以下では、本発明の実施形態に係るベルト成形体105の成形装置1、及びベルト成形体105の成形方法、について説明する。本実施形態に係る成形装置1によれば、圧縮ゴム層101、複数の心線102、及び伸長ゴム層103が積層された無端状のベルト体(ベルト輪状体100)に対して所定の処理を施すことにより、外周面が帆布によって覆われたベルト成形体105を形成することができる。このベルト成形体105は、ラップドVベルト(図示省略)を構成する材料として形成されるものであり、当該ベルト成形体105を加硫処理することにより、弾力性を有するラップドVベルトが形成される。なお、複数形成されたベルト成形体105のそれぞれを切断し、互いの端面を繋ぎ合わせることにより、長尺状のラップドVベルトを形成することもできる。
[ベルト輪状体の構成]
図1は、ベルト輪状体100の形状を説明するための図であって、(A)は外形図、(B)は図1(A)のIB−IB線における断面図である。ベルト輪状体100は、図1に示すように、圧縮ゴム層101及び伸長ゴム層103と、これらのゴム層101,103に挟まれる複数の心線102と、を有している。ベルト輪状体100は、所定長さの周長(例えば一例として、60〜105インチ)を有する無端ループ状に形成されている。ベルト輪状体100の幅wは、例えば一例として13mm程度、ベルト輪状体100の厚みtは、例えば一例として8mm程度である。
圧縮ゴム層101は、所定長さの周長を有するループ状のゴム層であって、長手方向に垂直な断面形状が、図1(B)に示すような矩形状に形成されている。圧縮ゴム層101は、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等を用いて構成される。圧縮ゴム層101は、ベルト輪状体100における内周側のゴム層として設けられている。
伸長ゴム層103は、圧縮ゴム層101と概ね同じ長さの周長を有するループ状のゴム層であって、圧縮ゴム層101との間で複数の心線102を挟んだ状態で該圧縮ゴム層101に重ねられた状態となっている。伸長ゴム層103の幅は、圧縮ゴム層101と同等である一方、伸長ゴム層103の厚さは、圧縮ゴム層101よりも薄くなるように形成されている。伸長ゴム層103は、例えば、圧縮ゴム層101と同様、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等を用いて構成される。伸長ゴム層103は、ベルト輪状体100における外周側のゴム層として設けられている。
各心線102は、圧縮ゴム層101と伸長ゴム層103との間で挟まれた状態で保持されている。心線102は、各ゴム層101,103の周長全体に亘って設けられている。心線102は、ゴム層101,103の周方向に沿って延びるように設けられている。これにより、心線102は、ベルト輪状体100の破断を防止する補強部材として機能する。心線102は、各ゴム層101,103の幅方向に沿って互いに等間隔となるように配列されている。心線102としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の線条物が用いられる。である。なお、図1(B)では、8本の心線102を有するベルト輪状体100を例示しているが、心線102の本数はこの限りでない。また、図示は省略するが、圧縮ゴム層101における心線102側の面、及び伸長ゴム層103における心線102側の面には、接着ゴム層が設けられていてもよい。
なお、上述のような構成のベルト輪状体100は、未加硫状態であるため、表面部分が粘着性を有し且つ弾力性が低い状態となっており、その取扱いが比較的難しい部材である。
[ベルト成形体の構成]
図2は、ベルト成形体105の形状を説明するための図であって、(A)は外形図、(B)は図2(A)のIIB−IIB線における断面図である。ベルト成形体105は、上述したベルト輪状体100に対して所定の処理を施すことにより形成される。具体的には、ベルト成形体105は、ベルト輪状体100に対して、詳しくは後述するスカイブ処理(圧縮ゴム層101の角部101aを切除する処理)、及びカバーリング処理(スカイブ処理が行われたベルト輪状体100に対してカバー106,107(帆布)を巻き付ける処理)を行うことにより、形成される。
ベルト成形体105における圧縮ゴム層101は、その横断面形状が略台形状となるように形成されている。このような台形形状(V字形状)は、ベルト輪状体100における圧縮ゴム層101の角部101a(図1(B)参照)がスカイブ処理で切除されることにより形成される。
下カバー106及び上カバー107は、スカイブ処理が行われたベルト輪状体100の外周を覆う帆布として設けられている。図2(B)に示すように、下カバー106は、ゴム層101,103の外周面を覆うように設けられ、上カバー107は、ゴム層101,103を覆った状態の下カバー106の外周面を覆うように設けられている。
[成形装置の全体構成]
図3は、本実施形態に係るベルト成形体105の成形装置1が有する各構成要素の位置関係を示す概略図であって、上方から視た図である。
成形装置1は、図3に示すように、ベルト輪状体供給機構2、走行機構5、スカイブ処理部6、帆布供給機構7、カバーリング処理部8、取り外し機構9、を備えている。
成形装置1によれば、予め形成された複数のベルト輪状体100のうちの1つが、ベルト輪状体供給機構2によって走行機構5にセットされる。次に、成形装置1では、走行機構5によって走行されるベルト輪状体100に対して、スカイブ処理部6によるスカイブ処理、及びカバーリング処理部8によるカバーリング処理が順次行われることにより、ベルト成形体105が形成される。このように形成されたベルト成形体105は、取り外し機構9によって走行機構5から取り外される。そして、成形装置1によれば、ベルト輪状体供給機構2によって順次、走行機構5にセットされる各ベルト輪状体100に対してスカイブ処理及びカバーリング処理が行われることによりベルト成形体105が順次成形され、取り外し機構9によって順次、取り外される。すなわち、本実施形態に係る成形装置1によれば、複数のベルト成形体105を、全自動で製造することができる。
[成形装置を構成する各構成要素の構成]
[ベルト輪状体供給機構の構成]
ベルト輪状体供給機構2は、懸架機構3及び架渡機構4を備えている。懸架機構3は、複数のベルト輪状体100を1つずつ、順次、架渡機構4へ受け渡すための機構である。また、架渡機構4は、懸架機構3から受け取ったベルト輪状体100を順次、走行機構5へ架け渡すための機構である。
図4は、懸架機構3の構成を示す模式図である。懸架機構3は、図3及び図4に示すように、ベルト輪状体掛け台31と、ベルト輪状体搬送ベルト32と、把持機構33と、を有している。
ベルト輪状体掛け台31は、所定方向(図3の場合、左右方向)に延びる細長い台状に形成された部分であって、その長手方向に沿って複数のベルト輪状体100が掛けられる。なお、これらの複数のベルト輪状体100は、作業員により、又は前工程からの自動搬送により、後述する一対のベルト輪状体搬送ベルト32の双方に跨るように掛けられる。
ベルト輪状体搬送ベルト32は、ベルト輪状体掛け台31における幅方向両端側のそれぞれに設けられ、ベルト輪状体掛け台31に掛けられた複数のベルト輪状体100を所定方向(図3の場合、矢印A方向)に搬送する。具体的には、ベルト輪状体搬送ベルト32は、ベルト輪状体100を、所定距離ずつ断続的に矢印A方向へ搬送する。これにより、把持機構33によって順次ピックアップされるベルト輪状体100を、該把持機構33によってベルト輪状体100をピックアップ可能な位置まで、順次、送り出すことができる。
また、一対のベルト輪状体搬送ベルト32の間隔は、懸架機構3に掛けられた状態のベルト輪状体100の上側の部分の曲がりの程度が、突出部材43に掛けられる際に必要なベルト輪状体100の上側の部分の曲がりの程度よりも実質的に小さな曲がり具合になるように設定されている。言い換えると、懸架機構3に掛けられた状態のベルト輪状体100の上側の部分は、突出部材43に掛けられた状態のベルト輪状体100の上側の部分よりも、湾曲の度合いが小さく、平坦に近い状態になっている。すなわち、懸架機構3は、予めベルト輪状体100の上側の部分の形態が小さな曲がり具合になるようにベルト輪状体100をくせ付けしておく作用を併せ持っている。これにより、ベルト輪状体100を突出部材43へ架渡しし易くなり、成形上のトラブルに起因する不良品の流出を抑制できる。
なお、ベルト輪状体搬送ベルト32としては、送り精度確保のために、タイミングベルトを用いるのが好ましい。また、ベルト輪状体搬送ベルト32としては、ベルト輪状体100が粘着するのを防止するために、ウレタン製の樹脂等を用いるのが好ましい。
把持機構33は、掛け台31に掛けられたベルト輪状体100をピックアップし、架渡機構4へ受け渡すためのものである。把持機構33は、把持部34と、押え部38と、を有している。
把持部34は、図4に示すように、上板35及び下板36を有している。上板35及び下板36は、水平面に沿って延びる板状の部分として設けられている。上板35には、互いに並行して設けられる一対の上側ツメ部35a(図4では1つの上側ツメ部35aのみを図示)が形成されている。一方、下板36には、互いに並行して設けられる一対の下側ツメ部36a(図4では1つの下側ツメ部36aのみを図示)が形成されている。各ツメ部35a,36aは、掛け台31及び搬送ベルト32側へ向かって延びるように形成されている。
下板36は、上板35に対して、エアシリンダ(図示省略)によって上下方向に移動可能である。これにより、把持部34は、詳しくは後述するが、上側ツメ部35a及び下側ツメ部36aによってベルト輪状体100を挟んで保持することができる。
把持部34は、掛け台31と並行して延びるLMガイド(図示省略)に沿ってスライド可能に構成されている。把持部34は、直動アクチュエータ(図示省略)により、LMガイドに沿って掛け台31側(図3のBf方向)へ進出可能、且つ掛け台31から離れる側(図3のBb方向)へ退避可能である。
図5は、図4を矢印V方向から視た図であって、押え部38の概略形状を説明するための図である。押え部38は、掛け台31の上方に配置され、エアシリンダ(図示省略)等によって上下方向に昇降可能である。押え部38は、掛け台31における最も先端側(図3及び図4における右側)に位置するベルト輪状体100(すなわち、把持機構33によって次にピックアップされるベルト輪状体100)よりも1つ手前側のベルト輪状体100を、上側から押えるためのものである。これにより、ベルト輪状体100を把持部34によってピックアップする際に、誤ってその隣のベルト輪状体100が引っ掛かって掛け台31から落下したり、2本のベルト輪状体100を一度に把持してしまうことを防止できる。すなわち、押え部38を設けることにより、掛け台31に複数のベルト輪状体100を互いに隙間なく並べても、ベルト輪状体100を確実に1本ずつピックアップすることができる。
そして、押え部38は、図5に示すように、下方へ鋭角状に突出する一対の鋭角先端部38aを有している。押え部38では、各鋭角先端部38aが、ベルト輪状体100のうちの一方の搬送ベルト32に載せられている部分と、他方の搬送ベルト32に載せられている部分と、のそれぞれを押さえる。これにより、ベルト輪状体100が、面状の部分で押えられずに点状の部分で押さえられるため、押え部38に対するベルト輪状体の粘着を防止できる。
[把持部によるベルト輪状体のピックアップ動作]
図6は、懸架機構3の動作を説明するための図であって、(A)は把持部34が掛け台31側へ進出する様子を示す図、(B)は把持部34によってベルト輪状体100が把持される直前の状態を示す図、(C)はベルト輪状体100を把持した把持部34が掛け台31から退避する直前の状態を示す図、である。
懸架機構3は、図6を参照して、以下のように動作する。具体的には、懸架機構3では、把持部34が進出方向Bfへ移動して(図6(A)参照)、掛け台31付近で停止する(図6(B)参照)。なお、この動作が行われる際には、押え部38によって、次にピックアップされるベルト輪状体100よりも1つ手前側のベルト輪状体100が押えられた状態となっている。
次に、把持部34の下板36が上昇する。これにより、掛け台31における最も先端側(図6の右側)に位置するベルト輪状体100が、上側ツメ部35a及び下側ツメ部36aによって挟まれて保持される(図6(C)参照)。その後、把持機構33では、把持部34が退避方向Bb側へ退避するとともに、押え部38が上昇する。そして、押え部38が上昇した後、図示は省略するが、搬送ベルト32が駆動することにより、次に把持部34によって把持されるベルト輪状体100が、掛け台31における先端部分まで搬送される。その後、押え部38によって、次にピックアップされるベルト輪状体100よりも1つ手前側のベルト輪状体100が押えられて、図6(A)の状態に戻る。
図7は、架渡機構4の構成を示す模式図であって、架渡機構4を前方から視た図である。架渡機構4は、架渡本体部40と、アーム部21と、平板部22と、旋回機構23と、直動機構24とを有している。
図8は、架渡本体部40の概略構成を示す縦断面図である。架渡本体部40は、ベース部41と、支持部材42と、突出部材43と、軸部46と、コイルバネ47とを有している。
ベース部41は、支持部材42が取り付けられるベースとして設けられている。ベース部41は、ボルト締め等によってアーム部21に固定される。
支持部材42は、前後方向にやや薄い直方体状の箱状に形成された部材であって、突出部材43を支持するための部材である。支持部材42は、ベース部41の上側に固定されている。支持部材42の前側には、平面視で円形状の開口穴42aが形成されている。また、支持部材42の前側における開口穴42aの周縁部分は、前端面42bとして設けられている。また、支持部材42の深さd42は、後述する突出部材43の高さh43と、上側プーリ51の鍔部53の厚みd53(詳しくは後述する図12参照)と、の和、となるように設定されている。
突出部材43は、円板部44と周壁部45とを有し、これらが一体に形成された部材である。円板部44は、平面視で円板状に形成された部分である。周壁部45は、円板部44における外周縁部から後方へ延びるように形成された壁部である。これにより、突出部材43における上側の部分には、その断面形状が上方に膨出する円弧状に形成された上側面43aが形成される。突出部材43の後側の部分は、円板部44が前側を向いた状態となるように、支持部材42の開口穴42aに挿入されている。
なお、突出部材43に用いられる材料としては、該突出部材43に掛けられるベルト輪状体100とのすべりを良くするためにベルト輪状体100との摩擦係数が小さい材料が好ましく、具体的には、例えばナイロン樹脂が挙げられる。しかし、これに限らず、ナイロン樹脂以外の硬質系樹脂(超高分子量ポリエチレン樹脂等)でもよい。
円板部44における上側の部分には、図7に示すように、該円板部44の上端部から下方へ延びる一対の切欠き部44aが形成されている。一対の切欠き部44aは、左右方向に並ぶように形成されている。
軸部46は、前後方向に延びる棒状に形成された部材であって、その大部分が、支持部材42と突出部材43とによって形成された内部空間S内に位置している。具体的には、軸部46は、その前端部がボルト48によって円板部44の中央部分に固定される一方、その後端部は、支持部材42の後面の中央部分に貫通した状態で固定された円筒状のブッシュ42cを介して外部へ露出している。軸部46の後端面には、ワッシャー49bを介してボルト49aが固定されている。図8に示す状態では、ワッシャー49bの外周縁部は、ブッシュ42cの内周縁部に当接している。
コイルバネ47は、支持部材42に対して突出部材43を前方へ付勢するための付勢部として設けられている。コイルバネ47は、図8に示すように、軸部46を囲むように設けられ、その前端部が突出部材43の円板部44に当接する一方、その後端部がブッシュ42cに当接している。
また、架渡本体部40は、ガイドピン25及びガイドピンブッシュ26を有している。ガイドピン25は、支持部材42の後面に固定されたピン状の部材であって、架渡本体部40の内部空間Sを前方へ延びるように設けられている。一方、ガイドピンブッシュ26は、突出部材43と一体に形成された部分であって、突出部材43の円板部44から後方へ延びる円筒状に形成されている。ガイドピンブッシュ26には、ガイドピン25が挿通している。ガイドピンブッシュ26は、その内周面がガイドピン25の外周面に対して摺動することにより、ガイドピン25に沿って、前後方向へ変位可能である。
アーム部21は、図7を参照して、L字状に形成されたアーム状の部分であって、上下方向に直線状に延びる垂直部21aと、水平方向に直線状に延びる水平部21bとを有し、これらが一体に形成されている。アーム部21の一端側(垂直部21aにおける上側の部分)には、架渡本体部40が固定されている一方、他端側(水平部21bにおける、垂直部21aが設けられている側と反対側の部分)には、旋回機構23が設けられている。これにより、アーム部21は、架渡本体部40と旋回機構23とを連結している。
平板部22は、上下方向に細長い板状に形成された部材である。平板部22は、その上端部がアーム部21の水平部21bにおける架渡本体部40の鉛直下方付近の部分に固定された状態において、下方へ延びるように設けられている。
図9は、図7に示す架渡機構4を上方から視た図であって、架渡機構4の旋回動作及び直動動作について説明するための図である。架渡機構4では、旋回機構23が、架渡本体部40の旋回動作を行う。旋回機構23は、例えば一例として、旋回アクチュエータ(図示省略)を有しており、架渡本体部40を90度の範囲で旋回させる。具体的には、旋回機構23は、架渡本体部40が把持部34からベルト輪状体100を受け取る位置である受取位置P1と、架渡本体部40と走行機構5とが前後方向に離間した位置である待機位置P2と、の間で、架渡本体部40を旋回させる。
また、架渡機構4では、直動機構24が、架渡本体部40の直動動作を行う。直動機構24は、例えば一例として、直動ベース24a及び直動アクチュエータ(図示省略)を有していて、直動アクチュエータが駆動することにより架渡本体部40を前後方向(奥側又は手前側)に直動させる。具体的には、直動機構24は、上述した待機位置P2と、架渡本体部40を走行機構5側へ移動させてベルト輪状体100を走行機構5へ架け渡す位置である架渡位置P3と、の間で、架渡本体部40を直動させる。
[把持部から架渡本体部へのベルト輪状体の受け渡し動作]
図10は、把持部34によって把持されたベルト輪状体100が架渡本体部40へ受け渡されるときの状態を説明するための図であって、(A)は受け渡し前の状態を示す図、(B)は受け渡し後の状態を示す図である。なお、図10では、把持部34については、一対の上側ツメ部35a及び一対の下側ツメ部36aのみを図示している。
把持部34から架渡本体部40へベルト輪状体100が受け渡される際、ベルト輪状体100を把持した状態の把持部34は、退避方向Bb側へ退避した状態となっている。一方、架渡本体部40は、旋回機構23によって旋回されて受取位置P1に位置している。この状態において、把持部34と架渡本体部40とが対向する(詳しくは後述する図27参照)。
上述のように把持部34と架渡本体部40とが対向した後、把持部34が進出方向Bf側へ進出する。そうすると、把持部34における上側ツメ部35a及び下側ツメ部36aによって挟まれて保持されたベルト輪状体100が、架渡本体部40における突出部材43の上方に位置することになる(図10(A)参照)。その後、一対の下側ツメ部36aが下降することにより、下側ツメ部36aによって支持されていたベルト輪状体100が落下し、突出部材43の上側面43aに引っ掛かった状態となる(図10(B)参照)。なお、このとき、各下側ツメ部36aは、突出部材43の各切欠き部44aに入り込むため、下側ツメ部36aと突出部材43との干渉を回避できる。
[走行機構の構成]
図11は、走行機構5の概略構成を示す模式図である。走行機構5は、図11に示すように、上側プーリ51及び下側プーリ55と、下側プーリ55を昇降させるためのエアシリンダ(図示省略)とを有している。上側プーリ51及び下側プーリ55は、鉛直上下方向において離間するように配置されている。上側プーリ51は、下側プーリ55の上方に配置されている。上側プーリ51の中心部には、電動モータ(図示省略)の回転軸が連結されている。一方、下側プーリ55は、該下側プーリ55の中心軸を中心として回転自在に設けられている。
図12は、上側プーリ51の形状を示す図であって、(A)は平面図、(B)は側面図である。上側プーリ51は、プーリ本体部52と一対の鍔部53とを有し、これらが一体に設けられている。
プーリ本体部52は、所定の厚みを有する円板状に形成された部分であって、ベルト輪状体100が巻き掛けられる部分として設けられている。プーリ本体部52の軸方向の厚みは、ベルト輪状体100の幅wの長さと概ね同じである。また、プーリ本体部52の外周面には、当該プーリ本体部52の軸方向に沿って延びる複数の溝部52aが形成されている。複数の溝部52aは、プーリ本体部52の外周面の周方向に沿って多数、形成されている。これにより、ベルト輪状体100の走行時(上側プーリ51の回転駆動時)における、該ベルト輪状体100の上側プーリ51に対するスリップが防止される。
各鍔部53は、上側プーリ51の軸方向両端側に設けられた円板状の部分である。鍔部53は、プーリ本体部52と同軸状に設けられている。鍔部53の外径は、プーリ本体部52の外径よりも大きい。これにより、ベルト輪状体100がプーリ本体部52に巻き掛けられた状態において、ベルト輪状体100が上側プーリ51から離脱するのを防止できる。また、鍔部53の外径は、突出部材43の外径と同じか、又はやや(例えば1mm程度)小さい。各鍔部53の高さhは、ベルト輪状体100の厚みtよりも低く設定されている。具体的には、高さhは、ベルト輪状体100の圧縮ゴム層101(図1参照)の厚みの略半分程度となるように設定されている。各鍔部53の径方向外側の部分には、該鍔部53の厚み方向における外側から内側へ向かって徐々に低くなるようなテーパ面が形成されている。これにより、架渡本体部40から上側プーリ51へのベルト輪状体100の架渡しをスムーズに行うことができる。
下側プーリ55は、図11を参照して、プーリ本体部56と鍔部57とを有し、これらが一体に設けられている。プーリ本体部56は、円柱状に形成された部分であって、ベルト輪状体100が巻き掛けられる部分として設けられている。下側プーリ55は、上下方向に昇降可能である。
下側プーリ55のプーリ本体部56の外径は、上側プーリ51のプーリ本体部52の外径と等しくなっている。鍔部57は、プーリ本体部56の奥側(プーリ本体部56の軸方向における架渡本体部40と反対側)に設けられている。鍔部57は、プーリ本体部56と同軸状に設けられている。鍔部57の外径は、プーリ本体部52の外径よりも大きい。これにより、ベルト輪状体100が走行機構5によって走行しているときに下側プーリ55の奥側へ外れてしまうことを防止できる。
走行機構5では、詳しくは後述するようにしてベルト輪状体100が一対のプーリ51,55に巻き掛けられた後、上側プーリ51に連結された電動モータが回転駆動することにより、ベルト輪状体100が一対のプーリ51,55の間を循環するように走行する。そして、このように走行するベルト輪状体100に対して、詳しくは後述するスカイブ処理及びカバーリング処理が行われる。
[架渡本体部から上側プーリへのベルト輪状体の架渡し動作]
図13及び図14は、ベルト輪状体100が、架渡本体部40から上側プーリ51へ架け渡される過程を示す図である。具体的には、図13(A)は、ベルト輪状体100が掛けられた架渡本体部40が上側プーリ51へ近接している様子を示す図、図13(B)は、架渡本体部40の突出部材43が上側プーリ51に当接した状態を示す図、図14(A)は、支持部材42がベルト輪状体100に当接した状態を示す図、図14(B)は、ベルト輪状体100が上側プーリ51に架け渡された状態を示す図、である。
架渡本体部40の突出部材43に掛けられたベルト輪状体100は、以下のようにして、走行機構5に巻き掛けられる。具体的には、受取位置P1でベルト輪状体100を受け取った架渡本体部40は、旋回機構23によって待機位置P2まで旋回される。これにより、架渡本体部40と上側プーリ51とが対向した状態となる(詳しくは後述する図28参照)。
この状態において直動機構24が駆動することにより、架渡本体部40が上側プーリ51側へ向かって(図13(A)の白抜き矢印の方向へ)徐々に前進し、突出部材43の円板部44が、上側プーリ51における手前側の鍔部53に当接する(図13(B)参照)。突出部材43の中心軸は、上側プーリ51の中心軸と同軸状となるように設定されているため、図13(B)に示す状態では、突出部材43の円板部44と鍔部53とがぴったり重なった状態となる。なお、突出部材43の中心軸を、上側プーリ51の中心軸よりもやや(例えば一例として0.5mm程度)上方に設定してもよい。
更に、直動機構24が駆動すると、突出部材43はそのままの位置で維持される一方、支持部材42は、コイルバネ47の付勢力に抗して前進する。これにより、支持部材42の前端面42b(押圧面)が、突出部材43に掛けられたベルト輪状体100に当接する(図14(A)参照)。そして、支持部材42は更に進んで、その前端面42bが突出部材43における鍔部53と当接している面をやや超えた位置、具体的には、手前側の鍔部53における奥側の面と面一となる位置、にまで移動する。これにより、ベルト輪状体100が手前側の鍔部53を乗り越えて一対の鍔部53の間に嵌まり込み(図14(B)参照)、上側プーリ51に巻き掛けられた状態となる。この状態では、図15(A)に示すように、下側プーリ55が上昇した状態となっているため、ベルト輪状体100は、上側プーリ51のみに巻き掛けられた状態となっている。
図15は、上側プーリ51に架け渡されたベルト輪状体100が、上側プーリ51及び下側プーリ55の双方に巻き掛けられる過程を示す図である。具体的には、図15(A)は、上側プーリ51にベルト輪状体100が架け渡された直後の状態を示す図、図15(B)は、下側プーリ55が下降して双方のプーリ51,55にベルト輪状体100が巻き掛けられた状態を示す図、である。
上側プーリ51にベルト輪状体100が架け渡されると、エアシリンダによって下側プーリ55が下降する。これにより、下側プーリ55のプーリ本体部56における下側の面にベルト輪状体100が巻き掛った状態となる(図15(B)参照)。更に、ベルト輪状体100が、上側プーリ51及び下側プーリ55によって上下方向に引っ張られた状態となるため、ベルト輪状体100に適度な張力が付与される。
なお、上述のように下側プーリ55が下降する際、架渡本体部40は走行機構5付近で留まったままの状態となっている。すなわち、下側プーリ55の下降時には、上側プーリ51に掛けられた状態のベルト輪状体100は、平板部22(図7参照)によって手前側にはみ出さないようにカバーされている。これにより、ベルト輪状体100を下側プーリ55へ確実に巻き掛けることができる。そして、走行機構5では、図15(B)にベルト輪状体100が一対のプーリ51,55に巻き掛けられた後、上側プーリ51が電動モータによって回転されることにより、ベルト輪状体100が一対のプーリ51,51間を循環するように走行する。本実施形態では、上側プーリ51は、走行機構5を手前側から視た場合における時計回り方向に回転駆動される。これにより、走行機構5にセットされたベルト輪状体100における右側の部分は下方へ走行する一方、左側の部分は上方へ走行する。
[スカイブ処理部の構成]
図16は、スカイブ処理部6の概略構成を示す図であって、該スカイブ処理部6によってスカイブ処理されている状態のベルト輪状体100とともに示す図である。また、図17は、図16の矢印XVII方向から視た矢視図であって、スカイブ処理部6の動作について説明するための図である。
スカイブ処理部6は、走行機構5によって一対のプーリ51,55の間を走行している状態のベルト輪状体100における、内周側の部分の角部101a(図1及び図17参照)を切除することにより、ベルト輪状体100の横断面形状を略台形状にするためのものである。スカイブ処理部6は、スカイブ処理本体部61と、スカイブ調整機構65とを有している。
スカイブ処理本体部61は、一対のスカイブカッター62を有している。各スカイブカッター62は、中心軸が鉛直方向に延びる略円柱状に形成されている。スカイブカッター62は、変位機構(図示省略)によって、図17に示す待機位置P4とスカイブ位置P5との間で変位可能である。スカイブカッター62は、スカイブ処理が行われていない間は、待機位置P4に位置している。一方、スカイブカッター62は、スカイブ処理が行われる際には、待機位置P4からスカイブ位置P5へ移動する。このとき、スカイブカッター62の外周縁が、ベルト輪状体100の角部101aに当接する。この状態において、走行機構5が駆動してベルト輪状体100が走行することにより、当該角部101aが切除される。
図16及び図17に示すように、スカイブカッター62は、一対のプーリ51,55の間を循環して走行するベルト輪状体100のうち、上方から下方へ走行する部分(図16及び図17における右側の部分)に当接する。これにより、スカイブカッター62によって切除された削りかすは、重力により下方へ落ちる。このようにして下方へ落ちた削りかすは、スカイブカッター62によってベルト輪状体100の切除が行われる部分のやや下方に設けられた屑排出ダクト(図示省略)によって排出される。
スカイブ調整機構65は、背面押込ロール66と、一対のガイドロール67とを有している。背面押込ロール66は、走行機構5の各プーリ51,55の中心軸と並行して延びる中心軸を中心として回転自在に設けられている。一対のガイドロール67は、ベルト輪状体100の幅方向(図17における上下方向)に沿って、ベルト輪状体100の幅w(図1参照)よりもやや開いた間隔となるように並べられている。
スカイブ調整機構65は、例えばエアシリンダ(図示省略)によって、図17に示す待機位置P6とスカイブ調整位置P7との間で変位可能である。スカイブ調整機構65は、スカイブ処理が行われていない間は、待機位置P6に位置している。一方、スカイブ調整機構65は、スカイブ処理が行われる際には、待機位置P6からスカイブ調整位置P7へ移動する。このとき、背面押込ロール66によってベルト輪状体100の背面(伸長ゴム層103側の部分)がスカイブカッター62側へ押し込まれるため、ベルト輪状体100の角部101aをスカイブカッター62の外周縁に当接させることができる。そして、背面押込ロール66によるベルト輪状体100の押込み量を調整することにより、切除される角部101aの範囲を調整することができる。
また、上述のようにスカイブ調整機構65が待機位置P6からスカイブ調整位置P7へ移動すると、一対のガイドロール67によって、ベルト輪状体100が、一対のスカイブカッター62の間に案内される。これにより、ベルト輪状体100を確実に一対のスカイブカッター62の間へ通すことができる。
[帆布供給機構の構成]
図18は、帆布供給機構7の概略構成を示す模式図である。帆布供給機構7は、下カバー供給機構71及び上カバー供給機構75を有している。
下カバー供給機構71は、走行機構5によって一対のプーリ51,55間を走行するベルト輪状体100(スカイブ処理が行われた状態のベルト輪状体100)に対して下カバー106を供給するための機構である。下カバー供給機構71は、長尺状の下カバー106が巻き付けられた下カバー繰出プーリ72と、複数のクラウンロール73と、ローラガイド74と、下カバー先端把持部74aと、を有している。下カバー供給機構71では、下カバー繰出プーリ72が回転駆動されることにより、下カバー106が、複数のクラウンロール73及びローラガイド74を介してカバーリング処理部8側へ繰り出され、該カバーリング処理部8によってベルト輪状体100の外周に巻き付けられる。
上カバー供給機構75は、走行機構5によって一対のプーリ51,55間を走行するベルト輪状体100(下カバー106が巻き付けられた状態のベルト輪状体100)に対して上カバー107を供給するための機構である。上カバー供給機構75は、長尺状の上カバー107が巻き付けられた上カバー繰出プーリ76と、複数のクラウンロール77と、ローラガイド78と、上カバー先端把持部78aと、を有している。上カバー供給機構75では、上カバー繰出プーリ76が回転駆動されることにより、上カバー107が、複数のクラウンロール77及びローラガイド78を介してカバーリング処理部8側へ繰り出され、該カバーリング処理部8によって、ベルト輪状体100の外周に巻き付けられた下カバー106の更に外周に巻き付けられる。
帆布供給機構7は、更に、カバー把持部変位機構79を有している。カバー把持部変位機構79は、下カバー先端把持部74a及び上カバー先端把持部78aの位置を互いに変位させることにより、一対のプーリ51,55間を走行するベルト輪状体100に巻き付けるカバー(下カバー及び上カバー)を切り替えることができる。カバー把持部変位機構79は、例えばエアシリンダ(図示省略)を有していて、各カバー先端把持部74a,78a及び各ローラガイド74,78を、図18の矢印C方向に移動させることにより、ベルト輪状体100に対して巻き付けられるカバーを切り替える。
[カバーリング処理部の構成]
図19から図21は、カバーリング処理部8の概略構成を説明するための模式図である。具体的には、図19は、カバーリング処理部8の正面図、図20は、図19のXX-XX線における断面図、図21は、図19の矢印XXI方向から視た矢視図であって、キャッチャー部82の模式図である。なお、以下では、カバーリング処理部8によって、ベルト輪状体100の外周面に下カバー106が巻き付けられる例を挙げて説明するが、本実施形態のカバーリング処理部8によれば、輪状体100の外周面に巻き付けられた下カバー106の更に外側に、上カバー107を巻き付けることもできる。
カバーリング処理部8は、各カバー供給機構71,75から繰り出されてきた下カバー106を、一対のプーリ51,55間を走行するベルト輪状体100に対して巻き付けるカバーリング処理を行うためのものである。カバーリング処理部8は、押付けロール81と、キャッチャー部82と、一対の底面側折曲ディスク88と、を有している。
押付けロール81は、下カバー106を、走行機構5によって走行されるベルト輪状体100に押し付けるためのものである。押付けロール81は、図19に示す矢印D方向に移動することにより、下カバー106をベルト輪状体100の背面へ押し付ける。
キャッチャー部82は、くせ付けロール83と、4つの側面側折曲ロール84と、一対の背面ローラ85と、を有している。キャッチャー部82では、キャッチャー部82を構成する各構成要素が協働して、下カバー106をベルト輪状体100の外周面に巻き付ける。
くせ付けロール83は、円柱部83aの両端部のそれぞれにフランジ状の鍔部83bが形成された部材である。くせ付けロール83は、押付けロール81によってベルト輪状体100の背面に押し付けられた下カバー106における幅方向両側の部分を、ベルト輪状体100の側面(ベルト輪状体100の幅方向の両端面)側へ折り曲げて、くせ付けを行う。
4つの側面側折曲ロール84は、下カバー106のうち、くせ付けロール83によってベルト輪状体100の側面側に折り曲げられた部分を、ベルト輪状体100の側面に押し付けるとともに、下カバー106の幅方向における外側の部分を、ベルト輪状体100の底面(圧縮ゴム層101側の部分)に折り曲げるためのものである。
4つの側面側折曲ロール84は、一対の上側折曲ロール84aと、一対の下側折曲ロール84bとで構成されている。各一対の折曲ロール84a,84bは、鉛直方向に沿って間隔をあけて配置されている。一対の上側折曲ロール84aは、ベルト輪状体100の幅方向に沿って、両者の間にベルト輪状体100が入り込める程度の間隔をあけて並べられる。同様に、一対の下側折曲ロール84bも、ベルト輪状体100の幅方向に沿って、両者の間にベルト輪状体100が入り込める程度の間隔をあけて並べられる。
一対の背面ローラ85,85は、鉛直方向に間隔をあけて並べられている。図21に示すように、上側の背面ローラ85は、一対の上側折曲ロール84aの間に設けられている。一方、下側の背面ローラ85は、一対の下側折曲ロール84bの間に設けられている。
一対の底面側折曲ディスク88,88は、下カバー106のうち、側面側折曲ロール84によってベルト輪状体100の底面側に折り曲げられた部分を、該ベルト輪状体100の底面へ押し付けるためのものである。各底面側折曲ディスク88は、鉛直方向に沿って間隔をあけて配置されている。上側の底面側折曲ディスク88は、一対の上側折曲ロール84aに対応する高さ位置に設けられる一方、下側の底面側折曲ディスク88は、一対の下側折曲ロール84bに対応する高さ位置に設けられている。
[カバーリング処理部の動作]
カバーリング処理部8では、該カバーリング処理部8を構成する各構成要素が、以下のように動作することにより、下カバー106及び上カバー107が、スカイブ処理が施されたベルト輪状体100に対して順次、巻き付けられる。
カバーリング処理部8によるカバーリング処理が行われる前の状態では、押付けロール81、キャッチャー部82、及び底面側折曲ディスク88は、それぞれ、図19及び図20を参照して、待機位置P8,P10,P12で待機している。そして、カバーリング処理が行われる際には、下カバー106の先端部を把持した状態の下カバー先端把持部74aが、カバー把持部変位機構79によって上側プーリ51の上端部付近まで移動する。これにより、下カバー106の先端部が、ベルト輪状体100に密着する。一方、その後、又はそれと並行して、押付けロール81、キャッチャー部82、及び底面側折曲ディスク88が、図示しない変位機構により、待機位置P8,P10,P12からカバーリング処理位置P9,P11,P13まで移動する。これにより、ベルト輪状体100に密着した状態の下カバー106の先端部が、押付けロール81によって押付けられた状態となる。その後、下カバー先端把持部74aは、下カバー106に対する把持を解除し、後方へ退避する。
上述のような状態において、上側プーリ51が電動モータによって回転駆動するため、下カバー106の先端部が、下方へ向かって順次、送り出される。そして、下カバー106の先端部は、まず、くせ付けロール83にて、横断面形状が略U字形状となるようにくせ付けされた後、更に下方へ走行し、側面側折曲ロール84、背面ローラ85、及び底面側折曲ディスク88によって、ベルト輪状体100の外周面に巻き付けられる。なお、側面側折曲ロール84によって、下カバー106の幅方向における両端側の部分がベルト輪状体100の側面に押し付けられる際、下カバー106の幅方向における中央部分が背面ローラ85によって押さえられるため、下カバー106の巻きシワを効果的に抑制できる。
そして、下カバー106がベルト輪状体100の外周面全体に巻き付けられる直前で、上側プーリ51は減速しながら一旦停止する。次に、下カバー106が下カバー先端把持部74aによって把持された後、その把持された部分よりもベルト輪状体100側の部分が、はさみ(図示省略)によって切断される。その後、上側プーリ51が再び回転駆動して、残りの下カバー106がベルト輪状体100へ巻き付けられることにより、ベルト輪状体100に対する下カバー106の巻き付けが完成する。
次に、カバーリング処理部8によって、上カバー107の巻き付けが行われる。具体的には、まず、カバー把持部変位機構79によって、下カバー先端把持部74aの位置と上カバー先端把持部78aの位置とが切り替えられた後、上カバー107の先端部を把持した状態の上カバー先端把持部78aが、カバー把持部変位機構79によって上側プーリ51の上端部付近まで移動する。これにより、上カバー107の先端部が、ベルト輪状体100に巻き付けられた下カバー106に密着する。一方、その後、又はそれと並行して、下カバー106の巻き付けが完了した後に一旦は待機位置P8,P10に退避した押付けロール81及びキャッチャー部82が、再びカバーリング処理位置P9,P11まで移動する。これにより、ベルト輪状体100に巻き付けられた下カバー106に密着した状態の上カバー107の先端部が、押付けロール81によって押付けられた状態となる。その後、上カバー先端把持部78aは、上カバー107に対する把持を解除し、後方へ退避する。
その後、上カバー107は、上述した下カバー106の場合と同様にしてベルト輪状体100に巻き付けられる。これにより、図2に示す形状のベルト成形体105が完成する。
[取り外し機構の構成]
図22は、取り外し機構9の概略構成を示す模式図である。取り外し機構9は、カバーリング処理が終了したベルト輪状体100(すなわちベルト成形体105)を走行機構5から取り外して、当該ベルト成形体105をためておくためのものである。取り外し機構9は、取り外し機構本体部91と、ベルト成形体掛け台98と、ベルト成形体搬送ベルト99と、を有している。
取り外し機構本体部91は、レール部92と、ベース部93と、アーム部94と、一対のアーム爪部95と、を有している。
レール部92は、左右方向に延びるレール状に形成された部分である。ベース部93は、レール部92上に配置されて、該レール部92に沿って直動運動(図22における左側へ進出、及び右側へ退避)可能に設けられている。ベース部93は、例えばエアシリンダ(図示省略)により、レール部92に沿って直動運動を行う。
アーム部94は、上方から視て略L字状に形成されたアーム状の部分である。アーム部94の基端側は、ベース部93に対して旋回可能なように該ベース部93に対して取り付けられている。アーム部94は、例えば旋回アクチュエータ(図示省略)により、ベース部93に対して旋回運動を行う。アーム部94は、ベース部93の直動運動と自身の旋回運動により、図22に示す待機位置P16と、上側プーリ51側へ進出位置P15との間で変位可能である。
一対のアーム爪部95は、アーム部94の先端側に設けられた部分であって、アーム部94の先端部分から延出する2つのピン状の部分によって構成されている。一対のアーム爪部95は、互いに水平方向に間隔を空けて、並行して延びるように設けられている。
ベルト成形体掛け台98は、左右方向に延びる細長い台状に形成された部分であって、その長手方向に沿って複数のベルト成形体105が掛けられる。
ベルト成形体搬送ベルト99は、ベルト成形体掛け台98における幅方向両端側のそれぞれに設けられ、ベルト成形体掛け台98に掛けられた複数のベルト成形体105を順次、右方向に搬送する。
ベルト成形体掛け台98の上方における左側の部分には、水平バー96が設けられている。水平バー96は、ベルト成形体掛け台98の幅方向に沿って延びるように設けられている。水平バー96は、アーム部94よりも下方に設けられている。
[取り外し機構の動作]
取り外し機構9では、カバーリング処理部8によってベルト輪状体100に対する上カバー107の巻き付けが完了する前に(具体的には、ベルト輪状体100に対する下カバー106の巻き付けが完了する直前に)、アーム部94が待機位置P16から進出位置P15へ進出する。この状態において、走行機構5の下側プーリ55が上昇すると、一対のプーリ51,55によるベルト成形体105の保持が解除される。そして、これと同時に、上側プーリ51よりもやや下方に設けられた水平状の棒として設けられた排出バー(図示省略)が手前側に突き出てくることにより、ベルト成形体105が手前側に押し出されて落下し、一対のアーム爪部95に引っ掛かる(図23参照)。これにより、一対のアーム爪部95によってベルト成形体105を支持できる。
アーム爪部95によってベルト成形体105を支持したアーム部94は、再び旋回動作及び直動動作を行うことにより、待機位置P16へ戻る。その際、アーム爪部95に支持されたベルト成形体105は、水平バー96に引っ掛かって、ベルト成形体掛け台98における左側の部分に向かって下方へ落ちる。これにより、ベルト成形体105を、ベルト成形体掛け台98に掛けることができる。その後、ベルト成形体105は、ベルト成形体搬送ベルト99によって右側へ搬送される。これにより、ベルト成形体搬送ベルト99において、次に成形されるベルト成形体105が掛けられる場所を空けることができる。
[成形装置の動作]
図25は、ベルト成形体105の成形装置1の動作を説明するための図であって、ベルト成形体105の成形工程を示すフローチャートである。また、図26から図31は、ベルト成形体105を成形する際の各工程時における成形装置1の状態を示す模式図である。具体的には、図26は、成形装置1によるベルト成形体105の成形が開始される直前の状態を示す図、図27は、把持部34によってベルト輪状体100が架渡本体部40へ架け渡される直前の状態を示す図、図28は、架渡本体部40から走行機構5へベルト輪状体100が架け渡される直前の状態を示す図、図29は、架渡本体部40から走行機構5へベルト輪状体100が架け渡された後、架渡本体部40が待機位置P2まで移動した状態を示す図、図30は、スカイブ処理及びカバーリング処理が行われている最中の成形装置1を示す図であって、架渡本体部40によって次に処理されるベルト輪状体100が保持されている状態を示す図、図31は、スカイブ処理及びカバーリング処理が完了したベルト成形体105を取り外し機構9によって走行機構5から取り外してベルト成形体掛け台98に掛けた状態を示す図、である。以下では、図25から図31等を参照して、成形装置1の動作について説明する。
まず、ステップS1では、作業者によって、又は前工程からの自動搬送により、複数のベルト輪状体100がベルト輪状台掛け台31へ掛けられる。このとき、図26に示すように、成形装置1では、把持部34が掛け台31側へ進出した状態、架渡本体部40は待機位置P2で待機した状態となっている。
次に、ステップS2では、把持部34によってベルト輪状体100が把持される。具体的には、図6(B)及び図6(C)を参照して、把持部34が進出方向Bf側へ進出し、且つ押え部38によって、次にピックアップされるベルト輪状体100よりも1つ手前側のベルト輪状体100が押えられた状態(図6(B)参照)で、把持部34の下板36が上昇する。これにより、把持部34によってベルト輪状体100が挟まれた状態となる(図6(C)参照)。
次に、ステップS3では、把持部34から架渡本体部40へベルト輪状体100が架け渡される。具体的には、まず、ステップS2によってベルト輪状体100を把持した把持部34が退避方向Bb側へ退避し、その後、架渡本体部40が受取位置P1へ移動する(図27参照)。なお、本実施形態では、上述したような把持部34の退避後、押え部38が上昇し、ベルト輪状体搬送ベルト32によってベルト輪状体100が所定距離だけ搬送される。これにより、次に把持部34によってピックアップされるベルト輪状体100を、所定の位置まで移動させることができる。
ステップS3では、次に、把持部34が再び進出方向Bf側へ進出し、架渡本体部40付近まで移動した後、図10に示すように、一対の下側ツメ部36aが下降する。そうすると、下側ツメ部36aによって支持されていたベルト輪状体100が落下し、突出部材43の上側に引っ掛かった状態となる。これにより、把持部34から架渡本体部40へベルト輪状体100が架け渡される(図10(B)参照)。
次に、ステップS4では、架渡本体部40から走行機構5へのベルト輪状体100の架渡しが行われる。具体的には、まず、ステップS3によってベルト輪状体100を架渡本体部40へ架け渡した把持部34が、退避方向Bb側へ移動した後、架渡本体部40が待機位置P2へ移動し(図28参照)、そこから更に架渡位置P3(図9参照)へ移動する。これにより、図13及び図14に示すように、ベルト輪状体100が架渡本体部40から上側プーリ51へ架け渡される。架渡本体部40は、ベルト輪状体100を上側プーリ51へ架け渡した後、再び待機位置P2へ移動する(図29参照)。
なお、本実施形態では、上述のように架渡本体部40が架渡位置P3へ移動した後、把持部34がベルト輪状体掛け台31へ移動し、次のベルト輪状体100を把持して再び退避方向Bbへ移動し、次に架渡本体部40へベルト輪状体100を架け渡すまで、その位置で待機する(図28参照)。
ステップS4では、次に、図15を参照して、下側プーリ55が下方へ移動する(図15(B)参照)。これにより、走行機構5における一対のプーリ51,55にベルト輪状体が巻き掛けられて、適度な張力が付された状態となる。
次に、ステップS5では、スカイブ処理部6によるスカイブ処理が行われる。具体的には、ステップS5では、図16及び図17を参照して、上側プーリ51の回転駆動により走行するベルト輪状体100に対して、一対のスカイブカッター62が待機位置P4からスカイブ位置P5へ変位するとともに、スカイブ調整機構65が待機位置P6からスカイブ調整位置P7へ変位する。これにより、ベルト輪状体100の角部が切除されるスカイブ処理が行われる。
次に、ステップS6及びステップS7では、帆布供給機構7及びカバーリング処理部8によるカバーリング処理が行われる。具体的には、ステップS6では、スカイブ処理が行われたベルト輪状体100に対する下カバー106の巻き付け処理が行われる。ステップS7では、ステップS6によってベルト輪状体100に巻き付けられた下カバー106の更に外側に、上カバー107の巻き付け処理が行われる。
まず、ステップS6では、図19から図21を参照して、帆布供給機構7の下カバー先端把持部74aが、下カバー106の先端部分をカバー把持部変位機構79によって上側プーリ51の上端部付近まで移動する。一方、その後、又はそれと並行して、押付けロール81、キャッチャー部82、及び底面側折曲ディスク88が、図示しない変位機構により、待機位置P8,P10,P12からカバーリング処理位置P9,P11,P13まで移動する。これにより、下カバー106をベルト輪状体100へ巻き付けるための処理を行うための各構成要素81,82,88が、所定の位置に配置される。
そして、ステップS6では、下カバー先端把持部74aが下カバー106に対する把持を解除して後方へ退避した後、上側プーリ51が回転駆動することにより、ベルト輪状体100の外周面に下カバー106が巻き付けられる。このようにして下カバー106の巻き付けが完了した後、押付けロール81及びキャッチャー部82は、カバーリング処理位置P9,P11から待機位置P8,P10へ一旦退避し、上側プーリ51の回転駆動も一旦、停止される。
次に、ステップS7では、帆布供給機構7の上カバー先端把持部78aが、上カバー107の先端部分をカバー把持部変位機構79によって上側プーリ51の上端部付近まで移動する。一方、その後、又はそれと並行して、押付けロール81及びキャッチャー部82が再びカバーリング処理位置P9,P11まで移動する。これにより、上カバー107をベルト輪状体100へ巻き付けるための処理を行うための各構成要素81,82,88が、所定の位置に配置される。
そして、ステップS7では、上カバー先端把持部78aは、上カバー107に対する把持を解除し、後方へ退避した後、上側プーリ51が回転駆動することにより、ベルト輪状体100に巻き付けられた下カバー106の更に外側に、上カバー107が巻き付けられ、これによりベルト成形体105が完成する。
なお、本実施形態では、上述したステップS5からS7が行われている間、架渡本体部40が受取位置P1に移動し、既に次のベルト輪状体100を把持している把持部34からベルト輪状体100を受け取る(図30参照)。更に、本実施形態では、ステップS6及びステップS7が行われている間に、取り外し機構9のアーム部94が、待機位置P14から進出位置P15へ移動する(図30参照)。
最後に、ステップS8では、ベルト成形体105が走行機構5から取り外され、ベルト成形体掛け台98へ掛けられる。具体的には、ステップS8では、図23及び図24を参照して、下側プーリ55の上昇によって一対のプーリ51,55による保持が解除されたベルト成形体105が排出バーによって手前側に押し出されて下方へ落ち、アーム部94に形成された一対のアーム爪部95に引っ掛かる。その後、アーム部94が待機位置P16へ戻る際、該アーム部94によって保持されたベルト成形体105が水平バー96で引っ掛かって下方へ落ち、ベルト成形体掛け台98における左側の部分に引っ掛かる。これにより、ベルト成形体105を走行機構5から取り外すことができる。その後、ベルト成形体105は、ベルト成形体搬送ベルト99によって右側へ搬送される。これにより、ベルト成形体搬送ベルト99において、次に成形されるベルト成形体105が掛けられる場所を空けることができる(図31参照)。
そして、図31に示す状態から、既に、次にスカイブ処理及びカバーリング処理を行う対象となるベルト輪状体100が掛けられた状態の架渡本体部40が、上述したステップS4の場合と同様にして架渡位置P3へ移動し、ベルト輪状体100を上側プーリ51へ架け渡す。
その後は、上述したステップが順次、繰り返される。これにより、本実施形態に係る成形装置1では、複数のベルト成形体105を順次、自動的に成形することができる。
[効果]
以上説明したように、上記実施形態に係るベルト成形体105の成形装置1では、一対のプーリ51,55(上側プーリ51及び下側プーリ55)に巻き掛けられて当該一対のプーリ51,55間で走行するベルト輪状体100に対して、スカイブ処理及びカバーリング処理が行われる。すなわち、一対のプーリ51,55を有する1つの走行機構5が、スカイブ処理が行われる際にベルト輪状体100を走行させる機構、及びカバーリング処理が行われる際にベルト輪状体100を走行させる機構、の双方として機能するため、各処理毎に走行機構を設ける必要がなくなる。これにより、成形装置1の構成を簡素化できる。また、成形装置1では、2つのプーリ51,55によってベルト輪状体100を走行させることができるため、3つ以上のプーリによってベルト輪状体100を走行させる場合と比べて、成形装置の簡素化及び小型化を図ることができる。
そして、成形装置1によると、ベルト輪状体100が巻き掛けられる上側プーリ51及び下側プーリ55が、上下方向に離れて配置されている。スカイブ処理及びカバーリング処理が行われる前のベルト輪状体100は、未加硫状態であるため弾力性に乏しく且つ粘着性が高い。これに対して、成形装置1では、上述のように一対のプーリ51,55が上下方向に離れて配置されているため、例えばベルト輪状体100の内周面における一部分を把持し、その部分を上側プーリ51に架け渡すことで、該ベルト輪状体100における下側の部分が、自重により下方へ垂れ下がる。このように下方へ垂れ下がった部分の内周面側に下側プーリ55が配置されるよう該下側プーリ55の位置を予め設定しておくことで、該下側プーリ55の下側に、ベルト輪状体100の下側における内周側の部分を対向させることができる。すなわち、成形装置1によれば、ベルト輪状体100における一部分を保持するだけで、該ベルト輪状体100を一対のプーリ51,55に巻き掛けることが可能となるため、ベルト輪状体100の変形を防止することができる。
従って、成形装置1では、コンパクトで汎用的な構成を有するとともに製造時におけるベルト輪状体100の変形を抑制可能なベルト成形体の成形装置を提供することができる。
また、成形装置1では、ベルト輪状体供給機構2によってベルト輪状体100が走行機構5に供給された後、走行機構5によって走行されるベルト輪状体100に対して自動でスカイブ処理及びカバーリング処理が行われることにより、ベルト成形体105が成形される。そして、このようにして形成されたベルト成形体105は、取り外し機構9によって自動で走行機構5から取り外される。これにより、次にスカイブ処理及びカバーリング処理を行う対象となるベルト輪状体100を、ベルト輪状体供給機構2によって走行機構5へセットすることができる。すなわち、この構成によれば、作業員の手を介さず、複数のベルト成形体を全自動で成形することができる。
また、成形装置1では、ベルト輪状体100の内周面における上側の部分が、突出部材43の上側面43aによって支持される。これにより、ベルト輪状体100を、例えば点状又は線状の部分で支持する場合と比べて、ベルト輪状体100の変形度合を小さくできる。また、成形装置1では、ベルト輪状体100の形態(特に、ベルト輪状体100における上側の部分の形態)が概ね変化することなく、該ベルト輪状体100を架渡機構4から上側プーリ51へ架け渡すことができる。すなわち、成形装置1によれば、成形上のトラブルに起因する不良品の流出を抑制できる。
また、成形装置1では、上側面43aにベルト輪状体100が掛けられた突出部材43が上側プーリ51と密着した状態で、該ベルト輪状体100を上側プーリ51へ架け渡すことができるため、ベルト輪状体100を確実に上側プーリ51へ架け渡すことができる。
また、成形装置1では、1つの部材(支持部材42)によって、突出部材43を支持する機能と、突出部材43に掛けられたベルト輪状体100を上側プーリ51側へ押圧する機能と、の双方を果たすことができる。これにより、装置をコンパクトにできる。
また、成形装置1では、ベルト輪状体100が上側プーリ51へ架け渡される際、面状の部分(押圧面としての前端面42b)によって押圧されるため、ベルト輪状体100の変形を防止することができる。
また、成形装置1では、ベルト輪状体100における突出部材43に掛けられている部分を全て、突出部材43から上側プーリ51へ移動させることができる。これにより、ベルト輪状体100を上側プーリ51へ確実に架渡すことができる。
また、成形装置1では、突出部材43から上側プーリ51へベルト輪状体100が架渡された後、当該ベルト輪状体100に対してスカイブ処理及びカバーリング処理が施されている間、突出部材43に、次にスカイブ処理及びカバーリング処理が行われるベルト輪状体100を掛けることができる。すなわち、成形装置1によれば、ベルト成形体105を成形するために必要な工程を並行して行うことができるため、作業の効率化を図ることができる。
また、成形装置1では、走行機構5によって走行されるベルト輪状体100のうち上側から下側へ向かって走行する部分に対して、スカイブ処理が行われる。こうすると、スカイブ処理によりカットされる部分に、直前に切除された削りかすが介在しない状態で、スカイブ処理を行うことができる。すなわち、成形装置1によれば、成形上のトラブルに起因する不良品の流出を抑制できる。成形装置1では、下方へ向かって走行するベルト輪状体100に対してカバー106,107が押し付けられるため、該カバー106,107が自重によって下方へ延びた状態でベルト輪状体100に巻き付けられる。これにより、成形上のトラブルに起因する不良品の流出を抑制できる。
また、成形装置1では、ベルト輪状体100に対する複数の帆布(下カバー106及び上カバー107)の巻き付けを、連続して自動的に行うことができる。すなわち、成形装置1によれば、複数のカバー106,107の巻き付けの際に手作業が不要となるため、成形上のトラブルに起因する不良品の流出を抑制できる。また、成形装置1によれば、複数のカバーをベルト輪状体に巻き付けるために各カバーに対応する走行機構を設ける必要がなくなるため、装置を簡素化できる。
また、上述した成形装置1によるベルト成形体105の成形方法によれば、製造時におけるベルト輪状体100の変形を抑制可能なベルト成形体の成形方法を提供できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のような変形例を実施してもよい。
(1)上述した実施形態では、支持部材42と突出部材43とが相対変位することにより、ベルト輪状体100を上側プーリ51に架け渡しているが、これに限らず、支持部材42と突出部材43とが一体化されていてもよい。この場合、ベルト輪状体100を上側プーリ51側へ移動させるための別の機構(ロッドによってベルト輪状体100を押圧する機構等)を設ける必要がある。
(2)上述した実施形態では、支持部材42の深さd42が、突出部材43の高さh43と鍔部53の厚みt53との和となるように設定されているが、これに限らない。具体的には、支持部材42の深さd42を、突出部材43の高さh43と等しくなるように設定してもよい。
(3)上述した実施形態では、ベルト輪状体100に対するスカイブ処理及びカバーリング処理を、同じ側(図16及び図19における右側、ベルト輪状体100が下方へ向かって走行している側)で行ったが、これに限らず、一方を右側、他方を左側で行ってもよい。この場合、スカイブ時及びカバーリング時において、ともに下方へ走行するベルト輪状体100に対して各処理が行われるように、上側プーリ51を駆動する電動モータとして、双方向へ回転可能なモータを用いた方が好ましい。
(4)上述した実施形態では、複数のベルト成形体105を全自動で製造可能なように成形装置1を構成したが、これに限らない。具体的には、例えば、ベルト輪状体供給機構2及び取り外し機構9を省略する構成とすることもできる。これにより、作業者による作業工程が増えるものの(走行装置に対するベルト輪状体のセット、及び走行装置からのベルト成形体の取り外し)、上述した実施形態の場合と同様、コンパクトで汎用的な構成を有するとともに製造時におけるベルト輪状体100の変形を抑制可能なベルト成形体の成形装置を提供できる。