JP2016084294A - エラグ酸分散組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エラグ酸を含む固体粒子の分散安定性に優れ、経時による色味の変化が抑制されたエラグ酸分散組成物を提供する。【解決手段】水性媒体と、平均粒子径が200nm以下のエラグ酸を含む固体粒子と、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンフィトステロールからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、を含有するエラグ酸分散組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エラグ酸分散組成物に関する。
エラグ酸は、苺、ラズベリー等の植物に含まれる抗酸化物質であり、優れた抗酸化作用から、細胞への酸化ストレスの抑制、美容効果等が期待され、化粧料等の皮膚外用剤、飲食品等に適用されている。
しかしながら、エラグ酸は、水、及び油性媒体のいずれにも難溶であり、製剤化が困難であった。このため、従来、エラグ酸を溶解した油性成分と水性成分とを用いた水中油型乳化組成物を調製することで、エラグ酸を含む微細な分散粒子を得てエラグ酸を含む製剤の安定化を図っていた。
エラグ酸化合物を美白成分として含有する皮膚外用剤において、エラグ酸の経皮吸収性向上を目的として、エラグ酸化合物を水又は常温で液体の溶媒に分散させ、超音波、コロイドミル等により粉砕処理して微細化し、粒子径を50μm以下として皮膚外用剤に添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、重量平均分子量が5,000〜200,000である非イオン性水溶性高分子を含んだ溶媒中で、エラグ酸化合物に剪断力を加えて、0.01μm〜0.7μmの範囲に微粒化するエラグ酸化合物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−81618号公報 特開2009−173651号公報
しかし、エラグ酸を溶解した油性成分と水性成分とを用いた水中油型乳化組成物では、エラグ酸は油性成分にも難溶性であるため、エラグ酸の含有量が、分散質を構成する油性成分よりも少ない量に限定されることがある。
以上のように、各種検討がなされているが、エラグ酸を含む固体粒子の分散状態を長期間安定に維持し、色味等の外観の変化を抑制する効果は充分ではなかった。
本発明は、エラグ酸を含有する固体粒子の分散安定性に優れ、経時による色味の変化が抑制されたエラグ酸分散組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の界面活性剤を用い、特定の粒子径とすることで、エラグ酸分散組成物の外観の安定性が特異的に向上することを見出した。
本発明は以下の通りである。
[1]水性媒体と、平均粒子径が200nm以下のエラグ酸を含む固体粒子と、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンフィトステロールからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、を含有するエラグ酸分散組成物。
[2]エラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径が50nm以下である[1]に記載のエラグ酸分散組成物。
[3]界面活性剤がリン脂質から選択される少なくとも1種の化合物である[1]又は[2]に記載のエラグ酸分散組成物。
[4]リン脂質がレシチンを含む[3]に記載のエラグ酸分散組成物。
本発明によれば、エラグ酸を含有する固体粒子の分散安定性に優れ、経時による色味の変化が抑制されたエラグ酸分散組成物を提供することができる。
経皮拡散評価用メンブレンとフランツセルとを用いて実施した拡散試験において、実施例1及び比較例1のエラグ酸分散組成物が含むエラグ酸のアクセプター中の濃度を示すグラフである。
本発明のエラグ酸分散組成物(以下、単に、分散組成物と称することがある)は、水性媒体と、平均粒子径が200nm以下のエラグ酸を含む固体粒子と、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンフィトステロールからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、を含有する。
本発明の分散組成物は、エラグ酸を含む固体粒子の分散安定性に優れ、経時による色味の変化が抑制されるため、化粧料等の皮膚外用剤、飲食品等に好適に使用することができる。本発明の分散組成物を用いた皮膚外用剤、飲食品等は、エラグ酸が有する抗酸化作用等の効果が期待できる製品となる。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推測される。
本発明の分散組成物は、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンフィトステロールからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含有する。本発明に用いられる特定の界面活性剤は、分子内に嵩高い親油性部分と親水性部分とを有するため、エラグ酸を固体状の分散粒子として含む本発明の分散組成物において、親油性部分がエラグ酸と相互作用を形成し、水性媒体中におけるエラグ酸を含む固体粒子の分散安定性が向上したと考えている。
エラグ酸を含む固体粒子が水性媒体中に長期間安定に分散されるため、本発明の分散組成物は、固体粒子の沈殿発生が抑制され、且つ、経時による色味の変化が抑制されるものと推定されるが、本発明はこの推測に限定されない。
また、粒子径が小さくなると、比表面積が大きくなり経時安定性が悪化することが一般的であるが、本発明におけるエラグ酸と特定の界面活性剤との組合せにおいて、驚くべきことに平均粒子径を一定(例えば、200nm)以下とすることで、寧ろ安定性が良化することが判明した。
なお、本発明における「色味の変化の抑制される」とは、調製直後の分散組成物と、調製後、50℃の温度条件下、常圧(1気圧)にて1週間経時した後の分散組成物とを比較した場合、色相、透明性、及び色濃度において、目視でほぼ変化が認められないことを意味する。
油性成分、及び水のいずれにも難溶であるエラグ酸は、油相成分に溶解して水中油型の分散組成物としても含有量を多くすることが困難であったところ、本発明においては、エラグ酸を固体粒子で含有するため、エラグ酸の含有量を所望により調整することができ、エラグ酸の含有量を水中油型分散組成物に比較して、より多く含有することができる。
さらに、本発明の好ましい態様においては、エラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径を50nm以下とすることで、皮膚外用剤に適用した場合には経皮吸収性の向上が、飲食品として経口摂取した場合には体内吸収効率の向上が、それぞれ期待できる。また、固体粒子の平均粒子径を50nm以下とした場合においても、本発明の分散組成物では、エラグ酸を含む固体粒子の分散安定性、色味の変化の抑制効果は、良好なレベルで維持される。
なお、本発明は上記の説明に何ら制限されない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
更に、本明細書において分散組成物に含まれる各成分の量は、分散組成物中に、各成分に該当する物質が複数含まれる場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明の分散組成物に用いる各成分について、詳細に説明する。
〔エラグ酸〕
本発明の分散組成物は、エラグ酸を含む。
エラグ酸は以下に示す構造を有する、淡黄色柱状晶の化合物である。
なお、本明細書における「エラグ酸」との文言は、上記構造を有するエラグ酸、エラグ酸の塩、及びエラグ酸の誘導体を包含する意味で用いられる。
即ち、本発明における「エラグ酸」は、特に断らない限り、エラグ酸、エラグ酸の塩、及びエラグ酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を指す。
エラグ酸の誘導体としては、エラグ酸が有する芳香環にアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有する化合物、エラグ酸が有する水酸基がアルキル基、アルコキシ基に置換された化合物等が挙げられる。
エラグ酸及びエラグ酸誘導体は塩の形態をとってもよい。エラグ酸が塩の形態とる場合の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
本発明に使用しうるエラグ酸としては、エラグ酸、3,4−ジ−o−メチルエラグ酸、3,3’−ジ−o−メチルエラグ酸、3,3’4−トリ−o−メチルエラグ酸、3,3’,4,4’−テトラ−o−メチル−5−メトキシエラグ酸、3−o−エチル−4−o−メチル−5−ヒドロキシエラグ酸等、及びこれら化合物のアルカリ金属塩が挙げられる。
なかでも、固体粒子の分散安定性、色味の変化抑制効果の観点から、上記構造を有する無置換のエラグ酸、及びその塩が好ましい。
本発明の分散組成物には、エラグ酸を1種のみ含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
エラグ酸は、天然物由来の化合物であっても、合成品であってもよい。
エラグ酸の製造方法の例としては、エラグ酸を含有する天然物から抽出する方法が挙げられる。
エラグ酸を、エラグ酸を含有する天然物から抽出する方法の例を以下に示す。
エラグ酸を含有する天然物の乾燥粉砕品を、酸性亜硫酸塩法によって蒸解した後、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等により調製された、pH10〜13のアルカリ水溶液に浸漬し、浸漬液を分取後、得られた浸漬液に、硫酸、酢酸等の酸を添加して液のpHを2〜8に調整すると、エラグ酸を含む沈殿物が得られる。得られたエラグ酸を含む沈殿物を遠心分離等によって補集し、水洗して不純物を除くことでエラグ酸が得られる。例示したエラグ酸の抽出方法によれば、純度の高いエラグ酸を得ることができる。
エラグ酸を含有する天然物としては、特に制限はなく、苺、リンゴ、ラズベリー、クランベリー、ブラックベリー、ブトウ、クマコケモモ、ザクロ、タラ(Caesalupinia Spinosa)、ユーカリ材(Eucalyptus)、ラジアタ松、樫(カシ)、庵摩勒(アンマロク)、ウキュウヨウ、エンフヨウ、ガイジチャ、カコウジュヨウ、キジュ、ケンジン、コウナカ、サンウキュウコン、サンウキュウヨウ、シュウフウボク、センクツサイ、ソウゲンロウカンソウ、ダイヒヨウソウ、ドウモウアンヨウ(リモンユーカリの葉)、ハオウべン、番石榴乾(バンセキリュウカン)、番石榴皮(バンセキリュウヒ)、番石榴葉(バンセキリュウヨウ)、ボウカ、没食子(モッショクシ)、野冬青果(ヤトウセイカ)、野冬青皮(ヤトウセイヒ)、ユカンコン、ユカンボクヒ、ユカンヨウ、リュウガソウコン、ウキュウボクコンピ、シドコン、チンシュソウ、ゲンノショウコ等が挙げられる。
エラグ酸は、合成によって製造することもできる。合成による製造方法としては、例えば、没食子酸又はそのメチルエステルを、酸化鉄(III)又はヒ酸等の共存下、加熱する方法等が挙げられる。
本発明の分散組成物は、エラグ酸を、平均粒子径が200nm以下のエラグ酸を含む固体粒子の形態で含有する。エラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径、及び、分散組成物の製造方法については、以下に詳述する。
本発明の分散組成物におけるエラグ酸の含有量は、分散組成物を適用する用途、目的によって適宜選択することができる。例えば、エラグ酸が有する機能が十分に発現されることを期待できるという観点からは、エラグ酸の含有量は、分散組成物の全量に対し、0.001質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%であることがより好ましい。
分散組成物中のエラグ酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー等の常法により測定することができる。例えば、アセトニトリル/水=10/90の溶媒に、リン酸及びトリエチルアミンを、それぞれ0.1%となるように溶解させたものを移動相とし、検出波長360nmで測定を行うことでエラグ酸濃度を求めることができる。
〔リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンフィトステロールからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤〕
本発明の分散組成物は、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンフィトステロールからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(以下、特定界面活性剤と称することがある)を含有する。
(1.リン脂質)
本発明における界面活性剤の一態様としてリン脂質が挙げられる。
リン脂質は、フォスファチドとも称され、グリセロリン脂質、及びスフィンゴリン脂質がある。本発明に用いられるリン脂質は、グリセロリン脂質、及びスフィンゴリン脂質のいずれであってもよいが、エラグ酸を含む固体粒子の分散性をより向上させるという観点からは、グリセロリン脂質が好ましく、なかでも、レシチン等がより好ましい。
リン脂質の好ましい例であるレシチンは、化学的には、フォスファチジルコリン(PC)を意味するが、工業的には、各種リン脂質を主成分とする脂質混合物の慣用的な名称であり、本明細書では後者の意味で使用している。
工業的レシチンに含まれる、代表的なリン脂質は、フォスファチジルコリン(以下、PCと称することがある)、フォスファチジルエタノールアミン(PE)、フォスファチジルイノシトール(PI)、フォスファチジン酸(PA)等が挙げられる。
本発明の分散組成物において特定界面活性剤として用いられるレシチンは、大豆由来、卵黄由来をはじめ、いずれの動植物由来のレシチンを使うことができるが、大豆由来のレシチン(以下、大豆レシチンと称することがある)が好ましい。
大豆レシチンは、大豆油精製工程で副生する油滓を乾燥、精製することにより製造される。通常、リン脂質の含有量70質量%以下のペースト状レシチンは、大豆粗油を30質量%程度含むが、安価なため、特に食品分野ではほとんどペースト状のレシチンが用いられる。近年、リン脂質自体の生理活性や、より高度な乳化剤へのニーズから、高度精製、分別、改質等の技術が加えられ、性能、機能の異なる種々のレシチン群が製造されている。
高度精製レシチンは、上記ペースト状レシチンから、アセトン等の溶媒を用いて脱油し、粉末化したレシチンであり、一般にレシチンの含有量は90質量%以上である。
高度精製レシチンは、市販品としても入手可能であり、例えば、フォスフォリポン20(商品名:リポイド社製)、レシオンP(商品名:理研ビタミン製)、SLPホワイト(商品名:辻製油製)、エマルメティック300(商品名:ルーカスマイヤーコスメティックス社製)等が挙げられる。
本発明の分散組成物においては、リン脂質としてペースト状レシチン、高度精製レシチンのいずれも使用することができる。
既述のペースト状レシチン、高度精製レシチンの他に、主にPCの含有量を高めた分別レシチン、酵素分解により一本鎖化した酵素分解(リゾ)レシチン、水素添加処理を行った水素添加レシチン等の改質レシチンがあり、改質レシチンも本発明におけるリン脂質として用いることができる。
分別レシチンは、高度精製レシチンから、各種溶媒への溶解度差を利用したり、蒸留等の操作を行なったりして、特定のリン脂質の含有量を高めたレシチンであり、一般にはPCの含有量を高めた製品が市販されている。
PCの含有量を高めた分別レシチンの市販品の例としては、フォスフォリポン50(PC45質量%含有)、フォスフォリポン85G(PC80質量%含有)、フォスフォリポン90G(PC94質量%含有)(以上、商品名:リポイド社製)、エマルメティック900(PC50質量%含有)、エマルメティック930(PC95質量%含有)(以上、商品名:ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLP−PC70、SLP−PC90(以上、商品名:辻製油製)等が挙げられる。
改質レシチンとしては、水素添加レシチンと酵素分解レシチンとに大別される。水素添加レシチンは、レシチン構造中の脂肪酸ポリエン酸を酸化し、光安定性向上のために、水素添加処理を行って飽和脂肪酸に変換したレシチンである。水素添加レシチンは化粧料、皮膚外用剤等の医薬品には好ましく用いることができるものの、飲食品には使用できない。
水素添加レシチンの市販品の例としては、エマルメティック320(商品名:ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLPホワイトH(商品名:辻製油製)等がある。
PCの含有量を高め、さらに水素添加処理を行ったレシチンの市販品の例としては、エマルメティック950(商品名:ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLP−PC92H(商品名:辻製油製)、フォスフォリポン90H(商品名:リポイド社製)等が挙げられる。
酵素分解レシチンとは、通常グリセリンに結合している2位の脂肪酸のエステル結合を酵素によって選択的に分解して得られるレシチンであり、通常のレシチンと区別するためにリゾレシチンとも呼ばれる。
リゾレシチンは、改質前のレシチンと比較して、水溶性が向上し、一般に乳化力も向上する。リゾレシチンを調製するための酵素分解処理は、原料としてのペースト状レシチンに対して行い、酵素分解処理後のレシチンを高度精製してリゾレシチンを得る方法が通常であるが、分別レシチンに対して酵素分解処理を行うことでリゾレシチンを得る方法もある。代表的なリゾレシチンの市販品の例としては、SLPホワイトリゾ、SLP−LPC70(商品名:辻製油製)が挙げられる。
また、別の酵素処理レシチンとして、リン酸と塩基の間のエステル結合を分解して得たレシチンもある。リン酸と塩基の間のエステル結合を分解する処理を行うことで、リン脂質から塩基が除かれ、フォスファチジン酸の形になることで、強いアニオン性を示す。酵素処理レシチンの市販品の例としては、PAナガセ、リゾリン脂質ナガセH(商品名:ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
本発明には、既述のレシチンはいずれも使用することができる。なかでも、非水素添加レシチンである、高度精製レシチン、分別レシチン、リゾレシチンが好ましく、高度精製レシチン、リゾレシチンが特に好ましい。
リン脂質として用いられる既述のレシチンとしては、リン脂質の含有量が70質量%以上であるレシチンを用いることが好ましく、リン脂質の含有量が80質量%以上のレシチンがより好ましく、リン脂質の含有量が90質量%以上のレシチンがさらに好ましい。
また、リン脂質中に含まれるフォスファチジルコリン(PC)の含有量は、通常10質量%〜100質量%の範囲であるが、本発明に用いるリン脂質としては、PCの含有量が10質量%〜90質量%であるリン脂質が好ましく、10質量%〜40質量%のPCを含有するリン脂質がより好ましい。一方、リゾレシチンを用いる場合、リゾフォスファチジルコリン(LPC)の含有量は、40質量%〜90質量%であることが好ましく、50質量%〜90質量%であることがより好ましい。
(2.ショ糖脂肪酸エステル)
本発明における特定界面活性剤の一態様としてショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
本発明におけるショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12〜20の化合物が好ましく、炭素数が14〜16の化合物がより好ましく、炭素数が14の化合物がさらに好ましい。脂肪酸の炭素数を12以上18以下とすることにより、エラグ酸を含む固体粒子の分散安定性がより向上する。
本発明におけるショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルは市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、リョートーシュガーエステル S−1170、S−1170F、S−1570、S−1670、P−1570、P−1670、M−1695、O−1570、OWA−1570、L−1695、LWA−1570(以上、商品名、三菱化学フーズ(株))、DKエステルSS、F160、F140、F110、F90、コスメライクS−110、S−160、S−190、P−160、M−160、L−160、L−150A、L−160A、O−150(以上、商品名、第一工業製薬(株))等が挙げられる。
(3.ポリグリセリン脂肪酸エステル)
本発明における特定界面活性剤の一態様としてポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
本発明に用いうるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2以上のポリグリセリンと、炭素数8〜18の脂肪酸とのエステルが挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの調製に用いうるポリグリセリンの平均重合度は6〜15であることが好ましく、8〜10であることがより好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの調製に用いうる炭素数8〜18の脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
本発明に用いうるポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
なかでも、より好ましい例として、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは市販品を用いることができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、NIKKOL DGMS,NIKKOL DGMO−CV,NIKKOL DGMO−90V,NIKKOL DGDO,NIKKOL DGMIS,NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1−SV,NIKKOL Tetraglyn 1−O,NIKKOL Tetraglyn 3−S,NIKKOL Tetraglyn 5−S,NIKKOL Tetraglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn 1−L,NIKKOL Hexaglyn 1−M,NIKKOL Hexaglyn 1−SV,NIKKOL Hexaglyn 1−O,NIKKOL Hexaglyn 3−S,NIKKOL Hexaglyn 4−B,NIKKOL Hexaglyn 5−S,NIKKOL Hexaglyn 5−O,NIKKOL Hexaglyn PR−15,NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,NIKKOL Decaglyn 2−SV,NIKKOL Decaglyn 2−ISV,NIKKOL Decaglyn 3−SV,NIKKOL Decaglyn 3−OV,NIKKOL Decaglyn 5−SV,NIKKOL Decaglyn 5−HS,NIKKOL Decaglyn 5−IS,NIKKOL Decaglyn 5−OV,NIKKOL Decaglyn 5−O−R,NIKKOL Decaglyn 7−S,NIKKOL Decaglyn 7−O,NIKKOL Decaglyn 10−SV,NIKKOL Decaglyn 10−IS,NIKKOL Decaglyn 10−OV,NIKKOL Decaglyn 10−MAC,NIKKOL Decaglyn PR−20(以上、商品名、日光ケミカルズ(株))が挙げられる。なお、「NIKKOL」は日光ケミカルズ(株)の登録商標である。
さらに、リョートー(登録商標)ポリグリエステル、L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DP、DS13W、DS3、HS11、HS9、TS4、TS2、DL15、DO13(以上、商品名、三菱化学フーズ(株))、サンソフト(登録商標)Q−17UL、サンソフトQ−14S、サンソフトA−141C(以上、商品名、太陽化学(株))、ポエム(登録商標)DO−100、ポエムJ−0021(以上、商品名、理研ビタミン(株))等が挙げられる。
市販品の中でも、NIKKOL Decaglyn 1−L,NIKKOL Decaglyn 1−M,NIKKOL Decaglyn 1−SV,NIKKOL Decaglyn 1−50SV,NIKKOL Decaglyn 1−ISV,NIKKOL Decaglyn 1−O,NIKKOL Decaglyn 1−OV,NIKKOL Decaglyn 1−LN,リョートーポリグリエステル L−7D、L−10D、M−10D、P−8D、SWA−10D、SWA−15D、SWA−20D、S−24D、S−28D、O−15D、O−50D、B−70D、B−100D、ER−60D、LOP−120DP等が好ましい。
(4.ポリオキシエチレンフィトステロール)
本発明における特定界面活性剤の一態様としてポリオキシエチレンフィトステロールが挙げられる。ポリオキシエチレンフィトステロールは、下記一般式(I)で表される化合物である。
R−O−(EO)−H 一般式(I)
一般式(I)中、Rは、フィトステリル基を表す。
EOはエチレンオキシド基を表し、nは5〜60を表す。nは、固体粒子の分散安定性がより向上するという観点から、10〜50の範囲であることが好ましく、10〜30の範囲であることがより好ましい。
なお、以下、ポリオキシエチレンフィトステロールをPOEフィトステロールと称することがある。
本発明においては、POEフィトステロールとして、本発明の効果を損なわない範囲において、親水性の部分構造にポリオキシエチレン基に加え、ポリオキシプロピレン基(以下、POPと称することがある)、ポリオキシブチレン基(以下、POBと称することがある)を含むPOEフィトステロールを用いてもよい。
本発明に用いることができるPOEフィトステロールとしては、POEフィトステロールエーテル、POE/POPフィトステロールエーテル、POE/POP/POBフィトステロールエーテル、POE/POBフィトステロールエーテル等が挙げられる。
POEフィトステロールエーテルは市販品としても入手可能であり、市販品の具体例としては、NIKKOLシリーズの BPS−5、BPS−10、BPS−20、BPS−30(以上、商品名:日光ケミカルズ製)が挙げられる。
本発明の分散組成物には、特定界面活性剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。特定界面活性剤を2種以上含む場合には、互いに異なる種類の特定界面活性剤の組み合わせ、例えば、リン脂質と、POEフィトステロールとの組み合わせ等であってもよく、同種の特定界面活性剤であって互いに異なる組成を有する組み合わせ、例えば、高度精製レシチンと、分別レシチンと、の組み合わせ等であってもよい。
分散組成物における特定界面活性剤の含有量は、固体粒子の分散安定性がより向上するという観点から、エラグ酸1質量部に対して、特定界面活性剤0.1質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上4質量部以下がさらに好ましい。
また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに、特定界面活性剤以外の、他の界面活性剤を含んでもよい。
〔水性媒体〕
本発明の分散組成物は、水性媒体を含む。
本発明の分散組成物が水性媒体を含むことで、本発明の分散組成物を皮膚外用剤に適用する場合、さっぱりとした使用感が得られ、飲食品に適用する場合、生体適用容易性に優れる。
(水)
水性媒体は、少なくとも水を含む。
水性媒体として用いられる水には特に制限はなく、水道水、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、ミリQ水等の超純水等をいずれも使用することができる。なお、ミリQ水とは、メルクミリポア社の超純水製造装置であるミリQ水製造装置により得られる超純水である。
なかでも、本発明の分散組成物に使用する水として、不純物が少ないという観点から、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、ミリQ水等が好ましく挙げられる。
本発明の分散組成物における水の含有量は、使用感、生体適用容易性等がより向上するという観点から、分散組成物全量に対して、30質量%〜99質量%が好ましく、50質量%〜98質量%がより好ましい。
水性媒体は、水に加え、さらに、水溶性有機溶剤、水溶性高分子等の、水と均一に混合しうるか、或は、水に溶解しうる溶剤、水に溶解しうる高分子化合物、pH調整剤、及び、防腐剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含有することができる。
(水溶性有機溶剤)
本発明における水溶性有機溶剤とは、水に対する25℃での溶解度が10質量%以上の有機溶剤を指す。水に対する溶解度は固体粒子の分散を安定に維持しうるという観点から、溶解度が30質量%以上の有機溶剤が好ましく、溶解度が50質量%以上の有機溶剤がより好ましい。
本発明に用いうる水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
なかでも、本発明の分散組成物を、皮膚外用剤用途、又は飲食品用途に用いる場合には、生体への適用容易性の観点から、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等が好ましく、エタノールが特に好ましい。
水性媒体が水溶性有機溶剤を含む場合、水溶性有機溶剤は1種のみを含有してもよく、2種以上を併用してもよい。
水性媒体における水溶性有機溶剤の含有量は、目的に応じて、適宜選択することができる。使用感、生体適用容易性等の観点から、水溶性有機溶剤の含有量は、水性媒体全量中、40質量%以下であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましい。水性媒体に水溶性有機溶剤を含有しない態様も好ましい。
(水溶性高分子)
水性媒体には、目的に応じて、水溶性高分子を含有することができる。水溶性高分子を含有することで、分散組成物の粘度、感触等の物性を調整したり、固体粒子の分散安定性をより向上させたりすることができる。
本発明における水溶性高分子とは、25℃における水への溶解度が1質量%以上である高分子化合物を指す。
水性媒体に用いることができる水溶性高分子の重量平均分子量は5,000〜200,000の範囲にあることが好ましく、5,000〜150,000の範囲にあることがより好ましい。水溶性高分子の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン標準物質換算で測定することができる。
本発明に用いることができる水溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
水性媒体が水溶性高分子を含む場合、水溶性高分子は1種のみを含有してもよく、2種以上を併用してもよい。
水性媒体における水溶性高分子の含有量は、目的に応じて適宜選択できる。使用感の観点から、水溶性高分子の含有量は、水性媒体全量中、3質量%以下であることが好ましく、0.01質量%〜2質量%であることがより好ましい。水性媒体に水溶性高分子を含有しない態様も好ましい。
本発明の分散組成物における水性媒体の含有量は、目的に応じて適宜選択できる。使用感、生体適用容易性等の観点から、30質量%〜99質量%が好ましく、50質量%〜98質量%がより好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の分散組成物には、エラグ酸を含む固体粒子、特定界面活性剤、水性媒体に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、飲食品、皮膚外用剤等の分野において通常用いられる添加成分を、その形態に応じて適宜含有することができる。
〔分散組成物の物性〕
(固体粒子の粒子径)
本発明の分散組成物に含まれるエラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径は200nm以下であり、1nm〜150nmが好ましく、1nm〜50nmがより好ましい。
エラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径の測定は動的光散乱法を用いた粒度分布を測定する機器を用い、体積平均粒子径を測定することにより行うことができる。
固体粒子の平均粒子径の測定は、具体的には、粒径測定装置:マイクロトラックUPA−150EX(商品名、日機装社製)を用いて行う。分散媒を水(屈折率1.33)とし、分散質がエラグ酸(屈折率1.52)である測定サンプルを調製し、粒子径を測定する。測定条件は、調製した測定サンプルを測定器にセットし、25℃で均一に攪拌し、サンプルローディング値を1〜5になることを確認後、測定を開始し、測定時間:60秒で測定し、測定回数は1回とする。既述の条件により測定を行い、体積基準での粒子径分布を求め、体積平均粒子径(Mv値)を決定し、これを平均粒子径とする。
[分散組成物の用途]
本発明の分散組成物は、化粧料等の皮膚外用剤、飲食品等、エラグ酸の抗酸化性等の諸機能を期待できる各種の用途に適用することができる。
(皮膚外用剤)
本発明の分散組成物を皮膚外用剤に適用する場合の形態は特に限定されず、適用用途に応じて、適宜選択されればよい。
皮膚外用剤の形態は、水性組成物、及び、さらに油性成分を乳化粒子として含む乳化組成物等とすることができる。
皮膚外用剤の用途としては、化粧料、皮膚用医薬品等が挙げられる。化粧品としては、スキンケア化粧料、例えば、化粧水、美容液、乳液等、日焼け止め化粧料等のUVケア化粧料、メークアップ化粧料、フレグランス化粧料、防臭化粧料、頭皮頭髪用化粧料等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
本発明の分散組成物を皮膚外用剤に使用する場合には、目的に応じて種々の、エラグ酸以外の有効成分を含有させることができる。
他の有効成分としては、例えば、カロテノイド等の機能性油性成分、ソルビトール、D−ソルビット等の糖類、ポリフェノール化合物、動植物性抽出物、アミノ酸、ミネラル、ビタミン等が挙げられる。
本発明の分散組成物を化粧品等の皮膚外用剤に用いる場合には、化粧品等の基剤となりうる汎用の油脂、ロウ、炭化水素油、脂肪酸、アルコール、エステル、シリコーン、粉体等を併用することができる。
また、皮膚外用剤に用いうる他の成分としては、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤、エラグ酸以外の酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、香料、着色剤等が挙げられる。
(飲食品)
本発明の分散組成物を飲食品に適用する場合の「飲食品」とは、飲料を包含する食品を意味する。
飲食品の形態としては、例えば、固形食品、流動性食品、飲料等が挙げられる。
飲食品の用途としては、機能性食品、栄養ドリンク、美容ドリンク、滋養強壮剤、嗜好性飲料、調味料、食品添加物等が挙げられる。
本発明の分散組成物を、飲食品に使用する場合には、目的に応じて種々の、エラグ酸以外の有効成分を含有させることができる。
他の有効成分としては、例えば、カロテノイド等の機能性油性成分、ソルビトール、D−ソルビット、グルシトール、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、マルトース、マルチトール、トレハロース等の糖類、ポリフェノール化合物、動植物性抽出物、アミノ酸、ミネラル、ビタミン等が挙げられる。
本発明の分散組成物を飲食品に用いる場合に使用可能なその他の成分としては、既述の有効成分に該当しない甘味料、酸味料、アミノ酸含有調味料等の風味調整剤、香料、殺菌剤、防腐剤、エラグ酸以外の酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、着色剤等が挙げられる。
[分散組成物の製造方法]
本発明の分散組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法に従い製造することができる。
製造方法の一例を挙げれば、例えば、エラグ酸、特定界面活性剤、及び水性媒体を混合して混合物を得る混合物調製工程と、得られた混合物に剪断力を付与して、混合物中のエラグ酸を微細化し、エラグ酸を含む固体粒子を形成させる分散物調製工程と、を含む製造方法がある。
以下に、例示した製造方法を具体的に説明するが、分散組成物の製造方法は以下の記載に限定されない。
(混合物調製工程)
まず、エラグ酸、特定界面活性剤、水性媒体、及び所望により含有させる他の成分を均一に混合して混合物を調製する混合物調製工程を行なう。混合物調製工程を行なうことは、引き続き行なわれる分散物調製工程において、エラグ酸を含む固体粒子を効率よく、より微細化しうるという観点から好ましい。
混合物の調製は、公知の方法、例えば、スターラー撹拌、インペラー撹拌、ホモミキサー等を用いた撹拌等により行なうことができる。
混合物を調製する際の各成分の添加順は、特に制限されず、目的に応じて選択することができる。例えば、水性媒体中に、まず特定界面活性剤を添加し、均一に混合した後、エラグ酸を添加する方法が好ましい。
混合物調製工程を行なうことで、エラグ酸が混合物中に予め均一に分散されるため、分散物調製工程において、剪断力を付与するためのホモジナイザー等の分散装置、粉砕装置等に、分散組成物に含まれる各成分をそれぞれ別個に投入するよりも、分散物調製工程を効率良く行なうことができる。
混合物調製工程の実施により、エラグ酸が混合物中に均一に存在することになり、混合物に剪断力をかける際に、混合物中にエラグ酸の凝集体等が存在しない状態で剪断力を付与することができる。剪断力を付与する装置、例えば、ホモジナイザーによる処理時に、混合物中にエラグ酸の凝集体が存在すると、エラグ酸の粉砕に時間が掛ったり、固体粒子を十分に微細化することが困難になったりする。従って、予め混合物調製工程を行なうことが、製造効率、及び固体粒子の微細化をより向上させる観点から好ましい。
混合物は、エラグ酸を0.01質量%〜40質量%、好ましくは、0.5質量%〜20質量%、エラグ酸1質量部に対して特定界面活性剤を0.1質量部〜5質量部、好ましくは、1質量部〜5質量部、及び水性媒体適量を含有することができる。均一混合して得られた混合物は後述するホモジナイザーに投入して、エラグ酸の粉砕処理及び分散処理を行なう。
(分散物調製工程)
得られたエラグ酸を含む混合物に剪断力を付与することで、エラグ酸を機械的に微細化させ、エラグ酸を含む固体粒子を含む分散物、即ち、本発明の分散組成物を調製することができる。剪断力の付与に用いる剪断力の付与装置には特に制限はないが、公知のホモジナイザー等の撹拌装置、湿式粉砕装置等を使用することが好ましい。
なお、本明細書におけるホモジナイザーとの語は、剪断力付与装置、即ち、剪断力を付与することで、複数の成分を均一分散させる機能、及び、固体成分を粉砕する機能の少なくともいずれかの機能を備える装置の総称として用いられる。
本発明の分散組成物の調製に使用しうるホモジナイザーとしては、遊星型ボールミルなどのボールミル、ビーズミル、複数のロールを備えるロールミル、コロイドミル、コーンミル、回転力を利用したホモジナイザー、圧力を利用したホモジナイザー等が挙げられる。なかでも、エラグ酸を含む固体粒子をより微細化しうると言う観点からは、粉砕用メディアを用いるボールミル、又はビーズミルを使用することが好ましい。
剪断力付与装置としては、例えば、遊星型ボールミルを用いることができる。遊星型ボールミルは、粉砕される成分と粉砕用のメディアが投入された容器が取り付けられたミル本体と、ミル本体に固定された容器自体との双方が回転して容器内の粉砕される成分に剪断力を付与する装置である。遊星型ボールミルによれば、ミル本体に取付けられ、ミル本体の軸回りに公転しながら、且つ、自転するミルポット(ベッセル)内部で、固体成分は、強い遠心力により、粉砕用のメディアとベッセルの内壁面との双方を用いて粉砕されるため、より効率よく固体成分を微粉砕することが可能となる。
遊星型ボールミルの市販品としては、遊星型ボールミル P−7(商品名:フリッチュ・ジャパン(株))、自転・公転ナノ粉砕機NP−100(商品名:(株)シンキー)等が挙げられる。
剪断力付与装置の他の好ましい態様であるビーズミルとは、容器内に、混合物と粉砕用メディアであるビーズとを入れ、ビーズに剪断力を付与することで、攪拌翼とビーズ、ビーズ同士が接触する際に発生する応力により、混合物中の固体成分を粉砕する機構を有する装置を指す。ビーズミルは、少なくとも、粉砕しようとする固体成分及び分散媒を収納するベッセル(容器)と、攪拌翼を備える回転軸と、回転軸を駆動させるモーターとを備える装置である。ビーズミルのベッセル中に、固体成分等の被分散物と粉砕用メディアであるビーズとを投入し、モーターにより攪拌翼を有する回転軸を回転させる。回転により攪拌翼に付与された応力により、ベッセル中のビーズ同士が衝突し、衝突時に発生した剪断力により固体成分を粉砕し、微細化することができる。
ビーズミルは、バッチ式装置、循環式装置及び連続式装置のいずれでもよく、複数の装置を組み合わせて用いてもよい。バッチ式装置とは、処理される混合物全量と、粉砕用メディアとをビーズミル用ベッセル内に入れて粉砕を行う装置である。循環式装置とは、処理される混合物をタンクとビーズミル用ベッセルとの間で循環させて処理を行う装置である。連続式装置とは、処理される混合物が複数のビーズミル用ベッセルを連続して通過することで処理を行なう装置である。
ビーズミル又は遊星型ボールミルに用いられる粉砕メディア(以下、単にビーズと称することがある)の直径は、10μm〜1000μmが好ましく、20μm〜500μmがより好ましく、30μm〜300μmがさらに好ましい。
ビーズ直径が上記範囲であることで、エラグ酸を含む固体粒子の微細化が効率よく実施できる。
ビーズ直径は、光学顕微鏡写真を撮影し、スケールと対比することで測定することができる。また、市販品はカタログ値等で確認することができる。
ビーズの種類としては、ガラスビーズ(比重:2〜3)、低アルカリガラスビーズ(比重:2〜3)、無アルカリガラスビーズ(比重:2〜3)、イットリア安定化ジルコニアビーズ(単にジルコニアビーズと呼ばれることもある、比重:6.0)、窒化ケイ素ビーズ(比重:3.2)、アルミナビーズ(比重:3.6)、高純度アルミナビーズ(比重:3.6)、チタニアビーズ(比重:3.9)スチールビーズ(比重:7.85)、ステンレスビーズ(比重:7.95)等が挙げられ、より大きな剪断力を付与できるという観点からは比重が5以上のビーズが好ましく、飲食品、皮膚外用剤製造の使用実績、及びビーズに起因する不純物に係る問題が生じ難いという観点からは、イットリア安定化ジルコニアビーズであることが好ましい。
ビーズミルのベッセルにおけるビーズの充填率は、ベッセルの容積に対して、30容量%〜95容量%が好ましく、35容量%〜90容量%がより好ましく、40容量%〜85容量%の範囲がさらに好ましい。ビーズの充填率が上記範囲であると、エラグ酸の微粒化を効率よく行うことができ、微粒化されたエラグ酸を含む固体粒子の回収率をより向上できる。
エラグ酸を含む固体粒子の調製に用いるビーズミルとしては、市販品を使用することができる。本発明の分散組成物の調製に使用しうるビーズミルの市販品としては、スターミルナノゲッター、スターミルZRS、スターミルLMZ、アジテータミルLMK(以上、商品名、アシザワ・ファインテック(株))、スパイクミル、マイティーミル、マイティーミルマークII、キーミル(以上、商品名、(株)井上製作所)、アペックスミル、スーパーアペックスミル、ウルトラアペックスミル(以上、商品名、寿工業(株))、サンドグラインダー(SLG)、レディーミル(RMV−03)、ナノレディーミル(RMV−03)、ウルトラビスコミル(UVM)、ウルトラ−Xビスコミル(UVX)、ニュービスコミル(NVM)(以上、商品名、アイメックス(株))、SCミル、MSCミル、アトライタ、ファインミル(以上、商品名、三井鉱山(株))、アニュラーギャップ型ビーズミル(商品名、(株)ユーロテック)、ダイノーミルECM、DYNO−MILL NPM−NANO Performance Mill(以上、商品名、(株)シンマルエンタープライズ)、ファインミル(商品名、三菱重工業(株))、MicroMediaP1(商品名、日本アイリッヒ社)等が挙げられる。
本発明に用いることができる他の剪断力付与装置としては、回転力を利用したホモジナイザーが挙げられる。
回転力を利用したホモジナイザーとは、回転する2枚以上のディスクの隙間に処理対象である粒子を通過させて粉砕する機構を有する装置を指し、一般に、ホモミキサー、コロイドミルと呼ばれる装置が回転力を利用したホモジナイザーに含まれる。
回転力を利用したホモジナイザーの向き合った2枚のディスクは、相対する方向に回転させてもよく、一方のディスクを固定して、他方のディスクを回転させてもよい。回転力を利用したホモジナイザーが有するディスクは、複数のディスクのうち、少なくとも一つが、スリット等の空隙が形成されたディスクであってもよい。空隙は、ディスクの全面に形成されても、一部の領域に形成されてもよい。
なお、本明細書における「ディスク」とは、平板状のディスクには限定されず、プロペラの如く角度を有して回転軸に結合された立体的な形状を有するディスクをも包含する。ディスクの回転力を利用したホモジナイザーのうち、両方のディスクが回転するホモジナイザーとしては、エムテクニック社製クレアミックスWモーションCLM−1.7/5.5W(商品名)が挙げられ、一方のディスクが固定されているホモジナイザーとしてエムテクニック社製クレアSS5−100(商品名)、プライミクス社製アヂホモミクサー2M型、HV−M(以上、商品名)等が挙げられる。
本発明に用いることができる他の剪断力付与装置として、圧力を利用したホモジナイザーが挙げられる。
圧力を利用したホモジナイザーとは、粉砕する対象物を、高圧又は超高圧に加圧し、スリット(隙間)を通過する際に発生する剪断力により粉砕、分散、乳化等を行う装置を指し、一般的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーと呼ばれる装置を含む。圧力を利用したホモジナイザー装置としては、例えば、スターバースト(商品名、(株)スギノマシン)、マイクロフルイダイザーM−110E/H(商品名、みづほ工業(株))等が挙げられる。
なお、エラグ酸の粉砕、分散等に用いる装置は、既述の装置に限定されない。
既述の剪断力付与装置のいずれかを用いて、少なくとも、エラグ酸、特定界面活性剤、及び水性媒体を含む混合物を処理することで、平均粒子径200nm以下のエラグ酸を含む固体粒子を含有する本発明の分散組成物を調製することができる。
なお、既述の混合物調製工程を行なわない場合、各成分を剪断力付与装置に投入する順について特に制限はないが、例えば、水性媒体中に、まず、特定界面活性剤を添加し、均一に混合した後、エラグ酸を添加する方法が好ましい。
これらの成分を剪断力付与装置に直接投入する場合の好ましい態様としては、エラグ酸を0.01質量%〜40質量%、好ましくは、0.5質量%〜20質量%、エラグ酸1質量部に対して特定界面活性剤を0.1質量部〜5質量部、好ましくは、1質量部〜5質量部、及び水性媒体適量を投入する態様が挙げられる。
剪断力付与装置による処理時間は、剪断力付与装置の特性、目的とする固体粒子の平均粒子径等により適宜調整される。一般に、剪断力付与装置による処理において、付与する剪断力を大きくすること、処理時間を長くすること等により、粉砕、分散等の対象である固体成分を、より微細にすることができ、且つ、分散組成物をより均一にすることができる。
既述の遊星型ボールミルの場合、剪断力の付与は、回転数200rpm〜600rpmで行なわれることが好ましく、回転数300rpm〜550rpmで行なわれることがより好ましい。遊星型ボールミルにおける回転数が上記範囲である場合の処理時間としては、1時間以上処理することが好ましく、3時間以上処理することがより好ましく、5時間以上処理することがさらに好ましい。処理時間の上限には特に制限はないが、製造効率の観点からは、処理時間は24時間以下であることが好ましい。
他の好ましい剪断力付与装置の例であるビーズミルの場合、剪断力の付与は、周速3m/s〜20m/sで行なわれることが好ましく、周速5m/s〜15m/sで行なわれることがより好ましい。ビーズミルにおける回転数が上記範囲である場合の処理時間としては、1時間以上処理することが好ましく、3時間以上処理することがより好ましく、5時間以上処理することがさらに好ましい。処理時間の上限には特に制限はないが、製造効率の観点からは、処理時間は24時間以下であることが好ましい。
既述の分散物調製工程を経て、本発明の分散組成物を得ることができる。
なお、その他の成分は、成分が有する特性によって、油性又は水性の添加成分として、本発明の分散組成物に含有させることができる。
本発明のエラグ酸分散組成物は、エラグ酸を含む固体粒子の粒子径が微細であり、固体粒子の分散安定性に優れ、長期間保存しても経時による色味の変化が抑制されるため、エラグ酸の抗酸化性等の諸機能の発揮が期待される化粧料などの皮膚外用剤、飲食品等に好適に使用することができる。
さらに、エラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径を50nm以下とすることで、エラグ酸の経皮吸収効率、体内吸収効率がより高まり、エラグ酸の効果が顕著に発現されることが期待できる。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。なお、特に断らない限り、以下の実施例において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
[実施例1〜実施例18、比較例1〜比較例3]
表1〜表3に示す組成にて、各成分を混合し、25℃においてスターラーで5分間撹拌して混合物を得た。なお、表中の数値は各成分の含有量(%)を表す。
遊星型ボールミル P−7(フリッチュ・ジャパン(株))のベッセル(容量:45cm)に、得られた混合物20gを秤量し、分散メディアとして0.1mmYTZ(登録商標)ボール(ジルコニアボール、(株)ニッカトー)80gと秤量した混合物20gとを投入し、500rpmで6時間分散して、実施例1〜実施例16、及び比較例1の分散組成物を調製した。
実施例17の分散組成物の調製では分散時間を3時間とした。実施例18の分散組成物の調製では、分散時間を1時間とした。比較例2及び比較例3の分散組成物の調製では、分散時間を30分間とした。
[評価]
上記で得られた実施例1〜実施例18、比較例1〜比較例3の分散組成物について、以下の評価を行った。
(1)エラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径
マイクロトラックUPA−150EX(商品名、日機装社製)を用いて、分散組成物を測定器にセットし、25℃で均一に攪拌し、サンプルローディング値を1〜5になることを確認後、測定を開始し、測定時間:60秒で測定した。各試料の測定回数は1回とした。既述の条件で測定を行って体積基準での粒子径分布を求め、体積平均粒子径(Mv値)を決定し、平均粒子径とした。結果を表1〜表3に示す。
(3)色味及び色味の変化
実施例1〜実施例18、比較例1〜比較例3の各分散組成物について、まず、調製直後の分散組成物の色味を観察した。結果を表1〜表3に示す。
得られた分散組成物を、50℃にて1週間保管した試料と、5℃にて1週間冷蔵保管した試料とを準備した。
なお、5℃にて1週間冷蔵保管した分散組成物は、調製直後の分散組成物との対比において、目視による色味の変化が観察されないことを確認し、1週間冷蔵保管した分散組成物を色味変化の対照例として使用した。
5名のモニターが、50℃保管試料と冷蔵保管試料とを目視にて対比し、5名それぞれが、色味の変化を以下の基準により評価した。
色味変化なし:3点
わずかに色味変化あり:2点
明らかに色味変化あり:1点
5名のモニターの評価の合計点を求め、以下の基準により色味変化を評価した。評価結果を表1〜表3に示す。
以下のランクにおいて、ランクA〜ランクCが実用上問題のないレベルである。
A:15点
B:13点〜14点
C:10点〜12点
D:6点〜9点
E:5点
(4)分散安定性
実施例1〜実施例18、比較例1〜比較例3の各分散組成物について、ガラス製の容器に入れ、50℃にて1週間保存した後の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。観察は、分散組成物における沈殿発生の有無、及び、分散組成物に沈殿が生じた場合、沈殿の上部の液状部分(以下、上澄み液と称する)の外観全体を観察し、上澄み液の色味濃度の均一性について行なった。分散組成物の分散安定性が低下すると、沈殿が生じたり、上澄み液の外観において、上部の濃度が薄く、下部の濃度が濃くなる濃度勾配が生じたりする。評価結果を表1〜表3に示す。
以下のランクにおいて、ランクA〜ランクCが実用上問題のないレベルである。
A:分散組成物の外観の全体が均一であり、沈殿物は認められない
B:容器底部にわずかに沈殿物が認められるが、上澄み液の外観は均一である
C:わずかに沈殿物が認められ、且つ、上澄み液の上層部の濃度低下がわずかに認められる
D:明らかに沈殿物が認められるか、又は、上澄み液上層部の濃度低下が明らかに認められる
E:多量の沈殿物が認められる



表1〜表3に示されるように、本発明の分散組成物はいずれも、分散組成物中のエラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径が微細であり、分散安定性に優れ、且つ、色味の変化が抑制されていることが明らかとなった。
また、実施例1〜実施例5と実施例6〜実施例12との対比より、特定界面活性剤の添加量及び分散条件が同水準である場合には、特定界面活性剤としてレシチンを含有することで、本発明の効果がより顕著であることが分かる。
(5)皮膚浸透性
エラグ酸分散組成物に含まれるエラグ酸の皮膚への浸透性を評価するため、実施例1及び比較例1の分散組成物を用いて評価を行なった。評価は、ヒト皮膚における拡散の予測が可能とされる経皮拡散評価用Strat−M(登録商標)メンブレン(商品名:メルクミリポア製)を用いた下記の拡散試験により行った。
ジャケット温度を37℃に設定したジャケット付きフランツセル(開口部直径11.28mm)を準備し、アクセプター(pH5.5リン酸緩衝液(buffer)90質量%とイソプロピルアルコール10質量%との混合液)をフランツセルに満たした後、Strat−Mメンブレンをセットし、Strat−Mメンブレン上に実施例1のエラグ酸分散組成物を0.2mL滴下した。滴下後、40時間経過した後に、アクセプターを採取し、アクセプター中のエラグ酸濃度を液体クロマトグラフィー法にて定量した。
同様の拡散試験を、比較例1のエラグ酸分散組成物を用いて行なった。
評価結果を図1に示す。図1は、経皮拡散評価用メンブレンとフランツセルとを用いて実施した上記拡散試験において、実施例1及び比較例1のエラグ酸分散組成物が含むエラグ酸のアクセプター中の濃度を示すグラフである。即ち、エラグ酸がメンブレンに吸着し、メンブレンを介して浸透し、アクセプター中に拡散した場合、アクセプターにおけるエラグ酸濃度が高くなる。従って、アクセプター中のエラグ酸濃度が高い程、エラグ酸分散組成物に含まれるエラグ酸の経皮浸透性に優れると評価する。
図1に示すように、実施例1のエラグ酸分散組成物を用いた拡散試験の結果、アクセプター中において顕著に高いエラグ酸濃度を示し、エラグ酸の浸透性に優れることが認められる。一方、比較例1のエラグ酸分散組成物を用いた場合、エラグ酸はアクセプター中に全く拡散しなかった。これは、比較例1のエラグ酸分散組成物の調製に用いた界面活性剤が高分子化合物であり、エラグ酸粒子が高分子化合物で覆われることでヒト皮膚類似のメンブレンである浸透膜表面への吸着、及びメンブレンを介しての浸透、アクセプター中への拡散が阻害されたためと推定される。一方、実施例1の分散組成物の調製に用いた界面活性剤は低分子化合物であり、エラグ酸粒子の浸透膜への吸着、及びメンブレンを介しての浸透、アクセプター中への拡散が阻害されず、浸透性が良好であったと推定される。

Claims (4)

  1. 水性媒体と、平均粒子径が200nm以下のエラグ酸を含む固体粒子と、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンフィトステロールからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、を含有するエラグ酸分散組成物。
  2. エラグ酸を含む固体粒子の平均粒子径が50nm以下である請求項1に記載のエラグ酸分散組成物。
  3. 界面活性剤がリン脂質から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1又は請求項2に記載のエラグ酸分散組成物。
  4. リン脂質が、レシチンを含む請求項3に記載のエラグ酸分散組成物。
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