JP2001162802A - インクジェットヘッド及びその作製方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその作製方法

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JP2001162802A
JP2001162802A JP34791199A JP34791199A JP2001162802A JP 2001162802 A JP2001162802 A JP 2001162802A JP 34791199 A JP34791199 A JP 34791199A JP 34791199 A JP34791199 A JP 34791199A JP 2001162802 A JP2001162802 A JP 2001162802A
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adhesive
jet head
ink
ink jet
groove
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JP34791199A
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English (en)
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Masaki Kataoka
雅樹 片岡
Michiaki Murata
道昭 村田
Naibe Regan
ナイベ レーガン
Yoshihiko Fujimura
義彦 藤村
Takayuki Takeuchi
孝行 竹内
Yoshihisa Ueda
吉久 植田
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板の接合によるノズルやインク流路への接
着剤のはみ出しを押さえ、インク目詰まりに対する信頼
性や噴射特性を向上させたインクジェットヘッド及びそ
の作製方法を得る。 【解決手段】 インクジェットヘッド10のインク流路
基板32に、ODEプロセスによって加工するインク流
路28の流路溝38とともに空溝40を形成する。これ
により、インク流路基板32の接合面32Aに転写され
た接着剤42は、素子基板12との接合によって押圧さ
れた際に空溝40に入り込み、ノズル26やインク流路
28内へのはみ出しが抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド及びその作製方法に関し、特に、2枚以上の基板を
接着剤によって接合することによりノズル及びそのノズ
ルに連結したインク流路を形成するインクジェットヘッ
ド及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットヘッドにおける高
画質化を目的とした小Dot化は著しく、それに伴い、
インク液滴の噴射口となるノズルや、そのノズルと連結
するインク流路も一段と小型化されてきている。しかし
そのため、ノズルやインク流路ではインク目詰まりが起
こりやすくなり、よってその目詰まりを回避し、装置と
しての信頼性を確保することが大きな課題となってい
る。
【0003】ここで、従来、2枚の基板を接合して作製
するインクジェットヘッドとしては、特開昭61−23
0954号公報に代表される構造及び作製方法が知られ
ている。しかし、その作製方法では、小ノズル化及びノ
ズル配列を高密度化した場合、接合に用いる接着剤のは
み出しが無視できなくなってくる。
【0004】例えば、図16に示すように、従来、素子
基板100とインク流路基板102とが接合されて形成
される400DPI相当のインク滴を発生するノズル1
04(図16(A))は、ノズル幅:W1が約20μm
であった。ところが、1600DPI相当のインク滴を
発生させるノズル106(図16(B))は、ノズル
幅:W2が5μm程度となる。このため、従来のノズル
100では許容できた接着剤108のはみ出し量によっ
て、ノズル106やそのインク流路は閉塞されてしまう
ことになる。
【0005】これに対し、接着剤を薄く選択的に塗布す
る技術が特開昭63−34152号公報等で提案されて
いる。しかしこの方法では、接着剤の塗布厚が薄過ぎた
場合、それまでは接着剤によって吸収していた基板の反
りや基板接合面の微小凹凸等が吸収しきれなくなる。そ
のため、密着不良領域では接着剤不足による接合不良
(インク流路のシール不良)が生じ、インク流路内で発
生したインク液滴噴射のための圧力が隣接流路に漏れ、
噴射効率等が低下してしまう。
【0006】また、この不具合を防止しようと接着剤を
厚く塗布した場合は、基板同士の密着が良好な領域にお
いて接着剤過剰となり、インク流路内への接着剤はみ出
し量が多くなるため、流路詰まりによる噴射特性(噴射
インク体積や周波数応答性など)の悪化や、生産歩留ま
りの低下を招いてしまうことになる。
【0007】また、基板接合面の平坦性を改善するた
め、特開平11−245426号公報に提案されるCM
P(Chemical Mechanical Polish)等を用いた平坦化工
程を行っている。
【0008】しかしながら、このCMP等によっても、
大面積基板の接合において、ウエハの反りやパーティク
ル等の影響で、上述した密着不良領域においては、接合
Gap(基板の間隙)が〜1.0μm程度は発生してし
まう。そしてこのGapを確実にシールするには、接着
剤厚さを、塗布厚のバラツキを考慮して1.5μm以上
にする必要がある。
【0009】例えば、Gapが0.1μm程度の領域で
は、接合面積×余剰接着剤厚さ(1.5μm−0.1μ
m)分の接着剤が接合面から押し出されてノズルやイン
ク流路内にはみ出すことになる。
【0010】これを、インク流路のある断面だけで捉え
た場合を例として、図17(A)、(B)に示す。本例
では、ノズル110のピッチが800DPI相当の32
μmであり、ノズル幅:W3は8μmである。よって接
合面の断面幅:W4は24μmであり、上記の余剰接着
剤は、24μm×(1.5μm−0.1μm)=33.
6μm2となる。そしてこれは、ノズル断面積64μm2
の実に50%以上が接着剤によって埋められてしまうわ
けである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実を考
慮して、基板の接合によるノズルやインク流路への接着
剤のはみ出しを押さえ、インク目詰まりに対する信頼性
や噴射特性を向上させたインクジェットヘッド及びその
作製方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、複数の基板が接着剤により接合されてノズルとその
ノズルに連結されたインク流路とが形成されるインクジ
ェットヘッドにおいて、前記複数の基板の接合面に、複
数の基板の前記接合により押し出された前記接着剤が進
入可能な接着剤進入領域が設けられていることを特徴と
している。
【0013】請求項1に記載のインクジェットヘッドで
は、複数の基板を接合するために接合面部分を押圧した
際、その押圧により、接合面に塗布されている接着剤が
接合面から押し出される。ここで、接合面には接着剤進
入領域が設けられているため、押し出された接着剤は、
その接着剤進入領域に入り込む。
【0014】これにより、ノズルやインク流路内への接
着剤のはみ出しが抑制され、ノズルなどが接着剤によっ
て塞がれることはなく、インク目詰まりに対する信頼性
や噴射特性が向上させられる。
【0015】また、請求項1に記載の発明における接着
剤進入領域は、請求項2のように、複数の基板の接合面
のうち、インク流路の流路幅が部分的に狭くされること
によって接合面での接合面積が部分的に大きくされてい
る領域内に設けてもよい。
【0016】請求項3に記載の発明は、インク流路に連
結された噴出口からインク滴を噴射させるヘッド部と、
前記噴出口に対応して形成されたノズル孔を有し、前記
ヘッド部に接着剤により接合されて噴出口先端に前記ノ
ズル孔を配置させるノズル板と、を備えたインクジェッ
トヘッドにおいて、前記ノズル板の前記ヘッド部との接
合面に、ノズル板とヘッド部との前記接合により押し出
された前記接着剤が進入可能な接着剤進入領域が前記ノ
ズル孔外周にノズル孔の開口形状に沿って設けられてい
ることを特徴としている。
【0017】請求項3に記載のインクジェットヘッドで
は、ヘッド部に接着剤によって接合されるノズル板の接
合面に接着剤進入領域が設けられているため、請求項1
の発明と同様、接合により押し出された接着剤は、その
接着剤進入領域に入り込む。よって、ノズル孔やインク
流路が接着剤によって塞がれることはない。
【0018】さらに、接着剤進入領域をノズル孔外周に
ノズル孔の開口形状に沿わせて設けているため、接着剤
のはみ出しがノズル孔の開口形状合わせてほぼ均等に抑
制されることになり、ノズル孔に対して接着剤が部分的
にはみ出すようなことも防止できる。
【0019】また、請求項1〜請求項3の何れか1項に
記載の発明における接着剤進入領域は、請求項2のよう
に、接着剤が進入する進入部を接合面のみに有するもの
とし、その進入部を、接合面を接合させた状態で密閉す
る構造としてもよい。
【0020】なお、請求項1〜請求項4の何れか1項に
記載の発明における接着剤進入領域は、請求項5のよう
に空溝としてもよい。
【0021】また、請求項1又は請求項2に記載の発明
では、請求項6のように、接着剤進入領域を空溝とし、
さらにその空溝の溝形状は、溝断面積をインク流路の最
も小さくされた流路断面積よりも小さくし、溝端部を複
数の基板が接合された状態で外部に開放するようにして
もよい。
【0022】さらに、請求項1〜請求項6の何れか1項
に記載の発明では、請求項7のように、接着剤が接着剤
進入領域に優先的に充填された構造のインクジェットヘ
ッドに適用することができる。
【0023】請求項8に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェットヘッドを作製するためのインクジェッ
トヘッド作製方法であって、前記複数の基板の前記接合
面の間に樹脂層を介在させ、前記接着剤進入領域は、前
記樹脂層にRIEプロセスまたはレーザー加工によって
形成することを特徴としている。
【0024】請求項8に記載のインクジェットヘッド作
製方法では、複数の基板の接合面の間に樹脂層を介在さ
せることで、例えばインク流路を形成するような構造の
インクジェットヘッドにおいても、RIEプロセスまた
はレーザー加工を用いることで、樹脂層に接着剤進入領
域を容易に加工することができる。
【0025】また、請求項5又は請求項6に記載のイン
クジェットヘッドを作製するためのインクジェットヘッ
ド作製方法では、請求項9のように、空溝を、複数の基
板のうちインク流路を構成する流路溝を形成した基板
に、流路溝の加工とともに形成するようにしてもよい。
【0026】さらに、この請求項9に記載のインクジェ
ットヘッド作製方法においては、複数の基板のうち少な
くとも1つをSi基板とした際、流路溝及び空溝を、請
求項10のように、そのSi基板にODEプロセスによ
って形成するようにしてもよく、また請求項11のよう
に、Si基板にRIEプロセスによって形成するように
してもよい。
【0027】また、請求項4に記載のインクジェットヘ
ッドを作製するためのインクジェットヘッド作製方法で
は、請求項12のように、接着剤を塗布した接合面を所
定の圧力環境にて貼り合わせる工程と、接合面を貼り合
わせた後に接着剤を所定の圧力環境よりも高い圧力環境
にて硬化させる工程と、を有する作製方法としてもよ
い。
【0028】さらに、請求項1〜請求項6の何れか1項
に記載のインクジェットヘッドを作製するためのインク
ジェットヘッド作製方法では、接着剤を、接着剤進入領
域が設けられた側の接合面に塗布するようにしてもよ
い。
【0029】なお、請求項14に記載の発明では、請求
項1〜請求項7の何れか1項に記載のインクジェットヘ
ッド、又は、請求項8〜請求項13の何れか1項に記載
のインクジェットヘッド作製方法によって作製されたイ
ンクジェットヘッドを有するインクジェット画像出力機
能を備えた装置が適用できる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。
【0031】[第1の実施形態]図1には、本発明の第
1の実施形態に係るインクジェットヘッドを作製する工
程全体の流れが概略図で示されており、図2、図3に
は、図1に示した作製工程によって作製されたインクジ
ェットヘッドが示されている。以下、その作製工程に沿
って説明していく。
【0032】図1(A)、(B)工程は、インクジェッ
トヘッド10の一方の構成部品となる素子基板12の作
製工程である。まず(A)工程において、Si(シリコ
ン)ウエハ13上に、インクに噴射エネルギーを与える
電気−熱変換体(発熱素子)14と、その電気−熱変換
体14を駆動させるドライーバー回路16及び信号処理
用回路18、またそれら回路部の外部への接続用となる
電気信号接続用パッド20と、それら各部を接続する電
気配線(図示省略)とを、LSI工程によって作製す
る。
【0033】次に、(B)工程では、電気−熱変換体1
4を設けた素子基板12の接合面12A側に、上記の回
路部や電気配線等をインクによる腐蝕から保護する保護
膜としての樹脂層22を形成している。この樹脂層22
には、少なくとも、電気−熱変換体14部と電気信号接
続用パッド20部とに開口を設けている。
【0034】さらに、ここで形成した樹脂層22上に、
図2に示す、インク噴射用のノズル26及びそのノズル
に連結したインク流路28を構成する流路溝30を形成
するための樹脂層24を形成する。
【0035】なおここでは、樹脂層22、24に、パタ
ーニング工程が容易な感光性樹脂(商品名:Probimide7
520、Probimide HTR-3-200、Photonees UR5100FX、Ltho
coatPI-400)を用いることで、塗布→プリベーク→露光
→ベーク→現像→焼成(Cure)という工程を経て、素子
基板12上に高精度に位置合わせされた樹脂層22、2
4が得られる。
【0036】またこの樹脂層は、その厚さと使用材料に
より程度は異なるが、Cure工程後での膜収縮により、パ
ターニングエッジ部付近が他の領域に対して凸形状(盛
上がった状態)となる。このような樹脂層の凹凸に、素
子基板12の反りや基板表面の凹凸も含め、本実施の形
態では、Cure工程後での樹脂層24上面に3μm(p-p )
程度の凹凸が発生していた。そしてこの凹凸を改善する
ため、CMPによって樹脂層24表面の平坦化処理を実
施し、凹凸が約0.5μm(p-p)以下の平坦下面を得て
いる。
【0037】一方、図1(C)、(D)工程は、インク
ジェットヘッド10の他方の構成部品となるインク流路
基板32の作製工程である。ここでの(C)工程におい
て、<100>結晶方位面を持つSiウエハ33上に、
インク供給口34用の貫通孔や共通液室36と、電気−
熱変換体14と対応するインク流路28を上述した流路
溝30とともに構成している流路溝38を、ODE(異
方性エッチング)プロセスによって作製する。
【0038】また本実施の形態では、この(C)工程で
のODEプロセスにより、後述する、ノズル26やイン
ク流路28内への接着剤のはみ出しを防止するための空
溝40を同時に形成している。なお、このODEプロセ
スによるエッチングでは、<100>結晶方位面・Si
ウエハの加工断面は三角形状となる。
【0039】次に、(D)工程では、流路溝38を設け
たインク流路基板32の接合面32A側に、接着剤42
を塗布している。この接着剤42の塗布は、特開昭63
−34152号公報等で提案されている方法によるもの
で、スピンコート法等によって予めフィルム上に薄く形
成しておいた接着剤をSiウエハ33に転写させるもの
である。よってインク流路基板32の接合面32Aに
は、その凸部のみに接着剤42が選択的に転写されるこ
とになる。
【0040】そして、図1(E)工程において、複数の
素子基板12が形成されたSiウエハ13と、同じく複
数のインク流路基板32が形成されたSiウエハ33と
を、それぞれの接合面12A、32A側を相互に向かい
合わせて仮固定する。ここでは、各ウエハに設けた位置
合わせマーク13A、33Aを利用し、基板アライメン
ト装置(図示省略)によって精密に位置合わせされる。
【0041】さらに、この仮固定されたウエハペアは、
図4に示すような真空加熱加圧装置(バキューム・ラミ
ネーター)50にセットされて接合される。ここでは、
真空ポンプ52によって装置内を減圧し、ウエハ間に約
9.8×104Pa(約1kgf/cm2)の圧力を加え
ながらヒーター54で約200℃・4時間の加熱処理を
実施し、接着剤42を硬化させている。
【0042】最後に、接合したウエハペアを、図1
(F)工程において、特許2888474号で提案され
ているようなダイシング工程等により、ダイシング加工
ラインL(図中の一点鎖線)でChip単位に切断・分
離し、また必要に応じて洗浄・検査等を実施して、多数
のインクジェットヘッド10を得ている。
【0043】またここでは、樹脂層22、24がインク
ジェットヘッド10のノズル面10Aに露出しているこ
とにより、ノズル開口部に、ダイシングによる樹脂層2
2、24の切断バリが発生するが、特許2827884
号で提案されている処理方法を用いることで、そのバリ
を良好に除去できる。
【0044】以上がインクジェットヘッド10の作製工
程の説明である。このようにして作製されたインクジェ
ットヘッド10は、前述したように、インク流路基板3
2の接合面32AにODEプロセス((C)工程)によ
って、溝断面が三角形の空溝40が形成されている。
【0045】また、ここでのインクジェットヘッド10
のインク流路28は、図2(A)に示すような、流路先
端側(ノズル26側)及び後端側(共通液室36側)の
流路幅がテーパー状に狭くさた絞り構造となっており、
空溝40は、その流路先端側及び後端側近傍、すなわ
ち、接合面12Aと接合面32Aとの接合面積が大きく
されている領域に、それぞれ設けられている。
【0046】さらに、流路先端側に設けられた空溝40
は、溝がインクジェットヘッド10のノズル面10Aか
ら外部に開放されるよう形成されており、図3に示すよ
うにノズル26正面から見ると、ノズル26間の上部に
位置して、ノズル面10Aに三角形の開口を設けてい
る。
【0047】次に、本実施の形態に係るインクジェット
ヘッド10の作用を説明する。
【0048】インクジェットヘッド10を作製する
(E)工程において、素子基板12(Siウエハ13)
及びインク流路基板32(Siウエハ33)を接合する
ために接合面部分(接合面12A及び接合面32A)を
重ね合わせて押圧した際、その押圧により、接合面32
Aに塗布されている接着剤42が接合面12A、32A
から押し出される。
【0049】しかしここで、接合面32Aには空溝40
が設けられているため、押し出された余分な接着剤42
は空溝40に入り込み、ノズル26やインク流路28内
への接着剤42のはみ出しが抑制される。したがって、
ノズル26やインク流路28が接着剤42によって塞が
れることはなく、インクジェットヘッド10は、インク
目詰まりに対する信頼性が向上し、噴射特性も良好にな
る。
【0050】なお、図2、図3においては、はみ出した
接着剤42が空溝40内に入り込んだ様子は、図示を省
略している。
【0051】また、接着剤42のはみ出しを防ぐための
空溝40を、インク流路基板32の接合面32Aうち、
絞り構造とされたインク流路28の流路幅が部分的に狭
くされることで接合面積が部分的に大きくされている領
域内に設けたため、形成する溝の容積を大きくすること
ができ、接合により押し出された接着剤42がより多く
空溝40内に入り込める。
【0052】また同時に、接合面積が大きい領域では、
接着剤42の塗布面積が大きい(塗布量が多い)ために
その周辺では接着剤はみ出し量も多くなる傾向にある
が、空溝40をその領域内に設けたことで、はみ出しの
抑制がより効果的になる。またこれにより、隣接するイ
ンク流路28の間を仕切る隔壁部分においては、接着剤
42がその接合部分全面に塗布されていることで接合不
良(シール不良)等が確実に回避でき、隔壁部分の強度
等も従来と同程度に保たれる。
【0053】また、本実施の形態に係るインクジェット
ヘッド10の作製方法では、空溝40を、インク流路2
8を構成する流路溝38を形成したインク流路基板32
に、流路溝38の加工とともにODEプロセスによって
形成したことにより、空溝40を加工するための新たな
加工工程等を設けることなく、加工が容易に行える。ま
たこれにより、製造コストアップもない。
【0054】さらに、接着剤42を、空溝40を設けた
側の接合面32Aに塗布したことで、接合面32Aの空
溝40部分には接着剤42が転写されず、接合面32A
における接着剤塗布量(塗布面積)は減少する。したが
って、(D)工程において、従来のように接着剤を薄く
塗布するようなことなく接着剤塗布量が減らせ、よって
接合により押し出される接着剤42のはみ出し量も減少
させられる。
【0055】またさらに、接着剤42を所定の塗布厚に
設定できることで、接合面12A、32Aの凹凸等も接
着剤42によって吸収でき、その接合状態は良好に保た
れる。
【0056】[第2の実施形態]次に、本発明の第2の
実施形態について説明する。この第2の実施形態では、
上記第1の実施形態で説明した構成とほぼ同じであり、
またほぼ同じ作製工程により作製されるため、同一構成
部品については同一符合を付してその説明を省略し、作
製工程についても同一工程は説明を省略する。
【0057】図5、図6には、第2の実施形態に係るイ
ンクジェットヘッド60が示されている。本実施の形態
は、上記した第1の実施形態と同様の流路絞り構造とさ
れたヘッドにおいて、空溝を素子基板側に設けた構成で
ある。
【0058】図5に示すように、空溝62は、素子基板
12上に設けられた樹脂層24に形成されている。形成
位置は、第1の実施形態と同様、インク流路28の先端
側及び後端側近傍、すなわち接合面12Aの接合面積が
大きくされている領域とされている。また、流路先端側
に設けられた空溝62も、同じくインクジェットヘッド
60のノズル面60Aから溝が外部に開放されており、
ノズル26正面から見ると、図6に示すように、ノズル
26間に位置して、ノズル面60Aに矩形の開口を設け
ている。
【0059】この空溝62は、図1(C)工程での樹脂
層24のパターニング時に設けることができる。しか
し、本形態のように感光性樹脂を用いてのパターニング
では、高密度・高精細のパターニングが困難であため、
レーザー加工やRIE(Reactive Ion Etching)加工に
よって形成することが望ましい。
【0060】このように、本実施の形態に係るインクジ
ェットヘッド60の作製方法では、接合する基板間に樹
脂層22、24を介在させてインク流路28を形成する
ような構成においても、RIEプロセスまたはレーザー
加工を用いることで、樹脂層24に空溝62を容易に加
工することができる。
【0061】また接着剤42のはみ出しについても、こ
の空溝62によって第1の実施形態と同じ効果が得られ
る。さらに、空溝62は溝断面が矩形であるため、第1
の実施形態の空溝40よりも溝容積が大きく形成でき、
よって溝内に、より多くの余分な接着剤を取り込むこと
ができる。
【0062】[第3の実施形態]次に、本発明の第3の
実施形態について説明する。この第3の実施形態も、上
述した第1の実施形態で説明した構成とほぼ同じであ
り、またほぼ同じ作製工程により作製されるため、同一
構成部品については同一符合を付してその説明を省略
し、作製工程についても同一工程は説明を省略する。
【0063】図7は、第3の実施形態に係るインクジェ
ットヘッド70の流路構造を示すための概略構成図であ
り、図8に、そのインク流路基板32を接合面32A側
から見た状態が示されている。
【0064】本実施の形態も、インク流路28は、上記
した第1及び第2の実施形態のインクジェットヘッド同
様に絞り構造とされており、またヘッド各部の構成につ
いても、第1及び第2の実施形態とほぼ同じである。た
だし、第1及び第2の実施形態では、インク流路28を
構成する流路溝38を形成するため、素子基板12の接
合面側に樹脂層24を設けていたが、本形態は、流路溝
38をインク流路基板32に直接形成した構造のヘッド
であり、そのヘッドに本発明を適用したものである。
【0065】図9は、図8に示したインク流路基板32
の流路断面を表したものであり、それら図に示すよう
に、インクジェットヘッド70のインク流路基板32に
は、流路断面が矩形とされた流路溝30が形成されてお
り、接合面32Aにも、同じく溝断面が矩形とされた空
溝72が形成されている。
【0066】ここでの空溝72は、インク流路28の流
路幅が狭くされて、接合面32Aでの接合面積が大きく
されている流路先端側領域及び後端側領域に開口面積が
大きくされた溝部72A、72Bが設けられ、流路後端
側領域の溝部72Bの溝後端側は共通液室36に連通さ
れている。
【0067】さらに、インク流路28の隔壁部分にも、
溝部72A、72Bを連結する長溝部72Cがインク流
路28に沿って形成されており、その形成位置は、隔壁
部分の壁厚方向でほぼ中央とされている。
【0068】上記構成からなるインクジェットヘッド7
0を作製するには、まず、素子基板12を作製する図1
(B)工程において、電気−熱変換体14が設けられて
いる面側に、インクに対する保護膜としての樹脂層22
を通常のLSI工程で形成する。この樹脂層22も、第
1及び第2の実施形態と同様、少なくとも電気−熱変換
体14部分と電気信号接続用パッド20部分とに開口を
設けている。また、接合面となる樹脂層22表面(接合
面12A)の凹凸を改善するため、ここでもCMPによ
る平坦化処理を実施し、凹凸を約0.5μm(p-p)以下
に押さえている。
【0069】また、インク流路基板32を作製する図1
(C)工程においては、Siウエハ33にインク供給口
34用の貫通孔及び共通液室36をODEプロセスによ
り加工した後、インク流路を形成する流路溝38をRI
Eプロセスによって形成している。そしてこのRIEプ
ロセスにより、上述の空溝72(溝部72A、72B、
長溝部72C)も、Siウエハ33に同時に加工する。
【0070】以上説明したように、第3の実施形態に係
るインクジェットヘッド70においても、接合面32A
に空溝72が設けられているため、図1(E)工程の真
空加熱加圧装置50による接合時に(図5参照)、接合
面12Aと接合面32Aとの押圧によってはみ出した余
分な接着剤42は空溝72に入り込み、インク流路28
等への接着剤はみ出しが押さえられる。
【0071】また、ここでの空溝72は、溝後端側が開
放されて共通液室36に連通されているため、減圧環境
で接着剤42を硬化させる場合、空溝72内にも溝外部
と同じ圧力(負圧)が作用する。このため、インク流路
28や共通液室36側と空溝40側とに圧力差が生じる
ことはなく、接合により押し出された接着剤42はその
押圧力によって空溝72内にそのまま入り込むことにな
る。
【0072】また、図9に示したように、RIEプロセ
スにより流路溝38と同時に形成された空溝72は、溝
深さが流路溝38とほぼ同じである。したがって、第1
の実施形態においてODEプロセスにより形成した空溝
40に比べ、接合面32Aでの開口が小さくされても、
溝容積を十分に確保できる。よって高密度ヘッドにおい
て、よりその効果が発揮できる。
【0073】また、その作製方法においては、空溝72
を、インク流路28の流路溝38を形成したインク流路
基板32に、流路溝38の加工とともにRIEプロセス
によって加工したことにより、ここでも、空溝形成のた
めの新たな加工工程等を設けることなく容易に形成でき
る。
【0074】なお、接着剤42を、空溝72を設けたイ
ンク流路基板32の接合面32A側に選択的に塗布した
効果等は、第1及び第2の実施形態と同じである。
【0075】[第4の実施形態]次に、本発明の第4の
実施形態について説明する。この第4の実施形態は、上
記第3の実施形態で説明した構成のインクジェットヘッ
ド70において、空溝の形状を変更したものであるた
め、同一構成部品については同一符合を付してその説明
を省略する。本実施の形態は、高密度で噴射効率の高い
ヘッドに本発明を適用したものである。
【0076】図10には、第4の実施形態に係るインク
ジェットヘッドのインク流路基板を、接合面側から見た
状態が示されている。ここでは、接着剤はみ出し防止を
するためにインク流路基板32の接合面32Aに設けら
れた空溝74が、インク流路28の先端側と後端側にお
ける流路幅の狭い部分に対応した接合面領域のみにそれ
ぞれ配置されていている溝部74Aと溝部74Bとによ
って構成されている。また、溝部74Aはノズル面側
へ、溝部74Bは共通液室36側へと、それぞれ連通さ
れている。
【0077】したがって、第3の実施形態のように、隔
壁部分には溝部が設けられておらず、インク流路28の
流路幅が広い部分に対応する接合面領域、すなわち、接
合面32Aの接合面積が小さくされた領域は、全面が接
着剤42によって接合されるようになる。
【0078】これは、高密度で噴射効率の高いヘッドを
設計した場合、インク流路の流路幅が広い部分における
接合領域では、隔壁部分での接合幅が5μm程度と非常
に狭くされるために、接着剤のはみ出しがあまり発生せ
ず、逆に、この領域に溝部を形成すると、インク流路の
隔壁強度が低下する恐れがあるからである。
【0079】よって、本実施の形態では、空溝74を接
合面32Aにおける接合面積の大きい領域のみに設ける
ことで、このような弊害を回避することができる。
【0080】なお、ここでの空溝74も外部と連通させ
ていることにより、第3の実施形態と同様、減圧環境の
接合でも、はみ出した接着剤42を空溝74内に適切に
進入させる効果が得られる。
【0081】[第5の実施形態]次に、本発明の第5の
実施形態について説明する。この第5の実施形態も、上
述した第3の実施形態のインクジェットヘッド70にお
いて、空溝の形状を変更したものであるため、同一構成
部品については同一符合を付してその説明を省略する。
本実施の形態は、接合プロセスとの兼ね合いにより、接
着剤のはみ出し抑制効果を高めようとしたものである。
【0082】図11には、第5の実施形態に係るインク
ジェットヘッドのインク流路基板を接合面側から見た状
態が示されており、ここでも、接着剤はみ出し防止用の
空溝76を、第4の実施形態と同様に、インク流路28
の先端側と後端側における流路幅の狭い部分に対応した
接合面領域のみに、それぞれ配置させている(溝部76
A、76B)。
【0083】ただし、この溝部76A、76Bは、それ
ぞれがノズル面側及び共通液室36側へは連通しておら
ず、溝開口部(接着剤の進入部)が接合面32Aのみ
(接合面内)となるように設けられている。したがっ
て、素子基板12の接合面12Aとインク流路基板32
の接合面32Aとが接合された状態では、空溝76(溝
部76A、76B)は密閉される構造である。
【0084】本実施の形態に係るインクジェットヘッド
の作製方法では、図1(E)工程の接合プロセスにおい
て、素子基板12(Siウエハ13)とインク流路基板
32(Siウエハ33)とを真空加熱加圧装置50にセ
ットした後、装置内を減圧環境にしてから貼り合わせ、
加圧・密着する。そして、密着状態のウエハペアを大気
圧下に置き、大気圧環境にて接着剤42の軟化→最終硬
化を実施する。
【0085】これにより、大気圧下に置かれたウエハペ
アの空溝76は、溝開口部分が密閉されていることで溝
内部が負圧のままとされ、接合面12A、32Aからは
み出す余分な接着剤42は、圧力が低い空溝76側へと
より多く引き込まれる。したがって、インク流路28側
へはみ出す接着剤量は大幅に減少されることになる。
【0086】このように、本実施の形態のインクジェッ
トヘッドでは、空溝76は、接着剤42が入り込む溝開
口部を接合面32Aのみに有し、接合面32Aが接合さ
れた状態で溝開口部が密閉される構成であり、その作製
方法に、接着剤42を塗布した接合面32Aを所定の圧
力環境にて貼り合わせる工程と、その接合面32Aを貼
り合わせた後に接着剤42を所定の圧力環境よりも高い
圧力環境にて硬化させる工程とを設けることによって、
接着剤はみ出し抑制効果がより高くなる。
【0087】また、本形態のインクジェットヘッドは、
空溝76を構成する溝部76A、76Bがそれぞれノズ
ル面側及び共通液室36側へ連通していないことによ
り、接合面32Aでの密着度合いも良好に保たれる。
【0088】なお、本実施の形態を、第1及び第2の実
施形態で説明した構造のインクジェットヘッドに適用す
ることも可能である。
【0089】[第6の実施形態]次に、本発明の第6の
実施形態について説明する。この第6の実施形態も、上
述した第3の実施形態のインクジェットヘッド70にお
いて、空溝の形状を変更したものであるため、同一構成
部品については同一符合を付してその説明を省略する。
本実施の形態は、接合プロセスとの兼ね合いにより、接
着剤のはみ出し抑制効果を高めようとしたものである。
【0090】図12は、第6の実施形態に係るインクジ
ェットヘッドのインク流路基板を接合面側から見た図で
あり、本実施の形態では、接合面積が大きくされた領域
に設けられる空溝78が、インク流路28の流路幅が最
も狭くされる流路先端部及び後端部の流路幅よりも溝幅
が狭くされている細溝部78A、78B、78C、によ
って構成されている。
【0091】ここでは、インク流路先端側の接合領域
に、細溝部78A、及び、細溝部78Aよりも溝長さが
少し短くされて細溝部78Aの両隣に配置される空溝7
8Bが、溝先端側をヘッド端面から外部に開放させると
ともにインク流路28に沿った向きで設けられており、
インク流路後端側の接合領域には、細溝部78Cがイン
ク流路28と直行する向きに設けられている。
【0092】これら細溝部78A、78B、78Cは、
RIEプロセスによってインク流路28の流路溝38と
ともに同時加工されるため、深さ寸法が流路溝38とほ
ぼ同じである。よって溝断面積は、インク流路28の流
路先端部及び後端部の流路断面積よりも小さくなってい
る。
【0093】これにより、基板接合時には、軟化してい
る接着剤42が硬化する過程で、空溝78に発生する毛
管力により接着剤42は空溝78内に強く引き寄せられ
る。よってここでも、より高い接着剤のはみ出し抑制効
果が得られる。
【0094】なお、本実施の形態では空溝を複数の細溝
部によって構成したが、インク流路に対して断面積が小
さい(幅が狭い)ものであれば単独の空溝でもよい。ま
た、各細溝部同士を連通させて櫛歯状にするなどの形状
変更も、適宜、可能である。さらに、溝を外部と連通さ
せるか否かについても、第5の実施形態で説明したよう
な接合プロセスとの兼ね合いによって選択できる。
【0095】また本形態も、第1及び第2の実施形態で
説明した構造のインクジェットヘッドに適用可能であ
る。
【0096】以上説明した第1〜第6の実施形態に係る
インクジェットヘッド及びその作製方法によって、余剰
接着剤のはみ出し抑制効果がどの程度になるかを計算す
ると、以下のようになる。
【0097】図13は、従来のインクジェットヘッドに
おける接着剤のはみ出し状態を示した図17に対応させ
たものであり、図10に示した第4の実施形態に代表さ
れる構造の空溝を備えたヘッドである。
【0098】図13(A)において、接着剤転写厚は従
来と同じ1.5μmであり、空溝74(溝部74Aの開
口部)の幅は5μm、流路深さ及び溝深さは10μmと
なっており、ノズル幅関連の寸法は全て従来と同じ設定
である。
【0099】断面で同様の計算をすると、余剰接着剤は
(24μm−5μm)×(1.5μm−0.1μm)=
26.6μm2となる。これが、図13(B)に示すよ
うにノズル26側と空溝74内に均等にはみ出すした場
合、ノズル26側へのはみ出し量は13.3μm2とな
り、これはノズル断面積64μm2の21%程度とな
る。また、ここでの空溝74は、溝断面積が10μm×
5μm=50μm2であることから、溝内に押し出され
る余剰接着剤を十分に取り入ることができる。
【0100】さらに、第5、第6の実施形態で説明した
構造及び作製方法を用い、余剰接着剤を空溝内に積極的
に引き込むことによって、ノズルやインク流路内への接
着剤はみ出しが殆どない状態にもできる。
【0101】[第7の実施形態]次に、本発明の第7の
実施形態について説明する。この第7の実施形態は、イ
ンク滴を噴射させるヘッド部に、ノズル孔が設けられた
ノズル板を接着剤によって接合する構成のインクジェッ
トヘッドに本発明を適用したものである。ここでも、上
述した第1の実施形態と同一構成部品については同一符
合を付してその説明を省略し、また作製工程についても
同一工程は説明を省略する。
【0102】図14には、第7の実施形態に係るインク
ジェットヘッドのヘッド部とノズル板とが分離された状
態が示されており、図15には、ノズル板の正面図
(A)及び背面図(B)が示されている。
【0103】ここでのインクジェットヘッド80は、ヘ
ッド部82が、第3の実施形態で説明したインクジェッ
トヘッドと同様の構成であり、そのヘッド面82Aにノ
ズル板84が接合されるようになっている。
【0104】ノズル板84には、開口形状を円形とし、
開口断面をインク滴噴射方向に向かって縮径するテーパ
ー形状とした複数のノズル孔86が設けられている。こ
の複数のノズル孔86の各々は、ヘッド部82のヘッド
端面82Aに設けられたインク滴噴射用の複数の噴出口
88に対応して形成されている。
【0105】またノズル板84は、ヘッド部82との接
合面84Aに、空溝90が設けられている。この空溝9
0は、ノズル孔86の外周に、ノズル孔開口形状に沿っ
て円周状に形成されており、溝開口部は接合面84Aの
みとなるよう形成されている。よってここでの空溝90
も、接合状態では密閉された構造となる。
【0106】以下、作製工程を説明すると、まず、ノズ
ル板84へのノズル孔86の形成は、エキシマレーザー
加工をマスクを介して行う。ここでのマスクには、ノズ
ル孔加工用のパターン外周に、そのパターンよりもレー
ザーエネルギーの透過率を低くするためのグレーゾーン
領域を設けておく。
【0107】これによって、グレーゾーン領域部では、
レーザーエネルギーがノズル孔加工用のパターンよりも
弱まることになり、ノズル孔部に対して加工速度が遅く
なる。よってノズル孔86部分はレーザーエネルギーに
よる加工で貫通させても、空溝90部分は、図示のよう
に貫通しないよう形成できる。
【0108】次に、接合工程においては、スピンコート
法等によって薄く形成した接着剤42をノズル板84の
接合面84Aに転写し、接着剤42が半硬化した状態
で、ヘッド部82のヘッド端面82Aに位置合わせして
密着させる。このときも、第5の実施形態で説明したよ
うな減圧環境のもとで行う。そして、ヘッド部82とノ
ズル板84との密着位置を保持したまま、大気圧環境の
もとで接着剤42の本硬化・加熱工程を実施する。
【0109】したがって、本実施の形態でも、ヘッド部
82とノズル板84との接合により押し出された接着剤
42は空溝90に入り込み、ノズル孔86内、及び、ヘ
ッド部82の噴出口88やインク流路28内も余分な接
着剤によって塞がれることはない。
【0110】さらに、空溝90がノズル孔86外周にノ
ズル孔86の開口形状に沿って円周状に設けられている
ため、はみ出す接着剤42はノズル孔86の開口形状に
合わせてほぼ均等に抑制される。これにより、ノズル孔
86に対して接着剤42が部分的にはみ出すようなこと
も防止される。
【0111】またここでも、接着剤42を、空溝90を
設けた接合面84A側に塗布したことにより、転写厚を
変えることなく接着剤転写量が減少させられ、はみ出し
量の減少とともに接合不良も解消できる。
【0112】なお、全ての実施形態において、基板接合
により押し出された接着剤が入り込む領域を空溝として
説明しているが、接着剤が進入可能であれば他の形状が
適用可能であり、例えば、複数の小穴によって接着剤進
入領域を構成することもできる。
【0113】また、樹脂層には感光性樹脂を用いている
が、樹脂層もこれに限定するものではなく、非感光性樹
脂(商品名:Semikofine SP740、UワニスS、PIX-3400
等)やドライフィルム状のものを使用してもよい。
【0114】
【発明の効果】本発明のインクジェットヘッド及びその
作製方法は上記構成としたので、基板の接合によるノズ
ルやインク流路への接着剤のはみ出しが押さえられ、イ
ンク目詰まりに対する信頼性や噴射特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェットヘッドを作製する工
程全体の説明図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係るインクジェッ
トヘッドの構成を示した図で、(A)は(B)の2A−
2A線断面図、(B)は(A)の2B−2B線断面図で
ある。
【図3】 図2のインクジェットヘッドをノズル正面か
ら見た図である。
【図4】 本発明のインクジェットヘッドを作製する際
の基板の接合工程を説明するための説明図である。
【図5】 本発明の第2の実施形態に係るインクジェッ
トヘッドの構成を示した図で、(A)は(B)の5A−
5A線断面図、(B)は(A)の5B−5B線断面図で
ある。
【図6】 図5のインクジェットヘッドをノズル正面か
ら見た図である。
【図7】 本発明の第3〜第6の実施形態に係るインク
ジェットヘッドの構成を示した図で、(A)は(B)の
7A−7A線断面図、(B)は(A)の7B−7B線断
面図である。
【図8】 本発明の第3の実施形態に係るインクジェッ
トヘッドのインク流路基板を接合面側から見た図であ
る。
【図9】 図8のインク流路基板をノズル正面から見た
図である。
【図10】 本発明の第4の実施形態に係るインクジェ
ットヘッドのインク流路基板を接合面側から見た図であ
る。
【図11】 本発明の第5の実施形態に係るインクジェ
ットヘッドのインク流路基板を接合面側から見た図であ
る。
【図12】 本発明の第6の実施形態に係るインクジェ
ットヘッドのインク流路基板を接合面側から見た図であ
る。
【図13】 本発明の第1〜第6の実施形態に係るイン
クジェットヘッドにおいて、基板接合によりノズルへの
接着剤はみ出しが改善される様子を示した説明図であ
る。
【図14】 本発明の第7の実施形態に係るインクジェ
ットヘッドの構成を示した断面図である。
【図15】 本発明の第7の実施形態に係るインクジェ
ットヘッドのノズル板を示した図で、(A)が正面図、
(B)が背面図である。
【図16】 従来のインクジェットヘッドのノズルが接
着剤によって塞がれる状態を示した説明図である。
【図17】 従来のインクジェットヘッドにおいて、基
板接合により接着剤がノズルにはみ出す様子を示した説
明図である。
【符号の説明】
10、60、70、80 インクジェットヘッド 12 素子基板(複数の基板) 13、33 Siウエハ(複数の基板/Si基板) 22、24 樹脂層 26 ノズル 28 インク流路 30 流路溝 32 インク流路基板(複数の基板) 38 流路溝 40、62、72、74、76、78、90 空溝(接
着剤進入領域) 42 接着剤 82 ヘッド部 84 ノズル板 86 ノズル孔 88 噴出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 レーガン ナイベ 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社海老名事業所内 (72)発明者 藤村 義彦 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社海老名事業所内 (72)発明者 竹内 孝行 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社海老名事業所内 (72)発明者 植田 吉久 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社海老名事業所内 Fターム(参考) 2C057 AF72 AF93 AG04 AG12 AG46 AP11 AP13 AP23 AP25 AP32 AP34 AP72 AQ02 BA05 BA13

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の基板が接着剤により接合されてノ
    ズルとそのノズルに連結されたインク流路とが形成され
    るインクジェットヘッドにおいて、 前記複数の基板の接合面に、複数の基板の前記接合によ
    り押し出された前記接着剤が進入可能な接着剤進入領域
    が設けられていることを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 前記接着剤進入領域が、前記複数の基板
    の前記接合面のうち、前記インク流路の流路幅が部分的
    に狭くされることによって接合面での接合面積が部分的
    に大きくされている領域内に設けられることを特徴とす
    る請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 インク流路に連結された噴出口からイン
    ク滴を噴射させるヘッド部と、前記噴出口に対応して形
    成されたノズル孔を有し、前記ヘッド部に接着剤により
    接合されて噴出口先端に前記ノズル孔を配置させるノズ
    ル板と、を備えたインクジェットヘッドにおいて、 前記ノズル板の前記ヘッド部との接合面に、ノズル板と
    ヘッド部との前記接合により押し出された前記接着剤が
    進入可能な接着剤進入領域が前記ノズル孔外周にノズル
    孔の開口形状に沿って設けられていることを特徴とする
    インクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記接着剤進入領域は、前記接着剤が進
    入する進入部を前記接合面のみに有し、接合面が前記接
    合された状態で前記進入部が密閉されていることを特徴
    とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のインク
    ジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記接着剤進入領域が空溝によって形成
    されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れ
    か1項に記載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記接着剤進入領域が空溝によって形成
    され、前記空溝は、溝断面積が、前記インク流路の最も
    小さくされた流路断面積よりも小さく、且つ、溝端部
    が、前記複数の基板が前記接合された状態で外部に開放
    される溝形状を有することを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 前記接着剤が、前記接着剤進入領域に優
    先的に充填された構造を有することを特徴とする請求項
    1〜請求項6の何れか1項に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    を作製するためのインクジェットヘッド作製方法であっ
    て、前記複数の基板の前記接合面の間に樹脂層を介在さ
    せ、前記接着剤進入領域は、前記樹脂層にRIEプロセ
    スまたはレーザー加工によって形成することを特徴とす
    るインクジェットヘッド作製方法。
  9. 【請求項9】 請求項5又は請求項6に記載のインクジ
    ェットヘッドを作製するためのインクジェットヘッド作
    製方法であって、前記空溝は、前記複数の基板のうち前
    記インク流路を構成する流路溝を形成した基板に、前記
    流路溝の加工とともに形成することを特徴とするインク
    ジェットヘッド作製方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のインクジェットヘッ
    ド作製方法において、前記複数の基板のうち少なくとも
    1つはSi基板からなり、前記流路溝及び前記空溝は、
    前記Si基板にODEプロセスによって形成することを
    特徴とするインクジェットヘッド作製方法。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載のインクジェットヘッ
    ド作製方法において、前記複数の基板のうち少なくとも
    1つはSi基板からなり、前記流路溝及び前記空溝は、
    前記Si基板にRIEプロセスによって形成することを
    特徴とするインクジェットヘッド作製方法。
  12. 【請求項12】 請求項4に記載のインクジェットヘッ
    ドを作製するためのインクジェットヘッド作製方法であ
    って、 前記接着剤が塗布された前記接合面を所定の圧力環境に
    て貼り合わせる工程と、前記接合面が前記貼り合わせら
    れた後に前記接着剤を前記所定の圧力環境よりも高い圧
    力環境にて硬化させる工程と、を有することを特徴とす
    るインクジェットヘッド作製方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜請求項6の何れか1項に記
    載のインクジェットヘッドを作製するためのインクジェ
    ットヘッド作製方法であって、 前記接着剤は、前記接着剤進入領域が設けられた側の前
    記接合面に塗布されることを特徴とするインクジェット
    ヘッド作製方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜請求項7の何れか1項に記
    載のインクジェットヘッド、又は、請求項8〜請求項1
    3の何れか1項に記載のインクジェットヘッド作製方法
    によって作製されたインクジェットヘッドを有するイン
    クジェット画像出力機能を備えた装置。
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