JP2024021930A - 乳化組成物及び化粧料 - Google Patents

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純 荒河
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Abstract

【課題】グリチルレチン酸誘導体を含有し、透明性及び経時安定性に優れた乳化組成物を提供すること。【解決手段】下記(A)~(C)の成分:(A)一般式(1)で表されるグリチルレチン酸誘導体、(B)リン脂質、及び(C)水溶性界面活性剤、を含有し、かつリン脂質中のホスファチジルコリンの含有率が50質量%以上である乳化組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、乳化組成物及び化粧料に関する。
グリチルレチン酸ステアリル等のグリチルレチン酸誘導体が、抗炎症効果を有する薬剤として化粧料等に配合されている。グリチルレチン酸誘導体は油溶性薬剤であり、乳化組成物の粒子径を小さくしてナノ乳化することで浸透性が向上して大きな効果が期待できるが、乳化、特に乳化安定性の確保が非常に難しい素材である。
グリチルレチン酸誘導体は、通常はアルコールに溶けるため、エタノール高含有の化粧料に使用する場合が多いが、エタノール自身は肌荒れを引き起こすため、エタノールは出来るだけ低減する事が好ましい。
特許文献1は、(A)一般式(1)で表されるグリチルレチン酸誘導体、(B)トコフェロール及びその誘導体、並びに炭素数10~18の脂肪酸エステルから成る群より選ばれる少なくとも一種の油剤、(C)リン脂質、及び、(D)水溶性界面活性剤を含有し、かつ、一般式(1)で表されるグリチルレチン酸誘導体の含有量が0.5質量%以上10質量%以下である乳化組成物について開示している。
特許文献1では、グリチルレチン酸誘導体に、(B)、(C)、及び(D)成分を配合することで、透明性及び経時安定性に優れた乳化組成物を提供している。
特許文献2は、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基から成る群より選択される置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンと、レシチンと、を含む分散粒子を含有し、前記5環性トリテルペン量に対する前記レシチン中のリン脂質量が質量基準で2倍~10倍の範囲にあり、且つ前記分散粒子の体積平均粒子径が10nm~70nmである水性分散物について開示している。
特許文献2では、5環性トリテルペン量に対するレシチン中のリン脂質量を質量基準で2倍~10倍という高い含有量とすることにより、安定に分散され、且つ透明性、保存安定性、及び5環性のトリテルペンに由来する効果に優れた水性分散物を提供している。
特開2013-224290 特開2013-116880
グリチルレチン酸誘導体を含有し、透明性及び経時安定性に優れた、さらなる乳化組成物及び化粧料が必要とされている。
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.下記(A)~(C)の成分:
(A)下記一般式(1)で表されるグリチルレチン酸誘導体、
(B)リン脂質、及び
(C)水溶性界面活性剤、
を含有し、かつ
リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率が50質量%以上である乳化組成物。
(式(1)中、R及びRは、
が、-C1225、-C1429、-C1633、-C1837、又は-C2041を表し、且つRが水素原子を表すか、或いは、
が水素原子を表し、且つRが、-(C=O)C1123、-(C=O)C1327、-(C=O)C1531、又は-(C=O)C1735を表す。)
項2.トコフェロール、トコフェロール誘導体、及び炭素数10~18の脂肪酸エステルから成る群より選択される少なくとも一種をさらに含有する項1記載の乳化組成物。
項3.水溶性界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステルを含む項1又は2に記載の乳化組成物。
項4.リン脂質がレシチンを含む項1又は2に記載の乳化組成物。
項5.項1に記載の乳化組成物と、0.05質量%以上の水溶性ポリマーとを含有する化粧料。
項6.水溶性ポリマーがアニオン性水溶性ポリマーでない項5に記載の化粧料。
項7.水溶性ポリマーがセルロース誘導体及びポリエーテルウレタンから成る群より選択される少なくとも一つを含む項5に記載の化粧料。
本発明によれば、グリチルレチン酸誘導体を含有し、透明性及び経時安定性に優れた乳化組成物及びこれを含有する化粧料が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
乳化組成物
本発明の乳化組成物は、
下記(A)~(C)の成分:
(A)下記一般式(1)で表されるグリチルレチン酸誘導体、
(B)リン脂質、及び
(C)水溶性界面活性剤、
を含有し、かつ
リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率が50質量%以上である。
式(1)中、R及びRは、
が、-C1225、-C1429、-C1633、-C1837、又は-C2041を表し、且つRが水素原子を表すか、或いは、
が水素原子を表し、且つRが、-(C=O)C1123、-(C=O)C1327、-(C=O)C1531、又は-(C=O)C1735を表す。
(A)グリチルレチン酸誘導体
一般式(1)で表されるグリチルレチン酸誘導体は、油溶性薬剤として作用する。
一般式(1)で表されるグリチルレチン酸誘導体には、i)グリチルレチン酸の3位の水酸基を、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、又はエイコサン酸でエステル化させることより製造されるグリチルレチン酸エステル、及び、ii)グリチルレチン酸の20位のカルボキシル基を、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はエイコサノールでエステル化することにより製造されるグリチルレチン酸エステルが包含される。
一般式(1)中、Rが、-C1633、-C1837、又は-C2041を表し、且つ、Rが水素原子を表すグリチルレチン酸誘導体、或いは、Rが水素原子を表し、且つ、Rが、-(C=O)C1531、又は-(C=O)C1735を表すグリチルレチン酸誘導体が好ましい。更には、Rが、-C1837、且つ、Rが水素原子で表されるグリチルレチン酸ステアリルが最も好ましい。グリチルレチン酸ステアリルは、CAS番号13832-70-7の化合物であり、脂溶性物質である上に、一般的な油剤に対する相溶性の低い化合物である。グリチルレチン酸ステアリルは、従来、抗炎症、抗アレルギー剤として、石鹸、クリーム、乳液に用いられている。
グリチルレチン酸誘導体は、上記のエステル化反応により合成して得ることもできるし、市販品を利用することもできる。
本発明の乳化組成物におけるグリチルレチン酸誘導体の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。グリチルレチン酸誘導体に期待される抗炎症作用などの所望の効果を充分に発揮させるためには、下限値は0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。グリチルレチン酸誘導体の含有量の上限は、化粧料としての触感及び溶解性の観点から、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。
本発明の乳化組成物における、グリチルレチン酸誘導体の含有量はさらに好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下であり、最も好ましくは0.5質量%以上4.0質量%以下である。グリチルレチン酸誘導体の含有量が、上記の範囲であることで、グリチルレチン酸誘導体を高濃度に含有しながらも、高い透明性が長期間に亘って安定に維持することができる。また、本発明の透明性の高い乳化組成物を、その好適な用途の一つである化粧料に適用した場合においては、グリチルレチン酸誘導体を高濃度に含有しながらも、優れた経時安定性が得られる。
(B)リン脂質
リン脂質は、ホスファチジルコリンを含み、リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率が50質量%以上である。リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率が50質量%未満であると、乳化組成物の透明性及び経時安定性が損なわれる。リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率が50質量%以上であると、乳化組成物の透明性及び経時安定性が向上する。
リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率の上限値は、好ましくは100質量%以下である。
リン脂質は、ホスファチジルコリン以外のグリセロリン脂質を含んでもよい。そのようなグリセロリン脂質としては、例えば、ホスファチジン酸、ビスホスアチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセリン、ジホスファチジルグリセリン(カルジオリピン)等が挙げられ、これらを含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンを挙げることができる。
レシチンは、グリセロリン脂質の一種で、自然界の動植物のすべての細胞中に存在しており、生体膜の主要構成成分である。工業的には、大豆と卵黄を原料として得られた大豆レシチン及び卵黄レシチンが製造及び市販されている。
大豆レシチンは、大豆油精製工程で副生する油滓を乾燥、精製することにより製造される。通常、リン脂質含量が70質量%以下であるペースト状レシチンは、大豆粗油を30質量%程度含むが、安価なため、特に食品分野ではほとんどこのペースト状のレシチンが用いられる。また、近年では、リン脂質自体の生理活性や、より高度な乳化剤へのニーズから、高度精製、分別、酵素分解などの技術が加えられ、性能、機能の異なる種々のレシチン群が作られている。
高度精製レシチンは、上記ペースト状レシチンから、アセトン等の溶媒を用いて脱油し、粉末化したもので、一般にレシチン含量が90質量%以上となっている。この高度精製レシチンの例としては、フォスフォリポン20(リポイド社)、レシオンP(理研ビタミン株式会社)、SLPホワイト(辻製油株式会社)、エマルメティック300(ルーカスマイヤーコスメティックス社)などが市販されている。
分別レシチンは、上記高度精製レシチンに対して、各種溶媒への溶解度差を利用したり、蒸留等の操作を行なうことにより、特定のリン脂質の含有量を高めたものであり、一般には、フォスファチジルコリン含量を高めたものが市販されている。フォスファチジルコリン含量を高めた分別レシチンの例としては、フォスフォリポン85G(PC含量:80質量%)、フォスフォリポン90G(PC含量:94質量%)、Lipoid P75(PC含量68-73%)、Lipoid P100(PC含量90%以上)(以上、リポイド社)、エメルメティック900(PC含量:50質量%)、エメルメティック930(PC含量:95質量%)(以上、ルーカスマイヤーコスメティックス社)、SLP-PC70、SLP-PC90(以上、辻製油株式会社)などが市販されている。
本発明におけるリン脂質は、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。リン脂質としては、乳化組成物の透明性及び経時安定性の観点から、分別レシチンが好ましい。レシチンを含有することで、乳化組成物の透明性及び経時安定性がより向上する。
本発明の乳化組成物におけるリン脂質の含有量は、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.2質量%~8質量%がより好ましく、1質量%~4質量%がさらに更に好ましい。リン脂質の含有量を0.1質量%以上とすることにより、乳化組成物の乳化安定性がより良好となる傾向がある。また、リン脂質の含有量を10質量%以下とすることにより、過剰なリン脂質が油性成分から離れて水中にリン脂質分散体を形成することなく、乳化組成物の乳化安定性が得られる点から好ましい。
また、本発明の乳化組成物中の(B)リン脂質の含有量の(A)グリチルレチン酸誘導体の含有量に対する質量比は、0.01~5であることが好ましい。乳化組成物中の、ホスファチジルコリンの量の(A)グリチルレチン酸誘導体の含有量に対する質量比は、0.01~1.5であることが好ましく、0.05~1.0であることがより好ましい。
(C)水溶性界面活性剤
水溶性界面活性剤は、乳化組成物中の油相/水相の界面張力を下げ、その結果、乳化組成物の粒子径を細かくするために使用される。
水溶性界面活性剤としては、経時安定性の観点から、HLB8以上のものが好ましく、10以上のものがより好ましく、12以上のものが特に好ましい。またHLB値の上限値は、特に限定されないが、一般的には、20以下であり、18以下が好ましい。
HLBは、通常界面活性剤の分野で使用される親水性-疎水性のバランスで、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。本発明においては、下記の川上式を採用する。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
ここで、Mwは親水基の分子量、Moは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の界面活性剤を得ることができる。
水溶性界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、両性、非イオン性の各界面活性剤を挙げることができ、特に限定されないが、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。水溶性界面活性剤は、1種類でもよいし、または2種類以上を組み合わせてもよい。
乳化性及び経時安定性の点から、水溶性界面活性剤は、より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、最も好ましくは、水溶性界面活性剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均重合度が2以上(好ましくは6~15、より好ましくは8~10)のポリグリセリンと、炭素数8~18の脂肪酸(例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸から選択される脂肪酸)とのエステルであることが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、より好ましくは、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=12)、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル(HLB=13)、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB=14)、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=16)などである。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルを、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が12以上のものが好ましく、12~20のものがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステルがより好ましい。本発明においては、これらのショ糖脂肪酸エステルを、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらのソルビタン脂肪酸エステルを、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸の炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。またポリオキシエチレンのエチレンオキサイドの長さ(付加モル数)としては、2~100が好ましく、4~50がより好ましい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ポリオキシエチレンモノカプリル酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセキステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンセスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
水溶性界面活性剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の乳化組成物における水溶性界面活性剤の含有量は、0.5質量%~30質量%が好ましく、1質量%~20質量%がより好ましく、2質量%~15質量%が更に好ましい。水溶性界面活性剤量を0.5質量%以上含有することは、所定量のグリチルレチン酸誘導体の溶解性を向上させると共に、油相/水相間の界面張力を下げ易い点で好ましい。また、30質量%以下とすることは、界面活性剤を過剰量としない点で好ましい。
(D)トコフェロール及びトコフェロールその誘導体
本発明の乳化組成物は皮膚に対する抗酸化等の目的で、トコフェロール及びトコフェロールその誘導体のうちの少なくとも一種をさらに含有してもよい。
一方で本発明において乳化組成物は透明性が高いことが好ましく、吸光度(濁度)を指標として評価することができる。乳化組成物の濁度を低減するために、乳化組成物に含まれる分散粒子の粒子径を小さくし、且つ、粒子数を少なくすることが好ましい。このためには、水の屈折率より高い屈折率を有する油剤の含有量を、少なく抑えることが好ましい。
本発明でトコフェロール誘導体は屈折率を調整するためにも使用することができる
トコフェロール及びその誘導体は、後述する炭素数10~18の脂肪酸エステルに比して油剤としての屈折率は高いものの、グリチルレチン酸誘導体の溶解性が極めて高い油剤である。
本発明におけるトコフェロール及びその誘導体は、トコフェロール及び基本骨格をトコフェロールとした誘導体を指し、具体的には、トコフェロールの異性体であるα、β、γ、及びδトコフェロール、トコフェロールが有するOH基が脂肪酸で修飾された酢酸トコフェロール、基本骨格をトコールとするトコトリエノール等が挙げられる。
トコフェロール及びその誘導体の由来は特に限定されず、具体的には、ひまわり、とうもろこし、オリーブ、菜種、大豆、落花生、アーモンドでもよい。
本発明におけるトコフェロール及びその誘導体としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、又はトコトリエノールをより好ましく用いることができる。
トコフェロール及びその誘導体は、単独でも2種以上を組合せてもよい。
乳化組成物中のグリチルレチン酸誘導体の含有量が、0.5質量%以上5.0質量%以下である場合、成分(D)は、酢酸トコフェロール、トコフェロール及びトコトリエノールから成る群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の乳化組成物が成分(D)を含有する場合、含有量は、0.1質量%~5質量%が好ましい。
本発明の乳化組成物においては、含有する成分の溶解性を高め、乳化性や経時安定性を改善する目的で、(E)油剤を含有することができる。
本発明で使用することのできる油剤としては特に限定は無く、油剤の例として、脂肪酸グリセリド、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、アミノ酸エステル、又はこれらの2以上の組み合わせ等を用いることができる。
好適に用いられる油剤は、グリチルレチン酸誘導体を高濃度で溶解でき、且つ、屈折率の低い油剤である。そのような油剤の特性は、グリチルレチン酸誘導体に対する溶解性と屈折率との関係から、下記の油剤I及び油剤IIに大別される。
油剤I : グリチルレチン酸誘導体の溶解性に優れるが、油剤IIより屈折率が高い油剤。
油剤II: グリチルレチン酸誘導体の溶解性は油剤Iより劣るが、屈折率が低い油剤。
油剤Iを用いた場合、グリチルレチン酸誘導体の溶解性が高いため、乳化組成物における油剤の含有量を抑制できることから、濁度の低減が期待できる。油剤IIを用いた場合、油剤自体の屈折率が低いため、濁度の低減が期待できる。
油剤Iにはトコフェロール及びその誘導体が該当し、油剤IIには炭素数10~18の脂肪酸エステルが該当する。
油剤I及び油剤IIは、乳化組成物中にいずれか一方のみが含有されてもよいし、双方が併用されてもよい。また、油剤I又は油剤IIに包含される化合物は、1種でもよいし、2種以上が併用されてもよい。
脂肪酸グリセリドとしては、脂肪酸がグリセロールとエステル結合した、モノ、ジ又はトリグリセリドであって、構成する脂肪酸部分が炭素数6~18の直鎖、若しくは分岐脂肪酸に由来するものであることが好ましい。
脂肪酸グリセリドとしては、トリエチルヘキサノイン、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミトレイン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸グリセリル、グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジパルミトレイン酸グリセリル、ジパルミチン酸グリセリル、ジリノール酸グリセリル、ジリノレン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。
上記脂肪酸グリセリドの中でも、乳化組成物の安定性の観点から、トリリノール酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、又はトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ジリノール酸グリセリル、ジリノレン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジカプリル酸グリセリル、又はジカプリン酸グリセリルがより好ましい。
また、本発明には、脂肪酸グリセリドを含む植物油脂、動物油脂を使用することができる。例えば、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーシミック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、綿実油、エノ油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油) 、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては炭素数10~18の脂肪酸エステルが、前記油剤IIに包含される特定油剤であり好ましい。炭素数10~18の脂肪酸エステルは、前記トコフェロール及びその誘導体に比してグリチルレチン酸誘導体の溶解性は小さいが、屈折率が低い油剤である。
炭素数10~18の脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、カプリン酸、セバシン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオスステアリン酸などが挙げられ、好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、又はセバシン酸が挙げられる。また、脂肪酸に反応させるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどの一価のアルコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。該アルコールは、直鎖であっても、分岐を有していてもかまわない。
炭素数10~18の脂肪酸エステルとしては、グリチルレチン酸誘導体の溶解性及び屈折率の低さの観点から、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、カプリン酸プロピレングリコール、又はジカプリン酸プロピレングリコールが好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、又はセバシン酸ジイソプロピルが更に好ましい。
高級アルコールとしてはベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セタノールなどをあげることができる。
アミノ酸エステルとしては、グルタミン酸骨格を有するエステルであるラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル、ラウロイルグルタミン酸ジイソステアリル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ビス(ヘキシルデシル/オクチルドデシル)、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル/イソステアリル)、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス-2、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス-5、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス-2、又はラウロイルグルタミン酸ジステアレス-5が好ましく、ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル、ラウロイルグルタミン酸ジイソステアリル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ビス(ヘキシルデシル/オクチルドデシル)、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、又はララウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)が更に好ましい。
本発明の乳化組成物が成分(E)を含有する場合、含有量は、0.1質量%~5質量%が好ましい。
油剤である成分(A)、(D)及び(E)の合計含油量は、本発明の乳化組成物の濁度を低く抑え、且つ、乳化組成物を化粧料に適用した際に、化粧料使用感を向上させる観点から、乳化組成物の総量に対して、0.5質量%~35質量%が好ましい。
他の油性成分の例としては、化粧品、食品などに使用した際に有用な効果を示す油性成分が挙げられる。そのような油性成分は、化学構造面からは、油脂類、炭化水素類、ロウ類、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質類などに分類することができる。また、他の油性成分としては、それらの混合物である、各種の植物油、動物油も含まれる。
これらの他の油性成分の具体的な例としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸類、コレステロール、フィトステロールなどのステロール類、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどのエステル類、スクワラン、水添ポリデセン、水添ポリイソブテンなどの炭化水素類が挙げられる。
また、特徴のある機能を有する油性成分としては、βカロテン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、リコピン、ルテインなどのカロテノイド類、コエンザイムQ10などのユビキノン類、EPA、DHA、リノレン酸などのω-3油脂類なども含むことができる。
更に、保湿機能を持った油性成分の例としては、セラミドI、セラミドII、セラミドIII、セラミドV、セラミドVIなどの活性セラミド類、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミドなどのスフィンゴ糖脂質類、スフィンゴミエリン類、疑似セラミド類なども含むことができる。
(F)多価アルコール
本発明の乳化組成物は、透明性、経時安定性、及び防腐性の観点から多価アルコールを含有することが好ましい。
多価アルコールは、保湿機能や粘度調整機能等を有している。また、多価アルコールは、水と油脂成分との界面張力を低下させ、界面を広がりやすくし、微細で、且つ、安定な微粒子を形成しやすくする機能も有している。以上より、乳化組成物が多価アルコールを含有することは、乳化粒子径をより微細化でき、且つ、粒子径が微細な粒子径の状態のまま長期に亘り安定して保持できるとの観点から好ましい。また、多価アルコールの添加により、乳化組成物の水分活性を下げることができ、微生物の繁殖を抑えることができる。
本発明における多価アルコールとしては、二価以上のアルコールであれば特に限定されず用いることができる。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらの多価アルコールを、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
多価アルコールとしては、その1分子中における水酸基の数が、3個以上であるものを用いることが好ましい。これにより、水性媒体と油性成分との界面張力をより効果的に低下させることができ、より微細で、且つ、安定な乳化組成物を形成することができる。その結果、本発明の乳化組成物を化粧料に適用した場合において、経皮吸収性をより高いものとすることができる。
上述したような条件を満足する多価アルコールの中でも、特に、グリセリンを用いた場合、乳化組成物の粒子径がより小さくなり、且つ、粒子径が小さいまま長期に亘り安定して保持されるため、好ましい。
多価アルコールの含有量は、乳化組成物が示す透明性、経時安定性、及び防腐性に加えて、乳化組成物の粘度の観点から、組成物の全量に対して10質量%~60質量%が好ましく、20質量%~55質量%がより好ましく、30質量%~50質量%が更に好ましい。
多価アルコールの含有量が10質量%以上であると、油性成分の種類や含有量等によっても、十分な保存安定性が得られ易い点で好ましい。一方、多価アルコールの含有量が60質量%以下であると、最大限の効果が得られ、乳化組成物の粘度が高くなるのを抑え易い点で好ましい。
(G)水
本発明の乳化組成物は、好ましくは水を含有する。水の含油量は、組成物全量に対して20質量%~75質量%が好ましく、20質量~50質量%以下がより好ましい。
(H)その他の添加成分
本発明の乳化組成物は、上記成分の他、食品、化粧品等の分野において通常用いられる添加成分を、その形態に応じて適宜含有してもよい。
例えば、その他の添加成分としては、グルコース、ショ糖、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストリン等の単糖類又は多糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトールなどの糖アルコール;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチン等の分子量5000超のタンパク質;グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、メチオニン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸及びそれらの誘導体;カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化エチレン・酸化プロピレンブロック共重合体等の合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース・メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;フラボノイド類(カテキン、アントシアニン、フラボン、イソフラボン、フラバン、フラバノン、ルチン)、アスコルビン酸又はその誘導体(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸リン酸エステル、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、硫酸アスコルビル、硫酸アスコルビル2ナトリウム塩、及びアスコルビル-2-グルコシド等)、トコトリエノール及びその誘導体、フェノール酸類(クロロゲン酸、エラグ酸、没食子酸、没食子酸プロピル)、リグナン類、クルクミン類、クマリン類、プテロスチルベン等を含むヒドロキシスチルベン、などを挙げることができる。これらの添加成分は、その機能に基づいて、例えば機能性成分、賦形剤、粘度調整剤、ラジカル捕捉剤などとして含まれてもよい。
その他、本発明においては、例えば、種々の薬効成分、pH調整剤、pH緩衝剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、着色剤など、通常、その用途で使用される他の添加物を併用することができる。
本発明の乳化組成物は、好ましくはγ-オリザノールを含有しない。
乳化組成物の製造方法
本発明の乳化組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法に従い製造することができる。例えば、a)水性媒体に、HLBが12以上の界面活性剤、水溶性成分を溶解させて、水相を得ること、b)リン脂質、油剤、油性成分を混合又は溶解して、油相を得ること、c)攪拌下で水相と油相を混合して、乳化分散を行い、乳化組成物を得ること、を含む製造方法が好ましい。
乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されるものではないが、油相/水相比率(質量%)として0.1/99.9~50/50が好ましく、0.5/99.5~30/70がより好ましく、1/99~20/80が更に好ましい。油相/水相比率を0.1/99.9以上とすることにより、有効成分が低くならないため乳化組成物の実用上の問題が生じない傾向となり好ましい。また、油相/水相比率を50/50以下とすることにより、界面活性剤濃度が薄くなることがなく、乳化組成物の経時安定性が保たれるため好ましい。
乳化分散は、1ステップの乳化操作を行ってもよいが、2ステップ以上の乳化操作を行うことが均一で微細な乳化粒子を得る点から好ましい。具体的には、剪断作用を利用する通常の乳化装置(例えば、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等)を用いて乳化するという1ステップの乳化操作に加えて、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を通して乳化する等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのが特に好ましい。高圧ホモジナイザーを使用することで、乳化物を更に均一な微粒子の液滴に揃えることが出来る。また、更に均一な粒子径の液滴とする目的で複数回行っても良い。
本発明の乳化組成物は、適宜pH調整剤を使用することができる。pH調整剤により調整された本発明の乳化組成物のpH値は、4~10の範囲であることが好ましい。
pH調整剤は、乳化組成物を調製する前及び後のいずれに使用してもよい。pHの変動幅を小さくして、より緩和な条件でpHを調整することが可能である点から、pH調整剤は、乳化組成物の調製前に使用することが好ましい。その際には、pH調整剤は、乳化組成物を調製する前の水相組成物、及び油相組成物のいずれに添加してもよい。
pH調整剤としては、無機酸、有機酸、無機塩基及びそれらの塩を用いてもよく、具体的には、クエン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸、トリフルオロ酢酸、モルホリノエタンスルホン酸、2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸のような有機酸とその塩;トリス(ヒドロキシメチル)、アミノメタン、アンモニアのような有機塩基;塩酸、過塩素酸、炭酸のような無機酸とその塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムのような無機塩基;リン酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのような無機水素塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
化粧料
本発明の乳化組成物は、化粧料用途などに適用することができる。
本発明の化粧料は、例えば、本発明の乳化組成物及び必要に応じて添加成分を、スターラーやインペラー攪拌、ホモミキサーなどを用いて、混合等して得ることができる。
かかる添加成分として、例えば水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーは、水相の分散安定性を高め、高温及び低温安定性を向上させるために添加される。
水溶性ポリマーとしては、カチオン性水溶性ポリマー、非イオン性水溶性ポリマー、及び両性水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーは、化粧料とした場合の透明性や経時安定性の理由から、アニオン性水溶性ポリマーではないことが好ましく、非イオン性水溶性ポリマーが好ましい。アニオン性水溶性ポリマーは、レシチン等の共存する材料との相互作用により乳化組成物の安定性に影響がある可能性がある。
非イオン性水溶性ポリマーの例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、会合性ノニオンポリマー(疎水変性ポリエーテルウレタン、疎水変性セルロース誘導体等)、ポリサッカライド及びその誘導体(グアーガム、ローカストビーンガム、デキストラン等)等が挙げられる。好ましくは、水溶性ポリマーはセルロース誘導体及びポリエーテルウレタンから成る群より選択される少なくとも一つを含む。
これらの水溶性ポリマーは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
化粧料中における水溶性ポリマーの含有量は、好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値は、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。具体的な含有量範囲は、好ましくは0.05~4質量%、より好ましくは0.1~2質量%である。
化粧料としては、化粧水、美容液、乳液、クリームパック・マスク、パック、洗髪用化粧品、フレグランス化粧品、液体ボディ洗浄料、UVケア化粧品、防臭化粧品、オーラルケア化粧品等(化粧品の場合)などの化粧料が挙げられる。本発明の乳化組成物は、透明性が要求される水性の化粧料に特に好適に適用される。
化粧水、美容液については、一般的に透明性を有することが求められ、その経時変化後も透明で安定していることが要求される。
本明細書において、「透明性」は濁度を指標として評価される。濁度は、波長600nmの光を用いて、分光光度計を用いて25℃にて測定した吸光度により規定される。
本明細書において、「経時安定性」は、時間経過前後の濁度の変化率 ((時間経過後の濁度)/(時間経過前の濁度*100(%)を測定することにより評価することができる。
本発明の乳化組成物を含有する化粧料は、波長600nmの光を用いて測定した吸光度(濁度)が好ましくは0.001~0.2であり、より好ましくは0.001~0.175である。
化粧料における濁度を抑える観点から、化粧料に配合される乳化組成物の量を少なくすることが好ましい。かかる観点から、本発明の化粧料における乳化組成物の配合量が、化粧料の全質量に対して10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1 乳化組成物の調製および評価
1.乳化組成物の調製
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物を得た。
・SLP-PC70 *1 3.6g
・NIKKOL Decaglyn 1-ISV *2 2.0g
・グリセリン 46.8g
・純水 33.7g
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
・グリチルレチン酸ステアリル 2.0g
・酢酸-DL-トコフェロール 2.0g
・ココナードMT*3 2.0g
・1,3-ブタンジオール 10.0g
*1 辻製油株式会社 ホスファチジルコリンを70%含有する分別レシチン
*2 花王株式会社 成分:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
*3 日光ケミカルズ株式会社 モノイソステアリン酸デカグリセリル
水相組成物を攪拌した状態に維持しながら、油相組成物を加えた後、高圧ホモジナイザーを用いて4分間分散することで予備乳化物を得た。
続いて、得られた予備乳化物を約60℃まで冷却し、湿式微粒化装置 スターバースト HJP-25001(株式会社スギノマシン)を用いて、245MPaの圧力で高圧乳化を行った。
その後、得られた乳化組成物を平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過し、80℃で30分加熱滅菌することで実施例1の乳化組成物を調製した。
比較例1の乳化組成物は、実施例1のSLP-PC70の代わりに、SLP-ホワイト(辻製油株式会社、ホスファチジルコリンを32%含有する大豆レシチン)を用いて調製した(表1)。
また、実施例1のSLP-PC70及びその他の油性分を表1の通りに変更し実施例2~5、及び比較例2~3の乳化組成物を調整した。
2.乳化組成物の評価
上記で得られた各グリチルレチン酸誘導体含有乳化組成物の、濁度、経時安定性を評価をした。詳細は以下の通りである。
2-1.初期濁度の評価
実施例及び比較例の各グリチルレチン酸誘導体含有乳化組成物 1.0gを、それぞれ、9.0の純水に添加して、マグネッチックスターラーを用いて、10分間攪拌を行い、水稀釈液を得た。
得られた各乳化組成物の水希釈液を用い、調製直後の濁度の指標として500nmにおける吸光度を、分光光度計(V-750、株式会社日本分光製)を用いて、25℃にて測定し、下記基準で評価した。
初期濁度の評価基準
合格:0.15より大きく0.2以下
不合格:0.2より大きい
2-2.経時安定性評価
経時安定性の評価(透明性の持続性)は、各グリチルレチン酸誘導体含有乳化組成物を25℃で1ヶ月経時させた後における濁度を、初期濁度と同様にして吸光度で測定し、初期濁度からの吸光度の変化率A(%)を、下記式に基づき求め、下記基準で評価した。
変化率A(%)=25℃で1ヶ月間経時させた後の吸光度/初期の吸光度×100
変化率A(%)が100%に近い程、乳化組成物は経時安定性に優れることを示す。
評価基準
〇:125%未満
△:125%以上200%未満
×:200%以上
以上の結果を下記表1に示す。各成分の単位はgである。
実施例2.化粧料の調製例
1.化粧料の調製
実施例1の乳化物を用いて表2の組成で化粧料を作成した。各成分の単位はgである。
各試薬の製造業者は以下の通りである。
Pemluren TR-1 2%水溶液 Lubrizol
非イオン水溶性ポリマー液 90SH15000 メトローズ(登録商標) ヒドロキシプロピルメチルセルロース 信越化学工業株式会社
非イオン水溶性ポリマー液 アデカノールGT700 (PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー 株式会社ADEKA
Zemea Select Propanediol DuPont Tate & Lyle Bio Products
化粧品用濃グリセリン 花王株式会社
Hydrorite-5 green Symrise
ハイソルブ EPH 東邦化学株式会社
sensiva SC50 JP 成和化成株式会社
レシノール SH50 日光ケミカルズ株式会社
Neosolue-Aqulio 日本精化株式会社
エマノーンHC60 花王株式会社
1,3-ブチレングリコール 株式会社ダイセル
クエン酸 磐田工業株式会社
2. 化粧料の評価
2-1.初期濁度の評価
各化粧料をそのまま用い、調液直後の濁度の指標として600nmにおける吸光度を、分光光度計(V-750、株式会社日本分光製)を用いて、25℃にて測定し、下記基準で評価した。クロスポリマー及び非イオン性水溶性ポリマーは溶解して添加した。
また、各化粧料を25℃で1ヶ月経時させた後における濁度を、初期濁度と同様にして吸光度で測定した。
濁度の評価基準
〇:0.2未満
△:0.2以上0.5未満
×:0.5以上
実施例1の乳化物とさらに非イオン性水溶性ポリマーを含む化粧料1,2は、さらに非イオン性ポリマーを含まない化粧料3よりも透明性に優れた化粧料であることが分かった。

Claims (7)

  1. 下記(A)~(C)の成分:
    (A)下記一般式(1)で表されるグリチルレチン酸誘導体、
    (B)リン脂質、及び
    (C)水溶性界面活性剤、
    を含有し、かつ
    リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率が50質量%以上である乳化組成物。
    (式(1)中、R及びRは、
    が、-C1225、-C1429、-C1633、-C1837、又は-C2041を表し、且つRが水素原子を表すか、或いは、
    が水素原子を表し、且つRが、-(C=O)C1123、-(C=O)C1327、-(C=O)C1531、又は-(C=O)C1735を表す。)
  2. トコフェロール、トコフェロール誘導体、及び炭素数10~18の脂肪酸エステルから成る群より選択される少なくとも一種をさらに含有する請求項1記載の乳化組成物。
  3. 水溶性界面活性剤がポリグリセリン脂肪酸エステルを含む請求項1又は2に記載の乳化組成物。
  4. リン脂質がレシチンを含む請求項1又は2に記載の乳化組成物。
  5. 請求項1に記載の乳化組成物と、0.05質量%以上の水溶性ポリマーとを含有する化粧料。
  6. 水溶性ポリマーがアニオン性水溶性ポリマーでない請求項5に記載の化粧料。
  7. 水溶性ポリマーがセルロース誘導体及びポリエーテルウレタンから成る群より選択される少なくとも一つを含む請求項5に記載の化粧料。
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