以下、本発明を適用した超音波画像診断装置の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、図示の例に限定されるものではない。
先ず、図1を参照して、本実施の形態における超音波画像診断装置100の全体構成を説明する。図1は、本実施の形態の超音波画像診断装置100の外観図である。
図1に示すように、超音波画像診断装置100は、超音波画像診断装置本体1と、超音波探触子2と、を備える。超音波探触子2は、図示しない生体等の被検体内に向けて超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体内で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する。
超音波画像診断装置本体1は、ケーブル3を介して超音波探触子2と接続され、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって、超音波探触子2に送信超音波を送信させる。
超音波探触子2から被検体に対して送信超音波が送信されると、かかる送信超音波が当該被検体内で反射され、エコーとしての反射超音波が超音波探触子2によって受信される。超音波探触子2は、受信された反射超音波に応じた電気信号(受信信号)を生成し、生成した受信信号を超音波画像診断装置本体1に出力する。
超音波画像診断装置本体1は、上記のように超音波探触子2から受信した受信信号に基づいて、被検体の内部状態を超音波画像として画像化する。超音波画像診断装置本体1は、後述する操作入力部11、輪郭抽出部15、記憶部17、表示部19等を備える。かかる超音波画像診断装置本体1は、本発明の「医用画像表示装置」に対応する。
超音波探触子2は、圧電素子からなる振動子2a(図2参照)を備えており、この振動子2aは、例えば、方位方向(走査方向)に一次元アレイ状に複数配列されている。本実施の形態では、例えば、192個の振動子2aを備えた超音波探触子2を用いている。なお、振動子2aは、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子2aの個数は、任意に設定することができる。
また、本実施の形態では、超音波探触子2としてリニア電子スキャンプローブを用いて、リニア走査方式による超音波の走査を行うものとするが、セクタ走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。超音波画像診断装置本体1と超音波探触子2との通信は、ケーブル3を介する有線通信に代えて、UWB(Ultra Wide Band)等の無線通信により行うこととしてもよい。
次に、図2~図5を参照して、超音波画像診断装置100の機能構成および計測モード等について説明する。ここで、図2は、超音波画像診断装置100の機能構成を示すブロック図である。また、図3は、縦横比計測モードにおいて計測する被検体(患者)の計測対象物としての腫瘤の径情報を示す図である。
図4Aは、腫瘤径計測モードにおいて最大径面で計測する腫瘤の径情報を示す図であり、腫瘤の最大径aおよび高さcを各々、両矢印で示す。図4Bは、腫瘤径計測モードにおいて、図4Aに示す最大径面に直交する断面で計測する腫瘤の径情報(両矢印で示す径bの値)を示す図である。
なお、理解を容易にするため、図4Bの左側には、患者の正面から見た左の乳房と、患者の体内の腫瘤における最大径面(図4A参照)を含む断面Aおよび断面Aに直交する断面Bを、各々一点鎖線の補助線を加えて示している。
さらに、図5は、図3に示す計測対象物(腫瘤)を縦横比計測モードにおいて計測する際に表示される計測点としての計測マーカーを説明するための図である。
図2に示すように、超音波画像診断装置本体1は、例えば、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像生成部14と、輪郭抽出部15と、計測部16と、記憶部17と、表示合成部18と、出力部としての表示部19と、制御部20と、を備える。
操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンド、被検体の個人情報等のデータ、及び、超音波画像を表示部19に表示するための各種パラメーターの入力などを行うための各種スイッチ、設定ボタン等の各種ボタン、トラックボール、マウス、キーボード、表示部19の表示画面に一体的に設けたタッチパネル等を備えている。
操作入力部11は、これらの各部がユーザーによって操作されることにより、当該操作内容に対応する操作信号を制御部20に出力する。例えば、操作入力部11は、ユーザーの操作によって、縦横比計測モード又は腫瘤径計測モードの指定、輪郭抽出用の初期条件情報、計測マーカーの位置の修正の指示などが行われる。
次に、図3~図5を参照して、計測モードの説明を行う。縦横比計測モードは、主に検診時に使用する計測モードであり、図3に示すように、ハローを含まない腫瘤T1について、皮膚面SK1に平行な最大の横径Wと、それに直交する最大の縦径Dとを計測し、腫瘤T1の特徴量としての縦横比を次式(1)により算出して表示するモードである。
縦横比=D/W …(1)
乳腺分野におけるハローとは、腫瘤の低エコー部の周りの境界部高エコー部である。縦横比計測モードにおけるハローを含まない腫瘤の計測の境界は、周囲(腫瘤ではない領域)との輝度差が、後述するハローを含む場合よりも大きい境界であるものとする。このため、腫瘤T1は、腫瘤本体部としての低エコー部のみからなる。横径W、縦径Dの端点(ひいては後述する計測マーカー)は、腫瘤の低エコー部の輪郭上又は輪郭の寸法補助線上(例えば、図3の縦径Dの輪郭の寸法補助線)にとられる。
図3に示す計測対象物(腫瘤)を縦横比計測モードにおいて計測する際に表示ないし設定される計測マーカーの一例を、図5中の符号P1~P4で示す。図5では、図3の腫瘤(T1)が静止画としての超音波画像(フリーズされたアクティブ画像)中に映された場合を仮定している。図5に示す例では、計測マーカー(P1~P4)は、ドットの形状で表示されているが、他にも「十」字状(図6A、図6Bを参照)など、計測対象の端点の位置を明示できる形状であれば、任意の形状とすることができる。
本実施の形態において、計測マーカーは、計測対象物(腫瘤)の計測点を指定するためのマーカー(表示子)である。また、本実施の形態では、計測マーカーは、計測を行うユーザー毎、計測を行う施設毎、および計測内容等に応じて、具体的な計測操作を誘導するように表示されるようになっており、かかる表示態様等については後述する。
腫瘤径計測モードは、図4Aに示すように、腫瘤本体部としての低エコー部T21とハローT22とを含む腫瘤T2について計測等を行うモードである。より詳細には、腫瘤径計測モードは、腫瘤T2の径が最大の断面である最大径面における腫瘤T2の最大の横径a及び縦径cを計測し、図4Bに示すように、腫瘤T2の最大径面に直交する断面における腫瘤T2の最大の横径bを計測し、腫瘤T2の特徴量としての腫瘤径を次式(2)により算出して表示するモードである。
腫瘤径=a*b*c …(2)
但し、a,b,cの単位は、[mm]または[cm]である。
図2に戻り、送信部12は、制御部20の制御に従って、超音波探触子2にケーブル3を介して電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。より詳しくは、送信部12は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備えている。
上記の内、クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束(送信ビームフォーミング)等を行うための回路である。
また、パルス発生回路は、設定された電圧及び時間間隔で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。
上述のように構成された送信部12は、制御部20の制御に従って、駆動信号を供給する複数の振動子2aを、超音波の送受信毎に所定数ずらしながら順次切り替え、出力の選択された複数の振動子2aに対して駆動信号を供給することにより走査(スキャン)を行う。
受信部13は、制御部20の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。
上記の内、増幅器は、受信信号を、振動子2a毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をアナログ-デジタル変換(A/D変換)するための回路である。
また、整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。すなわち、整相加算回路は、振動子2a毎の受信信号に対して受信ビームフォーミングを行って音線データを生成する。
画像生成部14は、超音波探触子2から受信された信号に基づいて、超音波画像を生成する処理を行う。
より具体的には、画像生成部14は、制御部20の制御に従って、受信部13からの音線データに対して包絡線検波処理や対数圧縮などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、断層画像データとしてのB(Brightness)モード画像データを生成する。すなわち、Bモード画像データは、受信信号の強さを輝度によって表した超音波画像のデータである。
また、画像生成部14は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成された画像メモリー部(図示略)を備えている。画像生成部14は、生成したBモード画像データをフレーム単位で画像メモリー部に記憶する。
また、画像生成部14は、画像メモリー部から適宜読み出した超音波画像データに対して適宜画像フィルタ処理や時間平滑化処理などの画像処理を施し、表示部19へ表示するための表示画像パターンに走査変換する。
輪郭抽出部15は、制御部20の制御に従って、所定の画像処理方法を用いて、画像生成部14により生成されたBモード画像データから被検体の腫瘤の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。本実施の形態では、輪郭抽出部15の画像処理方法の一例として、動的輪郭法、例えばSnakes法を用いることとする。
Snakes法は、画像平面上のある曲線上で、内部変形エネルギー、外部ポテンシャルエネルギーの線形和として表されるエネルギー関数を用い、エネルギー関数が最小となるようにその形状を修正し、輪郭線の抽出を行う方法である。
すなわち、Snakes法では、次式(3)で与えられるエネルギー関数E(v)を最小化するように閉曲線(境界線)を決定する。
E(v)=S(v)+P(v) …(3)
但し、S(v)は内部変形エネルギーである。P(v)は外部ポテンシャルエネルギー{v(s)=[x(s),y(s)]}である。sは閉曲線の弧長パラメーターである。
具体的には、Snakes法では、初期輪郭を設定し、初期輪郭上の1つの輪郭点(頂点)の近傍の複数の画素に対して、次式(4)で示される局所エネルギーEsnakesを計算し、最も小さいものを新たな輪郭点として設定する。
Esnakes=αEint+βEimage …(4)
但し、Eintは輪郭線の内部変形エネルギーである。Eimageは輪郭線と画像との適合度を表す画像エネルギーである。α,βは各エネルギーの重みづけのためのパラメーターである。
内部変形エネルギーEintは、次式(5)により表される。
Eint=(w1|vS|2+w2|vSS|2)/2 …(5)
但し、w1,w2は重みを示す定数である。vSはvの一階微分である。vSSはvの二階微分である。vは輪郭線のパラメーター表現である。
画像エネルギーEimageは、次式(6)により表される。
Eimage=-(Gσ*∇2I)2 …(6)
但し、Gσはガウシアンフィルターである。∇2はラプラシアンフィルターである。Iは輝度値である。
Snakes法では、上記の1つの輪郭点の近傍の複数の画素における局所エネルギーEsnakesの計算及び新たな輪郭点の設定の処理を、輪郭上の全ての輪郭点について実行し、新たな輪郭点からなる輪郭を設定する。また、新たな輪郭の設定の処理は、予め定めた条件に達するまで、繰り返し実行される。この予め定めた条件とは、例えば、輪郭上の輪郭点の総移動量が所定閾値以下になることや、輪郭の設定の繰り返し回数が所定閾値を超えることとする。
このようにして、輪郭抽出部15は、上述のようなSnakes法を用いて、Bモード画像上の腫瘤の輪郭を抽出する。腫瘤は、複雑な形状であることも多いので、あまり形状拘束を行わないのが望ましく、パラメーターαよりもパラメーターβの重みを大きくして処理を行う。
なお、輪郭抽出部15の画像処理方法は、Snakes法に限定されるものではなく、グラフカット法等、他の画像処理方法を用いてもよい。グラフカット法は、次式(7)で表されるエネルギー関数E(X)を最小化するように境界(輪郭)を抽出する。
但し、X,xi,xjはラベルである。E1はSnakes法のEimageと類似の特徴量で、画素と対象(腫瘤)との適合度(例えば、対象との色(輝度)の類似度)を示す。E2はSnakes法のEintと類似の特徴量で、形状拘束の役割を果たす特徴量(例えば、隣り合う境界点がどのような関係であるべきか)である。vは場所(サイト)の集合である。εは隣接する場所の組の集合である。
具体的には、ラベルは、腫瘤か腫瘤でないかを示すラベルとなる。サイトは、画素となる。隣接関係は、画素の隣接関係となる。式(7)の右辺第1項は、データ項であり、その画素の色(輝度値)から、腫瘤らしいか腫瘤でないらしいかを示す項となる。式(7)の右辺第2項は、平滑化項であり、隣接した画素間のラベルを滑らかにする項である。
かくして、輪郭抽出部15は、式(7)のエネルギー関数E(X)に基づき、グラフを作成する。グラフは、腫瘤か腫瘤でないかのラベルを示すソース及びシンクの2つのターミナルと、複数の画素に対応する複数のノードと、ターミナル及び各ノードの間のリンクと、を有する。各リンクには、切断のコスト(エネルギー)が設定される。
そして、輪郭抽出部15は、コストが最小(エネルギー関数E(X)が最小)となるように2つのターミナル間でグラフを切断し、その切断面を腫瘤の輪郭とする。グラフカット法では腫瘤以外の対象物の輪郭も抽出されることがあるため、その場合は複数の輪郭のうち最大のものを腫瘤の輪郭として抽出する。
本実施の形態では、計測部16は、制御部20の制御に従い、主として、腫瘤の径情報計測用の計測マーカーの位置情報に基づいて、当該腫瘤の径情報や特徴量を算出する役割を担う。
具体的には、計測部16は、制御部20による制御の下、輪郭抽出部15から入力された輪郭データあるいはユーザーによる操作入力部11の操作内容から、腫瘤の径情報計測用の計測マーカーの位置情報と、径情報と、径情報に基づく特徴量と、を算出する。
そして、計測部16は、制御部20による制御の下、算出された計測マーカーの位置情報、径情報及び特徴量を表示合成部18に出力し、径情報及び特徴量を記憶部17に記憶する。
縦横比計測モードにおいて、計測マーカーの位置情報とは、図3で上述した、横径W及び縦径Dと、輪郭データに基づく腫瘤の輪郭又は輪郭の寸法補助線との交点である(図5も参照)。また、径情報とは、横径W及び縦径Dの値である。また、特徴量とは、腫瘤の縦横比(すなわちD÷Wの値)である。
一方、腫瘤径計測モードにおいて、計測マーカーの位置情報とは、図4Aおよび図4Bで上述した、最大径面の横径a及び縦径c(図4A参照)、最大径面に直交する断面の横径b(図4B参照)と、これら各断面の輪郭データに基づく腫瘤の輪郭又は輪郭の寸法補助線との交点である。また、径情報とは、横径a,b及び縦径cである。
記憶部17は、フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の情報の書き込み及び読み出しが可能な記憶部である。
表示合成部18は、制御部20の制御に従って、画像生成部14から入力されたBモード画像データと、計測部16から出力された計測マーカーの位置情報に応じた計測マーカー、径情報、特徴量と、をそのまま又は適宜合成して表示画像データを生成し、表示画像データの画像信号を表示部19に出力する。
表示部19は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示装置が適用可能である。表示部19は、表示合成部18から入力された表示画像データの画像信号に従って、表示画面上に表示画像を表示する。
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROMに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波画像診断装置本体1の各部の動作を集中制御する。
制御部20において、ROMは、半導体等の不揮発メモリー等により構成され、超音波画像診断装置100に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブル等の各種データ等を記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納される。制御部20のCPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
制御部20において、RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。特に、制御部20のROMには、本発明の表示制御プログラムを包含した、腫瘤縦横比計測プログラムおよび腫瘤径計測プログラムが記憶されているものとする。なお、制御部20は、超音波画像診断装置本体1の各部を制御するが、図2中では、その制御を示す線を省略している。
超音波画像診断装置100が備える送信部12、受信部13、画像生成部14、輪郭抽出部15、計測部16、表示合成部18、制御部20について、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能は、集積回路などのハードウェア回路として実現することができる。
ここで、集積回路とは、例えばLSI(Large Scale Integration)であり、LSIは集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
なお、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
また、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能をソフトウェアにより実行するようにしてもよい。この場合、このソフトウェア(コンピュータープログラム)は、一つ又はそれ以上のROMなどの記憶媒体、光ディスク、又はハードディスクなどに記憶されており、このソフトウェアが演算処理器により実行される。
ところで、検査対象の腫瘤が腫瘍である場合、例えば、図3に示す腫瘤T1が乳腺腫瘍であることが判明した場合、かかる乳腺腫瘍(T1)の良性/悪性を診断するために、計測対象(腫瘍T1)の上述した縦横比を正確に計測することが重要となる。
具体的には、上述したように、超音波画像診断装置100を用いて、皮膚面SK1に平行な最大の横径(最大横サイズ)Wと、それに直交する最大の縦径(最大縦サイズ)Dと、を各々計測する。この計測の結果、最大縦サイズ(D)を最大横サイズWで割った比率、すなわち縦横比(D/W)が計測部16によって算出され、表示部19に表示される。
ここで、縦横比(D/W)の値が一定の基準値を超えた場合、乳腺腫瘍(T1)は悪性のもの(乳がん)である可能性が高くなる。
しかるに、超音波画像診断装置100による乳腺腫瘍の最大横サイズWと最大縦サイズDの計測は、可能な限り精密に行う必要がある。また、操作時(例えば計測マーカーの設定時)や計測後の記入時において両サイズの取り違えや入力ミス等があると、診断の際に見落としなどが発生するおそれがある。
具体的には、図3に示すような腫瘤(乳腺腫瘍)T1の縦横比(D/W)を計測する場合、輪郭データを利用しない従来技術による計測マーカーの設定方法によれば、ユーザーが例えば以下のように操作入力部11を操作する必要があった。
(1)最大縦サイズ(両矢印D)の上端に計測マーカーを移動させる操作(図5中のP3参照)。
(2)設定ボタンの押下操作(計測マーカーP3および縦上位置の確定)。
(3)最大縦サイズ(両矢印D)の下端(図3の縦径Dの輪郭の寸法補助線上)に計測マーカーを移動させる操作(図5中のP4参照)。
(4)設定ボタンの押下操作(計測マーカーP4および縦下位置の確定)。
(5)最大横サイズ(両矢印W)の左端に計測マーカーを移動させる操作(図5中のP1参照)。
(6)設定ボタンの押下操作(計測マーカーP1および横左位置の確定)。
(7)最大横サイズ(両矢印W)の右端に計測マーカーを移動させる操作(図5中のP2参照)。
(8)設定ボタンの押下操作(計測マーカーP2および横右位置の確定)
すなわち、超音波画像の一画面に表示された計測対象の4点を設定する(確定させる)ために、ユーザーは、上記のような8ステップにも亘る操作を行う必要がある。
このように、従来の技術では、ユーザーが上述した計測マーカー(上記例ではP1~P4)を移動させる操作を繰り返し行う必要があり、かかる移動操作の負担が大きく、操作が煩雑化しやすかった。
また、従来の技術では、計測対象に対する複数の計測点の位置と計測値の関連付けがされておらず、関連が分かるような表示も行われないため、縦横比の算出時に縦サイズと横サイズを取り違えて入力する入力ミス、縦サイズや横サイズを転記する際に縦サイズと横サイズを逆に転記する転記ミス、縦横比が「D/W」ではなく「W/D」のまま気付かない等の種々のミスが発生しやすかった。総じて、従来の技術によれば、計測作業およびそれに付随する作業における効率が悪かった。
一般的に、超音波の特性上からは、深さ方向の境界の方が明瞭に描出されるため、視覚的には縦サイズDの方が計測しやすい場合が多いが、横サイズWの計測を先に済ませておくことを望むユーザー(医師や技師など)のニーズが有り得る。
あるいは、計測対象の視認性や形状に関わりなく、ユーザーや病院等の施設(マニュアルなど)によっては、縦サイズDの計測を行った後に横サイズWの計測を行うこと(あるいはこの逆の手順であること)が慣例であるような事例も考えられる。
横サイズWの計測を先に行う場合、ユーザーは、例えば図7Aに示すように、超音波画像が表示された画面に最初に表示された計測マーカーP1を、トラックボールTBを操作して、計測対象の左端側に移動させる。そして、ユーザーは、計測マーカーP1の位置が決まった場合、例えば図7Bに示すように、設定ボタンSBを押圧して、次に表示された計測マーカーP2を、トラックボールTBを操作して、計測対象の右端側に移動させる。
しかしながら、従来技術によれば、計測マーカーの設定の順序変更に対して柔軟に対応することができず、この点からも、縦サイズ/横サイズの取り違えや入力ミス等が発生しやすい状況が生じるものと考えられる。
さらに、図4Aおよび図4Bで上述したように、計測対象(腫瘤T2)の腫瘤径を計測する場合、計測対象(腫瘤T2)について互いに直交する断面を表示した2つの超音波画像(デュアル表示画面)を用いて3軸(3次元)のサイズを計測する必要がある。この場合、計測対象の6点を指定(設定)することから、さらに4ステップ分の追加的な操作が必要になるため、操作が一層煩雑になり、ミスが発生しやすいものと考えられる。
一方、近年では、計測マーカーの設定に関し、上述したような輪郭データを利用して、計測マーカーを計測対象の輪郭上に自動設定する技術も提案されている。
しかしながら、現在の超音波画像の輪郭抽出の技術では、生体内の患部の輪郭を100%の精度で抽出することは困難であり、このため、自動設定された計測マーカーの位置にも誤差が発生する可能性がある。したがって、計測マーカーを計測対象の輪郭上に自動設定する技術を用いた場合でも、ユーザーが操作入力部11を操作して、計測マーカーの位置を修正できるように構成する必要がある。
上記の問題点に鑑みて、本実施の形態の超音波画像診断装置100では、制御部20は、計測対象(腫瘤など)に対する計測点の位置(表示および設定を行う位置ないし方向)と計測点を設定する順序(設定順序)を規定した計測点規定データを取得する構成とする。ここで、計測点規定データは、本発明の「計測対象に関する複数の計測点を指定する順序を示す指定順序情報」に対応する。また、制御部20は、かかる指定順序情報を取得する「取得部」として機能する。
そして、制御部20は、取得した計測点規定データ(すなわち指定順序情報)に基づいて、計測点を指定するための計測マーカーを表示する制御を行う。したがって、制御部20は、本発明の「表示制御部」としての機能も有する。
より具体的には、制御部20は、計測点規定データに規定された設定順序に従って、超音波画像の対応する位置に、複数の計測マーカーを、該画像に重畳するように出力(表示)する制御を行う。
ここで、「超音波画像の対応する位置」は、輪郭抽出部15による計測対象の輪郭抽出が行われる場合には、当該抽出された輪郭の位置が基準となる。一方、かかる輪郭抽出が行われない場合、例えば表示部19内で超音波画像が表示される表示画面における左側、右側、上側、下側、などの所定の座標とする。
以下に説明する各実施の形態では、制御部20は、超音波画像に表示される複数の計測マーカーに関し、一つの計測マーカーおよびその計測点の位置が設定された(すなわち確定した)後に、次の計測マーカーを表示する制御を行う。かかる構成とすることにより、各々の計測マーカーの計測点の設定に関するユーザーの便宜や負担(煩雑さ)の軽減が図られ、ユーザーに対して計測操作を確実に誘導することができる。
なお、他の例として、制御部20は、超音波画像に表示される複数の計測マーカーに関し、複数(例えば、左と右、または上と下などの一対)の計測マーカーを略同時に表示し、これら複数の計測マーカー(計測点)の位置が確定した後に、次の計測マーカーを表示する制御を行ってもよい。
また、制御部20は、表示された計測マーカー(ひいては計測点)の位置が複数個設定(確定)された後に、当該設定された位置に基づいて、計測対象の寸法または複数の寸法に基づく値を算出し、算出された計測値を出力(表示)する制御を行う。したがって、制御部20は、本発明の「算出部」としての機能をも有する。
また、本実施の形態では、制御部20は、計測マーカーを、ユーザーによる位置修正の操作(指示)を受け付けるように表示部19に表示する処理を行う。そして、制御部20は、超音波画像の対応する位置に表示した計測マーカーについてユーザーからの位置修正指示を受信した場合、当該計測マーカーに対応する計測点を、位置修正指示に従った位置に設定する。
なお、計測点規定データの構成として、計測点の設定位置および設定順序に対して、ユーザー名(すなわち計測を行うユーザ)、施設名(計測を行う施設すなわち超音波画像診断装置100が設置されている施設)、計測項目などを付加ないし対応付けた構成としてもよい。かかる構成によれば、計測を行うユーザー毎、計測を行う施設毎、あるいは検査内容等に応じて、ユーザーが行うべき計測操作を誘導して、計測作業の効率を向上することができる。
また、他の例として、超音波画像に表示される複数の計測マーカーに関し、最初に指定される計測点の位置を示す計測開始点と計測点規定データ(すなわち指定順序情報)とを対応付けた構成として記憶部17に記憶しておく。この場合、制御部20は、計測開始点が指定された場合、この計測開始点に対応する指定順序情報を記憶部17から検索して特定し、該特定された指定順序情報に従った順で計測マーカーを表示する制御を行ってもよい。かかる構成によれば、計測開始点すなわち一番目の計測点(例えば「左」)を指定すると、残りの計測点の計測順序(例えば「右」⇒「上」⇒「下」など)が決まり、かかる順序にしたがって計測マーカーが表示される。このため、計測開始点毎に応じた計測手順で計測を行うことができ、画像上の計測しやすい点から計測するなど、計測作業の効率が向上する。
以下に説明する実施の形態では、予め計測点規定データを記憶部17に記憶しておき、制御部20は、計測点規定データで規定される順序に従って計測マーカーを出力する。かかる構成を備えた本実施の形態によれば、予め定められた計測点の位置と順序に基づいて計測マーカーの表示を行うため、ユーザーに対して計測操作を誘導することができ、この結果、計測終了までの時間を短縮することができる。
本実施の形態では、制御部20は、一対の計測マーカーの位置が設定された場合、当該一対の計測点に基づく計測対象のサイズ(寸法)を算出する処理を行う。
また、本実施の形態では、制御部20は、複数の計測マーカーの位置が設定された場合、当該設定された位置に基づいて、計測対象のサイズ(寸法)、比率(除算値)または容積(積算値)などを計測値として算出し、算出された当該計測値を表示部19に表示(出力)する処理を実行する。
また、一具体例では、制御部20は、計測対象の計測に関する全ての計測マーカーの位置が設定された場合、当該計測対象の複数のサイズ(寸法)に基づいた値を計測値として算出し、算出された計測値を表示部19に表示(出力)する処理を行う。
そして、制御部20は、計測マーカーの位置が表示部19に最初に表示(出力)された位置から変更して設定された場合、当該変更後の計測点の位置に基づいて、当該計測対象の複数のサイズ(寸法)などの上述した計測値を出力する。
(第1の実施の形態)
以下、計測対象である乳腺腫瘤(以下、単に「腫瘤」という)についての縦横比を計測する場合を前提とした具体例で説明する。
第1の実施の形態では、腫瘤の縦横比を計測するために、超音波画像内に映った腫瘤のサイズ(縦および横の寸法)を、ユーザーが所望する順序で計測する事例を仮定する。
一具体例では、縦横比の計測用として、計測対象の計測を行うために、計測開始点(最初に指定される計測点の位置)の候補(この例では、「左」、「右」、「上」、「下」)を記憶部17に複数記憶しておく。そして、ユーザーは、縦横比計測モードにおける図示しないユーザー設定画面に、計測対象(腫瘤)について「左、右、上、下の順で計測する」旨の計測手順(手順データ)を装置(記憶部17やRAM等)に入力設定する。
かかる入力設定は、例えば、上記のユーザー設定画面中に、「左」、「右」、「上」、「下」を示すアイコンを各々表示して、ユーザーがトラックボールやキースイッチ等を用いて、この順に選択する方式で設定することができる。或いは、ユーザー設定画面中に、「縦径Dから計測/横径Wから計測」との選択項目を表示し、例えばユーザーが「横径Wから計測」を選択した場合、続いて「計測点を、左から表示(設定)/右から表示(設定)」のような選択項目を表示する構成としてもよい。
この例では、制御部20は、計測マーカーを表示(設定)する順の組み合わせが「P1:左」⇒「P2:右」⇒「P3:上」⇒「P4:下」の順であることを示す計測点規定データを生成し、かかる計測点規定データを記憶部17等に格納(記憶)することで、計測点規定データを設定する。
この例では、計測対象について設定されるn個(この例では4個)の計測点および表示される計測マーカーの位置が、記憶部17に記憶される。また、制御部20は、ユーザーによって指定されたn個の計測点の設定順序を規定した指定順序情報としての計測点規定データを生成し、適宜、計算式等との関連付けを行って、記憶部17に設定する構成とする。かかる構成によれば、ユーザーの計測しやすい計測点から計測する等、ユーザーの操作の便宜が図られることから、計測作業の効率向上を図ることができる。
他の例として、図8に示すように、計測マーカーの表示順を登録したテーブル(以下、「計測手順テーブル」という)を用いる構成としてもよい。図示の例では、左側から、「識別番号(ID)」欄、「検査者名」欄、「計測項目」欄、「計測マーカー表示順」欄、および「デフォルト」欄と、が対応付けられている。
計測手順テーブルにおいて、識別番号(ID)は、互いにユニークな番号が登録される。図示の例では、簡明のため、識別番号(ID)が1桁のシリアル番号(数字)で登録されているが、桁数は任意であり、文字等の符号を使用してもよい。
また、「検査者名」欄には、検査を行う側のユーザー(技師や医師等)または施設の名前等が登録される。他にも、「検査者名」欄は、ユーザーが所属する病院などの施設の名前が登録されてもよい。
「計測項目」欄は、この例では、計測対象(腫瘤)の「縦横比」または「腫瘤径」の別が登録される。このうち、「縦」や「横」は、計測対象の寸法の種類に対応し、「縦横比」や「腫瘍径」は、計測対象の寸法に基づいて算出される算出値に対応する。
他にも、「計測項目」欄は、計測マーカーを複数使用する他の計測を示す項目(計測名など)が登録されてもよい。
「計測マーカー表示順」欄には、当該計測項目において使用する計測マーカーの出現順序、すなわち表示部19に表示出力される順序が登録される。例えば、識別番号1番のテーブルでは、計測マーカーが「左」⇒「右」⇒「上」⇒「下」の順序で表示される、すなわち、寸法「横」計測用の計測マーカーを表示した後に、寸法「縦」計測用の計測マーカーを表示するように登録されている。上記のうち、「左」は、寸法「横」を計測するために最初に指定される計測点(計測開始点)であり、「右」は、かかる計測開始点の対になる計測点(計測終端点)である。同様に、「上」は、寸法「縦」を計測するために最初に指定される計測点(計測開始点)であり、「下」は、かかる計測開始点の対になる計測点(計測終端点)である。
また、「計測マーカー表示順」欄には、計測対象の寸法の種類が登録されてもよい。例えば、識別番号2番のテーブルでは、寸法「最大径面横径」を計測するための計測マーカー(「左」と「右」)を表示し、寸法「高さ」を計測するための計測マーカー(「上」と「下」)を表示し、最後に寸法「直交断面横径」を計測するための計測マーカー(「左」と「右」)を表示する旨が登録されている。
「デフォルト」欄には、当該IDの登録内容(検査者名および各々の計測項目における計測マーカー表示順)が、デフォルトすなわち初期設定値である場合は「○」となり、デフォルト(初期設定値)でない場合は空欄となる。図示の例では、「〇」としているが、数値や文字などの符号を使用してもよい。
総じて、図示の計測手順テーブルの例では、検査者「A」がデフォルトすなわち初期設定ユーザーに登録されていることが分かる。また、計測項目が縦横比の場合、デフォルトすなわち原則的には、計測マーカーが「左」⇒「右」⇒「上」⇒「下」の順序で表示されるように登録されている。そして、計測項目が腫瘤径の場合、デフォルト(初期設定)では、計測マーカーが「最大径面横」⇒「高さ」⇒「直交断面横」の順序で表示されるように登録されている。
上記のように、図示の計測手順テーブルは、複数の計測点を指定する順序が異なる、複数の指定順序情報に対応する。本実施の形態では、計測手順テーブルは、記憶部17に格納され、各種の計測の際に、制御部20によって、読み込まれ、或いは適宜参照される。
次に、図示の計測手順テーブルを用いた構成において、計測処理の開始前に制御部20が実行する処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。ここでは、表示部19に計測対象の超音波画像が表示されており、かつ、計測項目として「縦横比」が選択された後の処理を前提とする。
ステップS10において、制御部20は、計測項目「縦横比」について計測手順テーブルに登録されている検査者名を計測手順テーブルから読み出し、ユーザーに検査者名の選択を促す画面を表示するように、表示部19を制御する。かかる制御により、例えば『ユーザー名を以下から選択して下さい・・・「A」、「B」、「非登録者(新規ユーザー)」』などの選択画面が表示部19に表示される。
ユーザーにより検査者名の選択が行われた後のステップS20において、制御部20は、当該選択された検査者名が、計測手順テーブルに設定(登録)されているか否かを判定する。
ここで、制御部20は、選択された検査者名が計測手順テーブルに設定(登録)されていないと判定した場合(ステップS20、NO)、ステップS30に移行する。この例では、選択された検査者名が「非登録者(新規ユーザー)」である場合、ステップS30に移行する。
ステップS30において、制御部20は、計測手順テーブルにおいて、計測項目が「縦横比」である場合のデフォルトの指定順序情報を記憶部17から読み出して、計測マーカーの表示順をデフォルトの順序(この例では「左」⇒「右」⇒「上」⇒「下」の順)に設定し、本ルーチンを終了する。この後、制御部20は、当該設定内容に従った順で計測マーカーを表示部19に表示する処理を行う。
一方、制御部20は、選択された検査者名が計測手順テーブルに設定(登録)されていると判定した場合(ステップS20、YES)、ステップS40に移行する。この例では、選択された検査者名が「A」または「B」である場合、ステップS40に移行する。
ステップS40において、制御部20は、当該検査者名の「計測マーカー表示順」の内容(手順データ)を読み出す。続くステップS50において、制御部20は、計測手順テーブルにおける該当する検査者名に対応する「計測マーカー表示順」の指定順序情報を記憶部17から読み出して、読み出された指定順序情報に従って計測マーカーの表示順を設定する。
この例では、選択された検査者名が「A」である場合、制御部20は、計測マーカーの表示順を、デフォルトの順序(この例では「左」⇒「右」⇒「上」⇒「下」の順)にするように設定する。一方、選択された検査者名が「B」である場合、制御部20は、計測マーカーの表示順を、「下」⇒「上」⇒「右」⇒「左」の順(デフォルトとは異なる順序)とするように設定する。
ステップS60において、制御部20は、計測対象の初期位置を指定(タッチ)するようにユーザーを促すメッセージを表示する。この例では、選択された検査者名が「B」である場合、制御部20は、「検査対象の『下』端をタッチしてください」等のメッセージを表示部19に表示する。なお、制御部20は、例えば「縦幅から計測し、次に横幅を計測します。」などの付加的なメッセージを表示部19に表示する処理を行ってもよい。この後、制御部20は、当該設定内容に従った順で計測マーカーを表示部19に表示し設定する処理を行うが、この処理の詳細は後述する。
このような前処理を行う本実施の形態によれば、予め登録(記憶)された計測点の位置と順序を用いて計測マーカーの表示を行うため、ユーザーに対して計測操作を誘導することができ、計測時間の短縮を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、デフォルトとは異なる順序で計測マーカーの表示を行うことができ、ユーザーの好み等に応じた計測操作にも柔軟に対応できることから、ユーザーの利便性が向上する。
なお、図9で上述したフローチャートの例では、計測手順テーブルに登録された事項のうち「計測項目」および「検査者名」をユーザーに選択させる構成とした。他の構成例として、例えば識別番号(のみ)を選択させる構成としてもよく、この場合、制御部20による処理時間を短縮することができる。
また、他の構成例として、「計測項目」の内容が選択された後、制御部20は、計測手順テーブルから対応する「計測マーカー表示順」のデータを参照し、計測対象の計測を行うための計測開始点の候補を表示部19に表示して、ユーザーに選択させる構成としてもよい。
すなわち、制御部20は、ユーザーによって計測項目として「縦横比」が選択された場合、対応する計測マーカー表示順(この例では「左」、「右」、「上」、「下」および「下」、「上」、「右」、「左」)のうち、計測開始点の候補として「左」と「下」を、ユーザーが選択できるように表示する。そして、制御部20は、ユーザーによって計測開始点が「左」に選択(指定)された場合、デフォルトの計測マーカー表示順(すなわち「左」、「右」、「上」、「下」)を読み出す(ステップS30参照)。一方、制御部20は、ユーザーによって計測開始点が「下」に選択(指定)された場合、識別番号(ID)が3番(B用)の計測マーカー表示順(「下」、「上」、「右」、「左」)を読み出す(ステップS40参照)。
このような構成とすることにより、計測手順テーブルに登録された計測マーカー表示順の範囲内で、ユーザーの計測しやすい計測点から計測する等、ユーザーの操作の便宜が図られることから、計測作業の効率向上を図ることができる。
以下、上述した図5および図7等を参照して、計測対象である腫瘤(T1)の縦横比を計測する場合の本実施の形態における具体的な動作例を説明する。ここでは、上述したデフォルトの順序で計測マーカーを表示する場合を仮定する。
まず、制御部20は、表示部19に表示された超音波画像上の中央左側に、第1番目の計測マーカーである計測マーカーP1を表示する処理を行う(適宜図7Aを参照)。この後、ユーザーは、以下のような操作をすればよい。
(1)最大横サイズ(図5中の両矢印W参照)の左端に計測マーカーP1を移動させる操作を行う。
(2)計測マーカーP1を設定(確定)するために設定ボタンSBを押下する(適宜図7Aを参照)。
(3)設定された計測マーカーP1の右横の側に自動表示された計測マーカーP2を設定(確定)するために、設定ボタンを押下する。
(4)設定された計測マーカーP2の下側に自動表示された計測マーカーP3を設定(確定)するために、設定ボタンを押下する。
(5)設定された計測マーカーP3の上側に自動表示された計測マーカーP4を設定(確定)するために、設定ボタンを押下する。
このように、本実施の形態によれば、従前では8ステップに亘っていたユーザーの設定操作を、5ステップにまで簡略化することが可能になる。
かかる操作手順の簡素化を図るために、本実施の形態では、制御部20は、計測マーカーP1が設定された場合(位置が確定された場合)、測定対象(腫瘤T1)の輪郭を抽出し、抽出された輪郭データに基づいて、3つの計測マーカーP2、P3、およびP4を順に表示部19に表示(出力)する処理を行う。
一方で、上述のように、現在の超音波画像の輪郭抽出の技術では、生体内の患部の輪郭を100%の精度で抽出することは困難である。このため、かかる輪郭抽出に基づいて計測マーカー(上記例ではP2,P3,P4の3箇所)を自動表示した場合でも、抽出された輪郭に誤差が発生している場合、当該誤差分だけ計測マーカーの位置もずれることになる。
したがって、抽出された輪郭データに基づいて計測マーカー(P2、P3、およびP4)を順次自動で表示する場合でも、熟練したユーザーによる当該マーカーの位置の修正を受け付ける構成とすることが望ましいものと考えられる。
なお、このように構成した場合でも、輪郭データに基づいて自動表示された計測マーカーP2、P3、およびP4の位置の精度は相当に高いものである。このため、ユーザーは、自動表示された計測マーカーP2、P3、およびP4の位置を大幅に変える必要はなく、より正しい位置に微修正すればよいことから、従来に比べて位置設定の手間が大幅に削減される。
計測マーカーを自動で表示し且つユーザーによる位置修正を受け付けるようにした構成例を、図10を参照して説明する。図10は、超音波画像を一画面で表示しながら超音波画像中の計測対象の縦横比を計測するモードにおける制御部20の処理内容の概略を示すフローチャートである。また、この例では、計測対象に対する計測点の位置を「左」⇒「右」⇒「上」⇒「下」のデフォルト順で設定する計測点規定データ(指定順序情報)が既に制御部20によって取得された後であることを前提とする。
ステップS110において、制御部20は、ユーザーの操作(例えばタッチパネルのタッチ操作など)によって最初に設定された超音波画像上の二次元座標(以下は便宜のため「初期タッチ座標」と称する)を、計測マーカーP1の位置として設定する。ここで「設定」とは「確定」と同義であり、以下も同様である。また、設定(確定)された計測マーカーP1の座標位置は、制御部20によりRAM等のメモリーに記憶され、この点、他の計測マーカーについても同様である。
続くステップS120において、制御部20は、輪郭抽出のために必要となる補助情報を決定する。具体的には、制御部20は、記憶された初期タッチ座標の位置(この例では「左」)に基づいて、超音波画像の前景(計測対象を含む暗い部分)と背景(明るい部分)を決定する。
ステップS130において、制御部20は、計測対象を特定し、特定した計測対象の輪郭を抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えば上述したSnakes法を用いて、計測マーカーP1の二次元座標位置が輪郭の一部となるように超音波画像から被検体の腫瘤(T1)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。出力された輪郭データは、制御部20によってRAM等のメモリーに記憶され、この点は以下も同様である。
なお、制御部20は、上述したステップS120またはステップS130において、初期タッチ座標の位置が計測対象の「左」側でないと認識した場合、ステップS140以降の処理ができないものとして、エラーあるいは再タッチ等を促す表示を行う。
ここで、初期タッチ座標の位置の認識方法の具体例を、図11等を参照して説明する。制御部20は、超音波画像中の初期タッチ座標の点で交わる2軸、例えば横軸と縦軸(図11A参照)とにより、超音波画像を4つに分割する処理を行う(図11B参照)。続いて、制御部20は、当該分割された4つの画像領域(図8B参照)の各々における初期タッチ座標の近傍の輝度分布を解析することによって、初期タッチ座標が計測対象に対するどの位置(この例では左、右、下、上のいずれか)にあるかを認識(確認)する。
図11Bに示す例では、4分割された各画像のうち、左上および左下の画像の初期タッチ座標の近傍の輝度が高く、右上および右下の画像の初期タッチ座標の近傍の輝度が低い。腫瘤は周辺組織に比べて低エコーのものが多いため、このように輝度差を用いて初期タッチ座標の位置が計測対象のどちら側にあるのかを判定することができる。ここでは、制御部20は、初期タッチ座標の位置が計測対象の「左」側であることを認識(確認)することができる。
かくして、制御部20は、例えば図12Aおよび図12Bに示すように、ステップS110において設定された初期タッチ座標が計測対象の「左」側でない(図12の例では「上」側である)と認識した場合、次の計測マーカーP2を設定できない或いはユーザーが誤った操作をしているものとみなして、エラー等の表示を行う。
なお、上述した初期タッチ座標の位置の認識の際に使用される、画像領域を4つに区分けする軸は、例えば図13に示すように、斜め方向に伸びる2軸、または直交していない2軸であってもよい。図13に示す例では、初期タッチ座標の位置を中心として超音波画像を上下(図中の(1)、(3))および左右(図中の(2)、(4))の4つに分割している。このような分割方法をとることにより、腫瘤が周辺組織に比べ低エコーではない場合でも、制御部20は、上述と同様に分割した領域の輝度差を用いて初期タッチ座標の位置を認識(確認)することができる。
また、上述した例では、制御部20は、初期タッチ座標を中心として超音波画像を4分割する処理を行った場合を説明した。他の例として、制御部20は、上述のような画像の分割を行わずに、初期タッチ座標の近傍(周囲)の領域だけ輝度分布を解析し、かかる解析結果に基づいて初期タッチ座標の位置を認識(確認)してもよい。また、機械学習などを用いて超音波画像から計測対象(この場合は腫瘤)を抽出し、初期タッチ座標の位置を認識してもよい。
ステップS140において、制御部20は、輪郭抽出部15によって出力された輪郭データに応じて、計測マーカーP1の二次元座標に対応する輪郭上の位置(この例では画像の右側の位置)に計測マーカーP2を表示するように表示部19を制御する。このとき、表示部19に表示される画面の一部を図14に示す。
ステップS140で計測マーカーP2を表示した後のステップS150において、制御部20は、当該計測マーカーP2に対するユーザーの修正または設定(すなわち確定)の入力を促す表示を行うように表示部19を制御する。
かかるステップS150において、制御部20は、ユーザーによる修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS150、YES)、当該修正された計測マーカーP2の位置を確定させてステップS160に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーの修正がなく、ユーザーによる設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS150、NO)、当該計測マーカーP2の位置を確定させてステップS170に移行する。
ステップS160において、制御部20は、計測マーカーP2に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えば上述したSnakes法を用いて、計測マーカーP1および修正後の計測マーカーP2の二次元座標位置が輪郭の一部となるように超音波画像から被検体の腫瘤(T1)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。
ステップS170において、制御部20は、確定された計測マーカーP1,P2の各々の二次元座標位置から計測対象の横径Wを算出し、算出された横径Wの値を、超音波画像が表示された表示画面に加えて表示するように表示部19を制御する。また、制御部20は、算出された横径Wの値をRAM等のメモリーに記憶する。このとき、表示部19に表示される画面の一部を図15に示す。
ステップS180において、制御部20は、輪郭抽出部15によって出力された最新の輪郭データに基づいて、超音波画像の計測対象の下側の輪郭上に、3番目の計測マーカーP3を表示するように表示部19を制御する。
ここで、「最新の輪郭データ」は、ユーザーによる計測マーカーの位置修正がない場合にはステップS130で抽出された輪郭データのままであり、ユーザーによる計測マーカーの位置修正がなされた場合は再抽出された輪郭データを意味し、以下も同様である。
3番目の計測マーカーP3を表示した後のステップS190において、制御部20は、当該計測マーカーP3に対するユーザーの修正または設定(確定)の入力を促す表示を行うように表示部19を制御する。
かかるステップS190において、制御部20は、ユーザーによる修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS190、YES)、当該修正された計測マーカーP3の位置を確定させてステップS200に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーの修正がなく、ユーザーによる設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS190、NO)、計測マーカーP3の位置を確定させてステップS210に移行する。
ステップS200において、制御部20は、計測マーカーP3に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、確定した計測マーカーP1、P2、およびP3の二次元座標位置が輪郭の一部となるように超音波画像から被検体の腫瘤(T1)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。
ステップS210において、制御部20は、輪郭抽出部15によって出力された最新の輪郭データに基づいて、計測マーカーP3の二次元座標に対応する輪郭上の位置(この例では測定対象の下側の輪郭位置)に4番目の計測マーカーP4を表示するように表示部19を制御する。このとき、表示部19に表示される画面の一部を図16に示す。
4番目の計測マーカーP4を表示した後のステップS220において、制御部20は、当該計測マーカーP4に対するユーザーの修正または設定(確定)の入力を促す表示を行うように表示部19を制御する。
かかるステップS220において、制御部20は、ユーザーによる修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS220、YES)、当該修正された計測マーカーP4の位置を確定させてステップS230に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーの修正がなく、ユーザーによる設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS220、NO)、計測マーカーP4の位置を確定させてステップS240に移行する。
ステップS230において、制御部20は、計測マーカーP4に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、確定した計測マーカーP1、P2、P3、およびP4の二次元座標位置が輪郭の一部となるように超音波画像から被検体の腫瘤(T1)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。
ステップS240において、制御部20は、確定された計測マーカーP3,P4の各々の二次元座標位置から計測対象の縦径Dを算出し、算出された縦径Dの値を、超音波画像が表示された表示画面に加えて表示するように表示部19を制御する。また、制御部20は、算出された縦径Dの値をRAM等のメモリーに記憶する。
ステップS250において、制御部20は、算出された縦径Dの値をステップS170で算出された横径Wの値で割ることにより、計測対象の縦横比D/Wを算出し、算出された縦横比D/Wの値を、超音波画像が表示された表示画面に加えて表示するように表示部19を制御する。このとき、表示部19に表示される画面の一部を図17に示す。そして、制御部20は、算出された縦横比D/Wの値をRAM等のメモリーに記憶して、一連の処理を終了する。
このように、第1の実施の形態では、制御部20は、超音波画像に含まれる計測対象に対する計測マーカー(計測点)の設定位置および設定順序を規定する計測点規定データを取得した場合、計測点規定データに規定された設定順序に従って、超音波画像の対応する位置に、各々の計測マーカーを表示する制御を行う。
かかる構成によれば、計測点規定データに規定された設定位置および設定順序に従って表示部19に計測マーカーの表示が行われることから、ユーザーに対して計測操作を誘導することができ、計測時間の短縮ひいては計測作業等の効率化を図ることができる。
また、制御部20は、計測点規定データに規定された各々の計測マーカーの位置を設定する機能を有し、超音波画像の対応する位置に表示した計測マーカーに対するユーザーからの位置修正指示を受信した場合、当該計測マーカーを、前記位置修正指示に従った位置に設定(確定)する。
かかる構成とすることにより、輪郭抽出処理で発生した誤差等に対応することができ、計測の精度を高めることができる。
また、第1の実施の形態では、制御部20は、計測点規定データ(計測手順テーブル)の規定と、前記輪郭抽出部15により抽出された輪郭とに基づき、複数の計測マーカーを表示および設定する。
このように、輪郭抽出処理の結果を利用して複数の計測マーカー(この例ではP2~P4)を表示および設定する構成とすることにより、ユーザーが行うべき入力操作を、より少なく或いはより軽減することができる。この結果、計測時間の短縮、計測作業等の効率化、ひいてはミス発生の防止等を図ることができる。
また、第1の実施の形態では、制御部20は、複数の計測マーカー(この例ではP2~P4)を、ユーザーによる位置修正ができるように表示部19に表示する。そして、制御部20は、かかる計測マーカー(P2~P4)の位置が、制御部20の制御により表示(出力)された位置から変更して設定された場合、当該変更後の計測マーカー(P2~P4)の位置に基づいた計測値(この例では横径W、縦径D、縦横比D/W)を出力する。
かかる構成とすることにより、縦横比計測モードにおいて、超音波画像中の計測対象(腫瘤)に対する輪郭抽出、各径(DおよびW)ひいては縦横比の計測ないし出力の精度を担保することができる。
また、本実施の形態では、制御部20は、表示された計測マーカーに対するユーザーの修正指示に従って、対応する計測点の位置を修正して設定する。そして、輪郭抽出部15は、計測点の位置が修正して設定された場合、当該修正された計測点の位置を通るように、輪郭を再抽出する処理を行う。
かかる構成とすることにより、輪郭抽出処理の精度を向上させることができる。
総じて、本実施の形態によれば、ユーザーが行う計測操作の簡略化ないし最小化を図ることができ、計測結果の転記が容易になるなど、種々の側面から計測操作の効率が向上する。
(第2の実施の形態)
次に、計測対象である腫瘤についての腫瘤径を計測する場合を前提とした具体例で説明する。
第2の実施の形態では、腫瘤径を計測するために、超音波画像として撮影された腫瘤の画像に対して「最大径面の横径、最大径面の高さ、最大径面に直交する断面の横径、の順で計測する」旨が定義された計測点規定データを超音波画像診断装置に記憶(設定)する場合を前提とする。
この場合、互いに直交面をなす腫瘤の超音波画像(2つの画像)を表示部19に並べて(二画面で)表示し、かつ図4等で上述した各々の画面における計測対象の最大径(図4A中の横径aおよび4B中の横径b)、および最大径面(図4の例では断面Aの面)における高さcを計測する。
一具体例では、ユーザーは、腫瘤径計測モードにおける図示しないユーザー設定画面に、計測対象(腫瘤)について「最大径面の横径、最大径面の高さ、最大径面に直交する断面の横径、の順で計測する」旨の計測手順(指定順序情報)を装置に入力設定する。かかる入力設定の手順は、第1の実施の形態で上述した縦横比計測モードの場合と同様である。
他の例として、上記のユーザー設定画面において、図8で上述した計測手順テーブルの「計測項目」が「腫瘤径」についてのデフォルトのデータ(すなわち手順データ)を指定してもよい。
以下は簡明のため、腫瘤径計測モードにおける「横径」および「高さ」の計測における計測マーカーの表示および設定の順序は、上述した縦横比計測モードにおけるデフォルトの内容と同様とする(図8参照)。すなわち、「横径」の測定では『左』⇒『右』の順で計測マーカーを表示および設定し、「高さ」の測定では『上』⇒『下』の順で計測マーカーを表示および設定するものとする。
次に、腫瘤径計測モードにおいて制御部20が行う処理の具体例を、図6(図6A、図6B)、図18(図18A、図18B)~図26等を参照して説明する。ここで、図18および図23は、超音波画像を二画面(図6Aおよび図6B参照)で表示しながら超音波画像中の計測対象の腫瘤径(上述したa×b×cの値)を計測する腫瘤径計測モードにおける制御部20の処理内容の概略を示すフローチャートである。
ステップS310において、制御部20は、ユーザーの操作によって最初に指定された超音波画像上の計測マーカー(上述した「初期タッチ座標」)の二次元座標を取得して、かかる座標位置をRAM等のメモリーに記憶する。この例では、ユーザーが表示部19(タッチパネル)をタッチ操作することにより、計測対象の中央(略中心)を指定された場合に、初期タッチ座標が生成される。
初期タッチ座標の生成時に表示部19に表示される画面の一例を図19に示す。図19中、ユーザーのタッチ操作によって最初に表示された計測マーカーを符号P10で示し、タッチされた方の超音波画像(以下、便宜のため「タッチ側画面」という)を符号TSで示し、タッチされなかった方の超音波画像(同様に便宜のため「非タッチ側画面」という)を符号NTSで示している。
なお、説明の便宜のため、図19以下では、タッチ側画面TSおよび非タッチ側画面NTSにおける計測対象(腫瘤)が、各々、略丸形のものとして示している。
続くステップS320において、制御部20は、輪郭抽出のために必要となる補助情報を決定する。この処理は、上述したステップS120と同様の手法で行うことができる。
ステップS330において、制御部20は、タッチ側画面TS中の計測対象を特定し、特定した計測対象の輪郭を抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、初期タッチ座標の計測マーカーP10の周囲に輪郭ができるように、超音波画像から計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。この後、制御部20は、適宜のタイミングで、計測マーカーP10を消去するように表示部19を制御する(図20等を参照)。
ステップS340において、制御部20は、上述した初期タッチ座標とステップS330の輪郭抽出結果とを用いて、非タッチ側画面NTS中の計測対象を特定し、特定した計測対象の輪郭を抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、タッチ側画面TSの画像(タッチ側画像)と同じような深度で、タッチ側画像の前景と背景と類似するように超音波画像(非タッチ側画像)から計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。
ステップS350において、制御部20は、タッチ側画面TSと非タッチ側画面NTSとにおける各々の計測対象の輪郭から、各々の計測対象(すなわちタッチ側画像と非タッチ側画像)の最大径(すなわち各々の横径)を算出する。簡明のため、以下は、制御部20による算出結果が、タッチ側画像の横径が非タッチ側画像の横径より長い場合を仮定する。
続くステップS360において、制御部20は、上述した計測点規定データに基づいて、タッチ側画面TSに表示された計測対象の輪郭上の最大径の一端に、計測マーカーP11を表示するように表示部19を制御する。また、制御部20は、当該計測マーカーP11に対するユーザーの修正または設定(確定)の入力操作を受け付ける表示を行うように表示部19を制御して、ステップS370に移行する。
ステップS370において、制御部20は、ユーザーによる修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS370、YES)、当該修正された計測マーカーP11の位置を確定させてステップS380に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーによる修正操作がなく設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS370、NO)、計測マーカーP11の位置を確定させてステップS390に移行する。
ステップS380において、制御部20は、計測マーカーP11に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、計測マーカーP11の二次元座標位置が輪郭の一部となるように、タッチ側画面TSに表示された超音波画像から計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。この後、制御部20は、ステップS390に移行する。
ステップS390において、制御部20は、タッチ側画面TSに表示された計測対象における、確定された計測マーカーP11の対となる位置に、次の計測マーカーP12を表示するように表示部19を制御する。また、制御部20は、当該計測マーカーP12に対するユーザーの修正または設定(確定)の入力操作を受け付ける表示を行うように表示部19を制御して、ステップS400に移行する。このとき、表示部19に表示される画面の例を図20に示す。
ステップS400において、制御部20は、ユーザーによる修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS400、YES)、当該修正された計測マーカーP12の位置を確定させてステップS410に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーの修正がなく、ユーザーによる設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS400、NO)、当該計測マーカーP12の位置を確定させてステップS420に移行する。
ステップS410において、制御部20は、計測マーカーP12に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、計測マーカーP11およびP12の二次元座標位置が輪郭の一部となるように超音波画像から計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。
ステップS420において、制御部20は、タッチ側画面TSの計測対象(タッチ側画像)の最大径(a)(適宜、図6Aを参照)が、非タッチ側画面NTSの計測対象(非タッチ側画像)の最大径(b)(適宜、図6Bを参照)よりも大きいか否か、を判定する。
この判定は、計測マーカーP11およびP12の位置がユーザーによって変更された場合に、タッチ側画像の最大径と非タッチ側画像の最大径との大小関係が変わり得るため、必要となるものである。
ここで、制御部20は、タッチ側画像の最大径(a)が、非タッチ側画像の最大径(b)より大きくない(ステップS420、NO)と判定した場合、非タッチ側画面NTSに表示された計測対象の最大径(b)の方が大きいものとみなす。
この場合、制御部20は、非タッチ側画像の最大径(b)が計測対象の最大径である(言い換えると、非タッチ側画像が最大径面である)と仮定して、ステップS430に移行する。
一方、制御部20は、タッチ側画像の最大径(a)が、非タッチ側画像の最大径(b)よりも大きい(ステップS420、YES)と判定した場合、当該最大径(a)が計測対象の最大径である(言い換えると、タッチ側画像が最大径面である)と仮定して、ステップS440~S500の処理を実行する。すなわち、制御部20は、最大径面であるタッチ側画面TSに表示された計測対象(タッチ側画像)の高さ測定に関する処理を実行する。
なお、非タッチ側画面NTSに表示された計測対象の最大径(b)は、ステップS350で算出された値であり、この時点ではユーザーによる非タッチ側画像の輪郭の確認や修正の操作がなされていない。このため、ステップS420において、タッチ側画像の最大径(a)と、非タッチ側画像の最大径(b)と、のどちらが大きいかの判定は、この時点では未だ仮定の段階(確定していない状態)といえる。
制御部20は、非タッチ側画面NTSに表示されている計測対象の最大径(b)が計測対象の最大径であると判定した後のステップS430において、タッチ側画面TSでの計測を終了してよいかをユーザーに確認するための表示を行うように表示部19を制御する。このとき、表示部19には、例えば「直交断面側の計測に移りますか?」などのメッセージが表示されるとともに、「YES」または「NO」の回答ボタンが表示される。ここでは、直交断面側とは非タッチ側画面NTSとなる。
ステップS430でユーザーによって「YES」すなわちタッチ側画面TSでの計測の終了が選択された場合、制御部20は、計測対象の最大径は非タッチ側画像の最大径であることを確定し、図23で後述する、非タッチ側画面NTSに表示されている計測対象の計測処理に移行する。
一方、ステップS430で「NO」が選択された場合、すなわちタッチ側画面TSでの計測終了を選択しなかった場合は、制御部20は、タッチ側画面TSの最大径が計測対象の最大径であることを確定し、ステップS440以降の処理を実行する。
ステップS440において、制御部20は、確定された最大径(a)、すなわちタッチ側画像に設定(ユーザーにより確定)された計測マーカーP11,P12に基づく径が計測対象の最大径である旨、およびこの最大径(a)のサイズを表示するように、表示部19を制御する。また、制御部20は、当該最大径(a)に直交する計測対象の幅すなわち高さ(c)の一端に計測マーカーP13を表示し、当該計測マーカーP13に対するユーザーの修正または設定(確定)の入力操作を受け付ける表示を行うように表示部19を制御して、ステップS450に移行する。このとき、表示部19に表示される画面の例を図21に示す。
ステップS450において、制御部20は、ユーザーによる修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS450、YES)、当該修正された計測マーカーP13の位置を確定させてステップS460に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーの修正がなく、ユーザーによる設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS450、NO)、計測マーカーP13の位置を確定させてステップS470に移行する。
ステップS460において、制御部20は、計測マーカーP13に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、確定された計測マーカーP11、P12、およびP13の二次元座標位置が輪郭の一部となるように、タッチ側画像における計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。
ステップS470において、制御部20は、タッチ側画面TSに表示された計測対象における計測マーカーP13の対となる位置に、次の計測マーカーP14(適宜、図6Aを参照)を表示するように表示部19を制御する。また、制御部20は、当該計測マーカーP14に対するユーザーの修正または設定(確定)の入力操作を受け付ける表示を行うように表示部19を制御して、ステップS480に移行する。このとき、表示部19に表示される画面の例を図22に示す。
ステップS480において、制御部20は、ユーザーによる計測マーカーP14の位置の修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS480、YES)、当該修正された計測マーカーP14の位置を確定させてステップS490に移行する。
ステップS490において、制御部20は、計測マーカーP14に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、計測マーカーP11、P12、P13、およびP14の二次元座標位置が輪郭の一部となるようにタッチ側画像における計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。この後、制御部20は、ステップS500に移行する。
一方、制御部20は、計測マーカーP14の位置に対するユーザーの修正がなく、ユーザーによる設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS480、NO)、当該計測マーカーP14の位置を確定させてステップS500に移行する。
ステップS500において、制御部20は、タッチ側画面TSに表示された計測対象における計測マーカーP13およびP14に基づく計測対象の高さ(c)算出し、算出された高さ(c)の値を表示するように、表示部19を制御する。この後、制御部20は、図23に示す、非タッチ側画面NTS(非タッチ側画像)における計測対象の計測処理に移行する。
ステップS610において、制御部20は、非タッチ側画面NTSに表示されている計測対象の輪郭上の最大径(適宜、図6B中の径(b)を参照)の一端に、計測マーカーP21を表示するように表示部19を制御する。このとき、表示部19に表示される画面の例を図24に示す。また、制御部20は、当該計測マーカーP21に対するユーザーの修正または設定(確定)の入力操作を受け付ける表示を行うように表示部19を制御して、ステップS620に移行する。
ステップS620において、制御部20は、ユーザーによる計測マーカーP21の位置の修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる位置の修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS620、YES)、当該修正された計測マーカーP21の位置を確定させてステップS630に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーによる位置の修正がなく、設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS620、NO)、当該計測マーカーP21の位置を確定させてステップS630に移行する。
ステップS630において、制御部20は、計測マーカーP21に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、計測マーカーP21の二次元座標位置が輪郭の一部となるように、非タッチ側画像における計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。この後、制御部20は、ステップS640に移行する。
ステップS640において、制御部20は、非タッチ側画面に表示された計測対象における最大径の対となる位置に、次の計測マーカーP22を表示するように表示部19を制御する。このとき、表示部19に表示される画面の例を図25に示す。また、制御部20は、当該計測マーカーP22に対するユーザーによる位置の修正または設定(確定)の入力操作を受け付ける表示を行うように表示部19を制御して、ステップS650に移行する。
ステップS650において、制御部20は、ユーザーによる位置の修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる位置修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS650、YES)、当該修正された計測マーカーP22の位置を確定させてステップS660に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーによる位置修正がなく、設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS650、NO)、当該計測マーカーP22の位置を確定させてステップS670に移行する。
ステップS660において、制御部20は、計測マーカーP22に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、確定された計測マーカーP21およびP22の二次元座標位置が輪郭の一部となるように、非タッチ側画像における計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。この後、制御部20は、ステップS670に移行する。
ステップS670において、制御部20は、確定された計測マーカーP21およびP22に基づく非タッチ側画面NTSにおける計測対象の最大径(b)を算出し、かかる最大径(b)がタッチ側画面TSにおける計測対象の最大径(a)より大きいか否かを判定する。この判定は、上述したステップS420と同様の手法で行われる。
ここで、制御部20は、非タッチ側画面NTSにおける計測対象の最大径(b)が最大径(a)よりも大きくないと判定した場合(ステップS670、NO)、タッチ側画面TSに表示されている計測対象の最大径(a)が当該計測対象の最大径であるとみなしてステップS680に移行する(適宜、図6A中の横径aを参照)。
ステップS680において、制御部20は、算出された最大径(b)の値を表示するように表示部19を制御する。このとき、表示部19に表示される画面の例を図26に示す。この後、制御部20は、一連の処理を終了する。
かくして、ユーザーは、表示部19に表示された各径(a),(b),(c)の値を乗算する(a×b×cの値を算出する)ことにより、当該計測対象(腫瘤)の特徴量である腫瘤径を算出することができる。なお、かかるa×b×cの算出を制御部20が実行して、かかる算出値を併せて表示部19に表示してもよい。
一方、制御部20は、ステップS670で非タッチ側画面NTSにおける計測対象の最大径(b)がタッチ側画面TSにおける計測対象の最大径(a)より大きいと判定した場合(ステップS670、YES)、以下に説明するステップS690~S750の処理を実行する。これは、非タッチ側画面NTSに表示されている計測対象の最大径(b)が当該計測対象の最大径である場合、当該最大径(すなわち計測マーカーP21~P22に基づく径)に直交する径(適宜、図6A中の縦径cを参照)を計測する必要があるからである。
ステップS690において、制御部20は、非タッチ側画面NTSに表示されている計測対象の最大径、すなわち計測マーカーP21およびP22に基づいた径が計測対象(腫瘤)の最大径である旨、およびこの最大径のサイズを表示するように、表示部19を制御する。また、制御部20は、当該最大径に直交する計測対象の幅(高さ)の一端に計測マーカーP23(図示せず)を表示し、当該計測マーカーP23に対するユーザーの修正または設定(確定)の入力操作を受け付ける表示を行うように表示部19を制御して、ステップS700に移行する。
ステップS700において、制御部20は、計測マーカーP23の位置についてユーザーによる修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる位置修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS700、YES)、当該修正された計測マーカーP23の位置を確定させてステップS710に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーによる位置修正がなく、設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS700、NO)、計測マーカーP23の位置を確定させてステップS720に移行する。
ステップS710において、制御部20は、計測マーカーP23に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、確定された計測マーカーP21、P22、およびP23の二次元座標位置が輪郭の一部となるように超音波画像から計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。この後、制御部20は、ステップS720に移行する。
ステップS720において、制御部20は、非タッチ側画面NTSに表示された計測対象における高さの対となる位置に、計測マーカーP24(図示せず)を表示するように表示部19を制御する。また、制御部20は、当該計測マーカーP24の位置についてユーザーの修正または設定(確定)の入力操作を受け付ける表示を行うように表示部19を制御して、ステップS730に移行する。
ステップS730において、制御部20は、計測マーカーP24の位置についてユーザーによる修正または設定(確定)の入力操作が行われたか否かを判定する。ここで、制御部20は、ユーザーによる位置修正の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS730、YES)、当該修正された計測マーカーP24の位置を確定させてステップS740に移行する。
一方、制御部20は、ユーザーの位置修正がなく、設定(確定)の入力操作が行われたと判定した場合(ステップS730、NO)、計測マーカーP24の位置を確定させてステップS750に移行する。
ステップS740において、制御部20は、計測マーカーP24に対するユーザーの修正内容(位置の修正)を反映した輪郭となるように、計測対象の輪郭を再抽出するように輪郭抽出部15に指示を出す。輪郭抽出部15は、例えばSnakes法を用いて、確定された計測マーカーP21、P22、P23、およびP24の二次元座標位置が輪郭の一部となるように、非タッチ側画像における計測対象(腫瘤)の輪郭を抽出し、その輪郭データを出力する。この後、制御部20は、ステップS750に移行する。
ステップS750において、制御部20は、確定された計測マーカーP23およびP24に基づく非タッチ側画面NTSにおける計測対象の縦径(高さ)を算出し、算出された値を「高さ(c)」として表示するように表示部19を制御する。この後、制御部20は、一連の処理を終了する。
かくして、ユーザーは、表示部19に表示された各径(a),(b),(c)の値を乗算する(a×b×cの値を算出する)ことにより、当該計測対象(腫瘤)の特徴量である腫瘤径を算出することができる。また、この場合も、a×b×cの算出を制御部20が自動で遂行し、かかる算出値を併せて表示部19に表示してもよい。
このように、第2の実施の形態によれば、制御部20は、計測点を設定するための各々の計測マーカー(この例ではP11~P14、P21~P24)を、ユーザーによる位置修正ができるように表示部19に表示する。また、制御部20は、かかる計測マーカー(P11~P14等)の位置が、制御部20の制御により表示(出力)された位置から変更して設定された場合、当該変更後の計測マーカー(P11等)の位置に基づいた計測値(この例では最大径(a)および(c)、高さ(c))を出力する。
かかる構成とすることにより、腫瘤径計測モードにおいて、ユーザーが行う計測操作の簡略化ないし最小化を図りつつ、超音波画像(2つの静止画像)中の計測対象(腫瘤)に対する輪郭抽出、最大径の特定ひいては腫瘤径の計測ないし出力の精度を担保することができる。
総じて、上述のような処理を行う本実施の形態によれば、ユーザーが行う計測操作の簡略化ないし最小化を図ることができ、計測結果の転記が容易になるなど、種々の側面から計測操作の効率が向上する。
上述した各実施の形態では、被検体の計測対象としての腫瘤の医用画像(超音波画像)を表示部19に表示し、その腫瘤の特徴量を計測する場合の構成例について説明した。一方で、超音波画像診断装置100における計測対象は、他の種々のものが含まれ得ることは勿論である。例えば、上述した超音波画像診断装置100の構成は、被検体の計測対象として膀胱の超音波画像を表示部19に表示して、かかる膀胱の容量を計測する場合にも使用することができる。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。