JP2016064540A - 液体吐出ヘッド用基板及びその製造方法並びにシリコン基板の加工方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド用基板及びその製造方法並びにシリコン基板の加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接着剤によって支持部材に搭載した際に供給路の閉塞や泡抜け性の低下が起こらず、供給路の開口幅を小さくすることができる液体吐出ヘッド用基板を提供する。【解決手段】シリコン基板1に形成される各供給路8の側壁の形状を、シリコン基板1のの第1の面に対する傾斜が異なることによって区別される複数の領域がシリコン基板の第1の面と第2の面との間で接続し、かつ第1の面から第2の面に向かって供給路の幅が維持されるか拡がる形状とする。さらに、第1の面に対する傾斜が最も急な領域によって内部開口が形成されるとともに、内部開口と第2の面との間に、内部開口への接着剤のはみ出しを抑えるようにした領域を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、液体吐出ヘッド用基板及びその製造方法と、シリコン基板に貫通孔を形成する加工方法とに関する。
液体を吐出する液体吐出ヘッドの1つとして、基板の一表面に吐出エネルギー発生素子を備え、基板表面の法線方向に液体を吐出させるタイプの液体吐出ヘッドが知られている。このタイプの液体吐出ヘッドは、サイドシュータ型ヘッドとも称される。また、表面に吐出エネルギー発生素子が設けられた基板のことを液体吐出ヘッド用基板と呼ぶ。サイドシュータ型ヘッドは、例えば、液体であるインクを吐出して記録用紙等の被記録材に記録を行うインクジェット記録ヘッドとして使用されている。サイドシュータ型ヘッドでは、液体吐出ヘッド用基板として、シリコン単結晶からなるシリコン基板が広く用いられている。以下の説明において、液体吐出ヘッド用基板の2つの表面のうち、吐出エネルギー発生素子が設けられる方の表面を第1の面と呼び、第1の面に対して裏面側となる面を第2の面と呼ぶ。サイドシュータ型ヘッドでは、液体吐出ヘッド用基板であるシリコン基板に貫通孔を設けて供給路とし、この供給路を介して、第1の面に設けられた吐出エネルギー発生素子の位置に対して第2の面の側から液体を供給している。供給路は、例えば、第2の面の側からシリコン基板に対してエッチングを行うことによって形成される。
特許文献1には、インクジェット記録ヘッドとして構成されたサイドシュータ型ヘッドの製造方法の一例が示されている。この方法では、液体吐出ヘッド用基板であるシリコン基板の第1の面での供給路の開口径のばらつきを抑えるために、供給路となる貫通孔の形成位置に対応して基板材料に対して選択的にエッチングが可能な犠牲層を第1の面に設けている。これにより、犠牲層のサイズに応じた所定寸法の開口径を有する供給路が形成されるようにしている。
特許文献2には、表面の面指数が(100)であるシリコン基板を液体吐出ヘッド用基板として用いる、インクジェット記録ヘッドの製造方法が示されている。特許文献2の方法では、シリコン基板の第2の面に設けられたエッチングマスク層を利用してシリコン基板のドライエッチングを行った後に、同一のエッチングマスク層を利用する結晶異方性エッチングによってシリコン基板をさらにエッチングする。ドライエッチングではエッチングによる穴がシリコン基板を貫通しないようにし、その後の異方性エッチングにより、その穴を貫通孔としている。これにより、貫通孔としての中間部が横方向に拡がっている断面形状を有する供給路が形成された液体吐出ヘッド用基板が得られる。
特許文献2に示される製造方法では、ドライエッチングと、結晶異方性エッチングであるウェットエッチングとが、同一のエッチングマスク層を共有している。このため、シリコン基板の第2の面に形成されたエッチングマスク層の開口幅と、ドライエッチングでの掘り込み量とによって、第2の面における供給路の開口幅が決まってしまう。なお長尺の基板に、一方向に延びるスリット状の開口部を有するように供給路を設け、この開口部に沿って複数の吐出エネルギー発生素子を設ける構成においては、ここでいう開口幅とは、供給路の一方向に延びる開口部における短辺方向の開口幅のことである。また、供給路の一方向に延びる開口部における短辺方向を液体吐出ヘッドの幅方向と定義する。インクジェット記録ヘッドとして液体吐出ヘッドを用いる場合には、一方向に延びるスリット状の開口部に沿って複数の吐出エネルギー発生素子を設ける構成は一般的である。また特許文献2に記載の方法では、シリコンの異方性エッチングを利用することにより、エッチング速度が比較的低く(100)面に対して54.7°傾いているシリコン(111)面を形成し、供給路を第1の面に開口させている。そのため、第1の面での供給路の開口幅をある程度広くするためには、ドライエッチングによる掘り込み量を大きくする必要が生ずることがある。しかしながら、掘り込み量を大きくするにつれてドライエッチングに要する時間も長くなり、生産効率が低下する場合がある。
特許文献3には、シリコン基板に対してレーザによるトレンチ加工を行った後にエッチングを行うことで供給路を形成する、インクジェット記録ヘッドの製造方法が記載されている。この方法では、基板の厚さにほぼ匹敵するまでレーザ加工での掘り込み量を大きくする必要がある。しかしながら、レーザ加工での掘り込み量が大きくなるのに伴ってレーザ加工に要する時間も長くなり、生産効率が低下する場合がある。
特許文献4には、液体吐出ヘッド用基板の製造方法であって、シリコン基板に対してレーザ光によって非貫通孔を形成してから異方性エッチングを行うことにより供給路を形成する方法が記載されている。この製造方法によっても、供給路として中間部が横方向に拡がった形状の加工断面が形成されるので、液体吐出ヘッドの幅方向の寸法を小さくするのには限界がある。
液体吐出ヘッドの組み立て工程では、上述したような液体吐出ヘッド用基板をさらに支持部材に搭載する。支持部材は、液体吐出ヘッド用基板を支持するとともに、液体をタンクなどから基板の供給路に対して供給するための液流路を備えている。支持部材に対して液体吐出ヘッド用基板を搭載する際には、例えば、支持部材の表面に対して紫外線・熱硬化併用型接着剤を転写または塗布し、次に、液体吐出ヘッド用基板を支持部材に対して精度よく位置合わせした上で押圧する。このとき、液体吐出ヘッド用基板の第2の面が支持部材に接するようにする。精度よく位置合わせするためには、例えば、画像処理などが用いられる。支持部材に対して押圧することにより液体吐出ヘッド用基板の外周部に延出した接着剤に対して紫外線を照射し、液体吐出ヘッド用基板を支持部材に仮固定する。このとき、液体吐出ヘッド用基板と支持部材とに挟まれた領域は、紫外線に対して影部分となるので、この領域で基板と支持部材の間に介在する接着剤は未硬化状態のままである。その後、熱硬化工程を行うことによって、液体吐出ヘッド用基板と支持部材とに挟まれた領域も含めて接着剤を硬化させる。
上記の組み立て工程において、接着剤が転写または塗布された支持部材の表面に対して液体吐出ヘッド用基板を押圧する際には、この時点で基板の第2の面には供給路が開口しているので、供給路内に未硬化状態の接着剤がはみ出すこととなる。供給路内にはみ出した接着剤は、その後の熱硬化工程によって硬化する。供給路内にはみ出して硬化した接着剤は、それが供給路内の狭隘部に存在すると、供給路内での液体の流れを阻害する。特に供給路内を流れる液体に気泡が含まれている場合には、その気泡は、供給路内の狭隘部で硬化した接着剤によって堰き止められて成長し、液体の流れを大きく阻害するようになる。液体に気泡が含まれている場合にその気泡が流れとともに供給路から排出されるそのしやすさを泡抜け性と呼ぶが、液体吐出ヘッド用基板では泡抜け性の良好な供給路を設ける必要がある。特許文献5及び6には、複数の基板を接着剤で貼りあわせて構成されるインクジェット記録ヘッドにおいてインク流路への接着剤を流れ込みを防止するために、基板の表面に接着剤溜め込み領域を設けて残余の接着剤を収容させることが示されている。しかしながら、基板の表面に凹部や空溝などの接着剤溜め込み領域を設けたとしても、供給路内への接着剤のはみ出しを十分に抑えることはできない。液体吐出ヘッドでは、支持部材の表面に対して液体吐出ヘッド用基板の表面が傾いていないことが要求されるため、液体吐出ヘッド用基板を押圧することが必要であるが、この押圧によって接着剤は必ず供給路内にはみ出すこととなる。接着剤のはみ出し量を抑える方法としては、転写または塗布する際に接着剤の量や状態を規制する方法があるが、製造上、接着剤が転写または塗布される領域の規格幅は非常に狭いものとなり、製造時に大変困難な管理が要求されることとなる。
特開平10−181032号公報 米国特許第6805432号明細書 特開2004−148824号公報 特開2007−237515号公報 特開平11−348282号公報 特開2001−162802号公報
液体吐出ヘッド用基板では、液体吐出ヘッドの幅方向の寸法を小さくするために供給路の開口幅を小さくすることが求められ、また、支持部材に搭載する際の接着剤の供給路内へのはみ出しを抑えることが求められている。液体吐出ヘッド用基板では、一般に、その第2の面にマスクを形成して第2の面側から異方性エッチングを行うことにより、供給路が形成される。しかしながらこのような工程を用いた場合には、供給路形成のためのエッチング時間が長くなるとともに、第2の面での供給路の開口幅が大きくなってしまうため、液体吐出ヘッドの小型化を実現することが難しくなる。エッチング時間の短縮のためには、特許文献4に記載されるように、シリコン基板の一部を除去してから異方性エッチングを行う方法が有効である。異方性エッチングにおいて各面方位のエッチング速度の制御を行わないと、エッチング時間に応じて供給路の幅方向の寸法が大きくなりがちであるから、供給路の幅方向の拡大を防ぐためには、異方性エッチングの前でのシリコン除去量を多くする必要がある。異方性エッチングの前でのシリコン除去量を多くすることは、その分、生産効率の低下をもたらす。
また、供給路への接着剤のはみ出しの抑制について検討すると、液体吐出ヘッドとして機能するためには、必ずしも接着剤のはみ出し自体を抑制する必要はなく、このはみ出しによる供給路の閉塞や泡抜け性の低下を防止すればよいことがわかる。
本発明の目的は、接着剤によって支持部材に搭載した際に供給路の閉塞や泡抜け性の低下が起こらず、供給路の開口幅を小さくすることができる液体吐出ヘッド用基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、接着剤によって支持部材に搭載した際に供給路の閉塞や泡抜け性の低下が起こらず、供給路の開口幅を小さくすることができる液体吐出ヘッド用基板の製造に適したシリコン基板の加工方法を提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッド用基板は、第1の面と前記第1の面とは反対側の面である第2の面とを有し、前記第1の面に複数の吐出エネルギー発生素子が設けられている液体吐出ヘッド用基板において、
前記第1の面と前記第2の面との間を貫通して前記複数の吐出エネルギー発生素子に対して液体を供給する複数の供給路を有し、
隣接する供給路の前記第1の面における中心間の距離が1mm以下であり、
前記複数の供給路のそれぞれの側壁は、前記第1の面に垂直な断面における形状として、前記第1の面に対する傾斜が異なることによって区別される複数の領域が前記第1の面と第2の面との間で接続し、かつ前記第1の面から前記第2の面に向かって供給路の幅が維持されるか拡がる形状を有し、
前記複数の供給路のそれぞれにおいて、前記複数の領域のうち前記第1の面に対する傾斜が最も急な領域によって内部開口が形成されるとともに、前記最も急な領域と前記第2の面との間に、前記内部開口への接着剤のはみ出しを抑える機構を設けたことを特徴とする。
本発明のシリコン基板の加工方法は、表面の面指数が(100)であるシリコン基板に、相互の間隔が1mm以下である複数の貫通孔を形成するシリコン基板の加工方法であって、
前記シリコン基板の表面に、開口部を有するエッチングマスク層を形成する工程と、
前記開口部において露出している、前記シリコン基板の表面に形成されている酸化膜を除去する工程と、
前記開口部を通じて前記シリコン基板に、該シリコン基板を貫通しない複数の先導孔を形成する先導孔形成工程と、
前記複数の先導孔を形成したのち、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びオクチルフェノキシポリエトキシエタノールから選ばれる1種類以上の添加剤が添加されたエッチング液を用いて、前記開口部を介して前記シリコン基板の結晶異方性エッチングを行い、貫通孔を形成する工程と、を有する。
本発明の液体吐出ヘッド用基板の製造方法は、エッチングマスク層が形成される面とは反対側の面に複数の吐出エネルギー発生素子が形成されたシリコン基板に対して上記の本発明のシリコン基板の加工方法を適用して液体吐出ヘッド用基板を形成する。
本発明によれば、液体吐出ヘッド用基板自体の小型化を図ることができるとともに除去すべきシリコンの量も減少して、製造コストの低減を図ることができ、泡抜け性の改善も図ることができる。
本発明の実施の一形態の液体吐出ヘッド用基板を示す断面図である。 (a)〜(d)は、図1に示した液体吐出ヘッド用基板の形成工程を順を追って示す概略断面図である。 (a)〜(d)は、従来の加工方法での液体吐出ヘッド用基板の形成工程を順を追って示す概略断面図である。 ポリエチレングリコールの添加濃度とエッチング速度との関係を示すグラフである。
次に、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の一形態の液体吐出ヘッド用基板の断面構成を示している。この液体吐出ヘッド用基板は、表面の面指数が(100)であるシリコン基板1を使用したものである。シリコン基板1の表裏の面をそれぞれ第1の面及び第2の面としたときに、第2の面側から第1の面側に向けて、貫通孔である供給路8が形成されている。当然のことながら、第2の面は、シリコン基板1において第1の面の反対側の面となる。シリコン基板1の第1の面において、供給路8の開口に近接して、吐出エネルギー発生素子3が設けられ、さらに、吐出エネルギー発生素子3も含めて第1の面を覆うように、エッチングストップ層2が設けられている。エッチングストップ層2は、後述するように、供給路8をエッチングで形成する際にエッチングの進行を止める層であるが、第1の面に形成される吐出エネルギー発生素子3などに対するパッシベイション層としても機能するものである。図1は液体吐出ヘッド用基板の断面形状を示しているが、供給路8は、図示紙面から紙背方向に延びるスリット状の開口部を有するものとして形成することができる。その場合、図1は、スロット状に形成された供給路8における横断方向の断面を示していることになる。
本実施形態に基づく液体吐出ヘッド用基板は、供給路8の断面形状によって特徴づけられるものである。供給路8は、第2の面側からエッチングによって形成されるので、全体として、第2の面から第1の面に向かう方向で先細りとなる形状を有している。シリコン基板1の厚さをT1、第2の面側での供給路8の開口幅をW1とする。シリコン基板1の厚さ方向で、供給路8内において第1の面の位置から距離T2の位置に、開口幅がW2の内部開口9が形成されている。T2はT1の1/2以下とし、W2もW1の1/2以下とする。言い換えれば、内部開口9の位置は、第1の面から、シリコン基板の厚さの1/2以内の位置である。ここで内部開口9とは、供給路8における狭隘部の入口となる部分のことである。内部開口9の位置から第1の面に向かうある距離の範囲では、供給路8の側壁は、第1の面に対してほぼ垂直となっており、そこから第1の面での供給路8の開口に向けて、供給路8の側壁はテーパー状に細くなっている。このテーパー状に細くなっている領域での、供給路8の側壁が第1の面になす角は、ほぼ一定である。したがって、供給路8の第1の面での開口の幅は、W2よりも小さい。一方、内部開口9から第2の面での供給路8の開口に向けて、供給路8の側壁は、第1の面に対する傾斜が異なることによって区別される少なくとも2つの領域が、第2の面側に向かって供給路8の幅が広がるように接続した形状となっている。内部開口9と第2の面との間のこれら少なくとも2つの領域の第1の面に対する傾斜は、内部開口に近い領域の方が急傾斜に、第2の面に近い領域の方が緩傾斜となっている。
結局、本実施形態では供給路8の側壁は、傾斜が異なることで区別される4以上の領域で構成されることとなり、図示したものでは、4つの領域s1〜s4で構成されている。これらの領域のうち、第1の面から数えて2番目の領域s2は、内部開口9から第1の面側に延びる、側壁が第1の面に対してほぼ垂直となっている領域であり、第1の面と領域s2との間にある領域s1は、テーバー状の断面となっている領域である。領域s3と領域s4とでは、内部開口9側の領域s3の方が、第2の面側の領域s4に比べ、第1の面に対する傾斜が急となっている。供給路8の断面形状をこのように構成することにより、液体吐出ヘッド用基板を支持部材に接着剤を用いて搭載する際にはみ出る接着剤は、第2の面に連続していて傾斜の緩い領域4の部分に留まることとなって、供給路8における狭隘部にまで達しない。その結果、本実施形態による液体吐出ヘッド用基板は、供給路8の閉塞が抑制でき、泡抜け性のよいものとすることができる。
図1に示した液体吐出ヘッド用基板において、領域s3及び領域s4は、内部開口9への接着剤のはみ出しを抑える機構として機能することになる。したがって、本発明に基づく液体吐出ヘッド用基板での供給路の最も基本的な構成では、第1の面に垂直な断面における形状として、第1の面に対する傾斜が異なることで区別される領域は3以下であってよい。そのような供給路では、第1の面から第2の面に向かって幅が維持されるか拡がる形状を有し、複数の領域のうち第1の面に対する傾斜が最も急な領域によって内部開口9が形成されている。さらに供給路は、傾斜が最も急な領域と第2の面との間に、内部開口9への接着剤のはみ出しを抑える機構を備えている。
図1では、3つの供給路8が描かれている。これは、図示紙面から紙背方向に延びるスリット状の開口部を有するものとして形成された3本の供給路8が同一のシリコン基板1に同時に形成できることを示している。複数の供給路8が形成されたシリコン基板1を隣接する供給路8間の中間の位置で切り離すことにより、1個の液体吐出ヘッドに対応した液体吐出ヘッド用基板を得ることができる。あるいは、異なる種類の液体を同時に吐出することが可能な液体吐出ヘッドを構成するために、複数の供給路8が形成されたシリコン基板1を切り離すことなくそのままで液体吐出ヘッドに用いるようにしてもよい。
本実施形態の液体吐出ヘッド用基板では、領域s2において供給路8の側壁が垂直に設けられているため、異方性エッチングにおって全体がテーパー状に形成される従来の液体吐出ヘッド用基板に比べ、第2の面での供給路8の開口幅を小さくすることができる。その結果、切り離す前のシリコン基板1における隣接する供給路8の中心線間の間隔W3を従来のものよりも小さくすることができる。例えば、厚さT1が725μmである一般的なシリコンウェハーをシリコン基板1として使用したときに、隣接する供給路8間の間隔W3を1mm以下とすることができる。
次に、このような液体吐出ヘッド用基板を製造することができる、本発明に基づくシリコン基板の加工方法について説明する。本発明に基づく加工方法では、まず、シリコン基板の第2の面に、開口部を有するエッチングマスク層を形成し、この開口部を介して第2の面側からシリコン基板に複数の先導孔を形成する。先導孔は、シリコン基板に対する非貫通孔として、例えばレーザ光を照射するレーザ熱加工やレーザ・アブレーションによって形成することができる。次に、第2の面側からシリコン基板の異方性エッチングを行う。エッチング液として、水酸化カリウム、テトラメチルハイドロキシド類などのシリコン異方性エッチング液を用いることができる。特に、シリコン(110)面よりも(100)面の方がエッチング速度が大きくなるエッチング液を用いることが好ましい。またエッチング液として、添加剤を添加した液を使用することができる。例えば、ポリエチレングリコール及びポリオキシエチレン誘導体からなる添加剤を添加したエッチング液を使用することができる。具体例として、異方性エッチングに用いるエッチング液としては、15〜25質量%のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)に0.01〜1質量%の添加剤を添加した溶液を用いることができる。ここで添加剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びオクチルフェノキシポリエトキシエタノールの中から選ばれる1種以上を用いることができる。添加剤に用いるポリエチレングリコール(PEG)としては、分子量が100〜1000のものを用いることができる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることができる。添加剤の添加量は、ポリエチレングリコールの場合には、0.05〜1質量%が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはオクチルフェノキシポリエトキシエタノールであるときには0.01〜0.5質量%が好ましい。
第2の面側から先導孔内にエッチング液が入ることにより、先導孔が太くなる方向でエッチングが進行して複数の先導孔がつながって1つの孔に一体化する。複数の先導孔同士がつながった後、つながった先導孔の先端部で第1の面側にエッチングが進行していくとともに、供給路の幅方向にもエッチングが進行する。第2の面では、先導孔以外の部分においてもエッチングが進行する。エッチングによりシリコンが除去された部分が第1の面に到達するとエッチングが終了する。本実施形態では、異方性エッチングに用いるエッチング液などを選択することによって先導孔の中間部から第1の面よりの位置において、先導孔を横方向に拡げる方向のみにエッチングが進行するようにしている。これにより、上述した領域s2において供給路の側壁が第1の面に対して垂直となる。
本実施形態によるシリコン基板の加工方法は、シリコン基板を含んで構成される構造体、例えばインクジェットヘッド等の液体吐出ヘッドの製造工程において、液体の供給路(例えばインクの供給路)のような貫通孔をシリコン基板に形成するのに好適である。以下の説明では、本発明の適用例として、インクジェット記録ヘッド用基板を形成する場合を例に挙げて説明を行うが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。また、本実施形態の加工方法は、インクジェットヘッド用基板の他、バイオチップ作製や電子回路印刷用途の液体吐出ヘッド用基板の製造方法にも適用できる。この加工方法がで起用される液体吐出ヘッドとしては、インクジェット記録ヘッドの他にも、例えばカラーフィルター製造用ヘッド等も挙げられる。
図2は、本実施形態に基づく液体吐出ヘッド用基板の形成工程の一例を順を追って示している。図2では、シリコン基板1に形成される単一の供給路8しか描かれていないが、同一の工程により同一のシリコン基板1に複数の供給路8を同時に形成して、複数の供給路8を有する液体吐出ヘッド用基板を形成できることは明らかである。図2において、結晶面(100)を表面とするシリコン基板1の第1の面には、インクを吐出するエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子3として、電熱変換素子が配置されている。電熱変換素子は、例えば窒化タンタル(TaN)を用いて形成することができる。また第1の面において、供給路8の開口となるべき位置に犠牲層6が形成されている。さらに、シリコン基板1の第1の面及び犠牲層6上には、電熱変換素子である吐出エネルギー発生素子3の保護層として、耐エッチング性を有するエッチングストップ層2が形成されている。
なお、吐出エネルギー発生素子3には、この素子を駆動させるための制御信号入力電極(不図示)が電気的に接続されている。シリコン基板1の厚みとしては725μm程度に形成されている。また、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド用基板の一部をなすシリコン基板1単体について説明するが、実際にはウエハ単位で同様の加工を行い、その後、個々のインクジェット記録ヘッドに対応する部分に切り離すものとする。また、シリコン基板1上にインク流路を構成する被覆樹脂層等が形成されていても構わない。
犠牲層6は、インク等の液体のための供給路8の形成領域を精度よく画定したい場合に効果的であるが、本発明に必須のものではない。また、エッチングストップ層2は、異方性エッチングに用いられる材料に耐性があるもので形成される。エッチングストップ層2は、シリコン基板1の第1の面に構造物(例えば、インク流路を形成する部材等)が形成されている際に、隔壁等の機能も果たす。エッチングストップ層2及び犠牲層6は、それぞれを単独または併用で用いる場合において、異方性エッチングを行う前の段階で、シリコン基板1に形成されていればよい。異方性エッチング前の段階においてエッチングストップ層2及び犠牲層6を形成する時期や順序は任意であり、これらの層は公知の方法により形成できる。
図2(a)に示すように、シリコン基板1の第2の面には、酸化膜であるSiO2(二酸化シリコン)層4が形成され、この上に開口部を有するエッチングマスク層5が形成されており、この開口部が異方性エッチングの開始領域となる。エッチングマスク層5は、例えばポリアミド樹脂を用いて形成することができる。SiO2層4の除去は、先導孔7の形成前に行っても、あるいは、異方性エッチング工程の途中で行ってもよい。
次に、第2の面側からシリコン基板1に対してレーザ光を照射することによって、図2(b)に示すように、第2の面から第1の面に向かう複数の先導孔7を形成する。この工程を先導孔形成工程と呼ぶ。先導孔7は、第1の面にまでは到達しておらず、未貫通孔である。先導孔7の形成には、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザの基本波(波長:1064nm)、2倍波(波長532nm)あるいは3倍波(波長355nm)のレーザ光を用いることができる。レーザ光の出力及び周波数は、適切な値に設定される。
各先導孔7の直径は、5〜100μmの範囲内であることが望ましい。先導孔7の直径を5μm以上とすることで、後工程の異方性エッチングの際にエッチング液が先導孔7内に進入しやすくなる。また、先導孔7の直径を100μm以下とすることで、先導孔7を比較的短い時間で形成することができるようになる。
先導孔7は、レーザ光のアブレーションにより、第2の面から開口して、第1の面までの距離が10μm以上125μm以内であるような深さまで形成することが好ましい。例えば、シリコン基板1として725μmの厚さのものを用いた場合、先導孔7の深さは、600〜715μmとすることが好ましい。厚さが725μmであるシリコン基板1に対して先導孔7の深さを600μm以上とすることで、異方性エッチングの時間を短縮することができ、また、供給路8の開口幅をより小さくすることができる。また深さを715μm以下として先導孔7の先端から第1の面までの距離を10μm以上とすることで、シリコン基板1の第1の面に形成された構造体、例えば、流路形成部材にレーザ等の熱が伝わり難くなり、変形等の問題を抑制することができる。
複数の先導孔7間の間隔(ここでは、中心間距離)は、先導孔7の直径にもよるが、例えば、シリコン基板1の表面における直交する2方向の各々において60μmとすることができる。特に、一方向に延びるスリット状の開口部を有するように供給路8を設ける場合においては、幅方向に対して間隔が25μm以上115μm以内となるように2列以上で先導孔7を形成することが好ましい。このとき、供給路8の長手方向に対しても間隔が25μm以上115μm以内で複数列をなすように先導孔7を形成することが好ましい。先導孔7の間隔をこの範囲とすることにより、シリコン基板1において複数の供給路8を形成するときに供給路8が相互につながってしまうことを防止することができる。また、先導孔7の狙い加工深さを所望の深さとしやすくなって、供給路8が広がって形成することを防ぐことができる。
また、一方向に延びるスリット状の開口部を有するように供給路8を設ける場合には、先導孔7は、供給路8の長手方向の中心線に対して対称に2列以上をなすように形成することが好ましい。なお、列の数が奇数の場合は、中央の列が供給路8の長手方向の中心線上に配置されるように形成すればよい。
先導孔7の加工に用いるレーザ光は、シリコンに対して孔加工が可能な波長のものであれうばよく、特定のレーザ光に限定されるものではない。YAGレーザの基本波(波長1064nm)はシリコンの熱加工に広く用いられているが、このようなレーザ光を用いて先導孔を形成してもよい。あるいは、レーザ光のアブレーション、いわゆるレーザアブレーション法によって先導孔7を形成してもよい。なお、先導孔7は、シリコン基板1の第2の面に形成されたエッチングマスク層5の開口部からSiO2層4を除去し、異方性エッチングの開始面となるシリコン面を露出させた後、形成することができる。
次に、(100)面に対するエッチング速度が(110)面に対するエッチング速度よりも大きいエッチング液を用いて、シリコン基板1の第2の面から結晶異方性エッチングを行う。このようなエッチング液としては、例えば、22質量%のTMAH溶液に、ポリエチレングリコール600(分子量が600であるポリエチレングリコール)を0.01〜1質量%添加した溶液を用いることができる。ポリエチレングリコール600の濃度が0.01質量%未満では、供給路8内に形成される内部開口9の幅が広がり、一方、1質量%を超えるとエッチング液の持出し量が多くなってしまう。さらに好ましくは、エッチング液におけるポリエチレングリコール600の濃度は0.05〜0.5質量%である。エッチング液におけるTMAH濃度は15〜22質量%が好ましい。また、エッチング液中のシリコン濃度は、6質量%以内に管理する。シリコン濃度が6質量%を超えるとエッチング速度の変動が大きくなるとともに、エッチングに時間がかかるようになる。
このエッチングでは、図2(c)に示すように、複数の先導孔7の内部の壁面すべてからエッチングが始まる。そして、あるところではエッチング速度が小さい(111)面を形成しながら、またあるところでは、エッチング速度が大きい(100)面及び(110)面に沿ってエッチングが進行する。異方性エッチングは、図2(d)に示すように、シリコン基板1の第1の面まで貫通する供給路8が形成されるまで行われる。このとき、犠牲層6もエッチングによって除去される。また図示しないが、シリコン基板1の第1の面における供給路8の開口部位に形成されているエッチングストップ層2の一部をドライエッチングで除去して、第1の面に供給路8を開通させることができる。
以下、本実施形態のシリコン基板の加工方法に関して行った実施例及び比較例を説明する。
(実施例1)
本実施形態で示した加工方法を用いて液体吐出ヘッド用基板を形成した。まず、図2(a)に示すように、シリコン基板1の第2の面のSiO2層4の上にポリエーテルアミド樹脂を積層することにより、開口部を有するエッチングマスク層5を形成し、その後、その開口部におけるSiO2層4を除去した。シリコン基板1として725μmの厚さのものを使用した。開口部の幅W1(図1参照)を0.75mmとした。
次に、図2(b)に示すように、エッチングマスク層5の開口部において、レーザ加工により複数の先導孔7を形成した。レーザ加工深さは650μmとし、先導孔7の相互間の間隔は、幅方向及び供給路の長手方向の各々において60μmとし、シリコン基板1における幅方向に3列で先導孔7を形成した。
次に、図2(c)に示すように、TMAH 22質量%にポリオキシエチレングリコール600 0.1質量%を添加した溶液をエッチング液として用い、第2の面側からシリコン基板1の結晶異方性エッチングを行った。22質量%のTMAHに0.1質量%のポリオキシエチレングリコール600を添加した溶液の場合、シリコン(100)面でのエッチング速度は0.4μm/minであり、これに対して、シリコン(110)面のエッチング速度は0.17μm/minとなる。したがってこのエッチング液では、(100)面の方が(110)面よりもエッチング速度が大きくなる。なお、ポリオキシエチレングリコール600の添加量とシリコン基板のエッチング速度との関係を図4に示す。
結晶異方性エッチングでは、複数の先導孔7における外周側に位置する先導孔7の先端から(111)面が形成される。その際、(110)面に対するよりも(100)面に対する方がエッチング速度が大きいエッチング液を使用することにより、先導孔7同士がつながるまでの時間は長くなる。その代わり、図2(c)に示すように、先導孔同士がつながった後、内部開口9の開口幅の拡がりを抑えつつ、深さ方向にエッチングが進行するようになる。
その後、図2(d)に示すように、シリコン基板1の第1の面にまで貫通する供給路8が形成されるまで、異方性エッチングを行った。その結果得られた液体吐出ヘッド用基板では、供給路8の側壁には第1の面に対してほぼ直角となる領域があり、その領域の第2の面側の端部の位置は、第1の面から図ってシリコン基板1の厚さの半分以下であった。この位置を内部開口9の位置として、供給路8における内部開口9の開口幅W2は0.35mmであり、第2の面での開口幅W2は0.77mmまで拡がった(図1参照)。
(比較例1)
図3(a),(b)に示すように、先導孔7を形成するまでの工程は、図2(a),(b)に示した実施例1での工程と同様の手順で行った。次に、エッチング液としてTMAHを22質量%含む溶液を用いて第2の面からシリコン基板1の結晶異方性エッチングを行った。このエッチング液は、ポリエチレングリコールを含んでいない。またこのエッチング液によるエッチング速度は、(100)面に対して0.5μm/minであるのに対し、(110)面に対して0.975μm/minであり、(110)面に対する方がエッチング速度が大きい。その結果、幅方向へのエッチングが速く進むようになって、図3(c)に示すように、シリコン基板1の厚さ方向の中間部で横方向に拡がるような断面形状でエッチングが進行する。その後、図3(d)に示すように、シリコン基板1の第1の面にまで貫通する供給路8が形成されるまで、異方性エッチングを行った。その結果、供給路8における内部開口の開口幅W2は0.63mmであり、第2の面での開口幅W1は0.8mmまで拡がった(図1参照)。供給路8の側壁の最終的な断面形状は、第1の面に対する傾斜が異なることによって区別される2つの領域が、第2の面側に向かって供給路8の幅が広がるように接続した形状となっている。ここで、各領域の第1の面に対する傾斜は、第2の面に近い方の領域が急となっている。比較例1の場合、供給路8の側壁が第1の面に対してほぼ直角となるような領域が形成されないので、実施例1におけるようには内部開口の位置を規定できない。そこで、比較例1では、供給路8の側壁における上述した2つの領域が接続する位置を内部開口とした。
(まとめ)
従来のエッチング液を用いる比較例1では、供給路の内部開口の開口幅W2が0.63mmとなったが、本実施形態の加工方法に基づく実施例1では開口幅W2を0.35mmとして内部開口が形成された。これは、本実施形態の加工方法によれば、液体吐出ヘッド用基板の小型化が可能であることを示唆している。また内部開口を幅が狭いことによりシリコンの除去量も少ないので、本実施形態の加工方法では、シリコン基板に対する異方性エッチングのエッチング時間を短縮することができる。
また実施例1の液体吐出ヘッド用基板では、第1の面と第2の面との間で、供給路の側壁が、第1の面に対する傾斜が異なる3以上の領域に分割されている。このうち第1の面に対する傾斜が最も急な領域が内部開口に対応して、この最も急な領域と第2の面との間の領域は傾斜が緩く、そのため、液体吐出ヘッド用基板を支持部材に搭載するために用いられる接着剤もこの傾斜が緩い領域に留まることになる。供給路の狭隘部への接着剤のはみ出しが抑制され、供給路内での泡の成長が抑制できる。したがって、本発明に基づく加工方法によれば、供給路を小さく形成しつつ、泡による液の供給阻害が低減された液体吐出ヘッド用基板を提供できる。
なお、上述した実施形態では、シリコン基板1のみに供給路8を形成する加工例について説明した。しかしながら、液体吐出ヘッドを製造する際は、本実施形態で行われる供給路8の形成工程前に、シリコン基板1の第1の面に流路形成部材を形成する工程を実施することが好ましい。この構成の場合には、シリコン基板1の第1の面に、液体を吐出する吐出口と、吐出口に連通する液体流路とを有する流路形成部材が形成される。
1 シリコン基板
2 エッチングストップ層
3 吐出エネルギー発生素子
4 SiO2
5 エッチングマスク層
6 犠牲層
7 先導孔
8 供給路
9 内部開口

Claims (10)

  1. 第1の面と前記第1の面とは反対側の面である第2の面とを有し、前記第1の面に複数の吐出エネルギー発生素子が設けられている液体吐出ヘッド用基板において、
    前記第1の面と前記第2の面との間を貫通して前記複数の吐出エネルギー発生素子に対して液体を供給する複数の供給路を有し、
    隣接する供給路の前記第1の面における中心間の距離が1mm以下であり、
    前記複数の供給路のそれぞれの側壁は、前記第1の面に垂直な断面における形状として、前記第1の面に対する傾斜が異なることによって区別される複数の領域が前記第1の面と第2の面との間で接続し、かつ前記第1の面から前記第2の面に向かって供給路の幅が維持されるか拡がる形状を有し、
    前記複数の供給路のそれぞれにおいて、前記複数の領域のうち前記第1の面に対する傾斜が最も急な領域によって内部開口が形成されるとともに、前記最も急な領域と前記第2の面との間に、前記内部開口への接着剤のはみ出しを抑える機構を設けたことを特徴とする、液体吐出ヘッド用基板。
  2. 前記複数の領域は4以上の領域であり、前記第1の面における前記供給路の開口に第1の領域が接続し、前記第1の面に対して垂直である側壁の領域であって前記内部開口を構成する第2の領域が前記第1の領域に対して接続し、前記第2の領域に対して前記第3の領域が接続し、前記第3の領域に対して第4の領域が接続し、前記第3及び第4の領域によって前記機構を構成し、
    前記第1の面における前記供給路の前記開口の幅よりも前記第2の領域における前記供給路の幅が大きく、前記第2の領域における前記供給路の前記幅よりも、前記第3の領域と前記第4の領域が接続する位置での前記供給路の幅の方が大きく、前記第3の領域と前記第4の領域が接続する位置での前記供給路の前記幅よりも、前記第2の面における前記供給路の開口の幅の方が大きい、請求項1に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  3. 前記内部開口の前記第2の面の側の幅が前記第2の面での前記供給路の開口の前記幅の1/2以下であり、前記内部開口が形成される位置は、前記第1の面からの距離として、前記液体吐出ヘッド用基板の厚さの1/2以内である、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  4. 表面の面指数が(100)であるシリコン基板に、相互の間隔が1mm以下である複数の貫通孔を形成するシリコン基板の加工方法であって、
    前記シリコン基板の表面に、開口部を有するエッチングマスク層を形成する工程と、
    前記開口部において露出している、前記シリコン基板の表面に形成されている酸化膜を除去する工程と、
    前記開口部を通じて前記シリコン基板に、該シリコン基板を貫通しない複数の先導孔を形成する先導孔形成工程と、
    前記複数の先導孔を形成したのち、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びオクチルフェノキシポリエトキシエタノールから選ばれる1つ以上の添加剤が添加されたエッチング液を用いて、前記開口部を介して前記シリコン基板の結晶異方性エッチングを行い、貫通孔を形成する工程と、
    を有するシリコン基板の加工方法。
  5. 前記添加剤の添加量は、該添加剤がポリエチレングリコールであるときに0.05〜1質量%であり、前記添加剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはオクチルフェノキシポリエトキシエタノールであるときに0.01〜0.5質量%である、請求項4に記載のシリコン基板の加工方法。
  6. 前記シリコン基板の表面において一方向に延びる形状の貫通孔を形成する場合に、前記先導孔形成工程において、前記貫通孔が形成されるべき領域の長手方向の中心線に対して対称に2列以上をなすように前記複数の先導孔を形成する、請求項4または5に記載のシリコン基板の加工方法。
  7. 前記先導孔形成工程において、レーザ光を用いて前記複数の先導孔を形成する、請求項4乃至6のいずれか1項に記載のシリコン基板の加工方法。
  8. シリコン基板の加工方法であって、前記先導孔形成工程において、前記シリコン基板における前記レーザ光が照射される面とは反対側の面から測って10μm以上125μm以内となる位置を各先導孔の先端として前記複数の先導孔を形成する、請求項7に記載のシリコン基板の加工方法。
  9. シリコン基板の加工方法であって、前記先導孔形成工程において、25μm以上115μm以内の間隔で前記シリコン基板の表面に前記複数の先導孔を形成する、請求項4乃至8のいずれか1項に記載のシリコン基板の加工方法。
  10. 前記エッチングマスク層が形成される面とは反対側の面に複数の吐出エネルギー発生素子が形成されたシリコン基板に対して請求項4乃至9のいずれか1項に記載のシリコン基板の加工方法を適用して液体吐出ヘッド用基板を形成する、液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
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