JP2016089929A - 樹脂製保持器および転がり軸受 - Google Patents

樹脂製保持器および転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】金型費用を抑えつつ、高速回転の条件下でも使用することができる樹脂製保持器および転がり軸受を提供する。【解決手段】樹脂製保持器1は、軸方向に二分割されている円環状の一対の分割体10を備え、これら分割体10それぞれに、転動体6を保持するための半割ポケット面13が形成されているポケット部11と、相手側の分割体と接する連結面14が形成され当該相手側の分割体10と連結するための連結部12と、が周方向に沿って交互に形成されている。互いに連結される一対の連結部12のうちの一方側に、連結面14から軸方向に突出して形成された凸部15が形成されている。また、一対の連結部12のうちの他方側に、連結面14から軸方向に窪み、凸部15が圧入嵌合されることで一対の連結部12同士を連結して両分割体10を一体化する凹部16が形成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂製保持器および転がり軸受に関する。
転がり軸受の転動体である玉を保持する樹脂製保持器として、いわゆる片抱きタイプの保持器が知られている。片抱きタイプの保持器は、玉を保持するためのポケットが周方向に等間隔で複数形成されており、各ポケットは玉を取り付けるために軸方向一方側に開口した形状となっている。
片抱きタイプの保持器はこのような構成であることから、この保持器を備えた転がり軸受が高速で回転すると、遠心力によって、保持器の軸方向一方側、つまりポケットの開口側が開くように変形することで、保持器と玉とが干渉して、転がり軸受の回転トルクが悪化したり、転がり軸受が焼き付いたりするおそれがある。
そこで、高速回転の条件下でも使用可能となる樹脂製保持器が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この樹脂製保持器は、いわゆる両抱きタイプの保持器であって、軸方向に二分割された円環状の分割体から成り、これら分割体を連結することにより保持器を完成体としている。
両分割体は同一形状からなり、各分割体には、半割ポケット面が形成されているポケット部と、相手方の分割体と連結させるための連結部とが周方向に沿って交互に複数形成されている。各分割体の連結部には、係合爪と係合溝とが周方向に隣接して形成されており、一方の分割体の係合爪が、他方の分割体の係合溝に係止するようになっている。これにより、両分割体の連結部同士を軸方向に分離不能に連結することができる。
特許第4946881号公報
しかし、特許文献1に記載された樹脂製保持器にあっては、各分割体の複数の連結部に、複雑な形状の係合爪と係合溝を形成する必要がある。このため、この保持器を成形するための金型の構造も複雑となり、この金型を製作するための金型費用が高くなるという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、金型費用を抑えつつ、高速回転の条件下でも使用することができる樹脂製保持器および転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の樹脂製保持器は、軸方向に二分割されている円環状の一対の分割体を備え、これら分割体それぞれに、転動体を保持するための半割ポケット面が形成されているポケット部と、相手側の分割体と接する連結面が形成され当該相手側の分割体と連結するための連結部と、が周方向に沿って交互に形成されている樹脂製保持器であって、互いに連結される一対の前記連結部のうちの一方側に、前記連結面から軸方向に突出して形成された凸部と、前記一対の連結部のうちの他方側に、前記連結面から軸方向に窪んで形成され、前記凸部が圧入嵌合されることで前記一対の連結部同士を連結して前記両分割体を一体化する凹部と、を備えていることを特徴とする。
上記のように構成された樹脂製保持器によれば、互いに連結される一対の連結部のうちの一方の連結部に形成された凸部を、他方の連結部に形成された凹部に圧入嵌合させることによって、連結部同士が連結され、両分割体が一体化される。これにより、遠心力によって各分割体が変形するのを抑制することができるため、高速回転の条件下でも樹脂製保持器を使用することができる。
また、一対の連結部の連結構造は、凸部と凹部とによる簡単な構成であるため、従来のように連結部に係合爪と係合溝を設ける場合と比較して、樹脂製保持器を成形する金型の構造を簡単な構造にすることができる。その結果、金型を製作するための金型費用を抑えることができる。
上記樹脂製保持器において、前記凸部は、その先側が二股状に分岐して形成された一対の分岐部を有し、前記凹部内には、前記凸部の圧入嵌合により前記一対の分岐部の間に配置され、圧入嵌合された前記凸部が前記凹部から抜けにくくするためのくさび体が設けられているのが好ましい。
この場合、一方の連結部の凸部を他方の連結部の凹部に圧入嵌合させた状態で、凸部の二股状に形成された一対の分岐部の間にくさび体が配置されることで、凸部が凹部から抜けにくくなるため、一対の連結部同士を強固に連結することができる。
上記樹脂製保持器において、前記凸部の一対の分岐部の分岐方向が、周方向および径方向のいずれか一方向であるのが好ましい。この場合、凸部の一対の分岐部の分岐方向を、周方向および径方向のうちから一方向を選択することができるため、凸部や凹部の設計自由度を高めることができる。
上記樹脂製保持器において、前記一対の連結部それぞれに、前記凸部および前記凹部の両方が形成されているのが好ましい。この場合、一対の連結部のうちの一方の連結部に形成された凸部および凹部に、他方の連結部に形成された凹部および凸部がそれぞれ嵌合されるため、一対の連結部同士をさらに強固に連結することができる。
また、後述するように、各分割体の周方向に形成された複数の連結部に凸部および凹部が一つずつ交互に形成されている場合、両分割体同士を連結する際に、一方の分割体の連結部の凸部を他方の分割体の連結部の凹部に対向させるように周方向の位相を合わせる必要がある。これに対して、互いに連結される一対の連結部それぞれに凸部および凹部の両方が形成されている場合には、前記位相を合わせる必要がないため、両分割体を簡単に連結することができる。
上記樹脂製保持器において、前記連結部は、前記分割体の周方向に偶数個形成されており、前記偶数個の連結部には、前記凸部および前記凹部が一つずつ交互に形成されているのが好ましい。
この場合、複数の連結部に凸部および凹部が一つずつ交互に形成されている場合であっても、一方の分割体における連結部の凸部の個数が、他方の分割体における連結部の凹部の個数と同数になる。このため、一方の分割体の凸部を、他方の分割体の凹部に対向させるように周方向に位置合わせすることで、両分割体同士を連結することができる。したがって、一対の分割体同士を同じ形状にしつつ、連結部の構造を簡素化することができるため、保持器1を成形する金型の構造をさらに簡単な構造にすることができる。その結果、金型を製作するための金型費用をさらに抑えることができる。
本発明の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内外輪の間に転動可能に配置された複数の転動体と、上記樹脂製保持器とを備えていることを特徴する。このように構成された転がり軸受によれば、上述した樹脂製保持器と同様の作用効果を奏する。
本発明の樹脂製保持器および転がり軸受によれば、金型費用を抑えつつ、高速回転の条件下でも使用することができる。
本発明の第一実施形態に係る樹脂製保持器を示す斜視図である。 上記樹脂製保持器が用いられている転がり軸受の断面図である。 上記樹脂製保持器の両分割体を分離させた状態の一方の分割体を示す斜視図である。 上記両分割体を分離させた状態を示す断面図である。 上記両分割体を連結させた状態を示す断面図である。 上記分割体の変形例を示す斜視図である。 本発明の第二実施形態に係る樹脂製保持器の両分割体を分離させた状態を示す断面図である。 図7の両分割体を分離させた状態を示す断面図である。 本発明の第三実施形態に係る樹脂製保持器の分割体を示す斜視図である。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る樹脂製保持器1を示す斜視図である。図2は、この樹脂製保持器1(以下、単に保持器1ともいう)が用いられている転がり軸受の断面図である。図2において、この転がり軸受は、内周面に軌道面3が形成されている外輪2と、外周面に軌道面5が形成されている内輪4と、これら軌道面3,5間に設けられている複数の玉(転動体)6と、これら玉6を転動自在に保持する保持器1とを備えている。
保持器1は、軸方向に二分割されており、円環状である一対の分割体10を備えている。これらの分割体10を軸方向に組み合わせることで一つの保持器1が構成される。
図1において、この保持器1には、周方向等間隔でポケット7が複数形成されている。ポケット7は、玉6(図2参照)の直径よりも僅かに大きな直径を有する球の表面に沿った凹状の部分球形状を有している。そして、このポケット7に玉6が保持され、玉6は回転自在となる。
分割体10は、樹脂製(合成樹脂製)であり、特にポリアミド樹脂などの軟質樹脂製であるのが好ましい。分割体10を軟質樹脂製とした場合、後述する凸部15が凹部16に圧入嵌合されたときに変形しても折れにくくなり、両分割体10同士を連結するときに、各分割体10が変形して破損するのを防止することができる。
図3は、両分割体10を分離させた状態の一方の分割体10を示す斜視図である。
本実施形態では、両分割体10は同じ形状とされている。分割体10は、ポケット部11と連結部12とを周方向に沿って交互に備えている。ポケット部11は、ポケット7(図1参照)を構成するための半割ポケット面13が形成されている部分である。連結部12は、相手側の分割体10(連結部12)と連結させるための部分である。
連結部12には、軸方向に向く面である連結面14が形成されており、この連結面14が、相手側の分割体10の連結面14と接するようになっている(図1参照)。これにより、ポケット部11と連結部12とが周方向に沿って交互に複数(図例では8個ずつ)形成されている。なお、本実施形態のポケット部11と連結部12の個数は奇数個であっても良い。
図4は、両分割体10を分離させた状態を示す断面図である。図3および図4において、分割体10の各連結部12には、連結面14から軸方向に突出している凸部15と、連結面14から軸方向に窪む凹部16とが、互いに周方向に隙間なく形成されている。凸部15および凹部16は、径方向(図4の紙面垂直方向)に向かって断面形状が一定であり、かつ周方向に突出したり窪んだりする部分が存在しない形状とされている。なお、凸部15および凹部16は、互いに周方向に隙間をあけて形成されていても良い。
凸部15は、その先側が二股状に分岐して形成された一対の分岐部15aを有している。本実施形態では、一対の分岐部15aは、分割体10の周方向に分岐されており、互いに対向する内面15a1同士は、周方向に所定の間隔D1をおいて形成されている。両分岐部15aの基端部同士の間には、断面半円弧形状の股部15bが形成されている。
図4において、一方の分割体10の連結部12に形成された凹部16は、他方の分割体10の連結部12に形成された凸部15が所定の締め代をもって圧入嵌合されることで、これらの連結部12同士を連結して両分割体10を一体化するものである。
凹部16は、分割体10を軸方向に貫通して形成されており、周方向に対向して配置された一対の内側面16aを有している。本実施形態では、両内側面16aは、連結面14から軸方向反対側の外端面17に向かうに従って、両内側面16a同士の間隔が徐々に狭くなるように傾斜して形成されている。
分割体10の軸線と平行な仮想線Xに対する各内側面16aの傾斜角度θは、5°以下に設定されるのが好ましい。傾斜角度θが5°を上回ると、凸部15の分岐部15aが凹部16に圧入嵌合されたときの変形量が大きくなり過ぎて保持器1が破損する可能性が高まるためである。
凹部16内には、凸部15の圧入嵌合により、凸部15の一対の分岐部15aの間に配置されるくさび体18が設けられている(図5参照)。くさび体18は、凹部16内の周方向中央部において、径方向(図4の紙面垂直方向)に延びて形成されており、その長手方向両端部は、凹部16の径方向に対向して配置された内側面16bに固定されている。これにより、くさび体18は、径方向に向かって断面形状が一定であり、かつ周方向に突出したり窪んだりする部分が存在しない形状とされている。
本実施形態におけるくさび体18は、凹部16の各内側面16aとそれぞれ略平行に配置されるように傾斜して形成された一対の外側面18aを有している。なお、くさび体18の外側面18aは、これと対向する凹部16の内側面16aとの間隔t2が、連結面14側から外端面17側に向けて徐々に狭くなるように傾斜して形成されていても良い。
くさび体18の外側面18aにおける軸方向の長さL2は、凸部15の分岐部15aにおける軸方向の長さをL1に対して、L1>L2の関係を満たすように設定されている。また、くさび体18の外側面18aと、これに対向する凹部16の内側面16aとの間の間隔t2は、凸部15の分岐部15aの周方向の厚みt1に対して、t1≦t2の関係を満たすように設定されている。さらに、くさび体18の連結面14側の端面における周方向の長さD2は、凸部15の一対の分岐部15a同士の間隔D1に対して、D1≧D2の関係を満たすように設定されている。
このような分割体10の連結部12によれば、図5に示すように、一対の分割体10の連結面14同士を軸方向に接近させることで、一方の分割体10の凸部15が他方の分割体10の凹部16に挿入される。その際、凸部15の両分岐部15a同士の間にくさび体18が配置された状態で、両分岐部15aの外面15a2が、凹部16の傾斜した内側面16bに沿って挿入される。このため、凸部15の両分岐部15aの外面15a2が凹部16の内側面16aに対して締め代をもって圧入嵌合されるとともに、両分岐部15aの間隔D1が先端に向かうに従って徐々に狭くなるように変形する。
そして、両分割体10の連結面14同士が接触した状態になると、凸部15の両分岐部15aの先端が、くさび体18よりも外端面17側に突出すると共に、その先端同士の間隔d1が、くさび体18の外端面17側の端面における周方向の長さD3よりも小さくなる。これにより、両分岐部15aの内面15a1の先端側が、くさび体18の外側面18aに当接することで、凹部16に圧入嵌合された凸部15は凹部16から抜けにくくなる。
図6は、分割体10の変形例を示す斜視図である。図6に示すように、本変形例では、凸部15の一対の分岐部15aが、分割体10の径方向に分岐されている。これに対応して、くさび体18は、凹部16内の径方向中央部において、周方向に延びて形成されている。
以上、本実施形態の樹脂製保持器1および転がり軸受によれば、一方の分割体10の連結部12に形成された凸部15を、他方の分割体10の連結部12に形成された凹部16に圧入嵌合させることで、連結部12同士が連結され、両分割体10が一体化される。これにより、各分割体10が遠心力によって変形するのを抑制することができるため、高速回転の条件下でも樹脂製保持器1を使用することができる。
また、互いに連結される連結部12同士の連結構造は、凸部15と凹部16とによる簡単な構成であるため、従来の保持器のように連結部に係合爪と係合溝を設ける場合と比較して、樹脂製保持器1を成形する金型を簡単な構造にすることができる。その結果、金型を製作するための金型費用を抑えることができる。
具体的には、図4に示すように、本実施形態の連結構造である凸部15および凹部16(くさび体18含む)は、いずれも径方向(紙面垂直方向)に向かって断面形状が一定であって、かつ周方向に突出したり窪んだりする部分が存在しない。このため、本実施形態では、連結部分を一方向(軸方向)に移動する金型のみによって成形することができる。
これに対して、従来の連結構造である係合爪および係合溝は、一方向に移動する金型と、当該一方向に対して直交する他方向に移動する金型とを組み合わせて成形する必要がある。このため、従来の連結構造は、本実施形態のように一方向に移動する金型のみで成形する場合と比較して、金型費用が高くなる。
また、本実施形態では、一方の連結部12の凸部15を他方の連結部12の凹部16に圧入嵌合させた状態で、凸部15の二股状に形成された一対の分岐部15aの間にくさび体18が配置されることで、凸部15が凹部16から抜けにくくなるため、一対の連結部12同士を強固に連結することができる。
また、凸部15の一対の分岐部15aの分岐方向を、分割体10の周方向および径方向のうちから一方向を選択することができるため、凸部15や凹部16の設計自由度を高めることができる。
また、互いに連結される一対の連結部12それぞれに、凸部15および凹部16の両方が形成されているため、これら一対の連結部12のうちの一方の連結部12に形成された凸部15および凹部16に、他方の連結部12に形成された凹部16および凸部15がそれぞれ嵌合される。これにより、一対の連結部12同士をさらに強固に連結することができる。
また、後述する第三実施形態の分割体10(図9参照)では、一対の分割体10同士を連結する際に、一方の分割体10の連結部12に形成された凸部15を、他方の分割体10の連結部12に形成された凹部16に対向させるように周方向の位相を合わせる必要がある。これに対して、本実施形態では、互いに連結される一対の連結部12それぞれに凸部15および凹部16の両方が形成されているため、前記位相を合わせる必要がない。したがって、両分割体10を簡単に連結することができる。
図7は、本発明の第二実施形態に係る樹脂製保持器1の分割体10を示す断面図である。図7において、本実施形態の分割体10は、凹部16およびくさび体18の各形状が異なる点で、第一実施形態と異なる。
本実施形態の凹部16には、周方向に対向して配置された一対の内側面16aが、連結面14から軸方向反対側の外端面17に向かうに従って、両内側面16a同士の間隔が徐々に広くなるように傾斜して形成されている。くさび体18は、凹部16の各内側面16aとそれぞれ略平行に配置されるように傾斜して形成された一対の外側面18aを有している。
このような分割体10の連結部12によれば、図8に示すように、一対の分割体10の連結面14同士を軸方向に接近させることで、一方の分割体10の凸部15が他方の分割体10の凹部16に挿入される。その際、凸部15の両分岐部15a同士の間にくさび体18が配置された状態で、両分岐部15aの内面15a1が、くさび体18の傾斜した外側面18aに沿って挿入される。このため、凸部15の両分岐部15aは、その間隔D1が先端に向かうに従って徐々に広くなるように変形しながら凹部16に挿入される。
これにより、凸部15の両分岐部15aの外面15a2は、凹部16の内側面16bに押し付けられるため、凹部16の内側面16bに対して締め代をもって圧入嵌合される。そして、両分割体10の連結面14同士が接触した状態になると、両分岐部15aの外面15a2全体が、凹部16の内側面16bに押し付けられるため、凹部16に圧入嵌合された凸部15は凹部16から抜けにくくなる。
なお、本実施形態のその他の構成は、第一実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
図9は、本発明の第三実施形態に係る樹脂製保持器1の分割体10を示す斜視図である。図9において、本実施形態の分割体10は、連結部12の凸部15および凹部16の形成位置が異なる点で、第一実施形態と異なる。
本実施形態の連結部12は、分割体10の周方向に偶数個(図例では8個)形成されている。そして、これら偶数個の連結部12には、凸部15および凸部16が一つずつ交互に形成されている。なお、本実施形態のその他の構成は、第一実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態の樹脂製保持器1によれば、複数の連結部12に凸部15および凹部16が一つずつ交互に形成されている場合であっても、一方の分割体10における連結部12の凸部15の個数が、他方の分割体10における連結部12の凹部16の個数と同数(図例では3個)になる。このため、一方の分割体10の凸部15を、他方の分割体10の凹部16に対向させるように周方向に位置合わせすることで、両分割体10同士を連結することができる。したがって、一対の分割体10同士を同じ形状にしつつ、連結部12の構造を第一実施形態の連結部12よりも簡素化することができるため、保持器1を成形する金型の構造をさらに簡単な構造にすることができる。その結果、金型を製作するための金型費用をさらに抑えることができる。
なお、今回開示した実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。例えば、第二および第三実施形態における凸部15の一対の分岐部15aは、周方向に分岐されているが、第一実施形態の変形例(図6参照)のように、径方向に分岐されていても良い。この場合、第二および第三実施形態におけるくさび体18は、凸部15の分岐方向に対応して、凹部16内において周方向に延びて形成される。
1:樹脂製保持器、2:外輪、3:内輪、6:玉(転動体)、10:分割体、11:ポケット部、12:連結部、13:半割ポケット面、14:連結面、15:凸部、15a:分岐部、16:凹部、18:くさび体

Claims (6)

  1. 軸方向に二分割されている円環状の一対の分割体を備え、これら分割体それぞれに、転動体を保持するための半割ポケット面が形成されているポケット部と、相手側の分割体と接する連結面が形成され当該相手側の分割体と連結するための連結部と、が周方向に沿って交互に形成されている樹脂製保持器であって、
    互いに連結される一対の前記連結部のうちの一方側に、前記連結面から軸方向に突出して形成された凸部と、
    前記一対の連結部のうちの他方側に、前記連結面から軸方向に窪んで形成され、前記凸部が圧入嵌合されることで前記一対の連結部同士を連結して前記両分割体を一体化する凹部と、
    を備えていることを特徴とする樹脂製保持器。
  2. 前記凸部は、その先側が二股状に分岐して形成された一対の分岐部を有し、
    前記凹部内には、前記凸部の圧入嵌合により前記一対の分岐部の間に配置され、圧入嵌合された前記凸部が前記凹部から抜けにくくするためのくさび体が設けられている請求項1に記載の樹脂製保持器。
  3. 前記凸部の一対の分岐部の分岐方向が、周方向および径方向のいずれか一方向である請求項2に記載の樹脂製保持器。
  4. 前記一対の連結部それぞれに、前記凸部および前記凹部の両方が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂製保持器。
  5. 前記連結部は、前記分割体の周方向に偶数個形成されており、
    前記偶数個の連結部には、前記凸部および前記凹部が一つずつ交互に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂製保持器。
  6. 内輪と、外輪と、前記内外輪の間に転動可能に配置された複数の転動体と、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂製保持器とを備えていることを特徴とする転がり軸受。
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