JP2016076472A - 接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】「開口部が設けられた金属製の集電部材の板状部分が接合材膜に埋設された構成」が採用された、集電部材と燃料電池セルとの接合体であって、「開口部の内側面と接合材膜との界面に剥離が発生難いものを提供すること。【解決手段】集電部材の固定部310が接合材膜80に埋設されることで、固定部310の周縁部の外側面310s、及び、開口部312の内側面312sが接合材膜80に覆われる。開口部の内側面312sが接合材膜80に覆われる高さ(T)に対する、「固定部の厚さ方向」に沿う開口部の断面における開口部の内側面に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)が1.02〜1.31である。Tに対する、「開口部の断面における開口部の内側面に対応する線上において開口部の内側面と接合材膜とが接触する複数の部分の「固定部の厚さ方向」の長さの合計」、の割合が、21〜95%である。【選択図】図27

Description

本発明は、接合体に関する。
従来より、「燃料極と、電解質膜と、空気極とを含む燃料電池の発電部」と「電子伝導性を有する集電部材」とが「電子伝導性を有する接合材料からなる接合材膜」によって接合された接合体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
上記文献に記載された接合体では、集電部材が板状部分を有する。接合材膜は、「発電部の燃料極及び空気極の何れか一つ、又は、発電部の燃料極及び空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材」(以下、「ベース部材」と呼ぶ)と「集電部材の板状部分」との間に介在する。接合材膜は、集電部材の板状部分がベース部材における板状部分に向いた表面に沿って延在するように、且つ、ベース部材と板状部分とが電気的に接続されるように、ベース部材と板状部分とを接合している。
上記文献に記載の接合体では、ベース部材と集電部材の板状部分とを接合するため、電子伝導性を有する接合材料からなるペーストが使用される。即ち、ベース部材の接合面に塗布等の手法によってペーストの膜が形成される。そのペースト膜に集電部材の板状部分が貼り合わされる。この状態にてそのペースト膜が焼成される。この結果、ペースト膜の焼成体(接合材膜、焼成膜)によって、ベース部材と集電部材の板状部分とが電気的に接続された接合体が得られる。
このような接合体では、電気抵抗が小さいことが好ましい。このため、上記文献に記載の接合体では、「集電部材の板状部分が接合材膜に埋設された構成」が採用されている。この構成は、集電部材の板状部分をペースト膜に貼り合わす際、集電部材の板状部分をペースト膜に埋設することによって得られる。この構成では、集電部材の板状部分の周縁部の外側面がペースト膜(接合材膜)に覆われる。従って、ペースト膜(接合材膜)が、集電部材の板状部分の底面のみならず、集電部材の板状部分の周縁部の外側面にも接触し得る。従って、集電部材の板状部分の底面のみが接合材膜の表面に接触する構成(即ち、集電部材の板状部分が接合材膜に埋設されない構成)と比べて、集電部材と接合材膜との間の接触面積が大きくなり、集電部材と接合材膜との接合部位における電気抵抗を小さくすることができる。
特許第5356624号公報
本発明者は、このような接合体の電気抵抗を更に小さくするため、集電部材の板状部分に「厚さ方向に貫通する開口部」を設けて、「開口部が設けられた集電部材の板状部分が接合材膜に埋設された構成」を採用することを考えている(後述する図20、図21等を参照)。この構成では、開口部の内側面もがペースト膜(接合材膜)に覆われる。従って、ペースト膜(接合材膜)が、集電部材の板状部分の底面、及び、集電部材の板状部分の周縁部の外側面のみならず、開口部の内側面にも接触し得る。従って、集電部材と接合材膜との間の接触面積が更に大きくなり、集電部材と接合材膜との接合部位における電気抵抗を更に小さくすることができる。
本発明者は、上述した「開口部が設けられた集電部材の板状部分が接合材膜に埋設された構成」について研究、実験等を重ねた。その結果、上記構成の形態によっては、上述したペーストの焼成時等において、開口部の内側面と接合材膜との界面に剥離が発生し易いことが判明した。このような剥離が発生し難い接合体の到来が望まれていたところである。
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、「開口部が設けられた集電部材の板状部分が接合材膜に埋設された構成」が採用された接合体であって、「開口部の内側面と接合材膜との界面に剥離が発生難いものを提供することを目的とする。
本発明に係る接合体の特徴は、前記集電部材が金属で構成され、且つ、「前記開口部の内側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)」に対する「前記板状部分の厚さ方向に沿う前記開口部の断面の拡大率が30倍の画像に基づいて得られる、前記開口部の内側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)」の割合(S/T)が、1.02〜1.31であることにある。
本発明者は、前記割合(S/T)が1.02〜1.31である場合、そうでない場合と比べて、集電部材の板状部分に設けられた開口部の内側面と、接合材膜との界面に剥離が発生し難くなること、を見出した(この点については後述する)。
本発明の実施形態に係る接合体を含む燃料電池のスタック構造体に使用される1つのセルを示す斜視図である。 図1に示すセルの2−2線に対応する断面図である。 図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。 図1に示すセルの作動状態を説明するための図である。 図1に示すセルの作動状態における電流の流れを説明するための図である。 図1に示す支持基板を示す斜視図である。 図1に示すセルの製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。 本発明の実施形態に係る接合体を含む燃料電池のスタック構造体の全体の斜視図である。 図15に示した燃料マニホールドの全体の斜視図である。 図16に示した支持板に形成された挿入孔の拡大図である。 挿入孔とセルの一端部との接合部の様子を示した横断面図である。 挿入孔とセルの一端部との接合部の様子を示した縦断面図である。 図19に示した集電部材の全体の斜視図である。 図20に示した集電部材の展開図である。 隣接するセルの間でx軸方向からみた相対回転変位が発生した場合における、集電部材の弾性変形の様子を示した図である。 隣接するセルの間でy軸方向からみた相対回転変位が発生した場合における、集電部材の弾性変形の様子を示した図である。 隣接するセルの間でz軸方向からみた相対回転変位が発生した場合における、集電部材の弾性変形の様子を示した図である。 集電部材の変形例についての図20に対応する斜視図である。 図25に示した集電部材の変形例についての図21に対応する展開図である。 集電部材の板状部分とベース部材とを接合材ペースト(接合材膜)を介して電気的に接続・固定する際の処理の過程の一例を示す図である。 図27に示した断面図に対応する集電部材の断面の位置を説明するための図である。 図27に示した接合体の30倍の部分拡大図である。 図27に示した接合体の他の例の30倍の部分拡大図である。 図27に示した接合体の他の例の30倍の部分拡大図である。
(接合体を含むスタック構造体に使用されるセルの構成の一例)
先ず、本発明の実施形態に係る接合体を含む燃料電池(SOFC)のスタック構造体に使用されるセル100について説明する。図1に示すように、このセル100は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このセル100の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さL1が50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さL2が10〜100mmの長方形である(L1>L2)。このセル100の全体の厚さL3は、1〜5mmである(L2>L3)。このセル100の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このセル100の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このセル100の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl2O4(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸化性イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
なお、膜の気孔率は、以下のように測定された。先ず、膜の気孔内に樹脂が進入するようにその膜に対して所謂「樹脂埋め」処理がなされた。その「樹脂埋め」処理された膜の表面に対して機械研磨がなされた。機械研磨された表面の微構造を走査型電子顕微鏡を用いて観察して得られた画像に対して画像処理を行うことによって、気孔の部分(樹脂が進入している部分)と気孔でない部分(樹脂が進入していない部分)の面積がそれぞれ算出された。その比率が膜の気孔率とされた。
以上、説明した図1に示す「横縞型」のセル100に対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O (於:空気極60) …(1)
+O →HO+2e (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このセル100全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(セルの製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のセル100の製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。なお、この明細書において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100が得られる。以上、図1に示したセル100の製造方法の一例について説明した。
なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20中のNi成分が、NiOとなっている。従って、これらの導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。
(スタック構造体の全体構成の一例)
次に、上述したセル100を用いた「本発明の実施形態に係る接合体を含む固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体」について説明する。図15に示すように、このスタック構造体は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するための燃料マニホールド200と、を備えている。燃料マニホールド200の全体は、ステンレス鋼等の材料で構成されている。燃料マニホールド200は、内部空間(直方体状の空間、第1内部空間に対応)を備えた、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
燃料マニホールド200の上壁(天板、換言すれば、ガスタンクの天板(平板))は、多数のセル100を支持するための支持板210を兼ねている。また、燃料マニホールド200には、外部から燃料マニホールド200の内部空間に燃料ガスを導入するための導入通路220が、支持板210上にて、燃料マニホールド200の長手方向(z軸方向)の一方側(z軸正方向側)の端部に設けられている。導入通路220と燃料マニホールド200の内部空間とは連通している。
各セル100が支持板210(=マニホールド200の上壁)から上方(x軸正方向)に向けてそれぞれ突出するように、且つ、上方から見たとき、各セル100がy軸方向(前記第1方向)に沿ってそれぞれ延在し且つ複数のセル100がz軸方向(前記第2方向)に沿って互いに離れてスタック状に整列するように、各セル100の長手方向(x軸方向)における燃料ガス流入側の端部が、支持板210にて接合・支持されている。燃料マニホールド200の内部空間と、複数のセル100の燃料ガス流路11のそれぞれとは連通している。各セル100の長手方向(x軸方向)における燃料ガス排出側の端部は、自由端となっている。従って、このスタック構造は、「片持ちスタック構造」と表現することができる。
図16に示すように、支持板210(=マニホールド200の上壁)の表面には、燃料マニホールド200の内部空間と連通する多数の挿入孔211(貫通孔)が形成されている。各挿入孔211には、対応するセル100の燃料ガス流入側の一端部がそれぞれ挿入される。
図17に示すように、本実施形態では、複数の挿入孔211は同形である。各挿入孔211の形状は、長さL4、幅L5のy軸方向に延在する長円形状(L4>L5)を呈している。また、複数の挿入孔211は、y軸方向において同じ位置に、且つ、z軸方向において同じ間隔をおいて配置されている。
各挿入孔211の長さL4は、セル100の一端部の側面の長さL2(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。同様に、各挿入孔211の幅L5は、セル100の一端部の側面の幅L3(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。即ち、図18、19に示すように、セル100の一端部が挿入孔211に挿入された状態では、挿入孔211の内壁とセル100の一端部の外壁との間に隙間が形成される。換言すれば、セル100の一端部が挿入孔211に遊嵌される。なお、図18、図19(特に、図18)では、前記隙間が誇張して描かれている。
図18、図19に示すように、挿入孔211とセル100の一端部との接合部のそれぞれにおいて、固化された接合材250が前記隙間に充填されるように設けられている。これにより、各挿入孔211と対応するセル100の一端部とがそれぞれ接合・固定されている。図19に示すように、各セル100のガス流路11の一端部は、燃料マニホールド200の内部空間と連通している。
接合材250は、MgO−CaO−SiO−B系や、MgO−BaO−SiO−B系等の結晶化ガラスで構成される。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラス(セラミックス)を指す。結晶化ガラスの結晶化度は、具体的には、例えば、「XRD等を用いて結晶相を同定し、SEM及びEDS、或いは、SEM及びEPMA等を用いて結晶化後のガラスの組織や組成分布を観察した結果に基づいて、結晶相領域の体積割合を算出する」ことによって得ることができる。
また、図19に示すように、隣接するセル100、100の間の空間(以下、「セル間空間」とも呼ぶ)には、隣接するセル100、100の間を電気的に直列に接続するための集電部材300がそれぞれ介在している。加えて、各セル100について表側と裏側とを電気的に直列に接続するための集電部材400も設けられている。各セル間空間の幅(z軸方向の距離)は同じである。
なお、図19から理解できるように、集電部材300は、複数の発電素子部Aのうち上下方向(x軸方向)における最も下側に設けられた発電素子部A(以下、「最下発電素子部AS」とも呼ぶ)より下側に配置されている。換言すれば、集電部材300は、燃料マニホールド200の上壁から突出するセル100の根元側(即ち、燃料ガス流入側)に接続されている。これは、セル100の根元側より温度が高いセル100の先端側(即ち、燃料ガス排出側)に集電部材300を設けると、集電部材300とセル100との接合部位にて剥離が発生し易いことに因る。ガス排出口から排出された余剰の燃料ガスが周囲の空気(酸素)と反応(燃焼)することによって、その燃焼による熱を受けてセル100の先端側の温度は局所的に高くなる。
図19に示すように、各集電部材300(より詳細には、集電部材300の後述する一対の固定部310、310)は、電子伝導性を有する接合材膜80を用いて、隣接するセル100、100に設けられたベース部材B、Bとそれぞれ接合されている。ここで、「ベース部材B」とは、「セル100の最下発電素子部ASの燃料極20及び空気極60の何れか一つ」、又は、「最下発電素子部ASの燃料極20及び空気極60の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材」を指す。この導電部材は、例えば、ランタンストロンチウムコバルトフェライトLSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O等の多孔質の導電性セラミックス材料からなる焼成体である。隣接するセル100、100のベース部材B、Bの組み合わせは、燃料極及び燃料極、燃料極及び空気極、空気極及び空気極の何れであってもよい。
集電部材300は、例えば、日立金属(株)製のZMG232L等のFe、Crを主成分とするステンレス系材料(SUS材料)に代表される緻密な金属材料によって構成されている。接合材膜80は、MnCo、CuMn、CuFe等のスピネル型結晶構造を有する遷移金属酸化物(即ち、導電性セラミックス材料)等からなる焼成体である。
(集電部材の形状)
以下、図20〜図24を参照しながら、集電部材300の三次元形状について説明する。図20に示すように、集電部材300は、一対の固定部310、310と、一対の固定部310、310の一部である一対の側端部311、311を連結する連結部320と、から構成される。ここで、集電部材300が本発明の前記「集電部材」に対応し、集電部材300の固定部310が本発明の前記「集電部材の板状部分」に対応する。
一対の固定部310、310は、z軸方向に互いに間隔を空けて平行に向かい合う一対の平板状(薄い直方体状)の部分である。各固定部310には、x軸方向に互いに間隔を空け且つy軸方向に互いに平行に延びる複数(本例では、6本)の開口部312(厚さ方向に貫通する長孔)が設けられている。本例では、各開口部312の開口は、細長い長方形を呈している。すなわち、各開口部312は、スリット状である。
一対の固定部310、310は、接合材膜80を介して、隣接するセル100、100の対応するベース部材B、Bの接合面(x−y平面に沿う平面)とそれぞれ接合されている(図19を参照)。一対の側端部311、311は、一対の固定部310、310のうち、y軸負方向側の端部においてx軸方向に亘って延在する領域であって、z軸方向に互いに間隔を空けて平行に向かい合う一対の短冊状の部分である。
連結部320は、第1延在部と、第2延在部323と、を有する。第1延在部は、一対の側端部311、311におけるx軸正方向側の端部から、y軸負方向側に向けてそれぞれ延びる一対の第1部分321、321と、一対の第1部分321、321の先端側(y軸負方向側)にある一対の先端部からx軸負方向側に向けてそれぞれ延びる一対の第2部分322、322と、から構成される。一対の第1部分321、321、並びに、一対の第2部分322、322は共に、z軸方向に互いに間隔を空けて平行に向かい合う一対の短冊状の部分である。
第2延在部323は、z軸方向に延びる短冊状を呈し、一対の第2部分322、322の先端側(x軸負方向側)にある一対の先端部同士を連結する。
図20に示す集電部材300は、ワイヤ放電加工等によって図21に示す形状に作製された薄板状の部材を、第2延在部323と一対の第2部分322、322との境界線に沿ってそれぞれ直角に折り曲げることによって完成される。
図21に示す薄板状の部材において、「第1部分321に対応する部分の主面(紙面に平行な平面)における、第1部分321の延在方向(紙面左右方向)に直交する方向(紙面上下方向)の幅A21」、「第2部分322に対応する部分の主面(紙面に平行な平面)における、第2部分322の延在方向(紙面上下方向)に直交する方向(紙面左右方向)の幅A22」、並びに、「第2延在部323に対応する部分の主面(紙面に平行な平面)における、第2延在部323の延在方向(紙面左右方向)に直交する方向(紙面上下方向)の幅A23」は、全て、図21に示す薄板状の部材の板厚よりも大きい。
以下、集電部材300が上記のような三次元的な形状を有することによる作用・効果について図22〜図24を参照しながら簡単に述べる。上述したスタック構造体では、SOFCの運転時等において、隣接するセル100、100の間で三次元的な相対変位(相対的な位置のずれ、相対的な姿勢のずれ等)が不可避的に発生し得る。加えて、隣接するセル100、100の間では、一対の固定部310、310が対応するセル100とそれぞれ接合・固定されている。このことは、図20に示す集電部材300において、一対の固定部310、310の間で、三次元的な相対変位(相対的な位置のずれ、相対的な姿勢のずれ等)が不可避的に発生し得ることをも意味する。
ここで、図22に示すように、集電部材300は、「一対の固定部310、310間でx軸方向からみた相対回転変位を伴う弾性変形」に対する剛性が低い。これは、一対の固定部310、310同士が相対的にx軸周りのモーメントを受けた際において、一対の第1部分321、321の曲げ剛性、一対の第2部分322、322のねじれ剛性、並びに、第2延在部323の曲げ剛性が低いことに基づく。
また、図23に示すように、集電部材300は、「一対の固定部310、310間でy軸方向からみた相対回転変位を伴う弾性変形」に対する剛性も低い。これは、一対の固定部310、310同士が相対的にy軸周りのモーメントを受けた際において、一対の第1部分321、321のねじれ剛性、並びに、一対の第2部分322、322の曲げ剛性が低いことに基づく。
更には、図24に示すように、集電部材300は、「一対の固定部310、310間でz軸方向からみた相対回転変位を伴う弾性変形」に対する剛性も低い。これは、一対の固定部310、310同士が相対的にz軸周りのモーメントを受けた際において、第2延在部323のねじれ剛性が低いことに基づく。
以上より、集電部材300では、「一対の固定部310、310の間でx軸、y軸、z軸の3軸方向からみたそれぞれの相対回転変位を伴う弾性変形」の全てに対する剛性が低い。従って、集電部材300は、「一対の固定部310、310の間で三次元的に相対変位が発生するような弾性変形」に対する剛性が低い、といえる。この結果、隣接するセル100、100の間で三次元的な相対変位が発生しても、「集電部材の一対の固定部310、310」と「隣接するセル100、100のベース部材B、B」との接合部に作用する応力が小さくなる。この結果、前記接合部における信頼性が高くなる。
なお、集電部材300として、図25、図26に示す形状を有する集電部材300が採用されても、上記と同様の作用・効果が奏される。図25、図26に示す集電部材300は、図20、図21に示す集電部材300に対して、第2延在部323の平面の向きのみが異なる。図25に示す集電部材300は、ワイヤ放電加工等によって図26に示す形状に作製された薄板状の部材を、第2延在部323と一対の第2部分322、322との境界線に沿ってそれぞれ直角に折り曲げることによって完成される。
図26に示す薄板状の部材において、「第1部分321に対応する部分の主面(紙面に平行な平面)における、第1部分321の延在方向(紙面上下方向)に直交する方向(紙面左右方向)の幅A21」、「第2部分322に対応する部分の主面(紙面に平行な平面)における、第2部分322の延在方向(紙面左右方向)に直交する方向(紙面上下方向)の幅A22」、並びに、「第2延在部323に対応する部分の主面(紙面に平行な平面)における、第2延在部323の延在方向(紙面左右方向)に直交する方向(紙面上下方向)の幅A23」は、全て、図26に示す薄板状の部材の板厚よりも大きい。
以上、説明したSOFCのスタック構造を稼働させる際には、図15、及び、図19に示すように、高温(例えば、600〜800℃)の「燃料ガス」(水素等)及び「空気」を流通させる。即ち、図15に示すように、導入通路220から導入された燃料ガスは、燃料マニホールド200の内部空間へと移動し、その後、各挿入孔211を介して対応するセル100のガス流路11にそれぞれ導入される。各ガス流路11を通過した燃料ガスは、その後、各ガス流路11の他端(自由端)から外部に排出される。一方、図19に示すように、空気は、それぞれのセル間空間にてセルの幅方向(y軸方向)に沿って主として移動するように、図示しない空気マニホールドから供給される。
(スタック構造体の組立方法)
次に、図15等に示した本発明の実施形態に係る「接合体」を含むスタック構造体は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、必要な枚数の完成したセル100、完成した燃料マニホールド200、及び、必要な個数の完成した集電部材300等が準備される。次いで、所定の治具等を用いて、複数のセル100がスタック状に整列・固定される。次に、複数のセル100がスタック状に整列・固定された状態が維持されながら、複数のセル100のそれぞれの一端部が、支持板210の対応する挿入孔211に一度に挿入される。次いで、接合材250用のペーストが、挿入孔211とセル100の一端部との接合部のそれぞれの隙間に充填される。
次に、上記のように充填されたペーストに熱処理が加えられる(ペーストが焼成される)。この結果、ペーストが固化されて接合材300となる。即ち、各セル100の一端部が接合材300を用いて支持板210にそれぞれ接合・支持される。その後、前記所定の治具が複数のセル100から取り外される。
次いで、スタック状に整列している複数のセル100において、隣接するセル100、100のベース部材B、Bが、接合材膜80を用いて、集電部材300の一対の固定部310、310にそれぞれ接合・固定される(この過程については、後述する)。その後、各セル100の所定の位置に集電部材400を組み付けるなどの処理を経て、上述した片持ちスタック構造体が完成する。
なお、上述した例では、各セル100の一端部が支持板210にそれぞれ接合・支持された後に、隣接するセル100、100のベース部材B、Bが集電部材300の一対の固定部310、310とそれぞれ接合・固定されているが、隣接するセル100、100のベース部材B、Bが集電部材300の一対の固定部310、310とそれぞれ接合・固定された後に、各セル100の一端部が支持板210にそれぞれ接合・支持されてもよい。
以下、各集電部材300の固定部310と、対応するセル100のベース部材Bとの接合について、図27を参照しながら説明する。図27は、集電部材300の固定部310とベース部材Bとの接合部分における、図28に示す何れかの切断線に沿う断面(x−z平面に平行な平面)の一部を示す。
図27の上図に示すように、先ず、セル100のベース部材Bの表面(接合面。本例では、平面)の接合箇所に、接合材膜80用のペーストの膜が、塗布、印刷法等を用いて形成される。なお、接合材膜80用のペーストの膜は、集電部材300の固定部310の接合箇所に形成されてもよいし、ベース部材Bの表面の接合箇所及び集電部材300の固定部310の接合箇所にそれぞれ形成されてもよい。このペースト膜の厚さ(合計)は20〜500μmである。なお、このペースト膜に代えて、ペースト膜と同じ材料で構成されたテープが上記接合箇所に貼り付けられてもよい。
次に、集電部材300の固定部310がペースト膜の上面に所定の荷重で押し付けられる。これにより、図27の中図に示すように、ペースト膜の表面における「開口部312に対応するそれぞれの部分」及び「固定部310の周縁部に対応する部分」が、上方(z軸負方向)に盛り上がる。この結果、図27に示す例では、集電部材300の固定部310の全体がペースト膜に埋設される。換言すれば、固定部310の底面(本例では、平面)、固定部310の周縁部の外側面310s、及び、固定部310に設けられた各開口部312の内側面312s、のそれぞれの全域が、ペースト膜に覆われる。なお、集電部材300の固定部310の厚さ方向の一部分(下側部分)のみがペースト膜に埋設されてもよい。この場合、固定部310の底面(本例では、平面)の全域、固定部310の周縁部の外側面310sの下側部分のみ、及び、固定部310に設けられた各開口部312の内側面312sの下側部分のみが、ペースト膜に覆われる。
そして、図27の下図に示すように、集電部材300の固定部310が埋設されたペースト膜が焼成(温度:800〜1000℃(好ましくは850℃)、時間:1hr)されて、接合材膜80となる。この結果、各集電部材300の固定部310と、対応するベース部材Bとが、接合材膜80を介して接合・固定され、隣接するセル100、100のそれぞれが、対応するセル間空間に配置された集電部材300によって、接合材膜80を介して電気的に接続される。
この「接合体」では、集電部材300の固定部310が接合体膜80に埋設されることによって、固定部310の底面、固定部310の周縁部の外側面310s、並びに、各開口部312の内側面312sのそれぞれの全域が接合材膜80に覆われている。従って、固定部310の底面のみが接合材膜80の表面に接触する構成(即ち、固定部310が接合材膜80に埋設されない構成)と比べて、集電部材300と接合材膜80との間の接触面積が大きくなり、集電部材300と接合材膜80との接合部位における電気抵抗を小さくすることができる。
(開口部の内側面と接合材膜との界面における剥離の抑制)
上述した「開口部が設けられた集電部材の固定部が接合材膜に埋設された構成」を採用する場合、接合材膜80用のペーストの焼成時等において、集電部材300の固定部310に設けられた開口部312の内側面312sと接合材膜80との界面に剥離が発生し易い場合があった。
ここで、図27の下図の一部拡大図である図29及び図30に示すように、「開口部312の内側面312sが接合材膜80に覆われる高さ(固定部310の厚さ方向(z軸方向)の距離)(mm)」を「T」とし、「固定部310の厚さ方向(z軸方向)に沿う開口部312の断面における、開口部312の内側面312sの接合材膜80に覆われる部分に対応する線の道程(mm)」を「S」とする。
図29は、集電部材300の固定部310の全体が接合材膜80に埋設された場合の一例を示し、図30は、集電部材300の固定部310の下側部分のみが接合材膜80に埋設された場合の一例を示している。図29に示すように、集電部材300の固定部310の全体が接合材膜80に埋設された場合には、開口部312の内側面312sの全域が接合材膜80に覆われる。この場合、値Tは、集電部材300の固定部310の厚さ(板厚)と等しくなる。図30に示すように、集電部材300の固定部310の下側部分のみが接合材膜80に埋設された場合には、開口部312の内側面312sの下側部分のみが接合材膜80に覆われる。この場合、値Tは、集電部材300の固定部310の厚さ(板厚)より小さくなる。
図29及び図30に示す断面図において、道程Sは、開口部312の内側面312sにおける接合材膜80に覆われる部分に対応する線(内側面312sに対応する線における、図中にて高さTに対応する範囲内の部分)の、微細なうねり(凹凸)までを考慮して得られる長さである。道程Sは、例えば、図29及び図30に示すような断面の拡大率が30倍の画像に対して画像解析を行うことによって、その画像にて確認できる微細なうねり(凹凸)を考慮した値(道筋の長さ)として算出され得る。
本発明者は、上述した「開口部の内側面312sと接合材膜80との界面での剥離」の問題に対処するために種々の実験等を重ねた。その結果、本発明者は、係る剥離の発生は、値「S/T」と強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験Aについて説明する。
(試験A)
試験Aでは、図27に示す手順に従って接合された「集電部材の固定部とベース部材との接合体」と同等の接合体について、集電部材(の固定部)の材料、接合材膜の材料、及び、値「S/T」、の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、15種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。
各サンプルについて、ベース部材としては、La(Ni,Fe,Cu)Oからなる直方体の部材が使用された。ベース部材の気孔率は、25〜50%であった。集電部材の固定部の形状としては、図21に示す固定部310(6本の開口部312を含む)と同等の形状が採用された。集電部材の固定部の形状(開口部を含む)は、ワイヤ放電加工によって形成された。固定部全体の平面形状は、14mm×49mmの長方形であった。各開口部の幅H2(mm)及び長さH3(mm)、並びに、隣接する開口部の間隔H1(mm)(図21を参照)は、それぞれ、1mm、43mm、1mmであった。集電部材の固定部の厚さは、0.5〜0.6mmであった。各サンプルにおいて、集電部材の固定部の全体が接合材膜に埋設されていた。従って、「高さT」は、集電部材の固定部の「厚さ」と一致する。
各サンプルについて、集電部材の固定部の「厚さ」(=「高さT」)としては、「図28に示す10本の切断線に沿う固定部のそれぞれの断面(x−z平面に平行な平面)の任意の位置において得られるそれぞれの値(10個の値)の平均値」が採用された。開口部の内側面の「道程S」としては、「図28に示す10本の切断線に沿う固定部のそれぞれの断面(x−z平面に平行な平面)に含まれる任意の開口部の任意の位置において前記断面を30倍に拡大した画像に基づいて得られるそれぞれの値(10個の値)の平均値」が採用された。厚さTに対する道程Sの調整(値S/Tの調整)は、ワイヤ放電加工における放電エネルギーを調整することによってなされた。具体的には、放電エネルギーが大きいほど、値S(従って、値「S/T」)が大きくなる。
各サンプル(集電部材の固定部とベース部材との接合体)の接合は、図27に示した手順を経て行われた。図27の上図に示す接合材膜用のペーストの膜の厚さは30〜300μmであった。ペーストの焼成は、800〜1000℃(好ましくは850℃)で、1hrに亘って行われた。焼成後の接合材膜の気孔率は、20〜50%であった。各サンプルについて、図27の下図のように、固定部の底面(平面)、固定部の周縁部の外側面、及び、固定部に設けられた各開口部の内側面、のそれぞれの全域が、接合材膜(焼成膜)に覆われていた。固定部の底面とベース部材の表面との距離は0.1〜0.5mmであった。
表1から理解できるように、値「S/T」が1.02より小さい、又は、1.31より大きいと、「開口部の内側面と接合材膜との界面での剥離」が発生し易く、値「S/T」が1.02〜1.31の範囲内であると、前記剥離が発生し難い、ということができる。値「S/T」が1.02より小さいと、内側面と接合材膜との接合界面におけるアンカー効果が十分に得られないため剥離が発生しやすくなるものと考えられる。また、値「S/T」が1.31よりも大きいと、内側面と接合材膜との接合界面に空隙が残りやすいため剥離が発生しやすくなるものと考えられる。以上より、値「S/T」は1.02〜1.31の範囲内であることが好ましい。なお、各サンプルにおける値「S/T」の標準偏差は、0.1以内である。
ところで、図29及び図30に示すように、開口部の内側面では、実際には、微細なうねり(凹凸)が不可避的に発生する。具体的には、断面を30倍に拡大した画像において、開口部は、接合材膜に覆われている部分において少なくとも一部がベース部材から離れるに連れて径が大きくなっている。このうねりの存在に起因して、開口部の内側面と接合材膜との界面では、図29及び図30に示すように、開口部の内側面と接合材膜とが接触しない部分が発生し得る。ここで、開口部の内側面と接合材膜との界面の「接合率」(%)を、「高さT」に対する、「開口部の断面における開口部の内側面の接合材膜に覆われる部分(図中にて、高さTに対応する範囲)に対応する線上において開口部の内側面と接合材膜とが接触している複数の部分の固定部の厚さ方向の長さの合計」の割合、とする。「接合率」は、例えば、図29及び図30に示すような断面の拡大率が30倍の画像に対して画像解析を行うことによって、その画像にて確認できる「開口部の内側面と接合材膜との接触部分、及び、非接触部分」のそれぞれの長さに基づいて算出され得る。
本発明者は、前記「開口部の内側面と接合材膜との界面での剥離」の発生が、上記値「S/T」のみならず、上記「接合率」とも強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験Bについて説明する。
(試験B)
試験Bでは、試験Aと同様の接合体について、集電部材(の固定部)の材料、接合材膜の材料、値「S/T」、及び「接合率(%)」、の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表2示すように、15種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。
試験Bにおいて各サンプルに使用された各部材の形状、材料等は、試験Aの場合と同じである。試験Bでは、値「S/T」が1.02〜1.31の範囲内で調整された。各サンプルについて、「接合率」としては、試験Aと同様、「図28に示す10本の切断線に沿う固定部のそれぞれの断面(x−z平面に平行な平面)に含まれる任意の開口部の任意の位置において前記断面を30倍に拡大した画像に基づいて得られるそれぞれの値(10個の値)のうちの最大値」が採用された。「接合率」の調整は、接合材用のペーストの粘度を調整することによってなされる。具体的には、ペーストの粘度が小さいほど「接合率」が大きくなる。
試験Bでは、作製された各サンプル(焼成体)に対して、過酷な熱サイクル試験(温度範囲:常温〜800℃、昇温速度:2時間、降温速度:4時間の条件で、10サイクル)が実施された。
表2から理解できるように、値「S/T」が1.02〜1.31の範囲内にある場合において、「接合率」が21%より小さい、又は、95%より大きいと、「開口部の内側面と接合材膜との界面での剥離」が発生し易く、「接合率」が21〜95(%)の範囲内であると、前記剥離が発生し難い、ということができる。以上より、値「S/T」が1.02〜1.31の範囲内であると前記剥離が発生し難く、更に、「接合率」が21〜95(%)の範囲内であると前記剥離がより一層発生し難くなる、ということができる。接合率が21%よりも小さいと、内側面と接合材膜との接触不足のために十分な強度が得られず剥離が発生し易くなるものと考えられる。また、「接合率」が95%よりも大きいと、接合材膜の熱膨張係数と集電部材の熱膨張係数との差の影響を強く受けるため剥離が発生しやすくなるものと考えられる。すなわち、上述した一定の割合で未接合部が存在することによって、接合時の歪を解消することができ、ひいては、内側面と接合材膜との境界での剥離が発生し難くなるものと考えられる。
以上より、上述したスタック構造体の実施形態では、前記剥離が発生する可能性を低減する上で、隣接するセル100、100のそれぞれについて、集電部材300の固定部310とベース部材Bとの一対の接合部分の少なくとも一方において、値「S/T」が1.02〜1.31の範囲内(であり、且つ、「接合率」が21〜95(%)の範囲内)であることが好適であり、前記一対の接合部分の両方において、値「S/T」が1.02〜1.31の範囲内(であり、且つ、「接合率」が21〜95(%)の範囲内)であることがより好ましい。
上述した試験A、Bのそれぞれの結果は、セル100が平板状であり(ベース部材Bの表面が平面であり)、且つ、集電部材300の固定部310が平板状の場合に対応するが、セル100が円筒状であり(従って、ベース部材Bの表面が円筒面の一部であり)、且つ、集電部材300の固定部310が前記円筒面に沿う薄い曲面板状であっても、同様の結果が得られることが既に確認されている。また、上述した試験A、Bのそれぞれの結果は、集電部材300の固定部310の全体が接合材膜80に埋設された場合に対応するが、集電部材300の固定部310の下側部分のみが接合材膜80に埋設された場合であっても、同様の結果が得られることが既に確認されている。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、「接合体」によって接合される対象となるSOFCセルとして「横縞型」のSOFCセル(1つのセルに複数の発電部が設けられたセル)が採用されているが、「接合体」によって接合される対象となるSOFCセルとして「縦縞型」のSOFCセルが採用されてもよい。「縦縞型」のSOFCセルは、複数のSOFCセル(1つのセルに1つの発電部が設けられたセル)がセルの厚さ方向に積層されたスタック構造を有する。
また、上記実施形態では、本発明に係る「接合体」として、複数のSOFCセルのスタック構造体におけるセルと集電部材との接続部分が採用されているが、本発明に係る「接合体」として、単独で存在するSOFCセルと集電部材との接続部分が採用されてもよい。
また、図31に示すように、集電部材300は、コーティング膜310bを有していてもよい。具体的には、集電部材300の固定部310は、固定部本体部310aとコーティング膜310bとを有する。コーティング膜310bは、固定部本体部310aの両面を覆うとともに、固定部本体部310aの開口部の内側面312aを覆っている。この内側面312aを覆うコーティング膜310bが、固定部30の開口部312の内側面312sを画定する。コーティング膜310bは、例えば、MnCo、(La、Sr)MnO3又は、ZnOなどから形成することができる。コーティング膜310bは、例えば厚さ3〜30μm程度である。
集電部材300がコーティング膜310bを有する場合、高さTは、コーティング膜310bと接合材膜80との境界面を基準とした高さである。すなわち、厚さ方向において、接合材膜80と固定部310との間に位置するコーティング膜310bの厚さは高さTに含まれる。なお、コーティング膜310bと接合材膜80とが同じ材質である場合は、例えば、コーティング膜310bと接合材膜80の気孔率とが異なることを利用して、コーティング膜310bと接合材膜80とを区別することができる。一般的には、コーティング膜310bの気孔率は、接合材膜80の気孔率よりも小さい。このため、気孔率の異なる位置をコーティング膜310bと接合材膜80との境界面とすることができる。例えば、気孔率が10%以上異なる位置を境界面とすることができる。
また、集電部材300がコーティング膜310bを有する場合、道程Sは、固定本体部310aの開口部の内側面312a上を覆うコーティング膜310b上における接合材膜80に覆われた部分に対応する線の道程である。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電膜、80…接合材膜、300…集電部材、310…固定部、312…開口部、312s…内側面、A…発電素子部、B…ベース部材

Claims (4)

  1. 燃料極、電解質膜、及び空気極、を含む燃料電池の発電部と、
    板状部分を有し、金属で構成された集電部材と、
    前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、であるベース部材と前記板状部分との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる接合材膜と、
    を備え、
    前記接合材膜は、前記板状部分が前記ベース部材における前記板状部分に向いた表面に沿って延在するように、且つ、前記ベース部材と前記板状部分とが電気的に接続されるように、前記ベース部材と前記板状部分とを接合し、
    前記板状部分は、前記板状部分の厚さ方向に貫通する開口部を有し、
    前記板状部分が前記接合材膜に埋設されることによって、前記板状部分の周縁部の外側面、及び、前記開口部の内側面は、前記接合材膜に覆われており、
    前記開口部の内側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記板状部分の厚さ方向に沿う前記開口部の断面の拡大率が30倍の画像に基づいて得られる、前記開口部の内側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.02〜1.31である、
    接合体。
  2. 請求項1に記載の接合体において、
    前記開口部の内側面が前記接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記開口部の断面の拡大率が30倍の画像に基づいて得られる、前記開口部の内側面における前記接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記開口部の内側面と前記接合材膜とが接触している複数の部分の前記板状部分の厚さ方向の長さの合計、の割合である接合率は、21〜95%である、接合体。
  3. 燃料極、電解質膜、及び空気極を含む燃料電池の第1発電部と、
    燃料極、電解質膜、及び空気極を含む燃料電池の第2発電部と、
    第1板状部分、第2板状部分、及び前記第1、第2板状部分を連結する連結部、を有し、金属で構成された集電部材と、
    前記第1発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記第1発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、である第1ベース部材と前記集電部材の第1板状部分との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる第1接合材膜と、
    前記第2発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つ、又は、前記第2発電部の前記燃料極及び前記空気極の何れか一つと電気的に接続された電子伝導性を有する導電部材、である第2ベース部材と前記集電部材の第2板状部分との間に介在する、電子伝導性を有する接合材料からなる第2接合材膜と、
    を備え、
    前記第1接合材膜は、前記第1板状部分が前記第1ベース部材における前記第1板状部分に向いた表面に沿って延在するように、且つ、前記第1ベース部材と前記第1板状部分とが電気的に接続されるように、前記第1ベース部材と前記第1板状部分とを接合し、
    前記第2接合材膜は、前記第2板状部分が前記第2ベース部材における前記第2板状部分に向いた表面に沿って延在するように、且つ、前記第2ベース部材と前記第2板状部分とが電気的に接続されるように、前記第2ベース部材と前記第2板状部分とを接合し、
    前記第1板状部分は、前記第1板状部分の厚さ方向に貫通する第1開口部を有し、
    前記第1板状部分が前記第1接合材膜に埋設されることによって、前記第1板状部分の周縁部の外側面、及び、前記第1開口部の内側面は、前記第1接合材膜に覆われており、
    前記第1開口部の内側面が前記第1接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記第1板状部分の厚さ方向に沿う前記第1開口部の断面の拡大率が30倍の画像に基づいて得られる、前記第1開口部の内側面における前記第1接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.02〜1.31であり、
    前記第2板状部分は、前記第2板状部分の厚さ方向に貫通する第2開口部を有し、
    前記第2板状部分が前記第2接合材膜に埋設されることによって、前記第2板状部分の周縁部の外側面、及び、前記第2開口部の内側面は、前記第2接合材膜に覆われており、
    前記第2開口部の内側面が前記第2接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記第2板状部分の厚さ方向に沿う前記第2開口部の断面の拡大率が30倍の画像に基づいて得られる、前記第2開口部の内側面における前記第2接合材膜に覆われた部分に対応する線の道程(S)、の割合(S/T)は、1.02〜1.31である、
    接合体。
  4. 請求項3に記載の接合体において、
    前記第1開口部の内側面が前記第1接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記第1開口部の断面の拡大率が30倍の画像に基づいて得られる、前記第1開口部の内側面における前記第1接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記第1開口部の内側面と前記第1接合材膜とが接触している複数の部分の前記第1板状部分の厚さ方向の長さの合計、の割合である第1接合率は、21〜95%であり、
    前記第2開口部の内側面が前記第2接合材膜に覆われる高さ(T)に対する、前記第2開口部の断面の拡大率が30倍の画像に基づいて得られる、前記第2開口部の内側面における前記第2接合材膜に覆われた部分に対応する線上において前記第2開口部の内側面と前記第2接合材膜とが接触している複数の部分の前記第2板状部分の厚さ方向の長さの合計、の割合である第2接合率は、21〜95%である、接合体。
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