JP2016079609A - 既設鉄骨に用いる補強部材の製造方法、および既設鉄骨の補強方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既設鉄骨1において補強する補強部材2の必要断面を算定する工程と、レーザー計測により既設鉄骨1の形状を求めた既設鉄骨形状データD1を組み込んだ第1CADデータを作成する工程と、第1CADデータに補強部材2を組み込んだ第2CADデータD2を作成し、補強部材2の形状を決定する工程と、3Dプリンタを使用し、第2CADデータD2の補強部材2に基づいて樹脂製の補強部材モデル2Mを造型する工程と、補強部材モデル2Mを型にして鋳型を作成する工程と、鋳型を使用して鋳鋼製又は鋳鉄製の補強部材2を製造する工程と、を有する補強部材の製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
そのため、溶接を用いない補強方法として、例えば下記特許文献1に示されるように、被補強対象の変形発生部のうち引張力が作用する部位に剛性を有する樹脂製の炭素繊維シートを接着する方法が知られている。
すなわち、特許文献1に記載されるように炭素繊維シートを補強材として被補強部位に接着する方法の場合には、樹脂製の炭素繊維シートが変形性能を有するので、造形性はあるが、耐熱性が低く、高熱に晒される前述した製鐵所のような使用環境で使用される場合にあっては、十分な機能が発揮できないうえ、耐久性も低くなることから、その点で改善の余地があった。
このように、本発明では、既設鉄骨の変形した被補強部位に一致した形状の補強部材を精度よく、かつ容易に製造することができるので、既設鉄骨の変形部位に対して補強部材を摩擦接合により確実な補強を行うことが可能となる。また、既設鉄骨の変形に合わせて加工するといった手間と時間のかかる作業が不要となり、作業効率の向上を図ることができる。すなわち、補強部材を補強部材モデルと一致した形状で高い精度で製造することができるので、例えば既存鉄骨や接合金具等とのボルト穴の位置も精度よく形成することができ、接合手段としてボルト接合が可能となる。そのため、溶接が不要となることから、例えば製鉄工場の建屋などで溶接などの火気の使用が制限される場所でも上述した補強作業を行うことができる。
なお、凹部3aにおける接合部分の重ね合せ方向の寸法は、接合部分の厚さ寸法よりも大きく、接合部分を挿入させた状態で、凹部3aの前記重ね合わせ方向に対向する両内面のうち少なくとも一方の内面と、接合部分と、の間に隙間が形成される寸法に設定されている。
なお、摩擦接合金物3は、既存のものでもよいし、補強部材2の形状に合わせた形状で製造されるものでもよい。
なお、樹脂製の補強部材モデル2Mは、3次元造型装置による造型後に生じる樹脂の収縮量を見込んだ寸法に設定されていることが好ましい。
ここで、本実施の形態では、図2および図3に示すようにブレース材13を挟んだ両側に異なる形状の一対の補強部材2によって補強されるので、第5ステップS5では、これら一対の補強部材2に対応する二種類の樹脂製の補強部材モデル2Mが造型されることになる。
すなわち、図5(a)に示すように、補強部材モデル2Mを鋳型用の土に埋設し固化させた後、土(鋳型4)を図中の破線で上下二分割にする。このとき、土には、外部から補強部材モデル2Mに連通する連通孔4aを形成しておく。そして、図5(b)に示すように、上半部分(上型4A)を切り出して、下半部分(下型4B)に埋設されている補強部材モデル2Mを取り出す。その後、図5(c)に示すように、上型4Aを下型4Bに被せた状態に戻して鋳型4が作成される。
なお、摩擦接合金物3は、押えボルト30を締め込むことで、接合部分の部材同士(すなわち、補強部材2の挟持部23とブレース材13の接合部分、および固定部22と梁材11、柱材12との接合部分)を接合する。そのため、摩擦接合金物3を用いた摩擦接合では、ブレース材13に作用する外力はボルトを介さずに梁材11および柱材12に伝達させることができる。
本実施の形態では、図1に示すように、レーザー計測により求めた既設鉄骨形状データD1に基づいて作成した第1CADデータに対して、所望の形状に決定された補強部材2を組み込んだ第2CADデータD2を作成し、その補強部材2の第2CADデータD2を元データとして3Dプリンタにより樹脂製の補強部材モデル2M(図5(a)参照)を容易に造型することができる。
このように、本実施の形態では、既設鉄骨1の変形した被補強部位に一致した形状の補強部材2を精度よく、かつ容易に製造することができるので、既設鉄骨1の変形部位に対して補強部材2を摩擦接合により確実な補強を行うことが可能となる。
また、既設鉄骨1の変形に合わせて加工するといった手間と時間のかかる作業が不要となり、作業効率の向上を図ることができる。
そのため、鋳型4によって製造された補強部材2が既設鉄骨1の形状に一致する形状に製造され、補強部材2と既設鉄骨1とを摩擦接合金物3を介して容易に接合することができ、溶接が不要な摩擦接合により接合することができる。
次に、上述した実施の形態の変形例による既設鉄骨の補強方法について、鉄骨表面に凹凸をもつ部材への応用について、図6〜図8に基づいて説明する。
図6および図7に示す変形例は、他の補強用の既設鉄骨5の被補強部位に補強部材6を補強した一例を示している。
変形例による既設鉄骨5は、一対のフランジ用の第1プレート51、51と、ウェブ用の第2プレート52と、を使用してH形状に組み付け、各接合部には、L形鋼53を用いてリベット54によって焼締められて接合されている。具体的には、第1プレート51と第2プレート52とが直交する角部のそれぞれに、各プレート51、52の長手方向に沿ってL形鋼53を配置し、リベット54で接合されている。第2プレート52に接合される部分では、リベット54が、第2プレート52とその両側のL形鋼53のL字を構成する一方の板部を貫通させて接合されている。第1プレート51に接合される部分では、リベット54が、第1プレート51とL形鋼53の他方の板部を貫通させて接合されている。
さらに、補強部材6は、幅方向Xの内側の端板から上方に延びるとともにボルト穴63aが形成された第2突出板63が設けられ、第2プレート52を挟んで対向する補強部材6の第2突出板63同士がそれぞれのボルト穴63aに挿通されるボルト65によって固定されている。
また、本変形例の既設鉄骨5のようにリベット54が用いられた構造の場合には、溶接による補強を行うと、リベット54に割れやき裂が生じることから、本変形例のように溶接を用いない補強方法がとくに効果的である。
2、6 補強部材
2M 補強部材モデル
3 摩擦接合金物(摩擦接合部材)
4 鋳型
11 梁材
12 柱材
13 ブレース材
14 ガセットプレート
22 固定部
23 挟持部
D1 既設鉄骨形状データ
D2 第2CADデータ
Claims (4)
- 既設鉄骨に用いる鋳鋼製又は鋳鉄製の補強部材の製造方法であって、
既設鉄骨において補強する補強部材の必要断面を算定する工程と、
レーザー計測により前記既設鉄骨の形状を求めた既設鉄骨形状データを組み込んだ第1CADデータを作成する工程と、
前記第1CADデータに前記補強部材を組み込んだ第2CADデータを作成し、前記補強部材の形状を決定する工程と、
3次元造型装置を使用し、前記第2CADデータの前記補強部材に基づいて樹脂製の補強部材モデルを造型する工程と、
前記補強部材モデルを型にして鋳型を作成する工程と、
前記鋳型を使用して鋳鋼製又は鋳鉄製の補強部材を製造する工程と、
を有することを特徴とする既設鉄骨に用いる補強部材の製造方法。 - 前記補強部材同士、および前記補強部材と前記既設鉄骨とを摩擦接合により接合するための摩擦接合部材の必要数量を算定するとともに、前記摩擦接合部材の配置を決定する工程を有し、
前記補強部材の前記第2CADデータは、前記摩擦接合部材の条件に合わせて作成されることを特徴とする請求項1に記載の既設鉄骨に用いる補強部材の製造方法。 - 樹脂製の前記補強部材モデルは、前記鋳型によって製造された後に生じる鋳鋼製又は鋳鉄製の前記補強部材の収縮量を見込んだ寸法に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の既設鉄骨に用いる補強部材の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された前記補強部材を用いて既設鉄骨を補強する既設鉄骨の補強方法であって、
製造された前記補強部材を前記既設鉄骨の被補強部位に沿って配置させて補強することを特徴とする既設鉄骨の補強方法。
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