JP6698274B2 - レーザ印字用多層フィルム - Google Patents
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Description
1.紙基材層、発色インキ層及び絵柄印刷層の順に積層されたレーザ印字用多層フィルムであって、該絵柄印刷層は、フィルムの最表層であって、且つ、発色インキ層上に部分的に設けられており、これによって、発色インキ層と絵柄印刷層とが重なりあった領域と、発色インキ層のみの領域が存在し、該発色インキ層は、発振波長532nmのグリーンレーザ、発振波長1090nmのファイバレーザ、発振波長10600nmの炭酸ガスレーザ、または発振波長1064nmのYVO4レーザもしくはYAGレーザのいずれかのレーザ光の照射により発色する、上記レーザ印字用多層フィルム。
2.上記発色インキ層が、酸化チタン系顔料及びバインダ樹脂を含む白インキからなる層である、上記1に記載のレーザ印字用多層フィルム。
3.上記発色インキ層が、ビスマス系化合物及びバインダ樹脂を含むレーザ発色インキからなる層である、上記1に記載のレーザ印字用多層フィルム。
4.上記1〜3のいずれかに記載のレーザ印字用多層フィルムの紙基材層側に、最内層としてヒートシール性樹脂層を有する、レーザ印字用包装材料。
5.上記紙基材層とヒートシール性樹脂層との間に、バリア層を有する、上記4に記載のレーザ印字用包装材料。
6.上記1〜5のいずれかに記載のレーザ印字用多層フィルムまたはレーザ印字用包装材料へのレーザ印字方法であって、絵柄印刷層側から、発色インキ層のみの領域に対して、発振波長532nmのグリーンレーザ、発振波長1090nmのファイバレーザ、発振波長10600nmの炭酸ガスレーザ、または発振波長1064nmのYVO4レーザもしくはYAGレーザのいずれかのレーザ光を照射して、模様を印字することを特徴とする、レーザ印字方法。
<I>本発明のレーザ印字用多層フィルムの層構成
図1は、本発明のレーザ印字用多層フィルムの層構成についてその一例を示す概略的断面図である。
図1に示されるように、本発明のレーザ印字用多層フィルムは、紙基材層1、発色インキ層2及び絵柄印刷層3からなる構成を基本とする。ここで、各層はそれぞれ、単層構成であっても、2またはそれ以上の層を積層した多層構成であってもよい。絵柄印刷層3は、本発明のフィルムの最表層であって、且つ、発色インキ層2上に部分的に設けられる層である。これにより、発色インキ層のみの領域Aと、発色インキ層と絵柄印刷層とが重なりあった領域Bとが存在する。
本発明において、紙基材層としては、用途に応じて、種々の賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有する任意の紙を使用することができ、例えば、主強度材であり、強サイズ性の晒または未晒の紙、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、ミルク原紙等の各種の紙を使用することができる。紙基材層は、これらの紙を複数層重ねてラミネートしたものであってもよい。任意の厚さのものを使用することができるが、例えば、坪量50〜600g/m2、好ましくは坪量70〜200g/m2であり、厚さ60〜860μm、好ましくは80〜400μmの範囲である。
本発明において、発色インキ層は、発振波長532nmのグリーンレーザ、発振波長1090nmのファイバレーザ、発振波長10600nmの炭酸ガスレーザ、及び発振波長1064nmのYVO4またはYAGレーザのいずれかのレーザ光の照射により発色する発色インキを、紙基材層上に塗布してなる層である。なお、発色インキ層は、レーザ印字する予定の所望個所に形成すればよく、全面に形成する必要はない。
酸化チタン系顔料としては、アナタス形酸化チタン、ルチル形酸化チタン等の白色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。
上記白インキを用いて、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の従来の印刷方式で、紙基材層上に印刷し、白インキからなる発色インキ層を形成する。白インキからなる発色インキ層は、その上に設ける絵柄印刷層の印刷下地としての機能も果たす。白インキは1回印刷(1度刷り)でも、複数回の印刷(多色刷り)で形成してもよい。
このような無機化合物としては、金属酸化物、銅系化合物、モリブデン系化合物、銅・モリブデン複合酸化物、銅・タングステン化合物、金属塩等を用いる。
具体的には、金属酸化物として、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化ネオジム、マイカ、ゼオライト、カオリナイト等が挙げられ、特に好ましくは酸化チタンである。
モリブデン系化合物としては、モリブデン、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、塩化モリブデン、モリブデン酸金属(金属:K、Zn、Ca、Ni、ビスマス、Mg等)を好適に用いることができる。
本発明は、特に、発色材料としてビスマス系化合物を含有するものであって、その他に発色を高めるための添加剤として酸化チタンを含有するものが好適に用いられる。
発色インキ層は、膜厚が0.05〜20μmが好ましく、より好ましくは0.1〜7μm程度である。膜厚が0.05μm未満であると発色、印字が不十分、不鮮明となる場合がある。
本発明において、絵柄印刷層は、基材に例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を、通常の印刷法を用いて形成されたものである。
本発明において、絵柄印刷層は、任意のインキからなり、2層またはそれ以上積層した構成であってもよい。
また、絵柄印刷層を印刷形成する場合、その印刷法としては、例えば、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェットプリント、転写印刷等の従来公知の印刷法で形成すれば良い。
本発明において、レーザ印字用多層フィルムを、レーザ印字用包装材料として適用するために、紙基材層側に、最内層のシーラントとして機能するヒートシール性樹脂層を設けることができる。
また、所望により、ヒートシール性樹脂層と上記紙基材層との間に、任意の中間層、例えばバリア層を含んでもよい。
これらのヒートシール性樹脂を、押出コーティング等により積層するか、またはこれらのヒートシール性樹脂からなるフィルムを任意の方法によりラミネートすることによって、積層することができる。
ヒートシール性樹脂層の層厚は、レーザ印字用多層フィルムの用途に応じて適宜に設定することができるが、好ましくは5〜170μmであり、更に好ましくは10〜50μmである。
所望により、紙基材層とヒートシール性樹脂層との間に、酸素及び/又は水蒸気に対するバリア性を有するバリア層が設けられる。
本発明において、バリア層は、バリア性樹脂層、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜を有する蒸着フィルム、または金属箔を含むものであってもよい。バリア層としては、具体的には、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルム、シリカ蒸着ポリエステルフィルム、シリカ蒸着ポリアミドフィルム、アルミナ蒸着ポリエステルフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、MXD6等が挙げられる。なお、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明の印字方法は、発振波長532nmのグリーンレーザ、発振波長1090nmのファイバレーザ、発振波長10600nmの炭酸ガスレーザ、または発振波長1064nmのYVO4レーザもしくはYAGレーザのいずれかを用いて、レーザ印字用多層フィルムに、レーザ光を照射することにより印字するものである。
また、波長1090nmのレーザ光(ファイバレーザ光)は、出力が大きいため、反応性が高く、より視認性の良い印字が可能である。
また、本発明の印字方法は、各種包装材料、ラベル類、カード類等に適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
厚さ200μmのグラビア用紙の一方の面上に、グラビア印刷により、以下の組成よりなる白インキを塗工し、厚さ5μmの発色インキ層を設けた。
酸化チタン 20質量%(固形分換算値)
ウレタン樹脂 80質量%(固形分換算値)
合計100質量%
上記組成からなる白インキを、等質量の混合溶剤(メチルエチルケトン:酢酸n−プロピル:イソプロピルアルコール=3:5:2(質量比))と混合して使用した。
これにより、レーザ光を照射した部分の発色インキ層が炭化して黒色を呈し、明瞭な印字画像が得られた。
発色インキ層として、白インキの代わりに、以下の組成よりなるレーザ発色インキを使用した以外は、実施例1と同様にして、本発明のレーザ印字用多層フィルムを得た。
酸化ビスマス(発色剤) 5質量%(固形分換算値)
酸化チタン(白色インキ含量) 15質量%(固形分換算値)
ウレタン樹脂 80質量%(固形分換算値)
合計100質量%
上記組成からなるインキ組成物を、等質量の混合溶剤(メチルエチルケトン:酢酸n−プロピル:イソプロピルアルコール=3:5:2(質量比))と混合して使用した。
これにより、レーザ光を照射した部分の発色インキ層が発色し、明瞭な印字画像が得られた。
実施例2で得られたレーザ印字用多層フィルムの発色インキ層及び絵柄印刷層状に、アンカーコート剤を全面塗工し、その上に、ポリエチレンを押出コーティング法により厚さ13μmとなるように積層し、オーバーコート層を設けた。
これにより、レーザ光を照射した部分の発色インキ層が炭化して黒色を呈し、明瞭な印字画像が得られた。
厚さ200μmのグラビア用紙の一方の面上に、グラビア印刷により、厚さ5μmの墨インキを塗工し、レーザ印字用多層フィルムを得た。
該フィルムに、発振波長10600nmの炭酸ガスレーザ光を照射し、墨インキを飛散させることにより、グラビア用紙を部分的に露出させて、印字画像を形成した。この際に、発煙及び粉塵が発生した。
2.発色インキ層
3.絵柄印刷層
4.ヒートシール性樹脂層
5.バリア層
A.発色インキ層のみの領域
B.発色インキ層と絵柄印刷層とが重なりあった領域
Claims (3)
- ヒートシール性樹脂層、紙基材層、発色インキ層及び絵柄印刷層がこの順に積層されたレーザ印字用多層フィルムであって、
該絵柄印刷層は、フィルムの最表層であって、且つ、発色インキ層上に部分的に設けられており、これによって、発色インキ層と絵柄印刷層とが重なりあった領域と、発色インキ層のみの領域が存在し、
該発色インキ層は、発振波長532nmのグリーンレーザ、発振波長1090nmのファイバレーザのいずれかのレーザ光の照射により発色する、酸化チタン系顔料及びバインダ樹脂を含む白インキ層であり、
該白インキの酸化チタン系顔料とバインダ樹脂の質量比は、10〜25:75〜90である、
上記レーザ印字用多層フィルム。 - 請求項1に記載のレーザ印字用多層フィルムの紙基材層とヒートシール性樹脂層との間にバリア層を有するレーザ印字用多層フィルムを用いたレーザ印字用包装材料。
- 請求項1または2のいずれかに記載のレーザ印字用多層フィルムまたはレーザ印字用包装材料へのレーザ印字方法であって、
絵柄印刷層側から、発色インキ層のみの領域に対して、発振波長532nmのグリーンレーザ、発振波長1090nmのファイバレーザのいずれかのレーザ光を照射して、模様を印字することを特徴とする、レーザ印字方法。
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