JP2016064953A - ヘキサクロロジシランの製造方法 - Google Patents

ヘキサクロロジシランの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トリクロロシランの製造の際に副生されるヘキサクロロジシランを、トリクロロシランの生成を阻害することなく、従来法よりも増大した生成量で回収することができるヘキサクロロジシランの製造方法及び製造プラントを提供する。
【解決手段】気化させたテトラクロロシランと水素とを含む原料ガスを高温で反応させて反応生成ガスを得る高温反応工程と、高温反応工程において得られた反応生成ガスを、該反応生成ガスの冷却により生じる冷却凝縮液を循環冷却させて得られる冷却液によって急冷して、生成したヘキサクロロジシランを冷却凝縮液中に留める急冷工程と、急冷工程で得られた冷却凝縮液からヘキサクロロジシランを回収する回収工程とを具備するへキサクロロジシランの製造方法において、急冷工程における冷却液中のテトラクロロシランの量又は冷却凝縮液中のヘキサクロロジシランの量を調整して、ヘキサクロロジシランの生成量を増大させる。
【選択図】図1

Description

本発明は効率的なヘキサクロロジシランの製造方法に関する。
ヘキサクロロジシラン(SiCl)は、半導体デバイスの保護膜であるシリコン窒化膜の製造に使用されるが、シリコン窒化膜を製造する反応がモノシラン、ジクロロシランと比較して低温で行うことができるため、デバイスへの影響が小さいという利点があり、近年、需要が増大している。
従来、ヘキサクロロジシランは幾つかの異なった製法によって製造されているが、本出願人は、テトラクロロシラン(SiCl)と水素(H)からトリクロロシラン(SiHCl)を製造する際に副生成物として生じるヘキサクロロジシランを回収する方法を開示した(特許文献1)。
すなわち、トリクロロシラン(SiHCl)は、気化させたテトラクロロシラン(SiCl)と水素(H)とを反応炉内で接触させ、以下の熱平衡状態を達成することによって生成される。
SiCl+H⇔SiHCl+HCl・・・・・(1)
この反応は約700〜1400℃に加熱することによって行われ、このとき、上記反応以外に様々な平衡反応が起こり、シリレン(SiCl)、モノクロロシラン(SiHCl)、ジクロロシラン(SiHCl)等が副生される。
SiHCl⇔SiCl+HCl・・・・・(2)
SiCl+3H⇔SiHCl+3HCl・・・・・(3)
SiCl+2H⇔SiHCl+2HCl・・・・・(4)
そして、トリクロロシランを効率よく回収するためには、上記(1)式が熱平衡に達した後、一旦生成したトリクロロシランが再びテトラクロロシランへと戻らないように、反応生成ガスを可能な限り瞬時に所定温度(600℃以下)にまで急冷して平衡を凍結する必要がある。この急冷は、主にテトラクロロシランを含有するクロロシラン液によって行われるため、高温下で生じていたシリレン(SiCl)が次式のようにテトラクロロシランと反応し、その結果として、ヘキサクロロジシラン(SiCl)が副生される。
SiCl+SiCl→SiCl・・・・・(5)
本出願人の開示した方法では、かかるヘキサクロロジシランの回収方法において、反応生成ガスを30〜60℃の温度範囲に冷却して冷却凝縮液からヘキサクロロジシランを回収する。かかる方法によれば、トリクロロシランとヘキサクロロジシランを効率的に回収することができる。しかしながら、この方法においても、ヘキサクロロジシランの生成量を更に増大させることが望まれており、効率の更なる改善の余地があった。
国際公開第2010/116448号
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、トリクロロシランの製造の際に副生されるヘキサクロロジシランを、トリクロロシランの生成を阻害することなく、従来法よりも増大した生成量で回収することができるヘキサクロロジシランの製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、上記製造方法の実施に用いて好適な製造装置ないしはプラントを提供することも目的とする。
よって、本発明によれば、気化させたテトラクロロシランと水素とを含む原料ガスを高温で反応させて反応生成ガスを得る高温反応工程と、高温反応工程において得られた反応生成ガスを、該反応生成ガスの冷却により生じる冷却凝縮液を循環冷却させて得られる冷却液によって急冷して、生成したヘキサクロロジシランを冷却凝縮液中に留める急冷工程と、上記急冷工程で得られた冷却凝縮液からヘキサクロロジシランを回収する回収工程とを具備するヘキサクロロジシランの製造方法において、上記急冷工程における上記冷却液中のテトラクロロシランの量及び/又は上記冷却凝縮液中のヘキサクロロジシランの量を調整して、ヘキサクロロジシランの生成量を増大させることを特徴とするヘキサクロロジシランの製造方法に関する。
本発明の一態様では、急冷工程において使用される冷却液にテトラクロロシランを添加することにより、冷却液中のテトラクロロシランの量が増大させられる。急冷工程は、トリクロロシランの製造のために必須になされるものであるが、その急冷工程においてヘキサクロロジシランが生成され、冷却凝縮液中に含まれる。冷却液は、急冷により生じた該冷却凝縮液を、循環させ冷却装置によって冷却させて得られるが、そこにはテトラクロロシランが含まれる。従来法では、このようなフローに従ってテトラクロロシランが含まれる冷却凝縮液を循環させて冷却液としていたが、本発明に係る一態様では、その循環される冷却液中に別ラインからテトラクロロシランを直接添加するものである。このような操作によれば、ヘキサクロロジシランの回収量が従来に比し増大する。尚、テトラクロロシランを冷却液中に添加する方法、場所等は任意であるが、急冷工程において使用されるスプレーノズルに添加するのが簡便で好ましい。
また本発明の別の態様では、急冷工程において、上記冷却液の抜き出し量を増大させることによって、ヘキサクロロジシランの生成量を増大させる。すなわち、ヘキサクロロジシランは350℃以上では、下記式(4)で熱分解し、テトラクロロシランを生成することが知られている。
SiCl→SiCl+SiCl・・・・・(6)
このため、冷却液中のヘキサクロロジシランの濃度が上昇すると、反応生成ガスを急冷する際に、ヘキサクロロジシランの分解が促進される。このことから、上記(5)、(6)式により、ヘキサクロロジシランの生成は下記式(7)のような平衡反応となる。
SiCl+SiCl⇔SiCl・・・・・(7)
このため、冷却液中のヘキサクロロジシランを系外へ放出することで、平衡をヘキサクロロジシランが生成する方向に傾けることができ、これによってヘキサクロロジシランの生成量を増大させることができる。
上記において、冷却液中へのテトラクロロシランの添加量は、好ましくは、1000L/hの原料テトラクロロシラン(気化前)当たり、500〜10000L/hである。また、冷却液の抜き出し量は、同様に1000L/hの原料テトラクロロシラン(気化前)当たり、好ましくは50〜1000L/hである。更に、好ましくは、冷却液中へのテトラクロロシランの添加量と冷却液の抜き出し量の双方が調整される。
更に、高温反応工程は、通常は、700〜1400℃の範囲の温度で実施される。反応生成ガスの冷却温度は、600℃以下でなければならず、好ましくは、30〜60℃の温度範囲に冷却される。
本発明の更なる態様では、上記製造方法の実施に用いて好適な製造プラントが提供されるが、製造プラント自体はトリクロロシラン以外の他のクロロシラン、特にペンタクロロジシラン、オクタクロロトリシランを製造するためにも使用できる。よって、本発明の一態様では、気化させたテトラクロロシランと水素とを含む原料ガスを高温で反応させて反応生成ガスを得る高温反応炉と、高温反応炉において得られた反応生成ガスを、該反応生成ガスの冷却により生じる冷却凝縮液を循環冷却させて得られる冷却液によって急冷して、生成したクロロシラン類を冷却凝縮液中に留める急冷塔と、上記急冷塔で得られた冷却凝縮液から特定のクロロシラン(例えばヘキサクロロジシラン、ペンタクロロジシラン、オクタクロロトリシランを対象とできるが、トリクロロシランを除外するものではない)を回収する回収装置とを具備するヘキサクロロジシランの製造プラントにおいて、上記急冷塔における上記冷却液中のテトラクロロシランの量又は上記冷却凝縮液中の上記特定のクロロシラン(例えばヘキサクロロジシラン)の量を調整する調整手段を具備することを特徴とするクロロシランの製造プラントが提供される。また、回収装置は、好ましくは、急冷塔で得られた冷却凝縮液から上記特定のクロロシランを気化させ未蒸発分と分離させる蒸留装置と、該蒸留装置から供給される上記特定のクロロシランを他の低沸点物から分離させる濃縮塔を具備する。
本発明に係るヘキサクロロジシランの製造方法を説明するためのフロー図である。
本発明に係るヘキサジクロロシランの製造方法を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るヘキサクロロジシランの製造方法のフローを概略的に示したものである。
本実施形態に係るヘキサクロロジシランの製造方法は、主に、テトラクロロシランを気化させるための蒸発器10と、気化させたテトラクロロシランと水素とを含む原料ガスを予備加熱するための予熱器20と、予備加熱された原料ガスを700〜1400℃の範囲の温度で反応させて反応生成ガスを得るための反応炉30と、反応生成ガスを600℃以下、特に30〜60℃の温度範囲に冷却してヘキサクロロジシランを含む冷却凝縮液を得るための急冷塔40と、冷却凝縮液からヘキサクロロジシランを含む高沸点物を回収するための回収装置50と、反応生成ガスの冷却未凝縮ガスからトリクロロシラン及びテトラクロロシランを凝縮させるためのコンデンサ60と、コンデンサ60から取り出される凝縮液と回収装置50から取り出される低沸点物を一時的に貯留させておくためのタンク70と、タンク70から導出される貯留液からトリクロロシランとテトラクロロシランとを分溜するための蒸留塔80とを具備するプラントによって実施される。回収装置50は、急冷塔40で得られた冷却凝縮液からヘキサクロロジシランやテトラクロロシランを気化させ未蒸発分と分離させる単蒸留缶(蒸留装置)90と、該単蒸留缶90から供給されるヘキサクロロジシランを他の低沸点物から分離させる濃縮塔100を具備する。
<蒸発器>
蒸発器10は、原料となるテトラクロロシラン原液を気化させるための装置であり、気化されたテトラクロロシランは蒸発器10から放出された後、水素と混合され、次工程の予熱器20へ供給される。
蒸発器10に供給されるテトラクロロシラン原液は、高純度のテトラクロロシランであることが望ましいが、ヘキサクロロジシランなどの高沸点物が微量に混入していてもよい。しかし、このような高沸点物は、未蒸発分として蒸発器10の底部に蓄積し、テトラクロロシランの気化を妨げてしまうため、蒸発器10の底部に溜まった未蒸発分は、蒸発器10からバッチ式又は連続式に取り出される。取り出された未蒸発分は、工業利用可能なテトラクロロシランやヘキサクロロジシランを回収するため、回収装置50の蒸留装置90に供給される。
蒸発器10におけるテトラクロロシラン原液の加熱温度は、大気圧下において60〜150℃、好ましくは60〜120℃とすることができる。この温度範囲であれば、ヘキサクロロジシランなどの高沸点物を気化させることなく、テトラクロロシランを十分に蒸発させることができる。当然ながら、蒸発器10が内部圧力を調節できるタイプのものであれば、それに応じてテトラクロロシランを気化させるための最適温度が上記温度範囲から変動する。
<予熱器>
蒸発器10で気化されたテトラクロロシランは、水素ガスと混合され、原料ガスとして後述する反応炉30へと供給されるが、一実施形態では、反応炉30に送り込む前に、予熱器20において反応炉30内部の温度に近付けるように加熱される。これにより、混合ガスの温度と反応炉30内部の温度差を緩和し、反応炉30内部に温度ムラを発生させず、反応炉30の転換効率を向上させることができると共に、局所的な熱応力の集中から反応炉30を保護することができる。また、一度生成したトリクロロシランが、混合ガスの流入による温度低下によってテトラクロロシランへと押し戻されてしまうことを防止できる。
尚、テトラクロロシランと水素ガスとの混合比は、例えばモル比にして1:1〜1:2とすることができる。
<反応炉>
反応炉30は、反応容器31と、反応容器31の外側を囲むように配される長尺のヒータ32と、反応容器31およびヒータ32を収容する外筒容器33とを具備する。ヒータ32で反応容器31の外壁を加熱することにより、テトラクロロシランと水素との混合ガスを反応容器31内部において約700〜1400℃の高温で反応させることにより、前述の式(1)によるトリクロロシランの生成が行われる。
<反応容器>
反応容器31は、テトラクロロシランと水素とを高温環境下で反応させるための略円筒形状の容器であり、原料ガスを取り込むための原料ガス導入口と、反応生成ガスを導出するための反応生成ガス抜出口とを有する。本実施形態では、原料ガス導入口を反応容器31の底部中央に設け、反応生成ガス抜出口を反応容器31の上方の側壁に設ける構成としている。反応生成ガス抜出口には、抜出管34が挿入され、反応生成ガスを反応炉30の外部へと排出する。外筒容器33には、反応容器31を収容した際に、その原料ガス導入口および反応生成ガス抜出口に対応する位置にそれぞれ原料ガス導入開口部および反応生成ガス抜出開口部が設けられている。反応生成ガス抜出開口部には連結手段が設けられており、急冷塔40と接続される。抜出管34は、外筒容器33の反応生成ガス抜出開口部を経て、反応容器31の反応生成ガス抜出口に接続される管状部材であり、反応容器31内で生成したトリクロロシランを含む反応生成ガスは抜出管34から排出され、急冷塔40へ供給される。
<急冷塔>
急冷塔40は、円筒状の金属製容器41と、金属製容器41内に冷却液を噴霧するための噴霧手段、すなわち冷却液を微細な液滴に細分するスプレーノズル42と、金属製容器41の底に溜まった冷却液を冷却により生じた凝縮分(すなわち冷却凝縮液)ごと取り出してスプレーノズル42に循環させるポンプ43と、冷却液を冷却するための冷却装置44と、冷却液の一部を回収装置50の蒸留装置90に供給する管路45を備える。急冷塔40の側壁には前記反応炉30と接続するための反応生成ガス導入開口部が設けられている。スプレーノズル42は、急冷塔40に導入される反応生成ガスに向けて冷却液を噴霧できるように、反応生成ガス導入開口部の上部近傍に設置される。また、急冷塔40の塔頂部には、冷却後もガス状である反応生成ガスのガス成分(すなわち冷却未凝縮ガス)を、後述するコンデンサ60に供給するための配管が接続されている。尚、図示例では、急冷塔40の急冷部分より上方部分に充填層46が設けられ、該充填層46を通過する急冷された反応生成ガスを更に冷却する為、冷却液を供給する配管47も設けられている。更に、配管47から供給される冷却液の片流れを防止する為、配管47の下部近傍には分散盤が設けられている。また、配管47から冷却液を供給することで、直接反応ガスを冷却するわけではないが、金属製容器41や充填層46を高温の反応ガスによる腐食から防いでいる。
反応器30より排出された反応ガスは急冷塔40の円筒状の金属製容器41に供給され、スプレーノズル42より噴霧される冷却液により急冷される。これにより、上記式(1)の平衡が十分に右側に移動した状態を保ったまま反応を凍結でき、高い収率でトリクロロシランを回収することができる。このとき、上記式(5)によりヘキサクロロジシランが副生する。
冷却液は、急冷塔40の金属製容器41底部に溜まり、タンク48を介して抜き出されて連続して循環され、冷却装置44によって冷却されて冷却液とされる液であって、反応生成ガスの冷却によって生じる冷却凝縮液が混ざり合い、テトラクロロシランとトリクロロシランとを主に含有してなる混合液であるが、一実施形態では、この冷却液にテトラクロロシランが更に添加される。このために、テトラクロロシランを他系から導く導入管49がスプレーノズル42の基部に接続されている(該導入管49等が調整手段を構成する)。添加されるテトラクロロシランはどこから得てもよく、例えば後述する蒸留塔80から導出されるテトラクロロシランを利用することができる。
ここで、冷却液中へのテトラクロロシランの添加量は、好ましくは、1000L/hの原料テトラクロロシラン(気化前)当たり、500〜10000L/hである。テトラクロロシランの添加量が増加すると、ヘキサクロロジシランの生成量は比例して増加する。
急冷後、生成したトリクロロシラン、塩化水素、未反応のテトラクロロシラン、水素等の低沸点物は未凝縮ガスとして急冷塔40の塔頂部から放出され、コンデンサ60に供給される。一方、副生したヘキサクロロジシラン(bp:144℃ 大気圧)、一部のテトラクロロシランは凝縮され、冷却液に混ざり込み、急冷塔40内にその他の副生物、不純物と共に濃縮され、急冷塔40の塔底に接続されたタンク48に導かれ、タンク48に接続されたポンプ43により、循環管路を介して冷却液としてスプレーノズル42に循環される一方、冷却液の一部は循環管路から図示しないバルブ手段等を介して管路45に抜き出され(管路45、バルブ手段等が調整手段を構成する)、単蒸留缶からなる蒸留装置90に連続式又はバッチ式に供給される。
ここで、管路45を介しての冷却液の抜き出しは、循環中の液組成の変化に対して液組成を一定に保持するためになされるが、本発明の一実施形態では、ヘキサクロロジシランの生成量を増加させるために、なされる。よって、この目的においてなされる冷却液の抜き出し量は、1000L/hの原料テトラクロロシラン(気化前)当たり、好ましくは50〜1000L/hである。抜き出し量が増加すると、ヘキサクロロジシランの生成量は比例して増加する。
また、好ましくは、冷却液中へのテトラクロロシランの添加量と冷却液の抜き出し量の双方が調整される。
尚、冷却液は、50℃以下に温度調整されていることが好ましい。冷却液が、50℃以下に温度調整されていれば、短時間で反応生成ガスの温度を急冷することができるため、上記式(1)の平衡が十分に右側に移動した状態のまま平衡を凍結できる。
<コンデンサ>
急冷塔40の塔頂部から取り出された冷却未凝縮ガスは、コンデンサ60においてクロロシラン類を含む凝縮液と、水素および塩化水素を含む未凝縮成分とに分けられる。取り出された水素は、原料ガスに再使用され、塩化水素は別途回収して工業利用される。クロロシラン類を含む凝縮液は一時的にタンク70に貯蔵され、その後蒸留塔80へと送られ、トリクロロシランと未反応テトラクロロシランとの分離が行われる。
<単蒸留缶>
単蒸留缶90は、加温するためのジャケット付金属製容器91と、副生物が閉塞しないように缶液を循環させるためのポンプ92を備えている。単蒸留缶90には濃縮缶において気化したテトラクロロシラン、ヘキサクロロジシランを濃縮塔100に供給するための配管と、単蒸留缶90で蒸発しない高沸点物を除害設備へ供給する配管が接続されている。蒸発器10の未蒸発成分、急冷塔40の冷却液はこの単蒸留缶90に供給されて、約150℃で加熱され、テトラクロロシラン、ヘキサクロロジシランが蒸発されて濃縮塔100に供給され、回収される。一方、未蒸発成分は単蒸留缶90よりバッチ式又は連続式に抜き出され、除害設備にて無害化処理が行われる。
<濃縮塔>
濃縮塔100は、リボイラーを有する多段式蒸留装置から構成されうる。単蒸留缶90から蒸発されたテトラクロロシラン、ヘキサクロロジシランは濃縮塔100においてテトラクロロシランを主とした低沸点物と、ヘキサクロロジシランを主とした高沸点物とに分離される。そして、テトラクロロシランを主とした低沸点物は濃縮塔100の塔頂から放出され、冷却装置によって冷却凝縮され、一時的にタンク70に貯蔵され、その後、蒸留塔80に送られ、トリクロロシランと未反応テトラクロロシランとに分離される。ここで取り出されたテトラクロロシランは、原料ガスに再使用される。
一方、ヘキサクロロジシランを主とした高沸点物は濃縮塔100の塔底部からヘキサクロロジシラン原料として回収される。
濃縮塔100の塔内温度及び塔内圧力を適切に調整することにより、塔底部のヘキサクロロジシランの濃度を十分に高めることができる。一例では、塔内温度は、60〜200℃の範囲であり、60〜150℃の範囲が特に好ましい。また、塔内圧力は大気圧〜0.3MPa(絶対圧)の範囲であり、特に大気圧〜0.2MPa(絶対圧)の範囲に維持することが更に好ましい。
<蒸留塔>
コンデンサ60で凝縮されたトリクロロシラン、テトラクロロシラン及び、濃縮塔100の塔頂部からとりだされたテトラクロロシランは、一時的にタンク70に貯蔵され、その後、蒸留塔80に送られ、トリクロロシランと未反応テトラクロロシランとに分離される。ここで取り出されたテトラクロロシランは、原料に再使用される。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
<実施例1>
図1に示すプラントにおいて、次表に示す運転条件を用いて、テトラクロロシラン及び水素からトリクロロシランを生成するとともに、副生するヘキサクロロジシランを回収し、ヘキサクロロジシランの生成量に対する冷却液抜き出し量の増大効果の検証を行った。
Figure 2016064953
この実験結果から、冷却液抜き出し量を増やすことにより、ヘキサクロロジシランの製造量が増加することが分かる。
<実施例2>
実施例1と同様に図1に示すプラントにおいて、次表に示す運転条件を用いて、テトラクロロシラン及び水素からトリクロロシランを生成するとともに、副生するヘキサクロロジシランを回収し、ヘキサクロロジシランの生成量に対する冷却液へのテトラクロロシランの添加効果の検証を行った。
Figure 2016064953
この実験結果から、テトラクロロシランの添加量を増やすことにより、ヘキサクロロジシランの製造量が増加することが分かる。
10 蒸発器
20 予熱器
30 反応炉
31 反応容器
32 ヒータ
33 外筒容器
34 抜出管
40 急冷塔
41 金属製容器
42 スプレーノズル
43 ポンプ
44 冷却装置
45 管路(調整手段)
46 充填層
47 配管
48 タンク
49 導入管(調整手段)
50 回収装置
60 コンデンサ
70 タンク
80 蒸留塔
90 単蒸留缶(蒸留装置)
91 ジャケット付金属製容器
92 ポンプ
100 濃縮塔

Claims (6)

  1. 気化させたテトラクロロシランと水素とを含む原料ガスを高温で反応させて反応生成ガスを得る高温反応工程と、
    高温反応工程において得られた反応生成ガスを、該反応生成ガスの冷却により生じる冷却凝縮液を循環冷却させて得られる冷却液によって急冷して、生成したヘキサクロロジシランを冷却凝縮液中に留める急冷工程と、
    上記急冷工程で得られた冷却凝縮液からヘキサクロロジシランを回収する回収工程と
    を具備するヘキサクロロジシランの製造方法において、
    上記急冷工程における上記冷却液中のテトラクロロシランの量及び/又は上記冷却凝縮液中のヘキサクロロジシランの量を調整して、ヘキサクロロジシランの生成量を増大させることを特徴とするヘキサクロロジシランの製造方法。
  2. 上記急冷工程において、冷却液にテトラクロロシランを添加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 上記急冷工程において、冷却液からヘキサクロロジシランを抜き出すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 冷却凝縮液の抜き出し量を増大させることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 気化させたテトラクロロシランと水素とを含む原料ガスを高温で反応させて反応生成ガスを得る高温反応炉と、
    高温反応炉において得られた反応生成ガスを、該反応生成ガスの冷却により生じる冷却凝縮液を循環冷却させて得られる冷却液によって急冷して、生成したクロロシラン類を冷却凝縮液中に留める急冷塔と、
    上記急冷塔で得られた冷却凝縮液から特定のクロロシランを回収する回収装置と
    を具備するクロロシランの製造プラントにおいて、
    上記急冷塔における上記冷却液中のテトラクロロシランの量又は上記冷却凝縮液中の上記特定のクロロシランの量を調整する調整手段を具備することを特徴とするクロロシランの製造プラント。
  6. 回収装置が、急冷塔で得られた冷却凝縮液から上記特定のクロロシランを気化させ未蒸発分と分離させる蒸留装置と、該蒸留装置から供給される上記特定のクロロシランを他の低沸点物から分離させる濃縮塔を具備することを特徴とする請求項5に記載の製造プラント。
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