JP2016063507A - 画像処理装置及び画像処理プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
請求項1の発明は、画像データの画像を形成した媒体を、複数のセンサーによって、読取領域の少なくとも一部が隣接するセンサーの読取領域と重なり合うように読み取ったそれぞれの部分画像データの傾きを修正する修正手段と、前記画像データをそれぞれの前記部分画像データに合せた位置と大きさで抽出する抽出手段と、前記修正手段によって修正された部分画像データと前記抽出手段によって抽出された抽出画像データとの比較を行う比較手段を有する画像処理装置である。
図1は、第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
また、画像処理装置150は、画像記録装置100から印刷画像115を受け取り、画像記録装置100が印刷した記録媒体125を読み取る。
画像記録装置100は、画像生成モジュール110、記録モジュール120を有している。画像形成装置100と画像処理装置150は、別筐体にそれぞれ構成されていてもよいし、1つの筐体に構成されていてもよい。画像形成装置100は、プリンタ等の出力装置の機能を有している。画像処理装置150は、スキャナ等の画像読取装置としての機能を有している。
本実施の形態は、画像データと読取データを比較することによって、記録モジュール120、読取モジュール160によってノイズが発生しているか否かを判断するための出力を行う。ノイズが発生している場合は、そのノイズを低減させるために、記録モジュール120、読取モジュール160の調整を行う。
なお、読取モジュール160は、後述するように、1枚の用紙を1つのセンサーで読み取る一般的な読み取りではなく、1枚の用紙を複数のセンサーで読み取るものである。
記録モジュール120は、画像生成モジュール110、画像処理装置150の読取モジュール160と接続されており、画像生成モジュール110より印刷画像115を受け取り、読取モジュール160に記録媒体125を渡す。記録モジュール120は、印刷画像115を紙等の媒体に記録して、記録媒体125を出力する。具体的には、プリンタとしての機能を有している。つまり、記録媒体125には、印刷画像115が記録されている。
なお、センサー410のアライメントずれ、温度特性等による歪み、又は用紙450の浮き等のノイズによる読取漏れを防止するため、通常は隣接するセンサー410間で読取領域をオーバーラップさせながら読み取っている。
また、加工モジュール170は、画像データである印刷画像115から、読取画像#1:161等の位置と大きさに合わせて画像を抽出する。ここでは部分画像データの傾きと同じ傾きで画像を抽出する。したがって、印刷画像115の抽出結果である抽出画像データも、読取画像#1:161等と同様に、少なくとも1辺は隣り合う抽出画像データの1辺を含む領域と重なり合っている。
なお、加工モジュール170は、印刷画像115を画像生成モジュール110から受け付ける他に、印刷データ105を生成した情報処理装置(画像記録装置100に印刷データ105を渡した情報処理装置)から受け付けるようにしてもよいし、記録モジュール120から受け付けるようにしてもよいし、読取モジュール160が印刷画像115を画像生成モジュール110又は記録モジュール120から受け付けている場合は、読取モジュール160から受け付けるようにしてもよい。
また、加工モジュール170は、読取画像#1:161等の隣り合う部分画像データの間に余白を挿入し、傾きを修正した後に、部分画像データを合成して合成画像データを生成するようにしてもよい。ここで余白とは、色(白又は黒、透過等)を問わないが、固定された値の領域である。また、余白とは、その領域について比較をしても差分としての出力を行わないように設定された領域であってもよい。つまり、余白同士を比較した場合は、差分がないと判断がなされる領域を余白とする。また、この余白の幅は、少なくとも部分画像データが重なっている領域の幅以上とする。さらに、余白の幅は、部分画像データの傾き角度を考慮して決定しても良い。つまり、傾き角度を修正しても、部分画像データの長さ方向で重なりがなくなるように余白の幅を決定する。このことで、後に詳述する比較・照合モジュール180での比較・照合の際に、比較結果の幅方向の座標を参照するだけで、どの読取画像(センサー)で異なる部分が生じているかを特定することができる。また、余白の幅を、比較・照合モジュール180における比較対象(ブロック)の大きさに応じた幅としてもよい。例えば、比較対象(ブロック)の横幅の倍数としてもよい。そして、印刷画像115を分割した隣り合う抽出画像データの間に余白を挿入するようにしてもよい。この場合、抽出画像データに挿入される余白は、部分画像データに挿入される余白に傾きを修正した分の幅とすると、合成画像データと同じ条件での比較ができる。
また、比較・照合モジュール180は、加工モジュール170によって生成された合成画像データ(読取画像#1:161等を元にした合成画像データ)と、印刷画像115の抽出画像データの間に余白が挿入された画像データとの比較を行う。ここでの比較対象は、傾きが修正された部分画像データ(読取画像#1:161等)を合成したものと印刷画像115の抽出画像データを合成したものである。
なお、比較とは、両者の画像から異なるものを検出する処理であり、例えば、両者の画像の排他的論理和(EOR)処理を行うようにしてもよいし、両者の差分を抽出して、0以外の値となった部分が異なる部分であるとして検出するようにしてもよい。また、印刷画像172にはあるが読取画像174にはない画像を抽出する処理、印刷画像172にはないが読取画像174にある画像を抽出する処理等がある。そして、異なる部分に、ノイズが発生していると判断する。
ここで、照合結果185を出力するとは、例えば、異なる部分をプリンタ等の印刷装置で印刷すること、ディスプレイ等の表示装置に表示すること、ファックス等の画像送信装置で画像を送信すること、画像データベース等の画像記憶装置へ画像を書き込むこと、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の情報処理装置へ渡すこと等が含まれる。
画像記録装置100、画像処理装置150、印刷データ生成装置210、照合結果記憶装置220は、通信回線290を介してそれぞれ接続されている。通信回線290は、無線、有線、これらの組み合わせであってもよく、例えば、通信インフラとしてのインターネット等であってもよい。印刷データ生成装置210が、印刷データ105を生成し、その印刷データ105を画像記録装置100に渡す。画像記録装置100は、印刷データ105を印刷し、記録媒体125を出力する。画像処理装置150は、記録媒体125を読み取り、画像記録装置100(又は印刷データ生成装置210)から印刷データ105を受け取って、照合結果185を照合結果記憶装置220に渡す。照合結果記憶装置220は、画像処理装置150から照合結果185を受け取って記憶する。照合結果記憶装置220によって記憶された照合結果185に基づいて、画像記録装置100の記録モジュール120、画像処理装置150の読取モジュール160の調整が行われる。
ステップS302では、画像生成モジュール110は、印刷データ105の画像変換を行って、印刷画像115を生成する。
ステップS304では、記録モジュール120は、印刷画像115を媒体に記録する。印刷画像115が印刷された記録媒体125を生成する。
ステップS306では、読取モジュール160は、記録媒体125の読取を行う。
図6は、第1の実施の形態による処理例を示す説明図である。画像600は、読み取り直後の画像を示している。画像600は、各センサー410によって読み取られた画像(読み取り分割画像610、612、614、616、618)によって構成されており、オーバーラップしている部分として重複領域510、512、514、516がある。なお、重複領域510は、センサー410aとセンサー410bでそれぞれ読み取った画像データを重複して表示している。したがって、センサー410aで読み取った重複領域510の部分とセンサー410bで読み取った重複領域510の部分との間には、差異がある可能性がある。
ステップS310では、加工モジュール170は、読取画像#1:161〜読取画像#n:16n、印刷画像115に対して加工を行う。ここでの加工として、例えば、スキュー角、比較・照合モジュール180での照合における比較対象のサイズ(ブロックサイズ)に応じて、分割読取画像間に余白を挿入する。
図7は、第1の実施の形態による処理例を示す説明図である。画像700は、図6の例に示した画像600に対して、余白を挿入した画像の状態を示している。つまり、読み取り分割画像610と読み取り分割画像612の間に余白710を挿入し、読み取り分割画像612と読み取り分割画像614の間に余白712を挿入し、読み取り分割画像614と読み取り分割画像616の間に余白714を挿入し、読み取り分割画像616と読み取り分割画像618の間に余白716を挿入している。なお、読み取り分割画像612には、センサー410bが読み取った重複領域510、重複領域512を含んでいる。
図8は、第1の実施の形態による処理例を示す説明図である。画像800は、図7の例に示した画像700に対して、スキュー補正を行った画像の状態を示している。つまり、読み取り分割画像612等の傾きを無くした状態である。ここでの傾きとして、読み取り分割画像610、612、614、616、618のいずれか1つの傾きを検出し、その傾きに応じて読み取り分割画像610、612、614、616、618を補正してもよいし、読み取り分割画像610、612、614、616、618のそれぞれの傾きを検出し、それぞれの傾きに応じて読み取り分割画像610、612、614、616、618を補正してもよい。
図9は、第1の実施の形態による処理例を示す説明図である。図9(a)の例に示す画像900は、図8の例に示した画像800に対して、加工後出力画像950に合わせたサイズ補正を行ったものである。ここでのサイズ補正とは、加工後出力画像950の大きさと同じ大きさにするために、画像800の下辺部分(又は上辺部分)を削除し、右辺部分(又は左辺部分)を削除したものである。図9(b)の例に示す加工後出力画像950は、印刷データ105から抽出して、余白を挿入したものである。なお、抽出処理は、読取画像#1:161等と同じ大きさの画像に抽出する。ただし、重複領域は、隣り合う分割画像の両者に含ませるようにする。そして、図7の例で示したスキュー補正後の余白のサイズ(横幅)と同じサイズ(横幅)の余白(余白970、972、974、976)を、各分割画像(出力分割画像960、962、964、966、968)間に挿入する。
ここで欠陥検知は、以下のように行ってもよい。
1)印刷画像172と読取画像174のうち少なくとも一方を分割して複数のブロック画像を抽出し、印刷画像172と読取画像174の間で、ブロック画像を抽出した方とは異なる画像上で、ブロック画像の位置を予め定められた探索範囲内で異ならせながら、両画像の差分絶対値を画素毎に算出する。
2)ブロック内での差分絶対値和が極小となる位置を探索し、差分画像を生成する。
3)差分画像から欠陥を検出する。例えば、差分画像の画素値が、予め定められた閾値より高い又は以上である部分を結果として検出する。
ステップS314では、照合結果185を出力する。
データ採取・位置推定モジュール1140での、ブロック画像の位置推定に関しては、全てのブロック画像についての位置探索をはじめに行わずに、以下のような処理で行ってもよい。
データ採取・位置推定モジュール1140は、印刷画像115または読取画像1135のうち一方の画像から抽出したブロック画像のうち少なくとも1つ以上を選択し、誤差から算出される探索範囲を設定して他方の画像内で選択されたブロック画像が合致する位置を探索する。その後、選択されたブロック画像が他方の画像内で合致する位置に基づいて、選択されなかったブロック画像が他方の画像内で対応する位置を推定する。そして、推定した位置(変位量の推定値1145)を比較・照合モジュール1160に渡す 。
まず、ブロック画像が他方の画像内で対応する位置を推定する処理について、図13、図14を用いて説明する。図13は、データ採取・位置推定モジュール1140における処理例を示す説明図である。
記録モジュール120又は読取モジュール1130で発生し得る誤差に基づいて生成された矩形に、印刷画像115又は読取画像1135の一方の画像を分割して、矩形画像を抽出する。一方の画像は、印刷画像115、読取画像1135のいずれであってもよい。以下、主に、印刷画像115を一方の画像とし、読取画像1135を他方の画像として説明する。ブロック分割については、図19を用いて説明する。図19は、第2の実施の形態による処理例を示す説明図である。図19(a)の例では、参照画像1900aを9×12個のブロックに分割している。もちろんのことながら、分割数は、ブロックサイズ、参照画像1900aのサイズによって異なる。また、ブロックサイズと参照画像1900aのサイズの関係によっては、必ずしも整数個で分割できるわけではないが、例えば、1つのブロックに満たない部分は、白等の画像を付加すればよい。また、ブロック・移動量算出モジュール1150からブロックサイズ1152を受け取り、ブロックに分割する。
図20は、ブロック例を示す説明図であり、図19(a)の例に示すブロック画像1910aを拡大表示したものである。ブロック画像1910aは、Wp×Hpの大きさを有している。そして、ブロック画像1910aの中心画素2010の座標を(Cx,Cy)とする。
3)ブロック内での差分絶対値和(ブロック内の各画素における差分絶対値の総和)が極小となる位置を探索する。なお、ここでの探索範囲Aは、比較・照合モジュール1160で用いる変位量の推定値1145と同じでもよいし、異なっていてもよい。ブロック・移動量算出モジュール1150で算出した移動量1154によって定めたり、又は、図16を用いて後述する探索範囲としてもよい。
図13の例では、読取ブロック画像1320上で印刷ブロック画像1310を探索する。つまり、印刷ブロック画像1310と読取ブロック画像1320を探索範囲A内でずらし、その位置関係における差分絶対値和を算出する。算出した差分絶対値和が極小となる矩形画像間の位置関係を特定する。図14の例に示すように、読取画像1400内の読取ブロック画像1420に対して、印刷ブロック画像1410を探索する。探索範囲A内において、差分絶対値和が極小となる位置1450を求める。位置1450は、例えば、印刷ブロック画像1410と読取ブロック画像1420の中心の座標の差分(Δx、Δy)である。ここでは、読取ブロック画像1320上で印刷ブロック画像1310を探索する例を示したが、もちろんのことながら、印刷ブロック画像1310上で読取ブロック画像1320を探索するようにしてもよい。本実施例では印刷画像と読取画像の両方をブロックとして切り出したが、印刷画像のみブロック画像を切り出し、他方の読取画像に直接探索範囲を設定して、その範囲内で同様に差分絶対値和最小位置を探索してもよい。また、読取画像のみブロック画像を切り出し、他方の印刷画像に直接探索範囲を設定して、その範囲内で同様に差分絶対値和最小位置を探索してもよい。
印刷画像115の画像を記録媒体125に形成した記録モジュール120又はその記録媒体125を読み取った読取モジュール1130で発生し得る誤差及び画像(印刷画像115、読取画像1135のいずれでもあってもよい)内の位置に基づいて、探索範囲Aを定める移動量の範囲を決定する。「記録モジュール120又は読取モジュール1130で発生し得る誤差」については、ブロック・移動量算出モジュール1150の説明で後述する。例えば、データ採取・位置推定モジュール1140は、印刷画像115又は読取画像1135における原点からの距離に応じて、移動量を大きくし、原点から最遠の地点における移動量は、印刷画像115又は読取画像1135の大きさにおいて、記録モジュール120又は読取モジュール1130において発生し得る誤差であるアフィン変換による移動量が最大となるように算出する。なお、原点からの距離とは、ブロックの位置と同値である。印刷画像115又は読取画像1135の原点は、記録モジュール120又は読取モジュール1130の誤差の発生が最小の位置であり、例えば、画像の左上角の座標をいう。「原点から最遠の地点」は、原点から最遠の位置である。原点から最遠の位置は、記録モジュール120又は読取モジュール1130の誤差の発生が最大の位置であり、例えば、画像の右下角の座標をいう。具体的には、データ採取・位置推定モジュール1140は、左上角の座標から右下角の座標の方向に向かって、探索範囲Aの大きさを大きくする。そして、その最大の大きさは、「記録モジュール120又は読取モジュール1130で発生し得る誤差」の最大値によって定まるものであり、ブロック・移動量算出モジュール1150によって算出される移動量1154である。
探索処理については、図21を用いて前述の説明通りである。なお、図21に示す例は、図19(b)の例に示す探索範囲1950bを拡大表示したものである。
例えば、全面が同じ色(例えば、白、黒、透過等)で塗り潰されたようなブロック(完全に同じ色でなくとも、全面の画素値のばらつきが予め定められた値以下である場合を含んでもよい)、一本の直線が描かれたのみのブロック、複数本からなる平行線が描かれたのみのブロック、ブロック内に規則的な図形(実質的に同じ図形)が複数描かれているのみのブロック等がある。これらは、対応する位置が一義的に決定できないため、選択されなかったブロックの位置が推定できない、又は推定できたとしても誤差が大きくなる可能性があり、位置の推定をするのに適していないブロックであるからである。
これらのブロックを対象外とする判断をする時期は、ブロックの選択をする際でもよいし、一度ブロックを選択して対応位置を探索した後で他の画像の位置を推定する際に行ってもよいが、ブロックの選択時に行った方が、余計な探索にかかる計算量を低減できる。
また、ブロックを選択して探索した結果、差分絶対値和が極小となる矩形画像間の距離が予め定められた値より大又は以上である場合は、そのブロックにおける位置関係は選択されなかった他のブロックの位置推定の元としては対象外とする。
つまり、以下のような処理を行う。ブロック画像の位置(Δx、Δy)を特徴空間にプロットする。特徴空間として、例えば、画像のx軸、y軸、Δx又はΔyを軸とする3次元空間がある。ここでは、x軸、y軸は、ブロックの中心の座標を示す軸である。特徴空間としては、画像のx軸、y軸、Δx軸、Δy軸とする4次元空間としてもよいし、Δx又はΔyを示す軸が含まれていれば、この他の空間としてもよい。このプロットによって構成される平面を算出する。例えば、図15(a)の例における変位量(△x)を表す平面1520、図15(b)の例における変位量を表す(△y)平面1530のようになる。もちろんのことながら、全てのプロットが平面にある必要はなく、これらのプロットから推測される平面を既存の方法を用いて算出すればよい。
この変位量を表す平面を用いて、画像内の全てのブロックにおける変位量を推定できる。具体的には、平面を示す式(Δx=a1x+b1y+c1、Δy=a2x+b2y+c2)に、各ブロックの位置を代入して、各ブロックにおける変位量を推定する。
ここでの変位量推定については、少なくとも、選択されなかったブロック画像を対象にする必要がある。本処理を逐次処理で行う場合には、全てのブロック画像を対象とするよりも、選択されなかったブロック画像のみを対象にする方が、変位量推定の計算量が低減されて高速に処理ができる。マルチコアCPUやGPU等で並列処理にて変位量推定を実施する場合は、ブロック画像が選択対象か否かを判断するステップを追加するよりも、全てのブロック画像に一律に処理を適用した方がより高速に処理ができる。
ここでの探索対象は、少なくとも選択されなかったブロック画像とする。本処理を逐次処理で行う場合には、全てのブロック画像を対象とするよりも、選択されなかったブロック画像のみを対象とする方が探索する計算量が低減されて高速に処理ができる。マルチコアCPUやGPU等で並列処理にて2回目の位置探索を実施する場合は、ブロック画像が選択対象か否かを判断するステップを追加するよりも、全てのブロック画像に一律に処理を適用した方がより高速に処理ができる。
ここでの探索範囲は、上述の探索範囲の決定方法と同様に決定したものでも構わないが、既に選択されなかったブロック画像について位置の推定がなされているため、それよりも小さい範囲を探索範囲として構わない。同じ探索範囲を用いる場合と比べ、差分抽出にかかる計算量が低減される。
そこで、比較・照合モジュール1160は、記録モジュール120、読取モジュール1130で発生し得る誤差を除いた欠陥(例えば、3画素以上の黒画素混入)を抽出しようとするものである。つまり、設計仕様上許容されている誤差以外の欠陥が発生しているか否かを確認し、その欠陥が発生している位置を特定して、記録モジュール120、読取モジュール1130の整備に役立てようとするものである。
ブロック・移動量算出モジュール1150が算出する移動量1154は、印刷画像115又は読取画像1135の大きさにおいて、アフィン変換による移動量が最大となるように定まっている。移動量1154は、探索範囲1950bを形成するためのものである。図22は、ブロック画像1910aと探索範囲1950bの関係例を示す説明図である。移動量1154は、具体的には、上方向移動量、下方向移動量、左方向移動量、右方向移動量である。
ブロック画像1910aの縦(ブロック高さ)は、La+1+Lbであり、図20の例に示したHpである。
ブロック画像1910aの幅(ブロック幅)は、Ll+1+Lrであり、図20の例に示したWpである。
探索範囲1950bの縦(探索範囲高さ)は、Hp+La+Lbである。Laは上方向移動量である。Lbは下方向移動量である。
探索範囲1950bの幅(探索範囲幅)は、Wp+Ll+Lrである。Llは左方向移動量である。Lrは右方向移動量である。
なお、移動量1154の算出については、図24、25の例を用いて後述する。
また、移動量1154は、その画像における探索範囲の最大値を示しており、データ採取・位置推定モジュール1140は、移動量1154を用いて、画像内におけるブロックの位置に基づいて、変位量の推定値1145を決定する。
まず、画像生成モジュール110は、印刷データ105を画像変換して、印刷画像115を生成する。
次に、記録モジュール120は、印刷画像115を記録媒体125上に記録する。
次に、読取モジュール1130は、印刷画像115が記録された記録媒体125を読み取る。読み取った結果が、読取画像1135である。
次に、データ採取・位置推定モジュール1140は、変位量の推定値1145を決定するためのデータ(具体的には、ブロック画像間の差分)を採取する。
次に、データ採取・位置推定モジュール1140は、ブロック毎の変位量を推定する。
次に、比較・照合モジュール1160は、変換画像(印刷画像115)と読取画像1135を比較・照合して欠陥発生領域を検知する。
ステップS1202では、印刷データの画像か読取データの画像の少なくとも一方の画像を分割する。ここでの分割方法は、誤差を用いて算出された大きさで(例えば、誤差が大きいほど小さくなるように)分割する。
ステップS1204では、一部の分割画像に対して探索範囲を決定する。ここでの探索範囲の決定は、誤差を用いて算出された大きさで(例えば、誤差が大きいほど大きくなるように)決定する。
ステップS1206では、相手の画像での対応する位置を特定する。具体的には、分割した画像を他方の画像に重ね合わせて画素ごとに差分を取って、その差分の絶対値で加算することを探索範囲内で画像の位置を異ならせながら行い、一番差分の小さい位置を対応する位置とする。
ステップS1208では、特定した対応する位置から、他の分割画像が相手の画像で対応する位置を推定する。具体的には、対応する位置と初期位置とのズレ量を平面に描画し、他の分割画像がどの程度ずれるかを、平面と分割画像の分割元の画像に対する位置とから推定する。
ステップS1210では、他の分割画像について、推定された位置から相手の画像での対応する位置を特定する。ここでの探索範囲はステップS1204と同じでもよいが、ステップS1204で決定した探索範囲よりも狭い第2の探索範囲としてもよい。ここで探索される分割画像はステップS1208で推定された位置から探索をするので、対応する位置が近くなっているためである。第2の探索範囲を適用することによって、位置を特定するために行われる差分を取る計算量が低減される。
ステップS1212では、それぞれ特定された位置で比較した結果を出力する。位置特定の際に取得した差分をそのまま比較結果としても構わないし、さらに画像を加工して(例えば、差分を強調する等)出力しても構わない。
ステップS1802では、記録モジュール120、読取モジュール1130で発生し得る拡大縮小率、回転角度(スキューの角度)を取得する。
ステップS1804では、ブロックサイズを算出する。
ステップS1806では、移動量を算出する。
ステップS1808では、ブロックサイズ1152、移動量1154をデータ採取・位置推定モジュール1140、比較・照合モジュール1160へ渡す。
図23の例は、印刷画像115内の点2350が、記録モジュール120、読取モジュール1130の誤差によって、どのようにずれていくかを示したものである。
点2350が、拡縮による移動(両走査方向最大縮小時)2355によって点2360へ移動する。さらに、スキューによる移動(反時計回り)2365によって点2370に移動する。これは、最大縮小(最も小さくなる場合)、反時計回りの回転が最大となった場合である。
点2350が、拡縮による移動(両走査方向最大拡大時)2345によって点2340へ移動する。さらに、スキューによる移動(時計回り)2335によって点2330に移動する。これは、最大拡大(最も大きくなる場合)、時計回りの回転が最大となった場合である。
(3)△x、△yが1.4となるy’、x’を計算する。そして、ブロックの幅、高さをW、Hとすると、式(3)のようになる。
これによって、ブロックサイズ1152(式(3)のW、H)が算出できる。例えば、ブロックの幅、高さとして、それぞれ100画素、110画素等となる。
記録モジュール120、読取モジュール1130による回転、拡大縮小、移動が全て最悪状態で発生した場合に、ある用紙サイズ(例えば、A3ノビ用紙)において右下隅での移動量を考慮できるように移動量1154を設定する。なお、以下座標は左上隅を原点、右方向・下方向が正値方向、回転角は時計回りが正値方向とする。
右上方向へ移動量が最大となる条件下で、ある用紙サイズでの左上隅を原点として最も移動量が多い右下隅(例えば、A3ノビ用紙では、300dpiでの座標(3897,5763))の移動量を計算すると、式(4)のようになる。
ここで、Mskew、Msize、Mshiftは、それぞれ式(5)、式(6)、式(7)のようになる。
したがって、式(8)のようになる。
点2450が、シフトによる移動(右上方向に最大)2455によって点2460へ移動する。さらに、拡縮による移動(主走査方向最大拡大、副走査方向最大縮小時)2465によって点2470に移動する。さらに、スキューによる移動(反時計回り)2475によって点2480に移動する。つまり、画像2400の原点2410(図24では左上隅)から最遠地点(右下隅)での、上方向、右方向への最大移動量を算出している。
したがって、式(12)のようになる。
点2450が、シフトによる移動(左下方向に最大)2445によって点2440へ移動する。さらに、拡縮による移動(主走査方向最大縮小、副走査方向最大拡大時)2435によって点2430に移動する。さらに、スキューによる移動(時計回り)2425によって点2420に移動する。つまり、画像2400の原点2410(図25では左上隅)から最遠地点(右下隅)での、下方向、左方向への最大移動量を算出している。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通等のために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、又は無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、又は別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化等、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
105…印刷データ
110…画像生成モジュール
115…印刷画像
120…記録モジュール
125…記録媒体
150…画像処理装置
160…読取モジュール
161…読取画像#1
16n…読取画像#n
170…加工モジュール
172…印刷画像
174…読取画像
180…比較・照合モジュール
185…照合結果
210…印刷データ生成装置
220…照合結果記憶装置
290…通信回線
1130…読取モジュール
1135…読取画像
1140…データ採取・位置推定モジュール
1145…変位量の推定値探索範囲
1150…ブロック・移動量算出モジュール
1152…ブロックサイズ
1154…移動量
1160…比較・照合モジュール
1165…欠陥検知結果
Claims (5)
- 画像データの画像を形成した媒体を、複数のセンサーによって、読取領域の少なくとも一部が隣接するセンサーの読取領域と重なり合うように読み取ったそれぞれの部分画像データの傾きを修正する修正手段と、
前記画像データをそれぞれの前記部分画像データに合せた位置と大きさで抽出する抽出手段と、
前記修正手段によって修正された部分画像データと前記抽出手段によって抽出された抽出画像データとの比較を行う比較手段
を有する画像処理装置。 - 前記修正手段は、隣り合う部分画像データの間に第1の余白を挿入し、傾きを修正した後に、部分画像データを合成して合成画像データを生成し、
前記抽出手段によって抽出された隣り合う抽出画像データの間に、前記第1の余白および部分画像データの傾きから決定された大きさの第2の余白を挿入する挿入手段
をさらに有し、
前記比較手段は、前記合成画像データと前記挿入手段によって前記第2の余白が挿入された画像データとの比較を行う
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記第1の余白は、部分画像データの傾き角度を修正しても、部分画像データの長さ方向で重なりがなくなるように余白の幅を決定する
請求項1又は2に記載の画像処理装置。 - 前記比較手段は、前記合成画像データ又は前記挿入手段によって前記第2の余白が挿入された画像データのうち一方を分割して複数の矩形画像を抽出し、抽出された複数の画像が他方の画像内で対応する位置を探索し、探索された対応する位置でそれぞれの矩形画像と他方の画像との比較を行い、
前記第1の余白は、前記合成画像データと前記挿入手段によって前記第2の余白が挿入された画像データとの比較を行う際に、前記修正手段によって修正された、部分画像データと前記第1の余白をあわせた幅が、前記比較手段で抽出される矩形画像の幅の整数倍となっているよう設定され、
前記第2の余白は、前記合成画像データと前記挿入手段によって前記第2の余白が挿入された画像データとの比較を行う際に、前記抽出画像データと前記第2の余白とをあわせた幅が、前記比較手段で抽出される矩形画像の幅の整数倍となっているよう設定される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - コンピュータを、
画像データの画像を形成した媒体を、複数のセンサーによって、読取領域の少なくとも一部が隣接するセンサーの読取領域と重なり合うように読み取ったそれぞれの部分画像データの傾きを修正する修正手段と、
前記画像データをそれぞれの前記部分画像データに合せた位置と大きさで抽出する抽出手段と、
前記修正手段によって修正された部分画像データと前記抽出手段によって抽出された抽出画像データとの比較を行う比較手段
として機能させるための画像処理プログラム。
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