(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ11と、入力装置12と、モニタ13と、位置情報取得装置14と、装置本体100とを有し、ネットワークに接続されている。
超音波プローブ11は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信部110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生し、さらに、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ11は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。例えば、超音波プローブ11は、セクタ型、リニア型又はコンベックス型などの超音波プローブである。
超音波プローブ11から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ11が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ11や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
入力装置12は、トラックボール、スイッチ、ボタン、タッチコマンドスクリーンなどを有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、入力装置12は、超音波画像と、X線CT画像や、MR画像などとの位置合わせに係る各種操作を受付ける。なお、位置合わせに係る各種操作の詳細については後述する。
モニタ13は、超音波診断装置1の操作者が入力装置12を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像とX線CT画像などとを並列表示したりする。また、モニタ13は、後述する制御部160による制御に基づいて、超音波画像とX線CT画像との重畳画像を表示したりする。
位置情報取得装置14は、超音波プローブ11の位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得装置14は、超音波プローブ11がどこに位置するかを示す位置情報を取得する。位置情報取得装置14としては、例えば、磁気センサーや、赤外線センサー、光学センサー、カメラなどである。
装置本体100は、超音波プローブ11が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置であり、図1に示すように、送受信部110と、Bモード処理部120と、ドプラ処理部130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、制御部160と、内部記憶部170と、インターフェース部180とを有する。
送受信部110は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波プローブ11に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ11から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
また、送受信部110は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ11が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行ない、A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
このように、送受信部110は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信部110は、後述する制御部160の制御により、遅延情報、送信周波数、送信駆動電圧、開口素子数などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更においては、瞬時に値を切り替えることが可能であるリニアアンプ型の発振回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。また、送受信部110は、1フレームもしくはレートごとに、異なる波形を送信して受信することも可能である。
Bモード処理部120は、送受信部110からゲイン補正処理、A/D変換処理および加算処理が行なわれた処理済み反射波信号である反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理部130は、送受信部110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
画像生成部140は、Bモード処理部120が生成したBモードデータや、ドプラ処理部130が生成したドプラデータから、超音波画像を生成する。具体的には、画像生成部140は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)することで、Bモードデータやドプラデータから表示用の超音波画像(Bモード画像やドプラ画像)を生成する。また、画像生成部140は、後述する制御部160の制御のもと、内部記憶部170に記憶された他のモダリティのボリュームデータから2次元画像(例えば、MPR画像など)を生成する。
画像メモリ150は、画像生成部140によって生成された造影像や組織像などの画像データを記憶する。また、画像メモリ150は、画像生成部140によって生成された他のモダリティの2次元画像(例えば、MPR画像など)データを記憶する。また、画像メモリ150は、後述する画像生成部140による処理結果を記憶する。さらに、画像メモリ150は、送受信部110を経た直後の出力信号(RF:Radio Frequency)や画像の輝度信号、種々の生データ、ネットワークを介して取得した画像データなどを必要に応じて記憶する。画像メモリ150が記憶する画像データのデータ形式は、後述する制御部160によりモニタ13に表示されるビデオフォーマット変換後のデータ形式であっても、Bモード処理部120及びドプラ処理部130によって生成されたRawデータである座標変換前のデータ形式でもよい。
制御部160は、超音波診断装置1における処理全体を制御する。具体的には、制御部160は、入力装置12を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部170から読込んだ各種制御プログラムおよび各種設定情報に基づき、送受信部110、Bモード処理部120、ドプラ処理部130および画像生成部140の処理を制御したり、画像メモリ150が記憶する超音波画像などをモニタ13にて表示するように制御したりする。また、制御部160は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、他のモダリティ(例えば、X線CT装置、MRI装置など)の3次元画像データ(ボリュームデータ)を、ネットワークを介して送受信する。さらに、制御部160は、医用画像診断装置によって生成された3次元画像データから所定の基準断面の医用画像を抽出して、抽出した医用画像と超音波プローブによってスキャンされる断面の超音波画像との位置合わせに係る各種処理を制御する。なお、位置合わせに係る各種処理の詳細については後述する。
内部記憶部170は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルなどの各種データを記憶する。さらに、内部記憶部170は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像の保管などにも使用される。また、内部記憶部170は、制御部160の制御によって取得された他のモダリティのボリュームデータを記憶する。また、内部記憶部170は、制御部160による処理に用いられる各種情報を記憶する。なお、各種情報については、後述する。
インターフェース部180は、入力装置12、位置情報取得装置14、ネットワークと装置本体100との間での各種情報のやり取りを制御するインターフェースである。例えは、インターフェース部180は、制御部160に対する位置情報取得装置14が取得した位置情報の転送を制御する。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下、詳細に説明する制御部160の処理により、超音波画像とその他の医用画像との位置合わせを容易に行うことが可能となるように構成されている。
ここで、まず、CT画像やMRI画像などを参照画像として診断を行う場合の従来技術に係る画像の位置合わせについて、図2A及び図2Bを用いて説明する。図2Aは、従来技術に係る画像の位置合わせの一例を説明するための図である。図2Bは、従来技術に係る位置合わせされた画像の並列表示の一例を示す図である。ここで、図2A及び図2Bにおいては、他のモダリティの画像としてX線CT装置によって収集されたボリュームデータから生成されたMPR画像(以下、CT画像と記す)を用いる場合について示す。例えば、CT画像を参照画像として診断や治療が行われる場合には、図2Aに示すように、超音波プローブに取り付けたセンサーを用いて、X線CT装置によって収集されたボリュームデータと超音波画像とが関連付けられる。
例えば、磁気センサーが用いられる場合、まず、トランスミッタによって形成された3次元の磁場における磁気センサーが取り付けられた超音波プローブ11の3軸(X、Y、Z)と、ボリュームデータの3軸との軸合わせが行われる。一例を挙げると、磁気センサーが取り付けられた超音波プローブを被検体に対して垂直(CTデータを取得する場合の3軸方向と同じ方向)にあて、その状態でセットボタンを押下することで、その時の磁気センサーの向きがCTデータの3軸方向と合致しているものとしてセットする。
次に、CT画像に描出された特徴部分と同一の特徴部分が超音波画像上で描出されるように超音波プローブ11を移動させて、再度セットボタンを押下することで、その時の磁気センサーの位置(座標)と、ボリュームデータにおける位置(座標)とを関連付ける。特徴部分としては、例えば、血管や、剣状突起などが用いられる。
上述したように磁気センサーの向き及び座標を他のモダリティにおけるボリュームデータの座標と関連付けることで、超音波プローブ11が現時点の走査面と略同一位置の2次元画像を他のモダリティのボリュームデータから生成することが可能となる。例えば、図2Bに示すように、超音波プローブの移動に伴って変化する超音波画像(右側の画像)と同じ断面のMPR画像(左側の画像)を表示させることが可能になる。そして、例えば、他のモダリティの画像において検出された癌の疑いを呈する病巣を腫瘍範囲(ROI)としてMPR画像上に描画し登録することで、略同一位置の超音波画像上にマークを付与させることができる。或いは、超音波画像上でROIを描画することで、MPR画像の略同一位置にマークを付与することができる。医師は、画像上異なる特性を有する超音波画像とMPR画像とを見比べながら、両画像に付与されたマークをもとに、例えば、穿刺を実施することが可能となる。
上述したように、従来の技術における画像の位置合わせの手法では、方向を定義するための方向登録ステップ(例えば、超音波プローブを被検体に対して垂直にあて、その状態でセットボタンを押下する)と、位置を定義するための位置登録ステップ(例えば、CT画像に描出された特徴部分と同一の特徴部分が超音波画像上で描出されるように超音波プローブ11を移動させて、再度セットボタンを押下する)との2ステップによって位置合わせを行うことができ、その他の手法(例えば、CT画像及び超音波画像において3箇所以上の同一点を指定する手法など)と比較して、簡易に位置合わせすることができる。
しかしながら、上述した技術は、超音波画像を収集する際の患者の体位が、CT画像やMRI画像などの医用画像を収集した際の患者の体位と同様であることを前提とした位置合わせであるため、患者がその他の体位となった場合に利用することができない。すなわち、上述した従来の技術は、CT画像やMRI画像などのアキシャル(axial)断面の向きが仰向けに寝た場合の真下方向と同一になることを利用して、超音波プローブを真下に向けることで方向登録が簡易に出来ることによっている。したがって、患者がその他の体位となった場合、超音波画像とその他の医用画像との位置合わせを容易に行うことが困難となる。
例えば、近年、CT画像やMRI画像などと超音波画像とを位置合わせして検査や診断を行う技術が、心臓部位などでも活用されることが期待されている。しかしながら、例えば、心臓を対象とした場合、超音波画像を収集する際の患者の体位が、CT画像などを収集する際の体位と異なる場合が多く、位置合わせを容易に行うことが困難となる。図3は、従来技術に係る課題を説明するための図である。ここで、図3においては、対象として心臓を一例に挙げて、体位の違いによる心臓の位置や向きの違いを説明する。
例えば、図3の(A)に示すように、通常体位(CT画像やMRI画像などを収集する際の体位と同様の体位)の場合、超音波プローブによって走査される心臓の位置や向きは、CT画像やMRI画像などを収集した際の心臓の位置や向きと同様になる。しかしながら、例えば、図3の(B)に示すように、患者が側臥位の場合、心臓が傾いてしまい(心尖部側が重力方向に落ち込む)、この状態で超音波プローブによって走査されたアキシャル面の画像はCT画像やMRI画像などとは異なったものとなってしまう。したがって、患者の体位が変わった場合には、従来のように超音波プローブの向きを体外からの安易な方向で決めることができず、位置合わせの容易性が失われてしまう。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下、詳細に説明する制御部160の処理によって、超音波画像を収集する操作者が容易に描出させることができる所定の基準断面によって画像の位置合わせを行うことで、超音波画像とその他の医用画像との位置合わせを容易に行うことが可能となるように構成されている。
以下、第1の実施形態に係る位置情報取得装置14及び制御部160の詳細について、図4などを用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る制御部160の構成の一例を説明するための図である。第1の実施形態に係る制御部160は、図4に示すように、医用画像抽出部161と、超音波画像抽出部162と、表示制御部163とを有し、図示しないバス又はインターフェース部180を介して、入力装置12、位置情報取得装置14及び内部記憶部170と接続される。
例えば、位置情報取得装置14は、図4に示すように、トランスミッタ14aと、位置センサー14bと、制御装置14cとを有し、図示しないインターフェース部180を介して制御部160に接続される。
トランスミッタ14aは、基準信号を送信する。具体的には、トランスミッタ14aは、任意の位置に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する。位置センサー14bは、基準信号を受信することにより、3次元空間上の位置情報を取得する。具体的には、位置センサー14bは、超音波プローブ11の表面に装着され、トランスミッタ14aによって形成された3次元の磁場を検出して、検出した磁場の情報を信号に変換して、制御装置14cに出力する。
制御装置14cは、位置センサー14bから受信した信号に基づいて、トランスミッタ14aを原点とする空間における位置センサー14bの座標及び向きを算出し、算出した座標及び向きを制御部160に出力する。なお、被検体Pの診断は、超音波プローブ11に装着された位置センサー14bが、トランスミッタ14aの磁場を正確に検出することが可能な磁場エリア内で行われる。
入力装置12は、モニタ13にて表示された画像について位置合わせをするための各種の位置合わせ操作を受け付ける。なお、位置合わせ操作の詳細については後述する。内部記憶部170は、後述する医用画像抽出部161及び超音波画像抽出部162によって用いられる各種情報や、種々の医用画像診断装置によって収集されたボリュームデータを記憶する。例えば、内部記憶部170は、後述する医用画像抽出部161がボリュームデータから所定の基準断面の医用画像を抽出するための画像パターン辞書を記憶する。一例を挙げると、内部記憶部170は、X線CT装置によって収集されたボリュームデータから心臓の所定の基準断面を抽出するための画像パターン辞書を記憶する。かかる場合には、例えば、内部記憶部170は、心臓の所定の基準断面に含まれる複数の特徴量を画像パターン辞書として記憶する。ここで、心臓の所定の基準断面としては、超音波画像を収集する操作者が容易に描出することができる断面であることが望ましく、例えば、四腔断面像(4ch)や、二腔断面像(2ch)、三腔断面像(3ch)、左室長軸像(LAX)などが挙げられる。すなわち、内部記憶部170は、医用画像ごとに、心臓の各種断面それぞれについて、複数の特徴量を画像パターン辞書として記憶する。なお、上記した例はあくまでも一例であり、対象は心臓に限られず、その他の臓器などが対象であってもよい。また、所定の基準断面についても、四腔断面像について、心尖部四腔断面像と心窩部四腔断面像とをそれぞれ記憶する場合であってもよい。
医用画像抽出部161は、医用画像診断装置によって生成された3次元画像データから超音波プローブによって走査されうる位置に対応する所定の基準断面の医用画像を抽出する。具体的には、医用画像抽出部161は、内部記憶部170によって記憶された画像パターン辞書を用いてボリュームデータから所定の基準断面の医用画像を抽出する。図5は、第1の実施形態に係る医用画像抽出部161による処理の一例を説明するための図である。なお、図5においては、X線CT装置によって収集された心臓のボリュームデータから所定の基準断面を抽出する場合について示す。
例えば、医用画像抽出部161は、図5の(A)に示すボリュームデータから種々のスライス位置のMPR画像を生成するように、画像生成部140を制御する。そして、医用画像抽出部161は、画像生成部140によって生成されたMPR画像それぞれについて、画像の特徴量を抽出して、内部記憶部170によって記憶されたCT画像における心臓の基準断面の画像パターン辞書の特徴量と比較する。そして、医用画像抽出部161は、例えば、図5の(B)に示すように、画像パターン辞書とのマッチング率が高い特徴量を含むMPR画像を基準断面として抽出する。
ここで、医用画像抽出部161によって抽出される基準断面は、デフォルトで予め設定されている場合であってもよく、或いは、入力装置12を介して操作者から指定される場合であってもよい。
図4に戻って、超音波画像抽出部162は、入力装置12が受け付けた位置合わせ操作に応じた超音波画像を抽出して、抽出した超音波画像と基準断面とが略同一位置の断面であるとして超音波画像とボリュームデータとを関連付ける。例えば、操作者がモニタ13にて表示された超音波画像を見ながら、基準断面のMPR画像と略同一の超音波画像を描出させて、入力装置12を操作する(例えば、セットボタンを押下する)。超音波画像抽出部162は、入力装置12が操作を受け付けた時点の超音波画像を、医用画像抽出部161によって抽出された基準断面のMPR画像と略同一位置の断面として、超音波画像を収集した際の磁気センサーの向き(即ち超音波画像の3軸方向)とMRP像の向き(即ちCTデータの3軸方向)を関連づける。次に超音波画像とMPR画像上の同一の1点の座標を選択して関連づけることで、超音波画像とMPR画像の位置合わせを行える。或いは超音波画像とMRP画像の両画面で略同一断面を抽出出来た時点で選択したそれぞれの点座標を同一点の座標として関連付け、同時に方向も同一方向として関連付ける。すなわち、超音波画像抽出部162は、ボリュームデータにおける基準断面のMPR画像の座標と、磁気センサーの向き及び座標とを関連付ける。これにより、超音波画像及びMPR画像を同一断面で表示させることが可能となる。
表示制御部163は、医用画像抽出部161によって抽出された基準断面の医用画像や、超音波画像をモニタ13にて表示させる。図6は、第1の実施形態に係る表示制御部163による処理の一例を示す図である。例えば、表示制御部163は、図6に示すように、モニタ13の左側に心臓の基準断面のMPR画像を表示させ、モニタ13の右側に超音波画像を表示させる。例えば、操作者は、左側に表示された基準断面のMPR画像を確認しながら、右側の領域に基準断面と同じ断面を表示させるように超音波プローブを操作する。そして、操作者は、右側の領域に基準断面と同じ断面が表示された時点で、セットボタンを押下する。これにより、超音波画像抽出部162が上述した処理を実行して、画像の位置合わせが実行される。
上述したように、基準断面は、超音波画像を収集する操作者が容易に描出させることができる断面であることから、超音波画像とその他の医用画像との位置合わせを容易に行うことが可能となる。ここで、操作者によって容易に描出させることができる断面が異なる場合、或いは、患者の体格や、そのときの体位などによって描出が困難となる断面がある場合などが考えられる。そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、基準断面を任意に変更することが可能となっている。例えば、心臓においては、図7の(A)に示す四腔断面像(4ch)や、図7の(B)に示す二腔断面像(2ch)、図7の(C)に示す三腔断面像(3ch)など、状況によって描出しやすい断面が異なる場合がある。そこで、入力装置12は、ボリュームデータに含まれる複数の断面から所定の基準断面を選択するための選択操作を受け付ける。それにより、医用画像抽出部161は、入力装置12によって受け付けられた選択操作に対応する所定の基準断面をボリュームデータから抽出する。従って、操作者は、その時の状況を考慮しながら、基準断面を選択して、選択した基準断面と略同一位置の断面を超音波画像で表示させて、位置合わせ操作を行うことができる。なお、図7は、第1の実施形態に係る基準断面の一例を説明するための図である。
次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理について説明する。図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による位置合わせ処理の手順を示すフローチャートである。なお、図8においては、医用画像のデータからデフォルトの断面画像を生成して表示しておき、操作者によって基準断面の情報が入力されることによって基準断面が選択される場合の処理について示す。
図8に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、医用画像のボリュームデータを読み込み、デフォルトの断面の医用画像を表示させると(ステップS101)、入力装置12が、基準断面の情報を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。ここで、基準断面の情報を受け付けたと判定すると(ステップS102肯定)、医用画像抽出部161が、基準断面の医用画像を抽出する(ステップS103)。なお、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の制御部による位置合わせ処理は、基準断面の情報を受け付けるまで待機状態となる(ステップS102否定)。
そして、表示制御部163は、モニタ13にて超音波画像を表示させ(ステップS104)、入力装置12が、位置合わせ操作を受付けたか否かを判定する(ステップS105)。ここで、位置合わせ操作を受け付けたと判定すると(ステップS105肯定)、超音波画像抽出部162が、位置合わせ操作を受け付けた時点の超音波画像を抽出して、基準断面と略同一位置の断面として位置合わせ処理を実行する(ステップS106)。すなわち、超音波画像抽出部162は、超音波画像と医用画像のボリュームデータとを関連付ける。なお、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の制御部による位置合わせ処理は、位置合わせ操作を受け付けるまで待機状態となる(ステップS105否定)。
そして、表示制御部163は、位置合わせされた医用画像及び超音波画像を表示して(ステップS107)、入力装置12が、基準断面の変更を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。ここで、基準断面の変更を受け付けたと判定した場合には(ステップS108肯定)、ステップS103に戻って、医用画像抽出部161が基準断面の医用画像を抽出する。
一方、基準断面の変更を受け付けていないと判定した場合には(ステップS108否定)、入力装置12は、位置合わせ処理の終了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS109)。ここで、位置合わせ処理の終了操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS109肯定)、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、位置合わせ処理を終了する。一方、位置合わせ処理の終了操作を受け付けていないと判定した場合には(ステップS109否定)、表示制御部163が位置合わせされた医用画像及び超音波画像を継続して表示させる(ステップS107)。なお、位置合わせ処理の終了タイミングとしては、例えば、操作者が、モニタ13に表示された位置合わせ済みの医用画像及び超音波画像を観察して、細かい部分をチェックした結果、合っていると確認された場合などである。また、位置合わせした医用画像及び超音波画像を表示した時点で位置合わせ処理自体は完了とすることも可能で、その場合基準断面の変更操作は適時受け付け、S109の終了操作は不要とすることが可能である。
上述したように、第1の実施形態によれば、医用画像抽出部161は、医用画像診断装置によって生成されたボリュームデータから超音波プローブによって走査されうる位置に対応する所定の基準断面の医用画像を抽出する。そして、表示制御部163は、医用画像抽出部161によって抽出された所定の基準断面の医用画像と、超音波プローブによる走査によって収集される超音波画像とをモニタ13にて表示するように制御する。そして、入力装置12は、モニタ13にて表示された所定の基準断面の医用画像に対して超音波画像を位置合わせする位置合わせ操作を受け付ける。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、位置合わせに用いる医用画像の断面を超音波画像で合わせやすい基準断面として、基準断面を自動で抽出させることにより、超音波画像とその他の医用画像との位置合わせを容易に行うことを可能にする。
すなわち、位置合わせに用いる基準断面が超音波で描出させやすい断面であることで、操作者は、普段使い慣れた断面抽出の領域となるため、例えば、心臓の超音波検査の場合であっても、超音波画像とその他の医用画像との位置合わせを容易に行うことが可能である。また、ボリュームデータから基準断面を自動で抽出することで、抽出にかかる手間を大幅に削減させることができる。
また、第1の実施形態によれば、入力装置12は、ボリュームデータに含まれる複数の断面から所定の基準断面を選択するための選択操作を受け付ける。そして、医用画像抽出部161は、入力装置12によって受け付けられた選択操作に対応する所定の基準断面を抽出する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、1断面だけでなく、複数の断面から基準断面を選択することができ、超音波画像が個人差で抽出しがたい場合や、個人差の範囲で位置合わせ断面として特徴が得難い場合などでも、患者(被検体)ごとに最適な断面を選ぶことを可能とする。その結果、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波画像とその他の医用画像との位置合わせをより容易に行うことを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、所定の基準断面の超音波画像をLive中の超音波画像から選択する場合について説明した。第2の実施形態では、超音波による走査をフリーズさせた後、基準断面の超音波画像を選択する場合について説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と比較して、入力装置12が受け付ける操作と、超音波画像抽出部162の処理内容と、医用画像抽出部161の処理内容とが異なる。以下、これらを中心に説明する。
第2の実施形態に係る入力装置12は、超音波プローブによる走査のフリーズ操作を受け付けた後、収集済みの超音波画像群の中から所定の基準断面の医用画像との位置合わせに用いられる超音波画像を選択するための選択操作を受け付ける。図9は、第2の実施形態に係る入力装置12によって受け付けられる処理の一例を説明するための図である。なお、図9においては、医用画像抽出部161によって基準断面の医用画像がボリュームデータから抽出された状態の処理について示す。
患者に対して超音波プローブを走査して、基準断面の超音波画像を選択する場合、図9に示すように、所定のフレームレートで超音波画像が収集されている。ここで、例えば、入力装置12は、図9に示すように、超音波画像が収集されているある時点で、超音波の走査をフリーズさせるためのフリーズ操作を受け付ける。このとき、収集済みの超音波画像には、位置情報取得装置14によって取得された位置情報がそれぞれ付加されて記憶されている。なお、フリーズ操作が実行されるタイミングとしては、例えば、第1の実施形態で説明した基準断面の超音波画像を選択するタイミングなどが挙げられる。
操作者は、入力装置12を介して収集済みの超音波画像をモニタ13に表示させて、収集済みの超音波画像を確認して、基準断面により近い超音波画像を探索する。そして、操作者は、基準断面により近い超音波画像を見つけた場合に、その超音波画像を選択するための選択操作を実行する。すなわち、入力装置12は、収集済みの超音波画像群の中から所定の基準断面の医用画像との位置合わせに用いられる超音波画像を選択するための選択操作を受け付ける。
入力装置12が選択操作を受け付けると、超音波画像抽出部162は、図9に示すように、選択された超音波画像と、医用画像抽出部161によって抽出された所定の基準断面の医用画像とが略同一位置の断面であるとして、選択された超音波画像とボリュームデータとを関連付ける。すなわち、超音波画像抽出部162は、選択された超音波画像に付加された位置情報に含まれるセンサの向き及び座標をボリュームデータにおける基準断面の医用画像の座標と関連付ける。これにより、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、収集済みの超音波画像群の中から基準断面の超音波画像を選択させることができ、より精度の高い位置合わせを実行することを可能にする。
ここで、第2の実施形態に係る超音波診断装置1においては、さらに、選択された超音波画像に対して、基準断面の医用画像をさらに抽出しなおすことも可能である。かかる場合には、入力装置12は、所定の基準断面の医用画像に対して超音波画像を位置合わせするための位置合わせ操作を受け付けた場合に、位置合わせされた超音波画像に対して前記抽出手段によって抽出された所定の基準断面をさらに位置合わせするための再位置合わせ操作を受け付ける。
例えば、入力装置12は、抽出済みの基準断面の医用画像を微調整するための再位置合わせ操作を受け付ける。一例を挙げると、入力装置12は、抽出された基準断面の医用画像の断面の角度や方向をわずかに変化させるための操作を受け付ける。ここで、入力装置12は、例えば、関心部位が心臓である場合に、再位置合わせ操作として、心臓の左室の中心を回転軸として当該心臓を回転させる操作を受け付ける。すなわち、入力装置12は、心臓の心軸回りで少しずつ回転させた医用画像を抽出するための操作を受け付ける。
次に、第2の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順を説明する。図10は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図10においては、医用画像のデータからデフォルトの断面画像を生成して表示しておき、操作者によって基準断面の情報が入力されることによって基準断面が選択される場合の処理について示す。
図10に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置1においては、医用画像のボリュームデータを読み込み、デフォルトの断面の医用画像を表示させると(ステップS201)、入力装置12が、基準断面の情報を受け付けたか否かを判定する(ステップS202)。ここで、基準断面の情報を受け付けたと判定すると(ステップS202肯定)、医用画像抽出部161が、基準断面の医用画像を抽出する(ステップS203)。なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の制御部による位置合わせ処理は、基準断面の情報を受け付けるまで待機状態となる(ステップS202否定)。
そして、表示制御部163は、モニタ13にてリアルタイムの超音波画像を表示させ(ステップS204)、入力装置12が、フリーズ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS205)。ここで、フリーズ操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS205肯定)、表示制御部163は、収集済みの超音波画像をモニタ13にて表示させる(ステップS206)。なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、フリーズ操作を受け付けるまでリアルタイムの超音波画像を継続して表示する(ステップS205否定)。
表示制御部163がモニタ13にて収集済みの超音波画像を表示させると(ステップS206)、入力装置12が、位置合わせ操作を受付けたか否かを判定する(ステップS207)。ここで、位置合わせ操作を受け付けたと判定すると(ステップS207肯定)、超音波画像抽出部162が、位置合わせ操作を受け付けた時点の収集済みの超音波画像を抽出して、基準断面と略同一位置の断面として位置合わせ処理を実行する(ステップS208)。ここで、第2の実施形態に係る超音波診断装置1においては、位置合わせの操作として、入力装置12が基準断面の医用画像の微調整も受け付ける。また、第2の実施形態に係る超音波診断装置1においては、位置合わせ処理として、医用画像抽出部161が、微調整に応じた超音波画像を抽出する。なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の制御部による位置合わせ処理は、位置合わせ操作を受け付けるまで待機状態となる(ステップS207否定)。
そして、表示制御部163は、位置合わせされた医用画像及び超音波画像を表示して(ステップS209)、入力装置12が、基準断面の変更を受け付けたか否かを判定する(ステップS210)。ここで、基準断面の変更を受け付けたと判定した場合には(ステップS210肯定)、医用画像抽出部161が基準断面の医用画像を抽出して(ステップS212)、ステップS206に戻る。
一方、基準断面の変更を受け付けていないと判定した場合には(ステップS210肯定)、入力装置12は、位置合わせ処理の終了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS211)。ここで、位置合わせ処理の終了操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS211肯定)、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、位置合わせ処理を終了する。一方、位置合わせ処理の終了操作を受け付けていないと判定した場合には(ステップS211否定)、表示制御部163が位置合わせされた医用画像及び超音波画像を継続して表示させる(ステップS209)。なお、位置合わせ処理の終了タイミングとしては、例えば、操作者が、モニタ13に表示された位置合わせ済みの医用画像及び超音波画像を観察して、細かい部分をチェックした結果、合っていると確認された場合などである。また、本終了操作ステップは実施形態1同様に削除することも可能である。
上述したように、第2の実施形態によれば、入力装置12は、超音波プローブによる走査のフリーズ操作を受け付けた後、収集済みの超音波画像群の中から所定の基準断面の医用画像との位置合わせに用いられる超音波画像を選択するための選択操作を受け付ける。従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、画像の方向合わせ、位置合わせを医用画像及び超音波画像の両方が静止した状態で比較観察して行うことができ、微妙な方向や位置の調整を摘みなどのUI(User Interface)で行うだけで、位置合わせの精度を容易に向上させることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、入力装置12は、所定の基準断面の医用画像に対して超音波画像を位置合わせするための位置合わせ操作を受け付けた場合に、位置合わせされた超音波画像に対して医用画像抽出部161によって抽出された所定の基準断面をさらに位置合わせするための再位置合わせ操作を受け付ける。従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、医用画像側を微調整することができ、位置合わせの精度をさらに向上させることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、入力装置12は、関心部位が心臓である場合に、再位置合わせ操作として、心臓の左室の中心を回転軸として当該心臓を回転させる操作を受け付ける。従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、心臓における基準断面の位置を考慮した調整を行うことができ、位置合わせをより容易にすることを可能にする。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、関心部位が心臓の場合に、心時相も同期させた位置合わせ処理を行う場合について説明する。なお、第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態と比較して、入力装置12が受け付ける操作と、医用画像抽出部161の処理内容とが異なる。以下、これらを中心に説明する。
第3の実施形態に係る医用画像抽出部161は、心臓のボリュームデータから基準断面の医用画像を抽出する際に、基準断面の心時相を取得する。具体的には、医用画像抽出部161は、心臓のボリュームデータが収集された時点の心時相の情報を取得する。
第3の実施形態に係る入力装置12は、超音波プローブによる走査のフリーズ操作を受け付けた後、収集済みの超音波画像群の中から所定の基準断面の医用画像との位置合わせに用いられる超音波画像を選択するための選択操作を受け付ける。ここで、第3の実施形態では、医用画像抽出部161によって抽出された基準断面の医用画像の心臓の心時相と略同一の心時相における超音波画像が選択される。図11は、第3の実施形態に係る入力装置12によって受け付けられる処理の一例を説明するための図である。なお、図11においては、医用画像抽出部161によって基準断面の医用画像がボリュームデータから抽出され、心時相の情報が取得された状態の処理について示す。
患者に対して超音波プローブを走査して、基準断面の超音波画像を選択する場合、図9に示すように、所定のフレームレートで超音波画像が収集されている。ここで、例えば、入力装置12は、図9に示すように、超音波画像が収集されているある時点で、超音波の走査をフリーズさせるためのフリーズ操作を受け付ける。このとき、収集済みの超音波画像には、位置情報取得装置14によって取得された位置情報と心時相の情報とがそれぞれ付加されて記憶されている。なお、フリーズ操作が実行されるタイミングとしては、例えば、第1の実施形態で説明した基準断面の超音波画像を選択するタイミングなどが挙げられる。
操作者は、入力装置12を介して収集済みの超音波画像をモニタ13に表示させて、収集済みの超音波画像を確認する。このとき、操作者は、医用画像における心時相と略同一の心時相の超音波画像群のなかから、基準断面により近い超音波画像を探索する。そして、操作者は、基準断面により近い超音波画像を見つけた場合に、その超音波画像を選択するための選択操作を実行する。
入力装置12が選択操作を受け付けると、超音波画像抽出部162は、図11に示すように、選択された超音波画像と、医用画像抽出部161によって抽出された所定の基準断面の医用画像とが基準断面と心時像とが略同一であり、位置が略同一であるとして、選択された超音波画像とボリュームデータとを関連付ける。すなわち、超音波画像抽出部162は、選択された超音波画像に付加された位置情報に含まれるセンサの向き及び座標をボリュームデータにおける基準断面の医用画像の座標と関連付ける。これにより、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、収集済みの超音波画像群の中から心時相が略同一である基準断面の超音波画像を選択させることができ、さらに精度の高い位置合わせを実行することを可能にする。
なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置1においても、第2の実施形態と同様に、さらに、選択された超音波画像に対して、基準断面の医用画像をさらに抽出しなおすことも可能である。
次に、第3の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順を説明する。図12は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図12においては、医用画像のデータからデフォルトの断面画像を生成して表示しておき、操作者によって基準断面の情報が入力されることによって基準断面が選択される場合の処理について示す。
図12に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置1においては、医用画像のボリュームデータを読み込み、デフォルトの断面の医用画像を表示させると(ステップS301)、入力装置12が、基準断面の情報を受け付けたか否かを判定する(ステップS302)。ここで、基準断面の情報を受け付けたと判定すると(ステップS302肯定)、医用画像抽出部161が、基準断面の医用画像及び当該医用画像の心時相の情報を抽出する(ステップS303)。なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、基準断面の情報を受け付けるまで待機状態となる(ステップS302否定)。
そして、表示制御部163は、モニタ13にてリアルタイムの超音波画像を表示させ(ステップS304)、入力装置12が、フリーズ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS305)。ここで、フリーズ操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS305肯定)、表示制御部163は、収集済みの超音波画像をモニタ13にて表示させる(ステップS306)。なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、フリーズ操作を受け付けるまでリアルタイムの超音波画像を継続して表示する(ステップS305否定)。
表示制御部163がモニタ13にて収集済みの超音波画像を表示させると(ステップS306)、入力装置12が、時相が合った位置合わせ操作を受付けたか否かを判定する(ステップS307)。ここで、時相が合った位置合わせ操作を受け付けたと判定すると(ステップS307肯定)、超音波画像抽出部162が、位置合わせ操作を受け付けた時点の収集済みの超音波画像を抽出して、基準断面と心時相とが略同一の断面として位置合わせ処理を実行する(ステップS308)。ここで、第3の実施形態に係る超音波診断装置1においては、位置合わせの操作として、入力装置12が基準断面の医用画像の微調整も受け付ける。また、第3の実施形態に係る超音波診断装置1においては、位置合わせ処理として、医用画像抽出部161が、微調整に応じた超音波画像を抽出する。なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、位置合わせ操作を受け付けるまで待機状態となる(ステップS307否定)。
そして、表示制御部163は、位置合わせされた医用画像及び超音波画像を表示して(ステップS309)、入力装置12が、基準断面の変更を受け付けたか否かを判定する(ステップS310)。ここで、基準断面の変更を受け付けたと判定した場合には(ステップS310肯定)、医用画像抽出部161が基準断面の医用画像を抽出して(ステップS312)、ステップS306に戻る。
一方、基準断面の変更を受け付けていないと判定した場合には(ステップS310否定)、入力装置12は、位置合わせ処理の終了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS311)。ここで、位置合わせ処理の終了操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS311肯定)、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、位置合わせ処理を終了する。一方、位置合わせ処理の終了操作を受け付けていないと判定した場合には(ステップS311否定)、表示制御部163が位置合わせされた医用画像及び超音波画像を継続して表示させる(ステップS309)。なお、位置合わせ処理の終了タイミングとしては、例えば、操作者が、モニタ13に表示された位置合わせ済みの医用画像及び超音波画像を観察して、細かい部分をチェックした結果、合っていると確認された場合などである。
上述した例では、ボリュームデータが所定の心時相で収集された場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、医用画像のボリュームデータが経時的に収集された場合には、経時的なボリュームデータから特定の心時相のボリュームデータが選択される場合であってもよい。図13は、第3の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図13に示す処理は、図12に示す処理の手順と比較して、医用画像における心時相を選択する処理が異なる。以下、これを中心に説明し、その他の処理内容については、図12と同様であるため詳細な説明を省略する。
図13に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置1においては、デフォルトの断面の医用画像を表示させ(ステップS401)、入力装置12が、基準断面の情報を受け付けたと判定すると(ステップS402肯定)、医用画像抽出部161が、特定の心時相での基準断面の医用画像を抽出する(ステップS403)。
そして、表示制御部163は、リアルタイムの超音波画像を表示させ(ステップS404)、入力装置12が、フリーズ操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS405肯定)、表示制御部163は、収集済みの超音波画像をモニタ13にて表示させる(ステップS406)。ここで、入力装置12が、特定の心時相に最も近い心時相での位置合わせ操作を受け付けたと判定すると(ステップS407肯定)、超音波画像抽出部162が、位置合わせ操作を受け付けた時点の収集済みの超音波画像を抽出して、位置合わせ処理を実行する(ステップS408)。
そして、表示制御部163は、位置合わせされた医用画像及び超音波画像を表示して(ステップS409)、入力装置12が、基準断面の変更を受け付けたと判定した場合には(ステップS410肯定)、医用画像抽出部161が特定の心時相での基準断面の医用画像を抽出して(ステップS412)、ステップS406に戻る。なお、以下の処理は、図12における(ステップS310否定)以降の処理と同様であることから詳細な説明は省略する。
上述したように、第3の実施形態によれば、入力装置12は、収集済の超音波画像群の中から所定の基準断面に含まれる関心部位の時相と略同一時相の関心部位が含まれる超音波画像を所定の基準断面の医用画像との位置合わせに用いられる超音波画像として選択するための選択操作をさらに受け付ける。従って、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、心時相を同期させた位置合わせ処理を行うことができ、さらに精度の高い位置合わせを行うことを可能にする。
また、第3の実施形態によれば、入力装置12は、医用画像診断装置によって生成されたボリュームデータが経時的なデータである場合に、経時的なボリュームデータの中から位置合わせ操作された超音波画像に含まれる関心部位の時相と略同一時相の3次元画像データを選択するための選択操作をさらに受付ける。医用画像抽出部161は、入力装置12によって受け付けられた選択操作に対応するボリュームデータから所定の基準断面を抽出する。従って、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、医用画像及び超音波画像のそれぞれにおいて心時相の調整を行うことができる。
(第4の実施形態)
さて、これまで第1、第2及び第3の実施形態について説明したが、上述した第1、第2及び第3の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した第1〜第3の実施形態では、医用画像と超音波画像とをそれぞれ1枚ずつ表示させる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、その他種々の表示を行う場合であってもよい。図14は、第4の実施形態に係る表示制御部163の制御によって表示される表示例を示す図である。例えば、表示制御部163は、図14に示すように、モニタ13にCT画像と、抽出された超音波画像と、リアルタイム超音波画像とを表示させるように制御することも可能である。
図15は、第4の実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図15に示す処理は、図13に示す処理の手順と比較して、医用画像における表示させる画像が異なる。以下、これを中心に説明し、その他の処理内容については、図13と同様であるため詳細な説明を省略する。
図15に示すように、第4の実施形態に係る超音波診断装置1においては、デフォルトの断面の医用画像を表示させ(ステップS501)、入力装置12が、基準断面の情報を受け付けたと判定すると(ステップS502肯定)、医用画像抽出部161が、特定の心時相での基準断面の医用画像を抽出する(ステップS503)。例えば、このときに、図14に示すように、モニタ13の左側に抽出されたCT画像が表示される。
そして、表示制御部163は、例えば、図14の右端に示すように、リアルタイムの超音波画像を表示させ(ステップS504)、入力装置12が、フリーズ操作を受け付けたと判定した場合には(ステップS505肯定)、表示制御部163は、収集済みの超音波画像をモニタ13(例えば、図14の真ん中の領域)にて表示させる(ステップS506)。ここで、操作者は、真ん中の領域に表示された収集済みの超音波画像を参照して、位置合わせを実行する。そして、入力装置12が、特定の心時相に最も近い心時相での位置合わせ操作を受け付けたと判定すると(ステップS507肯定)、超音波画像抽出部162が、位置合わせ操作を受け付けた時点の収集済みの超音波画像を抽出して、位置合わせ処理を実行する(ステップS508)。
そして、表示制御部163は、位置合わせされた医用画像及び超音波画像と、リアルタイムの超音波画像をそれぞれ表示して(ステップS509)、入力装置12が、基準断面の変更を受け付けたと判定した場合には(ステップS510肯定)、医用画像抽出部161が特定の心時相での基準断面の医用画像を抽出して(ステップS512)、ステップS506に戻る。なお、以下の処理は、図12における(ステップS310否定)以降の処理と同様であることから詳細な説明は省略する。
また、上述した第1〜第3の実施形態においては、医用画像と超音波画像とをそれぞれサイドバイサイドで表示させる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、医用画像と超音波画像とを重畳させて位置合わせされる場合であってもよい。
一例を挙げると、表示制御部163は、所定の基準断面の医用画像及び位置合わせ操作の対象となる超音波画像、及び、医用画像と超音波画像との重畳画像のうち、少なくとも一方を表示部にて表示させるように制御する。これにより、より細かい部分の重なり具合を視覚的に把握することができ、より精度の高い位置合わせを実行することができる。
また、重畳画像を表示させる場合には、入力装置12は、重畳画像において重畳された医用画像及び超音波画像のうち少なくとも一方について、色及び透過度のうち少なくとも一方を変化させることで、重畳画像の重畳状態を変化させる操作を受け付ける。これにより、重なり具合のより詳細な状態を確認することが可能になる。
また、上述した第1〜第3の実施形態では、複数の基準断面を用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、1つの基準断面だけが用いられる場合であってもよい。
また、第2及び第3の実施形態では、フリーズ後に収集済みの超音波画像から操作者が超音波画像を選択する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、自動で抽出される場合であってもよい。かかる場合には、例えば、超音波画像における画像パターン辞書をさらに備え、特徴量の比較を行うことで、基準断面の超音波画像を抽出する。
また、上述した第1〜3の実施形態に係る超音波診断装置1の構成はあくまでも一例であり、各部の統合及び分離は適宜行うことができる。例えば、医用画像抽出部161と超音波画像抽出部162とを統合したり、内部記憶部170を医用画像を記憶する医用画像記憶部と、その他の種々の情報を記憶する情報記憶部に分離したりすることが可能である。
また、第1の実施形態から第3の実施形態において説明した医用画像抽出部161、表示制御部163及び入力装置12の機能は、ソフトウェアによって実現することもできる。例えば、医用画像抽出部161、表示制御部163及び入力装置12の機能は、上記の実施形態において医用画像抽出部161、表示制御部163及び入力装置12が行うものとして説明した処理の手順を規定した位置合わせプログラムをコンピュータに実行させることで、実現される。この位置合わせプログラムは、例えば、ハードディスクや半導体メモリ素子等に記憶され、CPUやMPU等のプロセッサによって読み出されて実行される。また、この位置合わせプログラムは、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)やMO(Magnetic Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録されて、配布され得る。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の超音波診断装置によれば、超音波画像とその他の医用画像との位置合わせを容易に行うことが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。