JP2016062663A - 二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用バインダ樹脂組成物、電極スラリー、二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、導電助剤の分散性に優れるため電池特性の優れた電池が得られ、且つ集電箔との結着性に優れるため電池の製造上でのる歩留まりを向上させることができる、水溶性の二次電池電極用バインダ樹脂を提供することにある。【解決手段】N−ビニルホルムアミド等に由来する、一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する重合体(A)と、2−ピロリドン等に由来する、一般式(2)で表される化合物由来の構造単位を含む重合体(B)とを含有する、非水二次電池電極用バインダ樹脂。【選択図】なし
Description
本発明は、二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用バインダ樹脂組成物、電極スラリー、二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池に関する。
二次電池は、ノート型パソコンや携帯電話等の弱電民生用途、ハイブリッド車や電気自動車等の蓄電池として使用されている。二次電池の中では、リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ということがある。)が多用されている。また、リチウムイオン二次電池用電極(以下、単に「電極」ということがある。)は、電極活物質がバインダによって集電体に保持されたものが一般的に用いられている。
従来、電極のバインダには、例えば正極用としてポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂が使用されている。しかし、電極を作製するに際しては、N―メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤を用いるため、乾燥時の溶剤回収コスト、環境に対して高負荷等の問題が顕在化している。
そのため最近では、有機溶剤を水へ置き換える流れがあり、例えば負極用のバインダとしてスチレン−ブタジエンゴムラテックスが、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤と併せ用いられている。
そのため最近では、有機溶剤を水へ置き換える流れがあり、例えば負極用のバインダとしてスチレン−ブタジエンゴムラテックスが、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤と併せ用いられている。
しかし、電池に組み込まれる水溶性の高分子として用いられる増粘剤のCMCは天然物由来であるため、供給ロットにより電極の品質が安定しにくい等の問題が指摘されている。そのため、安定品質で供給可能な非天然物の水溶性高分子が望まれる。加えて、水溶性高分子には、高い電池性能を併せ持つことも要求される。
近年、非天然物の水溶性高分子としてポリN−ビニルアセトアミドを用いた電極が提案されている(特許文献1、2)。
特許文献1では、ポリN−ビニルアセトアミドと、エチレンオキサイド(EO)又はプロピレンオキサイド(PO)を電極中に共存させることで、結着性、低温から室温下での電池特性、Liイオンの伝導性に優れることを示している。
特許文献1では、ポリN−ビニルアセトアミドと、エチレンオキサイド(EO)又はプロピレンオキサイド(PO)を電極中に共存させることで、結着性、低温から室温下での電池特性、Liイオンの伝導性に優れることを示している。
特許文献2では、アミド構造を有する繰り返し単位構造を有する重合体をバインダとして用いることで、ペースト安定性、濡れ性、集電体や電極活物質との結着性、電気化学的安定性等、電池(特に非水電池)における要求性能を改善できるとしている。
しかしながら、特許文献1の場合、EO鎖又はPO鎖が電解液組成に類似した分子構造であるため、バインダが電解液へ溶出する場合があり、電池性能へ悪影響を及ぼすことが懸念される。
また、特許文献2に記載されているアミド構造の繰り返し単位のみで構成された重合体
では、特に集電体や電極活物質との結着性、導電助剤の分散性等の点で充分ではない。
また、特許文献2に記載されているアミド構造の繰り返し単位のみで構成された重合体
では、特に集電体や電極活物質との結着性、導電助剤の分散性等の点で充分ではない。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、導電助剤の分散性に優れるために電池特性の優れた電池が得られ、且つ集電箔との結着性に優れるため電池の製造上における歩留まりを向上させることができる、水溶性の二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用バインダ樹脂組成物、電極スラリー、二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[1] 下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する重合体(A)と、下記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位を含む重合体(B)とを含有する、非水二次電池電極用バインダ樹脂。
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
(式(2)中、R3及びR4はそれぞれ二価の置換基を表し、R5は一価の置換基を表す。また、m及びnはそれぞれ0又は1である。R3、R4、R5のいずれかはビニル基構造を有する。)
[2] 下記一般式(3)で表される繰り返し構造単位を重合体(A)中に有する、[1]記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
(式(3)中、R6は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
[3] 一般式(1)で表される繰り返し構造単位を重合体(B)中に有する[1]又は[2]記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の二次電池電極用バインダ樹脂を含む、バインダ樹脂組成物。
[5] [1]〜[3]のいずれかに記載のバインダ樹脂、又は[4]に記載の二次電池電極用バインダ樹脂組成物と、活物質と、溶媒とを含む、電極スラリー。
[6] 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、前記合剤層は、[1]〜[3]のいずれかに記載のバインダ樹脂、又は[4]に記載の二次電池電極用バインダ樹脂組成物を含有する、二次電池用電極。
[7] [6]に記載の二次電池用電極を備える、非水二次電池。
[1] 下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する重合体(A)と、下記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位を含む重合体(B)とを含有する、非水二次電池電極用バインダ樹脂。
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
(式(2)中、R3及びR4はそれぞれ二価の置換基を表し、R5は一価の置換基を表す。また、m及びnはそれぞれ0又は1である。R3、R4、R5のいずれかはビニル基構造を有する。)
[2] 下記一般式(3)で表される繰り返し構造単位を重合体(A)中に有する、[1]記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
(式(3)中、R6は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
[3] 一般式(1)で表される繰り返し構造単位を重合体(B)中に有する[1]又は[2]記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の二次電池電極用バインダ樹脂を含む、バインダ樹脂組成物。
[5] [1]〜[3]のいずれかに記載のバインダ樹脂、又は[4]に記載の二次電池電極用バインダ樹脂組成物と、活物質と、溶媒とを含む、電極スラリー。
[6] 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、前記合剤層は、[1]〜[3]のいずれかに記載のバインダ樹脂、又は[4]に記載の二次電池電極用バインダ樹脂組成物を含有する、二次電池用電極。
[7] [6]に記載の二次電池用電極を備える、非水二次電池。
本発明によれば、導電助剤の分散性に優れるために電池特性の優れた電池が得られ、且つ集電箔への結着性に優れるため電池の製造上における歩留まりを向上させることができる、水溶性の二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用バインダ樹脂組成物、電極スラリー、二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本発明において「水溶性」とは、バインダ樹脂が水に溶解することを意味し、具体的には、バインダ樹脂の全てが水に溶解することはもちろんのこと、一部が水に溶解する場合でも、水溶性とみなす。
また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、「(メタ)アリル」は、アリルとメタリルの総称である。
尚、本発明において「水溶性」とは、バインダ樹脂が水に溶解することを意味し、具体的には、バインダ樹脂の全てが水に溶解することはもちろんのこと、一部が水に溶解する場合でも、水溶性とみなす。
また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、「(メタ)アリル」は、アリルとメタリルの総称である。
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂(以下「バインダ樹脂」という。)は、下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する重合体(A)と、下記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位を含む重合体(B)とを含有する。
<重合体(A)>
重合体(A)は下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する重合体である。
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
重合体(A)は下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する重合体である。
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基が挙げられる。炭化水素基は直鎖であっても分岐であってもよい。
重合体の水溶性を高める観点から、R1及びR2が炭化水素基である場合は、炭素数が少ない方が好ましく、R1及びR2としてはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。特に、R1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であるものが好ましい。
重合体の水溶性を高める観点から、R1及びR2が炭化水素基である場合は、炭素数が少ない方が好ましく、R1及びR2としてはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。特に、R1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であるものが好ましい。
上記一般式(1)で表される構造単位の由来となる単量体としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドが挙げられる。
また、重合体(A)中には下記一般式(3)で表される繰り返し構造単位が含まれることが好ましい。
(式(3)中、R6は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
(式(3)中、R6は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基が挙げられる。炭化水素基は直鎖であっても分岐であってもよい。
重合体の水溶性を高める観点から、R6が炭化水素基である場合は、炭素数が少ない方が好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
重合体の水溶性を高める観点から、R6が炭化水素基である場合は、炭素数が少ない方が好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
上記一般式(3)で表される構造単位の由来となる単量体としては、例えば、ビニルアミン、アリルアミンが挙げられる。
重合体(A)中に含まれる上記一般式(1)で表される構造単位及び上記一般式(3)で表される構造単位の合計を100mol%とした場合、上記一般式(1)で表される構造単位の含有率は0.1〜99.9mol%が好ましく、1〜99mol%がより好ましく、3〜97mol%が更に好ましい。上記一般式(1)で表される構造単位の含有率が多くなるほど、バインダ樹脂を含むスラリーを調製した際の粘度安定性が向上する傾向にある。
また、上記一般式(3)で表される構造単位の含有率は0.1〜99.9mol%が好ましく、1〜99mol%がより好ましく、3〜97mol%が更に好ましい。上記一般式(3)で表される構造単位の含有率が多くなるほど、集電体との結着性が良好となる傾向にある。
重合体(A)に含まれる一般式(3)の構造の含有率の測定方法としては以下に示すコロイド滴定法が好適に使用できる。
重合体(A)に含まれる一般式(3)の構造の含有率の測定方法としては以下に示すコロイド滴定法が好適に使用できる。
重合体(A)水溶液を精秤し、メスフラスコに採取し、これに脱イオン水を加える。このメスフラスコから水溶液をホールピペットで採取したものに脱イオン水を加えた後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整し、これを試験液とする。
得られた試験液にトルイジンブルーを加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬工業株式会社製、「PVSK」)で滴定する。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とする。滴定結果から、上記一般式(3)で表される構造単位の含有率を求める。
得られた試験液にトルイジンブルーを加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬工業株式会社製、「PVSK」)で滴定する。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とする。滴定結果から、上記一般式(3)で表される構造単位の含有率を求める。
重合体(A)は、上記一般式(1)及び上記一般式(3)以外にも、必要に応じてその他の単量体単位を含有してもよい。その他の単量体単位は、その他の単量体を構成原料とする。
その他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸及びその塩類;メチルビニルケトン、イソプロピルメチルケトン等のビニルケトン類;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルエチル等のシアン化ビニル単量体;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩;リン酸基含有ビニル単量体及びその塩;酢酸ビニルが挙げられる。
その他の単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
その他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸及びその塩類;メチルビニルケトン、イソプロピルメチルケトン等のビニルケトン類;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルエチル等のシアン化ビニル単量体;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩;リン酸基含有ビニル単量体及びその塩;酢酸ビニルが挙げられる。
その他の単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、重合体(A)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。例えば、テトラヒドロフランや水等の溶媒を溶離液とし、ポリスチレンやプルランを内部標準サンプルとして用いて換算分子量として求めることができる。
重合体(A)のピークトップ分子量(Mp)は30万〜1000万が好ましく、30万〜500万がより好ましい。Mpが上記下限値以上であると電解液中におけるバインダ樹脂の溶出、膨潤に対する安定性がより高まり、上記上限値以下であると水溶性がより良好となる。
重合体(A)のピークトップ分子量(Mp)は30万〜1000万が好ましく、30万〜500万がより好ましい。Mpが上記下限値以上であると電解液中におけるバインダ樹脂の溶出、膨潤に対する安定性がより高まり、上記上限値以下であると水溶性がより良好となる。
<重合体(B)>
重合体(B)は下記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位を含む重合体である。
(式(2)中、R3及びR4はそれぞれ二価の置換基を表し、R5は一価の置換基を表す。また、m及びnはそれぞれ0又は1である。R3、R4、R5のいずれかはビニル基構造を有する。)
重合体(B)は下記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位を含む重合体である。
(式(2)中、R3及びR4はそれぞれ二価の置換基を表し、R5は一価の置換基を表す。また、m及びnはそれぞれ0又は1である。R3、R4、R5のいずれかはビニル基構造を有する。)
一価及び二価の置換基は、酸素、硫黄、窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基である。例えば、アルキル基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、チオエステル基、アミノ基、カルボニル基を含む構造が挙げられる。
一般式(2)として、具体的には2−ピロリドンが挙げられる。
また、重合体(B)中には上記一般式(1)で表される繰り返し構造単位が含まれてもよい。
一般式(2)として、具体的には2−ピロリドンが挙げられる。
また、重合体(B)中には上記一般式(1)で表される繰り返し構造単位が含まれてもよい。
重合体(B)中に含まれる上記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位及び上記一般式(1)で表される構造単位の合計を100mol%とした場合、上記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位の含有率は0.1〜100mol%が好ましく、1〜99mol%がより好ましく、3〜97mol%が更に好ましい。上記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位の含有率が多くなるほど、バインダ樹脂を含むスラリーにおいて導電助剤の分散性が向上する。
また、上記一般式(1)で表される構造単位の含有率は0〜99.9mol%が好ましく、1〜99mol%がより好ましく、3〜97mol%が更に好ましい。上記一般式(1)で表される構造単位の含有率が多くなるほど、バインダ樹脂を含むスラリーを調製した際の粘度安定性が向上する傾向にある。
また、上記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位及び上記一般式(1)以外にも、必要に応じてその他の単量体単位を含有してもよい。その他の単量体単位は、その他の単量体を構成原料とする。その他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸及びその塩類;メチルビニルケトン、イソプロピルメチルケトン等のビニルケトン類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルエチル等のシアン化ビニル単量体;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩;リン酸基含有ビニル単量体及びその塩;酢酸ビニルが挙げられる。
その他の単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
その他の単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、重合体(B)のピークトップ分子量(Mp)は30万〜1000万が好ましく、30万〜500万がより好ましい。ピークトップ分子量が上記下限値以上であると電解液中におけるバインダ樹脂の溶出、膨潤に対する安定性がより高まり、上記上限値以下であると水溶性がより良好となる。
<バインダ樹脂>
本発明のバインダ樹脂は重合体(A)と重合体(B)とを含有する。
バインダ樹脂中に含まれる重合体(A)と重合体(B)の合計を100質量%とした場合、バインダ樹脂中に含まれる重合体(A)の含有率は30〜99.9質量%が好ましく、40〜99質量%がより好ましい。
また、バインダ樹脂中に含まれる重合体(B)の含有率は0.1〜70質量%が好ましく、1〜60質量%がより好ましい。
本発明のバインダ樹脂は重合体(A)と重合体(B)とを含有する。
バインダ樹脂中に含まれる重合体(A)と重合体(B)の合計を100質量%とした場合、バインダ樹脂中に含まれる重合体(A)の含有率は30〜99.9質量%が好ましく、40〜99質量%がより好ましい。
また、バインダ樹脂中に含まれる重合体(B)の含有率は0.1〜70質量%が好ましく、1〜60質量%がより好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、重合体(A)及び重合体(B)以外の他の重合体を含んでいてもよい。
他の重合体としては、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリビニルアルコール、ポリジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
他の重合体は、重合体(A)及び重合体(B)の合計を100質量部とした場合に、0〜20質量部用いることができる。
他の重合体としては、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリビニルアルコール、ポリジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
他の重合体は、重合体(A)及び重合体(B)の合計を100質量部とした場合に、0〜20質量部用いることができる。
重合体(A)及び重合体(B)の重合の方法は特に限定されず、使用する単量体の種類や生成する重合体の溶解性等に応じて、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を選ぶことができる。
例えば、使用する単量体が水に可溶であり、且つ生成する重合体も水に対して充分な親和性を有する場合には、水溶液重合を用いることができる。水溶液重合は、原料となる単量体及び水溶性重合開始剤を水に溶解し、加熱することにより重合体を得る方法である。
また、使用する単量体の水への溶解度が小さいときは、懸濁重合、乳化重合等を用いることができる。乳化重合は、水中に原料となる単量体、乳化剤、水溶性重合開始剤等を加え、撹拌下に加熱することにより重合体を得る方法である。
重合後は、濾過、遠心分離、加熱乾燥、減圧乾燥及びこれらを組み合わせて水を除去することで、粉末状の重合体が得られる。
また、使用する単量体の水への溶解度が小さいときは、懸濁重合、乳化重合等を用いることができる。乳化重合は、水中に原料となる単量体、乳化剤、水溶性重合開始剤等を加え、撹拌下に加熱することにより重合体を得る方法である。
重合後は、濾過、遠心分離、加熱乾燥、減圧乾燥及びこれらを組み合わせて水を除去することで、粉末状の重合体が得られる。
重合体(A)は、一般式(1)の構造単位を加水分解し、一般式(3)の構造とすることでも得られる。この方法によれば、一般式(3)で表される構造単位の由来となる単量体が物質として不安定な場合にも重合に用いることなく、重合体(A)を製造することができ、より安定的に重合体(A)を提供することが可能になる。
加水分解の方法としては、酸による加水分解、アルカリによる加水分解、熱を加えることによる加水分解が挙げられるが、これらの中でもアルカリによる加水分解が好ましい。
アルカリによる加水分解に用いるアルカリ(塩基)としては、周期律表の第1及び第2族の金属の金属水酸化物が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが挙げられる。
また、アルカリとしては、アンモニア及びアンモニアのアルキル誘導体、例えば、アルキルアミン、アリルアミン等のアミン類も好適である。これらアミン類としては、例えば、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アニリンが挙げられる。
これらの中でもアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
アルカリによる加水分解に用いるアルカリ(塩基)としては、周期律表の第1及び第2族の金属の金属水酸化物が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが挙げられる。
また、アルカリとしては、アンモニア及びアンモニアのアルキル誘導体、例えば、アルキルアミン、アリルアミン等のアミン類も好適である。これらアミン類としては、例えば、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アニリンが挙げられる。
これらの中でもアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
バインダ樹脂の形態としては、粉末状、顆粒状、水等の溶媒に溶解又は分散したドープ状等が挙げられる。
以上説明した本発明のバインダ樹脂は、上記一般式(1)を含む重合体(A)と上記一般式(2)表される化合物由来の構造単位を含む重合体(B)の混合物を含有する。重合体(A)は水溶性であり、結着性に優れ、重合体(B)は導電助剤の分散性に優れる。しかも、本発明のバインダ樹脂を用いて作製した電極は合剤層が集電箔に結着するため工程通過性に優れ、該電極を備えた電池は電池特性に優れる。
よって、本発明のバインダ樹脂は水溶性であり、結着性、導電助剤の分散性に優れ、且つ工程通過性に優れた電極を製造出来、電池特性に優れた電池が得られる。
よって、本発明のバインダ樹脂は水溶性であり、結着性、導電助剤の分散性に優れ、且つ工程通過性に優れた電極を製造出来、電池特性に優れた電池が得られる。
<二次電池電極用バインダ樹脂組成物>
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂組成物(以下「バインダ樹脂組成物」という。)は、上述した本発明のバインダ樹脂を含有する。
バインダ樹脂組成物の形態としては、粉末状、水等の溶媒に溶解又は分散したドープ状等が挙げられる。
本発明の二次電池電極用バインダ樹脂組成物(以下「バインダ樹脂組成物」という。)は、上述した本発明のバインダ樹脂を含有する。
バインダ樹脂組成物の形態としては、粉末状、水等の溶媒に溶解又は分散したドープ状等が挙げられる。
粉末状のバインダ樹脂組成物中のバインダ樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。上記下限値以上であれば、本発明の効果が顕著に発揮される。
本発明のバインダ樹脂組成物は、電池性能に影響が出ない量であれば、必要に応じて本発明のバインダ樹脂以外のバインダ樹脂(他のバインダ樹脂)や、粘度調整剤、結着性向上剤、分散剤等の公知の添加剤等を含有してもよい。
他のバインダ樹脂としては、例えば、酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アクリルゴム系ラテックスや、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
粘度調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体及びこれらのアンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸が挙げられる。
粘度調整剤等の添加剤は最終的には電極に残留するので、添加剤はなるべく加えないことが望ましいが、加える場合には電気化学的安定性を有する添加剤を用いることが好ましい。
粘度調整剤等の添加剤は最終的には電極に残留するので、添加剤はなるべく加えないことが望ましいが、加える場合には電気化学的安定性を有する添加剤を用いることが好ましい。
バインダ樹脂組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、粉末状の本発明のバインダ樹脂と、必要に応じて粉末状の他のバインダ樹脂や添加剤とを粉体混合したり、本発明のバインダ樹脂と、必要に応じて粉末状の他のバインダ樹脂や添加剤とを水に分散したりすることで得られる。
以上説明した本発明のバインダ樹脂組成物は、本発明のバインダ樹脂を含有するので、水溶性であり、結着性、導電助剤分散性に優れ、導電助剤による導電パスが形成され易く、電極を形成でき、電池特性に優れた電池が得られる。
<二次電池用電極>
本発明の二次電池用電極(以下「電極」という。)は、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備える。
合剤層は、上述した本発明のバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物を含有する層であり、例えば、本発明のバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物に活物質を配合し、溶媒に溶解又は分散させたスラリーを乾燥して得られる固相である。
本発明の二次電池用電極(以下「電極」という。)は、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備える。
合剤層は、上述した本発明のバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物を含有する層であり、例えば、本発明のバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物に活物質を配合し、溶媒に溶解又は分散させたスラリーを乾燥して得られる固相である。
合剤層の厚みは、20〜200μmが好ましく、30〜120μmがより好ましい。
尚、正極用の電極(正極電極)は負極用の電極(負極電極)と比べ活物質の容量が小さいため、正極電極の合剤層は、負極電極の合剤層より厚くされることが好ましい。
尚、正極用の電極(正極電極)は負極用の電極(負極電極)と比べ活物質の容量が小さいため、正極電極の合剤層は、負極電極の合剤層より厚くされることが好ましい。
合剤層に用いる活物質は、正極電極の電位と負極電極の電位が異なるものであればよい。
リチウムイオン二次電池の場合、正極電極に用いられる活物質(正極活物質)としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、リチウムとを含有するリチウム含有金属複合酸化物が挙げられる。
これら正極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
一方、負極電極に用いられる活物質(負極活物質)としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。
これら負極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
リチウムイオン二次電池の場合、正極電極に用いられる活物質(正極活物質)としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、リチウムとを含有するリチウム含有金属複合酸化物が挙げられる。
これら正極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
一方、負極電極に用いられる活物質(負極活物質)としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。
これら負極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
リチウムイオン二次電池においては、活物質として、正極電極にはリチウム含有金属複合酸化物、負極電極には黒鉛を用いることが好ましい。このような組合せとすることで、リチウムイオン二次電池の電圧は約4Vとなる。
尚、合剤層は、導電助剤を含有してもよい。導電助剤を含有することで、電池性能をより高められる。
導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックが挙げられる。これら導電助剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックが挙げられる。これら導電助剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
集電体は、導電性を有する物質であればよく、材料としては金属を使用できる。具体的には、アルミニウム、銅、ニッケルが使用できる。
集電体の形状としては、目的とする電池の形態に応じて決定でき、例えば、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。これらの中でも薄膜状が好ましい。
集電体の厚みは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
集電体の形状としては、目的とする電池の形態に応じて決定でき、例えば、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。これらの中でも薄膜状が好ましい。
集電体の厚みは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
本発明の電極は、公知の方法を用いて製造することができ、例えば、本発明のバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物と活物質とを溶媒に溶解又は分散させてスラリー(以下「電極スラリー」という。)を調製し(スラリー調製工程)、該電極スラリーを集電体に塗布し(塗布工程)、次いで溶媒を除去し(溶媒除去工程)、必要に応じて圧延して(圧延工程)、集電体表面に合剤層を形成することにより製造することができる。
スラリー調製工程では、本発明のバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物と、活物質と、必要に応じて導電助剤等の添加剤とを溶媒に分散させる。
溶媒としては、水、水と有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、バインダ樹脂やバインダ樹脂組成物を均一に溶解又は分散できる溶媒であれば特に制限されないが、例えば、NMP、NMPとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)の混合溶液、NMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶液が挙げられる。これら有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
但し、有機溶媒は環境への負荷が高いことから、溶媒としては水が好ましい。
本発明のバインダ樹脂及びバインダ樹脂組成物は水溶性であるため、水に容易に溶解又は分散できる。
溶媒としては、水、水と有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、バインダ樹脂やバインダ樹脂組成物を均一に溶解又は分散できる溶媒であれば特に制限されないが、例えば、NMP、NMPとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)の混合溶液、NMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶液が挙げられる。これら有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
但し、有機溶媒は環境への負荷が高いことから、溶媒としては水が好ましい。
本発明のバインダ樹脂及びバインダ樹脂組成物は水溶性であるため、水に容易に溶解又は分散できる。
電極スラリー中の溶媒の含有量は、常温でバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物が溶解又は分散状態を保てる必要最低限の量以上であればよい。
但し、スラリー調製工程では、通常、溶媒を加えながら電極スラリーの粘度調節を行なうため、必要以上に希釈し過ぎない任意の量とすることが好ましい。
但し、スラリー調製工程では、通常、溶媒を加えながら電極スラリーの粘度調節を行なうため、必要以上に希釈し過ぎない任意の量とすることが好ましい。
塗布工程は、集電体に電極スラリーを任意の厚みで塗布できればよく、例えば、コンマコーター等を用いて行なうことができる。
溶媒除去工程は、溶媒を除去できればよく、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線等の照射による乾燥法が挙げられる。
圧延工程は、合剤層を任意の厚みに圧延できればよく、例えば、金型プレスやロールプレス等の方法が挙げられる。
尚、得られた電極を任意の寸法に切断してもよい。
溶媒除去工程は、溶媒を除去できればよく、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線等の照射による乾燥法が挙げられる。
圧延工程は、合剤層を任意の厚みに圧延できればよく、例えば、金型プレスやロールプレス等の方法が挙げられる。
尚、得られた電極を任意の寸法に切断してもよい。
以上説明した本発明の電極は、本発明のバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物を含む合剤層が集電体上に形成されているので、合剤層の集電体に対する結着性が高く、合剤層内で導電助剤による導電パスが形成されやすく、電池特性に優れる。また、活物質が欠落しにくいので、長期にわたって放電容量を高く維持できる。
本発明の電極は、リチウムイオン二次電池用の電極として好適である。
本発明の電極は、リチウムイオン二次電池用の電極として好適である。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の電極を備える。
リチウムイオン二次電池は、例えば、正極電極と負極電極とを、透過性のセパレータを間に介して配置し、これに非水系の電解液を含浸させた非水系二次電池;集電体の両面に合剤層が形成された負極電極/セパレータ/集電体の両面に合剤層が形成された正極電極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回した巻回体が、電解液と共に電池缶(有底の金属ケーシング)に収容された筒状の非水系二次電池が挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の電極を備える。
リチウムイオン二次電池は、例えば、正極電極と負極電極とを、透過性のセパレータを間に介して配置し、これに非水系の電解液を含浸させた非水系二次電池;集電体の両面に合剤層が形成された負極電極/セパレータ/集電体の両面に合剤層が形成された正極電極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回した巻回体が、電解液と共に電池缶(有底の金属ケーシング)に収容された筒状の非水系二次電池が挙げられる。
電解液は、有機溶媒に電解質を溶解した溶液である。
有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。
これら有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。
これら有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
電解質としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、Li[(CO2)2]2Bが挙げられる。
電解液としては、カーボネート類にLiPF6を溶解した溶液が好ましく、特にリチウムイオン二次電池の電解液として好適である。
電解液としては、カーボネート類にLiPF6を溶解した溶液が好ましく、特にリチウムイオン二次電池の電解液として好適である。
リチウムイオン二次電池は、公知の方法を用いて製造することができる。以下にリチウムイオン二次電池の製造方法の一例を説明する。
まず、正極電極と負極電極とを、例えばポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介してスパイラル状に捲回して捲回体とする。得られた捲回体を電池缶に挿入し、予め負極電極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。
次いで、電池缶に電解液を注入し、更に予め正極電極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉して、リチウムイオン二次電池とする。
まず、正極電極と負極電極とを、例えばポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介してスパイラル状に捲回して捲回体とする。得られた捲回体を電池缶に挿入し、予め負極電極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。
次いで、電池缶に電解液を注入し、更に予め正極電極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉して、リチウムイオン二次電池とする。
このようにして得られる本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の電極を備えているので、電池性能に優れる。電池性能に優れるのは、導電助剤がスラリー中に均一に分散することで導電パスが形成され易く、且つ合剤層が本発明のバインダ樹脂又はバインダ樹脂組成物を含有するため、合剤層の集電体に対する結着性が高く、加えてバインダ樹脂が電解液に溶出しにくいので、高い電池性能を維持できるためである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定される
ものではない。
ものではない。
[バインダ樹脂の製造]
<重合体(A−1)の製造>
脱イオン水100質量部を、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに入れ、室温にて1時間窒素曝気を行なった。続いて70℃に昇温後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)1500ppm(対単量体)を5質量%水溶液として添加した。更に単量体としてN−ビニルホルムアミド10.0質量部に関して、20分間窒素爆気した後に1時間かけて滴下した。次いで、2時間後に「VA−057」1500ppm、更に2時間後に「VA−057」500ppmをそれぞれ5質量%水溶液として添加し、更に2時間加熱撹拌した。
<重合体(A−1)の製造>
脱イオン水100質量部を、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに入れ、室温にて1時間窒素曝気を行なった。続いて70℃に昇温後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)1500ppm(対単量体)を5質量%水溶液として添加した。更に単量体としてN−ビニルホルムアミド10.0質量部に関して、20分間窒素爆気した後に1時間かけて滴下した。次いで、2時間後に「VA−057」1500ppm、更に2時間後に「VA−057」500ppmをそれぞれ5質量%水溶液として添加し、更に2時間加熱撹拌した。
内温を75℃まで昇温して、10質量%水酸化リチウム水溶液11.8質量部を添加し、水を添加して反応液を4質量%水溶液とした状態で5時間加熱して加水分解反応を行なった。加水分解反応後の反応液を冷却し、重合体(A−1)を含む水溶液を得た。
(構成単位の含有率の測定)
重合体(A−1)における、上記一般式(3)で表される構造単位の含有率は、以下に示すコロイド滴定法により測定した。
重合体(A−1)水溶液を精秤し、メスフラスコに採取し、これに脱イオン水を加えた。このメスフラスコから水溶液をホールピペットで採取したものに脱イオン水を加えた後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整し、これを試験液とした。
得られた試験液にトルイジンブルーを加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬工業株式会社製、「PVSK」)で滴定した。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とした。滴定結果から、上記一般式(3)で表される構造単位の含有率を求めた。
重合体(A−1)における、上記一般式(3)で表される構造単位の含有率は、以下に示すコロイド滴定法により測定した。
重合体(A−1)水溶液を精秤し、メスフラスコに採取し、これに脱イオン水を加えた。このメスフラスコから水溶液をホールピペットで採取したものに脱イオン水を加えた後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5になるように調整し、これを試験液とした。
得られた試験液にトルイジンブルーを加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬工業株式会社製、「PVSK」)で滴定した。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とした。滴定結果から、上記一般式(3)で表される構造単位の含有率を求めた。
(分子量の測定)
得られた重合体(A−1)のピークトップ分子量(Mp)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。プルランを内部標準サンプルとして使用した。カラムはShodexSB−807HQ(昭和電工社製)を2本直列になるように接続して使用した。キャリアは10mMリン酸緩衝液(pH6.8)に100mMとなるようにNaClを添加し、流速0.5mL/Minで使用した。検出器は示差屈折率検出器を使用した。
得られた重合体(A−1)のピークトップ分子量(Mp)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。プルランを内部標準サンプルとして使用した。カラムはShodexSB−807HQ(昭和電工社製)を2本直列になるように接続して使用した。キャリアは10mMリン酸緩衝液(pH6.8)に100mMとなるようにNaClを添加し、流速0.5mL/Minで使用した。検出器は示差屈折率検出器を使用した。
<重合体(A−2)の製造>
脱イオン水40質量部、単量体としてN−ビニルホルムアミド10質量部を、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに入れ、室温にて1時間窒素曝気を行なった。続いて70℃に昇温後、「VA−057」750ppm(対単量体)を0.01質量%水溶液として20分間窒素曝気した後に3時間かけて滴下した。次いで、1時間後に「VA−057」1500ppm、更に2時間後に80℃に昇温した後に「VA−057」1500ppmをそれぞれ5質量%水溶液として添加し、更に2時間加熱撹拌した。
脱イオン水40質量部、単量体としてN−ビニルホルムアミド10質量部を、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに入れ、室温にて1時間窒素曝気を行なった。続いて70℃に昇温後、「VA−057」750ppm(対単量体)を0.01質量%水溶液として20分間窒素曝気した後に3時間かけて滴下した。次いで、1時間後に「VA−057」1500ppm、更に2時間後に80℃に昇温した後に「VA−057」1500ppmをそれぞれ5質量%水溶液として添加し、更に2時間加熱撹拌した。
その後内温を75℃として、10質量%水酸化リチウム水溶液23.6質量部を添加し、水を添加して反応液を4質量%水溶液とした状態で5時間加熱して加水分解反応を行なった。
得られた重合体(A−2)水溶液について、重合体(A−1)と同様にして、重合体中の構造単位の含有率、重合体の分子量を測定した。結果を表1に示す。
得られた重合体(A−2)水溶液について、重合体(A−1)と同様にして、重合体中の構造単位の含有率、重合体の分子量を測定した。結果を表1に示す。
<重合体(B−1)の製造>
脱イオン水40質量部、単量体としてN−ビニルホルムアミド7.5質量部とN−ビニルピロリドン2.5質量部の混合物を、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに入れ、室温にて1時間窒素曝気を行なった。続いて70℃に昇温後、「VA−057」750ppm(対単量体)を0.01質量%水溶液として20分間窒素曝気した後に3時間かけて滴下した。次いで、1時間後に「VA−057」1500ppm、更に2時間後に「VA−057」1500ppmをそれぞれ5質量%水溶液として添加し、更に2時間加熱撹拌した。重合完了後に水を添加して、4質量%の重合体(B−1)を含む水溶液を得た。
得られた重合体(B−2)水溶液について、重合体(A−1)と同様にして、重合体の分子量を測定した。結果を表1に示す。
脱イオン水40質量部、単量体としてN−ビニルホルムアミド7.5質量部とN−ビニルピロリドン2.5質量部の混合物を、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに入れ、室温にて1時間窒素曝気を行なった。続いて70℃に昇温後、「VA−057」750ppm(対単量体)を0.01質量%水溶液として20分間窒素曝気した後に3時間かけて滴下した。次いで、1時間後に「VA−057」1500ppm、更に2時間後に「VA−057」1500ppmをそれぞれ5質量%水溶液として添加し、更に2時間加熱撹拌した。重合完了後に水を添加して、4質量%の重合体(B−1)を含む水溶液を得た。
得られた重合体(B−2)水溶液について、重合体(A−1)と同様にして、重合体の分子量を測定した。結果を表1に示す。
<重合体(B−2)の製造>
重合する単量体をN−ビニルホルムアミド5質量部とN−ビニルピロリドン5質量部の混合物とする以外は重合体(B−1)の製造と同様の操作を行ない、4質量%の重合体を含む水溶液を得た。これを重合体(B−2)水溶液とした。
得られた重合体(B−2)水溶液について、重合体(A−1)と同様にして、重合体の分子量を測定した。結果を表1に示す。
重合する単量体をN−ビニルホルムアミド5質量部とN−ビニルピロリドン5質量部の混合物とする以外は重合体(B−1)の製造と同様の操作を行ない、4質量%の重合体を含む水溶液を得た。これを重合体(B−2)水溶液とした。
得られた重合体(B−2)水溶液について、重合体(A−1)と同様にして、重合体の分子量を測定した。結果を表1に示す。
<重合体(B−3)の製造>
脱イオン水100質量部を、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに入れ、室温にて1時間窒素曝気を行なった。続いて70℃に昇温後、「VA−057」5000ppm(対単量体)を5質量%水溶液として添加した。更に単量体としてN−ビニルホルムアミド5質量部とN−ビニルピロリドン5質量部の混合物に関して、20分間窒素爆気した後に1時間かけて滴下した。次いで、2時間後に「VA−057」1500ppmを5質量%水溶液として添加し、更に2時間加熱撹拌した。重合完了後の液に水を添加し、4質量%の重合体(B−3)を含む水溶液を得た。
得られた重合体(B−3)水溶液について、重合体(A−1)と同様にして、重合体の分子量を測定した。結果を表1に示す。
脱イオン水100質量部を、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに入れ、室温にて1時間窒素曝気を行なった。続いて70℃に昇温後、「VA−057」5000ppm(対単量体)を5質量%水溶液として添加した。更に単量体としてN−ビニルホルムアミド5質量部とN−ビニルピロリドン5質量部の混合物に関して、20分間窒素爆気した後に1時間かけて滴下した。次いで、2時間後に「VA−057」1500ppmを5質量%水溶液として添加し、更に2時間加熱撹拌した。重合完了後の液に水を添加し、4質量%の重合体(B−3)を含む水溶液を得た。
得られた重合体(B−3)水溶液について、重合体(A−1)と同様にして、重合体の分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、重合体(B−4)としてポリビニルピロリドン(Alfa aesar社製 Mw=130万)を水に溶解させ、4質量%の重合体(B−4)を含む水溶液を得た。
[実施例1]
<負極電極用の電解スラリーの調製>
重合体(A−1)水溶液と重合体(B−1)水溶液を質量比で90:10の割合で混合し、バインダ樹脂1の水溶液とした。バインダ樹脂1の水溶液を2.5gと天然黒鉛系負極活物質(三菱化学株式会社社製、「MPGC16」)を5g、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、「デンカブラック50%プレス品」)0.05gとを自公転ミキサー(Thinky社製、「泡とり練太郎」)を用い、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。その後、塗工可能な粘度まで水で調整することにより、負極電極用の電極スラリーを得た。
<負極電極用の電解スラリーの調製>
重合体(A−1)水溶液と重合体(B−1)水溶液を質量比で90:10の割合で混合し、バインダ樹脂1の水溶液とした。バインダ樹脂1の水溶液を2.5gと天然黒鉛系負極活物質(三菱化学株式会社社製、「MPGC16」)を5g、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、「デンカブラック50%プレス品」)0.05gとを自公転ミキサー(Thinky社製、「泡とり練太郎」)を用い、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。その後、塗工可能な粘度まで水で調整することにより、負極電極用の電極スラリーを得た。
<負極電極の作製>
得られた負極用の電極スラリーを集電体(銅箔、厚み20μm)上にドクターブレード法により均一に塗布し、室温にて1時間乾燥した。更に真空乾燥機にて0.6kPa、60℃で12時間減圧乾燥し、合剤層(負極層)が集電体(銅箔)上に形成された負極電極を得た。
尚、以下に示す結着性の評価に用いる負極電極の合剤層の膜厚は80μmであった。
得られた負極用の電極スラリーを集電体(銅箔、厚み20μm)上にドクターブレード法により均一に塗布し、室温にて1時間乾燥した。更に真空乾燥機にて0.6kPa、60℃で12時間減圧乾燥し、合剤層(負極層)が集電体(銅箔)上に形成された負極電極を得た。
尚、以下に示す結着性の評価に用いる負極電極の合剤層の膜厚は80μmであった。
<評価>
(導電助剤分散性の評価)
バインダ樹脂1の水溶液を10gとアセチレンブラック0.5gを容器内で撹拌することで、バインダ樹脂における導電助剤の分散性を評価した。撹拌にはマグネチックスターラーを用い、100rpmで15分間の撹拌を実施した。撹拌後は目視による評価を実施し、混合液中にアセチレンブラックの凝集体が見られない様であれば○、凝集体が観察された場合には×として評価した。
尚、表2ではアセチレンブラックを「AB」と表示する。
(導電助剤分散性の評価)
バインダ樹脂1の水溶液を10gとアセチレンブラック0.5gを容器内で撹拌することで、バインダ樹脂における導電助剤の分散性を評価した。撹拌にはマグネチックスターラーを用い、100rpmで15分間の撹拌を実施した。撹拌後は目視による評価を実施し、混合液中にアセチレンブラックの凝集体が見られない様であれば○、凝集体が観察された場合には×として評価した。
尚、表2ではアセチレンブラックを「AB」と表示する。
(結着性の評価)
負極電極を横20mm、縦80mmになるように切り出し、切り出し片の合剤層面を両面テープ(積水化学工業株式会社製、「#570」)でポリカーボネートシート(横25mm、縦100mm、厚さ1mm)に固定し、試験片2とした。
試験片2を引張り強度試験テンシロン試験機(オリエンテック社製、「RTC−1210A」)にセットし、10mm/minで銅箔を180°剥離し、剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
負極電極を横20mm、縦80mmになるように切り出し、切り出し片の合剤層面を両面テープ(積水化学工業株式会社製、「#570」)でポリカーボネートシート(横25mm、縦100mm、厚さ1mm)に固定し、試験片2とした。
試験片2を引張り強度試験テンシロン試験機(オリエンテック社製、「RTC−1210A」)にセットし、10mm/minで銅箔を180°剥離し、剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
[実施例2〜8、比較例1、2]
使用する重合体(A)、重合体(B)の種類、混合する比率を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして導電助剤の分散性評価と共に、負極電極を作製して結着性を評価した。結果を表2に示す。
使用する重合体(A)、重合体(B)の種類、混合する比率を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして導電助剤の分散性評価と共に、負極電極を作製して結着性を評価した。結果を表2に示す。
本発明においては、集電箔への結着性に優れる重合体(A)と導電助剤の分散性に優れる重合体(B)を混合してバインダ樹脂とすることで、導電助剤の分散性と集電箔への結着性が優れた合剤層を得ることができる。導電助剤の分散性が優れることで、性能の優れた電池を製造することが可能になる。また合剤層と集電箔の結着性が優れることで、電池性能の向上につながるばかりでなく、製造工程中の剥離等を抑制することが出来、電池製造の歩留まりを向上させることも可能である。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する重合体(A)と、
下記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位を含む重合体(B)とを含有する、非水二次電池電極用バインダ樹脂。
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。)
(式(2)中、R3及びR4はそれぞれ二価の置換基を表し、R5は一価の置換基を表す。また、m及びnはそれぞれ0又は1である。R3、R4、R5のいずれかはビニル基構造を有する。) - 下記一般式(3)で表される繰り返し構造単位を重合体(A)中に有する、請求項1記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
(式(3)中、R6は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基である。) - 一般式(1)で表される繰り返し構造単位を重合体(B)中に有する、請求項1又は2記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池電極用バインダ樹脂を含む、バインダ樹脂組成物。
- 請求項1〜3いずれかに記載のバインダ樹脂、又は請求項4に記載の二次電池電極用バインダ樹脂組成物と、活物質と、溶媒とを含む、電極スラリー。
- 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、
前記合剤層は、請求項1〜3のいずれかに記載のバインダ樹脂、又は請求項4に記載の二次電池電極用バインダ樹脂組成物を含有する、二次電池用電極。 - 請求項6に記載の二次電池用電極を備える、非水二次電池。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014187256A JP2016062663A (ja) | 2014-09-16 | 2014-09-16 | 二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池電極用バインダ樹脂組成物、電極スラリー、二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池 |
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- 2014-09-16 JP JP2014187256A patent/JP2016062663A/ja active Pending
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