JP2016068395A - 印字方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】明瞭であり、かつ、印字後にも剥がれて消失したり容易に改変される恐れがなく、ヒートシール部分以外の任意の場所に印字可能であり、また衛生性に優れた印字画像が得られるレーザ印字方法を提供する。【解決手段】基材層1、シーラント層3、及びこれらの間に位置し、金属及び/又は金属酸化物を含有し、波長1090nmのレーザ光の照射により気化する気化層2を有するレーザ印字用多層積層フィルムに、基材層1側からまたはシーラント層3側から、波長1090nmのレーザ光を照射して、気化層2を気化させて部分的に除去する。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ印字用多層積層フィルムに、レーザ光を照射して印字するレーザ印字方法に関する。
従来、インクジェット方式により、賞味期限や、ロット番号等の製造情報を包装材料の表面に印字することが行われている(特許文献1)。
しかしながら、インクジェット方式による印字は、インキによるノズルつまり等に起因する印字画像の不良が発生したり、印字を施すべき部分に内容物や異物等が付着しているために、インキが定着しないという問題がある。また、印字後、油分を含む内容物等が付着すると、印字画像が消失したり、にじんで不鮮明になるという問題がある。
これに対し、例えば、2枚の積層フィルムをヒートシールにより製袋してなる包装袋において、そのヒートシール部分の、2枚の積層フィルムの間に、インクジェット方式により印字画像を形成する方法が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、この方法において、インクジェットにより印字画像を形成する範囲が、包装袋のヒートシール部分のみに限定されてしまうため、印字スペースが小さく読み取りにくいという問題がある。また、ヒートシール部分から印字画像がはみ出した場合や、印字画像を形成した部分でヒートシールが不完全である場合に、包装袋の内容物中にインキが混入する恐れがあり、衛生面でも問題がある。
一方、レーザ光により印字可能な樹脂として、ドープされた二酸化錫の被膜を有する顔料を含む樹脂や、特定量の珪素化合物を含有するポリオレフィン系樹脂が提案されている(特許文献3、4)。
しかしながら、これらの樹脂からなる包装材料の表面に印字画像を形成した場合、その表面を溶剤等で拭き取って印字画像を容易に改変することができるため、偽造防止の点から問題がある。
特開2001−048187号公報 特許第3319504号公報 特表平10−500149号公報 特開平7−286074号公報
本発明は、上記の問題点を解決して、明瞭であり、かつ、印字後にも剥がれて消失したり容易に改変される恐れがなく、ヒートシール部分以外の任意の場所に印字可能であり、また衛生性に優れた印字画像が得られるレーザ印字方法を提供することを目的とする。
本発明者は、種々研究の結果、基材層、シーラント層、及びこれらの間に位置する気化層を有するレーザ印字用多層積層フィルムに、波長1090nmのレーザ光を照射して印字する印字方法であって、該気化層は、金属及び/又は金属酸化物を含有し、該波長1090nmのレーザ光の照射により気化する層であり、基材層側からまたはシーラント層側
から、該波長1090nmのレーザ光を照射して、該気化層を気化させて部分的に除去することによって、レーザ印字画像を形成することを特徴とする上記印字方法が、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.基材層、シーラント層、及びこれらの間に位置する気化層を有するレーザ印字用多層積層フィルムに、波長1090nmのレーザ光を照射して印字する印字方法であって、該気化層は、金属及び/又は金属酸化物を含有し、該波長1090nmのレーザ光の照射により気化する層であり、基材層側からまたはシーラント層側から、該波長1090nmのレーザ光を照射して、該気化層を気化させて部分的に除去することによって、レーザ印字画像を形成することを特徴とする、上記印字方法。
2.前記気化層が、金属酸化物およびバインダー樹脂を含有するインキ組成物からなる層であることを特徴とする、上記1に記載の印字方法。
3.前記金属酸化物が、酸化チタンであることを特徴とする、上記1または2に記載の印字方法。
4.前記インキ組成物が、さらに、レーザ光の照射により発色する発色剤を含有することを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の印字方法。
5.前記気化層が、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着膜からなる層であることを特徴とする、上記1に記載の印字方法。
6.前記レーザ印字用多層積層フィルムが、基材層と気化層との間、または、シーラント層と気化層との間に、さらにバリア層を有することを特徴とする、上記1〜5のいずれかに記載の印字方法。
本発明において、波長1090nmのファイバレーザを使用するため、印字画像を形成する気化層は、金属酸化物を含有する白色インキや金属箔等からなるものであってよく、レーザ印字のための特殊インキを必須としない。
すなわち、ファイバレーザは、光路にイッテリビウム(Yb)をドープしたファイバを使用し、光路そのものを増幅器として使用するレーザである。したがって、固体レーザと比較して、共振器等が不要であり、放熱性も高いため、小型化することが可能である。また、ファイバレーザは、集光性に優れ、熱交換効率が高く、消費電力を抑えることができる。さらに、高出力で処理速度が速く、優れた生産効率を達成することができる。
このようなファイバレーザは、反射率が高く印字が困難とされていた金属や白濁樹脂等の物質に対しても、鮮明な印字を施すことができる。そのため、本発明において、気化層は、包装フィルムの印刷時の下地として普通に用いられる白色インキからなるものであってよい。または、気化層は、バリア層や遮光層として機能する金属箔や金属蒸着膜からなるものであってよい。よって、本発明において使用するレーザ印字用多層積層フィルムは、安価な材料から製造することができ、フィルム製造工程において、レーザ印字のために発色層等のさらなる層を設ける必要がない。
また、本発明の方法において、ファイバレーザを使用することにより、印字時に僅かな熱量で明瞭な変色が可能であり、高速で印字画像を形成することができる。したがって、本発明の方法は、包材へのダメージが少なく、また生産効率に優れたものである。さらに、気化層を薄く設けても、十分な印字濃度が得られ、かつ、細かい画像をにじみなく形成することができる。
また、本発明の方法により得られる印字画像は、フィルム表面ではなく、内部、すなわち基材層とシーラント層との間に施される。したがって、この画像は、耐摩耗性に優れる
ことから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、その改ざんを効果的に防止することができる。また、印字スペースはヒートシール部分に限定されず、読み取り易くかつ多くの情報量を印字することができる。
さらに、本発明の方法により得られる印字画像は、包装袋の内容物と接触することがなく、衛生性に優れたものである。
これらの利点から、本発明の印字方法は、食料品、化成品等の種々の包装材料に印字するために好適に用いられ、賞味期限、製造日、製造番号、検査結果等の情報をレーザ印字画像として記録することができる。
本発明の印字方法において使用するレーザ印字用多層積層フィルムの層構成について、一例を示す概略的断面図である。 本発明の印字方法において使用するレーザ印字用多層積層フィルムの層構成について、一例を示す概略的断面図である。 本発明の印字方法において使用するレーザ印字用多層積層フィルムの層構成について、一例を示す概略的断面図である。
本発明について以下に詳しく説明する。
<I>本発明の印字方法において使用するレーザ印字用多層積層フィルムの層構成
図1は、本発明の印字方法において使用するレーザ印字用多層積層フィルムの層構成についてその一例を示す概略的断面図である。
図1に示されるように、本発明において使用するレーザ印字用多層積層フィルムは、基材層1、気化層2およびシーラント層3からなる構成を基本とする。ここで、各層はそれぞれ、単層構成であっても、2またはそれ以上の層を積層した多層構成であってもよい。
また、図2に示されるように、気化層2とシーラント層3との間に、酸素及び/又は水蒸気等に対するバリア層4を有してもよい。ここで、バリア層4は、レーザ光を透過する層であっても、透過しない層であってもよい。バリア層4がレーザ光を透過しない場合は、基材層1側からレーザ光を照射することにより、気化層2を気化させて印字画像を形成することができる。また、図示しないが、バリア層4は、基材層1と気化層2との間に設けることもできる。
さらに、図3に示されるように、基材層1と気化層2との間に、任意の文字や絵柄を印刷した絵柄印刷層5を設けることもできる。
また、必要に応じて、それぞれの積層面に、積層前に所望の表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を施すことができる。
さらに、必要に応じて、それぞれの積層面に、例えば、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層等を設けてもよい。
また、各層間の積層方法としては、慣用のドライラミネート法、押し出しコーティング法、サンドラミネート法等を適宜選択することができる。
本発明において、積層のために好適に使用されるドライラミネート用接着剤としては、ウレタン系接着剤、ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等を用いることができる。また、サンドイッチラミネート用接着性樹脂としては、任意のヒートシール性樹脂を用いることができる。
<II>基材層
本発明において、基材層は、その使用目的、用途等に応じた任意の樹脂フィルムを使用することができる。
具体的には、基本素材となり、更に、印字後は、表面保護層を構成するものである。基材層側から視認するためには、レーザ印字画像を透視し得るものである。また、機械的、物理的、化学的等に優れた強度を有し、その他所望に応じて、耐突き刺し性、耐熱性、防湿性等に優れたフィルムを使用することができる。
本発明において好適に使用されるフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール、ポリアミド、アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルを主成分とするアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアセタール、アセチル・ジ又はトリ・セルロースの繊維素誘導体や、ポリカーボネート等よりなる延伸あるいは未延伸フィルム、または、これらのフィルムを2枚またはそれ以上積層した積層フィルムが挙げられる。
特に包装材料として、安定性、加工性、コスト、耐熱性および耐薬品性等の面で優れることから、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONY)フィルム、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において、基材層の厚さとしては強度、耐突き刺し性等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するという欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性等が抵下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、例えば、5〜170μm、好ましくは10〜50μm程度である。
<III>気化層
本発明において、気化層は、金属及び/又は金属酸化物を含有し、波長1090nmのレーザ光の照射により気化する層である。
気化層を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、金、銀、銅、鉄等が挙げられる。コストおよび印字性等の観点から、特に好ましくはアルミニウムが使用される。気化層は、上記金属の金属箔、例えば、アルミニウム箔からなるものであってよい。または、基材層またはシーラント層上に、上記金属を蒸着させてなる蒸着膜からなるものであってよい。または、PETフィルム等の任意のフィルム上に上記金属を蒸着させてなる蒸着フィルムからなるものであってよい。
これらの金属箔または蒸着膜もしくは蒸着フィルムからなる気化層は、レーザ光により印字画像を形成するだけでなく、酸素および水蒸気に対するガスバリア性を示すバリア層および遮光層としても機能する。
気化層を構成する金属酸化物としては、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等、およびこれらの混合物を用いることができる。特に、白色顔料である酸化チタンが好適に用いられる。
上記金属酸化物は、好適には、バインダー樹脂と混合してなるインキ組成物として、基材層やシーラント層等の積層面に、印刷や塗布等により積層して、気化層を形成すること
ができる。このようなインキ組成物からなる気化層は、単層構成であっても、同じかまたは異なるインキ組成物を2層以上積層した多層構成であってもよい。
上記の金属酸化物を含み、かつ波長1090nmのレーザ光の照射により気化するインキ組成物としては、白色インキ等の有色インキ、および/または、レーザ照射により発色する発色剤をさらに含むレーザ発色性インキが使用される。
本発明の一つの態様において、気化層を形成するインキ組成物からなる気化層は、白色インキ等の有色インキのみからなる層であってよい。特に、有色インキとしては、白色顔料である酸化チタンを含む白色インキが好適に使用される。
インキ組成物を構成するバインダー樹脂としては、従来公知の任意の樹脂を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等を単独で、または2種以上混合して使用することができる。
インキ組成物は、印刷下地として従来から使用される任意の白色インキを好適に使用することができるが、その組成として、特に好ましくは、金属酸化物:バインダー樹脂の質量比が、70〜90:30〜10、より好ましくは75〜85:25〜15である。これらを、必要に応じて慣用の溶剤で希釈し、印刷または塗布することにより、インキ組成物からなる気化層を形成することができる。金属酸化物が上記範囲より多いと、フィルムがレーザ照射によるダメージを受け易くなる。逆に、金属酸化物が上記範囲より少ないと、印字画像が不明瞭になり易い。
インキ組成物を希釈する溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸n−プロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1−メトキシー2−プロパノール、トルエン、キシレン等の有機溶剤を用いることができる。
インキ組成物層を構成する有色インキは、金属酸化物およびバインダー樹脂に加えてさらに、レーザ照射により発色する発色剤を含んでもよい。このような発色剤としては、例えば、フルオラン系、フェノチアジン系、スピロピラン系、トリフェニルメタフタリド系、ローダミンラクタム系等のロイコ染料が挙げられる。ロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−アミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ニトロフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(3−ジメチルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
また、発色剤としては、モリブデン、鉄、銅、ニッケル、クロム、ジルコニウム、アンチモン、ビスマス等の金属を含む無機化合物、例えば、酸化ビスマスが挙げられる。
本発明の別の態様において、インキ組成物からなる気化層は、有色インキと、レーザ発色性インキとを重ねて印刷または塗布したものであってよい。
本発明において、レーザ発色性インキとしては、上記の発色剤と、上記のバインダー樹脂とを含むインキ組成物が挙げられる。
インキ組成物からなる気化層が発色剤を含む場合、その含有量は、気化層の全質量に対して、固形分換算で1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満では、発色、印
字が不十分、不鮮明となることなどの理由から好ましくなく、含有量が増加するほど印字の発色は濃くなって行くが、30質量%以上にしてもその濃度上昇による視認性の差が顕著に認識できるものではなく、むしろ、コストアップや、印刷下地層が硬くなり、ひび割れ、強度低下等を導き、レーザ光の照射により発色する発色材料自体の顔料色が印刷下地層に色を付けてしまうこと等の理由から好ましくない。
インキ組成物は、必要に応じて、任意の添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、硬化剤、シランカップリング剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、防腐剤、防錆剤、可塑剤、難燃剤、顕色剤等を含んでよい。これら添加剤の種類や使用量は、印刷方法、印刷基材、印刷条件等により適宜選択できる。
本発明において、気化層の厚さとしては、当業者が適宜に決定することができる。例えば、気化層が金属箔または金属蒸着フィルムからなる場合、その厚さは5〜20μm、好適には7〜15μm程度であってよい。また、気化層が金属の蒸着膜である場合、その厚さは例えば、5〜100nm、より好ましくは10〜50nmの範囲で適宜設定することができる。また、気化層がインキ組成物からなる場合、その厚さは、インキ組成物の乾燥後の塗布量として1.5〜8.0g/m2であってよい。気化層が厚すぎると、フィルムがレーザ照射によるダメージを受け易くなる。逆に、薄すぎると、印字画像が不明瞭になり易い。
気化層の積層方法は、特に限定されず、金属箔や金属蒸着フィルムからなる場合は、ドライラミネート法やサンドイッチラミネート法を適用することができる。また、蒸着膜からなる場合は、慣用の蒸着方法を適用することができる。また、インキ組成物からなる場合は、インクジェット、浸漬、スピンコーティング、印刷等の方法を用いることができる。例えば、気化層が白色インキからなる場合、白色インキを、印刷下地として全面または一部にベタ印刷することにより、製造工程を簡略化できる。
<IV>シーラント層
本発明において、シーラント層は、包装材料の最内層のシーラントとして機能するヒートシール性樹脂からなる。
本発明において、シーラント層を形成するために好適に使用されるヒートシール性樹脂としては、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の樹脂を、単独で、または2種又はそれ以上を混合して使用することができる。
シーラント層を形成するヒートシール性樹脂中には、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤を添加することができる。
包装材料としての用途において、内容品と接する最内層となるため、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が好適に使用される。
シーラント層の層厚は、用途に応じて適宜に設定することができるが、好ましくは5〜170μmであり、更に好ましくは10〜50μmである。
<V>バリア層
所望により、基材層と気化層との間、または、シーラント層と気化層との間に、酸素及び/又は水蒸気に対するバリア性を有するバリア層が設けられる。
本発明において、バリア層は、バリア性樹脂層、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜、または金属箔を含むものであってもよい。バリア層としては、具体的には、アルミニウム
蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルム、シリカ蒸着ポリエステルフィルム、シリカ蒸着ポリアミドフィルム、アルミナ蒸着ポリエステルフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、MXD6等が挙げられる。なお、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
バリア層の厚さとしては、当業者が適宜に決定することができる。例えば、バリア層が金属箔または蒸着フィルム等のバリアフィルムからなる場合、その厚さは5〜20μm、好適には7〜15μm程度であってよい。また、バリア層が金属の蒸着膜である場合、その厚さは例えば、5〜100nm、より好ましくは10〜50nmの範囲で適宜設定することができる。
本発明においては、バリア層と同様に、所望により、基材層と気化層との間、または、シーラント層と気化層との間に、任意の機能層を設けてもよい。このような機能層としては、例えば、遮光層、延伸ポリアミド系樹脂フィルムやPETフィルム等からなる補強層が挙げられるが、これらに限定されない。
<VI>印字
本発明の印字方法は、ファイバレーザマーカ装置を用いて、レーザ印字用多層積層フィルムに、波長1090nmのレーザ光を照射することにより印字するものである。レーザ光は、レーザ印字用多層積層フィルムの基材層側およびシーラント層側のいずれの側から照射してもよい。
波長1090nmのレーザ光(ファイバレーザ光)は、本発明の気化層を構成する金属等の硬度の高い材質へも深くシャープに印字することができる。また、レーザ印字用多層積層フィルムへの熱影響が抑えられる。また、物質に対するエネルギー吸収率が高いため、本発明の気化層を構成する金属や、酸化チタンを含有する白色インキ等の白濁樹脂は、反射率が高く鮮明な印字が得られないとされていたが、これらの物質に対しても、鮮明な印字を施すことができる。
本発明の方法において、レーザ印字用多層積層フィルムに、基材層側からまたはシーラント層側から波長1090nmのレーザ光を照射する。レーザ光は、基材層またはシーラント層を透過し、気化層に到達する。レーザ光が照射された部分の気化層は、エネルギーを吸収して少なくとも一部が気化し、その部分が除去される。この除去部分の形状は、気化層の全層厚にわたって全て蒸散して、レーザが入射した側と反対側の層まで抜けが到達しているものであってよい。あるいは、反対側の層まで到達しておらず、気化層の厚みが薄くなった凹部の形状であってもよい。また場合により、レーザ光が照射されて生じた除去部分の表面はさらに、炭化して黒色を呈する。あるいは、気化層が発色剤を含有する場合は、含有する発色剤に応じた色を呈する。一方で、表面の基材層またはシーラント層は、破断せず、気化層から剥離し、且つ、気化層から発生したガスを封じ込め、変形(隆起)する。これにより、所望の印字画像を形成することができる。
本発明の方法において、レーザの平均出力を低く設定しても、または、スキャンスピードを速く設定しても、鮮明な印字画像、例えば、太くて明瞭な文字を印字することができる。
本発明において、レーザ印字画像は、文字、数字、記号、図柄等を含むが、これらに限定されない。
また、本発明の印字方法は、各種包装材料、ラベル類、カード類等に適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
[実施例1]
基材層として、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ(株)製OP−M1)を使用し、この一方の面上に、グラビアロールコート法により、以下の組成よりなるインキ組成物を、線数175/インチ、版深30μmにて塗工し、塗布量2.7g/m2(乾燥時)の気化層を設けた。
インキ組成物
酸化チタン 80質量%(固形分換算値)
ウレタン樹脂 20質量%(固形分換算値)
合計100質量%
上記組成からなるインキ組成物を、等質量の混合溶剤(メチルエチルケトン:酢酸n−プロピル:イソプロピルアルコール=3:5:2(質量比))と混合して使用した。
次いで、該気化層上に、ポリプロピレン樹脂を押出コーティング法により、厚さ13μmとなるように積層し、シーラント層を設けた。これにより、レーザ印字用多層積層フィルムを得た。
該フィルムに、平均出力6W、スキャンスピード2000mm/s、周波数120kHzの条件下で、波長1090nmのレーザ光(ファイバレーザ)を基材層側から照射した。
これにより、レーザ光を照射した部分の気化層が気化し、炭化して黒色を呈し、表面の基材層は破断することなく変形して隆起し、明瞭な印字画像が得られた。
[実施例2]
基材層として、厚さ12μmの易カット性PETフィルムを使用し、この一方の面上に、グラビアロールコート法により、以下の組成よりなるインキ組成物を、線数175/インチ、版深30μmにて塗工し、塗布量2.7g/m2(乾燥時)の気化層を設けた。
インキ組成物
酸化ビスマス(発色剤) 5質量%(固形分換算値)
酸化チタン(白色インキ含量) 15質量%(固形分換算値)
ウレタン樹脂 80質量%(固形分換算値)
合計100質量%
上記組成からなるインキ組成物を、等質量の混合溶剤(メチルエチルケトン:酢酸n−プロピル:イソプロピルアルコール=3:5:2(質量比))と混合して使用した。
次いで、該気化層上に、2液硬化型のポリエステル系接着剤を用いてドライラミネーション法により接着剤層を設け、さらに厚さが7μmのアルミニウム箔を積層した。
次いで、2液硬化型ポリエステル系接着剤を用いてドライラミネーション法により接着剤層を設け、厚さ12μmの易カット性PETフィルム及び厚さ40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネーション法により積層した。
これにより、易カット性PETフィルム(基材層)/気化層/接着剤層/アルミニウム箔(バリア層)/接着剤層/易カット性PETフィルム/接着剤層/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(シーラント層)の層構成を有するレーザ印字用多層積層フィルムを得た。
該フィルムに、平均出力12W、スキャンスピード2000mm/s、周波数60kHzの条件下で、波長1090nmのレーザ光(ファイバレーザ)を基材層側から照射した。
これにより、レーザ光を照射した部分の気化層が気化し、発色剤の色を呈した除去部が形成され、表面の基材層は破断することなく変形して隆起し、明瞭な印字画像が得られた。
1.基材層
2.気化層
3.シーラント層
4.バリア層
5.絵柄印刷層

Claims (6)

  1. 基材層、シーラント層、及びこれらの間に位置する気化層を有するレーザ印字用多層積層フィルムに、波長1090nmのレーザ光を照射して印字する印字方法であって、
    該気化層は、金属及び/又は金属酸化物を含有し、該波長1090nmのレーザ光の照射により気化する層であり、
    基材層側からまたはシーラント層側から、該波長1090nmのレーザ光を照射して、該気化層を気化させて部分的に除去することによって、レーザ印字画像を形成することを特徴とする、上記印字方法。
  2. 前記気化層が、金属酸化物およびバインダー樹脂を含有するインキ組成物からなる層であることを特徴とする、請求項1に記載の印字方法。
  3. 前記金属酸化物が、酸化チタンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の印字方法。
  4. 前記インキ組成物が、さらに、レーザ光の照射により発色する発色剤を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印字方法。
  5. 前記気化層が、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着膜からなる層であることを特徴とする、請求項1に記載の印字方法。
  6. 前記レーザ印字用多層積層フィルムが、基材層と気化層との間、または、シーラント層と気化層との間に、さらにバリア層を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印字方法。
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