JP2016092319A - 面発光型光源およびレーザー装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】VCSELが備える発光点が熱を発生しても、高い光利用効率を有する。【解決手段】 複数の発光点24−kが配置された発光領域22と発光領域の周辺にある非発光領域23と、を有する基板21と、複数のレンズ34−kと複数のレンズの周辺にある非レンズ領域33を有するレンズアレイ3と、を備え、基板およびレンズアレイは、複数の発光点と複数のレンズが対応するように、非発光領域および非レンズ領域で直接接着され、レンズアレイの線膨張係数は、基板の線膨張係数以下であることを特徴とする面発光型光源。【選択図】図4
Description
本発明は、面発光型光源およびレーザー装置に関するものである。
面発光型半導体レーザー(以下、「VCSEL」という。)と、VCSELからの光束をコリメートするマイクロレンズアレイとにより、高出力な面発光型光源を構成する技術が知られている。
VCSELは、複数のレンズを配置したレンズアレイに対向している。レンズアレイに入射した光束は、集光光学系を経て光ファイバに入射する。VCSELにおいて発光点を高密度で配置すると、発光点で発生した熱がレンズアレイに伝達され、レンズアレイが変形することがある。レンズアレイが変形すると、光ファイバに入射する光量が低下する。すなわち、光ファイバにおける光利用効率が低下する。
これまでにも、VCSELアレイ基板とレンズアレイ基板とを高精度に位置合わせすることを目的として、VCSELアレイ基板とレンズアレイ基板とを微細加工技術を用いて一体に形成したレーザー加工機用光源が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1で提案されているレーザー加工機用光源は、VCSELアレイ基板の熱によるレンズアレイ基板の変形については考慮されていなかった。
そこで、VCSELが備える発光点が熱を発生しても、レーザー装置の光ファイバにおいて高い光利用効率を有する面発光型光源が必要とされている。
本発明は、VCSELが備える発光点が熱を発生しても、高い光利用効率を得ることができる面発光型光源を提供することを目的とする。
本発明にかかる面発光型光源は、複数の発光点が配列された発光領域と複数の発光領域の周辺にある非発光領域を有する基板と、複数のレンズと複数のレンズの周辺にある非レンズ領域を有するレンズアレイと、を備え、基板およびレンズアレイは、複数の発光点と複数のレンズが対応するように、非発光領域および非レンズ領域で直接接着され、レンズアレイの線膨張係数は、基板の線膨張係数以下であることを特徴とする。
本発明によれば、VCSELが備える発光点が熱を発生しても、高い光利用効率を得ることができる。
●レーザー装置●
以下、本発明にかかるレーザー装置について、図面を参照しながら説明する。
以下、本発明にかかるレーザー装置について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)および(b)に示すように、レーザー装置1は、VCSEL2、マイクロレンズアレイ3、集光レンズ4、光ファイバ5およびハウジング7を備える。VCSEL2、マイクロレンズアレイ3、集光レンズ4は、ハウジング7の中に収容されている。
図1(a)に示すように、ハウジング7は、光ファイバ保持部材10を備える。光ファイバ保持部材10は、内径の異なる円筒を接合した形状で、内径の大きい円筒の底部はハウジング7に接合している。内径の小さい円筒は、光ファイバ5を保持している。光ファイバ保持部材10の内部と、ハウジング7の内部は連通している。
光ファイバ5は、外部のレーザー使用機器、例えばレーザー加工機や、レーザーを利用したエンジン用の点火プラグなどへ接続されている。光ファイバ5は、集光レンズ4を出射した光束を受光し、外部のレーザー使用機器へ伝達する。
ハウジング7の、光ファイバ保持部材10が接合された面と反対側の面は、熱拡散板6となっている。熱拡散板6の外面には、ペルチェ素子8、およびヒートシンク12がこの順に接合されている。熱拡散板6は、後に詳述するVCSEL2からの熱をハウジング7の外部に伝達する。熱拡散板6は、銅などの熱伝導性の高い材料からなる。熱拡散板6は、ハウジング7の外側となる面においてペルチェ素子8の吸熱面と隣接していて、ペルチェ素子8によって冷却される。
ペルチェ素子8の放熱面側には、ヒートシンク12が配置されている。ヒートシンク12は、VCSEL2およびペルチェ素子8からの熱を大気中に放熱する。ヒートシンク12による放熱は、自然対流によって行ってもよいし、送風ファンなどを用いた強制対流を用いてより強い冷却を行ってもよい。外気が十分に低温の場合など、ペルチェ素子8が必要のない場合は、直接ヒートシンク12で熱拡散板6を冷却してもよい。
図1(b)に示すように、ハウジング7の内側に面する熱拡散板6の面には、VCSEL2が配置されている。VCSEL2の光軸方向の前方には、マイクロレンズアレイ3、VCSEL電極13、集光レンズ4、光ファイバ5がこの順に配置されている。VCSEL2から光ファイバ5までの各光学素子は、ハウジング7によって一体的に保持されている。また、VCSEL2はマウント11に保持されている。VCSEL電極13と熱拡散板6の間には絶縁板14が配置されている。
図2に示すように、VCSEL2は、四角形のVCSEL基板21の上に発光領域22と非発光領域23とが形成されてなる。発光領域22は、直径8.9mmの円形状である。発光点24−kは、発光領域22の中に、中心間距離が48μmで等間隔に多数配置されている。本実施の形態では、約33600個の発光点24−kが配置されている。発光点24−kは、それぞれ直径9μmの円形状である。
図3に示すように、マイクロレンズアレイ3は、複数のレンズ34−kと、複数のレンズ34−kの周辺にある非レンズ領域33を備える。マイクロレンズアレイ3は、VCSEL基板21よりやや小さい四角形状の部材である。複数のレンズ34−kは、例えば焦点距離がf=0.1mmの合成石英製である。
複数のレンズ34−kは、発光点24−kに対応するように配置されている。具体的には、各発光点24−kのXY座標と、マイクロレンズアレイ3が有する複数のレンズ34−kの各面頂点のXY座標とが一致するように貼り付けられている。ここで、XY平面は、VCSEL2の光軸方向に垂直な面である。VCSEL2およびマイクロレンズアレイ3は、面発光型光源20を構成する。
VCSEL基板21およびマイクロレンズアレイ3は、接着剤25によって接着されている。VCSEL基板21とマイクロレンズアレイ3は、各発光点24−kのXY座標と、マイクロレンズアレイ3が有する複数のレンズ34−kの各面頂点のXY座標とが一致するように貼り付けられている。すなわち、複数のレンズ34−kの各面頂点は、各発光点24−kの光軸と一致するように設けられている。
各レンズ34−kは、発光点24−kに対向する側が凸面である。各レンズ34−kの凸面を発光点24−k側に配置することにより、熱変形によるマイクロレンズアレイ3の反りの影響が小さくなるため、温度変動による光利用効率低下を防ぐことができる。なお、光利用効率とは、VCSEL2の光量に対する、光ファイバ5への入射光量の割合を示す。
VCSEL基板21とマイクロレンズアレイ3は、非発光領域23および非レンズ領域33で接着剤25により直接接着されている。すなわち、マイクロレンズアレイ3は、発光点24−kに直接取り付けられていない。したがって、マイクロレンズアレイ3は、発光点24−kからの熱が伝達しにくい。
接着剤25は、一般的に用いられる紫外線硬化樹脂であってもよい。接着剤25に樹脂を用いることで、VCSEL基板21の熱をマイクロレンズアレイ3に伝えにくくすることができる。接着剤25は、ハンダであってもよい。ハンダは樹脂よりも線膨張係数が小さいため、発光点24−kが発光により発熱してもVCSEL基板21とマイクロレンズアレイ3の間隔が変わりにくくなる。
図4に示すように、接着剤25は、VCSEL基板21の非発光領域23に配置されている。接着剤25は、発光領域22の中心に対して垂直方向および水平方向に対称な位置に4箇所配置されている。本実施の形態においては、発光領域22の上方、下方、左方、および右方に配置されている。このような配置とすることで、接着剤25の膨張および収縮によるマイクロレンズアレイ3のVCSEL基板21に対する傾きを抑えることができる。
図5に示すように、接着剤25は、四角形のVCSEL基板21の4つの角の近傍に配置されていてもよい。
接着剤25は、5箇所以上配置されていてもよい。また、VCSEL基板21およびマイクロレンズアレイ3の全周に渡って配置されていてもよい。言い換えれば、全周にわたって接着することで、マイクロレンズアレイ3でVCSEL2を封止してもよい。
図6は、発光点24−kのうち、発光点24−1、発光点24−2および発光点24−3から出射した光がマイクロレンズアレイ3を通る様子を示す。発光点24−1は、発光領域22の中心に配置されている。発光点24−2および24−3は、発光点24−kのうち発光点24−1の最も近くに配置された2点である。発光点24−1〜24−3から出射した光束は、それぞれレンズ34−1〜34−3に入射する。
発光点24−1〜24−3からの光束はレンズ34−1〜34−3によってコリメートされる。マイクロレンズアレイ3の焦点距離がf=0.1であり、発光点24−1〜24−3の直径が10μmであることから、コリメート後の光束は完全には平行光束とはならず、緩い発散光束となる。
図7に示すように、マイクロレンズアレイ3によってコリメートされて出射された光束は、集光レンズ4によって集光され、光ファイバ5の光入射端に集光される。集光レンズ4は、集光光学系の例である。集光レンズ4は、例えばガラスモールド非球面レンズである。
図7および図8に示すように、光ファイバ5は、コア51と、コア51の周辺を覆うクラッド52を備える。光ファイバ5は、単一のシングルコアファイバであり、VCSEL2からの光束は全て同一のコア51に入射する。光ファイバ5は、コア51とクラッド52の間の屈折率の差による全反射によって光束を伝送する。したがって、光ファイバ5には、全反射が起こるような入射角(以下、「ファイバNA」ともいう。)で光束が入射する必要がある。
ファイバNAが決まっているため、光ファイバ5に入る光線入射角の中で最も大きな角度をファイバNAで決められた角度よりも小さい角度で入射させる必要がある。本実施の形態における光ファイバ5のファイバNAは0.39であり、取り込める角度は±22.9度である。したがって、各光学素子は、光ファイバ5への入射角が±22.9度以下になるように配置されている。
本実施の形態における各光学素子、すなわち光学系の位置は、それぞれ表1のようになっている。A1は各発光点24−kの直径、A2は各発光点24−kの間隔、A3は発光領域22の直径、A4はコア51の直径を示す。
d1は、VCSEL2からマイクロレンズアレイ3までの距離、d2はマイクロレンズアレイ3の肉厚を示す。d3はマイクロレンズアレイ3から集光レンズ4の入射面までの距離、d4は集光レンズ4の厚さ、d5は集光レンズ4の出射面から光ファイバまでの距離を示す。
全系の光学系倍率は153倍である。光ファイバ5上のビームスポット径は、発光点24−kの大きさA1と倍率の積で概略求めることができる。本実施の形態におけるビームスポット径は、φ9μm×153=1.38mmであるのに対し、コア51のコア径A4は1.50mmと大きくなっている。
すなわち、本発明にかかるレーザー装置は、各発光点24−kの直径をA1、全系倍率をm、コア51の直径をA4としたときに、A1×m<A4を満足する。このようなコア径の光ファイバ5を使うことによって、高い光利用効率を得ることができる。
表2は、本実施の形態におけるVCSEL基板21、マイクロレンズアレイ3および接着剤25の線膨張係数を示す。VCSEL基板21に比べ、マイクロレンズアレイ3は1桁程度線膨張係数が少ない材料でできている。すなわち、マイクロレンズアレイ3は、VCSEL2の発熱に対して膨張量が少ない。
●面発光型光源の構成と光利用効率の関係
図9に示すように、面発光型光源20が室温と同等の温度である場合、面発光型光源20から出射した光束は緩い発散光束41となっている。各発光点24−kと各レンズ34−kのXY座標が一致しているため、主光線はZ軸に平行な光線となる。Z軸は、面発光型光源20の光軸に平行な方向である。
図9に示すように、面発光型光源20が室温と同等の温度である場合、面発光型光源20から出射した光束は緩い発散光束41となっている。各発光点24−kと各レンズ34−kのXY座標が一致しているため、主光線はZ軸に平行な光線となる。Z軸は、面発光型光源20の光軸に平行な方向である。
図10に示すように、面発光型光源20の点灯状態が続くと、発熱によってVCSEL基板21およびマイクロレンズアレイ3の温度が上昇し、膨張する。VCSEL基板21とマイクロレンズアレイ3は、線膨張係数が異なるため、発光点24−kとレンズ34−kの座標が一致しなくなる。発光領域22の中心部が最も温度が高くなるため、中心部から外側になるにつれ、VCSEL基板21とマイクロレンズアレイ3のずれ量が大きくなる。
本実施の形態においては、VCSEL基板21の線膨張係数がマイクロレンズアレイ3の線膨張係数より大きいため、温度上昇時の伸びは、VCSEL基板21の方が大きくなる。そのため、発光領域22の外側に近い発光点24−kからレンズ34−kに入射した光束42は、やや発光領域22の中心部、すなわちVCSEL2の光軸に近い側に曲がって進む。したがって、全体の光線は、室温と同等の温度である場合に比べて収束する。
図11に、VCSEL基板121の線膨張係数がマイクロレンズアレイ103の線膨張係数より小さいときの光束142の様子を示す。マイクロレンズアレイ103は、例えばポリカーボネートなどでできている。VCSEL基板121よりもマイクロレンズアレイ103の温度上昇による膨張が大きいため、光束142はVCSEL102の光軸から離れる方向に屈折する。
そのため、VCSEL102全体として発散光束が強い状態となり、光束142は集光レンズ104の外側に広がってしまう。光束142が集光レンズ104の外側に広がると、集光レンズ104でけられが発生して光量が落ちる可能性がある。また、光ファイバに対する入射角が大きくなり、ファイバNAを超えて光ファイバに入射されなくなる。
このように、VCSEL基板21の線膨張係数をマイクロレンズアレイ3の線膨張係数より大きくすることにより、VCSEL基板21の温度が上昇した場合においても全体の光線を収束させ、高い光利用効率を得ることができる。発光点24−kを集積して構成されているVCSEL2は、他のレーザーに比べて特に発熱量が大きいが、本構成により光利用効率の低下を抑えることができる。
●温度変化時のマイクロレンズアレイ3の変位量について
図12は、連続使用時においてVCSEL基板21の温度が25度から50度になったときの、VCSEL基板21とマイクロレンズアレイ3の変位量の差をシミュレーションにより算出したグラフである。横軸に発光領域22の中心位置を基準とした座標、縦軸に変位量の差を示す。
図12は、連続使用時においてVCSEL基板21の温度が25度から50度になったときの、VCSEL基板21とマイクロレンズアレイ3の変位量の差をシミュレーションにより算出したグラフである。横軸に発光領域22の中心位置を基準とした座標、縦軸に変位量の差を示す。
VCSEL基板21の温度が50度になると、発光領域22の中心から離れるにつれて変位量の差が大きくなり、X方向について最大1.5μm、Y方向について最大1μmのずれが発生する。しかし、ずれる位置は発光領域22の最も外側であるので、熱変形における光利用効率への影響は小さい。
図13および図14に示すように、光軸方向においては、マイクロレンズアレイ3は発光領域22の外側になるにつれVCSEL基板21から離れるように変形する。本実施の形態において、25度から50度に変化したときの光利用効率の減少量はマイクロレンズアレイ3の変形を加味しても約3%程度と小さくなっている。
以上説明した実施の形態によれば、レンズアレイの線膨張係数が前記VCSEL基板の線膨張係数以下であることにより、発光点が熱を発生しても、光ファイバにおいて高い光利用効率を得ることができる。
1 レーザー装置
2 VSCEL
22 発光領域
23 非発光領域
24−k 発光点
25 接着剤
3 マイクロレンズアレイ
33 非レンズ領域
34−k レンズ
2 VSCEL
22 発光領域
23 非発光領域
24−k 発光点
25 接着剤
3 マイクロレンズアレイ
33 非レンズ領域
34−k レンズ
Claims (7)
- 複数の発光点が配置された発光領域と前記発光領域の周辺にある非発光領域を有する基板と、
複数のレンズと前記複数のレンズの周辺にある非レンズ領域を有するレンズアレイと、
を備え、
前記基板および前記レンズアレイは、前記複数の発光点と前記複数のレンズが対応するように、前記非発光領域および前記非レンズ領域で直接接着され、
前記レンズアレイの線膨張係数は、前記基板の線膨張係数以下であることを特徴とする面発光型光源。 - 前記複数のレンズの各レンズの面頂点は、前記複数の発光点の各発光点の光軸と一致するように設けられている、請求項1記載の面発光型光源。
- 前記非発光領域と、前記非レンズ領域と、は、接着剤により接着されていて、前記接着剤による接着部は、前記発光領域の中心に対して対称な位置に4箇所以上ある、請求項1又は2記載の面発光型光源。
- 前記複数のレンズは、前記複数の発光点に対向する側が凸面である、請求項1乃至3のいずれかに記載の面発光型光源。
- 面発光型光源と、
前記面発光型光源から出射される複数の光束を集光する集光光学系と、
前記集光光学系によって集光される光が入射する光ファイバと、
を備え、
前記面発光型光源は、請求項1乃至4のいずれかに記載の面発光型光源であることを特徴とするレーザー装置。 - 前記光ファイバはコアを有し、
前記複数の発光点の各発光点の直径をA1、全系倍率をm、前記コアの直径をA4としたときに
A1×m<A4を満足する、請求項5記載のレーザー装置。 - 前記基板の、前記レンズアレイが接着された面とは反対の面に対向して配置された熱拡散板と、前記熱拡散板に隣接して配置されたペルチェ素子と、をさらに備える、請求項5又は6に記載のレーザー装置。
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