以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示されるように、超音波診断装置1は、本体装置10、超音波プローブ20、及び位置センサシステム30を具備する。本体装置10は、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、本体装置10は、表示機器50と接続される。
超音波プローブ20は、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、及び圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ20は、本体装置10と着脱自在に接続される。複数の圧電振動子は、本体装置10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。
超音波プローブ20から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ20が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波プローブ20は、被検体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。
本体装置の操作パネル61は、後述する生体参照部位を指定する指示を操作者から受け付ける、例えばボタン等から成る入力手段を有する。操作パネル61は、操作者によりボタンが押下されると、超音波プローブ20の現在の位置情報を生体参照部位として指定する旨の指定指示を本体装置10へ出力する。なお、入力手段は、位置センサシステム30に設けられる位置センサ32、又は超音波プローブ20に設けられても構わない。
本実施形態に係る超音波プローブ20は、超音波により被検体Pを2次元で走査すると共に、図1に示される通り、位置センサ32が装着されている。超音波プローブ20は、被検体Pを3次元で走査したときの位置情報を検出することが可能である。具体的には、本実施形態に係る超音波プローブ20は、被検体Pを2次元で走査する複数の超音波振動子を有する1次元アレイプローブである。なお、位置センサ32が装着される超音波プローブ20は、超音波振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカル4次元プローブ(機械揺動方式の3次元プローブ)、複数の超音波振動子がマトリックス状に配置される2次元アレイプローブ、又は1次元に配列された複数の振動子が複数に分割される1.5次元アレイプローブであってもよい。
図1に示される位置センサシステム30は、超音波プローブ20の3次元の位置情報を取得するためのシステムである。位置センサシステム30は、例えば、磁気センサ、又は赤外線カメラ用のターゲット等を位置センサ32として超音波プローブ20に装着させることで、超音波プローブ20の3次元の位置情報を取得する。なお、超音波プローブ20にジャイロセンサ(角速度センサ)を内蔵させ、このジャイロセンサにより超音波プローブ20の3次元の位置情報を取得しても構わない。また、位置センサシステム30は、超音波プローブ20をカメラで撮影し、画像認識で超音波プローブ20の3次元空間での位置を検出するシステムでもよい。また、位置センサシステム30は、超音波プローブ20をロボットアームで保持し、ロボットアームの3次元空間の位置を超音波プローブ20の位置として検出するシステムでもよい。本実施形態では、位置センサシステム30が磁気センサを用いて超音波プローブ20の位置情報を取得する場合を例に説明する。
位置センサシステム30は、磁気発生器31、位置センサ32、及び位置検出装置33を備える。
磁気発生器31は、例えば磁気発生コイル等を有する。磁気発生器31は、任意の位置に配置され、自器を中心として外側に向かって磁場を形成する。位置センサ32は、超音波プローブ20に装着される。位置センサ32は、磁気発生器31によって形成される3次元の磁場の強度及び傾きを検出する。位置センサ32は、検出した磁場の強度及び傾きを位置検出装置33へ出力する。
位置検出装置33は、位置センサ32で検出された磁場の強度及び傾きに基づき、所定の位置を原点とした3次元空間における超音波プローブ20の位置(スキャン面の位置(x,y,z)及び回転角度(θx,θy,θz))を算出する。このとき、所定の位置は、例えば、磁気発生器31が配置される位置とする。位置検出装置33は、算出した位置(x,y,z,θx,θy,θz)に関する位置情報を本体装置10へ送信する。
図1に示される本体装置10は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。本体装置10は、図1に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、操作パネル61、入力装置62、3次元データ発生回路15、画像演算回路16、表示処理回路17、内部記憶回路18、画像メモリ19(シネメモリ)、入力インタフェース回路110、通信インタフェース回路111、及び制御回路112を備える。
超音波送信回路11は、超音波プローブ20に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ20から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子毎の遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ20に駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
超音波受信回路12は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ20が受信した反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成するプロセッサである。Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
ドプラ処理回路14は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、ドプラ波形、及びドプラデータを生成するプロセッサである。ドプラ処理回路14は、受信信号から血流信号を抽出し、抽出した血流信号からドプラ波形を生成すると共に、血流信号から平均速度、分散、及びパワー等の情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
3次元データ発生回路15は、Bモード処理回路13、及びドプラ処理回路14により生成されたデータに基づき、位置情報付きの3次元画像データを発生するプロセッサである。位置センサ32が装着されている超音波プローブ20が1次元アレイプローブ、又は1.5次元アレイプローブである場合、3次元データ発生回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対し、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報を付加する。また、3次元データ発生回路15は、RAW−ピクセル変換を実行することで、ピクセルから構成される2次元画像データを発生し、発生した2次元画像データに対し、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報を付加する。
また、3次元データ発生回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対し、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW−ボクセル変換を実行することで、所望の範囲のボクセルから構成される3次元の画像データ(以下、ボリュームデータと称する。)を発生する。ボリュームデータには、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報が付加される。位置センサ32が装着されている超音波プローブ20がメカニカル4次元プローブ(機械揺動方式の3次元プローブ)、又は2次元アレイプローブの場合も同様に、2次元のRAWデータ、2次元画像データ、及び3次元画像データに位置情報が付加される。
また、3次元データ発生回路15は、発生したボリュームデータに対してレンダリング処理を施し、レンダリング画像データを発生する。レンダリング処理は、例えば、ボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)、多断面変換表示(MPR:Multi Planar Reconstruction)、及び最大値投影表示(MIP:Maximum Intensity Projection)等の処理である。
また、3次元データ発生回路15は、所望の走査位置で収集されるMモード画像、及びスペクトラムドプラ画像に、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報を付加する。また、3次元データ発生回路15は、走査時の画質条件(画角、視野深度、視野角、preset、周波数、及び画憎悪処理条件等)及び走査モード情報、計測画像及び計測結果、並びに、アプリケーション情報及び画像に、位置検出装置33で算出された超音波プローブ20の位置情報を付加する。
画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で発生された各種画像データに基づき、生体座標系の3次元空間において各種画像データを俯瞰的に表示するマップ表示画像データを発生するプロセッサである。画像演算回路16は、内部記憶回路18に記憶されている画像処理プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。
具体的には、画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で発生された2次元画像データに基づき、生体座標系の3次元空間において2次元画像データを俯瞰的に表示するマップ表示画像データを発生する。また、画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で発生されたレンダリング画像データ(MPR像、及びVR像)に基づき、生体座標系の3次元空間においてレンダリング画像データを俯瞰的に表示するマップ表示画像データを発生する。
また、画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で位置情報が付加されたMモード画像データに基づき、生体座標系の3次元空間においてMモード画像データを俯瞰的に表示するマップ表示画像データを発生する。また、画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で位置情報が付加されたスペクトラムドプラ画像データに基づき、生体座標系の3次元空間においてスペクトラムドプラ画像データを俯瞰的に表示するマップ表示画像データを発生する。また、画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で位置情報が付加された、走査時の画質条件及び走査モード情報、計測画像及び計測結果、並びに、アプリケーション情報及び画像を、俯瞰的に表示するマップ表示画像データを発生する。
表示処理回路17は、3次元データ発生回路15、及び画像演算回路16において発生された各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、及びRGB変換等の各種処理を実行することで、画像データをビデオ信号に変換する。表示処理回路17は、ビデオ信号を表示機器50に表示させる。なお、表示処理回路17は、操作者が入力インタフェース回路110により各種指示を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示機器50に表示させてもよい。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
画像メモリ19は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像メモリ19は、入力インタフェース回路110を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ19に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
内部記憶回路18は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路18は、超音波送受信を実現するための制御プログラム、画像処理を行うための制御プログラム、及び表示処理を行なうための制御プログラム等を記憶している。また、内部記憶回路18は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位毎に予め設定する変換テーブル等のデータ群を記憶している。また、内部記憶回路18は、生体内の臓器の構造に関する解剖学図譜、例えば、アトラスを記憶している。
また、内部記憶回路18は、入力インタフェース回路110を介して入力される記憶操作に従い、3次元データ発生回路15で発生された2次元画像データ、ボリュームデータ、レンダリング画像データ、位置情報付きMモード画像データ、及び位置情報付きスペクトラムドプラ画像データを記憶する。なお、内部記憶回路18は、入力インタフェース回路110を介して入力される記憶操作に従い、3次元データ発生回路15で発生された位置情報付きの2次元画像データ、位置情報付きのボリュームデータ、位置情報付きのレンダリング画像データ、位置情報付きのドプラ波形、及び位置情報付きのスペクトラムドプラデータを、操作順番及び操作時間を含めて記憶してもよい。また、内部記憶回路18は、入力インタフェース回路110を介して入力される記憶操作に従い、画像演算回路16で発生されるマップ表示画像データを記憶する。内部記憶回路18は、これらのデータと対応付けて、超音波診断装置1の操作情報、画像条件情報、及び超音波検査に関する超音波データ等を記憶する。操作情報は、モードの変更、画質プリセットの変更、表示レイアウトの変更、画像の保存、計測の起動、アプリケーションの起動、及びプローブの変更等を含む。画質条件情報は、周波数、視野深度、視野角、ビーム密度、フレームレート、MI(Mechanical Index)値等の超音波送信条件、画像処理設定、及び3次元画質パラメータ等を含む。超音波データは、例えば、計測情報、アノテーション情報、心電(ECG:Electro Cardiogram)波形等の生体参照情報、MI(Mechanical Index)値等の超音波送信条件情報、及び取得時刻情報等を含む。また、内部記憶回路18は、生体参照部位の位置情報を記憶する。内部記憶回路18は、記憶しているデータを、通信インタフェース回路111を介して外部の周辺装置へ転送することも可能である。
また、内部記憶回路18は、外部装置40から転送される画像データを記憶する。例えば、内部記憶回路18は、過去の診察において取得された同一患者に関する過去画像データを、外部装置40から取得して記憶する。過去画像データには、超音波画像データ、CT(Computed Tomography)画像データ、MR画像データ、PET(Positron Emission Tomography)画像データ、及びX線画像データが含まれる。
入力インタフェース回路110は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、及びロータリーエンコーダ等の入力装置62から、操作パネル、及びタッチコマンドスクリーン(TCS)61等を介し、操作者からの各種指示を受け付ける。入力インタフェース回路110は、例えばバスを介して制御回路112に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路112へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路110は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路112へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路110の例に含まれる。
通信インタフェース回路111は、位置センサシステム30と例えば無線により接続し、位置検出装置33から送信される位置情報を受信する。また、通信インタフェース回路111は、ネットワーク100等を介して外部装置40と接続され、外部装置40との間でデータ通信を行う。外部装置40は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベース、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベース等である。また、外部装置40は、例えば、X線CT装置、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等、本実施形態に係る超音波診断装置1以外の各種医用画像診断装置である。なお、外部装置40との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)が挙げられる。
制御回路112は、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路112は、内部記憶回路18に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路112は、生体参照部位の位置情報を内部記憶回路18に記憶させる機能、すなわち、生体参照部位の位置情報を登録する登録機能を有する。
図1に示される画像演算回路16は、本実施形態に係る画像処理プログラムを実行することで、3次元データ発生回路15で発生される各種画像データを生体座標系の3次元空間において俯瞰的に表示するマップ表示画像データを発生する処理を実現する。具体的には、画像演算回路16は、画像処理プログラムを実行することで、参照部位制御機能161、座標変換機能162、及び画像発生機能163を有する。
参照部位制御機能161の実行により画像演算回路16は、表示機器50に表示される超音波断層画像に対して操作者から生体参照部位の指定を受けると、超音波断層画像を取得した際の超音波プローブ20の位置と、超音波断層画像内において指定された位置とに基づき、位置センサシステム30により規定される3次元空間における生体参照部位の位置を算出する。
座標変換機能162の実行により画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で発生された各種画像データに付加されている位置座標を、生体参照部位の位置に基づいて定義される生体座標系へ変換する。具体的には、画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で、2次元画像データ、レンダリング画像データ、Mモード画像データ、又はスペクトラムドプラ画像データに付加された位置座標を、生体座標系へ変換する。画像演算回路16は、生体座標系を、生体参照部位の位置(x,y,z,θx,θy,θz)に基づいて定義する。例えば、生体座標系は、位置(x,y,z)が原点となり、回転角度(θx,θy,θz)に基づき、スキャン方向であるアジマス方向にx軸が設定され、深さ方向にy軸が設定され、かつ、揺動方向であるエレベーション方向にz軸が設定されるように定義される。
画像発生機能163の実行により画像演算回路16は、3次元データ発生回路15で発生された各種画像データを、座標変換後の位置座標、すなわち、生体座標系の3次元空間における対応位置に配置したマップ表示画像データを発生する。
具体的には、画像演算回路16は、2次元画像データ、レンダリング画像データ、Mモード画像データ、又はスペクトラムドプラ画像データを、座標変換後の位置座標に配置したマップ表示画像データを発生する。これにより、マップ表示画像データでは、各種画像データは、生体座標系の3次元空間において俯瞰的に表示されることになる。
なお、参照部位制御機能161、座標変換機能162、及び画像発生機能163は、本実施形態に係る画像処理プログラムを構成するモジュールであるとした。しかしながら、これに限定されない。例えば、画像演算回路16は、参照部位制御機能161を実現する専用のハードウェア回路、座標変換機能162を実現する専用のハードウェア回路、及び画像発生機能163を実現する専用のハードウェア回路を有しても良い。また、画像演算回路16は、これら専用のハードウェア回路を組み込んだ特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。
図2は、本実施形態に係る超音波診断装置1が2次元画像データを取得する処理の流れの例を示す図である。以下では、生体参照部位を剣状突起とする場合を例に説明する。なお、剣状突起を生体参照部位とすることは、体表に生体参照部位を設定することに対応する。また、以下では、3次元データ発生回路15により2次元画像データが発生される場合を例に説明する。
被検体Pに対する超音波検査の実施に先立ち、入力インタフェース回路110を介した操作者の指示により、診断情報の入力、送受信条件の設定、及び種々の超音波データの収集条件の設定等が実行される。これらの情報は、内部記憶回路18に記憶される。
また、操作者は、被検体Pに対する超音波検査の実施に先立ち、生体参照部位Rの位置情報を登録する。具体的には、例えば、操作者は、生体参照部位Rとして設定した剣状突起を含むアキシャル面を走査するように、超音波プローブ20を被検体Pの体表に垂直方向に当接させる。図3は、超音波プローブ20を被検体Pの体表に垂直方向に当接させた際の模式図を示す図である。操作者は、超音波プローブ20を被検体Pに当接させると、操作パネル61、又は超音波プローブ20に設けられるボタンを押下する。これにより指定指示が制御回路112に入力される。制御回路112は、指定指示が入力された時点で位置検出装置33により算出された超音波プローブ20の位置を取得する(ステップS21)。
超音波プローブ20が被検体Pに当接されると、超音波プローブ20から超音波が被検体Pに送信され、超音波プローブ20を当接させた位置における被検体Pの超音波断層画像が表示機器50に表示される。制御回路112は、ボタンの押下に続き、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位への指定があるか否かを判断する(ステップS22)。表示機器50の表面には、例えば、入力インタフェース回路110としてのタッチコマンドスクリーンが設けられる。操作者が表示機器50に表示される超音波断層画像における所定の部位に接触すると、タッチコマンドスクリーンにより、当該部位への接触が感知され、操作者が当該部位を指定したと認識される。なお、トラックボール等により表示機器50内のカーソルを操作し、表示機器50に表示される超音波断層画像における所定の部位を操作者が指定するようにしてもよい。
剣状突起が生体参照部位Rに設定されている場合には、ボタンの押下に続く、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位への指定はない(ステップS22のNo)。制御回路112は、ステップS21で取得した超音波プローブ20の位置を、参照部位の位置として登録する(ステップS23)。
一方で、生体参照部位は、体表に存在するとは限らない。生体参照部位が、例えば、僧帽弁、及び網脈分岐部等、体内に存在する場合もある。このような場合、ボタンの押下に続き、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位が指定される(ステップS22のYes)。ボタンの押下に続き、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位が指定されると、制御回路112は、指定指示が入力された時点で位置検出装置33により算出された超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)と、超音波断層画像において指定された部位の超音波断層画像内の位置(x’,y’)とを取得する。図4は、表示機器50に表示される超音波断層画像において生体参照部位Rを指定する際の模式図を示す図である。
画像演算回路16は、超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)と、超音波断層画像内の位置(x’,y’)とが取得されると、参照部位制御機能161を実行する。参照部位制御機能161の実行により画像演算回路16は、超音波プローブ20の位置(x,y,z,θx,θy,θz)と、超音波断層画像内の位置(x’,y’)とから、位置センサシステム30により規定される3次元空間における、超音波断層画像において指定された部位の位置を算出する(ステップS24)。制御回路112は、算出された位置を、体内における生体参照部位Rの位置として登録する(ステップS23)。
なお、操作者は、生体参照部位を設定する際に、過去の診察において取得された同一患者に関する過去画像データを参照してもよい。過去画像データには、超音波画像データ、CT画像データ、MR画像データ、PET画像データ、及びX線画像データが含まれる。制御回路112は、参照した過去画像データを取得する画像データと対応させて内部記憶回路18に記憶してもよい。
また、ステップS22〜S24では、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位への指定に基づき、体内に存在する生体参照部位の位置を取得する場合を例に説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。超音波診断装置1は、表示機器50に、過去の診察において同一の被検体から取得され、リアルタイムに取得される超音波断層画像と同等の位置に相当する領域を含む3次元超音波画像、3次元CT画像、3次元MR画像、又は3次元X線画像を参照画像として表示させ、超音波検査時に操作者に参照させる画像参照機能を備えていてもよい。なお、このような画像参照機能を実現するには、超音波検査の実施に先立ち、超音波プローブ20の位置と、3次元画像内の位置とを関連付けておく必要がある。以下に、表示機器50に過去の3次元CT画像を参照画像として表示させた場合の処理を具体的に説明する。
位置センサシステム30の座標系と、3次元CTデータの座標系とは、所望の方法で、事前に位置合わせが行われる。
制御回路112は、操作パネル61、又は超音波プローブ20に設けられるボタンの押下に続き、表示機器50に表示される、3次元CT画像における任意の部位への指定があるか否かを判断する。ボタンの押下に続き、表示機器50に表示される3次元CT画像における任意の部位への指定がある場合、制御回路112は、指定された時点で位置検出装置33により算出された超音波プローブ20の位置と、3次元CT画像において指定された部位の3次元CT画像内の位置とを取得する。画像演算回路16は、超音波プローブ20の位置と、3次元CT画像内の位置とが取得されると、これらの位置に基づき、位置センサシステム30により規定される3次元空間における、3次元CT画像において指定された部位の位置を算出する。制御回路112は、算出された位置を、生体内における生体参照部位Rの位置として登録する。
また、ステップS22では、表示機器50に表示される超音波断層画像における任意の部位が操作者により指定される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。表示機器50に表示される超音波断層画像、又は参照画像における任意の部位は、画像解析機能により所望の部位を自動認識することで指定されてもよい。
生体参照部位Rが登録されると、操作者は、超音波プローブ20を用いて被検体Pの超音波検査を実施する。超音波プローブ20の位置は、位置センサシステム30により検出され、位置情報として本体装置10へ出力される(ステップS25)。超音波プローブ20は、被検体Pを2次元で走査する複数の超音波振動子により、例えば用手的に被検体Pを3次元で走査する。超音波プローブ20から被検体Pへ送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ20で受信される。超音波受信回路12は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成する(ステップS26)。
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータを生成する。3次元データ発生回路15は、Bモード処理回路13により生成された2次元的なBモードRAWデータに対してRAW−ピクセル変換を実行することで、位置情報が付加された複数の2次元画像データを発生する(ステップS27)。複数の2次元画像データは、用手的に移動しながら収集された複断層画像を表す。表示処理回路17は、発生された複数の2次元画像データのうち1つの2次元画像データをビデオ信号に変換し、表示機器50に表示させる(ステップS28)。
操作者は、超音波プローブ20を移動させながら、表示機器50に表示される2次元画像を注視し、表示される2次元画像に所望の構造等が含まれると判断した場合、入力インタフェース回路110を介してフリーズ操作を実施する。フリーズ操作直前の複数フレームに対応する2次元画像データは、画像メモリ19に保存される。操作者は、画像メモリ19に保存される2次元画像を確認し、保存される2次元画像が内部記憶回路18に記憶するべき2次元画像であると判断する場合、入力インタフェース回路110を介してこの位置情報が付加された2次元画像に対する記憶操作を実施する。このとき、所定のスイッチ操作を開始点として、所定の時間の経過時、又は次のスイッチ操作まで、位置情報が付加された2次元画像に対する記憶操作が実施されるようにしてもよい。
制御回路112は、記憶操作が実施されたか否かを判断する(ステップS29)。記憶操作が実施された場合(ステップS29のYes)、制御回路112は、記憶操作の対象となった2次元画像データに位置情報を付加して内部記憶回路18に記憶する(ステップS210)。2次元画像データには、座標変換後の生体座標系に関する位置情報が付加されて記憶されても構わない。位置センサ32が装着されている超音波プローブ20がメカニカル4次元プローブ(機械揺動方式の3次元プローブ)、又は2次元アレイプローブの場合、制御回路112は、記憶操作の対象となった2次元画像データと同時に、超音波プローブ20の揺動、又は電子的なスライス方向への走査により生成された複数の2次元画像データF1〜Fnに、超音波プローブ20の位置と、3次元操作情報とに基づいて算出される位置情報を付加して内部記憶回路18に記憶する(ステップS210)。なお、2次元画像データF1〜Fnは、座標変換後の生体座標系に関する位置情報が付加されて記憶されても構わない。F1〜Fnは、2次元画像データを取得した順序を表す。記憶操作が実施されなかった場合(ステップS29のNo)、制御回路112は、フリーズ操作を解除し、処理をステップS25へ移行する。なお、ステップS29がなく、常時、画像に位置情報がリアルタイムに付加されることも考えられる。
図5は、本実施形態に係る超音波診断装置1がマップ表示画像データを表示機器50に表示させる処理の流れの例を示す図である。図5の説明において、2次元画像データF1〜Fnは、図2に示される処理により内部記憶回路18に記憶されているものとする。
操作者は、過去の超音波検査をレビューする際、又は実施した超音波検査についてのレポートを作成する際、過去の検査で取得された2次元超音波画像を表示機器50に表示させる表示指示を入力インタフェース回路110を介して入力する。表示指示が入力されると、制御回路112は、過去の検査で取得された複数の2次元画像データから、所望する2次元画像データを効率的に選択可能なように、表示機器50に複数の2次元画像データを表示させる。例えば、過去の検査で取得された複数の2次元画像データは、表示画面上に各2次元画像データを表すサムネイル画像で表示されてもよい。また、過去の検査で取得された複数の2次元画像データは、診断情報、操作情報、画像条件情報、超音波データ、及び取得位置等を利用して、グルーピング、又はソートされて表示されてもよい。
なお、操作者からの表示指示に応じた表示は、以下のようにされてもよい。表示指示が入力されると、画像演算回路16は画像発生機能163を実行し、登録されている生体参照部位の位置を読み出す。画像発生機能163の実行により画像演算回路16は、読み出した生体参照部位の位置に基づき、生体座標系の座標軸のみを表す画像データを発生させる。生体座標系の座標軸のみを表す画像データは、表示処理回路17での処理を介して表示機器50に表示される。そして、表示機器50に表示されている生体座標系の座標軸における所定の部位を、操作者が入力インタフェース回路110からの入力により指定可能なようにしてもよい。生体座標系の座標軸における所定部位を指定すると、指定された部位、又は指定された部位近傍で取得された2次元画像データが選択されたと認識される。
制御回路112は、操作者により2次元画像データF1〜Fnが選択されると、内部記憶回路18から2次元画像データF1〜Fnを読み出す(ステップS51)。2次元画像データF1〜Fnが発生されると、画像演算回路16は、座標変換機能162を実行する。2次元画像データF1〜Fnには、位置情報が付加されている。座標変換機能162の実行により画像演算回路16は、2次元画像データF1〜Fnに付加されている位置座標を、生体参照部位Rの位置に基づいて定義される生体座標系へ変換する(ステップS52)。図6は、剣状突起を生体参照部位Rとし、生体参照部位Rの位置情報を図3に示されるように取得した際の生体座標系を示す図である。また、図7は、生体参照部位Rが体内に存在し、生体参照部位Rの位置情報を図4に示されるように取得した際の生体座標系を示す図である。
続いて、画像演算回路16は、画像発生機能163を実行する。画像発生機能163の実行により画像演算回路16は、2次元画像データF1〜Fnを、生体座標系の3次元空間における対応位置に配列したマップ表示画像データを発生する(ステップS53)。発生されたマップ表示画像データは、表示処理回路17での各種処理を経て表示機器50に表示される(ステップS54)。
図8は、表示機器50に表示されるマップ表示画像データの例を示す図である。図8に示されるマップ表示画像は、剣状突起を生体参照部位Rとし、この生体参照部位Rに超音波プローブ20を当接させた際に取得されるマップ表示画像データを表示機器50に表示させたものである。剣状突起に超音波プローブ20を当接させて取得される2次元画像データF1〜Fnには、例えば、肝臓等の臓器の画像が含まれる。図8に示される座標軸は、図6に示される座標軸と一致する。図8によれば、2次元画像データF1に基づく2次元画像F1は、2次元画像F1における超音波の送信位置が生体座標系における原点と一致するように配置される。2次元画像データF2〜Fnに基づく2次元画像F2〜Fnは、2次元画像F1からz軸方向に揺動角度に応じた距離だけ隔てた位置に配置される。
操作者は、マップ表示画像の表示方向を、入力インタフェース回路110を介した入力により変化させることが可能である。図9は、図8に示されるマップ表示画像をy軸方向から表示した際の表示例を示す図である。また、操作者は、マップ表示画像において、最手前に表示される2次元画像を、入力インタフェース回路110を介した入力により選択することが可能である。図10は、例えば、スライダースイッチの操作により、2次元画像Fmを最手前に表示させた場合のマップ表示画像の例を示す図である。なお、操作者は、最手前に表示される2次元画像を、マウス、又はタッチコマンドスクリーンを用い、マップ表示画像に含まれる2次元画像群から直感的に選択してもよい。また、操作者は、マップ表示画像において、表示される2次元画像を、入力インタフェース回路110を介した入力により選択することが可能である。図11は、例えば、スライダースイッチの操作により、2次元画像Fmのみを表示させた場合のマップ表示画像の例を示す図である。なお、操作者は、表示される2次元画像を、マウス、又はタッチコマンドスクリーンを用い、マップ表示画像に含まれる2次元画像群から直感的に選択してもよい。
なお、画像演算回路16の画像発生機能163により発生される画像データは、マップ表示画像データに限られない。画像発生機能の実行により画像演算回路16は、マップ表示画像データと、マップ表示画像データで示される2次元画像データ群の中から選択される2次元画像データとを含む画像データを発生してもよい。図12乃至図15は、マップ表示画像データと、2次元画像データとを含む画像データの表示例を示す図である。図12乃至図15に示される画像は、2次元画像を表示する第1の表示領域G10、及びマップ表示画像を表示する第2の表示領域G20を有する。
第1の表示領域G10には、第1の表示領域G10で表示される2次元画像を、マップ表示画像データに含まれる2次元画像群から選択するための表示バーG30が含まれる。表示バーG30において、操作者は入力インタフェース回路110からの入力により、指示子G31を左右に移動させることが可能である。指示子G31の移動に応じて表示される2次元画像が切り替わる。このとき、表示バーG30において2次元画像が並べられる順番は、位置に関連した順番でもよいし、収集時刻の順番であっても構わない。本実施形態では、表示バーG30において2次元画像が位置に関連した順番で並べられる場合を例に説明する。また、第1の表示領域G10には、アノテーション情報D1、MI値等の超音波送信条件情報D2、及び取得時刻情報D3等の超音波データが内部記憶回路18から読み出されて表示される。
図12及び図13は、第2の表示領域G20に表示されるマップ表示画像において選択される2次元画像F1が第1の表示領域G10に表示される場合を示している。このとき、表示バーG30における指示子G31は左端に位置する。操作者は、例えば、スライダースイッチを操作することで、マップ表示画像に含まれる2次元画像群から所望の2次元画像を選択することが可能である。なお、操作者は、マウス又はタッチコマンドスクリーンによりマップ表示画像に接触することで、マップ表示画像に含まれる2次元画像群から所望の2次元画像を直感的に選択してもよい。また、操作者は、マウス又はタッチコマンドスクリーンにより表示バーG30における指示子G31を操作することで、マップ表示画像に含まれる2次元画像群から所望の2次元画像を選択してもよい。
図14及び図15は、第2の表示領域G20に表示されるマップ表示画像において選択される2次元画像Fmが第1の表示領域G10に表示される場合を示している。このとき、表示バーG30における指示子G31は例えば、中央近傍に位置する。
また、画像演算回路16の画像発生機能163により発生される画像データは、上記画像データに限られない。画像発生機能163の実行により画像演算回路16は、生体内の臓器等の構造物を模式的に表した画像(以下、アトラス画像と称する。)にマップ表示画像データを重畳させた画像データを発生してもよい。図16乃至図19は、アトラス画像にマップ表示画像データを重畳させた画像データの表示例を示す図である。図16乃至図19に示される画像は、2次元画像を表示する第1の表示領域G10、及びアトラス画像G41にマップ表示画像を重畳表示させる第3の表示領域G40を有する。
このとき、アトラス画像G41上におけるマップ表示画像の表示位置を、2次元画像データの取得位置に対応する位置とすると、2次元画像データの取得位置をより効果的に理解することが可能である。例えば、図16乃至図19によれば、マップ表示画像は、2次元画像データが取得された剣状突起の位置、すなわち、生体座標系の原点が、アトラス画像G41上の剣状突起に位置するように、アトラス画像G41に重畳されている。このため、図16乃至図19によれば、2次元画像データF1,Fmが剣状突起状で取得されたことを容易に理解することが可能となる。2次元画像データが取得された位置と、アトラス画像G41上の表示位置とを対応付ける方法は、例えば、生成した2次元画像データに、このデータを取得した臓器等の構造物に関する参照情報を付加する方法、生体座標系についての座標情報をアトラス画像G41に予め割り当てておく方法等、種々の方法がある。また、図16乃至図19では、2次元のアトラス画像G41にマップ表示画像データを重畳させる場合を例に示したが、アトラス画像は2次元に限定されず、3次元であっても構わない。
なお、アトラス画像を表示する際、アトラス画像に描かれる臓器等の構造物の大きさ、形状、及び位置等を、被検体Pの体格等に合わせて調整すると、2次元画像データの取得位置をさらに効果的に理解することが可能である。被検体Pの体格等に関する情報、すなわち、体格情報は、例えば、被検体Pの3次元的な位置情報を複数点登録することで取得可能である。例えば、図20に示されるように、生体参照部位の位置を登録する際に、左右の身体側の位置も体格情報として登録しておく。画像発生機能163の実行により画像演算回路16は、登録した体格情報に基づき、アトラス画像に描かれる臓器等の構造物の大きさ、形状、及び位置等を補正する。体格情報に基づくアトラス画像の補正処理は、乳房等、被検体間の個体差が比較的大きな構造物について取得された超音波画像をアトラス画像に重畳させる際に効果的である。また、このような補正処理は、脚、及び腕について取得された超音波画像をアトラス画像に重畳させる際においても効果的である。
また、表示機器50に表示されているアトラス画像における所定の部位を、操作者が入力インタフェース回路110からの入力により指定可能なようにしてもよい。図5におけるステップS51では、表示機器50に表示される複数の2次元画像データから所望の2次元画像データを選択する場合を例に説明した。アトラス画像の所定部位を操作者が入力インタフェース回路110を介して指定すると、指定された部位、又は指定された部位近傍で取得された2次元画像データが配置されたマップ表示画像データがアトラス画像上に表示されるようにしてもよい。なお、アトラス画像上の指定部位と、2次元画像データが取得された部位とを対応付ける方法は、例えば、生成した2次元画像データに、このデータを取得した臓器等の構造物に関する参照情報を付加する方法、生体座標系についての座標情報をアトラス画像に予め割り当てておく方法等、種々の方法がある。また、アトラス画像の所定部位を指定するカーソルを、超音波プローブ20の形状を模した形状としてもよい。画像演算回路16は、超音波プローブ形状のカーソルによりアトラス画像の所定部位が指定されると、同様の姿勢の超音波プローブ20により実際に取得された2次元画像データが配置されたマップ表示画像データをアトラス画像上に表示する。これにより、操作者は、2次元画像データが取得された位置をより直感的に理解することが可能となる。
また、画像演算回路16の画像発生機能163により発生される画像データは、上記画像データに限られない。画像発生機能163の実行により画像演算回路16は、過去の診察において取得された同一患者に関するCT画像データ、又はMR画像データにマップ表示画像データを重畳させた画像データを発生してもよい。なお、このときのCT画像データ、及びMR画像データは、2次元画像データであっても3次元画像データであっても構わない。このとき、CT画像上、又はMR画像上における2次元画像の表示位置を、2次元画像データの取得位置に対応する位置とすると、2次元画像データの取得位置をより効果的に理解することが可能である。2次元画像データの取得位置と、CT画像上、又はMR画像上の表示位置とを対応付ける方法は、例えば、生成した2次元画像データに、このデータを取得した臓器等の構造物に関する参照情報を付加する方法、生体座標系についての座標情報をCT画像上、又はMR画像上に予め割り当てておく方法等、種々の方法がある。
また、表示機器50に表示されているCT画像、又はMR画像における所定の部位を、操作者が入力インタフェース回路110からの入力により指定可能なようにしてもよい。図5におけるステップS51では、表示機器50に表示される複数の2次元画像データから所望の2次元画像データを選択する場合を例に説明した。CT画像、又はMR画像の所定部位を操作者が入力インタフェース回路110を介して指定すると、指定された部位、又は指定された部位近傍で取得された2次元画像データが配置されたマップ表示画像データがCT画像上、又はMR画像上に表示されるようにしてもよい。CT画像上、又はMR画像上の指定部位と、2次元画像データが取得された部位とを対応付ける方法は、例えば、生成した2次元画像データに、このデータを取得した臓器等の構造物に関する参照情報を付加する方法、生体座標系についての座標情報をアトラス画像に予め割り当てておく方法等、種々の方法がある。また、CT画像、又はMR画像の所定部位を指定するカーソルを、超音波プローブ20の形状を模した形状としてもよい。画像演算回路16は、超音波プローブ形状のカーソルによりCT画像、又はMR画像の所定部位が指定されると、同様の姿勢の超音波プローブ20により実際に取得された2次元画像データが配置されたマップ表示画像データをCT画像上、又はMR画像上に表示する。これにより、操作者は、2次元画像データが取得された位置をより直感的に理解することが可能となる。
また、図5では、過去の超音波検査をレビューする際、又は実施した超音波検査についてのレポートを作成する際にマップ表示画像データが表示される場合の処理を説明した。しかしながら、これに限定されない。画像演算回路16の画像発生機能163は、超音波検査において2次元画像データを取得している最中に実行されてもよい。このとき、表示機器50には、図8乃至図19のうちいずれかに示される画像に加え、リアルタイムで取得されている2次元画像データに基づく2次元画像が表示される。
なお、リアルタイムで取得されている2次元画像と共に表示するマップ表示画像データに配置される2次元画像データ群は、表示されている2次元画像と同一の検査で取得されたものが更新されながら表示されてもよいし、同一の被検体に対して過去に実施された検査で取得されたものが表示されてもよい。このとき、過去の検査で登録された生体参照部位の位置と、現在の検査で登録されている生体参照部位の位置とを一致させる必要がある。リアルタイムで取得される2次元画像と共に、同一の検査で取得されるマップ表示画像を更新しながら表示することにより、操作者は、別の方向から確認するべき部位を正確に把握することが可能となる。また、リアルタイムで取得される2次元画像と共に、過去の検査で取得されたマップ表示画像を表示することにより、操作者は、関心領域の経過を認識しながら検査を進めることが可能となる。
以上のように、本実施形態では、画像演算回路16は、記憶されている画像データに付加されている、所定の3次元座標系の位置情報を、生体参照部位についての位置情報に基づき、生体座標系の位置へ変換する。そして、画像演算回路16は、変換した位置情報に基づき、画像データを生体座標系の3次元空間において俯瞰的に表示するマップ表示画像データを発生するようにしている。これにより、マップ表示画像データを見れば、画像データが超音波プローブを生体表面のどの位置に当接させ、超音波プローブを体内のどの方向に向けた際に取得された画像なのかを、走査者でなくても容易に理解することが可能となる。
したがって、本実施形態に係る超音波診断装置1によれば、超音波診断の客観性を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、位置センサシステム30が位置センサ32を備える場合を説明した。しかしながら、位置センサシステム30に備えられる位置センサは、1台に限定されない。位置センサシステム30は、第2の位置センサ34を備えてもよい。図21に示されるように、第2の位置センサ34は、例えば、被検体Pの体表における生体参照部位である剣状突起に貼り付けられる。位置検出装置33は、第2の位置センサ34の位置情報を本体装置10へ送信する。制御回路112は、第2の位置センサ34の位置を生体参照部位の位置であると認識する。なお、生体参照部位が体内に存在する場合には、第2の位置センサ34の位置と、超音波断層画像内の指定部位の位置とから、生体参照部位の位置を算出する。これにより、被検体Pが検査中に動いた場合、及び検査中に被検体Pの体位を変更する必要が生じた場合においても、継続して生体参照部位を認識し続けることが可能となる。また、経過観察において、同じ場所の生体参照部位に第2の位置センサ34を設置することにより、共通の生体座標系が生成され、簡便に同じ場所の臓器を観察し、比較することができる。
また、上記実施形態では、位置センサを利用した位置センサシステム30を利用して生体参照部位の位置を取得する場合を例に説明した。しかしながら、位置センサシステム30は、位置センサを利用するものに限定されない。例えば、図22に示されるように、ロボットアーム140を利用した位置センサシステムであっても構わない。
ロボットアーム140のロボットアーム制御部141は、ロボットアーム140を駆動させる。ロボットアーム140のプローブホルダ142で支持される超音波プローブ20の位置は、ロボットアーム140に取り付けられるロボットアームセンサ143からの出力に基づいて取得される。ロボットアームセンサ143には、位置センサ、速度センサ、加速度センサ、及び圧力センサ等が用いられる。ロボットアーム140の操作者は、超音波プローブ20が生体参照部位に当接すると、ロボットアーム制御部141に設けられる、例えばボタン等から成る入力手段から指定指示を入力する。制御回路112は、指定指示が入力された時点で把握されているロボットアーム140の位置を、生体参照部位の位置として登録する。
なお、位置センサシステムに備えられるロボットアームは、1台に限定されない。位置センサシステムは、第2のロボットアームを備えてもよい。第2のロボットアームは、例えば、被検体Pの体表における生体参照部位を追従するように制御される。ロボットアーム制御部141は、第2のロボットアームの位置を把握しながら、第2のロボットアームの移動を制御する。制御回路112は、第2のロボットアームが追従する位置を生体参照部位の位置であると認識する。なお、生体参照部位が体内に存在する場合には、第2のロボットアームが追従する位置と、超音波断層画像内の指定部位の位置とから、生体参照部位の位置を算出する。これにより、被検体Pが検査中に動いた場合、及び検査中に被検体Pの体位を変更する必要が生じた場合においても、継続して生体参照部位を認識し続けることが可能となる。
また、上記実施形態では、位置センサを利用した位置センサシステム30を利用して生体参照部位の位置を取得する場合を例に説明した。しかしながら、位置センサシステム30は、位置センサを利用するものに限定されない。例えば、図23に示されるように、カメラ等の撮像装置150を利用した位置センサシステムであっても構わない。
撮像装置150を、例えば、被検体Pの全身が撮影可能な位置に設置する。画像解析装置は、撮像装置により撮影された画像を解析することで、超音波プローブ20の3次元座標系における位置を認識する。超音波診断装置1の操作者は、超音波プローブ20を生体参照部位に当接させると、超音波プローブ20に設けられる入力手段から指定指示を入力する。制御回路112は、指定指示が入力された時点で認識している超音波プローブ20の位置を、生体参照部位の位置として登録する。
また、上記実施形態では、画像演算回路16が、図1に示されるよう超音波診断装置1に設けられる場合を例に説明した。しかしながら、画像演算回路16が設けられる装置は、超音波診断装置1に限定される訳ではない。画像演算回路16は、例えば、ワークステーションのような医用画像処理装置に設けられてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサ毎に単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。