JP2016069819A - 建物の耐火構造 - Google Patents

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正樹 戸野
陽介 岡田
Yosuke Okada
陽介 岡田
岡田 和廣
Kazuhiro Okada
和廣 岡田
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Abstract

【課題】軽量かつ高い耐火性能を有する建物の耐火構造を提供すること。【解決手段】上側の耐火性床材3と下側の耐火性天井材7との間に天井裏空間11が形成され、天井裏空間11に配設された鉄骨構造部材が耐火被覆される建物の耐火構造において、耐火性天井材3側に照明器具1が取り付けられ、照明器具1は、天井裏空間11と照明器具1との間に設けられた不燃性発泡体層10により取り囲まれてなることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄骨構造の建物の耐火構造に関する。
従来より、3階建以上の建築物(共同住宅、病院、ホテル、下宿等)については、建築基準法に基づき所定の耐火性能を有する耐火構造でなければならず、近年、耐火性の高い天井材を用いることによって、主要構造部に使用されている鉄骨製の柱や梁を一括して火災時の加熱から保護する工法が考案されている。
ところで、鉄骨製の柱や梁を一括して保護する耐火構造において、天井に埋込み型の照明器具又は空調装置の室内機を設置したりすると、天井材に大きな孔を開ける必要があり、その分だけ耐火性能が損なわれるため、鉄骨製の梁や柱を個別に耐火被覆して耐火構造としなければ耐火性能が確保できないという問題点があった。
この問題に対応するために、特許文献1には、上階の耐火性床材、下階の耐火性天井材及び耐火性壁材から天井裏空間が形成され、該天井裏空間に配設された鉄骨構造部材が一括して耐火被覆される建物の耐火構造において、前記耐火性天井材側に埋め込み型の照明器具が取付けられ、該照明器具が金属板と熱膨張性耐火シートとの積層体からなる熱膨張性複合シートにより取り囲まれてなることを特徴とする建物の耐火構造が開示されている。また、特許文献2には、天井裏空間内に凹部を形成し、該凹部を画成する側面および底面を室内天井面と連続させて耐火ボードで形成し、前記凹部内に空調装置の室内機を設置すること特徴とする天井構造が開示されている。
特開2000-282598 特開平11-6634
しかしながら、特許文献1の熱膨張性耐火シートも特許文献2の耐火ボードも固体のシートであるため、照明器具又は空調装置の室内機の周囲に設置するのに制約がある。また、天井材は石膏ボード等の重量の大きい材料から形成されているため、熱膨張性耐火シートや耐火ボードを取り付けた天井材が地震等の際に崩落する恐れもある。
本発明の目的は、軽量かつ高耐火性を有する建物の耐火構造を提供することである。本発明のさらなる目的は、軽量かつ高耐火性を有し、かつ断熱性能が向上した建物の耐火構造を提供することである
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、照明器具又は空調装置の室内機の被覆に不燃性の硬質発泡体を用いることで、軽量化と高耐火構造を両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]上側の耐火性床材と下側の耐火性天井材との間に天井裏空間が形成され、該天井裏空間に配設された鉄骨構造部材が耐火被覆される建物の耐火構造において、
耐火性天井材側に照明器具又は空調装置の室内機が取り付けられ、
前記照明器具又は空調装置の室内機が前記天井裏空間と前記照明器具又は空調装置の室内機との間に設けられた不燃性発泡体層により取り囲まれてなることを特徴とする建物の耐火構造。
[2]耐火性天井材に取り付けられ、前記照明器具又は空調装置の室内機を収容する収容空間を区画形成する金属板をさらに備え、前記不燃性発泡体層は前記金属板上に設けられていることを特徴とする項1に記載の建物の耐火構造。
[3]前記不燃性発泡体層がポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を含むウレタン樹脂組成物から形成されていることを特徴とする項1又は2に記載の建物の耐火構造。
[4]前記不燃性発泡体層が吹き付けにより設けられた塗層である項1〜3のいずれか一項に記載の建物の耐火構造。
[5]前記耐火性天井材が前記不燃性発泡体層からなる項1〜4のいずれか一項に記載の建物の耐火構造。
[6]照明器具又は空調装置の室内機を収容する収容空間が、耐火性天井材を貫通して天井裏空間に向かって延び、
天井裏空間と照明器具又は空調装置の室内機との間に配置された不燃性発泡体層が、前記収容空間を区画形成して照明器具又は空調装置を取り囲むことを特徴とする耐火性天井構造。
本発明の第1実施形態の建物の耐火構造を示す略断面図。 本発明の第2実施形態の建物の耐火構造を示す略断面図。 本発明の第3実施形態の建物の耐火構造を示す略断面図。 本発明の第4実施形態の建物の耐火構造を示す略断面図。
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。なお図1−4において、同じ符号の説明は省略する。
本発明の第1実施形態の建物の耐火構造は、図1に示したように、階上の耐火性床材3と階下の耐火性天井材7との間に形成される天井裏空間12の耐火性天井材7側に、埋め込み型の照明器具1が取り付けられている。
天井裏空間12は、階上の耐火性床材3、階下の耐火性天井材7及び耐火性壁材11で囲まれて形成されることにより、天井裏空間12に配設される鉄骨構造部材に一括して耐火性能を付与することができる。耐火性床材3としては、例えば、100mm厚のALC板、100mm厚のプレキャストコンクリート板など耐火性の高い床材が用いられ得る。耐火性壁材11としては、例えば21mm厚の強化石膏ボード、25mm厚のケイ酸カルシウム板等の単板;普通石膏ボードや5mm厚のケイ酸カルシウム板と、セラミックブランケットやロックウールフェルトとの積層体などが用いられ得る。不燃性天井材7は、本実施形態では不燃性発泡体層10と同じ不燃性発泡体から形成される。不燃性発泡体層10の組成については後で詳しく説明する。
不燃性床材3は、図面に対して垂直方向に延設された鉄骨製の梁4によって支持されており、不燃性天井材7は該不燃性天井材7に沿って架設される野縁6に固定されて吊り下げられ、野縁6は、図面に対して垂直方向に延設された野縁受け5によって固定されている。不燃性天井材7の上には化粧板8が配置されている。
開口部を有する筐体の形をした金属板9が、野縁6、不燃性天井材7、及び化粧板8を貫通して天井裏空間12に向かって延び、金属板9により区画形成された収容空間2に照明器具1が収容されている。金属板9の端部を折り曲げて形成したフランジ部を、ビス止め等で締着することによって金属板9を不燃性天井材7に取り付けることができる。金属板9としては、例えば、鉄板、ステンレス板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ亜鉛合金メッキ鋼板等が挙げられる。金属板の厚みは、0.2〜1mmが好ましい。金属板の表面にメッキや塗装コーティングを施すことによって、長期耐久性、意匠性等が向上するので好ましい。
金属板9の一部、本実施形態では金属板9の底面と4つの側面の一部は不燃性発泡体層10で被覆され、不燃性発泡体層10における収容空間2の開口側の端部は不燃性天井材7と接続している。不燃性発泡体層10は天井裏空間12と照明器具1の間に設けられることで、金属板9と共に収容空間2を区画形成して照明器具又は空調装置を取り囲み、照明器具1を設けた箇所における耐火性を提供する。本発明はこのような耐火性天井構造も提供する。
不燃性発泡体層10の厚みは特に限定されないが、20〜50mmであることが好ましい。不燃性発泡体層10は、予め成形したパネルの形で、金属板9の上に取り付けられてもよいし、不燃性発泡体層10の材料であるウレタン樹脂組成物を金属板9に吹き付けることにより設けられた塗層であってもよい。不燃性発泡体層10が予備成形パネルの場合、不燃性発泡体層10は接着剤等の任意の接着手段で金属板9の上に取り付け得る。不燃性発泡体層10が吹き付け塗層の場合、不燃性発泡体層10を吹き付けにより直接又は下塗り層を介して金属板9の上に設けることが可能であり、金属板9の形状に制限を受けること無く金属板9の上に隈なく不燃性発泡体層10を設けることが可能である。また、不燃性発泡体層10を吹き付けにより設けることで、現場での施工が可能である。
不燃性天井材7と不燃性発泡体層10とを同じ不燃性発泡体にすると、不燃性天井材7と不燃性発泡体層10が接続して、天井における照明器具1の収容空間2を設けた箇所でも隙間無く不燃性発泡体が存在するため、天井構造に、連続的な軽量化された高耐火性層が形成される。建物の天井を同じ野縁受け5や野縁6の材料は特に限定されないが、例えば耐火性の高い金属材料が好ましい。
図2は本発明の第2実施形態の建物の耐火構造であるが、不燃性発泡体層10が野縁6、不燃性天井材7、及び化粧板8を貫通して延び、金属板9のフランジ部以外の外面のほぼ全体を覆っている。このような構成によっても、軽量かつ高耐火性を有する建物の耐火構造が得られる。
図3は本発明の第3実施形態の建物の耐火構造であるが、図1と比較して、不燃性発泡体層10の金属板9に対する配置が逆であり、金属板9の内側に不燃性発泡体層10が設けられている。このような構成によっても、軽量かつ高耐火性を有する建物の耐火構造が得られる。
図4は本発明の第4実施形態の建物の耐火構造である。図1の照明器具の代わりに、この実施形態では空調装置の室内機21が耐火性天井材7の側に取り付けられている。空調装置の室内機21は天井裏空間12と空調装置の室内機32との間に設けられた不燃性発泡体層10により取り囲まれてなるため、このような構成によっても、軽量かつ高耐火性を有する建物の耐火構造が得られる。
次に、不燃性発泡体層10を構成する難燃性ウレタン樹脂組成物について説明する。このような難燃性ウレタン樹脂組成物については、国際公開2014/112394号公報を参照されたい。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、ウレタン樹脂、触媒、発泡剤、整泡剤、及び添加剤を含む。
最初に、難燃性ウレタン樹脂組成物に使用するウレタン樹脂について説明する。ウレタン樹脂は、主剤としてのポリイソシアネート化合物と硬化剤としてのポリオール化合物とからなる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロへキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物は一種もしくは二種以上を使用することができる。ウレタン樹脂の主剤は、使い易いこと、入手し易いこと等の理由から、ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
ウレタン樹脂の硬化剤であるポリオール化合物としては、例えばポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール等の水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えばシクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、ジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、ヒドロキシカルボン酸と上記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、メタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオール、またはこれらの水素添加物等が挙げられる。
多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば、原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。多価アルコールの変性方法は特に限定されないが、アルキレンオキサイドを付加させる方法が好適に用いられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ジオール類、トリオール類、アミン類等の活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも一種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
本発明に使用するポリオールは、燃焼した際の総発熱量の低減効果が大きいことからポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
その中でも分子量200〜800のポリエステルポリオールを用いることがより好ましく、分子量300〜500のポリエステルポリオールを用いることがさらに好ましい。
またイソシアネートインデックスは、ポリオール化合物の水酸基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものであるが、その値が100を越えるということはイソシアネート基が水酸基より過剰であることを意味する。
本発明に使用するウレタン樹脂のイソシアネートインデックスの範囲は、120〜1000の範囲であることが好ましく、200〜800の範囲であればより好ましく、300〜700の範囲であればさらにより好ましい。イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。

INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100

ここで、イソシアネートの当量数=NCOの分子量÷NCO含有量(%)×100、
ポリオールの当量数=OHV×使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mg KOH/g)、
水の当量数=使用部数/水の分子量×水のOH基の数
である。なお上記式において、NCOの分子量は42、KOHの分子量は56100、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
また難燃性ウレタン樹脂組成物は、触媒、発泡剤、整泡剤、および添加剤を含む。
触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”, N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N, N, N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチル, N’−ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物等の窒素原子含有触媒等が挙げられる。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する触媒の添加量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.6重量部〜8部の範囲であることがより好ましく、0.6重量部〜6重量部の範囲であることが更に好ましく、0.6重量部〜3.0重量部の範囲であることが最も好ましい。
0.6重量部以上の場合はウレタン結合の形成が阻害される不具合が生じず、10重量部以下の場合は適切な発泡速度を維持することができ、取扱いやすい。
好ましい触媒としては、ポリウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する三量化触媒を含む。
三量化触媒は、ポリウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の窒素含有芳香族化合物;酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、カルボン酸アルカリ金属塩;トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する三量化触媒の添加量はウレタン樹脂100重量部に対して、0.6重量部〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.6重量部〜8重量部の範囲であることがより好ましく、0.6重量部〜6重量部の範囲であることが更に好ましく、0.6重量部〜3.0重量部の範囲であることが最も好ましい。0.6重量部以上の場合にイソシアネートの三量化が阻害される不具合が生じず、10重量部以下の場合は適切な発泡速度を維持することができ、取り扱いやすい。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する発泡剤は、ウレタン樹脂の発泡を促進する。
発泡剤の具体例としては、例えば、水;プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素;ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン等のフッ素化合物、CHF3、CH22、CH3F等のハイドロフルオロカーボン;ジクロロモノフルオロエタン、(例えば、HCFC141b (1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)、HCFC22 (クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン))、HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物;ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物、あるいはこれらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
発泡剤の範囲は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部の範囲であることが好ましい。発泡剤は、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜18重量部の範囲であることがより好ましく、0.5重量部〜18重量部の範囲であることが更に好ましく、0.5重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
発泡剤の範囲が0.1重量部以上の場合は気泡の形成が促進され良好な発泡体が得られ、30重量部以下の場合は、気化力が高くなり気泡が粗大になることを防ぐことができる。
難燃性ウレタン樹脂組成物に使用する整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。
化学反応により硬化するウレタン樹脂に対する整泡剤の使用量は、使用する化学反応により硬化するウレタン樹脂により適宜設定されるが、一例を示すとすれば、例えば、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の範囲であれば好ましい。
触媒、発泡剤および整泡剤はそれぞれ一種もしくは二種以上を使用することができる。
次に、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物に使用される添加剤について説明する。
添加剤は赤リンを必須成分として含む。一つの実施形態において、添加剤は、赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一つとを含む。
使用する添加剤の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記の(a)〜 (n)のいずれか等が挙げられる。添加剤はより好ましくは、赤リンと、リン酸塩含有難燃剤とを含む。
(a)赤リンおよびリン酸エステル
(b)赤リンおよびリン酸塩含有難燃剤
(c)赤リンおよび臭素含有難燃剤
(d)赤リンおよびホウ素含有難燃剤
(e)赤リンおよびアンチモン含有難燃剤
(f)赤リンおよび金属水酸化物
(g)赤リン、リン酸エステルおよびリン酸塩含有難燃剤
(h)赤リン、リン酸エステルおよび臭素含有難燃剤
(i)赤リン、リン酸エステルおよびホウ素含有難燃剤
(j)赤リン、リン酸塩含有難燃剤および臭素含有難燃剤
(k)赤リン、リン酸塩含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
(l)赤リン、臭素含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
(m)赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤および臭素含有難燃剤
(n)赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
本発明に使用する添加剤の添加量はウレタン樹脂100重量部に対して、ウレタン樹脂以外の添加剤の全量の範囲は4.5重量部〜70重量部の範囲であることが好ましく、4.5重量部〜40重量部の範囲であることがより好ましく、4.5重量部〜30重量部の範囲であることが更に好ましく、4.5重量部〜20重量部の範囲であることが最も好ましい。
添加剤の範囲が4.5重量部以上の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物からなる成形品が火災の熱により形成される緻密残渣が割れることを防止でき、70重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。
添加剤として赤リンが含まれる場合、本発明に係る耐火ウレタン樹脂組成物に使用する赤リンの添加量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、通常3.0重量部〜18重量部の範囲であることが好ましい。
赤リンの範囲が3.0重量部以上の場合は、難燃性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また18重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
また本発明に使用するリン酸エステルは特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ二ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレ二ルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスフアフエナンスレン、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX−200)、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルを挙げられる。
上記の中でも、硬化前の組成物中の粘度の低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いためモノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。
また本発明に使用するリン酸塩含有難燃剤はリン酸を含むものである。
リン酸塩含有難燃剤に使用されるリン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびそれらの組み合わせ等の各種リン酸が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。周期律表IA族〜IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよく、メラミン、ペンタエリスリトール等の公知の発泡助剤を加えても良い。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸−ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸−ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸−リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸−リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等が挙げられる。
またポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
これらの中でも、リン酸塩含有難燃剤の自己消火性が向上するため、モノリン酸塩を使用することが好ましく、リン酸二水素アンモニウムを使用することがより好ましい。
また本発明に使用する臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサプロモビフェニル、デカプロモビフェニル、ヘキサプロモシクロデカン、デカプロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサプロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフエノキシ)エタン、エチレンービス(テトラプロモフタルイミド)、テトラプロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物;臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカ−ポネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート;臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物;ポリ(臭素化ベンジルアクリレート);臭素化ポリフェニレンエーテル;臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物;臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン;架橋または非架橋臭素化ポリ(−メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。
酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。
具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛であればより好ましい。
ホウ素含有難燃剤の範囲が1.5重量部以上の場合は、難燃性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また52重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等があげられる。
リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物の各々は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物の各々の添加量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、1.5重量部〜52重量部の範囲であることが好ましく、1.5重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、2.0重量部〜15重量部の範囲であることが更に好ましく、2.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物の各々は、その範囲が1.5重量部以上の場合は、難燃性ウレタン樹脂組成物の自己消火性が保持され、また52重量部以下の場合には難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡が阻害されない。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、フィラーをさらに含むことができる。
フィラーは、樹脂組成物の収縮及び/又は変形を防止する。本明細書で「収縮」とは、長さ方向、幅方向の長さ、及び厚み方向の長さを含む、長さの変化を指し、「変形」とは、反り等の形状の変化、特には厚み方向の形状の変化を指す。
フィラーは有機系フィラーであっても無機系フィラーであってもよいが、好ましくは無機系フィラーである。フィラーのアスペクト比は5〜50であり、好ましくは10〜40である。ここで、本明細書でいうフィラーのアスペクト比とは、フィラーを走査型電子顕微鏡で観察して得られる画像にて確認されるフィラーの最大長さの最小厚さ(最大長さに対し垂直方向)に対する比(直径/厚さ比とも言う)であり、十分な数のフィラー、250個以上の平均である。
フィラーの平均粒径は0.1μm以上15μm未満であり、好ましくは0.1μm以上14μm以下、より好ましくは0.3〜10μmである。平均粒径はX線透過式沈降法粒度分布測定装置により求められる。フィラーの融点は750℃以上であり、好ましくは800℃以上、より好ましくは1,000℃以上である。
フィラーの形状は、上記のアスペクト比、平均粒径、及び融点を満たす限り、針状フィラーまたは板状フィラーのいずれであってもよいが、好ましくはフィラーは針状フィラーである。
針状とは、長径が短径の3倍以上をしたものをいい、所謂針形状だけでなく、紡錘形状、円柱形状のもの等も含む。板状とは、所謂板形状だけでなく、鱗片状、薄片状のもの等も含む。
針状のフィラーとしては、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム含有ウィスカー、珪素含有ウィスカー、ウォラストナイト(珪灰石)、セピオライト、ゾノトライト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維(カーボンナノチューブ等の繊維状、針状またはフラーレン等の球状のニューカーボンを含む)、グラファイト繊維、金属繊維、スラグ繊維、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、ステンレス繊維等が上げられる。
一実施形態では、フィラーはアスペクト比が5〜50の範囲であることが好ましく、10〜40の範囲であればより好ましい。
フィラーの添加量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、3〜30重量部の範囲であることが好ましく、3重量部〜25重量部の範囲であることがより好ましく、3重量部〜18重量部の範囲であることが更に好ましい。一実施形態において、添加剤6〜80重量部に対しフィラー3〜30重量部、好ましくは添加剤6重量部〜60重量部に対しフィラー3重量部〜25重量部、より好ましくは添加剤8.5重量部〜48重量部に対しフィラー3重量部〜18重量部である。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、上記のフィラーとは別に一種もしくは二種以上の無機充填材をさらに含むことができる。
無機充填材としては、特に限定はないが、例えばシリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
さらに難燃性ウレタン樹脂組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の補助成分、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
難燃性ウレタン樹脂組成物は反応して硬化するため、その粘度は時間の経過と共に変化する。そこで難燃性ウレタン樹脂組成物を使用する前は、難燃性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割して、難燃性ウレタン樹脂組成物が反応して硬化することを防止しておく。そして難燃性ウレタン樹脂組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた難燃性ウレタン樹脂組成物を一つにまとめることにより、難燃性ウレタン樹脂組成物が得られる。
なお難燃性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割された難燃性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分単独は硬化が始まらず、難燃性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。
一実施形態では、難燃性ウレタン樹脂組成物は、前記ポリイソシアネート化合物および前記ポリオール化合物からなるウレタン樹脂100重量部を基準として、0.6〜10重量部の範囲の三量化触媒と、0.1〜30重量部の発泡剤と、0.1重量部〜10重量部の範囲の整泡剤と、4.5重量部〜70重量部の範囲の添加剤とを含み、赤リンが3〜18重量部、赤リンをのぞく添加剤が1.5〜52重量部である。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、難燃性ウレタン樹脂組成物の各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拝機等公知の装置を用いて混練することにより得ることができる。
また、ウレタン樹脂の主剤と硬化剤とをそれぞれ別々に充填材等と共に混練しておき、注入直前にスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混練して得ることもできる。
さらに触媒を除く難燃性ウレタン樹脂組成物の成分と、触媒とを注入直前に同様に混練して得ることもできる。以上説明した方法により難燃性ウレタン樹脂組成物を得ることができる。
次に難燃性ウレタン樹脂組成物の硬化方法について説明する。
前記難燃性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合すると反応が始まり時間の経過と共に粘度が上昇し、流動性を失う。
例えば、前記難燃性ウレタン樹脂組成物を、金型、枠材等の容器へ注入して硬化させることにより、前記難燃性ウレタン樹脂組成物からなる成形体である不燃性発泡体層10又は耐火性天井材7を発泡体として得ることができる。あるいは、難燃性ウレタン樹脂組成物を、被塗構造物物に吹き付けて硬化させることにより、不燃性発泡体層10又は耐火性天井材7を発泡体として得ることができる。
本発明の建物の耐火構造の耐火性は、ISO−5660の試験方法等の公知の試験方法により確認することができる。
ここまで、本発明を第1〜4実施形態を例にとって説明してきたが、本発明はこれに限られず、以下のような種々の変形が可能である。
○化粧板8は省略してもよい。
○金属板9は筐体以外に、円筒、角筒等、有底筒状の他の任意の形状であってもよい。
○金属板9は例えば不燃性樹脂製脂等の非金属材料から形成されるか、または省略してもよい。
○不燃性天井材7は、本実施形態では不燃性発泡体層10と全く同じ不燃性発泡体でなくてもよい。
○不燃性天井材7としては、例えば、21mm厚の強化石膏ボード、25mm厚のケイ酸カルシウム板等の単板;普通石膏ボードや5mm厚のケイ酸カルシウム板と、セラミックブランケットやロックウールフェルトとの積層体等の公知の耐火性材料が用いられてもよい。
○不燃性発泡体層10に加えて、耐火性の強化、施工性の向上、形状保持性の向上等の種々の目的で、熱膨張性耐火シート;無機材料層;不織布、織布、樹脂フィルム;及び/又はアルミガラスクロス等の追加の層を設けてもよい。
熱膨張性耐火シートは、例えば熱膨張性無機物を含有する樹脂組成物(I)、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質を含有する樹脂組成物(II)、又は、エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物(III)から形成されるものが挙げられ、かかる樹脂組成物は特開2000−282598に記載されているように公知である。
上記熱膨張性無機物を含有する樹脂組成物(I)としては、樹脂成分、熱膨張性無機物及びその他の無機成分を含有する樹脂組成物が挙げられ、樹脂成分としては、例えば、後述する熱可塑性樹脂、ゴム物質、エポキシ樹脂等が挙げられる。上記熱膨張性無機物としては、例えば、中和処理された熱膨張性黒鉛、バーミキュライト等が挙げられる。中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質を含有する樹脂組成物(II)としては、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛又はバーミキュライト、並びに、無機充填剤からなるものが好ましい。中和処理された熱膨張性黒鉛は上述の通りである。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
無機材料層を構成する無機材料としては、例えば、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、木片セメント板等の板材;セラミックブランケット、ロックウールフェルト、ガラスウール断熱材等の不燃性不織布等が挙げられる。
本発明の耐火構造に用いられる難燃性ポリウレタン組成物からなる発泡成形体は、軽量かつ耐火性能を有し、従来の石膏ボードやケイカル板等の不燃性材料に比べて断熱性が高い。
成形体の耐火性は、ISO−5660の試験方法に準拠して、輻射熱強度50kW/m2にて20分間加熱したときのコーンカロリーメーター試験による総発熱量の測定や、UL規格のUL94に従い、評価することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例1
1.難燃性ウレタン樹脂組成物の製造
表1に示した配合により、実施例1〜6および比較例1〜4に係る難燃性ウレタン樹脂組成物を準備した。表中の各成分の詳細は次の通りである。
・ポリオール化合物
(A−1)p−フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRFK−505、水酸基価=250mgKOH/g)
・ 三量化触媒
(B−1)三量化触媒(オクチル酸カリウム、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名:K−Zero G)
2−エチルヘキサン酸カリウム(東京化成工業社製、製品コード:P0048)
(B−2)3量化触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT−TR20)
・ウレタン化触媒
(B−3)ペンタメチルジエチレントリアミン(東ソー社製、製品名:TOYOCAT−DT)
・整泡剤
(C)ポリアルキレングリコール系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH−193)
・発泡剤
(D−1)水
(D−2)HFC HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、日本ソルベイ社製)およびHFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、セントラル硝子社製)、混合比率 HFC−365mfc:HFC−245fa = 7:3、以下「HFC」という)
・イソシアネート化合物 (以下、「ポリイソシアネート」という)
(E)MDI(日本ウレタン工業社製、製品名:ミリオネートMR−200)粘度:167mPa・s
・添加剤
(F−1) 赤リン (燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)
(F−2) リン酸二水素アンモニウム(太平化学産業社製)
(G−1) トリス(β―クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP、以下「TMCPP」という。)
(G−2) ヘキサブロモベンゼン(マナック社製、製品名:HBB−b、以下「HBB」という。)
(G−3)水酸化アルミニウム(アルモリックス社製、製品名:B-325)
・フィラー
(H−1) ウォラストナイト(SiO2・CaO)(キンセイマテック社製、製品名:SH−1250)アスペクト比10〜16、平均粒径4.5〜6.5μm
下記の表1の配合に従い、ポリイソシアネート化合物、HFC成分を除くポリオール化合物、整泡剤、各種触媒、発泡剤、添加剤、及びフィラーを1000mLポリプロピレンビーカーにはかりとり、25℃、1分間手混ぜで撹拝した。撹拝後の混練物に対してポリイソシアネート化合物、HFCを加え、ハンドミキサーで約10秒間擾拝し発泡体を作成した。得られた難燃性ウレタン樹脂組成物は時間の経過と共に流動性を失い、実施例1〜6および比較例1の難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡体を得た。
2.発泡体の評価
(総発熱量の測定)
発泡体硬化物から100mm×100mm×20mm(長さ方向×幅方向×厚み方向)になるようにコーンカロリーメーター試験用サンプルを切り出し、ISO−5660に準拠し、輻射熱強度50kW/m2にて20分間加熱した。結果を表1に示す。
20分間加熱でのコーンカロリーメーターの総発熱量は、実施例1−6とも8MJ/m2以下であり、本発明の成形体は難燃性に優れていた。比較例1は、20分間加熱でのコーンカロリーメーターの総発熱量が8MJ/m2を超えていた。
(寸法安定性測定)
上記のコーンカロリーメーター試験で加熱したときの収縮量及び変形量(mm)を測定した。Xを長さ方向、Yを幅方向、Zを厚み方向とし、試験用サンプルをX方向,Y方向で3点ずつ測定し、Z方向は最も収縮した箇所で測定し、いずれの方向も最も収縮した数値を採用した。長さ方向及び幅方向の成形体の長さが95mmより大きい場合に合格、95mm以下を不合格とし、厚み方向の変形が10mm未満を合格、10mm以上を不合格とし、X,Y,Z方向のすべての方向で合格の場合を○と判定し、X,Y,Z方向の少なくとも一つの方向で不合格の場合を×と判定した。結果を表1に示す。
試験例2
さらに従来の構造物との比較を行った。実施例1,3,比較例1は試験例1と同じとした。比較例2には発泡体の代わりに石膏ボード、比較例3にはケイカル板を用いた。
各試料の厚み、密度、熱伝導率を測定すると共に、硬化後の各試料の試験片(125mm×13mm×1mm)を、UL規格のUL94に従い、5本燃焼させ、その平均燃焼時間から燃焼性を判断した。結果を表2に示す。
その結果、実施例1,3の難燃性ポリウレタン(PU)樹脂発泡体は、軽量難燃性を有し、かつ断熱性が高かったのに対し、比較例1の硬質ポリウレタン発泡体は軽量であるものの難燃性を有さず、比較例2,3は重量が大きく、かつ断熱性が低いことが判明した。
1・・・照明器具、3・・・耐火性床材、7・・・耐火性天井材、10・・・不燃性発泡体層、12・・・天井裏空間。

Claims (6)

  1. 上側の耐火性床材と下側の耐火性天井材との間に天井裏空間が形成され、該天井裏空間に配設された鉄骨構造部材が耐火被覆される建物の耐火構造において、
    耐火性天井材側に照明器具又は空調装置の室内機が取り付けられ、
    前記照明器具又は空調装置の室内機が前記天井裏空間と前記照明器具又は空調装置の室内機との間に設けられた不燃性発泡体層により取り囲まれてなることを特徴とする建物の耐火構造。
  2. 耐火性天井材に取り付けられ、前記照明器具又は空調装置の室内機を収容する収容空間を区画形成する金属板をさらに備え、前記不燃性発泡体層は前記金属板上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物の耐火構造。
  3. 前記不燃性発泡体層がポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を含むウレタン樹脂組成物から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の耐火構造。
  4. 前記不燃性発泡体層が吹き付けにより設けられた塗層である請求項1〜3のいずれか一項に記載の建物の耐火構造。
  5. 前記耐火性天井材が前記不燃性発泡体層からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物の耐火構造。
  6. 照明器具又は空調装置の室内機を収容する収容空間が、耐火性天井材を貫通して天井裏空間に向かって延び、
    天井裏空間と照明器具又は空調装置の室内機との間に配置された不燃性発泡体層が、前記収容空間を区画形成して照明器具又は空調装置を取り囲むことを特徴とする耐火性天井構造。
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KR20230062960A (ko) * 2021-11-01 2023-05-09 김태훈 건축용 난연 패널
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