JP2017065925A - ベルト搬送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】伝動ベルトなどの無端状のベルトの搬送に対してより適した構成を有し、且つ、コンパクトなベルト搬送装置を提供する。
【解決手段】ベルト搬送装置6は、無端状のベルト100を搬送するために用いられる。このベルト搬送装置6は、ベルト100を所定のベルト保持部4dへ搬入するための挿入ハンド11と、ベルト100をベルト保持部4dから搬出するための取出ハンド12と、を有している。挿入ハンド11および取出ハンド12は、ベルト100をベルト100の周方向における1箇所で保持するように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、無端状のベルトを搬送するためのベルト搬送装置に関する。
Vベルトを含む伝動ベルトなどのベルトの製造時、成形・加硫により得られたベルトスリーブを所定幅毎に切断(直角カット)することで、矩形状の断面を有する複数本のベルトを形成する場合がある。このようなベルトの形成時、製造途中のベルトを一対のローラ(プーリ)に巻き掛け、種々の処理を施すことがある。このような処理の一例として、バイアスカット処理を挙げることができる。バイアスカット処理は、各ベルトの両側面をバイアス状に切断する処理であり、略台形状の断面を有するVベルトが形成される(たとえば、特許文献1〜3参照)。
バイアスカットは、たとえば、上記のベルトを一対のローラ(ベルト走行部)に巻き掛けて回転させた状態で、一対の切削刃を回転させることによりベルトの両側面を切削する処理である。バイアスカット装置へのベルトの挿入作業、および、バイアスカット後のVベルトをバイアスカット装置から取り出す作業は、人の手作業で行われる。その他、ベルトを一対のローラに掛ける作業、および、ベルトを一対のローラから取り外す作業は、通常、人の手作業で行われる。
一方で、工場での物品搬送をロボットにより自動で行う構成が知られている(たとえば、特許文献4,5参照)。
特公平4−2425号公報 特開2006−200732号公報 特開2006−205335号公報 実開平4−42390号公報 特開平11−5133号公報
伝動ベルトなどのベルトの製造時において、ベルトの搬送の自動化を達成できることが、ベルトの生産性向上の観点から求められている。しかしながら、特許文献4,5は、一般的な物品搬送装置について開示されているに過ぎず、ベルトの搬送に適した搬送装置を開示しているとはいえない。また、ベルト搬送装置は、よりコンパクトであることが好ましい。
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、伝動ベルトなどの無端状のベルトの搬送に対してより適した構成を有し、且つ、コンパクトなベルト搬送装置を提供する。
(1)上記課題を解決するため、本発明のある局面に係るベルト搬送装置は、無端状のベルトを搬送するためのベルト搬送装置であって、前記ベルトを所定のベルト保持部へ搬入するための第1保持機構と、前記ベルトを前記ベルト保持部から搬出するための第2保持機構と、を備え、各前記保持機構は、前記ベルトを前記ベルトの周方向における1箇所で保持するように構成されている。
この構成によると、第1保持機構および第2保持機構によって、ベルトは、ベルト保持部に対して搬入および搬出される。これにより、2つの保持機構によってベルトをより効率的に自動搬送することができる。その結果、ベルトの搬送効率をより高くできる。また、各保持機構は、ベルトの周方向における1箇所でベルトを保持する。これにより、各保持機構は、ベルトを保持する部分をよりコンパクトにできる。その結果、ベルト搬送装置をよりコンパクトにできる。さらに、各保持機構をコンパクトにできる結果、各保持機構をより軽量にすることができる。よって、各保持機構は、動作時における慣性をより小さくできる。その結果、各保持機構の動作スピードをより高くできるので、ベルト搬送装置におけるベルトの搬送速度をより高くできる。さらに、各保持機構の動作に必要なエネルギーをより小さくできるので、ベルト搬送装置の省エネルギー化を実現できる。以上の次第で、本発明によると、無端状のベルトの搬送に対してより適した構成を有し、且つ、コンパクトなベルト搬送装置を提供することができる。
(2)好ましくは、前記第1保持機構が前記ベルトを保持しているときの前記ベルトと、前記第2保持機構が前記ベルトを保持しているときの前記ベルトは、実質的に互いに平行となるように配置される。
この構成によると、2つの保持機構は、2つのベルトの接触を抑制した状態で、これら2つのベルトをより接近させた状態で同時に保持できる。これにより、2つの保持機構を、よりコンパクトに配置することができる。
(3)より好ましくは、前記平行の方向としての所定方向において、前記第1保持機構と前記第2保持機構は、前記ベルトを保持する位置がずらされている。
この構成によると、2つの保持機構は、2つのベルトの接触を抑制した状態で、これら2つのベルトをより接近させた状態で同時に保持できる。これにより、2つの保持機構を、よりコンパクトに配置することができる。
(4)好ましくは、前記第1保持機構と前記第2保持機構は、互いに同じ形状に形成されている。
この構成によると、第1保持機構の構成と第2保持機構の構成とが共通化されている。よって、各保持部材を構成する部品の汎用性をより高くできる。
(5)好ましくは、前記ベルト搬送装置は、前記ベルトを搬送するために前記第1保持機構および前記第2保持機構を変位するための変位機構をさらに備えている。
この構成によると、変位機構は、第1保持機構および第2保持機構の双方を動作させる。これにより、第1保持機構と第2保持機構とを別々の機構によって変位させる必要がなく、ベルトをより効率的に自動搬送することができる。その結果、ベルトの搬送効率をより高くできる。
(6)より好ましくは、前記変位機構は、固定部と、この固定部に旋回可能に支持された可動部と、を含み、前記可動部は、旋回動作を用いて、前記第1保持機構と前記第2保持機構を前記ベルト保持部に近接させる動作を行うように構成されている。
この構成によると、変位機構の可動部が変位する領域を、固定部の周囲の比較的狭い領域に限定することができる。これにより、可動部の変位量を少なくできる。すなわち、ベルトの搬送長さをより短くできる。これにより、ベルトの搬送効率をより高くできる。また、ベルト搬送装置の動作に必要な空間をよりコンパクトにできる。
(7)より好ましくは、前記可動部の先端部は、前記第1保持機構および前記第2保持機構を所定の軸回りに変位可能に構成されている。
この構成によると、可動部が固定部に対して旋回動作する構成に加えて、可動部の先端は、第1保持機構および第2保持機構を所定の軸回りに変位させることが可能である。これにより、変位機構は、第1保持機構および第2保持機構の移動経路をより短くできる。したがって、ベルトの搬送長さをより短くできる。これにより、保持機構を用いたベルトの搬送効率をより高くできる。また、ベルト搬送装置の動作に必要な空間をよりコンパクトにできる。
(8)好ましくは、前記変位機構は、複数の関節機構を含んでいる。
この構成によると、可動部の先端部の経路、すなわち、第1保持機構および第2保持機構の経路の自由度を格段に高くできる。これにより、ベルト搬送装置におけるベルト搬送経路の設定の自由度をより高くできる。
(9)より好ましくは、前記ベルト搬送装置は、各前記保持機構を互いに連結し、且つ、前記変位機構に連結されるブラケットをさらに備えている。
この構成によると、ブラケットを変位機構に取り付けることで、第1保持機構および第2保持機構を変位機構に一括して取り付けることができる。
(10)より好ましくは、前記ブラケットは、前記第1保持機構と前記変位機構とを連結する第1ブラケット部と、前記第2保持機構と前記変位機構とを連結する第2ブラケット部と、を有し、前記変位機構から前記第1ブラケット部が延びる方向と、前記変位機構から前記第2ブラケット部が延びる方向とが異なっている。
この構成によると、2つの保持機構によって、2つのベルトの接触を抑制した状態で、これら2つのベルトをより接近させた状態で同時に保持できる。これにより、2つの保持機構を、よりコンパクトに配置することができる。
本発明によると、伝動ベルトなどの無端状のベルトの搬送に対してより適した構成を有し、且つ、コンパクトなベルト搬送装置を提供できる。
本発明の一実施形態に係る伝動ベルト製造装置の模式的な平面図である。 フィーダー部の正面図である。 バイアスカット装置の側面図である。 排出部の側面図である。 変位機構の模式的な斜視図である。 ベルト搬送装置の主要部の模式的な平面図であり、挿入ハンドおよび取出ハンドを平面視した状態を示している。 挿入ハンドの側面図である。 取出ハンドの側面図である。 ベルト搬送装置の動作の一例について、要点を説明するためのフローチャートである。 挿入ハンドがフィーダー部からベルトを取り出す様子を示す模式図である。 (a)〜(d)は、挿入ハンドがベルトをバイアスカット装置へ装着する様子を示す模式図である。 (a)〜(b)は、バイアスカット装置でのカット動作中に挿入ハンドがフィーダー部からベルトを取り出す様子を示す模式図である。 (a)〜(e)は、取出ハンドがバイアスカット装置からVベルトを取り出す様子を示す模式図である。 取出ハンドが排出部へVベルトを排出する様子を示す模式図である。 変形例を示す図である。 別の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る伝動ベルト製造装置1の模式的な平面図である。図1を参照して、伝動ベルト製造装置1(以下、単に製造装置1ともいう。)は、動力を伝えるための伝動ベルトとしてのVベルトを製造するために用いられる。このようなVベルトとして、一般産業機械、自動車などの動力伝達用途で用いられるVベルトを例示することができる。より具体的には、上記のVベルトとして、ラップドVベルト、ローエッジVベルト、Vリブドベルトなどを例示することができる。
製造装置1は、無端環状で矩形断面のベルト101の幅方向における当該ベルト101の両側面を傾斜状にカットすることにより、ベルト101をVベルト102にする。なお、ベルト101とベルト102を総称していう場合、「ベルト100」という場合がある。
ベルト101は、無端環状のシートの内部に心線が螺旋状に巻き掛けられた構成を有している。このシートは、たとえば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを用いて形成されている。心線は、ベルト101(Vベルト102)の破断を防止する補強部材として用いられる。心線の材質は、たとえば、ポリエステルである。
製造装置1は、操作盤(制御部)2と、フィーダー部3と、バイアスカット装置4と、排出部5と、ベルト100を搬送するためのベルト搬送装置6と、を有している。
ベルト搬送装置6は、変位機構10と、挿入ハンド11と、取出ハンド12と、を有している。
本実施形態における製造装置1の動作の概要は、以下のとおりである。すなわち、製造装置1においては、フィーダー部3に保持されたベルト101が、ベルト搬送装置6の挿入ハンド11によってバイアスカット装置4に搬送される。そして、バイアスカット装置4がベルト101の両側面100a,100aを傾斜状にカットする。これにより、ベルト101の断面がV字状に形成され、ベルト101がVベルト102となる。Vベルト102は、ベルト搬送装置6の取出ハンド12によって排出部5に搬送される。
操作盤2は、製造装置1における各種機器の動作を制御するために設けられている。操作盤2は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および、ROM(Read Only Memory)を含むコンピュータ、または、PLC(Programmable Logic Controller)などを用いて形成されている。操作盤2は、作業員によって操作される操作ボタンを有しており、この操作ボタンが操作されることに基づいて、所定の電気信号を上記各種機器に出力する。操作盤2は、バイアスカット装置4、および、ベルト搬送装置6に接続されている。
図2は、フィーダー部3の正面図である。図1および図2を参照して、フィーダー部3は、ベルト搬送装置6によるベルト101の取り出しを可能な態様で、ベルト101を保持している。より具体的には、本実施形態では、フィーダー部3は、ベルト101の上端部をベルト搬送装置6が把持可能なように、ベルト101を保持している。
フィーダー部3は、支柱3aと、梁部3bと、を有している。
支柱3aは、地面から上方に延びており、梁部3bを支持している。梁部3bは、ベルト101の内周部が掛けられる部分として設けられている。梁部3bは、支柱3aの一側面から略水平に延びる梁状に形成されており、支柱3aに片持ち支持されている。梁部3bは、当該主軸3aの軸方向から見たときに、角張った上部を有している。これにより、梁部3bに掛けられたベルト101の上端部100bは、梁部3bから浮き上がった状態となり、梁部3bには接触していない。このベルト101は、フィーダー部3において、上下に細長い楕円状となっている。
ベルト101は、ベルト搬送装置6の挿入ハンド11を用いて、フィーダー部3からバイアスカット装置4に搬送される。フィーダー部3に保持されたベルト101が挿入ハンド11によってフィーダー部3から取り出される際、挿入ハンド11は、ベルト101の上端部100bを保持した後、ベルト101を持ち上げる。
図3は、バイアスカット装置4の側面図である。図1および図3を参照して、バイアスカット装置4は、ベルト101の幅方向両側面100a,100aを傾斜状にカットすることで、ベルト101の断面形状(ベルト101の周方向C1と直交する断面での形状)をV字状にするために用いられる。本実施形態では、バイアスカット装置4とフィーダー部3との間にベルト搬送装置6が配置されており、バイアスカット装置4は、フィーダー部3とともに、ベルト搬送装置6の周囲に並んでいる。
バイアスカット装置4は、ベース4aと、下軸部4bおよび上軸部4cを含むベルト保持部4dと、カッター4eと、カット屑押し出し部4fと、を有している。
ベース4aは、地面から上方に延びており、ベルト保持部4d、カッター4e、および、カット屑押し出し部4fを支持している。ベルト保持部4dの下軸部4bおよび上軸部4cは、ベルト101(Vベルト102)の内周部が掛けられる部分として設けられている。下軸部4bおよび上軸部4cは、ベース4aの一側面から延びており、互いに平行に配置されている。下軸部4bには、受け板35が取り付けられている。受け板35は、挿入ハンド11によって高速で変位するベルト101の下端部100cを受けることで、ベルト101の下端部100cの揺れを減衰させるために設けられた板状部分である。
上軸部4cは、駆動機構(図示せず)を介してベース4aに支持されており、ベース4aに対して、上軸部4cと下軸部4bとが向かい合う方向(本実施形態では、上下方向)に相対変位可能である。すなわち、本実施形態では、ベルト保持部4dの下軸部4bと上軸部4cは、鉛直に延びる所定の軸線方向L1に並んでいる。そして、これら下軸部4bと上軸部4cは、軸線方向L1に相対変位可能に構成されている。これにより、上軸部4cは、下軸部4bに近づく方向(上方向)、および、下軸部4bから遠ざかる方向(下方向)に変位可能である。
なお、軸線方向L1は、鉛直方向に限定されず、鉛直方向に対して傾斜した方向であってもよい。
下軸部4bおよび上軸部4cのそれぞれの先端部は、プーリを有している。各プーリは、一対のシーブ面を有しており、これら一対のシーブ面間の溝に、ベルト100が配置される。すなわち、下軸部4bおよび上軸部4cのそれぞれにおいて、ベルト100は、一対のプーリに巻き掛けられる。これにより、ベルト100は、下軸部4bおよび上軸部4cに安定した姿勢で保持される。
前述したように、下軸部4bおよび上軸部4cには、フィーダー部3からのベルト101が、ベルト搬送装置6の挿入ハンド11を用いて供給される。ベルト101がバイアスカット装置4の下軸部4bおよび上軸部4cに巻き掛けられる動作に先立って、上軸部4cは、図示しない駆動機構によって下軸部4b側に変位される。これにより、下軸部4bと上軸部4cとの間隔が一時的に短くされる。この状態で、挿入ハンド11がベルト101の下端部100cを下軸部4bに掛ける。次に、挿入ハンド11は、ベルト101の上端部100bを上軸部4cに掛ける。その後、上軸部4cは、図示しない駆動機構によって上軸部4cから離隔するように変位する。
これにより、ベルト101は、下軸部4bと上軸部4cとによって張られて撓み、長手方向(上下方向)に細長い形状となる。下軸部4bは、図示しない電動モータによって回転動作される。下軸部4bおよび上軸部4cに張られたベルト101は、カッター4eによってカット処理を施される。
カッター4eは、下軸部4bおよび上軸部4cに掛けられて引張力を与えられた状態のベルト101の両側面100aを、カットするために設けられている。カッター4eは、たとえば、図示しないアクチュエータに取り付けられており、ベルト101の両側面100a,100aをカットする位置と、ベルト101から離隔した位置とに変位可能である。カッター4eは、下軸部4bおよび上軸部4cによって回転駆動された状態のベルト101の両側面100a,100aに接触することで、ベルト101の両側面100a,100aをカットする。
これにより、ベルト101は、Vベルト102となる。また、ベルト101の幅方向におけるVベルト102の両側方に、無端状のカット屑103が発生する。Vベルト102は、ベルト搬送装置6の取出ハンド12を用いて、排出部5に搬送される。一方、カット屑103は、カット屑押し出し部4fによって、押し出され、屑入れ14に排出される。屑入れ14は、たとえば、梁部3bの下方に配置されたカゴ部材である。
バイアスカット装置4でのカット処理の後、バイアスカット装置4から取出ハンド12にVベルト102が搬出される。この搬出動作に先立ち、上軸部4cは、下軸部4b側に変位し、Vベルト102への引張力の付与を解除する。次いで、取出ハンド12によってVベルト102が保持され、Vベルト102が下軸部4bおよび上軸部4cから取り外される。
その後、取出ハンド12は、ベルト102を排出部5へ搬送する。また、カット屑押し出し部4fが、カット屑103を下軸部4bおよび上軸部4cの先端部に押し出すことで、カット屑103は、屑入れ14に排出される。カット屑押し出し部4fは、ベース4aに支持されている。
カット屑押し出し部4fは、たとえば、エアシリンダー装置を用いて形成されている。カット屑押し出し部4fの可動部がベース4aから突出するように変位することで、カット屑103は、下軸部4bおよび上軸部4cから押し出される。
図4は、排出部5の側面図である。図1および図4を参照して、排出部5は、バイアスカット装置4に隣接しており、バイアスカット装置4とともに、ベルト搬送装置6の変位機構10の周囲に並んでいる。
本実施形態では、平面視において、ベルト搬送装置6の周囲において、反時計回りにフィーダー部3、排出部5、および、バイアスカット装置4の順にこれらフィーダー部3、排出部5、および、バイアスカット装置4が配置されている。なお、本実施形態におけるベルト搬送装置6、フィーダー部3、排出部5、および、バイアスカット装置4の配置は、一例であり、他の配置の態様が採用されてもよい。
排出部5は、バイアスカット装置4から取出ハンド12を用いて搬送されたVベルト102が掛けられる部分として設けられている。排出部5は、支柱5aと、Vベルト掛け部5bと、を有している。支柱5aは、地面から上方に延びており、この支柱5aにVベルト掛け部5bが固定されている。
Vベルト掛け部5bは、支柱5aから変位機構10側に向けて延びる部分であり、Vベルト102を受ける部分である。Vベルト掛け部5bは、たとえば、支柱5aから遠ざかるに従い上方に向かうように傾斜した形状に形成を有している。Vベルト102は、当該Vベルト102の内周面をVベルト掛け部5bの先端部に引っ掛けられることで、Vベルト掛け部5bに保持される。
以上が、フィーダー部3、バイアスカット装置4、および、排出部5の概略構成である。次に、ベルト搬送装置6について、より詳細に説明する。
図1を参照して、ベルト搬送装置6は、前述したように、無端状のベルト101をフィーダー部3からバイアスカット装置4へ搬送し、さらに、バイアスカット装置4で形成されたVベルト102を、バイアスカット装置4から排出部5へ搬送するように構成されている。
前述したように、ベルト搬送装置6は、変位機構10と、ベルト101をバイアスカット装置4のベルト保持部4dへ搬入するための挿入ハンド(第1保持機構)11と、Vベルト102をベルト保持部4dから搬出するための取出ハンド(第2保持機構)12と、を有しており、さらに、ブラケット13を有している。
なお、以下では、特に説明なき場合、ベルト100が挿入ハンド11または取出ハンド12に保持された状態を基準として説明する。
挿入ハンド11は、ベルト101をフィーダー部3からバイアスカット装置4へ搬送するために設けられている。また、取出ハンド12は、Vベルト102をバイアスカット装置4から排出部5へ搬送するために設けられている。変位機構10は、ブラケット13を介して挿入ハンド11および取出ハンド12に連結され、且つ、ベルト101およびVベルト102を搬送するために挿入ハンド11および取出ハンド12を変位させる。
より詳細に説明すると、挿入ハンド11は、ベルト101をフィーダー部3から受け取り、変位機構10は、ベルト101を保持した挿入ハンド11をフィーダー部3側の位置からバイアスカット装置4側の位置へ変位させる。そして、挿入ハンド11は、バイアスカット装置4にベルト101を受け渡す。
取出ハンド12は、バイアスカット装置4でのカットによって形成されたVベルト102を、バイアスカット装置4から受け取る。取出ハンド12は、Vベルト102を排出部5のVベルト掛け部5bに渡すように構成されている。
図5は、変位機構10の模式的な斜視図である。図1および図5を参照して、変位機構10は、ベルト100を搬送するために挿入ハンド11および取出ハンド12を変位するために設けられている。変位機構10は、たとえば、多軸関節機構(複数の関節機構)を用いて形成されている。この多軸関節機構は、たとえば、6軸関節機構である。
変位機構10は、固定部23と、この固定部23に旋回可能に支持された可動部24と、を有している。
固定部23は、地面に固定されている。この固定部23に、可動部24が連結されている。可動部24は、ロボットアームとして設けられている。可動部24は、旋回動作を用いて、挿入ハンド11をフィーダー部3とバイアスカット装置4との間に変位させ、且つ、取出ハンド12をバイアスカット装置4と排出部5との間に変位させる。
可動部24は、ブラケット13を介して挿入ハンド11および取出ハンド12の双方に連結されている。このため、実際には、挿入ハンド11および取出ハンド12は、可動部24の変位に伴って一体的に変位する。このような構成により、可動部24は、旋回動作を用いて、挿入ハンド11および取出ハンド12を、バイアスカット装置4のベルト保持部4dに対して近接させる動作、および、ベルト保持部4dに対して離隔させる動作を行わせることが可能である。
可動部24は、第1関節部25と、第2関節部26と、第1部分27と、第3関節部28と、第2部分29と、第4関節部30と、ブラケット支持部31と、を有している。
第1関節部25は、固定部23に支持されており、固定部23に対して、鉛直方向に延びる軸線回りを旋回可能である。この第1関節部25に第2関節部26が取り付けられている。第2関節部26は、略水平に延びる軸線回りを第1部分27が旋回可能なように、第1部分27を支持している。
第1部分27は、直線状に延びる梁状に形成されている。第1部分27の先端部に、第3関節部28が取り付けられている。第3関節部28は、たとえば、第2関節部26における旋回軸線と平行な軸線回りを第2部分29が旋回可能なように、第2部分29の基端部を支持している。第2部分29は、直線状に延びる梁状に形成されている。第2部分29の先端部に、第4関節部30が取り付けられている。
第4関節部30は、たとえば、第2関節部26における旋回軸線と平行な軸線回りをブラケット支持部31が旋回可能なように、ブラケット支持部31を支持している。ブラケット支持部31は、軸状に形成されて変位機構10の可動部24の先端部を構成しており、図示しない電動モータを用いてこの軸回りを旋回可能なように構成されている。
このブラケット支持部31は、ブラケット13を、ブラケット支持部31回りに旋回可能に支持している。これにより、可動部24のブラケット支持部31(可動部24の先端部)は、挿入ハンド11および取出ハンド12を、軸部であるブラケット支持部31回りに変位可能である。
なお、変位機構10の一例について説明したけれども、この通りでなくてもよい。変位機構10は、挿入ハンド11をフィーダー部3からバイアスカット装置4へ搬送し、且つ、取出ハンド12をバイアスカット装置4から排出部5へ搬送できる構成であれば、上記の構成でなくてもよい。
図6は、ベルト搬送装置6の主要部の模式的な平面図であり、挿入ハンド11および取出ハンド12を平面視した状態を示している。図7は、挿入ハンド11の側面図である。図8は、取出ハンド12の側面図である。
図1および図6〜図8を参照して、挿入ハンド11および取出ハンド12は、前述したように、ブラケット13を介して変位機構10のブラケット支持部31に支持されている。
ブラケット13は、挿入ハンド11および取出ハンド12を互いに一体的に変位可能に連結し、且つ、変位機構10に連結される部分として設けられている。ブラケット13は、本実施形態では、L字状に形成されている。本実施形態では、ブラケット13は、1枚の板部材をL字状に形成することで構成されている。なお、ブラケット13は、挿入ハンド11と取出ハンド12とを互いに離隔した状態で保持できればよく、具体的な形状は限定されない。
ブラケット13は、被支持部32と、第1ブラケット部33と、第2ブラケット部34と、を有している。
被支持部32は、変位機構10のブラケット支持部31に連結される部分として設けられている。被支持部32は、ブラケット13の略中央部に配置されている。本実施形態では、被支持部32は、ブラケット13の重心に配置されている。これにより、ブラケット13がブラケット支持部31によって旋回される際における、ブラケット13の慣性モーメントをより小さくできる。
被支持部32から、第1ブラケット部33および第2ブラケット部34が延びている。第1ブラケット部33は、挿入ハンド11と変位機構10のブラケット支持部31とを連結するために設けられている。第2ブラケット部34は、取出ハンド12と変位機構10のブラケット支持部31とを連結するために設けられている。
被支持部32(ブラケット支持部31)から第1ブラケット部33が延びる方向D1と、被支持部32(ブラケット支持部31)から第2ブラケット部が延びる方向D2とが異なっている。本実施形態では、ブラケット13を平面視した場合において、第1ブラケット部33および第2ブラケット部34は、略90°の角度をなして延びている。
第1ブラケット13および第2ブラケット13は、それぞれ、被支持部32から延びる矩形の平板状に形成されている。第1ブラケット部33の先端部(一端部)に、挿入ハンド11が支持されている。また、第2ブラケット部34の先端部(一端部)に、取出ハンド12が支持されている。
挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、対応するベルト101,102を吊下げて保持した状態で当該ベルト101,102を搬送可能な保持機構として設けられている。また、本実施形態では、挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、対応するベルト101,102の上端部100bを保持するように構成されている。本実施形態では、挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、対応するベルト101,102の周方向C1における当該ベルト101,102の1箇所を保持するように構成されている。本実施形態では、挿入ハンド11と取出ハンド12は、互いに同じ構成を有しており、互いに同じ形状に形成されている。
ブラケット13を平面視した状態において、挿入ハンド11は、ブラケット13の外郭線で囲まれた領域内に配置されている。挿入ハンド11は、ブラケット13の裏面に設置されており、ベルト101を搬送する際には、下側を向いている。本実施形態では、挿入ハンド11は、第1ブラケット部33の長手方向における第1ブラケット部33の半分程度の領域に配置されている。
挿入ハンド11は、アクチュエータ41と、一対の受け部42,43と、を有している。
アクチュエータ41は、一対の受け部42,43間の間隔を変更するための駆動源として設けられている。本実施形態では、アクチュエータ41は、一対の受け部42,43が対向する対向方向D3に沿って各受け部42,43を駆動可能に構成されている。また、アクチュエータ41は、一対の受け部42,43を支持する支持部として設けられている。アクチュエータ41は、たとえば、流体圧シリンダを用いて形成されており、圧縮空気などの動力源によって、動作するように構成されている。アクチュエータ41は、一対の受け部42,43が対向する対向方向D3に細長いブロック状に形成されている。本実施形態では、対向方向D3は、第1ブラケット部33が延びる方向と平行である。
アクチュエータ41は、主体部41aと、一対の可動部41b,41cと、を有している。
主体部41aは、アクチュエータ41のシリンダ室などを有する部分として設けられており、第1ブラケット部33の長手方向に細長く延びるブロック状に形成されている。主体部41aは、ブラケット13の裏面に固定されている。主体部41aは、一対の可動部41b,41cを主体部41aに対してスライド可能に支持している。
一対の可動部41b,41cは、主体部41aのうち、ブラケット13に固定されている面とは反対側の一側面(図7において、下側を向く側面)に配置されている。一対の可動部41b,41cは、主体部41aに対して、主体部41aの長手方向(第1ブラケット部33の長手方向)に移動可能である。
一対の可動部41b,41cは、たとえば、ラックアンドピニオン機構などを用いて互いに連結されており、主体部41aの長手方向に沿って、互いに反対方向に変位するように構成されている。すなわち、一対の可動部41b,41cは、互いに近接する方向、および、互いに離隔する方向に相対変位可能である。これら一対の可動部41b,41cに、一対の受け部42,43が固定されている。すなわち、可動部41bに受け部42が固定されており、且つ、可動部41cに受け部43が固定されている。
一対の受け部42,43は、ベルト101の一対の側面100a,100aを受けて当該ベルト101を保持するために設けられている。各受け部42,43は、対応する可動部41b,41cとともに、主体部41aに対して対向方向D3の長手方向に変位する。これにより、一対の受け部42,43は、互いに近接する方向、および、互いに離隔する方向に相対変位可能である。すなわち、一対の受け部42,43は、ベルト101を掴んで保持する動作、および、この保持を解除してベルト101を挿入ハンド11から離隔させる動作を行うことが可能である。
一対の受け部42,43間の距離は、たとえば、最大で約70mm、最小で約8mmに設定されている。すなわち、一対の爪部としての一対の受け部42,43は、開き時において、約70mmの間隔となり、閉じ時において、約8mmの間隔となり、一対の受け部42,43のストロークは、約62mmとなる。また、一対の受け部42,43がベルト101を保持する保持力(挟持力)は、本実施形態では、90N以上に設定されている。
一対の受け部42,43は、ベルト101の一対の側面100a,100aに対向するように配置される一対の対向面42a,43aを有している。すなわち、各受け部42,43は、ベルト101の対応する側面100a,100aに対向するように配置される対向面42a,43aを有している。
一対の対向面42a,43aは、一対の受け部42,43が対向する対向方向D3に対称な形状を有している。本実施形態では、対向面42a,43aは、弾力性を有するベルト101と接触し、この接触によって弾性変形したベルト101の対応する側面100a,100aと面接触するように構成されている。
具体的には、各対向面42a,43aは、傾斜面42b,43bを含んでいる。傾斜面42b,43bは、一対の受け部42,43が対向する対向方向D3と直交する方向(ブラケット13の厚み方向)に対して傾斜するテーパ状に形成されている。一対の傾斜面42b,43b間の間隔は、アクチュエータ41の主体部41a(ブラケット13)に近づくに従い大きくされている。
一対の傾斜面42b,43bがベルト101を掴んだ箇所において、一対の傾斜面42b,43bは、ベルト100の厚み方向において、ベルト101の少なくとも半分に亘って延びており、本実施形態では、ベルト101の全域に延びている。このような構成により、一対の受け部42,43がベルト101を保持している状態において、一対の受け部42,43がベルト101を受けている箇所をベルト101の周方向C1に沿って見たとき(図7に示すように見たとき)に、各対向面42a,43aは、ベルト101の対応する側面100a,100aと線接触する形状に形成されている。
また、各対向面42a,43aのうち、可動部41b,41cから最も遠い一端部には、突起部44,44が形成されている。突起部44,44は、対応する傾斜面42b,43bから突出するように形成されており、互いに近づく方向に突出している。一対の受け部42,43がベルト101を保持している状態において、一対の受け部42,43がベルト101を受けている箇所では、突起部44,44は、周方向C1における受け部42,43の全域に亘って形成されている。傾斜面42b,43bからの突起部44,44のそれぞれの突出量は、たとえば、1mm〜2mm程度の小さい値である。この突起部44,44は、ベルト101を受けることにより、ベルト101が落下することを抑制できる。
また、一対の受け部42,43を支持する一対の可動部41b,41cには、一対の押さえ面41d,41eが設けられている。各押さえ面41d,41eは、可動部41b,41cのうち対応する傾斜面42b,43b側を向く一側面に形成されている。各押さえ面41d,41eは、本実施形態では、対向方向D3と平行な平坦面である。上記の構成により、一対の押さえ面41d,41eは、一対の受け部42,43に挟持されたベルト101の外周面を受けることが可能である。これにより、ベルト101は、一対の受け部42,43および一対の押さえ面41d,41eによって堅固に保持され、且つ、一対の突起部44,44によって、落下を抑制されている。
上記の構成を有する挿入ハンド11に隣接して、取出ハンド12が配置されている。
ブラケット13を平面視した状態において、取出ハンド12は、ブラケット13の外郭線で囲まれた領域から一部が突出するように配置されている。取出ハンド12は、ブラケット13の裏面に設置されており、Vベルト102を搬送する際には、下側を向いている。本実施形態では、取出ハンド12は、第2ブラケット部34の長手方向における第2ブラケット部34の先端部に配置されている。
取出ハンド12は、アクチュエータ51と、一対の受け部52,53と、を有している。
アクチュエータ51は、一対の受け部52,53間の間隔を変更するための駆動源として設けられている。本実施形態では、アクチュエータ51は、一対の受け部52,53が対向する対向方向D4に沿って各受け部52,53を駆動可能に構成されている。また、アクチュエータ51は、一対の受け部52,53を支持する支持部として設けられている。アクチュエータ51は、たとえば、流体圧シリンダを用いて形成されており、圧縮空気などの動力源によって、動作するように構成されている。アクチュエータ51は、一対の受け部52,53が対向する対向方向D4に細長いブロック状に形成されている。本実施形態では、対向方向D4は、第2ブラケット部34が延びる方向と直交している。
アクチュエータ51は、主体部51aと、一対の可動部51b,51cと、を有している。
主体部51aは、アクチュエータ51のシリンダ室などを有する部分として設けられており、ブラケット13を平面視したときにおける第2ブラケット部34の短手方向に細長く延びるブロック状に形成されている。主体部51aは、ブラケット13の裏面に固定されている。主体部51aは、一対の可動部51b,51cを主体部51aに対してスライド可能に支持している。
一対の可動部51b,51cは、主体部51aのうち、ブラケット13に固定されている面とは反対側の一側面(図8において、下側を向く側面)に配置されている。一対の可動部51b,51cは、主体部51aに対して、主体部51aの長手方向(ブラケット13を平面視したときにおける第2ブラケット部34の短手方向)に移動可能である。一対の可動部51b,51cは、たとえば、ラックアンドピニオン機構などを用いて互いに連結されており、主体部51aの長手方向に沿って、互いに反対方向に変位するように構成されている。すなわち、一対の可動部51b,51cは、互いに近接する方向、および、互いに離隔する方向に相対変位可能である。これら一対の可動部51b,51cに、一対の受け部52,53が固定されている。すなわち、可動部51bに受け部52が固定されており、且つ、可動部51cに受け部53が固定されている。
一対の受け部52,53は、Vベルト102の一対の側面100a,100aを受けて当該Vベルト102を保持するために設けられている。各受け部52,53は、対応する可動部51b,51cとともに、主体部51aに対して対向方向D4に変位する。これにより、一対の受け部52,53は、互いに近接する方向、および、互いに離隔する方向に相対変位可能である。すなわち、一対の受け部52,53は、Vベルト102を掴んで保持する動作、および、この保持を解除してVベルト102を取出ハンド12から離隔させる動作を行うことが可能である。
一対の受け部52,53間の距離は、たとえば、最大で約70mm、最小で約8mmに設定されている。すなわち、一対の爪部としての一対の受け部52,53は、開き時において、約70mmの間隔となり、閉じ時において、約8mmの間隔となり、一対の受け部52,53のストロークは、約62mmとなる。また、一対の受け部52,53がVベルト102を保持する保持力(挟持力)は、本実施形態では、90N以上に設定されている。
一対の受け部52,53は、Vベルト102の一対の側面100a,100aに対向するように配置される一対の対向面52a,53aを有している。すなわち、各受け部52,53は、Vベルト102の対応する側面100a,100aに対向するように配置される対向面52a,53aを有している。
対向面52a,53aは、一対の受け部52,53が対向する対向方向D4に対称な形状を有している。本実施形態では、対向面52a,53aは、Vベルト102の対応する側面100a,100aの形状に沿う形状に形成されており、これらの側面100a,100aと面接触するように構成されている。
具体的には、各対向面52a,53aは、傾斜面52b,53bを含んでいる。傾斜面52b,53bは、Vベルト102の対応する側面100a,100aの傾斜形状に沿う形状に形成されている。本実施形態では、傾斜面52b,53bは、一対の受け部52,53が対向する対向方向D4と直交する方向(ブラケット13の厚み方向)に対して傾斜するテーパ状に形成されている。一対の傾斜面52b,53b間の間隔は、アクチュエータ51の主体部51a(ブラケット13)に近づくに従い大きくされている。
各傾斜面52b,53bの傾斜角度θ3は、Vベルト102の厚み方向に対する側面100aの傾斜角度θ2を基準として設定される。これらの傾斜角度θ2,θ3は、同じでもよいし、傾斜角度θ2と傾斜角度θ3との差が数度から十数度程度でもよい。各傾斜面52b,53bの傾斜角度θ3は、たとえば、28°〜38°の間に設定され、本実施形態では、28°〜38°の中央である33°に設定されている。Vベルト102は、弾力性を有している。このため、傾斜角度θ2,θ3が一致していなくても、これらの傾斜角度θ2,θ3の差がある範囲以内であれば、傾斜面52b,53bは、一対の側面100a,100aと面接触可能である。
一対の傾斜面52b,53bがVベルト102を掴んだ箇所において、一対の傾斜面52b,53bは、Vベルト102の厚み方向において、Vベルト102の少なくとも半分に亘って延びており、本実施形態では、Vベルト102の全域に延びている。このような構成により、一対の受け部52,53がVベルト102を保持している状態において、一対の受け部52,53がVベルト102を受けている箇所をVベルト102の周方向C1に沿って見たときに、各対向面52a,53aは、Vベルト102の対応する側面100a,100aと線接触する形状に形成されている。
また、各対向面52a,53aのうち、可動部51b,51cから最も遠い一端部には、突起部54,54が形成されている。突起部54,54は、対応する傾斜面52b,53bから突出するように形成されており、互いに近づく方向に突出している。一対の受け部52,53がVベルト102を保持している状態において、一対の受け部52,53がVベルト102を受けている箇所では、突起部54,54は、周方向C1における受け部52,53の全域に亘って形成されている。傾斜面52b,53bからの突起部54,54のそれぞれの突出量は、たとえば、1mm〜2mm程度の小さい値である。この突起部54,54は、Vベルト102を受けることにより、Vベルト102が落下することを抑制できる。
また、一対の受け部52,53を支持する一対の可動部51b,51cには、一対の押さえ面51d,51eが設けられている。各押さえ面51d,51eは、可動部51b,51cのうち対応する傾斜面52,53b側を向く一側面に形成されている。各押さえ面51d,51eは、本実施形態では、対向方向D4と平行な平坦面である。上記の構成により、一対の押さえ面51d,51eは、一対の受け部52,53に挟持されたVベルト102の外周面を受けることが可能である。これにより、Vベルト102は、一対の受け部52,53および一対の押さえ面51d,51eによって堅固に保持され、且つ、一対の突起部54,54によって、落下を抑制されている。
上記の構成により、挿入ハンド11がベルト101を保持しているときの当該ベルト101と、取出ハンド12がVベルト102を保持しているときの当該Vベルト102は、実質的に互いに平行(角度が数度以下)となるように配置される。すなわち、本実施形態では、挿入ハンド11の一対の受け部42,43の対向方向D3と、取出ハンド12の一対の受け部52,53の対向方向D4とが平行に配置されている。さらに、一対の受け部42,43と一対の受け部52,53とは、ブラケット13を平面視したときにおいて対向方向D3と直交する方向に離隔している。
さらに、対向方向D3(対向方向D4)において、挿入ハンド11がベルト101を保持する位置P1と、取出ハンド102がVベルト102を保持する位置P2とは、互いにずらされている。本実施形態では、対向方向D3において、位置P1,P2は、ベルト100の幅よりも大きく設定されている。
次に、ベルト搬送装置6によるベルト100の搬送動作の一例について、より具体的に説明する。
図9は、ベルト搬送装置6の動作の一例について、要点を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、フローチャートを用いて説明する場合、フローチャート以外の図も適宜参照する。図10は、挿入ハンド11がフィーダー部3からベルト101を取り出す様子を示す模式図である。図11(a)〜図11(d)は、挿入ハンド11がベルト101をバイアスカット装置4へ装着する様子を示す模式図である。図12(a)〜図12(b)は、バイアスカット装置4でのカット動作中に挿入ハンド11がフィーダー部3からベルト101を取り出す様子を示す模式図である。図13(a)〜図13(e)は、取出ハンド12がバイアスカット装置4からVベルト102を取り出す様子を示す模式図である。図14は、取出ハンド12が排出部5へVベルト102を排出する様子を示す模式図である。
図9を参照して、オペレーターによって操作盤2が操作されることにより、製造装置1におけるベルト101のバイアスカット指令が発せられると、まず、挿入ハンド11がフィーダー部3からベルト101を搬出する動作が行われる(ステップS1)。具体的には、まず、変位機構10が、挿入ハンド11をフィーダー部3側に変位させる。そして、図10に示すように、挿入ハンド11の一対の受け部42,43は、フィーダー部3に掛けられたベルト101の上端部100bを挟むように配置される。次に、アクチュエータ41の動作によって、一対の受け部42,43は、互いに近接するように変位され、ベルト101の上端部100bを掴んで保持する。
次に、挿入ハンド11は、ベルト101を保持した状態で、ベルト101をフィーダー部3から持ち上げ、変位機構10によってバイアスカット装置4へ変位され、ベルト101がフィーダー部3から搬出される。挿入ハンド11は、その後、ベルト101をバイアスカット装置4のベルト保持部4dへ装着する(ステップS2)。具体的には、図11に示すように、変位機構10は、ベルト101をベルト保持部4dの下軸部4bに掛ける動作の後、ベルト保持部4dの上軸部4cに掛ける動作を行うように、挿入ハンド11を変位させる。
より具体的には、変位機構10の動作によって、挿入ハンド11は、図11(a)に示すように、まず、バイアスカット装置4のベルト保持部4dの下軸部4b近傍までベルト101を変位させ、ベルト101の下端部100cの周辺を、バイアスカット装置4の受け板35に当てる。これにより、ベルト101の姿勢を安定させる。すなわち、変位機構10および挿入ハンド11によって高速で変位された可撓性のベルト101は、ベルト保持部4dの近傍で、迅速に安定した姿勢となる。これにより、ベルト101の処理にかかる時間を、より低減できる。
次に、図11(b)に示すように、挿入ハンド11は、バイアスカット装置4のベルト保持部4dの下軸部4bの下側から、この下軸部4bに、ベルト101の下端部100cを掛ける。なお、ベルト保持部4dの上軸部4cと下軸部4bとの間隔は、予め、バイアスカット動作時における上軸部4cと下軸部4bとの間隔よりも、小さく設定されている。
次に、図11(c)に示すように、挿入ハンド11は、ベルト101の保持を解除することで、ベルト101を上軸部4cに掛ける。具体的には、挿入ハンド11のアクチュエータ41の動作によって、一対の受け部42,43が互いに離隔するように変位する。これにより、予め上軸部4cの上方に配置されていた、ベルト101の上端部100bは、挿入ハンド11による保持を解除され、上軸部4cに落下する。これにより、ベルト101は、上軸部4cと下軸部4bとに掛けられた状態となる。すなわち、変位機構10は、下軸部4bと上軸部4cとが一時的に互いに近接した状態において、ベルト101を下軸部4bおよび上軸部4cに掛けるように、挿入ハンド11を動作させる。
その後、変位機構10は、上軸部4cから離隔するように変位される。次いで、図11(d)に示すように、上軸部4cは、下軸部4bから離隔するように変位する。これにより、ベルト101は、上軸部4cと下軸部4bとによって引張力を与えられた状態となる。上述の構成により、ベルト101がベルト保持部4dに掛けられる際、変位機構10は、軸線方向L1に沿って挿入ハンド11を変位させるように構成されている。そして、ベルト101は、引張力を与えられた状態でバイアスカット装置4によってバイアスカット動作を施される。これにより、ベルト101は、Vベルト102となる。
このように、バイアスカット装置4によってベルト101にバイアスカット処理が施されている間に、挿入ハンド11は、次にバイアスカットされるベルト101をフィーダー部3へ取りに行く(ステップS3)。具体的には、図12(a)に示すように、挿入ハンド11は、変位機構10の動作によって、バイアスカット装置4側の位置から、フィーダー部3側へ変位する。そして、挿入ハンド11の受け部42,43は、フィーダー部3に保持されているベルト101を掴み、その後、変位機構10によって、図12(b)に示すように、バイアスカット装置4側まで変位する。そして、ベルト搬送装置6は、バイアスカット装置4によるバイアスカット動作が完了するまで、待機する。このとき、取出ハンド12は、バイアスカット装置4に隣接するように配置される。
バイアスカット装置4によるベルト101のバイアスカット処理が完了すると、取出ハンド12は、バイアスカット装置4のベルト保持部4dに掛けられたVベルト102をベルト保持部4dから取り外す(ステップS4)。具体的には、図13(a)に示すように、まず、変位機構10は、取出ハンド12の一対の受け部52,53(図13では受け部53は図示せず)を、Vベルト102のうち上軸部4cと下軸部4bとの間に延びている部分で且つ上軸部4c寄り部分の側方に配置する。
すなわち、ベルト保持部4dの上軸部4cと下軸部4bとがVベルト102を受けており、取出ハンド12は、Vベルト102のうち上軸部4cと下軸部4bとの間に延びている部分を保持するように動作する。これにより、受け部52,53は、Vベルト102を掴む。次に、上軸部4cは、図13(b)に示すように、下軸部4b側に変位する。これにより、上軸部4cは、Vベルト102から離隔し、ベルト保持部4dによる、Vベルト102への引張力の付与が解除される。
このとき、Vベルト102の上端部100bの近傍部分が取出ハンド12によって保持されている。そして、Vベルト102は、軸線方向L1と直交する方向にわずかに膨らみつつ、下軸部4bと接触した状態を維持される。次に、図13(c)に示すように、取出ハンド12は、変位機構10によって、Vベルト102の上方側に位置するように、変位される。これにより、取出ハンド12は、Vベルト102の上端部100bを掴み、当該Vベルト102を吊下げ保持した状態となる。すなわち、取出ハンド12は、Vベルト102のうち取出ハンド12で保持されている部分がVベルト102の上端部100bとなるように、変位機構10によって変位される。
次に、図13(d)に示すように、取出ハンド12は、変位機構10によって、上軸部4cから後退するように(上軸部4cの軸方向のうち上軸部4cから遠ざかる方向へ向けて進むように)変位する。これにより、Vベルト102の上端部100bは上軸部4cから離隔する。この状態から、変位機構10によって、取出ハンド12は、下方に変位する。
これにより、図13(e)に示すように、ベルト101の下端部100cは、下軸部4bから下方に変位し、下軸部4bとの接触を解除される。そして、ベルト101の弾性復元力によって、ベルト101は、鉛直方向に真っ直ぐに吊り下がった状態で、取出ハンド12に保持される。
次に、挿入ハンド11は、次のベルト101をベルト保持部4dに装着する(ステップS5)。このときの動作は、ステップS2における挿入ハンド11の動作と同じである。そして、挿入ハンド11がベルト101をベルト保持部4dに装着した後、取出ハンド12は、Vベルト102を排出部5へ排出する(ステップS6)。
より具体的には、図14に示すように、変位機構10によって、取出ハンド12は、排出部5まで変位される。そして、取出ハンド12は、排出部5の長手方向に沿って変位され、これにより、Vベルト102が排出部5に通される。Vベルト102が排出部5に通されたときに、取出ハンド12は、一対の受け部52,53を開く。これにより、Vベルト102は、排出部5側に落下し、排出部5に掛けられる。
次に、操作盤2において、バイアスカット動作の終了信号が与えられている場合(ステップS7でYES)、製造装置1の動作が終了し、ベルト搬送装置6によるベルト100の搬送動作も終了する。
一方、Vベルト102が排出部5に排出された後、操作盤2において、バイアスカット動作の終了信号が与えられていない場合(ステップS7でNO)、ベルト搬送装置6は、再び、ステップS3〜S6の動作を繰返す。
以上の次第で、ベルト搬送装置6によると、ベルト101は、挿入ハンド11および取出ハンド12のそれぞれにおいて、吊下げされた状態で搬送される。これにより、互いに近接または離隔するように相対変位可能な2つの軸部4b,4cでベルト101を保持した状態でこのベルト101に所定の処理を施すバイアスカット装置4などへ、ベルト101を掛け易くできる。このように、挿入ハンド11および取出ハンド12を用いることで、ベルト100を受け渡す対象へのベルト100の受け渡し作業をより容易にできる。また、挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、ベルト100を吊下げた状態で搬送するように構成されている。その結果、挿入ハンド11および取出ハンド12は、ベルト100を対応するフィーダー部3およびベルト保持部4dから取り出す際に、ベルト100を持ち上げることができればよく、ベルト100の撓み形状の成約を受けずに、ベルト100を持ち上げることができる。これにより、挿入ハンド11および取出ハンド12について、ベルト100の搬送に関する汎用性をより高くできる。よって、本実施形態によると、無端状のベルト100の搬送に対してより適した構成を有するベルト搬送装置6を提供することができる。
また、ベルト搬送装置6によると、挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、ベルト100の上端部100bを保持することで、ベルト100全体が吊りつり下がった状態で当該ベルト100を保持できる。このような構成であれば、サイズおよび剛性などの特性が異なる複数種類のベルトのそれぞれを、同じ態様で挿入ハンド11および取出ハンド12が保持できる。これにより、ベルト搬送装置6の汎用性を、より高くできる。また、上下一対の軸部4b,4cを有するベルト保持部4dへ挿入ハンド11からベルト100を受け渡す際、ベルト100は、上下に長細い形状で挿入ハンド11からベルト保持部4dへ渡される。このような構成であれば、ベルト100の内側の空間の幅が各軸部4b,4cの直径よりも大きい状態で、ベルト100をベルト保持部4dに掛けることができる。よって、ベルト100を挿入ハンド11からベルト保持部4dへ受け渡す動作を行い易くできる。
たとえば、ベルト100の上端部100b以外を保持する構成であれば、特に、全長が長く且つ柔軟性の高いベルト100において、ベルト100が自重で垂れ下がる。このため、ベルト100の内側の空間をベルト保持部4dの挿入に適した状態に維持し難い。さらに、ベルト保持部4dの各軸部4b,4cとベルト100との位置合わせの制御が難しくなる。これに対し、本実施形態では、ベルト100の上端部100bを保持した状態でベルト100が搬送される。このため、上記の不具合が生じることをより確実に抑制できる。
また、ベルト搬送装置6によると、挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、ベルト100の周方向C1における当該ベルト100の1箇所を保持するように構成されている。この構成によると、挿入ハンド11および取出ハンド12を、それぞれ、よりコンパクトに形成することができる。
さらに、挿入ハンド11および取出ハンド12は、ベルト100の周方向C1における当該ベルト100の1箇所を挟んで保持するように構成されている。このような構成であれば、ベルト100を事前に二軸伸張装置などで伸張させた後、このベルト100を挿入ハンド11または取出ハンド12で保持する必要がない。よって、ベルト搬送装置6におけるベルト100の搬送のための構成をより簡素にできる。
また、ベルト搬送装置6によると、挿入ハンド11および取出ハンド12は、一対の受け部42,43;52,53を有している。この構成によると、一対の受け部42,43;52,53によってベルト100を挟むことで、このベルト100を保持できる。また、一対の受け部42,43;52,53間の間隔を変更することで、幅などのサイズの異なるベルト100を一対の受け部42,43;52,53で受けることができる。これにより、ベルト搬送装置6の汎用性をより高くできる。
また、ベルト搬送装置6によると、挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、対応する一対の受け部42,43;52,53間の間隔を変更するためのアクチュエータ41,51を有している。この構成によると、アクチュエータ41,51によって、一対の受け部42,43;52,53によるベルト100の保持、および、ベルト100の保持の解除を行うことができる。
また、ベルト搬送装置6によると、挿入ハンド11および取出ハンド12のアクチュエータ41,51は、それぞれ、一対の受け部42,43;52,53が対向する対向方向D3,D4に沿って各受け部42,43;52,53を駆動可能に構成されている。この構成によると、2つの受け部42,43;52,53のそれぞれを対応するアクチュエータ41,51によって変位させることができる。これにより、一対の受け部42,43;52,53でベルト101を保持する際に、一方の受け部42;52または他方の受け部43;53側にベルト101が寄せられてしまうことを抑制でき、ベルト100をより自然に近い状態で保持することができる。
また、ベルト搬送装置6によると、各受け部52,53の対向面52a,53aは、Vベルト102の側面100a,100aの形状に沿う形状に形成されている。この構成によると、Vベルト102と対応する受け部52,53との接触面積をより大きくできる。これにより、一対の受け部52,53によって、Vベルト102を保持する力をより大きくできる。
また、ベルト搬送装置6によると、一対の受け部42,43;52,53がベルト100を保持している状態において、一対の受け部42,43;52,53がベルト100を受けている箇所をベルト100の周方向C1に沿って見たときに、各対向面42a,43a;52a,53aは、ベルト100の対応する側面100a,100aと線接触する形状に形成されている。この構成によると、一対の受け部42,43;52,53がベルト100を受けている箇所において、ベルト100の厚み方向における一対の受け部42,43;52,53とベルト100との接触長さをより長くできる。これにより、一対の受け部42,43;52,53は、ベルト100をより安定した姿勢で保持することができる。これにより、より幅の広いベルト100についても挿入ハンド11および取出ハンド12で確実に保持できる。よって、ベルト搬送装置6の汎用性をより高くできる。
また、ベルト搬送装置6によると、取出ハンド12の対向面52a,53aは、Vベルト102の側面100a,100aの傾斜形状に沿う傾斜面52b,53bを含んでいる。この構成によると、特に、Vベルト102を搬送するのに好適なベルト搬送装置6を実現できる。
また、ベルト搬送装置6によると、ベルト搬送装置6は、変位機構10を有している。この構成によると、変位機構10によって挿入ハンド11および取出ハンド12を変位させることができる。
また、ベルト搬送装置6は、ベルト101を、バイアスカット装置4のベルト保持部4dに渡すように構成されている。そして、変位機構10は、ベルト101をベルト保持部4dの下軸部4bに掛ける動作の後、ベルト保持部4dの上軸部4cに掛ける動作を行うように挿入ハンド11を変位させるように構成されている。この構成によると、ベルト101のうち挿入ハンド11で保持されている部分から遠い部分を先にベルト保持部4dに掛け、その後、ベルト101のうち挿入ハンド11で保持されている部分をベルト保持部4dに掛けることができる。このような構成であれば、ベルト101をより安定した姿勢に維持しつつ、ベルト101をベルト保持部4dに巻き掛けることができる。また、ベルト搬送装置6は、ベルト101のサイズ(長さなど)にかかわらず、同様の態様でベルト101をベルト保持部4dに巻き掛けることができる。これにより、ベルト搬送装置6の汎用性をより高くできる。
また、ベルト搬送装置6によると、ベルト101がベルト保持部4dに掛けられる際、変位機構10は、軸線方向L1に沿って挿入ハンド11を変位させるように構成されている。この構成によると、ベルト搬送装置6は、軸線方向L1を基準としてベルト101をベルト保持部4dの下軸部4bおよび上軸部4cに掛ける動作を行うことができる。ベルト搬送装置6がベルト保持部4dの下軸部4bの次に上軸部4cへベルト101を掛けるときにおいて、上軸部4cおよび下軸部4bが軸線方向L1に沿って並ぶ。よって、ベルト101と下軸部4b、および、ベルト101と上軸部4cとの間でベルト101を掛ける位置合わせの制御をより容易に行うことができる。これにより、ベルト搬送装置6において、ベルト保持部4dへのベルト101の巻き掛け制御をより精度よく行うことができる。また、ベルト101のサイズ(長さおよび幅など)、ならびに、ベルト101の可撓性(硬さおよび柔軟さ)などの影響を受けずに、多くの種類のベルト101の搬送にこのベルト搬送装置6を用いることができる。よって、ベルト搬送装置6の汎用性をより高くできる。
また、ベルト搬送装置6によると、ベルト保持部4dの下軸部4bと上軸部4cは、軸線方向L1に相対変位可能に構成されている。また、変位機構10は、下軸部4bと上軸部4cとが一時的に互いに近接した状態において、ベルト101を下軸部4bおよび上軸部4cに掛けるように挿入ハンド11を動作させる。この構成によると、ベルト搬送装置6は、ベルト101のサイズにかかわらず、ベルト101に無理な引張力を加えることなく、ベルト101をベルト保持部4dに巻き掛けることができる。これにより、ベルト搬送装置6の汎用性をより高くできる。
また、ベルト搬送装置6は、Vベルト102を、ベルト保持部4dから取り外し可能に構成されている。そして、ベルト保持部4dは、ベルト保持部4dの上軸部4cと下軸部4bにおいてVベルト102を受けるように構成されている。また、取出ハンド12は、Vベルト102のうち上軸部4cと下軸部4bとの間に延びている部分を保持するように動作し、次いで、Vベルト102を保持している部分がVベルト102の上端部100bとなるように変位機構10によって変位されるように構成されている。この構成によると、取出ハンド12は、ベルト保持部4dに巻き掛けられているVベルト102のうちベルト保持部4dに接触していない箇所を最初に保持し、その後、Vベルト102をベルト保持部4dから取り外す動作を行うことで、Vベルト102をベルト保持部4dから取り外すことができる。このような動作によって、取出ハンド12は、Vベルト102を確実に保持しつつ、当該Vベルト102をベルト保持部4dからより確実に取り外すことができる。
また、ベルト搬送装置6によると、ベルト100は、挿入ハンド11および取出ハンド12によって、ベルト保持部4dに対して搬入および搬出される。これにより、2つのハンド11,12によってベルト100をより効率的に自動搬送することができる。その結果、ベルト100の搬送効率をより高くできる。また、挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、ベルト100の周方向C1における1箇所でベルト100を保持する。これにより、挿入ハンド11および取出ハンド12は、それぞれ、ベルト100を保持する部分をよりコンパクトにできる。その結果、ベルト搬送装置6をよりコンパクトにできる。さらに、挿入ハンド11および取出ハンド12をコンパクトにできる結果、挿入ハンド11および取出ハンド12をより軽量にすることができる。よって、挿入ハンド11および取出ハンド12は、動作時における慣性をより小さくできる。その結果、挿入ハンド11および取出ハンド12のそれぞれの動作スピードをより高くできるので、ベルト搬送装置6におけるベルト100の搬送速度をより高くできる。さらに、挿入ハンド11および取出ハンド12の動作に必要なエネルギーをより小さくできるので、ベルト搬送装置6の省エネルギー化を実現できる。以上の次第で、無端状のベルト100の搬送に対してより適した構成を有し、且つ、コンパクトなベルト搬送装置6を実現できる。
また、ベルト搬送装置6によると、挿入ハンド11がベルト101を保持しているときのベルト101と、取出ハンド12がVベルト102を保持しているときのVベルト102は、実質的に互いに平行となるように配置される。この構成によると、挿入ハンド11および取出ハンド12は、2つのベルト101,102の接触を抑制した状態で、これら2つのベルト101,102をより接近させた状態で同時に保持できる。これにより、挿入ハンド11および取出ハンド12を、よりコンパクトに配置することができる。
また、ベルト搬送装置6によると、所定方向(対向方向D3,D4と平行な方向)において、挿入ハンド11と取出ハンド12は、ベルト101,102を保持する位置P1,P2がずらされている。この構成によると、挿入ハンド11および取出ハンド12は、2つのベルト101,102の接触を抑制した状態で、これら2つのベルト101,102をより接近させた状態で同時に保持できる。これにより、挿入ハンド11および取出ハンド12を、よりコンパクトに配置することができる。
また、ベルト搬送装置6によると、挿入ハンド11の構成と取出ハンド12の構成とが共通化されている。よって、挿入ハンド11および取出ハンド12を構成する部品の汎用性をより高くできる。
また、ベルト搬送装置6によると、変位機構10は、挿入ハンド11および取出ハンド12の双方を動作させる。これにより、挿入ハンド11と取出ハンド12とを別々の機構によって変位させる必要がなく、ベルト100をより効率的に自動搬送することができる。その結果、ベルト100の搬送効率をより高くできる。
また、ベルト搬送装置6によると、変位機構10の可動部24は、旋回動作を用いて、挿入ハンド11および取出ハンド12をベルト保持部4dに近接させる動作を行うように構成されている。この構成によると、変位機構10の可動部24が変位する領域を、固定部23の周囲の比較的狭い領域に限定することができる。これにより、可動部24の変位量を少なくできる。すなわち、ベルト100の搬送長さをより短くできる。これにより、ベルト100の搬送効率をより高くできる。また、ベルト搬送装置6の動作に必要な空間をよりコンパクトにできる。
また、ベルト搬送装置6によると、変位機構10の可動部24の先端部としてのブラケット支持部31は、挿入ハンド11および取出ハンド12を当該ブラケット支持部31回りに変位可能に構成されている。この構成によると、可動部24が固定部23に対して旋回動作する構成に加えて、可動部24のブラケット支持部31は、挿入ハンド11および取出ハンド12をブラケット支持部31回りに変位させることが可能である。これにより、変位機構10は、挿入ハンド11および取出ハンド12の移動経路をより短くできる。したがって、ベルト100の搬送長さをより短くできる。これにより、挿入ハンド11および取出ハンド12を用いたベルト100の搬送効率をより高くできる。また、ベルト搬送装置6の動作に必要な空間をよりコンパクトにできる。
また、ベルト搬送装置6によると、変位機構10は、複数の関節機構を含んでいる。この構成によると、可動部24の先端部の経路、すなわち、挿入ハンド11および取出ハンド12の経路の自由度を格段に高くできる。これにより、ベルト搬送装置6におけるベルト搬送経路の設定の自由度をより高くできる。
また、ベルト搬送装置6によると、ブラケット13を変位機構10に取り付けることで、挿入ハンド11および取出ハンド12を変位機構10に一括して取り付けることができる。
また、ベルト搬送装置6によると、変位機構10から第1ブラケット部33が延びる方向D1と、変位機構10から第2ブラケット部34が延びる方向D2とが異なっている。この構成によると、挿入ハンド11および取出ハンド12によって、2つのベルト101,102の接触を抑制した状態で、これら2つのベルト101,102をより接近させた状態で同時に保持できる。これにより、2つのハンド11,12を、よりコンパクトに配置することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施の形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。たとえば、次のように変更してもよい。
(1)上述の実施形態では、ベルト保持部4dの上軸部4cと下軸部4bが鉛直方向に並んだ形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、図15に示すように、ベルト保持部4dの上軸部4cと下軸部4bが鉛直方向D5に対して傾斜していてもよい。すなわち、軸線方向L1が、鉛直方向D5に対して傾斜していてもよい。この場合でも、挿入ハンド11は、上述した実施形態における動作と同様の動作によって、ベルト101をベルト保持部4dに巻き掛けることができる。
すなわち、挿入ハンド11は、1つの軸毎に順にベルト101をベルト保持部4dに巻き掛ける。このような構成であれば、ベルト保持部4dの上軸部4cと下軸部4bとが鉛直方向D5に並んでいない場合であっても、ベルト101を掛ける際にベルト101が垂れることを防止できる。よって、挿入ハンド11による、ベルト保持部4dへのベルト101の巻き掛け動作において、2つの軸部4b,4cへのベルト101の巻き掛け動作をより確実に完了させることができる。
(2)また、上述の実施形態では、挿入ハンド11および取出ハンド12の各受け部42,43;52,53において、1つの対向面42a,43a;52a,53aが設けられた形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、図16に示すように、挿入ハンド11の受け部42,43において、複数対の対向面42a,43a,42a’,43a’が設けられていてもよい。同様に、取出ハンド12の受け部52,53において、複数対の対向面52a,53a,52a’,53a’が設けられていてもよい。
これらの対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’は、種類の異なる複数のベルト100,100に対応して複数種類設けられ、種類の異なる対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’が、所定の並び方向D6に並んで配置されている。並び方向D6は、一対の受け部42,43;52,53にベルト100が保持されているときにおいて、一対の受け部42,43;52,53に保持されている箇所でのベルト101の厚み方向である。そして、種類の異なる複数の対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’は、形状および傾斜角度θ(ベルト100の厚み方向に対する角度)の少なくとも一方が異なっている。
図16では、種類の異なる複数の対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’は、傾斜角度θが互いに異なっている。また、種類の異なる複数の対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’は、対応する対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’間の距離K1,K2が異なっている。たとえば、対向面42a,43a,52a,53aの傾斜角度θ3と対向面42a’,43a’,52a’,53a’の傾斜角度θ3’とについては、傾斜角度θ3’>θ3である。また、対向面42a,43a間(52a,53a間)の距離K1と、対向面42a’,43a’間(52a’,53a’間)の距離K2とについては、距離K2>K1に設定されている。よって、一対の対向面42a’,43a’;52a’,53a’で保持できるベルト100’の幅は、一対の対向面42a,43a;52a,53aで保持できるベルト100の幅よりも大きい。
なお、対向面42a’,43a’;52a’,53a’は、平坦面ではなく、ベルト100に対して凸または凹となる面に形成されていてもよい。
この構成によると、挿入ハンド11および取出ハンド12は、種類の異なる複数のベルト100,100’毎に、最適な対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’を用いてベルト100,100’を保持することができる。よって、挿入ハンド11および取出ハンド12は、種類の異なる複数のベルト100,100’のそれぞれを、より強い保持力で保持することができる。これにより、挿入ハンド11および取出ハンド12の汎用性をより高くできる。
また、一対の受け部42,43;52,53に対応するベルト100,100’が保持されているときにおける、一対の受け部42,43;52,53に保持されている箇所でのベルト100,100’の厚み方向に沿って対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’の位置を異ならせることで、種類の異なるベルト101,100’に最適な対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’をベルト100,100’に向かい合わせることができる。
また、複数種類のベルト100,100’において、互いの形状の差が大きい場合であっても、各ベルト100,100’の一対の側面100a,100aの形状により合致した形状の対向面42a,43a,42a’,43a’;52a,53a,52a’,53a’を形成することができる。これにより、挿入ハンド11および取出ハンド12は、複数種類のベルト100,100’のそれぞれに対して、より高い保持力で当該ベルト100,100’を保持することができる。その結果、ベルト搬送装置6の汎用性をより高くできる。
(3)また、上述の実施形態では、挿入ハンド11および取出ハンド12を別々に設ける形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、上述の実施形態における挿入ハンド11および取出ハンド12の何れか一方を無くし、他方のハンドが挿入ハンドの機能と取出ハンドの機能の双方を兼ねてもよい。
(4)また、上述の実施形態では、ベルト搬送装置6は、ベルト101にバイアスカットを施すために用いられた。しかしながら、この通りでなくてもよい。ベルト搬送装置6は、ベルト101をベルト保持部に巻き掛けて作業を行う装置(たとえば、研磨機、検尺機、結束機など)に適用されてもよい。
本発明は、ベルト搬送装置として広く適用することができる。
4d ベルト保持部
6 ベルト搬送装置
10 変位機構
11 挿入ハンド(第1保持機構)
12 取出ハンド(第2保持機構)
13 ブラケット
23 固定部
24 可動部
31 ブラケット支持部(所定の軸)
33 第1ブラケット部
34 第2ブラケット部
100 ベルト
C1 ベルトの周方向

Claims (10)

  1. 無端状のベルトを搬送するためのベルト搬送装置であって、
    前記ベルトを所定のベルト保持部へ搬入するための第1保持機構と、
    前記ベルトを前記ベルト保持部から搬出するための第2保持機構と、を備え、
    各前記保持機構は、前記ベルトを前記ベルトの周方向における1箇所で保持するように構成されていることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  2. 請求項1に記載のベルト搬送装置であって、
    前記第1保持機構が前記ベルトを保持しているときの前記ベルトと、前記第2保持機構が前記ベルトを保持しているときの前記ベルトは、実質的に互いに平行となるように配置されることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  3. 請求項2に記載のベルト搬送装置であって、
    前記平行の方向としての所定方向において、前記第1保持機構と前記第2保持機構は、前記ベルトを保持する位置がずらされていることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のベルト搬送装置であって、
    前記第1保持機構と前記第2保持機構は、互いに同じ形状に形成されていることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のベルト搬送装置であって、
    前記ベルトを搬送するために前記第1保持機構および前記第2保持機構を変位するための変位機構をさらに備えていることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  6. 請求項5に記載のベルト搬送装置であって、
    前記変位機構は、固定部と、この固定部に旋回可能に支持された可動部と、を含み、
    前記可動部は、旋回動作を用いて、前記第1保持機構と前記第2保持機構を前記ベルト保持部に近接させる動作を行うように構成されていることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  7. 請求項6に記載のベルト搬送装置であって、
    前記可動部の先端部は、前記第1保持機構および前記第2保持機構を所定の軸回りに変位可能に構成されていることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  8. 請求項5〜請求項7の何れか1項に記載のベルト搬送装置であって、
    前記変位機構は、複数の関節機構を含んでいることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  9. 請求項5〜請求項8の何れか1項に記載のベルト搬送装置であって、
    各前記保持機構を互いに連結し、且つ、前記変位機構に連結されるブラケットをさらに備えていることを特徴とする、ベルト搬送装置。
  10. 請求項9に記載のベルト搬送装置であって、
    前記ブラケットは、前記第1保持機構と前記変位機構とを連結する第1ブラケット部と、前記第2保持機構と前記変位機構とを連結する第2ブラケット部と、を有し、
    前記変位機構から前記第1ブラケット部が延びる方向と、前記変位機構から前記第2ブラケット部が延びる方向とが異なっていることを特徴とする、ベルト搬送装置。
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