JP2016084710A - ターボチャージャ - Google Patents

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Tomoyuki Isotani
知之 磯谷
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Abstract

【課題】コンプレッサインペラの破損や腐食を防止することができるとともに、過給圧の抑制を不要とすることができるターボチャージャを提供すること。【解決手段】ターボチャージャ1はコンプレッサハウジング2とタービンハウジング5と軸受ハウジング3とを備える。コンプレッサハウジング2はディフューザ面222を有し、軸受ハウジング3はディフューザ面222に対向するディフューザ対向面311を有する。タービンハウジング5は排ガス流路17を内部に備え、排ガス流路17はタービンインペラ16から吐出された排ガスを外部に吐出する排ガス吐出部173を有する。ディフューザ面222及びディフューザ対向面311の少なくとも一方には、ディフューザ通路15側の表面に開口する微細な噴出孔45が多数形成されており、噴出孔45を介して排ガス吐出部173よりも下流側を流通する排ガスを噴出させる噴出部4が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、コンプレッサハウジングと軸受ハウジングとを備えたターボチャージャに関する。
自動車等に搭載されるターボチャージャは、コンプレッサにおいて吸入した空気を圧縮して内燃機関へ向かって吐出するよう構成されている(特許文献1参照)。
すなわち、ターボチャージャは、コンプレッサインペラが配された空気流路を内側に有するコンプレッサハウジングと、タービンインペラが配された排ガス流路を内側に有するタービンハウジングと、インペラを一端に固定したロータシャフトを回転自在に支持する軸受ハウジングとを備えている。空気流路は、インペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、インペラから吐出された圧縮空気が流れ込む吐出スクロール室とを有する。
また、コンプレッサハウジングは、インペラに対向するシュラウド面と、該シュラウド面から吐出スクロール室に向かって延びるディフューザ面とを有する。軸受ハウジングは、コンプレッサハウジングのディフューザ面との間にディフューザ通路を形成する。
そして、ターボチャージャは、インペラから吐出された圧縮空気がディフューザ通路を通過して吐出スクロール室に流れ込み、さらに吐出スクロール室から内燃機関側へ吐出されるよう構成されている。
特開2002−180841号公報
内燃機関には、排ガス中の窒素酸化物(NOx)の低減や燃焼効率の向上等を図るために、ターボチャージャの下流における排ガスの一部をターボチャージャのコンプレッサ上流に還流するLPL−EGR(Low Pressure Loop - Exhaust Gas Recirculation)装置を備えたものがある。しかしながら、コンプレッサ上流に還流される排ガス(EGRガス)には凝縮水や燃料の燃焼に起因する粒子状物質などが含まれている。そのため、EGRガスをターボチャージャのコンプレッサ上流に還流すると、これらがターボチャージャのコンプレッサインペラに接触して、コンプレッサインペラの破損や腐食を招くおそれがある。
また、内燃機関には、クランクケース内に発生したブローバイガス(主に未燃焼ガス)をターボチャージャのコンプレッサ上流に還流させ、クランクケース内やヘッドカバー内を浄化させるブローバイガス還流装置(以下、PCVという)を備えたものがある。この場合、ブローバイガスに含まれるオイル(オイルミスト)がPCVからターボチャージャにおけるコンプレッサの上流側の吸気通路に流出することがある。
このとき、コンプレッサの出口空気圧力が高いとその出口空気温度も高くなるため、PCVから流出したオイルが蒸発を起因とする濃縮・高粘度化によってコンプレッサハウジングのディフューザ面やそれに対向する軸受ハウジングの表面等にデポジットとなって堆積することがある。そして、堆積したデポジットによってディフューザ通路が狭められ、ターボチャージャの性能低下を招き、さらには内燃機関の出力低下を招くおそれがある。そのため、過給圧を抑制する必要があり、ターボチャージャ及び内燃機関の性能を十分引き出すことができない。
また、EGRガスは高温であるため、EGRガスをターボチャージャのコンプレッサ上流に還流すると、吸入空気が昇温することにより、PCVから流出したオイルが蒸発を起因とする濃縮・高粘度化によってコンプレッサハウジングのディフューザ面やそれに対向する軸受ハウジングの表面等にデポジットとなって堆積することがある。そして、上述の如く、堆積したデポジットによってディフューザ通路が狭められ、ターボチャージャの性能低下を招き、さらには内燃機関の出力低下を招くおそれがある。この点からも、過給圧を抑制する必要があり、ターボチャージャ及び内燃機関の性能を十分引き出すことができない。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、コンプレッサインペラの破損や腐食を防止することができるとともに、過給圧の抑制を不要とすることができるターボチャージャを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、コンプレッサインペラが配された空気流路を内側に有するコンプレッサハウジングと、
タービンインペラが配された排ガス流路を内側に有するタービンハウジングと、
上記コンプレッサインペラを一端に固定するとともに上記タービンインペラを他端に固定したロータシャフトを回転自在に支持する軸受ハウジングとを備え、
上記空気流路は、上記コンプレッサインペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、上記インペラの外周側において周方向に形成され、上記インペラから吐出される圧縮空気を外部へ導く吐出スクロール室とを有し、
上記排ガス流路は、内燃機関の排ガスを上記タービンインペラに向けて供給するように構成された排ガス供給部と、上記タービンインペラから吐出される排ガスを外部に排出する排ガス吐出部と、を有し、
上記コンプレッサハウジングは、上記コンプレッサインペラに対向するシュラウド面と、該シュラウド面から上記吐出スクロール室に向かって延びるディフューザ面とを有し、
上記軸受ハウジングは、上記コンプレッサハウジングの上記ディフューザ面に対向すると共に該ディフューザ面との間にディフューザ通路を形成するディフューザ対向面を有し、
上記ディフューザ面及び上記ディフューザ対向面の少なくともいずれか一方には、上記ディフューザ通路側の表面に開口する微細な噴出孔が多数形成されているとともに、該噴出孔を介して上記排ガス吐出部よりも下流側を流通する排ガスの少なくとも一部を噴出させるように構成された噴出部が設けられていることを特徴とするターボチャージャにある。
上記ターボチャージャにおいては、ターボチャージャの排ガス吐出部よりも下流側を流通する排ガスの一部(EGRガス)は、コンプレッサインペラよりも下流側のディフューザ通路に設けられた噴出部の噴出孔から噴出される。これにより、EGRガスがコンプレッサインペラに接触することがないことから、EGRガスによるコンプレッサインペラの破損や腐食が防止される。
また、EGRガスはコンプレッサインペラよりも下流側のディフューザ通路に設けられた噴出部から噴出されるため、コンプレッサにおける圧縮前の空気温度を高めることがない。その結果、PCVから流出したオイルの蒸発を起因とする濃縮・高粘度化が引き起こされないことからオイルデポジットの発生を防ぐことができる。したがって、ディフューザ通路におけるオイルデポジットの堆積防止のために行っていた過給圧の抑制を不要とすることができる。これにより、ターボチャージャの性能を十分に発揮させることができる。
以上のごとく、本発明によれば、コンプレッサインペラの破損や腐食を防止することができるとともに、過給圧の抑制を不要とすることができるターボチャージャを提供することができる。
実施例1における、ターボチャージャ及び内燃機関との接続態様を示す模式図。 実施例1における、ターボチャージャの断面説明図。 実施例1における、ターボチャージャの断面拡大説明図。 実施例1における、噴出部の断面拡大説明図。 実施例1における、噴出部の更なる断面拡大説明図。 実施例1における、VI-VI線位置での断面一部拡大図。
上記ターボチャージャは、EGRガスから不純物を除去するためのフィルタとともに使用されることとしてもよい。
上記ターボチャージャにおいて、噴出部は多数の微細な噴出孔を有しているため、圧縮空気がディフューザ通路を通過することにより、エジェクタ効果(巻き込み効果)を生じさせることができる。そして、かかるエジェクタ効果とEGRガス自身の圧力とにより、EGRガスを噴出部の噴出孔からディフューザ通路に噴出させることができる。この場合には、EGRガスの圧力がディフューザ通路内の圧縮空気の圧力よりも低い場合であっても、EGRガスを加圧装置により加圧したり、逆流防止弁を設けたりすることなく、ディフューザ通路内の圧縮空気が噴出孔を介してディフューザ通路の外側へ逆流することを防止することができる。
上記噴出部は、より大きなエジェクタ効果を得られるように、ディフューザ通路の中でもコンプレッサインペラの出口により近い位置に設けることが好ましい。かかる観点から上記噴出部は、上記ディフューザ通路の径方向において、上記コンプレッサインペラの出口の外縁から、上記ロータシャフトの中心との距離が上記出口の半径の1.20倍となる位置までの環状領域の一部又は全部に形成されていることとすることができる。この場合には、ディフューザ通路における上記環状領域を流通する圧縮空気は、コンプレッサインペラによって吸入及び圧縮されて吐出された直後の圧縮空気であるため、上記環状領域を流通する圧縮空気の流速は十分速いものとなっている。したがって、上記環状領域に噴出部を形成することにより、該噴出部に十分なエジェクタ効果が生じる。これにより、ディフューザ通路内の圧縮空気が該噴出部に形成された噴出孔を介してディフューザ通路の外側へ逆流することを防止しつつ、排ガス(EGRガス)を該噴出孔からディフューザ通路内に効果的に噴出させることができる。
上記ターボチャージャにおいて、上記噴出孔は、上記噴出部における上記ディフューザ通路側の表面を覆うように設けられた多孔質体により形成されていることとすることができる。この場合には、多数の微細な噴出孔を容易に形成することができる。上記多孔質体としては、例えば、多孔質の樹脂、金属、セラミックス、グラスファイバ、カーボングラファイト等、またはこれらに準ずる物(例えば、樹脂フィルムを巻いた物、樹脂紙を重ねた物、樹脂糸を編んだ物等)等を用いることができる。
また、上記軸受ハウジングは、軸受本体部と、該軸受本体部と上記コンプレッサハウジングとの間に配設されて上記空気流路の一部に面するバックプレートとを別体で有し、該バックプレートに、上記ディフューザ対向面が設けられていてもよい。かかる構成の場合には、バックプレートに噴出部を設けることとする。
(実施例1)
上記ターボチャージャにかかる実施例について、図1〜図6を用いて説明する。
本例のターボチャージャ1は、図2に示すごとく、コンプレッサインペラ13が配された空気流路10を内側に有するコンプレッサハウジング2と、タービンインペラ16が配された排ガス流路17を内側に有するタービンハウジング5と、コンプレッサインペラ13を一端に固定するとともに上記タービンインペラ16を他端に固定したロータシャフト14を回転自在に支持する軸受ハウジング3とを備える。
空気流路10は、コンプレッサインペラ13に向けて空気を吸い込む吸気口11と、コンプレッサインペラ13の外周側において周方向に形成され、コンプレッサインペラ13から吐出される圧縮空気を外部へ導く吐出スクロール室12とを有する。
排ガス流路17は、内燃機関の排ガスをタービンインペラ16に向けて供給するように構成された排ガス供給部171と、タービンインペラ16から吐出される排ガスを外部に排出する排ガス吐出部173と、を有する。
コンプレッサハウジング2は、コンプレッサインペラ13に対向するシュラウド面221と、シュラウド面221から吐出スクロール室12に向かって延びるディフューザ面222とを有する。
軸受ハウジング3は、コンプレッサハウジング2のディフューザ面222に対向すると共にディフューザ面222との間にディフューザ通路15を形成するディフューザ対向面311を有する。
ディフューザ面222及びディフューザ対向面311の少なくともいずれか一方(本例では両方)には、ディフューザ通路15側の表面に開口する微細な噴出孔45が多数形成されているとともに、噴出孔45を介して排ガス吐出部173よりも下流側を流通する排ガスの少なくとも一部を噴出させるように構成された噴出部4が設けられている。
本例のターボチャージャ1の構成について、以下に詳述する。
ターボチャージャ1は、LPL−EGR装置及びPCV装置を備えた内燃機関に接続して用いられる。
図1、図2に示すごとく、ターボチャージャ1は、ロータシャフト14の軸方向において、一端側にコンプレッサの外殻を構成するコンプレッサハウジング2を備え、他端側にタービンの外殻を構成するタービンハウジング5を備えている。図1に示すごとく、ターボチャージャ1は、自動車等の内燃機関100からエキゾーストマニホールド101を介して排出される排ガスによって、タービンインペラ16を回転させる。そして、タービンインペラ16の回転力によってロータシャフト14を介してコンプレッサインペラ13を回転させる。コンプレッサインペラ13の回転力により、コンプレッサハウジング2内でエアクリーナ107を介して吸入された吸入空気を圧縮し、インタークーラ106及びインテークマニホールド102を介してその圧縮空気を内燃機関100に送り込む。
図1に示すように、タービンハウジング5の内側には、タービンインペラ16が配された排ガス流路17が形成されている。タービンインペラ16は、ロータシャフト14に他端側に固定されている。すなわち、ロータシャフト14によって、コンプレッサのコンプレッサインペラ13とタービンインペラ16とが連結されている。これにより、タービンインペラ16の回転に伴い、コンプレッサインペラ13が回転するように構成されている。なお、タービンハウジング5には、ウェイストゲートバルブ60とウェイストゲートバルブ60を駆動するアクチュエータ61が設けられている。
図3に示すごとく、コンプレッサハウジング2は、吸気口11を形成する筒状の吸気口形成部21と、シュラウド面221及びディフューザ面222を形成するシュラウド部22と、吐出スクロール室12を形成する吐出スクロール室形成部23とを有する。シュラウド面221は、軸受ハウジング3のディフューザ対向面311に対向するように円環状に形成されている。また、ディフューザ面222と、軸受ハウジング3のディフューザ対向面311との間にはディフューザ通路15が形成されている。
また、コンプレッサハウジング2のシュラウド部22の内周側には、コンプレッサインペラ13が配置されている。コンプレッサインペラ13は、軸端ナット141によってロータシャフト14の一端に固定されるハブ131と、ハブ131の外周面から突出してなると共に周方向に並んで配置された複数のブレード132とを有する。複数のブレード132は、コンプレッサハウジング2のシュラウド面221に対向して配置されている。
また、コンプレッサハウジング2とタービンハウジング5との間には、ロータシャフト14を回転自在に軸支する軸受ハウジング3が配置されている。軸受ハウジング3の軸方向の一端側には、略円板状のフランジ部33が設けられている。フランジ部33におけるコンプレッサ側の面には、コンプレッサハウジング2のディフューザ面222に対向するディフューザ対向面311が円環状に形成されている。
図2に示すごとく、コンプレッサハウジング2と軸受ハウジング3には、それぞれ噴出部4が設けられている。各噴出部4は、それぞれ、コンプレッサハウジング2のディフューザ面222及び軸受ハウジング3のディフューザ対向面311において、周方向全体にわたって環状に設けられている。また、図6に示すように、ディフューザ対向面311における噴出部4は環状領域40に形成されている。
環状領域40は、以下の式1を満たす領域として設定することができる。
V1<V2+V3 ・・・・(式1)
但し、V1:ディフューザ通路15を通過する圧縮空気の静圧、
V2:噴出部4に供給される排ガスの静圧、
V3:ディフューザ通路15を通過する圧縮空気の動圧によるエジェクタ効果によって生じる噴出部4からディフューザ通路15内に向かう噴出圧。
噴出部4を、上記式1を満たす環状領域40に形成することにより、より大きなエジェクタ効果が得られる。そして、当該エジェクタ効果と排ガス(EGRガス)自身の圧力により、EGRガスを噴出部4の噴出孔45からディフューザ通路15に確実に噴出させつつ、ディフューザ通路15内の圧縮空気が噴出孔45を介してディフューザ通路15の外側へ逆流することを確実に防止できる。
式1を満たすような領域は、コンプレッサインペラ13に近い領域であり、例えば、ディフューザ通路15の径方向において、コンプレッサインペラ13の出口の外縁13aから、ロータシャフト14の中心14aとの距離L2が上記出口の半径L1の1.2倍程度となる位置40aまでの領域とすることができる。そして、噴出部4を、当該領域の一部又は全部に形成することができる。本例では、噴出部4は、外縁13aから、距離L2が半径L1の1.20倍となる位置までの環状領域40の全域に形成されている。
図示しないが、ディフューザ面222における噴出部4も、ディフューザ対向面311の場合と同様の環状領域40に形成されている。本例では、ディフューザ面222における噴出部4は、ディフューザ通路15の径方向において、外縁13aから、中心14aとの距離L2が半径L1の1.20倍となる位置40aまでの環状領域40の一部又は全部(本例では、外縁13aから、距離L2が半径L1の1.20倍となる位置までの環状領域40の全域)に形成されている。
そして、本例では、ディフューザ面222に形成された噴出部4と、ディフューザ対向面311に形成された噴出部4とは、互いに、ディフューザ通路15を挟んで対称に形成されている。
図3、図4に示すように、噴出部4は、ガスタンク部41と、表面形成部42とを有する。ガスタンク部41は、コンプレッサハウジング2のディフューザ面222及び軸受ハウジング3のディフューザ対向面311に円環状に形成された溝部のディフューザ通路15側を、表面形成部42で覆うことにより形成された円環状の空間である。ガスタンク部41には、後述のガス供給パイプ50から供給された排ガスが貯留されている。
図2に示すように、表面形成部42は、上述のごとく、ガスタンク部41が形成されるようにディフューザ面222及びディフューザ対向面311の上記円環状の溝部を覆っている。表面形成部42は多孔質体からなり、例えば、多孔質の樹脂、金属、セラミックス、グラスファイバ、カーボングラファイト等、またはこれらに準ずる物(例えば、樹脂フィルムを巻いた物、樹脂紙を重ねた物、樹脂糸を編んだ物等)等からなる。
表面形成部42は、図5に示すように、多数の噴出孔45を有する。噴出孔45はディフューザ通路15側の表面からガスタンク部41側の表面まで貫通した貫通孔である。噴出孔45は表面形成部42においてディフューザ通路15側の表面に現れて、ディフューザ通路15内に開口している。
表面形成部42の噴出孔45の大きさは特に限定されず、コンプレッサハウジング2の形状、ディフューザ通路15の形状、過給圧などを考慮して、適宜変更することができる。噴出孔45の大きさは、例えば、その平均直径が、10nm〜500μm、好ましくは100nm〜1μm、より好ましくは300nmとすることができる。本例では、噴出孔45の平均直径を300nmとした。表面形成部42のディフューザ通路15側の表面における噴出孔45の形成密度は、例えば、20〜90%とすることができ、40〜90%とすることが好ましい。ここで、噴出孔45の形成密度は、単位面積当たりの噴出孔45の総面積をいうものとする。なお、図5における噴出孔45は便宜的に表したものであって、噴出孔45の大きさ、形状、形成位置などを規定するものではない。
このような微細な噴出孔45が多数形成されていることからも、図5に示すように、噴出部4におけるディフューザ通路15側の表面は微細な凹凸表面となっている。なお、表面形成部42が多孔質体からなることにより、ディフューザ通路15を流通する圧縮空気が表面形成部42を介してガスタンク部41に流入することが防止されている。
図1、図2に示すように、ガスタンク部41には、EGRガス供給パイプ50が接続されている。EGRガス供給パイプ50は、図2に示すように、EGRバルブ51を介して、排ガス吐出部173よりも下流側の下流側排ガス流路103と接続されている。EGRバルブ51の開閉は、ガス流量調節部52により制御されている。ガス流量調節部52によってEGRバルブ51が開くと、EGRガスが排ガス流路103からEGRガス供給パイプ50を介して、ガスタンク部41に流入する。これにより、噴出部4に排ガスが供給される。噴出部4のガスタンク部41における排ガス(EGRガス)は、EGRガス自身の圧力とディフューザ通路15を流通する圧縮空気によるエジェクタ効果とにより、噴出部4の噴出孔45から噴出する。
次に、本例のターボチャージャ1における作用効果について、詳述する。
本例のターボチャージャ1によれば、EGRガスはコンプレッサインペラ13よりも下流側のディフューザ通路15に設けられた噴出部4の噴出孔45から噴出されるため、EGRガスがコンプレッサインペラ13に接触することがない。これにより、EGRガスによるコンプレッサインペラ13の破損や腐食が防止される。
また、EGRガスはコンプレッサインペラ13よりも下流側のディフューザ通路15に設けられた噴出部4から噴出されるため、コンプレッサにおける圧縮前の空気温度を高めることがない。その結果、PCVから流出したオイルの蒸発を起因とする濃縮・高粘度化が引き起こされないことからオイルデポジットの発生を防ぐことができる。したがって、ディフューザ通路15におけるオイルデポジットの堆積防止のために行っていた過給圧の抑制を不要とすることができる。これにより、ターボチャージャ1の性能を十分に発揮させることができる。
また、本例のターボチャージャ1では、噴出部4は、ディフューザ通路の中でもコンプレッサインペラ13の出口により近い位置に設けられている。具体的には、噴出部4は、ディフューザ通路15の径方向において、コンプレッサインペラ13の出口の外縁13aから、ロータシャフト14の中心14aとの距離L2が出口の半径L1の1.20倍となる位置4aまでの環状領域40の一部又は全部に形成されており、本例では、環状領域40の全部に形成されている。環状領域40を流通する圧縮空気は、コンプレッサインペラ13によって吸入及び圧縮されて吐出された直後の圧縮空気であるため、環状領域40を流通する圧縮空気の流速は十分速いものとなっている。したがって、環状領域40に噴出部4を形成することにより、噴出部4により大きなエジェクタ効果が生じる。これにより、ディフューザ通路15内の圧縮空気が噴出孔45を介してディフューザ通路15の外側へ逆流することを防止しつつ、排ガス(EGRガス)を噴出孔45からディフューザ通路15内に効果的に噴出させることができる。
上記ターボチャージャ1では、噴出部4におけるディフューザ通路15側の表面を覆うように表面形成部42が形成されている。そして、表面形成部42は多孔質体により形成されている。これにより、表面形成部42の材質として、適切な大きさの細孔を有する多孔質体を用いることにより、多数の微細な噴出孔45を容易に形成することができる。
以上のごとく、本例によれば、コンプレッサインペラ13の破損や腐食を防止することができるとともに、過給圧の抑制を不要とすることができるターボチャージャ1を提供することができる。
1 ターボチャージャ
10 空気流路
11 吸気口
12 吐出スクロール室
13 コンプレッサインペラ
14 ロータシャフト
15 ディフューザ通路
17 排ガス流路
171 排ガス供給部
173 排ガス吐出部
2 コンプレッサハウジング
221 シュラウド面
222 ディフューザ面
3 軸受ハウジング
311 ディフューザ対向面
4 噴出部
41 ガスタンク部
42 表面形成部

Claims (3)

  1. コンプレッサインペラが配された空気流路を内側に有するコンプレッサハウジングと、
    タービンインペラが配された排ガス流路を内側に有するタービンハウジングと、
    上記コンプレッサインペラを一端に固定するとともに上記タービンインペラを他端に固定したロータシャフトを回転自在に支持する軸受ハウジングとを備え、
    上記空気流路は、上記コンプレッサインペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、上記インペラの外周側において周方向に形成され、上記インペラから吐出される圧縮空気を外部へ導く吐出スクロール室とを有し、
    上記排ガス流路は、内燃機関の排ガスを上記タービンインペラに向けて供給するように構成された排ガス供給部と、上記タービンインペラから吐出される排ガスを外部に排出する排ガス吐出部と、を有し、
    上記コンプレッサハウジングは、上記コンプレッサインペラに対向するシュラウド面と、該シュラウド面から上記吐出スクロール室に向かって延びるディフューザ面とを有し、
    上記軸受ハウジングは、上記コンプレッサハウジングの上記ディフューザ面に対向すると共に該ディフューザ面との間にディフューザ通路を形成するディフューザ対向面を有し、
    上記ディフューザ面及び上記ディフューザ対向面の少なくともいずれか一方には、上記ディフューザ通路側の表面に開口する微細な噴出孔が多数形成されているとともに、該噴出孔を介して上記排ガス吐出部よりも下流側を流通する排ガスの少なくとも一部を噴出させるように構成された噴出部が設けられていることを特徴とするターボチャージャ。
  2. 上記噴出部は、上記ディフューザ通路の径方向において、上記コンプレッサインペラの出口の外縁から、上記ロータシャフトの中心との距離が上記出口の半径の1.20倍となる位置までの環状領域の一部又は全部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャ。
  3. 上記噴出孔は、上記噴出部における上記ディフューザ通路側の表面を覆うように設けられた多孔質体により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のターボチャージャ。
JP2014216111A 2014-10-23 2014-10-23 ターボチャージャ Pending JP2016084710A (ja)

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