JP2016067355A - 調味肉の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小売店や飲食店のバックヤードにおけるオペレーションの負荷を軽減しつつ、調味と食肉の肉質改善を同時に行うことが可能な調味肉の製造方法の実現。食肉の肉質改善処理を短時間で行う場合と長時間で行う場合の双方に適用可能であり、かつ処理後に廃液が多量に生じてしまうような過分量の処理液を用いる必要のない肉質改善処理がなされた調味肉の製造方法。【解決手段】食肉を、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%含有されている処理液であって処理対象である食肉との重量対比で10〜20%の分量の処理液に48時間までの所定の時間接触させ、前記食肉に前記処理液を浸透させることにより、加熱調理時の歩留改善処理がなされた調味肉の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、所定の処理液を用いてなる調味肉の製造方法に関する。
一般に食肉やその加工食品(ハンバーグ、ミートボールなど)は、柔らかくかつジューシーでソフトな食感が好まれる傾向にある。食肉は、加熱調理(焼き調理・蒸し調理・フライ調理)することによって筋漿タンパク質の凝固が始まり風味やうま味が生じる。その一方で、長時間加熱すると調理時間の経過とともに肉汁が流出し、生じたうま味が損なわれ、肉は乾燥して縮み、固くなってしまう。食肉やその加工食品を美味しく調理することは、調理時間、温度など種々の要素が絡み合い、容易ではない。
スーパーや食肉店などの小売店において、調味液に浸漬させた状態の未加熱の調味肉が販売されている。これらの多くは小売店舗のバックヤードにおいて生肉の浸漬処理がなされる。しかしこうした調味液に浸漬させた場合にあっても、実際には調味液に含まれる塩分によりドリップが生じ、焼調理した際の実際に食べる肉の重さは少なくなる、という問題がある。また長時間浸漬させることによりドリップ発生の度合いは高まり、商品性の低下が問題となる。
バックヤードにおける加熱前の食肉処理は、スーパーや食肉店などの小売店のみでなく、レストランにおいても行われている。多くのレストランでは、食材はセントラルキッチンなどで下処理されて各店舗に運搬される。下処理段階で食肉の調味液への浸漬処理が行われる場合、各店舗に輸送されるまでの時間が長期化すれば同様にドリップの発生が問題となる。
ここで、食肉やその加工食品の歩留の向上や食感の改良を実現するための食肉処理方法についてはこれまでも種々提案されている。特許文献1では、畜肉を焼成カルシウム及び、乳清蛋白質、植物蛋白質及び増粘多糖類の1種又は2種以上を配合した水溶液で処理する方法が提示されている。また特許文献2では生の畜肉を茶の成分を含有する調味液に漬込む工程を含む食肉の製造方法が提示されている。また特許文献3では肉類の品質改良剤としてクエン酸塩100重量部、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩0.01〜35重量部、ヒドロキシプロピルセルロース0.01〜10重量部からなる品質改良剤が提案されている。更に特許文献4では、焼き塩1重量部に対しグルタチオンを0.001〜0.1重量部、糖アルコール及び/又はオリゴ糖を1.0〜5.5重量部、澱粉のエステル化又は/エーテル化された澱粉誘導体を0.1〜2.5重量部含有する食肉用改良剤が提示されている。
特開平7−322853 特開2005−185142 特開2007−312751 再表2006−98510
しかし、特許文献1に記載の方法によっては、肉類への吸水は向上されるとしてもその後又は浸漬処理に際して同時に投入される食塩による浸透圧で食肉からのドリップが生じ、加熱調理の結果歩留の向上が得られない。また特許文献2では、茶の成分やにがり、アルコールにより風味が限定的になってしまう問題を有する。特許文献3では、漬込み時間について特段の言及がなく、長時間の漬込みが必要となると食肉処理のオペレーションに過度の負荷が生じることになる。特許文献4においても同様で、浸漬時間が15時間と極めて長く、食肉処理のオペレーションにおける新たな負担が生じる。加えてこれら開示されている文献のいずれにおいても、過分量な浸漬液に食肉を漬け込んでいるため、例えばスーパーマーケットのバックヤードにおいて当該処理を行ったものをパック詰めして店頭に並べたとき、食肉から当該浸漬液が多量にたれ落ちる状態となり見栄えが良くない。更には、浸漬処理後の廃液処理の負荷も生じることになる。
そこで本発明では、小売店や飲食店のバックヤードにおけるオペレーションの負荷を軽減しつつ、調味と食肉の肉質改善を同時に行うことが可能な調味肉の製造方法の実現を第一の課題とする。また、スーパーマーケットにおける調味肉の店頭陳列時間を考慮し、処理自体は短時間でも陳列状態にあってもなお肉質の改善効果を有する処理液を用いることにより、陳列状態の外観を保持しつつ購買客が調味肉を購入し自宅で加熱調理するまでの間も歩留向上の効果を有しうる調味肉の製造方法の実現を第二の課題とする。さらには、バックヤードにおける廃液処理の問題も軽減させることにより、処理の負荷を軽減しつつ、所望の肉質及び歩留向上を実現可能な調味肉の製造方法の実現を第三の課題とする。そして、上記第一の課題と第二の課題、つまり食肉の肉質改善処理を短時間で行う場合と長時間で行う場合の双方に適用可能であり、かつ処理後に廃液が多量に生じてしまうような過分量の処理液を用いる必要のない肉質改善処理がなされた調味肉の製造方法の実現をも課題とする。
前記課題を解決すべく、本発明にかかる調味肉の製造方法は以下の構成を有する。
(1)本発明に係る調味肉の製造方法においては、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%含有されていることを特徴とする処理液を用いる。この処理液の分量は、処理対象である食肉との重量対比で10〜20%とし、これに食肉を48時間を超えない所定の時間接触させ、前記食肉に前記処理液を浸透させることにより、加熱調理時の歩留改善処理がなされる(請求項1)。
(2)食肉を処理液に接触させる時間は、相対的に短時間、具体的には15分〜1時間とすることもでき(請求項2)、また12時間〜36時間とすることもできる(請求項3)。
(3)また食肉と処理液との分量比は、食肉内部に十分に浸透し効果が生じるために必要な分量として、食肉との重量対比で10%以上が望ましく、また処理液が余って廃液処理の負荷が生じないよう20%以下とするのが望ましいが、好ましくは12%〜17%、とりわけ略15%程度の重量対比とすることが浸透効果と廃液処理負荷軽減、更には調味処理済の食肉を長時間陳列する場合の見栄えの観点からは特に望ましい(請求項4、請求項5)。
(4)なお処理液の組成として、未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が処理液全体に対して4〜6質量%とすることで、前述の漬け込み時間とも相俟って歩留効果は顕著に表れる(請求項6)。
(5)また上述の処理液の製造工程においては、リン酸架橋澱粉以外の原料につき第一段階の加熱殺菌を行い、温度低下ののち前記リン酸架橋澱粉を加え、前記リン酸架橋澱粉が未膨潤状態を維持する温度条件にて第二段階の加熱殺菌を行ったものであることを特徴とすることができる(請求項7)。
また本発明に係る処理液は、食肉に、当該食肉との重量対比で10〜20%の分量を48時間までの所定の時間接触させることにより加熱調理時の歩留改善効果を付与する処理液であって、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%が少なくとも含有されていることを特徴とする(請求項8)。
なお本発明において「塩分」とは、分析値上の値として処理液全体に対する質量割合を意味する。上記のような塩分割合の処理液により食肉には適切に塩味が付与されることとなる。また「リン酸架橋澱粉」とはリン酸基による架橋構造が導入された澱粉をいい、好適な例としては「松谷ダリア」(松谷化学工業株式会社製)が挙げられる。また処理液を食肉に接触させる手法としては、容器内に食肉と処理液とを同梱し静置する他、例えば袋の中に食肉と処理液とを入れ、外部から揉むようにしてもよい。接触させる環境としては、食肉の劣化が生じないよう冷蔵状態が好ましく、表面が凍ってしまうと処理液を接触させたとしても所望の効果が得られない。
本発明にかかる調味肉の製造方法によれば、小売店や飲食店のバックヤードにおけるオペレーションの負荷を軽減しつつ、調味と食肉の肉質改善を同時に行うことが可能である。また、スーパーマーケットにおける調味肉の店頭陳列時間を考慮し、処理自体は短時間でも陳列状態にあってもなお肉質の改善効果を有する処理液を用いることにより、ドリップ発生による外観の劣化を抑制することにより陳列状態の外観を保持しつつ購買客が調味肉を購入し自宅で加熱調理するまでの間も歩留向上の効果を有しうる。さらには、バックヤードにおける廃液処理の問題も軽減させることにより、処理の負荷を軽減しつつ、所望の肉質及び歩留向上を実現可能な上に陳列に際しても見栄えを損なうことがない。
本発明の一実施例に係る調味肉の製造方法によって得られる調味肉を加熱調理した際の歩留率につき、対比例との比較における改善率を示すグラフである。
本発明で使用する処理液とは、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%含有されている液状調味液である。ここでいう「塩分」とは、分析値上の値として処理液全体に対する質量割合を意味する。したがって、混合される食塩のみならず、醤油等に含まれる塩分も含めた値である。上記のような塩分割合の処理液により食肉には適切に塩味が付与されることとなる。塩分が3質量%未満では、調味肉を喫食したときに満足できる味の浸み込みが得られず、かつ処理液自体の保存性にも問題が生じ、塩分が10質量%より多いと、調味肉の塩味が強すぎて喫食に耐えがたい味の浸み込みとなり、何れも好ましくない。また「リン酸架橋澱粉」とは、エステル化によってリン酸基による架橋構造が導入された澱粉をいい、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉などが挙げられ、好適な例としては「松谷ダリア」(松谷化学工業株式会社製)が挙げられる。処理液中のリン酸架橋澱粉は2〜7質量%、好ましくは4〜6質量%であれば良く、2質量%未満では、十分な肉質の改善効果が得られず、7質量%より多いと、粘調性の高すぎる物性となるため調理の際にフライパンなどの調理器具に顕著な焦げ付きが発生してしまい、何れも好ましくない。
「未膨潤状態であるリン酸架橋澱粉」の判定はα化度で測定すればよいが、簡易的に溶液の粘度でも判定することができる。具体的には、バッチ加熱により完全にα化した澱粉の粘度を測定し、その5%以下であれば本発明の処理液としての効果を得ることができる。一般的にはα化して粘度の高い処理液を用いた方が肉への付着が多く歩留が高いと考えられるが、漬込み用液においては、未膨潤の澱粉が肉の組織内細胞間や切片に浸透し、焼き調理によって澱粉がα化する事で肉の組織からでる肉汁の流出を防ぐことができることを見出した。
処理液には、一般に食肉処理液に使用されている原材料を配合することができ、砂糖、液糖、果糖、ブドウ糖等の糖類、醤油、みりん、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の調味料類、りんご、トマト、にんにく、玉ねぎ等の果実や野菜類のペーストや抽出物を適宜配合することができる。その他、香辛料や香料で味つけしたり、キサンタンガムやローカストビーンガム、グアーガム等の増粘剤で粘度を調製したり、ごま油やラー油等の油脂を配合し食感を変えることもできる。
本発明においては、リン酸架橋澱粉以外の原材料を撹拌混合しつつ、80℃以上に達するまで加熱を行い第一段階の加熱殺菌を行う。殺菌後80℃未満に達するまで放冷などで冷却した後、予め市水に分散処理を行ったリン酸架橋澱粉分散液を加えて、3〜5分撹拌を行い、リン酸架橋澱粉が未膨潤状態を維持する温度条件にて第二段階の加熱殺菌を行う。
第二段階の加熱殺菌は、温水加熱方式の熱交換器を用いることで、加熱壁面温度が過度に高くならない。また伝熱面積を大きくとっているため、品温にかかわらず温度が安定する。熱交換器としては、「HPOS−3000H」(株式会社ビーエム昌和製)を用いる。更に充填初発から終わりまで安定した充填品温の確保が可能である。なお加熱殺菌の時聞は熱交換器の流速調整による処理液の滞在時間としてコントロール可能であるところ、商業的に求められる静菌レベルを確保するに当たって85℃近傍の温度での加熱殺菌を行う場合、概ね1分程度を確保していれば十分である。
処理液を食肉の重量に対し10〜20%、好ましくは12〜17%接触させる。10%未満では、肉質の改善効果と歩留向上の効果が得られず、20%より多いと、 食肉からドリップを含む当該浸漬液が多量にたれ落ちる状態となり見栄えが良くなく、更には、浸漬処理後の廃液処理の負荷も生じることになり、何れも好ましくない。処理液を食肉に接触させる手法としては、容器内に食肉と処理液とを同梱し静置する他、例えば袋の中に食肉と処理液とを入れ、外部から探むようにしてもよい。接触させる環境としては、食肉の劣化が生じないよう冷蔵状態が好ましく、表面が凍ってしまうと処理液を接触させたとしても所望の効果が得られない。
接触させる時間は、48時間までの所定の時間接触させることで、食肉に処理液を浸透させることができる。具体的には、15分〜1時間、または12時間〜36時間接触させることにより、加熱調理時の歩留改善効果が得られる。
このように、調味効果を有する程度の塩分を含有している処理液であっても、処理対象の食肉から処理時間の長短にかかわらず脱水を生じさせにくく、かつ加熱調理段階においても食肉内に水分を保持し、加熱調理後も良好な歩留の食肉を得ることができる。そのため食感としてもみずみずしさを維持したジューシーな食肉の提供が可能となる。
また本発明においては従来の浸漬剤に比べて短時間でその効果を発現することが可能であり、パックヤードにおけるオペレーションの省力化が可能となり、厨房の負荷低減につながる。更に長時間の処理においても同様の効果が得られることから、とりわけセントラルキッチンにおける前処理として処理液を食肉に接触させる場合やスーパーマーケットにおいて調味肉をパック詰めして販売する場合であっても所望の歩留を実現可能な調味肉の製造方法を実現することができる。
以下、本発明の具体的な実施例につき、表を交えつつ説明する。なお以下の実施例は本発明の一実施例であり、これに限定する趣旨ではない。
[調味剤兼改質剤の配合]
表1は、本実施例において用いられる処理液の配合を示したものである。
Figure 2016067355
本実施例で用いる処理液の製造は、以下の工程で行った。
(1)原材料群Aをブレンドタンクにおいて撹搾混合しつつ、80℃以上に達するまで加熱を行った。本実施例では90℃に達するまで加熱を行った。
(2)加熱を行った後、その後の原材料群Bの添加前に冷却した。本実施例では70℃に達するまで冷却する。
(3)ブレンドタンク内の品温が70 ℃になったことを確認した後、予め原料水(市水)に分散処理を行った原材料群Bをブレンドタンク内に投入した。
(4)原材料群Bを投入した後 3〜5分撹搾を行い、加熱殺菌工程に移行した。熱交換器(株式会社ビーエム昌和製型式HPOS−3000H)により82℃1分間の加熱殺菌を行った。温水加熱方式の熱交換器を用いることで、加熱壁面温度が過度に高くならない。また伝熱面積を大きくとっているため、品温にかかわらず温度が安定する。更に充填初発から終わりまで安定した充填品温の確保が可能である。なお加熱殺菌の時間は熱交換器の流速調整による調味料の滞在時間としてコントロール可能であるところ、商業的に求められる静菌レベルを確保するに当たって85℃近傍の温度での加熱殺菌を行う場合、概ね1分程度を確保していれば十分といえる。
(5)包材への充填を行う。充填までのタイムラグにより品温の低下がみられるものの、熱交換器を用いた加熱を行うことにより低下の幅を最小限に留めることができた。
[歩留向上処理の例]
上記配合及び製造方法により得られた処理液に食肉を接触させる処理の例につき説明する。容器に入れた食肉に対し上記配合及び製造方法により得られる処理液を重量対比15%相当量(現実には肉の重量の誤差、また添加前の処理液包材に残存する量の関係から多少の上下があるため、15%近傍の重量対比となっている)を添加し、0分、15分、60分、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間それぞれ食肉を接触させ、その後焼調理を行った際の肉重量、たれ添加量、加熱前総重量、加熱後総重量を表2及び表3に示した。
なお本実施例において「食肉」としてはオーストラリア産の牛モモ薄切り肉(脂身の少ないもの、非解凍肉、厚さ約3〜4mm、幅約3cm×縦約6cm)を用いた。焼調理の調理器具としてはIHクッキングヒーター(ホシザキ電気株式会社製:HIH−55TB)を用いて行った。なお対比例には、上記表1におけるリン酸架橋澱粉に代えてデキストリンを同量添加した。
Figure 2016067355
Figure 2016067355
表2、表3から見て取ることができるように、実施例の処理液を用いて加熱調理前の処理をおこなった調味肉は、その処理時間の長短にかかわらず対比例と比べて良好な歩留率を示した。
表2の結果からはまた、本実施例に係る処理液により、肉の内部及び表面の水分が焼調理後も保持されたことが推認できる。なおかつ本件処理液は肉質の改善とともに食肉の調味の役割も同時に果たすだけの塩分を含んでいるところ、肉質改善の為の処理を調味と別途行う必要がないため、バックヤードやセントラルキッチンにおけるオペレーションの省力化に寄与し得る。
更に表4は、上記表2、表3の各時間ごとの実施例、対比例における最大値、最小値を外したデータを平均した処理時間当たりの歩留向上率を一覧化したものであり、図1は、各測定値をプロットしたグラフを示したものである。
Figure 2016067355
図1及び表4から見て取ることができるように、処理液での処理時間が60分で一旦ピークを迎え、その後一旦歩留率は低下するものの、12時間後から36時間後においては3.5%を超えた良好な歩留向上率を維持した。このように、処理時間が60分と相対的に短いものであっても、対比例と比べて実施例では高い歩留を実現することができた。また逆に12時間から36時間と長時間処理した場合であってもその品質が大きく損なわれることがないことから、例えば多店舗展開を行っている飲食店においては、各店舗における短時間の処理、或いはセントラルキッチンにおける処理のいずれの処理を行う場合であっても同等に肉質及び歩留が改善された食肉を得ることができることが示唆された。
このように、本実施例に係る調味肉の製造方法によれば、処理時間を相対的に短時間しか取れないオペレーションであっても、また処理開始から喫食まで相対的に長時間経過するような場面であっても、双方で有意に肉質を改善し歩留を向上させることができる。またこの製造方法によれば肉の加熱調理の前工程におけるオペレーションの省力化に寄与するとともに、多量の浸漬液に食肉を漬け込むような従来の方法とは異なり多量の廃液が生じず、処理液の廃棄ロスやその処理自体に要する各種コストの削減に寄与することも示唆された。
なお、本発明に係る調味肉の製造方法を家庭においても簡易に実現することができるように、食肉と当該食肉の処理に適切な分量が小袋包装された処理液とをセットとして販売することも考えられる。これにより家庭での短時間の漬け込みにおいても従来と比べて歩留が向上した調味肉を得ることができる。




Claims (8)

  1. 食肉を、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%含有されている処理液であって処理対象である食肉との重量対比で10〜20%の分量の処理液に48時間までの所定の時間接触させ、前記食肉に前記処理液を浸透させることにより、加熱調理時の歩留改善処理がなされた調味肉の製造方法。
  2. 食肉を、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%含有されている処理液であって処理対象である食肉との重量対比で10〜20%の分量の処理液に15分〜1時間接触させ、前記食肉に前記処理液を浸透させることにより、加熱調理時の歩留改善処理がなされた調味肉の製造方法。
  3. 食肉を、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%含有されている処理液であって処理対象である食肉との重量対比で10〜20%の分量の処理液に12時間〜36時間接触させ、前記食肉に前記処理液を浸透させることにより、加熱調理時の歩留改善処理がなされた調味肉の製造方法。
  4. 食肉を、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%含有されている処理液であって処理対象である食肉との重量対比で12%〜17%の分量の処理液に12時間〜36時間接触させ、前記食肉に前記処理液を浸透させることにより、加熱調理時の歩留改善処理がなされた調味肉の製造方法。
  5. 食肉を、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%含有されている処理液であって処理対象である食肉との重量対比で略15%の分量の処理液に12時間〜36時間接触させ、前記食肉に前記処理液を浸透させることにより、加熱調理時の歩留改善処理がなされた調味肉の製造方法。
  6. 前記処理液に含有されている前記未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が4〜6質量%であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一に記載の調味肉の製造方法。
  7. 前記処理液が、前記リン酸架橋澱粉以外の原料につき第一段階の加熱殺菌を行い、温度低下ののち前記リン酸架橋澱粉を加え、前記リン酸架橋澱粉が未膨潤状態を維持する温度条件にて第二段階の加熱殺菌を行ったものであることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一に記載の調味肉の製造方法。
  8. 食肉に、当該食肉との重量対比で10〜20%の分量を48時間までの所定の時間接触させることにより加熱調理時の歩留改善効果を付与する処理液であって、(a)塩分が3〜10質量%、(b)未膨潤状態のリン酸架橋澱粉が2〜7質量%が少なくとも含有されていることを特徴とする処理液。

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