JP2016066418A - 電極活物質材料、電極、電池、及び、電極活物質材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い放電容量、又は、高い容量維持率を有する電極活物質材料を提供する。
【解決手段】本実施形態の電極活物質材料は、複数の粒子と、結着部とを備える。粒子は、結晶格子と、前記結晶格子に内包されるゲスト物質とを含むクラスレート化合物を含有する。結着部は、非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種を主成分とし、複数の粒子同士を結着する。
【選択図】図1
【解決手段】本実施形態の電極活物質材料は、複数の粒子と、結着部とを備える。粒子は、結晶格子と、前記結晶格子に内包されるゲスト物質とを含むクラスレート化合物を含有する。結着部は、非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種を主成分とし、複数の粒子同士を結着する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電極活物質材料、電極、電池、及び、電極活物質材料の製造方法に関する。
近年、クラスレート化合物の研究開発が進められている。米国特許出願公開第2012/0021283号明細書(特許文献1)では、ゲスト物質を内包しない、シリコンのみからなるクラスレート化合物をリチウムイオン等の金属イオン二次電池の電極活物質材料として利用することが提案されている。
国際公開第2013/158307号(特許文献2)では、クラスレート化合物を構成するシリコンの一部を他元素で置換した電極を提案する。これにより、優れた充放電特性が得られる、と特許文献2には記載されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたシリコンクラスレート化合物は準安定状態の不安定な物質である。特許文献1のシリコンクラスレート化合物に対してリチウムイオン等が侵入及び脱離を繰り返した場合、シリコンクラスレート化合物の結晶構造に極度の負荷がかかる。その結果、シリコンクラスレート化合物が崩壊して通常の結晶シリコンに戻る。結晶シリコンは、電極活物質材料として機能しない。特許文献1ではさらに、ゲスト物質を内包しないシリコンクラスレート化合物の放電容量や容量維持率に関して何ら開示されていない。
特許文献2に開示された電極では、十分な放電容量及び十分な容量維持率が得られない場合がある。
本発明の目的は、高い放電容量、又は、高い容量維持率を有する電極活物質材料を提供することである。
本実施形態の電極活物質材料は、複数の粒子と、結着部とを備える。複数の粒子は、クラスレート化合物を含有する。クラスレート化合物は、結晶格子と、結晶格子に内包されるゲスト物質とを含む。結着部は、非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種を主成分とし、複数の粒子同士を結着する。
本実施形態の電極活物質材料は、高い放電容量、又は、高い容量維持率を有する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本実施形態の電極活物質材料は、複数の粒子と、結着部とを備える。複数の粒子は、クラスレート化合物を含有する。クラスレート化合物は、結晶格子と、結晶格子に内包されるゲスト物質とを含む。結着部は、非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種を主成分とし、複数の粒子同士を結着する。
上記電極活物質材料は、他の電極活物質材料を含有してもよい。他の電極活物質材料はたとえば、ケイ素粒子、スズ粒子、黒鉛粒子等である。
好ましくは、本実施形態のクラスレート化合物は、電極活物質材料の主成分である。本明細書にいう主成分とは、体積割合で50%以上を占める成分を意味する。電極活物質材料は不可避不純物を含有してもよい。しかしながら、電極活物質材料中の不可避不純物はできるだけ少ないことが好ましい。
本実施形態の電極活物質材料を含有する電極は、正極、及び、負極のいずれであってもよい。好ましくは、本実施形態の電極は負極である。好ましくは、本実施形態の電極は、非水系電解質二次電池に用いられる。本明細書にいう「非水系電解質二次電池」は、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池等の金属イオン二次電池である。
鋭意研究の結果、本発明者は次の知見を得た。ゲスト物質を内包する結晶格子を含むクラスレート化合物を含有する電極活物質材料を用いた電極を、金属イオン二次電池に使用した場合、その金属イオン二次電池が一定の容量維持率を示す。この電極活物質材料は、ゲスト物質を内包しないシリコンクラスレートよりも、リチウムイオン等の侵入及び脱離の繰返しに伴う負荷に耐え得る。さらに、上記電極の放電容量も、黒鉛の放電容量(660〜790mAh/cc)以上のものが得られる場合がある。したがって、ゲスト物質を内包する結晶構造を含むクラスレート化合物は、電極活物質材料として機能し得る。
本実施形態の電極活物質材料はさらに、上記クラスレート化合物を含有する複数の粒子と、複数の粒子同士を結着する結着部とを含有する。結着部は、非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種を主成分とする。ここでいう「主成分」とは、体積割合で、結着部の50%以上を占めることを意味する。本実施形態の電極活物質材料は、クラスレート化合物を含有する複数の粒子と、結着部とを含有するため、高い放電容量にも係わらず、高い容量維持率を示す。
好ましくは、上記複数の粒子の総質量と結着部の質量との総和に対する、複数の粒子の総質量の比は、95〜99.5%である。
この場合、放電容量又は容量維持率がさらに高くなる。
好ましくは、上述の電極活物質材料において、クラスレート化合物の結晶粒の平均粒径は1nm〜500nmである。本明細書において、平均粒径が1〜500nmの結晶粒を、「ナノ粒子」という。また、「ナノ粒子化」とは、電極活物質材料中のクラスレート化合物の結晶粒をナノ粒子にすることを意味する。
ナノ粒子化されたクラスレート化合物を含有する電極活物質材料を利用した場合、金属イオン二次電池の放電容量が顕著に向上する。このため、ナノ粒子化されたクラスレート化合物は、電極活物質材料として有用である。
クラスレート化合物の結晶粒の平均粒径は、次の方法で求められる。クラスレート化合物に対して、X線回折装置(株式会社リガク製 RINT−1100)を用いて、X線回折測定を実施する。測定時の線源はCuとする。得られたクラスレート化合物の強度ピークのうち最強の強度ピークを特定する。特定された最強の強度ピークの半値幅に基づいて、シェラ−の式により平均粒径を求める。このとき、定数K=0.89とする。
上述の電極活物質材料において、ゲスト物質は、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)及びリチウム(Li)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。結晶格子は、ガリウム(Ga),アルミニウム(Al),インジウム(In),銀(Ag),金(Au),銅(Cu),ニッケル(Ni)及びコバルト(Co)からなる群から選択される1種又は2種以上と、ケイ素(Si)及びスズ(Sn)からなる群から選択される1種以上とを含有することが好ましい。
この場合、電極活物質材料を容易に製造することができる。
好ましくは、上述の電極活物質材料において、クラスレート化合物は、[A]x[B]y[C]zの組成を有する。[A]は、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)及びリチウム(Li)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。[B]は、ガリウム(Ga),アルミニウム(Al),インジウム(In),銀(Ag),金(Au),銅(Cu),ニッケル(Ni)及びコバルト(Co)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。[C]は、ケイ素(Si)及びスズ(Sn)からなる群から選択される1種以上を含有する。xは、7〜9である。yは、0〜6である。(y+z)/xは、5.1〜6.6である。zは(46−y)であることが好ましい。[A]が2種以上の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記xの範囲を満たす。[B]が2種以上の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記yの範囲を満たす。[C]が2種の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記zの範囲を満たす。
上記化学組成の場合、より容易に電極活物質材料を製造することができる。
好ましくは、上述の電極活物質材料において、クラスレート化合物は、[A]xAly[C]zの化学組成、又は、[A]xGay[C]zの化学組成を有する。ここで、[A]は、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)及びリチウム(Li)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。[C]は、ケイ素(Si)及びスズ(Sn)からなる群から選択される1種以上を含有する。xは、7〜9である。yは、0〜16である。また、(y+z)/xは、5.1〜6.6である。zは(46−y)であることが好ましい。[A]が2種以上の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記xの範囲を満たす。[C]が2種の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記zの範囲を満たす。
クラスレート化合物が上記化学組成を有する電極活物質材料は、金属イオン二次電池の放電容量又は容量維持率を高めることができる。
好ましくは、上述の電極活物質材料において、クラスレート化合物は、[A]xCuy[C]zの化学組成を有することが好ましい。ここで、[A]は、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)及びリチウム(Li)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。[C]は、ケイ素(Si)及びスズ(Sn)からなる群から選択される1種以上を含有する。xは、7〜9である。yは、0〜6である。(y+z)/xは、5.1〜6.6である。zは(46−y)であることが好ましい。[A]が2種以上の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記xの範囲を満たす。[C]が2種の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記zの範囲を満たす。
上記化学組成を有するクラスレート化合物を含有する電極活物質材料は、金属イオン二次電池の放電容量又は容量維持率を高める。
好ましくは、上述の電極活物質材料において、クラスレート化合物は、[A]xNiy[C]zの化学組成を有する。ここで、[A]は、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)及びリチウム(Li)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。[C]は、ケイ素(Si)及びスズ(Sn)からなる群から選択される1種以上を含有する。xは、7〜9の範囲内である。yは、0〜6の範囲内である。(y+z)/xは、5.1〜6.6である。zは(46−y)であることが好ましい。[A]が2種以上の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記xの範囲を満たす。[C]が2種の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記zの範囲を満たす。
上記化学組成を有するクラスレート化合物を含有する電極活物質材料は、金属イオン二次電池の放電容量又は容量維持率を高める。
好ましくは、上述の電極活物質材料において、クラスレート化合物は、[A]xAgy[C]zの化学組成を有する。ここで、[A]は、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)及びリチウム(Li)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。[C]は、ケイ素(Si)及びスズ(Sn)からなる群から選択される1種以上を含有する。xは、7〜9以下の範囲内である。yは、0〜6の範囲内である。(y+z)/xは、5.1〜6.6である。zは(46−y)であることが好ましい。[A]が2種以上の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記xの範囲を満たす。[C]が2種の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記zの範囲を満たす。
上記化学組成を有するクラスレート化合物を含有する電極活物質材料は、金属イオン二次電池の放電容量又は容量維持率を向上する。
好ましくは、上述の電極活物質材料において、クラスレート化合物は、[A]x[B]ySnzの化学組成を有する。ここで、[A]は、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)及びリチウム(Li)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。[B]は、インジウム(In),銀(Ag),金(Au),銅(Cu),ニッケル(Ni)及びコバルト(Co)からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する。xは、7〜9である。yは、0〜6である。(y+z)/xは、5.1〜6.6である。zは(46−y)であることが好ましい。[A]が2種以上の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記xの範囲を満たす。[B]が2種以上の元素を含有する場合、それらの元素の総原子数が、上記yの範囲を満たす。
上記化学組成を有するクラスレート化合物を含有する電極活物質材料は、金属イオン二次電池の放電容量又は容量維持率を向上する。
本実施形態の電極活物質材料の製造方法は、複数の粒子を準備する工程と、混合粉末を形成する工程と、混合粉末を熱処理する工程とを備える。準備する工程では、クラスレート化合物を含有する複数の粒子を準備する。調整する工程は、複数の粒子と熱可塑性有機物粉末とを混合して、混合粉末を形成する。熱処理する工程では、混合粉末を、300〜1000℃で熱処理する。
この場合、熱可塑性有機物粉末が軟化してクラスレート化合物を含有する複数の粒子同士を結着する。さらに、熱可塑性有機物粉末が、非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種に変換される。その結果、上述の電極活物質材料が製造される。
好ましくは、上記準備する工程後であって、上記調整する工程の前に、粒子に衝撃力又はせん断力を付与して、粒子内のクラスレート化合物の結晶粒の平均粒径を1〜500nmにする工程を備える。衝撃力又はせん断力は、たとえばボールミルやビーズミルを利用する。以下、この工程をナノ粒子化工程という。ナノ粒子化工程において、微量のSiCが生成する場合がある。本実施形態の電極活物質材料中には、不純物としてSiCが含まれていてもよい。
以下、上述の本実施形態の電極活物質材料について、さらに詳述する。
以下、上述の本実施形態の電極活物質材料について、さらに詳述する。
[電極活物質材料]
図1は、本実施形態による電極活物質材料100の断面図である。図1を参照して、電極活物質材料100は、複数の粒子110と、結着部120とを備える。
図1は、本実施形態による電極活物質材料100の断面図である。図1を参照して、電極活物質材料100は、複数の粒子110と、結着部120とを備える。
粒子110は、クラスレート化合物(包摂化合物)を含有する。粒子110に含有されるクラスレート化合物は、結晶格子と、ゲスト物質とを含有する。ゲスト物質は結晶格子に内包される。ゲスト物質は、結晶格子と共有結合することなく安定して存在する。
結着部120は、粒子110同士を結着する。つまり、複数の粒子110の間には、結着部120が充填される。複数の粒子110は、結着部120を介して互いに結着している。
結着部120は、非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも1種を主成分とする。ここで、「主成分」とは、結着部120に占める体積割合が50%以上であることを意味する。好ましくは、上記体積割合は80%以上である。
非黒鉛質炭素は、非晶質炭素及び乱層構造炭素の少なくとも1種である。非晶質炭素とは、短距離秩序(数原子〜十数個原子オーダー)を有し、長距離秩序(数百〜数千個の原子オーダー)を有さない炭素を意味する。乱層構造炭素とは、六角網平面方向に平行な乱層構造を有し、三次元方向には結晶学的規則性がみられない炭素原子からなる炭素を意味する。乱層構造炭素は、透過型電子顕微鏡(TEM)等で確認される。
非黒鉛質炭素は、熱可塑性樹脂等の熱可塑性有機物を焼成して製造される。本実施形態において、熱可塑性樹脂はたとえば、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、合成熱可塑性樹脂、天然熱可塑性樹脂及びこれらの混合物である。好ましい熱可塑性樹脂は、ピッチ粉末である。ピッチ粉末は、昇温過程で溶融すると共に炭化される。そのため、ピッチ粉末により製造される非黒鉛炭素は、複数の粒子110同士を結着しやすい。ピッチ粉末はさらに、低温焼成されても不可逆容量が小さい。
炭素前駆体は、熱可塑性有機物を加熱した際において熱可塑性有機物が非黒鉛質炭素に変換される前段階の物質である。
好ましくは、結着部120は、炭素前駆体を主成分とする。この場合、電解液溶媒の分解をより安定して抑制することができる。結着部120は、非黒鉛質炭素及び炭素前駆体以外の他の成分を含有してもよい。結着部120はたとえば、黒鉛粒子、導電性炭素質微粒子、スズ粒子等を含有してもよい。
電極活物質材料100は、クラスレート化合物を含有する複数の粒子110のみからなる電極活物質材料と比較して、高い容量維持率を有する。電極活物質材料100は、結着部120を含有する。そのため、電解液に接触する粒子110の面積が減少し、電解液の分解が抑制される。さらに、結着部120により、粒子110同士の結合が維持され、粒子110間の導電性が維持される。以上の理由により、電極活物質材料100が高い容量維持率を有すると考えられる。
好ましくは、複数の粒子110の総質量と結着部120の総質量の和に対する、複数の粒子110の総質量の比RPは、95〜99.5%である。
比RPが95%未満である場合、電極活物質材料100の容量維持率は高まるものの、初回充電時の初期効率が低下する。電極活物質材料100中の結着部120の割合が高すぎるためと考えられる。一方、比RPが99.5%を超えれば、結着部120による結着が低くなる。この場合、電極活物質材料100の容量維持率が低下する。したがって、好ましい比RPは95〜99.5%である。比RPの好ましい下限は97%であり、さらに好ましくは98%である。比RPの好ましい上限は99%であり、さらに好ましくは98.5%である。
好ましくは、粒子110の結晶粒はナノ粒子であり、粒子110のクラスレート化合物の結晶粒の平均粒径は、1〜500nmである。この場合、放電容量が向上し、さらに、電極の容量維持率も向上する。平均粒径の好ましい下限は10nmである。平均粒径の好ましい上限は100nmであり、さらに好ましくは90nmである。
たとえば、粒子110に衝撃力又はせん断力を付与することにより、粒子110のクラスレート化合物の結晶粒の平均粒径を1〜500nmにすることができる。
[クラスレート化合物]
好ましくは、粒子110に含有されるクラスレート化合物は、[A]x[B]y[C]zの化学組成を有する。[A]xはゲスト物質を意味する。[B]y[C]zは結晶格子を意味する。(y+z)は46であることが好ましい。
好ましくは、粒子110に含有されるクラスレート化合物は、[A]x[B]y[C]zの化学組成を有する。[A]xはゲスト物質を意味する。[B]y[C]zは結晶格子を意味する。(y+z)は46であることが好ましい。
好ましくは、ゲスト物質の元素[A]は、バリウム(Ba),カルシウム(Ca)及びリチウム(Li)からなる群から選択される1種又は2種以上である。ゲスト物質がBaのみであっても、電極活物質材料として十分な性能を発現できる。しかしながら、Baからなる複数のゲスト物質の一部をCaで置換した場合、原料コストが低減する。さらに、Baからなる複数のゲスト物質の一部をLiで置換した場合、電極の初期効率が向上する。したがって、[A]は、Baと、Ca及びLiからなる群から選択される少なくとも1種以上を含有する。
好ましい「x」は、7〜9であり、さらに好ましくは7.9〜8.1である。[A]に2種以上の元素が含まれる場合、「x」は[A]に含有される元素の総原子数に相当する。
好ましくは、結晶格子中[B]で示される元素は、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、インジウム(In),銀(Ag),金(Au),銅(Cu),ニッケル(Ni)及びコバルト(Co)からなる群から選択される1種又は2種以上である。結晶格子中に、Ga、Al、In、Ag、Au、Cu、Ni、Coが含有される場合、これらの元素は、Si及びSnを置換する。Siと置換された元素の種類及びその量により、クラスレート化合物の格子定数が変化する。このため、Siクラスレート化合物において、Siの一部を他の元素で置換することにより、金属イオン二次電池の放電容量や容量維持率を調整することができる。
結晶格子中に、In、Ag、Au、Cu、Ni、Co、Ga、Alが含有される場合、これらの元素は、特にC6サイトのSiを置換する。好ましい「y」は、0〜16であり、さらに好ましくは0〜10であり、さらに好ましくは0〜8であり、さらに好ましくは0〜7であり、さらに好ましくは0〜6である。[B]に2種以上の元素が含まれる場合、「y」は、[B]に含有される元素の総原子数に相当する。
Siと置換される元素が銀(Ag)、又は、金(Au)である場合、クラスレート化合物の結晶粒径が大きくても、金属イオン二次電池の放電容量を高めることができる。したがって、クラスレート化合物の結晶粒径を小さくすれば(たとえば、ナノ粒子化すれば)、金属イオン二次電池の充放電サイクル特性をさらに向上できる。
Siと置換される元素がインジウム(In)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)である場合、これらの元素の合金を鋳造しただけではリチウムイオンを拡散する能力が発現しにくく、放電容量が小さい。しかしながら、鋳造された合金に対して、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル等で衝撃力又は機械的せん断力を付与し、クラスレート化合物の結晶粒径を小さくした場合(ナノ粒子化した場合)、高い放電容量及び高い放電維持率が得られる。この場合、好ましい「y」は0〜6である。
Siと置換される元素がアルミニウム(Al)又はガリウム(Ga)である場合、これらの元素は、最大16個のSiと置換することができる。この場合、置換サイトはC6サイトに限定されず、ランダムに、SiがAl又はGaに置換される。この場合の好ましい「y」は0〜16であり、さらに好ましくは12〜15.5である。yがこの範囲内であれば、金属イオン二次電池の放電容量又は放電維持率を良好に維持できる。
好ましくは、結晶格子中[C]で示される元素は、ケイ素(Si)及びスズ(Sn)からなる群から選択される1種以上である。好ましい「z」は、25〜46であり、さらに好ましくは30〜46であり、さらに好ましくは35〜46であり、さらに好ましくは38〜46であり、さらに好ましくは39〜46であり、さらに好ましくは40〜46であり、特に好ましくは41〜46である。[C]に2種の元素(Si及びSn)が含まれる場合、「z」はその2種の元素の総原子数に相当する。
[C]で示される元素がスズ(Sn)である場合、クラスレート化合物の比重が大きくなる。そのため、クラスレート化合物を含有する電極活物質材料の体積当たりのエネルギー密度が大きくなる。この場合、好ましくは、(y+z)/xは5.1〜6.6である。(y+z)/xがこの範囲内であると、金属イオン二次電池の放電容量を良好に維持できる。
[電極活物質材料の製造方法]
本発明の実施の形態による電極活物質材料の製造方法の一例を説明する。電極活物質材料の製造方法は、クラスレート化合物を含有する複数の粒子(粉末)を準備する準備工程と、複数の粒子と熱可塑性有機物粉末とを混合して混合粉末を形成する混合工程と、この混合粉末を熱処理する熱処理工程とを備える。好ましくは、電極活物質材料の製造方法はさらに、準備工程と混合工程との間に、ナノ粒子化工程を備える。
本発明の実施の形態による電極活物質材料の製造方法の一例を説明する。電極活物質材料の製造方法は、クラスレート化合物を含有する複数の粒子(粉末)を準備する準備工程と、複数の粒子と熱可塑性有機物粉末とを混合して混合粉末を形成する混合工程と、この混合粉末を熱処理する熱処理工程とを備える。好ましくは、電極活物質材料の製造方法はさらに、準備工程と混合工程との間に、ナノ粒子化工程を備える。
[準備工程]
クラスレート化合物を含有する複数の粒子の準備工程は、鋳造工程と、粉砕工程と、混合工程とを備える。
クラスレート化合物を含有する複数の粒子の準備工程は、鋳造工程と、粉砕工程と、混合工程とを備える。
鋳造工程では、非酸化雰囲気下(不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下)で混合原料を、アーク溶解、プラズマ溶解、高周波誘導加熱、抵抗加熱といった周知の方法で溶解する。溶解された混合原料を冷却して、クラスレート化合物を含有するインゴットを製造する。
粉砕工程では、インゴットを粉砕してクラスレート化合物を含有する複数の粒子を製造する。必要に応じて、粉砕後の複数の粒子を非酸化雰囲気下(不活性ガス雰囲気下又は真空雰囲気下)で熱処理してもよい。粉砕工程前に、インゴットを非酸化雰囲気下で熱処理してもよい。以上の製造工程により製造された複数の粒子を準備する。
[ナノ粒子化工程]
ナノ粒子化工程は必要に応じて実施される。ナノ粒子化工程では、複数の粒子に対して衝撃力又はせん断力を付与して、粒子内のクラスレート化合物の結晶粒の平均粒径を1〜500nmにする。粒子に対して衝撃力又はせん断力を付与するにはたとえば、粉砕後のクラスレート化合物を含有する複数の粒子を、回転型ボールミル、遊星型ボールミル、振動型ボールミル、ビーズミル、アトライタ等によってさらに粉砕する。これにより、粒子中のクラスレート化合物の結晶粒の平均粒径が1〜500nmになる。
ナノ粒子化工程は必要に応じて実施される。ナノ粒子化工程では、複数の粒子に対して衝撃力又はせん断力を付与して、粒子内のクラスレート化合物の結晶粒の平均粒径を1〜500nmにする。粒子に対して衝撃力又はせん断力を付与するにはたとえば、粉砕後のクラスレート化合物を含有する複数の粒子を、回転型ボールミル、遊星型ボールミル、振動型ボールミル、ビーズミル、アトライタ等によってさらに粉砕する。これにより、粒子中のクラスレート化合物の結晶粒の平均粒径が1〜500nmになる。
[混合工程]
混合工程では、準備工程又はナノ粒子化工程で得られた複数の粒子と熱可塑性有機物粉末とを混合して、混合粉末を形成する。電極活物質材料中の複数の粒子の総質量と結着部120の総質量の和に対する、複数の粒子110の総質量の比RPを95%〜99.5%とするためには、混合する熱可塑性有機物粉末の量を、クラスレート化合物を含有する複数の粒子と熱可塑性有機物粉末との合計量(質量)に対し、0.7%〜10%とするのが好ましい。
混合工程では、準備工程又はナノ粒子化工程で得られた複数の粒子と熱可塑性有機物粉末とを混合して、混合粉末を形成する。電極活物質材料中の複数の粒子の総質量と結着部120の総質量の和に対する、複数の粒子110の総質量の比RPを95%〜99.5%とするためには、混合する熱可塑性有機物粉末の量を、クラスレート化合物を含有する複数の粒子と熱可塑性有機物粉末との合計量(質量)に対し、0.7%〜10%とするのが好ましい。
[熱処理工程]
熱処理工程では、非酸化雰囲気下(不活性ガス雰囲気下、真空雰囲気下等)で混合粉末を300〜1000℃で熱処理する。熱処理温度が1000℃を超えれば、クラスレート化合物を含有する粒子と熱可塑性有機物とが反応して、クラスレート構造が維持しにくくなる。この場合、粒子中のクラスレート化合物がLiを吸収及び放出しにくくなる。熱処理温度が300℃未満であれば、熱可塑性有機物粉末が十分に軟化せず、粒子同士を結着しにくくなる。さらに、熱可塑性有機物粉末が非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種に変換されにくく、結着部が形成されにくい。
熱処理工程では、非酸化雰囲気下(不活性ガス雰囲気下、真空雰囲気下等)で混合粉末を300〜1000℃で熱処理する。熱処理温度が1000℃を超えれば、クラスレート化合物を含有する粒子と熱可塑性有機物とが反応して、クラスレート構造が維持しにくくなる。この場合、粒子中のクラスレート化合物がLiを吸収及び放出しにくくなる。熱処理温度が300℃未満であれば、熱可塑性有機物粉末が十分に軟化せず、粒子同士を結着しにくくなる。さらに、熱可塑性有機物粉末が非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種に変換されにくく、結着部が形成されにくい。
熱処理温度が300〜1000℃であれば、熱可塑性有機物粉末が十分に軟化して、複数の粒子(粉末)同士を結着させる。さらに、熱可塑性有機物粉末が非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種に変換され、結着部が形成される。その結果、上述の電極活物質材料が得られる。
熱処理温度の好ましい下限は400℃である。熱処理温度の好ましい上限は900℃であり、さらに好ましくは800℃であり、さらに好ましくは550℃である。特に好ましい熱処理温度は、400〜550℃である。
電極活物質材料が、クラスレート化合物を含有する複数の粒子と結着部とからなる場合、上記工程により電極活物質材料が製造される。電極活物質材料が、クラスレート化合物を含有する粒子及び結着部と、他の物質とを含有する場合、混合工程において、粒子、熱可塑性有機物粉末、及び他の物質を混合し、熱処理することにより、電極活物質材料が製造される。
<電極の製造方法>
本発明の実施の形態に係る電極活物質材料を用いた電極は、当業者に周知の方法で製造することができる。以下、一例として、負極の製造方法について説明する。
本発明の実施の形態に係る電極活物質材料を用いた電極は、当業者に周知の方法で製造することができる。以下、一例として、負極の製造方法について説明する。
たとえば、上記電極活物質材料に対して、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンラバー(SBR)等のバインダを混合する。負極に十分な導電性を付与するために天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック等の炭素材料粉末を混合してもよい。これにN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、水などの溶媒を加え、バインダを溶解する。その後、必要であればホモジナイザ、ガラスビーズを用いて十分に攪拌し、スラリにする。
スラリを圧延銅箔、電析銅箔等の活物質支持体に塗布して乾燥する。その後、乾燥物をプレスして、電極(本例では負極)を製造する。
本実施形態の電池は、上記電極を備える。
以下、実施例を示して、本発明について詳述する。
[本発明例1]
<電極活物質材料の調製>
(1)準備工程
12.66gのバリウム、4.39gの銅、及び、12.95gのケイ素の混合物を原料として準備した。原料の組成は、Ba8Cu6Si40に相当した。原料を、水冷モールドで冷却したアルゴンアーク炉で溶解して鋳造した。この鋳造時の凝固速度は約100℃/秒であった。得られたインゴットを、メノウ乳鉢を用いて粉砕した。さらに、粉砕物を20μmの目開きの篩でふるい分けし、クラスレート化合物を含有する複数の粒子を製造した。
<電極活物質材料の調製>
(1)準備工程
12.66gのバリウム、4.39gの銅、及び、12.95gのケイ素の混合物を原料として準備した。原料の組成は、Ba8Cu6Si40に相当した。原料を、水冷モールドで冷却したアルゴンアーク炉で溶解して鋳造した。この鋳造時の凝固速度は約100℃/秒であった。得られたインゴットを、メノウ乳鉢を用いて粉砕した。さらに、粉砕物を20μmの目開きの篩でふるい分けし、クラスレート化合物を含有する複数の粒子を製造した。
(2)混合工程
上記複数の粒子と石炭系ピッチ粉末(軟化点86℃、平均粒径20μm、1000℃加熱後の残炭率50%)とを、ロッキングミキサー(愛知電気株式会社製)に投入して混合粉末を形成した。混合粉末中の石炭系ピッチ粉末(熱可塑性有機物粉末)の質量割合は4.0%であり、クラスレート化合物を含有する複数の粒子の質量割合は、96.0%であった(表1参照)。
上記複数の粒子と石炭系ピッチ粉末(軟化点86℃、平均粒径20μm、1000℃加熱後の残炭率50%)とを、ロッキングミキサー(愛知電気株式会社製)に投入して混合粉末を形成した。混合粉末中の石炭系ピッチ粉末(熱可塑性有機物粉末)の質量割合は4.0%であり、クラスレート化合物を含有する複数の粒子の質量割合は、96.0%であった(表1参照)。
(3)熱処理工程
上記混合粉末を黒鉛るつぼに投入した。その後、混合粉末を、窒素気流中、200℃の温度で1時間加熱した。加熱後、400℃の温度でさらに1時間加熱して、電極活物質材料を製造した。製造された電極活物質材料において、クラスレート化合物を含有する複数の粒子の総質量と石炭系ピッチ粉末由来の物質(炭素前駆体)の質量の総和に対する、複数の粒子の総質量の比RPは97.1%であった(表1参照)。
上記混合粉末を黒鉛るつぼに投入した。その後、混合粉末を、窒素気流中、200℃の温度で1時間加熱した。加熱後、400℃の温度でさらに1時間加熱して、電極活物質材料を製造した。製造された電極活物質材料において、クラスレート化合物を含有する複数の粒子の総質量と石炭系ピッチ粉末由来の物質(炭素前駆体)の質量の総和に対する、複数の粒子の総質量の比RPは97.1%であった(表1参照)。
<電極活物質材料中のクラスレート化合物の組成の同定>
波長分散型X線分光器を用いた組成分析により、電極活物質材料の化合物組成を同定した。その結果、その化合物組成はBa8Cu6Si40であった(表1参照)。したがって、この負極活物質材料の組成を上述のとおりAxByCzとした場合、x(=8)は7〜9の範囲内であり、y(=6)は0〜6の範囲内であり、(y+z)/x(=5.75)は5.1〜6.6の範囲内であった。
波長分散型X線分光器を用いた組成分析により、電極活物質材料の化合物組成を同定した。その結果、その化合物組成はBa8Cu6Si40であった(表1参照)。したがって、この負極活物質材料の組成を上述のとおりAxByCzとした場合、x(=8)は7〜9の範囲内であり、y(=6)は0〜6の範囲内であり、(y+z)/x(=5.75)は5.1〜6.6の範囲内であった。
<電極活物質材料中のクラスレート化合物の結晶粒平均粒径の測定>
クラスレート化合物の結晶粒の平均粒径は、次の方法で求めた。Cuを線源として上記X線回折装置で得られたクラスレート化合物のピークのうち最強ピークを特定した。実施例1のBa8Cu6Si40では、最強ピークは[321]の強度ピークに相当した。特定された最強ピークの半値幅に基づいて、シェラ−の式により、クラスレート化合物の結晶粒の平均結晶粒径を求めた(定数K=0.89)。この測定方法で得られた本発明例1クラスレート化合物結晶粒の平均粒径は5×104nmであった(表1参照)。
クラスレート化合物の結晶粒の平均粒径は、次の方法で求めた。Cuを線源として上記X線回折装置で得られたクラスレート化合物のピークのうち最強ピークを特定した。実施例1のBa8Cu6Si40では、最強ピークは[321]の強度ピークに相当した。特定された最強ピークの半値幅に基づいて、シェラ−の式により、クラスレート化合物の結晶粒の平均結晶粒径を求めた(定数K=0.89)。この測定方法で得られた本発明例1クラスレート化合物結晶粒の平均粒径は5×104nmであった(表1参照)。
<電極活物質材料から作製される負極の電池特性評価>
(1)電極作製
製造された電極活物質材料を用いて、電極(負極)を作製した。具体的には、上記電極活物質材料100重量部に対し、15重量部のアセチレンブラック(導電性付与剤)、5重量部のSBR(スチレンブタジエンラバー)(結着剤)、5重量部のCMC(カルボキシメチルセルロース)を混合した。その後、この混合物にイオン交換水(溶媒)を加えて負極合剤スラリを製造した。この負極合剤スラリを、厚み17μmの銅箔(集電体)上にドクターブレード法により塗布した。塗布量は約3mg/cm2であった。塗布液を乾燥させて塗膜を得た。その後、塗膜を直径13mmのディスク状に打ち抜いた。ディスクをプレス成形機により加圧して、約1.30g/cm3の電極密度を有する電極を作製した。作製された電極の電極密度は、マイクロメータにより厚みを測定して体積を算出し、さらに、そのディスク(銅箔を除いた部分)の質量を計測することにより得られた。
(1)電極作製
製造された電極活物質材料を用いて、電極(負極)を作製した。具体的には、上記電極活物質材料100重量部に対し、15重量部のアセチレンブラック(導電性付与剤)、5重量部のSBR(スチレンブタジエンラバー)(結着剤)、5重量部のCMC(カルボキシメチルセルロース)を混合した。その後、この混合物にイオン交換水(溶媒)を加えて負極合剤スラリを製造した。この負極合剤スラリを、厚み17μmの銅箔(集電体)上にドクターブレード法により塗布した。塗布量は約3mg/cm2であった。塗布液を乾燥させて塗膜を得た。その後、塗膜を直径13mmのディスク状に打ち抜いた。ディスクをプレス成形機により加圧して、約1.30g/cm3の電極密度を有する電極を作製した。作製された電極の電極密度は、マイクロメータにより厚みを測定して体積を算出し、さらに、そのディスク(銅箔を除いた部分)の質量を計測することにより得られた。
(2)電池作製
ポリオレフィン製セパレーター(セルガード株式会社製)の両側に、上述の電極(負極)と、対極のLi金属箔とを配置して、電極組立体を作製した。電極組立体の内部に電解液を注入して、セルサイズ2016のコイン型非水試験セル(電池)を作製した。支持電解質をLiPF6とし、LiPF6:エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジメチルカーボネート(DMC):ビニレンカーボネート(VC):フルオロエチレンカーボネート(FEC)=16:48:23:16:1:8(質量比)とした混合溶媒を、電解液として用いた。
ポリオレフィン製セパレーター(セルガード株式会社製)の両側に、上述の電極(負極)と、対極のLi金属箔とを配置して、電極組立体を作製した。電極組立体の内部に電解液を注入して、セルサイズ2016のコイン型非水試験セル(電池)を作製した。支持電解質をLiPF6とし、LiPF6:エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジメチルカーボネート(DMC):ビニレンカーボネート(VC):フルオロエチレンカーボネート(FEC)=16:48:23:16:1:8(質量比)とした混合溶媒を、電解液として用いた。
(3)放電容量、充放電効率および充放電サイクルの評価
非水試験セルにおいて、初めに、0.25mA/cm2の電流値で、対極に対して電位差0(ゼロ)Vになるまで定電流ドープ(電極へのリチウムイオンの挿入、リチウムイオン二次電池の充電に相当)を行った。その後、0Vを保持したまま、5μA/cm2になるまで定電圧で対極に対してドープを続け、ドープ容量を測定した。次に、0.25mA/cm2の定電流で、電位差1.5Vになるまで脱ドープ(電極からのリチウムイオンの離脱、リチウムイオン二次電池の放電に相当)を行い、脱ドープ容量を測定した。このときのドープ容量、脱ドープ容量は、この電極をリチウムイオン二次電池の負極として用いた時の充電容量、放電容量に相当する。したがって、測定されたドープ容量を充電容量とし、測定された脱ドープ容量を放電容量とした。
非水試験セルにおいて、初めに、0.25mA/cm2の電流値で、対極に対して電位差0(ゼロ)Vになるまで定電流ドープ(電極へのリチウムイオンの挿入、リチウムイオン二次電池の充電に相当)を行った。その後、0Vを保持したまま、5μA/cm2になるまで定電圧で対極に対してドープを続け、ドープ容量を測定した。次に、0.25mA/cm2の定電流で、電位差1.5Vになるまで脱ドープ(電極からのリチウムイオンの離脱、リチウムイオン二次電池の放電に相当)を行い、脱ドープ容量を測定した。このときのドープ容量、脱ドープ容量は、この電極をリチウムイオン二次電池の負極として用いた時の充電容量、放電容量に相当する。したがって、測定されたドープ容量を充電容量とし、測定された脱ドープ容量を放電容量とした。
本発明例では、上述の通りに測定した充電容量、放電容量から、アセチレンブラックの容量及びバインダの容量を考慮して、電極活物質材料単独の体積当たりの放電容量を算出した。本発明例の電極活物質材料の放電容量は、372mAh/ccであった(表1参照)。ドープ容量/脱ドープ容量の比は、リチウムイオン二次電池の放電容量/充電容量の比に相当するので、この比を充放電効率とした。なお、本発明例の非水試験セルの充放電効率(初期効率)は、51.0%であった(表1参照)。
サイクル特性の測定は、上記と同様のコイン型の非水試験セルを用いて行った。この試験セルにおいて、1サイクル目以降、0.5mA/cm2の定電流で、対極に対して電位差5mVになるまでドープした(充電に相当)。その後、さらに5mVを保持したまま、50μA/cm2になるまで定電圧でドープを続けた。次に、0.5mA/cm2の定電流で、電位差1.5Vになるまで脱ドープを行って(放電に相当)、脱ドープ容量を測定した。このときの脱ドープ容量を放電容量とした。
上述と同一条件でドープと脱ドープとを30回繰り返し、「1サイクル目の脱ドープ時の放電容量」に対する「30サイクル目の脱ドープ時の放電容量」の比率(容量維持率)を求めた。求めた容量維持率を指標としてサイクル特性を評価した。容量維持率が90%以上であれば、実用電池として良好であると評価した。本実施例に係る非水試験セルの容量維持率は、359%と高かった(表1参照)。
なお、結晶性の高い天然黒鉛の放電容量は660〜790mAh/cc程度である。
[本発明例2]
本発明例2では、アーク溶解し鋳造する際の原料を、12.80gのバリウム、4.10gのニッケル、13.09gのケイ素の混合物とした以外は、本発明例1と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。この原料の組成は、Ba8Ni6Si40に相当した。
本発明例2では、アーク溶解し鋳造する際の原料を、12.80gのバリウム、4.10gのニッケル、13.09gのケイ素の混合物とした以外は、本発明例1と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。この原料の組成は、Ba8Ni6Si40に相当した。
本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、比RPの特定、結晶粒平均粒径の測定、及び試験セルの各種充放電性能評価をおこなった。それらの結果は、表1の通りであり、容量維持率が高かった。
[本発明例3]
本発明例3では、アーク溶解し鋳造する際の原料を、11.49gのバリウム、6.77gの銀、11.75gのケイ素の混合物とした。それ以外は、本発明例1と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。この原料の組成は、Ba8Ag6Si40に相当した。
本発明例3では、アーク溶解し鋳造する際の原料を、11.49gのバリウム、6.77gの銀、11.75gのケイ素の混合物とした。それ以外は、本発明例1と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。この原料の組成は、Ba8Ag6Si40に相当した。
本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、比RPの特定、及び試験セルの各種充放電性能評価をおこなった。それらの結果は、表1の通りであり、放電容量が天然黒鉛よりも高かった。
[本発明例4]
本発明例4では、アーク溶解し鋳造する際の原料を、13.89gのバリウム、5.46gのアルミニウム、10.65gのケイ素の混合物とした。それ以外は、本発明例1と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。この原料の組成は、Ba8Al16Si30に相当した。
本発明例4では、アーク溶解し鋳造する際の原料を、13.89gのバリウム、5.46gのアルミニウム、10.65gのケイ素の混合物とした。それ以外は、本発明例1と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。この原料の組成は、Ba8Al16Si30に相当した。
本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、比RPの特定、及び試験セルの各種充放電性能評価をおこなった。それらの結果は、表1の通りであり、容量維持率が高かった。
[本発明例5]
本発明例5では、アーク溶解し鋳造する際の原料を、12.55gのバリウム、0.92gのアルミニウム、3.70gの銀、12.83gのケイ素の混合物とした以外は、本発明例1と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。この原料の組成は、Ba8Al3Ag3Si40に相当した。
本発明例5では、アーク溶解し鋳造する際の原料を、12.55gのバリウム、0.92gのアルミニウム、3.70gの銀、12.83gのケイ素の混合物とした以外は、本発明例1と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。この原料の組成は、Ba8Al3Ag3Si40に相当した。
本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、比RPの特定、及び試験セルの各種充放電性能評価をおこなった。それらの結果は、表1の通りであり、放電容量及び容量維持率ともに高かった。
[比較例1〜5]
比較例1〜5では、それぞれ、本発明例1〜5で製造した、クラスレート化合物を含有する複数の粒子を電極活物質材料として用い、本発明例1と同様にして、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。すなわち、比較例1〜5では、石炭系ピッチ粉末との混合工程及び熱処理工程を実施しなかった。
比較例1〜5では、それぞれ、本発明例1〜5で製造した、クラスレート化合物を含有する複数の粒子を電極活物質材料として用い、本発明例1と同様にして、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。すなわち、比較例1〜5では、石炭系ピッチ粉末との混合工程及び熱処理工程を実施しなかった。
本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、複合粒子におけるクラスレート化合物の質量割合の特定、及び、試験セルの各種充放電性能評価をおこなった。それらの結果は、表1の通りであった。具体的には、本発明例1〜5の容量維持率は、対応する比較例1〜5の容量維持率よりも高かった。
[本発明例6〜10]
本発明例6〜10では、それぞれ、混合粉末の調整の前に、クラスレート化合物を含有する複数の粒子に対してナノ粒子化をおこなった。それ以外は、本発明例1〜5と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。
[本発明例6〜10]
本発明例6〜10では、それぞれ、混合粉末の調整の前に、クラスレート化合物を含有する複数の粒子に対してナノ粒子化をおこなった。それ以外は、本発明例1〜5と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。
ナノ粒子化は、下記の方法により実施した。ボールミル装置であるスーパーミスニ(日新技研株式会社製)に、クラスレート化合物を含有する複数の粒子を投入した。さらに、ボールミル装置に、粒子10gに対して約9.5mmの直径を有するSUJ2製ボール100gを投入した。その後、40時間ボールミル処理した。
本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、比RPの特定、クラスレート化合物結晶粒の平均結晶粒径、及び試験セルの各種充放電性能評価をおこなった。それらの結果を、表1に示す。本発明例6〜10では、クラスレート化合物結晶粒の平均粒径が1〜500nmの範囲であった。つまり、これらの本発明例のクラスレート化合物結晶粒はナノ粒子であった。そのため、これらの本発明例の放電容量は、本発明例1〜5よりも高かった。
[比較例6〜10]
比較例6〜10では、それぞれ、本発明例6〜10で製造したナノ粒子化された粒子を電極活物質材料として用い、本発明例1と同様にして、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。すなわち、比較例6〜10では、石炭系ピッチ粉末との混合工程及び熱処理工程が実施されなかった。
比較例6〜10では、それぞれ、本発明例6〜10で製造したナノ粒子化された粒子を電極活物質材料として用い、本発明例1と同様にして、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。すなわち、比較例6〜10では、石炭系ピッチ粉末との混合工程及び熱処理工程が実施されなかった。
本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、比RPの特定、及び、試験セルの各種充放電性能評価を実施した。それらの結果は、表1の通りであった。具体的には、本発明例6〜10の容量維持率は、対応する比較例6〜10の容量維持率よりも高かった。
[本発明例11〜14]
本発明例11〜14では、混合粉末の熱処理工程における加熱温度以外は、本発明例6と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。混合粉末の熱処理工程における加熱温度は、200℃の温度で1時間加熱した後に、表1の熱処理温度欄に記載の温度でさらに1時間加熱した。本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、比RPの特定、クラスレート化合物結晶粒の平均結晶粒径、及び試験セルの各種充放電性能評価をおこなった。その結果、表1の通りであり、本発明例11〜14では、放電容量及び容量維持率ともに高かった。
本発明例11〜14では、混合粉末の熱処理工程における加熱温度以外は、本発明例6と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。混合粉末の熱処理工程における加熱温度は、200℃の温度で1時間加熱した後に、表1の熱処理温度欄に記載の温度でさらに1時間加熱した。本発明例1と同様にして、クラスレート化合物の化学組成の特定、比RPの特定、クラスレート化合物結晶粒の平均結晶粒径、及び試験セルの各種充放電性能評価をおこなった。その結果、表1の通りであり、本発明例11〜14では、放電容量及び容量維持率ともに高かった。
[本発明例15]
本発明例15では、本発明例6と比較して、混合粉末中の熱可塑性有機物粉末の質量割合を14.0%とした。その他の条件は、本発明例6と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。本発明例15の電極活物質材料における比RPは95%未満であった。その結果、本発明例6の初期効率は、本発明例15よりも高かった。
本発明例15では、本発明例6と比較して、混合粉末中の熱可塑性有機物粉末の質量割合を14.0%とした。その他の条件は、本発明例6と同様にして、電極活物質材料、負極及びコイン型非水試験セルを製造した。本発明例15の電極活物質材料における比RPは95%未満であった。その結果、本発明例6の初期効率は、本発明例15よりも高かった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
Claims (15)
- 結晶格子と、前記結晶格子に内包されるゲスト物質とを含むクラスレート化合物を含有する複数の粒子と、
非黒鉛質炭素及び炭素前駆体の少なくとも一種を主成分とし、前記複数の粒子同士を結着する結着部とを備える、電極活物質材料。 - 請求項1に記載の電極活物質材料であって、
前記複数の粒子の総質量と前記結着部の質量との総和に対する前記複数の粒子の総質量の比が95〜99.5%である、電極活物質材料。 - 請求項1又は請求項2に記載の電極活物質材料であって、
前記クラスレート化合物の結晶粒の平均粒径は、1nm〜500nmである、電極活物質材料。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電極活物質材料であって、
前記ゲスト物質は、Ba,Ca及びLiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記結晶格子は、Ga,Al,In,Ag,Au,Cu,Ni及びCoからなる群から選択される1種又は2種以上と、Si及びSnからなる群から選択される1種以上とを含有する、電極活物質材料。 - 請求項4に記載の電極活物質材料であって、
前記クラスレート化合物は、[A]x[B]y[C]zの化学組成を有し、
前記[A]は、Ba,Ca及びLiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記[B]は、Ga,Al,In,Ag,Au,Cu,Ni及びCoからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記[C]は、Si及びSnからなる群から選択される1種以上を含有し、
前記xは、7〜9であり、
前記yは、0〜6であり、
(y+z)/xは、5.1〜6.6である、電極活物質材料。 - 請求項4に記載の電極活物質材料であって、
前記クラスレート化合物は、[A]xAly[C]zの化学組成を有し、
前記[A]は、Ba,Ca及びLiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記[C]は、Si及びSnからなる群から選択される1種以上を含有し、
前記xは、7〜9であり、
前記yは、0〜16であり、
(y+z)/xは、5.1〜6.6である、電極活物質材料。 - 請求項4に記載の電極活物質材料であって、
前記クラスレート化合物は、[A]xGay[C]zの化学組成を有し、
前記[A]は、Ba,Ca及びLiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記[C]は、Si及びSnからなる群から選択される1種以上を含有し、
前記xは、7〜9であり、
前記yは、0〜16であり、
(y+z)/xは、5.1〜6.6である、電極活物質材料。 - 請求項4に記載の電極活物質材料であって、
前記クラスレート化合物は、[A]xCuy[C]zの化学組成を有し、
前記[A]は、Ba,Ca及びLiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記[C]は、Si及びSnからなる群から選択される1種以上を含有し、
前記xは、7〜9であり、
前記yは、0〜6であり、
(y+z)/xは、5.1〜6.6である、電極活物質材料。 - 請求項4に記載の電極活物質材料であって、
前記クラスレート化合物は、[A]xNiy[C]zの化学組成を有し、
前記[A]は、Ba,Ca及びLiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記[C]は、Si及びSnからなる群から選択される1種以上を含有し、
前記xは、7〜9であり、
前記yは、0〜6であり、
(y+z)/xは、5.1〜6.6である、電極活物質材料。 - 請求項4に記載の電極活物質材料であって、
前記クラスレート化合物は、[A]xAgy[C]zの組成を有し、
前記[A]は、Ba,Ca及びLiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記[C]は、Si及びSnからなる群から選択される1種以上を含有し、
前記xは、7〜9であり、
前記yは、0〜6であり、
(y+z)/xは、5.1〜6.6である、電極活物質材料。 - 請求項4に記載の電極活物質材料であって、
前記クラスレート化合物は、[A]x[B]ySnzの組成を有し、
前記[A]は、Ba,Ca及びLiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記[B]は、Ga,Al,In,Ag,Au,Cu,Ni及びCoからなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、
前記xは、7〜9であり、
前記yは、0〜6であり、
(y+z)/xは、5.1〜6.6である、電極活物質材料。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の電極活物質材料を含む電極。
- 請求項12に記載の電極を備える電池。
- クラスレート化合物を含有する複数の粒子を準備する工程と、
前記複数の粒子と熱可塑性有機物粉末とを混合して混合粉末を調整する工程と、
前記混合粉末を300〜1000℃で熱処理する工程と、
を備える、電極活物質材料の製造方法。 - 請求項14に記載の電極活物質材料の製造方法であって、
前記準備する工程後であって、前記混合粉末を調整する工程の前に、前記粒子に衝撃力又はせん断力を付与して、前記粒子内のクラスレート化合物の結晶粒の平均粒径を1〜500nmにする工程を備える、電極活物質材料の製造方法。
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