しかし、上記従来構成では、脱穀処理した穀粒の中から計測対象となる穀粒をサンプリングして、内部品質を計測したのちに、計測が終了した穀粒を外部に排出させるようになっているので、サンプリングされた穀粒が廃棄されるので無駄なものになってしまう不利があった。
本発明の目的は、計測対象となる穀粒を無駄にすることなく、刈取作業の実行中に穀粒の内部品質を計測することが可能となるコンバインを提供する点にある。
本発明に係るコンバインは、刈取穀稈を脱穀処理して得られた穀粒を回収するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記脱穀処理して得られた穀粒の一部を機体内部の存在予定箇所から計測対象としてサンプリングするサンプリング手段と、前記サンプリング手段にてサンプリングされた穀粒の内部品質を計測する光学式の内部品質計測手段とが備えられ、
前記サンプリング手段が、前記内部品質計測手段による計測が終了したのちに、サンプリングした計測対象用の穀粒を前記存在予定箇所に戻すように構成されている点にある。
第1特徴構成によれば、サンプリング手段によって脱穀処理して得られた穀粒の一部が機体内部の存在予定箇所から計測対象としてサンプリングされる。そして、光学式の内部品質計測手段によってサンプリング手段によりサンプリングされた穀粒の内部品質が計測され、その計測が終了したのちに、サンプリング手段は計測が行われた穀粒を存在予定箇所に戻す。
このように内部品質を計測するための計測対象用の穀粒をサンプリングしたのち、光学式の内部品質計測手段によって非破壊の状態で内部品質を計測し、且つ、計測したのちに穀粒を存在予定箇所に戻すようにしたので、計測対象となる穀粒を無駄にすることなく、刈取作業の実行中に穀粒の内部品質を計測することが可能となった。
本発明の第2特徴構成は、前記存在予定箇所が脱穀処理された穀粒を貯留する穀粒タンクの貯留用空間にて構成され、
前記サンプリング手段が、前記穀粒タンク内に備えられて、この穀粒タンクの外部から前記貯留用空間に供給される穀粒の一部を受け止め保持する保持状態と、穀粒を前記貯留用空間に戻す排出状態とに切り替え可能に構成された受け止め保持部を備えて構成され、
前記内部品質計測手段が、前記受け止め保持部に保持されている穀粒を計測対象用の穀粒として穀粒の内部品質を計測するように構成されている点にある。
第2特徴構成によれば、穀粒を回収するために備えられる穀粒タンク内にサンプリング手段を備える構成とし、サンプリング手段は、保持状態に切り換えられた受け止め保持部により、穀粒タンクの外部から貯留用空間に供給される穀粒の一部を受け止め保持するようになっており、内部品質計測手段が受け止め保持部に保持されている穀粒の内部品質を計測したのちに、受け止め保持部を排出状態に切り換えることにより、穀粒を穀粒タンクの貯留用空間に戻すことができる。
従って、刈取穀稈を脱穀処理して得られた穀粒を貯留するために備えられる穀粒タンクにおける内部の貯留用空間を利用して、穀粒をサンプリングするとともに、内部品質の計測を行ったのちにそのまま穀粒タンク内に戻すことができる。
本発明の第3特徴構成は、前記受け止め保持部が、外部から供給される穀粒の一部を回収可能なように上部が開口された有底箱状体を備えて構成され、且つ、この有底箱状体における底板が穀粒を保持する閉状態と穀粒を下方に排出する開状態とに揺動自在に構成され、
前記サンプリング手段が、前記底板を開状態と閉状態とに切り換え操作するアクチュエータと、前記受け止め保持部に穀粒が所定量以上供給されたことを検出する供給状態検出手段と、前記供給状態検出手段にて穀粒が所定量以上供給されたことが検出されると、前記内部品質計測手段にて計測処理を実行させ、その後、前記底板を開状態に切り換えて穀粒を排出させて閉状態に戻す穀粒排出処理を実行するように前記アクチュエータを作動させる制御手段とを備えて構成されている点にある。
第3特徴構成によれば、底板を閉状態に切り換えるようにアクチュエータを作動させている状態で、外部から供給される穀粒の一部を有底箱状体にて受け止めて回収することができる。そして、受け止め保持部に穀粒が所定量以上供給されたことが供給状態検出手段にて検出されると、内部品質計測手段にて計測処理を実行して、その後、底板を開状態に切り換えたのち、底板を閉状態に戻すようにアクチュエータを作動させることにより、受け止め保持部に受け止められている穀粒を排出させるとともに、その後は有底箱状体にて穀粒を受け止める状態に設定することができる。
従って、制御手段により、上記したような内部品質計測手段の計測とアクチュエータによる底板の開閉操作とを繰り返し実行することで、穀粒をサンプリングして内部品質を計測したのち穀粒を穀粒タンク内に戻すことを繰り返し行うことが可能となる。
本発明の第4特徴構成は、前記受け止め保持部の下方側の近傍位置に穀粒が存在するか否かを検出する穀粒存否検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記穀粒存否検出手段にて穀粒の存在が検出されなければ、刈取作業に伴って前記受け止め保持部に穀粒が所定量以上供給されたことが前記供給状態検出手段にて検出される毎に、前記計測処理を実行させた後に前記排出処理を実行し、
前記穀粒存否検出手段にて穀粒の存在が検出されると、その後は、前記計測処理及び前記穀粒排出処理を実行しないように構成されている点にある。
第4特徴構成によれば、穀粒存否検出手段により穀粒の存在が検出されなければ、受け止め保持部の下方側の近傍位置に穀粒が存在しないので、制御手段が、受け止め保持部に穀粒が所定量以上供給されたことが供給状態検出手段にて検出される毎に繰り返し計測処理と穀粒排出処理とを実行することになる。
穀粒存否検出手段にて穀粒の存在が検出される状態では、受け止め保持部の下方側の近傍位置に穀粒が存在することになるので、有底箱状体における底板を開状態に切り換えようとしても貯留されている穀粒に接当して開状態に切り換えることができない。このとき、アクチュエータを作動させて底板を無理に開状態にさせるとアクチュエータが故障したり、底板が詰まって良好に作動しなくなる等のおそれがある。そこで、制御手段が、穀粒存否検出手段にて穀粒の存在が検出されると、その後は計測処理及び穀粒排出処理を実行しないようにしている。
つまり、受け止め保持部の下方側の近傍位置にまで穀粒が貯留されるまでの間は、繰り返し計測処理及び穀粒排出処理を良好に実行することができ、受け止め保持部の下方側の近傍位置にまで穀粒が貯留されたのちは、底板を無理に開状態にさせてアクチュエータが故障したり、底板が詰まって良好に作動しなくなる等の不利がなく、計測処理と穀粒排出処理とを長期にわたって良好な状態で行えるものとなる。
本発明の第5特徴構成は、前記穀粒タンクの内部に、前記受け止め保持部の下方側に排出された穀粒を貯留するサンプリング穀粒回収空間が、前記穀粒タンクにおける前記貯留用空間と仕切り部材により仕切られる状態で備えられ、
前記サンプリング穀粒回収空間に貯留される穀粒を前記貯留用空間に貯留される穀粒と共に外部に排出する穀粒排出手段が備えられている点にある。
第5特徴構成によれば、刈取穀稈を脱穀処理して得られた穀粒が穀粒タンクにおける内部の貯留用空間に貯留されるが、受け止め保持部により穀粒タンクの外部から貯留用空間に供給される穀粒の一部が受け止めて保持される。この受け止め保持部により保持される穀粒は内部品質計測手段により内部品質の計測が行われたのち、貯留用空間と仕切り部材により仕切られる状態で備えられたサンプリング穀粒回収空間に排出される。
そして、貯留用空間に所定量の穀粒が貯留されると、穀粒排出手段によって貯留用空間に貯留される穀粒と共にサンプリング穀粒回収空間に貯留される穀粒を外部に排出することができる。
サンプリング穀粒回収空間は貯留用空間と仕切り部材により仕切られているので、貯留用空間に多くの穀粒が貯留されていても、サンプリング穀粒回収空間は、計測処理後の穀粒だけが貯留されるだけであるから穀粒の貯留量は少なく、サンプリング穀粒回収空間の上方空間、つまり、受け止め保持部の下方側箇所は開放された状態になっている。つまり、貯留用空間に満杯状態またはそれに近い多量の穀粒を貯留させても、受け止め保持部における底板が貯留される穀粒に接当して開状態への揺動操作が阻害される等の不利がなく、底板を開状態に切り換えることを良好に行うことができる。
従って、穀粒のサンプリングと内部品質の計測処理とを良好に行えるものでありながら、貯留用空間の容量を有効に利用して穀粒を極力多く貯留することが可能となった。
本発明の第6特徴構成は、脱穀処理された穀粒を前記穀粒タンク内に搬送する搬送装置が、前記穀粒タンクの上部に形成された供給口から回転羽根により前記穀粒タンク内に跳ね飛ばし供給するように構成され、
前記受け止め保持部が、前記供給口よりも低い箇所に位置する状態で備えられている点にある。
第6特徴構成によれば、脱穀処理された穀粒が搬送装置により穀粒タンク内に搬送されるが、そのとき、穀粒タンクの上部に形成された供給口から回転羽根により穀粒タンク内に跳ね飛ばし供給される。このように回転羽根により穀粒タンク内に跳ね飛ばし供給することによって、穀粒タンクの内部に偏りが少なく極力均平な状態で穀粒を貯留することができる。
そして、受け止め保持部が供給口よりも低い箇所に位置する状態で備えられているから、受け止め保持部は回転羽根により跳ね飛ばし供給される穀粒が受け止め保持部に向けて放出されることになり、受け止め保持部によって脱穀処理された穀粒の一部を適切に受け止め保持することができる。
本発明の第7特徴構成は、前記内部品質計測手段が、前記存在予定箇所の外部から内方に向けて光を投射する投光部と、前記存在予定箇所に位置する穀粒から外方に向けて放出される光を受光する受光部とを備えた反射型の光学式内部品質計測装置にて構成されている点にある。
第7特徴構成によれば、内部品質計測装置は、投光部が存在予定箇所の外部から内方に向けて光を投射し、受光部が存在予定箇所の内部に位置する穀粒から外方に向けて放出される光を受光する反射型に構成されるものであるから、例えば、存在予定箇所に対して平坦な透光箇所を通して計測することで対応できるので、存在予定箇所の壁部分の構造を複雑にすることなく簡単な構成で穀粒の内部品質を計測することができる。
本発明の第8特徴構成は、前記内部品質計測手段が、穀粒の内部品質として食味を計測するように構成されている点にある。
第8特徴構成によれば、内部品質計測手段が穀粒の内部品質として食味を計測することになる。そして、例えば、食味の評価値が高い穀粒はそれだけ商品価値が高いので、食味の評価値が低い穀粒と区別して管理しながらその後の処理を行う等、食味の違いに応じて穀粒の取り扱い方を変更させることが可能となる。
以下、図面に基づいて、本発明に係るコンバインの実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、コンバインは、自脱型に構成され、左右一対のクローラ走行装置2を備えるとともに、機体前部に収穫対象の植立穀稈を刈り取り刈取穀稈を機体後方に向けて搬送する刈取部5が備えられ、その後方に、操縦部4、刈取穀稈を脱穀・選別する脱穀装置6、脱穀装置6にて選別回収された穀粒を貯留する穀粒タンク9、排ワラを処理する排ワラ処理装置7等が装備されている。そして、エンジン3、操縦部4、脱穀装置6、穀粒タンク9等が機体フレーム1にて載置支持される構成となっている。
図示は省略するが、エンジン3からの動力が左右のクローラ走行装置2に伝達される一方、その走行用の伝動系から分岐した動力が刈取搬送用の伝動系を介して刈取部5に伝達され、さらに、エンジン3からの動力が脱穀装置6に伝達される一方、そこから分岐した動力が排ワラ処理装置7に伝達されるように伝動系が構成されている。
脱穀装置6は、刈取部5から搬送された刈取穀稈の株元側を図示しないフィードチェーンにより挟持して搬送しながら、扱室内で回転駆動される扱胴(図示せず)により穂先側を扱いて脱穀処理して、脱穀装置6の内部に備えられた選別機構(図示せず)による選別作用により、脱穀処理物を、単粒化した穀粒とワラ屑等の塵埃とに選別し、単粒化した穀粒を回収して穀粒タンク9に搬送して回収し、塵埃は機外に排出するように構成されている。又、脱穀処理されたあとの排ワラは排ワラ処理装置7にて細断処理されるように構成されている。
図2に示すように、脱穀装置6の底部に一番物回収スクリュー10が備えられ、この一番物回収スクリュー10により穀粒を機体横幅方向に沿って穀粒タンク9側に横送り搬送するように構成され、又、脱穀装置6と穀粒タンク9との間には、一番物回収スクリュー10と図示しないベベルギア伝動機構により連動連結される状態で搬送装置としてのスクリューコンベア式の揚穀装置12が備えられている。
そして、図2及び図4に示すように、一番物回収スクリュー10にて横送りされた穀粒は、揚穀装置12にて上方に搬送されて、その揚穀装置12の上端部に形成された吐出口13から穀粒タンク9の左側壁部9Aの上部に形成された供給口14を通して穀粒タンク9内に搬送するように構成されている。
図4に示すように、揚穀装置12の駆動軸12aの上端部には、穀粒を穀粒タンク9内に向けて跳ね飛ばす回転羽根12bが設けられ、穀粒を極力均した状態で穀粒タンク9内に貯留させることができるように構成されている。
図1に示すように、穀粒タンク9の底部に穀粒を機体後方側に向けて搬送する搬出用底スクリュー15が備えられ、穀粒タンク9の機体後部側に、搬出用底スクリュー15とベベルギア伝動機構(図示せず)を介して連動連結される状態で、搬送終端部から穀粒を揚上搬送する縦送りスクリューコンベア16が備えられている。又、縦送りスクリューコンベア16の上部には、揚上搬送された穀粒を横送り搬送して先端の排出口17から排出する横送りスクリューコンベア18の基端部が水平軸芯P1周りで上下揺動自在にベベルギア伝動機構(図示せず)を介して連動連結されている。
つまり、穀粒タンク9内に貯留される穀粒は、搬出用底スクリュー15、縦送りスクリューコンベア16、及び、横送りスクリューコンベア18により搬送されて排出口17から外部に排出することができるように構成されている。
縦送りスクリューコンベア16は、減速機付きの電動モータ19の作動により縦軸芯P2周りで回動操作可能に構成され、横送りスクリューコンベア18は油圧シリンダ20により基端部の水平軸芯P1周りで上下揺動操作可能に構成されており、横送りスクリューコンベア18を旋回操作並びに昇降操作させて排出口17の位置を変更させることにより、穀粒を機外の運搬用トラック等に排出させることができる。
図1に示すように、穀粒タンク9の後側壁部9Cの下部には、搬出用底スクリュー15と縦送りスクリューコンベア16とを連動連結する図示しないベベルギア伝動機構を内装するとともに、穀粒タンク9の後方に突出して露出する搬出用底スクリュー15の後端部並びに縦送りスクリューコンベア16の始端部を覆うベベルギアケース24が連結されている。このベベルギアケース24には、その底部から下方に向けて延出する円筒状の支軸部24Aが一体形成されている。
機体フレーム1にはベベルギアケース24の支軸部24Aを相対回転可能に支持する軸支部1Gが備えられ、穀粒タンク9は、上下向きの支軸となるベベルギアケース24の支軸部24Aを支点にした左右方向への揺動操作が可能となるように機体フレーム1に支持される構成となっている。
このような構成から、穀粒タンク9は、その後端に位置するベベルギアケース24の支軸部24Aを支点にして機体前部側を左右方向に揺動変位させることにより、機体内方側に引退して左側壁部9Aが脱穀装置6に隣接して供給口14が揚穀装置12の吐出口13に連通する作業位置と、横側外方に張り出して前部側が脱穀装置6から離間してエンジン3の後方及び脱穀装置6の右側方を開放するメンテナンス位置とにわたって位置変更自在に構成されている(図2参照)。
但し、図3に示すように、エンジン3からの動力を搬出用底スクリュー15に伝える伝動状態と伝動を遮断する遮断状態とに切り換え自在なベルトテンション式の排出クラッチ70が備えられるので、グレンタンク9を作業位置からメンテナンス位置に切り換えるときは、予め、この排出クラッチ70を遮断状態に切り換えたのち伝動ベルト71を取り外しておくことになる。又、図3に示すように、穀粒タンク9の底部及び左側壁部9Aの近傍には、穀粒タンク9が作業位置に切り換えられた状態でロックするバネ係合式のロック機構72,73が備えられている。
そして、このコンバインでは、穀粒タンク9に貯留される穀粒の重量を計測する重量計測手段としてのロードセル25が、作業位置に位置する穀粒タンク9の荷重を受け止めて重量を計測可能な状態で機体フレーム1に備えられており、穀粒タンク9がメンテナンス位置から作業位置に向けて回動するに伴って、穀粒タンク9の下端部を受け止め支持しながらロードセル25にて重量計測が可能な所定位置まで案内する受け止め案内体26が備えられている。
図3及び図5に示すように、受け止め案内体26にて案内される穀粒タンク9の下端支持部は、水平軸芯周りで回転可能に支持されて受け止め案内体26上を転動可能なローラ27にて構成されている。このローラ27は、穀粒タンク9の前側下部に取り付けられた支持部材21に対して、その支持部材21の下端部よりも下方に突出する状態で横向き支持軸28により回動自在に支持されている。又、このローラ27は、穀粒タンク9が作業位置にあるとき、穀粒タンク9の機体前後方向視で穀粒タンク9の左右幅方向の略中央部に下方に位置する状態で設けられている。尚、支持部材21は、図3に示すように、穀粒タンク9の前側縦壁部9Bの下端部に固定され、穀粒タンクの排出クラッチ70の伝動部材やロック機構72等を支持するものである。
受け止め案内体26は、ロードセル25の上部に備えられる重量検知部25Aに対して上方から載置される荷重受け止め状態と、ロードセル25の上方を開放するように外方に退避する退避状態とに切り換え自在に設けられている。すなわち、図5及び図6に示すように、機体フレーム1における横幅方向外側部に設けられた前後向きフレーム部1Aにおける横外側面に前後一対のブラケット30が固定状態で設けられ、この前後のブラケット30により機体前後軸芯P4周りで回動自在に受け止め案内体26の基端部26Aが支持されている。
そして、基端部26Aから一体的に延設される状態で案内載置部26Bが設けられ、受け止め案内体26が荷重受け止め状態に切り換えられると、図5の実線にて示すように、案内載置部26Bが基端部26Aよりも機体内方側に位置する状態となり、受け止め案内体26が退避状態に切り換えられると、図5の仮想線にて示すように、案内載置部26Bが基端部26Aよりも機体外方側に位置する状態となる。
図5に示すように、案内載置部26Bの上部案内面31は、荷重受け止め状態に切り換えられた状態で、穀粒タンク9がメンテナンス位置から作業位置に向けて回動するに伴って転動案内されるローラ27が上方に変位するように緩い傾斜角での傾斜状態となるように傾斜姿勢に形成されている。
図5及び図6に示すように、荷重受け止め状態に切り換えられた受け止め案内体26の下方側に位置して重量検知部25Aにて受け止め案内体26を受け止める状態で、且つ、機体フレーム1における支持用フレーム部1Bにて本体部25Bが載置支持される状態でロードセル25が設けられている。このロードセル25は、穀粒タンク9が作業位置にあるとき、機体前後方向視で穀粒タンク9の略重心位置に対応する箇所に位置する状態で、支持用フレーム部1Bに対してフランジ部25Cをネジ止めすることにより着脱自在に取り付ける構成となっている。
穀粒タンク9がメンテナンス位置から作業位置に向けて回動すると、ローラ27が案内載置部26Bの傾斜姿勢の上部案内面31に沿って転動案内され、ローラ27が少しだけ上方に持ち上がる状態で案内されることになる。そうすると、穀粒タンク9の荷重がローラ27及び受け止め案内体26を介してロードセル25の重量検知部25Aにて受け止められることになる。
このように作業位置にある穀粒タンク9の機体前部側の荷重が受け止め案内体26を介してロードセル25にて受け止められることになり、このロードセル25により穀粒タンク9に貯留されている穀粒の重量を計測することが可能な構成となっている。尚、穀粒タンク9を揺動可能に機体フレーム1に支持する支持箇所においては、穀粒タンク9が上下方向に少しだけ移動可能なように上下方向に融通があり、その融通を利用してロードセル25にて穀粒タンク9の荷重をそのまま受け止める構成とすることができ、貯留される穀粒の重量を計測可能な構成となっている。
ロードセル25の検出値は、コンバインの機体が傾斜すると、そのことに起因して誤差が生じるおそれがあるが、このような機体の傾斜に起因する計測誤差を修正するようになっている。つまり、図7に示すように、機体の左右傾斜角を検出する左右傾斜角センサ32と、前後傾斜角を検出する前後傾斜角センサ33とが備えられ、後述する制御装置57によって、前後傾斜角及び左右傾斜角の検出値と、予め実験等により求められた修正用の演算式とを用いて、ロードセル25の検出値を補正して、正確な穀粒の貯留量を求めるように構成されている。
そして、刈取作業が行われるのに伴って穀粒の貯留量が逐次変化することになるが、ロードセル25によって検出され、それを補正して求められた穀粒の貯留量を操縦部4に備えられた表示装置34にて表示するように構成されている。ロードセル25は無段階に穀粒の貯留穀粒の重量を検出することができ、しかも、表示装置34は、多段階のレベルメータ表示あるいは数値表示等、少量ずつの変化も判るような高分解能の表示形態となっている。このように構成することで、刈取作業中だけでなく、例えば、作業開始時に表示装置34の表示内容を確認することで、少量であっても穀粒タンク9内に穀粒が残っているか否かをチェックすることもできる。
このコンバインでは、脱穀処理して得られた穀粒の一部を機体内部の存在予定箇所の一例としての穀粒タンク9の貯留用空間Jから計測対象としてサンプリングするサンプリング手段SPと、サンプリング手段SPにてサンプリングされた穀粒の内部品質を計測する光学式の内部品質計測手段としての内部品質計測装置36が備えられ、サンプリング手段SPが、内部品質計測装置36による計測が終了したのちに、サンプリングした計測対象用の穀粒を穀粒タンク9の貯留用空間Jに戻すように構成されている。
そして、サンプリング手段SPが、穀粒タンク9内に備えられて、この穀粒タンク9の外部から貯留用空間Jに供給される穀粒の一部を受け止め保持する保持状態と、穀粒を貯留用空間Jに戻す排出状態とに切り替え可能に構成された受け止め保持部48を備えて構成され、内部品質計測装置36が、受け止め保持部48に保持されている穀粒を計測対象用の穀粒として穀粒の内部品質を計測するように構成されている。
又、受け止め保持部48が、外部から供給される穀粒の一部を回収可能なように上部が開口された有底箱状体49を備えて構成され、且つ、この有底箱状体49における底板50が穀粒を保持する閉状態と穀粒を下方に排出する開状態とに揺動自在に構成され、サンプリング手段SPが、底板50を開状態と閉状態とに切り換え操作するアクチュエータの一例としての減速式付きの電動モータ56、受け止め保持部48に穀粒が所定量以上供給されたことを検出する供給状態検出手段としての供給状態検出センサ60、その供給状態検出センサ60にて穀粒が所定量以上供給されたことが検出されると、内部品質計測装置36にて計測処理を実行させ、その後、底板50を開状態に切り換えて穀粒を排出させて閉状態に戻す穀粒排出処理を実行するように電動モータ56を作動させる制御手段としての制御装置57とを備えて構成されている。
以下、具体的な構成について説明する。
すなわち、図9に示すように、穀粒タンク9の貯留用空間Jを形成する壁部としての前側縦壁部9Bの外方側(前部側)に位置して、その前側縦壁部9Bに形成された光透過部35を介して穀粒タンク9に貯留される穀粒のうち計測対象空間Qに位置する穀粒の内部品質を計測可能な光学式の内部品質計測手段としての内部品質計測装置36が備えられている。
内部品質計測装置36は、穀粒タンク9の外部から光透過部35を通して内方に向けて光を投射する投光部Oと、穀粒タンク9の内部に位置する穀粒から光透過部35を通して外方に向けて放出される光を受光する受光部Iとを備えた反射型の内部品質計測装置36にて構成されている。
すなわち、図8に示すように、内部品質計測装置36は、赤外線光を測定用光線として放射するタングステン−ハロゲンランプを備えて構成される光源部37と、光源部37からの測定用光線及び穀粒からの拡散反射光を導く計測用プローブ38と、計測用プローブ38にて導かれた測定用光線を穀粒に照射するとともに、穀粒からの拡散反射光を受光して計測用プローブ38へ導く投受光アダプタ39と、計測用プローブ38にて導かれた拡散反射光の分光スペクトルを計測する分光計測部40と、分光計測部40で得られた分光スペクトルに基づいて穀粒に含まれる成分に基づく成分の演算処理を行う演算部41とを備えて構成されている。尚、図示はしないが、光源部37からの測定用光線を穀粒に照射する照射状態と照射しない非照射状態とに切り換え自在なシャッタ部が備えられている。
図8に示すように、計測用プローブ38は、照射用光ファイバ42と、受光用光ファイバ43とを備えて構成されている。照射用光ファイバ42と受光用光ファイバ43とは、照射用光ファイバ42における測定用光線の入射端部側及び受光用光ファイバ43における拡散反射光の出射端部側を除いた部分を、環状の照射用光ファイバ42の内部に受光用光ファイバ43が位置する同軸状に形成してあり、同軸状の先端面では、照射用光ファイバ42の環状の先端面とその内部の受光用光ファイバ43の円形状の先端面が面一になっている。
投受光アダプタ39は、計測用プローブ38の先端に取り付けられ、外筒体39a、その外筒体39aの内部にその外筒体39aと間隔を隔てて同軸状に位置する内筒体39b、外筒体39aと内筒体39bとを連結する連結部材39c、計測用プローブ38と接続して固定する支持部材39d等を備えて構成されている。
内筒体39bは、筒内径及び筒外径が基端側のファイバ接続部に近づくほど小径となる略円錐形状に形成されるとともに、周壁の厚みが計測用プローブ38に近づくほど小となるように形成されており、内筒体39bの内周面及び外周面は光の反射が可能な鏡面に仕上げられている。外筒体39aも同様に、筒内径及び筒外径が基端側のファイバ接続部に近づくほど小径となる略円錐形状に形成され、外筒体39aの内周面は、光の反射が可能な鏡面に仕上げられている。そして、内筒体39bの先端部と外筒体39aの先端部とにより形成される環状の開口部を投光部Oとして、内筒体3bの内部側の先端開口部を受光部Iとして、夫々機能させるようにしている。
図8に示すように、投受光アダプタ39が穀粒タンク9の外部の光透過部35に対応する箇所に設置され、穀粒タンク9の外部から光透過部35を通して内方に向けて光を投射するとともに、穀粒タンク9の内部に位置する穀粒から光透過部35を通して外方に向けて放出される光を受光するように構成されている。
図8に示すように、内部品質計測装置36における投受光アダプタ39の穀粒タンク9の貯留用空間Jに対向する部分を除く他の外方側領域を覆う遮光部材からなるカバー体44が備えられている。このようなカバー体44を備えることにより、外部からの外乱光が穀粒に照射されて外乱光に起因して計測誤差が生じるおそれが少ないものとなる。
分光計測部40は、図示はしないが、受光用光ファイバ43にて導かれた拡散反射光を分光反射する回折格子や分光反射された各波長毎の光線束強度を検出するアレイ型受光素子等を備えて構成され、アレイ型受光素子は分光反射された拡散反射光を、同時に波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力するように構成されている。つまり、受光した光の分光スペクトルデータを得ることができる。
光透過部35を構成する透光部材としての透明ガラス板45は着脱自在に穀粒タンク9の前側縦壁部9Bに備えられている。つまり、図8に示すように、透明ガラス板45は前側縦壁部9Bに形成された凹部46に入り込ませカバー体44の連結用フランジ部44aにて挟み込む状態で、連結用フランジ部44aを前側縦壁部9Bにネジ47で締め付けて固定する構成となっており、ネジ47を取り外すことで透明ガラス板45を容易に取り外すことができるように構成されている。
この内部品質計測装置36は、近赤外光の吸収スペクトルを利用した成分分析方法を用いて内部品質を計測するものであって、近赤外光を穀粒に当てて、その透過光の分光分析に基づいて吸収スペクトルを解析して、その解析結果により、穀粒に含まれる、水分、タンパク質、アミロース等の成分量を判別して、それらに基づいて食味を計測するようになっている。そして、刈取作業に伴って連続的に穀粒タンク9内に供給される穀粒をサンプリングして、上記したような計測を行うようになっている。
計測処理について簡単に説明を加えると、穀粒からの光を受光して得られる計測分光スペクトルデータと予め設定されている基準スペクトルデータとから波長毎の吸光度を示す吸光度スペクトルデータを求め、それを二次微分した値のうちの特定波長の値と、予め対象となる成分毎に予め設定されている検量線とを用いて、穀粒に含まれる内部品質として、水分量、タンパク質、アミロース等の化学的成分の定量値を求め、さらに、それらの化学的成分の定量値から穀粒の食味評価値を求めることができる。
尚、成分毎の複数の検量線は、次のようにして予め作成されることになる。つまり、内部品質計測装置36により実際に計測された吸光度スペクトルデータと、そのとき計測に使用された穀粒について破壊して成分分析した結果から得られた化学的成分の計測値とに基づいて、内部品質計測装置36の計測結果と実際の穀粒の化学的成分量との対応を示す検量線を作成するのである。
そして、穀粒タンク9内部の光透過部35に対応する箇所に、脱穀処理された穀粒の一部を受け止め保持する保持状態と穀粒を穀粒タンク9内に排出する排出状態とに切り換え可能に構成された受け止め保持部48が設けられ、内部品質計測装置36が受け止め保持部48に受け止め保持されている穀粒の内部品質を計測するように構成されている。
受け止め保持部48は、揚穀装置12の駆動軸12aの上端部に備えられた回転羽根12bにより穀粒タンク9内に穀粒が跳ね飛ばし供給される供給口14よりも低い箇所に位置する状態で備えられ、跳ね飛ばし供給される穀粒がこの受け止め保持部48にて受け止められ易くなるようにしている。
前記受け止め保持部48は、外部から供給される穀粒の一部を回収可能なように上部が開口された有底箱状体49を備えて構成され、且つ、この有底箱状体49における底板50が穀粒を保持する閉状態と穀粒を下方に排出する開状態とに揺動自在に構成されている。
説明を加えると、図9及び図10に示すように、有底箱状体49が穀粒を受け止める計測対象空間Qの周面を形成する角筒部51と、計測対象空間Qの底部を形成する底板50とを備えて構成され、角筒部51が穀粒タンク9の前側縦壁部9Bに固定支持されており、底板50の端部が角筒部51に対して揺動自在に支持されている。角筒部51の穀粒タンク9の内方側の側面には、底板50を角筒部51の下部開口52を開放する開状態と下部開口52を閉じる閉状態とに切り換え操作自在な切り換え機構53が内装された駆動用ケーシング54が取付けられている。又、角筒部51のタンク外方側の側面には、内部品質計測用の光透過用の開口55が形成されている。
前記切り換え機構53は、電動モータ56により底板50を開状態と閉状態とにわたって揺動操作自在に構成されており、駆動用ケーシング54の内部には、切り換え機構53に加えて、底板50が開状態にまで揺動したことを検出するとオンする開状態検出スイッチ58と、底板50が閉状態にまで揺動したことを検出するとオンする閉状態検出スイッチ59とが備えられている。
又、図7に示すように、電動モータ56の作動を制御する制御手段としてのマイクロコンピュータからなる制御装置57が備えられている。
この制御装置57による底板50の開閉操作について説明すると、開状態に切り換えるときは、閉状態にある底板50を開状態に向けて揺動させるように電動モータ56を作動させ、その後、開状態検出スイッチ58がオンすると、電動モータ56の作動を停止させる。逆に、閉状態に切り換えるときは、開状態にある底板50を閉状態に向けて揺動させるように電動モータ56を作動させ、その後、閉状態検出スイッチ59がオンすると、電動モータ56の作動を停止させる。
受け止め保持部48の内部の上端部には、穀粒が所定量以上供給されたことを検出する供給状態検出手段としての供給状態検出センサ60が備えられ、受け止め保持部48の下方側箇所であって、開状態に切り換わったときの底板50の下端位置よりも少し下方側の位置に、その場所に穀粒が存在するか否かを検出する穀粒存否検出手段としての穀粒存否センサ61が備えられている。供給状態検出センサ60及び穀粒存否センサ61は夫々静電容量型の近接センサにて構成されている。
制御装置57は、穀粒存否センサ61にて穀粒の存在が検出されていなければ、刈取作業に伴って受け止め保持部48に穀粒が所定量以上供給されたことが供給状態検出センサ60にて検出される毎に、内部品質計測装置36による計測処理を実行し、その後、底板50を開状態に切り換えて穀粒を穀粒タンク9内に排出させたのち閉状態に戻す穀粒排出処理を実行するように電動モータ56を作動させるように構成されている。但し、穀粒存否センサ61にて穀粒の存在が検出されると、穀粒に接当して底板50を開状態に切り換えることができないので、その後は、計測処理及び穀粒排出処理を行わないようにしている。
つまり、1つの圃場内で内部品質の計測が複数回行われる。又、穀粒タンク9内の穀粒の貯留量が略満杯状態になったことが図示しない満杯検知センサにて検出されると、そのときの穀粒貯留量の重量の計測が行われ、このような穀粒貯留量の重量の計測も1つの圃場内で複数回行われ、それらの計測データは図示しない記憶装置に記憶される。内部品質計測装置36は、穀粒の内部品質として水分量も計測するので、穀粒貯留量の重量の計測が行われるときに、制御装置57は、穀粒が乾燥処理された状態、つまり、水分量が所定値(例えば、14.5%)になったと仮定した場合の乾燥重量も合わせて演算にて求めるようになっている。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、穀粒タンク9内において受け止め保持部48の下方側が開放される状態となっており、貯留用空間Qの一部として形成されるものを示したが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。
図11に示すように、穀粒タンク9の内部に、受け止め保持部48の下方側に排出された穀粒を貯留するサンプリング穀粒回収空間Jsが、穀粒タンク9における貯留用空間Jと仕切り部材80により仕切られる状態で備えられる構成としてもよい。又、仕切り部材80の下端部と穀粒タンク9の底部との間には隙間81が形成されており、その隙間81を通してサンプリング穀粒回収空間Jsと貯留用空間Jとが連通する状態となっている。
この構成によれば、図11に示すように、貯留用空間Jに満杯近くにまで穀粒が貯留されても、受け止め保持部48の下方側の空間が開放される状態となり、底板50の開閉操作、すなわち、穀粒のサンプリングと内部品質の計測処理を継続して行うことができる。
しかも、サンプリング穀粒回収空間Jsに貯留されている穀粒と貯留用空間に貯留されている穀粒とを共に下方に備えられた搬出用底スクリュー15にて外部に排出させることができる。つまり、この実施形態では、搬出用底スクリュー15が穀粒排出手段として機能するのであり、サンプリング穀粒回収空間Jsに貯留されている穀粒は貯留用空間Jに戻されることになる。
(2)上記実施形態では、反射型の内部品質計測装置36にて穀粒の内部品質を計測するものを示したが、このような構成に代えて、透過型の内部品質計測装置にて構成されるものでもよい。例えば、穀粒タンク9の壁部9Bに一部外方に突出する突起部を両側を透明体にて形成して左右両側に投光部Oと受光部Iとを対向配置させるようしたり、又、投光部Oを受光部Iが備えられる壁部とは異なる別の壁部に備える構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、脱穀処理された穀粒が存在する穀粒存在空間として、穀粒タンク9の貯留用空間Jに存在する穀粒の内部品質を計測するようにしたが、このような構成に代えて、例えば、脱穀装置6における穀粒回収箇所、脱穀装置6から穀粒タンク9への搬送経路途中、又は、穀粒タンク9から外部に排出させる搬送経路途中等、種々の穀粒存在空間に存在する穀粒を計測対象とすることができる。
(4)上記実施形態では、供給状態検出センサ60及び穀粒存否検知センサ61の夫々が近接センサにて構成されるものとを示したが、近接センサに代えて、光学式存否センサやあるいは接触式の存否センサ等、他の形式のセンサを用いてもよい。
(5)上記実施形態では、光透過部35を構成する透光部材45が着脱自在に壁部9Bに取付けられる構成としたが、清掃を容易に行える構成として位置固定状態で備えるようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、自脱型のコンバインに適用したものを示したが、普通型のコンバインでもよい。