以下、本発明の実施形態について、図面(図1〜図12)を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
まず、図1を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を示す図である。インクジェット記録装置1は、装置筐体100、装置筐体100の内部の下方に配置された給紙部2、給紙部2の上方に配置された画像形成部3、画像形成部3の一方側(図1では右側)に配置された用紙搬送部4、及び、画像形成部3の他方側(図1では左側)に配置された用紙排出部5を備える。
給紙部2は、給紙カセット21、給紙ローラー22、及び、ガイド板23を備える。給紙カセット21は、記録用紙Pを収納し、装置筐体100に着脱自在である。給紙ローラー22は、給紙カセット21の一方側端(図1では、右側端)の上方に配置される。ガイド板23は、給紙ローラー22と用紙搬送部4との間に配置される。
給紙カセット21内には、複数枚の記録用紙Pが収納される。以下、「記録用紙」は、便宜上、単に「用紙」と記載する。なお、記録用紙Pは、「記録媒体」の一例に相当する。給紙ローラー(ピックアップローラー)22は、用紙Pの搬送方向に沿って用紙Pを送るローラーであって、給紙カセット21内の用紙Pを最上部から一枚ずつ取り出す。ガイド板23は、給紙ローラー22が取り出した用紙Pを用紙搬送部4に案内する。
用紙搬送部4は、略C字形の用紙搬送路41、用紙搬送路41の入口側に設けられた第1搬送ローラー対42、用紙搬送路41の途中に設けられた第2搬送ローラー対43、及び、用紙搬送路41の出口側に設けられたレジストローラー対44を備える。
第1搬送ローラー対42は、用紙Pの搬送方向に沿って用紙Pを送るローラー対(送りローラー対)であって、給紙部2から供給される用紙Pを挟んで用紙搬送路41に送出する。第2搬送ローラー対43も送りローラー対である。第2搬送ローラー対43は、第1搬送ローラー対42が送出した用紙Pを挟んでレジストローラー対44に向けて送出する。
レジストローラー対44は、第2搬送ローラー対43によって搬送されてきた用紙Pの斜行補正を行う。また、レジストローラー対44は、用紙Pへの画像形成のタイミングと用紙Pの搬送タイミングとを同期させるために、用紙Pを一時的に停止させた後、用紙Pを画像形成タイミングに合わせて画像形成部3に送出する。
画像形成部3は、搬送ベルト32及び記録ヘッド34を備え、レジストローラー対44から供給された用紙Pを、搬送ベルト32によって所定方向(図1では左向き)に搬送すると共に、搬送ベルト32によって搬送されている用紙P上に記録ヘッド34によって画像を形成する。なお、画像形成部3の詳細な構成は、図2を参照して後述する。また、画像形成部3は、記録ヘッド34に対して、用紙Pの搬送方向下流側(図1では、左側)に搬送ガイド36を備えている。
搬送ガイド36は、搬送ベルト32から排出される用紙Pを用紙排出部5に案内する。用紙排出部5は、排出ローラー対51、及び、排出トレイ52を備える。排出トレイ52は、装置筐体100に形成された排出口11から外部に突出するように装置筐体100に固定されている。
排出ローラー対51は、搬送ガイド36を通過した用紙Pを、排出口11の方向に送出する。排出トレイ52は、排出ローラー対51によって送出された用紙Pを案内する。排出ローラー対51によって送出された用紙Pは、装置筐体100の一方側面(図1では左側面)に形成された排出口11を介して、装置筐体100の外部に排出される。排出トレイ52は、排出口11から排出された用紙Pを積層して収納する。
次に、図2を参照して、画像形成部3について説明する。図2は、図1に示す画像形成部3の構成を示す図である。
図2に示すように、画像形成部3は、搬送部31、負圧印加部33、記録ヘッド34、及び、板状部材35を備える。4種類の記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dには、それぞれ、複数のノズル(図示せず)が設けられている。上記複数のノズルからインクが吐出されて、用紙Pに文字、図形のような画像が形成される。記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dは、略同一の構成を有するため、記録ヘッド34と総称することもある。
搬送部31は、所定方向(図2では左向き)に用紙Pを搬送するものであって、ベルト速度検知ローラー311、吸着ローラー312、駆動ローラー313、テンションローラー314、一対のガイドローラー315、及び、搬送ベルト32を備える。
搬送部31は、装置筐体100内において、4種類の記録ヘッド34(34a、34b、34c、及び、34d)に対向して配置される。搬送ベルト32は、ベルト速度検知ローラー311、駆動ローラー313、テンションローラー314、及び、一対のガイドローラー315に張架されている。搬送ベルト32は、用紙Pの搬送方向(図2では、反時計回り)に駆動されて、用紙Pを搬送する。なお、搬送ベルト32は、「無端ベルト」の一例に相当する。
テンションローラー314は、搬送ベルト32が撓まないように、搬送ベルト32に張力を与える。
ベルト速度検知ローラー311は、負圧印加部33に対して用紙Pの搬送方向の上流側(図2では右側)に配置され、搬送ベルト32との間の摩擦力によって回転する。ベルト速度検知ローラー311は、パルス板(図示せず)を含み、上記パルス板は、ベルト速度検知ローラー311と一体になって回転する。上記パルス板の回転速度を測定することによって、搬送ベルト32の回転速度が検知される。
駆動ローラー313は、負圧印加部33に対して用紙Pの搬送方向の下流側(図1では左側)に配置される。好ましくは、駆動ローラー313は、ベルト速度検知ローラー311と共に、記録ヘッド34と対向する位置の搬送ベルト32の平面性を維持するように配置される。
駆動ローラー313はモーター(図示せず)によって回転駆動され、図2の反時計回りの方向に搬送ベルト32を回転させる。
一対のガイドローラー315は、負圧印加部33よりも下方に配置され、負圧印加部33の下方に空間を形成する。このように配置することによって、負圧印加部33の下方における搬送ベルト32と負圧印加部33との接触を防止することができる。
4種類の記録ヘッド34(34a、34b、34c、及び、34d)は、用紙Pの搬送方向の上流側から下流側に向けて並設される。記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dは、それぞれ、搬送ベルト32の幅方向(図2では、紙面に直交する方向)に配列された複数のノズル(図示せず)を備えている。また、記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dは、ライン型と呼ばれる。つまり、インクジェット記録装置1は、ラインヘッド方式のインクジェット記録装置である。
負圧印加部33は、搬送ベルト32を介して、用紙Pに負圧を印加して、用紙Pを搬送ベルト32に吸着させる。また、負圧印加部33は、搬送ベルト32を介して4種類の記録ヘッド34と対向するように搬送ベルト32の裏面側(図2では下側)に配置される。負圧印加部33は、空気流通室331、空気流通室331の上面開口を覆うガイド部材332、負圧発生部336、及び、排気口337を備える。
吸着ローラー312は従動ローラーである。吸着ローラー312は、搬送ベルト32を介して、ガイド部材332に対向して配置され、レジストローラー対44から送出された用紙Pを搬送ベルト32上へ誘導して、搬送ベルト32に吸着させる。
ガイド部材332は、搬送ベルト32を介して用紙Pを支持する。ガイド部材332は、「搬送板」の一例に相当する。また、ガイド部材332には、貫通孔335が形成されている。ガイド部材332は、例えば、金属材料からなる。具体的には、ガイド部材332の材料として、アルミダイキャスト、プレス加工板等を使用できる。あるいは、ガイド部材332の材料として、搬送ベルト32との摺動性に優れた樹脂を選択することも可能である。
本実施形態では、便宜上、負圧印加部33がガイド部材332を備えるとして説明しているが、上述のように、ガイド部材332は搬送ベルト32を支持するため、搬送部31がガイド部材332を備えるとして説明してもよい。
空気流通室331は、上面が開口した有底筒状の箱形部材によって形成されている。空気流通室331を構成する側壁の上面は、ガイド部材332に固定されている。負圧発生部336は、空気流通室331の下方に配置される。空気流通室331を構成する箱形部材の底壁には、空気の流れについて負圧発生部336の下流側(図2では下側)に排気口337が配置されている。負圧発生部336が駆動することによって、空気流通室331内に負圧が発生し、この負圧によって、ガイド部材332及び搬送ベルト32を介して、搬送ベルト32に向けて用紙Pが吸引される。
負圧発生部336は、空気流通室331内に負圧を発生するものであって、例えば、ファンである。ただし、負圧発生部336は、ファンに限定されるものではなく、例えば真空ポンプであってもよい。空気流通室331は、負圧発生部336によって、負圧状態(例えば、大気圧との差分気圧が約0.005気圧≒約500Pa)になっている。
板状部材35は、記録ヘッド34に対して、用紙Pの搬送方向上流側(図2の右側)に複数個(本実施形態では、2個)配置されている。換言すれば、2個の板状部材351、352は、それぞれ、記録ヘッド34aと吸着ローラー312との間に配置されている。板状部材351、352は、例えば、図1に示す装置筐体100から延びた固定部材によって、板状部材35の幅方向(図3では紙面に垂直な方向)の両端が固定されている。なお、板状部材35(351、352)は、「空間形成部」の一例に相当する。また、板状部材35と搬送ベルト32との間の空間は、後述の狭隙空間35aである。
次に、図1を参照して、インクジェット記録装置1の動作について説明する。給紙ローラー22は、給紙カセット21から用紙Pを取り出す。取り出された用紙Pは、ガイド板23によって第1搬送ローラー対42に導かれる。
用紙Pは第1搬送ローラー対42によって用紙搬送路41内に送出され、第2搬送ローラー対43によって用紙Pの搬送方向に搬送される。そして、用紙Pはレジストローラー対44に当接して停止し、斜行補正が行われる。そして、画像形成タイミングに合わせてレジストローラー対44によって用紙Pが画像形成部3に送出される。
用紙Pは吸着ローラー312によって搬送ベルト32上に導かれ、搬送ベルト32に吸着される。用紙Pの幅方向の中心が、搬送ベルト32の幅方向の中心と一致するように、用紙Pが搬送ベルト32に導かれることが好ましい。用紙Pは、搬送ベルト32に形成された多数の吸引孔321(図4参照)の一部を覆う。負圧印加部33は、ガイド部材332、及び、搬送ベルト32を介して空気を吸引しており、空気流通室331には負圧が発生している。これによって、負圧が用紙Pに作用して、用紙Pが搬送ベルト32に吸着される。そして、用紙Pは、搬送ベルト32の移動に伴って用紙Pの搬送方向に搬送される。
搬送ベルト32によって、4種類の記録ヘッド34a、34b、34c、及び、34dに、それぞれ対向する位置へ用紙Pの各部分が連続して搬送される。この間に、4種類の記録ヘッド34a、34b、34c、及び34dから、それぞれ、各色のインクが搬送ベルト32によって搬送されている用紙Pへ向けて吐出される。これによって、用紙Pに画像が形成される。
用紙Pは、搬送ベルト32から搬送ガイド36へ搬送される。搬送ガイド36を通過した用紙Pは、排出ローラー対51によって排出口11の方向に送出され、排出トレイ52に案内されて排出口11を介して装置筐体100の外部に排出される。
<第1実施形態>
次に、図3を参照して、板状部材35の第1実施形態に係る構成について説明する。図3は、図2に示す板状部材35(351、352)、及び、ガイド部材332の第1実施形態に係る構成を示す図である。
図3に示すように、板状部材351、352は、それぞれ、搬送部31における搬送ベルト32の上面と対向し、搬送ベルト32の上面と平行に配置されている。また、板状部材351の下面は、搬送ベルト32の上面との間で、狭隙空間371を形成する。狭隙空間371では、狭隙空間371の周囲の空間から狭隙空間371に流入する空気流の速度を、狭隙空間371に流入する前より、狭隙空間371に流入した後の方が大きくするように、搬送ベルト32の上面に直交する方向の距離H11が設定されている。換言すれば、距離H11は、狭隙空間371の垂直方向の長さ(距離)である。具体的には、狭隙空間371では、板状部材351の下面が、搬送ベルト32の上面との間で、上下方向の距離H11が予め設定された閾値距離HS(例えば、3mm)以下(例えば、2mm)に設定されている。
同様に、板状部材352の下面は、搬送ベルト32の上面との間で、狭隙空間372を形成する。狭隙空間372では、それぞれ、狭隙空間372の周囲の空間から狭隙空間372に流入する空気流の速度を、狭隙空間372に流入する前より、狭隙空間372に流入した後の方が大きくするように、搬送ベルト32の上面に直交する方向の距離H21が設定されている。換言すれば、距離H21は、狭隙空間372の垂直方向の長さ(距離)である。具体的には、狭隙空間372では、板状部材352の下面は、搬送ベルト32の上面との間で、上下方向の距離H21が予め設定された閾値距離HS以下(例えば、2mm)に設定されている。
また、板状部材35(351、352)の少なくとも下面は、接地された導電体(例えば、ステンレスのような金属)である。ガイド部材332と接している搬送ベルト32の上面は、「記録媒体の載置面」の一例に相当する。
なお、図3を参照した上記の説明では、用紙Pの厚みが狭隙空間371、372の距離H11、H21と比較して充分に薄い場合について説明しているが、用紙Pの厚みに応じて狭隙空間371、372の距離H11、H21を変更することが好ましい。具体的には、例えば、用紙Pの上面と板状部材35(351、352)の下面との間の距離が略一定(例えば、2mm)となるように、用紙Pの厚みに応じて板状部材351、352を昇降させることが好ましい。
また、板状部材351、352は、用紙Pの搬送方向の長さが、例えば、20mmである。板状部材351と板状部材352との間には、間隙353が形成されている。間隙353は、用紙Pの搬送方向の長さが、例えば、5mmである。
次に、図4を参照して、搬送ベルト32、ガイド部材332、及び、負圧印加部33の構成について説明する。図4は、図2に示す搬送ベルト32、ガイド部材332、及び、負圧印加部33の構成を示す切断斜視図である。
図4に示すように、上側から下側に向けて、搬送ベルト32、ガイド部材332、空気流通室331、及び、負圧発生部336が配置されている。搬送ベルト32には、多数の吸引孔321が形成されている。
ここで、搬送ベルト32に形成された吸引孔321について説明する。図4に示すように、搬送ベルト32には、多数の吸引孔321が略等間隔に形成されている。吸引孔321の直径は、例えば2mmであり、隣接する吸引孔321との間隔は、例えば8mmである。
また、ガイド部材332の上面(搬送ベルト32側の面)には、複数の溝334が形成されている。溝334は、用紙Pの搬送方向に延びる長円状に形成されている。更に、ガイド部材332には、貫通孔335が形成されている。貫通孔335は、空気流通室331内の負圧を、吸引孔321を介して用紙Pに作用させる。貫通孔335は、ガイド部材332をその厚さ方向に貫通する孔である。貫通孔335の断面は円形状である。
再び、図3に戻って、狭隙空間371及び狭隙空間372近傍の空気の流れについて説明する。板状部材351に対して用紙Pの搬送方向上流側(図3の右側)及び下流側(図3の左側)から狭隙空間371に流入した空気は、複数の吸引孔321、及び、複数の貫通孔335を介して、空気流通室331に流入する。換言すれば、空気流通室331は、負圧発生部336によって、負圧状態になっているため、空気流通室331に、複数の吸引孔321、及び、貫通孔335を介して、狭隙空間371から空気が流れ込む。また、狭隙空間371から空気流通室331に空気が流入するため、板状部材351に対して用紙Pの搬送方向上流側(図3の右側)及び下流側(図3の左側)から狭隙空間371に空気が流入する。
同様に、板状部材352に対して用紙Pの搬送方向上流側(図3の右側)及び下流側(図3の左側)から狭隙空間372に流入した空気は、複数の吸引孔321、及び、貫通孔335を介して、空気流通室331に流入する。換言すれば、空気流通室331は、負圧発生部336によって、負圧状態になっているため、空気流通室331に、複数の吸引孔321、及び、複数の貫通孔335を介して、狭隙空間372から空気が流れ込む。また、狭隙空間372から空気流通室331に空気が流入するため、板状部材352に対して用紙Pの搬送方向上流側(図3の右側)及び下流側(図3の左側)から狭隙空間372に空気が流入する。
上述のように、図3に示す矢印F01及び矢印F02に沿って空気が流れる。そして、狭隙空間371、372の距離H11、H12は、予め設定された閾値距離HS(例えば、3mm)以下に設定されている(本実施形態では、距離H11、H12は2mmである)ため、狭隙空間371、372における風速が増大する。狭隙空間371、372における風速は、例えば、6.0m/秒以上であることが好ましい。
また、上述のように、矢印F01で示す風は、狭隙空間371において、用紙Pの搬送方向の上流側から下流側に向けて(図3では、左向きに)吹くため、図3に示すように、用紙Pの先端(図3では、左端)に付着した紙粉PDを除去して、除去した紙粉PDを空気流通室331内に回収することができる。また、矢印F02で示す風は、狭隙空間372において、用紙Pの搬送方向の下流側から上流側に向けて(図3では、右向きに)吹くため、図3に示すように、用紙Pの後端(図3では、右端)に付着した紙粉PDを除去して、除去した紙粉PDを空気流通室331内に回収することができる。したがって、用紙Pに付着した紙粉を効果的に除去することができる。
また、上述のように、板状部材351、352が接地された導電体であるため、板状部材351、352が帯電することはない。したがって、紙粉が帯電している場合にも、紙粉の板状部材351、352への付着を抑制することができる。
次に、図5を参照して、ガイド部材332に形成された溝334及び貫通孔335について説明する。図5は、図4に示すガイド部材332の構成を示す平面図である。図5に示すように、ガイド部材332には、溝334から成る列が、ガイド部材332の幅方向(図5では上下方向)に複数本形成されている。また、溝334における、用紙Pの搬送方向(図5では、左右方向)の略中央位置には、それぞれ、貫通孔335が形成されている。
図5に示す破線は、ガイド部材332に投影した板状部材351、352の位置を示している。ガイド部材332における板状部材351、352の投影像の用紙Pの搬送方向(図5の左右方向)中央部には、それぞれ、貫通孔335が一列ずつ形成されている。そして、用紙Pの搬送方向上流側(図5では左側)に形成された貫通孔335に連通する溝334は、板状部材351の投影像における用紙Pの搬送方向上流側(図5では左側)端の位置よりも更に用紙Pの搬送方向上流側に延び、且つ、板状部材351の投影像における用紙Pの搬送方向下流側(図5では右側)端の位置よりも更に用紙Pの搬送方向下流側に延びている。同様に、用紙Pの搬送方向下流側(図5では右側)に形成された貫通孔335に連通する溝334は、板状部材352の投影像における用紙Pの搬送方向上流側端の位置よりも更に用紙Pの搬送方向上流側に延び、且つ、板状部材352の投影像における用紙Pの搬送方向下流側端の位置よりも更に用紙Pの搬送方向下流側に延びている。
次に、図6を参照して、ガイド部材332に形成された溝334及び貫通孔335について説明する。図6は、図5に示す溝334及び貫通孔335の構成を示す平面図及び断面図である。図6(a)は、溝334及び貫通孔335の構成を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す溝334及び貫通孔335の構成を示すA−A断面図である。
図6(a)に示すように、溝334における、用紙Pの搬送方向(図6(a)では、左右方向)の略中央位置には、貫通孔335が形成されている。図6(b)に示すように、溝334は、貫通孔335と連通して形成されているため、空気流通室331から貫通孔335を介して印加される負圧が、溝334が形成されている領域にも作用する。
上述のように、板状部材351、352に対向する位置に溝334が形成されているため、空気流通室331から貫通孔335を介して印加される負圧が、溝334が形成されている領域にも作用する。したがって、図3に示す矢印F01及び矢印F02に沿って、空気が更に流れ易くなるため、紙粉を更に効果的に除去することができる。
図4に戻って、吸引孔321と、溝334との位置関係について説明する。用紙Pの搬送方向に配置された多数の吸引孔321から成る列が搬送ベルト32の幅方向(用紙Pの搬送方向に直交する方向)に複数本形成されており、これらの複数本の列は、吸引孔321が千鳥状に配置されるように配列されている。また、図4に示すように、搬送ベルト32の複数本の吸引孔321の列は、それぞれ、複数本の溝334の列に対応して配置される。
また、複数の溝334は、それぞれ、用紙Pの搬送方向に少なくとも2個の吸引孔321と対向するように形成されている。搬送ベルト32の移動に伴って、複数の溝334に、それぞれ、対向する吸引孔321が1つずつ入れ替わってゆく。
空気流通室331は、ガイド部材332の貫通孔335及び溝334を介して、搬送ベルト32の吸引孔321に連通する。
上述のように、搬送ベルト32の吸引孔321に負圧が印加されるため、搬送ベルト32は、用紙Pを吸着して搬送することができる。
次に、図7を参照して、図3に示す第1実施形態に係る板状部材35(351、352)、及び、ガイド部材332の構成において、用紙Pの先端(図7では左側端)が板状部材352の直下に形成された貫通孔335(貫通孔3352)の直上近傍に位置する場合の狭隙空間371、372における空気の流れを説明する。図7は、図3に示す第1実施形態の構成において、用紙Pの先端が貫通孔3352の直上近傍に位置する場合の狭隙空間371、372における空気の流れを示す図である。図7に示すように、貫通孔3351は、板状部材351の直下に形成された貫通孔335であり、貫通孔3352は、板状部材352の直下に形成された貫通孔335である。
用紙Pの先端が、貫通孔3352の直上近傍に位置する場合には、貫通孔3351からの負圧は、溝334を介して搬送ベルト32に形成された吸引孔321に及ぶ。しかしながら、搬送ベルト32に形成された吸引孔321のうち、幅方向(図3では紙面に垂直な方向)中央部の吸引孔321は、搬送ベルト32上に載置された用紙Pによって塞がれている。よって、貫通孔3351からの負圧は、狭隙空間371、372における空気の流れを殆ど発生させない。
貫通孔3351からの負圧は、溝334を介して搬送ベルト32に形成された吸引孔321に及ぶ。搬送ベルト32に形成された吸引孔321のうち、幅方向(図7では紙面に垂直な方向)中央部の吸引孔321は、貫通孔335に対して用紙Pの搬送方向の上流側(図7では右側)では、搬送ベルト32上に載置された用紙Pによって塞がれている。一方、搬送ベルト32に形成された吸引孔321のうち、幅方向(図7では紙面に垂直な方向)中央部の吸引孔321は、貫通孔335に対して用紙Pの搬送方向の下流側(図7では左側)では、開放されている。
したがって貫通孔3352からの負圧によって、貫通孔3352に対して用紙Pの搬送方向の下流側(図7では左側)の吸引孔321を介して空気が吸引され、狭隙空間372において用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図7の右側から左側に)向けて空気の流れF12が発生する。
上述のように、狭隙空間372の距離H21は、予め設定された閾値距離HS(例えば、3mm)以下に設定されている(本実施形態では、距離H21は2mmである)ため、狭隙空間372における空気の流れF12の風速が増大する。よって、狭隙空間371にも用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図7の右側から左側に)向けて空気の流れF11が発生する。
また、上述のように、狭隙空間371の距離H11は、予め設定された閾値距離HS以下に設定されている(本実施形態では、距離H11は2mmである)ため、狭隙空間371における空気の流れF11の風速が増大する。
更に、板状部材351と板状部材352との間には、間隙353が形成されているため、空気の流れF11の一部は、間隙353から上方に流出すると共に、空気の流れF12の一部は、間隙353の上方から流入する。よって、狭隙空間371における大きな風速の空気の流れの一部が間隙353から流出するため、狭隙空間372における空気の流れF12の風速が減少する。
したがって、間隙353によって狭隙空間372における空気の流れF12の風速が減少するため、記録ヘッド34へ向けて流れる空気の流れF13の風速を減少させることができる。その結果、空気の流れF13が、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響を抑制することができる。
第1実施形態では、板状部材351、352の、用紙Pの搬送方向の長さが、20mmであり、間隙353の用紙Pの搬送方向の長さが、5mmである場合について説明しているが、間隙353の用紙Pの搬送方向の長さが大きい程、空気の流れF12が、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響を効果的に抑制することができる。
<第2実施形態>
次に、図8を参照して、第2実施形態に係る板状部材351a、352a、及び、ガイド部材332aの構成について説明する。図8は、図2に示す板状部材、及び、ガイド部材の第2実施形態に係る構成を示す図である。第2実施形態は、ガイド部材332aが溝を有さず、貫通孔335aの用紙Pの搬送方向の長さが、板状部材351a、352aの用紙Pの搬送方向の長さと略一致して形成されている点で第1実施形態と相違する。第2実施形態に係る板状部材351a、352aは、それぞれ、第1実施形態に係る板状部材351、352と同一の構成を有するため、その説明を省略する。
第2実施形態に係るガイド部材332aでは、貫通孔335a(335a1、335a2)の用紙Pの搬送方向の長さが、板状部材351a、352aの用紙Pの搬送方向の長さと略一致するように貫通孔335a(335a1、335a2)が形成されている。図8に示すように、貫通孔335a1は、板状部材351aの直下に形成された貫通孔335aであり、貫通孔335a2は、板状部材352aの直下に形成された貫通孔335aである。また、第2実施形態に係るガイド部材332aには、溝は形成されていない。
第2実施形態において、用紙Pの先端(図8では左側端)が貫通孔335a2の直上近傍に位置する場合の狭隙空間371a、372aにおける空気の流れについて説明する。狭隙空間371aは、搬送ベルト32の上面と、板状部材351aとの間に形成される空間である。狭隙空間372aは、搬送ベルト32の上面と、板状部材352aとの間に形成される空間である。また、狭隙空間371aは、狭隙空間372aに対して用紙Pの搬送方向の上流側(図8では右側)に位置する。距離H12は、狭隙空間371aの上下方向の距離である。距離H22は、狭隙空間372aの上下方向の距離である。
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、貫通孔335a2からの負圧によって、貫通孔335a2に対して用紙Pの搬送方向の下流側(図8では左側)の吸引孔321を介して空気が吸引され、狭隙空間372aにおいて用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図8の右側から左側に)向けて空気の流れF22が発生する。
また、狭隙空間372aの距離H22は、予め設定された閾値距離HS(例えば、3mm)以下に設定されている(本実施形態では、距離H22は2mmである)ため、狭隙空間372aにおける空気の流れF22の風速が増大する。よって、狭隙空間371aにも用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図8の右側から左側に)向けて空気の流れF21が発生する。
また、上述のように、狭隙空間371aの上下方向の距離H12は、予め設定された閾値距離HS以下に設定されている(本実施形態では、距離H12は2mmである)ため、狭隙空間371aにおける空気の流れF21の風速が増大する。
更に、板状部材351aと板状部材352aとの間には、間隙353aが形成されているため、空気の流れF21の一部は、間隙353aから上方に流出すると共に、空気の流れF22の一部は、間隙353aの上方から流入する。よって、狭隙空間371aにおける空気の流れの一部が間隙373aから流出するため、狭隙空間372aにおける空気の流れF22の風速が減少する。
したがって、間隙353aによって狭隙空間372aにおける空気の流れF22の風速が減少するため、記録ヘッド34へ向けて流れる空気の流れF23の風速を減少させることができる。その結果、空気の流れF23が、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響を抑制することができる。
また、貫通孔335aの用紙Pの搬送方向の長さが、板状部材351aの用紙Pの搬送方向の長さと略一致して形成されているため、用紙Pの先端(図8では左側端)が狭隙空間372aの下流側端(図8では、左側端)に到達したときに、幅方向(図8では紙面に垂直な方向)中央部の吸引孔321は、搬送ベルト32上に載置された用紙Pによって塞がれている。したがって、空気の流れF23が更に抑制されるため、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響を更に抑制することができる。
<第3実施形態>
次に、図9を参照して、第3実施形態に係る板状部材351b、352b、及び、ガイド部材332bの構成について説明する。図9は、図2に示す板状部材、及び、ガイド部材の第3実施形態に係る構成を示す図である。第3実施形態は、溝334bの用紙Pの搬送方向の長さが、板状部材351b、352bの用紙Pの搬送方向の長さと略一致して形成されている点で第1実施形態と相違する。第3実施形態に係る板状部材351b、352bは、それぞれ、第1実施形態に係る板状部材351、352と同一の構成を有するため、その説明を省略する。
第3実施形態に係るガイド部材332bは、溝334bの用紙Pの搬送方向の長さが、板状部材351b、352bの用紙Pの搬送方向の長さと略一致して形成されている。また、第3実施形態に係るガイド部材332bには、各溝334bの用紙Pの搬送方向の中央部に貫通孔335bが形成されている。図9に示すように、貫通孔335b1は、板状部材351bの直下に形成された貫通孔335bであり、貫通孔335b2は、板状部材352bの直下に形成された貫通孔335bである。
第3実施形態において、用紙Pの先端(図9では左側端)が貫通孔335b2の直上近傍に位置する場合の狭隙空間371b、372bにおける空気の流れについて説明する。狭隙空間371bは、搬送ベルト32の上面と、板状部材351bとの間に形成される空間である。狭隙空間372bは、搬送ベルト32の上面と、板状部材352bとの間に形成される空間である。また、狭隙空間371bは、狭隙空間372bに対して用紙Pの搬送方向の上流側(図9では右側)に位置する。距離H13は、狭隙空間371bの上下方向の距離である。距離H23は、狭隙空間372bの上下方向の距離である。
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、貫通孔335b2からの負圧によって、貫通孔335b2に対して用紙Pの搬送方向の下流側(図9では左側)の吸引孔321を介して空気が吸引され、狭隙空間372bにおいて用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図9の右側から左側に)向けて空気の流れF32が発生する。
また、狭隙空間372bの上下方向の距離H23は、予め設定された閾値距離HS(例えば、3mm)以下に設定されている(本実施形態では、距離H23は2mmである)ため、狭隙空間372bにおける空気の流れF32の風速が増大する。よって、狭隙空間371bにも用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図9の右側から左側に)向けて空気の流れF31が発生する。
また、上述のように、狭隙空間371bの距離H13は、予め設定された閾値距離HS以下に設定されている(本実施形態では、距離H13は2mmである)ため、狭隙空間371aにおける空気の流れF31の風速が増大する。
更に、板状部材351bと板状部材352bとの間には、間隙353bが形成されているため、空気の流れF31の一部は、間隙353bから上方に流出すると共に、空気の流れF32の一部は、間隙353bの上方から流入する。よって、狭隙空間371bにおける大きな風速の空気の流れの一部が間隙373bから流出するため、狭隙空間372bにおける空気の流れF32の風速が減少する。
したがって、間隙353bによって狭隙空間372bにおける空気の流れF23の風速が減少するため、記録ヘッド34へ向けて流れる空気の流れF33の風速を減少させることができる。その結果、空気の流れF33が、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響を抑制することができる。
また、溝334bの用紙Pの搬送方向の長さが、板状部材351bの用紙Pの搬送方向の長さと略一致して形成されているため、用紙Pの先端(図9では左側端)が狭隙空間372bの下流側端(図9では、左側端)に到達したときに、幅方向(図9では紙面に垂直な方向)中央部の吸引孔321は、搬送ベルト32上に載置された用紙Pによって塞がれている。したがって、空気の流れF33が更に抑制されるため、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響を更に抑制することができる。
<第4実施形態>
次に、図10を参照して、第4実施形態に係る板状部材351c、352c、及び、ガイド部材332cの構成について説明する。図10は、図2に示す板状部材、及び、ガイド部材の第4実施形態に係る構成を示す図である。第4実施形態は、板状部材352cが板状部材351cと比較して、搬送ベルト32の上面との距離が大きくなるように配置されている点で第1実施形態と相違する。第4実施形態に係るガイド部材332cは、第1実施形態に係るガイド部材332と同一の構成を有するため、その説明を省略する。図10に示すように、貫通孔335c1は、板状部材351cの直下に形成された貫通孔335cであり、貫通孔335c2は、板状部材352cの直下に形成された貫通孔335cである。
狭隙空間371cは、搬送ベルト32の上面と、板状部材351cとの間に形成される空間である。狭隙空間372cは、搬送ベルト32の上面と、板状部材352cとの間に形成される空間である。また、狭隙空間371cは、狭隙空間372cに対して用紙Pの搬送方向の上流側(図9では右側)に位置する。距離H14は、狭隙空間371cの上下方向の距離である。距離H24は、狭隙空間372cの上下方向の距離である。
板状部材352cは、板状部材351cと比較して、搬送ベルト32の上面との距離が大きくなるように配置されている。換言すれば、距離H24は、距離H14より大きい。例えば、距離H14は、2mmに設定され、距離H24は、4mmに設定されている。また、板状部材351cと板状部材352cとの間には、間隙353cが形成されている。間隙353cは、用紙Pの搬送方向の長さが、5mmに設定されている。
図10に示す第4実施形態において、用紙Pの先端(図10では左側端)が貫通孔335c2の直上近傍に位置する場合の狭隙空間371c、372cにおける空気の流れについて説明する。
第4実施形態では、第1実施形態と同様に、貫通孔335c2からの負圧によって、貫通孔335c2に対して用紙Pの搬送方向の下流側(図10では左側)の吸引孔321を介して空気が吸引され、狭隙空間372cにおいて用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図10の右側から左側に)向けて空気の流れF42が発生する。
また、狭隙空間372cの距離H24は、例えば、4mmに設定されているため、第1実施形態と比較して、狭隙空間372cにおける空気の流れF42の風速の増大は少ない。また、空気の流れF42の上流側(図10では右側)に位置する狭隙空間371cにも用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図10の右側から左側に)向けて空気の流れF41が発生する。
また、上述のように、狭隙空間371cの距離H14は、予め設定された閾値距離HS以下に設定されている(本実施形態では、距離H14は2mmである)ため、狭隙空間371cにおける空気の流れF41の風速が増大する。
更に、板状部材351cと板状部材352cとの間には、間隙353cが形成されているため、空気の流れF41の一部は、間隙353cから上方に流出すると共に、空気の流れF42の一部は、間隙353cの上方から流入する。よって、狭隙空間371cにおける大きな風速の空気の流れの一部が間隙373cから流出するため、狭隙空間372cにおける空気の流れF42の風速が減少する。
したがって、間隙353cが形成され、且つ、狭隙空間372cの上下方向の距離H24が、狭隙空間371cの上下方向の距離H14よりも大きく設定されているため、狭隙空間372cにおける空気の流れF42が、記録ヘッド34へ向けて流れる空気の流れF43の風速を減少することができる。その結果、空気の流れF43が、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響を抑制することができる。
また、間隙353cの用紙Pの搬送方向の長さは、第1実施形態〜第3実施形態と同様に5mmに設定されているが、板状部材352cが板状部材351cよりも上側に配置されているため、図7〜図9に示す第1実施形態〜第3実施形態における間隙353、353a,353bよりも広い。したがって、空気の流れは、間隙353cから上方に流出し易く、且つ、間隙353cの上方から流入し易いため、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響を更に抑制することができる。
<第1比較形態>
次に、図11及び図12を参照して、比較形態について説明する。以下に説明する比較形態は、第1実施形態〜第4実施形態と比較して、記録ヘッド34による印刷品質に与える影響が大きくなる恐れのある形態である。図11は、図2に示す板状部材、及び、ガイド部材の第1比較形態に係る構成を示す図である。第1比較形態は、板状部材が1枚の板状部材である点で、第1実施形態と相違する。第1比較形態に係るガイド部材332dは、第1実施形態に係るガイド部材332と同一の構成を有するため、その説明を省略する。
第1比較形態に係る板状部材35dは、1枚の板状部材である。板状部材35dの下面と搬送ベルト32の上面との間には、狭隙空間37dが形成されている。狭隙空間37dは、上下方向の距離H15が予め設定された閾値距離HS以下(例えば、2mm)に設定されている。図11に示すように、貫通孔335d1は、板状部材35dの下方に形成された2つの貫通孔335dのうち、上流側に形成された貫通孔335dであり、貫通孔335d2は、下流側に形成された貫通孔335dである。
第1比較形態に係る板状部材35d、及び、ガイド部材332dの構成において、用紙Pの先端(図11では左側端)が貫通孔335d2の直上近傍に位置する場合の狭隙空間37dにおける空気の流れについて説明する。狭隙空間37dは、搬送ベルト32の上面と、板状部材35dとの間に形成される空間である。距離H15は、狭隙空間37dの上下方向の距離である。
第1比較形態では、第1実施形態と同様に、貫通孔335d2からの負圧によって、貫通孔335dに対して用紙Pの搬送方向の下流側(図11では左側)の吸引孔321を介して空気が吸引される。よって、狭隙空間37dにおいて用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図11の右側から左側に)向けて空気の流れF52が発生する。
また、狭隙空間37dの距離H15は、予め設定された閾値距離HS以下に設定されている(本実施形態では、距離H15は2mmである)ため、狭隙空間37dにおける空気の流れF52の風速が増大する。
よって、風速が増大した空気の流れF52が狭隙空間37dを通って、用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図11の右側から左側に)向けて流れるため、記録ヘッド34へ向けて流れる空気の風速が減少しない。その結果、空気の流れF52から分かれた空気の流れF53が記録ヘッド34と搬送ベルト32との間の空間に吹き込み、記録ヘッド34による印刷品質に影響を与える恐れがある。
<第2比較形態>
次に、図12を参照して、第2比較形態について説明する。図12は、図2に示す板状部材、及び、ガイド部材の第2比較形態に係る構成を示す図である。第2比較形態は、板状部材351eの下方に形成された溝と、板状部材352の下方に形成された溝とが連通されて溝334eとなっている点で、第1実施形態に係る溝334と相違する。第2比較形態に係る板状部材351e、352eは、図3、図7に示す第1実施形態に係る板状部材351、352と同一の構成を有するため、その説明を省略する。
第2比較形態に係るガイド部材332eは、板状部材351eの下方に形成された溝334eが、板状部材352の下方に形成された溝334eと連通されている点で、第1実施形態に係る溝334と相違している。図10に示すように、貫通孔335e1は、板状部材351eの直下に形成された貫通孔335eであり、貫通孔335e2は、板状部材352eの直下に形成された貫通孔335eである。
第2比較形態において、用紙Pの先端(図12では左側端)が貫通孔335e2の直上近傍に位置する場合の狭隙空間371e、372eにおける空気の流れについて説明する。狭隙空間371eは、搬送ベルト32の上面と、板状部材351eとの間に形成される空間である。狭隙空間372eは、搬送ベルト32の上面と、板状部材352eとの間に形成される空間である。また、狭隙空間371eは、狭隙空間372eに対して用紙Pの搬送方向の上流側(図12では右側)に位置する。距離H16は、狭隙空間371eの上下方向の距離である。距離H26は、狭隙空間372eの上下方向の距離である。
第2比較形態では、第1実施形態とは異なり、貫通孔335e2からの負圧に加えて、貫通孔335e1からの負圧によって、貫通孔335e2に対して用紙Pの搬送方向の下流側(図12では左側)の吸引孔321を介して空気が吸引される。よって、狭隙空間372eにおいて用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図12の右側から左側に)向けて、第1実施形態よりも速い空気の流れF62が発生する。
また、狭隙空間372eの距離H26は、予め設定された閾値距離HS以下に設定されている(本実施形態では、距離H15は2mmである)ため、狭隙空間372eにおける空気の流れF62の風速が更に増大する。
よって、風速が増大した空気の流れF62が狭隙空間37dを通って、用紙Pの搬送方向上流側から下流側に(図12の右側から左側に)向けて流れるため、記録ヘッド34へ向けて流れる空気の風速が減少しない。その結果、空気の流れF62から分かれた空気の流れF63が記録ヘッド34と搬送ベルト32との間の空間に吹き込み、記録ヘッド34による印刷品質に影響を与える恐れがある。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)〜(5))。図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(1)第1〜第4実施形態では、画像形成部3において搬送ベルト32が用紙Pを搬送する場合について説明したが、画像形成部3においてその他の方法で用紙Pを搬送する形態でもよい。例えば、複数の搬送ローラーによって用紙Pを搬送する形態でもよい。この場合には、互いに隣接する搬送ローラーの間から負圧を印加することが好ましい。
(2)第1〜第4実施形態では、狭隙空間371(371a、371b、371c)、372(372a、372b、372c)が板状部材351(351a、351b、351c)、352(352a、352b、352c)によって形成される場合について説明したが、狭隙空間371(371a、371b、371c)、372(372a、372b、372c)をその他の方法で形成する形態でもよい。例えば、記録ヘッド34に対して用紙Pの搬送方向上流側において、ヘッドベース37が搬送ベルト32側に突出して形成され、狭隙空間371(371a、371b、371c)、372(372a、372b、372c)を形成する形態でもよい。この場合には、構造を簡略化することができる。
また、板状部材351(351a、351b、351c)、352(352a、352b、352c)に換えて、2つのローラーに張架されたベルトによって狭隙空間371(371a、371b、371c)、372(372a、372b、372c)を形成する形態でもよい。具体的には、搬送ベルト32の上面と略平行な位置に配置された駆動ローラー及び従動ローラーと、上記駆動ローラー及び上記従動ローラーに張架された無端ベルトとを備え、上記無端ベルトの下面と、搬送ベルト32の上面との間で狭隙空間371(371a、371b、371c)、372(372a、372b、372c)を形成する。この場合には、上記無端ベルトの下面に紙粉が付着したときに、紙粉が付着していない面が下側に位置するように上記無端ベルトを回転駆動させることができるため、サービスマン等が上記無端ベルトに付着した紙粉を除去する頻度を減少することができる。
(3)第1〜第4実施形態では、ガイド部材332(332a、332b、332c)と空気流通室331とが別部材である場合について説明したが、ガイド部材332(332a、332b、332c)と空気流通室331とが一体に形成されている形態でもよい。この場合には、空気流通室331からの負圧のリーク(ガイド部材332(332a、332b、332c)と空気流通室331との間の隙間からの空気流通室331への空気の流入)を防止することができる。
(4)第1〜第4実施形態では、2枚の板状部材351(351a、351b、351c)、352(352a、352b、352c)を備える場合について説明したが、3枚以上の板状部材を備える形態でもよい。板状部材の枚数が多い程、狭隙空間における風速を細やかに調整することができる。
(5)第1〜第4実施形態では、2枚の板状部材351(351a、351b、351c)、352(352a、352b、352c)の用紙Pの搬送方向の長さが同一である場合について説明したが、2枚の板状部材351(351a、351b、351c)、352(352a、352b、352c)の用紙Pの搬送方向の長さが相違する形態でもよい。例えば、2枚の板状部材351(351a、351b、351c)、352(352a、352b、352c)の内、用紙Pの搬送方向上流側の板状部材351(351a、351b、351c)の用紙Pの搬送方向の長さを大きくする程、紙粉を効率的に除去することができる。