JP2016084313A - (メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、特許文献4に記載のルートでは、ヒドロキシアダマンタンカルボン酸化合物のヒドロキシル基とカルボキシル基での縮合反応が進行した副生成物の除去が困難であり、特許文献5に記載のルートでは、(メタ)アクリル酸クロリドの加水分解により生成する(メタ)アクリル酸の除去が困難である。
本発明は、前記の問題点を鑑みてなされたものであり、高純度な(メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物を製造する方法等を提供することを目的とする。
工程1:式(2)で表される化合物と式(3)で表されるハロゲン化メチルアルキルエーテルを反応させて、カルボキシル基の保護を行い、式(4)で表される化合物とする工程。
工程2:工程1の反応液に(メタ)アクリル酸クロリドを添加してヒドロキシル基を(メタ)アクリルエステル化し、式(5)で表される化合物とする工程。
工程3:式(5)で表される化合物が有するカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(1)で表される化合物を生成する工程。
工程1:式(2)で表されるヒドロキシアダマンタンカルボン酸化合物と式(3)で表されるハロゲン化メチルアルキルエーテルとを反応させて、カルボキシル基の保護を行い、式(4)で表される化合物とする工程。
工程2:工程1の反応液に(メタ)アクリル酸クロリドを添加してヒドロキシル基を(メタ)アクリルエステル化し、式(5)で表される化合物とする工程。
工程3:式(5)で表される化合物が有するカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(1)で表される(メタ)アクリロイル化合物を取得する工程。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
橋頭位以外の炭素は置換基R1として水素又は炭素数1〜6のアルキル基を有する。R1は橋頭位以外の炭素に結合し、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、m=12である。R2は、n個のCOOH、p個の水素及びq個の炭素数1〜6のアルキル基を示し、n、p、qは、n=1〜3、かつn+p+q=3の関係にある自然数である。
これらの化合物は、既知の方法に従って合成したものを使用しても良く、また市販品を使用しても良い。市販品は例えば、東京化成工業株式会社製品等が挙げられる。
これらのハロゲン化メチルアルキルエーテルは2種以上組み合わせて用いても良い。これらのハロゲン化メチルアルキルエーテルの中で、ハロゲンが塩素であるものが好ましく、クロロメチルメチルエーテルが安価で取り扱いが容易なため特に好ましい。
ハロゲン化メチルアルキルエーテルは、既知の方法に従って合成したものを使用しても良く、また市販品を使用しても良い。市販品は例えば、東京化成工業株式会社製品等が挙げられる。
これらは1種単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
触媒は既知の方法に従って合成したものを使用しても良く、また市販品を使用しても良い。市販品は例えば、和光純薬工業株式会社製品や関東化学株式会社製品等が挙げられ、トリエチルアミンが安価なため好ましい。
使用することができる溶媒は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチシレン、プソイドクメン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシド等が挙げられるが、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル溶媒が保護化反応の進行が良好となるため好ましい。
溶媒を使用する場合の使用量は原料のヒドロキシアダマンタンカルボン酸化合物100質量部に対して0.1〜50質量倍であり、0.5〜20質量倍の範囲であることが好ましい。
工程2は、式(4)で表される化合物のヒドロキシル基を(メタ)アクリル酸クロライドを用いて(メタ)アクリルエステル化する工程である。
ワンポットで反応を行うことにより、工程の簡略化が可能となる。またクエンチや精製操作で通常用いられる水を用いた分液操作を省略できるため、反応溶液への水分の流入を抑制でき、(メタ)アクリル酸クロリドの加水分解反応を抑制することができる。
これらは既知の方法に従って合成したものを使用しても良く市販品を使用しても良い。市販品としては東京化成工業株式会社製等が挙げられ、メタクリロイルクロリドが入手容易性から好ましい。
このとき、洗浄水中に塩化ナトリウムや炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等、無機塩が含まれていても良く、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ洗浄を行っても良い。洗浄に際し、有機溶媒等を添加しても良く、通常、水との分離がよい極性の小さい溶媒を用いることが好ましい。一般式(5)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物は前記分離生成操作実施後、溶媒を留去し、前期工程3のカルボキシル基上の保護基の脱保護反応に使用することができる。
工程3は、一般式(5)で表される(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン化合物のカルボキシル基における脱保護を行う工程である。
好ましい精製方法は、脱保護反応後、反応系に有機溶媒とアルカリ性水溶液を加え、一般式(1)で表される(メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物を中和し、水層に抽出した後、回収した該水層に対して酸性化合物を添加して水溶液中の塩基を中和し、(メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物の粉体を水層から晶析させて回収する方法であり、この手法により高純度の結晶を得ることができる。
なお、反応終了後、一般式(1)で表される(メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物を水層から析出させて回収するまでの間に水洗、濾過、濃縮、及び抽出等による一般的な分離精製操作を任意で行うことができる。
使用する溶媒の1つとして(メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物の溶解性が高い溶媒を使用する。該溶媒としてジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチシレン、プソイドクメン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、メチルイソブチルケトン、及び酢酸エチル等が挙げられるが、(メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物の溶解性が低いベンゼン、トルエン、キシレン、メチシレン、プソイドクメン等芳香族炭化水素溶媒が好ましく、トルエンが安価で取り扱いが容易なため特に好ましく用いることができる。使用する有機溶媒の使用量は、十分に(メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物を溶解させる観点から(メタ)アクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物に対して1.0〜20質量倍が好ましく、特に2.0〜10質量倍がさらに好ましい。
活性炭の使用量は(メタ)アクリロリルオキシアダマンタンカルボン酸化合物の理論収量100質量部に対して0.0001〜1質量倍、好ましくは0.001〜0.5質量倍である。
活性炭添加後の具体的な反応温度、反応時間として、一般的に反応温度0℃〜100℃、好ましくは10℃〜75℃、反応時間は0.1時間〜20時間、好ましくは1時間〜10時間、圧力は常圧、減圧又は加圧下で行うことができる。また、反応は、回分式、半回分式、連続式等の公知の方法を適宜選択して行なうことができる。
ヒドロキシアダマンタンカルボン酸化合物の純度はGC、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により決定し、誘導体であるメタクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸化合物の純度はHPLC、GPCにより決定した。GC、HPLC、GPCの測定条件は以下のとおりである。尚、例中の部、%は特に記載のない限り、それぞれの質量部、質量%である。
カラム:TC−17(0.53mmI.D.×30m)、インジェクション温度:280℃、オーブン温度:70℃(1分保持)→10℃/分で昇温→280℃(10分保持)、検出器:FID、移動相:ヘリウム
カラム:化学物質評価機構L−column2 ODS L−C18(5μm、4.6φ×250mm)、展開溶媒:アセトニトリル/100mMリン酸緩衝液=70/30(v/v)、流量:1mL/分、カラム温度:40℃、検出器:RI
昭和電工社製GPCカラム(K401HQ2本、KF402HQ1本、KF403HQ1本、KF−G)を用い、流量:1.0ミリリットル/分、溶出溶剤:テトラヒドロフラン、
カラム温度:40℃の分析条件で、標準ポリスチレン換算質量として存在量を測定した。
(工程1)反応装置として攪拌機、温度計、滴下ロート、ジムロートを備えたガラス製500mLフラスコに、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸19.6g(100mmol)を仕込み、反応容器を窒素置換した。反応容器にメトキシシクロペンタン29.4g、トリエチルアミン30.3g(300mmol)を加えた後、氷浴し、反応液温度を10℃以下で攪拌した。滴下ロートにクロロメチルメチルエーテル8.4g(105mmol)を入れ、15分かけて滴下した。滴下終了後、反応液温度10℃で1時間反応させた。
反応の進行をGCで確認したところ、3−ヒドロキシアダマンタ−1−カルボン酸の転化率は93%であり、反応収率85.0%でメトキシメチル−3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボキシレートが生成した。(工程2)その後、フラスコを氷浴しながらにクロロホルム98g、フェノチアジン0.2g(1mmol)を加えた。滴下ロートにメタクリル酸クロリド15.7g(150mmol)を仕込み、氷浴したまま15分かけて滴下した。滴下終了後、反応液温度70℃で10時間反応させた。
反応の進行をGCで確認したところ、メトキシメチル−3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボキシレートの転化率は98%であり、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の仕込み量を基準として、反応収率82%でメトキシメチル−3−(メタクリロイルオキシ)アダマンタン−1−カルボキシレートが生成した。反応容器を氷浴により20℃以下に冷却した後、クロロホルム100g、イオン交換水200gを加え、5分間攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。
得られたクロロホルム層に5%炭酸水素ナトリウム水溶液200gを加え、5分間攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。得られたクロロホルム層の洗浄操作として、イオン交換水100gを加えて5分間攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。この洗浄操作を合計2回行った。回収したクロロホルム層の溶媒をエバポレーターを用いて留去した。得られた濃縮物はさらなる精製操作を行わず、次の工程に使用した。
反応の進行をHPLCで確認したところ、メトキシメチル−3−(メタクリロイルオキシ)アダマンタン−1−カルボキシレートの転化率は100%であり、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の仕込み量を基準として、反応収率80%で3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸が生成した。反応容器を氷浴により20℃以下に冷却した後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液550g、ヘプタン120gを加え1時間攪拌した。攪拌終了後、5分間静置してから分液操作を行った。分液後の有機層に5%炭酸水素ナトリウム水溶液150gを加え、5分間攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。
得られた水層を攪拌しながら、85%リン酸65gを加え、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の粉末状の固体を水層から析出させた。析出した固体を吸引ろ過により回収し、イオン交換水50gを用いて、2回洗浄した。固体を減圧乾燥し、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸19.0gを得た。3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の仕込み量を基準として、収率は72%であった。3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の純度はHPLC−RI99.0%、高分子量成分の存在量はGPC−RI6.8%、GPC−RI0.7%であった。
メタクリル酸クロリドに代えて、アクリル酸クロリドを使用する以外は実施例1と同様の操作を行った。粉末状の3−アクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の固体17.5gを得た。3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の仕込み量を基準として、収率は70%であった。3−アクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の純度はHPLC−RI99.1%、高分子量成分の存在量はGPC−RI 10.8%、GPC−RI 1.5%であった。
(工程1)反応装置として攪拌機、温度計、滴下ロート、ジムロートを備えたガラス製500mLフラスコに、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸19.6g(100mmol)を仕込み、反応容器を窒素置換した。反応容器にメトキシシクロペンタン29.4g、トリエチルアミン30.3g(300mmol)を加えた後、氷浴し、反応液温度を10℃以下で攪拌した。滴下ロートにクロロメチルメチルエーテル8.4g(105mmol)を入れ、15分かけて滴下した。滴下終了後、反応液温度0〜20℃で1時間反応させた。
反応の進行をGCで確認したところ、3−ヒドロキシアダマンタ−1−カルボン酸の転化率は93%であり、反応収率85.0%でメトキシメチル−3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボキシレートが生成した。(工程2)その後、フラスコを氷浴しながらにクロロホルム98g、フェノチアジン0.2g(1mmol)を加えた。滴下ロートにメタクリル酸クロリド15.7g(150mmol)を仕込み、氷浴したまま15分かけて滴下した。滴下終了後、反応液温度70℃で10時間反応させた。
反応の進行をGCで確認したところ、メトキシメチル−3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボキシレートの転化率は98%であり、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の仕込み量を基準として、反応収率82%でメトキシメチル−3−(メタクリロイルオキシ)アダマンタン−1−カルボキシレートが生成した。反応容器を氷浴により20℃以下に冷却した後、クロロホルム100g、イオン交換水200gを加え、5分間攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。得られたクロロホルム層に5%炭酸水素ナトリウム水溶液200gを加え、5分間攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。得られたクロロホルム層の洗浄操作として、イオン交換水100gを加えて5分間攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。この洗浄操作を合計2回行った。回収したクロロホルム層の溶媒をエバポレーターを用いて留去した。得られた濃縮物はさらなる精製操作を行わず、次の工程に使用した。
得られた水層にトルエン10g、ヘプタン30gを加えた後、攪拌しながら85%リン酸100gを加え、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸を有機層に抽出し、分液操作を行った。有機層にイオン交換水200gを用いてさらに2回分液操作を行った後、活性炭(カルボラフィン、日本エンバイロケミカルズ)2.0gを加え、40℃で1時間攪拌した。溶媒に不溶な成分と活性炭を吸引ろ過で除去し、ろ過物をトルエン20gとヘプタン60gの混合溶液で洗浄した。ろ液を回収し、溶液質量が40gになるまで溶媒を減圧留去した。その後、ヘプタン100gを加え、氷浴しながら1時間攪拌し、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の白色結晶を析出させた。析出した結晶を吸引ろ過した後、減圧乾燥し、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸17.0gを得た。収率は3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の仕込み量を基準として64%であった。3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の純度はHPLC−RI 99.9%、高分子量成分の存在量はGPC−RI 0.3%、GPC−RI 0.2%であった。
<精製操作1>
実施例1で得られた3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸19.0gにトルエン57g、ヘプタン171g、活性炭(カルボラフィン、日本エンバイロケミカルズ)1.2gを加え、40℃で1時間攪拌した。溶媒に不溶な成分と活性炭を吸引ろ過で除去した後、溶液質量が36gになるまで溶媒をエバポレーターを用いて減圧留去した。その後、ヘプタン95gを加え、氷浴しながら1時間攪拌し、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の白色結晶を析出させた。析出した結晶を吸引ろ過した後、減圧乾燥し、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸17.2gを得た。精製操作での結晶回収率は90.5%であり、実施例1及び実施例4を通しての全体の収率は3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の仕込み量を基準として65%であった。3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の純度はHPLC−RI 99.9%、高分子量成分の存在量はGPC−RI 0.3%、GPC−RI 0.2%であった。
<精製操作2>
実施例2で得られた3−アクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸使用する以外は実施例4と同様の操作を行ったところ3−アクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸16.3gを得た。精製操作での結晶回収率は90.5%であり、実施例2、及び実施例5を通しての全体の収率は3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の仕込み量を基準として65%であった。純度はHPLC−RI 99.9%、高分子量成分の存在量はGPC−RI 0.3%、GPC−RI 0.3%であった。
反応装置として攪拌機、温度計、滴下ロート、ジムロートを備えたガラス製1Lフラスコに、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸19.6g(100mmol)、フェノチアジン0.2g(1mmol)を仕込み、反応容器を窒素置換した。反応容器にジクロロエタン98g、トリエチルアミン30.3g(300mmol)を加えた後、氷浴し、反応液温度を10℃以下で攪拌した。滴下ロートにメタクリル酸クロリド31.4g(300mmol)を仕込み、氷浴したまま15分かけて滴下した。滴下終了後、反応液温度80℃で5時間反応させた。反応の進行をHPLCで確認したところ、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の転化率は100%であり、反応収率58.8%で3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸が生成した。反応容器を氷浴により20℃以下に冷却した後、トルエン50g、5%水酸化ナトリウム水溶液400gを加え、1時間攪拌した。攪拌終了後、5分間静置してから分液操作を行った。分液後の有機層に5%水酸化ナトリウム水溶液100gを加え、よく攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。得られた水層を攪拌しながら、そこに85%リン酸65gを加えたところ、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸を含む粘土状の混合物が析出した。粘土状の混合物をろ別し、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸を含む固体20gを得た。固体中の3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の純度はHPLC−RI 70%であった。
反応装置として攪拌機、温度計、ディーン・スターク管、ジムロートを備えたガラス製500mLフラスコに、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸19.6g(100mmol)、トルエン98g、メタクリル酸25.8g(300mmol)、硫酸0.98g(10mmol)、p−メトキシフェノール62mg(0.5mmol)を仕込み、反応液温度を110℃で4時間加熱還流した。
反応の進行をGCで確認したところ、3−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボン酸の転化率は98%であり、3−(メタクリロイルオキシ)アダマンタン−1−カルボン酸が反応収率52%で生成した。氷浴により反応容器を20℃以下に冷却した後、トルエン50g、5%水酸化ナトリウム水溶液400gを加え、1時間攪拌した。攪拌終了後、5分間静置してから分液操作を行った。分液後の有機層に5%水酸化ナトリウム水溶液100gを加え、5分間攪拌した後、5分間静置してから分液操作を行った。得られた水層を攪拌しながら、そこに85%リン酸65gを加えたところ、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸を含む粘土状の混合物が析出した。粘土状の混合物をろ別し、3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸を含む固体22gを得た。固体中の3−メタクリロイルオキシアダマンタン−1−カルボン酸の純度はHPLC−RI 60%であった。
<精製操作3>
活性炭(カルボラフィン、日本エンバイロケミカルズ)を使用せずに実施例3と同様の操作を行ったところ、粘性の高い固体が得られ、高分子量成分の存在量は変化しなかった。
Claims (12)
- 下記工程を有する、式(1)で表される化合物の製造方法。
工程1:式(2)で表される化合物と式(3)で表されるハロゲン化メチルアルキルエーテルを反応させて、カルボキシル基の保護を行い、式(4)で表される化合物とする工程。
工程2:工程1の反応液に(メタ)アクリル酸クロリドを添加してヒドロキシル基を(メタ)アクリルエステル化し、式(5)で表される化合物とする工程。
工程3:式(5)で表される化合物が有するカルボキシル基の保護基を脱保護することにより、式(1)で表される化合物とする工程。
- 前記式(3)におけるXが塩素である、請求項1に記載の式(1)で表される化合物の製造方法。
- 前記ハロゲン化メチルアルキルエーテルがクロロメチルメチルエーテルである、請求項2に記載の式(1)で表される化合物の製造方法。
- 前記工程2の反応をハロゲン溶媒中で行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(1)で表される化合物の製造方法。
- 前記工程3の脱保護反応が、酸性触媒存在下、水と式(5)で表される化合物を反応させるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の式(1)で表される化合物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法により得られる式(1)で表される化合物に対し、アルカリ洗浄を行い、中和して塩として水層に抽出した後、酸性化合物を添加して晶析分離を行って得られる、式(1)で表される化合物。
- 前記アルカリ洗浄に用いるアルカリが、炭酸水素ナトリウムである、請求項6に記載の式(1)で表される化合物。
- 前記酸性化合物が、リン酸である請求項6又は7に記載の式(1)で表される化合物。
- 前記酸性化合物を添加した後、さらに溶媒と活性炭を添加して副生成物を除去し、その後溶液の溶媒を留去し、さらに貧溶媒を加えて晶析分離を行うことにより得られる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の式(1)で表される化合物。
- 前記アルカリ洗浄後に行う晶析分離によって得られた式(1)で表される化合物に溶媒と活性炭を添加して副生成物を除去した後、溶液の溶媒を留去し、さらに貧溶媒を加えて晶析分離を行うことにより得られる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の式(1)で表される化合物。
- 前記活性炭と共に加える溶媒が、脂肪族炭化水素溶媒を含有する、請求項9又は10に記載の式(1)で表される化合物。
- 不純物として含有する高分子量成分が、GPC−UV1.0%以下、GPC−RI1.0%以下である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の式(1)で表される化合物。
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