JP2016086576A - 永久磁石型発電機とそれを用いた電気錠 - Google Patents

永久磁石型発電機とそれを用いた電気錠 Download PDF

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Abstract

【課題】高出力化には磁石粉末の性能をできる限り引き出す構成の磁石とするとともに,フライホイ−ルの蓄積エネルギーを利活用し,実使用環境が,概ね80℃以下の高出力の永久磁石型発電機を得ること。【解決手段】フライホイールの内周面に20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を常温とする固有保磁力が500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子と,中心部の鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径外方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,突極分割鉄心に巻装された固定子コイルとから成る永久磁石型発電機であって,希土類−鉄系磁石粉末がR−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素である永久磁石型発電機。【選択図】図6

Description

本発明は,2次電池等にて蓄電する小型自立電源ユニットなどに用いる小型の永久磁石式発電機に関し,特に,固定子の突極分割鉄心に若干の隙間を有して対向する外転型回転子が,そのフライホイール内周面に環状エポキシ樹脂ボンド磁石を有する小型の永久磁石型発電機に関する。また本発明は,外転型回転子が環状エポキシ樹脂ボンド磁石を有する小型の永久磁石型発電機を備える電気錠に関する。
普通一般に発電機は,回転軸に取り付けられた磁石と,この磁石と離間して磁石からの磁束が印加される少なくとも1以上の磁心と,磁心に巻回されて磁心に印加された磁束により電圧が誘起されて電流が流れる導線とから構成されている。通常,磁石として2極以上に着磁された磁石が用いられる。ところで,着磁された磁石に関して,「固有保磁力(Intrinsic Coercivity)」なる概念がある。この保磁力は,抗磁力(こうじりょく)ともいわれ,磁化された磁性体(例えば本発明の環状エポキシ樹脂ボンド磁石)を磁化されていない状態に戻すために必要な反対向きの外部磁場の強さをいい,固有保磁力の単位には,例えばSI単位ではアンペア毎メートル[A/m]が用いられ,1[A/m]は4π×10−3[Oe]である。
このような磁化された磁性体は,固定子の突極分割鉄心に対して若干の間隙を有して環状に配設され,分銅等の外部動力によって回転軸が回転すると共に回転し,その結果,磁心に磁石からの磁束が印加され,電磁誘導の作用によって導線に交流電流が流れる。このようにして,発電機は,発電機に接続された外部負荷に対して連続的に電力を供給することができる。
近年,小型で高出力な永久磁石型発電機が求められている。このような永久磁石型発電機に用いられる磁石には,当然のこととして,高い固有保磁力(iHc)と最大エネルギー積((BH)max)を有するものが求められる。そこで最近では,小型で高出力な発電機の磁石として,Nd−Fe−B系磁石やSm−Co系磁石等が用いられている。また,これらの中でも,Nd−Fe−B系磁石は,原料単価がSm−Co系磁石に比べて安価であるため,近年になって多く使用されている。
また,高い保磁力(iHc)が得るために,「RFe14Bを主として含む主相と,主相よりRを多く含む粒界相とを備えた焼結体からなり,RはNdを必須元素として含む希土類元素であり,前記焼結体はGaを必須元素として含み,前記粒界相が,希土類元素の合計原子濃度の異なる第1粒界相と第2粒界相と第3粒界相とを含み,前記第3粒界相は,前記第1粒界相および前記第2粒界相より前記希土類元素の合計原子濃度が低く,かつ前記第1粒界相および前記第2粒界相よりFeの原子濃度が高いR−T−B系希土類永久磁石」を備えた発電機等が幾つか提案されている(特開2012−15168号公報,特開2012−15169号公報)。これらの発電機のR−T−B系希土類永久磁石は,R−T−B系合金中のDy濃度を高くすることなく,高い保磁力(iHc)が得られ,しかもDyを添加したことによる磁化(M)の低下を抑制でき,優れた磁気特性が得られるというものである。
周知のように,例えばNd−Fe−B系磁石及びSm−Co系磁石は,高い固有保磁力(iHc)を有するため,フェライト磁石よりも外部からの減磁界に対して強く,また,残留磁化(Ir)も高いという特徴を示す。しかし,これら高い保磁力(iHc)を有する磁石においては,着磁に必要な磁界が大きく,多極着磁が困難であるという課題がある。このような課題が存在するにも関わらず,小型で高出力な永久磁石型発電機に多極着磁した磁石を使用すると,低回転においても磁束の変化率が大きく,高効率となることが期待できる。
そこで,フェライト磁石は,残留磁化(Mr)が低く,磁気特性が低いので永久磁石型発電機が高特性にならないという問題点に鑑み,残留磁化(Mr)が高く,着磁特性に優れた磁石を備えた小型で高出力な発電機が早くから貴庁に提案されている。例えば特開平11−307326号公報には,「高い固有保磁力(iHc)と最大エネルギー積((BH)max)を有する発電機を得るために(発明の課題)」,「回転軸と,該回転軸に取り付けられた磁石と,該磁石と離間して該磁石からの磁束が印加される少なくとも1以上の磁心と,該磁心に巻回されて該磁心に印加された磁束により電圧が誘起されて電流が流れる導線とを具備してなり,前記磁石は,bcc構造のFe相,bcc構造のFeCo相,bcc構造のFe(FeCo)相のうちの少なくとも1以上の相と,RFe14B相(Rは希土類元素のうち1種以上の元素を表わす)を含む結晶質相を有する硬磁性材料からなる発電機」が記載されている。
そして,該発電機の前記硬磁性材料の残留磁化(Mr)が0.8T以上であり,磁界を1.5T印加したときの磁化(M1.5)と残留磁化(Mr)との比である角形比(Mr/M1.5)が0,6以上であり,保磁力(iHc)が1〜6kOeである。このように,発電機に希土類−鉄系磁石粉末を含む環状磁石或いは環状的磁石を用いることは周知事項である。
ところで,本発明の永久磁石型発電機の外転型(アウターロータ型)回転子の構造に関して,内転型(インナーロータ型)回転子の構造が,特開2013−240208号公報に記載されている。この公開公報に記載の発明の課題は,分割磁石により生じる問題を解消することができると共に,最適な保磁力分布(残留磁束密度分布)を有することができる磁石および回転機を提供することであり,その解決手段は,磁石31は,固定子11に隣接する表面34を有し,回転機1が発電機として機能する場合,反磁界は,回転子21の回転方向R側部分に加わり,これらの場合,反磁界は,磁石31の表面34の上記部分で極大値を示し,そこから磁石34の内部へ向かうに従い,減少していくというものである。この発明の前記磁石34の表面34の一部に拡散領域32を形成しているので,該拡散領域32では,DyやTb等の重希土類元素が表面34から内部に向けて拡散し,表面から内部に向かうに従って固有保磁力が減少していることから,固定子11の内側で回転する内転型(インナーロータ型)回転子の分割磁石は,前記発明の課題を達成できるというものである(符号は公報記載のもの)。
また本発明の永久磁石型発電機の外転型(アウターロータ型)回転子の構造に関して,特許文献1に記載の発明が存在する。すなわち,この特許文献1には本発明にかかるフライホイ−ルの内周面に所定の間隔をおいて複数の磁石を配置した回転子と,これら磁石に対向して,コイルを巻回した複数のコアを設けた固定子を備えた小型の永久磁石式発電機が開示されており,前記フライホイールの内周面に「Nd−Fe−B系PPS樹脂ボンド磁石」を射出成形法にて一体成形する技術が開示されている。
付言すると,特許文献1には,本発明にかかるフライホイ−ルの内周面に所定の間隔をおいて複数の磁石を配置した外転型回転子と,これら磁石に対向して,コイルを巻回した複数のコアを設けた固定子を備えた小型永久磁石式発電機が開示されており,フライホイールの内周面に磁気的に等方性のR−TM−B系磁石粉末をPPS樹脂に分散したボンド磁石材料を射出成形法にて一体成形する技術が開示されている。
しかしながら,ボンド磁石では,その成形加工法によって磁石粉末の充填限界が存在し,射出成形法でのR−TM−B系磁石粉末の充填限界は62vol.%とされている。これに対して,圧縮成形法の充填限界は80vol.%とされる。ボンド磁石の残留磁化Mrは磁石粉末の充填率に依存するため,圧縮成形法は射出成形法に比べて残留磁化Mrが概ね30%向上し,最大エネルギー積(BH)maxは特許文献2に記載の水準の2倍以上の80〜90kJ/mとなる。
前記特許文献2には,上述したNd−Fe−B系ボンド磁石の磁気特性に関して,永久磁石型発電機の環状Nd−Fe−B系ボンド磁石の残留磁化Mrが410〜490mT,保磁力iHcが573〜732kA/m,最大エネルギー積(BH)maxが28〜36kJ/mである旨が開示されている。
さらに,R−TM−B系磁石粉末を特定形状のボンド磁石とする手段としては,例えば特許文献3に開示されているようなエポキシ樹脂とともに圧縮した圧粉体とし,然る後,当該圧粉体に含まれるエポキシ樹脂を熱硬化せしめた最大エネルギー積(BH)maxの大きなボンド磁石を得るのが好ましく,このような環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子を備えた永久磁石型発電機,及び該永久磁石型発電機を備える電気錠の出現が期待される。
加えて,特許文献4には,小型永久磁石式発電機の永久磁石として,要求される特性との兼ね合いで交換スプリング磁石と呼ばれているSmFe17NxにαFeを含む磁石,NdFe14BにαFeを含む磁石やNdFe14BにFeBを含む磁石等が使用できるとしている。しかしながら,小型永久磁石型発電機の実使用環境での暴露温度を考慮していない。
本発明にかかるボンド磁石の不可逆熱減磁率に関しては固有保磁力iHc水準を特定する必要がある。付言すると,発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末の保磁力iHcと残留磁化Mrとはトレードオフの関係があり,本発明にかかる小型永久磁石型発電機の実使用環境での暴露温度を考慮した固有保磁力iHcの下限値を特定し,その範囲内で高い残留磁化Mrを特定することが必要となる。この点に関して,例えば,NdFe14B化学量論組成に近い合金組成Nd12Fe77Co(原子%)溶湯合金を片ロール法により急冷凝固した平均結晶粒径60nm以下のナノ結晶(nanocrystalline)薄帯は,ビッカース硬度Hv800〜1000であり,脆性破壊により直線的に破砕した磁気的に等方性のR−TM−B系(ただし,Rは例えば9原子%以上のNd,またはPrなどの軽希土類元素,TMはFe,またはFeの一部を20原子%以下でCo置換したような遷移金属元素)磁石粉末として知られる。
なお,この磁石粉末を,本発明にかかる永久磁石型発電機の外転型回転子磁石として利用するには,何らかの手段により当該磁石粉末を特定形状のバルク磁石とする技術が必要である。
以上のような背景技術の中で,実使用環境が,概ね80℃以下の高出力の永久磁石型発電機を得ることが期待されている。また,該永久磁石型発電機を備えた電気錠の出現が期待されている。
特開2013−240208号公報 特開2002−07997号公報 特開昭62−263612号公報 特開2001−095214号公報
背景技術から明らかなように,近年,より一層高性能なR−T−B系希土類永久磁石が求められ,R−T−B系希土類永久磁石の固有保磁力などの磁気特性をより一層向上させることが要求されている。R−T−B系希土類永久磁石の固有保磁力を向上させる方法としては,R−T−B系合金中のDy濃度を高くする方法が考えられる。しかし,R−T−B系合金中におけるDy濃度を高くするほど,焼結後に固有保磁力(iHc)の高い希土類永久磁石が得られるものの,R−T−B系合金中のDy濃度を高くすると,磁化(Br)が低下してしまう。このため,従来の技術では,R−T−B系希土類永久磁石の固有保磁力などの磁気特性を十分に高くすることは困難であった(特開2012−15169号公報)。このような当業者の認識の基で,単なる室温(例えば18度〜27度)において高い固有保磁力を有する希土類永久磁石を備える永久磁石型発電機を得るのではなく,「常温」(その範囲は「20℃±15℃(5〜35℃)」である)に於いて,高い固有保磁力を有する希土類永久磁石を備える永久磁石型発電機が要求されている。望ましくは,永久磁石型発電機は,建具用電気錠に用いることができるように「可能な限り小型化」するのが望ましい。
そこで,本願発明の主たる目的は,このような要求を満たす高出力な永久磁石型発電機を得ることである。具体的には,高出力化には磁石粉末の性能をできる限り引き出す構成の磁石とするとともに,フライホイ−ルの蓄積エネルギーを利活用し,実使用環境が,概ね80℃以下の高出力の永久磁石型発電機を得ることである。また本願発明の従たる目的は,固定子の突極分割鉄心,該突極分割鉄心に対する固定子コイルの導体占積率及び回転子の大きさ等の各バランスを考慮して,磁気特性のみならず,機械的特性(強度性や耐久性)にも優れた小型の永久磁石型発電機を得ることである。
さらに,本願発明の主たる目的に関連して,金属間化合物の磁性について説明を加えると,RFe14B金属間化合物のRとして有用な磁性(磁石性能)が得られる元素は,原子番号39のY(イットリウム),およびランタノイド系列のCe(セシウム),Pr(プラセオジム),Nd(ネオジム),Gd(ガドリニウム),Tb(テリビウム),Dy(デスプロシウム),Ho(ホルミウム)なので,本願発明の永久磁石型発電機は,希土類−鉄系磁石粉末が,R−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素としている。
ここで,さらに技術的観点から,発明が解決しようとする課題を詳しく説明する。本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末とエポキシ樹脂とのコンパウンドを環状キャビティに所定量充填し,前述した常温にて一軸の圧縮圧力を加えて環状圧粉体とする際に,当該環状圧粉体の局部圧力は加圧パンチからの距離の増加に伴って急激に減衰する。
上記のような環状圧粉体の局部圧力の減衰に関して,環状キャビティに充填したコンパウンドを圧縮したとき,一般に当該圧力は環状キャビティの壁面との摩擦によって失われる。そこで,環状圧粉体の半径方向の圧力(密度)の変化(分布)を無視できると仮定したとき,薄肉環状圧粉体の力の釣合(平衡)方程式は下記の式(1)で表すことができる。
[式1]
ただし,rは環状圧粉体の外半径,rは内半径,μはコンパウンドとキャビティ壁面間の摩擦係数,kは圧力変換定数(軸方向圧縮圧力,すなわち垂直圧力を水平方向の圧力に変換させる比例定数)である。圧縮圧力をP,加圧パンチからの距離Lにおける圧力をPとし,式(1)を積分すると,下記の式(2)となる。
[式2]
式(2)から,局部圧力Pの関数を求めると下記の式(3)が得られる。すなわち,式(3)はコンパウンド(環状圧粉体)中の局部圧力Pが加圧パンチPoからの距離Lに対して指数関数で減少することを示している。また,(r−r)を小さく(薄肉化),或いはLを大きく(長尺化)すると局部圧力分布,すなわち,局部密度分布が比例して大きくなることを示している。換言すれば,環状磁石の磁極面積を一定にして磁石を薄くすると肉厚(r−r)と距離Lの両者に対して圧力,すなわち密度が指数関数で減衰するという課題がある。
[式3]
ところで,本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石の残留磁化をMrとすれば,最大エネルギー積(BH)maxはMrに,ほぼ比例する。また,MrはMs・Vm・Rsにより概ね決まる。ただし,Msは磁石粉末の飽和磁化,Vmはボンド磁石中の磁石粉末の体積分率,Rsは異方性磁石粉末における配向度であり,ナノ結晶性に基づくレマネンスエンハンスメント効果のない等方性磁石粉末では0.5である。なお,磁石粉末の体積分率Vmは当該磁石の密度dに比例する。
一方,前述したように,特許文献4には小型永久磁石式発電機の永久磁石として,要求される特性との兼ね合いで交換スプリング磁石と呼ばれているSmFe17NxにαFeを含む磁石,NdFe14BにαFeを含む磁石やNdFe14BにFeBを含む磁石等が使用できるとしている。しかしながら,小型永久磁石型発電機の実使用環境での暴露温度を考慮していない。本発明にかかるボンド磁石の不可逆熱減磁率に関しては固有保磁力iHc水準を特定する必要がある.また,本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末の固有保磁力iHcと残留磁化Mrとはトレードオフの関係があり,本発明にかかる小型永久磁石型発電機の実使用環境での暴露温度を考慮した固有保磁力iHcの下限値を特定し,その範囲内で高い残留磁化Mrを特定することが必要となる。
さらに,前述したように,特許文献1にはフライホイ−ルの内周面に所定の間隔をおいて複数の磁石を配置した外転型回転子と,これら磁石に対向して,コイルを巻回した複数のコアを設けた固定子を備えた小型永久磁石型発電機が開示されているものの,当該フライホイ−ルの蓄積エネルギーなどの発電性能への利活用や効果に関しては何ら開示がない。本発明は,発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石の実使用環境での熱安定性を確保したうえで,磁石粉末の残留磁化Mrを特定し,かつ環状形状を数値限定することで均一で高い磁気特性を備えた磁石とし.さらに当該磁石形状とフライホイ−ル形状とを関連づけることにより,当該フライホイ−ルの発電性能への一定の効果を引き出すものである。
本発明の永久磁石型発電機は,フライホイールの内周面に20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を常温とする固有保磁力iHcが500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子と,中心部の鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径外方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイルとから成る永久磁石型発電機であって,前記希土類−鉄系磁石粉末がR−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素であることを特徴とする(請求項1)。
また本発明の永久磁石型発電機は,フライホイールの内周面に20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を常温とする固有保磁力iHcが500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子と,中心部の鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径外方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイルとから成る永久磁石型発電機であって,前記希土類−鉄系磁石粉末がR−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素であり,又は前記Feの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系のいずれかを含むことを特徴とする(請求項2)。
また本発明の永久磁石型発電機は,フライホイールの内周面に20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を常温とする固有保磁力iHcが500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子と,中心部の鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径外方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイルとから成る永久磁石型発電機であって,前記希土類−鉄系磁石粉末がR−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素であり,又は前記Feの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系のいずれかを含み,更にはSi,Al,Nb,Zr,Hf,Mo,Ga,P,Cの1種又は2種以上の組み合わせを用いたR−Fe−B−M系,R−Fe(Co)−B−M系および不可避不純物からなる合金組成を有するRFe14B,RFe(Co)14Bナノ結晶組織(nanocrystalline),又はαFeとRFe14B,RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(nanocomposite)をもつかのいずれかであることを特徴とする(請求項3)。
さらに,本発明の電気錠は,永久磁石型発電機は,鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイルと,前記固定子の突極分割鉄心に対して若干の間隙を有して環状に配設され,かつ,フライホイールの内周面に希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した回転子とから成り,前記永久磁石型発電機を錠箱内に配備し,操作手段の操作力により前記回転子の回転軸が回転すると,前記固定子の突極分割鉄心に前記回転子の環状エポキシ樹脂ボンド磁石からの磁束が印加され,電磁誘導の作用によって前記固定子コイルに電流が流れ,該電流を蓄電手段が蓄電し,蓄電された電気は,少なくとも制御部の電源として利用されることを特徴とする(請求項10)。
(a)独立請求項に記載の各発明は,フライホイールの内周面に希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した回転子を備え,前記希土類−鉄系磁石粉末がR−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素なので,「常温」に於いて,高い固有保磁力を有する希土類永久磁石を備える永久磁石型発電機を得ることができる。
(b)従属項に記載の各発明は,固定子の突極分割鉄心,該突極分割鉄心に対する固定子コイルの導体占積率及び回転子の大きさ等の各バランスを考慮して,磁気特性のみならず,機械的特性(強度性や耐久性)にも優れた小型の永久磁石型発電機を得ることができる。また,後述するように加減速による発電量を10%以上高めることができる。さらに,2次電池等にて蓄電する高出力の小型自立電源ユニット(例えば電気錠)の構成が容易となる。
(c)請求項10に記載の発明は,電気配線工事が不要であると共に,小型で高い出力が得られる永久磁石型発電機を備えた電気錠を得ることができる。
(d)本発明の構成・効果について,さらに付言すると,次のとおりである。すなわち,本発明は,フライホイールの内周面に常温の固有保磁力が500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子,ならびに突極分割鉄心(集中巻される分割鉄心)と鉄心継鉄(ヨーク)とを一体的に剛体化した固定子から成る,望ましくは小型の永久磁石型発電機である。また,当該発電機の実使用環境は概ね80℃以下である。
また,R−Fe−B系の保磁力を高めるため,本発明にかかる常温の固有保磁力iHcが500 kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末としては,R−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素,又はFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系を含み,更にはSi,Al,Nb,Zr,Hf,Mo,Ga,P,Cの1種または2種以上の組み合わせを用いたR−Fe−B−M系,R−Fe(Co)−B−M系および不可避不純物からなる合金組成を有するRFe14B,RFe(Co)14Bナノ結晶組織(nanocrystalline),又はαFeとRFe14B,RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(nanocomposite)のいずれかをもち,かつ磁気的に等方性で常温の残留磁化Mrが0.9T以上の磁石粉末を挙げることができる。
また,本発明にかかる常温の固有保磁力iHcが500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末としてはSm−Fe−N系,さらにはHf,Zr,Si,Nb,Ti,Ga,Al,TaおよびCの1種または2種以上の組合せを用いたSm−Fe−M−N系および不可避不純物からなる合金組成を有するSmFe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline),又はαFeとSmFe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)をもち,かつ磁気的に等方性で常温の残留磁化Mrが0.9T以上の磁石粉末を挙げることができる。
また,以上のような本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末を用いた環状エポキシ樹脂ボンド磁石の外半径をr,内半径をr,高さをhとしたとき,h/(r−r)を10以下とするものである。h/(r−r)が10を超えると密度の不均化に伴う磁気特性の低下や,例えば,特許文献1との優位性が減少するので好ましくない。
また,本発明にかかるフライホイールの外半径をRo,内半径をRi,高さをTとしたとき,
(Ro−Ri)/(r1−r2)≧0.9
,T≧hとする。これにより,蓄積エネルギー放出により,例えば加減速による発電量を10%以上高めることができる。
さらに,本発明にかかる集中巻分割鉄心では並列Y結線とし,かつスロットの導体占積率σが48%以上,最大出力が5W以上,最大効率が80%以上である外径40mm以下の増速機を備えた小型永久磁石型発電機とする。これにより,2次電池等にて蓄電する高出力小型自立電源ユニット(例えば電気錠或いは電気錠ユニット)を構成する要素とすることができる。
図1乃至図6は本発明の第1実施形態を示す各説明図(永久磁石型発電機X),図7乃至図9は本発明の第2実施形態を示す各説明図(電気錠)。
環状圧粉体形成過程(緻密化過渡)における断面モデル。 フライホイールの斜視図。 L/(r−r)と磁石の密度の関係を示す特性図。 永久磁石式発電機の構成を示す要部断面図。 スロット占積率とエネルギー変換効率を示す特性図。 図6(a)と図6(b)は、瞬時の機械エネルギーによる発電特性図。 電気錠(電気錠ユニット)の全体構成を示す概略説明図。 電気錠の配線状態を示す概略説明図。 電気錠を構成する増速手段の概略説明図。
図1乃至図6は,本発明の第1実施形態である永久磁石型発電機に関する各説明図である。以下,各図を参照にして永久磁石型発電機Xの構成を説明する。
先ず,本発明にかかる常温の固有保磁力iHcが500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末について説明する。本発明にかかる磁石粉末としては,R−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素,またFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系を含み,更にはSi,Al,Nb,Zr,Hf,Mo,Ga,P,Cの1種または2種以上の組み合わせを用いたR−Fe−B−M系,R−Fe(Co)−B−M系および不可避不純物からなる合金組成を有するRFe14B,RFe(Co)14Bナノ結晶組織,またはαFeとRFe14B,RFe(Co)14Bとのナノ複合組織をもつ磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固粉末を挙げることができる。より好ましくはPrFe14B結晶粒を20〜30nm,αFe結晶粒を約15 nmに微細化し,残留磁化Mrが1.17T,固有保磁力iHcが640 kA/m,最大エネルギー積(BH)maxが180.7kJ/mのαFe/R−TM−B系急冷凝固粉末などがある。
また,本発明にかかる常温の固有保磁力iHcが500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末としては,さらに,Sm−Fe−N系,さらにはHf,Zr,Si,Nb,Ti,Ga,Al,TaおよびCの1種または2種以上の組合せを用いたSm−Fe−M−N系および不可避不純物からなる合金組成を有するSmFe17Nx (x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline),又はαFeとSmFe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)をもつ磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固粉末を挙げることができる。
特に好適な磁石成分としては合金組成(Sm0.7Zr0.3)(Fe0.7 Co0.20.1αを急冷凝固したのち,窒素浸入型金属間化合物としたSmFe17Nx結晶粒,ならびにαFe結晶粒を10〜30nmとした残留磁化Mrが1.07 T,固有保磁力iHcが640kA/m,最大エネルギー積(BH)maxが180kJ/mのαFe/R−TM−N系急冷凝固粉末などがある。
次に,本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石について図面を用いて説明する。図1は環状圧粉体形成過程(緻密化過渡)における断面モデルを示す。
図1において,1は本発明にかかるコンパウンド,2は環状成形型キャビティの内周面に位置するセンターコア,3はキャビティ外周面に位置するダイ,4は加圧パンチ,13はコンパウンド1が接するダイ3のキャビティ内壁である。また,rは本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石の外半径,rは内半径,μは本発明にかかるコンパウンド1を,加圧パンチ4を介して一軸の圧力Poで圧縮したときのキャビティ壁面13との間に生じる摩擦係数,kは軸方向から径方向への圧力変換定数,doは軸方向端部の密度,Lは軸方向端部(加圧パンチ)からの距離である。ここで,環状圧粉体の密度をdとしたとき,圧力Pと密度dとがd∝Pなる関係にあると仮定すれば,距離Lと局部密度doとの関係は下記の式(4)で表すことができる。
[式4]
ここで,本発明では、L/(r1−r2)を10以下とする。つまり,本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石は圧力軸方向の密度が均質化することを意味している。
つぎに,本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石とともに外転型回転子を構成するフライホイールの蓄積エネルギーEについて説明する.
回転体の力学におけるエネルギー基本式は下記の式(5)である。
[式5]
E=Jω/2=J(2πn)/2=MR(2πn)/2

ただし,Eはエネルギー,Jは慣性モーメント,Mは半径R上にある質量,Rは回転半径,ωは角速度,nは回転数である.すなわち,回転体のエネルギーEは回転速数nの2乗に比例,慣性モーメントJに比例,質量Mの1乗と半径Rの2乗に比例する。
なお,(5)式は回転の中心(軸)から半径Rにある質量Mの質点(質量だけがあって大きさのない点)が回転数nで回っている回転体が持つエネルギーである。実際のフライホイールに適用するために図2のリングモデルに式(5)を変換する。
図2は本発明にかかるフライホイールの斜視図である。図2において,内半径Ri,外半径Ro,厚さTとすれば,J=(1/2)πρT(Ro−Ri)(Ro+Ri)となる。ここで,M= πρT(Ro−Ri)なので,J=M{(Ro+Ri)/2}である。さらに,実効半径をRrとすれば,RrはRoとRiのrms(root mean square value)なので,J=MRrとなる。そこで,内外径の比Ri/RoをKr,厚さTと外半径Roの比をKtとすると,Ri=KrRo,およびT=KtRoとなる。したがって,質量M,実効半径Rrは,それぞれ下記の式(6),(7)となる。
[式6]
M=πρT(Ro−Ri)=πρKt Ro{Ro−(KrRo))}=πρKtRo(1−Kr

[式7]
したがって,慣性モーメントJは下記の式(8)で示される。

[式8]
J=M Rr=πρKt Ro(1−Kr)Ro{(1+Kr)/2}=(1/2)πρktRo(1−Kr

すなわち,慣性モーメントJ(kgm)は外半径Roの5乗,厚さTの4乗に比例して増大することになる。また,フライホイールのもつエネルギーEは,式(5)と式(8)から,外半径Roの5乗に比例し,回転数nの2乗に比例する。
本発明にかかるフライホイールの外半径をRo,内半径をRi,高さをT,環状エポキシ樹脂ボンド磁石の外半径をr,内半径をrとしたとき,(Ro−Ri)/(r1−r2)≧0.9,T≧hとすることで,蓄積エネルギー放出により,例えば加減速による発電量を10%以上高めることができる。
さらに,本発明にかかる突極分割鉄心(集中巻される分割鉄心)と鉄心継鉄(ヨーク)は並列Y結線とする。並列Y結線が好ましい理由は,下記の表1のように,巻線の導体径を直列Y結線1に対して0.7,巻線の巻数比を直列Y結線1に対して2.0とすることができ,これにより,集中巻の突極分割鉄心(スロット)の導体占積率σを48%以上とともに鎖交磁束量を高めることができるからである。
並列Y結線直列Y結線巻線の導体径比0.71巻線の巻数比2.01
また,必要に応じて適宜増速した瞬時加速のみの機械入力においても最大出力が5W以上,最大効率80%以上の高出力,高効率発電が可能な外径40mm以下の小型永久磁石型発電機を提供することができる.これにより,たとえば瞬時の機械エネルギーを2次電池等に蓄電する小型自立電源ユニットなどとして提供することができる。
この実施例の欄では,本発明を実施例により,さらに詳しく説明する。ただし,本発明はこれに限定されるものではない。
[コンパウンド]
エポキシ樹脂としては常温で固体のジグリシジルエーテルビスフェノールA型エポキシオリゴマー(数平均分子量Mn1040),およびメチルエチルケトンオキシムにてイソシアナート基をブロックした4−4’ジフェニルメタンジイソシアナート再生体とした。また,その配合はエポキシオリゴマーの分子鎖内水酸基と再生体のイソシアナート基との当量比で1とした。一方の磁石粉末は,粒子径150μm以下,残留磁化Mr0.95 T,固有保磁力iHc550kA/mのαFe/PrFe14Bナノ複合組織磁石粉末を使用した。
上記磁石粉末を97.5wt.%,エポキシ樹脂を2.5 wt.%となるよう秤量し,先ず,エポキシ樹脂を濃度50wt.%のメチルエチルケトン溶液とした。次いで,磁石粉末と常温で湿式混合したのち,当該混合物を90℃に加熱して溶媒を除去し,然る後,常温で固体の塊状混合物とした。続いて,この塊状混合物を破砕し,粒子径35〜53μmに分級し,潤滑剤として0.02wt.%の脂肪酸金属石鹸(ステアリン酸カルシウム)を添加し,平均粒子径Dp50=190μmのコンパウンドとした。
[ボンド磁石]
先ず,本発明にかかる直径15mm,高さ15mm,密度6.02Mg/mの円柱ボンド磁石の20℃における残留磁化Mrは0.74T,固有保磁力iHcは550MA/m,最大エネルギー積(BH)maxは92kJ/mであった。ただし,測定はDCB−Hトレーサ(測定磁界Hm±2.4MA/m)による。
図3は図1に示した環状圧粉体形成過程(緻密化過渡)における断面モデルにおいて,外半径rを16.0mm,内半径rを14.3mmとし,加圧パンチからの距離(長さ)をLとしたとき,L/(r−r)と本発明にかかる環状エポキシ樹脂ボンド磁石の密度の関係を示す特性図である。図3に示したL/(r−r)と密度dの関係を式(4),すなわちd=do・exp[−(μ・k)/(L/(r−r)]にフィッティングさせるとd=6.06 exp[−0.0043 L/(r−r)]となり,その相関係数は0.9878であった.すなわち,L/(r−r)による密度dは指数関数で減少する。また,その(μ・k)値は0.0043であった。ここで,(μ・k)値は0から1の範囲であり,0.0043の水準はキャビティ壁面との脂肪酸金属石鹸による潤滑効果は発現していると見なせる。
以上のように,本発明にかかるL/(r−r)を10以下とすると密度は5.8 Mg/m以上となる.この水準は特許文献1に開示された射出成形法によるPPS樹脂をバインダーとしたボンド磁石の密度上限を4.9 Mg/mとすれば,本発明にかかるボンド磁石は残留磁化Mr≧120%,最大エネルギー積(BH)max≧140%となり,実使用環境が概ね80℃以下のとき,不可逆熱減磁を抑制しつつ,本発明にかかる永久磁石型発電機の高出力化が図れる。
[永久磁石式発電機X]
図4は本発明にかかる小型永久磁石式発電機Xの構成を示す要部断面図である。ただし,図中1は突極分割鉄心(集中巻分割鉄心)と分割鉄心継鉄(ヨーク)とを一体剛体化した固定子,11aは突極分割鉄心,11bは分割鉄心継鉄(ヨーク),11cは集中巻分割鉄心(固定子コイル),2は外転型永久磁石回転子,21は希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石,22はフライホイールである。
また,下記の表2は図4に対応する本発明にかかる小型永久磁石式発電機の主要諸元を示す.また,図5は巻数変更に伴うスロット占積率σと電流振幅0.72Aで駆動したときの1200 rpmにおけるエネルギー変換効率を示す特性図である。図から明らかなように,突極分割鉄心(スロット)11aに対する巻線(固定子コイル)11cの占積率σを48%以上とすることで,高位安定なエネルギー変換効率を確保できる。なお、T字形状の突極分割鉄心11aのフランジ状外端面と環状エポキシ樹脂ボンド磁石22の前記フランジ状外端面と対向する内周面との若干の間隙(ギャップ)は、例えば0.2mmである。
図6(a)(b)は瞬時の機械エネルギーとして,平均ハンドル操作力2Nm(初期1.2Nm,最大2.8Nm)ハンドル操作角35度,増速比49倍で表2に示す小型永久磁石型発電機を駆動したときの回転数と出力の関係を示す特性図である.図において,領域▲1▼は機械エネルギーにより,外転型回転子が加速されることで発電する領域であり,領域▲2▼はフライホイールの蓄積エネルギーで発電する領域を意味している.図6(a)は(Ro−Ri)=1.5,すなわち(r−r)の0.9倍とし,T=hとした本発明にかかるフライホイールを備えた特性図であり,図6(b)は(Ro−Ri)=0.5,すなわちSPCCを絞り加工したブラケットを磁石のバックヨークとして配置した構成のもので(r−r)の0.29倍である。
図6(a)(b)から明らかなように,フライホイールの外半径をRo,内半径をRi,高さをT,環状エポキシ樹脂ボンド磁石の外半径をr,内半径をrとしたとき,(Ro−Ri)/(r1−r2)≧0.9,T≧hとすることで,フライホイールの蓄積エネルギーにより,瞬時加減速による発電量を10%以上高めることができる。
次に,図7乃至図9を参照にして,上記の永久磁石式発電機Xを備える電気錠Yについて説明する。電気錠Yに用いる永久磁石式発電機Xは,小型であるのが望ましい。そこで,集中巻分割鉄心では並列Y結線とし,かつ突極分割鉄心(スロット)11aに対する巻線(固定子コイル)11cの導体占積率σが48%以上,最大出力が5W以上,最大効率が80%以上である外径40mm以下の小型の永久磁石型発電機Xを用いている。これにより,例えば2次電池等にて蓄電する高出力の小型自立電源ユニットの構成が容易となる。
しかして,第2実施形態としての電気錠Yの主要部は,小型の永久磁石型発電機X,該小型の永久磁石型発電機で発生した電気を蓄電する蓄電手段(例えば2次電池)15,蓄電手段に蓄積された電気を電源とするための単数又は複数の電源線16,扉に取付け座を介して設けられた操作部材としてのハンドル31,望ましくは該ハンドルの軸32と前記小型の永久磁石型発電機Xを構成する回転子2の中心部に設けられた回転軸33との間に配設され,前記回転軸33の速度を増速する増速手段34,扉35に取付けられた錠箱36に設けられると共にデッドボルト37aを電気的に出没させることができる電気錠本体37,電気錠用の制御部(メモリー部も含む)38,前記制御部38と有線又は無線で電気的に接続するタグ用認証手段39を備え,前記小型の永久磁石型発電機Xは,鉄心継鉄11bと該鉄心継鉄から半径方向に延在する複数の突極分割鉄心11aとを有する固定子1と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイル11cと,前記固定子1の突極分割鉄心11aに対して若干の間隙を有して環状に配設され,かつ,フライホイール22の内周面に希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石21を配置した回転子2とから成り,前記小型の永久磁石型発電機Xを錠箱36内に配備し,操作手段31の操作力により,例えば増速手段34を介して回転軸33が回転すると,該回転軸33の回転力により前記回転子2が回転して前記固定子1の突極分割鉄心11aに前記回転子の環状エポキシ樹脂ボンド磁石21からの磁束が印加され,電磁誘導の作用によって前記固定子コイル11cに電流が流れ,該電流を蓄電手段15が蓄電し,蓄電された電気は,少なくとも電気錠本体用の制御部38の電源として利用される。この第2実施形態では,複数の電源線16が,電源15と電気錠本体用の制御部38等に接続している。
なお、実施形態では、蓄電手段(例えば2次電池)15に蓄電された電気(電源)は、電気錠本体用の制御部38と、タグ用認証手段39と、望ましくは電気錠本体37の図示しない駆動源(アクチュエータ)に利用されている。
図9は電気錠を構成する増速手段の概略説明図であり,増速手段34は,例えばハンドルの軸32に固定的に外嵌合する大きいプーリ34aと,回転子2の中心部に固定された回転軸33に固定的に外嵌合する小さいプーリ34bと,前記大きいプーリと前記小さいプーリに架設された伝動ベルト34cとから成る。
なお,電気錠Yの構成にタグ用認証手段39を含む場合には,該タグ用認証手段39は扉の壁面又は扉の近傍の壁,床,天井等の適宜場所に配設される。
また、ステータについて、実施形態では、幅広な用途(ブラシレスDCモータ、ステッピングモータ、交流モータ、直流モータ)を考慮し、好ましくは突極分割鉄心は集中巻の並列Y結線であり,かつ該集中巻の突極分割鉄心の導体占積率σが48%以上のものを使用している。さらに、電気錠を構成する増速手段は、ラック或いは初期歯車、該初期歯車に噛合する中間歯車、該中間歯車に噛合する最終歯車等の歯車群で構成しても良い。
本発明は,永久磁石型発電機とそれを用いた電気錠に利用可能である。
X…永久磁石型発電機,
1…固定子,
11a…突極分割鉄心,
11b…鉄心継鉄,
11c…固定子コイル,
2…回転子,
15…蓄電手段(例えば2次電池),
16…電源線,
21…環状エポキシ樹脂ボンド磁石,
22…フライホイール,
31…ハンドル,
32…ハンドルの軸,
33…回転子の回転軸,
34…増速手段,
35…扉,36…錠箱,
37…電気錠本体,37a…デッドボルト,
38…電気錠用の制御部,
39…タグ用認証手段。

Claims (11)

  1. フライホイールの内周面に20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を常温とする固有保磁力が500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子と,中心部の鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径外方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイルとから成る永久磁石型発電機であって,前記希土類−鉄系磁石粉末がR−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素である永久磁石型発電機。
  2. フライホイールの内周面に20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を常温とする固有保磁力が500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子と,中心部の鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径外方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイルとから成る永久磁石型発電機であって,前記希土類−鉄系磁石粉末がR−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素であり,又は前記Feの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系のいずれかを含むことを特徴とする永久磁石型発電機。
  3. フライホイールの内周面に20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を常温とする固有保磁力が500kA/m以上の希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した外転型回転子と,中心部の鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径外方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイルとから成る永久磁石型発電機であって,前記希土類−鉄系磁石粉末がR−Fe−B系,但しRはYを含むCe,Pr,Nd,Gd,Tb,Dy,Ho等の希土類元素であり,又は前記Feの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系のいずれかを含み,更にはSi,Al,Nb,Zr,Hf,Mo,Ga,P,Cの1種又は2種以上の組み合わせを用いたR−Fe−B−M系,R−Fe(Co)−B−M系および不可避不純物からなる合金組成を有するRFe14B,RFe(Co)14Bナノ結晶組織(nanocrystalline),又はαFeとRFe14B,RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(nanocomposite)をもつかのいずれかであることを特徴とする永久磁石型発電機。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに於いて,外転型回転子の環状エポキシ樹脂ボンド磁石に含まれる磁気的に等方性の磁石粉末の常温の残留磁化Mrが0.9T以上であることを特徴とする永久磁石型発電機。
  5. 請求項1乃至請求項3のいずれかに於いて,希土類−鉄系磁石粉末がSm−Fe−N系,さらにはHf,Zr,Si,Nb,Ti,Ga,Al,TaおよびCの1種または2種以上の組合せを用いたSm−Fe−M−N系および不可避不純物からなる合金組成を有するSmFe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline),又はαFeとSmFe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)のいずれかであり,かつ,外転型回転子の環状エポキシ樹脂ボンド磁石に含まれる磁気的に等方性の磁石粉末の常温の残留磁化Mrが0.9T以上であることを特徴とする永久磁石型発電機。
  6. 請求項1乃至請求項3のいずれかに於いて,環状エポキシ樹脂ボンド磁石の外半径をr,内半径をr,高さをhとしたとき,h/(r−r)が10以下であることを特徴とする永久磁石型発電機。
  7. 請求項1乃至請求項3のいずれかに於いて,フライホイールの外半径をRo,内半径をRi,高さをTとしたとき,(Ro−Ri)/(r1−r2)≧0.9,T≧hであることを特徴とする永久磁石型発電機。
  8. 請求項1乃至請求項3のいずれかに於いて,突極分割鉄心は集中巻の並列Y結線であり,かつ該集中巻の突極分割鉄心の導体占積率σが48%以上であることを特徴とする永久磁石型発電機。
  9. 請求項1乃至請求項3のいずれかに於いて,最大出力が5W以上,最大効率が80%以上である,フライホイール外径が40mm以下であることを特徴とする永久磁石型発電機。
  10. 永久磁石型発電機は,鉄心継鉄と該鉄心継鉄から半径方向に延在する複数の突極分割鉄心とを有する固定子と,前記突極分割鉄心に巻装された固定子コイルと,前記固定子の突極分割鉄心に対して若干の間隙を有して環状に配設され,かつ,フライホイールの内周面に希土類−鉄系磁石粉末を含む環状エポキシ樹脂ボンド磁石を配置した回転子とから成り,前記永久磁石型発電機を錠箱内に配備し,操作手段の操作力により前記回転子の回転軸が回転すると,前記固定子の突極分割鉄心に前記回転子の環状エポキシ樹脂ボンド磁石からの磁束が印加され,電磁誘導の作用によって前記固定子コイルに電流が流れ,該電流を蓄電手段が蓄電し,蓄電された電気は,少なくとも制御部の電源として利用される電気錠。
  11. 請求項10に於いて,磁石型発電機の外径が40mm以下であり,また突極分割鉄心は集中巻の並列Y結線であり,かつ該集中巻の突極分割鉄心の導体占積率σが48%以上,最大出力が5W以上,最大効率が80%以上であることを特徴とする電気錠。
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