JP2016088340A - ラックブッシュおよびステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラックブッシュ10は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置1を構成するラック軸8を軸方向Xへ摺動可能に支持する。ラックブッシュ10は、歯側支持部64Aと、背面側支持部64Bとを含む。歯側支持部64Aは、第1領域81にラック歯12が形成されたラック軸8の外周面8Aにおいて軸方向Xに沿って第1領域81に隣接する第2領域82に接触することによって、ラック軸8をラック歯12側から支持する。背面側支持部64Bは、外周面8Aにおいてラック軸8の軸線Jまわりの周方向Yで第1領域81から外れた位置にある第3領域83に接触することによって、ラック軸8をラック歯12側以外の背面8B側から支持する。
【選択図】図6
Description
ラック軸の第1端部には、第1ラックブッシュが配置され、ラック軸における第1ラックと第2ラックとの間には、第2ラックブッシュが配置されている。第1ラックブッシュおよび第2ラックブッシュのそれぞれは、ラック軸の全周を取り囲む環状部と、環状部から軸方向に延びる断面円弧状部とを備えている。断面円弧状部の内周に形成された弾性凸部が、ラック軸の外周面において第1ラックおよび第2ラックが形成されていない背面側の部分に接触している。これにより、第1ラックブッシュおよび第2ラックブッシュは、ラック軸を軸方向に摺動可能に支持している。
請求項3記載の発明は、前記ラックブッシュは、前記ラック軸の外周面に対して外嵌される内周面(60B)を有し、前記内周面において前記周方向における前記第1領域の両端部(81D)と一致する位置に設けられ、当該両端部から離間するように窪んだ逃げ部(66)を含むことを特徴とする、請求項1または2記載のラックブッシュである。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項2記載の発明によれば、歯側支持部は、周方向において第1領域と一致する範囲であるラック歯側からラック軸を支持するので、ピニオン軸側へのラック軸の移動を確実に規制できる。そのため、ラック歯側において打音が発生することを効果的に抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態におけるステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と、ステアリングシャフト3と、第1自在継手4と、中間軸5と、第2自在継手6と、ピニオン軸7と、ラック軸8と、ハウジング9と、ラックブッシュ10とを主に含んでいる。
ピニオン軸7は、金属製である。ピニオン軸7において第2自在継手6側とは反対側の端部の外周面には、ピニオン歯11が設けられている。
ラック軸8の外周面8Aの周方向Yにおける1箇所において、軸方向Xにおける途中の第1領域81だけに、ラック歯12が形成されている。ピニオン軸7は、軸方向Xに延びるラック軸8と交差方向(図1では上下方向)に配置されていて、ピニオン軸7のピニオン歯11とラック軸8のラック歯12とが噛み合っている。このようなピニオン軸7およびラック軸8によってラックアンドピニオン機構13が構成されている。そのため、このステアリング装置1は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置である。
運転者によって操舵部材2が操舵されてステアリングシャフト3が回転すると、この回転がラックアンドピニオン機構13によって、軸方向Xに沿ったラック軸8の直線運動に変換される。これにより、各車輪19の転舵が達成される。
ラック軸8においてラック歯12が形成された第1領域81は、ピニオン軸7の数に応じて、軸方向Xに並んだ2箇所に存在する。2箇所の第1領域81のうち、一方の第1領域81Aのラック歯12が、第1ピニオン軸7Aのピニオン歯11と噛み合っていて、他方の第1領域81Bのラック歯12が、第2ピニオン軸7Bのピニオン歯11と噛み合っている。
電動モータ24は、車体に固定されたモータハウジング26と、出力軸としての回転軸27とを備えている。減速機構25は、継手28を介して回転軸27とトルク伝達可能に連結されたウォーム軸等の駆動ギア29と、駆動ギア29と噛み合った状態で第2ピニオン軸7Bと一体回転可能に連結されたウォームホイール等の被動ギア30とを備えている。
図3は、ステアリング装置1においてハウジング9の第1端部14付近における要部を軸方向Xに沿って切断したときの模式的な断面図である。なお、説明の便宜上、図3では、ピニオン軸7およびラック軸8にハッチングを付していない。
図3を参照して、ハウジング9は、前述したように中空円筒状であり、その中空部分40は、軸方向Xに沿って延びる中心軸を有する円筒状をなしている。中空部分40の軸方向Xにおける両端は、第1端部14および第2端部15のそれぞれにおいて、開口41としてハウジング9の外側へ露出されている。開口41は、ラック軸8より大径の丸穴である。
ブッシュ本体60は、樹脂製の中空円筒状であり、その中空部分は、軸方向における両側において開放されている。なお、図3に示すようにラックブッシュ10がステアリング装置1内に組み込まれた状態では、ブッシュ本体60の軸方向は、前述した軸方向Xと一致し、ブッシュ本体60の周方向は、前述した周方向Yと一致している。以下では、軸方向Xおよび周方向Yを用いてブッシュ本体60や弾性リング61について説明する。
ブッシュ本体60の外周面60Aには、弾性リング61と同数(ここでは2つ)の嵌込溝62が、軸方向Xに間隔を隔てて形成されている。各嵌込溝62は、ブッシュ本体60の外周面60Aの周方向Yにおける全域に亘って形成されており、周方向Yに延びる環状をなしている。
図6は、図4のA−A矢視断面図である。なお、図6では、ラック軸8の断面形状が図示されているが、ブッシュ本体60については、軸方向Xから見た側面形状が図示されている。また、図6では、弾性リング61の図示が省略されている。図6を参照して、ブッシュ本体60の内周面60B(ラックブッシュ10の内周面でもある)には、ブッシュ本体60の円中心を通る軸線G側へはみ出た凸部64が一体的に設けられている。凸部64は、複数(ここでは5つ)設けられ、周方向Yに間隔を隔てて並んでいる。
図3を参照して、弾性リング61は、ゴム等の弾性材料で形成された環状である。弾性リング61として、たとえばOリングを用いることができる。弾性リング61の周方向に直交する平面で切断したときの弾性リング61の断面は、たとえば、円形状をなしている。弾性リング61は、ブッシュ本体60の嵌込溝62に1つずつ嵌め込まれている。
それぞれのラックブッシュ10では、ブッシュ本体60の内周面60Bがラック軸8の外周面8Aに対して外嵌されている。この状態のラックブッシュ10は、第1領域81と第2領域82(図3では、開口41に近い位置にある第2領域82)との境界の角部Kの付近における当該第2領域82と、軸方向Xにおいて同じ位置にある。また、ラック軸8の軸線Jと、ブッシュ本体60の軸線Gとが一致している。そして、前述したように圧縮された状態にある弾性リング61が、ブッシュ本体60を介してラック軸8を弾性的に支持している。
ラック軸8は、車輪19の転舵のために軸方向Xに沿って移動する際、各ラックブッシュ10の歯側支持部64Aおよび背面側支持部64Bのそれぞれに対して摺動する。
以上のステアリング装置1では、前述したように、ラック軸8では、図3に示すように、軸方向Xにおける第1領域81の端部81Cと、外周面8Aにおいて軸方向Xに沿って端部81Cに隣接する第2領域82との境界の角部Kは、面取り部54によって面取りされているので鋭利に尖っておらず、比較的滑らかになっている。そのため、角部Kがラック軸8の移動に応じてラックブッシュ10に対して摺動する際に、角部Kによってラックブッシュ10の内周面(特に、歯側支持部64A)が削られることを抑制できる。たとえば操舵部材2が据え切りで操舵されることによって、ラック軸8がブッシュ本体60の内周面60Bに強く押し付けられた状態で摺動するような過酷な状況でも、角部Kによってラックブッシュ10が削られることを抑制できる。よって、ラックブッシュ10の耐久性を向上できる。
さらに、ラックブッシュ10は、歯側支持部64Aによってピニオン軸7側へのラック軸8の移動も規制できる。これにより、ラック軸8のラック歯12側の部分(第2領域82の外周面8Aも含む)がハウジング9の内周面42やピニオン歯11にぶつかることによってラック歯12側において打音が発生することを抑制できる。
また、ブッシュ本体60の内周面60Bにおいて歯側支持部64Aの両側に設けられた逃げ部66は、周方向Yにおける第1領域81の両端部81Dと周方向Yで一致しており、両端部81Dから離間するように窪んでいる。そのため、逃げ部66におけるブッシュ本体60の内周面60Bは、ラック軸8に対して常に非接触である。よって、ラック軸8が軸方向Xに移動する際、第1領域81の両端部81Dにおけるラック歯12(軸方向Xと直交する断面におけるラック軸8の肩部分8C)とラックブッシュ10の内周面60Bとの干渉を抑制して、ラック軸8を円滑に移動させることができる。
たとえば、軸方向Xにおける第1領域81Aの両側の端部81Cのうち、ラックブッシュ10に接触しない端部81C(図3における右側の端部81C)では、面取り部54が省略されてもよい。
また、歯側支持部64Aおよび背面側支持部64Bのそれぞれの個数や配置は、任意に変更できる。
Claims (4)
- ラックアンドピニオン式のステアリング装置を構成するラック軸を前記ラック軸の軸方向へ摺動可能に支持するラックブッシュであって、
第1領域にラック歯が形成された前記ラック軸の外周面において前記軸方向に沿って前記第1領域に隣接する第2領域に接触することによって、前記ラック軸を前記ラック歯側から支持する歯側支持部と、
前記外周面において前記ラック軸の軸線まわりの周方向で前記第1領域から外れた位置にある第3領域に接触することによって、前記ラック軸を前記ラック歯側以外の背面側から支持する背面側支持部とを含むことを特徴とする、ラックブッシュ。 - 前記ラック歯側は、前記周方向において前記第1領域と一致する範囲であることを特徴とする、請求項1記載のラックブッシュ。
- 前記ラックブッシュは、前記ラック軸の外周面に対して外嵌される内周面を有し、
前記内周面において前記周方向における前記第1領域の両端部と一致する位置に設けられ、当該両端部から離間するように窪んだ逃げ部を含むことを特徴とする、請求項1または2記載のラックブッシュ。 - ピニオン歯を有するピニオン軸と、
前記ピニオン歯と噛み合うラック歯が形成されたラック軸と、
請求項1〜3のいずれかに記載のラックブッシュとを含むことを特徴とする、ラックアンドピニオン式のステアリング装置。
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