JP2016079876A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】給電用ブラシの摩耗粉が角度検出手段に付着する不具合を抑制して、該角度検出手段について良好な検出精度を確保し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。【解決手段】給電用ブラシ47a,47bを、角度センサ60のターゲット64の鉛直方向直上にて該ターゲット64と重合しない周方向位置に配置したことで、重力により降下した給電用ブラシ47a,47bの摩耗粉がターゲット64へと付着してしまう不都合が抑制され、角度センサ60について良好な検出精度を確保することができる。【選択図】図7

Description

本発明は、電動アクチュエータの回転力に基づいたバルブタイミング制御に供するバルブタイミング制御装置に関する。
従来のバルブタイミング制御装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
すなわち、このバルブタイミング制御装置では、電動モータの前端側に給電プレートが配置されると共に、該給電プレートの外側がカバー部材により覆われていて、給電プレートの外側面に設けられたスリップリングに対してカバー部材の有する保持孔に摺動自在に設けられた給電ブラシを接触させることで、電動モータに対する給電が行われるようになっている。
そして、カバー部材とモータ出力軸との軸方向間には、モータ出力軸の先端に固定された被検出部と、該被検出部に対し所定の軸方向隙間を介してカバー部材に対向配置された検出部と、からなるいわゆる電磁誘導型の角度検出手段が設けられ、該角度検出手段でもってモータ出力軸の回転角度を検出することで、電動モータの駆動制御に供されている。
特開2013−036401号公報
しかしながら、前記従来のバルブタイミング制御装置では、給電用ブラシがカバー部材の鉛直方向ほぼ上端部に配置された構成となっているため、給電用ブラシと保持孔との摺接により発生する摩耗粉が重力に基づいて降下する際に、角度検出手段に付着してしまい、該角度検出手段の検出精度が低下してしまうおそれがあった。
本発明は、前記従来のバルブタイミング制御装置の実情に鑑みて案出されたもので、給電用ブラシの摩耗粉が角度検出手段に付着する不具合を抑制して、該角度検出手段について良好な検出精度を確保し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを目的としている。
本発明は、第1部材に対する第2部材の相対回転位置を変更することで、機関弁の作動特性を可変にする内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、モータ出力軸を回転させることで、前記第1部材に対し第2部材を相対回転させる電動モータと、前記モータ出力軸の回転を減速して前記第2部材に伝達することで、前記第1部材に対する前記第2部材を相対回転させる減速機構と、前記電動モータの先端側面に設けられたスリップリングと、前記電動モータの先端側面の少なくとも一部を覆うように設けられたカバー部材と、前記カバー部材に設けられ、前記スリップリングと接触する給電用ブラシと、前記モータ出力軸に設けられた被検出部と、前記カバー部材に設けられて所定の軸方向隙間を介して前記被検出部に対向配置された検出部とを有し、前記モータ出力軸の回転角度を検出する角度検出機構と、を備え、前記給電用ブラシが、前記被検出部の鉛直方向直上において該被検出部と重合しないように設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、給電用ブラシが被検出部の鉛直方向直上において該被検出部と重合しないように配置されていることから、給電用ブラシの摩耗粉が重力によって降下した場合でも、該摩耗粉が検出部に付着してしまう不具合を抑制することが可能となって、該角度検出手段の良好な検出精度を確保することができる。
本発明に係るバルブタイミング制御装置の第1実施形態を示す、該バルブタイミング制御装置の正面図である。 図1のA−A線断面図である。 図2に示すバルブタイミング制御装置を主要な構成要素に分解してなる分解斜視図である。 図2のB−B線断面図である。 図2のC−C線断面図である。 図3に示す給電プレートの背面図である。 図3に示すカバー部材の背面図である。 図7のD−D線断面図である。 図7のE−E線断面図である。 図2のF−F線断面図である。 図2に示す被検出部を現したもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。 図2に示す検出部を現したもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。 本発明に係るバルブタイミング制御装置の第2実施形態を現した、図7に相当する図である。 本発明に係るバルブタイミング制御装置の第3実施形態を現した、図7に相当する図である。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、下記の各実施形態では、当該バルブタイミング制御装置として、吸気弁側のバルブタイミング制御装置に適用したものを例示して説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図12は本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の第1実施形態を示し、このバルブタイミング制御装置11は、図1〜図3に示すように、内燃機関であるエンジンのクランクシャフト(図示外)から回転駆動力が伝達され、該クランクシャフトと同期して回転する第1部材(駆動回転体)としてのタイミングスプロケット13と、シリンダヘッド1に軸受B0を介して回転自在に支持されるカムシャフト2の一端部に固定され、該カムシャフト2と一体に回転する第2部材(従動回転体)としての従動部材14と、前記タイミングスプロケット13と前記従動部材14の間に介装され、機関の運転状態に応じて前記両者13,14の相対回転位相を変更する位相変更機構15と、該位相変更機構15の前端側を覆うように設けられるカバー部材12と、を備えている。
前記タイミングスプロケット13は、全体が鉄系の金属材料によって一体に形成されてなるもので、内周面が段差径状に形成されたスプロケット本体を構成する筒状基部13aと、該筒状基部13aの他端部外周に一体に設けられ、巻回される図示外のタイミングチェーンを介して前記クランクシャフトの回転駆動力が伝達される歯部13bと、から構成され、周知のボールベアリングである第1軸受B1を介して前記筒状基部13aの内周側に配置される従動部材14に回転自在に支持されている。そして、前記筒状基部13aの一端は後述する電動モータ21が配設されることにより該一端側開口が閉塞される一方、他端側開口については、前記タイミングスプロケット13と電動モータ21とを締結する複数の第1ボルトT1によって共締め固定されるほぼ円板状のストッパプレート16によって閉塞されている。
前記従動部材14は、その径方向中央位置に設けられる筒状基部17と、該筒状基部17の軸方向中間位置において径方向外側へと延出する円板部18と、該円板部18の軸方向一端部(後述の電動モータ21側の端部)に拡径状に、かつ電動モータ21側へと向かって軸方向に延設され、周方向において複数のローラ20を保持するローラ保持部19と、が一体に設けられている。そして、この従動部材14は、前記筒状基部17のカムシャフト2側の端部(後述する他端部17c)が当該カムシャフト2に突設された凸部2aに嵌合することにより、当該カムシャフト2との同軸性が確保された状態で、カムボルトT0をもってカムシャフト2に固定される。
前記筒状基部17は、その中央部に軸方向に沿って貫通する挿通孔17aが設けられ、その一端部(後述の電動モータ21側の端部)17bの外周面には、周知のニードルベアリングである第2軸受B2が嵌着される一方、その他端部(カムシャフト2側の端部)17cは、カムシャフト2に突設された凸部2aに嵌合する凹部として構成されている。また、この筒状基部17の一端側には、後述する出力軸部材26の回転支持に供する周知のボールベアリングである第3軸受B3が軸方向に隣接配置され、該第3軸受B3の内輪が筒状基部17の一端とカムボルトT0の頭部との間で挟持される構成となっている。
前記円板部18は、その周方向の所定位置に、カムシャフト2側から第2、第3軸受B2,B3等の潤滑に供する後述の油孔18aが貫通形成されている。また、この円板部18の外周面には第1軸受B1が嵌着され、該第1軸受B1によってタイミングスプロケット13が回転自在に支持されている。
前記ローラ保持部19は、ほぼ筒状に構成され、その周方向の所定位置には、それぞれ前記複数のローラ20の保持に供するローラ保持孔19aが貫通形成され、該各ローラ保持孔19aのそれぞれに各ローラ20を収容して回転自在に保持するようになっている。
前記ストッパプレート16は、図2、図5に示すように、その中央位置に、カムシャフト2の一端部を挿通させるシャフト挿通孔16aが貫通形成されている。そして、このシャフト受容孔16aの周方向の所定範囲には、カムシャフト2の一端部外周に切欠形成された円弧凹状の規制凹部2bに係入する規制凸部16bが突出形成されている。かかる構成から、当該規制凸部16bの各側端16c,16dがそれぞれ対向する前記規制凹部2bの各側端2c,2dと当接することによって、両者2,16の相対移動が規制されるようになっている。換言すれば、前記規制凹部2bの周方向幅の範囲内のみでもって、従動部材14とストッパプレート16との相対回転、すなわちタイミングスプロケット13とカムシャフト2との相対回転が許容される構成となっている。
前記位相変更機構15は、図2に示すように、従動部材14を介してカムシャフト2の同軸上に配設され、図示外の電子コントロールユニットからの制御電流によって回転駆動される電動アクチュエータであって、位相変更トルクの発生に供する電動モータ21と、該電動モータ21と従動部材14の間に介装され、前記電動モータ21の出力を減速して伝達する減速機構22と、から主として構成されている。なお、前記電子コントロールユニットについては、例えば図示外のクランク角センサやエアフローメータ、水温センサ、スロットルセンサなど各種センサ類から得られる機関運転状態に基づいて前記電動モータ21を駆動制御するようになっている。
前記電動モータ21は、ブラシ(後述する第1、第2ブラシ34a,34b)付きのDCモータであって、前記各第1ボルトT1によってタイミングスプロケット13に共締め固定され、該タイミングスプロケット13と一体回転する有底円筒状のヨーク23と、該ヨーク23の内周面に固定された固定子である円筒半割状の1対の永久磁石24a,24bと、該両永久磁石24a,24bの内周側に回転自在に設けられた回転子である電機子25と、該電機子25の内周側に一体回転可能に挿通固定され、前記電機子25の出力に供する出力軸部材26と、該出力軸部材26のヨーク23開口側に延出する一端部外周に設けられた整流子27と、前記ヨーク23の一端側開口を閉塞するかたちで設けられ、前記整流子27を介して電機子25(後述するコイル25b)への給電に供する給電機構28と、から主として構成されている。
前記ヨーク23は、タイミングスプロケット13の筒状基部13aとほぼ同じ外径に設定されてなる円筒部23aと、該円筒部23aのタイミングスプロケット13との対向端部に設けられた底壁部23bと、から構成されている。そして、前記底壁部23bの外側面によってタイミングスプロケット13の一端側開口を閉塞するように該タイミングスプロケット13に対して軸方向に直列に配置され、タイミングスプロケット13を貫通する前記各第1ボルトT1によりタイミングスプロケット13及びストッパプレート16と一体的に締結されると共に、前記円筒部23aの一端側開口が給電機構28(後述する給電プレート31)により閉塞されている。
また、前記底壁部23bのほぼ中央位置には、出力軸部材26が挿通する軸挿通孔23cが貫通形成され、該軸挿通孔23cを通じて従動部材14側へと臨んだ出力軸部材26の他端部が減速機構22に接続されている。なお、この軸挿通孔23cの減速機構22側の孔縁には、前記ヨーク23の内周側に形成されるモータ収容空間29を液密にシールする第1シール部材S1が設けられ、該第1シール部材S1によって、減速機構22側から前記モータ収容空間29への潤滑油の流入が抑止されている。
前記電機子25は、出力軸部材26の軸方向中間部外周に設けられた鉄心であるロータ25aと、該ロータ25aに巻回された複数のコイル25bと、によって構成され、前記各コイル25bが整流子27を介して給電プレート31と電気的に接続されることで通電可能となっている。
前記出力軸部材26は、従動部材14と対向する軸方向一端側のうち、内端側が前記第2軸受B2を介してカムボルトT0に支持されると共に、外端側が前記第2軸受B2を介して従動部材14に支持される構成となっている。また、この出力軸部材26の一端部には、当該軸部材26における他の軸方向領域とは軸心を異ならしめるように形成された、前記減速機構22の一部を構成する後述の偏心軸部30が一体に設けられている。
前記給電機構28は、ヨーク23の一端側開口を閉塞するように設けられ、整流子27を介して電機子25(コイル25b)に対しての給電に供する給電プレート31と、該給電プレート31の外側面を覆うように該給電プレート31に連係配置され、前記電子コントロールユニットからの制御電流を付与することで電動モータ21の駆動制御に供するカバー部材12と、から構成されている。
前記給電プレート31は、鉄系金属材料によりほぼ円板状に形成された芯材31aの内外両側面にそれぞれ樹脂製の絶縁部たる内側絶縁部31b及び外側絶縁部31cがモールド成形によって設けられてなるもので、前記芯材31aを介してヨーク23の一端側の開口端部にカシメ固定されている。
また、この給電プレート31には、図2、図6に示すように、芯材31aの周方向所定位置に切欠形成された異形状の2つの保持孔32a,32bの前記内側絶縁部31b側に金属製の1対のブラシホルダ33a,33bが取付固定されていて、これら各ブラシホルダ33a,33b内に、それぞれ整流子27に対して外周側から摺接可能に設けられた切換用ブラシ34a,34bと、該各ブラシ33a,33bを整流子27側に付勢するスプリング35a,35bと、が収容配置さている。
さらに、前記外側絶縁部31cには、カバー部材12に配設される後述の各給電用ブラシ47a,47bと対向する径方向位置に、1対のスリップリング36a,36bが内外周2重に設けられている。なお、これらスリップリング36a,36bは、前記各保持孔32a,32bを挿通するハーネス37a,37bをもって前記各切換用ブラシ34a,34bと電気的に接続されている。
前記カバー部材12は、図1、図2に示すように、電動モータ21(ヨーク23)よりも大径状に形成され、給電プレート31の外側面(外側絶縁部31c)を覆うかたちで対向配置されるほぼ円板状のカバー本体41と、該カバー本体41の外側部に嵌着され、該カバー本体41の前端部を覆うカバー部42と、から構成され、前記カバー本体41の外周部に設けられた複数のフランジ部43aを介して図示外のチェーンケースにボルト締結される。
前記カバー本体41は、図8、図9に示すように、合成樹脂材料により形成された樹脂部43と、該樹脂部43の内部に、この樹脂部43を構成する前記合成樹脂材料よりも線膨張係数の小さい金属材料により形成された芯材44と、が一体にモールド成形されることによって構成されている。
前記芯材44は、図8、図10に示すように、ほぼ円板状を呈し、そのほぼ中央位置に、後述する角度センサ60(筒状基部63)の挿通に供するほぼ円形状の挿通孔44aが貫通形成されると共に、該挿通孔44aの周域に、後述する各給電用ブラシ47a,47bの挿通配置等に供するほぼ矩形状の窓部44bが切欠形成されている。
前記両窓部44bは、特に図7に示すように、共に前記挿通孔44aの中心を通る水平線H上に、前記各スリップリング36a,36bと対向するかたちで径方向に沿って並列配置されている。すなわち、当該両窓部44bは、後述する角度センサ60の被検出部61を構成するターゲット64の鉛直方向直上において該ターゲット64と重合しない周方向位置であって、とりわけタイミングスプロケット13の回転方向Rが鉛直方向下側の成分Rdを有する周方向範囲Ad(図7参照)のうち、後述する給電用コネクタ43b及び通信用コネクタ43cに対して直交する、後述する角度センサ60のターゲット64と水平方向において重合するような周方向位置に設けられていて、各給電用ブラシ47a,47bの摩耗粉が重力によって降下しても当該摩耗粉が後述する角度センサ60のターゲット64に付着させない構成となっている。
前記樹脂部43は、図7〜図10に示すように、ほぼ円盤状を呈し、その外周縁部に、4つのフランジ部43aが突設されると共に、これら両フランジ部43a,43a間となるほぼ下端側位置に、それぞれほぼ角筒状に形成されてなる給電用コネクタ43b及び通信用コネクタ43cが鉛直下方側に向かって突出形成されている。そして、この樹脂部43の給電プレート31と対向する内側面には、1対のブラシ保持孔45a,45bが貫通形成され、該各ブラシ保持孔45a,45bに挿通保持される保持孔構成部材である金属製の1対のブラシホルダ46a,46bを通じて外部に臨む給電用ブラシ47a,47bが各スリップリング36a,36bに摺接可能となっている。
ここで、前記各給電用ブラシ47a,47bは、芯材44の窓部44b内に充填される前記合成樹脂材料でもってモールド固定されたほぼ角筒状の前記各ブラシホルダ46a,46b内に進退自在に収容され、それぞれ基端側が芯材44に固設される捩りコイルばね49a,49bによって給電プレート31側に付勢されることで、各ブラシホルダ46a,46bの一端側開口部より給電プレート31へと臨んだ先端部が各スリップリング36a,36bと摺接するようになっている。
なお、本発明に係る保持孔は、前記各ブラシホルダ46a,46b内の空間部によって構成され、かかる保持孔を比較的剛性の高い金属製のブラシホルダ46a,46bにより構成することで、各給電用ブラシ47a,47bの安定した摺動を確保可能となっている。加えて、当該保持孔を別部材である前記各ブラシホルダ46a,46bによって構成することで、各給電用ブラシ47a,47bの適切かつ安定した摺動が確保可能になるうえ、軽量化や小型化等にも供される。その他、各給電用ブラシ47a,47b及びスリップリング36a,36bを径方向に並べて配置することで、各スリップリング36a,36bの回転方向に対し各給電用ブラシ47a,47bを垂直に接触させることが可能となる結果、電動モータ21に対する安定した給電を確保することができる。
また、前記樹脂部43の内側面のほぼ中央位置には、後述する被検出部61を受容する凹状の受容部43dが、芯材44の挿通孔44aを挿通するように凹設されている。そして、この受容部43dの底部には、極薄肉の底壁43eが設けられ、該底壁43eの外側面に、これに突設された位置決め凸部43fを介して後述する制御基板65が取付固定されている。
前記カバー部42は、ほぼ円板状を呈し、その外周縁部より立設された環状凸部42aがカバー本体41(樹脂部43)の外側外周縁に圧入されることによって、カバー本体41に取付固定されている。
前記給電用コネクタ43bは、図9、図10に示すように、カバー本体41の内部に埋設された1対の端子片53a,53bの一端部が、それぞれ各給電用ブラシ47a,47bの後端部に接続される各ピグテールハーネス54a,54bに接続されると共に、外部へと露出する他端部が前記電子コントロールユニット側のコネクタ(図示外)と接続される。
前記通信用コネクタ43cは、図8、図10に示すように、カバー本体41の内部に埋設された複数の端子片55の一端部が後述する制御基板65に接続されると共に、外部へと露出する他端部が前記電子コントロールユニット側のコネクタ(図示外)と接続される。
また、前記カバー本体41の受容部43dと出力軸部材26との間には、該出力軸部材26の回転角度位置を検出する角度センサ60が設けられている。この角度センサ60は、いわゆる電磁誘導型のもので、図2、図11、図12に示すように、出力軸部材26に固定された被検出部61と、カバー本体41のほぼ中央部に固定され、前記被検出部61に発生した誘導電流(渦電流)に基づいて発生する誘導起電力を検出する検出部62と、から構成されている。かかる電磁誘導型のセンサを採用することで、前記出力軸部材26の角度検出に際して電動モータ21の影響を受けにくく、良好な角度検出に供される。
前記被検出部61は、図11に示すように、所定の合成樹脂材料によってほぼ有底円筒状に形成され、出力軸部材26の先端部内周面に圧入によって固定される筒状基部63と、該筒状基部63の先端面たる外底面に固定され、所定の導電性材料からなる三つ葉形状の薄肉金属板によって形成されたターゲット64と、から構成されている。
前記検出部62は、図12に示すように、カバー本体41のほぼ中央部から径方向に延設されたほぼ長方形状の制御基板65と、該制御基板65の長手方向の一端部外面に設けられた集積回路(ASIC)66と、前記制御基板65の長手方向の他端部外面に前記ターゲット64と対向するように設けられ、該ターゲット64に高周波磁界を発生させる一次コイルである発振コイル67、及びターゲット64に発生する誘導電流(渦電流)の電磁誘導作用に基づいて発生する誘導起電力を検出する二次コイルである検出コイル68と、から構成されている。
かかる構成から、前記発振コイル67に高周波電流を印加することで生ずる高周波磁界(発振コイル67からターゲット64へと向かう磁束)に基づいてターゲット64の金属表面に誘導電流としての渦電流が流れ、該渦電流の電磁誘導作用により発生する逆向きの磁束に基づいて検出コイル68に誘導起電力が生ずる結果、ターゲット64の回転に伴うターゲット64と検出コイル68との距離(ギャップ)の変化に基づく前記誘導起電力の変化(インダクタンスの変化)を検出し、これを集積回路66にて角度演算した結果が前記電子コントロールユニットへと出力されることとなる。
前記減速機構22は、図2、図3に示すように、電動モータ21の出力軸部材26の一端部に該出力軸部材26の回転に伴って偏心回転運動するように構成された偏心軸部30と、該偏心軸部30の外周面に圧入された比較的大径状の周知のボールベアリングである第4軸受B4と、従動部材14のローラ保持部19に回転自在に保持され、前記偏心軸部30の回転に伴って前記第4軸受B4の外周面を常時転動する前記複数のローラ20と、該各ローラ20の外周側に対向配置されるタイミングスプロケット13(筒状基部13a)の内周部の全周に亘って形成され、各ローラ20と噛合する横断面ほぼ円弧状の多数の内歯13cと、によって構成されている。
そして、前記第4軸受B4の外輪外周面と前記多数の内歯13cとの間には、各ローラ20の直径以上の幅を有する環状の径方向隙間が形成され、該径方向隙間に基づき第4軸受B4全体が前記偏心軸部30の偏心回転に伴って偏心動可能となっていて、かかる偏心動に伴って各ローラ20が径方向へと移動することで一部のローラ20が前記円弧溝13cに嵌入(噛合)し、これによってタイミングスプロケット13の回転駆動力が従動部材14に伝達されることとなる。
より具体的には、前記偏心軸部30の1回転につき各ローラ20と各円弧溝13cの噛合位置が1つ(1歯分)ずれる構成となっていて、かかる構成から、電動モータ21の回転が減速して伝達されると共に、該電動モータ21の回転に基づいて従動部材14がタイミングスプロケット13に対して相対回転することとなる。
また、前記減速機構22の内部には、図示外の潤滑油供給手段によって潤滑油が供給されるようになっている。この潤滑油供給手段は、図2に示すように、カムシャフト2の内部軸方向に形成され、前記シリンダヘッドの内部油通路を通じて図示外のメインオイルギャラリより潤滑油を導く導入通路2cと、従動部材14の内部軸方向に貫通形成され、一端が前記導入通路2cに接続され、他端が前記第2、第4軸受B2,B4からなる軸受部に開口する油孔18aと、から主として構成され、前記メインオイルギャラリからの潤滑油を導くことによって減速機構22を構成する前記各軸受B2,B4等の潤滑を行っている。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の作用効果につき、図2に基づいて説明する。
まず、機関始動時においては、前記バルブタイミング制御装置11は最遅角に制御されていて、図示外のスタータモータによって前記クランクシャフトが回転駆動されることにより、前記タイミングチェーンを介してタイミングスプロケット13が回転し、その回転力がヨーク23等を介して電動モータ21を同期回転させると共に、タイミングスプロケット13の回転力がローラ20及びローラ保持部19等からなる減速機構22とこれに連係する従動部材14とを介してカムシャフト2へと伝達され、該カムシャフト2の有するカムが回転することで図示外の吸気弁が開閉作動することとなる。このように、機関始動時等においては、バルブオーバーラップをなくすように制御することによって排気ガスの吸入ポートへの吹き返しを抑制し、始動性を向上させる。
続いて、当該機関始動後の機関運転時では、前記コントロールユニットからの制御信号に基づいて電動モータ21が回転駆動されることで、該電動モータ21の回転力が減速機構22を介してカムシャフト2へと伝達される。これにより、タイミングスプロケット13に対してカムシャフト2が正逆に相対回転してこれら両者2,13の相対回転位相が変更される結果、吸気弁の開閉タイミング(バルブタイミング)が所望のタイミングへと変更されることとなる。具体的には、例えば運転負荷の上昇に応じて、バルブタイミング制御装置11を進角制御することにより、バルブオーバーラップを増大させる。かかる制御により、トルク向上のほか、内部EGRの増加による排気エミッション向上やポンピングロスの低減による燃費向上など、運転状態に応じた燃焼の最適化が可能となる。
以上のように、前記バルブタイミング制御装置11では、前記給電プレート31がタイミングスプロケット13と一体となって一方向に回転する結果、各スリップリング36a,36bの回転に引き摺られて、各給電用ブラシ47a,47bの側部(外周面)が各ブラシホルダ46a,46bの先端縁に圧接することになるため、かかる状態で各給電用ブラシ47a,47bが摺動することによって該各給電用ブラシ47a,47bの摩耗粉が発生する。すると、この摩耗粉は、重力により鉛直下方へと降下することになるところ、本実施形態に係るバルブタイミング制御装置11では、各給電用ブラシ47a,47bが、角度センサ60のターゲット64の鉛直方向の直上において該ターゲット64と重合しない周方向位置に配置されていることから、前記重力により降下した各給電用ブラシ47a,47bの摩耗粉がターゲット64へと付着してしまう不都合が抑制される。
しかも、当該各給電用ブラシ47a,47bについては、角度センサ60のターゲット64の鉛直方向の直上において重合しない周方向位置のうち、とりわけタイミングスプロケット13の回転方向Rが鉛直方向下側の成分Rdを有する周方向範囲Adに配置されていることから、前述の重力によって降下した摩耗粉がタイミングスプロケット13(給電プレート31)の回転により巻き上げられるおそれがなく、当該摩耗粉のターゲット64への付着をより効果的に抑制することができる。
〔第2実施形態〕
図13は、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の第2実施形態を示したものであって、前記第1実施形態における各給電用ブラシ47a,47bの配置を変更したものである。なお、該各給電用ブラシ47a,47bの配置以外の構成については前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態では、各給電用ブラシ47a,47bを、角度センサ60のターゲット64の鉛直方向直上において該ターゲット64と重合しない周方向位置のうち、とりわけタイミングスプロケット13の回転方向Rが鉛直方向上側の成分Ruを有する周方向範囲Auであって、ターゲット64よりも鉛直方向上側かつ鉛直方向に対して傾斜した位置に設けられている。
かかる構成を採用した場合も、各給電用ブラシ47a,47bが角度センサ60のターゲット64の鉛直方向直上にて該ターゲット64とは重合しない周方向位置に配置されることになるため、前記第1実施形態と同様、重力によって降下した各給電用ブラシ47a,47bの摩耗粉がターゲット64へと付着してしまう不都合が抑制される。
〔第3実施形態〕
図14は、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の第3実施形態を示したものであって、前記第1実施形態における各給電用ブラシ47a,47bの配置を変更したものである。なお、該各給電用ブラシ47a,47bの配置以外の構成については前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態では、各給電用ブラシ47a,47bが、角度センサ60のターゲット64の鉛直方向直上にて該ターゲット64とは重合しない周方向位置であって、とりわけターゲット64よりも鉛直方向下側となる位置、具体的にはターゲット64の鉛直方向直下に相当する位置に設けられている。なお、かかる構成の採用にあたり、通信用コネクタ43cは、配線の都合上、前記第1実施形態のような真下ではなく、図中の時計方向に偏倚して配置した構成となっている。
以上のように、本実施形態のような構成を採用した場合も、各給電用ブラシ47a,47bが角度センサ60のターゲット64の鉛直方向真下に位置する結果、各給電用ブラシ47a,47bの摩耗粉が重力により降下しても、前記第1実施形態と同様、該摩耗粉がターゲット64へと付着してしまう不都合が抑制される。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば前記電動モータ21や減速機構22など本発明の作用効果に影響を与えない部位ないし部材の具体的構成については、装置や搭載対象の仕様等に応じて適宜変更可能である。
また、前記角度センサ60は、前記各実施形態に開示の電磁誘導型のものに限られず、例えばホールIC型の角度センサなど、他の構造(原理)からなるものであってもよい。
以下、前記各実施形態から把握される特許請求の範囲に記載した以外の技術的思想について説明する。
(a)請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記カバー部材は、樹脂材料により一体成形され、
前記保持孔は、前記カバー部材に埋設される保持孔構成部材によって構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
(b)請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記スリップリングは、同心円状に設けられた2つの平板状リングから構成され、
前記給電用ブラシは、前記各平板状リングにそれぞれ接触する2つのブラシから構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
(c)前記(b)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記カバー部材は、前記給電用ブラシへの給電に供する給電用コネクタを有し、
前記給電用コネクタは、前記2つのブラシを結ぶ直線に対しほぼ直角となる方向に延設されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
2…カムシャフト
11…バルブタイミング制御装置
12…カバー部材
13…タイミングスプロケット(第1部材)
14…従動部材(第2部材)
21…電動モータ
22…減速機構
26…出力軸部材(モータ出力軸)
47a,47b…給電用ブラシ
36a,36b…スリップリング
60…角度センサ(角度検出機構)
61…被検出部
62…検出部

Claims (12)

  1. 第1部材に対する第2部材の相対回転位置を変更することで、機関弁の作動特性を可変にする内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
    モータ出力軸を回転させることで、前記第1部材に対し第2部材を相対回転させる電動モータと、
    前記モータ出力軸の回転を減速して前記第2部材に伝達することで、前記第1部材に対する前記第2部材を相対回転させる減速機構と、
    前記電動モータの先端側面に設けられたスリップリングと、
    前記電動モータの先端側面の少なくとも一部を覆うように設けられたカバー部材と、
    前記カバー部材に設けられ、前記スリップリングと接触する給電用ブラシと、
    前記モータ出力軸に設けられた被検出部と、前記カバー部材に設けられて所定の軸方向隙間を介して前記被検出部に対向配置された検出部とを有し、前記モータ出力軸の回転角度を検出する角度検出機構と、
    を備え、
    前記給電用ブラシが、前記被検出部の鉛直方向直上において該被検出部と重合しないように設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記給電用ブラシは、前記カバー部材に形成された保持孔に摺動自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 前記給電用ブラシは、前記第1部材の回転方向が鉛直方向下側の成分を有する周方向範囲に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 前記給電用ブラシは、前記第1部材の回転方向が鉛直方向上側の成分を有する周方向範囲に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 前記給電用ブラシは、前記被検出部と水平方向において重合するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 前記給電用ブラシは、前記被検出部よりも鉛直方向下側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 前記給電用ブラシは、前記被検出部の鉛直方向上側であって、かつ鉛直方向に対して傾斜するかたちで設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 前記角度検出機構は、非接触の電磁誘導型センサであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  9. 前記被検出部は、被円形状の励起導体を有し、
    前記検出部は、一次コイル及び二次コイルを有し、前記一次コイルによって前記励起導体に発生させた誘導電流に基づいて前記二次コイルに発生する誘導起電力を検出することにより前記モータ出力軸の回転角度を検出する検出回路を有することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  10. クランクシャフトから伝達される回転力に基づいて回転する駆動回転体と、
    カムシャフトと一体に設けられた従動回転体と、
    前記駆動回転体と一体に設けられ、モータ出力軸を回転させること前記駆動回転体に対する前記従動回転体の相対回転位相を制御する電動モータと、
    前記電動モータの軸方向端面に設けられたスリップリングと、
    前記スリップリングと対向するように設けられたカバー部材と、
    前記カバー部材に設けられた保持孔に摺動自在に設けられ、前記スリップリングと接触することで前記電動モータへの給電に供する給電用ブラシと、
    前記カバー部材に設けられた検出部を介して前記モータ出力軸の回転角度を検出する角度検出機構と、
    を備え、
    前記カバー部材において、前記給電用ブラシを、該給電用ブラシの摩耗粉が重力に基づいて降下しても前記検出部に付着しないような位置に配置したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  11. 前記角度検出機構は、非接触の電磁誘導型センサであることを特徴とする請求項10に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  12. 前記検出部は、一次コイル及び二次コイルを有し、前記一次コイルによって前記モータ出力軸に設けられた非円形状の励起導体に流れる誘導電流に基づき前記二次コイルに発生する誘導起電力を検出することにより前記モータ出力軸の回転角度を検出する検出回路を有することを特徴とする請求項11に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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