以下、本発明の実施形態について、図面(図1〜図13)を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
まず、図1を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を示す図である。インクジェット記録装置1は、装置筐体100、装置筐体100の内部の下方に配置された給紙部2、給紙部2の上方に配置された画像形成部3、画像形成部3の一方側(図1では右側)に配置された用紙搬送部4、及び、画像形成部3の他方側(図1では左側)に配置された用紙排出部5を備える。
給紙部2は、給紙カセット21、給紙ローラー22、及び、ガイド板23を備える。給紙カセット21は、記録用紙Pを収納し、装置筐体100に着脱自在である。給紙ローラー22は、給紙カセット21の一方側端(図1では、右側端)の上方に配置される。ガイド板23は、給紙ローラー22と用紙搬送部4との間に配置される。
給紙カセット21内には、複数枚の記録用紙Pが収納される。以下、「記録用紙」は、便宜上、単に「用紙」と記載する。なお、記録用紙Pは、「記録媒体」の一例に相当する。給紙ローラー(ピックアップローラー)22は、用紙Pの搬送方向に沿って用紙Pを送るローラーであって、給紙カセット21内の用紙Pを最上部から一枚ずつ取り出す。ガイド板23は、給紙ローラー22が取り出した用紙Pを用紙搬送部4に案内する。
用紙搬送部4は、略C字形の用紙搬送路41、用紙搬送路41の入口側に設けられた第1搬送ローラー対42、用紙搬送路41の途中に設けられた第2搬送ローラー対43、及び、用紙搬送路41の出口側に設けられたレジストローラー対44を備える。
第1搬送ローラー対42は、用紙Pの搬送方向に沿って用紙Pを送るローラー対(送りローラー対)であって、給紙部2から供給される用紙Pを挟んで用紙搬送路41に送出する。第2搬送ローラー対43も送りローラー対である。第2搬送ローラー対43は、第1搬送ローラー対42が送出した用紙Pを挟んでレジストローラー対44に向けて送出する。
レジストローラー対44は、第2搬送ローラー対43によって搬送されてきた用紙Pの斜行補正を行う。また、レジストローラー対44は、用紙Pへの画像形成のタイミングと用紙Pの搬送タイミングとを同期させるために、用紙Pを一時的に停止させた後、用紙Pを画像形成タイミングに合わせて画像形成部3に送出する。
画像形成部3は、搬送ベルト32及び記録ヘッド34を備え、レジストローラー対44から供給された用紙Pを、搬送ベルト32によって所定方向(図1では左向き)に搬送すると共に、搬送ベルト32によって搬送されている用紙P上に記録ヘッド34によって画像を形成する。なお、画像形成部3の詳細な構成は、図2を参照して後述する。また、画像形成部3は、記録ヘッド34に対して、用紙Pの搬送方向下流側(図1では、左側)に搬送ガイド36を備えている。
搬送ガイド36は、搬送ベルト32から排出される用紙Pを用紙排出部5に案内する。用紙排出部5は、排出ローラー対51、及び、排出トレイ52を備える。排出トレイ52は、装置筐体100に形成された排出口11から外部に突出するように装置筐体100に固定されている。
排出ローラー対51は、搬送ガイド36を通過した用紙Pを、排出口11の方向に送出する。排出トレイ52は、排出ローラー対51によって送出された用紙Pを案内する。排出ローラー対51によって送出された用紙Pは、装置筐体100の一方側面(図1では左側面)に形成された排出口11を介して、装置筐体100の外部に排出される。排出トレイ52は、排出口11から排出された用紙Pを積層して収納する。
次に、図2を参照して、画像形成部3について説明する。図2は、図1に示す画像形成部3の構成を示す図である。
図2に示すように、画像形成部3は、搬送部31、負圧印加部33、記録ヘッド34、及び、板状部材35を備える。4種類の記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dには、それぞれ、複数のノズル(図示せず)が設けられている。上記複数のノズルからインクが吐出されて、用紙Pに文字、図形のような画像が形成される。記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dは、略同一の構成を有するため、記録ヘッド34と総称することもある。
搬送部31は、所定方向(図2では左向き)に用紙Pを搬送するものであって、ベルト速度検知ローラー311、吸着ローラー312、駆動ローラー313、テンションローラー314、一対のガイドローラー315、及び、搬送ベルト32を備える。
搬送部31は、装置筐体100内において、4種類の記録ヘッド34(34a、34b、34c、及び、34d)に対向して配置される。搬送ベルト32は、ベルト速度検知ローラー311、駆動ローラー313、テンションローラー314、及び、一対のガイドローラー315に張架されている。搬送ベルト32は、用紙Pの搬送方向(図2では、反時計回り)に駆動されて、用紙Pを搬送する。なお、搬送ベルト32は、「無端ベルト」の一例に相当する。
テンションローラー314は、搬送ベルト32が撓まないように、搬送ベルト32に張力を与える。
ベルト速度検知ローラー311は、負圧印加部33に対して用紙Pの搬送方向の上流側(図2では右側)に配置され、搬送ベルト32との間の摩擦力によって回転する。ベルト速度検知ローラー311は、パルス板(図示せず)を含み、上記パルス板は、ベルト速度検知ローラー311と一体になって回転する。上記パルス板の回転速度を測定することによって、搬送ベルト32の回転速度が検知される。
駆動ローラー313は、負圧印加部33に対して用紙Pの搬送方向の下流側(図1では左側)に配置される。好ましくは、駆動ローラー313は、ベルト速度検知ローラー311と共に、記録ヘッド34と対向する位置の搬送ベルト32の平面性を維持するように配置される。
駆動ローラー313はモーター(図示せず)によって回転駆動され、図2の反時計回りの方向に搬送ベルト32を回転させる。
一対のガイドローラー315は、負圧印加部33よりも下方に配置され、負圧印加部33の下方に空間を形成する。このように配置することによって、負圧印加部33の下方における搬送ベルト32と負圧印加部33との接触を防止することができる。
4種類の記録ヘッド34(34a、34b、34c、及び、34d)は、用紙Pの搬送方向の上流側から下流側に向けて並設される。記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dは、それぞれ、搬送ベルト32の幅方向(図2では、紙面に直交する方向)に配列された複数のノズル(図示せず)を備えている。また、記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dは、ライン型と呼ばれる。つまり、インクジェット記録装置1は、ラインヘッド方式のインクジェット記録装置である。
負圧印加部33は、搬送ベルト32を介して、用紙Pに負圧を印加して、用紙Pを搬送ベルト32に吸着させる。また、負圧印加部33は、搬送ベルト32を介して4種類の記録ヘッド34と対向するように搬送ベルト32の裏面側(図2では下側)に配置される。負圧印加部33は、空気流通室331、空気流通室331の上面開口を覆うガイド部材332、負圧発生部336、及び、排気口337を備える。
吸着ローラー312は従動ローラーである。吸着ローラー312は、搬送ベルト32を介して、ガイド部材332に対向して配置され、レジストローラー対44から送出された用紙Pを搬送ベルト32上へ誘導して、搬送ベルト32に吸着させる。
ガイド部材332は、搬送ベルト32を介して用紙Pを支持する。ガイド部材332は、「搬送板」の一例に相当する。また、ガイド部材332には、貫通孔335が形成されている。ガイド部材332は、例えば、金属材料からなる。具体的には、ガイド部材332の材料として、アルミダイキャスト、プレス加工板等を使用できる。あるいは、ガイド部材332の材料として、搬送ベルト32との摺動性に優れた樹脂を選択することも可能である。
本実施形態では、便宜上、負圧印加部33がガイド部材332を備えるとして説明しているが、上述のように、ガイド部材332は搬送ベルト32を支持するため、搬送部31がガイド部材332を備えるとして説明してもよい。
空気流通室331は、上面が開口した有底筒状の箱形部材によって形成されている。空気流通室331を構成する側壁の上面は、ガイド部材332に固定されている。負圧発生部336は、空気流通室331の下方に配置される。空気流通室331を構成する箱形部材の底壁には、空気の流れについて負圧発生部336の下流側(図2では下側)に排気口337が配置されている。負圧発生部336が駆動することによって、空気流通室331内に負圧が発生し、この負圧によって、ガイド部材332及び搬送ベルト32を介して、用紙Pが搬送ベルト32に向けて吸引される。
負圧発生部336は、空気流通室331内に負圧を発生するものであって、例えば、ファンである。ただし、負圧発生部336は、ファンに限定されるものではなく、例えば真空ポンプであってもよい。
板状部材35は、記録ヘッド34に対して、用紙Pの搬送方向上流側(図2では右側)に配置されている。換言すれば、板状部材35は、記録ヘッド34aと吸着ローラー312との間に配置されている。なお、板状部材35は、「空間形成部」の一部に相当する。また、板状部材35の下面と、搬送ベルト32の上面との間の空間は、後述する狭隙空間35aである。
次に、図1を参照して、インクジェット記録装置1の動作について説明する。給紙ローラー22は、給紙カセット21から用紙Pを取り出す。取り出された用紙Pは、ガイド板23によって第1搬送ローラー対42に導かれる。
用紙Pは第1搬送ローラー対42によって用紙搬送路41内に送出され、第2搬送ローラー対43によって用紙Pの搬送方向に搬送される。そして、用紙Pはレジストローラー対44に当接して停止し、斜行補正が行われる。そして、画像形成タイミングに合わせてレジストローラー対44によって用紙Pが画像形成部3に送出される。
用紙Pは吸着ローラー312によって搬送ベルト32上に導かれ、搬送ベルト32に吸着される。用紙Pの幅方向の中心が、搬送ベルト32の幅方向の中心と一致するように、用紙Pが搬送ベルト32に導かれることが好ましい。用紙Pは、搬送ベルト32に形成された多数の吸引孔321(図4参照)の一部を覆う。負圧印加部33は、ガイド部材332、及び、搬送ベルト32を介して空気を吸引しており、空気流通室331には負圧が発生している。これによって、負圧が用紙Pに作用して、用紙Pが搬送ベルト32に吸着される。そして、用紙Pは、搬送ベルト32の移動に伴って用紙Pの搬送方向に搬送される。
搬送ベルト32によって、4種類の記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dに、それぞれ対向する位置へ用紙Pの各部分が連続して搬送される。この間に、4種類の記録ヘッド34a、34b、34c、及び34dから、それぞれ、各色のインクが搬送ベルト32によって搬送されている用紙Pへ向けて吐出される。これによって、用紙Pに画像が形成される。
用紙Pは、搬送ベルト32から搬送ガイド36へ搬送される。搬送ガイド36を通過した用紙Pは、排出ローラー対51によって排出口11の方向に送出され、排出トレイ52に案内されて排出口11を介して装置筐体100の外部に排出される。
次に、図3を参照して、板状部材35近傍の構成について説明する。図3は、図2に示す板状部材35近傍の構成を示す図である。
図3に示すように、板状部材35は、ヘッドベース37に固定されている。ヘッドベース37は、記録ヘッド34を固定する板状の部材である。なお、ヘッドベース37は、「空間形成部」の一部に相当する。狭隙空間35aは、狭隙空間35aの周囲の空間から狭隙空間35aに流入する空気流の速度を、狭隙空間35aに流入する前より、狭隙空間35aに流入した後の方が大きくするように、搬送ベルト32の上面に直交する方向の距離Hが設定されている。換言すれば、距離Hは、狭隙空間35aの垂直方向の長さ(距離)である。具体的には、板状部材35の下面は、搬送ベルト32の上面との間で、上下方向の距離Hが予め設定された閾値距離HS(例えば、3mm)以下に設定された狭隙空間35aを形成する。また、板状部材35は、少なくともその下面が接地された導電体(例えば、ステンレスのような金属)である。ガイド部材332と接している搬送ベルト32の上面は、「記録媒体の載置面」の一例に相当する。本実施形態では、狭隙空間35aの上下方向の距離Hは、例えば、2mmである。
なお、図3を参照した上記の説明では、用紙Pの厚みが狭隙空間35aの上下方向の距離Hと比較して充分に薄い場合について説明しているが、図8〜図10を参照して後述するように、用紙Pの厚みに応じて狭隙空間35aの上下方向の距離Hを変更することが好ましい。具体的には、例えば、用紙Pの上面と板状部材35の下面との間の距離が略一定(例えば、2mm)となるように、用紙Pの厚みに応じて板状部材35を昇降させることが好ましい。
ヘッドベース37には、板状部材35に対して用紙Pの搬送方向下流側(図3では左側)、及び、用紙Pの搬送方向上流側(図3では右側)に、それぞれ、狭隙空間35aに空気を流入させる孔371、372が形成されている。孔371、372は、それぞれ、用紙Pの幅方向(図3では、紙面に垂直な方向)に延びた長孔である。
本実施形態では、ヘッドベース37に形成された孔が、用紙Pの幅方向に延びた孔371、372である場合について説明しているが、ヘッドベース37に形成された孔が、その他の形状である形態でもよい。例えば、ヘッドベース37に形成された孔が、用紙Pの幅方向に沿って複数個形成された略円柱状の孔でもよい。
ヘッドベース37に形成された孔371、372から狭隙空間35aに流入した空気は、搬送ベルト32に形成された複数の吸引孔321、及び、ガイド部材332に形成された複数の貫通孔335を介して、空気流通室331に流入する。換言すれば、空気流通室331は、負圧発生部336によって、負圧状態(例えば、約0.005気圧≒約500Pa)になっているため、空気流通室331に、搬送ベルト32に形成された複数の吸引孔321、及び、ガイド部材332に形成された複数の貫通孔335を介して、狭隙空間35aから空気が流れ込む。また、狭隙空間35aから空気流通室331に空気が流入するため、ヘッドベース37に形成された孔371、372から狭隙空間35aに空気が流入する。
上述のように、図3に示す矢印FD1及び矢印FD2に沿って空気が流れる。そして、狭隙空間35aの上下方向の距離Hは、予め設定された閾値距離HS以下に設定されているため、狭隙空間35aにおける風速が増大する。狭隙空間35aにおける風速は、例えば、6.0m/秒以上であることが好ましい。
上述のように、矢印FD1で示す風は、狭隙空間35aにおいて、用紙Pの搬送方向の上流側から下流側に向けて(図3では、左向きに)吹くため、図3に示すように、用紙Pの先端(図3では、左端)に付着した紙粉PDを除去して、除去した紙粉PDを空気流通室331内に回収することができる。また、矢印FD2で示す風は、狭隙空間35aにおいて、用紙Pの搬送方向の下流側から上流側に向けて(図3では、右向きに)吹くため、図3に示すように、用紙Pの後端(図3では、右端)に付着した紙粉PDを除去して、除去した紙粉PDを空気流通室331内に回収することができる。したがって、用紙Pに付着した紙粉を効果的に除去することができる。
また、上述のように、板状部材35が接地された導電体であるため、板状部材35が帯電することはない。したがって、紙粉が帯電している場合にも、紙粉の板状部材35への付着を抑制することができる。
更に、上述のように、板状部材35がヘッドベース37に固定されているため、板状部材35を容易に配置することができる。また、ヘッドベース37には、狭隙空間35aに空気を流入させる孔371、372が形成されているため、狭隙空間35aに空気をスムーズに流れ込ませることができる。
本実施形態では、板状部材35がヘッドベース37に固定されている場合について説明しているが、板状部材35が図1に示す装置筐体100に固定されている形態でもよい。例えば、装置筐体100から延びた固定部材が、板状部材35の幅方向(図3では紙面に垂直な方向)の両端を固定する形態でもよい。この場合には、狭隙空間35aに用紙Pの搬送方向の下流側及び上流側から流入する空気の流れを阻害する部材が存在しないため、狭隙空間35aにおける風速を更に増大することができる。したがって、紙粉を更に効果的に除去することができる。
また、図3に示すように、板状部材35には、狭隙空間35aにおける搬送ベルト32の上面に直交する方向の距離が、板状部材35における用紙Pの搬送方向(図3では左右方向)の端面に近づく程大きくなるように、テーパ351が形成されている。図3で右側のテーパ351は、狭隙空間35aにおける搬送ベルト32の上面に直交する方向の距離が、板状部材35における用紙Pの搬送方向(図3では左右方向)の上流側の端面に近づく程大きくなるように形成されている。また、図3で左側のテーパ351は、狭隙空間35aにおける搬送ベルト32の上面に直交する方向の距離が、板状部材35における用紙Pの搬送方向(図3では左右方向)の下流側の端面に近づく程大きくなるように形成されている。換言すれば、板状部材35は、板状部材35の用紙Pの搬送方向の上流側端部及び下流側端部に、それぞれ、板状部材35の用紙Pの搬送方向の端面に近づく程、板状部材35の厚みが薄くなるようにテーパ351が形成されている。
上述のように、板状部材35には、狭隙空間35aにおける搬送ベルト32の上面に直交する方向の距離が、板状部材35における用紙Pの搬送方向(図3では左右方向)の端面に近づく程大きくなるようにテーパ351が形成されているため、板状部材35に沿って流れる空気の圧損を少なくすることができる。したがって、狭隙空間35aにおける風速を増大することができるため、紙粉を更に効果的に除去することができる。
次に、図4を参照して、搬送ベルト32、ガイド部材332、及び、負圧印加部33の構成について説明する。図4は、図2に示す搬送ベルト32、ガイド部材332、及び、負圧印加部33の構成を示す切断斜視図である。
図4に示すように、上側から下側に向けて、搬送ベルト32、ガイド部材332、空気流通室331、及び、負圧発生部336が配置されている。搬送ベルト32には、多数の吸引孔321が形成されている。
ここで、搬送ベルト32に形成された吸引孔321について説明する。図4に示すように、搬送ベルト32には、多数の吸引孔321が略等間隔に形成されている。吸引孔321の直径は、例えば2mmであり、隣接する吸引孔321との間隔は、例えば8mmである。
また、ガイド部材332の上面(搬送ベルト32側の面)には、複数の溝334が形成されている。溝334は、用紙Pの搬送方向に延びる長円状に形成されている。
ここで、図5を参照して、ガイド部材332に形成された溝334及び貫通孔335について説明する。図5は、図4に示すガイド部材332の構成を示す平面図である。図5に示すように、ガイド部材332には、用紙Pの搬送方向(図5では、左右方向)に延びる長円状の溝334から成る列が、ガイド部材332の幅方向(図5では上下方向)に複数本形成されている。また、溝334における、用紙Pの搬送方向(図5では、左右方向)の略中央位置には、それぞれ、ガイド部材332をその厚さ方向に貫通する貫通孔335が形成されている。貫通孔335の断面は円形状である。
図5に示す破線は、ガイド部材332に投影した板状部材35の位置を示している。ガイド部材332における板状部材35の投影像に対して、用紙Pの搬送方向上流側(図5では左側)、及び、用紙Pの搬送方向下流側(図5では右側)にそれぞれ、貫通孔335が一列ずつ形成されている。そして、用紙Pの搬送方向上流側(図5では左側)に形成された貫通孔335に連通する溝334は、板状部材35の投影像における用紙Pの搬送方向上流側(図5では左側)端の位置よりも更に用紙Pの搬送方向上流側に延びている。同様に、用紙Pの搬送方向下流側(図5では右側)に形成された貫通孔335に連通する溝334は、板状部材35の投影像における用紙Pの搬送方向下流側(図5では右側)端の位置よりも更に用紙Pの搬送方向下流側に延びている。
次に、図6を参照して、ガイド部材332に形成された溝334及び貫通孔335について説明する。図6は、図5に示すガイド部材332に形成された溝334及び貫通孔335の構成を示す平面図及び断面図である。図6(a)は、溝334及び貫通孔335の構成を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す溝334及び貫通孔335のA−A断面図である。
図6(a)に示すように、溝334における、用紙Pの搬送方向(図6(a)では、左右方向)の略中央位置には、ガイド部材332をその厚さ方向に貫通する貫通孔335が形成されている。図6(b)に示すように、溝334は、貫通孔335と連通して形成されているため、空気流通室331から貫通孔335を介して印加される負圧が、溝334が形成されている領域にも作用する。また、貫通孔335の上端及び下端には、それぞれ、テーパ335a及びテーパ335bが形成されている。
上述のように、板状部材35に対向する位置に溝334が形成されているため、空気流通室331から貫通孔335を介して印加される負圧が、溝334が形成されている領域にも作用する。したがって、図3に示す矢印FD1及び矢印FD2に沿って、空気が更に流れ易くなるため、紙粉を更に効果的に除去することができる。
また、上述のように、貫通孔335の上端及び下端に、それぞれ、テーパ335a及びテーパ335bが形成されているため、貫通孔335を流れる空気の圧損を減少することができる。したがって、図3に示す矢印FD1及び矢印FD2に沿って、空気が更に流れ易くなるため、紙粉を更に効果的に除去することができる。
本実施形態では、貫通孔335の上端及び下端に、それぞれ、テーパ335a及びテーパ335bが形成されている場合について説明するが、貫通孔335の上端又は下端にテーパが形成されている形態でもよい。
図4に戻って、搬送ベルト32に形成された吸引孔321と、ガイド部材332に形成された溝334との位置関係について説明する。用紙Pの搬送方向に配置された多数の吸引孔321から成る列が搬送ベルト32の幅方向(用紙Pの搬送方向に直交する方向)に複数本形成されており、これらの複数本の列は、吸引孔321が千鳥状に配置されるように配列されている。また、図4に示すように、搬送ベルト32の複数本の吸引孔321の列は、それぞれ、複数本の溝334の列に対応して配置される。
また、複数の溝334は、ぞれぞれ、少なくとも2個の吸引孔321と対向するように形成されている。搬送ベルト32の移動に伴って、複数の溝334に、それぞれ、対向する吸引孔321が1つずつ入れ替わってゆく。
負圧発生部336によって負圧にされる空気流通室331は、ガイド部材332の貫通孔335及び溝334を介して、搬送ベルト32の吸引孔321に連通する。
上述のように、搬送ベルト32の吸引孔321に負圧が印加されるため、搬送ベルト32は、用紙Pを吸着して搬送することができる。
<遮蔽板を配置する実施形態について>
次に、図7〜図10を参照して、遮蔽板381(382、383)を配置する実施形態について説明する。遮蔽板381は、図2に示す板状部材35の側方から流入する空気の流れを遮蔽する。まず、図7を参照して、遮蔽板381を配置する場合と遮蔽板381を配置しない場合との差異について説明する。図7は、遮蔽板381を配置する場合と遮蔽板381を配置しない場合との構成を示す正面断面図及び平面図である。(a)は、遮蔽板381を配置しない場合の正面断面図であり、(b)は、遮蔽板381を配置しない場合の平面図である。(c)は、遮蔽板381を配置した場合の正面断面図であり、(d)は、遮蔽板381を配置した場合の平面図である。
図7(a)に示すように、板状部材35と搬送ベルト32との間に形成される狭隙空間35aは、用紙Pの搬送方向(図7(a)では紙面に直交する方向)だけでなく、側方(図7(a)では板状部材35の左右方向)も開放されている。よって、図7(b)に示すように、狭隙空間35aには、用紙Pの搬送方向(図7(b)では上下方向)の空気の流れF1、F3に加えて、用紙Pの搬送方向に直交する方向(図7(b)では左右方向)の空気の流れF2が流入する。そして、空気の流れF2が、空気の流れF1、F3と衝突して、空気の流れF1、F3の流速を低下させる。その結果、空気の流れF1、F3による紙粉の除去能力が低下する。
図7(c)に示すように、2枚の遮蔽板381は、板状部材35と一体に形成されている。ここで、板状部材35は、幅方向(図7(c)では左右方向)に、ガイド部材332に対して、幅方向の外側まで延設されている。また、2枚の遮蔽板381は、それぞれ、狭隙空間35aの幅方向の両側面から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制するように、板状部材35の幅方向両端部に、それぞれ、下向きに立設されている。なお、2枚の遮蔽板381は、「遮蔽部」の一例に相当する。
2枚の遮蔽板381と、ガイド部材332の幅方向の両側面との間隔が狭い程、狭隙空間35aの幅方向の両側面から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制することができる。したがって、2枚の遮蔽板381と、ガイド部材332の幅方向の両側面との間隔が狭くなるように、2枚の遮蔽板381を配置することが好ましい。
図7(c)に示すように2枚の遮蔽板381が配置されている場合には、図7(d)に示すように、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへの空気の流入が抑制される。したがって、2枚の遮蔽板381を配置することによって、空気の流れF2が抑制されるため、用紙Pの搬送方向の空気の流れF1、F3の流速を増加することができ、紙粉の除去能力を向上することができる。
図7(c)に示す2枚の遮蔽板381は、図7(d)に示すように、それぞれ、板状部材35における用紙Pの搬送方向(図7(d)では上下方向)の長さと同一の長さに形成されているが、2枚の遮蔽板381の用紙Pの搬送方向の長さが、それぞれ、板状部材35における用紙Pの搬送方向の長さと相違する形態でもよい。例えば、2枚の遮蔽板381の用紙Pの搬送方向の長さが、それぞれ、板状部材35における用紙Pの搬送方向の長さより長い場合には、空気の流れF2が更に抑制されるため、空気の流れF1、F3による紙粉の除去能力を更に向上することができる。また、空気の流れF2を抑制するために、2枚の遮蔽板381は、それぞれ、板状部材35に対して、用紙Pの搬送方向上流側及び下流側に突出している形態が好ましい。
次に、図8を参照して、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の動作について説明する。図8は、図7に示す実施形態(第1実施形態)の2枚の遮蔽板381の動作を示す正面断面図である。図8(a)は、用紙Pが普通紙P1である場合の状態を示す図であり、図8(b)は、用紙Pが厚紙P2である場合の状態を示す図であり、図8(c)は、用紙Pが封筒P3である場合の状態を示す図である。また、板状部材35及び2枚の遮蔽板381は、図略のモーターによって昇降自在に構成されている。
図8(a)に示すように、用紙Pが普通紙P1(普通紙P1の厚みHP1は、例えば、0.1mm)である場合には、板状部材35の下面と普通紙P1の上面との間の距離HS1が、予め設定された距離HAとなるように、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H1が、2.1mmとなるように、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の上下方向の位置が設定される。
また、図8(b)に示すように、用紙Pが厚紙P2(厚紙P2の厚みHP2は、例えば、0.5mm)である場合には、板状部材35の下面と厚紙P2の上面との間の距離HS2が、予め設定された距離HAとなるように、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H2が、2.5mmとなるように、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の上下方向の位置が設定される。
更に、図8(c)に示すように、用紙Pが封筒P3(封筒P3の厚みHP3は、例えば、1.0mm)である場合には、板状部材35の下面と封筒P3の上面との間の距離HS3が、予め設定された距離HAとなるように、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H3が、3.0mmとなるように、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の上下方向の位置が設定される。
上述のように、用紙Pの厚みに応じて板状部材35が昇降され、板状部材35の下面と用紙Pの上面との間の距離が、予め設定された距離HAとなるように板状部材35の上下方向の位置が設定される。したがって、用紙Pの厚みに応じて板状部材35を適正な位置に配置することができる。その結果、用紙Pの厚みが変化した場合にも、用紙Pに付着した紙粉を効果的に除去することができる。
また、図8(a)〜図8(c)に示すように、用紙Pの厚みに応じて板状部材35が昇降されると、板状部材35と一体に形成された2枚の遮蔽板381も昇降する。2枚の遮蔽板381は、それぞれ、用紙Pの厚みに応じて昇降しても、用紙Pの搬送方向に直交する方向(図8(a)〜(c)では左右方向)から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制することができるように、遮蔽板381の上下方向(図8(a)〜(c)では上下方向)の長さが設定されている。
換言すれば、用紙Pとして、図1に示すインクジェット記録装置1によって印刷可能な最も厚い用紙P(例えば、厚さ1.0mmの封筒P3)が給紙カセット21にセットされ、印刷が実行された場合に、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制することができるように、2枚の遮蔽板381の上下方向の長さが、設定されている。
上述のように、用紙Pの厚みが変更された場合にも、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制することができるため、紙粉を効果的に除去することができる。
また、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の上下方向の位置は、例えば、用紙Pの厚みが変更されたときに、用紙Pの厚みに応じて設定される。このように、用紙Pの厚みが変更されたときに、板状部材35及び2枚の遮蔽板381の上下方向の位置を設定する部分が、「距離設定部」の一例に相当する。なお、用紙Pの厚みは、例えば、以下のようにして図1に示すインクジェット記録装置1に入力される。ユーザーによって図1に示す給紙カセット21に用紙Pがセットされたときに、ユーザーによって図略の操作パネルが操作されて用紙Pの厚みが入力される。
次に、図9を参照して、図7に示す遮蔽板381の他の実施形態(第2実施形態)について説明する。第2実施形態の遮蔽板382は、ガイド部材332に立設されている点で、第1実施形態の遮蔽板381と相違する。図9は、第2実施形態の遮蔽板382を示す正面断面図である。図9(a)は、用紙Pが普通紙P1である場合の状態を示す図であり、図9(b)は、用紙Pが厚紙P2である場合の状態を示す図であり、図9(c)は、用紙Pが封筒P3である場合の状態を示す図である。
まず、図9(a)を参照して、第2実施形態の遮蔽板382の構成について説明する。図9(a)に示すように、2枚の遮蔽板382は、それぞれ、板状部材35の幅方向(図9(a)では左右方向)の端面と近接するように、ガイド部材332の幅方向の両側の端部に立設されている。また、板状部材35は、搬送ベルト32に対して、搬送ベルト32の幅方向の外側まで延設されている。また、2枚の遮蔽板382は、狭隙空間35aの幅方向の両側面から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制するように、それぞれ、ガイド部材332の幅方向の両端部に立設されている。なお、遮蔽板382は、「遮蔽部」の一例に相当する。また、板状部材35は、図略のモーターにより昇降自在に構成されている。
図9(a)に示すように2枚の遮蔽板382が配置されている場合には、狭隙空間35aに用紙Pの搬送方向に直交する方向の空気の流入が抑制される。したがって、2枚の遮蔽板382を配置することによって、用紙Pの搬送方向に直交する方向の空気の流れが抑制されるため、用紙Pの搬送方向の空気の流れの流速を増加することができ、紙粉の除去能力を向上することができる。
図9(a)に示すように、用紙Pが普通紙P1(普通紙P1の厚みHP1は、例えば、0.1mm)である場合には、板状部材35の下面と普通紙P1の上面との間の距離HS1が、予め設定された距離HA(例えば、2.0mm)となるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H1が、2.1mmとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。
また、図9(b)に示すように、用紙Pが厚紙P2(厚紙P2の厚みHP2は、例えば、0.5mm)である場合には、板状部材35の下面と厚紙P2の上面との間の距離HS2が、予め設定された距離HAとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H2が、2.5mmとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。
更に、図9(c)に示すように、用紙Pが封筒P3(封筒P3の厚みHP3は、例えば、1.0mm)である場合には、板状部材35の下面と封筒P3の上面との間の距離HS3が、予め設定された距離HAとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H3が、3.0mmとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。
上述のように、用紙Pの厚みに応じて板状部材35が昇降され、板状部材35の下面と用紙Pの上面との間の距離が、予め設定された距離HAとなるように板状部材35の上下方向の位置が設定される。したがって、用紙Pの厚みに応じて板状部材35を適正な位置に配置することができる。その結果、用紙Pの厚みが変化した場合にも、用紙Pに付着した紙粉を効果的に除去することができる。
また、2枚の遮蔽板382は、板状部材35が用紙Pの厚みに応じて昇降しても、用紙Pの搬送方向に直交する方向(図9(a)〜(c)では左右方向)から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制することができるように、遮蔽板382の上下方向(図9(a)〜(c)では上下方向)の長さが設定されている。
換言すれば、用紙Pとして、図1に示すインクジェット記録装置1によって印刷可能な最も厚い用紙P(例えば、厚さ1.0mmの封筒P3)が給紙カセット21にセットされ、印刷が実行された場合に、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制することができるように、2枚の遮蔽板382の上下方向の長さが設定されている。
上述のように、用紙Pの厚みが変更された場合にも、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制することができるため、紙粉を効果的に除去することができる。
図9(a)〜図9(c)では、2枚の遮蔽板382が、それぞれ、板状部材35の幅方向(図9(a)では左右方向)の端面と近接するように配置されている場合について説明しているが、2枚の遮蔽板382が、それぞれ、板状部材35の幅方向の端面と当接するように配置されている形態でもよい。この場合には、板状部材35が昇降するときに、2枚の遮蔽板382の側面が板状部材35の幅方向の端面と摺接する。また、この場合には、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへの空気の流入を更に効果的に抑制することができるため、紙粉を更に効果的に除去することができる。
次に、図10を参照して、図7に示す遮蔽板381の他の実施形態(第3実施形態)について説明する。第3実施形態の遮蔽板383は、搬送ベルト32に対して、搬送ベルト32の幅方向の外側に固定されている点で、第1実施形態の遮蔽板381と相違する。また、ガイド部材332の幅方向の両側の端部に立設されていない(ガイド部材332から離間してその下方側端部がガイド部材332の上方に配置されている)点で、第2実施形態の遮蔽板381と相違する。図10は、図7に示す遮蔽板381の第3実施形態を示す正面断面図である。図10(a)は、用紙Pが普通紙P1である場合の状態を示す図であり、図10(b)は、用紙Pが厚紙P2である場合の状態を示す図であり、図10(c)は、用紙Pが封筒P3である場合の状態を示す図である。
まず、図10(a)を参照して、第3実施形態の遮蔽板383の構成について説明する。図10(a)に示すように、2枚の遮蔽板383は、それぞれ、板状部材35の幅方向(図10(a)では左右方向)の両側端面と近接するように、搬送ベルト32に対して、搬送ベルト32の幅方向の外側且つ上方に固定されている。具体的には、2枚の遮蔽板383は、例えば、ヘッドベース37(図3参照)に固定されている。ここで、板状部材35は、搬送ベルト32に対して、幅方向の外側まで延設されている。また、2枚の遮蔽板383は、狭隙空間35aの幅方向の両側面から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制するように、それぞれ、搬送ベルト32に対して、搬送ベルト32の幅方向の外側に固定されている。なお、遮蔽板383は、「遮蔽部」の一例に相当する。また、板状部材35は、図略のモーターにより昇降自在に構成されている。
図10(a)に示すように2枚の遮蔽板383が配置されている場合には、狭隙空間35aに用紙Pの搬送方向に直交する方向の空気の流入が抑制される。したがって、2枚の遮蔽板383を配置することによって、用紙Pの搬送方向に直交する方向の空気の流れが抑制されるため、用紙Pの搬送方向の空気の流れの流速を増加することができ、紙粉の除去能力を向上することができる。
図10(a)に示すように、用紙Pが普通紙P1(普通紙P1の厚みHP1は、例えば、0.1mm)である場合には、板状部材35の下面と普通紙P1の上面との間の距離HS1が、予め設定された距離HA(例えば、2.0mm)となるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H1が、2.1mmとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。
また、図10(b)に示すように、用紙Pが厚紙P2(厚紙P2の厚みHP2は、例えば、0.5mm)である場合には、板状部材35の下面と厚紙P2の上面との間の距離HS2が、予め設定された距離HAとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H2が、2.5mmとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。
更に、図10(c)に示すように、用紙Pが封筒P3(封筒P3の厚みHP3は、例えば、1.0mm)である場合には、板状部材35の下面と封筒P3の上面との間の距離HS3が、予め設定された距離HAとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。具体的には、板状部材35の下面と搬送ベルト32の上面との距離H3が、3.0mmとなるように、板状部材35の上下方向の位置が設定される。
上述のように、用紙Pの厚みに応じて板状部材35が昇降され、板状部材35の下面と用紙Pの上面との間の距離が、予め設定された距離HAとなるように板状部材35の上下方向の位置が設定される。したがって、用紙Pの厚みに応じて板状部材35を適正な位置に配置することができる。その結果、用紙Pの厚みが変化した場合にも、用紙Pに付着した紙粉を効果的に除去することができる。
また、2枚の遮蔽板383は、板状部材35が用紙Pの厚みに応じて昇降しても、用紙Pの搬送方向に直交する方向(図10(a)〜図10(c)では左右方向)から狭隙空間35aへ流入しようとする空気の流れを抑制することができるように、遮蔽板383の上下方向(図10(a)〜図10(c)では上下方向)の位置及び長さが設定されている。
換言すれば、用紙Pとして、図1に示すインクジェット記録装置1によって印刷可能な最も厚い用紙P(例えば、厚さ1.0mmの封筒P3)が給紙カセット21にセットされ、印刷が実行された場合に、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへ流入しようとする空気の流れを抑制することができるように、2枚の遮蔽板382の上下方向の位置及び長さが設定されている。また、用紙Pとして、図1に示すインクジェット記録装置1によって印刷可能な最も薄い用紙P(例えば、厚さ0.1mmの普通紙P1)が給紙カセット21にセットされ、印刷が実行された場合に、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへの空気の流入を抑制することができるように、2枚の遮蔽板382の上下方向の位置及び長さが設定されている。
上述のように、用紙Pの厚みが変更された場合にも、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへ流入しようとする空気の流れを抑制することができるため、紙粉を効果的に除去することができる。
図10(a)〜図10(c)では、2枚の遮蔽板383が、それぞれ、板状部材35の幅方向(図10(a)では左右方向)の端面と近接するように配置されている場合について説明しているが、2枚の遮蔽板383が、それぞれ、板状部材35の幅方向の端面と当接するように配置されている形態でもよい。この場合には、板状部材35が昇降するときに、板状部材35の幅方向の端面が遮蔽板383の側面と摺擦しながら板状部材35が移動する。また、この場合には、用紙Pの搬送方向に直交する方向から狭隙空間35aへの空気の流入を効果的に抑制することができるため、紙粉を更に効果的に除去することができる。
<送風部を配置する実施形態について>
次に、図11〜図13を参照して、送風部39を備える形態について説明する。まず、図11を参照して、送風部39の配置位置について説明する。図11は、送風部39を配置する場合の板状部材35近傍の構成を示す図である。送風部39は、板状部材35の用紙搬送方向上流側に配置され、狭隙空間35aに空気を送入する。また、送風部39は、図略のファンを備え、上記ファンによって発生された空気の流れを、狭隙空間35aに向けて送出する。
次に、図12を参照して、送風部39の構成及び動作について説明する。図12は、図11に示す送風部39の構成及び動作を示す図である。図12(a)は、送風部39が送風する状態を示す図であり、図12(b)は、送風部が送風を停止する状態を示す図である。図12(a)に示すように、送風部39は、送風室391、送風弁392、排気弁393、送風口394、及び、排気口395を備える。なお、図12(a)及び図12(b)では、排気弁393、及び、送風弁392の開閉状態を明確に示すため、送風室391を構成する手前側の壁面の記載を省略している。
送風室391は、図略のファンによって送出された空気を収納する空間である。送風室391の図略のファンと反対側(図12(a)では左下側)には、送風口394が形成されている。送風口394は、ファンによって送出された空気を図11に示す狭隙空間35aに向けて送出する開口である。送風室391は、図略のファン側(図12(a)及び図12(b)では右上側)の断面積が広く、送風口394側の断面積が狭くなるように、上記ファン側から送風口394側に向けて先窄まり形状に形成されている。排気口395は、送風口394に対して上記ファン側の送風室391側面に形成され、送風室391内の空気を外部に排出する開口である。排気弁393は、送風室391内の空気を排出するときに開状態とされる弁である。送風弁392は、送風口394を開閉する弁である。
図12(a)に示すように、送風部39が送風する場合には、送風弁392が開状態にされ、排気弁393が閉状態とされる。排気弁393が閉状態にされているため、図略のファンから送出された空気が、送風室391に収納される。また、送風弁392が開状態とされているため、送風室391に収納された空気が、矢印F4に示すように送風口394から送出される。
一方、図12(b)に示すように、送風部39が送風を停止する場合には、送風弁392が閉状態にされ、排気弁393が開状態とされる。送風弁392が閉状態とされているため、送風室391に収納された空気は、送風口394から送出されない。また、排気弁393が開状態にされているため、図略のファンから送風室391に送出された空気は、矢印F5に示すように排気口395から外部に排出される。
上述のように、送風部39を備える場合には、用紙Pの搬送方向上流側から図11に示す狭隙空間35aへ流入する空気の風速を更に増大することができるため、紙粉を更に効果的に除去することができる。
また、送風部39が送風弁392及び排気弁393を備えるため、送風部39から狭隙空間35aに向けての送風の開始動作、及び、停止動作を短時間で行うことができる。したがって、送風部39から狭隙空間35aに向けての送風の開始動作、及び、停止動作を、所望するタイミングで行うことができる。
次に、図13を参照して、送風部39から狭隙空間35aに向けて送風を開始するタイミング、及び、停止するタイミングについて説明する。図13は、図11に示す送風部30の動作を示すフローチャートである。なお、図13に示す動作は、図1に示すインクジェット記録装置1に配置された図略の制御部によって実行される。上記制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える。上記ROMには、送風部39の動作を制御する制御プログラムが格納されている。そして、上記CPUは、上記ROMに格納された制御プログラムを読みだして実行することによって、送風部39の動作を制御する機能部を含む各種機能部として機能する。上記RAMは、上記CPUが、上記制御プログラムを実行する際の作業領域として用いられる。
まず、用紙Pの先端が送風開始位置PS1(図11参照)に到達したか否かの判定が行われる(ステップS101)。なお、「用紙Pの先端」とは、用紙Pの搬送方向の下流側に位置する用紙Pの端部である。また、送風開始位置PS1は、例えば、狭隙空間35aにおける用紙Pの搬送方向の上流側端から、用紙Pの搬送方向の上流側に向けて、予め設定された所定距離L1(例えば、10mm)の位置である。用紙Pの先端が送風開始位置PS1に到達していないと判定された場合(ステップS101でNO)には、処理が待機状態とされる。用紙Pの先端が送風開始位置PS1に到達したと判定された場合(ステップS101でYES)には、送風部39の送風が開始される(ステップS103)。
次に、用紙Pの先端が送風停止位置PT1(図11参照)に到達したか否かの判定が行われる(ステップS105)。なお、送風停止位置PT1は、例えば、狭隙空間35aにおける用紙Pの搬送方向の上流側端から、用紙Pの搬送方向の下流側に向けて、予め設定された所定距離L2(例えば、20mm)の位置である。用紙Pの先端が送風停止位置PT1に到達していないと判定された場合(ステップS105でNO)には、処理が待機状態とされる。用紙Pの先端が送風停止位置PT1に到達したと判定された場合(ステップS105でYES)には、送風部39の送風が停止される(ステップS107)。
次に、用紙Pの後端が送風開始位置PS2(図11参照)に到達したか否かの判定が行われる(ステップS109)。なお、「用紙Pの後端」とは、用紙Pの搬送方向の上流側に位置する用紙Pの端部である。また、送風開始位置PS2は、例えば、狭隙空間35aにおける用紙Pの搬送方向の下流側端から、用紙Pの搬送方向の上流側に向けて、予め設定された所定距離L3(例えば、20mm)の位置である。用紙Pの後端が送風開始位置PS2に到達していないと判定された場合(ステップS109でNO)には、処理が待機状態とされる。用紙Pの後端が送風開始位置PS2に到達したと判定された場合(ステップS109でYES)には、送風部39の送風が開始される(ステップS111)。
次に、用紙Pの後端が送風停止位置PT2(図11参照)に到達したか否かの判定が行われる(ステップS113)。なお、送風停止位置PT2は、例えば、狭隙空間35aにおける用紙Pの搬送方向の下流側端から、用紙Pの搬送方向の下流側に向けて、予め設定された所定距離L4(例えば、5mm)の位置である。用紙Pの後端が送風停止位置PT1に到達していないと判定された場合(ステップS113でNO)には、処理が待機状態とされる。用紙Pの後端が送風停止位置PT2に到達したと判定された場合(ステップS113でYES)には、送風部39の送風が停止され(ステップS115)、処理がステップS101へリターンされる。
上述のように、狭隙空間35aに用紙Pの先端が進入したときに、送風部39によって送風されるため、用紙Pの先端に付着した紙粉を更に効果的に除去することができる。また、狭隙空間35aを用紙Pの後端が通過するときに、送風部39によって送風されるため、用紙Pの後端に付着した紙粉を更に効果的に除去することができる。
図13に示すフローチャートでは、狭隙空間35aに用紙Pの先端が進入したとき、及び、狭隙空間35aを用紙Pの後端が通過するときに、送風部39が送風する場合について説明したが、狭隙空間35aに用紙Pの先端が進入したとき、及び、狭隙空間35aを用紙Pの後端が通過するときの少なくとも一方において、送風部39が送風する形態でもよい。
また、印字終了時、スリープ開始時、電源オフ時のようなタイミングで清掃シーケンスが実行されるときに、送風部39が送風する形態でもよい。この場合には、清掃シーケンスが実行されるときに、板状部材35、又は、搬送ベルト32のような場所に付着した紙粉を効果的に除去することができる。なお、清掃シーケンスが実行されるときには、搬送ベルト32を回転駆動し、負圧発生部336(図2参照)が、空気流通室331(図2参照)内に負圧を発生していることが好ましい。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)〜(3))。図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(1)本実施形態では、画像形成部3において搬送ベルト32が用紙Pを搬送する場合について説明したが、画像形成部3においてその他の方法で用紙Pを搬送する形態でもよい。例えば、複数の搬送ローラーによって用紙Pを搬送する形態でもよい。この場合には、互いに隣接する搬送ローラーの間から負圧を印加することが好ましい。
(2)本実施形態では、狭隙空間35aが板状部材35によって形成される場合について説明したが、狭隙空間35aをその他の方法で形成する形態でもよい。例えば、記録ヘッド34に対して用紙Pの搬送方向上流側において、ヘッドベース37が搬送ベルト32側に突出して形成され、狭隙空間35aを形成する形態でもよい。この場合には、構造を簡略化することができる。
また、板状部材35に換えて、2つのローラーに張架されたベルトによって狭隙空間35aを形成する形態でもよい。具体的には、搬送ベルト32の上面と略平行な位置に配置された駆動ローラー及び従動ローラーと、上記駆動ローラー及び上記従動ローラーに張架された無端ベルトとを備え、上記無端ベルトの下面と、搬送ベルト32の上面との間で狭隙空間35aを形成する。この場合には、上記無端ベルトの下面に紙粉が付着したときに、紙粉が付着していない面が下側に位置するように上記無端ベルトを回転駆動させることができるため、サービスマン等が上記無端ベルトに付着した紙粉を除去する頻度を減少することができる。
(3)本実施形態では、ガイド部材332と空気流通室331とが別部材である場合について説明したが、ガイド部材332と空気流通室331とが一体に形成されている形態でもよい。この場合には、空気流通室331からの負圧のリーク(ガイド部材332と空気流通室331との間の隙間からの空気流通室331への空気の流入)を防止することができる。