分の「第2種エラー」と「第3種エラー」が発生した場合、当該エラーは遊技機に対する深刻度が相対的に低いことから、エラー報知とともに、オーバー入賞が発生した際は、オーバー入賞演出を制限せずに、これを遊技者に報知することが好ましい。したがって、「第2種エラー」と「第3種エラー」が発生した場合、可動体役物以外の演出手段(第1の演出手段:たとえば、装飾ランプ45、スピーカ46、液晶表示装置36)によりエラー報知を実行し、可動体役物(第2の演出手段:たとえば、花型役物98)によりオーバー入賞演出を実行する(本実施形態では、正常時のオーバー入賞演出に係る動作態様と同じ動作態様で動作させる)。これにより、エラー中であるにもかかわらず、オーバー入賞が発生した際には、オーバー入賞演出が実行され、その旨を報知することができる(図35の第2種エラーおよび第3種エラーの「オーバー入賞時」の欄参照)。
上記エラー種別については、主制御部20側から送信されるエラーコマンド(エラー種別に対応した各種のエラーコマンド)により演出制御部24側が、いかなるエラーが発生したのかを把握し、上記OV入賞用大入賞口入賞コマンドを受信した場合、現在のエラー種別に応じて、オーバー入賞に係る可動体役物を動作制御するようになっている。
なお上記第1種エラーの場合のうち、相対的に優先順位が高い特定のエラー種別の場合具体的には、大入賞口を対象としたエラー種別(たとえば、上記(1)〜(4)の大入賞口不正入賞エラー、磁気センサエラー、電波センサエラー、振動センサエラーなどの大入賞口に関係性のあるエラー種別)の場合、不正行為によるオーバー入賞が発生した可能性が高いことを考慮し、当該エラー中は、大入賞口入賞時の大入賞口入賞コマンド(通常用大入賞口入賞コマンドおよびOV入賞用大入賞口入賞コマンド)自体を送信しない構成とすることができる。この場合、主制御部20側の制御により、エラー種別に応じてオーバー入賞演出を禁止(制限)するか否かを決定し、第1種エラーの場合にはエラー報知だけに止めることができる。
(変形例1)
上記では、第1種エラーの場合にはエラー報知だけに止め、オーバー入賞演出を実行しない形態について説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、大入賞口を対象としたエラー種別である場合には、不正行為によるオーバー入賞が発生する可能性が高いことを考慮し、エラー報知の際には、光発生手段や音響発生装置や演出表示装置に加え、可動体役物によるエラー報知を行い、外部に対して、不正行為が発生した旨を効果的に報知することができる。
詳述するに、エラーを検出した場合(ここでは、上記(1)〜(4)の大入賞口に関係性のあるエラー)、オーバー入賞が発生するまでは、光発生手段や音響発生装置や液晶表示装置によるエラー報知を実行し、オーバー入賞が発生した場合には、可動体役物を所定の動作態様で動作させる。
ここでの「所定の動作態様」とは、正常時の動作態様であっても良いが、これとは異なるエラー中専用の「エラー用動作態様」とすることができる。つまり、特定の可動体役物が、オーバー入賞報知機能とエラー報知機能とを備えることができる。たとえば、花型役物98が、エラー中のオーバー入賞を報知する際には、通常時の動作態様(可動体演出B−1〜B−3に対応した動作態様)とは異なるエラー用動作態様を実行させることができる。具体的には、エラー中にオーバー入賞が発生した場合、通常時の動作態様よりも、花型役物98の全体、または花弁部分だけ、または花心と花弁部分の運動量が大きくなって大袈裟な動作となったり、その大袈裟な動作を連続して複数回繰り返す動作としたりすることができる。これにより、周囲に対して可動体役物が、通常時とは異質な動作態様を呈していることが分かるようにする。これにより外部に対してゴト行為が発生した旨を、パチンコホール店員や他の遊技者などに対して、より有効に報知することができる。
(変形例2)
また本実施形態では、上記第2種エラーおよび第3種エラーの場合に、オーバー入賞演出を実行させる構成について説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、遊技者自身でエラー解除可能な「第3種エラー」中の場合に限り、オーバー入賞時に可動体役物を動作させ、「第1種エラー」および「第2種エラー」のように、遊技者自身で解除不可能なエラー中の場合には(エラー解除には、パチンコホール店員を呼ぶ必要が生じるため)、エラー報知だけに止めて、オーバー入賞演出自体を禁止(制限)しても良い。
なお図35には表記していないが、遊技続行障害エラーとして、遊技部品に不具合が生じて、その交換が必要なエラーがある。たとえば、「断線検知エラー」がある。断線検知エラーとは、制御基板同士や制御基板と各種センサを接続する配線(ハーネス)が断線したときに検出されるエラーである。たとえば、上入賞口センサ34aの配線が断線している場合、入賞検出信号の送信ができなくなるため、これをエラー報知することとしている。
上記断線検知エラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応した演出制御コマンド(断線検知エラーコマンド)が演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、断線検知エラーに対応したエラー報知を開始する。上記断線エラーの報知態様としては、装飾ランプ45や遊技機の適所に設けられたLEDなどの発光手段によるエラー用光演出(たとえば、断線検知エラー用光演出)と、液晶表示装置36によるエラー用画像表示演出(たとえば、液晶画面に「断線しています。係員をお呼び下さい。」などの警告表示)が現出され、エラー音は実行されない。またこの報知は、遊技部品を交換する(断線検知エラーの場合は該当するハーネスを交換する)などのエラー原因が取り除かれた場合、主制御部20からエラー解除コマンドが送信され、演出制御部24側では、この解除コマンドを受信した場合、エラー報知を終了させる。
また遊技続行障害エラーには、上記「断線エラー」の他、電源制御基板に搭載され、定格以上の大電流から電気回路を保護するヒューズ(たとえば、15A、12A、5Aなどのヒューズ)に対して、定格以上の電流が流れてヒューズ切れが生じた際に発生する「ヒューズ切れエラー」、可動体役物の原点位置を検出する位置検出センサ97b、98bが原点位置を検出できないなどの異常を検出した際に発生する「役物動作エラー」、制御基板(主制御基板、演出制御基板、払出制御基板など)のCPU動作に異常を検出した際に発生する制御基板エラー(主制御基板エラー、演出制御基板エラー、払出制御基板エラーなど)などがある。斯様なエラーは、遊技部品に不具合が生じて、その交換が必要なエラーであり、遊技続行が不可能または困難な場合が多いと考えられる。したがって、このようなエラーを上記「第1種エラー」として定めることができる。なお、上記「役物動作エラー」や「ヒューズ切れエラー」や「制御基板エラー」の報知態様およびその制御は、断線エラーの場合と実質的に同じ処理内容であるのでその説明は省略する。
なおパチンコ遊技機1による各種の演出(エラー報知を含む)は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段、スピーカ46などの音響発生装置、液晶表示装置36などの演出表示装置、操作者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<主制御部側の処理:図7〜図23>
次に図7〜図23を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図7)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図8)とを含んで構成される。
<6.主制御側メイン処理:図7>
図7は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、図示しない電源制御基板によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図7に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定する。
次に、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップ012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS012の判定結果が‘YES’となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS018)。なお、RAMクリアが実行されると遊技状態が初期化され、内部遊技状態は通常遊技状態、変動パターン振分指定番号(Tcode)))は通常状態を指定する00Hとなる。また演出制御部24が上記RAMクリア表示コマンドを受けると、RAMクリアされた旨を報知する初期化報知演出を、上記RAMクリア報知タイマ(30秒)が経過するまで実行し、RAMクリア後の初期状態の演出モードとして、演出モードを通常状態下の通常演出モードに設定するようになっている。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ、などが設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が0〜238とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:YES)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH(‘**H’は任意の16進数の意)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされるよう構成されている。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS014)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS014の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS014:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を行う(ステップS015)。また遊技復旧処理では、バックアップ情報から遊技復旧のための所定の情報を取得し(電源遮断時における、特図1・特図2作動保留球数や変動パターン振分指定番号(Tcode)や内部遊技状態情報など)、その情報を含ませた各種の演出制御コマンド(電源復帰用コマンド)を演出制御部24に送信する。これにより演出制御部24に電源遮断時の遊技進行状態を知らせて、遊技復旧時には、電源遮断時の演出状態に復帰させる。
ステップS015の遊技復旧処理を終えると、ステップS019の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。
<7.主制御側タイマ割込処理:図8>
次に図8を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図8は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。以下では説明の便宜上、CPU201がRAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレス値(そのアドレスに記述されているデータ類を含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、CPU内蔵のレジスタ内に読み込んだり取り込んだりするなどの処理を「取得」と称し、またCPU201がRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
図8において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視する。ここでは、たとえば、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を入賞カウンタに格納する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)である。これにより、各入賞口において遊技球を検出(入賞が発生)したか否かが割込みごとに監視される。なお上記「入賞カウンタ」とは、各々の入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。本実施形態では、RAM203の所定領域に、上始動口34用の上始動口入賞カウンタ、下始動口35用の下始動口入賞カウンタ、普通図柄始動口37用の普通図柄始動口入賞カウンタ、下大入賞口40用の大入賞口入賞カウンタ、右大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ、一般入賞口43用の一般入賞口用の入賞カウンタなどが設けられている。
またこの入力管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、入賞検出スイッチからの検出情報が入賞を許容すべき期間中に入賞したか否かに基づいて、不正入賞があったか否かを監視している。たとえば、可動翼片47が作動中でないにもかかわらず下始動口センサ35aが遊技球を検出したり、大当り遊技中(大入賞口有効入賞期間内)でないにもかかわらず、大入賞口センサ42aまたは52aが遊技球を検出したりした場合は、これを不正入賞とみなし、その旨を外部に報知するべく、後述のエラー管理処理(ステップS055)において、所定のエラー処理が実行されるようになっている。上記不正入賞に関するエラーとしては、たとえば、図35の大入賞口不正入賞エラーや下大入賞口不正入賞エラーが該当する。なお不正入賞を検出した場合には、その検出情報を無効とし、賞球の払い出しを無効扱いとすることができる。これにより、不正入賞による賞球を有効に防止することができる。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。たとえば、特別図柄判定用乱数カウンタの値を所定範囲で更新(+1加算)し、特別図柄判定用乱数カウンタが1周するごとに、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタの値を読み出し、その生成用カウンタの値を特別図柄判定用乱数カウンタに格納する。これにより、特別図柄判定用乱数カウンタのスタート値が上記の生成用カウンタの値に応じて変更されるので、更新周期は一定でありながらも特別図柄判定用乱数カウンタのカウント値はランダムになる。
次いで、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、遊技動作状態の異常を監視し、動作異常(エラー)が発生した場合には、エラー処理を行う。なお、エラーには、図35に示すように、多くのエラー種別があるので、ここでは、エラー種別に応じたエラー処理が行われる。エラー処理としては、たとえば、所定の遊技動作(たとえば、遊技球の払い出し動作や遊技球の発射動作など)を停止状態としたり、エラー報知動作を実行させるべく、エラー種別に対応したエラーコマンドを演出制御部24に送信したりする。
上記エラー管理処理では、上記した下始動口35や大入賞口40、50を対象とした不正入賞に関するエラー報知処理の他、不正検出センサ99(磁気センサ、電波センサ、または振動センサ)からの検出情報に基づいて不正行為を検出し、そのエラー(磁気センサエラー、電波センサエラー、振動センサエラー)を対象としたエラー処理(エラー解除条件が満たされた場合、現在発生中のエラーを解除するためのエラー解除処理(たとえば、上記エラー解除コマンド送信)を含む)が実行される。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞があった場合は、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板(払出制御部)29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。これにより、それぞれの入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分の賞球数)が払い出されるようになっている。なお、エラー中であっても入賞球が検出された場合、払出制御コマンドが払出制御基板29に送信される。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定したり、所定時間毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成したりする。なお普通図柄管理処理は、補助遊技抽選手段、普通図柄の変動表示動作を制御する普通図柄表示手段(普通図柄表示制御手段)として機能する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS057)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技発生に必要な普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用の励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより可動翼片47の動作が制御される。なお普通電動役物管理処理は、補助当り制御手段として機能する。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理(大当り判定手段)では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図9にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図22にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、右打ち指示情報(右流下経路3cを狙う旨を指示する情報(普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報))を報せる「発射位置誘導演出(右打ち報知演出)」を現出させるための処理を行う。ここでの右打ち指示情報は、たとえば、液晶表示装置36に「右打ち」を遊技者に促す画像を表示したり(たとえば、「右打ちせよ」の文字表示)、スピーカ46から右打ちを促す効果音(たとえば、「右打ちしてね」の音声)を発生させたりする。この右打ち情報が報知されるケースとしては、電サポ有り状態下において遊技者が誤って発射位置を左流下経路3b側に狙いを定めていると推定されるケースで、電サポ有り状態下において、上始動口34に入賞が発生した場合や、所定時間経過しても普通図柄始動口37へ入賞が発生しない場合などが挙げられる。このような場合、この右打ち報知情報管理処理において、上記発射位置誘導演出の開始を指示する「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24が上記発射位置誘導演出を現出制御する構成となっている。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39や特別図柄表示装置38a,38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図9のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。上記動作状態情報には、大当り遊技が発生した旨(条件装置が作動した旨)、小当り遊技が発生した旨、図柄変動表示ゲームが実行された旨、入賞情報(始動口や大入賞口に入賞した旨や賞球数情報)、特定のエラー発生情報(たとえば、ゴト行為を対象とする、大入賞口不正入賞エラー、磁気・振動・電波エラーなど)などの各種情報が含まれる。なおゴト行為に関する特定のエラー発生情報を遊技機外部に送信することにより、パチンコホールの監視システムやパチンコホール店員に対しゴト行為が発生した旨を効果的に知らせることができる。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく普通電動役物ソレノイド41cに対する励磁信号の出力処理、ステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力処理を行う。これにより、可動翼片47や開放扉52bが所定のパターンで動作し、下始動口35や右大入賞口50が開閉される。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(8.特別図柄管理処理:図9)
次に、図8中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図9は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図9において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。なお、特図1始動口チェック処理と、特図2始動口チェック処理の詳細は図10〜図11で後述する。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお上記の特別図柄変動開始処理(ステップS306:図12)、特別図柄変動中処理(ステップS307:図14)、および特別図柄確認時間中処理(ステップS308:図15A〜図15B)の詳細は、後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.5秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図8のLED管理処理(ステップS62)で出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−1.特図1始動口チェック処理:図10)
まず、特図1始動口チェック処理(図9のステップS301)について説明する。図10は、上記のステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などが行われる。なお後述の特図2始動口チェック処理(図10のステップS302)も特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、および保留加算コマンドの作成処理などが行われ、次に述べる特図1始動口チェック処理と実質的に同一の処理内容となっている。
図10において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1に係る作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
上始動口34の入賞を検出したが特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)、後述のステップS320の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている(保留記憶順番は、保留1記憶エリア、保留2記憶エリア、・・・、保留n−1記憶エリア、保留n記憶エリアの順に格納されるようになっている)。
なお上記各種乱数のうち、特別図柄判定用乱数および変動パターン用乱数は、それぞれに対応したソフトウェア的に乱数を生成する乱数カウンタから抽出される。これら乱数カウンタの乱数値は、RAM203に設けられた各々に対応したカウント値記憶領域において、間欠的に生じる割込み処理と割込み処理の間に実行されるメイン処理において乱数的に更新されているので、その値がそのまま取得されるようになっている。
他方、大当り判定用乱数値は、ハードウェア的に乱数を生成する乱数生成回路(大当り判定用乱数カウンタ)から抽出される。この乱数生成回路は、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ34aから遊技球の検出信号が入力されると、このタイミングにおけるカウント値をラッチして、そのカウント値がマイクロコンピュータに入力されるようになっている。CPU201は、このカウント値を大当り判定用乱数値として、RAM203の保留記憶エリアと別個に設けられたRAM203の大当り判定用乱数値用の記憶領域(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納し、必要なタイミングで、その特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファに格納された大当り判定用乱数値を読み出し利用する。
次いで、保留加算コマンド(詳細は後述する)を作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。上記「特図1先読み禁止条件」とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず(ステップS315の処理により保留加算コマンドが先読み禁止を指定するものとなる)、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS316:YESの処理ルート参照)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ有り状態’を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が確変状態中である場合に、特別図柄1側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ有り状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄1側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
第1の理由としては、‘電サポ有り状態’下に置かれた場合は、下始動口35への入賞率が通常遊技状態よりも著しく向上し得る「高ベース遊技状態(可動翼片47の作動率向上状態:補助当りの当選確率が256分の255となり、開放延長機能が作動する)」となるため、遊技者が普通図柄始動口37へ入賞させるように発射位置を狙い定めた場合(右流下経路3cを遊技球が通過するように狙いを定めた場合)、特別図柄2に係る作動保留球数(以下、「特図2作動保留球」と称する)が頻繁に発生するものと推定される。これに対し、電サポ無し状態下に置かれた場合は、可動翼片47の作動率が低い「低ベース遊技状態(補助当りの当選確率が256分の1となり、開放延長機能が未作動となる)」となり、また本実施形態では、遊技くぎなどの落下方向変換部材に起因して、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっており、遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合には、特に不利益をもたらす、という遊技性となっている。このため、電サポ有り状態中に遊技者が左流下経路3b側を遊技球が通過するように発射位置を定めることはないものと推定され、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、そのような発生率の低い特図1作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
また第2の理由としては、技術介入性の問題がある。技術介入性の問題が生じる例としては、現在、特図1作動保留球を対象とした何らかの先読み予告演出(特に、大当り当選期待度が高い先読み予告演出)だけが発生した場合、遊技者がこれを認識すれば、特図2作動保留球を途切れないようにして優先変動側である特別図柄変動表示ゲーム2を継続的に実行させることで、特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選の恩恵を最大限受けながらゲームを進行させていくことができてしまう。本実施形態では、特別図柄1側の図柄抽選を受けるよりも特別図柄2側の図柄抽選を受けた方が、利益の高い「12R長開放確変大当り」や「16R長開放確変大当り」が高確率で当選するようになっている(詳細は後述する)。このため、特別図柄1側(特別図柄変動表示ゲーム1側)の大当り抽選を受けるよりも特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選を受ける方が、遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。これを利用し、特図1作動保留球の大当り当確が判明している場合には、電サポ有り状態が終了するまで特別図柄2側の大当り抽選の恩恵を最大限受けた後、その当選に係る特図1作動保留球を消化させて容易に大当りを得る、といった技術介入性の問題が生じ、遊技者間の不平等を招来する。
そこで本実施形態では、上記のような問題点に鑑み、特図1側と特図2側の先読み判定を禁止する区間(先読み禁止状態)を、遊技状態に応じて切り替え制御可能に構成されている。詳しくは、主制御部20は、第1の先読み判定手段(たとえば、特図1側の先読み判定処理:後述の図10のS317〜S323に相当する)による先読み判定を禁止して第2の先読み判定手段(たとえば、特図2側の先読み判定処理:後述の図11のS337〜S343に相当する)による先読み判定を許容する「第1の先読み禁止状態(たとえば、電サポ有り状態中の場合)」と、第2の先読み判定手段による先読み判定を禁止し、第1の先読み判定手段による先読み判定を許容する「第2の先読み禁止状態(たとえば、電サポ無し状態中の場合)」とを、所定の条件(たとえば、現在の内部遊技状態、または電サポ状態の有無)に基づき切替制御する‘先読み禁止状態制御手段’としての機能部を備えている。
再びステップS316の説明に戻り、特図1先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S324)は行わずに、ステップS320の処理に進む。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS316:NO)、ステップS317の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS317)。この乱数判定処理は、この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球(ここでは、特図1側)に係る「当落抽選」を事前に判定する‘先読み判定(先読み当落判定)’を行う。
ステップS317の乱数判定処理に入ると、まずRAM203(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、次いで、特図1用当り乱数判定テーブルを取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(大当り、小当り、およびハズレの別の判定)、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(後述の図12のS409参照)」の抽選結果(変動開始時の当落抽選結果)を先読み判定する。
(T−1.当り乱数判定テーブル)
上記当り乱数判定テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る「特図1用当り乱数判定テーブル(図示せず)」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「特図2用当り乱数判定テーブル(図示せず)」とが含まれる。
これらの当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率状態(高確)と低確率状態(低確))別に、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、大当り、小当り、またはハズレのいずれかが決定されるようになっている。したがって、取得した大当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合(大当り判定用乱数値が同じ値)であっても、現在の大当り抽選確率状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかにより、一方では「大当り」、他方では「ハズレ」といったように当落種別が異なる場合がある。本実施形態の大当り当選確率は、低確率状態では約1/397で、高確率状態ではそれよりも10倍程度上昇した約1/39.7で大当りに当選するようになっており、小当りの当選確率は、大当り抽選確率状態にかかわらず、約1/200となっている。つまり、小当りの当選確率は大当り抽選確率状態にかかわらず一定であり、この点、大当り抽選確率状態により当選確率が変動する上記の大当りと性格を異にする。
この当落抽選(先読み当落判定)により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH(大当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「大当り非当選(大当り判定フラグがOFF状態)」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH(小当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「小当り非当選(小当り判定フラグがOFF状態)」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ(大当り判定フラグおよび小当り判定フラグがOFF状態)’となる。
なお特別図柄変動表示ゲーム2による当落抽選(後述の特図2始動口チェック処理中のステップS337(図11参照))では、別途設けた上記「特図2用当り乱数判定テーブル」を利用した抽選が行われる。本実施形態の特図2用当り乱数判定テーブルにおいては、大当り当選の判定領域は同じ(大当りの当選確率は同じ)であるが、小当り当選となる判定値自体を定めていない。すなわち、特別図柄変動表示ゲーム1では、大当り、小当り、およびハズレが当落抽選対象とされるが、特別図柄変動表示ゲーム2では、大当りとハズレだけが当落抽選対象とされる。勿論、特図2用当り乱数判定テーブルについても、小当りを当落抽選対象として定めても良い。
上記したステップS317の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS318)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「図柄抽選」を事前に判定する‘先読み判定(先読み図柄判定:(当り(当選)種別の先読み判定))’を行う。
ステップS318の特別停止図柄データ作成処理に入ると、まずステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果を取得し、この当落抽選結果(大当り、小当り、ハズレの別)に応じた図柄テーブル(後述の大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、またはハズレ図柄テーブル:図示せず)を選択する。そして、ステップS314で取得した特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別停止図柄作成処理(後述の図11のS410参照)」の抽選結果(変動開始時の図柄抽選結果)を先読み判定する。
(T−2.図柄テーブル)
上記の各図柄テーブルには、「特別図柄判定用乱数値(特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)」と、当選種別を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
上記「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、本実施形態の場合、2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当りA、2R短開放非確変大当りB、5R長開放確変大当り、5R長開放非確変大当り、12R長開放確変大当り、12R長開放非確変大当り、16R長開放確変大当り、小当りA〜B、ハズレ(ハズレが複数種類ある場合は、そのハズレ種別:たとえば、ハズレA〜C)のいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図12のステップS411の遊技状態移行準備処理、ステップS412の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図6の特別電動役物管理処理(ステップS060))において利用されるデータである。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の「停止図柄種」を特定する際に利用される。
(T−2−1.大当り図柄テーブル)
本実施形態の大当り図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「大当り図柄テーブル1」と特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「大当り図柄テーブル2」とが含まれる。各大当り図柄テーブルには、特別図柄判定用乱数値と、大当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが決定されるようになっている。
上記大当り図柄テーブル1では、たとえば、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜9の範囲に属する場合には「2R短開放潜確大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):10/200)、判定値20〜29の範囲に属する場合は「2R短開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):10/200)、判定値80〜149の範囲に属する場合は「5R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:70/200)、判定値150〜159の範囲に属する場合は「5R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:20/200)、判定値160〜189の範囲に属する場合には「12R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:30/200)、判定値190〜199の範囲に属する場合には「12R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:10/200)、大当り種別が所定の図柄選択率で決定され、これに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
また上記大当り図柄テーブル2は、上述の大当り図柄テーブル1と基本的な構成は同じであるが、大当り図柄テーブル1と次の点が異なる。大当り図柄テーブル2では、大当り図柄テーブル1と比較し、特定の大当りの図柄選択率(図柄抽選確率)が異なる。具体的には、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜39の範囲に属する場合には「2R短開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値41〜80の範囲に属する場合には「12R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値80〜199の範囲に属する場合には「16R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:120/200)、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当り」が当選となる判定値が存在しない構成となっている。つまり、大当り図柄テーブル1による図柄抽選よりも大当り図柄テーブル2による図柄抽選の方が相対的に高い利益の大当りの種類が選択される確率が高く、遊技者にとって有利な図柄抽選となっている。これにより、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の抽選を受ける方が遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。特に、電サポ有り状態下では、下始動口35側の入賞確率が飛躍的に向上して特別図柄変動表示ゲーム2の実行機会も増えるため、電サポ有り状態中は、高ベース遊技状態であるだけでなく、図柄抽選の観点からも遊技者にとって有利な遊技状態とされる。
(T−2−2.小当り図柄テーブル)
本実施形態の小当り図柄テーブルは、特別図柄変動表示ゲーム1と特別図柄変動表示ゲーム2とで兼用され、上記の大当り図柄テーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、小当り種別(小当りA〜Bのいずれか)が所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。なお小当りA〜Cの図柄選択率は、自由に設定することができるが、図柄選択確率の関係が「小当りA≦(または<)小当りB」の関係であることが好ましい。その理由は、次の通りである。小当りAが最もCZ継続回数が少ない2回に設定され、CZ期間が最も短くなることから、たとえCZに移行しても潜確状態への緊張感がすぐに終ってしまい、CZ中の面白みに欠ける。このため、小当りAを相対的に高い図柄選択率とするよりも、潜確状態が確定しうるCZ継続回数4回に近い回数が設定される小当りBの図柄選択率を高める方が、潜確状態への緊張感を持続させ、CZ中の面白みを向上させる上で効果的だからである。
(T−2−3.ハズレ図柄テーブル)
本実施形態のハズレ図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「ハズレ図柄テーブル1」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「ハズレ図柄テーブル2」とが含まれる。
上記ハズレ図柄テーブル1、2は、上記の大当り図柄テーブルや小当りテーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、ハズレ種別(たとえば、ハズレA、ハズレBのいずれか)が所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。なお、ハズレ図柄テーブル1とハズレ図柄テーブル2とは、ハズレA〜Bの当選に係る判定値が異なっており、したがって特別図柄判定用乱数値が同じ値であっても、ハズレ図柄テーブル1が参照される場合と、ハズレ図柄テーブル2が参照される場合とでは、当選となるハズレ種別が異なる場合がある。本実施形態では、ハズレAの当選確率よりもハズレBの当選確率の方が低く定められており、たとえば、ハズレAが当選した場合よりもハズレBが当選した場合の方が、SPリーチが選択される割合が高まるようになっている。
上記したステップS318の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理も、上記乱数判定処理(ステップS317)や特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)と同じく、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「変動開始時の変動パターン」を事前に判定する‘先読み判定(先読み変動パターン判定’を行う。
上記始動口入賞時乱数判定処理に入ると、ステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果と、ステップS318の特別停止図柄データ作成処理で得られた‘図柄抽選’結果と、ステップS314の処理で取得された‘変動パターン用乱数’とを利用し、今回の作動保留球に係る変動開始時の変動パターン、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別図柄変動パターン作成処理(後述の図12のS412参照)」の結果(変動開始時の変動パターン内容)を先読み判定する。そして、その先読み判定結果に基づいて、後述の「保留加算コマンド」の作成に利用される入賞コマンドデータ(2バイト目(EVENT):下位バイト)の作成処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理において決定される入賞コマンドデータ(EVENT)により、先読み変動パターン(保留球数情報は除く)の内容が指定される。なおステップS317の乱数判定処理〜ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理が‘先読み当り判定’に係る処理となる。
ステップS323の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト(MODE)側の入賞コマンドデータと、先読み変動パターンを指定する下位バイト(EVENT)側の入賞コマンドデータとから構成される「保留加算コマンド」を作成し(ステップS320)、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS326)。これにより、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて図11のステップS302の特図2始動口チェック処理を行う。
上記保留加算コマンドは、2バイトの制御データで構成される。具体的には、作動保留球数と特別図柄種別(特別図柄1および特別図柄2)とに応じて作成される上位バイト(1バイト目(MODE)の「BXH(たとえば、B6H〜B9Hは、特別図柄1の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応し、BBH〜BEHは特別図柄2の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応する)」)と、ステップS316の始動口入賞時乱数判定処理で作成される下位バイト(2バイト目(EVENT)の「XXH(XXはコマンドごとに対応する数値)」で、先読み変動パターンの内容に対応する)とから構成される(図5参照)。したがって、この保留加算コマンドには、先読み判定に関する一連の処理(ステップS315〜S317)において得られた先読み判定結果情報、具体的には、先読み変動パターンを特定しうる情報が含まれる。ただし、下位バイト((EVENT))値が特定の値(たとえば、「01H」)の場合は、先読み禁止が指定される。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報に基づく先読み予告演出の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、その抽選結果により実行可と決定された場合(先読み予告抽選に当選した場合)、図柄変動表示ゲームの開始と共に、またはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出を現出させる。また演出制御部24は、保留加算コマンドを受けた場合、先読み予告演出を現出させるか否かにかかわらず、始動口に入賞があった旨を報知する「入賞演出」を現出させることができる。
なお、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合にもオーバーフロー(overflow)入賞時の保留加算コマンド(以下、「OF保留加算コマンド」と略す)が作成され、演出制御部24に送信されるようになっている。
上記「OF保留加算コマンド」は、オーバーフローの作動保留球であるため、先読み判定には利用されずに、専ら上述の「入賞演出」に利用されるが、以下のような演出を現出させるように構成することができる。
たとえば、演出制御部24が上記OF保留加算コマンドを受信した場合において、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在している場合、その旨を報知する予告演出(OF入賞時保留内予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合、これに含まれる先読み判定情報を記憶する先読み判定情報記憶手段と、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在している場合、大当りの可能性がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)保留内予告演出手段と、を含むことができる。
また、現在実行中の図柄変動表示ゲームの結果が「大当り(小当りを含んでいても良い)」である場合、その旨を報知する予告演出(OF入賞時変動中予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の図柄変動に係るゲーム結果が「大当り(小当りを含んでも良い)」の可能性がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)変動中予告演出手段を含むことができる。
斯様なOF保留加算コマンドによる予告演出は、オーバーフロー入賞の発生を契機に現出されるオーバー入賞演出に準ずるものであるが、未だ最終結果が導出されていない図柄変動表示ゲームの結果を先読み的に報知するという点で、先読み予告演出と同じ役割を果たす。
(8−2.特図2始動口チェック処理:図11)
次、特図2始動口チェック処理(図9のステップS302)について説明する。図11は、特図2始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
上記特図2始動口チェック処理は、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理として、先に述べた特図1始動口チェック処理の流れと同じように、作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などの処理が行われる。以下、上記特図1始動口チェック処理(ステップS301)と同じ処理内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図11において、CPU201は、まず下始動口35において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS331)。
下始動口35の入賞検出がなかった場合は(ステップS331:NO)、何もしないで特図2始動口チェック処理を抜ける。しかし下始動口35の入賞を検出した場合は(ステップS331:YES)、特別図柄2の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS332)。
特図2作動保留球数が4以上である場合(ステップS332:YES)、ステップS340に進む。一方、特図2作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図2作動保留球数を1加算(+1)し(ステップS333)、ステップS334の処理に進む。
ステップS334の処理に進むと、今回発生した特図2作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム2に利用される各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)の乱数カウンタの現在値を取得し、それぞれRAM203の保留記憶エリアに格納する(ステップS334)。この処理は、図10のステップS314の処理の仕方と同じである。この特図2作動保留球は、特別図柄2の変動表示動作に供されるまで、最大保留記憶数を所定の上限値として、始動条件の成立順に保留記憶される。
次いで、入賞コマンドデータとして、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(下位バイト「01H」)を取得し(ステップS335)、「特図2先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS336)。上記「特図2先読み禁止条件」とは、特図2作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図2先読み禁止条件が成立している場合(ステップS336:YES)、今回の特図2作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS336:YESの処理ルート)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ無し状態を伴う遊技状態’を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が、通常遊技状態中または潜確状態中である場合は、特別図柄2側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ無し状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄2側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
「通常遊技状態」または「潜確状態」であるならば、‘電サポ無し状態’下に置かれ、下始動口35の入賞率が著しく低下する。また既に説明したように、本実施形態では、上記電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合、左流下経路3bを遊技球が通過するように狙いを定めた場合よりも上始動口34の入賞率が著しく低下してしまう、といった遊技者にとって不利益をもたらす遊技性となっている。このため、電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めることはないものと推定される。したがって、電サポ無し状態中においては、特図2作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、また発生率の低い特図2作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
なお本実施形態では、遊技状態に応じて、特別図柄1側の先読み禁止区間(先読み禁止状態の期間)と特別図柄2側の先読み禁止区間とを切り替え可能に構成されているが、本発明はこれに限られない。たとえば、遊技状態に応じて、特別図柄1側および特別図柄2側のいずれか一方の先読み判定は一切実行しないという構成としても良い。またCZ中は、これに対応する専用のCZ演出モード下でなされる演出により高確率状態の期待感を煽るようになっており、またCZ期間も比較的短期間であるため、CZ中は、先読み判定を先読み禁止区間とし、先読み予告演出を現出させないように構成することが好ましい。
再びステップS336の説明に戻り、特図2先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS336:YES)、ステップS340の処理に進む。しかし特図2先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS336:NO)、ステップS337の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS337)。この乱数判定処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「先読み当落判定」が行われる。また処理の仕方は、図10の特図1始動口チェック処理中のステップS317の乱数判定処理と実質的に同じである。
ステップS337の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS338)。この特別停止図柄データ作成処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「先読み図柄判定」が行われる。また処理の仕方は、図10の特図1始動口チェック処理中のステップS318の特別停止図柄データ作成処理と実質的に同じである。
次いで、特図1始動口チェック処理中と同様の始動口入賞時乱数判定処理を行い(ステップS339)、入賞コマンドデータと作動保留球数に基づき、保留加算コマンドを作成し(ステップS340)、作成した保留加算コマンドを演出制御部24に送信して(ステップS341)、特図2始動口チェック処理を抜ける。
(8−3.特別図柄変動開始処理:図12)
次に、特別図柄変動開始処理(ステップS305)について説明する。図12は、図9の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を行う。
一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行う。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。ステップS401とS402の処理は、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる「優先変動手段」として機能する。
本実施形態では、上記優先変動手段により、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される、つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている。より詳しくは、特別図柄1または特別図柄2が停止表示されたことを条件に、上記第1の保留記憶エリア(第1の保留記憶手段(特別図柄1側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄1に関する保留データ(第1の保留記憶:特図1作動保留球)が記憶されており上記第2の保留記憶エリア(第2の保留記憶手段(特別図柄2側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄2に関する第2の保留データ(第2の保留記憶:特図2作動保留球)が記憶されていない場合には、当該第1の保留データのうちの最も先に記憶された保留データに基づく第1の特別図柄の変動表示を開始させる一方、当該第2の保留記憶エリアに当該第2の保留データが記憶されている場合には、その第1の保留記憶エリアに上記第1の保留データが記憶されているか否かにかかわらず、当該第2の保留データのうち最も先に記憶された保留データに基づく当該第2の特別図柄の変動表示を開始させるようになっている。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、液晶表示装置36に対し、客待ち待機用のデモ画面表示に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
ステップS417の判定処理を通過したとき、つまり上記「作動保留球なし」の状態となったとき、このときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO:後述の図21Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。このように、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替えて、演出制御コマンドを送信して特別図柄変動開始処理を抜ける理由は、次の通りである。
作動保留球数がゼロの場合に条件なしにデモ表示コマンドを送信すると、特図作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生する。そこで、上記「作動保留球なし」の状態となった場合に、デモ表示コマンドを1回送信して、これにより、既にデモ表示コマンドが送信済みである場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信することなく、この特別図柄管理処理を抜けるようになっている。
演出制御部24は、上記デモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても、何ら図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなして、液晶表示装置36において、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合は(ステップS401:NOまたはS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S417)を行っていく。なお、以下に説明するステップS403〜S417の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために、特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理なのか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理なのかという区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報が含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、
および変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS407)。つまり、保留1記憶エリアの保留データを判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、保留4記憶エリアに空き領域を設ける(新たな作動保留球が発生しない場合は、ステップS407の処理を行うごとに空き領域が順次シフトされていくので、全作動保留球消化時には、全保留記憶エリアが空き領域となる)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、残り時短回数コマンド送信処理を行う(ステップS408)。ここでは、後述の特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「残り時短回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS408)。この「残り時短回数コマンド」により、演出制御部24側は、残りの時短回数を把握することができ、たとえば、演出手段を利用し、残り時短回数情報を報知させることができる。
次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理は、「当落抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理の処理手順は、乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339)と実施的に同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、今回の変動表示側に対応する当り乱数判定テーブルを取得する。この当り乱数判定テーブルは、乱数判定処理(図10のステップS317、図11のステップS337)で利用される「当り乱数判定テーブル」と同じである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく、大当り、小当り、およびハズレの別の当落抽選を行う。
この当落抽選により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「大当り非当選」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH」となり、それ以外の判定値に属する場合には「小当り非当選」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ’となる。
ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。なお特別停止図柄作成処理は、「図柄抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「図柄抽選」を行う。特別停止図柄作成処理の基本的な処理手順は、特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)と同じであるので、重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データとステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果(上記大当り判定フラグと小当り判定フラグ)と、を取得し、これらに基づき、今回の変動表示側に対応する図柄テーブルとして、大当り図柄テーブル1、2、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブル1、2のいずれかを選択する。この図柄テーブルは、特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)で利用した図柄テーブルと同じものである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、上記選択した図柄テーブルと、特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行い、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別(当りの種類)を決定する。
ステップS410の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。この遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、大当り遊技後の遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。この遊技状態移行準備処理の詳細は図13にて後述する。
ステップS411の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。この特別図柄変動パターン作成処理では、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、特別電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果、および変動パターン用乱数などを利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターンを抽選により決定する。そして、その変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターンの内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。なお、特別図柄変動パターン作成処理は、特別図柄の変動パターンを決定するといった点において‘先読み判定’処理の一つである始動口入賞時乱数判定処理および保留加算コマンドに関する作成処理(図10のステップS319〜S320、図11のステップS339〜S340)と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターン、つまり変動開始時の変動パターンが決定される。
ここではまず、変動パターン用乱数値を取得し、次いで、大当り抽選結果(当落抽選、図柄抽選)に基づき、図示しない「当り変動パターン振分テーブル」または「ハズレ変動パターン振分テーブル」を取得する。そして、この変動パターン振分テーブルとと変動パターン用乱数値とを利用した変動パターン抽選により、特別図柄の変動パターンを決定する。
(T−3.変動パターン振分テーブル)
上記変動パターン振分テーブルには、当り(大当りまたは小当り)に当選した場合に選択される「当り用変動パターン振分テーブル」と、ハズレに当選した場合に選択される「ハズレ用変動パターン振分テーブル」とが含まれる。
各変動パターン振分テーブルには、特別図柄に関する変動パターンが、作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、残りの作動保留球数)、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、大当り抽選結果(特別停止図柄作成処理(ステップS410)の図柄抽選結果)、および変動パターン用乱数値に関連付けて定められており、変動パターン用乱数による抽選により、複数種類の変動パターンのうちからいずれかの変動パターンが選択されるようになっている。
また変動パターンの決定に伴い、その変動パターンに対応した「変動時間決定テーブル」も決定される。この「変動時間決定テーブル」には、変動時間(図柄変動表示動作時間)が定められており、上記決定された変動パターンに対応した変動時間決定テーブルを参照することにより、今回の変動パターンの変動時間が定まることになる。なお、この変動時間は、特別図柄変動表示ゲームと同調して実行される装飾図柄変動表示ゲームの遊技時間(装飾図柄の変動表示時間(演出時間))となる。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、主に、当り・ハズレの別の当落抽選結果(本実施形態の場合、図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)、現在の遊技状態種別、変動時間、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出の有無、リーチ演出種別(Nリーチ種別やSPリーチ種別)、疑似連の有無、疑似連回数などの指定情報)が含むことができる。CPU201は、その内容を特定可能とする「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信しする。演出制御部24は、変動パターン指定コマンドを受信すると、これに含まれる変動パターン情報に基づいて、今回の図柄変動表示ゲーム中の演出を現出制御する。なお変動パターン指定コマンドに図柄抽選結果情報を含ませても良い。
なお本実施形態では、2R短開放潜確大当り当選、2R短開放非確変大当り当選、小当りA、B当選時の当り変動パターンについては、同じ当り変動パターンが選択されるようになっている。これは、2R系の大当り当選した場合と小当り系に当選した場合とで、同じ変動パターンが選択されるようにし、演出上、いずれの当りに当選したかを不明確にさせることが好ましいからである。
再び図11の説明に戻り、ステップ412の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、ステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、これを演出制御部24に送信する(ステップS415)。この装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって「装飾図柄指定コマンド」には、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。たとえば、上位バイト(MODE)側には、変動側の特別図柄が特図1の場合は「BBH」、特図2の場合は「BCH」が設定され、下位バイト(EVENT)側には、当選種別に対応したEVNET値(当り種別またはハズレ種別を特定可能な値:たとえば、2R短開放潜確大当りの場合は「01H」、2R短開放非確変大当りの場合は「02H」、5R長開放確変大当りの場合は「03H」、5R長開放非確変大当りの場合は「04H」、12R長開放非確変大当りの場合は「05H」、12R長開放確変大当りは「06H」、16R長開放確変大当りは「07H」、小当りA〜Bの場合は「08H」〜「09H」など)が設定される。この装飾図柄指定コマンドには当選種別情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せを決定する際に利用される。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図9の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS059)を抜けて、図8の特別電動役物管理処理(ステップS060)に進む。
(8−3−1.遊技状態移行準備処理:図13)
次に、上記の遊技状態移行準備処理(ステップS411)について説明する。図13は、図12の遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
図13において、CPU201は、まず大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS431)。大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS431:≠5AH)、何もしないで遊技状態移行準備処理を抜ける。
大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS431:=5AH)、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図30(イ)参照)を取得する(ステップS432)。
次いで、取得した遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、遊技状態判定番号(YJ)と大当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(図31参照)を取得し(ステップS433)、この遊技状態移行テーブルに定められたデータを後述の各種バッファに格納する(ステップS434:状態バッファ設定処理)。これらバッファに格納された値は、後述する特別電動役物管理処理中の大当り終了処理(図16のステップS509)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々のバッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。ステップS434の処理を終えると、遊技状態移行準備処理を抜けて、図15の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)に進む。なお、この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理が行われ、小当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理は、後述の電動役物管理処理中の小当り処理(図16のステップS504参照)で行われるようになっている。
(T−4.大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図30(イ))
図30(イ)に、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、遊技状態判定番号(YJ)と当選種別(特別図柄判定データ:ここでは大当り種別)とに関連付けられた複数種類の遊技状態移行テーブルが定められており、具体的には、遊技状態判定番号(YJ)と特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれかの遊技状態移行テーブル((大当り用の遊技状態移行テーブル)が選択されるようになっている。
ここで「遊技状態判定番号(YJ)」とは、内部遊技状態を識別するためのデータである。図36の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、遊技状態判定番号(YJ)が「00H」の場合は「通常遊技状態(電サポ無し状態、低確)」を、「01H」の場合は「潜確状態(電サポ無し状態、高確)」を、「02H」の場合は「時短状態(電サポ有り状態、低確)」を、「03H」の場合は「確変状態(電サポ有り状態、高確率)」をそれぞれ示す。したがって、遊技状態判定番号(YJ)は上記のような内部遊技状態を識別する点で、変動パターン振分指定番号(Tcode)のように遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
(T−5.遊技状態移行テーブル:図31)
図31に、上述の遊技状態移行テーブルを示す。本実施形態の遊技状態移行テーブルには、大当りの場合に選択されうる大当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−7」と、小当りの場合に選択されうる小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」とが含まれる。
これら遊技状態移行テーブルには、当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するための複数種類データ群が定められている。具体的には、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するための各種のデータが定められている。これらのバッファに格納された値は、必要なタイミングで読み出され、RAM203に設けられた所定のフラグ記憶領域や所定のカウンタ記憶領域に設定される。この各バッファに各遊技状態移行テーブルにより指定される各種データが格納されると、当り遊技終了後の遊技状態が定まることになる。
本実施形態に係る大当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−7」は、それぞれ順に、確変状態、潜確状態、時短状態(60回)、時短状態(100回)、通常状態、CZ(潜確)、CZ(通常)に移行させるための遊技状態移行テーブルである。また小当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」はそれぞれ‘CZ’に移行させるための遊技状態移行テーブルである。ただし、CZ移行に関する「JTTBL−6」〜「JTTBL−9」については、「JTTBL−6」はCZ継続回数4回とするCZ(潜確:4回)に、「JTTBL−7」はCZ継続回数3回とするCZ(通常:3回)に、「JTTBL−8」はCZ継続回数2回とするCZ(2回)に、「JTTBL−9」はCZ継続回数3回とするCZ(3回)に移行させる遊技状態移行テーブルとなっている。以下に、上述の各種バッファの役割について説明する。
(普電役物開放延長移行状態バッファ)
「普電役物開放延長移行状態バッファ」は、普電役物開放延長状態フラグの設定を行うために利用される。「普電役物開放延長状態フラグ」とは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
(普通図柄時短移行状態バッファ)
「普通図柄時短移行状態バッファ」は、普通図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄時短状態フラグ」とは、普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄時短機能作動中の「普通図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄短機能非作動の「普通図柄非時短状態」である旨を示す。
(普通図柄確変移行状態バッファ)
「普通図柄確変移行状態バッファ」は、普通図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄確変状態フラグ」とは、補助当り抽選確率状態、つまり普通図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄確変機能作動中の「補助当り確変状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄確変機能非作動の「補助当り低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短状態移行状態バッファ)
「特別図柄時短状態移行状態バッファ」は、特別図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄時短状態フラグ」とは、特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄時短機能作動中の「特別図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄時短機能非作動の「特別図柄非時短状態」である旨を示す。
(特別図柄確変移行状態バッファ)
「特別図柄確変移行状態バッファ」は、特別図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄確変状態フラグ」とは、特別図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄確変機能作動中の「高確率状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄確変機能非作動の「低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短回数カウンタバッファ)
「特別図柄時短回数カウンタバッファ」は、特別図柄時短回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄時短回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄時短機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「特別図柄時短状態」が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタである。なお本実施形態では、特別図柄時短状態の終了に伴い、電サポ有り状態である高ベース遊技状態も終了されるようになっている(図15BのステップS481参照)。
(特別図柄確変回数カウンタバッファ)
「特別図柄確変回数カウンタバッファ」は、特別図柄確変回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄確変回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄確変機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「高確率状態」が終了するまでの残り回数(残りST回数)を計数するためのカウンタである。
(変動パターン振分指定番号バッファ)
「変動パターン振分指定番号バッファ」は、変動パターン振分指定番号(Tcode)の設定を行うために利用される。この「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、遊技状態を特定するための遊技状態データである。変動パターン振分指定番号(Tcode)は、RAM203の変動パターン振分指定番号格納領域に設定され、所定の変更条件(遊技状態移行条件)に基づいて変更される(特別図柄確認時間中処理(図15B)のステップS481、S486、S490、遊技状態移行準備処理(図12のS411、図13のS434、特別電動役物管理処理(図16)など参照)。
(特別図柄変動回数カウンタバッファ)
「特別図柄変動回数カウンタバッファ」は、特別図柄変動回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄変動回数カウンタ」とは、遊技状態移行条件となる特別図柄の変動回数(以下、「遊技状態移行規定回数」と称する)を計数するためのカウンタである。本実施形態の特別図柄変動回数カウンタには、遊技状態移行規定回数としてCZ継続回数が設定され、このカウンタはCZ継続回数を管理する管理手段として機能する。
(8−4.特別図柄変動中処理:図14)
次に、特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。図14は、図9の特別図柄変動中処理(ステップS307)の詳細を示すフローチャートである。
図14において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS451)。特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS451:NO)、未だ特別図柄の変動時間が経過していない、つまり特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS451:YES)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS452)。この変動停止コマンドにより、演出制御部24は、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、RAM203の特別図柄確定タイマに、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納し、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納し(ステップS453)、この特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
ステップS453の処理を終えると、この特別図柄変動中処理を抜けて、図9のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−5.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図15Aおよび図15B)
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図15Aおよび図15Bは、図9の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図15Aおよび図15Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(図20のステップS453参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態に応じた遊技状態判定番号(YJ)をRAM203の遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)として、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、さらに、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常状態指定)を格納し、遊技状態報知LED(図示せず)の点灯・消灯を指定する遊技状態報知LED出力番号に00Hを格納して、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。上記「遊技状態報知LED」とは、現在の遊技状態情報を報知する状態報知手段である。本実施形態の遊技状態報知LED(状態報知手段)は、特別図柄時短状態であるか否かを報知するために利用される。CPU201は、遊技状態報知LED出力番号に応じて、遊技状態報知LED(状態報知手段)の報知態様を変化させる。たとえば、上記遊技状態報知LED出力番号が「00H」の場合、現在、特別図柄時短状態ではない旨が(遊技状態報知LED:消灯状態(非特別図柄時短状態報知)、「01H」の場合には、現在、特別図柄時短状態である旨が報知される(遊技状態報知LED:点灯状態(特別図柄時短状態報知)。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、ステップS478の処理に進む。小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、何もしないでステップS483の処理に進む。
特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、時短終了時の設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下に置かれることになる。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了した旨を示す(電サポ無し状態移行情報)「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS482)。この時短終了コマンドは、今回の図柄変動表示ゲーム終了時に送信されるので、演出制御部24は、次ゲームから‘電サポ無し状態’となる旨を次ゲームが開始前に把握することができる。
なお本実施形態では、電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行する場合は、時短状態または確変状態から通常状態に移行する場合であるので、演出制御部24が上記「時短終了コマンド」を受けると、たとえば、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、あるいはその事前に「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替える。また‘電サポ無し状態’における発射位置として、左流下経路3bを狙う旨を指示する「発射位置誘導演出(左打ち報知演出)」を現出させるための演出制御処理を行う。これにより今回の図柄変動表示ゲームが終了したときに作動保留球が存在しない場合(次回の図柄変動表示ゲームが開始されない場合)であっても、次回の図柄変動表示ゲームに係る演出モードに移行させることができる。
次いでステップS483の処理に進むと、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。なお本実施形態では、確変状態である場合、次回大当りまで当該確変状態が継続するようになっているが(ST回数=無限)、一日中遊技をしていても、時間的に確変状態が終了することがない回数(たとえば、10000回)が設定されていても良い。この場合、実質的に、次回大当りまで当該確変状態が継続することと同じになる。以下では説明の便宜のために、特別図柄確変回数カウンタに「10000回」が設定されているものとして説明する。
特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、ステップS488の処理に進む。
特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST規定回数(70回)に達していないので、何もせずにステップS487の処理に進む。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、特別図柄の変動回数がST規定回数(ここでは10000回としている)に達したとして、確変終了時の設定処理を行う(ステップS486)。ここでは、潜確状態終了または確変状態終了に伴う通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納し、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより、次ゲームから、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態下に置かれることになる。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、ステップS487の処理に進み、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数(本実施形態では、CZ継続回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS487)。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS487:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS487:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS488)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS489)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS489:NO)、遊技状態移行規定回数に達していないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数に達したとして、遊技状態の移行設定処理を行う(ステップS490:変動パターン振分指定番号設定処理)。ここでは、CZ継続回数が終了した後の遊技状態の移行設定処理を行う。本実施形態では、CZ終了時の大当り抽選確率状態が低確率状態か高確率状態かに応じて、移行先の遊技状態が異なるようになっている。ここでは、まず遊技状態判定番号(YJ)を取得し、現在の内部遊技状態が通常状態(遊技状態判定番号(YJ)=00H)であるか、潜確状態(遊技状態判定番号(YJ)=01H)であるかを判定する。現在の内部遊技状態が通常状態、つまり低確率状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)を通常状態を指定する「00H」に設定し、現在の内部遊技状態が潜確状態、つまり高確率状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)が潜確状態を指定する「02H」に設定する。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常状態」または「潜確状態」における特別図柄の変動パターンが選択される。このステップS490処理は、所定の条件の成立に基づき、変動パターンの選択条件(変動パターン選択モード)を切替制御するための変動パターン選択条件切替手段として働く。
次いで、演出制御コマンドとして、移行先の遊技状態情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS491)。この「遊技状態指定コマンド」により演出制御部24は、今回の図柄変動表示ゲームで「CZ」が終了し、次ゲームから「通常状態」または「潜確状態」となる旨を把握する。これにより、演出制御部24は、次回の図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)または「潜確演出モード」用の背景画像に切り替え制御し、当該演出モード下での演出制御処理を行う。
なお本実施形態では、次に行われる図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送信される前に、上述の遊技状態指定コマンドが送信されるようになっている。このため演出制御部24は、このような遊技状態指定コマンドを受信した場合、次に行われる図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送られてくる前段階で、現在の演出モード用の演出(たとえば、一の背景表示)から、他の演出モード用の演出(たとえば、他の背景表示)に切り替えることができる。つまり、次回の図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送られてくる前に、他の演出モードに関連する演出を現出させる、換言すれば、次回の図柄変動表示ゲームに先立って、他の演出モードに関連する演出を現出させることができるようになっている。これにより遊技者は、今回の図柄変動表示ゲームが終了したときに作動保留球が存在しない場合(次回の図柄変動表示ゲームが開始されない場合)であっても、次回の図柄変動表示ゲームに係る演出モードを前もって把握することができるという利点がある。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を抜けると、図9のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(9.特別電動役物管理処理:図16)
次に、図8中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図16は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図16において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置(大入賞口の開閉制御)の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、
特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置42、52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値に応じた処理を呼び出して実行させる。具体的には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、大当り開始処理(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を、作動中(02H)」の場合には、特別電動役物作動中処理(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には、大当り終了処理(ステップS509)を呼び出して実行させる。これらの処理により大当り遊技に係る特別変動入賞装置52の動作が制御される。ここで、上述の「開始処理中(00H)」とは、大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とはラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とはラウンド遊技が実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは大当り遊技終了時の終了処理中である旨を示す。上記ステップS505〜S509のいずれかの処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
以下に、図17〜図23を参照しながら、大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)と、小当り処理(ステップS504)について詳細に説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)>
まず、大当り開始処理(図16のステップS505)について説明する。図17は、大当り開始処理の詳細を示すフローチャートである。
(9−1.大当り開始処理:図17)
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合は、まず最初に、この大当り開始処理が行われるようになっている。
図17において、CPU201は、まず、大当り遊技を開始する際に必要な大当り開始時の設定処理を行う(ステップS511:大当り開始時の設定処理)。ここでは、大当り開始時の設定処理として、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数を管理するためのカウンタであり、現在のラウンド数はここに記憶される。ここでの連続回数カウンタは「01H」であるので、現在のラウンド数は1R目を示す。
次いで、大当り開始設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS512)、その大当り開始設定テーブルを参照して、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて、最大ラウンド数(規定ラウンド数)、ラウンド表示LED番号をそれぞれに対応するRAM203の記憶領域に格納し、また特別図柄役物動作タイマに開始インターバル時間を格納する(ステップS513:特別図柄判定データ別設定処理)。
(T−6.大当り開始設定テーブル)
上記大当り開始設定テーブルには、大当り種別を識別する「特別図柄判定データ」と、「最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED番号」とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて「最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED」が決定されるようになっている。ここで「開始インターバル時間」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して大当りが確定した後(図20のステップS453の、図21AのステップS471参照)、特別変動入賞装置40または特別変動入賞装置50が作動するまでのインターバル区間であって、オープニング演出が行われる区間を定めた時間幅(1回目のラウンド遊技が行われる前の初回演出時間)を指す。また「ラウンド表示LED番号」とは、ラウンド数表示装置39b(ラウンド表示LED:規定ラウンド数報知手段)の報知態様を指定するデータで、今回の大当り遊技の最大ラウンド数(規定ラウンド数)を指定する。CPU201は、ラウンド表示LED番号に応じて、ラウンド表示LEDの報知態様を変化させる。
上記ステップS513の処理を終えると、演出制御コマンドとして、オープニング演出の開始を指示する「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS514)。なお「大当り開始コマンド」には、今回の大当り種別情報と大当り当選時の遊技状態情報とが含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出態様(オープニング演出、ラウンド演出(ラウンド開始演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出)、エンディング演出などを含む一連の当り中演出シナリオ)を決定する際に利用される。
以上により、この大当り開始処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−2.特別電動役物作動開始処理:図18)
次に、特別電動役物作動開始処理(図22のステップS506)について説明する。図18は、特別電動役物作動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS521)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「ラウンド遊技開始前のインターバル時間」が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、図23のステップS513で設定された「開始インターバル時間」が監視されるが、1R目終了以降でこのステップS521を通過するときは、「開放前インターバル時間(後述の図21のステップS575で設定されるインターバル時間)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS521:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンドの場合は、開始インターバル時間)が経過したならば(ステップS521:YES)、大入賞口開放開始動作に伴い、演出制御コマンドとして、「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS522)。この「大入賞口開放コマンド(ラウンド開始コマンド)」は、ラウンド遊技開始情報(ラウンド演出の開始指示情報)や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を現出させる際に利用される。
次いで、大入賞口動作時間設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS523)、大入賞口開放動作時間設定処理を行う(ステップS524)。この大入賞口開放動作時間設定処理では、大入賞口開放動作時間設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。
(T−7.大入賞口動作時間設定テーブル)
上記大入賞口動作時間設定テーブルには、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに関連付けられた大入賞口開放動作時間が定められており、特別図柄判定データ(大当り種別)と現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間が決定されるようになっている。大入賞口開放動作時間は、たとえば、12R長開放確変大当りや16R長開放確変大当りの場合には、初期値として長開放時間に相当する29800msが、2R短開放潜確大当りや2R短開放非確変大当りの場合には、初期値として短開放時間に相当する100msが設定される。
次いで、大入賞口入賞数カウンタに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS525)。上記「大入賞口入賞数カウンタ」とは、RAM203に設けられ、下大入賞口40または右大入賞口50の入賞球数を計数するためのカウンタである。
次いで、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS526)。この大入賞口開閉動作設定処理では、大入賞口ソレノイド42cまたは大入賞口ソレノイド52c用のソレノイド制御データを作成し、設定処理を行う。このデータにより、下大入賞口40または右大入賞口50の開閉動作パターンが指定される。またここでは、開閉制御される特別変動入賞装置が作動中か否かを指定するための「特別電動役物N作動フラグ(N=1、2)」が設定される。
上記「特別電動役物1作動フラグ」とは、特別変動入賞装置42が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、特別変動入賞装置42が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、特別変動入賞装置42が未作動中である旨を示す。また「特別電動役物2作動フラグ」とは、特別変動入賞装置52が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、特別変動入賞装置52が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、特別変動入賞装置52が未作動中である旨を示す。なお、ラウンド遊技間において当該フラグがON状態(=5AH)となる期間、つまり特別変動入賞装置が作動中とされる期間は、大入賞口が開放してからその大入賞口が閉鎖された後、残存球排出時間(1980ms)が経過するまでの期間となっている。他方、ラウンド遊技間において当該フラグがOFF状態(=00H)となる期間、つまり特別変動入賞装置が未作動中とされる期間は、上述の残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでのインターバル時間(20ms)中の期間となっている。なお、特別電動役物N作動フラグがOFF状態(=00H)の期間中に大入賞口に入賞が発生した場合は、不正入賞とみなし、所定のエラー処理(大入賞口不正入賞エラー)が実行されるようになっている。
ステップS526の大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)(ステップS527)。
以上により、この特別電動役物作動開始処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3.特別電動役物作動中処理:図19)
次に、特別電動役物作動中処理(図22のステップS507)について説明する。図19は、特別電動役物作動中処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、CPU201は、まず大入賞口最大入賞数確認処理を行う(ステップS551)。この大入賞口最大入賞数確認処理では、主に、今回の大当り遊技に係る大入賞口の入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数に達したか否かを確認する。なお、大入賞口最大入賞数確認処理の詳細は、図20にて後述する。
ステップS551の大入賞口最大入賞数確認処理を終えると、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS552)。ここでの大入賞口開閉動作設定処理は、図18の特別電動役物作動開始処理中の大入賞口開閉動作設定処理(ステップS526)の仕方と同じであるため、重複記載を避けるため詳細な説明は省略する。
次いで、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS553)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記大入賞口開放動作時間が設定されているので、ステップS533の判定処理では、大入賞口動作時間が経過したか否かが判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS553:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(大入賞口開放動作時間経過)になったならば(ステップS553:YES)、今回のラウンド遊技における大入賞口が閉鎖されたとして、「ラウンド終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS554)。この「ラウンド終了コマンド」は、演出制御部24側において、ラウンド遊技間のインターバル時間中における「ラウンド終了演出」を現出する際に利用される。
次いで、ラウンド遊技が終了した際の各種設定処理を行う(ステップS555)。ここでは、ラウンド遊技終了時の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1980ms)を格納する。
なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される残存球排出時間がすべて同じ時間幅(1980ms)として説明しているが、本発明はこれに限られない。上記残存球排出時間は、大入賞口の閉鎖後の大入賞口内の残存球を排出するための余裕時間として定めたものであることから、大入賞口の内部構造(たとえば、右大入賞口センサ52aが遊技球を検出するまでの最大経路長など)を考慮して、右大入賞口センサ52aが遊技球を検出するまで(または大入賞口内から遊技球が外部に排出されるまで)に要する最大時間を見込んだ時間幅が設定される。しかし、1回の大当り遊技において、ラウンド数に応じてラウンド遊技が複数種類の動作態様に制御される場合や、ラウンド数に応じて異なる大入賞口が開閉制御される場合にあっては、それぞれの動作態様に着目して異なる残存球排出時間が設定されるように構成しても良い。たとえば、短開放時間に係るラウンド遊技中は大入賞口への入賞率が相対的に低い点に着目し、開閉扉42b、52bによる遊技球の玉噛み頻度や大入賞口内において多数の遊技球による混雑が予想されないことから、長開放時間に係るラウンド遊技中よりも相対的に短い時間幅の残存球排出時間としても良い。
以上により、この特別電動役物作動中処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3−1.大入賞口最大入賞数確認処理:図20)
次に、大入賞口最大入賞数確認処理(図27のステップS551)について説明する。図20は、大入賞口開閉動作設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図20において、CPU201は、まず特別電動役物1作動フラグの状態と特別電動役物2作動フラグの状態とを順次判定する(ステップS561、S562)。上記特別電動役物1作動フラグと特別電動役物2作動フラグのいずれもがOFF状態(=00H)の場合(ステップS561:≠5AH、かつステップS562:≠5AH)、つまり、特別変動入賞装置42が作動中でもなく、特別変動入賞装置52が作動中でもない場合、何もしないでこの大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。なお、大当り遊技中における「特別変動入賞装置42が作動中でもなく、特別変動入賞装置52が作動中でもない場合」とは、開放前インターバル時間中の場合である。
上記特別電動役物1作動フラグおよび特別電動役物2作動フラグのいずれかがON状態(=5AH)の場合(ステップS561:=5AH、またはステップS561:≠5AH、かつステップS562:=5AH)、大入賞口において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS563)。大入賞口への入賞(入賞球)は、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aにより検出される。大入賞口において入賞(入賞球)を検出しない場合(ステップS563:NO)、何もせずにそのまま何もしないで大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。
大入賞口において入賞を検出した場合(ステップS563:YES)、通常用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS564)。この通常用入賞コマンド送信処理では、下大入賞口40において入賞を検出した場合には、下大入賞口40に入賞したことを指定する通常用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド1」を送信する。他方、右大入賞口50において入賞を検出した場合には、右大入賞口50に入賞したことを指定する通常用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド2」を送信する。この通常用大入賞口入賞コマンドにより、演出制御部24は、通常用大入賞口入賞コマンドに対応した入賞演出処理を行う。
なお、大入賞口入賞コマンド1、2のいずれのコマンドを送信するかの決定については、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aの検出情報に基づき決定することができる。具体的には、下大入賞口センサ42aによる検出があった場合には‘大入賞口入賞コマンド1’を送信し、右大入賞口センサ52aによる検出があった場合には‘大入賞口入賞コマンド2’を送信することができる。また特別電動役物作動フラグの設定状態に基づき、いずれの通常用大入賞口入賞コマンドを送信するかを決定することができる。具体的には、特別電動役物1作動フラグがON状態(=5AH)の場合には、特別変動入賞装置42が作動中であるので‘大入賞口入賞コマンド1’を送信し、特別電動役物2作動フラグがON状態(=5AH)の場合には、特別変動入賞装置52が作動中であるので‘大入賞口入賞コマンド2’を送信する。
この大入賞口最大入賞数確認処理中では、大入賞口への入賞数が最大入賞数に達するまで、入賞ごとに、各大入賞口に対応した「通常用大入賞口入賞コマンド」が送信されることになる(‘ステップS563:YES〜S566:NO’の処理ルート)。なお、オーバー入賞は、最大入賞数を超えたときの入賞となるので、オーバー入賞とはならない最大入賞数に達するまでの入賞球を監視対象とする大入賞口最大入賞数確認処理での監視対象となる入賞球ではない。オーバー入賞球については、大入賞口が閉鎖状態に移行後に実行される、後述の「特別電動役物作動継続判定処理(図21)」中のステップS581の「大入賞口オーバー入賞数確認処理」において監視されるようになっている。
通常用入賞コマンド送信処理を終えると、入賞を検出した大入賞口に対応する大入賞口入賞カウンタを1加算する(ステップS565:大入賞口入賞カウンタ加算処理)。ここでは、下大入賞口40において入賞を検出した場合には下大入賞口入賞カウンタに1加算し、右大入賞口50において入賞を検出した場合には右大入賞口入賞カウンタに1加算する。
上記加算後の大入賞口入賞カウンタが最大入賞数(たとえば、9個)に達したか否かを判定する(ステップS566)。最大入賞数に達した場合には(ステップS566:YES)、特別図柄役物動作タイマをクリアし(ステップS567)、大入賞口最大入賞数確認処理を抜け、最大入賞数に達していない場合には(ステップS566:NO)、何もしないで大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。
以上により、この大入賞口最大入賞数確認処理を抜けると、図19のステップS552の大入賞口開閉動作設定処理に進む。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理:図21)
次に、特別電動役物作動継続判定処理(図16のステップS508)について説明する。図21は、特別電動役物作動継続判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図21において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS571)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖移行後に設定される残存球排出時間が設定されているので(図19のステップS555参照)、ステップS571の判定処理では、残存球排出時間が経過したか否かが判定されることになる。
特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合(ステップS571:NO)、残存球排出時間内の大入賞口の入賞球を確認するための「大入賞口オーバー入賞数確認処理」を行う(ステップS581)。この大入賞口オーバー入賞数確認処理についての詳細は、図22にて後述する。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば(ステップS571:YES)、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数の最大ラウンド数に達したか否かを判定する(ステップS572)。
最大ラウンド数に達していない場合には(ステップS572:NO)、ラウンド遊技継続時の処理として、後述のステップS573〜S576の処理(ラウンド継続処理)を行う。しかし最大ラウンド数に達した場合には(ステップS572:YES)、ラウンド遊技継続終了時の処理として、ステップS577〜S580の処理(ラウンド継続終了処理)を行う。
(ラウンド継続処理:ステップS573〜S576)
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達していない場合(ステップS572:NO)、ラウンド遊技継続処理として、ステップS573〜S576の処理ルートを行う。
まずステップS573の処理では、今回のラウンド遊技が終了したことにより、連続回数カウンタに1加算(+1)する(ステップS573)。
次いで、特別電動役物終了インターバル設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS574)、この特別電動役物終了インターバル設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに応じた「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS575)。
(T−8.特別電動役物終了インターバル設定テーブル)
上記特別電動役物終了インターバル設定テーブルには、特別図柄判定データ(大当り種別)と連続回数カウンタとに関連付けられた開放前インターバル時間が定められている。具体的には、特別図柄判定データと連続回数カウンタの現在値(ステップS573の加算処理後の連続回数カウンタ値:次のラウンド数)とに応じた開放前インターバル時間が決定されるようになっている。
なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間がすべて同じ時間幅(20ms)となっているが、本発明はこれに限られない。
開放前インターバル時間中は、後述のステップS576の処理において、特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)に設定される。したがって、開放前インターバル時間内は、大入賞口への入賞を無効とする大入賞口入賞無効期間(大当り中不正入賞監視期間)となる。上記開放前インターバル時間に特に制限はないが、残存球排出時間(本実施形態では、1980ms)を含めたラウンド遊技間のインターバル時間として設ける以上、その時間を極端に長い時間、たとえば、数秒程度にしてしまうと、ラウンド遊技間の待ち時間が増加し、遊技者が煩わしく感じてしまう。特に最大ラウンド数が15Rの大当り遊技では、ラウンド遊技間の待ち時間の合計が数十秒〜1分近くも要することになり好ましくない。
そこで本実施形態の開放前インターバル時間は、20msという短時間に設定されている。これは、遊技球が実際に入賞口に入球して入賞検出スイッチのON信号が出力された場合、その出力時間(信号継続期間)は、入賞球の転動時間に長短があるものの最長で20ms程度であることを考慮したものである。ゴト行為(たとえば、大入賞口に対してプラスチック板やピアノ線を用いて過剰入賞狙うゴト行為(セルゴト)や、不正行為者が不正器具(不正電波発信機や磁石など)を用いてスイッチを誤作動させて過剰入賞を狙うゴト行為など)による不正な連続入賞があった際には、大入賞口センサ42a、52aからのON信号が頻繁に出力されることが予想される。したがって、開放前インターバル時間を適正なON信号の信号継続期間である20ms程度に定めても、ラウンド遊技間の不正入賞を監視には問題がないものと考えられる。好ましくは、それよりも長時間である場合の方が不正行為を検出し易くなると考えられるが、ラウンド遊技間の待ち時間を踏まえれば、開放前インターバル時間は、約20ms〜数百ms程度の範囲で定めることが適切であると考えられる。ただし、大入賞口の形態(内部構造など)に応じて、残存球排出時間を比較的短時間としても良い場合がある。この場合は、「残存球排出時間≦開放前インターバル時間」としても良い。たとえば、ラウンド遊技間のインターバル時間を2000msと定める場合、「残存球排出時間を1000ms、開放前インターバル時間を1000ms」としたり、「残存球排出時間を500ms、開放前インターバル時間を1500ms」としたりしても良い。
再び図21の説明に戻り、ステップS575の処理を終えると、ラウンド継続時の各種設定処理を行う(ステップS576)。ここでは、今回のラウンド遊技が終了して次回のラウンド遊技を開始させるため設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。
以上のステップS573〜S576(ラウンド継続処理)を終えると、特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図9のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(ラウンド継続終了処理:ステップS577〜S580)
一方、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合(ステップS572:YES)、ラウンド継続終了処理として、ステップS577〜S580の処理ルートを行う。
まずステップS577の処理では、役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS577)、この役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル(図示せず)を参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに応じた「終了インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS578)。
(T−9.役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル)
上記役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルには、特別図柄判定データと終了インターバル時間とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて終了インターバル時間が決定されるようになっている。この「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。なお終了インターバル時間中は、後述のステップS579の処理において特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)に設定される。したがって、終了インターバル時間内は、開放前インターバル時間内と同じく、大入賞口への入賞を無効とする大入賞口入賞無効期間となる。
ステップS578の処理を終えると、ラウンド終了時の各種設定処理を行う(ステップS579)。ここでは、最大ラウンド到達時の設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。
次いで、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS580)。この「大当り終了コマンド」には、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態(内部遊技状態を含む)を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この「大当り終了コマンド」は、エンディング演出の開始を指示する役割の他、大当り遊技終了後の遊技状態を特定しうることから、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担っている。演出制御部24は、大当り終了コマンドに含まれる情報に基づき、演出モードを決定することで、上記大当り終了後の遊技状態と、その遊技状態に係る演出モードとの整合性を取ることができるようになっている。
なお、上述の大当り当選時の遊技状態を特定可能な情報には、変動パターン振分指定番号(Tcode)に関する情報、または変動パターン振分指定番号に関する情報と内部遊技状態とに関する情報を含むことができる。また、大当り終了コマンドは、単一のコマンドであっても良いし、複数のコマンドであっても良い。複数のコマンドとする場合には、たとえば、一の大当り終了コマンドに今回の大当り種別を特定可能とする情報を含ませ、他の大当り終了コマンドにその大当り当選時の遊技状態を特定可能とする情報が含ませて、これらのコマンドを同時あるいは順次に必要なタイミングで演出制御部24に送信することができる。本実施形態では、演出制御コマンドに複数種類の情報を含ませて演出制御部24に送信する場合、それら情報を単一の演出制御コマンドに含ませて演出制御部24に送信する構成としても良いし、一の情報を含む演出制御コマンドと、他の情報を含む演出制御コマンドとに分けて、上述の単一の演出制御コマンドが有する役割を複数の演出制御コマンドに分担させる形態で演出制御部24に送信する構成としても良い。
以上により、この特別電動役物作動継続判定処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−4−1.大入賞口オーバー入賞数確認処理:図22)
次に、大入賞口オーバー入賞数確認処理(図21のステップS581)について説明する。図22は、大入賞口オーバー入賞数確認処理の詳細を示すフローチャートである。なお、大入賞口オーバー入賞数確認処理は大入賞口最大入賞数確認処理(図19のステップS551、図20)と類似する処理であるので、重複記載を避けるために、大入賞口最大入賞数確認処理と同じ処理内容については、適宜省略しながら説明する。
図22において、CPU201は、まず特別電動役物1作動フラグの状態と特別電動役物2作動フラグの状態とを順次判定する(ステップS591、S592)。上記特別電動役物1作動フラグと特別電動役物2作動フラグのいずれもがOFF状態(=00H)の場合(ステップS591:≠5AH、かつステップS592:≠5AH)、何もしないでこの大入賞口オーバー入賞数確認処理を抜ける。
上記特別電動役物1作動フラグおよび特別電動役物2作動フラグのいずれかがON状態(=5AH)の場合(ステップS591:=5AH、またはステップS591:≠5AH、かつステップS592:=5AH)、大入賞口において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS593)。大入賞口において入賞(入賞球)を検出しない場合(ステップS593:NO)、何もせずにそのまま何もしないで、大入賞口オーバー入賞数確認処理を抜ける。
大入賞口において入賞を検出した場合(ステップS593:YES)、大入賞口入賞カウンタを確認し、カウンタ値が最大入賞数を超えているか否かを判定する(ステップS594)。ここでは、各大入賞口別のカウンタ(下大入賞口40用の大入賞口入賞カウンタと右大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ)をそれぞれ確認して、最大入賞数を超えているか否かを判定する。なお大当り種別のうち、ラウンド数に応じて複数種類の大入賞口を開放制御する大当り遊技を実行させる大当り種別(特殊当り種別)がある場合(たとえば、1〜7R目までは下大入賞口40を開放制御し、8R目〜16R目は右大入賞口50を開放制御する、といった大当り遊技を実行させる大当り種別)制御負担の軽減のために、本実施形態のように、単に各大入賞口カウンタをそれぞれ確認する、といった簡単な構成とすることが好ましい。
大入賞口入賞カウンタが最大入賞数を超えていない場合(ステップS594:NO)、通常用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS595)。この通常用入賞コマンド送信処理が実行される場合とは、今回のラウンド遊技において、入賞球が最大入賞数に達することなく、大入賞口開放動作時間が経過して大入賞口が閉鎖状態に移行された場合である。なお、ここでの通常用入賞コマンド送信処理は、図20のステップS564の処理と同じ処理内容となっている。
一方、大入賞口入賞カウンタが最大入賞数を超えている場合(ステップS594:YES)、つまり、今回検出された入賞球がオーバー入賞球である場合、オーバー入賞用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS597)。
このオーバー入賞用入賞コマンド送信処理では、オーバー入賞球を対象とした「OV入賞用大入賞口入賞コマンド」を送信する。ここでは、下大入賞口40においてオーバー入賞球を検出した場合には、下大入賞口40にオーバー入賞が発生した旨を指定するOV入賞用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド3」を送信する。他方、右大入賞口50において入賞を検出した場合には、右大入賞口50にオーバー入賞が発生した旨を指定するOV入賞用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド4」を送信する。このOV入賞用大入賞口入賞コマンドにより、演出制御部24は、OV入賞用大入賞口入賞コマンドに対応したオーバー入賞演出処理を行う。
なお、大入賞口入賞コマンド3、4のいずれのコマンドを送信するかの決定については、既に説明した、通常用大入賞口入賞コマンド1、2の送信処理と同じように、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aの検出情報に基づき、または特別電動役物作動フラグの設定状態に基づき決定することができる。
この大入賞口オーバー入賞数確認処理中では、オーバー入賞があるごとに、各大入賞口に対応した「OV入賞用大入賞口入賞コマンド」が送信されることになる。演出制御部24側では、OV入賞用大入賞口入賞コマンドによりオーバー入賞が発生した旨を把握し、OV入賞用大入賞口入賞コマンドが送られてくる回数をカウントすることにより、オーバー入賞累積数を把握している。このオーバー入賞累積数は、既に説明したように、時計型役物(数字表示部80(数字セクター80a)、時計針97)により報知されるようになっている。
上記ステップS595の通常用入賞コマンド送信処理、またはステップS597のオーバー入賞用入賞コマンド送信処理を終えると、入賞を検出した大入賞口に対応する大入賞口入賞カウンタを1加算して(ステップS596:大入賞口入賞カウンタ加算処理)、大入賞口オーバー入賞数確認処理を抜ける。
以上により、このオーバー入賞数確認処理を抜けると、そのまま特別電動役物継続判定処理(S509)を抜けて、特別図柄役物動作タイマがゼロになるまで、つまり残存球排出時間が経過するまで(図21のステップS571:NO)、大入賞口オーバー入賞数確認処理を繰り返す。これにより、大入賞口有効入賞期間内におけるオーバー入賞球が監視される。
(9−5.大当り終了処理:図23)
次に、大当り終了処理(図16のステップS509)について説明する。図23は、大当り終了処理の詳細を示すフローチャートである。
図23において、CPU201は、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS591)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、ステップS591の判定処理では、終了インターバル時間が経過したか否かが判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS591:NO)、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば(ステップS591:YES)、大当り終了時の各種設定の一環として、遊技状態移行準備処理(図15のステップS411)で設定した各移行状態バッファの値を、図示の各状態フラグやカウンタなどに格納する(ステップS592)。これにより、大当り遊技後の遊技状態が指定される。
続いて、大当り終了時の各種設定処理を行う(ステップS593)。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータとして、図示のフラグやバッファなどをゼロクリアする(00Hを格納)。そして特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
なお、特別図柄判定データについては、大当り遊技後、図柄変動表示ゲームが開始されるまで特別図柄表示装置に確定表示させておくために利用されるので、クリア対象とはなっていない。特別図柄判定データは、今回の大当り遊技が終了した後に特別図柄変動開始処理中の特別図柄作成処理(図12のステップS410)が行われた際、新たな特別図柄判定データがRAM203(特別図柄判定データ記憶領域)に上書きされるようになっているため問題はない。
次いで、遊技状態報知情報を更新する遊技状態報知情報更新処理を行い(ステップS594)。本実施形態では、遊技状態報知LEDにより特図時短状態であるか否かを報知させるため、遊技状態報知情報更新処理において、特別図柄時短状態フラグがON状態(=5AH)であるか、OFF状態(≠5AH)かを確認し、ON状態の場合には、遊技状態報知LEDを点灯させるデータとして、特図時短状態を指定する所定の遊技状態報知LED出力番号を格納する。
以上により、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。この大当り終了処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<小当り遊技制御処理>
(9−6.小当り処理)
次に、小当り処理(ステップS504)について説明する。
小当り遊技では、大当り遊技のような「ラウンド遊技」が実行されない。したがって、ここでは、既に説明したように、小当り遊技中の動作態様が「2R潜確大当り遊技」や「2R通常大当り遊技A」や「2R通常大当り遊技B」(以下、「2R系大当り遊技」と略す)の動作態様と実質的同一となるように、大入賞口の開閉動作パターンを制御するための処理が行われる。なお本実施形態では、小当りは特図1側の大当り抽選対象であるので、ここでは、下大入賞口40の開閉動作パターンを制御するための処理が行われる。
この小当り処理に入ると、まず小当り遊技における「開始インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに設定し、オープニング演出の開始を指示する「小当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する。なお「小当り開始コマンド」には、今回の小当り種別情報と小当り当選時の遊技状態情報とが含まれ、演出制御部24側において、小当り遊技中に展開される一連の当り演出態様(オープニング演出、疑似ラウンド演出、エンディング演出などを含む一連の当り中演出シナリオ)を決定する際に利用される。
開始インターバル経過したならば、次いで、後述の小当り遊技後の遊技状態を指定する「小当り時遊技状態移行準備処理」を行い、続いて、下大入賞口40の開閉動作が「2R系大当り遊技」と同一または酷似する動作態様となるように、下大入賞口ソレノイド42cを制御するためのソレノイド用制御データを設定する。これにより、下大入賞口40が2R系大当り遊技の如く開放動作し、小当り遊技中の疑似的なラウンド遊技が実行される。なお小当り遊技中における下大入賞口40への最大入賞数は大当りによるものと同じ(たとえば、9個)となっており、当該最大入賞数に達すると、下大入賞口40が閉鎖状態に移行される。ただし、小当り遊技は大当り遊技のようなラウンド遊技が実行されないため、上記最大入賞数に達した場合、上記疑似的なラウンド遊技自体が終了されることになる。
なお小当り遊技中において下大入賞口40への入賞があった場合には、大当り遊技の場合と同じく、最大入賞数に達するまでは、入賞ごとに小当り用の「通常用大入賞口入賞コマンド(たとえば、大入賞口入賞コマンド5)」が送信され、オーバー入賞が発生した場合は小当り用の「OV用大入賞口入賞コマンド(たとえば、大入賞口入賞コマンド6)」が送信される。
したがって、小当り遊技中におけるオーバー入賞の発生は、小当り遊技中全体を通じて最大入賞数を超えたときに発生することになる。ただし本実施形態の小当り遊技では、下大入賞口40が短開放パターンで開閉されるので、オーバー入賞の発生は不可能となっており、OV用大入賞口入賞コマンドの送信自体を制限する構成となっているが、本発明はこれに限られない。たとえば、遊技性によっては、小当り遊技中の動作態様を2R系大当り遊技の動作態様と異なるものとしても差し支えない場合がある。この場合、疑似的なラウンド遊技において、下大入賞口40を長開放パターンで開閉動作させて、小当り遊技においてオーバー入賞を発生可能な構成とし、オーバー入賞が発生した場合にはOV用大入賞口入賞コマンドを送信して、所定のオーバー入賞演出(たとえば、小当り用のオーバー入賞演出)を現出させる構成としても良い。
また複数種類の小当りを設けた場合、一の小当り遊技(たとえば、小当りAによる小当り遊技)では、大入賞口を短開放パターンで開閉動作させ、他の小当り遊技(たとえば、小当りBによる小当り遊技)では、大入賞口を長開放パターンで開閉動作させ、当該他の小当り遊技においてオーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞演出を現出可能に構成しても良い。また、一の小当り遊技と他の小当り遊技の双方ともに、大入賞口を長開放パターンで開閉動作させ、いずれの小当り遊技中においてオーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞演出を現出可能に構成しても良い。また、一の小当り遊技と他の小当り遊技の双方ともに、大入賞口を長開放パターンで開閉動作させ、他の小当り遊技中においてオーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞演出を現出させず、他の小当り遊技中においてオーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞演出を現出可能に構成しても良い。上述のような構成では、小当り遊技中もオーバー入賞演出を現出させることができるので、小当り遊技の面白みを向上させることができる。
再び小当り処理の説明に戻り、小当り遊技に係る下大入賞口40の一連の開閉動作が終了したならば、エンディング演出の開始を指示する「小当り終了コマンド」を、演出制御部24に送信する。この「小当り終了コマンド」には、今回の小当り種別とその小当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、小当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この小当り終了コマンドは、エンディング演出の開始指示の役割の他に、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担い、大当り遊技に係る「大当り終了コマンド」と同じ働きをする演出制御コマンドである。
(9−6−1.小当り時遊技状態移行準備処理)
次に、上述の小当り時遊技状態移行準備処理について説明する。
小当り時遊技状態移行準備処理では、小当り遊技後の遊技状態を指定すべく、小当り遊技後の遊技状態を指定するための設定処理を行う。具体的には、まず変動パターン振分指定番号(Tcode)を取得し、次いで小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図30(ロ))を取得する。そして、小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、現在の変動パターン振分指定番号と小当り種別(特別図柄判定データ)とに基づき、遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかを取得し、この遊技状態移行テーブルを参照して、該当するデータをRAM203の所定領域(変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタ)に格納する。これにより、小当り遊技後の遊技状態が指定されるようになっている。
(T−10.小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図30(ロ))
図30(ロ)に、小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、変動パターン振分指定番号(Tcode)と当選種別(特別図柄判定データ:ここでは、小当り種別)とに関連付けられた複数種類の小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」と「JTTBL−9」とが定められており、具体的には、変動パターン振分指定番号(Tcode)と、小当り種別を識別する特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれかの遊技状態移行テーブル(小当り用の遊技状態移行テーブル)が決定されるようになっている。
(T−11.小当り用遊技状態移行テーブル:図31(ロ))
図31(ロ)を参照して、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」について説明する。これらの小当り用遊技状態移行テーブルには、小当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するためのデータとして、変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタに格納するためのデータが定められている。これらデータ値が変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタが格納されると、小当り遊技終了後の遊技状態が特定される。ここで上記「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」には、変動パターン振分指定番号バッファおよび特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するためのデータだけが定められているので、小当りに当選しても内部遊技状態の移行はなく、変動パターン選択モードとしての遊技状態の移行(変動パターン振分指定番号(Tcode)の変更)が行われるだけとなる。
なお、上記小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルでは、小当り当選時の遊技状態が通常状態(変動パターン振分指定番号00H)である場合か、またはCZ(変動パターン振分指定番号06H)である場合に限り、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかが選択されるようになっている。すなわち、遊技状態が、確変状態(変動パターン振分指定番号01H)、潜確状態(変動パターン振分指定番号02H)、時短状態(変動パターン振分指定番号03H)の場合には遊技状態の移行はなく、その小当り当選時の遊技状態が継続され、CZ中に小当り当選の場合は、再度、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかが選択されて、その小当り種別に応じてCZ継続回数が再設定されることになる(図31(ロ)参照)。
以上の小当り処理を抜けると、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<演出制御部側の処理:図24〜図29A、図32〜図35>
次に、図24〜図29A、図32〜図35を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図24)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図26)とを含んで構成される。
<11.演出制御側メイン処理:図24>
図24は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図24に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、CPU241は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図26のステップS096)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、保留加算コマンド、保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、変動停止コマンド、当り遊技中に送信される各種のコマンドなど(たとえば、大当り開始コマンド、通常用大入賞口入賞コマンド(大入賞口入賞コマンド1、2)、OV入賞用大入賞口入賞コマンド(大入賞口入賞コマンド3、4)、大当り終了コマンドなど)が含まれる。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお、上記演出シナリオは、必要に応じて異なる演出シナリオに書き換えられる(たとえば、枠演出ボタン13の操作検出に基づいて、操作時用のパーツ演出を組み込む場合がある)。この場合、変更した演出シナリオデータを上記シナリオ設定領域に再設定して、変更した演出シナリオデータに基づいて演出を現出させる。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)などに関する演出処理においても利用される。。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ部45やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図26のステップS095)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ97aまたは可動体役物モータ98aの駆動制御用データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図26のステップS094)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(12.コマンド受信割込処理:図25)
次に図25を参照して、コマンド受信割込処理について説明する。図25は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図26)よりも優先的に実行される。
まず演出制御部24(CPU241)は、図24に示すメイン処理実行中に主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて(ステップS081)、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し(ステップS082)、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS083)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部20から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。
(13.演出制御側タイマ割込処理:図26)
次に図26を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図26は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図26において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、枠演出ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、上記ボタン予告演出に利用される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、図24の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ97aまたは可動体役物モータ98aに制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物の時計針97、花型役物98)による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
<受信コマンド解析処理の内容:図27〜図29A>
図27〜図29は受信コマンド解析処理(図20のステップS073)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示したものである。以下、通常用大入賞口入賞コマンド(大入賞口入賞コマンド1、2)と、OV入賞用大入賞口入賞コマンド(大入賞口入賞コマンド3、4)を受信した場合についてそれぞれ説明する。
<13.大入賞口入賞コマンドの受信処理:図27〜図29A>
(13−1.通常用大入賞口入賞コマンドの受信処理:図27)
まず図27を参照して、通常用大入賞口入賞コマンド(大入賞口入賞コマンド1、2)を受信した場合の受信コマンド解析処理について詳細に説明する。
図27(イ)は、下大入賞口40入賞時に係る「大入賞口入賞コマンド1」を、同図(ロ)は右大入賞口50入賞時に係る「大入賞口入賞コマンド2」を受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。これら大入賞口入賞コマンド1、2は、図20の大入賞口最大入賞数確認処理のステップS564で送信される演出制御コマンドである。なお、大入賞口入賞コマンド1を受信した場合と大入賞口入賞コマンド2を受信した場合とでは、処理の仕方が類似するので、以下では図27(イ)の大入賞口入賞コマンド1に係る受信コマンド解析処理について説明し、大入賞口入賞コマンド2に係る受信コマンド解析処理については、重複記載を避けるために適宜省略しながら説明する。
図27(イ)において、演出制御部24(CPU241)は、大入賞口入賞コマンド1を受信した場合、まず現在エラー中であるか否かを判定する(ステップS701)。エラー中である場合(ステップS701:YES)、何もせずに、そのまま大入賞口入賞コマンド1受信処理を抜ける。これにより、エラーが発生中の場合には、非オーバー入賞時の大入賞口入賞演出(大入賞口通常入賞演出)は実行されないようになっている。これは、殆どのエラー種別が、スピーカ46による音演出や装飾ランプ45・LEDによる光演出や液晶表示装置36による画像表示演出などを利用したエラー報知を実行しているので、光演出と音演出とを利用した大入賞口通常入賞演出を現出することを制限(禁止)するためである。また、大入賞口通常入賞演出は、最大入賞数に達するまでの入賞球を対象とした演出態様であり、オーバー入賞球が発生したときのように遊技者が満足感や優越感を得るものでないので、エラー中に大入賞口通常入賞演出を制限しても特に問題はない。
一方、エラー中でない場合(ステップS701:NO)、次いで、図32(ロ)の「下大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を取得する(ステップS702)。
次いで、下大入賞口オーバー入賞演出選択テーブルを参照して、非オーバー入賞時の通常入賞演出データ(大入賞口通常入賞演出データ)を設定し(ステップS703)、大入賞口入賞コマンド1受信処理を抜ける。これにより、大入賞口通常入賞演出が現出されることになる。
(T−12.大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル:図32(ロ)、図33(ロ))
ここで、上記下大入賞口オーバー入賞演出選択テーブルについて説明する。図32(ロ)および図33(ロ)に、大入賞口オーバー入賞演出選択テーブルを示す。本実施形態の大入賞口オーバー入賞演出選択テーブルには、図32(ロ)に示す下大入賞口用の「下大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」と、図33(ロ)に示す右大入賞口用の「右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」とが含まれる。
上記大入賞口オーバー入賞演出選択テーブルには、1R中(今回のラウンド遊技中)におけるオーバー入賞数と、現出すべき大入賞口入賞演出とが関連付けて定められており、具体的には、オーバー入賞数に応じた大入賞口入賞演出が決定されるようになっている。
なお、図示のオーバー入賞数の欄の「+0(無し)」は、未だ最大入賞数を超えておらずオーバー入賞が発生していないことを示し、「+0」に対応する大入賞口入賞演出は、最大入賞数に達するまで現出される大入賞口入賞演出態様(非オーバー入賞時の通常入賞演出態様(大入賞口通常入賞演出態様))となっている。したがって図27(イ)に示す「大入賞口入賞コマンド1受信処理」、または図27(ロ)に示す「大入賞口入賞コマンド2受信処理」では、この「+0」に対応する大入賞口入賞演出を現出させるための演出データが選択されることになる。
他方、オーバー入賞が発生した場合には、そのオーバー入賞数に対応する大入賞口入賞演出(オーバー入賞演出)を現出させるための演出データが選択されることになる(図32(ロ)のオーバー入賞数「+1」〜「+2」の欄、図32(ロ)のオーバー入賞数「+1」〜「+3」の欄参照)。なお、オーバー入賞時のOV入賞用大入賞口入賞コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理については、図28、図29A、および図28Bにて後述する。
以上、大入賞口入賞コマンド1受信処理について説明したが、図27(ロ)に示す、右大入賞口50入賞時に係る「大入賞口入賞コマンド2」を受信した場合の「大入賞口入賞コマンド2受信処理」に関する処理の仕方も大入賞口入賞コマンド1受信処理と同じ処理内容となっており、図33(ロ)に示す「右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」に基づいて、現出すべき大入賞口入賞演出態様として、大入賞口通常入賞演出データ(オーバー入賞数「+0(無し)」に対応する演出態様)を決定する点が異なる(図27(ロ)のステップ711〜S713参照)。
(13−2.OV入賞用大入賞口入賞コマンドの受信処理:図28、図29A)
次に図28、図29Aを参照して、OV入賞用大入賞口入賞コマンド(大入賞口入賞コマンド3、4)を受信した場合の受信コマンド解析処理について詳細に説明する。
図28は、下大入賞口40入賞時に係る「大入賞口入賞コマンド3」を、図29Aは、右大入賞口50入賞時に係る「大入賞口入賞コマンド4」を受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。これら大入賞口入賞コマンド3、4は、図22の大入賞口オーバー入賞数確認処理のステップS597で送信される演出制御コマンドである。
(13−2−1.大入賞口入賞コマンド3受信処理:図28)
図28を参照しながら、下大入賞口40入賞時に係る「大入賞口入賞コマンド3」受信した場合の受信コマンド解析処理(大入賞口入賞コマンド3受信処理)について詳細に説明する。
図28において、演出制御部24は、大入賞口入賞コマンド3を受信した場合、まず現在、エラー中であるか否かを判定する(ステップ811)。エラー中である場合(ステップS811:YES)、そのエラー種別を判定し(ステップS812)、第1種エラーに属するエラー種別である場合には(ステップS812:=第1種エラー)、何もせずに、そのまま大入賞口入賞コマンド3受信処理を抜ける。これにより、深刻度の高い第1種エラーが発生中の場合には、オーバー入賞数がカウントされることなく、またオーバー入賞演出が実行されないようになっている。
一方、エラー中でない場合(ステップS811:NO)、またはエラー中であってもそのエラー種別が第1種エラー場合(ステップS811:YES、かつステップS812:≠第1種エラー)、ステップS813の処理に進み、大入賞口入賞コマンド3カウンタに1加算する(ステップS813)。この大入賞口入賞コマンド3カウンタは、1R中(今回のラウンド遊技中)の下大入賞口40に対するオーバー入賞数をカウントするためのカウンタである。本実施形態では、大入賞口入賞コマンド3の受信する度に、この大入賞口入賞コマンド3受信処理が実行され、大入賞口入賞コマンド3カウンタがインクリメント処理されるようになっている。これにより、演出制御部24が下大入賞口40に対するオーバー入賞数を把握することができるようになっている。なお大入賞口入賞コマンド3カウンタは、1R中に発生したオーバー入賞数をカウントするものであるため、次回のラウンド遊技が開始されるときの「大入賞口開放コマンド(1R目は、大当り開始コマンド)」、または今回のラウンド遊技が終了したときの「ラウンド終了コマンド(最終ラウンド終了時は、大当り終了コマンド)」を受信した場合、ゼロクリアされるようになっている(後述の大入賞口入賞コマンド4カウンタも同様)。
次いで、今回の当り種別を判定する(ステップS814)。今回の当り種別が12R長開放確変大当りでない場合には(ステップS814:≠12R長開放確変)、後述のステップS818の処理に進み、12R長開放確変大当りである場合には(ステップS814:=12R長開放確変)、大入賞口入賞コマンド3カウンタを取得する(ステップS815)。
次いで、確変報知抽選処理を行う(ステップS815)。確変報知抽選処理では、既に説明した「確変報知抽選」を行う。ここでは、現在のラウンド数を確認し、図示しない「確変報知抽選テーブル」を参照して確変報知抽選を行う。なお本実施形態では、1R目〜8R目の場合、所定の演出抽選用乱数を利用して上記確変報知抽選を行うようになっている。
(T−13.確変報知抽選テーブル)
上記確変報知抽選テーブルには、オーバー入賞数(大入賞口入賞コマンド3カウンタ値)と確変報知抽選の当選確率とが関連付けて定められており、具体的には、大入賞口入賞コマンド3カウンタ値に応じた当選確率(たとえば、「オーバー入賞+1(オーバー入賞1個)」の場合は10%、「オーバー入賞+2(オーバー入賞2個)」の場合は20%の確率で当選)が定められている。
上記確変報知抽選処理を終えると、確変報知抽選に当選したか否かを判定する(ステップS817)。確変報知抽選に当選していない場合(ステップS817:NO)、図32(ロ)の「下大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を取得し(ステップS818)、次いで、オーバー入賞演出設定処理を行う(ステップS819)。
上記「オーバー入賞演出設定処理」では、確変報知抽選に非当選(ハズレ)の場合の演出処理として、図32(ロ)の「下大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を参照して、オーバー入賞数(大入賞口入賞コマンド3カウンタ値)に応じたオーバー入賞演出データを設定する。本実施形態の場合、光演出および音演出によるオーバー入賞演出が実行されることになる。これにより、大入賞口入賞コマンド3受信処理を抜ける。
一方、確変報知抽選に当選した場合(ステップS817:YES)、確変報知演出用演出データを設定するための確変報知演出設定処理を行う(ステップS820)。これにより、確変報知抽選に当選した場合には、時計針97を利用した「確変報知演出」が現出されることになる。そして、確変報知演出設定処理を終えると、大入賞口入賞コマンド3受信処理を抜ける。
(13−2−2.大入賞口入賞コマンド4受信処理:図29A〜図29B)
次に図29Aを参照しながら、右大入賞口50入賞時に係る「大入賞口入賞コマンド4」受信した場合の受信コマンド解析処理(大入賞口入賞コマンド4受信処理)について詳細に説明する。なお、大入賞口入賞コマンド4受信処理において、上記した大入賞口入賞コマンド3受信処理と実質的に同じ処理内容については、重複記載を避けるために適宜省略しながら説明する。
図29Aにおいて、演出制御部24は、大入賞口入賞コマンド4を受信した場合、まず現在、エラー中であるか否かを判定する(ステップ851)。エラー中である場合(ステップS811:YES)、「エラー中OV入賞演出設定処理」に進む(ステップS852)。このエラー中OV入賞演出設定処理については、図29Bにて後述する。
一方、エラー中でない場合(ステップS851:NO)、つまり「正常時」である場合、正常時におけるオーバー入賞演出に関する演出処理として、以下のステップS853〜S858の処理を実行する。
ステップS853の処理に進むと、大入賞口入賞コマンド4カウンタに1加算する(ステップS853)。この大入賞口入賞コマンド4カウンタは、1R中(今回のラウンド遊技中)の右大入賞口50に対するオーバー入賞数をカウントするカウンタである。
次いで、図33(ロ)の「右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を取得し(ステップS854)、次いで、オーバー入賞演出設定処理を行う(ステップS855)。
上記オーバー入賞演出設定処理では、上記右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブルを参照して、オーバー入賞数(大入賞口入賞コマンド4カウンタ値)に応じたオーバー入賞演出データを設定する(ステップS856)。本実施形態では、右大入賞口50にオーバー入賞が発生した場合、下大入賞口40とは異なり、音演出と光演出に加えて、花型役物98を利用した可動体演出が実行されるようになっている(図32および図33参照)。
次いで、オーバー入賞球累積個数カウンタに1加算する(ステップS856)。このオーバー入賞球累積個数カウンタは、当り遊技中を通じて(ここでは、大当り遊技中(全ラウンド遊技中))の右大入賞口50に対するオーバー入賞球の累積個数をカウントするカウンタである。本実施形態では、大入賞口入賞コマンド4の受信する度に、この大入賞口入賞コマンド4受信処理が実行され、オーバー入賞球累積個数カウンタがインクリメント処理されるようになっている。これにより、演出制御部24が右大入賞口50に対するオーバー入賞累積数を把握することができるようになっている。なおオーバー入賞球累積個数カウンタは、オーバー入賞球の累積個数をカウントするものであるため、大当り遊技が終了したときの「大当り終了コマンド」を受信した際にゼロクリアされるようになっている。
次いで、図34の「右大入賞口オーバー入賞累積数表示演出選択テーブル」を取得し(ステップS857)、次いで、オーバー入賞累積数表示処理を行う(ステップS858)。
(T−14.右大入賞口オーバー入賞累積数表示演出選択テーブル:図34)
上記右大入賞口オーバー入賞累積数表示演出選択テーブルには、図34に示すように、オーバー入賞累積数と、時計針97と数字表示部80(数字セクター80a)とによる「累積数表示演出」とが関連付けて定められており、具体的には、オーバー入賞累積数に応じた累積数表示演出態様が決定されるようになっている。なお、上記累積数表示演出態様についての詳細は、既に説明したので省略する。
上記右大入賞口オーバー入賞累積数表示演出選択テーブルにおいて、図示のオーバー入賞累積数の欄の「+0(無し)」は、未だオーバー入賞が発生していないことを示し、この場合、累積数表示演出は現出せずに、図示はしていないが、大当り遊技開始時に時計針97と数字セクター80aが初期状態を保持するようになっている。具体的には、時計針97は初期位置(本実施形態では、長針と短針が丁度12時(XII)を指す位置)に移動し、数字セクター80aは、消灯状態または初期色の「白色」の発光態様を保持する。
他方、オーバー入賞が発生した場合には、そのオーバー入賞累積数に対応する累積数表示演出を現出させるための演出データ(オーバー入賞累積数演出データ)が選択されることになる(図34のオーバー入賞累積数「+1」〜「+13」の欄参照)。これにより、オーバー入賞累積数に対応して、時計針97と数字セクター80aとを利用した「累積数表示演出」が現出されることになる。なお図示では、説明の便宜上、13個以上の場合(13個〜24個)ついての詳細は省略してあり、時計針97の演出態様を「特殊歩進動作」と略記し、数字表示部80(数字セクター80a)の演出態様を「特殊点灯演出(特殊光演出態様)」と略記している。
以上により、ステップS858のオーバー入賞累積数表示処理を終えると、大入賞口入賞コマンド4受信処理を抜ける。
(13−2−3.エラー中OV入賞演出設定処理:図29B)
次に、図29A中のエラー中OV入賞演出設定処理(ステップS852)について説明する。図29Bは、ステップS852のエラー中OV入賞演出設定処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、エラー中におけるオーバー入賞演出に関する演出処理を行う。なお、図29Aと同じ処理内容については重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
図29Bにおいて、演出制御部24は、まず現在発生中のエラー種別を判定する(ステップS871)。現在発生中のエラーが第1種エラーである場合には(ステップS871:=第1種エラー)、何もせずに、そのまま大入賞口入賞コマンド4受信処理を抜ける。これにより、第1種エラーである場合には、オーバー入賞演出自体が制限(禁止)されることになる。
現在発生中のエラーが第1種エラーでない場合(ステップS871≠第1種エラー)、ステップS872の処理に進み、大入賞口入賞コマンド4カウンタに1加算する(ステップS872)。
次いで、図33(ロ)の「右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を取得し(ステップS873)、次いで、エラー中オーバー入賞演出設定処理を行う(ステップS874)。
上記エラー中オーバー入賞演出設定処理では、上記ステップS856と同様に、図33(ロ)の「右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を参照して、オーバー入賞数(大入賞口入賞コマンド4カウンタ値)に応じたオーバー入賞演出データを設定するが、ここでは、エラー中であるため、図示の光演出および音演出に係る演出データは設定せずに、可動体演出に係る演出データを設定する。これにより、光演出および音演出によるエラー報知を妨げることなく、可動体演出によるオーバー入賞演出が実現される。
具体的には、図示の右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブルにおける花型役物98の演出データだけを設定する。したがって、エラー中であってもオーバー入賞が発生した場合は、花型役物98が動作してオーバー入賞が発生した旨を報知することができる。また本実施形態では、正常時と同じ動作態様で花型役物98が動作するようになっており、オーバー入賞の発生を遊技者が認識し易いようになっている。
なお本実施形態の場合、図33(ロ)の「右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を利用しているが、エラー中に参照される、エラー中専用の演出選択テーブルを別途設けても良い。
また、光演出および音演出に関し、オーバー入賞が発生した際、図33(ロ)の「右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」の演出データ(正常時のオーバー入賞用演出データ)を設定しておき、エラー中はエラー報知用の演出データを優先的に実行させ、エラー終了後は、正常時のオーバー入賞用演出データを実行させるように構成しても良い。具体的には、エラー中はエラー報知用の演出データを実行させているが、これと重複的に、バックグラウンドで正常時のオーバー入賞用演出データを実行させておくように制御する(バックグラウンド演出制御手段)。この場合、エラー報知の終了直前に、たまたまオーバー入賞が発生した場合、これによるオーバー入賞演出に係る可動体演出は既に実行されているが、エラー報知終了後には、直ちに、正常時のオーバー入賞演出に係る音演出と光演出とを実行させることができる。これにより、エラーが発生しなければ現出されるはずであった、本来のオーバー入賞演出を直ちに現出させることができるので好適である。
次いで、オーバー入賞球累積個数カウンタに1加算する(ステップS875)。
次いで、図34の「右大入賞口オーバー入賞累積数表示演出選択テーブル」を取得し(ステップS876)、次いで、エラー中オーバー入賞累積数表示処理を行う(ステップS877)。
上記エラー中オーバー入賞累積数表示処理では、上記ステップS858と同様に、図34の「右大入賞口オーバー入賞累積数表示演出選択テーブル」を参照して、オーバー入賞累積数に応じたオーバー入賞累積数演出データを設定するが、ここでは、エラー中であるため、図示の光演出に係る演出データは設定せずに、可動体演出に係る演出データを設定する。これにより、光演出および音演出によるエラー報知を妨げることなく、可動体演出によるオーバー入賞演出が実現される。
具体的には、図示の右大入賞口オーバー入賞累積数表示演出選択テーブルにおける時計型役物の時計針97の演出データだけを設定する。したがって、エラー中であっても時計針97が動作し、以ってオーバー入賞累積数を報知することができる。また本実施形態では、正常時と同じ動作態様で時計針97が動作するようになっており、オーバー入賞累積数を遊技者が認識し易いようになっている。なお、数字表示部80をエラー報知手段として利用しない場合には、数字表示部80の演出データも設定することができる。この場合は、正常時と同一の累積数表示演出態様が現出されることになる。
また、数字表示部80の光演出に関し、オーバー入賞が発生した際、図34(ロ)の「右大入賞口オーバー入賞累積数表示演出選択テーブル」の演出データ(正常時のオーバー入賞累積表示用演出データ)を設定しておき、エラー中はエラー報知用の演出データを優先的に実行させ、エラー終了後は、正常時のオーバー入賞累積表示用演出データを実行させるように構成しても良い。具体的には、ステップS874で説明した「バックグラウンド演出制御手段」に関する演出制御と同じように、エラー中はエラー報知用の演出データを実行させているが、これと重複的に、バックグラウンドで正常時のオーバー入賞累積表示用演出データを実行させておくように制御する。この場合、エラー報知の終了直前に、たまたまオーバー入賞が発生した場合、これによるオーバー入賞演出に係る可動体演出は既に実行されているが、エラー報知終了後には、直ちに、正常時の数字表示部80による光演出を実行させることができる。これにより、エラーが発生しなければ現出されるはずであった、本来の累積数表示演出を直ちに現出させることができるので好適である。
以上により、ステップS877のエラー中オーバー入賞累積数表示処理を終えると、大入賞口入賞コマンド4受信処理を抜ける。
〔20.第2の実施形態〕
上記に説明した第1の実施形態では、オーバー入賞に起因して特定演出として、「確変報知演出」を現出させると説明した。その変形形態(第2の実施形態)として、特別遊技中予告演出について説明する。
本実施形態では、今回の当り遊技に係る作動保留球よりも新しい作動保留球が存在していたり、また小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われないので(図9のステップS303〜304参照)、当り遊技中に始動口に入賞して新たな作動保留球数が発生したりする場合がある。これを利用し、オーバー入賞演出の一態様として、次のような演出を現出可能に構成することができる。
上記第1の実施形態では、オーバー入賞に起因した特殊演出として「確変報知演出」を現出させると説明した。この「確変報知演出」では、遊技者が知りたい遊技情報(ここでは、確変大当りか否かの情報)が報知可能な演出態様である。
(特別遊技中予告演出(当り遊技中先読み予告演出))
本実施形態では、上記特殊演出の変形形態として、オーバー入賞発生時において作動保留球が存在する場合、そのオーバー入賞に起因した「特別遊技中予告演出」を現出させる。つまり、この「特別遊技中予告演出」は、上記「保留表示変化系」や「変動開始時変化系」の先読み予告演出と同じような役割を持つ演出態様であるが、「保留表示変化系」や「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、作動保留球発生時にその実行可否が決定されて1または複数回の図柄変動表示ゲームにて実行される予告演出であるのに対し、上記特別遊技中予告演出は、図柄変動表示ゲームが停止中の‘当り遊技中’においてオーバー入賞の発生を条件に実行される予告演出である点でその性質を異にする。
上記特別遊技中予告演出では、たとえば、現存する作動保留球の中に大当り当選に係る作動保留球がある旨(保留内当選確定報知)、または、大当り当選に係る作動保留球が存在する可能性がある旨(保留内当選期待度)を報知可能な演出態様とすることができる。
なお、保留内当選期待度を示唆する演出内容とする場合は、大当り当選に係る作動保留球がある場合には、保留内当選期待度が相対的に高いことを示唆する演出態様を現出させ、大当り当選に係る作動保留球がない場合には、保留内当選期待度が相対的に低いことを示唆する演出態様を現出させることができる。なお、特別遊技中予告演出には、たとえば、保留内当選期待度に応じた画像表示演出(たとえば、保留内当選期待度に応じた保留表示変化演出)、音演出、光演出、可動体演出を現出させることができる。
なお、大当り遊技の前後で大当り抽選確率が変動する場合がある。たとえば、通常遊技状態中に確変大当りに当選した場合、大当り遊技前は低確率状態であるが、大当り遊技後には高確率状態に移行される。また大当り遊技中においては、一旦低確率状態に移行するようになっており(後述の図15AのS475参照)、大当り遊技中に作動保留球が生じて、これを対象とした先読み判定を行うと、先読み判定時には低確率状態で当落抽選をし、変動開始時には高確率状態で当落抽選をしてしまうといった不具合が生じてしまい、その結果、先読み判定結果が矛盾し、これにより特別遊技中予告演出にも矛盾が生じる恐れがある。
そこで本実施形態では、オーバー入賞時に、今回当選した大当り種別により、大当り遊技終了後の抽選確率状態が高確率であるか低確率であるかを判定し、大当り遊技前に存在した作動保留球および大当り遊技中の新たな作動保留球に対して、大当り終了後の抽選確率状態で先読み判定を行うように構成し、その先読み判定結果情報を演出制御コマンドに含ませて、演出制御部24側に送信する。これにより、演出制御部24側が、現存する作動保留球が、大当り当選保留であるか否かを把握することができる。
上記特別遊技中予告演出に係る演出制御は、まず主制御部20側から上述の先読み判定結果情報を含む演出制御コマンドが演出制御部24に送信され、演出制御部24がこれを受信した場合、現存する作動保留球のいずれが大当り当選保留であるか否かを把握する。そして、オーバー入賞時に送信されてくる「OV入賞用大入賞口入賞コマンド」を受信した場合、「特別遊技中予告演出抽選」を実行し、その抽選結果に基づいて上記「特別遊技中予告演出」を現出させる。
また、大当りに当選すれば、大当り遊技終了後は必ず高確率状態に移行する遊技機、たとえば、ST規定回数108回まで確変状態が継続する所謂「回数切り確変機(ST機)」)の場合、先読み判定の際に高確率状態と仮定して先読み判定を行うことができる。
本実施形態では、特別遊技中予告演出により特定の遊技情報が報知されるので、上記確変報知演出の場合と同じく、遊技者が積極的にオーバー入賞を狙うようになり、当り遊技に対する技術介入性を増すことができる。また、オーバー入賞の発生により、オーバー入賞分の獲得賞球増加による優越感を遊技者に対して与えることができるだけでなく、オーバー入賞に起因して、現存する作動保留球の中に大当り当選保留があるか否かの遊技情報が事前報知されうるので、緊張感や高揚感をも与えることができる。その結果、当り遊技が単調化してしまうことを防止し、当り遊技の面白み(オーバー入賞時による遊技の面白み)を大きく向上させることができる。
〔第3の実施形態〕
上記第1の実施形態では、当り種別に応じていずれかの大入賞口が開閉制御され、同じ機能を持つ大入賞口について説明した。しかし本発明はこれに限らず、次のような遊技性のパチンコ遊技機にも適用可能である。以下、これについて説明する。なお上記第1の実施形態と同じ内容については重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
従来、遊技球が入賞装置の特定領域を通過することで、遊技者に有利な遊技状態へ移行する権利(たとえば、確変状態)を付与するものが知られている。たとえば、特許文献1(特開2013−13586号公報:たとえば段落0067、0074、図11)の遊技機は、特別変動入賞装置として、通常大入賞口(通常アタッカー)を備える特別変動入賞装置と、上記特定領域が形成された特別大入賞口(Vアタッカー)を備える特別変動入賞装置とを有する。この種のパチンコ遊技機を「確変判定装置付遊技機」と称する。
本実施形態に係るパチンコ遊技機として、上記の「確変判定装置付遊技機」に適用した実施形態について説明する。なお、以下では説明の便宜のために、特図1側の大当り抽選対象となる当り種別を「12R通常大当り」と「12R特別大当り」とし、特図2側の大当り抽選対象となる当り種別を「16R特別大当り」であるものとして説明する。なお、大当り抽選確率は、低確率時は1/398、高確率時は1/60とし、特図1側の「12R通常大当り」と「12R特別大当り」の図柄抽選確率は、それぞれ96/200(48%)、104/200(52%)とし、特図2側の「16R特別大当り」は100%とする。ただし本発明は、上記大当り種別や大当り抽選確率に限定されず、本発明の効果を奏することができるものであれば、非確変大当り種別や潜確大当り種別を1または複数種類設けることができる。また遊技盤の構成(遊技部品の配置構成)は、既に説明した実施形態(図2参照)と同じものとして説明する。
なおここでは、下大入賞口40は上記通常アタッカーとして機能し、右大入賞口50は上記Vアタッカーとして機能する大入賞口として形成されている。
また右大入賞口50には、上記特定領域を通過(入賞)した遊技球を検出する「特定領域検出スイッチ」と、非特定領域を通過した遊技球を検出する「非特定領域検出スイッチ」とが形成されており、いずれかの領域に遊技球が通過すれば、所定数の賞球が払い出されるようになっている。
また右大入賞口50には、その内部に、図示しない振分部材(振分手段)が形成され、この振分部材により右大入賞口50内に入球した遊技球が、上記特定領域または非特定領域のいずれかに振り分けられるようになっている。この振分部材が特定領域側に遊技球を誘導する動作を「V入賞動作」と称し、その期間を「V入賞誘導期間」と称する。他方、非特定領域側に遊技球を誘導する動作を「通常入賞動作」と称し、その期間を「通常入賞誘導期間」と称する。なお、上記振分部材の動作制御は、主制御部20がその機能部を担う「振分制御手段」により制御されるようになっている。
また右大入賞口50内の特定領域を通過できなかった場合には「時短無しの通常遊技状態(通常状態)」に移行され、特定領域を通過できた場合には、必ず確変状態に移行されるようになっている。なお非特定領域に遊技球が通過しても確変状態には移行されない。なお、上記確変状態への移行制御は、主制御部20がその機能部を担う「確変移行判定制御手段」により制御されるようになっている。確変移行判定制御手段は、上記特定領域検出スイッチの検出情報に基づき、確変状態への移行制御を行う。
先ず本実施形態に係る各大当りによる当り遊技および当り遊技後の遊技状態について説明しておく。
(21−1.「12R通常大当り」について)
上記「12R通常大当り」に当選した場合、その大当り遊技では、たとえば1R目〜5R目までは下大入賞口40が第1開閉パターンで開閉されるラウンド遊技が実行され(以下、下大入賞口40が開放されるラウンドを「通常ラウンド」と称する)、6R目には右大入賞口50が第2開閉パターンで開閉されるラウンド遊技が実行され(以下、右大入賞口50が開放されるラウンドを「特別ラウンド」と称する)、7R目〜12R目までは下大入賞口40が、再度、第1開放パターンで開閉されるラウンド遊技が実行されるようになっている。
(第1開閉パターンについて)
上記通常ラウンドに係る「第1開閉パターン」とは、下大入賞口40の最大開放時間が「長開放時間」の‘29.8秒’に設定される長開放パターンとなっている。
(第2開閉パターンについて)
また上記特別ラウンドに係る「第2開閉パターン」とは、まず所定時間(ここでは、8秒)が経過するまで右大入賞口50を開放させ、その開放時間(8秒)が経過した後、右大入賞口50を閉鎖する、といった開閉パターンとなっている。つまり、第2開閉パターンは、「ラウンド遊技開始後8秒間の開状態→閉鎖状態」というVアタッカーの開閉動作パターンとなっている(第2開閉パターンが実行される特別ラウンド遊技(第1の特別ラウンド遊技))。
なお右大入賞口50が閉鎖された後は、残存球排出時間(ここでは、右大入賞口の内部構造上、長めの4.98秒としている)と開放前インターバル時間(20ms)が経過した後、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の12R・16R特別大当りについても同様)。
(振分部材の動作について)
ここで大当り遊技中の上記振分部材の動作は、次のようになる。まず特別ラウンド遊技が開始されると、まず所定時間(ここでは、0.02秒)「V入賞動作」を実行し、その後、所定時間(ここでは、9.98秒)「通常入賞動作」を実行し、その後、再度、10秒間「V入賞動作」を実行し通常入賞動作に戻る、といった動作を実行する。したがって本実施形態では、「0.02秒間のV入賞誘導期間→9.98秒間の通常入賞誘導期間→10秒間のV入賞誘導期間」、といったV入賞誘導期間およびV入賞非誘導期間を作り出している。なお、各大当り遊技中において、振分部材の動作は同一の動作態様に制御される。
上記「12R通常大当り」では、特別ラウンド遊技開始後に8秒間だけ右大入賞口50が開放されるが、右大入賞口50の開放と同期するように、振分部材が「V入賞動作」を0.02秒しか実行せず、直ちに9.98秒間の「通常入賞動作」に移行してしまう。したがって12R通常大当りの場合は、右大入賞口50内に遊技球が入球しても特定領域への通過がほぼ不可能とされる。これにより、12R通常大当りに当選しても、確変状態への移行は期待できないものとなっている。しかし、特定領域が閉鎖されても、非特定領域には遊技球が入賞可能な時間が8秒間分確保されており、右大入賞口50への入賞による賞球が獲得できるようになっている。このため、12R通常大当りに係る特別ラウンド遊技では、特定領域通過による「V入賞」を獲得することは困難または不可能となされるが、「V入賞も賞球も期待できない」といったラウンド遊技という訳ではなく、少なくとも賞球が獲得できるような特別ラウンド遊技が実行されるようになっている。このため、12R通常大当りに係る特別ラウンドが有意義なものとなっている。
(21−2.「12R特別大当り」について)
上記「12R特別大当り」に当選した場合、その大当り遊技では、たとえば1R目〜5R目までは下大入賞口40が上記第1開閉パターンで開閉される「通常ラウンド遊技」が実行され、6R目には右大入賞口50が、上記第2開閉パターンと異なる‘第3開閉パターン’で開閉される「特別ラウンド遊技」が実行され、7R目〜12R目までは下大入賞口40が、再度、上記第1開放パターンで開閉されるラウンド遊技が実行されるようになっている。この12R特別大当りは、上記12R通常大当りの特別ラウンド遊技動作が異なる。
(第3開閉パターンについて)
上記特別ラウンドに係る「第3開閉パターン」とは、まず所定時間(ここでは、10秒)が経過するまで右大入賞口50を閉鎖し、その閉鎖時間(10秒)が経過した後、右大入賞口50を所定時間(ここでは、10秒)開放し、その開放時間(10秒)が経過した後、右大入賞口50を閉鎖する、といった開放パターンとなっている。つまり、第3開閉パターンは、「ラウンド遊技開始後10秒間の閉状態→10秒間開状態→閉鎖状態」というVアタッカーの開閉動作パターンとなっている(第3開閉パターンが実行される特別ラウンド遊技(第2の特別ラウンド遊技))。
この「12R特別大当り」では、特別ラウンド遊技開始後の10秒間、右大入賞口50閉鎖されるが、その後、右大入賞口50が10秒間開放されるので、右大入賞口50が開放されると同時に、上記振分部材が10秒間の「V入賞動作」を実行して‘V入賞誘導期間’を作り出すことになる。つまり、右大入賞口50の開状態期間と振分部材によるV入賞誘導期間とが長時間重複(本実施形態では、双方の期間が10秒間一致する)することになるので、右大入賞口50への入賞および特定領域への通過は非常に容易なものとされ、遊技者が意図的に遊技球の発射を停止したり、左流下経路3b側を狙い打ったりしない限り、「V入賞」が確実なものとなる。これにより、12R特別大当りに当選した場合、確変状態に容易に移行させることができるようになっている。
(21−3.「16R特別大当り」について)
上記「16R特別大当り」に当選した場合、その大当り遊技では、1R目〜12R目までは、上述した12R特別大当りによる大当り遊技動作と同じ動作態様となっており、13R目〜15R目までは下大入賞口40が上記第1開閉パターンで開閉される「通常ラウンド遊技」が実行され、16R目には右大入賞口50が、上記第3開閉パターンで開閉される「特別ラウンド遊技」が実行されようになっている。したがって、この16R特別大当りの場合、上記第3開閉パターンで開閉される2回の特別ラウンド遊技が実行されるため、右大入賞口50への入賞は非常に容易なものとされ、特定領域への通過がより確実なものとされる。これにより、16R特別大当りに当選した場合、確変状態に極めて容易に移行させることができるようになっている。
なお確変状態に移行した場合は、ST規定回数108回の確変状態が付与され、この確変状態中に大当りに当選しなかった場合か、または大当りに当選しても特定領域を通過できなかった場合、確変状態が終了され、通常遊技状態に移行されるようになっている。
ところで上記特許文献1のような従来のパチンコ遊技機では、上記Vアタッカーの内部には、特定領域と非特定領域が形成されており、上記Vアタッカーの開閉動作パターンには、長開放パターンと短開放パターンの2種類がある。この長開放パターンではVアタッカーが長時間開放され、遊技球がその内部に形成された特定領域を通過し易く構成されている。他方、短開放パターンでは、Vアタッカーが短時間(たとえば、最大0.3秒)しか開放されず、遊技球の特定領域の入賞だけでなく通常の入賞も非常に難しいものとなっている(特許文献1、段落0067、0074、図11)。すなわち、Vアタッカーが短開放パターンで開放されるラウンド遊技は、実質的にほとんど意味がないものとなっている。
しかし、本実施形態に係るパチンコ遊技機では、第1開放パターン〜第3開放パターンの大入賞口開閉動作と、振分部材の動作態様との関係をうまく制御し、特定領域へ入賞を阻むような通常大当りに係る特別ラウンドにおいても、少なくとも賞球は獲得できるようになっており、遊技者に利益をもたらすことができるようになっている。遊技者にとり上記特別ラウンドが有意義なものとなっている。
また本実施形態では、通常大当りによる大当り遊技(第1特別遊技)と特別大当りによる大当り遊技(第2特別遊技)とに係る特別ラウンド遊技において、振分部材は共通の動作パターンにより動作制御されるので、遊技球の特定領域の通過し易さは、大入賞口の開閉扉の開閉パターンにより定まる。これにより、遊技機の制御負担を軽減しつつ、遊技球の特定領域の通過を制御することができる。
また通常大当りに係る上記第2開閉パターンでは、通常入賞誘導期間中にVアタッカーが開状態となるので、遊技球がV入賞することは不可能であるが、ある程度の遊技球が非特定領域側に入賞可能となっている。これにより、当該特別ラウンド中においても賞球が獲得可能となり、特定領域への入賞(V入賞)を阻むことを目的とした第2開閉パターンによる特別ラウンド遊技においても遊技者に利益をもたらすことができる。
また本実施形態では、通常大当りに係る特別ラウンド遊技において、最初に到来するV入賞誘導期間(0.02秒)と一部が重なる時期にVアタッカーが開状態になり、V入賞の可能性を僅かに残している。またこの開状態は、その後に到来する長時間のV入賞誘導期間(10秒)が開始するまでには閉状態に移行されるので、V入賞の可能性はない。これにより、偶然によるV入賞が起こらず、明確な遊技性とすることができる。
また特別大当りに係る上記第3開閉パターンでは、特別ラウンド遊技開始後、最初に到来する通常入賞誘導期間中(9.98秒間)はVアタッカーが閉状態に保たれるので、Vアタッカーへの入賞を制限される。その間、遊技者に特定領域への入賞を促すための演出(特定領域入賞指示演出)を実行し、遊技者に対し、落ち着いてV入賞を狙うことができるようにしている。
(21−1.オーバー入賞演出について)
本実施形態に係る確変判定装置付遊技機では、上述したように、ラウンド数に応じて、下大入賞口が開放される「通常ラウンド」と、右大入賞口50が開放される「特別ラウンド」が実行される。ここでは、下大入賞口40にオーバー入賞が発生した場合、上記実施形態で説明したものと同じように、図32(ロ)に示す「下大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を参照して、オーバー入賞数(+0〜+3)に対応する演出データを設定し、これにより、下大入賞口40に対応したオーバー入賞演出を現出させることができる。また右大入賞口50にオーバー入賞が発生した場合、図33(ロ)に示す「右大入賞口オーバー入賞演出選択テーブル」を参照して、オーバー入賞数(+0〜+3)に対応する演出データを設定し、これにより、右大入賞口50に対応したオーバー入賞演出を現出させることができる。
図37を参照して、本実施形態の確変判定装置付遊技機のオーバー入賞演出について説明する。図37は、本実施形態に係るオーバー入賞演出の説明に供する説明図である。
図37を参照して、「12R通常大当り」による大当り遊技の場合、1R目〜5R目と7R目〜12R目は、‘下大入賞口40が開閉される通常ラウンド遊技‘であるので、オーバー入賞演出として、「音演出および光演出」によるオーバー入賞演出が現出されうる(図32(ロ)、図37の「1R〜5R」と「7R〜12R」の欄参照)。6R目は、‘右大入賞口50が開放される特別ラウンド遊技‘であるので「音演出、光演出、および可動体演出」が現出されうる(図33(ロ)、図37の「6R」の欄参照)。なお、上記6R目に実行される「第2開閉パターン」による特別ラウンド遊技において、右大入賞口50の入賞数が最大入賞数に達するのないような開閉パターンを実行させても良いし、オーバー入賞が発生しうるような開閉パターンを実行させても良い。
また「12R特別大当り」による大当り遊技の場合、1R目〜5R目と7R目〜12R目は、‘下大入賞口40が開閉される通常ラウンド遊技‘であるので、オーバー入賞演出として、「音演出および光演出」によるオーバー入賞演出が現出されうる(図32(ロ)、図37の「1R〜5R」と「7R〜12R」の欄参照)。6R目は、‘右大入賞口50が開放される特別ラウンド遊技‘であるので「音演出、光演出、および可動体演出」が現出されうる(図33(ロ)、図37の「6R」の欄参照)。なお、上記6R目に実行される「第3開閉パターン」による特別ラウンド遊技において、右大入賞口50の入賞数が最大入賞数に達するのないような開閉パターンを実行させても良いし、オーバー入賞が発生しうるような開閉パターンを実行させても良い。
また「16R特別大当り」による大当り遊技の場合、1R目〜12R目は上述の「12R特別大当り」と同じである。13R目〜15R目は‘下大入賞口40が開閉される通常ラウンド遊技‘であるので、「音演出および光演出」によるオーバー入賞演出が現出されうる(図32(ロ)、図37の「13R〜15R」欄参照)。16R目は、‘右大入賞口50が開放される特別ラウンド遊技‘であるので「音演出、光演出、および可動体演出」が現出されうる(図33(ロ)、図37の「16R」の欄参照)。
なお本実施形態において、エラー中のオーバー入賞演出については、上記第1の実施形態と同じ処理を行うことができる。ここでは、特別ラウンド遊技中に発生したオーバー入賞演出に可動体役物を利用しているので、特定のエラー種別(第2種エラーおよび/または第3種エラー)中においては、装飾ランプ45、スピーカ46、液晶表示装置36などによりエラー報知を実行し、そのエラー報知中にオーバー入賞が発生した場合には、エラー中にかかわらず、花型役物98や時計型役物(数字表示部80、時計針97)を正常時と同じように動作させてオーバー入賞演出を実行する。これにより、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
また本実施形態では、各大当り遊技についてオーバー入賞演出が発生しうる構成を説明したが、大当り種別に応じてオーバー入賞演出の実行可否を決定するように構成しても良い。たとえば、16R特別大当りに限り、オーバー入賞演出を発生可能に構成することができる。
〔第4の実施形態〕
上記第1の実施形態では、各大入賞口に係る最大入賞数は同一(たとえば、9個)であるとして説明した。しかし本発明はこれに限らず、一の大入賞口と他の大入賞口とで、最大入賞数を異なるものとすることができる。
たとえば、下大入賞口40側はオーバー入賞が相対的に発生しにくい形態としているので、下大入賞口40側の最大入賞数を右大入賞口50の最大入賞数よりも少ない入賞数に定めることができる。具体的には、右大入賞口50の最大入賞数を「9個」、下大入賞口40側の最大入賞数をそれよりも少ない「7個」に定めることができる。これにより、下大入賞口40に対するオーバー入賞の発生チャンスを増加させることができるので、当り遊技中のお得感を増すことができる。またこれに伴い、オーバー入賞演出の実行確率も高まるので、当り遊技中の面白みを向上させることができる。また、オーバー入賞の発生率が異なる大入賞口同士であっても、大入賞口に応じて最大入賞数を異なる入賞数に定めることで、オーバー入賞発生率を同じ発生率とすることができるようになる。
〔第5の実施形態〕
上記第4の実施形態については、各大入賞口に係る最大入賞数(たとえば、9個)が異なる形態について説明した。しかし本発明はこれに限らず、ラウンド遊技の形態に応じて最大入賞数を異ならせることができる。たとえば、長開放パターンに係るラウンド遊技と、短開放パターンに係るラウンド遊技とで、最大入賞数を異ならせることができる。
具体的には、長開放パターンに係るラウンド遊技では、最大開放時間中にオーバー入賞が発生しうる点に着目して最大入賞球を、たとえば「9個」とするが、短開放パターンに係るラウンド遊技については、遊技球が入賞する前にラウンド遊技が終了しうる点に着目し、最大入賞数を、たとえば「0個」に定め、遊技球が1個でも入賞すれば、これをオーバー入賞球扱いとするようにする。これにより、短開放パターンが実行されるラウンド遊技中においても、オーバー入賞演出の発生機会を得られるようにし、短開放パターン係るラウンド遊技中に、オーバー入賞を狙うという技術介入性が加えることができ、また入賞困難な短開放パターン係るラウンド遊技中におけるオーバー入賞演出の発生は遊技者に満足感や優越感を与えることができるので、当り遊技中の面白みをさらに増すことができるようになる。なお、ラウンド遊技形態を考慮し、最大入賞数については、少なくとも「短開放パターンに係るラウンド遊技の最大入賞数<長開放パターンに係るラウンド遊技の最大入賞数」の関係を満たすことが好ましい。
なお、当り遊技中において、長開放パターンに係るラウンド遊技であるか、短開放パターンに係るラウンド遊技であるかについては、当り種別に応じて各ラウンド遊技の動作態様があらかじめ決められている。したがって、今回のラウンド遊技が、長開放パターンに係るラウンド遊技か、短開放パターンに係るラウンド遊技かの判断は、少なくとも当り種別に基づいて判断することができ、長開放パターンに係るラウンド遊技と短開放パターンに係るラウンド遊技とが混在する当り種別がある場合(たとえば、12R非確変大当り遊技)、当り種別と今回のラウンド数とに基づいて判断することができる。
〔第6の実施形態〕
上記第5の実施形態については、ラウンド遊技に応じて最大入賞数が異なる形態に説明した。しかし第6の実施形態では、第1の実施形態と同じく各大入賞口に係る最大入賞数自体は「同一(たとえば、全ラウンド遊技において、最大入賞数9個)」と定める一方、オーバー入賞扱いとなる入賞数を、ラウンド遊技形態および/またはラウンド数に応じてに異なるものとすることができる。
たとえば、長開放パターンおよび短開放パターンに係るラウンド遊技を含む大当り遊技の場合、各ラウンド遊技において、大入賞口の閉鎖条件となる最大入賞数自体は、一律の所定個数(たとえば、9個)とするが、短開放パターンに係るラウンド遊技、または短開放パターンに係るラウンド遊技が実行されるラウンド数目に限り、オーバー入賞球扱いとする入賞数を異なる個数(たとえば、0個)とすることができる。つまり、ラウンド遊技形態やラウンド数に応じて、疑似的な最大入賞数(疑似最大入賞数)を定めて、この疑似最大入賞数を超える入賞があったことを条件に、オーバー入賞演出を現出させることができる。この場合、上記第4の実施形態と同じ効果を奏することができる。
たとえば、短開放パターンに係るラウンド遊技中に、疑似最大入賞数を超える入賞があった場合、OV入賞用大入賞口入賞コマンドを演出制御部24に送信し、オーバー入賞演出を現出させることができる。しかし、制御負担軽減の観点や新機種開発の観点(旧機種との互換性や汎用性など)からは、主制御部20側で、疑似最大入賞数を超えたか否かの判断はせずに、演出制御部24側で入賞数をカウントして、疑似最大入賞数を超えた場合に、オーバー入賞演出を現出させるように構成することが好ましい。疑似最大入賞数が利用されるラウンド遊技形態やラウンド数の判断は、当り種別と現在のラウンド数とに基づいて、演出制御部24側が独自に判断する構成とすれば良い。
上記した実施形態では、遊技媒体として遊技球を利用したものについて説明した。しかし本発明はこれに限られない。たとえば、遊技球に相当する遊技媒体であっても良いし、、電磁気的記録(電子的方式、磁気的方式などの電子計算機による情報処理の用に供されるもの)を利用した遊技媒体であっても良い。また本実施形態では、パチンコ遊技機について説明したが、本発明を適用可能な遊技機であれば、制限されない。