JP2016087573A - 水回収装置及び電気透析装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はまた、この水回収装置における脱塩装置として好適な電気透析装置と、この電気透析装置を用いた脱塩処理方法に関する。
(1) 宇宙空間などでは重力が微少であるため、重力による気液分離、固液分離は困難である。
(2) 閉鎖系空間であるため、放出ガス種や放出量に制限がある。
(3) 高い水回収率が要求され、また消費電力や設置スペースを小さくする必要がある。
といった制約がある。
しかし、この水回収装置でも、電解装置の電流効率が低く、消費電力が大きい点に関して更なる改善が必要である;電解装置で酸素/水素の混合ガスが生成し、また、後段の電気透析装置への負荷となる次亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸等の塩素酸化物が生成するため、その対処のための手段を設置する必要がある;電解装置における電気分解で除去しきれなかった有機物や生成した過塩素酸等の酸化物質を処理するために、電解装置の後段に触媒分解装置を設ける必要があり、設置スペースやメンテナンス等を考慮するとより簡易な構成とすることが望まれる;電気透析装置においては、直接酸やアルカリを製造するため、システム全体の水回収率も低い水準となる;といった課題が残されている。
この高温高圧下での電気分解で、排水中の有機物の一部は炭酸ガスに、アンモニアや硝酸の一部は分解されて窒素ガスとなる。そのため、特許文献3における電解装置の後段の触媒分解装置を不要とすることが可能となる。また、高圧下では、その圧力によって、電気分解で発生するガスが水に溶解し、気泡による電極面への被分解物接触妨害を抑制することができる。また、高温で処理することによって熱分解の効果を利用するとともに物質移動速度を高めることで、電気分解効率を高めることもできる。更には、水の電気分解で生じた水素と酸素のガスを、再度水に戻す反応を引き起こすことができるため、爆発性の高い水素/酸素の混合ガスから、酸素濃度を低減させることができ、副生ガスを、爆発限界値を下回る安全性の高いものとすることができる上に、水回収率を高いものとすることができる。また、電気分解での酸化物の生成が抑制されることから、電解装置の後段にある電気透析装置への負荷を低減することもできる。
ここで、脱塩用電気透析装置は、図4に示すように、陽極と陰極の間に、それぞれ電極室及びバイポーラ膜BPMを介して濃縮室、アニオン交換膜AM、脱塩室、カチオン交換膜CM、濃縮室………………の繰り返し単位が、両極側が濃縮室となるように設けられた2室型の電気透析装置である。脱塩用電気透析装置では、脱塩室内を通過する被処理水中の塩類(XY)を構成する陰イオンX−及び陽イオンY+がそれぞれアニオン交換膜AM、カチオン交換膜CMを透過して濃縮室内に濃縮されることにより、脱塩室からは塩分が除去された脱塩水が得られ、一方、濃縮室からは、塩分濃縮液が得られる。
一方、酸・アルカリ製造用電気透析装置は、一般的に、3室式の電気透析装置であり、図5に示すように、陽極と陰極の間に、それぞれ電極室及びバイポーラ膜BPMを介して、酸室、アニオン交換膜AM、脱塩室、カチオン交換膜CM、アルカリ室、………………………の繰り返し単位が、陽極側が酸室、陰極側がアルカリ室となるように設けられたものであり、図5の通り、被処理水中の陰イオンX−及び陽イオンY+がそれぞれアニオン膜AM又はカチオン膜CMを透過して酸室又はアルカリ室に移動し、脱塩室から脱塩水が得られると共に、酸室から酸溶液が、アルカリ室からアルカリ溶液が得られる。即ち、酸・アルカリ製造用電気透析装置は、脱塩室に隣接する室が、陰イオンX−及び陽イオンY+が濃縮される濃縮室ではなく、陰イオンのみが濃縮され水中からH+が生成する酸室と、陽イオンのみが濃縮され、水中からOH−が生成するアルカリ室である点において、脱塩用電気透析装置とは異なる構造とされている。
(1) 電気分解により、水の電気分解由来の水素ガス、有機物の電気分解由来の二酸化炭素等のガスが発生する。一方で、原水中には酸素等微量の溶存ガスが存在している。水素ガスは酸素との混合により爆発の危険性があるため、安全上の対策をとる必要がある。高温高圧電解装置では、酸素ガス発生量は低減されるものの、水素ガス及び二酸化炭素ガスの発生を完全になくすことはできない。
高温高圧電解装置で発生したガスが気泡として後段の電気透析装置に混入すると、電気透析の抵抗となり、電圧が上昇してしまう。さらに、気泡の発生量も多くなり、密閉系では気泡発生分の容量を確保するために装置サイズが大きくなる。
(2) 消費電力が大きい。
(1) 1段の電気透析装置では、十分な水質の処理水を得ることができない。
(2) (1)より、電気透析装置の後段に電気脱イオン装置を設けた場合、高水質の処理水を得ることができるが、消費電力が過大となる。
(3) 先願では、脱塩用電気透析装置と酸・アルカリ製造用電気透析装置とを設けているが、この場合、脱塩用電気透析装置と酸・アルカリ製造用電気透析装置との間にタンクが必要となる。
また、処理水の水質を高めるためには、脱塩用電気透析装置を2段に設ける必要があり、この場合、2機の脱塩用電気透析装置と酸・アルカリ製造用電気透析装置とで3機の電気透析装置が必要となる。
(4) 電気透析装置でも、電解装置と同様、水の電気分解により、陰極室で水素ガスが、陽極室で主として酸素ガスがそれぞれ発生し、電解装置と同様の問題が生じる。
前記被処理水は、下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の緩衝室に通水された後、上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の緩衝室に通水され、次いで該上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩室に通水された後、該下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩室に通水されて脱塩処理されることを特徴とする電気透析装置。
特に、陰極室で発生した水素ガスの脱気により爆発の危険性を回避することができる。陽極室で発生した酸素ガスを脱気して回収することにより、閉鎖系空間におけるキャビンエアとして利用することもできる。
なお、以下においては、本発明を、主として、閉鎖系空間で発生した排水を処理して再利用するための水回収装置に適用した場合を例示して説明するが、本発明は、閉鎖系空間内で生じた排水の処理、回収に限らず、スケール成分、有機物、無機イオン等を含む様々な排水の処理、回収に適用することができる。
この水回収装置では、図1に示されるように、被処理水であるスケール成分、有機物、無機イオン等を含む排水、例えば閉鎖系空間内で生じた排水を、まず軟化装置1に導入して該排水中の硬度成分を除去し、軟化処理水を、熱交換器2で電解処理水と熱交換して予備加熱した後、高温高圧電解装置3にて高温高圧下に電気分解することにより、該軟化処理水中の被酸化性物質を分解除去する。電解処理水は、脱気膜装置4で脱気処理した後、脱気処理水を中間タンク5を経て2段に直列に設けた酸・アルカリ製造用電気透析装置10,20で構成される電気透析装置6で脱塩処理し、脱塩水を処理水タンク7に回収する。
本発明において処理対象となる被処理水は、スケール成分、有機物、無機イオン等を含む排水であって、例えば、核シェルター、災害避難所、宇宙ステーション又は月・火星ミッションの有人宇宙船、月面基地などの閉鎖系空間で発生した人体排出水(尿、汗など)や生活排水(空調関係の凝縮水、厨房排水、洗濯排水、風呂・シャワー排水、清掃排水、動植物などの飼育栽培により発生する排水など)などの排水が挙げられる。ここで、閉鎖系空間とは、内外での物質やエネルギーのやりとりが制限された空間をさし、特に、本発明が好適に適用される閉鎖系空間としては、シェルター、宇宙ステーションや宇宙船等の宇宙空間が挙げられ、特に宇宙空間の有人環境において本発明を有効に適用することができる。
本発明において処理対象となる被処理水の水質としては、例えば次のようなものが挙げられるが、以下の排水の混合排水であってもよい。
<人体から排出される汗や尿を主体とする排水>
pH:6〜8
TOC:2000〜15000mg/L
無機イオン:5000〜20000mg/L
Na:1000〜5000mg/L
NH4:100〜1500mg/L
K:500〜2500mg/L
Cl:2000〜10000mg/L
PO4:500〜2500mg/L
<生活排水>
pH:5〜13
TOC:1〜200mg/L
無機イオン:0.01〜200mg/L
Na:0.01〜10mg/L
NH4:0.01〜100mg/L
K:0.01〜10mg/L
Cl:0.01〜10mg/L
PO4:0.01〜10mg/L
本発明においては、上記のような排水をまず軟化装置1で処理して、排水から硬度成分を除去する。この軟化処理には、Na型の強酸性カチオン交換樹脂もしくは弱酸性カチオン交換樹脂を用いることができ、以下のイオン交換反応で硬度成分が除去される。
CaX、MgX + R−Na → R=Ca、R=Mg + NaX
ここで、Xは陰イオンを、Rはイオン交換樹脂交換基を示す。
軟化装置1からの軟化処理水は、高温高圧電解装置3の電解処理水と熱交換することにより予備加熱した後、高温高圧電解装置3に導入される。
電解処理水は、通常100〜374℃、好ましくは200〜250℃程度の高温であるため、このような高温の電解処理水をその高圧条件を維持して軟化処理水と熱交換して予備加熱することにより、電解処理水の熱エネルギーを回収し、加熱エネルギーを削減することができるため、高温高圧電解装置3を用いることによる消費電力の増大の問題を軽減することができる。
熱交換器2で予備加熱された軟化処理水は、次いで高温高圧電解装置3で電気分解することにより、排水中に含まれている有機物、尿素、アンモニアなどの被酸化性物質が分解除去される。排水中に含まれるこれらの被酸化性物質のうち具体的なTOC濃度は100〜20000mg/L程度であり、尿を対象とする場合は1000〜10000mg/L、通常5000〜7000mg/L程度である。
一端側に被処理水の入口、他端側に電解処理水の出口を設けた配管などの円筒形の容器(円筒状配管型容器)の内部に、陽極を、被処理水(軟化処理水)の流れと平行方向に、かつ容器と絶縁するように離隔して設置し、配管自体を陰極として、陽極、陰極間に直流電源を接続する。円筒形の容器は、角筒形等の他の形状の容器に比べて内圧に対して強度を保持しやすく、反応容器の肉厚を薄くすることができ、装置の小型化が可能となる。また、電極を被処理水の流れに対して平行に設置することで、発生した気泡を処理水とともに容器外へ押し出すことが可能となり、電極への気泡付着を抑制し、反応効率を高めることができる。
また、陰極は導電性ダイヤモンド電極からなるものであってもよく、導電性ダイヤモンド電極であれば、化学的安定性に優れ、電流効率が高く、電解効率の面で好ましい。この場合、ニオブ、タングステン、ステンレス、モリブデン、白金、イリジウム等の金属からなる基材に導電性ダイヤモンドの被覆層を形成したものとすることができる。
陽極としては、少なくともその表面が、ルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、錫若しくはこれらの酸化物又はフェライトであるものが好ましい。陽極そのものがこれらの物質で構成されていてもよいし、陽極の基材の表面がこれらの物質で被覆されていてもよい。
陽極を構成するルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、錫は、金属元素そのものであってもよいし、酸化物であってもよい。また、これらの金属の合金も好適に用いられる。合金としては、例えば、白金−イリジウム、ルテニウム−錫、ルテニウム−チタンなどが挙げられる。上記した金属等は、耐食性に優れており、陽極として用いる場合に優れた不溶性を示す。
なお、高温高圧電解装置における具体的な線速は0.1〜50m/hr、好ましくは1〜20m/hrである。低温低圧での電気分解の場合には、電極に気泡が溜まるため、この気泡を取り除くために線速を大きくする必要があったが、高温高圧下での電気分解では、このような気泡の発生が抑制されるため、線速を大きくする必要はなく、装置の小型化を図ることができる。
有機物→(酸化)→有機酸、CO2
尿素→NH4 ++CO3 2−
2NH3+3HClO→N2+3H2O+3HCl
上記の反応で生じた次亜塩素酸を利用して、たんぱく質等の有機物や尿素を分解し、後段の電気透析装置6で除去可能な有機酸、アンモニア等のイオンに変換することができる。このように、本発明によれば、高温高圧電解装置3において、後段の電気透析装置6では除去し得ない尿素を、高温高圧下の電気分解でアンモニアと炭酸に分解除去することができる。なお、上記反応式中、HClOは被処理水(排水)に含まれる塩素イオンの電解反応(2Cl−+H2O→HClO+HCl+2e−)により発生したものである。
前述の通り、高温高圧電解装置3では、水の電気分解に由来して水素ガスが、また、有機物の電気分解に由来して二酸化炭素等のガスが発生する。
電解処理水の脱気手段としては、脱気膜装置の他、遠心分離装置などを用いることもできるが、コンパクトで脱気効率に優れることから、脱気膜装置4を用いることが好ましい。
脱気膜装置4の脱気処理水は、中間タンク5に貯留される。中間タンク5を設けることにより、高温高圧電解装置3と後段の電気透析装置6を同時に運転する必要がなくなり、最大消費電力を抑えたり、異なる処理流速に対応したりすることができるようになる。
電解処理水の脱気処理水は、次いで電気透析装置6で脱塩処理する。
図1の水回収装置では、電気透析装置6として、酸・アルカリ製造用電気透析装置10,20を用い、上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置10で得られた脱塩水を下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置20で更に脱塩処理して処理水(生産水)を得る。
本発明で用いる電気透析装置は、酸・アルカリ製造用電気透析装置を3段以上直列に連結したものであってもよい。
以下、上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置10を「第1電気透析装置」と称し、下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置20を「第2電気透析装置」と称す。
配管41からの脱気処理水の一部は、配管45,46より第2電気透析装置20の酸室及びアルカリ室にそれぞれ通水された後、配管47,48よりそれぞれ酸タンク31,アルカリタンク32に送給される。酸タンク31からの酸溶液及びアルカリタンク32からのアルカリ溶液は、それぞれ配管49,50を経て第1電気透析装置10の酸室及びアルカリ室に通水された後、配管51,52を経て酸タンク31,アルカリタンク32にそれぞれ循環される。
なお、電気透析装置を一過式ではなく循環式の処理で行うと、処理の後半で、脱塩水と酸、アルカリ溶液との濃度差が大きくなり、脱塩効率が著しく低下するため、後掲の参考例2のように、処理水水質、消費電力量、水回収率のすべてが悪化する。
また、下流側の第2電気透析装置20の酸室及びアルカリ室には、上流側の第1電気透析装置10の酸室及びアルカリ室よりもイオン濃度の低い水が通水されればよく、被処理水(電解処理水の脱気処理水)の他、別途系外から純水を導入して通水してもよく、また、処理水又は純水で希釈した酸溶液やアルカリ溶液を通水してもよい。
なお、緩衝室を有する酸・アルカリ製造用電気透析装置は、陽極室、バイポーラ膜BPM及び緩衝室と、陰極室及びバイポーラ膜BPMとの間に、バイポーラ膜BPM、酸室、アニオン交換膜AM、脱塩室、カチオン交換膜CM、及びアルカリ室の繰り返し単位が、緩衝室側が酸室、陰極側がアルカリ室となるように設けられたものであり、その繰り返し単位数には特に制限はない。
この場合、被処理水は、下流側の緩衝室から上流側の緩衝室に通水することが、下流側の酸室の塩素イオンをより高度に除去して、下流側の脱塩室の脱塩水の水質を高める上で好ましい。
また、電気透析装置は、酸・アルカリ製造用電気透析装置を多段に設けたものに限らず、先願に記載されるように、脱塩用電気透析装置と酸・アルカリ製造用電気透析装置とを直列に設け、電解処理水の脱気処理水を脱塩用電気透析装置で処理してイオン類を除去した脱塩水よりなる生産水と、塩分濃縮液とを得、脱塩用電気透析装置で得られた塩分濃縮液を酸・アルカリ製造用電気透析装置で処理して脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得、酸・アルカリ製造用電気透析装置で得られた酸溶液とアルカリ溶液を、軟化装置の再生に利用し、酸・アルカリ製造用電気透析装置で得られた脱塩水の一部又は全部は、脱塩用電気透析装置の入口側に返送して電解処理水の脱気処理水と共にこの脱塩用電気透析装置で処理するようにしてもよい。
また、電気透析装置を脱塩用電気透析装置のみで構成することもできる。この場合、軟化装置は非再生型イオン交換装置とし、酸、アルカリによる再生を不要とすればよい。非再生型イオン交換装置の態様としては、イオン交換樹脂自体を容器から抜き出しで交換するタイプと、カラム自体を交換するタイプに大別される。脱塩用電気透析装置を設けた場合、図2に示す酸タンクやアルカリタンクは不要となり、濃縮室からの濃縮水の循環タンクが設けられる。
ただし、酸・アルカリ製造用電気透析装置であれば、酸・アルカリ製造用電気透析装置間にタンクが不要であるなどの利点を有することから、本発明の水回収装置においては、酸・アルカリ製造用電気透析装置を2段に設けた電気透析装置を用いることが好ましい。
表1に示す水質の原水1Lを、図1,2に示す水回収装置で処理した。
各装置の仕様は以下の通りである。
弱酸性カチオン交換樹脂塔
樹脂量:20ml
通水SV:10hr−1
温度:25℃
温度25℃の軟化処理水を温度250℃の電解処理水と熱交換して200℃に予備加熱した。(200℃から250℃への加熱は、ヒータを利用した。)
セル :一端側に被処理水の流入口、他端側に処理水の流出口を有する円筒状配管型反応容器(外径12.7mm、肉厚1mm、長さ350mm)×3機
陽極:反応容器の中心に、同軸状に設けられた酸化イリジウム電極
陰極:反応器内壁を兼ねる導電性チタン配管
バイポーラ電極:陽極に平行に配置された板状導電性ダイヤモンド電極
有効電極面積:0.65dm2/セル
流速 :1.7mL/min(線速として2.7m/hr)
投入電流 :1.3A
温度 :250℃
圧力 :7MPa
処理時間 :10hr
ポリポア社製「G420」
酸・アルカリ製造用電気透析装置:(株)アストム社製アシライザーS3(部分改良)
2機
有効膜面積:0.52dm2/室
電流 :第1電気透析装置=1.6A
第2電気透析装置=0.4A
電流密度 :第1電気透析装置=3.1A/dm2
第2電気透析装置=0.8A/dm2
流通方法 :2台直列、一過式
圧力 :0.1MPa
流量 :3.4mL/min
電極液 :0.25mol/LNa2SO4水溶液
各装置の処理結果は以下の通りであった。
スケール成分:
Mg<1mg/L
Ca<1mg/L
処理水TOC:<3mg/L
処理水気体量:2.7L/h
消費電力量:254Wh/L
水損失量 :1.5%
脱気処理水気体量:0L/h(脱気率:99.99%以上)
処理水電気伝導度:0.8mS/m
消費電力量 :210Wh/L
水損失量 :10%
実施例1において、電解装置の処理条件を以下の通りとすること以外は同様に処理を行うと、実施例1の高温電圧電解処理水の酸素濃度は約1%であるのに対して、常温常圧電解処理水の酸素濃度は26.7%となる。水素存在下での酸素爆発濃度範囲は5〜96%であることから、以下の常温常圧の電解条件は爆発の危険があるため、爆発防止のため、電気分解で発生したガスを窒素ガスで希釈した。このときの窒素ガス流量は3L/minとした。
<電解装置>
セル:一端側に被処理水の流入口、他端側に処理水の流出口を有する円筒状配管型反応容器(外径12.7mm、肉厚1mm、長さ350mm)×3機
陽極:反応容器の中心に、同軸状に設けられた酸化イリジウム電極
陰極:反応器内壁を兼ねる導電性チタン配管
バイポーラ電極:陽極に平行に配置された板状導電性ダイヤモンド電極
有効電極面積:0.65dm2/セル
流速 :10mL/min
投入電流 :1.3A
温度 :50℃
圧力 :大気圧
処理時間 :17hr
窒素ガス流量:3L/min
処理水TOC:<3mg/L
消費電力量:724Wh/L
水損失量 :21.1%
実施例1において、電解装置を一過式ではなく、循環処理とし、電解処理水の一部を電解装置の入口側に循環して処理するようにしたこと以外は同様に処理を行った。このときの電解装置の流速は10mL/min、処理時間は14hrとなる。その他の条件は実施例1と同じである。
その結果、電解装置の処理結果は以下の通りであり、消費電力量が若干増大した。
処理水TOC:<3mg/L
消費電力量:350Wh/L
水損失量 :1.5%
実施例1において、電気透析装置の第1電気透析装置及び第2電気透析装置を一過式ではなく、循環処理とし、第2電気透析装置の脱塩水の一部を第1電気透析装置で循環処理するようにしたこと以外は同様に処理を行った。このときの電気透析装置の流量は20mL/minとなる。その他の条件は実施例1と同じである。
その結果、電気透析装置の処理結果は以下の通りであり、処理水の水質も、消費電力も水損失量もすべて悪化した。
処理水電気伝導度:2.0mS/m
消費電力量 :350Whr/L
水損失量:17.3%
2 熱交換器
3 高温高圧電解装置
4,71,72 脱気膜装置
5 中間タンク
6 電気透析装置
7 処理水タンク
10,20 酸・アルカリ製造用電気透析装置
31 酸タンク
32 アルカリタンク
73,74 電極水タンク
100 第1の酸・アルカリ製造用電気透析装置
200 第2の酸・アルカリ製造用電気透析装置
AM アニオン交換膜
CM カチオン交換膜
BPM バイポーラ膜
Claims (12)
- 排水を処理して処理水を生産水として回収する装置において、
該排水中の硬度成分を除去する軟化装置と、
該軟化装置の軟化処理水を、100℃以上であって、該軟化処理水の臨界温度以下の温度において、該軟化処理水が液相を維持する圧力下、直流電流を供給して電気分解することにより、該軟化処理水中の被酸化性物質を分解する高温高圧電解装置と、
該高温高圧電解装置で得られた電解処理水を脱塩処理して脱塩水を得る電気透析装置とを備える水回収装置であって、
該高温高圧電解装置に流入する該軟化処理水と該電解処理水とを熱交換することによって、該軟化処理水を加熱する熱交換器を有することを特徴とする水回収装置。 - 排水を処理して処理水を生産水として回収する装置において、
該排水中の硬度成分を除去する軟化装置と、
該軟化装置の軟化処理水を、100℃以上であって、該軟化処理水の臨界温度以下の温度において、該軟化処理水が液相を維持する圧力下、直流電流を供給して電気分解することにより、該軟化処理水中の被酸化性物質を分解する高温高圧電解装置と、
該高温高圧電解装置で得られた電解処理水を脱塩処理して脱塩水を得る電気透析装置とを備える水回収装置であって、
該電解処理水を脱気処理する脱気手段を有し、該脱気手段の脱気処理水が前記電気透析装置で処理されることを特徴とする水回収装置。 - 排水を処理して処理水を生産水として回収する装置において、
該排水中の硬度成分を除去する軟化装置と、
該軟化装置の軟化処理水を、100℃以上であって、該軟化処理水の臨界温度以下の温度において、該軟化処理水が液相を維持する圧力下、直流電流を供給して電気分解することにより、該軟化処理水中の被酸化性物質を分解する高温高圧電解装置と、
該高温高圧電解装置で得られた電解処理水を脱塩処理して脱塩水を得る電気透析装置とを備える水回収装置であって、
該電気透析装置の電極室から排出される電極水を脱気処理する脱気手段を有し、該脱気手段の脱気処理水が該電気透析装置の電極室に循環されることを特徴とする水回収装置。 - 排水を処理して処理水を生産水として回収する装置において、
該排水中の硬度成分を除去する軟化装置と、
該軟化装置の軟化処理水を、100℃以上であって、該軟化処理水の臨界温度以下の温度において、該軟化処理水が液相を維持する圧力下、直流電流を供給して電気分解することにより、該軟化処理水中の被酸化性物質を分解する高温高圧電解装置と、
該高温高圧電解装置で得られた電解処理水を脱塩処理して脱塩水を得る電気透析装置とを備える水回収装置であって、
該電気透析装置は、該電解処理水を処理して該脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得る酸・アルカリ製造用電気透析装置を含み、該酸・アルカリ製造用電気透析装置は、上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩水が下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置で脱塩処理されるように、2段以上直列に連結されていることを特徴とする水回収装置。 - 被処理水を処理して脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得る酸・アルカリ製造用電気透析装置が、上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩水が下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置で脱塩処理されるように、2段以上直列に連結されてなる電気透析装置であって、
該下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の酸室とアルカリ室に、それぞれ該上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の酸室とアルカリ室に通水される水よりもイオン濃度の低い水が通水され、
該上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の酸室とアルカリ室に、それぞれ該下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置で得られた酸溶液とアルカリ溶液が通水されることを特徴とする電気透析装置。 - 請求項5において、前記上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置及び下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置で得られた酸溶液を貯留する酸貯槽と、前記上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置及び下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置で得られたアルカリ溶液を貯留するアルカリ貯槽とを有し、
該下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置で得られた酸溶液とアルカリ溶液は、それぞれ該酸貯槽とアルカリ貯槽を経て前記上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の酸室とアルカリ室に通水されることを特徴とする電気透析装置。 - 被処理水を処理して脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得る酸・アルカリ製造用電気透析装置が、上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩水が下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置で脱塩処理されるように、2段以上直列に連結されてなる電気透析装置であって、
該酸・アルカリ製造用電気透析装置は、双方の隣接する室とバイポーラ膜で仕切られた緩衝室を、陽極と陰極との間に有し、
前記被処理水は、下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の緩衝室に通水された後、上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の緩衝室に通水され、次いで該上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩室に通水された後、該下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩室に通水されて脱塩処理されることを特徴とする電気透析装置。 - 請求項5又は6において、該酸・アルカリ製造用電気透析装置は、双方の隣接する室とバイポーラ膜で仕切られた緩衝室を、陽極と陰極との間に有し、
前記被処理水は、下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の緩衝室に通水された後、上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の緩衝室に通水され、次いで該上流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩室に通水された後、該下流側の酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩室に通水されて脱塩処理されることを特徴とする電気透析装置。 - 請求項5ないし8のいずれか1項において、前記酸・アルカリ製造用電気透析装置は、該酸・アルカリ製造用電気透析装置の陽極室から排出される陽極水を脱気処理して脱気処理水を該陽極室に循環させる陽極水脱気循環手段と、陰極室から排出される陰極水を脱気処理して脱気処理水を該陰極室に循環させる陰極水脱気循環手段とを備えることを特徴とする電気透析装置。
- 請求項5ないし9のいずれか1項に記載の電気透析装置に被処理水を通水して脱塩処理する脱塩処理方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記電気透析装置が、請求項5ないし9のいずれか1項に記載された電気透析装置であることを特徴とする水回収装置。
- 請求項1ないし4及び請求項11のいずれか1項に記載の水回収装置で排水を処理して処理水を生産水として回収する水回収方法。
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