JP2016079085A - ダイヤモンドの製造方法 - Google Patents

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Tadamasa Fujimura
忠正 藤村
塩崎 茂
Shigeru Shiozaki
茂 塩崎
ビヤチスラフ ワシレービッチ ダニレンコ
Vyacheslav Vasilevich Danilenko
ビヤチスラフ ワシレービッチ ダニレンコ
ウラジミール パダルコ
Padalko Vladimir
ウラジミール パダルコ
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Abstract

【課題】簡易な装置を用いて有機系爆薬から、比較的多くの親水性、疎水性官能基を表面に有するダイヤモンドを、簡便に、効率よく、かつ高い生産性で合成する方法を提供する。
【解決手段】大気中に開放した容器中に水を満たし、ガスを放出しながら、又は飽和させて、水中に設置した爆薬を爆発させることを特徴とするダイヤモンド製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、簡易な装置を用いて、大気中に開放された容器に水を満たし、満たした水中にガスを放出しながら、又は飽和させて、水中に設置した爆薬を爆発させることによって、爆薬中の炭素原子から直接ダイヤモンドを容易に効率よく製造することができるダイヤモンドの製造方法に関する。特に満たした水中にガスを放出しながら、又は飽和させて、水中に設置した爆薬を爆発させることによって、生成したダイヤモンド表面にガス種に起因する官能基が形成されることを特徴とする。
従来から、爆薬の爆発により、3000〜5000Kの温度及び数十万気圧程度の高温高圧状態を発生させ、爆発によって得られた生成物を、回収して、異物を分離し、硝酸や硫酸等で化学的に処理し精製することにより、爆薬由来の炭素からダイヤモンドの微粒子を合成する方法が知られている。このダイヤモンドの一次粒子の大きさはナノメータサイズであり、精密研磨剤、減摩剤、潤滑剤、増強剤、コーティング剤等に利用されている。
前記ナノサイズダイヤモンドの合成方法としては、(a)閉鎖された圧力容器内を爆薬中の炭素原子に対して不活性なガスで満たし、その中で爆薬を爆発させる合成方法(空冷式爆射法)と、(b)閉鎖された圧力容器内を水又は氷で満たし、爆薬を爆発させる合成方法(水冷式爆射法)とがある(例えば、非特許文献1の342頁右欄5〜9行及びTable3を参照)。
閉鎖系の空冷式爆射法で得られたダイヤモンドは、閉鎖系の水冷式爆射法で得られたものに比べて、一次粒子が小さい(すなわち、粒子の比表面積が大きい)、親水性官能基(−COOH基、−OH基、−NH基、−NH基等)が多いといった特徴を有している(非特許文献2の13頁を参照)。閉鎖系の空冷式爆射法で得られたダイヤモンドは、前述のように、−COOH、−OH等の親水性官能基が多いため、その表面を様々な分子及び原子(例えば、フッ素原子、フッ素原子含有化合物、ケイ素化合物)で修飾することが可能となる。
しかしながら、不活性ガスを用いた空冷式爆射法の場合、爆薬の爆発生成物を冷却するために冷却効果を有する不活性ガスを多く用いる必要があることから、必然的に圧力容器を大型にするか、又は爆発時に圧力容器内を高圧にする必要がある。閉鎖系の爆射法では、通常耐圧容器内での爆発を連続して繰り返すことによってダイヤモンドの収率を高めることが行われる。
閉鎖系での空冷式爆射法の場合、爆発前に耐圧容器内を不活性ガスで満たした状態とする必要があるため、容器を大型にしたり圧力容器内を高圧にしたりする必要があり、また閉鎖系での水冷式爆射法の場合は、爆発時、毎回耐圧容器内を水や氷で満たした状態とする必要があるため、作業効率が大きく低下してしまう。
従って、閉鎖系での空冷式爆射法、および水冷式爆射法で得られるダイヤモンド以上に、ダイヤモンド表面に意図的に欲しい官能基を多く持ったダイヤモンドを簡便な方法で効率よく、かつ高い収率、生産効率で製造するダイヤモンド製造方法の開発が望まれている。
従って、本発明の目的は、簡易な装置を用いて有機系爆薬から、意図的に欲しい官能基を比較的多く持つ表面を有するダイヤモンドを、簡便に、効率よく、かつ高い生産性で合成する方法を提供することにある。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、ダイヤモンドを合成するための水冷式爆射法において、大気中に開放された容器中に水を満たし、満たした水中にガスを放出しながら、又は飽和させて、水中に設置した爆薬を爆発させることによって、ダイヤモンド表面に意図的に欲しい官能基を多く導入したダイヤモンドを簡便な方法で合成することができることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のダイヤモンドの製造法は、大気中に開放された容器中に水を満たし、満たした水中にガスを放出しながら、又は飽和させて、水中に設置した爆薬を爆発させることによって、生成したダイヤモンド表面にガス種に起因する官能基が形成されることを特徴とする。
前記水を満たした容器を水中に浮かべ、容器を外部より固定するのが好ましい。
前記水を満たした容器中の爆薬を、爆発させる工程を連続して2回以上繰り返すことが好ましい。
前記爆薬を爆発させた後、前記水に満たされた容器の下部に沈殿した合成されたダイヤモンドを回収する工程を有するのが好ましい。
前記容器中に満たした水に、流すガス又は飽和させるガスが、要求される用途の必要とされる官能基によって異なるが、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニア、亜硫酸、亜硝酸等のガスであることが好ましい。二酸化炭素、一酸化炭素ガスはカルボキシル基、カルボニル基を、アンモニアガスはアミノ基を、亜硫酸ガスはスルフォン酸基を、亜硝酸ガスはニトロ基を、生成されたダイヤモンド表面に意図して多数形成することが出来るからである。
前記爆薬がトリニトロトルエンとシクロトリメチレントリニトロアミンとの混合物、又はトリニトロトルエンとテトラメチレンテトラニトラミンとの混合物であるのが好ましい。
前記容器が鉄等の金属、ステンレス等の合金又はゴムであるのが好ましい。
前記容器が、前記爆薬1kgに対して25〜500mの容積を有し、水の量は12t〜250tで有るのが好ましい。
本発明の方法は、大気中に開放された容器に水を満たし、満たした水中にガスを放出しながら、又は飽和させて、水中に設置した爆薬を爆発させることによって、ダイヤモンド表面に意図的に欲しい官能基を多く導入したダイヤモンドを簡便な方法で合成することを特徴とする。本発明の方法により、閉鎖系の耐圧容器内を不活性ガスや、または氷や水で置換する作業を省略することが可能となり、爆発を開放系で連続して繰り返し行うことが出来、高い作業効率で、ダイヤモンドを合成することができる。
本発明のダイヤモンドの製造方法で用いる装置の一例を示す模式断面図である。 本発明のダイヤモンドを連続的に製造する方法で用いる装置の他の一例を示す模式断面図である。 本発明のダイヤモンドの製造方法で用いる火薬を納める容器の例を示す模式図である。
[1]ダイヤモンドの製造方法
本発明のダイヤモンドの製造方法の好ましい実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)ダイヤモンドの合成
本発明のダイヤモンド製造方法は、大気中に開放された容器に水を満たし、満たした水中にガスを放出しながら、又は飽和させ、設置した爆薬を爆発させて、ダイヤモンド表面に意図的に欲しい官能基を多く導入したダイヤモンドを簡便に合成する方法である。爆薬を設置した容器を、水を張ったプールに浸して爆発させることが好ましい。閉鎖系の水冷式爆射法との最大の違いは、容器が大気中に開放された開放系で、有機系爆薬を爆発させる大気圧下での水冷式爆射法である。
図1に示すように、爆薬3は、水で満たした開放系容器1中の爆薬収納箱2に収納した状態で、上部より容器1の内部に吊材4で吊設して設置する。容器構造は例えば、垂直シリンダー型炉で、ガスの投入は、外部よりガス導入官5を炉中の水の下方に直接導入しても良いし、水で満たされた炉壁の下方に導入孔を設けても良いが、前者の方が好ましい。ガス導入管5はガスボンベ6に繋いで、ガスを水中に放出しながら、又は飽和させるのが好ましい。炉の大きさは、合成するダイヤモンドの量に応じて爆薬の量が異なるので、径及び高さは適宜決定すれば良い。垂直シリンダー型炉の径は3〜10m、壁厚50〜100cm、底は円錐型、炉の高さは3〜10mで、下部から60%程度のところまで水で満たし、上部40%は爆破時水が飛び出るのを防ぐ壁として用いる。爆薬を吊設する位置は、得られるダイヤモンドの収率ができるだけ高くなるように、容器の形状、爆薬の種類・量等によって、適宜調節する。図1に示すような水で満たした開放系爆射法の場合、爆薬は容器中に張った水の水位のほぼ中央、容器壁の真ん中になるように設置するのが好ましい。設置する位置は中心から少々ずれても問題ないが、容器壁や、水面近辺、容器底面近辺は避けたほうが良い。前記吊材4として、銅線等の金属線を使用することにより、爆薬に取り付けた電気雷管への電流を供給するための導線として使用することができる。
前記有機系爆薬由来の炭素から生成されるダイヤモンドは、爆発後の高温の状態から室温に冷却される過程で、1200℃付近から室温に冷却されるスピードが遅いと生成されたダイヤモンドが容易にグラファイトへ層転換する。爆薬3を、爆薬収納箱2に充填して爆発させることによって、爆発時に発生する圧力を効果的に高めることができると共に、水で爆薬3の周囲が満たされているため、生成するダイヤモンドが急速に冷却されて、生成されたSP3ダイヤモンドのSP2グラファイトへの変換が効率的に抑止される。従って、生成された初期のクルードダイヤモンド(粗ダイヤモンド)は、閉鎖系水冷爆射法で得られるクルードダイヤモンドよりSP3ダイヤモンドの収率が大きく、かつ一次粒子径も大きいと言う特徴を有する。
爆薬3を充填するための容器2は、材質としては、樹脂、金属、ガラス、セラミック等が挙げられるが、生成したダイヤモンドを回収する際に分離が容易であるという観点から、樹脂又は金属が好ましい。樹脂としては、特に限定されず、広くどのようなものでも使用することができるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等が好ましい。金属としては、アルミニウム、ステンレス、銅、金等のものが使用できる。構造としては、容易に破壊される程度の壁厚及び/又は形状を有しているのが好ましい。例えば図3に示すように、箱状等が好ましい。容器の大きさは、作業時にハンドリングしやすい大きさであれば特に限定されない。
容器1は、水を満たし大気中に開放されているとは言え、水中の火薬爆発時に瞬間的に大きな力が容器内壁に作用する。従って、容器1は、その圧力に十分耐えうるだけの強度を有していることが好ましい。鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン、タングステン等の金属、ステンレス鋼、クルップ鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、マルエージング鋼、ハステロイ、インコネル等の合金、およびポリイソプレンを主成分とする天然ゴム、およびイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴム等が用いられる。ゴムは火薬の爆発に伴って、伸びはするが元に戻るので問題はない。
このとき水を満たし、満たした水中に爆薬を設置した容器1を水中に浮かべ、この容器1を爆発の衝撃で移動しないように外部より固定しておくと良い。容器1を、例えばプールや池に浮かべ、その容器1の水位と外部の池、プール等の水位がほぼ同じであることが良い。
図2は複数の爆発炉に爆薬を設置した例を示す。図1と同様の爆薬を設置した爆発炉を複数、同時に又は連続的に爆発させる例を示したものである。
前記水を満たした容器中の爆薬を、爆発させる工程を連続して2回以上繰り返して、爆発を実施する場合、容器2に充填した爆薬3を爆発の回数分だけあらかじめ準備しておき、1回目の爆発後、多数の吊材4に火薬を吊設してあるケーブルを素早く移動させて、次の爆薬3を新たに容器1中の水中に設置し、2回目以降の爆発を実施する。複数回の爆発で、ダイヤモンド濃度を濃くして容器1の下方に沈殿した粗ダイヤモンドを吸引などの手段を用いて回収することで、作業性が向上すると共に、ダイヤモンドの収率が向上し、高い生産性を確保することが出来る。
容器1中に満たす水は、井戸水、清冽な川水、水道水等特に限定されないが、蒸留水、イオン交換水、超純水でも良い。発火しないものであれば、有機溶剤であっても良い。容器1を浮かべるプール、池などの水の種類は特に限定されない。
容器1中に満たした水中に、流すか、又は飽和させるガスとして、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、亜硫酸ガスであることが良い。これらのガスを水中に流すか、飽和した状態で爆薬を爆発させると、得られるダイヤモンドは、ダイヤモンド表面に官能基として水酸基、カルボキシル基、スルフォン酸基を多く有する水に良く分散するダイヤモンドが得られる。
前記耐圧性容器は、前記爆薬1kgに対して25〜500mの容積を有するのが好ましい。25mより小さい場合、爆発力が大きすぎるため、生産が難しく、500mより大きくなると爆発による生成物を回収するのに手間がかかり収率が低下する。
本発明には、高性能爆薬として知られている公知の有機系爆薬を用いることができる。有機系爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)、トリニトロベンゼン(TNB)、トリメチレントリニトラミン(RDX)、テトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、テトラニトロメチルアニリン(テトリル)、トリアミノトリニトロベンゼン(TATB)、ジアミノトリニトロベンゼン(DATB)、ヘキサニトロスチルベン(HNS)、ヘキサニトロアゾベンゼン(HNAB)、ヘキサニトロジフェニルアミン(HNDP)、ピクリン酸、ピクリン酸アンモニウム、ベンゾトリアゾール(TACOT)、エチレンジニトラミン(EDNA)、ニトログアニジン(NQ)、ペンタエリスリトールテトラナイトレート(ペンスリット)、ベンゾトリフルオキサン(BTF)等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用する。特に、RDX(60%)とTNT(40%)との混合爆薬であるコンポジションB、HMX(75%)とTNT(25%)との混合爆薬であるオクトール等を使用するのが好ましい。
これらの有機系爆薬は、炭素原子含有率が15質量%以上、好ましくは20〜35質量%、密度が1.5g/cc以上、好ましくは1.6g/cc以上、爆速は7000m/s以上、好ましくは7500m/s以上であり、酸素バランスが負、好ましくは−0.2〜−0.6であり、爆轟圧が18GPa以上、好ましくは20〜30GPa、爆轟温度が3000K以上、好ましくは3000〜4000Kである。そのため、爆薬中の炭素原子を効率よくダイヤモンドに転換することができる。
また水で爆薬の周囲が満たされているため、生成するダイヤモンドが急速に冷却されて、生成されたSP3ダイヤモンドのSP2グラファイトへの変換が効率的に抑止される。従って、SP3ダイヤモンドの収率を低下させることがなく、かつ一次粒子径も大きいという特徴を有する。
(2)爆発生成物の精製
回収した爆発生成物は、ナノオーダーサイズのダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、黒く着色している。この未精製のナノダイヤモンドは、2.4〜2.6g/cm程度の密度を有し、メジアン径(動的光散乱法)は50〜500nm程度である。この未精製のダイヤモンドを後述の方法で酸化処理することにより、グラファイト系炭素のシェル層を除去し、ナノダイヤモンドの粒子を得ることができる。酸化処理により精製したダイヤモンド粒子は、4〜18nm程度の一次粒子からなるメジアン径8〜250nm程度の二次粒子である。このように開放系の水冷式爆射法で得られるダイヤモンドは、閉鎖系の水冷式爆射法で得られる2〜10nm程度の一次粒子よりも大きい一次粒子が得られる。
未精製のナノダイヤモンド(粗ダイヤモンド)の酸化処理方法としては、(a)硝酸等の共存下で高温高圧処理する方法(酸化処理A)、(b)水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で処理する方法(酸化処理B)、(c)水及び/又はアルコールからなる溶媒に酸素を共存させて、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1MPa(ゲージ圧)以上の圧力で処理する方法(酸化処理C)、又は(d)380〜450℃で酸素を含む気体により処理する方法(酸化処理D)が挙げられる。これらの酸化処理は、単独で行ってもよいし、組合せて行っても良い。酸化処理を組合せる場合は、開放系で、爆射法で得られた未精製のナノダイヤモンドにまず酸化処理Aを施し、さらに酸化処理B〜Cのいずれかを施すのが好ましい。
爆射法で得られた未精製のダイヤモンドに酸化処理Aを施すことによりグラファイト層の一部が除去されたダイヤモンド粒子(グラファイト−ダイヤモンド粒子)が得られ、このグラファイト−ダイヤモンド粒子に酸化処理B〜Cのいずれかの処理を施すことにより前記グラファイト層をさらに除去することができる。
酸化処理したダイヤモンドの密度は、ダイヤモンド粒子中のダイヤモンドとグラファイトとの量によって決まる。すなわち、未精製のナノダイヤモンドに施す酸化処理の程度によって、ダイヤモンド粒子中のダイヤモンドとグラファイトとの量を変え、ダイヤモンド粒子の密度を調節することができる。グラファイト系炭素(グラファイトの密度:2.25g/cm)の残存量が少なくなればなるほどダイヤモンドの密度(3.50g/cm)に近づく。従って、精製度が高くグラファイト系炭素の残存量が少ないほど密度が高くなる。
二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、亜硫酸ガス等のガスを水中に流すか、飽和した状態で爆薬を爆発させて得られたダイヤモンドは、ガスを水中に流さず生成したダイヤモンドとの比較で、同一条件で酸化処理し、精製後の水分散性を比較したところ、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、亜硫酸ガス等のガスを水中に流すか、飽和した状態で爆薬を爆発させて得たダイヤモンドは水に良く分散するものが得られた。この理由は明らかでないが、この未精製のダイヤモンドを上述の方法で酸化処理する際、ナノオーダーサイズのSP3ダイヤモンドの表面を、SP2グラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、ガスを水中に流しながら爆薬を爆発させて得られたダイヤモンドは、カルボキシル基、水酸基、スルフォン酸基等の親水性官能基をグラファイト系炭素のシェル層のダングリングボンドを開いて、共有結合であるσ結合をしてSP3混成軌道を形成し、ダイヤモンドのSP3混成軌道と一体構成して、しっかり結合しているのに対し、官能基のつかないグラファイト系炭素のシェル層は、σ結合とπ結合からなるSP2混成軌道を形成していて、その結合エネルギーは、σ結合1個のSP3混成軌道を上回るとしても、SP3ダイヤモンドとSP2グラファイト間に物理的総合力が働かず、上述の酸化処理でグラファイト系炭素のシェル層が先に除去され、親水性官能基が残ったのではないかと推測される。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)爆薬の準備
図3に示すように、TNT(トリニトロトルエン)とRDX(シクロトリメチレントリニトロアミン)を60/40の比で含む1.0kgの爆薬3を、上下蓋からなる直方体のPET製の容器2に充填し密閉した。なお爆薬3には、起爆用爆薬及び電気雷管を取り付けた。
(2)爆薬の設置
図1に示す底面が5m径、高さ6mの垂直型垂直シリンダー型炉に70mの蒸留水を満たし、水位のほぼ中央部分にこの爆薬3を充填した容器2を、吊材4で吊り下げた。この吊材4として銅線を使用し、爆薬3を起爆するための電気雷管への電流はこの銅線を通して供給した。
(3)ガス導入管の設置とガスの放出
容器1の壁沿いにガス導入管5を引き込み、水を満たした容器1の最下部の中心部辺りにガスボンベ6より送り込んだガスを放出する。ガスの放出量は水への溶解度を考慮して適宜決めればよいが、水温20℃の井戸水70mに100%炭酸ガスを毎分200kgを30分間、合計6tを放出した。
(4)爆発
容器1の水中に、爆薬3を収納した爆薬収納箱2を銅線の吊材4で吊り下げ、電流を流して爆薬3を爆発させた。
(5)爆発生成物の回収
爆発後5分間静置し、沈殿した黒色液状の爆発生成物(未精製のダイヤモンド)を底部から吸引して回収した。この未精製のダイヤモンドの収率は使用した爆薬量に対して10.8質量%であり、密度は2.69g/cm、メジアン径(動的光散乱法)は110nmであった。この未精製のダイヤモンドは、密度から計算して、65体積%のグラファイト系炭素と35体積%のダイヤモンドからなっていると推定された。この時、閉鎖系の水冷爆射法で作製する粗ナノダイヤモンドに占めるダイヤモンド体積が10〜25体積%を占める事と比較すると、本発明の開放系での水冷爆射法は、ダイヤモンドの収率が大きいことが理解される。
(6)ダイヤモンドの精製
この未精製のダイヤモンドを60質量%硝酸水溶液と混合し、160℃、14気圧、20分の条件で酸化性分解処理を行った後、130℃、13気圧、1時間で酸化性エッチング処理を行った。酸化性エッチング処理により、グラファイトが一部除去された粒子が得られた。この粒子を、アンモニアを用いて、210℃、20気圧、20分還流し中和処理した後、自然沈降させデカンテーションにより35質量%硝酸での洗浄を行い、さらにデカンテーションにより3回水洗し、遠心分離により脱水し、120℃で加熱乾燥し、ダイヤモンドの粉末を得た。このダイヤモンド粉末の収率は使用した爆薬量に対して8.1質量%であり、密度は3.40g/cm、メジアン径は30nm(動的光散乱法)であった。密度から計算して、92体積%のダイヤモンドと8体積%のグラファイト系炭素からなっていると推定された。
実施例2
実施例1と同様にして、(1)爆薬の準備、(2)爆薬の設置、(3)ガス導入管の設置とガスの放出、及び(4)爆発の操作を行った後、さらに、(1)爆薬の準備、(2)爆薬の設置、(3)ガス導入管の設置とガスの放出(水温20℃の井戸水70mに100%亜硫酸ガスを毎分50kgを30分間、合計1.5tを放出)、及び(4)爆発の(1)から(4)の操作を4回繰り返し、続けて合計で5回の爆発を行った。5回目の爆発後、実施例1と同様にして、(5)爆発生成物の回収作業、及び(6)ダイヤモンドの精製を行った。得られたダイヤモンド粉末の収率は使用した爆薬量に対して8.5質量%であり、密度は3.42g/cm、メジアン径は25nm(動的光散乱法)であった。密度から計算して、94体積%のダイヤモンドと6体積%のグラファイト系炭素からなっていると推定された。
比較例1
実施例1及び実施例2の中の、(3)のガス導入管の設置とガスの放出のみはせずに、同様に(1)爆薬の準備、(2)爆薬の設置、及び(3)爆発の操作を行った後、さらに、(1)爆薬の準備、(2)爆薬の設置、及び(3)爆発の操作を4回繰り返し、続けて合計で5回の爆発を行った。5回目の爆発後、実施例1及び実施例2と同様にして、(4)爆発生成物の回収作業、及び(5)ダイヤモンドの精製を行った。得られたダイヤモンド粉末の収率は使用した爆薬量に対して8.0質量%であり、密度は3.40g/cm、メジアン径は25nm(動的光散乱法)であった。密度から計算して、92体積%のダイヤモンドと8体積%のグラファイト系炭素からなっていると推定された。
実施例1、2及び比較例1で得られたダイヤモンドの表面に存在する親水性官能基(−COOH基、−OH基、−NH基及び−NH基)を気相化学修飾法によるXPS分析によって定量した。−COOH基の定量は、Y.Nakayama,T.Takahagi and F.Soeda,J.Polym.Sci.:Part A,26,559(1988)を参考にして行い、−OH基、−NH基及び−NH基の定量は、トリフルオロ無水酢酸(TFAA)を定量的に反応させた後、XPS測定を行い、検出されたF濃度からダイヤモンド表面に存在する−OH基、−NH基及び−NH基の合計量を求める方法によって行った。なお結果は、−COOH基、−OH基、−NH基及び−NH基の合計量を、実施例1を100とした相対値で示した。
Figure 2016079085
表1から明らかなように、本発明の大気中に開放された容器に水を満たし、満たした水中に二酸化炭素、一酸化炭素、亜硫酸等のガスを放出しながら、又は飽和させて、水中に設置した爆薬を爆発させて製造されたダイヤモンドは、前述のガスを放出させないで水中に設置した爆薬を爆発させて製造されたダイヤモンドに較べ、親水性官能基量が多いことが理解される。親水性官能基量が多い理由は、親水性官能基のもとになる二酸化炭素、一酸化炭素、亜硫酸等のガスを放出しながら、又は飽和した状態で大量の水で冷却されながら爆射を受け、これらガスが親水性官能基としてダイヤモンド表面に取り込まれるためであろう。事実、実施例1及び実施例2で精製したダイヤモンドは、常温20℃で蒸留水へ12重量%まで特に沈殿することはなかったが、比較例1で精製のダイヤモンドは、同じ条件で7重量%が限度であった。
1・・・容器
2・・・爆薬収納箱
3・・・爆薬
4・・・吊材
5・・・ガス導入管
6・・・ガスボンベ

Claims (8)

  1. 大気中に開放された容器に水を満たし、満たした水中にガスを放出しながら、又は飽和させて、水中に設置した爆薬を爆発させることを特徴とするダイヤモンド製造方法。
  2. 請求項1に記載のダイヤモンド製造方法において、前記水を満たした容器を水中に浮かべ、容器を外部より固定することを特徴とするダイヤモンド製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のダイヤモンド製造方法において、前記水を満たした容器中の爆薬を、爆発させる工程を連続して2回以上繰り返すことを特徴とするダイヤモンド製造方法。
  4. 請求項1〜3に記載のダイヤモンド製造方法において、前記爆薬を爆発させた後、前記水に満たされた容器の下方に沈殿した合成されたダイヤモンドを回収する工程を有することを特徴とするダイヤモンド製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載のダイヤモンド製造方法において、前記ガスが二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、亜硫酸ガスであることを特徴とするダイヤモンド製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のダイヤモンド製造方法において、前記爆薬がトリニトロトルエンとシクロトリメチレントリニトロアミンとの混合物、又はトリニトロトルエンとテトラメチレンテトラニトラミンとの混合物であることを特徴とするダイヤモンド製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のダイヤモンド製造方法において、前記容器が鉄等の金属、ステンレス等の合金又はゴムであることを特徴とするダイヤモンドの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のダイヤモンド製造方法において、前記容器が、前記爆薬1kgに対して25〜500mの容積を有し、水の量は12t〜250tで有ることを特徴とするダイヤモンド製造方法。
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Citations (8)

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