以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
〔第1の実施形態〕
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、パチンコホール島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成され、その操作の前後で特定の演出(たとえば、遊技者参加型演出)に変化をもたらす際に利用される「枠演出用ボタン13(演出用操作手段)」が設けられている。この枠演出用ボタン13は、たとえば、特定の演出が発生したときに、所定の入力受付期間中に内蔵ランプが点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯時(入力受付期間中)に押下することにより演出に変化をもたらすための「演出用操作手段」として働く。なお、上記演出用操作手段としては、たとえば、ボタン式、ジョグダイヤル式、非接触型センサを利用したタッチセンサ式、液晶表示装置を利用したタッチパネル式の操作手段などが挙げられるが、いずれの場合にも遊技者による操作が行われた場合に演出に何らかの変化を与える(操作の前後で演出に変化をもたらす)ために利用できるものであれば特に制限されない。また、上記演出用操作手段について、その種類や設置個数も特に制限されない。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を奏する装飾ランプ45(フルカラーLED)が複数設けられている。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図2に示す遊技盤3は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする部材(流路振分手段)であり、センター飾り48の存在によって遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるように、遊技領域3aのほぼ中央部に配置されている。ただし、この実施形態の場合、センター飾り48は少し右側に膨出した形となっている。
センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、かつ固定ネジなどにより遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。鎧枠部48bは、その略全体が前面装着板48aから前側に突出しており、その内側、すなわち液晶表示装置36側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、この鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。このようなセンター飾り48は、遊技球の落下方向を変換する遊技球落下方向変換部材(落下方向変換手段)として働く。
なお図示していないが、センター飾り48には、液晶表示装置36の前側下部に、鎧枠部48bの左側部に設けられた入球口(図示せず)から入球した遊技球を左右方向に自由に転動させて、左右方向中央の落下口(始動口案内路)またはその左右両側から落下させるステージが設けられている。またセンター飾り48には、その適所に、光演出効果を奏するフルカラーLED内蔵の飾り用ランプが複数設けられている。
<可動体役物>
また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する複数の可動体役物が配設されている。本例ではセンター飾り48内の右上側、つまり右流下経路3cを通る遊技球の流下を妨害しない位置に第1の可動体役物(時計型役物80)が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物98)が配設されている。
(第1の可動体役物80)
第1の可動体役物は、ローマ文字「I」から「XII」の数字が付されて12の数字セクターに区画された数字表示部からなる時計盤部(数字表示部)80aと、この時計盤部80a上を回動し、必要に応じて時分を示すことができる短針および長針からなる時計針97とを有し、全体として時計型役物80として構成されている。時計盤部80aは、短針が示すセクター区画場所(ローマ文字「I」から「XII」の数字セクター)毎に裏側又は内部にフルカラーLEDを有し、または数字セクター自体がフルカラーLEDで構成されていて、それらのローマ文字「I」から「XII」を付した数字セクターが個々に独立して異なった色で発光できる構成となっている。
この時計型役物80は、大当りまたはハズレの場合に、所定の条件下で作動する「主役物」として働くものである。この時計型役物80は、時計型役物80の時計針97の動作態様および/または時計盤部80aの数字セクターが所定の「色と個数」で発色することにより、遊技者に対し当りへの当選期待度を示す働きをする。たとえば、時計針97に関しては、その回転スピード、たとえば「不回転、低速回転、高速回転」の順に当選期待度が高まるように構成したり、時計盤部80aに関しては、その数字セクターのLEDの発光色が白色(通常色)、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の順に当選期待度が高まるように構成することができる。また、時計針97の回転スピードと、時計盤部(数字表示部)80aにおける数字セクターのLEDの発光色との組合せにより当選期待度を報知することができる。たとえば、数字セクターのLEDの発光色が、白色、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の順に当選期待度が高まるが、このとき、同色間であれば、時計針97の回転スピードの順に(たとえば、不回転・青色、低速回転・青色、高速回転・青色の順に)当選期待度が高まるように構成されている。
なお本実施形態では、図柄変動表示ゲーム中の所定の期間、時計型役物80の時計針97が低速回転または高速回転し続ける構成としているが、当該期間の途中で時計針97が停止するように構成して、その停止した時計針97の短針が指す数字セクターの数字で、または当該数字と発色する数字セクターの色とで当選期待度を示すようにしても良い。また時計盤部80aにおける数字セクターのLEDの発光色が、虹色(プレミアム色)に発光した場合は大当り確定(当確)を報知可能に構成することができる。
(第2の可動体役物98)
第2の可動体役物は、花心の周りに複数枚の花弁からなる花冠を配し、更にその外側周囲に萼を配して花被を二重にし、以て花の形とした花型役物98からなる。この花型役物98は、大当り抽選結果に基づき、所定の条件下で作動する「副役物」として働くものである。花型役物98は、半透明の花心および花弁部分が後方からランプやフルカラーLEDにより照らされて美しく光色するとともに、その都度、花弁部分のみまたは花心と花弁部分が、所定の動作パターンで動作し(たとえば、前後または左右または上下または円周方向にぴくっと動いて元に戻る運動(寸動)や振動運動など)、これらの作用により当選期待度を報知することができるようになっている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。上記の特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、予告演出(たとえば、演出画像表示演出)を表示するとともに、装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39では、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作による普通図柄変動表示ゲーム(たとえば、シーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、停止表示したときのLEDの点灯状態により当否が報知される)が実行されるようになっている。
また各種機能表示部には、図示はしていないが、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)が配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。また各種機能表示部には、複数個のLEDからなるラウンド数表示装置(ラウンド報知用LED)が配設されている。このラウンド数表示装置は、大当り(「大当り」の詳細は後述する)に係る規定ラウンド数を報知する「規定ラウンド数報知手段」として機能し、たとえば、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、その規定ラウンド数が報知されるようになっている。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入賞容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入賞困難または入賞不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されており、具体的には、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、所謂「電動チューリップ型」の入賞装置として構成されている。普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
普通変動入賞装置41(下始動口35)の下方には、開放扉42bにより下大入賞口40(第1の大入賞口)を開放または拡大可能に構成した特別変動入賞装置42(第1の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には遊技球を検出する下大入賞口センサ42a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37(第3の始動手段)は、普通図柄表示装置39における普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良いし、両流下経路のそれぞれに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより右大入賞口50(第2の大入賞口)を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(第2の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には右大入賞口50に入球した遊技球を検出する右大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
右大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより右大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には右大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を右大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
右大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は右大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより右大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)および特別変動入賞装置42(下大入賞口40)の方向に導かれる。このとき、下始動口35または下大入賞口40が入賞可能状態(開状態)であれば、これらの入賞口に遊技球が入賞しうる。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて右大入賞口50が開いている状態(右大入賞口開状態)であれば、遊技球が右大入賞口50内に導かれる。
なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって右大入賞口50が閉状態であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が動作しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、下大入賞口40、および左側の3つの一般入賞口43があり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、右大入賞口50、下大入賞口40、および右側の1つの一般入賞口43がある。
下始動口35については、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。
また上始動口34については、概ね左流下経路3bか、または左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球については、入賞が困難または不可能となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球(センター飾り48のステージを経た遊技球を含む)について、これを上始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを上始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
また下大入賞口40については左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし右大入賞口50については左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、下大入賞口40、右大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞右センサ42a、右大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。上記入賞検出スイッチは、フォトスイッチや近接スイッチなどの無接点スイッチや、マイクロスイッチなどの有接点スイッチで構成することができる。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口40は15個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。なお、各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御部(主制御基板)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出手段に対する演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御基板、液晶制御基板)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源制御基板(図示せず)と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
CPU201は、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUである。Z80は、データバスが8ビット、アドレスバスが16ビットのCPUであるが、広いメモリ空間を必要とせず、その上、高速処理や複雑な数値演算処理も必要としないパチンコ機の制御には最適である。またCPU201は、処理を実行するのに必要なデータの読み書きが行われる複数種類のレジスタを備えている。
ROM202は、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、所定の抽選(たとえば、特別図柄に係る変動パターン抽選)に利用される乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を発揮する割込コントローラ回路、カウンタ回路なども備えている。上記カウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(乱数の大きさ:65536)として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、下大入賞口40への入賞を検出する下大入賞口センサ42aと、右大入賞口50への入賞を検出する右大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、パチンコ遊技機1に対する不正行為(ゴト行為)を検出するための不正検出センサ99(たとえば、振動センサ(振動検出手段)、磁気センサ(磁気検出手段)、電波センサ(電波検出手段)など)とが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、下大入賞口40の開放扉42bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド42cと、右大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39が接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置(図示せず)が接続され、主制御部20は、これに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、ラウンド数表示装置が接続され、主制御部20は、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、遊技進行に関する情報(たとえば、大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲーム実行回数情報など)を、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信可能となっている。上記のホールコンピュータHCは、主制御部20から送られてくる情報に基づき、パチンコホールの遊技機の稼働状況を管理する管理コンピュータであり、遊技機外部に配設されている。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に送信可能となっている。このような主制御部20からの演出制御コマンドは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることを防止するため、一方向通信により演出制御部24に送信される。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払出状態信号の送信などである。
また払出制御基板29には、上受け皿9が遊技球で満杯状態を検出する満杯検出センサ60(球受け皿の遊技球の貯留状態を検出する検出センサ)と、前扉開放センサ61(本実施形態では、前枠2および/または前面操作パネル7の開放状態を検出する検出センサ)とが接続されており、払出制御基板29は、これらセンサからの検出信号を受信可能となっている。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ72と、払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ73とが設けられており、払出制御基板29は、これらセンサからの検出信号を受信可能となっている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部を駆動する払出モータ74が設けられており、払出制御基板29は、払出制御コマンドに基づき、払出モータ74を制御するための制御信号を送信可能となっている。
払出制御基板29は、上記の満杯検出センサ60からの検出信号に基づく上受け皿9の満杯状態、前扉開放センサ61からの検出信号に基づく前枠2・前面操作パネル7の開閉状態、また補給切れ検出センサ72からの検出信号に基づく遊技球払出装置19の遊技球の払出状態、球計数センサ73からの検出信号に基づく賞球払出状態や賞球数情報などの払い出しに関する各種の状態信号を主制御部20に対して送信可能な構成となっている。主制御部20は、これらの状態信号に基づき、遊技球払出装置19が正常に機能しているか否か、上受け皿9が遊技球で満杯状態であるか否かなどを監視し、異常が生じていると判定した場合、所定の払出エラー処理を実行するようになっている
また払出制御基板29は発射制御基板28に対し発射制御信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。
(2−3.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に乱数を生成するためのカウンタ回路などが設けられている。ROM242は、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、演出の抽選に利用される演出抽選用乱数の乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や時計型役物(数字表示部)80や遊技機に配設された演出用の各種LED(演出用LED:図示せず)の発光制御、時計針97や花型役物98の可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な枠演出ボタン13が接続され、演出制御部24は、枠演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体演出)を実現させるために、装飾ランプ45や時計型役物の数字表示部80aやLEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、各種の可動体役物(時計型役物の時計針97、花型役物98)を動作させるための可動体役物モータ97a(時計型役物の時計針97対応)、98a(花型役物98対応)に対する駆動制御部(モータ駆動回路:図示せず)などを備えている。演出制御部24は、これら制御部に対し、これら演出手段に対する制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、時計針97に対する位置検出スイッチ97bと、花型役物98に対する位置検出スイッチ98bとが接続され、演出制御部24はこれらからの検出信号を受信可能となっている。演出制御部24は、各位置検出スイッチ97b、98bからの検出信号に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御し、また可動体役物の動作の不具合(正常動作か否か(たとえば、動作後、原点位置に正しく戻っているか否かなど))を監視する。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示、予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いたパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出表示されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置42が備える下大入賞口ソレノイド42c(図3参照)が作動して開放扉42bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより下大入賞口40が開閉されるか、または、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。なお、下大入賞口40、右大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当り(当選)種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い(ハズレが1種類の場合は、ハズレ種別の抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、当落抽選結果情報、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信している。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(後述のリーチ演出や疑似連演出など)の発生を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、当落抽選結果、または大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえば、リーチ演出の発生を指定するリーチ演出指定用の変動パターン(リーチ変動パターン)、リーチ演出の発生を指定しない非リーチ演出指定用の変動パターン(通常変動パターン)、疑似連演出とリーチ演出との複合発生を指定する疑似連演出指定用の変動パターン(疑似連有りリーチ変動パターン、疑似連演出の発生を指定し、リーチ演出の発生は指定しない疑似連演出指定用の変動パターン(疑似連有り通常変動パターン)など、複数種類の変動パターンが含まれる。また各変動パターンに関する変動時間については、基本的には、リーチ変動パターン種別は、当り当選期待感を煽るリーチ演出や疑似連演出を指定する変動パターンであることから、その演出時間との関係上、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム、補助装飾図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、所定の始動条件、具体的には、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、普通図柄表示装置39に普通図柄を変動表示して普通図柄変動表示ゲームを開始させ、所定の時間経過後(所定の変動表示時間経過後)、その結果を普通図柄表示装置39に導出表示して、これにより普通図柄変動表示ゲームを終了させる。たとえば、補助当り抽選結果が「当り」の場合には所定の「補助当り」態様で(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態)、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で(たとえば、2個のLED39が全て消灯状態)、変動表示中の普通図柄が停止表示させる。
また、上述の普通図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾普通図柄39a(たとえば、絵柄・図柄などにより表現される演出的な普通図柄)を変動表示する、といった普通図柄用の装飾図柄変動表示ゲーム(以下、「補助装飾図柄変動表示ゲーム」と称する)が開始され、これに付随して予告演出(普通図柄変動表示ゲームに関する演出)などが現出されうる。この補助装飾図柄変動表示ゲームは、特別図柄変動表示ゲームに対応する装飾図柄変動表示ゲームに相当するものであり、本実施形態の場合、液晶表示装置36の中央右側の所定領域において、複数種類の装飾普通図柄の変動表示動作(たとえば、2つの装飾普通図柄39aがシーソー的に点滅表示する)による補助装飾図柄変動表示ゲームを実行されるようになっている。そして、普通図柄変動表示ゲームが終了すると、上記の補助装飾図柄変動表示ゲームも終了し、普通図柄表示装置39には補助当り抽選結果を示す所定の普通図柄が、また液晶表示装置36には当該補助当り抽選結果を反映した装飾普通図柄が導出表示(停止表示)されるようになっている。
(3−1−3.補助当り種別)
本実施形態では、複数種類の補助当り(補助当り1〜3)が設けられており、主制御部20が、普通図柄始動口37に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、普通図柄始動口センサ37aにより遊技球が検出されて始動条件(普通図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、上記大当り抽選の場合と同様に、‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「補助当り」であったならばその補助当り種別を「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別抽選)’とを含む補助当り抽選を行い(補助当りまたはハズレが1種類の場合は、その種別の抽選を行う必要がないため、当選種別抽選を省略することができる)、補助当り1〜3のいずれに当選したか、またはいずれにも当選しないハズレであるかを決定する。
補助当りである場合には、普通図柄表示装置39には、その補助当り種別に対応した普通図柄を停止表示させ、液晶表示装置36には、これを反映した所定の装飾普通図柄が停止表示される。たとえば、補助当り1の場合にはこれに対応した普通図柄として、右側のLED39を点灯状態で左側のLED39を消灯状態となり、これに対応した装飾普通図柄として、補助当り1に対応する第1の装飾普通図柄が停止表示される。また、補助当り2の場合にはこれに対応した普通図柄として、左側のLED39を点灯状態で右側のLED39を消灯状態となり、これに対応した装飾普通図柄として、補助当り1に対応する第2の装飾普通図柄が停止表示される。また、補助当り3の場合にはこれに対応した普通図柄として、2個のLED39が全て点灯状態となり、これに対応した装飾普通図柄として、補助当り3に対応する第3の装飾普通図柄が停止表示される。
(3−1−4.普電開放遊技(補助当り遊技))
上記「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技(補助当り遊技に相当する)」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間(開状態時間)が所定時間経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定の上限回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下始動口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下始動口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
本実施形態では、上記した補助当り1〜3に対応して、それぞれ異なる普電開放遊技が実行されるようになっている。具体的には、「補助当り3」に当選すると、下始動口35の開放時間(可動翼片47により下始動口35が開状態となる作動時間)が長く設定され(たとえば、開放時間が通じて4.8秒:長開放(ロング開放))、「補助当り2」に当選すると、下始動口35の開放時間が補助当り3よりも短く設定され(たとえば、開放時間が通じて0.6秒:中開放(ミドル開放))、「補助当り1」に当選すると、下始動口35の開放時間が補助当り2よりも短く設定されるようになっている(たとえば、開放時間が通じて0.5秒:短開放(ショート開放))。換言すれば、補助当り1〜3は、下始動口35の開放時間の長短により、遊技者に与える利益状態(下始動口35への入賞率)が異なるようになっている。ただし、上記普電開放遊技は、後述の開放延長機能が作動中であるか(電サポ有り状態)、未作動中であるか(電サポ無し状態)に応じてその遊技態様が異なるようになっており、開放延長機能が作動中の場合には、上記した開放時間が延長されて、通常遊技状態よりも遊技者に有利な普電開放遊技が実行される。
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通/補助装飾図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞(入球、通過)が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、各図柄の最大保留記憶数が異なっていても良い(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側の最大保留記憶数を2個、普通図柄側の最大保留記憶数を6個など)。また特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選により得られる利益が相対的に高くなる図柄側の最大保留記憶数を多く設定しても良い。本実施形態では、特別図柄2に係る大当り抽選が、遊技者とり相対的に利益が高い大当り種別が得られることから、たとえば特別図柄1側の最大保留記憶数を2個、特別図柄2側の最大保留記憶数をそれよりも多い4個に設定しても良い。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と略す)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)から高確率(たとえば、39.9分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。なお、特別図柄確変機能の作動開始条件およびその作動終了条件の詳細については、追って説明する。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
また本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動表示を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動表示を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、所謂「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。本実施形態の場合、たとえば「補助当り3(ロング開放)」であれば開放時間が通じて4.8秒から5.4秒(たとえば、開状態1.8秒+閉状態1秒+開状態1.8秒+閉状態1秒+開状態1.8秒:開放回数3回)、「補助当り2(ミドル開放)」であれば開放時間が通じて0.6秒から5.1秒(たとえば、開状態1.7秒+閉状態1秒+開状態1.7秒+閉状態1秒+開状態1.7秒:開放回数3回)、「補助当り1(ショート開放)」であれば開放時間が通じて0.5秒から4.8秒(たとえば、開状態2.4秒+閉状態1秒+開状態2.4秒+閉状態1秒:開放回数2回)などのように、少なくとも開放時間が延長されるようになっている(ここでは、開放時間の延長に伴い、開放回数も延長される)。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。また当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。なお、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」と称する。
ここで本実施形態では、上述の通常遊技状態、潜確状態、時短状態、確変状態などの内部遊技状態に関連した多様な演出を実現するために、一の内部遊技状態をさらに分類して管理している。たとえば上記「通常遊技状態(低確・電サポ無し)」には、「通常状態」および「CHANCE ZONE状態(以下「CZ」と略す)」といった複数種類の通常遊技状態が含まれ、それぞれ異なる遊技状態として管理している。
これにより、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常遊技状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては、「通常状態」と「CZ(内部遊技状態が通常遊技状態のCZ:CZ(通常))」という各遊技状態(変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode))に対応した1または複数種類の変動パターンのうちから目的の変動パターンを選択することができるようになっている。またこれに起因して、演出制御部24側においては、「通常状態」と「CZ」という各遊技状態に対応した演出モードを設け、これら演出モード下における演出を発生させることができるようになっている(演出モードの詳細については後述する)。またこれに起因して、演出制御部24側においては、「通常状態」と「CZ」という各遊技状態に対応した演出モードを設け、これら演出モード下における演出を発生させることができるようになっている(演出モードの詳細については後述する)。なお本実施形態では、「潜確状態」についても、「潜確状態」と「CZ(内部遊技状態が潜確状態のCZ:CZ(潜確))」という複数種類の遊技状態(変動パターン選択モード)を設け、それぞれ異なる遊技状態として管理している。
本実施形態の場合、「内部遊技状態」には通常遊技状態、潜確状態、時短状態、および確変状態が含まれ、特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態(換言すれば、演出の決定に関する遊技状態)に着目した場合の「遊技状態(変動パターン選択モード)」の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い、通常状態、CZ(通常)、潜確状態、CZ(潜確)、時短状態、および確変状態が含まれる。このように、大当り抽選確率や電サポの有無に着目した「内部遊技状態」と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した「遊技状態(変動パターン選択モード)」とを異なるものとして管理することにより、同一の内部遊技状態下であっても、変動パターン選択モードに対応した特別図柄の変動パターンを選択することができるので、図柄変動表示ゲームの変動時間(ゲーム消化時間)や演出に大きな変化をもたらすことができる。なお説明の便宜上、本明細書中では特に必要のない限り、上記内部遊技状態と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した場合の遊技状態(変動パターン選択モード)とを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。
<4.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4−1.当り種別)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選(当り抽選)を行うようになっている。この当り種別には、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当りA、B」、および「小当り(小当りA、小当りB)」などの複数種類の当りが含まれる。
これら当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当りA、B」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態(当り遊技)への移行契機(発生契機)となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、および「2R短開放潜確大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当り種別となっている。また「12R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りA、B」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも低確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、通常遊技状態または時短状態)に移行させる「非確変大当り」に属する大当り種別となっている。また小当りA〜Bは、当選時の遊技状態を継続させる当り種別となっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、説明の便宜上、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
また上記の当り種別のうち、特図1側(特別図柄変動表示ゲーム1側)の大当り抽選対象の当り種別には、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当り」、および「小当りA〜B」が含まれる。また特図2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選対象の当り種別には、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りB」が含まれる。
なお本実施形態では、特図1側に係る当り種別は「下大入賞口40」を開放させる当り遊技を実行し、上記特図2側に係る当り種別の場合は「右大入賞口50」を開放させる当り遊技を実行するようになっているが本発明はこれに限られない。たとえば、特図1側に当り種別に「右大入賞口50」を開放させる当り遊技を実行する当り種別を含んでいても良いし、特図2側の当り種別に「下大入賞口40」を開放させる当り遊技を実行する当り種別を含んでいても良い。また、ラウンド数に応じて「右大入賞口50」または「下大入賞口40」のいずれかを開放する特殊な当り種別を含んでいても良い。たとえば、16R系の大当り種別の場合を例にとれば、1R目〜所定のラウンド数目(たとえば、8R目)までは下大入賞口40を開放し、その後のラウンド数目以降(たとえば、9R目〜16R目)は右大入賞口50を開放する、といった大当り遊技を実行させることができる。
(4−2.当り遊技)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。
(4−2−1.16R長開放確変大当りによる当り遊技)
16R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「16R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を16ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における右大入賞口50の最大開放時間が「長開放時間」の‘29.8秒’に設定される。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数(たとえば、9個)に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものである。なお、最大開放時間が上記「長開放時間」に設定される開閉パターンを「長開放パターン」と称する。
ラウンド遊技が開始されて右大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の16ラウンドに達していなければ、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても右大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のインターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の「12R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「12R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りA、B」も同様)。
なお、ラウンド遊技間における上記「ラウンド間インターバル時間」は、「残存球排出時間」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間(たとえば、1980ms)を指し、その時間幅として、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52a)を通過するまでに要する十分な時間が確保されている。また「開放前インターバル時間」とは、上述の残存球排出時間が経過して大入賞口内の残存球が排出されたものとみなされた後、次のラウンド遊技における大入賞口が開放されるまでのインターバル区間を定めた時間幅(たとえば、20ms)を指す。この開放前インターバル時間中に下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aが遊技球を検出しても、その遊技球は不正行為による不正入賞とみなし、所定のエラー処理(不正入賞によるエラー処理)を行うようになっている。本実施形態では、残存球排出時間経過後の上記開放前インターバル時間を設けることで、より厳格に、不正入賞を監視することができるようになっている。
(4−2−2.12R長開放確変大当りによる当り遊技)
12R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「12R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を12ラウンドとする以外は、上述した16R確変大当り遊技の内容と基本的には同じある。したがって、この12R確変大当り遊技は、上記16R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技となる(本実施形態では、4ラウンド分の賞球数差がある)。なお本実施形態の場合、既に説明したように、特図1側の12R確変大当り遊技の場合は「下大入賞口40」が開放される当り遊技が実行され、特図2側の12R確変大当り遊技の場合は「右大入賞口50」が開放される当り遊技が実行される。
(4−2−3.12R長開放非確変大当りによる当り遊技)
12R長開放非確変大当りによる当り遊技(以下、「12R非確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を12ラウンドとする大当りであるが、ラウンド数に応じて大当り遊技態様が異なる。具体的には、大当り遊技が実行される期間において、1ラウンド目から特定のラウンド数目までの前半区間(前半部)と、その次のラウンド数目以降から最終ラウンド目まで後半区間(後半部)とで当り遊技動作態様が異なる。
詳しくは、規定ラウンド数(最大ラウンド数)である12R(ラウンド)のうち、前半部の10R目までは大入賞口の最大開放時間は長開放時間の‘29.8秒’に設定される。一方、後半部の11R目以降は大入賞口の最大開放時間は短開放時間の‘0.1秒’に設定される。この「短開放時間」とは、上記長開放時間とは異なり、大入賞口への入賞自体を困難とする時間幅として定めたものである。なお特に必要のない限り、最大開放時間が上記「短開放時間」に設定される開閉パターンを「短開放パターン」と称する。ただし、最大開放時間が上記「長開放時間」よりも短時間に設定される開閉パターンも「短開放パターン」と称する場合がある。
本実施形態では、遊技球落下方向変換部材、または発射装置の性能(たとえば単位時間あたりの遊技球の連射速度性能)あるいは大入賞口の形成位置などにより、上記「短開放時間」内に大入賞口閉鎖条件の一つである「最大入賞数」に達することが困難または不可能となるようになっている。上記12R非確変大当り遊技では、最大開放時間が長開放時間に設定される前半部の10R目までの賞球(利益)を獲得できるにとどまる。
したがって上記「12R非確変大当り遊技」の場合、前半部(1R目〜10R目まで)については「12R確変大当り遊技」と外観上に現れる機械的な遊技動作(下大入賞口40の開閉動作パターン)が同一(実質的同一でも良い)の当り遊技動作態様となるが、後半部(11R目以降)は、それとは異なる当り遊技動作態様(短開放パターン)となっている。そして、12R非確変大当り遊技は、12R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技とされる(本実施形態では、2ラウンド分の賞球数差が生じうる)。
(4−2−3.2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当りA、Bによる当り遊技)
2R短開放潜確大当りによる当り遊技(以下、「2R潜確大当り遊技」と称する)と、2R短開放非確変大当り(2R短開放非確変大当りA、B)による当り遊技(以下、「2R通常大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を2ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口(下大入賞口40または右大入賞口50)の最大開放時間は「短開放時間」の0.1秒に設定される。したがって、2R潜確大当り遊技または2R短開放非確変大当りでは、大入賞口が短開放時間(0.1秒)しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2ラウンド分と少ないことから、実質的には賞球が殆ど得られない大当り遊技となっている(正確には、大入賞口への入賞も発生する可能性はあるが、各ラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は低くなり、実質的に、賞球が殆ど得られない)。
また特図1側の当り種別の2R潜確大当り遊技中の当り中演出(当り遊技中に現出される演出)は、特図1側の当り種別の2R短開放非確変大当りA中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、この2R短開放潜確大当りによる当り中演出を含む当り遊技に係る動作は、2R短開放非確変大当りAに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、2R短開放非確変大当りAに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
以上のように本実施形態では、大当りの種類に応じて、大当り遊技中の賞球数、換言すれば、遊技者が獲得し得る遊技球数(獲得賞球数)が異なるように構成されている。なお、2R潜確大当り遊技や2R短開放非確変大当りでは、最大開放時間を上記短開放時間に設定すると説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、大入賞口への入賞がある程度許容されるように、16R確変大当り遊技や12R確変大当り遊技などと同じ長開放時間を設定しても良いし、上記最大入賞数に達することは困難または不可能であるが、大入賞口への入賞球数をある程度確保できるような開放時間(長開放時間よりも短く、短開放時間よりも長い中間的な開放時間:たとえば、5秒)に設定しても良い。また、当りによる賞球数(特賞数:T1Y)を異ならせるために、大当りの種類に応じて、上記最大入賞数をそれぞれ異なる個数に設定しても良い。
(4−2−4.小当り(小当りA、B)による当り遊技)
小当りA、Bによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、それぞれ大入賞口の開放が2回行われ、1回あたりの大入賞口の最大開放時間が2R潜確大当り遊技の最大開放時間に相当する0.1秒に設定され、1回目の大入賞口の閉鎖後、2回目の大入賞口開放までのインターバル時間が2R潜確大当り遊技や2R短開放非確変大当りのラウンド間インターバル時間と同じ時間幅が設定される。また小当り遊技における大入賞口の閉鎖条件に関しては、最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合かのいずれか一方の条件が満たされた場合となっている。この点も2R潜確大当り遊技や2R通常大当り遊技と同じである。つまり、この小当り遊技中において外見から捉えた大入賞口の開閉動作が、上記2R潜確大当り遊技や2R短開放非確変大当りのものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。なお、小当りA、Bは特図1側の大当り抽選対象であるので、小当り遊技の際には、下大入賞口40が開閉制御される。
この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R潜確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で大入賞口を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、あたかも2R短開放潜確大当りや2R短開放非確変大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。
また本実施形態の場合、小当りA、Bは特図1側の大当り抽選対象であるので、小当り遊技中の当り中演出は、2R潜確大当り遊技または2R通常大当り遊技A中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りまたは2R短開放非確変大当りAに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。また、高確率状態中であれば、2R短開放非確変大当りAに当選による低確率状態への転落の緊張感を遊技者に与えることができるようになっている。
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態)
次に図4を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。図4は、各当り遊技後に移行する遊技状態の説明に供する説明図である。図示の各遊技状態は、内部遊技状態ではなく、変動パターン選択モードに着目した遊技状態を示してある。
(4−3−1.16R、12R、5R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
16R、12R、または5R確変大当り遊技終了後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行される。この「確変状態」となった場合には、次回大当りが確定するまで(「大当りが確定」するまでとは、特別図柄が大当りを示す表示態様で停止表示され、大当り遊技の発生が確定した場合や、大当りに当選した場合であっても良い。以下同様)確変状態を継続するようになっている。
なお、次回大当りが確定するまでではなく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動表示動作回数(以下、「特別図柄の変動回数」と略す)が所定回数(特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特別図柄1および2の合計変動回数)):たとえば70回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで確変状態が継続され、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態が終了して、次ゲームから「通常状態(内部遊技状態は、通常遊技状態)」に移行されるように構成しても良い。この場合、所謂「回数切りの確変機」となる。
(4−3−2.5R、12R非確変大当り遊技終了後の遊技状態)
5R、12R非確変大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「時短状態」に移行される。この「時短状態」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、60回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該時短状態が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該時短状態が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている。
(4−3−3.2R潜確大当り遊技終了後の遊技状態)
2R潜確大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」であった場合には「CZ(潜確)」に、潜確状態であった場合は「潜確状態」に、時短状態または確変状態であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。なお、当選時の遊技状態が潜確状態であった場合、潜確状態ではなく、確変状態に移行させても良い。
本実施形態では、当選時の遊技状態が「CZ」の場合、内部遊技状態に応じて次のような移行制御がなされる。当選時における遊技状態が、内部遊技状態が通常遊技状態である「CZ(通常)」であった場合には、内部遊技状態が潜確状態の「CZ(潜確)」に移行され、内部遊技状態が潜確状態の「CZ(潜確)」であった場合には「潜確状態」に移行される。なお、内部遊技状態が潜確状態下の「CZ(潜確)」は、内部遊技状態が通常遊技状態下の「CZ(通常)」と同じ遊技状態(変動パターン選択モード)として管理されるが、その実体は、内部遊技状態が‘潜確状態’の「CZ」である。
2R潜確大当り遊技終了後の「CZ(潜確)」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば4回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りするまで当該「CZ(潜確)」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ(潜確)」が終了して、次ゲームから「潜確状態」に移行され、潜確状態である旨を演出上から、遊技者に明らかにするようになっている。なお図中では、「CZ(4回:潜確)」と表記している。なお詳細は後述するが、本実施形態では、2R潜確大当り遊技終了後、潜確状態への移行期待感を与えるため、後述の小当り遊技後による遊技状態と関連して、2R短開放潜確大当りによる「CZ」の継続回数を、2R短開放非確変大当りまたは小当りの場合よりも多い継続回数に設定してある。
(4−3−4.2R通常大当り遊技終了後の遊技状態)
2R通常大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」であった場合には「CZ(通常)」に、潜確状態、時短状態、または確変状態であった場合には「通常状態」に移行されるようになっている。また当選時の遊技状態が「CZ」であった場合には「CZ(通常)」に移行される。
また2R通常大当り遊技終了後の「CZ(通常)」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば3回)終了するまでの間か、またはその回数内で大当りが確定するまで当該「CZ(通常)」が継続し、その回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ」が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行され、当該通常状態である旨を演出上から、遊技者に明らかにするようになっている。ただし、2R短開放非確変大当りにより設定されるCZの継続回数は、2R短開放確変大当りにより設定される回数(4回)よりも少ない回数(3回)が設定されるようになっている。
本実施形態では、2R潜確大当り遊技と2R通常大当り遊技とを同一または実質的同一の当り遊技動作態様とし、これら当り遊技終了後の遊技状態は、内部遊技状態が異なるものの、変動パターンの決定(演出の決定)に関しては同じ遊技状態(変動パターン選択モード)として管理される「CZ」に移行されうるようになっている。したがって、当り遊技中だけでなく、その当り遊技後の所定の遊技期間中においては(本実施形態の場合は、少なくとも3回)、どちらの当りに当選したのかを遊技者側に悟られないようにしている。これにより、高確率状態への期待感・緊張感を与えることができるようになっている。
(4−4.小当り遊技終了後の遊技状態)
小当り遊技後に関しては、その小当り当選時の内部遊技状態がそのまま継続され、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。したがって、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。
ただし本実施形態では、小当り当選に起因した‘内部遊技状態’の移行制御は行わない一方、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に関する‘遊技状態(変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode)))’の移行制御は行うようになっている。このような移行形態を利用し、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と2R潜確大当り遊技後の遊技状態とを同じ遊技状態に移行させた場合には、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させ、小当り遊技後であっても、2R潜確大当り遊技後と同じ演出モード下による演出を発生させることが可能になる。これにより、演出上からは、2R短開放潜確大当りに当選して「潜確状態」に移行したかも知れない、という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができるようになっている。以下、図4を参照しながら、小当りA、Bに当選した場合における各小当り遊技終了後の遊技状態について詳細に説明する。
ここで上記「変動パターン振分指定番号(Tcode)」とは、現在の遊技状態を識別するデータであり、‘変動パターン選択モード’として機能する。「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、主に特別図柄の変動パターンを選択する際に利用され(後述の図19のステップS412(特別図柄変動パターン作成処理)参照)、‘変動パターン選択モード’として働く。変動パターン振分指定番号(Tcode)が「00H」の場合は「通常(通常状態)」を示し、「01H」の場合は「確変状態(確変)」を示し、「02H」の場合は「潜確状態」を示し、「03H」の場合は「時短状態(時短)」を示し、「06H」はCZを示す。この変動パターン振分指定番号(Tcode)は、遊技状態に変化があった場合に変更されるようになっている。したがって、変動パターン振分指定番号(Tcode)は上記のような遊技状態を識別する点で、後述の遊技状態判定番号(YJ)のように内部遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
(4−4−1.小当りAに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りAによる小当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」か、または「CZ」であった場合には「CZ」に移行され、他の遊技状態(潜確状態、時短状態、または確変状態)の場合には遊技状態の移行はなく、その当選時の遊技状態が継続されるようになっている。
上記小当りAに関し、当選時の遊技状態が「通常状態」である場合に「CZ」に移行されるときは、そのCZが継続される回数(以下、「CZ継続回数」と称する)として、所定回数(たとえば、2回)が設定される。小当りA当選により「CZ」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が設定されたCZ継続回数が終了するまでの間か、またはその回数内で大当りが確定するまで当該「CZ」が継続し、その回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ」が終了する。なお、この「CZ」が終了したときの遊技状態が「CZ(潜確)」であった場合には、次ゲームから「潜確状態」に移行され、「CZ(通常)」であった場合には、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている(後述の小当りBについても同様)。
(4−4−2.小当りBに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りBによる小当り遊技後は、上述の小当りAの場合と同様の移行制御が行われる(図4の小当りBの欄参照)。ただし、小当りBにより設定されるCZの継続回数は、小当りA(2回)よりも多い回数(たとえば3回)が設定される。
上記「CZ」は、2R潜確大当り遊技終了後にも移行しうる遊技状態である。このため、2R短開放潜確大当り当選、または小当りAまたは小当りBの当選に起因して「CZ」に移行された場合、「CZ」に対応した演出をなす演出モード(CZ演出モード)に滞在することになり、演出上において、内部遊技状態が「潜確状態」であるか否か、つまり大当り当選確率状態が高確率状態であるか低確率状態であるか否かが秘匿される。本実施形態では、通常遊技状態と潜確状態とで内部的な機能である特別図柄確変機能の作動状態に違いはあるものの、外観上に現れる機械的な遊技動作状態が同じ状態となることに着目し(双方ともに‘電サポ無し状態’)、遊技者側に演出上からもどのような遊技状態であるかを察知されないようにすることで、高確率状態の期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
また本実施形態では、上記CZ継続回数に関し、「2R短開放潜確大当り」に当選した場合にはCZ継続回数‘4回’が設定され、これにより変動回数4回限定のCZ(CZ4回)に移行されることになる。そして、このCZが終了した後は(ただし、CZ中、大当りまたは小当りに当選することなくCZが4回終了した場合)、遊技状態がCZから潜確状態に移行される。つまり、演出モードに関しては、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とするCZ演出モード(秘匿演出モード)から、遊技状態を確定的に報知する演出モードに移行される。したがって、「CZ」が4回継続した場合には「潜伏状態」が明白になる。これに関連して、大当り抽選確率状態の変動が行われない小当りAまたは小当りBのいずれかに当選した場合、その当選した小当りに応じて、2R短開放潜確大当りによる4回よりも少ないCZ継続回数(2回〜3回)が設定されるようになっている。これにより、CZ中のゲームが消化される度に、「潜伏状態」が確定的となる4回に達するかもしれないという緊張感を遊技者に与えることができるようになっている。これにより、CZ中のゲームが消化される度に、大当り抽選確率状態が高確率状態である期待感が増し、遊技者に高揚感を与えることができる。
(4−5.CZ中の当り当選について)
なお本実施形態では、「CZ」中に2R短開放非確変潜確大当り、または小当りA、Bのいずれかに当選した場合、新たなCZ継続回数として、その当選した当りに応じたCZ継続回数が再設定されるようになっている。これにより、2R短開放潜確大当りに当選した場合のCZ継続回数4回以上の状況下を作り出すことができる。たとえば、小当りBに当選してCZ(CZ:3回)に移行し、そのCZ中3回目に小当りBに再度当選した場合、小当りB当選によりCZ継続回数3回が再設定され、CZ期間が「CZ期間3回+再設定された3回」の最大6回まで延長される。つまりCZが4回継続されたとしても必ずしも潜確状態下であることが明白とはならず、意外性に富んだ遊技性を作り出すことができる。
勿論、「CZ」が4回継続した場合には潜確状態下であることが明白となるように構成しても良い。たとえば、通常状態中に小当りに当選に起因して「CZ(通常)」に移行した後、当該「CZ(通常)」中に滞在している限りは、2R短開放非確変潜確大当り、小当りA、および小当りBのいずれかに再当選したとしても、当該「CZ(通常)」の継続回数が最大3回を超えないよう構成することができる。また「CZ(潜確)」中に、2R短開放非確変潜確大当り、小当りA、および小当りBのいずれかに当選した場合、その当り種別に対応したCZ継続回数を新たに設定しない構成とすることができる。これにより、「CZ」が4回継続すれば潜確状態下であることが明白となる、といった遊技性を作り出すことができる。
なおCZ継続回数4回未満で、潜確状態が明らかになる状況下を作り出すこともできる。たとえば、CZ中に2R短開放潜確大当りに当選し、「CZ(潜確)」移行後の1回目に小当りAに当選した場合、小当りA当選によるCZ継続回数‘2回’が再設定されると、CZ期間が「CZ(潜確)」移行後1回+小当りA当選により再設定された2回」となり、本来の‘4回’よりも少ない‘3回’に短縮される。そして、このCZ期間が終了した後は、遊技状態がCZから潜確状態に移行され、後述の演出モードに関しては、潜確状態を確定的に報知する「潜確演出モード」に移行させることができる。これにより、CZが4回継続しなくとも潜確状態が明白となりうるため、意外性に富んだ遊技性を作り出すことができる。なお既に説明したように、2R短開放潜確大当りに当選した場合において、その当選時の遊技状態が「CZ(潜確)」である場合には、その当り遊技後は潜確状態に移行されるので、演出モードに関しては、秘匿演出モードが終了され、潜確演出モードに格上げ移行されることになる。この場合もCZ継続回数4回未満で潜確状態が明らかになりうる。
(4−6.CZ中の変動パターンについて)
なお本実施形態において、「通常状態」や「時短状態」などは、作動保留球数に応じて異なる変動時間を定めた変動パターンが選択されうるようになっている。しかし、CZ中に選択されうるハズレ変動パターンは、作動保留球数にかかわらず、単一のハズレ変動パターン(CZ用ハズレ変動)が選択されるようになっている。つまり、CZ中に選択されるハズレ変動パターンが作動保留球数によらず、同一の変動時間の変動パターンが選択される。これにより、CZ中において「ハズレ」である場合は、図柄変動時間が同じ時間幅、つまり同じ演出時間幅が確保されるようになっている。なお、当りの場合は、当りを報知する関係上、ハズレ変動パターンよりも長時間の変動時間を持つ当り変動パターン(CZ用当り変動)が選択されるようになっている。上述のように、CZ中に選択されるハズレ変動パターンを、作動保留球数によらず同一の変動時間とする理由は次の通りである。
一般的に電サポ無し状態であっても、作動保留球数は比較的短時間で変化しうるものであり(一般的な弾球遊技機では、1回の図柄変動表示ゲーム中に、作動保留球数が1〜3個程度増加するものが多い)、これを利用して作動保留球数に応じた変動パターンを選択させるようにすれば、毎回の図柄変動表示ゲームごとに、演出時間(図柄変動表示ゲームの実行時間)に変化をもたらすことができ、多彩な演出を発生させることが可能である。このような遊技状態として、「通常状態」や「時短状態」などがある。
しかし、作動保留球数に応じて図柄変動表示ゲームの演出時間が異なるようにしてしまうと、今回の図柄変動表示ゲームの演出時間と次回の図柄変動表示ゲームの演出時間とが異なる可能性が高く、短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して複数回の図柄変動表示ゲームに跨って、関連性を持つ演出(たとえば、ストーリー仕立ての筋書き演出(物語風演出))を連続的に展開させていくのが困難になる。たとえば、CZ演出モード下において、関連性を有した複数話のストーリー演出を含む物語風の演出を現出させる場合、すべてのストーリー演出の演出時間が同一であれば、これを連続的に展開させていくのは容易であるが(演出制御部24側の演出の選択処理が容易になり演出制御負担が軽減される)、作動保留球数に応じて演出時間が変化してしまうと、ストーリーを展開する関係上、各ストーリー演出それぞれに対し、作動保留球数0〜3個に対応した多くの演出を設けなくてならず、さらに演出時間が異なる演出同士、関連性を有した表現とする必要があり、演出パターンの種類が増加し、演出制御部24側における演出選択処理に係る演出制御負担が増大してしまう。
また上記のような物語風の演出を現出させる場合、先読み予告演出を利用することも考えられるが、先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出であるので、先読み予告演出の開始タイミングによっては、現存する作動保留記憶数がその都度異なり、上述と同じく短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して密接な関連性を持つ演出を連続的に展開させていくのが困難になると考えられる。また先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出であるので、先読み予告演出の開始タイミングによっては、先読み予告演出の実行回数が毎回異なる可能性が高い。このため、本実施形態のように、CZ演出モードの継続回数が長く続くほど潜確状態の期待感を高まるようにしたり、CZ演出モードが所定回数継続した場合に潜確演出モードに移行させて潜確状態下である旨を確定的に報知したりする、といったことはできない。特にCZ演出モードは、大当り抽選確率を秘匿しうる演出をなす演出モードとして働くため、このような演出モードの下で、高確率状態の期待感を煽るような物語風の演出を展開可能とすることは、遊技の面白みを向上させる上で極めて有効である。
そこで本実施形態では、演出時間の長短が発生してしまうことを極力抑えるべく、作動保留球数に関係なく、変動時間が同一の変動パターンが選択されるような特定の遊技状態(CZ)を設け、その特定の遊技状態が継続しうる変動回数を当選種別(2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当り、小当りA、小当りB)に応じて固定的なものとし、上記物語風演出の展開を容易なものとして、演出制御負担を軽減することができるようにしている。
また本実施形態では、既に説明したように、CZ継続回数に応じて潜確状態移行への期待感を高めることができるようになっている。そして、その上限回数を最大保留記憶数の同じ値の4回に定めてある。その理由は、次の通りである。
第1に、CZ演出モードのような秘匿演出モードを長期間(たとえば、数十ゲーム間)継続させるようにした場合、遊技者は潜確状態(高確率状態)でないこと確信できるまで(たとえば、秘匿演出モードが終了し、通常状態が確定的となる通常演出モードに移行するなど)、ゲーム数を長期間消化せざるをえない状況に置かれてしまい、遊技者にとり不利なゲーム展開となる。特に近年では、秘匿演出モードが長期間継続するような遊技機を敬遠する遊技者も多く、このため、秘匿演出モードの継続回数を比較的短いゲーム数に定めて、「短期決着型の演出モード(短期間で遊技状態が判明する演出モード)」とすることが好ましい点、第2に、CZ演出モードのような秘匿演出モードの継続回数を最大保留記憶数(4個)の範囲内にとどめることで、秘匿演出モード中の演出を、後述の先読み予告演出(連続予告演出)が如く装う「疑似的な連続予告演出」とすることができ、遊技の面白みを向上させる上で効果的である点、などが挙げられる。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、遊技状態に関連する演出を現出させるための複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。上記演出モードには、具体的には、遊技状態が「通常遊技状態」の場合には「通常演出モード」、「CZ」の場合には「CZ演出モード」、「潜確状態」の場合には「潜確演出モード」、「時短状態」の場合には「時短演出モード」といった、「確変状態」の場合には「確変演出モード」といった、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。なお上記「CZ」である、「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」とは、同一の遊技状態として管理され、「CZ(通常)」または「CZ(潜確)」中の場合は、演出モードが同じ「CZ(CHANCE ZONE)演出モード」下に置かれる。これにより、演出上からは、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)が秘匿状態とされるようになっている。上記「CZ演出モード」は、大当り抽選確率状態を演出上から秘匿状態とする「秘匿演出モード」としての役割を果たす。斯様な「秘匿演出モード」は、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす演出モードとして働く。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態(内部遊技状態を含む)を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする「特定の演出制御コマンド(本実施形態では、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態指定コマンド、時短終了コマンド、当り中に送信される所定のコマンド(「大当り開始インターバルコマンド」や「大当り終了インターバルコマンド」)などの、主制御部側で管理される遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンドが該当する)」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。また演出制御部24は、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。具体的には、上記の特定の演出制御コマンドにより、主制御部20側で管理される内部遊技状態および変動パターン選択モードを把握し、主制御部20側と整合性を保つ形で、これを管理可能に構成されている。
(5−1−1.各演出モード下の演出について)
各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、たとえば、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景画像演出が現出されるようになっている。また背景画像演出を各演出モードに応じて変化させて遊技状態を示唆するものに限らず、各演出モードに対応した異なる絵柄の装飾図柄を利用したり、音演出や光演出などを変化させたりすることにより各演出モードを示唆することもできる。
なお本実施形態の「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」に対応する「CZ演出モード」は、内部遊技状態が潜確状態(高確率状態)であるか通常遊技状態(低確率状態)であるかにかかわらず、同じ演出モードであると説明したが、本発明はこれに限られない。内部遊技状態に応じた、潜確状態(高確率状態)下における「本物のCZ演出モード(第1の秘匿演出モード)」と、通常遊技状態(低確率状態)下における「ガセのCZ演出モード(第2の秘匿演出モード)」とを設け、これら演出モードに移行制御可能に構成しても良い。この場合、「本物のCZ演出モード」と「ガセのCZ演出モード」とで、特定の演出(たとえば、特定のキャラクタ画像)の出現率を異ならせることにより、遊技者に対して、いずれの演出モードに滞在しているかの推測要素を与えることができる。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、上述した演出モード下において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば当落抽選結果、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な予告演出を、上述した演出モード下で現出制御する機能部(予告演出現出制御手段)を備える。本実施形態の予告演出現出制御手段は、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(たとえば当落抽選結果情報、リーチ演出の有無、特別停止図柄種別情報(当り種別に関する情報)、特別図柄の変動時間情報など)に基づき、様々な予告演出を現出制御可能に構成されている。
斯様な予告演出態様には、「リーチ演出(リーチ変動パターンに係る演出態様)」に代表される予告演出の他、これらの演出に付随して、または単独的に発生するものが含まれる。これらの演出態様は、基本的には、複数の予告演出が重複的に発生してゲーム内容を盛り上げるようになっており、当り種別に当選したか否かの信頼度または期待度(当選期待度)を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感(当り当選期待感)を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものは、「リーチ演出」の他、たとえば「疑似連演出」、「先読み予告演出」などがある。
(5−2−1.リーチ演出)
上記「リーチ演出」とは、所謂「リーチ状態」を伴う演出態様(リーチ状態を伴う変動表示態様)をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終結果を導出表示するような演出態様をいう。このリーチ演出は、当選期待度(大当りである可能性がある旨)を予告(示唆)するものであり、当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、特定のリーチ状態を伴うリーチ演出が出現した場合、通常のリーチ状態(‘ノーマルリーチ(Nリーチ)’)を伴うリーチ演出が出現した場合に比べて、当選期待度が相対的に高まるものがある。このような特定のリーチ状態を伴うリーチ演出を‘スーパーリーチ(SPリーチ)’という。このSPリーチの多くは、大当り期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。このSPリーチには、当選期待度が異なる複数種類のSPリーチ(たとえば、「弱SPリーチ1〜5」、および弱SPリーチよりも期待度が高まる「強SPリーチ1〜3」(番号が大きいほど当選期待度が高い)など)を含むことができる。
(5−2−2.疑似連演出)
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいい、「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態(見た目上、停止表示したかのように装う変動停止動作)とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返すことにより、見た目上、一セットとする変動表示動作が複数回実行されているかのように表現する変動表示態様をいう。この点、複数回の変動表示動作に跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。
この疑似変動を行う場合には、たとえば、仮リーチ状態(リーチ状態の可能性がある旨を示唆したり、リーチ図柄が形成されるが如く装ったりする変動表示態様)を形成しながら、一旦ハズレとなる図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を実行したり、あるいは、通常の装飾図柄に替えて特殊な装飾図柄(疑似連の発生可能性がある旨を示唆する特殊な装飾図柄(疑似連発動チャンス図柄))を含ませた図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を実行したりすることができる。したがって、疑似連演出には、見た目上、1回の図柄変動表示ゲーム中に、装飾図柄の変動表示動作が複数回実行されているかのように表現する演出態様の他、上述の「疑似連発動チャンス図柄」を利用して、疑似変動の発生可能性を遊技者に示唆しながら実行される演出態様を含むことができる。斯様な「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当選期待度が高まるようにその発生率が定められており、主として、当選期待度が相対的に高いリーチ種別(たとえば、SPリーチ)の発生期待感を煽るための予告演出として利用される。
したがって上記「疑似連」は、リーチ演出を含む演出シナリオの場合(疑似連有りリーチ変動パターンに基づく演出態様の場合)、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生され、たとえばリーチ演出の発生可能性がある旨の予告として、1または複数回の疑似変動表示動作を行い、この疑似変動が終了した後、リーチ状態を経由して、最終的なゲーム結果が導出されることになる。なお、リーチ演出を含まない演出シナリオの場合(疑似連有り通常変動パターンに基づく演出態様の場合)、疑似変動が終了した後、リーチ状態を経由せずに最終的なゲーム結果が導出されることになる。ここで、上記疑似変動が終了した後に実行される変動表示動作を「本変動」とも称し、たとえばリーチ状態を経由する場合には、この本変動にてリーチ演出(リーチ状態)が現出され、リーチ状態を経由しない場合には、本変動にて通常変動が実行され、最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。
(5−2−3.先読み予告演出)
また演出には、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、大当りの当選可能性がある旨(当選期待度)を事前に報知する先読み予告演出がある。この先読み予告演出については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる(図17のステップS319〜S320、図18のステップS339〜S340(乱数判定処理〜特別停止図柄データ作成処理)、図19のステップS409(特別電動役物作動判定用乱数判定処理)〜S410(特別停止図柄作成処理)参照)。
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターンを事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる(図17のステップS319、図18のステップS339(始動口入賞時乱数判定処理)参照)。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由する「リーチ変動パターン」となるのか、それともリーチ状態を経由しない「通常変動パターン」となるのかについて事前に判定される。なお上記先読み変動パターンは、少なくとも当落抽選結果を利用して判定されるため、演出制御部24側に送信される先読み変動パターン情報には、リーチの有無や疑似連の有無・その回数などの情報だけでなく、変動開始時の変動パターンが、大当り(小当りを含む)当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報も含まれる。この先読み変動パターンの情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターン判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
詳しくは、上記先読み判定結果の情報(少なくとも先読み当り判定結果情報(当落結果を先読み判定した情報)を含む「保留加算コマンド」が主制御部20から演出制御部24に送信され、当該保留加算コマンドを演出制御部24が受信すると、そのコマンドに含まれる先読み判定結果の内容に基づき、先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。この保留加算コマンドは2バイトで構成され、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト側のデータと、先読み変動パターンの内容を特定可能とする下位バイト側データとから構成される。したがって、保留加算コマンドには、作動保留球情報と、先読み変動パターン情報とが含まれる。ただし演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合に必ずしも先読み予告演出を現出させるわけではなく、先読み予告演出の実行可否を抽選により決定し、先読み予告演出実行可と決定した場合には、作動保留球の発生したタイミングで、または先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、あるいはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出させるようになっている。
なお作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、上記変動開始時の変動パターンが「強SPリーチ1」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明する。このケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が、「強SPリーチ1」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「強SPリーチ」種別である旨、具体的には、「強SPリーチ」という同系統の変動パターン(強SPリーチ1〜3)を纏めて分類した「強SPリーチ種別」である旨を指定することができる。このケースに係る先読み予告演出では、先読みされた「強SPリーチ種別」に関連した演出態様が現出されることになる。したがって先読み予告演出により報知される主な情報は、将来的に実行される図柄変動表示ゲームに関し、当選期待度が高い煽り演出(本ケースでは、強SPリーチ種別)が発生する可能性が高いか低いかといった情報(発生期待度に関する情報)、換言すれば、大当りの当選可能性が高いか低いかといった情報(当選期待度に関する情報)であり、このような情報を作動保留球が消化される前段階において事前に遊技者に報知することにより、今回の図柄変動表示ゲームだけでなく、将来的に実行される図柄変動表示ゲームにも遊技者の関心を向けさせて、遊技の面白みを向上させている。
次に図5を参照しながら、液晶表示装置36の表示態様について説明する。
図5を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方左側)、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76と、特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(通常色である白色の作動保留球ありの場合は白丸印で、また青、黄、緑、赤、虹色などの色付きの作動保留球ありの場合(専用保留表示態様)はハッチングを施した丸印で示す)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印で示す)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知されるようになっている。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている。具体的には、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特図1側に対応)、a2〜d2(特図2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2を使用して、先読み予告演出を実行することができる。たとえば、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球(以下「ゲーム実行中保留」と称する。)を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。このゲーム実行中保留Kは、受座J上に載る際には、保留表示領域76、77での保留表示態様とは異なる保留表示態様、たとえば、アイコンの表示色が変化したり、別の形状(たとえば、キャラクタやアイテム画像など)に変化したりすることにより、今回の特別図柄変動表示ゲームに関する当選期待度がより明確に報知されるようになっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる上記保留加算コマンドを受けた場合、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行う。この先読み予告抽選に当選に係る作動保留球が先読み予告演出の対象となった作動保留球となる。上記先読み予告抽選による抽選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。
先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示の白色から、予告表示の黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留色に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。ここで、保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。この保留色は、先読み変動パターンの内容に基づいて抽選により決定され、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また当選期待度が高いリーチ種別であるほど、当選期待度が高い保留色が高確率で選択されるようになっている。このような「保留表示変化系」の先読み予告演出は、作動保留球の表示態様を利用することから「入賞時変化系」の先読み予告演出と称される。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、上記の保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出は、複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)に跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。この連続予告演出は複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行される点で、疑似連のように、1回の図柄変動動作中に行われる予告演出とは異なる。
また本実施形態では、上述の「入賞時変化系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出可能となっている。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行し連続表示させるといった「画像表示変化系」の先読み予告演出である。すなわち、「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、一の図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を行うか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選に当選した場合には、その時点で現存する全てまたは一部の保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にする。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球までの現存する作動保留球に係る全てまたは一部の図柄変動表示ゲームにおいて、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像(図示の稲妻を模した予告画像)を表示させる。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告演出も「入賞時変化系」の先読み予告演出と同じく、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。なお、各図柄変動表示ゲームにおいて、先読み専用の異なる予告画像であっても良い。
なお、上記した先読み予告演出は、次のような実行携帯とすることができる。たとえば(イ)入賞時変化系(保留表示変化系)だけを実行する、(ロ)変動開始時変化系(画像表示変化系)だけを実行する、(ハ)入賞時変化系と変動開始時変化系の双方を実行する、といった種々の実行形態とすることができる。本実施形態では、この(イ)〜(ハ)の形態を実行可能に構成されている。具体的には、先読み予告抽選により、入賞時変化系の先読み予告演出と変動開始時変化系の先読み予告演出とが、それぞれ独立して抽選され、上記(イ)〜(ハ)のいずれの先読み予告演出を実行するか、それとも先読み予告演出自体を実行しないかが決定されるようになっている。つまり、入賞時変化系と変動開始時変化系との少なくとも一方の先読み予告演出が現出可能(入賞時変化系と変動開始時変化系とがそれぞれ独立して現出可能)に構成されている。
したがって、「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らず、またその逆に、「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らない。また、入賞時変化系(保留表示変化系)」の先読み予告演出と「変動開始時変化系(画像表示変化系)」の先読み予告演出とが同時に発生することもある。なお、上記(イ)〜(ハ)のいずれの実行形態をも現出可能に構成しなくても良く、先読み予告演出時は、入賞時変化系(保留表示変化系)のみを実行したり、(画像表示変化系)のみを実行したり、入賞時変化系と変動開始時変化系の双方を必ず実行する、といった入賞時変化系と変動開始時変化系のそれぞれの先読み予告演出が非独立的に現出されるような構成であっても良く、どのような実行形態とするかは、適宜決定することができる。なお、上記先読み予告演出を他の演出手段により現出させても良く、たとえば、可動体役物を先読み専用の動作パターンで動作させて、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って先読み演出として現出可能に構成しても良い。
(演出手段について)
パチンコ遊技機1による各種の演出(エラー報知を含む)は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段、スピーカ46などの音響発生装置、液晶表示装置36などの演出表示装置、操作者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<主制御部側の処理:図6〜図23>
次に図6〜図23を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図6)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図7)とを含んで構成される。
<6.主制御側メイン処理:図6>
図6は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、図示しない電源制御基板によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図6に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定する。
次に、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップ012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS012の判定結果が‘YES’となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS018)。なお、RAMクリアが実行されると遊技状態が初期化され、内部遊技状態は通常遊技状態、変動パターン振分指定番号(Tcode)))は通常状態を指定する00Hとなる。また演出制御部24が上記RAMクリア表示コマンドを受けると、RAMクリアされた旨を報知する初期化報知演出を、上記RAMクリア報知タイマ(30秒)が経過するまで実行し、RAMクリア後の初期状態の演出モードとして、演出モードを通常状態下の通常演出モードに設定するようになっている。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数を更新する。上記各種乱数には、たとえば、インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当り抽選に利用される補助当り判定用乱数、普通図柄判定用乱数)の初期値変更のために使用する乱数(補助当り判定用初期値乱数、普通図柄判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数などが含まれる。
本実施形態のRAM203には大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ、などが設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が0〜238とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:YES)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH(‘**H’は任意の16進数の意)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされるよう構成されている。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS014)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS014の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS014:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を行う(ステップS015)。また遊技復旧処理では、バックアップ情報から遊技復旧のための所定の情報を取得し(電源遮断時における、特図1・特図2作動保留球数や変動パターン振分指定番号(Tcode)や内部遊技状態情報など)、その情報を含ませた各種の演出制御コマンド(電源復帰用コマンド)を演出制御部24に送信する。これにより演出制御部24に電源遮断時の遊技進行状態を知らせて、遊技復旧時には、電源遮断時の演出状態に復帰させる。
ステップS015の遊技復旧処理を終えると、ステップS019の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。
<7.主制御側タイマ割込処理:図7>
次に図7を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図7は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。以下では説明の便宜上、CPU201がRAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレス値(そのアドレスに記述されているデータ類を含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、CPU内蔵のレジスタ内に読み込んだり取り込んだりするなどの処理を「取得」と称し、またCPU201がRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
図7において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視する。ここでは、たとえば、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマ、特別図柄確定タイマ、普通図柄役物動作タイマ、普通図柄確定タイマなど)のタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を入賞カウンタに格納する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)である。これにより、各入賞口において遊技球を検出(入賞が発生)したか否かが割込みごとに監視される。なお上記「入賞カウンタ」とは、各々の入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。本実施形態では、RAM203の所定領域に、上始動口34用の上始動口入賞カウンタ、下始動口35用の下始動口入賞カウンタ、普通図柄始動口37用の普通図柄始動口入賞カウンタ、下大入賞口40用の大入賞口入賞カウンタ、右大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ、一般入賞口43用の一般入賞口用の入賞カウンタなどが設けられている。
またこの入力管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、入賞検出スイッチからの検出情報が入賞を許容すべき期間中に入賞したか否かに基づいて、不正入賞があったか否かを監視している。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。たとえば、特別図柄判定用乱数カウンタの値を所定範囲で更新(+1加算)し、特別図柄判定用乱数カウンタが1周するごとに、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタの値を読み出し、その生成用カウンタの値を特別図柄判定用乱数カウンタに格納する。これにより、特別図柄判定用乱数カウンタのスタート値が上記の生成用カウンタの値に応じて変更されるので、更新周期は一定でありながらも特別図柄判定用乱数カウンタのカウント値はランダムになる。
次いで、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、遊技動作状態の異常を監視し、動作異常(エラー)が発生した場合には、発生したエラーに対応したエラー処理を行う。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞があった場合は、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板(払出制御部)29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。これにより、それぞれの入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた「入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分の賞球数」)が払い出されるようになっている。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様(最終的に停止表示させる普通図柄(普通停止図柄))を決定したり、所定時間毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成したりする。この普通図柄管理処理は、補助遊技抽選手段、普通図柄の変動表示動作を制御する普通図柄表示手段(普通図柄表示制御手段)として機能する。なお、普通図柄管理処理の詳細は図8にて後述する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS057)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技の実行に必要な制御処理を行い、主に、普通電動役物ソレノイド41aを対象とした励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定処理を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより可動翼片47の動作が制御され、普電開放遊技が実行される。この普通電動役物管理処理は、普電開放遊技を実行制御する補助当り制御手段として機能する。なお、普通電動役物管理処理の詳細は図15にて後述する。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理(大当り判定手段)では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図16にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図23にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、または当り遊技中である場合、具体的には、後述の条件装置作動フラグ、小当り中フラグ、および特別図柄時短状態フラグのいずれかが「5AH」である場合、右打ち状態中であるとして、右打ち指示情報(右流下経路3cを狙う旨を指示する情報(大入賞口50や普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報))を報せる「右打ち報知演出(発射位置誘導演出)」を現出させるための処理を行う。上記右打ち報知演出としては、たとえば、電サポ有り状態中や当り遊技開始の際に、液晶表示装置36に「右打ち」を遊技者に促す画像を表示したり(たとえば、「右打ちせよ」の文字表示を伴う画像表示演出)、スピーカ46から右打ちを促す効果音(たとえば、「右打ちしてね」の音声)を発生させたりすることが挙げられる。上記右打ち状態中である場合には、上記発射位置誘導演出の開始を指示する「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24が上記発射位置誘導演出を制御する構成となっている。
また右打ち報知情報管理処理では、「電サポ無し状態」の低ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、または当り遊技中でない場合、具体的には、後述の条件装置作動フラグ、小当り中フラグ、および特別図柄時短状態フラグが「5AH」以外(00H)である場合、左打ち状態中であるとして、右打ち報知演出を現出させない処理や現出中の右打ち報知演出の実行を中止するための処理を行う。上記左打ち状態中である場合には、上記発射位置誘導演出の中止を指示する「左打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24が上記発射位置誘導演出を制御する構成となっている。これにより、遊技者に適切な発射位置を指示するようになっている。
また演出制御部24側では、上記右打ち状態中である場合に、遊技者が誤って発射位置を左流下経路3b側に狙いを定めていると推定されるとき、たとえば、電サポ有り状態下において、上始動口34に入賞が発生した場合や、所定時間経過しても普通図柄始動口37へ入賞が発生しない場合、演出制御部24側の演出処理により、遊技者に適切な発射位置を指示(発射位置を右流下経路3c側に指示)するべく、右打ち用発射位置警告演出(たとえば、音声による警告音)を現出制御する構成となっている。また、上記左打ち状態中である場合に、遊技者が誤って発射位置を右流下経路3c側に狙いを定めていると推定されるとき、たとえば、電サポ無し状態下において普通図柄始動口37へ入賞が発生した場合、遊技者に適切な発射位置を指示(発射位置を左流下経路3b側に指示)するべく、左打ち用発射位置警告演出(たとえば、音声による警告音)を現出制御する構成となっている。この演出制御部24側の処理における発射位置警告演出は、上記発射位置誘導演出とは異なる。発射位置警告演出の対象は、上述したように、遊技者が発射位置を誤っていると判断されるケースを対象とするものであり、主として、警告的な意味を持つ演出となっている。
なお、上記発射位置誘導演出による左打ち・右打ちの指示情報は、装飾図柄表示領域などの邪魔にならない位置(図示では、右上隅部)に表示させるようになっている(退避表示処理)。また、この右打ち報知演出による画像表示が、特定の予告演出による画像表示と被ったり、近接したりして、現出中の予告演出が見づらくなるような場合には、その予告演出の邪魔にならない位置に退避表示したり、または一時的に右打ち報知演出による画像表示を中断するようになっている。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39や特別図柄表示装置38a,38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成される普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図16のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。上記動作状態情報には、大当り遊技が発生した旨(条件装置が作動した旨)、小当り遊技が発生した旨、図柄変動表示ゲームが実行された旨、入賞情報(たとえば、始動口や大入賞口に入賞した旨や賞球数情報)、エラー発生情報などの各種情報が含まれる。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく普通電動役物ソレノイド41cに対する励磁信号の出力処理や、ステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく大入賞口ソレノイド42c、52cに対する励磁信号の出力処理などを行う。これにより、可動翼片47や開放扉42bや開放扉52bが所定のパターンで開閉動作し、下始動口35や下大入賞口40や右大入賞口50が開閉される。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(8.普通図柄管理処理:図8)
次に、図7中の普通図柄管理処理(ステップS057)について説明する。図8は、ステップS057の普通図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図8において、CPU201は、まず普通図柄(普通図柄始動口37)に関する普通図柄始動口チェック処理を行う(ステップS601)。なお、普通図柄始動口チェック処理の詳細は図9で後述する。
ステップS601の普通図柄始動口チェック処理を終えると、普通変動入賞装置作動フラグの状態を判定する(ステップS604)。この「普通変動入賞装置作動フラグ」とは、普電開放遊技中であるか否かを指定するためのフラグで(図13のステップS675参照)、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普電開放遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普電開放遊技中ではない旨を示す。
上記普通変動入賞装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS604:≠5AH)、すなわち、普電開放遊技中でない場合、普通図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、普通図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS605:普通図柄動作ステータス分岐処理)。一方、普通変動入賞装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS604:=5AH)、すなわち、普電開放遊技中である場合には、ステップS606〜S608の普通図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS609の普通図柄表示データ更新処理に進む。したがって、普電開放遊技中である場合には、普通図柄の変動表示動作は行われない(普通図柄表示装置の普通図柄の表示状態は、補助当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「普通図柄動作ステータス」とは、普通図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の普通図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS605の普通図柄動作ステータス分岐処理では、普通図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、普通図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、普通図柄変動開始処理(ステップS606)を、「変動中(02H)」である場合には、普通図柄変動中処理(ステップS607)を、「確認中(03H)」である場合には、普通図柄確認時間中処理(ステップS608)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、普通図柄の挙動が次回変動表示のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは普通図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは普通図柄の変動表示が終了して停止(確定)表示中(普通図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、普通図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお上記の普通図柄変動開始処理(ステップS606:図10)、普通図柄変動中処理(ステップS607:図11)、および普通図柄確認時間中処理(ステップS608:図13)の詳細は、後述する。
上記ステップS606〜S608のいずれかの処理を終えると、ステップS609の普通図柄表示データ更新処理を行う。この普通図柄表示データ更新処理では、普通図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば、128ms)毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した普通図柄の表示データは、図7のLED管理処理(ステップS062)で出力され、普通図柄表示装置39上における普通図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより普通図柄管理処理を抜けて、図7のステップS058の普通電動役物管理処理に進む。
(8−1.普通図柄始動口チェック処理:図9)
まず、普通図柄始動口チェック処理(図8のステップS601)について説明する。図9は、上記のステップS601の普通図柄始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この普通図柄始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理(普図側入賞時処理)としての役割を果たし、ここでは、普通図柄変動表示ゲームを実行させるための開始前処理として、普通図柄始動口37の入球発生に起因した普通図柄の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などが行われる。
図9において、CPU201は、まず普通図柄始動口37において入球(通過)を検出したか否かを判定する(ステップS611)。
普通図柄始動口37の入球を検出した場合(ステップS611:YES)、普通図柄の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS612)。すなわち、普通図柄に係る作動保留球(以下、「普通図柄作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、普通図柄始動口37の入球検出がなかった場合は(ステップS611:NO)、何もしないで普通図柄始動口チェック処理を抜ける。
普通図柄始動口37の入球を検出したが普通図柄作動保留球数が4以上である場合(ステップS612:YES)、何もしないで普通図柄始動口チェック処理を抜ける。一方、普通図柄作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS612:NO)、普通図柄作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS613)、ステップS614の処理に進む。
ステップS614の処理に進むと、今回発生した普通図柄作動保留球に係る普通図柄変動表示ゲームに利用される各種乱数を取得する(ステップS614)。具体的には、乱数カウンタから補助当り判定用乱数、普通図柄判定用乱数、普通図柄変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が普通図柄の変動表示動作に供されるまで(普通図柄変動表示ゲーム実行時まで)、始動条件の成立順(入球順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、普通図柄に対応した保留記憶エリア(普通図柄に対応する普通図柄保留記憶エリア(普通図柄の保留記憶エリア)が設けられている。この保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている(保留記憶順番は、保留1記憶エリア、保留2記憶エリア、・・・、保留n−1記憶エリア、保留n記憶エリアの順に格納されるようになっている)。
次いで、普通図柄を指定するコマンドデータとともに、その普通図柄作動保留球数を指定するコマンドデータとから構成される「普図保留加算コマンド」を作成し(ステップS615)、演出制御部24に送信する(ステップS616)。これにより普通図柄始動口チェック処理を抜ける。この普図保留加算コマンドは、演出制御部24側において、普通図柄作動保留球数に関する情報を演出手段(たとえば、液晶表示装置36)に表示する際に利用される。
(8−2.普通図柄変動開始処理:図10)
次に、普通図柄変動開始処理(ステップS606)について説明する。図10は、図8の普通図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図10において、CPU201は、まず普通図柄作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS621)、普通図柄作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS621:NO)は、ステップS623の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした普通図柄の変動開始時の処理(ステップS623〜S636)を行う。
ステップS623に進むと、普通図柄作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する普通図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS623)、減算後の普通図柄作動保留球数情報を含む「普図保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS624)。
次いで、普通図柄作動確認データを格納する(ステップS625)。この普通図柄の作動確認データは、今回の普通図柄の変動開始を指定する情報であり、たとえば、普通図柄が変動開始であるならば「01H」を普通図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている普通図柄の保留データをシフトして(ステップS626)、普通図柄の保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS627)。このステップS626〜S627の処理では、普通図柄の保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(補助当り判定用乱数、普通図柄判定用乱数、および普通図柄変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の普通図柄の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、普通図柄の保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS626)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS627)。つまり、普通図柄の保留1記憶エリアの保留データを普通図柄の判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、普通図柄の保留4記憶エリアに空き領域を設ける(新たな作動保留球が発生しない場合は、ステップS627の処理を行うごとに空き領域が順次シフトされていくので、全作動保留球消化時には、全保留記憶エリアが空き領域となる)。これにより、普通図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、普通図柄始動口への入球時に取得された普通図柄の作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、普通電動役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS629)。この普通電動役物作動判定用乱数判定処理では、補助当り判定用乱数値を利用し、今回の普通図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選(補助当り当落抽選)」を行う。
(F−1.補助当り乱数判定テーブル)
上記補助当り乱数判定テーブルには、補助当り抽選確率状態(高確率状態(高確)と低確率状態(低確))別に、当落種別(補助当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、補助当り判定用乱数値(補助当り判定用乱数の大きさ:251)とが関連付けて定められており、具体的には、補助当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、補助当り、またはハズレのいずれかが決定されるようになっている。したがって、取得した補助当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合(補助当り判定用乱数値が同じ値)であっても、現在の補助当り抽選確率状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかにより、一方では「補助当り」、他方では「ハズレ」といったように当落種別が異なる場合がある。本実施形態の補助当り当選確率は、低確率状態では「1/251」で、高確率状態ではそれよりも高確率である、たとえば「250/251(251/251でも良い)」で補助当りに当選するようになっている。したがって、高確率状態中(電サポ有り状態中)は、ほぼ毎ゲーム、補助当りに当選するようになっている。
この普通図柄に係る当落抽選により、「補助当り」当選となった場合には補助当り判定フラグが「5AH(補助当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には補助当り非当選(補助当り判定フラグがOFF状態)」となる。したがって補助当り判定用乱数値が、補助当り判定フラグ「00H」となる判定値に属する場合、「補助当り」に当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ(補助当り判定フラグがOFF状態)’となる。
ステップS629の普通電役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、普通停止図柄作成処理を行う(ステップS630)。この普通停止図柄作成処理では、ステップS629の普通電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と普通図柄判定用乱数値を利用し、今回の普通図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選(補助当り図柄抽選)」を行う。
(F−2.補助当り図柄テーブル)
上記の図柄テーブルには、「普通図柄判定用乱数値(普通図柄判定用乱数値の大きさ:200)」と、当選種別を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、普通図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、普通図柄判定データおよび普通停止図柄番号が決定されるようになっている。
上記「普通図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:補助当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、本実施形態の場合、補助当り3(長時間開放:ロング開放)、補助当り2(通常時間開放:ミドル開放)、補助当り1(短時間開放:ショート開放)、ハズレのいずれに当選したのかを識別するためのデータである。具体的には、普通図柄判定データが「01H」の場合は‘補助当り1’、「02H」の場合は‘補助当り2’、「03H」の場合は‘補助当り3’、「00H」の場合は‘ハズレ(ハズレが複数種類ある場合は、そのハズレごとに対応した値)’である旨を示す。また上記の「普通停止図柄番号」とは、普通図柄表示装置39に停止表示する普通図柄の停止図柄(普通停止図柄)態様を指定するデータであり、主制御部20側において普通図柄の「停止図柄種」を特定する際に利用される。
(F−2−1.補助当り図柄テーブル)
本実施形態の補助当り図柄テーブルには、普通図柄判定用乱数値と、補助当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、普通図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の補助当りのうちからいずれか一つの補助当りが決定されるようになっている。
上記補助当り図柄テーブルでは、たとえば、利益状態が相対的に高い普電開放遊技の実行契機となる補助当りの当選確率(図柄選択率)を相対的に低確率となるように定めている。具体的には、普通図柄判定用乱数値が判定値0〜89の範囲に属する場合には「補助当り1」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):90/200)、判定値90〜154の範囲に属する場合は「補助当り2」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):65/200)、判定値150〜199の範囲に属する場合は「補助当り3」当選となり(図柄選択率:45/200)、補助当り種別が所定の図柄選択率で決定されるようになっており(補助当り3<補助当り2<補助当り1の関係)、これに対応する普通図柄判定データおよび普通停止図柄番号が決定されるようになっている。なお本実施形態では、補助当り1の図柄選択率は、補助当り2と補助当り3の合算図柄選択率よりも低確率となるように定められている(補助当り1の図柄選択率は90/200、補助当り2と補助当り3の合算図柄選択率は110/200)。ただし、各補助当りの図柄選択率は、遊技性に応じて適宜変更することができる。
ステップS630の普通停止図柄作成処理を終えると、次いで、普通図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS631)。この普通図柄変動パターン作成処理では、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、普通電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、普通停止図柄作成処理の補助当り図柄抽選結果、および普通図柄の変動パターン用乱数などを利用し、今回の普通図柄の変動表示動作に供される普通図柄の作動保留球を対象とした普通図柄の変動パターンを抽選により決定する。そして、その普通図柄変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その普通図柄変動パターンの内容を特定可能な変動パターン情報を含む「普通図柄変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。
ここではまず、普通図柄変動パターン用乱数値を取得し、次いで、補助当り抽選結果(当落抽選、補助当り図柄抽選)に基づき、当りの場合には「補助当り変動パターン振分テーブル(図示せず)」を、ハズレの場合には「ハズレ変動パターン振分テーブル(図示せず)」を取得する。そして、この補助当り変動パターン振分テーブルと普通図柄変動パターン用乱数値とを利用した普通図柄変動パターン抽選により、普通図柄の変動パターンを決定する。
(F−3.普通図柄変動パターン振分テーブル)
上記普通図柄変動パターン振分テーブルには、補助当りに当選した場合に選択される「補助当り用変動パターン振分テーブル」と、ハズレに当選した場合に選択される「ハズレ用変動パターン振分テーブル」とが含まれる。
各変動パターン振分テーブルには、普通図柄に関する変動パターン(普通図柄変動パターン)が、普通図柄の作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、残りの作動保留球数)、内部遊技状態(電サポ有り状態または電サポ無し状態であるか否か(変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)であっても良い))、補助当り抽選結果(普通停止図柄作成処理(ステップS630)の補助図柄抽選結果)、および普通図柄変動パターン用乱数値に関連付けて定められており、普通図柄変動パターン用乱数による抽選により、1または複数種類の変動パターンのうちからいずれかの普通図柄変動パターンが選択されるようになっている。
しかし普通図柄変動表示ゲームは、大当りよりも利益状態の低い普電開放遊技を発生させるための補助的な図柄変動表示ゲームである。したがって、これに対応する補助装飾図柄変動表示ゲームでは、装飾図柄変動表示ゲームのように多種多様な予告演出を現出させて遊技者を煽る必要性に乏しく、予告演出自体を発生させなくても良い場合がある。そこで、普通図柄変動パターンを決定する際には、制御負担を軽減するために、普通図柄変動パターン用乱数による抽選ではなく、単に、当選種別に対応した普通図柄変動パターンを選択するように構成することが好ましい。たとえば、補助当り1の場合には普通図柄変動パターン1、補助当り2の場合には普通図柄変動パターン2、補助当り3の場合には普通図柄変動パターン3、ハズレの場合は普通図柄変動パターン4が決定される、といったように、当選種別に対応した1つの普通図柄変動パターンが決定されるように構成することができる。また補助当り1〜3で共通の普通図柄変動パターンが、またはすべての当選種別で共通の普通図柄変動パターンが決定されるように構成しても良い。ただし、時短状態や確変状態などの「電サポ有り状態」下では、開放延長機能や普通図柄時短機能が働くので、普通図柄変動パターンを決定する際には、少なくとも内部遊技状態または変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)が考慮される。したがって、電サポ有り状態下では、電サポ無し状態とは異なる普通図柄変動パターンが決定される。
本実施形態では、図29に示すように、制御負担を軽減するために、すべての当選種別で共通の普通図柄変動パターンが選択されるようになっている。具体的には、電サポ無し状態中では、普通図柄の作動保留球数や当選種別などによらず、普通図柄変動パターンとして「通常中変動6s(変動時間6000ms)」が選択され、電サポ有り状態中では、「時短中変動1.5s(変動時間1500ms)」が選択されるようになっている。勿論、特別図柄の変動パターンと同じく、当選種別に対応する変動パターン(当り変動パターン、ハズレ変動(通常変動)パターン)を定めることができる。
上記普通図柄変動パターンの決定に伴い、その変動パターンに対応した「普通図柄変動時間決定テーブル(図示せず)」も決定される。この「普通図柄変動時間決定テーブル」には、普通図柄変動パターンに対応した変動時間(普通図柄変動表示動作時間)が定められおり、この変動時間決定テーブルが決定されると、今回の普通図柄変動パターンの変動時間(特別図柄の変動表示動作時間)が定まることになる。決定された変動時間は、普通図柄役物動作タイマに格納(設定)され、この変動時間が今回の普通図柄変動表示ゲーム(普通図柄遊技)の実行時間、換言すれば、普通図柄変動表示ゲームと同調して実行される「補助装飾図柄変動表示ゲーム」の遊技時間(装飾図柄の変動表示動作時間(演出時間))となる。なお、普通図柄の変動時間は、普通図柄変動パターン種別によらず、同一の変動時間としても良い。本実施形態では、図29に示すように、電サポ無し状態の場合は6000ms、電サポ有り状態の場合は1500msとなっている。
このようにして決定された普通図柄変動パターンに関する情報には、主に、補助当り・ハズレの別の当落抽選結果(本実施形態の場合、補助当り図柄抽選結果に関する情報は、後述の「補助当り図柄指定コマンド」に含まれる)、現在の遊技状態種別、変動時間に関する情報などを含むことができる。CPU201は、その内容を特定可能とする「普通図柄変動パターン指定コマンド」を作成し(ステップS631)、これを演出制御部24側へと送信する(ステップS632)。演出制御部24は、普通図柄変動パターン指定コマンドを受信すると、これに含まれる普通図柄変動パターン情報に基づいて、今回の補助装飾図柄変動表示ゲーム中の予告演出を現出制御する。ただし本実施形態では、図29に示すように、現在の遊技状態種別(電サポの有無に関する情報)に関する情報と変動時間に関する情報とを含む普通図柄変動パターン指定コマンドが送信される。具体的には、電サポ無し状態の場合は「通常中変動6s(変動時間6000ms)」を指定する「0096H」が、電サポ有り状態の場合は「時短中変動1.5s(変動時間1500ms)」を指定する「05DCH」が送信されるようになっている。
次いで、普通図柄が変動表示中である旨を指定する普通図柄変動中フラグに5AH(ON状態)を格納する(ステップS633)。上記「普通図柄変動中フラグ」とは普通図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄が停止中である旨を示す
次いで、ステップS630の普通停止図柄作成処理で得られた補助当り図柄抽選結果に基づき、補助当り図柄指定コマンドを作成し(ステップS634)、これを演出制御部24に送信する(ステップS635)。この補助当り図柄指定コマンドは、普通図柄を指定する上位バイト(MODE)と、補助当り種別、ハズレ種別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって「補助当り図柄指定コマンド」には、普通図柄と当選種別(補助当り図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。たとえば、上位バイト(MODE)側には、普通図柄を示す「BDH」が設定され、下位バイト(EVENT)側には、当選種別に対応したEVNET値(補助当り種別またはハズレ種別を特定可能な値:たとえば、補助当り1の場合は「01H」、補助当り2の場合は「02H」、補助当りの場合は「03H」、ハズレの場合は「04H」など)が設定される。したがって、補助当り図柄指定コマンドが、たとえば、「BD01H」であれば、今回の普通図柄変動表示ゲームの結果が、補助当り1であることが特定可能となっている。演出制御部24は、普通図柄変動パターン指定コマンドおよび補助当り図柄指定コマンドを受信すると、これに含まれる普通図柄変動パターン情報および当選種別情報に基づいて、補助装飾図柄変動表示ゲーム結果を表示する際の装飾停止図柄種や補助装飾図柄変動表示ゲーム中の予告演出を決定し、今回の補助装飾図柄変動表示ゲームを現出制御する。
そして、普通図柄変動開始時設定処理として、普通図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(普通図柄動作ステータスに02Hを格納)、普通図柄判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS636)。
以上により、この普通図柄変動開始処理を抜けると、図8の普通図柄表示データ更新処理(ステップS609)を行い、かくして普通図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、普通図柄管理処理(ステップS057)を抜けて、図7の普通電動役物管理処理(ステップS058)に進む。
(8−3.普通図柄変動中処理:図11)
次に、普通図柄変動中処理(ステップS607)について説明する。図11は、図8の普通図柄変動中処理(ステップS607)の詳細を示すフローチャートである。
図11において、CPU201は、まず普通図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり普通図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS661)。普通図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS661:NO)、未だ普通図柄の変動時間が経過していない、つまり普通図柄が変動中であるので、何もしないでこの普通図柄変動中処理を抜ける。
普通図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS661:YES)、演出制御コマンドとして、普通図柄の変動表示が終了したことを示す「普通図柄変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS662)。この普通図柄変動停止コマンドにより、演出制御部24は、普通図柄の変動時間が経過して普通図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、現在変動表示中の装飾補助図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、普通図柄変動表示ゲームの終了とともに、補助装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。
次いで、普通図柄変動停止時設定処理(ステップS663)を行う。この普通図柄変動停止時設定処理では、普通図柄の変動時間終了時に必要な各種設定処理を行う。この普通図柄変動停止時設定処理の詳細は図12にて後述する。
ステップS663の普通図柄変動停止時設定処理を終えると、この普通図柄変動中処理を抜けて、図8のステップS609の普通図柄表示データ更新処理を行った後、普通図柄管理処理を抜けて、図7のステップS058の普通電動役物管理処理に進む。
(8−3−1.普通図柄変動停止時設定処理:図12)
次に、上記普通図柄変動停止時設定処理(ステップS663)について説明する。図12は、図11の普通図柄変動停止時設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず普通図柄確定タイマに、普通図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納する(ステップS651)。この「普通図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、普通図柄が確定表示された旨を報知する普通図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。なお、ホールコンピュータHCに対し普通図柄確定信号を出力する必要がない場合は、このステップS651の処理を実行しなくても良い。
次いで、普通図柄判定データを取得し(ステップS652)、この取得した普通図柄判定データと普通図柄確定表示時間決定テーブル1(図30)とに基づき、補助当り抽選の結果に対応する確定表示時間を決定する(ステップS653)。ここで、「確定表示時間」とは、普通図柄の変動表示が終了した後、今回の普通図柄変動表示ゲームの結果に対応した停止表示態様で普通図柄(普通停止図柄)を停止表示させておくための時間幅(停止表示時間)である。
(普通図柄確定表示時間決定テーブル1:図30)
図30に、本実施形態に係る普通図柄確定表示時間決定テーブル1を示す。本実施形態の普通図柄確定表示時間決定テーブル1には、普通図柄判定データに応じて、異なる確定表示時間が定められている。具体的には、補助当り1〜3のいずれかである場合には、確定表示時間として「0ms」が、ハズレである場合には、確定表示時間として「500ms」が決定されるようになっている。本実施形態の場合、補助当りであれば、補助当りの種別によらず、同一の確定表示時間が決定されるようになっている。したがって、ステップS654の処理では、補助当り抽選の結果が「補助当り」である場合、普通図柄役物動作タイマに確定表示時間として「0ms」が設定され、補助当り抽選の結果が「ハズレ」である場合、普通図柄役物動作タイマに確定表示時間として「500ms」が設定されることになる(ステップS654)。なお本実施形態では、上述のように、補助当り1〜3である場合に共通の確定表示時間が設定されることから、単に、補助当り判定フラグを判定し、補助当りの場合(補助当り判定フラグ=5AH)の場合は「0ms」を設定し、ハズレの場合(補助当り判定フラグ≠5AH)の場合は「500ms」を設定するように構成しても良い。
本実施形態では、上述のように、補助当り抽選の結果に応じて異なる確定表示時間Tが設定されるようになっており、特に、補助当りの場合にはハズレの場合よりも十分に短い確定表示時間T(T=0を含む)が設定されるようになっている。つまり、普通図柄の変動表示動作が終了した後に、補助当りの場合はハズレの場合よりも、普電開放遊技の実行タイミングが時間的に先行して開始されるようになっている。この理由については、普電開放遊技に密接に関連するものであるため、説明の便宜上、後述の普通電動役物管理処理(図15)の説明を終えた後、追って説明する(後述の図34参照)。
次いで、普通図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替える(普通図柄動作ステータスに03Hを格納)(ステップS655)し、普通図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納する(ステップS656)。
次いで、普通図柄確認時間中処理を行う(ステップS657)。この「普通図柄確認時間中処理」の内容は、図8の普通図柄管理において、普通図柄動作ステータスが「確認中(03H)」の場合に実行されるステップS608の普通図柄確認時間中処理のものと同じである。なお、普通図柄確認時間中処理の詳細は、図13にて後述する。
上記普通図柄確認時間中処理を終えると、普通図柄変動停止時設定処理を抜けて、普通図柄表示データ更新処理(図8のステップS609)を行った後、普通図柄管理処理を抜け、普通電動役物管理処理(図7のステップS058)に進む。
(8−4.普通図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図13)
次に、普通図柄確認時間中処理(ステップS608)について説明する。図13は、図8の普通図柄確認時間中処理(ステップS608)の詳細を示すフローチャートである。
図13において、CPU201は、まず普通図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS671)。ここでの普通図柄役物動作タイマには、上記「確定表示時間」が設定されている(図12のステップS654参照)。この普通図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS671:NO)、何もしないでこの普通図柄確認時間中処理を抜ける。
普通図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS671:YES)、今回の普通図柄変動表示ゲームが終了したとして、普通図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替える(普通図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS672)。
次いで、補助当り判定フラグを取得し、補助当り判定フラグの状態を判定する(ステップS674)。このステップS674の判定で、補助当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS674:=5AH)、補助当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS675)。この補助当り図柄停止時の各種設定処理では、普電開放遊技の開始前処理として、補助当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、普通変動入賞装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納して、この普通図柄確認時間中処理を抜ける。
一方、このステップS674の判定で、補助当り判定フラグがOFF状態(≠5AH)の場合(ステップS674:≠5AH)、つまりハズレの場合は、補助当り図柄停止時の各種設定処理を行うことなく、この普通図柄確認時間中処理を抜ける。
以上により、この普通図柄確認時間中処理を抜けると、図8のステップS609の普通図柄表示データ更新処理を行った後、普通図柄管理処理を抜けて、図7のステップS058の普通電動役物管理処理に進む。
(8−4−1.普通図柄変動中処理(図11のステップS685)の普通図柄変動停止時設定処理(図12のステップS663)において実行される「普通図柄確認時間中処理(図12のステップS657)」の作用について)
ここで、本発明の理解を容易なものとするために、図12の普通図柄変動停止時設定処理中(ステップS663)中で実行される、ステップS657の普通図柄確認時間中処理の作用について説明しておく。
図12および図13を参照して、図12のステップS653の処理により確定表示時間「0ms」が選択された場合(補助当りである場合)、後続のステップS657の普通図柄確認時間中処理(図13)は、次のような処理内容となる。
ステップS657の普通図柄確認時間中処理(図13)に入ると、まず、普通図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定されるが(図13のステップS671)、ここでの普通図柄役物動作タイマは、図12のステップS653〜S654の処理により「ゼロ」が設定されているので、ステップS671の判定処理結果は‘YES(確定表示時間経過)’となり、普通図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替える(ステップS672)。また今回は補助当りであるので、ステップS674の判定処理結果は‘=5AH’となり、ステップS675の補助当り図柄停止時の各種設定処理が行われ、普通変動入賞装置作動フラグに5AH(ON状態)とされる。これにより、次回の割り込み処理における普通図柄管理処理中の普通図柄確認時間中処理(図8のステップS608)を待たずに、つまり、4msを待たずに、今回の割り込み処理で後続の普通電動役物管理処理(図7のステップS058、図15)において、ステップS683〜S686の処理(ステップS674の‘=5AH’の処理ルート)が実行され、普通図柄の変動表示終了後、直ちに普電開放遊技が実行されることになる。したがって、正しく(4msを介在させずに)、確定表示時間を「0ms」とすることができるようになっている。
また本実施形態では、図12のステップS657の普通図柄確認時間中処理と、図8の普通図柄管理のステップS608の普通図柄確認時間中処理の両者を共通の処理モジュールとして構成することにより、同じプログラム構成が利用されるようになっている。これにより、プログラム量やメモリ量の削減することができ、制御負担を軽減することができる。
このように本実施形態では、普通図柄変動中処理(図11)の「普通図柄変動停止時設定処理(図12のステップS663)」中において、上記したステップS608の普通図柄確認時間中処理(図13)と同様の処理を実行させ、次回の割り込み処理における「普通図柄確認時間中処理(図8のステップS608)」を待たずに、今回の割り込み処理で直ちに普電開放遊技に係る制御処理(図7のステップS058、図15)が実行されるようになっている。その結果、普通図柄の停止表示後、普電開放遊技が開始されるまでに次回の割り込み処理の待ち時間である4msが介在してしまう問題、換言すれば、4msの確定表示時間が実質的に存在してしまうことを排除し、確定表示時間を確実に「0ms」とすることができるようになっている。
なお、図12のステップS657の普通図柄確認時間中処理を実行しない場合は、上述のように、普電開放遊技が開始されるまでに次回の割り込み処理の待ち時間である4msが介在することになるが、確定表示時間がミリセコンドオーダー(たとえば、0ms<T≦10ms程度)であれば、確定表示時間をゼロとみなしても問題はないものと考えられる。これについての詳細は、図34にて後述する。
(8−5.普通電動役物管理処理:図15)
次に、図7中の普通電動役物管理処理(ステップS058)について説明する。図15は、ステップS058の普通電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図15において、CPU201は、まず普通変動入賞装置作動フラグの状態を判定する(ステップS681)。普通変動入賞装置作動フラグがOFF状態(≠5AH)の場合(ステップS681:≠5AH)、つまり普電開放遊技中でない場合、何もしないで、この普通電動役物管理処理を抜ける。
一方、普通変動入賞装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS681:=5AH)、つまり普電開放遊技中である場合、普通電動役物動作ステータス(00H、01H、02H、04H)に応じた普電開放遊技に関する処理を行う(ステップS682:普通電動役物ステータス分岐処理)。なお「普通電動役物動作ステータス」とは、普通変動入賞装置41の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の普通電動役物動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS682の普通電動役物動作ステータス分岐処理では、普通電動役物動作ステータス値に応じた処理を呼び出して実行させる。具体的には、普通電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、補助当り開始処理(ステップS683)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、普通電動役物作動開始処理(ステップS684)を、作動中(02H)」の場合には、普通電動役物作動中処理(ステップS685)を、「終了処理中(04H)」の場合には、補助当り終了処理(ステップS686)を呼び出して実行させる。これらの処理により普電開放遊技に係る普通変動入賞装置41の動作が制御される。ここで、「開始処理中(00H)」とは、普電開放遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とは普電開放遊技が開始されて普通変動入賞装置41の可動翼片47の開放前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とは普電開放遊技が実行中である旨を示し、「終了処理中(04H)」とは普電開放遊技終了時の終了処理中である旨を示す。上記ステップS683〜S686のいずれかの処理を終えると、普通電動役物管理処理を抜けて、図7のステップS059の特別図柄管理処理に進む。
<8.普電開放遊技制御処理(ステップS683〜S686)>
以下に、上記した普電開放遊技に係るステップS683〜S686の処理について、順に説明していく。
(8−5−1.補助当り開始処理:S683)
普電開放遊技開始時には、普通電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、補助当りとなった場合には、最初に、この補助当り開始処理が行われるようになっている。
ここでは、まず普電開放遊技を開始する際に必要な普電開放遊技開始時の設定処理として、普通電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(普通電動役物動作ステータスに01Hを格納)、普通図柄役物動作タイマに「開始インターバル時間」を格納する。この「開始インターバル時間」とは、普通図柄の確定表示時間が経過して補助当りが確定した後、普通変動入賞装置41が動作するまでのインターバル区間である。ここでは、開始インターバル時間として、補助当り種別によらず、共通の開始インターバル時間(ここでは、20ms)が設定されるようになっている。
次いで、普電開放遊技の開始を指示する「補助当り開始インターバルコマンド」を演出制御部24に送信し、この補助当り開始処理を抜けて、図7のステップS059の特別図柄管理処理に進む。「補助当り開始インターバルコマンド」を利用して、普電開放遊技の開始に伴い、当り中演出(補助当り中演出)を現出可能に構成することができる。
本実施形態の場合、電サポ無し状態下に置かれた場合は、可動翼片47の作動率が低い「低ベース遊技状態」となり、また遊技くぎなどの落下方向変換部材に起因して、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって、電サポ無し状態下において遊技者が右流下経路3cの普通図柄始動口37側に発射位置の狙い定めた場合、特に不利益をもたらす、という遊技性となっている。このため、遊技者は、電サポ無し状態中は左流下経路3bに発射位置の狙い定めて遊技を進行させるようになり、通常は(誤射したり、故意に右流下経路3c側を狙ったりしない限り)遊技球が普通図柄始動口37を通過することは無い。しかし、普通図柄始動口37を左流下経路3bのみに形成したり、両流下経路のそれぞれに形成したタイプの場合には、電サポ無し状態下においても普通図柄始動口37を通過しうるので、補助当り抽選が実行されて、普電開放遊技が実行される場合がある。このような構成の場合、普電開放遊技が発生した旨を遊技者に報知して、積極的に下始動口35に入賞させることを促すことが好ましい。そこで上記「補助当り開始インターバルコマンド」を利用し、演出制御部24がこれを受信した場合、補助当り中演出を現出させ、普電開放遊技が発生した旨を遊技者に報知するように構成することができる。
また上記補助当り開始インターバルコマンドは、今回当選した補助当り種別(補助当り1〜3)を特定可能な情報を含むことができる。この場合、演出制御部24は、今回当選した補助当り種別を把握することができるので、補助当り1〜3に対応して、それぞれ異なる補助当り中演出を実行可能に構成することができる。また、補助当り3によるロング開放時は、開放時間の関係上、補助当り1、2によるミドル開放時やショート開放時よりも遊技者に有利な普電開放遊技が実行される。この点に着目し、補助当り3の場合には、補助当り1〜2とは異なる特別な補助当り中演出を現出させたり、補助当り3の場合に限り、補助当り中演出を現出させるように構成しても良い。
なお、電サポ有り状態下に置かれた場合は、可動翼片47の作動率が高まる「高ベース遊技状態」下に置かれ、電サポ無し状態下よりも遊技者に有利な普電開放遊技が頻繁に発生しうる。このため、補助当り中演出を現出させる必要性に乏しく、補助当りをする度に一々、当り中演出が現出させると、遊技者が煩わしく感じる恐れがある。したがって、電サポ有り状態中の場合は補助当り中演出を現出させない構成とすることが好ましい。
(8−5−2.普通電動役物作動開始処理:ステップS684)
次に、普通電動役物作動開始処理(ステップS684)について説明する。
ここではまず、普通図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの普通図柄役物動作タイマには、上記補助当り開始処理(ステップS683)の「開始インターバル時間(20ms)」が設定されている。この普通図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの普通電動役物作動開始処理を抜ける。
普通図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放インターバル時間が経過したならば、普通図柄判定データ(補助当り種別)応じた下始動口35の開閉動作パターンを設定する。具体的には、下始動口35を開閉動作させるための始動口開閉動作時間を普通図柄役物動作タイマに格納し、普通電動役物ソレノイド41c(可動翼片47)を制御するためのソレノイド用制御データを設定する。ここで設定されたソレノイド用制御データは、図7のソレノイド管理処理(ステップS064)で利用される。
上記始動口開閉動作時間については、たとえば、下始動口35が「開状態1.8秒→閉状態1秒→開状態1.8秒→閉状態1秒+開状態1.8秒」という開放パターンであれば、この一連の開閉動作パターンに要する合計時間の「7.4秒」が始動口開閉動作時間に相当し、この値が初期値として、普通図柄役物動作タイマに設定される。またソレノイド用制御データについては、割り込み処理ごとに普通図柄役物動作タイマが監視され、普通図柄役物動作タイマ値に対応したソレノイド制御データが設定される(下始動口開閉動作設定処理)。このソレノイド用制御データは、ON状態(5AH)であれば、ソレノイド制御用の励磁信号出力(始動口開放)を指定し、OFF状態(00H)であれば、励磁信号出力停止(始動口開放閉鎖)を指定する。これにより、普通電動役物ソレノイド41cを所定のパターンで動作させ、下始動口35が上記始動口開閉動作時間を上限に開閉動作される。
またここでは、下始動口35の入賞球を計数するための下始動口入賞数カウンタに00Hを格納し(ゼロクリアする)、普通電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替え(普通電動役物動作ステータスに02Hを格納)。これにより、普通電動役物作動開始処理を抜けて、図7のステップS059の特別図柄管理処理に進む。
(8−5−3.普通電動役物作動中処理:ステップS685)
次に、普通電動役物作動中処理(ステップS685)について説明する。
ここではまず、下始動口35への入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数(たとえば、10個)に達したか否かを確認する下始動口最大入賞数確認処理を行い、次いで、上述の普通電動役物作動開始処理(ステップS684)と同様の下始動口開閉動作設定処理を行う。
上記下始動口最大入賞数確認処理において、入賞球数が最大入賞数に達した場合、普通図柄役物動作タイマがクリアされる。これにより、上記普通電動役物作動開始処理(ステップS684)で設定された普通図柄役物動作タイマが強制的にゼロになり、最大入賞数に達したことを以って、下始動口35の一連の開閉動作が強制終了されるようになっている。ただし、普通図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(始動入賞口開閉動作時間経過するか、または最大入賞数に達するまでの間)、何もしないでこの普通電動役物作動中処理を抜ける。
普通図柄役物動作タイマがゼロになったならば(最大入賞数に達したか、または始動入賞口開閉動作時間経過した場合)、下始動口35の一連の開閉動作が終了したとして、普電開放遊技終了時の各種設定処理を行う。この普電開放遊技終了時の各種設定処理では、普通図柄役物動作タイマに「終了インターバル時間(たとえば、20ms)」を格納し、普通電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(普通電動役物動作ステータスに04Hを格納)。そして、普電開放遊技の終了を指示する「補助当り終了インターバルコマンド」を演出制御部24に送信し、この普通電動役物作動中処理を抜けて、図7のステップS059の特別図柄管理処理に進む。この「補助当り終了インターバルコマンド」には、今回の補助当り種別に関する情報が含まれ、演出制御部24側において、補助装飾図柄変動表示ゲームにおいて、普電開放遊技終了時の演出を現出する際に利用することができる。これにより、普通電動役物作動中処理を抜けて、図7のステップS059の特別図柄管理処理に進む。
(8−5−4.補助当り終了処理:ステップS686)
次に、補助当り終了処理(ステップS686)について説明する。
ここではまず、普通図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの普通図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、この終了インターバル時間が経過したか否かが判定される。上記普通図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの補助当り終了処理を抜けて、図7のステップS059の特別図柄管理処理に進む。
普通図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば、補助当り終了時の設定処理を行う。ここでは、普通変動入賞装置作動フラグを00H(OFF状態)を格納し、普通電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(普通電動役物動作ステータスに00Hを格納)。上記補助当り終了処理を終えると、普電開放遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。なお本実施形態の普電開放遊技は、大別すると、開始インターバル時間、下始動口開閉動作実行期間(始動口開閉動作時間)、および終了インターバル時間の各遊技期間から構成されているが、下始動口35が閉状態である「開始インターバル時間」および/または「終了インターバル時間」を除いた下始動口開閉動作実行期間を、普電開放遊技期間と捉えても良い。
以上によりこの補助当り終了処理を抜けると、図7のステップS059の特別図柄管理処理に進む。
(Y−1.普電開放遊技の実行タイミングについて:図34)
次に図34を参照しながら、本実施形態に係る普電開放遊技の実行タイミングについて説明する。図34は、普通図柄の変動表示動作と普通変動入賞装置41の動作(下始動口35の開閉動作)の時間的変化を示すタイムチャートである。
ここで図34(A)は、ハズレ時における普通図柄の変動表示動作と普通変動入賞装置41の動作例を示し、図34(B)は、従来例における補助当り時の普通図柄の変動表示動作と普通変動入賞装置41の動作例を示し、図34(C)は、本実施形態における補助当り時の普通図柄の変動表示動作と普通変動入賞装置41の動作例を示したものである。なお図34では、説明を簡単なものとするために、今回の普通図柄の変動表示終了後から次回の変動表示動作の開始時までの動作を代表例として示している。また普電開放遊技については、所定の始動入賞口開閉動作時間を上限に、下始動口35を2回開放させるものを代表例として示している。
(Y−2.ハズレの場合について:図34(A))
まず図34(A)を参照して、ハズレ時における普通図柄の変動表示動作と普通変動入賞装置41の動作例について説明する。本実施形態におけるハズレ時における普通図柄の変動表示動作と普通変動入賞装置41の動作例については、従来例のものと実質的に同じである。
図34(A)を参照して、普通図柄の変動表示が終了すると、時刻t0においてハズレを示す普通図柄が停止表示され、普通図柄の確定表示時間(停止表示時間)として、普通図柄役物動作タイマに「500ms」が設定される(図11のステップS661のYESの処理ルート、図12のステップS654、図30)。そして、普通図柄役物動作タイマがゼロになるまで(時刻t1)、つまり確定表示時間の500msが経過するまで、上記ハズレを示す普通図柄(ハズレ普通停止図柄)が停止表示される(図13のステップS671のNOの処理ルート参照)。このハズレ時において設定される確定表示時間は、遊技者に対して、今回の補助当り抽選の結果を十分認識可能な時間幅として確保されるものであり、その時間幅は、概ね500ms以上とされる。
この確定表示時間が経過すると(時刻t4)、今回の普通図柄に係る一連の変動表示動作が終了し、普電開放遊技が実行されることなく(図13のステップS674の‘≠5AH’の処理ルート、図15のステップS681の‘≠5AH’の処理ルート)、普通図柄作動保留球が存在すれば、次の主制御側割り込み処理(図7)が実行される時刻t5にて、次回の普通図柄の変動表示動作に関する処理(図7中の普通図柄管理処理(ステップS057)、図8)が実行され、新たな普通図柄の変動表示が開始されることになる。なお、普通図柄作動保留球が存在しない場合は、新たな普通図柄作動保留球が発生するまで普通図柄の変動表示は開始されず(待機状態)、今回の普通図柄変動表示ゲームに係るハズレ普通停止図柄が、普通図柄表示装置39に停止表示されたままとなる(図8のステップS606(待機中01H)の処理ルート、図9のステップS611の‘NO’の処理ルート)。
(Y−3.従来例における補助当りの場合について:図34(B))
次に、図34(B)を参照して、従来例の補助当り時における普通図柄の変動表示動作と普通変動入賞装置41の動作例について説明する。この従来例において、普通図柄の変動表示動作が終了してから普電開放遊技が開始されるまで、すなわち、確定表示時間が経過する時刻t0〜時刻t1までの動作について、上述したハズレ時と実質的に同様の制御内容については重複記載を避けるために適宜省略しながら説明する。
(普電開放遊技開始:時刻t1〜時刻t2)
確定表示時間が経過すると(時刻t1)、今回の普通図柄に係る一連の変動表示動作が終了し、普電開放遊技が開始される(図13のステップS674の‘=5AH’の処理ルート、図15のステップS681の‘=5AH’の処理ルート参照)。ただし、本例において確定表示時間中に停止表示される普通図柄は、補助当りを示す普通図柄(補助当り普通停止図柄:本実施形態の場合、今回の補助当り抽選により当選した補助当り(補助当り1〜3のいずれか)に対応した補助当り普通停止図柄)が停止表示される。
普電開放遊技では、まず最初に下始動口35の開放動作前の開始インターバル時間として20msが設定され(図15のステップS683)、この開始インターバル時間経過後の時刻t2で、普通変動入賞装置41の可動翼片47が所定の開閉動作パターン(本実施形態では、補助当り種別に対応した開閉動作パターン)で開閉動作を開始する(図15のステップS684)。
(普電開放遊技中:時刻t2〜時刻t3)
時刻t2〜時刻t3では、可動翼片47を所定の開閉動作パターンで制御して、下始動口35を開閉させる(図15のステップS685)。これにより図34(B)に示すように、時刻t2で下始動口35の開放動作が開始され、所定の始動入賞口開閉動作時間を上限に、下始動口35を2回開放させる「下始動口開閉動作」が実行される。そして、始動入賞口開閉動作時間が経過するか、または下始動口35への入賞数が最大入賞数に達すると、下始動口35の一連の開閉動作が終了する(時刻t3)。これにより、下始動口35が閉鎖状態となり、下始動口35への入賞が困難または不可能とされる。
(普電開放遊技終了時:時刻t3〜時刻t4)
時刻t3で下始動口35の開閉動作が終了すると、終了インターバル時間として20msが設定され、この終了インターバル時間が経過すると(時刻t4)、普電開放遊技に関する一連の動作が終了する(図15のステップS686)。
(普電開放遊技終了後:時刻t5)
その後は、普通図柄作動保留球が存在すれば、次の主制御側割り込み処理(図7)が実行される時刻t5(4ms後)にて、次回の普通図柄の変動表示動作に関する処理(図7中の普通図柄管理処理(ステップS057)、図8)が実行され、新たな普通図柄の変動表示が開始される。なお、普通図柄作動保留球が存在しない場合は、新たな普通図柄作動保留球が発生するまで普通図柄の変動表示は開始されず(待機状態)、今回の普電開放遊技の実行契機となった補助当りに対応した補助当り普通停止図柄が、普通図柄表示装置39に停止表示されたままとなる(補助当り普通停止図柄停止後に実行される図8のステップS604の‘=5AH’の処理ルート(S606〜S608を迂回する処理ルート)、図13のステップS675)。つまり、補助当り普通停止図柄は、今回の普電開放遊技の実行が終了し、新たな普通図柄作動保留球による変動表示が開始されるまで、普通図柄表示装置39に停止表示されたままとなっている。
(Y−4.従来の問題点について)
ここで、上述した従来例では、補助当りであった場合、普通図柄の変動表示が終了した後、500msの確定表示時間が設定され、これが経過するのを待ってから、普電開放遊技が実行されるようになっている。したがって、普通図柄が停止表示しても、直ぐには下始動口35が入賞容易状態とされるわけではない。このため、500msの確定表示時間中に遊技球が下始動口35に到達しても、下始動口35には入賞することなく、その遊技球は「死に球(入賞口に入賞することなく、アウト口49から排出される遊技球(無駄球))」となり、遊技者の手持ち球が減少していく原因となっていた。
またパチンコ店に設置するような遊技機、具体的には、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律による7号営業を対象とした遊技機においては、同法律おける遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則により、遊技球の発射装置(本実施形態では、発射装置32が該当する)の発射性能は、遊技球を1個ずつ発射することができるものであること、1分間に100個を超える遊技球を発射することができるものでないこと等が規定されており(同規則別表第4 ぱちんこ遊技機に係る技術上の規格(第6条関係))、このような発射性能を厳守しなくてはならない。従来の弾球遊技機では、上記確定表示時間の存在により、遊技くぎなどの落下方向変換部材の影響もあるが、概ね1〜2発程度の死に球が発生しうる。したがって、普通図柄変動表示ゲーム開始〜普電開放遊技開始(下始動口35の開放)間では、より多くの死に球が発生しうる。
特に、時短状態や確変状態などの‘電サポ有り状態(高ベース遊技状態)’を伴う遊技状態中の場合には、下始動口35への入賞率が通常遊技状態よりも著しく向上し得る「高ベース遊技状態(可動翼片47の作動率向上状態)」となるため、遊技初心者の多くは、頻繁に開放状態とされる下始動口35に遊技球を入賞させることに関心が向いてしまい、普通図柄が変動表示していようが停止表示していようが関係無く、遊技球を発射し続けているのが実情である。このような‘電サポ有り状態’中において、上述のような死に球が発生するケースでは、時短状態や確変状態が長期間になればなるほど死に球の総数が多くなり、遊技初心者の多くは、「高ベース遊技状態」であっても手持ち球を大幅に減少させていた。
これに対し、「普電開放遊技の開始タイミングが確定表示時間経過後である」といった普通図柄変動表示ゲームの流れを熟知している遊技上級者は、発射装置32の発射性能や確定表示時間を考慮し、確定表示時間中には遊技球を下始動口35に到達させないように遊技球の打ち出しを停止し、次回の普電開放遊技の開始タイミング(下始動口35の開放タイミング)を見計らって遊技球の打ち出しを再開する、といったいわゆる「止め打ち」行為という遊技技術を駆使することにより、死に球を極力無くすことで手持ち球の減少を抑える、むしろ、手持ち球を増加させうる状況を作り出すことに成功していた。
このような打ち止め行為といった技術介入により、遊技初級者と遊技上級者との間に大きな利益の差を生じる結果をもたらし、遊技者間の不平等を招来していた。
また確定表示時間の存在は、次のような問題点も生じうる。
下始動口35へ遊技球が入球(入賞)した場合、その入賞を契機として、大当り抽選結果に基づく特別図柄の変動パターン(特別図柄の変動時間など)が決定され、この変動パターンに従い、特別/装飾図柄変動表示ゲームが実行される。ここで、特別図柄の変動パターンを選択する際、作動保留球数が選択条件として考慮される場合があり、代表的な例として、作動保留記数が相対的に少ない場合(たとえば、変動開始直前の作動保留球数が1〜2個の場合(変動パターン判定時に0〜1個の場合(ステップS403、S412参照))、作動保留記数が相対的に多い場合(たとえば、変動開始直前の作動保留球数が3〜4(最大保留記憶数)個の場合(変動パターン判定時に2〜3個の場合(ステップS403、S412参照))よりも、長い変動時間を持つ変動パターンの選択率を高く定めている機種も多く存在する。たとえば、大当り抽選結果が「ハズレ」の場合において、作動保留記数が2〜4個のときには「通常変動1s(変動時間1秒)」といった短変動パターンが選択され、作動保留記数が1〜2個のときには、それよりも長い変動時間を持つ「通常変動8s(変動時間8秒)」といった長変動パターンが選択される、といったタイプの機種が挙げられる。
このような機種の場合、時短状態中や確変状態中において、遊技者が上記「止め打ち」の遊技技術を駆使すると、下始動口35への入賞タイミングや、1回の普電開放遊技の平均的な入賞数に大きな偏りが生じうる。これについて詳述すれば、遊技球を発射し続ける「打ちっぱなし」の状態であれば、遊技球が常に発射されている状況下であるため、普通図柄始動口37への入賞が比較的多く発生し、これに伴い普電開放遊技がコンスタントに発生して、下始動口35への入賞タイミングや入賞数が大きく偏ることは殆ど無く、一般的な弾球遊技機では、通常、概ね3〜4個の作動保留球数を維持しながら、特別図柄変動表示ゲームが実行されていく。しかし「止め打ち」が駆使される場合には、「打ちっぱなし」のように遊技球が常に発射される状況下では無く、このため、普通図柄始動口37への入賞数が減少したり、下始動口35が開閉するタイミングとそれを狙う遊技球の発射タイミングなどにより、下始動口35への入賞タイミングやその入賞数に大きな偏りが高い頻度で生じる。したがって、作動保留球が1〜2個の状況で特別図柄の変動パターンが選択されたり、作動保留球が4個の状況で特別図柄の変動パターンが選択されたりして、特別図柄変動表示ゲーム(変動時間)の長短が頻繁に発生しうる。
これによる問題点としては、たとえば、時短回数100回という遊技期間において、「打ちっぱなし」と「止め打ち」を駆使した場合とでは、1回の特別図柄変動表示ゲームの消化時間に大きな差が生じ、その結果、時短消化時間(時短状態100回を消化にかかる総時間)に大きなムラが生じたり、単位時間あたりの遊技者の獲得利益(たとえば、単位時間あたりの平均大当り回数(単位時間あたりの特賞数)や止め打ちによる手持ち球増加など)に大きなムラが生じたりする、といった所謂「変動ムラ」が生じうる。斯様な「変動ムラ」は、遊技者の獲得利益(出球率)に関する遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(同規則別表第4 ぱちんこ遊技機に係る技術上の規格(第6条関係)(1)性能に関する規格(ロ)遊技球の獲得に係る遊技機の性能に関する規格等)への適合性や、新機種開発の際の出球率の設定値や、ゲージ設計が困難になる等の問題を誘発する原因ともなっていた。
そこで本実施形態では、上記のような問題点を解決するべく、普通図柄の変動表示動作に関し、上記確定表示時間を「ゼロ」に設定して普通図柄変動表示ゲーム終了直後に普電開放遊技を開始させ、上記した止め打ちに起因する技術介入効果等を防止するようになっている。これについて、図34(C)を参照しながら説明する。
(Y−5.本実施形態における補助当りの場合について:図34(C))
図34(C)を参照して、本実施形態の補助当り時における普通図柄の変動表示動作と普通変動入賞装置41の動作例について説明する。なお、上述した図34(B)に示す従来例の動作例と実質的に同一の制御内容については、重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
図34(C)に示す本実施形態の動作例と上述した図34(B)に示す従来例の動作例との決定的な違いは、確定表示時間が「ゼロ」に設定されるか、「500ms」に設定されるかにある(図12のステップS653、図30参照)。したがって、本実施形態において補助当りの場合には、次のような動作例となる。
(普電開放遊技開始:時刻t0〜時刻t3)
図34(C)参照して、本実施形態の場合、普通図柄の変動表示(変動表示時間)が終了すると、確定表示時間が「ゼロ」が設定されるとともに、補助当り普通停止図柄が普通図柄表示装置39に停止表示され、直ちに普電開放遊技が開始されることになる。本例では、普通図柄の変動表示動作の終了直後の時刻t0に普電開放遊技開始状態となり、図示のように、20msのインターバル経過後の時刻t2で、下始動口35の開閉動作が開始される。本例では従来例(図34(B))と比し、500ms分先行して下始動口35の開放されることになる。
上記のように、補助当り時の確定表示時間がゼロであるため、普通図柄が停止表示してから下始動口35の開閉動作までのインターバル期間(開始インターバル時間)が20msまで短縮される。したがって、遊技初心者が遊技球を発射し続けていたとしても、従来例のように、確定表示時間に起因した「死に球」の発生や変動ムラを抑制することができ、また遊技上級者の「止め打ち」行為による技術介入の余地を防止することができる。なお、上述のインターバル時間は、ハズレ時の確定表示時間(500ms)よりも十分に短い時間、たとえば、「ミリセコンドオーダー(0ms<T≦10ms)〜数十ms程度」または「ゼロ」とすることが好ましい。これは、開始インターバル時間が比較的長い時間(たとえば、数百ms〜500ms程度)としてしまうと、普通図柄が停止表示してから下始動口35の開閉動作までのインターバル時間が長くなり、当り時の確定表示時間をたとえ「ゼロ」に設定したとしても、結果的に、止め打ち行為の余地を与えてしまうからである。
また、補助当り時の確定表示時間については「ゼロ」に設定すると説明したが、ハズレ時の確定表示時間(500ms)よりも十分に短い時間(極短時間)、たとえば、ミリセコンドオーダー(たとえば、0ms<T≦10ms)であれば、上記従来例の問題点を極力防止しうる状況下に置くことができるので、必ずしも確定表示時間を「ゼロ」としなくても問題はないものと考えられる。
(普電開放遊技開始:時刻t3〜時刻t5)
時刻t3以降は、従来例と同じく、時刻t3で下始動口35の開閉動作が終了されると終了インターバル時間として20msが設定され、終了インターバル時間が経過して時刻t4になると、普電開放遊技に関する一連の動作が終了される。その後は、普通図柄作動保留球が存在すれば、次の主制御側割り込み処理(図7)が実行される時刻t5(4ms後)にて、次回の普通図柄の変動表示動作に関する処理(図7中の普通図柄管理処理(ステップS057)、図8)が実行され、新たな普通図柄の変動表示が開始されることになる。
なお本例のように、確定表示時間をゼロに設定する場合、遊技機の規則上、遊技者が今回の補助当り抽選の結果を十分認識可能な時間が確保する点に留意する必要がある。しかし、補助当りの場合には、普通図柄の変動表示終了後に普電開放遊技が実行されることになるので、既に説明したように、当該普電開放遊技中は、今回の普通図柄変動表示ゲームの結果である「補助当り普通停止図柄」が普通図柄表示装置39に停止表示されたままとなる(補助当り普通停止図柄停止後に実行される図8のステップS604の‘=5AH’の処理ルート(S606〜S608を迂回する処理ルート)、図13のステップS675)。したがって、普電開放遊技期間を500ms以上に定めれば、遊技者が今回の補助当り抽選の結果を十分認識可能な時間幅が確保されることになる。本実施形態ではこの点を考慮し、最短の普電開放遊技である「ショート開放(電サポ無し状態(通常遊技状態または潜確状態)中、補助当り1の当選に起因して実行される普電開放遊技)」の実行期間が「500ms」以上(下始動口35の開放時間が0.6秒(600ms))」となるように定めてある。
また本実施形態では、複数種類の補助当り(補助当り1〜3)を設けた例を説明したが、補助当りが1種類(たとえば、補助当り3のみ)であっても良い。
(Y−6.第2の実施形態:図31)
上記第1の実施形態では、補助当り種別によらず、確定表示時間を「0ms」とする例について説明した。しかし本発明はこれに限らず、次のような実施形態(第2の実施形態)としても良い。以下、この第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態のように、補助当り種別(補助当り1〜3)によらず確定表示時間を共通の「0ms」とするのではなく、複数種類の補助当り(補助当り1〜3)のうち、特定の補助当りの場合には他の補助当りの確定表示時間とは異なる確定表示時間、具体的には、特定の補助当りの場合にはハズレと同じ確定表示時間「500ms」を設定し、他の補助当りの場合には「0ms」を設定する点である。この第2の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成において、確定表示時間の決定に関する図30の「普通図柄確定表示時間決定テーブル1」に替えて、図31の「普通図柄確定表示時間決定テーブル2」が参照される点が異なり、その他の点は第1の実施形態と実質的に同一である。したがって以下では、普通図柄確定表示時間決定テーブル2を中心的に説明し、その他の処理についての説明は、重複記載を避けるために適宜省略する。
(普通図柄確定表示時間決定テーブル2:図31)
図31に、本実施形態に係る普通図柄確定表示時間決定テーブル2を示す。本実施形態の普通図柄確定表示時間決定テーブル2は、普通図柄確定表示時間決定テーブル1の構成と実質的に同じである。ここでは、補助当り1〜3のうち、補助当り1(ショート開放の実行契機となる補助当り)に対応する確定表示時間が「500ms」に、補助当り2〜3(ミドル開放またはロング開放の実行契機となる補助当り)に対応する確定表示時間が「0ms」に定められている。
本実施形態では、複数種類の補助当りのうち、利益状態が相対的に低い普電開放遊技の実行契機となる補助当り(以下「低利益補助当り」と略す)の場合には確定表示時間をハズレと同じ「500ms」に設定するようにしている。このように、低利益補助当りに係る確定表示時間を「0ms」としない構成としても、第1の実施形態の作用効果と同様に、止め打ちによる遊技者間の利益差等を抑制することができる。その理由は次の通りである。
第1の理由として、低利益補助当りに係る確定表示時間を「0ms」とせず、それよりも利益状態が相対的に高い普電開放遊技の実行契機となる補助当り(以下「高利益補助当り」と略す)に係る確定表示時間を「0ms」とすることで、少なくとも従来例よりも止め打ち効果(止め打ちにより生じる遊技者間の利益差)を減少させることができる点。また第2の理由として、いずれの補助当りが当選するか、すなわち、いずれの普電開放遊技が実行されるかは、補助当り図柄抽選により決定されるためにランダム性を有し、低利益補助当りが当選するか、高利益補助当りが当選するかの予測が難しく、さらに高利益補助当りの場合は確定表示時間が無く、直ちに普電開放遊技が実行されるので、遊技上級者と言えど、下始動口35の開放タイミングを狙い打ちすることが非常に難しくなる(止め打ちの必要性が乏しくなる)点。また第3の理由として、本実施形態のように、補助当り図柄抽選に関して、低利益補助当りの方が高利益補助当り(ここでは、補助当り2と補助当り3の合算図柄選択率)よりも低確率に定められている場合には、高利益補助当りが当選し易いために、止め打ちを行っても行わなくても大した効果を期待することができず、遊技者にとり、一々止め打ちを駆使することが遊技進行上煩わしく感じたり、下始動口35の開放タイミングを狙い打つことが難しなり、かえって下始動口35への入賞数が減少して特図2側の作動保留球を切らしてしまうなどの弊害が生じる可能性が高まる点、などが挙げられる。
以上に説明した第2の実施形態は、次のように構成することができる。少なくとも第1の補助当りと第2の補助当りとを含む複数種類の補助当りのうち、第1の補助当りが当選した場合にはハズレと同じ確定表示時間(500ms)に設定し、第2の補助当りが当選した場合には確定表示時間を「0ms」に設定する。ここで「第2の補助当り」は、第1の補助当りよりも利益状態が相対的に高い普電開放遊技の実行契機となる補助当りであり、換言すれば、第2の補助当りは、第1の補助当りよりも下始動口35の開放時間(下始動口開状態時間)が相対的に長い普電開放遊技の実行契機となる補助当りである。なお本実施形態では、上記「第1の補助当り」に係る確定表示時間を、ハズレと同じ確定表示時間(500ms)に設定すると説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、当該確定表示時間Tを「0ms<T<ハズレ確定表示時間(500ms)」の関係を満たすように構成しても、本発明の目的を達成し、本発明の作用効果を奏することができる(後述の第4の実施形態についても同様)。
(Y−7.第3の実施形態:図14、図32)
また本発明は、次のような実施形態(第3の実施形態)とすることができる。
上記した第1および第2の実施形態は、内部遊技状態(遊技状態判定番号(YJ))または遊技状態(変動パターン振分指定番号(Tcode))によらずに(考慮せずに)確定表示時間を設定する形態について説明した。しかし本発明はこれに限らず、内部遊技状態(遊技状態判定番号(YJ))または遊技状態(変動パターン振分指定番号(Tcode))を考慮して確定表示時間を設定する構成とすることができる。
ここで「遊技状態判定番号(YJ)」とは、内部遊技状態を識別するためのデータである。遊技状態判定番号(YJ)が「00H」の場合は「通常遊技状態(電サポ無し状態、低確)」を、「01H」の場合は「潜確状態(電サポ無し状態、高確)」を、「02H」の場合は「時短状態(電サポ有り状態、低確)」を、「03H」の場合は「確変状態(電サポ有り状態、高確率)」をそれぞれ示す。したがって、遊技状態判定番号(YJ)は上記のような内部遊技状態を識別する点で、変動パターン振分指定番号(Tcode)のように遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
上記第3の実施形態が第1または第2の実施形態と異なる点は、確定表示時間の決定に関する普通図柄変動停止時設定処理(図12)の処理内容であり、その他の点は第1または第2の実施形態と実質的に同一である。したがって以下では、普通図柄変動停止時設定処理を中心的に説明し、その他の処理についての説明は、重複記載を避けるために省略する。
(第3の実施形態に係る普通図柄変動停止時設定処理:図14)
図14に、本実施形態に係る普通図柄変動停止時設定処理の詳細を示すフローチャートを示す。ここでは、変動パターン振分指定番号(Tcode)ではなく、遊技状態判定番号(YJ)に基づき確定表示時間を決定する例を示す。なお、ステップS651〜S652、S654〜S657については、図12の普通図柄変動停止時設定処理における処理内容と実質的に同一であるので、重複記載を避けるために適宜省略しながら説明する。
図14において、CPU201は、まず普通図柄確定タイマに、普通図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納する(ステップS651)。
次いで、普通図柄判定データを取得し(ステップS652)、遊技状態判定番号(YJ)を取得する(ステップS652A)。そして、これら取得したデータと図32に示す「普通図柄確定表示時間決定テーブル3」とに基づき、確定表示時間を決定する(ステップS653A)。
(普通図柄確定表示時間決定テーブル3:図32)
図32に、本実施形態に係る普通図柄確定表示時間決定テーブル3を示す。この普通図柄確定表示時間決定テーブル3には、普通図柄判定データと遊技状態判定番号(YJ)とに応じて、異なる確定表示時間が定められている。
具体的には、図示のように、補助当り1〜3のいずれかである場合(補助当りである場合)、遊技状態判定番号(YJ)(内部遊技状態)が「通常状態(00H)」または「潜確状態(01H)」であれば、確定表示時間として「500ms」が決定されるようになっており、遊技状態判定番号(YJ)が「時短状態(02H)」または「確変状態(03H)」であれば、確定表示時間として「0ms」が決定されるようになっている。換言すれば、補助当りである場合、‘電サポ無し状態’下であれば、確定表示時間として「500ms」が決定されるようになっており、‘電サポ有り状態’下であれば、確定表示時間として「0ms」が決定されるようになっている。なお、遊技状態判定番号(YJ)ではなく、変動パターン振分指定番号(Tcode)に基づいて確定表示時間を決定する場合には、普通図柄確定表示時間決定テーブル3の構成を、変動パターン振分指定番号(Tcode)が「通常(00H)」、「潜確状態(02H)」、または「CZ(06H)」であれば、確定表示時間として「500ms」が決定されるようにし、「確変状態(01H)」または「時短状態(03H)」であれば確定表示時間として「0ms」が決定される、といったテーブル構成とすれば良い。また変動パターン振分指定番号(Tcode)に基づく場合には、ステップS652の処理で、現在の変動パターン振分指定番号(Tcode)を取得すれば良い。
ただし、ハズレの場合は、遊技状態判定番号(YJ)種別(または変動パターン振分指定番号(Tcode))に関係なく確定表示時間が「500ms」に決定される。
次いで、ステップS653Aの処理で決定した確定表示時間を、普通図柄役物動作タイマに格納する(ステップS654)。
次いで、普通図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替える(普通図柄動作ステータスに03Hを格納)(ステップS655)し、普通図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納する(ステップS656)。そして普通図柄確認時間中処理を行い(ステップS657)、これにより普通図柄変動停止時設定処理を抜けて、普通図柄表示データ更新処理(図8のステップS609)を行う。
本実施形態では、特に「高ベース遊技状態」である‘電サポ有り状態’下において「止め打ち」行為が駆使されることに着目し、‘電サポ無し状態’下の場合には、当選種別によらずに確定表示時間として「500ms」を設定するが、‘電サポ有り状態’下の場合には、補助当りの場合に限り確定表示時間として「0ms」を設定するようにしている。このように、‘電サポ有り状態’において補助当りの場合に確定表示時間を「0ms」としても、本発明の目的を達成し(上記した従来の問題点を解決し)、本発明の作用効果を奏することができる。なお本実施形態では、複数種類の補助当り(補助当り1〜3)を設けた例を説明したが、補助当りが1種類(たとえば、補助当り3のみ)であっても良い。
以上に説明した第3の実施形態は、次のように構成することができる。当り遊技が終了した場合(特定の大当り(当り遊技)が終了した場合)、特典遊技状態(高ベース遊技状態)として、通常遊技状態における補助当り遊技よりも遊技者に有利な補助当り遊技が実行されうる特典遊技状態(少なくとも開放延長機能が作動中の遊技状態)、または、補助当り遊技の実行を通常遊技状態の所定の確率よりも高確率で抽選する普通図柄高確率状態を伴う特典遊技状態(少なくとも普通図柄確変機能が作動中の遊技状態)を発生させる特典遊技制御手段をさらに備え、当該特典遊技状態中に補助当り遊技を実行すると抽選された場合、確定表示時間として、ハズレ時の確定表示時間(ここでは、500ms)よりも十分に短い時間またはゼロを設定する。また上記特典遊技状態以外の遊技状態中に補助当り遊技を実行すると抽選された場合、確定表示時間として、ハズレ時の確定表示時間と同じ時間を設定することができる。
(Y−8.第4の実施形態:図33)
また上述した第3の実施形態の変形例(第4の実施形態)として、図32に示す普通図柄確定表示時間決定テーブル3を、図33に示す「普通図柄確定表示時間決定テーブル4」としても良い。
(普通図柄確定表示時間決定テーブル4:図33)
図33に、本変形例に係る普通図柄確定表示時間決定テーブル4を示す。この普通図柄確定表示時間決定テーブル4は、普通図柄確定表示時間決定テーブル3と基本的構成は同じである。図32に示す普通図柄確定表示時間決定テーブル3と、図33に示す普通図柄確定表示時間決定テーブル4とが異なる点は、補助当り1〜3のうち、特定の補助当りの場合(ここでは、補助当り1)の場合には、遊技状態判定番号(YJ)種別に関係なく確定表示時間が「500ms」に決定されるようになっている点である。この第4の実施形態では、補助当り1に係る確定表示時間を、ハズレと同じ確定表示時間(500ms)に設定しているが、その理由については、上記第2の実施形態において(図31参照)、補助当り1〜3のうち、補助当り1に係る確定表示時間を、ハズレと同じ確定表示時間(500ms)に設定する理由と実質的に同じであるので、重複記載を避けるために、詳細な説明は省略する。
なお上記した普通図柄に関する第1〜第4の実施形態では、ハズレ種別が1種類の例について説明したが、本発明はこれに限らず、複数種類のハズレを設けても良い。この場合、ハズレ種別に対応した確定表示時間を決定するように構成することができる。ただし、各ハズレの確定表示時間は、ハズレであることを遊技者が十分認識可能な時間幅とすることが好ましい(たとえば、いずれも500ms程度以上とする)。また、本実施形態の補助当り当選確率は、低確率状態では、たとえば「1/251」で、高確率状態(普図確変状態)ではそれよりも高確率である、たとえば「250/251(251/251でも良い)」で補助当りに当選すると説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、低確率状態では補助当りに当選しない(補助当り当選確率がゼロ)構成としても良い。この場合、高確率状態下に限り、補助当りに当選する構成、具体的には、通常遊技状態下では普電開放遊技が一切実行されず、時短状態や確変状態下に限り、普電開放遊技が実行されうる、といった構成となる。このようにしても、本発明の目的を達成することができ、本発明の作用効果を奏することができる。また、普電開放遊技態様について、補助当り当選確率が低確率状態となる遊技状態下と、補助当り当選確率が高確率状態となる遊技状態下とで、同じ遊技態様を実行させるように構成することができる。たとえば、補助当り当選確率が低確率状態となる遊技状態における普電開放遊技態様を、第1の実施形態で説明した、開放延長機能作動時に係る普電開放遊技態様と同じ遊技態様とすることができる。この場合、補助当り当選確率が低確率状態であるか高確率状態であるかにかかわらず、開放延長機能を設けなくても良いことになり、主制御部20の制御負担の軽減に繋がる。このようにしても、本発明の目的を達成することができ、本発明の作用効果を奏することができる。
(9.特別図柄管理処理:図16)
次に、図7中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図16は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図16において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。なお、特図1始動口チェック処理と、特図2始動口チェック処理の詳細は図17〜図18で後述する。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動表示が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお上記の特別図柄変動開始処理(ステップS306:図19)、特別図柄変動中処理(ステップS307:図21)、および特別図柄確認時間中処理(ステップS308:図22A〜図22B)の詳細は、後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、ステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば、128ms秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図7のLED管理処理(ステップS062)で出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図7のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(9−1.特図1始動口チェック処理:図17)
まず、特図1始動口チェック処理(図16のステップS301)について説明する。図17は、上記のステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理(特図側入賞時処理)としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などが行われる。なお後述の特図2始動口チェック処理(図16のステップS302)も特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、および保留加算コマンドの作成処理などが行われ、次に述べる特図1始動口チェック処理と実質的に同一の処理内容となっている。
図17において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1に係る作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
上始動口34の入賞を検出したが特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)、後述のステップS325の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている(保留記憶順番は、保留1記憶エリア、保留2記憶エリア、・・・、保留n−1記憶エリア、保留n記憶エリアの順に格納されるようになっている)。
なお上記各種乱数のうち、特別図柄判定用乱数および変動パターン用乱数は、それぞれに対応したソフトウェア的に乱数を生成する乱数カウンタから抽出される。これら乱数カウンタの乱数値は、RAM203に設けられた各々に対応したカウント値記憶領域において、間欠的に生じる割込み処理と割込み処理の間に実行されるメイン処理において乱数的に更新されているので、その値がそのまま取得されるようになっている。
他方、大当り判定用乱数値は、ハードウェア的に乱数を生成する乱数生成回路(大当り判定用乱数カウンタ)から抽出される。この乱数生成回路は、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ34aから遊技球の検出信号が入力されると、このタイミングにおけるカウント値をラッチして、そのカウント値がマイクロコンピュータに入力されるようになっている。CPU201は、このカウント値を大当り判定用乱数値として、RAM203の保留記憶エリアと別個に設けられたRAM203の大当り判定用乱数値用の記憶領域(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納し、必要なタイミングで、その特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファに格納された大当り判定用乱数値を読み出し利用する。
次いで、保留加算コマンド(詳細は後述する)を作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。上記「特図1先読み禁止条件」とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず(ステップS315の処理により保留加算コマンドが先読み禁止を指定するものとなる)、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS316:YESの処理ルート参照)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ有り状態’を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が確変状態中である場合に、特別図柄1側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ有り状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄1側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
第1の理由としては、‘電サポ有り状態’下に置かれた場合は、下始動口35への入賞率が通常遊技状態よりも著しく向上し得る「高ベース遊技状態(可動翼片47の作動率向上状態:補助当りの当選確率が256分の255となり、開放延長機能が作動する)」となるため、遊技者が普通図柄始動口37へ入賞させるように発射位置を狙い定めた場合(右流下経路3cを遊技球が通過するように狙いを定めた場合)、特別図柄2に係る作動保留球数(以下、「特図2作動保留球」と称する)が頻繁に発生するものと推定される。これに対し、電サポ無し状態下に置かれた場合は、可動翼片47の作動率が低い「低ベース遊技状態(補助当りの当選確率が256分の1となり、開放延長機能が未作動となる)」となり、また本実施形態では、遊技くぎなどの落下方向変換部材に起因して、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっており、遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合には、特に不利益をもたらす、という遊技性となっている。このため、電サポ有り状態中に遊技者が左流下経路3b側を遊技球が通過するように発射位置を定めることはないものと推定され、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、そのような発生率の低い特図1作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
また第2の理由としては、技術介入性の問題がある。技術介入性の問題が生じる例としては、現在、特図1作動保留球を対象とした何らかの先読み予告演出(特に、当選期待度が高い先読み予告演出)だけが発生した場合、遊技者がこれを認識すれば、特図2作動保留球を途切れないようにして優先変動側である特別図柄変動表示ゲーム2を継続的に実行させることで、特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選の恩恵を最大限受けながらゲームを進行させていくことができてしまう。本実施形態では、特別図柄1側の図柄抽選を受けるよりも特別図柄2側の図柄抽選を受けた方が、利益の高い「12R長開放確変大当り」や「16R長開放確変大当り」が高確率で当選するようになっている(詳細は後述する)。このため、特別図柄1側(特別図柄変動表示ゲーム1側)の大当り抽選を受けるよりも特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選を受ける方が、遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。これを利用し、特図1作動保留球の大当り当確が判明している場合には、電サポ有り状態が終了するまで特別図柄2側の大当り抽選の恩恵を最大限受けた後、その当選に係る特図1作動保留球を消化させて容易に大当りを得る、といった技術介入性の問題が生じ、遊技者間の不平等を招来する。
そこで本実施形態では、上記のような問題点に鑑み、特図1側と特図2側の先読み判定を禁止する区間(先読み禁止状態)を、遊技状態に応じて切り替え制御可能に構成されている。詳しくは、主制御部20は、第1の先読み判定手段(たとえば、特図1側の先読み判定処理:後述の図17のステップS317〜S323に相当する)による先読み判定を禁止して第2の先読み判定手段(たとえば、特図2側の先読み判定処理:後述の図18のステップS337〜S343に相当する)による先読み判定を許容する「第1の先読み禁止状態(たとえば、電サポ有り状態中の場合)」と、第2の先読み判定手段による先読み判定を禁止し、第1の先読み判定手段による先読み判定を許容する「第2の先読み禁止状態(たとえば、電サポ無し状態中の場合)」とを、所定の条件(たとえば、現在の内部遊技状態、または電サポ状態の有無)に基づき切替制御する‘先読み禁止状態制御手段’としての機能部を備えている。
再びステップS316の説明に戻り、特図1先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S324)は行わずに、ステップS325の処理に進む。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS316:NO)、ステップS317の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS317)。この乱数判定処理は、この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球(ここでは、特図1側)に係る「当落抽選」を事前に判定する‘先読み判定(先読み当落判定)’を行う。
ステップS317の乱数判定処理に入ると、まずRAM203(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、次いで、特図1用当り乱数判定テーブルを取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(大当り、小当り、およびハズレの別の判定)、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(後述の図19のステップS409参照)」の抽選結果(変動開始時の当落抽選結果)を先読み判定し、その結果を取得する。
(T−1.当り乱数判定テーブル)
上記当り乱数判定テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る「特図1用当り乱数判定テーブル(図示せず)」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「特図2用当り乱数判定テーブル(図示せず)」とが含まれ、図17の特図1始動口チェック処理中においては「特図1用当り乱数判定テーブル」、図18の特図2始動口チェック処理中においては「特図2用当り乱数判定テーブル」が参照される。
これらの当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率状態(高確)と低確率状態(低確))別に、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、大当り、小当り、またはハズレのいずれかが決定されるようになっている。したがって、取得した大当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合(大当り判定用乱数値が同じ値)であっても、現在の大当り抽選確率状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかにより、一方では「大当り」、他方では「ハズレ」といったように当落種別が異なる場合がある。本実施形態の大当り当選確率は、低確率状態では約1/397で、高確率状態ではそれよりも10倍程度上昇した約1/39.7で大当りに当選するようになっており、小当りの当選確率は、大当り抽選確率状態にかかわらず、約1/200となっている。つまり、小当りの当選確率は大当り抽選確率状態にかかわらず一定であり、この点、大当り抽選確率状態により当選確率が変動する大当りとは性格を異にする。
本実施形態の特図2用当り乱数判定テーブルにおいては、大当り当選の判定領域は同じ(大当りの当選確率は同じ)であるが、小当り当選となる判定値自体を定めていない。すなわち、特別図柄変動表示ゲーム1では、大当り、小当り、およびハズレが当落抽選対象とされるが、特別図柄変動表示ゲーム2では、大当りとハズレだけが当落抽選対象とされる。勿論、特図2用当り乱数判定テーブルについても、小当りを当落抽選対象として定めても良い。
この当落抽選(先読み当落判定)により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグとして「5AH(大当り判定フラグがON状態)」が取得され、それ以外の判定値に属する場合には「00H(大当り非当選(大当り判定フラグがOFF状態))」が取得される。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグとして「5AH(小当り判定フラグがON状態)」が取得され、それ以外の判定値に属する場合には「00H(小当り非当選(小当り判定フラグがOFF状態))」が取得される。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合には、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ(大当り判定フラグおよび小当り判定フラグがOFF状態)’となる。
ここで本実施形態では、このステップS317の乱数判定処理で取得した大当り判定フラグの状態(5AHまたは00H)をCPU内蔵の汎用レジスタ(ここでは、Aレジスタ)に取り込み、小当り判定フラグの状態(「5AH」または「00H」)を他の汎用レジスタ(ここでは、Dレジスタ)に取り込む。そして、大当り判定フラグと小当り判定フラグをレジスタに保持した状態で、この乱数判定処理を抜けて、ステップS318の特別停止図柄データ作成処理に進むようになっている。つまりCPU201は、レジスタに取り込んだ当落抽選結果をRAM203には格納せずに、これを保持したまま、この乱数判定処理を抜けるようになっている。その理由は次の通りである。
本実施形態では、今回の乱数判定処理で得られた判定結果、すなわち先読み判定における当落抽選結果のデータは、続く「特別停止図柄データ作成処理」で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることがない。したがって、この判定結果をRAM203に格納せずにレジスタに保持した状態のままで乱数判定処理を抜けても問題はないからである。これにより、乱数判定処理の判定結果(入賞時処理における当落判定処理の判定結果(先読み判定に係る当落結果))を格納するためのプログラムを必要とせず、またその判定結果を格納するための専用の格納領域を別途設ける必要はないことから、ROMやRAMのメモリ容量を削減し、制御負担を軽減することができるようになっている。
上記したステップS317の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS318)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「図柄抽選」を事前に判定する‘先読み判定(先読み図柄判定:(当り(当選)種別の先読み判定))’を行う。なお上記乱数判定処理(ステップS317)〜特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)が大当り抽選結果を先読み判定する‘先読み当り判定’に係る処理となる。
ステップS318の特別停止図柄データ作成処理では、まずステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果を取得し、この当落抽選結果(大当り、小当り、ハズレの別)に応じた図柄テーブル(後述の大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブル:図示せず)を選択する。そして、ステップS314で取得した特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別停止図柄作成処理(後述の図19のステップS410参照)」の抽選結果(変動開始時の図柄抽選結果)を先読み判定する。
(T−2.図柄テーブル)
上記の各図柄テーブルには、「特別図柄判定用乱数値(特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)」と、当選種別を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
上記「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、本実施形態の場合、2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当りA、2R短開放非確変大当りB、5R長開放確変大当り、5R長開放非確変大当り、12R長開放確変大当り、12R長開放非確変大当り、16R長開放確変大当り、小当りA〜B、ハズレ(ハズレが複数種類ある場合は、そのハズレ種別:たとえば、ハズレA〜C)のいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図19のステップS411の遊技状態移行準備処理、ステップS412の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図7の特別電動役物管理処理(ステップS060))において利用されるデータである。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の「停止図柄種」を特定する際に利用される。
(T−2−1.大当り図柄テーブル)
本実施形態の大当り図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「大当り図柄テーブル1」と特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「大当り図柄テーブル2」とが含まれる。各大当り図柄テーブルには、特別図柄判定用乱数値と、大当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが決定されるようになっている。
上記大当り図柄テーブル1では、たとえば、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜9の範囲に属する場合には「2R短開放潜確大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):10/200)、判定値20〜29の範囲に属する場合は「2R短開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):10/200)、判定値80〜149の範囲に属する場合は「5R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:70/200)、判定値150〜159の範囲に属する場合は「5R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:20/200)、判定値160〜189の範囲に属する場合には「12R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:30/200)、判定値190〜199の範囲に属する場合には「12R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:10/200)、大当り種別が所定の図柄選択率で決定され、これに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
また上記大当り図柄テーブル2は、上述の大当り図柄テーブル1と基本的な構成は同じであるが、大当り図柄テーブル1と次の点が異なる。大当り図柄テーブル2では、大当り図柄テーブル1と比較し、特定の大当りの図柄選択率(図柄抽選確率)が異なる。具体的には、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜39の範囲に属する場合には「2R短開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値41〜80の範囲に属する場合には「12R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値80〜199の範囲に属する場合には「16R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:120/200)、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当り」が当選となる判定値が存在しない構成となっている。つまり、大当り図柄テーブル1による図柄抽選よりも大当り図柄テーブル2による図柄抽選の方が相対的に高い利益の大当りの種類が選択される確率が高く、遊技者にとって有利な図柄抽選となっている。これにより、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の抽選を受ける方が遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。特に、電サポ有り状態下では、下始動口35側の入賞確率が飛躍的に向上して特別図柄変動表示ゲーム2の実行機会も増えるため、電サポ有り状態中は、高ベース遊技状態であるだけでなく、図柄抽選の観点からも遊技者にとって有利な遊技状態とされる。
(T−2−2.小当り図柄テーブル)
本実施形態の小当り図柄テーブルは、特別図柄変動表示ゲーム1と特別図柄変動表示ゲーム2とで兼用され、上記の大当り図柄テーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、小当り種別(小当りA〜Bのいずれか)が所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。なお小当りA〜Cの図柄選択率は、自由に設定することができるが、図柄選択確率の関係が「小当りA≦(または<)小当りB」の関係であることが好ましい。その理由は、次の通りである。小当りAが最もCZ継続回数が少ない2回に設定され、CZ期間が最も短くなることから、たとえCZに移行しても潜確状態への緊張感がすぐに終ってしまい、CZ中の面白みに欠ける。このため、小当りAを相対的に高い図柄選択率とするよりも、潜確状態が確定しうるCZ継続回数4回に近い回数が設定される小当りBの図柄選択率を高める方が、潜確状態への緊張感を持続させ、CZ中の面白みを向上させる上で効果的だからである。
(T−2−3.ハズレ図柄テーブル)
本実施形態のハズレ図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「ハズレ図柄テーブル1」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「ハズレ図柄テーブル2」とが含まれる。
上記ハズレ図柄テーブル1、2は、上記の大当り図柄テーブルや小当りテーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、ハズレ種別(たとえば、ハズレA、ハズレBのいずれか)が所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。なお、ハズレ図柄テーブル1とハズレ図柄テーブル2とは、ハズレA〜Bの当選に係る判定値が異なっており、したがって特別図柄判定用乱数値が同じ値であっても、ハズレ図柄テーブル1が参照される場合と、ハズレ図柄テーブル2が参照される場合とでは、当選となるハズレ種別が異なる場合がある。なお本実施形態では、ハズレ種別として、特図1側(ハズレ図柄テーブル1)ではハズレAおよびハズレBが抽選対象となっており、特図2側(ハズレ図柄テーブル2)ではハズレAのみが抽選対象となっている。またハズレAの当選確率がハズレBの当選確率の方よりも低く定められている(たとえば、ハズレAは195/200、ハズレBは5/200)。このような関係を利用し、ハズレAが当選した場合よりもハズレBに当選した場合の方がリーチ変動パターンの選択率を高めることで、適切な頻度で、リーチ演出を現出させている。特に本実施形態の場合は、ハズレAではSPリーチを指定するリーチ変動パターン(SPリーチ変動パターン)は選択されず(「通常変動パターン」または「Nリーチ」が選択される)、ハズレBの場合にSPリーチ変動パターンが選択される(「通常変動パターン」および「通常中Nリーチ」は選択されない)。つまり、ハズレ時の多くは、通常変動に係る演出が現出され、適切な頻度でSPリーチ演出が現出され、遊技者に対して大当りへの当選期待感を過度に煽ってしまうことを防止している。
ステップS318の処理において、上記した図柄テーブルから得られた各種データ(先読み判定における図柄抽選結果:特別図柄判定データ、特別停止図柄番号)に関しては、CPU201が備えるレジスタに取り込まれ(たとえば、特別図柄判定データはAレジスタに、特別停止図柄番号はBレジスタ)、この状態で、この特別停止図柄データ作成処理を抜けて、ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理に進む。つまりCPU201は、レジスタに取り込んだデータをRAM203に格納せずに、これを保持したまま、特別停止図柄データ作成処理を抜けるようになっている。その理由は次の通りである。
本実施形態では、今回の特別停止図柄データ作成処理で得られた判定結果(先読み判定における図柄抽選結果)の各種データは、続く「始動口入賞時乱数判定処理」で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。したがって、この判定結果をRAM203に格納せずにレジスタに保持した状態のままで特別停止図柄データ作成処理を抜けても特に問題はないからである。これにより、特別停止図柄データ作成処理の判定結果をRAMに格納するためのプログラムを必要とせず、またその判定結果を格納するための専用の格納領域を設ける必要がない。その結果、メモリ容量を削減し、制御負担の軽減することができるようになっている。
上記したステップS318の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理も、上記乱数判定処理(ステップS317)や特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)と同じく、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「変動開始時の変動パターン」を事前に判定する‘先読み判定(先読み変動パターン判定)’を行う。
上記始動口入賞時乱数判定処理に入ると、ステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果と、ステップS318の特別停止図柄データ作成処理で得られた‘図柄抽選’結果と、ステップS314の処理で取得された‘変動パターン用乱数’とを利用し、今回の作動保留球に係る変動開始時の変動パターン、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別図柄変動パターン作成処理(後述の図19のステップS412参照)」の結果(変動開始時の変動パターン内容)を先読み判定する。そして、その先読み判定結果に基づいて、後述の「保留加算コマンド」の作成に利用される入賞コマンドデータ(2バイト目(EVENT):下位バイト)の作成処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理において決定される入賞コマンドデータ(EVENT)により、先読み変動パターン(保留球数情報は除く)の内容が指定される。なおステップS317の乱数判定処理〜ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理が‘先読み当り判定’に係る処理となる。
ステップS323の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト(MODE)側の入賞コマンドデータと、先読み変動パターンを指定する下位バイト(EVENT)側の入賞コマンドデータとから構成される「保留加算コマンド」を作成し(ステップS320)、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS326)。これにより、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて図18のステップS302の特図2始動口チェック処理を行う。
上記保留加算コマンドは、2バイトの制御データで構成される。具体的には、作動保留球数と特別図柄種別(特別図柄1および特別図柄2)とに応じて作成される上位バイト(1バイト目(MODE)の「BXH(たとえば、B6H〜B9Hは、特別図柄1の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応し、BBH〜BEHは特別図柄2の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応する)」)と、ステップS316の始動口入賞時乱数判定処理で作成される下位バイト(2バイト目(EVENT)の「XXH(XXはコマンドごとに対応する数値)」で、先読み変動パターンの内容に対応する)とから構成される(図5参照)。したがって、この保留加算コマンドには、先読み判定に関する一連の処理(ステップS315〜S317)において得られた先読み判定結果情報、具体的には、先読み変動パターンを特定しうる情報が含まれる。ただし、下位バイト(EVENT)値が特定の値(たとえば、「01H」)の場合は、先読み禁止が指定される。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報に基づく先読み予告演出の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、その抽選結果により実行可と決定された場合(先読み予告抽選に当選した場合)、図柄変動表示ゲームの開始と共に、またはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出を現出させる。また演出制御部24は、保留加算コマンドを受けた場合、先読み予告演出を現出させるか否かにかかわらず、始動口に入賞があった旨を報知する「入賞演出」を現出させることができる。
なお、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合にもオーバーフロー(overflow)入賞時の保留加算コマンド(以下、「OF保留加算コマンド」と略す)が作成され、演出制御部24に送信されるようになっている。
上記「OF保留加算コマンド」は、オーバーフローの作動保留球であるため、先読み判定には利用されずに、専ら上述の「入賞演出」に利用されるが、以下のような演出を現出させるように構成することができる。
たとえば、演出制御部24が上記OF保留加算コマンドを受信した場合において、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在している場合、その旨を報知する予告演出(OF入賞時保留内予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合、これに含まれる先読み判定情報を記憶する先読み判定情報記憶手段と、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在している場合、大当りの可能性がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)保留内予告演出手段と、を含むことができる。
また、現在実行中の図柄変動表示ゲームの結果が「大当り(小当りを含んでいても良い)」である場合、その旨を報知する予告演出(OF入賞時変動中予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の図柄変動に係るゲーム結果が「大当り(小当りを含んでも良い)」の可能性がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)変動中予告演出手段を含むことができる。
斯様なOF保留加算コマンドによる予告演出は、オーバーフロー入賞の発生を契機に現出されるオーバー入賞演出に準ずるものであるが、未だ最終結果が導出されていない図柄変動表示ゲームの結果を先読み的に報知するという点で、先読み予告演出と同じ役割を果たす。
(9−2.特図2始動口チェック処理:図18)
次、特図2始動口チェック処理(図16のステップS302)について説明する。図18は、特図2始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
上記特図2始動口チェック処理は、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理として、先に述べた特図1始動口チェック処理の流れと同じように、作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などの処理が行われる。以下、上記特図1始動口チェック処理(ステップS301)と同じ処理内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図18において、CPU201は、まず下始動口35において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS331)。
下始動口35の入賞検出がなかった場合は(ステップS331:NO)、何もしないで特図2始動口チェック処理を抜ける。しかし下始動口35の入賞を検出した場合は(ステップS331:YES)、特別図柄2の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS332)。
特図2作動保留球数が4以上である場合(ステップS332:YES)、ステップS345に進む。一方、特図2作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図2作動保留球数を1加算(+1)し(ステップS333)、ステップS334の処理に進む。
ステップS334の処理に進むと、今回発生した特図2作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム2に利用される各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)の乱数カウンタの現在値を取得し、それぞれRAM203の保留記憶エリアに格納する(ステップS334)。この処理は、図17のステップS314の処理の仕方と同じである。この特図2作動保留球は、特別図柄2の変動表示動作に供されるまで、最大保留記憶数を所定の上限値として、始動条件の成立順に保留記憶される。
次いで、入賞コマンドデータとして、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(下位バイト「01H」)を取得し(ステップS335)、「特図2先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS336)。上記「特図2先読み禁止条件」とは、特図2作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図2先読み禁止条件が成立している場合(ステップS336:YES)、今回の特図2作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS336:YESの処理ルート)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ無し状態を伴う遊技状態’を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が、通常遊技状態中または潜確状態中である場合は、特別図柄2側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ無し状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄2側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
「通常遊技状態」または「潜確状態」であるならば、‘電サポ無し状態’下に置かれ、下始動口35の入賞率が著しく低下する。また既に説明したように、本実施形態では、上記電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合、左流下経路3bを遊技球が通過するように狙いを定めた場合よりも上始動口34の入賞率が著しく低下してしまう、といった遊技者にとって不利益をもたらす遊技性となっている。このため、電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めることはないものと推定される。したがって、電サポ無し状態中においては、特図2作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、また発生率の低い特図2作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
なお本実施形態では、遊技状態に応じて、特別図柄1側の先読み禁止区間(先読み禁止状態の期間)と特別図柄2側の先読み禁止区間とを切り替え可能に構成されているが、本発明はこれに限られない。たとえば、遊技状態に応じて、特別図柄1側および特別図柄2側のいずれか一方の先読み判定は一切実行しないという構成としても良い。またCZ中は、これに対応する専用のCZ演出モード下でなされる演出により高確率状態の期待感を煽るようになっており、またCZ期間も比較的短期間であるため、CZ中は、先読み判定を先読み禁止区間とし、先読み予告演出を現出させないように構成することが好ましい。
再びステップS336の説明に戻り、特図2先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS336:YES)、ステップS340の処理に進む。しかし特図2先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS336:NO)、ステップS337の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS337)。この乱数判定処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「先読み当落判定」が行われる。また処理の仕方は、図17の特図1始動口チェック処理中のステップS317の乱数判定処理と実質的に同じである。
ステップS337の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS338)。この特別停止図柄データ作成処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「先読み図柄判定」が行われる。また処理の仕方は、図17の特図1始動口チェック処理中のステップS318の特別停止図柄データ作成処理と実質的に同じである。
次いで、特図1始動口チェック処理中と同様の始動口入賞時乱数判定処理を行い(ステップS339)、入賞コマンドデータと作動保留球数に基づき、保留加算コマンドを作成し(ステップS340)、作成した保留加算コマンドを演出制御部24に送信して(ステップS341)、特図2始動口チェック処理を抜ける。
(9−3.特別図柄変動開始処理:図19)
次に、特別図柄変動開始処理(ステップS305)について説明する。図19は、図16の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を行う。
一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行う。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。ステップS401とS402の処理は、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる「優先変動手段」として機能する。
本実施形態では、上記優先変動手段により、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される、つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている。より詳しくは、特別図柄1または特別図柄2が停止表示されたことを条件に、上記第1の保留記憶エリア(第1の保留記憶手段(特別図柄1側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄1に関する保留データ(第1の保留記憶:特図1作動保留球)が記憶されており上記第2の保留記憶エリア(第2の保留記憶手段(特別図柄2側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄2に関する第2の保留データ(第2の保留記憶:特図2作動保留球)が記憶されていない場合には、当該第1の保留データのうちの最も先に記憶された保留データに基づく第1の特別図柄の変動表示を開始させる一方、当該第2の保留記憶エリアに当該第2の保留データが記憶されている場合には、その第1の保留記憶エリアに上記第1の保留データが記憶されているか否かにかかわらず、当該第2の保留データのうち最も先に記憶された保留データに基づく当該第2の特別図柄の変動表示を開始させるようになっている。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、液晶表示装置36に対し、客待ち待機用のデモ画面表示に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
ステップS417の判定処理を通過したとき、つまり上記「作動保留球なし」の状態となったとき、このときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。このように、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替えて、演出制御コマンドを送信して特別図柄変動開始処理を抜ける理由は、次の通りである。
作動保留球数がゼロの場合に条件なしにデモ表示コマンドを送信すると、特図作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生する。そこで、上記「作動保留球なし」の状態となった場合に、デモ表示コマンドを1回送信して、これにより、既にデモ表示コマンドが送信済みである場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信することなく、この特別図柄管理処理を抜けるようになっている。
演出制御部24は、上記デモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても、何ら図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなして、液晶表示装置36において、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合は(ステップS401:NOまたはステップS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S417)を行っていく。なお、以下に説明するステップS403〜S417の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために、特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理なのか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理なのかを区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報が含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、
および変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS407)。つまり、保留1記憶エリアの保留データを判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、保留4記憶エリアに空き領域を設ける(新たな作動保留球が発生しない場合は、ステップS407の処理を行うごとに空き領域が順次シフトされていくので、全作動保留球消化時には、全保留記憶エリアが空き領域となる)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、残り時短回数コマンド送信処理を行う(ステップS408)。ここでは、後述の特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「残り時短回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS408)。この「残り時短回数コマンド」により、演出制御部24側は、残りの時短回数を把握することができ、たとえば、演出手段を利用し、残り時短回数情報を報知させることができる。
次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理は、「当落抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「乱数判定処理(図17のステップS319、図18のステップS339)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理の処理手順は、乱数判定処理(図17のステップS319、図18のステップS339)と実施的に同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、今回の変動表示側に対応する当り乱数判定テーブルを取得する。この当り乱数判定テーブルは、乱数判定処理(図17のステップS317、図18のステップS337)で利用される「当り乱数判定テーブル」と同じである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく、大当り、小当り、およびハズレの別の当落抽選を行い、その結果をRAM203の当り判定フラグ領域に格納する。
この当落抽選により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH(大当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「00H(大当り非当選(大当り判定フラグがOFF状態))」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH(小当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「00H(小当り非当選(小当り判定フラグがOFF状態))」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ(大当り判定フラグおよび小当り判定フラグがOFF状態)’となる。
ここで、ステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理により得られたデータをRAM203に格納する理由は次の通りである。特別電動役物作動判定用乱数判定処理において得られたデータ(大当り判定フラグ、小当り判定フラグ)は、先読み判定時における「乱数判定処理(図10のステップS317、図11のステップS337)」で得られたデータのように後続処理で直ちに利用されてその後に不必要となるといったデータではなく、後続の特別停止図柄作成処理(ステップS410)において必要となるデータだからである。
ステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。なお特別停止図柄作成処理は、「図柄抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「特別停止図柄データ処理(図17のステップS318、図18のステップS338)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「図柄抽選」を行う。特別停止図柄作成処理の基本的な処理手順は、特別停止図柄データ処理(図17のステップS318、図18のステップS338)と同じであるので、重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データとステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果(上記大当り判定フラグと小当り判定フラグ)と、を取得し、これらに基づき、今回の変動表示側に対応する図柄テーブルとして、大当り図柄テーブル1、2、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブル1、2のいずれかを選択する。この図柄テーブルは、特別停止図柄データ処理(図17のステップS318、図18のステップS338)で利用した図柄テーブルと同じものである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、上記選択した図柄テーブルと、特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行い、図柄抽選結果(特別図柄判定データ、特別停止図柄番号)をRAM203の所定領域(特別図柄判定データ記憶領域、特別図柄停止図柄番号記憶領域)に格納する。これにより、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別(当りの種類)が決定される。
ここで、ステップS410の特別停止図柄作成処理により得られたデータをRAM203に格納する理由は次の通りである。特別停止図柄作成処理において得られたデータ(特別図柄判定データ、特別停止図柄番号)は、先読み判定時における「特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)」で得られたデータのように後続処理で直ちに利用されてその後に不必要となるといったデータではなく、後々の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)や、特別電動役物処理(ステップS60)において必要となるデータだからである。
ステップS410の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。この遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、大当り遊技後の遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。この遊技状態移行準備処理の詳細は図20にて後述する。
ステップS411の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。この特別図柄変動パターン作成処理では、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果(少なくとも特別電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果)、変動パターン用乱数、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、および作動保留球数などを利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターンを決定する。そして、その変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターンの内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。なお、特別図柄変動パターン作成処理は、「特別図柄の変動パターンを決定する」といった点において‘先読み判定’処理の一つである始動口入賞時乱数判定処理(図17のステップS319、図18のステップS339)と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターン、つまり「変動開始時の変動パターン」が決定される。
ここではまず、変動パターン用乱数値を取得し、次いで、大当り抽選結果(当落抽選、図柄抽選)に基づき、図示しない「当り変動パターン振分テーブル」または「ハズレ変動パターン振分テーブル」を取得する。そして、この変動パターン振分テーブルと変動パターン用乱数値とを利用した変動パターン抽選により、特別図柄の変動パターンを決定する。
(T−3.変動パターン振分テーブル)
上記変動パターン振分テーブルには、当り(大当りまたは小当り)に当選した場合に選択される「当り用変動パターン振分テーブル」と、ハズレに当選した場合に選択される「ハズレ用変動パターン振分テーブル」とが含まれる。
各変動パターン振分テーブルには、特別図柄に関する変動パターンが、作動保留球数(ここでは、ステップS403の処理で減算された作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、残りの作動保留球数))、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、大当り抽選結果(特別停止図柄作成処理(ステップS410)の図柄抽選結果)、および変動パターン用乱数値に関連付けて定められており、変動パターン用乱数による抽選により、複数種類の変動パターンのうちからいずれかの変動パターンが選択されるようになっている。
また変動パターンの決定に伴い、その変動パターンに対応した「変動時間決定テーブル(図示せず)」も決定される。この「変動時間決定テーブル」には、変動時間(図柄変動表示動作時間)が定められており、上記決定された変動パターンに対応した変動時間決定テーブルを参照することにより、今回の変動パターンの変動時間が定まることになる。決定された変動時間は、特別図柄役物動作タイマに格納され、この変動時間が特別図柄変動表示ゲームの実行時間、換言すれば、装飾図柄変動表示ゲームの遊技時間(装飾図柄の変動表示時間(演出時間))となる。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、主に、当り・ハズレの別の当落抽選結果(本実施形態の場合、詳細な図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)、現在の遊技状態種別、変動時間、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出の有無、リーチ演出種別(Nリーチ種別やSPリーチ種別)、疑似連の有無、疑似連回数などの指定情報)が含むことができる。主制御部20は、その内容を特定可能とする「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24に送信する。これにより、今回の図柄変動表示ゲームの変動パターンが指定され、演出制御部24側では、変動パターン指定コマンドを受けて、これに含まれる情報に基づき、今回の図柄変動表示ゲームに必要な演出を現出するための演出制御処理を行う。なお、変動パターン指定コマンドに図柄抽選結果情報を含ませることができる。
なお本実施形態では、2R短開放潜確大当り当選、2R短開放非確変大当り当選、小当りA、B当選時の当り変動パターンについては、同じ当り変動パターンが選択されるようになっている。これは、2R系の大当り当選した場合と小当り系に当選した場合とで、同じ変動パターンが選択されるようにし、演出上、いずれの当りに当選したかを不明確にさせることが好ましいからである。
再び図18の説明に戻り、ステップ412の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、ステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって、この装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。たとえば、上位バイト(MODE)側については、変動側の特別図柄が特別図柄1の場合は「B5H」、特別図柄2の場合は「B6H」が設定され、下位バイト(EVENT)側については、当選種別がハズレの場合には「01H」、2R短開放潜確大当りの場合には「02H」、2R短開放非確変大当りの場合には「03H」、5R長開放確変大当りの場合には「04H」、5R長開放非確変大当りの場合には「05H」、12R長開放非確変大当りの場合には「06H」、12R長開放確変大当りは「07H」、16R長開放確変大当りは「08H」、小当りA〜Bの場合は「09H」〜「10H」などの当り種別またはハズレ種別を特定可能な値が設定されるなお、本実施形態では、下位バイト(EVNET)には当選種別を特定可能とするデータが設定されるが、当選種別を特定するデータとして、特別停止図柄番号または特別図柄判定データを特定可能とするデータであっても良い。この装飾図柄指定コマンドは、当選種別に関する情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素となる図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出などを決定する際に利用される。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図16の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS059)を抜けて、図7の特別電動役物管理処理(ステップS060)に進む。
(9−3−1.遊技状態移行準備処理:図20)
次に、上記の遊技状態移行準備処理(ステップS411)について説明する。図20は、図19の遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
図20において、CPU201は、まず大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS431)。大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS431:≠5AH)、何もしないで遊技状態移行準備処理を抜ける。
大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS431:=5AH)、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図27(イ)参照)を取得する(ステップS432)。
次いで、取得した遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、遊技状態判定番号(YJ)と大当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(図28参照)を取得し(ステップS433)、この遊技状態移行テーブルに定められたデータを後述の各種バッファに格納する(ステップS434:状態バッファ設定処理)。これらバッファに格納された値は、後述する特別電動役物管理処理中の大当り終了処理(図23のステップS509)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々のバッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。ステップS434の処理を終えると、遊技状態移行準備処理を抜けて、図22の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)に進む。なお、この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理が行われ、小当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理は、後述の電動役物管理処理中の小当り処理(図23のステップS504参照)で行われるようになっている。
(T−4.大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図27(イ))
図27(イ)に、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、遊技状態判定番号(YJ)と当選種別(特別図柄判定データ:ここでは大当り種別)とに関連付けられた複数種類の遊技状態移行テーブルが定められており、具体的には、遊技状態判定番号(YJ)と特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれかの遊技状態移行テーブル(大当り用の遊技状態移行テーブル)が選択されるようになっている。
(T−5.遊技状態移行テーブル:図28)
図28に、上述の遊技状態移行テーブルを示す。本実施形態の遊技状態移行テーブルには、大当りの場合に選択されうる大当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−7」と、小当りの場合に選択されうる小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」とが含まれる。
これら遊技状態移行テーブルには、当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するための複数種類データ群が定められている。具体的には、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するための各種のデータが定められている。これらのバッファに格納された値は、必要なタイミングで読み出され、RAM203に設けられた所定のフラグ記憶領域や所定のカウンタ記憶領域に設定される。この各バッファに各遊技状態移行テーブルにより指定される各種データが格納されると、当り遊技終了後の遊技状態が定まることになる。
本実施形態に係る大当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−7」は、それぞれ順に、確変状態、潜確状態、時短状態(60回)、時短状態(100回)、通常状態、CZ(潜確)、CZ(通常)に移行させるための遊技状態移行テーブルである。また小当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」はそれぞれ‘CZ’に移行させるための遊技状態移行テーブルである。ただし、CZ移行に関する「JTTBL−6」〜「JTTBL−9」については、「JTTBL−6」はCZ継続回数4回とするCZ(潜確:4回)に、「JTTBL−7」はCZ継続回数3回とするCZ(通常:3回)に、「JTTBL−8」はCZ継続回数2回とするCZ(2回)に、「JTTBL−9」はCZ継続回数3回とするCZ(3回)に移行させる遊技状態移行テーブルとなっている。以下に、上述の各種バッファの役割について説明する。
(普電役物開放延長移行状態バッファ)
「普電役物開放延長移行状態バッファ」は、普電役物開放延長状態フラグの設定を行うために利用される。「普電役物開放延長状態フラグ」とは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
(普通図柄時短移行状態バッファ)
「普通図柄時短移行状態バッファ」は、普通図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄時短状態フラグ」とは、普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄時短機能作動中の「普通図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄短機能非作動の「普通図柄非時短状態」である旨を示す。
(普通図柄確変移行状態バッファ)
「普通図柄確変移行状態バッファ」は、普通図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄確変状態フラグ」とは、補助当り抽選確率状態、つまり普通図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄確変機能作動中の「補助当り確変状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄確変機能非作動の「補助当り低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短状態移行状態バッファ)
「特別図柄時短状態移行状態バッファ」は、特別図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄時短状態フラグ」とは、特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄時短機能作動中の「特別図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄時短機能非作動の「特別図柄非時短状態」である旨を示す。
(特別図柄確変移行状態バッファ)
「特別図柄確変移行状態バッファ」は、特別図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄確変状態フラグ」とは、特別図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄確変機能作動中の「高確率状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄確変機能非作動の「低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短回数カウンタバッファ)
「特別図柄時短回数カウンタバッファ」は、特別図柄時短回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄時短回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄時短機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「特別図柄時短状態」が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタである。なお本実施形態では、特別図柄時短状態の終了に伴い、電サポ有り状態である高ベース遊技状態も終了されるようになっている(図22BのステップS481参照)。
(特別図柄確変回数カウンタバッファ)
「特別図柄確変回数カウンタバッファ」は、特別図柄確変回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄確変回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄確変機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「高確率状態」が終了するまでの残り回数(残りST回数)を計数するためのカウンタである。
(変動パターン振分指定番号バッファ)
「変動パターン振分指定番号バッファ」は、変動パターン振分指定番号(Tcode)の設定を行うために利用される。この「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、遊技状態を特定するための遊技状態データである。変動パターン振分指定番号(Tcode)は、RAM203の変動パターン振分指定番号格納領域に設定され、所定の変更条件(遊技状態移行条件)に基づいて変更される(特別図柄確認時間中処理(図22B)のステップS481、S486、S490、遊技状態移行準備処理(図19のステップS411、図20のステップS434、特別電動役物管理処理(図23)など参照)。
(特別図柄変動回数カウンタバッファ)
「特別図柄変動回数カウンタバッファ」は、特別図柄変動回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄変動回数カウンタ」とは、遊技状態移行条件となる特別図柄の変動回数(以下、「遊技状態移行規定回数」と称する)を計数するためのカウンタである。本実施形態の特別図柄変動回数カウンタには、遊技状態移行規定回数としてCZ継続回数が設定され、このカウンタはCZ継続回数を管理する管理手段として機能する。
(9−4.特別図柄変動中処理:図21)
次に、特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。図21は、図16の特別図柄変動中処理(ステップS307)の詳細を示すフローチャートである。
図21において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS451)。特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS451:NO)、未だ特別図柄の変動時間が経過していない、つまり特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS451:YES)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS452)。この変動停止コマンドにより、演出制御部24は、特別図柄の変動時間が経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、RAM203の特別図柄確定タイマに、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納し、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納し(ステップS453)、この特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
ステップS453の処理を終えると、この特別図柄変動中処理を抜けて、図16のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図7のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(9−5.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図22Aおよび図22B)
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図22Aおよび図22Bは、図16の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図22Aおよび図22Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態に応じた遊技状態判定番号(YJ)をRAM203の遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)として、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、さらに、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常状態指定)を格納し、遊技状態報知LED(図示せず)の点灯・消灯を指定する遊技状態報知LED出力番号に00Hを格納して、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。上記「遊技状態報知LED」とは、現在の遊技状態情報を報知する状態報知手段である。本実施形態の遊技状態報知LED(状態報知手段)は、特別図柄時短状態であるか否かを報知するために利用される。CPU201は、遊技状態報知LED出力番号に応じて、遊技状態報知LED(状態報知手段)の報知態様を変化させる。たとえば、上記遊技状態報知LED出力番号が「00H」の場合、現在、特別図柄時短状態ではない旨が(遊技状態報知LED:消灯状態(非特別図柄時短状態報知)、「01H」の場合には、現在、特別図柄時短状態である旨が報知される(遊技状態報知LED:点灯状態(特別図柄時短状態報知)。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、ステップS478の処理に進む。小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、何もしないでステップS483の処理に進む。
特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、時短終了時の設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下に置かれることになる。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了した旨を示す(電サポ無し状態移行情報)「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS482)。この時短終了コマンドは、今回の図柄変動表示ゲーム終了時に送信されるので、演出制御部24は、次ゲームから‘電サポ無し状態’となる旨を次ゲームが開始前に把握することができる。
なお本実施形態では、電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行する場合は、時短状態または確変状態から通常状態に移行する場合であるので、演出制御部24が上記「時短終了コマンド」を受けると、たとえば、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、あるいはその事前に「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替える。また‘電サポ無し状態’における発射位置として、左流下経路3bを狙う旨を指示する「発射位置誘導演出(左打ち報知演出)」を現出させるための演出制御処理を行う。これにより今回の図柄変動表示ゲームが終了したときに作動保留球が存在しない場合(次回の図柄変動表示ゲームが開始されない場合)であっても、次回の図柄変動表示ゲームに係る演出モードに移行させることができる。
次いでステップS483の処理に進むと、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。なお本実施形態では、確変状態である場合、次回大当りまで当該確変状態が継続するようになっているが(ST回数=無限)、一日中遊技をしていても、時間的に確変状態が終了することがない回数(たとえば、10000回)が設定されていても良い。この場合、実質的に、次回大当りまで当該確変状態が継続することと同じになる。以下では説明の便宜のために、特別図柄確変回数カウンタに「10000回」が設定されているものとして説明する。
特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、ステップS488の処理に進む。
特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST規定回数(70回)に達していないので、何もせずにステップS487の処理に進む。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、特別図柄の変動回数がST規定回数(ここでは10000回としている)に達したとして、確変終了時の設定処理を行う(ステップS486)。ここでは、潜確状態終了または確変状態終了に伴う通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納し、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより、次ゲームから、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態下に置かれることになる。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、ステップS487の処理に進み、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数(本実施形態では、CZ継続回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS487)。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS487:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS487:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS488)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS489)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS489:NO)、遊技状態移行規定回数に達していないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数に達したとして、遊技状態の移行設定処理を行う(ステップS490:変動パターン振分指定番号設定処理)。ここでは、CZ継続回数が終了した後の遊技状態の移行設定処理を行う。本実施形態では、CZ終了時の大当り抽選確率状態が低確率状態か高確率状態かに応じて、移行先の遊技状態が異なるようになっている。ここでは、まず遊技状態判定番号(YJ)を取得し、現在の内部遊技状態が通常状態(遊技状態判定番号(YJ)=00H)であるか、潜確状態(遊技状態判定番号(YJ)=01H)であるかを判定する。現在の内部遊技状態が通常状態、つまり低確率状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)を通常状態を指定する「00H」に設定し、現在の内部遊技状態が潜確状態、つまり高確率状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)が潜確状態を指定する「02H」に設定する。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常状態」または「潜確状態」における特別図柄の変動パターンが選択される。このステップS490処理は、所定の条件の成立に基づき、変動パターンの選択条件(変動パターン選択モード)を切替制御するための変動パターン選択条件切替手段として働く。
次いで、演出制御コマンドとして、移行先の遊技状態情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS491)。この「遊技状態指定コマンド」により演出制御部24は、今回の図柄変動表示ゲームで「CZ」が終了し、次ゲームから「通常状態」または「潜確状態」となる旨を把握する。これにより、演出制御部24は、次回の図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)または「潜確演出モード」用の背景画像に切り替え制御し、当該演出モード下での演出制御処理を行う。
なお本実施形態では、次に行われる図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送信される前に、上述の遊技状態指定コマンドが送信されるようになっている。このため演出制御部24は、このような遊技状態指定コマンドを受信した場合、次に行われる図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送られてくる前段階で、現在の演出モード用の演出(たとえば、一の背景表示)から、他の演出モード用の演出(たとえば、他の背景表示)に切り替えることができる。つまり、次回の図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送られてくる前に、他の演出モードに関連する演出を現出させる、換言すれば、次回の図柄変動表示ゲームに先立って、他の演出モードに関連する演出を現出させることができるようになっている。これにより遊技者は、今回の図柄変動表示ゲームが終了したときに作動保留球が存在しない場合(次回の図柄変動表示ゲームが開始されない場合)であっても、次回の図柄変動表示ゲームに係る演出モードを前もって把握することができるという利点がある。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を抜けると、図16のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図7のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(10.特別電動役物管理処理:図23)
次に、図7中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図23は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図23において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置(大入賞口の開閉制御)の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置42、52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値に応じた処理を呼び出して実行させる。具体的には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、大当り開始処理(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を、作動中(02H)」の場合には、特別電動役物作動中処理(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には、大当り終了処理(ステップS509)を呼び出して実行させる。これらの処理により大当り遊技に係る特別変動入賞装置52の動作が制御される。ここで、上述の「開始処理中(00H)」とは、大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とはラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とはラウンド遊技が実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは大当り遊技終了時の終了処理中である旨を示す。上記ステップS505〜S509のいずれかの処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜けて、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
以下に、大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)と、小当り遊技制御処理(ステップS504)とについて説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)>
(10−1.大当り開始処理:ステップS505)
先ず、大当り開始処理(ステップS505)について説明する。
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合には、まず最初に、この大当り開始処理が行われるようになっている。
ここではまず、大当り遊技を開始する際に必要な大当り遊技開始時の設定処理として、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数を管理するためのカウンタであり、現在のラウンド数はここに記憶される。ここでの連続回数カウンタは「01H」が設定されるので、現在のラウンド数は1R目を示している。
次いで、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じた最大ラウンド数(規定ラウンド数)とラウンド表示LED番号とが定められた「大当り開始設定テーブル(図示せず)」を取得する。この大当り開始設定テーブルを参照して、今回の特別図柄判定データ(大当り種別)に対応した各データを、それぞれに対応するRAM203の記憶領域に格納し、また特別図柄役物動作タイマに「開始インターバル時間」を格納する。なお上記「開始インターバル時間」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して大当りが確定した後、特別変動入賞装置42、52が作動するまでのインターバル区間であって、オープニング演出が行われる区間を定めた時間幅(1回目のラウンド遊技が行われる前の初回演出時間)を指す。また「ラウンド表示LED番号」とは、ラウンド数表示装置(ラウンド数表示手段)の報知態様を指定するデータであり、今回の大当り遊技の最大ラウンド数(規定ラウンド数)を指定するデータである。
次いで、オープニング演出の開始を指示する「大当り開始インターバルコマンド」を演出制御部24に送信し、この大当り開始処理を抜けて、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。なお「大当り開始インターバルコマンド」には、オープニング演出の開始を指示する役割の他、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出(大当り種別ごとに対応するオープニング演出、ラウンド演出、ラウンド終了演出、およびエンディング演出など)を決定する際にも利用される。以上により、この大当り開始処理を終えると、オープニング演出とともに大当り遊技が開始されることになる。
(10−2.特別電動役物作動開始処理:ステップS506)
次に、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「ラウンド遊技開始前のインターバル時間」が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、上記大当り開始処理(ステップS505)で設定された「開始インターバル時間」が監視されるが、2R目以降でこの特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を通過するときは、「開放前インターバル時間(後述の特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)で設定されるインターバル時間)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンド(1R目)の場合は、開始インターバル時間)が経過したならば、特別図柄判定データ(大当り種別)と現在のラウンド数とに応じた下大入賞口40または右大入賞口50の開閉動作パターンを設定する(大入賞口開閉動作設定処理)。具体的には、下大入賞口40または右大入賞口50を開放させるための大入賞口開閉動作時間(たとえば、長開放時間であれば29.8秒、短開放時間であれば0.1秒)を特別図柄役物動作タイマに格納し、大入賞口ソレノイド42cまたは大入賞口ソレノイド52cを制御するためのソレノイド用制御データを設定する。これにより、大入賞口ソレノイド42cまたは大入賞口ソレノイド52cを動作させ、下大入賞口40または右大入賞口50が上記大入賞口開閉動作時間を上限に開放される。また大入賞口開放開始動作に伴い、「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する。この「大入賞口開放コマンド」は、ラウンド遊技開始情報(ラウンド演出の開始指示情報)や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を現出させる際に利用される。上記大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)、特別電動役物管理処理を抜け、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(10−3.特別電動役物作動中処理)
次に、特別電動役物作動中処理(ステップS507)について説明する。
ここではまず、下大入賞口40または右大入賞口50への入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数に達したか否かを確認し(大入賞口最大入賞数確認処理)、最大入賞数に達した場合には特別図柄役物動作タイマをクリアする。これにより、上記特別電動役物作動開始処理(ステップS506)で設定されたタイマ値が強制的にゼロになり、最大入賞数に達したことをもって開放中の下大入賞口40または右大入賞口50が閉鎖されるようになっている。なお特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(大入賞口開放動作時間経過するか、または最大入賞数に達するまでの間)、何もしないでこの特別電動役物作動中処理を抜ける。またここでは、大入賞口に入賞が発生した場合(下大入賞口センサまたは右大入賞口センサが遊技球を検出した場合)、「大入賞口入賞コマンド」が送信される。この「大入賞口入賞コマンド」は、演出制御部24側において、大入賞口への入賞発生を報知する演出、今回のラウンド中の大入賞口への入賞数を報知する演出、大入賞口の総入賞数を報知する演出などを現出する際に利用される。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(最大入賞数に達したか、または大入賞口開放動作時間経過した場合)、今回のラウンド遊技における大入賞口が閉鎖されたとして、「ラウンド終了コマンド」を演出制御部24に送信し、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1980ms)を格納し、特別電動役物作動中処理を抜けて、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。上記「ラウンド終了コマンド」は、演出制御部24側において、ラウンド遊技間のインターバル時間中における「ラウンド終了演出」を現出する際に利用される。
(10−4.特別電動役物作動継続判定処理)
次に、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の上記残存球排出時間が設定されているので(特別電動役物作動中処理(ステップS507)参照)、この残存球排出時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数(最大ラウンド数)に達したか否かを判定する。最大ラウンド数に達していない場合には、ラウンド遊技継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算(+1)し、「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。これにより、特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合、「終了インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、次いで、ラウンド遊技終了時の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。なお上記「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。
そして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了インターバルコマンド」を演出制御部24に送信し、この特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。この「大当り終了インターバルコマンド」には、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態(内部遊技状態を含む)を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この「大当り終了インターバルコマンド」は、エンディング演出の開始を指示する役割の他、大当り遊技終了後の遊技状態を特定しうることから、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担っている。演出制御部24は、上記大当り終了インターバルコマンドに含まれる情報に基づき、演出モードを決定することで、大当り終了後の遊技状態と、その遊技状態に係る演出モードとの整合性を取ることができるようになっている。
なお、上述の大当り当選時の遊技状態に関する情報には、変動パターン振分指定番号に関する情報、または変動パターン振分指定番号および内部遊技状態に関する情報を含むことができ、本実施形態では、大当り当選時の遊技状態がCZであった場合、その当選時の遊技状態が内部遊技状態により区別される「CZ(通常)」であるか、「CZ(潜確)」であるかを特定可能な情報を含ませている。また、上記大当り終了インターバルコマンドは、単一のコマンドであっても良いし、複数のコマンドであっても良い。複数のコマンドとする場合には、たとえば、一の大当り終了インターバルコマンドに今回の大当り種別を特定可能とする情報を含ませ、他の大当り終了インターバルコマンドにその大当り当選時の遊技状態を特定可能とする情報が含ませて、これらのコマンドを同時あるいは順次に必要なタイミングで演出制御部24に送信することができる。本実施形態では、演出制御コマンドに複数種類の情報を含ませて演出制御部24に送信する場合、それら情報を単一の演出制御コマンドに含ませて演出制御部24に送信する構成としても良いし、一の情報を含む演出制御コマンドと、他の情報を含む演出制御コマンドとに分けて、上述の単一の演出制御コマンドが有する役割を複数の演出制御コマンドに分担させる形態で演出制御部24に送信する構成としても良い。
(10−5.大当り終了処理)
次に、大当り終了処理(ステップS509)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、この終了インターバル時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの大当り終了処理を抜けて、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば、各移行状態バッファの値を各状態フラグに格納し、大当り遊技後の遊技状態を指定する。具体的には、特別図柄変動開始処理中のステップS411の遊技状態移行準備処理(図19のステップS411、その詳細を示す図20参照)で設定した移行状態バッファの各々の値を、遊技状態を指定するための、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、変動パターン振分指定番号、および特別図柄変動回数カウンタにそれぞれ格納する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が特定される。
次いで、大当り終了時の各種設定処理を行う。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータとして、条件装置作動フラグ、役物連続作動装置作動フラグ、連続回数カウンタ、最大ラウンド数、ラウンド表示LED番号、各種バッファなどをそれぞれクリアし、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
次いで、遊技状態報知情報を更新する遊技状態報知情報更新処理を行う。ここでは、特別図柄時短状態フラグがON状態(=5AH)かOFF状態(≠5AH)かを確認し、ON状態の場合、遊技状態報知LEDを点灯させるデータ、具体的には、遊技状態報知LED出力番号に01Hを格納する。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。この大当り終了処理を抜けると、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<小当り遊技制御処理>
(10−6.小当り処理)
次に、小当り処理(ステップS504)について説明する。
小当り遊技では、大当り遊技のような「ラウンド遊技」が実行されない。したがって、ここでは、既に説明したように、小当り遊技中の動作態様が「2R潜確大当り遊技」や「2R通常大当り遊技A」や「2R通常大当り遊技B」(以下、「2R系大当り遊技」と略す)の動作態様と実質的同一となるように、大入賞口の開閉動作パターンを制御するための処理が行われる。なお本実施形態では、小当りは特図1側の大当り抽選対象であるので、ここでは、下大入賞口40の開閉動作パターンを制御するための処理が行われる。
この小当り処理に入ると、まず小当り遊技における「開始インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに設定し、オープニング演出の開始を指示する「小当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する。開始インターバル経過したならば、次いで、後述の小当り遊技後の遊技状態を指定する小当り時遊技状態移行準備処理を行い、続いて、下大入賞口40の開閉動作が「2R系大当り遊技」と同一または酷似する動作態様となるように、下大入賞口ソレノイド42cを制御するためのソレノイド用制御データを設定する。これにより、下大入賞口40が2R系大当り遊技の如く開放動作し、小当り遊技中の疑似的なラウンド遊技が実行される。なお小当り遊技中における下大入賞口40への最大入賞数は大当りによるものと同じ(たとえば、9個)となっており、当該最大入賞数に達すると、下大入賞口40が閉鎖状態に移行される。ただし、小当り遊技は大当り遊技のようなラウンド遊技が実行されないため、上記最大入賞数に達した場合、上記疑似的なラウンド遊技自体が終了されることになる。
下大入賞口40の一連の開閉動作が終了したならば、エンディング演出の開始を指示する「小当り終了コマンド」を、演出制御部24に送信する。この「小当り終了コマンド」には、今回の小当り種別とその小当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、小当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この小当り終了コマンドは、エンディング演出の開始指示の役割の他に、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担い、大当り遊技に係る「大当り終了インターバルコマンド」と同じ働きをする演出制御コマンドである。
<10−6−1.小当り時遊技状態移行準備処理>
次に、上述の小当り時遊技状態移行準備処理について説明する。
小当り時遊技状態移行準備処理では、小当り遊技後の遊技状態を指定すべく、小当り遊技後の遊技状態を指定するための設定処理を行う。具体的には、まず変動パターン振分指定番号(Tcode)を取得し、次いで小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図27(ロ))を取得する。そして、上記小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、変動パターン振分指定番号と小当り種別(特別図柄判定データ)とに基づき、遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかを取得し、この遊技状態移行テーブルを参照して、該当するデータをRAM203の所定領域(変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタ)に格納する。これにより、小当り遊技後の遊技状態が指定されるようになっている。
(T−6.小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図27(ロ))
図27(ロ)に、小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、変動パターン振分指定番号(Tcode)と当選種別(特別図柄判定データ:ここでは、小当り種別)とに関連付けられた複数種類の遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」と「JTTBL−9」が定められており、具体的には、変動パターン振分指定番号(Tcode)と特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれかの遊技状態移行テーブル(小当り用の遊技状態移行テーブル)が決定されるようになっている。
(T−7.小当り用遊技状態移行テーブル:図28(ロ))
図28(ロ)を参照して、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」と「JTTBL−9」について説明する。これらの小当り用遊技状態移行テーブルには、小当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するためのデータとして、変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタに格納するためのデータが定められている。これらデータ値が変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタが格納されると、小当り遊技終了後の遊技状態が特定される。ここで上記「JTTBL−8」と「JTTBL−9」には、変動パターン振分指定番号バッファおよび特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するためのデータだけが定められているので、小当りに当選しても内部遊技状態の移行はなく、変動パターン選択モードとしての遊技状態の移行(変動パターン振分指定番号(Tcode)の変更)が行われるだけとなる。
なお、上記小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルでは、小当り当選時の遊技状態が通常状態(変動パターン振分指定番号00H)である場合か、またはCZ(変動パターン振分指定番号06H)である場合に限り、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかが選択されるようになっている。すなわち、遊技状態が、確変状態(変動パターン振分指定番号01H)、潜確状態(変動パターン振分指定番号02H)、時短状態(変動パターン振分指定番号03H)の場合には遊技状態の移行はなく、その小当り当選時の遊技状態が継続され、CZ中に小当り当選の場合は、再度、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかが選択されて、その小当り種別に応じてCZ継続回数が再設定されることになる(図28(ロ)参照)。
以上の小当り処理を抜けると、図7のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<演出制御部側の処理:図24〜図26>
次に、図24〜図26を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図24)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図26)とを含んで構成される。
<11.演出制御側メイン処理:図24>
図24は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図24に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、CPU241は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図26のステップS096)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、保留加算コマンド、普図保留加算コマンド、保留減算コマンド、普図保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、普通図柄変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、補助当り図柄指定コマンド、変動停止コマンド、当り遊技中や普電開放遊技中に送信される各種のコマンドなどが含まれる。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお、上記演出シナリオは、必要に応じて異なる演出シナリオに書き換えられる(たとえば、枠演出ボタン13の操作検出に基づいて、操作時用のパーツ演出を組み込む場合がある)。この場合、変更した演出シナリオデータを上記シナリオ設定領域に再設定して、変更した演出シナリオデータに基づいて演出を現出させる。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)などに関する演出処理においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ部45やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図26のステップS095)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ97aまたは可動体役物モータ98aの駆動制御用データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図26のステップS094)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(12.コマンド受信割込処理:図25)
次に図25を参照して、コマンド受信割込処理について説明する。図25は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図26)よりも優先的に実行される。
まず演出制御部24(CPU241)は、図24に示すメイン処理実行中に主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて(ステップS081)、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し(ステップS082)、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS083)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部20から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。
(13.演出制御側タイマ割込処理:図26)
次に図26を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図26は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図26において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、枠演出ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、上記ボタン予告演出に利用される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、図24の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ97aまたは可動体役物モータ98aに制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物の時計針97、花型役物98)による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
上記した実施形態では、パチンコ遊技機(弾球遊技機)について説明したが、本発明はこれに限らず、本発明を適用可能な遊技機(たとえば、封入式遊技機、回胴式遊技機など)であれば、特に制限されない。