<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1に係る積層型コンデンサ10について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る積層型コンデンサ10を示す概略の斜視図であり、図2(a)は、図1(a)に示す積層型コンデンサ10のA−A線で切断した切断部端面図であり、図2(b)は、B−B線で切断した切断部端面図である。また、積層型コンデンサ10は、いずれの方向が上方もしくは下方とされてもよいものであるが、便宜的に、直交座標系XYZを定義するとともに、Z方向の正側を上方として、上面もしくは下面の用語を用いるものとする。
積層型コンデンサ10について、図面を参照しながら以下に説明する。
積層型コンデンサ10は、図1乃至図4に示すように、積層体1、信号用内部電極2(第1の信号用内部電極2aおよび第2の信号用内部電極2b)、接地用内部電極3(第1の接地用内部電極3aおよび第2の接地用内部電極3b)、信号用外部端子4(第1の信号用外部端子4aおよび第2の信号用外部端子4b)、接地用外部端子5(第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5b)と、を備えている。
積層体1は、複数の誘電体層1aが積層されて略直方体状に形成されており、互いに対向する第1および第2の主面(1b、1c)と互いに対向する第1および第2の端面(1d、1e)互いに対向する第1および第2の側面(1f、1g)とを有している。そして、互いに対向する第1および第2の端面(1d、1e)は、第1および第2の主面(1b、1c)間を連結しており、また、互いに対向する第1および第2の側面(1f、1g)
は、第1および第2の主面(1b、1c)間および第1および第2の端面(1d、1e)間を連結している。なお、略直方体状とは、立方体形状または直方体形状のみならず、例えば、直方体の稜線部分に面取りが施されて稜部がR形状となるものを含んでいる。
積層体1は、誘電体層1aとなるセラミックグリーンシートを複数枚積層して焼成することで得られる焼結体である。このように、積層体1は、略直方体状に形成されており、互いに対向する第1の主面1bおよび第2の主面1cと、第1の主面1bおよび第2の主面1cに直交しており互いに対向する第1の端面1dおよび第2の端面1eと、第1の端面1dおよび第2の端面1eに直交しており互いに対向する第1の側面1fおよび第2の側面1gとを有している。また、積層体1は、誘電体層1aの積層方向(Z方向)に対して、直交する方向の断面(XY面)となる平面が、図4に示すように長方形状となっている。
このような構成の積層型コンデンサ10の寸法は、長手方向(Y方向)の長さが、例えば、0.6(mm)〜2.2(mm)、短手方向(X方向)の長さが、例えば、0.3(mm)〜1.5(mm)、高さ方向(Z方向)の長さが、例えば、0.3(mm)〜1.2(mm)である。
誘電体層1aは、積層方向からの平面視において長方形状であり、1層当たりの厚みが、例えば、0.5(μm)〜3.0(μm)である。積層体1は、例えば、10(層)〜1000(層)からなる複数の誘電体層1aがZ方向に積層されている。
信号用内部電極2は、第1の信号用内部電極2aと第2の信号用内部電極2bとを含んでおり、また、接地用内部電極3は、第1の接地用内部電極3aと第2の接地用内部電極3bとを含んでおり、信号用内部電極2および接地用内部電極3は、誘電体層1a間にそれぞれ配置されており、積層体1の第1の主面1bおよび第2の主面1cに平行となるようにそれぞれ設けられている。
第1の信号用内部電極2aは、誘電体層1a間に配置されて、第1の端面1dおよび第2の側面1eの少なくとも一方に引き出されており、第1の接地用内部電極3aは、第1の信号用内部電極2aと同一平面内に所定間隔を介して第1の信号用内部電極に対向して配置されており、第1の側面1fに引き出されている。このように、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとは、図3および図4に示すように、積層体1内の積層方向に対して直交する方向の同一平面内において、積層体1の短手方向(X方向)の中央部で互いに対向するように配置されている。すなわち、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとは、第1の側面1fおよび第2の側面1gに平行に所定間隔を介して並んで配置されている。
第1の信号用内部電極2aは、積層体1内に形成されており、図4(a)に示すように、積層方向から平面視して四角形状を有している。また、第1の接地用内部電極3aは、第1の信号用内部電極2aと同一平面内に形成されており、積層方向から平面視して四角形状を有している。第1の接地用内部電極3aは、引出部3cが四角形状の第1の側面1f側の辺部から第1の側面1fに延在して設けられており、引出部3cの端部が第1の側面1fに露出するように第1の側面1fに引き出されている。また、第1の接地用内部電極3aは、図4(a)においては、引出部3cが2個設けられているが、これに限らず、引出部3cが1個または3個以上設けられていてもよい。
このように、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとは、図3および図4(a)に示すように、同一平面内に一対となって所定間隔を介して互いに対向して配置されており、同一平面内の短手方向(X方向)の中央部の領域に長手方向(Y方向)に
平行な対向部を有している。所定間隔は、例えば、30(μm)〜50(μm)である。なお、同一平面内とは、同一の誘電体層間にあることをいう。
また、第2の信号用内部電極2bは、第1の信号用内部電極2aと同様な形状であり、第1の接地用内部電極3aと積層方向で重なる位置に誘電体層1aを介して配置されており、第1の端面1dおよび第2の側面1eの少なくとも一方に引き出されている。
このように、第1の信号用内部電極2aは、積層体1内に形成され、図2乃至図4に示すように、平面視において四角形状であり、積層方向において第2の接地用内部電極3b間に配置されており、積層体1の対向する二側面(1d、1e)の少なくとも一方の側面に引き出されている。また、第2の信号用内部電極2bは、積層体1内に形成され、平面視において四角形状であり、積層方向において第1の接地用内部電極3a間に配置されており、対向する二側面(1d、1e)の少なくとも一方の側面に引き出されている。
積層型コンデンサ10において、第1の信号用内部電極2aおよび第2の信号用内部電極2bは、第1の端面1dおよび第2の端面1eの両方の端面に引き出されている。また、第1の信号用内部電極2aおよび第2の信号用内部電極2bは、第1の端面1dおよび第2の端面1eのうちのどちらか一方に引き出されていればよい。
また、第2の接地用内部電極3bは、第1の信号用内部電極2aと積層方向で重なる位置に配置されるとともに、第2の信号用内部電極2bと同一平面内に所定間隔を介して第2の信号用内部電極2bに対向して配置されており、第2の側面1gに引き出されている。このように、第2の信号用内部電極2bと第2の接地用内部電極3bとは、積層体1内の積層方向に対して直交する方向の同一平面内において、積層体1の短手方向(X方向)の中央部で互いに対向するように配置されている。すなわち、第2の信号用内部電極2bと第2の接地用内部電極3bとは、第1の側面1fおよび第2の側面1gに平行に所定間隔を介して並んで配置されている。
第2の信号用内部電極2bは、図4(b)に示すように、積層方向から平面視して四角形状を有している。また、第2の接地用内部電極3bは、積層方向から平面視して四角形状を有している。第2の接地用内部電極3bは、第2の信号用内部電極2bと同一平面内に形成されており、引出部3dが四角形状の第2の側面1g側の辺部から第2の側面1g
に延在して設けられており、引出部3dの端部が第2の側面1gに露出するように第2の側面1gに引き出されている。また、第2の接地用内部電極3bは、図4(b)においては、引出部3dが2個設けられているが、これに限らず、引出部3dが1個または3個以上設けられていてもよい。
このように、第2の信号用内部電極3bと第2の接地用内部電極3bとは、図3および図4(b)に示すように、同一平面内に一対となって所定間隔を介して対向して配置されており、同一平面内の短手方向(X方向)の中央部の領域に長手方向(Y方向)に平行な対向部を有している。所定間隔は、例えば、30(μm)〜50(μm)である。なお、同一平面内とは、同一の誘電体層間にあることをいう。
また、積層型コンデンサ10は、図3および図4に示すように、積層方向において、第1の接地用内部電極3aは、引出部3cが第1の側面1fに引き出されように配置されており、第2の接地用内部電極3bは、引出部3dが第2の側面1gに引き出されるように配置されており、積層方向から平面視してX方向において、引出部3cと引出部3dとは互いに対向して配置されている。また、引出部3cは、第1の接地用内部電極3aの第1の側面1f側に位置していれば、どの位置に設けられていてもよく、また、引出部3dは、第2の接地用内部電極3bの第2の側面1g側に位置していれば、どの位置に設けられ
ていてもよい。
このように、積層型コンデンサ10は、第1の接地用内部電極3a間に第2の信号用内部電極2bが挟まれており、第2の接地用内部電極3b間に第1の信号用内部電極2aが挟まれており、第1の接地用内部電極3aと第2の接地用内部電極3bとが相互に同極となる。すなわち、積層型コンデンサ10は、第1の信号用内部電極2aと第2の接地用内部電極3bとが積層方向において相互に重なって配置されており、また、第1の接地用内部電極3aと第2の信号用内部電極2bとが積層方向において相互に重なって配置されている。
信号用内部電極2の導電材料は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)または金(Au)等の金属材料、あるいは、これらの金属材料の一種以上を含む、例えば、Ag−Pd合金等の合金材料である。また、信号用内部電極2は、厚みが、例えば、0.5(μm)〜2(μm)である。また、第1の信号用内部電極2aおよび第2の信号用内部電極2bは、同一の金属材料または合金材料によって形成することが好ましい。
また、接地用内部電極3の導電材料は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)または金(Au)等の金属材料、あるいは、これらの金属材料の一種以上を含む、例えば、Ag−Pd合金等の合金材料である。また、接地用内部電極3は、厚みが、例えば、0.5(μm)〜2(μm)である。第1の接地用内部電極3aおよび第2の接地用内部電極3bは、同一の金属材料または合金材料によって形成することが好ましい。また、信号用内部電極2および接地用内部電極3は、同一の金属材料または合金材料によって形成することが好ましい。
積層型コンデンサ10は、積層体1内において、図2乃至図4に示すように、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとが一組となって、同一平面内に互いに対向して配置されており、また、誘電体層1aを介して第2の接地用内部電極3bと第2の信号用内部電極2bとが一組となって、同一平面内に互いに対向して配置されている。このように、同一平面内に第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとが並んで設けられ、また、同一平面内に第2の接地用内部電極3bと第2の信号用内部電極2bとが並んで設けられ、図3に示すように、誘電体層1aを介してこれらが第1の主面1b側から第2の主面1cに向かって順に交互に配置されている。すなわち、一組の第1の信号用内部電極2aおよび第1の接地用内部電極3aと、一組の第2の接地用内部電極3bおよび第2の信号用内部電極2bとは、積層体1内において誘電体層1aで隔てられ、かつ互いに対向して配置されており、これらの間には少なくとも1層の誘電体層1aがそれぞれ挟まれている。これらの内部電極が形成された誘電体層1aが複数枚積層されて積層型コンデンサ10の本体である積層体1が形成される。
また、積層型コンデンサ10は、図2(a)に示すような積層構成に限定されない。例えば、積層型コンデンサ10は、同一平面内に第2の接地用内部電極3bと第2の信号用内部電極2bとが設けられ、同一平面内に第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとが設けられ、誘電体層1aを介してこれらが第1の主面1b側から第2の主面1cに向かって順に交互に配置されていてもよい。また、信号用内部電極2および接地用内部電極3のそれぞれの積層数は、積層型コンデンサ10の特性等に応じて適宜設計される。
信号用外部端子4は、第1の信号用外部端子4aと第2の信号用外部端子4bとからなり、積層体1の対向する二側面(1d、1e)にそれぞれ互いに対向して配置されている。第1の信号用外部端子4aは、第1の端面1dに配置されて、少なくとも第1の信号用
内部電極2aに接続されており、第2の信号用外部端子4bは、第2の端面1eに配置されて、少なくとも第2の信号用内部電極2bに接続されている。図1に示すように、第1の信号用外部端子4aは第1の端面1dの全体を覆うように設けられており、第2の信号用外部端子4bは第2の端面1eの全体を覆うように設けられている。
また、信号用外部端子4は、積層型コンデンサ10が搭載される回路基板(図示せず)上の、例えば、信号ライン用電極または電流ライン用電極等に接続されることになる。
第1の接地用外部端子5aは、第1の側面1fに配置されて、第1の接地用内部電極3aに接続されており、第2の接地用外部端子5bは、第2の側面1gに配置されて、第2の接地用内部電極3bに接続されている。図4に示すように、第1の接地用外部端子5aは第1の接地用内部電極3aの引出部3cに接続され、第2の接地用外部端子5bは第2の接地用内部電極3bの引出部3dに接続されている。
このように、積層型コンデンサ10において、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bは、図1および図4に示すように、積層体1の対向する二側面(1f、1g)にそれぞれ配置されており、第1の接地用外部端子5aが第1の側面1fに配置されており、第2の接地用外部端子5bが第2の側面1gに配置されている。また、第1の接地用外部端子5aは、端部が第1の側面1fから第1の主面1bおよび第2の主面1cに延在するように設けられており、また、第2の接地用外部端子5bは、端部が第2の側面1gから第1の主面1bおよび第2の主面1cに延在するように設けられている。また、第1の接地用外部端子5aと第2の接地用外部端子5bとが積層体1において電気的に接続されるような構成であってもよい。例えば、第1の接地用外部端子5aと第2の接地用外部端子5bとが、積層体1の第1の主面1bまたは第2の主面1cのどちらか一方で繋がるような構成であってもよく、また、第1の接地用外部端子5aと第2の接地用外部端子5bとが、第1の主面1bおよび第2の主面1cの両方において繋がるような構成であってもよい。
また、第1の接地用外部端子5aは、引出部3cの第1の側面1fへの露出部を覆うように設けられており、第2の接地用外部端子5bは、引出部3dの第2の側面1gへの露出部を覆うように設けられている。
また、第1の接地用内部電極5aおよび第2の接地用外部端子5bは、例えば、積層型コンデンサ10が搭載される回路基板(図示せず)上のグランド用パッドにそれぞれ接続されることになる。
積層型コンデンサ10は、積層体1内の誘電体層1aを介して上下方向において、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3bとの間で、また、第2信号用内部電極2bと第1の接地用内部電極3aとの間で容量を構成している。
また、積層型コンデンサ10は、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとが、図4(a)に示すように、同一平面内に所定間隔を介して第1の側面1fおよび第2の側面1gに平行となるように並んで配置されており、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとで容量を構成している。また、第2の信号用内部電極2bと第2の接地用内部電極3bとが、図4(b)に示すように、同一平面内に所定間隔を介して第1の側面1fおよび第2の側面1gに平行となるように並んで配置されており、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとで容量を構成している。
積層型コンデンサ10は、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bのそれぞれの端部が第1の主面1bに延在しているので、それぞれの端部を、例えば、回
路基板が収容されるケース(筐体)等に当接させることができる。すなわち、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bの端部とケース等とを当接することによって、積層型コンデンサ10は、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bの端部とケース等とを同電位にすることができる。なお、回路基板が収容されるケース等は、グランドに接地されており、積層型コンデンサ10は、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bを介してグランドを強化することができる。
積層型コンデンサ10は、信号用内部電極2が長手方向(Y方向)に延びて配置されており、この信号用内部電極2で信号を伝達する経路を構成している。
また、積層型コンデンサ10は、図3および図4に示すように、第1の接地用内部電極3aは、Z方向(積層方向)において第2の信号用内部電極2bを間に挟んで配置されており、また、第2の接地用内部電極3bは、Z方向(積層方向)において第1の信号用内部電極2aを間に挟んで配置されており、引出部3cが第1の側面1fに延びて、また、引出部3dが第2の側面1gに延びている。そして、積層型コンデンサ10は、第1の接地用外部端子5aが引出部3cに接続され、第2の接地用外部端子5bが引出部3dに接続されており、第1の接地用内部電極3aおよび第2の接地用内部電極3bでグランドに電流を流す経路を構成している。
このように、積層型コンデンサ10は、第1の接地用内部電極3aと第2の接地用内部電極3bとからなる2つの経路を介してグランドに電流が流れるようになっている。したがって、積層型コンデンサ10は、第1の接地用内部電極3aと第2の接地用内部電極3bとが誘電体層1aを介して配置されており、一組の第1の接地用内部電極3aおよび第2の接地用内部電極3bでグランドへの電流が相互に逆向きに流れる経路を有することになり、積層体1内で相互インダクタンスを互いに打ち消しあうことができる。すなわち、積層型コンデンサ10は、第1の接地用内部電極3aの引出部3cが第1の側面1fに引き出され、第2の接地用内部電極3baの引出部3dが第1の側面1fに対向する第2の側面1gに引き出されているので、誘電体層1aを介して積層方向(Z方向)に位置する第1の接地用内部電極3aと第2の接地用内部電極3bとでは、電流が互いに逆方向に流れるようになる。
このように、積層型コンデンサ10は、積層方向(Z方向)において、第1の接地用内部電極3aが第1の側面1f側に設けられており、また、第2の接地用内部電極3bが第2の側面1g側に設けられており、積層方向から平面透視して、第1の接地用内部電極3aと第2の接地用内部電極3bとが互いに対向するように配置されており、引出部3cと引出部3dとが互いに対向するように配置されているので、第1の接地用外部端子5aおよび第2に接地用外部端子5bに向かう電流が相互に逆方向に流れるようになる。したがって、積層型コンデンサ10は、積層方向(Z方向)において、第1の接地用内部電極3aと第2の接地用内部導体3bとの間で相互に電流が逆方向に流れるので、積層型コンデンサ10は、グランドに流れる電流が逆方向となるので発生する磁界方向が互いに逆方向になり、相互誘導効果により、等価直列インダクタンス(ESL)を小さくすることができる。
したがって、積層型コンデンサ10は、磁界の相殺作用によって、積層型コンデンサ10のインダクタンスが低下して、等価直列インダクタンス(ESL)を小さくすることができる。したがって、積層型コンデンサ10は、ESLが小さくなり、共振周波数を高周波数域側にシフトさせることができるので、高周波数域のノイズを低減することができる。
また、積層型コンデンサ10は、第1の信号用内部電極2aに対して、積層方向(Z方
向)では、上下に第2の接地用内部電極3bが対向するとともに積層方向から平面視して重なるように配置されており、さらに、同一平面内では、第1の接地用内部電極3aが対向して並んで配置されており、例えば、第1の信号用内部電極2aに入ったノイズ成分は、上下方向に位置する第2の接地用内部電極3bおよび同一平面内に位置する第1の接地用内部電極3aを介してグランドに効果的に逃がすことができる。
同様に、積層型コンデンサ10は、第2の信号用内部電極2bに対して、積層方向(Z方向)では、上下に第1の接地用内部電極3aが対向するとともに積層方向から平面視して重なるように配置されており、さらに、同一平面内では、第2の接地用内部電極3bが対向して並んで配置されており、例えば、第2の信号用内部電極2bに入ったノイズ成分は、上下方向に位置する第1の接地用内部電極3aおよび同一平面内に位置する第2の接地用内部電極3bを介してグランドに効果的に逃がすことができる。
積層型コンデンサ10は、例えば、回路基板(図示せず)の信号ラインまたは電源ライン等に接続する場合には、第1の信号用外部端子4aを信号ラインまたは電源ラインの入力端に接続し、また、第2の信号用外部端子4bを信号ラインまたは電源ラインの出力端に接続するとともに、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bをそれぞれ接地端(グランド)に接続して、信号ラインまたは電源ラインの高周波ノイズを低減することができる。この場合には、例えば、ノイズを低減したい信号ラインまたは電源ライン等のパターンはカットされており、積層型コンデンサ10は、カットされた部分に第1の信号用外部端子4aと第2の信号用外部端子4bとがそれぞれ接続されている。
また、同様に、積層型コンデンサ10は、等価直列インダクタンス(ESL)が低減されるので、例えば、CPUの駆動電源ラインまたは信号ラインに接続することによって、駆動電源ラインまたは信号ラインの高周波数域のノイズを低減することができる。例えば、積層型コンデンサ10は、第1の信号用外部端子4aおよび第2の信号用外部端子4bを回路基板上の電源ラインまたは信号ラインに対して並列(回路上同電位)となるように接続するとともに、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bを接地端(グランド)に接続して、電源ラインまたは信号ラインの高周波ノイズを低減することができる。この場合には、例えば、ノイズを低減したい電源ラインまたは信号ラインのパターンはカットされておらず、積層型コンデンサ10は、第1の信号用外部端子4aおよび第2の信号用外部端子4bが電源ラインまたは信号ラインに対して並列に接続されている。
また、積層型コンデンサ10は、第1の信号用内部電極2aが積層体1の対向する二端面(1d、1e)のうちの一方の端面、例えば、第1の端面1dのみに引き出され、第2の信号用内部電極2bが対向する二端面(1d、1e)のうちの一方の端面、例えば、第2の端面1eのみに引き出されていてもよい。すなわち、第1の信号用内部電極2aは、第2の側面1gに対して隙間を有するとともに、Y方向の端部を第1の端面1dに露出するようにY方向に延ばして積層体1内に配置させ、また、第2の信号用内部電極2bは、第1の側面1fに対して隙間を有するとともに、Y方向の端部を第2の端面1eに露出するようにY方向に延ばして積層体1内に配置させてもよい。
第1および第2の信号用内部電極2a、2bが一方の端面のみに引き出される構成(以下、積層型コンデンサ100という)にすることによって、積層型コンデンサ100は、例えば、回路基板(図示せず)の信号ラインまたは電源ライン等に接続する場合には、第1の信号用外部端子4aおよび第2の信号用外部端子4bを信号ラインまたは電源ライン上に接続するとともに、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bを接地端(グランド)に接続して、信号ラインまたは電源ラインの高周波ノイズを低減することができる。この場合には、例えば、ノイズを低減したい電源ラインまたは信号ラインの
パターンはカットされておらず、ラインのパターン上に、第1の信号用外部端子4aおよび第2の信号用外部端子4bが接続されている。
また、同様に、積層型コンデンサ100は、例えば、第1の信号用外部端子4aおよび第2の信号用外部端子4bを回路基板上の電源ラインまたは信号ラインに対して並列(回路上同電位)となるように接続するとともに、第1の接地用外部端子5aおよび第2の接地用外部端子5bを接地端(グランド)に接続して、電源ラインまたは信号ラインの高周波ノイズを低減することができる。この場合には、ノイズを低減したい電源ラインまたは信号ラインのパターンはカットされておらず、第1の信号用外部端子4aおよび第2の信号用外部端子4bが電源ラインに対して並列に接続されている。
ここで、積層型コンデンサ10の減衰特性について図を参照しながら以下に説明する。ここでは、実施の形態1(以下、実施例という)の積層型コンデンサ10との比較を行なうために、図8に示すような内部電極構造を有する積層型コンデンサを従来例とした。まず、従来例の積層型コンデンサについて以下に説明する。
従来例の積層型コンデンサは、図8に示すように、複数の誘電体層10aが積層されて直方体状に形成された積層体と、積層体内の同一平面内に配置されており、積層体の対向する側面の一方の側面10fへの引出部30aaと他方の側面10gへの引出部30baを有する接地用内部電極30と、積層方向の接地用内部電極30間に配置されており、積層体の対向する二側面10d、10eに引き出された信号用内部電極20と、積層体の対向する側面10f、10gに配置されており、接地用内部電極30にそれぞれ接続された第1および第2の接地用外部端子50aおよび50bと、積層体の対向する二側面10d、10eに配置されており、信号用内部電極20に接続された信号用外部端子40a、40bと、を備えている。このように、従来例の積層型コンデンサは、実施例の積層型コンデンサ10とは、信号用内部電極20および接地用内部電極30の構成が異なっている。
図7には、実施例の積層型コンデンサ10の減衰特性を表す特性曲線Aと従来例の積層型コンデンサの減衰特性を表す特性曲線Bとをそれぞれ示している。例えば、図7のグラフの横軸上の100(MHz)において、従来例の積層型コンデンサは特性曲線Bが約−66(dB)の減衰であるのに対して、実施例の積層型コンデンサ10は特性曲線Aが約−70(dB)の減衰である。このように、100(MHz)における減衰特性に関して、実施例の積層型コンデンサ10は、従来例の積層型コンデンサと比較して、減衰量が4(dB)向上している。なお、従来例および実施例の積層型コンデンサは、サイズが、1.0(mm)×0.5(mm)×高さ0.5(mm)である。
また、従来例および実施例の積層型コンデンサのESLは、従来例が60(pH)であるのに対して、実施例は55(pH)であり、実施例の積層型コンデンサ10は、従来例の積層型コンデンサと比較して、ESLが低減されている。
このように、積層型コンデンサ10は、ESLが小さくなり、共振周波数が高周波数域側にシフトしているので、高周波数域のノイズを低減することができる。
また、従来例の積層型コンデンサの静電容量は、4.7(μF)であり、等価直列低抗(ESR)は、2.5(mΩ)である。また、実施例の積層型コンデンサの静電容量は、4.7(μF)であり、等価直列低抗(ESR)は、2.4(mΩ)である。
ここで、図1に示している積層型コンデンサ10の製造方法の一例について以下に説明する。
複数の第1および第2のセラミックグリーンシートを準備する。第1のセラミックグリーンシートは、第1の信号用内部電極2aおよび第1の接地用内部電極3aが形成されるものであり、第2のセラミックグリーンシートは、第2の信号用内部電極2bおよび第2の接地用内部電極3bが形成されるものである。
複数の第1のセラミックグリーンシートは、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとを形成するために、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとのパターン形状をそれぞれ同一平面上に所定間隔を介して配列するとともに、第1の信号用内部電極2a用の導体ペースト用いて第1の信号用内部電極導体ペースト層が形成され、第1の接地用内部電極3a用の導体ペースト用いて第1の接地用内部電極導体ペースト層が形成される。なお、第1のセラミックグリーンシートは、多数個の積層型コンデンサ10を得るために、1枚のセラミックグリーンシート内に第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとを一組として、それらが複数個形成される。
また、複数の第2のセラミックグリーンシートは、第2の信号用内部電極2bと第2の接地用内部電極3bとを形成するために、第2の信号用内部電極2bと第2の接地用内部電極3bとのパターン形状をそれぞれ同一平面上に所定間隔を介して配列するとともに、第2の信号用内部電極2b用の導体ペースト用いて第2の信号用内部電極導体ペースト層が形成され、第2の接地用内部電極3b用の導体ペースト用いて第2の接地用内部電極導体ペースト層が形成される。なお、第2のセラミックグリーンシートは、多数個の積層型コンデンサ10を得るために、1枚のセラミックグリーンシート内に第2の信号用内部電極2bと第2の接地用内部電極3bとを一組として、それらが複数個形成される。
上述の第1の信号用内部電極導体ペースト層および第1の接地用内部電極導体ペースト層は、セラミックグリーンシート上に、例えば、スクリーン印刷法等を用いてそれぞれの導体ペーストを所定のパターン形状に同時に印刷して形成される。また、第2の信号用内部電極導体ペーストおよび第2の接地用内部電極導体ペースト層も同様に、スクリーン印刷法等を用いてそれぞれの導体ペーストを所定のパターン形状に同時に印刷して形成される。
なお、第1および第2のセラミックグリーンシートは、誘電体層1aとなり、第1の信号用内部電極導体ペースト層は第1の信号用内部電極2a、第2の信号用内部電極導体ペースト層は第2の信号用内部電極2bとなり、また、第1の接地用内部電極導体ペースト層は第1の接地用内部電極3a、第2の接地用内部電極導体ペースト層は第2の接地用内部電極3bとなる。
誘電体層1aとなるセラミックグリーンシートの材料としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3またはCaZrO3等の誘電体セラミックスを主成分とするものである。副成分として、例えば、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物またはNi化合物等が添加されたものであってもよい。
第1および第2のセラミックグリーンシートは、誘電体セラミックスの原料粉末および有機バインダに適当な有機溶剤等を添加し混合することによって泥漿状のセラミックスラリーを作製し、これをドクターブレード法等によって成形することによって得られる。
第1および第2の信号用内部電極2a,2b用の導体ペーストおよび第1および第2の接地用内部電極3a、3b用の導体ペーストは、上述したそれぞれの導体材料(金属材料)の粉末に添加剤(誘電体材料)、バインダ、溶剤、分散剤等を加えて混練することで作製される。それぞれの内部電極の導電材料は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)または金(Au)等の金属材料あるいはこれらの金属材
料の一種以上を含む、例えば、Ag−Pd合金等の合金材料が挙げられる。第1および第2の信号用内部電極2a、2bおよび第1および第2の接地用内部電極3a、3bは、同一の金属材料または合金材料によって形成することが好ましい。
例えば、図3に示すような構成にするために、第1のセラミックグリーンシートと、第2のセラミックグリーンシートと、第1のセラミックグリーンシートと、第2のセラミックグリーンシートとを順次交互に積層する。すなわち、第1のセラミックグリーンシートと第2のセラミックグリーンシートとを交互に積層する。そして、内部電極を形成していないセラミックグリーンシートを積層方向(Z方向)の最外層にそれぞれ積層して、図3に示すような構成を有するセラミック積層体とする。
このように積層された複数の第1および第2のセラミックグリーンシートからなる積層体は、プレスして一体化することで、多数個の生積層体1を含む大型の生積層体となる。この大型の生積層体を切断することによって、図1に示すような積層型コンデンサ10の積層体1となる生積層体1を得ることができる。大型の生積層体の切断は、例えば、ダイシングブレード等を用いて行なうことができる。
そして、積層体1は、生積層体1を、例えば、800(℃)〜1300(℃)で焼成することによって得ることができる。この工程によって、複数の第1および第2のセラミックグリーンシートが誘電体層1aとなり、第1の信号用内部電極導体ペースト層が第1の信号用内部電極2aとなり、第2の信号用内部電極導体ペースト層が第2の信号用内部電極2bとなり、第1の接地用内部電極導体ペースト層が第1の接地用内部電極3aとなり、第2の接地用内部電極導体ペースト層が第2の接地用内部電極3bとなる。また、積層体1は、例えば、バレル研磨等の研磨手段を用いて角部または辺部が丸められる。積層体1は、角部または辺部を丸めることにより角部または辺部が欠けにくいものとなる。
次に、例えば、積層体1の第1および第2の端面1d、1eに信号用外部端子4となる信号用端子4用の導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより信号用外部端子4を形成する。また、信号用外部端子4用の導電ペーストは、信号用外部端子4を構成する金属材料の粉末にバインダ、溶剤、分散剤等を加えて混練することで作製される。
また、例えば、積層体1の第1および第2の側面1f、1gに接地用外部端子5となる接地用外部端子5用の導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより接地用外部端子5を形成する。また、接地用外部端子5用の導電ペーストは、接地用外部端子5を構成する金属材料の粉末にバインダ、溶剤、分散剤等を加えて混練することで作製される。
なお、信号用外部端子4および接地用外部端子5の導電材料は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)または金(Au)等の金属材料、あるいは、これらの金属材料の一種以上を含む、例えば、Ag−Pd合金等の合金材料である。
信号用外部端子4および接地用外部端子5は、信号用外部端子4および接地用外部端子5の保護または積層型コンデンサ10の実装性の向上等のために、表面に金属層が形成されていることが好ましい。金属層は、例えば、めっき法を用いて形成される。信号用外部端子4および接地用外部端子5は、例えば、ニッケル(Ni)めっき層、銅(Cu)めっき層、金(Au)めっき層またはスズ(Sn)めっき層等の1または複数のめっき層が表面に形成されていることが好ましい。信号用外部端子4および接地用外部端子5は、例えば、表面にNiめっき層とSnめっき層との積層体を形成してもよい。
また、信号用外部端子4および接地用外部端子5の形成方法として、導体ペーストを焼
き付ける方法以外に、蒸着法、めっき法またはスパッタリング法等の薄膜形成法を用いて行なってもよい。
第1の信号用内部電極2aおよび第1の接地用内部電極3aは、セラミックグリーンシートの同一平面上に、例えば、スクリーン印刷法を用いて、所定間隔を介して第1の信号用内部電極2aおよび第1の接地用内部電極3aのパターン形状をそれぞれ同時に印刷している。しなしながら、セラミックグリーンシート上に、第1の信号用内部電極2a(第2の信号用内部電極2b)および第1の接地用内部電極3a(第2の接地用内部電極3b)の形成方法は、これに限らない。
例えば、第1の信号用内部電極2aとなるパターン形状と第1の接地用内部電極3aとなるパターン形状とを合わせて1つのパターン形状にして、そのパターン形状に合わせてスクリーン印刷用の印刷版を作製する。そして、このスクリーン印刷用の印刷版を用いてスクリーン印刷法で第1の信号用内部電極2aとなるパターン形状と第1の接地用内部電極3aとなるパターン形状とを含む1つのパターン形状をセラミックグリーンシート上に印刷する。
次に、セラミックグリーンシート上に印刷された1つのパターン形状に対して、レーザー加工法を用いて第1の信号用内部電極2aのパターン形状と第1の接地用内部電極3aのパターン形状との境目を切断して、第1の信号用内部電極2aのパターン形状と第1の接地用内部電極3aのパターン形状とを電気的に分離する。これによって、セラミックグリーンシートの同一平面上に、第1の信号用内部電極2aと第1の接地用内部電極3aとを所定間隔を介して設けることができる。レーザーは、例えば、炭酸ガスレーザーまたはYAGレーザー等であり、レーザーの波長は、所定間隔に応じて適宜選択される。特に、2つのパターン形状間の所定間隔が狭い場合には、レーザー加工法を用いることによって、より効果的に対向する内部電極のパターンを切断して両者を電気的に分離することができる。
本発明は上述の実施の形態1の積層型コンデンサ10に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。以下、他の実施の形態について説明する。なお、他の実施の形態に係る積層型コンデンサのうち、実施の形態1に係る積層型コンデンサ10と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
<実施の形態2>
以下、本発明の実施の形態2に係る積層型コンデンサ10A〜10Dについて図面を参照しながら説明する。
積層型コンデンサ10Aおよび10Bでは、図5に示すように、第1の接地用内部電極3aaおよび第2の接地用内部電極3baは、電極の厚みが第1の信号用内部電極2aaおよび第2の信号用内部電極2baとは異なっている。
積層型コンデンサ10Aでは、第1の接地用内部電極3aaおよび第2の接地用内部電極3baは、電極の厚みが第1の信号用内部電極2aaおよび第2の信号用内部電極2baよりも薄くなっている。このように、第1の信号用内部電極2aaおよび第2の信号用内部電極2baは、電極の厚みが厚くなっており、また、積層方向(Z方向)において、第1の接地用内部電極3aaと第2の信号用内部電極2baとの間隔および第2の接地用電極3baと第1の信号用内部電極2aaとの間隔を狭くすることができる。したがって、積層型コンデンサ10Aは、インダクタンスが低下するので、等価直列インダクタンス(ESL)を小さくすることができる。
この場合には、第1の接地用内部電極3aaおよび第2の接地用内部電極3baは、電極の厚みが、例えば、0.5(μm)〜1(μm)であり、また、第1の信号用内部電極2aaおよび第2の信号用内部電極2baは、電極の厚みが、例えば、1(μm)〜2(μm)である。
また、積層型コンデンサ10Bでは、第1の接地用内部電極3abおよび第2の接地用内部電極3bbは、電極の厚みが第1の信号用内部電極2abおよび第2の信号用内部電極2bbよりも厚くなっている。このように、第1の接地用内部電極3abおよび第2の接地用内部電極3bbは、電極の厚みが厚くなっており、また、積層方向(Z方向)において、第1の接地用内部電極3abと第2の信号用内部電極2bbとの間隔および第2の接地用電極3bbと第1の信号用内部電極2abとの間隔を狭くすることができる。
したがって、積層型コンデンサ10Bは、インピーダンスが低下するので、等価直列インダクタンス(ESL)を小さくすることができる。また、第1の接地用内部電極3abおよび第2の接地用内部電極3bbは、電極の厚みが厚くなっており、等価直列低抗(ESR)を低くすることができるので、積層型コンデンサ10Bは、共振周波数のインダクタンスが低下し、減衰特性が向上するので、ノイズ低減効果を高めることができる。
この場合には、第1の接地用内部電極3abおよび第2の接地用内部電極3bbは、電極の厚みが、例えば、1(μm)〜2(μm)であり、また、第1の信号用内部電極2abおよび第2の信号用内部電極2bbは、電極の厚みが、例えば、0.5(μm)〜1(μm)である。
このように、積層型コンデンサ10Aおよび積層型コンデンサ10Bは、積層方向において、第1の接地用電極3aa(3ab)と第2の接地用電極3ba(3bb)とが、積層方向から平面透視して、第1の側面1fおよび第2の側面1gに平行に並んで対向して配置されている。そして、積層型コンデンサ10Aおよび10Bは、電流が相互に逆方向に流れるように、第1の接地用電極3aa(3ab)の引出部3cと第2の接地用電極3ba(3bb)の引出部3dとが対向するように第1の側面1fおよび第2の側面1gにそれぞれ配置されている。これによって、積層型コンデンサ10Aおよび積層型コンデンサ10Bは、グランドに流れる電流が逆方向となるので、発生する磁界方向が互いに逆方向になり、相互誘導効果により、等価直列インダクタンス(ESL)を小さくすることができる。
また、第1の接地用内部電極3aaと第2の信号用内部電極2baとの間隔および第2の接地用電極3baと第1の信号用内部電極2aaとの間隔が狭く、また、第1の接地用内部電極3abと第2の信号用内部電極2bbとの間隔および第2の接地用電極3bbと第1の信号用内部電極2abとの間隔が狭くなっているので、さらに、等価直列インダクタンス(ESL)を小さくすることができる。
また、積層型コンデンサ10Aは、図5(a)に示すような積層構造に限らない。例えば、図6(a)に示すように、積層型コンデンサ10Cは、積層型コンデンサ10Aに対して、第1の信号用内部電極2aaと第2の信号用内部電極2baの配置位置を左右入れ替え、また、第1の接地用内部電極3aaと第2の接地用内部電極3baの配置位置を左右入れ換えたものであってもよい。
また、積層型コンデンサ10Bは、図5(b)に示すような積層構造に限らない。例えば、図6(b)に示すように、積層型コンデンサ10Dは、積層型コンデンサ10Bに対して、第1の信号用内部電極2abと第2の信号用内部電極2bbの配置位置を左右入れ
替え、また、第1の接地用内部電極3abと第2の接地用内部電極3bbの配置位置を左右入れ換えたものであってもよい。
本発明は、上述した実施の形態1および実施の形態2に特に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更および改良が可能である。