JP2016072152A - 電極用複合粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、乾式混合により調製した電極用複合粒子によって集電体表面に活物質層を形成して、蓄電デバイスによる充放電を繰り返した場合、活物質層が膨張・収縮を繰り返すことにより活物質層内における粒子の配置が徐々に変化する。活物質層内における粒子の配置が徐々に変化すると、活物質層内における導電パスの確保が難しくなり、サイクル特性(放電容量)が低下してしまう傾向にある。充放電の繰り返しによるサイクル特性の低下を防止するために、電極用複合粒子に導電助剤を多く含有させて活物質層における導電パスを確保することも考えられる。しかし、電極用複合粒子に導電助剤を多く含有させると、電極活物質の含有量が減少し、蓄電デバイスの容量が小さくなる。
本発明では、導電助剤からなる粒子の導電性粒子の表面に結合したポリマー中の芳香環のπ電子が電極活物質からなる粒子と相互作用するので、電極活物質からなる粒子と導電性粒子とが接近する。また、蓄電デバイスによる充放電の繰り返しによる活物質層の膨張・収縮に、導電性粒子の表面に結合したポリマーが追従できるので、活物質層内における粒子の配置が崩れにくい。このように本発明の電極用複合粒子によれば、電極用複合粒子における導電助剤の含有量を増やすことなく、活物質層における導電パスを容易に確保でき、蓄電デバイスのサイクル特性が更に向上する。
本実施形態に係る電極用複合粒子(以下、単に「複合粒子」と言う場合がある。)は、電極活物質からなる粒子Aと、電子伝導性を有する導電助剤からなる粒子Bと、バインダからなる粒子Cと、を含む。この複合粒子は、粒子Aと、粒子Bと、粒子Cと、を乾式混合することで得られる。本実施形態において「複合粒子」とは、粒子Aの周辺に複数の粒子B及び粒子Cが付着した粒子である。本実施形態に係る電極用複合粒子は、例えば、リチウムイオン二次電池に代表される蓄電デバイスの正極及び負極に適用される。以下、特に断りのない場合、蓄電デバイス(リチウムイオン二次電池)の正極と負極の両方に適用できる事項についての説明である。
リチウムイオン二次電池の場合、用いられる正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiFePO4、LiFeVO4、LiNi0.80Co0.15Al0.05O2、Li(Ni0.80Co0.15Al0.05)0.99B0.01O2、Li(Li・Mn)2O4、Li(Li・Mn・Al)2O4、Li1+XNi1/3Co1/3Mn1/3O2、Li1+XNi0.5Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.80Co0.15Al0.05O2等のリチウム含有複合金属酸化物;TiS2、TiS3、非晶質MoS3等の遷移金属硫化物;Cu2V2O3、非晶質V2O・P2O5、MoO3、V2O5、V6O13等の遷移金属酸化物;ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子等が挙げられる。これらの正極活物質は、必要に応じて単独で、あるいは2種類以上を混合して用いることができる。正極活物質としては、蓄電デバイス(リチウムイオン二次電池)のレート特性を向上させる観点から、Li1+XNi1/3Co1/3Mn1/3O2を用いることが好ましい。
導電性粒子bは、本実施形態に係る電極用複合粒子が適用される蓄電デバイスの種類に応じて選択される。
リチウムイオン二次電池の電極(正極)に用いられる導電性粒子bとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック及びケッチェンブラック(アクゾノーベル ケミカルズ ベスローテン フェンノートシャップ社の登録商標)等の導電性カーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛等が挙げられる。これらの導電性粒子bは、必要に応じて単独で、あるいは2種類以上を混合して用いることができる。導電性粒子bとしては、高い導電性を有し、容易に入手できることから、導電性カーボンブラックを用いることが好ましい。
本実施形態に係る電極用複合粒子の製造方法は、粒子Aと、粒子Bと、粒子Cと、を乾式混合する混合工程を有する。混合工程では、粒子A、粒子B及び粒子Cとともに、その他の添加剤を乾式混合することができる。
混合工程における乾式混合は、ミキサーを用いて行うことができる。
まず、数平均粒子径を測定する粒子を導電テープ上に配置し、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察する。続いてランダムに選んだ50個の粒子の直径の平均値を求める。
上記のように、数平均粒子径dBや数平均粒子径dCは、数平均粒子径dAや数平均粒子径dXよりも小さい。従って、数平均粒子径dBや数平均粒子径dCを測定する場合、SEMにより撮影する画像を拡大することで、50個の粒子のランダムに選ぶ範囲を狭くして、数平均粒子径を求める。すなわち、SEMによる撮影範囲は、数平均粒子径を測定する粒子の大きさに応じて適宜設定する。
本実施形態に係る電極は、蓄電デバイス用の電極であり、集電体と、集電体の表面に、上記の電極用複合粒子により形成される活物質層と、を有する。電極は、集電体の表面に、上記の電極用複合粒子を用いて活物質層を形成することにより得られる。
本実施形態に係る蓄電デバイスは、上記の電極を用いる。
蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池、ニッケル−水素二次電池、電気二重層キャパシタ、等を挙げることができる。本実施形態に係る電極は、特にリチウムイオン二次電池用の電極として好ましく用いられる。
本実施形態に係る電極用複合粒子においては、電極活物質からなる粒子Aと、導電助剤からなる粒子Bと、バインダからなる粒子Cと、を乾式混合した。
これにより、蓄電デバイスの電気容量を十分に確保しつつその出力特性を向上させることが可能になる。すなわち、乾式混合により得られた本実施形態に係る電極用複合粒子によって電極の活物質層を形成すれば、電極活物質粒子間における導電パスを容易に確保でき且つ電極活物質の密度を向上させることができるので、蓄電デバイスのレート特性やサイクル特性等の性能を向上させることが可能になる。また、本実施形態に係る電極用複合粒子を用いれば、低い環境負荷で、従来よりも安価に電極を作製することができる。
本実施形態では、電助剤からなる粒子Bが、導電性粒子bと、該導電性粒子bの表面に結合し且つ芳香環を含むポリマーと、を有するものとした。
これにより、導電助剤からなる粒子Bの導電性粒子bの表面に結合したポリマー中の芳香環のπ電子が電極活物質からなる粒子Aと相互作用するので、粒子Aと導電性粒子bとが接近する。また、蓄電デバイスによる充放電の繰り返しによる活物質層の膨張・収縮に、導電性粒子bの表面に結合したポリマーが追従できるので、活物質層内における粒子(粒子A及び粒子B)の配置が崩れにくい。このように本実施形態に係る電極用複合粒子によれば、電極用複合粒子における導電助剤の含有量を増やすことなく、活物質層における導電パスを容易に確保でき、蓄電デバイスのサイクル特性が更に向上する。
メタクリル酸メチル(MMA)中に、表1に示した配合量(単位:質量部)にて、スチレン(St)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及びアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラックHS−100、数平均粒子径:0.048μm)を添加して50℃で3時間超音波分散を行った。得られた溶液を分離、洗浄後、凍結乾燥を行い黒色の粉体(粒子B1〜B11)を得た。
表2に示した配合量(単位:質量部)で電極活物質からなる粒子(粒子A)と、導電助剤からなる粒子(粒子B1〜B11)と、バインダからなる粒子(粒子C)と、をミルミキサー(協立理工株式会社製、SK−M10R)を用いて、室温にて5分間攪拌することで電極用複合粒子を得た。
実施例1〜9並びに比較例1及び2に係る電極用複合粒子をそれぞれアルミニウム箔上に配置し、加熱プレス装置(株式会社小平製作所製)で加熱プレス後、ロールプレス機で更に加熱プレスすることで正極活物質層を形成させた。正極活物質層を形成させたアルミニウム箔を直径16mmの大きさにポンチで打ち抜いて正極とした。実施例1〜9並びに比較例1及び2に係る電極用複合粒子により形成した正極の正極活物質層における、電極活物質の量は160g/m2であった。
まず、実施例1〜6並びに比較例1及び2それぞれについて、円盤状のコイン型リチウム二次電池(Φ20mm)を作製した。作用極には、上記のようにして製造したΦ16mmの正極を用いた。対極には金属リチウム箔(厚さ0.4mm、直径18mm)を用いた。電解液は、1M LiPF6(溶媒:EC(30vol%)+DMC(40vol%)+EMC(30vol%))とした。セパレータにはポリエチレン製の微多孔膜(E20MMS、東レバッテリーセパレータフィルム株式会社製)を用いた。
Claims (5)
- 電極活物質からなる粒子Aと、
前記粒子Aより数平均粒子径が小さい、電子伝導性を有する導電助剤からなる粒子Bと、
前記粒子Aより数平均粒子径が小さい、バインダからなる粒子Cと、を含み、
粒子Bは、導電性粒子bと、該導電性粒子bの表面に結合し且つ芳香環を含むポリマーと、を有し、
前記粒子Aと、前記粒子Bと、前記粒子Cと、を乾式混合することで得られる電極用複合粒子。 - 前記粒子Bにおける前記ポリマーの含有量は、0.5〜7質量%である請求項1記載の電極用複合粒子。
- 前記粒子Aの含有量は、90〜99質量%である請求項1又は2記載の電極用複合粒子。
- 集電体と、
前記集電体の表面に、請求項1から3いずれか記載の電極用複合粒子により形成される活物質層と、を有する電極。 - 電極活物質からなる粒子Aと、
前記粒子Aより数平均粒子径が小さい、電子伝導性を有する導電助剤からなる粒子Bと、
前記粒子Aより数平均粒子径が小さい、バインダからなる粒子Cと、を乾式混合する混合工程を有し、
粒子Bは、導電性粒子bと、該導電性粒子bの表面に芳香環を含むポリマーが結合した電極用複合粒子の製造方法。
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