JP2016063000A - 端子接続構造、加熱装置、並びに静電チャック装置 - Google Patents
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Description
近年の半導体の大口径化やパターンの微細化に伴い、静電チャック装置に求められる特性も高まっている。
このヒータ機能付き静電チャック装置は、ウエハ内に局所的に温度分布を作ることができるので、ウエハの面内温度分布を膜堆積速度やプラズマエッチング速度に合わせて設定することにより、ウエハ上へのパターン形成などの局所的な膜形成や局所的なプラズマエッチングを効率よく行なうことができる。
加熱部材と接続端子との接続部分には、電力供給に伴う発熱による熱応力、及びセラミック基体等の構成部材の熱膨張係数差に起因する応力が生じる。加熱部材と接続端子との接続構造には、上記の応力による破損を抑制することが求められる。
本発明は、配線と電力供給用の接続端子との接続構造であって、使用時に破損しにくい端子接続構造を提供することを目的の一つとする。
また、溶接部は、接続端子に貫通孔を設け、貫通孔の対向面側開口と前記端部との界面にレーザ光を直接的に照射することで形成されている。したがって、効率よく溶接工程を行い、溶接に要する作業時間を短縮できる。また、直接的なレーザ照射によって溶接工程を行うために、端子接続構造を構成する部材、及び周囲に配置された部材に熱の影響を与えにくい。
また、貫通孔を長孔とすることで、貫通孔の開口の周長を長くすることができ、これに伴い線状の溶接部を長く確保し、溶接部の強度を高めることできる。さらに、貫通孔が対向面の半径方向に延びる長孔であることで、隣り合う溶接部同士の距離を十分に確保することができるため、各溶接部の柔軟性を保ち、破損が生じにくい端子接続構造を構成できる。
図1は、第1実施形態の端子接続構造3が設けられた静電チャック装置100を示す断面図である。
静電チャック装置100は、板状試料Wを設置する円板状の静電チャック部(セラミック板状体)20と、静電チャック部20を冷却する円板状の冷却ベース部50と、これらを接着一体化する樹脂層80と、を有している。換言すると、静電チャック装置100は、冷却ベース部50、樹脂層80、静電チャック部20がこの順に図1の+Z方向(高さ方向)に積層された構造を有する。
また、静電チャック部20は、静電吸着用内部電極23と、静電吸着用内部電極23から静電チャック部20の厚さ方向に貫通し、静電吸着用内部電極23に電圧を印加する内部電極端子24と、を有している。
冷却ベース部50には、厚さ方向に貫通する貫通孔51が設けられている。貫通孔51には、絶縁管(碍子)15が埋設されている。絶縁管15には、給電端子32、固定板16、接続線33、並びに接続端子70が内挿されている。接続端子70は、加熱部材7に溶接により接合され端子接続構造3を構成している。
また、静電チャック部20と加熱部材7と端子接続構造3とは、加熱装置5を構成している。
<静電チャック部(セラミック板状体)>
静電チャック部20は、半導体ウエハ、金属ウエハ、ガラス基板等の板状試料Wを設置する載置板21と、載置板21に対向配置された支持板22と、載置板21と支持板22の間に挟まれた静電吸着用内部電極23と、支持板22に埋設された内部電極端子24と、を有している。
また、載置板21を上記のセラミックス焼結体とし、支持板22をポリイミドなどの絶縁性の樹脂とすることで、安価な構造としても良い。
支持板22には、厚さ方向に貫通する孔22aが設けられている。孔22aには、内部電極端子24が挿通する。
静電吸着用内部電極23の材料は、載置板21及び支持板22に使用する材料との熱膨張差や耐熱性などを考慮して選定される。例えば、静電吸着用内部電極23は、酸化アルミニウム−炭化タンタル(Al2O3−Ta4C5)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−タングステン(Al2O3−W)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al2O3−SiC)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タングステン(AlN−W)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タンタル(AlN−Ta)導電性複合焼結体、酸化イットリウム−モリブデン(Y2O3−Mo)導電性複合焼結体等の導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属や、銀(Ag)、炭素(C)等を使用することができる。
静電吸着用内部電極23は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
内部電極端子24の材料は、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に制限されるものではないが、熱膨張係数が静電吸着用内部電極23及び支持板22の熱膨張係数に近似したものが好ましい。例えば、静電吸着用内部電極23を構成している導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、コバール合金等の金属材料が好適に用いられる。
図1に示すように、樹脂層80は、静電チャック部20の第2の面20bと冷却ベース部50の第1の面50aの間に介在する。樹脂層80は、加熱部材7が接着された静電チャック部20と冷却ベース部50とを接着一体化するとともに、熱応力の緩和作用を有する。
樹脂層80は、その内部や、静電チャック部20の第2の面20b、加熱部材7の下面(−Z側の面)、並びに冷却ベース部50の第1の面50aとの界面に空隙や欠陥が少ないことが望まれる。空隙や欠陥が形成されていると、熱伝達性が低下して板状試料Wの均熱性が阻害される虞がある。
なお、加熱部材7の端部8には、加熱部材7に給電するための接続端子70が溶接固定される。樹脂層80を形成する工程では、端部8に樹脂層80が回り込まないようにマスクしておくことが好ましい。
冷却ベース部50は、静電チャック部20を所望の温度に調整するためのもので、厚さのある円板形状を有する。
冷却ベース部50としては、例えば、内部に冷媒を循環させる流路(図示略)が形成された液冷ベース等が好適である。
冷却ベース部50を構成する材料としては、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銅(Cu)、銅合金、ステンレス鋼(SUS) 等が好適に用いられる。冷却ベース部50の少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理が施されているか、あるいはアルミナ等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。
また、冷却ベース部50の静電チャック部20と対向する第1の面50aに、ポリイミドなどの絶縁性樹脂シートを貼り付け、耐電圧特性を向上させても良い。
またその他に、冷却ベース部50には、内部電極端子24に電圧を印加するための給電部が配置される貫通孔、板状試料Wの処理工程でウエハを押し上げるリフトピンを挿通させるための貫通孔、並びに板状試料Wと静電チャック部20との間に供給する冷却ガスを供給するための貫通孔、等の目的に応じて複数の貫通孔が設けられている。
加熱部材7は、帯状の配線であり、静電チャック部20の第2の面20bに接着材6を介して固着されている。
図2に第2の面20bに形成された加熱部材7の平面パターンの一例を示す。加熱部材7は、相互に独立した2つのヒータ(内ヒータ7a、外ヒータ7b)とから構成されている。内ヒータ7aは、第2の面20bの中心部に形成され、外ヒータ7bは、第2の面20bの周縁部であって、内ヒータ7aの外側に、環状の外形に形成されている。
内ヒータ7a及び外ヒータ7bの端部8には接続端子70が接続される。接続端子70から供給される電流によって、内ヒータ7a及び外ヒータ7bは発熱する。
加熱部材7の平面パターンは、上記のように相互に独立した2つ以上のヒータパターンにより構成してもよいが、1つのヒータパターンにより構成することもできる。しかしながら、本実施形態のように、複数の相互に独立したヒータ(内ヒータ7a、外ヒータ7b)により構成することで、内ヒータ7a及び外ヒータ7bを個々に制御して、載置板21の載置面に静電吸着により固定されている板状試料Wの面内温度分布を自由にかつ精度良く制御できる。
加熱部材7の厚さが0.2mmを超えると、加熱部材7のパターン形状が板状試料Wの温度分布として反映され、板状試料Wの面内温度を所望の温度パターンに維持することが困難になる。
また、加熱部材7を一定の厚さとすることで、加熱部材7の発熱量も加熱面全域で一定とすることができる。これにより、静電チャック部20の第1の面20aにおける温度分布を均一化できる。
加熱部材7を非磁性金属で形成することで、静電チャック装置100を高周波雰囲気中で用いても加熱部材7が高周波により自己発熱しない。したがって、高周波雰囲気中であっても、板状試料Wの面内温度を所望の一定温度または一定の温度パターンに維持することが容易となる。
接着材6は、シート状またはフィルム状の接着性樹脂であり、耐熱性及び絶縁性を有するものであることが好ましく、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を採用できる。
接着材6の厚さは5μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上50μm以下である。接着材6の面内の厚さのバラツキは10μm以内が好ましい。接着材6の面内の厚さのバラツキが10μmを超えると、静電チャック部20と加熱部材7との面内間隔に10μmを超えるバラツキが生じる。その結果、加熱部材7から静電チャック部20に伝達される熱の面内均一性が低下し、静電チャック部20の載置面における面内温度が不均一となる虞がある。
絶縁管15は、貫通孔51に埋設されている。絶縁管15には、給電端子32、固定板16、接続線33、並びに接続端子70が内挿されている。
なお、絶縁管15は、図2に示す内ヒータ7a及び外ヒータ7bの端部8に対応して4つ設けられており、各々の絶縁管15に、給電端子32、固定板16、接続線33、並びに接続端子70がそれぞれ内挿され、加熱部材7に電流を供給する。
絶縁管15の材料は樹脂製であってもセラミックス製であっても良いが、熱伝導、耐熱性、耐電圧、寸法精度、コストなどの面からセラミックス製とすることが好ましく、酸化アルミニウムなどを好適に採用できる。
給電端子32は、雌型コネクタである。給電端子32には、外部の電源から静電チャック装置100に電気を供給するための雄型コネクタ(図示略)を接続することができる。給電端子32は導電性のものであればその材料は限定されない。給電端子32は、固定板16を介して、冷却ベース部50の貫通孔51に固定されている。給電端子32には、接続線33が接続されている。
固定板16は、貫通孔51の下面(−Z側)の開口部に取り付けられている。給電端子32と固定板16の固定、並びに固定板16と冷却ベース部50との固定は、例えばネジ止めによって行うことができる。また、固定板16は、絶縁管15と固定する構造となっていてもよい。固定板16の材料にはセラミックスや絶縁性樹脂などが適宜選定される。
接続線33は、接続端子70と給電端子32を電気的に接続するために設けられている。接続線33としては、可撓性を有する電気ケーブルを使用し、弛緩した状態で接続端子70と給電端子32との間のスペースに収納されることが好ましい。
接続線33として可撓性を有する電気ケーブルを用い、弛緩させた状態で収納することで、冷却ベース部50が熱膨張及び熱収縮して、接続端子70と給電端子32との距離が変わる場合であっても、距離の変化を吸収できる。したがって、接続端子70、給電端子32、並びにこれらの接続部に負荷が加わることを防止できる。また、接続線33は、給電端子32に外力や衝撃が加わった場合であっても接続端子70に伝わることを防ぎ、接続端子70及びその接続部に破損が生じることを防止できる。
接続端子70は、加熱部材7に接合される対向面71a側(+Z側)に設けられた円形の鍔部71と、鍔部71から立設された円柱部72とを有している。
接続端子70の材料は金属又は金属とセラミックスの複合体であり、加熱部材7の材料と同じ材料、若しくは加熱部材7の材料と同じ材料と他の材料の複合材料とすることが好ましい。
端子接続構造3は、加熱部材7の端部8と接続端子70とが溶接により接続されて構成される。
図3、図4に、端子接続構造3を示す。図3は端子接続構造3の斜視図であり、図4(a)は対称軸L1に沿った端子接続構造3の断面図であり、図4(b)は端子接続構造3の平面図である。なお、図4(a)、(b)では、接続線33の図示を省略する。
接続端子70は、対向面71aが端部8に向かい合って接触するように配置される。接続端子70は、対向面71aの中心O2が端部8の中心O1と一致するように配置される。
図4(b)に示すように、6つの貫通孔73は、それぞれ矩形状を有している。各貫通孔73は、矩形状の長手方向が対向面71aの半径方向に一致するように形成されている。各貫通孔73は、円形の対向面71aと同心の仮想円P上に配列されている。また、各貫通孔73は、対向面71aの中心O2に対して回転対称(6回対称)に配置されている。
6か所の溶接部67のうち2か所は、その中心が対称軸L1を通過する。6か所の溶接部67は対向面71aの中心O2に対し回転対称に配置されているため、各溶接部67は、対称軸L1に対し線対称となる。
接続端子70から加熱部材7に流れる電流は、各溶接部67から加熱部材7の延びる方向に向かって流れる。
溶接部67の電位勾配(電場)は、端部8において加熱部材7が延び出る延出端9に近づくほど小さくなる。したがって、6か所の溶接部67のうち、延出端9からの距離が近い溶接部67ほど電流が流れやすい。なお、対称軸L1は、延出端9の中点Cを通過している。
本実施形態において、6か所の溶接部67のうち、3か所は、対向面71aの基準軸L2よりも加熱部材7に近い位置に設けられている。これによって、溶接部67の総面積のうちの約半分を延出端9に近い領域に配置する。延出端9から近いほど電流は流れやすいため、電流の流れやすい領域に溶接部67の総面積の半分を確保することで、特定の溶接部67に電流が集中することを防ぐことができる。
なお、図4(a)において、レーザLZ及び被加熱部68a、68bは、溶接工程を示すために便宜的に図示したものである。
端子接続構造3は、6か所の溶接部67が対向面71aの中心O2に対し回転対称とされていることで、溶接部67が周方向に均等に配置されることとなる。したがって、いかなる方向から外力Fが加わった場合でも、対向面71aを端部8から引き剥がそうとする力に対抗して、溶接部67の破損を抑制することができる。
溶接部67は、貫通孔73に沿って形成されており、対向面71aの周縁に形成されない。したがって、対向面71aの周縁を支点Bとして接続端子70を傾かせようとする外力Fが生じた場合に、溶接部67に破損の起点が生じにくくなる。
貫通孔73は、対向面71aの半径方向内側を長手方向とする長孔(例えば、長方形形状又は楕円形状等)とすることが好ましい。貫通孔73を長孔とすることで、貫通孔73の開口の周長を長くすることができ、これに伴い線状の溶接部67を長くとって溶接部67の強度を高めることできる。
加えて、端子接続構造3は、レーザ溶接であるため、導電性接着材やろう付け等で接着する場合と比較して、接続抵抗が低い。したがって、静電チャック装置100に採用することで、静電チャック部20の温度の精密な制御が可能となる。
第1実施形態の端子接続構造3において貫通孔73及び溶接部67は、6か所設けられているがこれに限るものではない。第1実施形態の変形例1、2として、端子接続構造3A、端子接続構造3Bについて説明する。
以下、各変形例について、具体的に説明を行う。なお、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
端子接続構造3Aは、加熱部材7の端部8と接続端子170とが溶接により接続されて構成される。接続端子170は、第1実施形態の接続端子70と同様に、円形の鍔部171と、円柱部172とを有している。また、鍔部171は、加熱部材7に接合される対向面171aと、その反対側の背面171bと、を有している。
接続端子170の鍔部171には、対向面171aに達する3つの貫通孔173が設けられている。
溶接部167は、対向面171a側の貫通孔173の開口と端部8との界面に形成されている。溶接部167は、レーザ溶接により形成された線溶接である。なお、溶接部167は、対向面171a側の貫通孔173の開口である四辺のうち一部に形成されていても良く、また4辺の全周に亘って形成されていても良い。
これにより、端部8において加熱部材7が延び出る延出端9から等距離に、溶接部167のうち、基準軸L2より加熱部材7側に配置された2か所の溶接部167が配置されている。各溶接部167の電位勾配(電場)は、延出端9からの距離に応じて決まるため、延出端9側に配置された2か所の溶接部167の電流値は、略同じとなり、各溶接部167に流れる電流を電流全体の半分以下とすることができる。即ち、電流が1つの溶接部167に集中することがなく、電流の集中による局所的に温度が高まることを抑制できる。
端子接続構造3Bは、加熱部材7の端部8と接続端子270とが溶接により接続されて構成される。接続端子270は、第1実施形態の接続端子70と同様に、円形の鍔部271と、円柱部272とを有している。また、鍔部271は、加熱部材7に接合される対向面271aと、その反対側の背面271bと、を有している。
接続端子270の鍔部271には、対向面271aに達する4つの貫通孔273が設けられている。
溶接部267は、対向面271a側の貫通孔273の開口と端部8との界面に形成されている。溶接部267は、レーザ溶接により形成された線溶接である。なお、溶接部267は、対向面271a側の貫通孔273の開口である四辺のうち一部に形成されていても良く、また4辺の全周に亘って形成されていても良い。
Claims (5)
- 帯状の配線と、
前記配線の端部に配置され前記端部に対向する対向面が設けられた接続端子と、を備え、
前記接続端子には、前記対向面に達する複数の貫通孔が設けられ、
前記貫通孔の対向面側開口と前記端部との界面にレーザ溶接による溶接部が形成されている端子接続構造。 - 前記対向面が円形状であり、
前記貫通孔が、前記対向面と同心の仮想円上に配列され、前記対向面の半径方向に延びる長孔である請求項1に記載の端子接続構造。 - 前記貫通孔が、前記対向面の中心に対し回転対称に複数設けられ、それぞれの前記貫通孔の内周の一部もしくは全周に前記溶接部が形成されている請求項1又は2に記載の端子接続構造。
- セラミックス焼結体からなるセラミック板状体と、
前記セラミック板状体に接着固定された前記配線としてのヒータパターンと、
前記ヒータパターンの端部に設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載の端子接続構造と、を有する加熱装置。 - 請求項4に記載の加熱装置を有する静電チャック装置。
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