JP2016076575A - 電磁波シールド紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁波シールド層(10)の少なくとも一方の面(10a、10b)に紙基材(12)が貼合されてなる電磁波シールド紙(1)であって、電磁波シールド層の少なくとも一方の面に貼合された紙基材は、坪量17〜30g/m2、厚さ20〜40μm、不透明度65%以上、灰分10質量%以上、坪量あたりに換算した不透明度2.5%/(g/m2)以上、引張強さ1.2kN/m以上であり、電磁波シールド紙は、厚さ50〜120μmであり、アドバンテスト法による電磁波遮蔽性能は、10〜100MHzにおける減衰率が30dB以上である。
【選択図】図2
Description
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スキミング防止機能を有する紙状の電磁波シールド紙であって、従来よりも薄く且つ軽量で、従来のカタログ用紙などの印刷用紙と同等の取り扱いが可能な電磁波シールド紙を提供することにある。
好ましくは、前記接着層は、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系の少なくとも何れか1つの樹脂からなる接着剤、若しくは、ポリオレフィン系、ポリエステル系の少なくとも何れか1つのラミネート材である。
好ましくは、前記電磁波シールド層は、アルミニウム、銅、鉄の少なくとも何れか1つからなる金属箔である。
好ましくは、前記電磁波シールド層は、厚さが8μmより大であって、12μm未満である。
図1に示すように、電磁波シールド紙1は、例えば、キャッシュカードやクレジットカード等のICチップ搭載の非接触型のICカード2を貼付した台紙4ととともに封筒6に封入して使用される。電磁波シールド紙1は、ICカード2に内蔵されたICチップを電磁誘導により起電させるべく外部から入力される磁束を遮断することにより、ICカード2に記録された情報を封筒6の外からの不正に読み取る、いわゆるスキミングを防止することができる。
さらに本発明の一実施形態に係る電磁波シールド紙1は、パンフレットやカタログ用の印刷用紙と同様の厚さや印刷適性を有するため、郵便物を受け取った人は、その取り扱いに際し、電磁波シールド紙1を電磁波シールド紙1として特別に意識することはない。
図2に示すように、電磁波シールド紙1は、例えば、電磁波シールド層10の表裏両方の面10a、10bにそれぞれ紙基材12を貼合した3つの主層で構成されている。電磁波シールド層10と各紙基材12とは、それぞれ接着層14により貼合される。電磁波シールド紙1は、坪量60〜120g/m2、図2に示す厚さtが50〜120μmであり、アドバンテスト法による電磁波遮蔽性能は、10〜100MHzにおける減衰率が30dB以上である。
電磁波シールド層10は、アルミニウム、銅、鉄等からなる金属箔であり、図2に示す厚さt1が8μmより大であって12μm未満である。なお、軽量であり、錆び難く、蒸着や貼合等の処理を行い易い観点から、電磁波シールド層10にはアルミニウム箔を用いるのが好ましい。
接着層は、図2に示す厚さt2が2〜20μmである。アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の樹脂からなる接着剤、若しくは、ポリオレフィン系、ポリエステル系等のラミネート材から形成されている。
(樹脂ラミ方式)
電磁波シールド層10に樹脂等のラミネート材を積層して紙基材12を貼合する方式である。ラミネータ(貼合装置)を通過することにより、ラミネート材を介して、紙基材12、電磁波シールド層10、紙基材12が順に積層、圧着された積層体を形成することができる。ラミネート材には、例えばポリオレフィン系、ポリエステル系等の樹脂が使用される。
電磁波シールド層10に接着剤を塗工して乾燥後に紙基材12を貼合する方式である。ラミネータを通過することにより、接着剤を介して、紙基材12、電磁波シールド層10、紙基材12が順に積層、接着された積層体を形成することができる。接着剤には、例えばアクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の樹脂が使用される。
紙基材は、パルプを叩解しパルプスラリーとし、このパルプスラリーに炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等の填料を添加して原料スラリーを形成し(調成工程)、この原料スラリーを抄紙することにより基紙を形成し(抄紙工程)、この基紙にデンプン、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を結着剤として塗工し(塗工工程)、表面処理及び裁断等(仕上・加工工程)を経て形成される。
こうして、本実施形態の電磁波シールド紙1は、電磁波シールド層10の表裏両方の面10a、10bにそれぞれ接着層14を介して紙基材12を貼合した3層構造に形成されている。
(パルプ)
パルプにはバージンパルプ及び古紙パルプを使用することができる。バージンパルプには、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプや、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。白色度、強度、表面の平滑性等を良好にできることから、LBKPとNBKPを混合して使用することが好ましい。
パルプを叩解して形成されたパルプスラリーに、灰分としての填料を全パルプの固形分に対して10質量%以上、好ましくは15〜35質量%、より好ましくは20〜35質量%添加して基紙の原料スラリーを形成する。上記灰分の測定方法は、JIS P8251の規定に準拠している。填料には不純物が少なく白色度が高い軽質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。また、軽質炭酸カルシウムは、微粒、或いは凝集状(ロゼッタ型)の形状、好ましくは微細柱状結晶(針形状)の形状のものを単独或いは混合して使用することにより、印刷用紙の不透明度(JIS P8149に規定)を60%以上に調整する。
さらに、本発明の電磁波シールド紙1の紙基材12として使用する印刷用紙は、坪量17〜30g/m2であり、一般の印刷用紙と比べて低坪量である。この坪量の範囲では、坪量が小さくなるに従い不透明度の低下がより顕著となり、灰分が同量であって坪量が小さくなると坪量あたりに換算した不透明度(単位:%/(g/m2))の値が小さくなる傾向にある。そのため、本発明の紙基材12として用いる印刷用紙の填料には軽質炭酸カルシウムとともに酸化チタンを混合して使用することがより好ましく、軽質炭酸カルシウムを酸化チタンとすることもできる。
原料スラリーは、例えば長網式抄紙機を用いて抄紙され、基紙が形成される。なお、本発明の効果を損なわないのであれば、丸網式抄紙機、短網式抄紙機、ツインワイヤ式抄紙機等を用いても良い。また、抄紙は酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙の何れかの方式で行われる。
抄紙後に形成された基紙に結着剤をサイズプレス処理等により塗工する。結着剤は基紙に含有される填料の定着性を高め、印刷時のパイリングを抑制する。結着剤には、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酸素変性澱粉などの澱粉が好ましく、これら澱粉を単独或いは混合して使用することができる。
さらには、電磁波シールド紙1を封筒6に封入するなどして郵送する場合には、従来に比して郵便物の大幅な軽量化を図ることができるため、郵便料金を効果的に低減することもできる。
(不透明度)
JIS P8149の規定に準拠して測定した。
(灰分)
JIS P8251の規定に準拠して測定した。
電磁波シールド紙1をアドバンテスト法により評価し、10〜100MHzの周波数範囲において30dB以上の減衰率となる電磁波遮蔽能を有するものを○、30dB未満の電磁波遮蔽能しか有さないものを×とした。
(下地の見え方)
アルミニウム箔に紙基材12を貼合した電磁波シールド紙1を紙基材12の表面から肉眼で見て、アルミニウムの金属光沢が判別できないものを○、判別できるものを×とした。
紙基材12として、坪量20g/m2、厚さ26μm、不透明度69%、灰分18質量%の軽量印刷用紙を準備した。厚さ9μmのアルミニウム箔(電磁波シールド層10)の両方の面10a、10bに、ラミネータからポリエチレン樹脂(PE)を押し出して15μmの厚さのラミネート層(接着層14)を形成することにより、軽量印刷用紙とアルミニウム箔を貼合して電磁波シールド紙1を得た。本例の電磁波シールド紙1は厚さが91μmであり、シールド効果、下地の見え方は合格(○)であった。
厚さ11μmのアルミニウム箔を用いた以外は実施例1と同じ条件で電磁波シールド紙1を形成した。本例の電磁波シールド紙1は厚さが94μmであり、シールド効果、下地の見え方は合格(○)であった。
紙基材12として、坪量20g/m2、厚さ26μm、不透明度69%、灰分18質量%の軽量印刷用紙を準備した。厚さ9μmのアルミニウム箔(電磁波シールド層10)の両方の面10a、10bに、アクリル系接着剤を膜厚5μmとなるよう塗布して接着剤塗布層(接着層14)を形成することにより、軽量印刷用紙とアルミニウム箔とを貼合して電磁波シールド紙1を得た。本例の電磁波シールド紙1は厚さが71μmであり、シールド効果、下地の見え方は合格(○)であった。
紙基材12として、坪量18g/m2、厚さ23μm、不透明度62%、灰分20質量%の軽量印刷用紙を準備した以外は実施例1と同様の条件で電磁波シールド紙1を得た。本例の電磁波シールド紙1は厚さが85μmであり、シールド効果、下地の見え方は合格(○)であった。
紙基材12として、坪量20g/m2、厚さ28μm、不透明度32%の填料を含まない加工原紙を準備した以外は実施例1と同様の条件で電磁波シールド紙1を形成した。この電磁波シールド紙1の厚さは95μmであった。本例の場合には、紙基材12の不透明度が低く、電磁波シールド紙1の表面にはアルミニウム箔(電磁波シールド層10)の金属光沢が現れ、印刷物の品質に影響するため、下地の見え方は不合格(×)であった。シールド効果は合格(○)であった。
厚さ7μmのアルミニウム箔(電磁波シールド層10)とした以外は実施例1と同じ条件で電磁波シールド紙1を形成した。本例の場合には、アルミニウム箔の厚さが薄く、電磁波シールド効果を得られないことが判明したため、シールド効果が不合格(×)であった。下地の見え方は合格(○)であった。
紙基材12として、坪量65g/m2、厚さ80μm、不透明度87%、灰分10.6質量%の市販のコピー用紙を準備した以外は実施例1と同じ条件で電磁波シールド紙1を形成した。本例の電磁波シールド紙1では、アルミニウム箔(電磁波シールド層10)の金属光沢は見られず、一般の紙台紙として利用できる印刷品質であるが、紙基材12が厚いため、電磁波シールド紙1の厚さも200μmと厚くなり、封筒等に封入するには不適であった。シールド効果及び下地の見え方は合格(○)であった。
例えば、上記実施形態の電磁波シールド紙1は、紙基材12を電磁波シールド層10の表裏両方の面10a、10bに貼合した3層構造となっている。しかし、面10a、10bの一方にのみ紙基材12を貼合して2層構造の電磁波シールド紙を形成しても良い。また、電磁波シールド層10、紙基材12から4層以上の構造の電磁波シールド紙1を形成しても良い。これらの場合であっても、電磁波シールド紙1の少なくとも一方の表面には印刷が可能となり、従来よりも格段に薄く軽量で且つ印刷品質の良い電磁波シールド紙1を得ることができる。
10 電磁波シールド層(金属箔)
10a 面
10b 面
12 紙基材
14 接着層(接着剤、ラミネート材)
Claims (5)
- 電磁波シールド層の少なくとも一方の面に紙基材が貼合されてなる電磁波シールド紙であって、
前記電磁波シールド層の少なくとも一方の面に貼合された前記紙基材は、坪量17〜30g/m2、厚さ20〜40μm、不透明度65%以上、灰分10質量%以上、坪量あたりに換算した不透明度2.5%/(g/m2)以上、引張強さ1.2kN/m以上であり、
前記電磁波シールド紙は、厚さ50〜120μmであり、アドバンテスト法による電磁波遮蔽性能は、10〜100MHzにおける減衰率が30dB以上である、電磁波シールド紙。 - 前記電磁波シールド層と前記紙基材とは接着層により貼合される、請求項1に記載の電磁波シールド紙。
- 前記接着層は、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系の少なくとも何れか1つの樹脂からなる接着剤、若しくは、ポリオレフィン系、ポリエステル系の少なくとも何れか1つのラミネート材である、請求項2に記載の電磁波シールド紙。
- 前記電磁波シールド層は、アルミニウム、銅、鉄の少なくとも何れか1つからなる金属箔である、請求項1から3の何れか1項に記載の電磁波シールド紙。
- 前記電磁波シールド層は、厚さが8μmより大であって、12μm未満である、請求項1から4の何れか1項に記載の電磁波シールド紙。
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