本発明に基づいた実施の形態における湿式現像装置および湿式画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。各実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
[関連技術]
図1を参照して、関連技術として、湿式現像剤を用いた一般的な電子写真プロセスを採用した湿式現像装置100、および、この湿式現像装置100を備える湿式画像形成装置1000の概略構成を説明する。図1は、関連技術における湿式画像形成装置1000の全体構成を示す図である。
湿式画像形成装置1000は、感光体1を有する。感光体1は、一方向に延びる軸を回転中心として図中の矢印a方向に回転する。感光体1は感光体帯電チャージャー2により一様の電位に帯電される。その後、静電潜像を形成する像形成装置としての露光装置3により露光され、画像部の電位が減衰し、静電潜像が感光体1上に形成される。静電潜像が形成された感光体1は、現像剤担持体としての現像ローラー4との対向部である現像部n1に運ばれる。
現像ローラー4は、感光体の回転軸と略平行な回転軸を回転中心として図中b方向に回転しており、現像部n1では現像ローラー4上の湿式現像剤41が感光体1に接触する。湿式現像剤41は、着色剤、樹脂からなるトナー粒子、および、トナー粒子を分散させる分散媒(キャリア液)を主成分とする。
現像ローラー4上のトナー粒子は帯電しており、感光体1上の現像部n1ではトナー粒子が感光体1側に移動し、背景部では現像ローラー4側に移動する。感光体1上に現像されたトナー粒子は、転写ローラー11との対向部である転写部n2に運ばれる。転写部n2では被転写体(用紙)15が矢印e方向に搬送され、転写ローラー11に印加されたトナー粒子と逆極性の電圧により感光体1上のトナー粒子は被転写体15に転写される。トナー粒子が転写された被転写体15は定着部(図示せず)に搬送されトナー像が定着される。
一方、転写部を通過した後の感光体1上には、感光体クリーニング部材12が設けられており、転写後に残った感光体1上の転写残のトナー粒子とキャリア液を回収する。トナー粒子とキャリア液が回収された感光体1はイレーサランプ13により露光され、潜像電位がキャンセルされる。
現像部n1を通過した後の現像ローラー4上にも、現像されずに残ったトナー粒子およびキャリア液が存在している。このトナー粒子およびキャリア液を取り除くために、クリーニング部材としてのクリーニングブレード10が設けられている。上記工程を繰り返し行なうことで、順次被転写体15上に画像が印字される。
[湿式現像装置100]
次に、湿式現像装置100について詳細に述べる。湿式現像装置100は、上述の像担持体としての感光体1に湿式現像剤41を供給する現像剤担持体としての現像ローラー4と、この現像ローラー4に湿式現像剤41を供給する供給部材としての供給ローラー5と、現像ローラー4上の湿式現像剤41に電荷を与えるトナー帯電部材としてのトナー帯電チャージャー6と、現像ローラー4上の湿式現像剤41をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード10と、を備えている。
着色剤および樹脂からなるトナー粒子とその粒子を分散させるキャリア液とを有する湿式現像剤41が現像剤槽8中に貯められている。供給ローラー5は、一部が湿式現像剤41中に浸漬され、図中c方向に回転する。供給ローラー5の回転により湿式現像剤41は汲みあげられ、供給ローラー5に当接して設けられた規制ブレード7により、湿式現像剤41は一定の膜厚に規制される。
湿式現像剤41が一定の膜厚に規制された後、湿式現像剤41は、現像ローラー4とのニップn3に運ばれ、現像ローラー4へと受け渡される。現像ローラー4に受け渡された湿式現像剤41は、現像ローラー4の回転によりトナー帯電チャージャー6の対向部へ搬送され、トナー帯電チャージャー6から現像ローラー4へ流れ込む電流により湿式現像剤41中のトナー粒子は帯電する。その後、湿式現像剤41は感光体1とのニップである現像部n1に運ばれ、感光体1上の静電潜像が湿式現像剤41により現像される。
現像に使用されず現像ローラー4上に残存したトナー粒子およびキャリア液は、現像ローラー4の回転によりクリーニングブレード10の対向部に搬送され、クリーニングブレード10により堰き止められ、回収される。
クリーニングブレード10により回収された湿式現像剤は、元の湿式現像剤41とトナー濃度が異なるため、現像剤槽8とは別のタンク(図示せず)に回収され、トナー濃度を調整した後、再び現像剤槽8に戻される。供給ローラー5は、ウレタン、NBR製のゴムローラー、表面に凹部を設けたアニロックスローラーを用いることができる。現像ローラー4は、ウレタン、NBR製のゴムローラーを用いることができる。
図2を参照して、現像剤槽8に貯蔵され供給ローラー5を介して現像ローラー4上に供給された湿式現像剤41は、トナー粒子Tがキャリア液C中に均一に分散した状態で存在している。その状態からトナー帯電チャージャー6により荷電を付与されることや、現像部n1での電界(背景部に印加される電界)により、トナー粒子Tは現像ローラー4側に押しつけられる力を受ける。
その結果、図3に示すように、現像部n1を通過した画像の背景部に対応する場所に存在するトナー粒子Tは、現像ローラー4の表面近傍に偏在した状態となり、現像ローラー4の表面に付着するトナー粒子Tが存在することになる。
図4を参照して、この状態で湿式現像剤41がクリーニングブレード10との当接部に侵入すると、クリーニングブレード10と現像ローラー4とが当接する楔部にトナー粒子Tが堆積する。湿式現像剤41の表面近傍はキャリア液Cがリッチな状態となっており、クリーニングブレード10上ではキャリア液Cがより多く流下する。
その結果、トナー粒子Tの濃度が高いトナー堆積物が発生する。さらに時間と共にトナー粒子Tの堆積物は増加し、クリーニングブレード10の上部にまでトナー粒子Tが到達する。トナー堆積物は、トナー粒子Tの濃度が高くなっているため流動性が悪くなり、クリーニングブレード10上を流下し難くクリーニングブレード10上にもトナー堆積物が発生する。
このようにトナー堆積物が生じると、高濃度化したトナー堆積物を現像剤槽へ搬送することが困難となり、堆積しているトナー粒子Tは清掃時に回収、廃棄される。その結果、トナー粒子の消費量が増え、コストアップに繋がる。
また、湿式現像装置100(湿式画像形成装置1000)の停止時に清掃せずに放置するとトナー堆積物中のキャリア液Cが乾燥してトナー粒子Tの固形物が形成される。そこでクリーニングブレード10に到達するまでに現像ローラー4の表面近傍に偏在したトナー粒子Tを剥離し、キャリア液C中に再分散させることが行なわれる。
次に、図5から図8を参照して、関連技術としての湿式現像装置100Aの構成について説明する。図5は湿式現像装置100Aの構成を示す図、図6は、現像ローラー4上のクリーニングブレード10に突入する湿式現像剤41の状態を示す模式図、図7は、湿式現像装置100Aにおいて固定型の交流バイアス印加部材31Aを示す図、図8は、現像ローラーと交流バイアス印加ローラーとのニップ部を通過した湿式現像剤の状態を示す図である。
この湿式現像装置100Aの基本的構成は、上述した湿式現像装置100と同じであり、相違点としては、現像部n1とクリーニングブレード10との間で、湿式現像剤41を介して現像ローラー4と当接し、現像ローラー4との間に交流電界を形成する交流バイアス印加部材としての交流バイアス印加ローラー31を設けている。図5に示す湿式現像装置100Aにおいては、交流バイアス印加ローラー31として導電性の金属ローラーを用いた場合について述べる。
現像ローラー4の回転(図中b方向)により交流バイアス印加ローラー31と現像ローラー4とのニップn4中にキャリア液Cとトナー粒子Tが侵入し、電界が強くなるに従い現像ローラー4の表面近傍に存在しているトナー粒子Tは移動を開始して、現像ローラー4と交流バイアス印加ローラー31間で往復移動する。その後、ニップn4の出口に近づき電界が徐々に弱まっていくことによりトナー粒子Tは移動しなくなり、上述した図2に示したように、トナー粒子Tは、キャリア液C中に均一に分散した状態となる。
図6を参照して、このような状態になった湿式現像剤41がクリーニングブレード10に突入すると、トナー粒子Tがクリーニングブレード10の近傍に堆積することなく回収される。交流バイアス印加ローラー31は、図5中のf方向に回転しており、現像ローラー4の表面速度(線速度)と同じ速度(線速度)で回転させてもよいが、異なった速度(線速度)で回転させることで機械的にもトナー粒子Tを掻き取る力が作用するためより好ましい。
また、小さい振幅の交流バイアスでもトナー粒子を剥離でき、より小さい容量の交流電源を用いることができ、コストダウンに繋げることができる。また、局所的な過電流が生じにくく現像ローラー4へのダメージも小さい。
さらに、交流バイアス印加ローラー31として現像ローラー4に当接させた金属ローラーに関して述べたが、本質は湿式現像剤41中のトナー粒子Tに交流電界を作用して分散作用を得ることにある。
したがって、図7に示すように、クリーニングブレード10への突入時に湿式現像剤41の堰き止めが起こらないよう構成すればローラー形態にこだわる必要はなく、断面がお椀型の導電性の固定部材を用いた交流バイアス印加部材31Aを用いても同様の効果が得られる。また、お椀型の導電性の固定部材を用いた場合には、ローラーの駆動装置が不要となり、コストダウンに繋げることができる。
交流バイアス印加ローラー31としての導電性ローラーの材質はアルミ、鉄、ステンレス等の金属、それら金属の基体の表面に導電性の樹脂、ゴム等の弾性部材を設置したローラーを用いてもよい。さらに、それらの表面に電界形成可能な程度に薄く絶縁性材料をコーティングしたものまで、電子写真装置においてバイアス電界形成に使われる従来公知の各種材料を使用できる。弾性部材を用いた場合には、交流バイアス印加ローラー31(交流バイアス印加部材(31,31A)31A)と現像ローラー4との間のピーク圧を小さくでき、ニップn4の入口で湿式現像剤41を堰き止めることが少なく設定の許容範囲を広くすることができる。
また、ローラーではなく固定電極を用いた交流バイアス印加部材(31,31A)31Aの場合でも同様の材質を採用することができる。以下、交流バイアス印加ローラー31(図5)に言及する場合、交流バイアス印加部材(31,31A)31A(図7)においても同様である。
交流バイアス印加ローラー31に印加する交流バイアスは、矩形波、サイン波、三角波、のこぎり波、ブランク波などの波形が使用できる。周波数は1,000Hz〜100,000Hz程度がよい。周波数が1,000Hz以上であれば、交流バイアスの印加状態の場所ムラや、分散作用が不十分なエリアの発生を抑制できる。周波数が100,000Hz以下であれば、トナー粒子が追随することによる良好な分散作用が得られる。さらに、トナー粒子の移動を生じやすくし、高い分散作用を得るため、振幅は100V(Peak−to−Peakで200V)以上が好ましい。
図8を参照して、一般的にローラーとローラーで形成されるニップ間を通過した後の湿式現像剤41はそれぞれのローラーに付着する。現像ローラー4と交流バイアス印加ローラー31との現像部n1を通過した湿式現像剤41は、交流バイアス印加ローラー31側にも付着する。その時、湿式現像剤41中でトナー粒子Tが分散状態で存在していると交流バイアス印加ローラー31にもトナー粒子Tが付着する。すなわち、画像形成中に交流バイアス印加ローラー31に交流バイアスを印加しトナー粒子Tを再分散させると、交流バイアス印加ローラー31にもトナー粒子が付着した状態となる。
画像形成中は、交流バイアス印加ローラー31へのトナー粒子Tの付着は問題とならない。しかし、画像形成を終了し、交流バイアス印加ローラー31へのトナー粒子Tの付着を放置すると、交流バイアス印加ローラー31上のキャリア液が揮発し、トナー粒子Tのみが残存し固化する。
トナー粒子Tが固化すると絶縁体として作用するため、交流バイアス印加ローラー31に抵抗ムラが生じる。交流バイアス印加ローラー31に、ローラー抵抗が高い部分が発生すると、交流バイアスの効果が低下する。その結果、その部分の現像ローラー4上のトナー粒子Tを再分散させる機能も低下し、トナー堆積物が発生する。このことを防ぐためには、湿式現像装置100Aを停止させる前に、交流バイアス印加ローラー31上のトナー粒子を回収しておくことが必要である。
[実施の形態1:湿式現像装置100B]
以下、図9から図13を参照して、本実施の形態における湿式現像装置100Bの具体的構成について説明す。図9は、湿式現像装置100Bの現像ローラー4および交流バイアス印加ローラー31の構成示す図、図10は、湿式現像装置100Bの交流バイアス印加ローラー31を清掃する場合の制御機能を示すブロック図、図11は、湿式現像装置100Bにおける、「現像ローラー」の駆動(ON)、「現像バイアス」、「トナー帯電チャージャーバイアス」、「交流バイアス印加ローラー駆動」、および、「交流バイアス印加ローラーバイアス」の停止時のON/OFFのタイミングチャートを示す図、図12は、湿式現像装置100Bにおける、「交流バイアス印加ローラー清掃」工程時のトナー粒子Tの付着状態を示す図、図13は、湿式現像装置100Bにおける、交流バイアス印加ローラー清掃時にトナー帯電チャージャーのバイアスをOFFにした場合のトナー粒子の付着状態を示す図である。
図示しない他の構成は、図5に示す湿式現像装置100Aと同じであるため、ここでの説明は省略する。また、湿式現像装置の構成を除き、湿式現像装置100Bを採用した湿式画像形成装置の構成は、図1に示す湿式画像形成装置1000と同様である。
図9を参照して、画像形成時の現像ローラー4および交流バイアス印加ローラー31上のトナー粒子Tの付着状況について説明する。現像ローラー4に供給された湿式現像剤41中ではトナー粒子は均一に分散している。
その後、トナー帯電チャージャー6から現像ローラー4に流れ込む電流によりトナー粒子Tは帯電すると共に、現像ローラー4の表面近傍に偏在する。感光体1との現像部n1(図5参照)で印字部のトナー粒子Tは感光体1側に転移するが、背景部のトナー粒子Tは現像ローラー4の表面上に残存する。このとき、背景部のトナー粒子Tは、現像部n1の電界によりさらに現像ローラー4の表面側に押し付けられる。
その後、交流バイアス印加ローラー31の交流バイアスによって、現像ローラー4の表面に偏在したトナー粒子Tは再分散され、ニップn4を通過後に交流バイアス印加ローラー31にも付着する。よって、画像形成中は交流バイアス印加ローラー31にもトナー粒子が付着した状態となっている。
図10を参照して、本実施の形態における、上記状態から交流バイアス印加ローラー31を清掃する場合の制御フローを説明する。
トナー帯電チャージャー6には、トナー帯電チャージャーバイアス電源130が接続されている。トナー帯電チャージャーバイアス電源130には、トナー帯電チャージャーバイアス制御装置135が接続されている。トナー帯電チャージャーバイアス制御装置135には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、トナー帯電チャージャーバイアス制御装置135は、トナー帯電チャージャーバイアス電源130の出力を制御する。
現像ローラー4には、現像ローラー駆動装置140が接続されている。現像ローラー駆動装置140には、現像ローラー駆動制御装置145が接続されている。現像ローラー駆動制御装置145には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、現像ローラー駆動制御装置145は、現像ローラー駆動装置140を制御する。
現像ローラー4には、現像バイアス電源150が接続されている。現像バイアス電源150には、現像バイアス制御装置155が接続されている。現像バイアス制御装置155には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、現像バイアス制御装置155は、現像バイアス電源150の出力を制御する。
交流バイアス印加ローラー31には、交流バイアス印加ローラー駆動装置110が接続されている。交流バイアス印加ローラー駆動装置110には、交流バイアス印加ローラー駆動制御装置115が接続されている。交流バイアス印加ローラー駆動制御装置115には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、交流バイアス印加ローラー駆動制御装置115は、交流バイアス印加ローラー駆動装置110を制御する。
交流バイアス印加ローラー31には、交流バイアス印加ローラーバイアス電源120が接続されている。交流バイアス印加ローラーバイアス電源120には、交流バイアス印加ローラー制御装置125が接続されている。交流バイアス印加ローラー制御装置125には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、交流バイアス印加ローラー制御装置125は、交流バイアス印加ローラーバイアス電源120の出力を制御する。
図11を参照して、「現像ローラー4」の駆動(ON)、「現像バイアス」、「トナー帯電チャージャーバイアス」、「交流バイアス印加ローラー31駆動」、および、「交流バイアス印加ローラーバイアス」の停止時のON/OFFのタイミングチャートについて説明する。
画像形成中は現像ローラー4を駆動、現像バイアスをON(400V)、トナー帯電チャージャー6をON、交流バイアス印加ローラー31を駆動(ON)とし、交流バイアス印加ローラー31には交流バイアスを重畳したバイアスを印加している。現像ローラー4と交流バイアス印加ローラー31との間の直流バイアス成分の電位差はない状態としている。電位差が生じているとどちらかのローラーにトナー粒子Tの付着が生じる。
画像形成が終了すると、「交流バイアス印加ローラー清掃」工程として、トナー帯電チャージャー6はONとしたまま、交流バイアス印加ローラー31に印加している交流バイアスをOFFにして、直流バイアス(500V)を印加する。本実施の形態においては、この直流バイアスは、交流バイアス印加ローラー31から現像ローラー4にトナー粒子Tが移動する電界を形成するように現像バイアス(本実施の形態では、400V)より高い値の直流バイアスを印加する。
これにより、交流バイアス印加ローラー31と現像ローラー4との間に、交流バイアス印加ローラー31から現像ローラー4にトナー粒子Tを押し付ける向きの直流バイアスが印加される。その状態で一定時間、湿式現像装置100Aを駆動する。
図12に、「交流バイアス印加ローラー清掃」工程時のトナー粒子Tの付着状態を示す。トナー帯電チャージャー6により新たに交流バイアス印加ローラー31のニップn4に運ばれてくるトナー粒子Tが帯電していること、および、交流バイアス印加ローラー31から現像ローラー4にトナー粒子Tが移動する電界が形成されていることで、新たに運ばれてきたトナー粒子Tが交流バイアス印加ローラー31に付着することを防ぐことができる。
さらに、画像形成中に交流バイアス印加ローラー31に付着したトナー粒子Tを交流バイアス印加ローラー31と現像ローラー4との間の電界により現像ローラー4に回収することができる。その結果、交流バイアス印加ローラー31上のトナー粒子Tを無くすことができる。
この状態で一定時間駆動した後、現像ローラー4の駆動、現像バイアス、トナー帯電チャージャーバイアス、交流バイアス印加ローラー31の駆動、および、交流バイアス印加ローラー31の直流バイアスを全てOFFにして、湿式現像装置100Bを停止する。
図13を参照して、仮に交流バイアス印加ローラー清掃時にトナー帯電チャージャー6のバイアスをOFFにすると、トナー粒子Tは帯電しておらず、トナー粒子Tはキャリア液Cの中で分散状態のまま交流バイアス印加ローラー31の対向部に運ばれる。その結果、トナー粒子Tは、バイアスの作用も受けず、交流バイアス印加ローラー31に付着するため、交流バイアス印加ローラー31はきれいにならない。
交流バイアス印加ローラー31の清掃時は、トナー帯電チャージャー6のバイアスがON状態であることからトナー粒子Tが、図12に示すように現像ローラー4の表面近傍に偏在し、クリーニングブレード10でトナー堆積物が発生するが、駆動時間が短く問題となる量ではない。また、この時のトナー堆積物を少なくするためにトナー帯電チャージャー6のバイアスを画像形成時より低くし、トナー粒子Tの偏在を少なくすることも有効である。
湿式現像において綺麗な画像を得るためには、トナー帯電チャージャー6の出力を大きくすることが好ましいが、副作用としてトナー粒子Tと現像ローラー4との付着力も強くなりクリーニングブレード10でのトナー堆積物が発生する。画像形成時はその対策として交流バイアス印加ローラー31を設けているが、交流バイアス印加ローラー31の清掃時にはトナー粒子Tは帯電していればよく、画像形成時のようなトナー帯電チャージャー6の出力は必要ない。
このようなタイミングにすることにより、画像形成中に交流バイアス印加ローラー31に付着したトナー粒子Tを回収した後に装置を停止することができる。さらに、湿式現像装置100Bの停止後(放置後)も交流バイアス印加ローラー31は綺麗なまま維持でき、次の湿式現像装置100Bの稼働時に交流バイアス印加ローラー31の交流バイアスも安定して形成することができる。さらに、交流バイアスを一番初めに停止することになりリークの発生防止にも有利である。
具体的には画像形成時、感光体1は、感光体帯電チャージャー2により表面電位500Vに一様に帯電される(図1参照)。その後、露光装置3により印字部が露光され20V程度まで表面電位が低下し潜像が形成される。トナー帯電チャージャー6のバイアスを6kV程度(トナー粒子Tは正極性に帯電)とし、現像ローラー4に400Vの現像バイアスを印加することで十分な画像濃度で画像ノイズもなく、さらに、背景部のカブリもない画像を得ることができる。
この状態で現像した後に、現像ローラー4に残存するトナー粒子を再分散させるために交流バイアス印加ローラー31には振幅300V(peak to peakで600V)、周波数10kHz、オフセット400Vの交流バイアスを印加している。このような交流バイアスを交流バイアス印加ローラー31に印加することで、現像ローラー4に残存するトナー粒子は再分散でき、クリーニングブレード10にトナー堆積物が生じることはない。
画像形成終了後には、現像バイアスを400Vのままとし、画像形成時には交流バイアスを印加していた交流バイアス印加ローラー31のバイアスを500Vの直流バイアスに切り変える。そうすることで交流バイアス印加ローラー31から現像ローラー4側にトナー粒子が移動する電界が形成され、この状態で一定時間(数秒程度で可。少なくとも交流バイアス印加ローラー31が1回転する時間は必要)駆動することで画像形成中に交流バイアス印加ローラー31上に付着していたトナー粒子Tが現像ローラー4側に回収される(押し付けられる)。さらに、現像ローラー4で新たに供給された湿式現像剤41中のトナー粒子Tが交流バイアス印加ローラー31に付着することもない。
上記では交流バイアス印加ローラー31の清掃時に現像バイアスを400Vとする場合について述べたが、必ずしも400Vに限定されるものではない。交流バイアス印加ローラー31と現像ローラー4との間に、交流バイアス印加ローラー31から現像ローラー4にトナー粒子Tを押し付ける向きの直流バイアスが印加できればよい。
したがって、交流バイアス印加ローラー31の清掃時に、現像バイアスをOFFとし、交流バイアス印加ローラー31には画像形成時と同じ直流バイアス成分である400Vの直流バイアスを印加してもよい。
また、画像形成時には、トナー帯電チャージャー6の印加バイアスの出力は6kV程度であるが、交流バイアス印加ローラー31の清掃時には、トナー帯電チャージャー6の印加バイアスの出力を、画像形成時よりも低い出力(たとえば、5kV程度)にすることが好ましい。これは、トナー粒子Tの帯電量を小さくすることで、後工程でのクリーニングブレード10でのクリーニング特性を向上させることが期待できるからである。
[実施の形態2:湿式現像装置100C]
次に、図14から図16を参照して、実施の形態2における湿式現像装置100Cの具体的構成について説明す。図14は、湿式現像装置100Cの交流バイアス印加ローラー31を清掃する場合の制御機能を示すブロック図、図15は、湿式現像装置100Cにおける、「現像ローラー」の駆動(ON)、「現像バイアス」、「トナー帯電チャージャーバイアス」、「交流バイアス印加ローラー駆動」、「交流バイアス印加ローラーバイアス」、および、「交流バイアス印加ローラー圧接・離間」の停止時のON/OFFのタイミングチャートを示す図、図16は、湿式現像装置100Cにおける、交流バイアス印加ローラー31が現像ローラー4から離間した状態を示す図である。
図示しない他の構成は、図5に示す湿式現像装置100Aと同じであるため、ここでの説明は省略する。また、湿式現像装置の構成を除き、湿式現像装置100Cを採用した湿式画像形成装置の構成は、図1に示す湿式画像形成装置1000と同様である。
実施の形態1では交流バイアス印加ローラー31の清掃時に現像ローラー4とクリーニングブレード10の当接部にトナー粒子Tの堆積物が形成され、その状態で放置される。本実施の形態では交流バイアス印加ローラー31の清掃時に生じたトナー堆積物を回収することを目的としている。そのために、交流バイアス印加ローラー31に交流バイアス印加ローラー圧接離間制御装置235が設けられている。
実施の形態2では、実施の形態1の構成の構成に加え、交流バイアス印加ローラー31を現像ローラー4に対して圧接・離間する機能を設けた場合について説明する。図14に示すように、交流バイアス印加ローラー31には、交流バイアス印加ローラー圧接離間駆動装置230が接続されている。交流バイアス印加ローラー圧接離間駆動装置230には、交流バイアス印加ローラー圧接離間制御装置235が接続されている。交流バイアス印加ローラー圧接離間制御装置235には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、交流バイアス印加ローラー圧接離間制御装置235は、交流バイアス印加ローラー圧接離間駆動装置230を制御する。
交流バイアス印加ローラー31は、偏芯カム等を用いた圧接離間機構に保持され、交流バイアス印加ローラー圧接離間制御装置235からの駆動力により、現像ローラー4に対して圧接離間動作を行なう。交流バイアス印加ローラー圧接離間制御装置235は、CPU100Uからの信号を受けて、交流バイアス印加ローラー圧接離間制御装置235により制御される。なお、交流バイアス印加ローラー31を固定として、現像ローラー4に圧接離間機構を設けてもよい。
図15を参照して、画像形成時から交流バイアス印加ローラー31の清掃時までのシーケンスは図11に示す実施の形態1の湿式現像装置100Bと同じである。画像形成終了後、交流バイアス印加ローラー31の交流バイアスを直流バイアスに切り変え一定時間駆動した後、交流バイアス印加ローラー31を現像ローラー4から離間させる。
その時、現像バイアス、トナー帯電チャージャーバイアス、交流バイアス印加ローラー駆動をOFFに制御し、現像ローラー4のみを駆動させる。この時のトナー粒子の付着状態を、図16に示す。この状態で一定時間駆動することでトナー帯電チャージャー6が作用せずトナー粒子Tが分散した状態の湿式現像剤41が、現像ローラー4上に供給され、クリーニングブレード10にも供給される。その湿式現像剤41により交流バイアス印加ローラー清掃時に生じたトナー堆積物を回収することができる。交流バイアス印加ローラー31は、現像ローラー4から離間しているため汚れることはない。
また、実施の形態1の場合と同様に、交流バイアス印加ローラー清掃時にトナー帯電チャージャー6のバイアスを低くすることで、トナー堆積物を少なくすることも可能である。
[実施の形態3:湿式現像装置100D]
以下、図17から図19を参照して、本実施の形態における湿式現像装置100Dの具体的構成について説明す。図17は、湿式現像装置100Dの現像ローラー4および交流バイアス印加ローラー31の構成示す図、図18は、湿式現像装置100Dの交流バイアス印加ローラー31を清掃する場合の制御機能を示すブロック図、図19、湿式現像装置100Dにおける、「現像ローラー」の駆動(ON)、「現像バイアス」、「トナー帯電チャージャーバイアス」、「交流バイアス印加ローラー駆動」、「交流バイアス印加ローラーバイアス」、および、「除電チャージャーバイアス」の停止時のON/OFFのタイミングチャートを示す図である。
図示しない他の構成は、図5に示す湿式現像装置100Aと同じであるため、ここでの説明は省略する。また、湿式現像装置の構成を除き、湿式現像装置100Dを採用した湿式画像形成装置の構成は、図1に示す湿式画像形成装置1000と同様である。
本実施の形態における湿式現像装置100Dは、交流バイアス印加ローラー31の上流にトナー粒子Tを除電する場合について述べる。図17に示すように、現像部n1(図参照)と交流バイアス印加ローラー31との間に、現像ローラー4上のトナー粒子Tに対してトナー帯電チャージャー6と逆極性の電荷を付与する除電部材としての除電チャージャー51を設けている。
図18に示すように、除電チャージャー51には、除電チャージャーバイアス電源330が接続されている。除電チャージャーバイアス電源330には、除電チャージャーバイアス制御装置335が接続されている。除電チャージャーバイアス制御装置335には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、除電チャージャーバイアス制御装置335は、除電チャージャーバイアス電源330の出力を制御する。
本実施の形態では、除電チャージャー51にはトナー帯電チャージャー6と同様のコロトロンチャージャーを使用している。除電チャージャー51からトナー帯電極性と逆極性の電荷を付与することで、トナー粒子Tの帯電量を減少させることができる。
湿式現像ではトナー帯電量が高いと細線の再現性やベタの均一性等の画像特性がよいが、逆に背景部では現像ローラー4とトナー粒子Tとの付着力が大きくなり、クリーニングが難しくなる場合や、トナー粒子Tの堆積が顕著になる場合等の問題を生じる。そのためトナー帯電量はクリーニングやトナー粒子Tの堆積も考慮して決めることが必要となる。
実施の形態1および実施の形態2のように、交流バイアス印加ローラー31の清掃の前に交流電界を形成する場合も、トナー帯電量が高くトナー粒子Tと現像ローラー4との付着力が大きくなると、電界による力ではトナー粒子Tが現像ローラー4の表面から剥離できなくなりトナー堆積物が発生する。
本実施の形態では、上記したように、除電チャージャー51を設けるとクリーニングブレード10の前(上流側)でトナー帯電量を調整することが可能となり、トナー帯電チャージャー6の出力によらずクリーニングブレード10前のトナー帯電量を一定に保つことができる。その結果、トナー帯電チャージャー6の出力を高くしても、クリーニングブレード10前のトナー粒子と現像ローラー4との付着力は一定にでき、交流バイアス印加ローラー31で形成する交流電界で剥離することが可能となり、トナー堆積物が発生しない。
従って、トナー帯電チャージャー6の出力を大きくすることが可能となり、より優れた画像を出力することが可能となる。逆にトナー帯電チャージャー6の出力を大きくせずに、除電チャージャー51を設けると、トナー帯電量が小さくなり、トナー粒子Tと現像ローラー4の付着力が小さくなるため、より小さな交流バイアス(振幅)でトナー粒子Tを剥離することもできる。また、クリーニング性およびトナー堆積物から、除電後のトナー帯電量は0付近にすることが好ましい。
除電チャージャー51でトナー粒子Tを除電する場合、トナー粒子Tによって帯電量にバラツキがあることや逆極性の電荷の付与量にもバラツキがあることから元の極性と逆の極性に帯電したトナー粒子T(逆帯電トナー粒子)が発生してしまう。交流バイアス印加ローラー31に交流バイアスを印加し、トナー粒子Tを再分散させる場合は、逆帯電トナー粒子が混在しても影響はないが、交流バイアス印加ローラー31の清掃時に直流バイアスを印加すると、逆帯電トナー粒子が存在するとそのトナー粒子Tは交流バイアス印加ローラー31に付着してしまう。
そのため本実施の形態では、図19に示すように画像出力後の交流バイアス印加部材(31,31A)清掃時には除電チャージャー51のバイアスを画像形成時より低くする。なお、OFFとしても構わない。そうすることで逆帯電トナー粒子の発生がなく、交流バイアス印加ローラー31へのトナー付着も無くすことができる。この時、実施の形態1でも述べたようにトナー帯電チャージャー6のバイアスも画像形成時より小さくしてもよい。
なお、除電チャージャー51としてコロトロンチャージャーを用いて説明したが、他の構成でもかまわない。たとえば、導電性のローラーを現像ローラー4に対して接触、或いは近接させて設け、高電圧を印加することで現像ローラー4との間で放電を起こしてもよい。さらに、実施の形態2のように交流バイアス印加ローラー31を、現像ローラー4から離間させる機構を設、実施の形態2と同様の制御を採用することで、同じ効果が得られる。
なお、図16においては、クリーニングブレード10の前(上流側)として、現像ローラー4と交流バイアス印加ローラー31とのニップn4の上流側に、除電チャージャー51を設ける場合について説明したが、図20に示すように、クリーニングブレード10の前(上流側)として、クリーニングブレード10とニップn4との間に除電チャージャー51を設けるようにしてもよい。
[実施の形態4:湿式画像形成装置1000E/湿式現像装置100E]
上記実施の形態1〜3における湿式画像形成装置においては、湿式現像装置100B〜Dを駆動させて交流バイアス印加部材を清掃する場合について述べたが、本実施の形態は感光体1(図1参照)も駆動させる場合について説明する。
図21は、湿式現像装置100Dを採用した湿式画像形成装置1000Eの交流バイアス印加ローラー31を清掃する場合の制御機能を示すブロック図、図22は、湿式画像形成装置1000Eにおける、「感光体1」の駆動、「感光体帯電チャージャー2のバイアス」、「現像ローラー」の駆動(ON)、「現像バイアス」、「湿式現像装置100Eの圧接・離間」、「トナー帯電チャージャーバイアス」、「交流バイアス印加ローラー駆動」、「交流バイアス印加ローラーバイアス」、および、「交流バイアス印加ローラー圧接・離間」の停止時のON/OFFのタイミングチャートを示す図、図23は、湿式現像装置100Eを含む湿式画像形成装置1000Eの構成を示す図である。
図示しない他の構成は、図5に示す湿式現像装置100Aと同じであるため、ここでの説明は省略する。また、湿式現像装置の構成を除き、湿式現像装置100Eを採用した湿式画像形成装置1000Eの基本的構成は、図1に示す湿式画像形成装置1000と同様である。
感光体1には、感光体駆動装置485が接続されている。感光体駆動装置485には、感光体駆動制御装置480が接続されている。感光体駆動制御装置480には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、感光体駆動制御装置480は、感光体駆動装置485を制御する。
感光体帯電チャージャー2には、感光体帯電チャージャーバイアス電源495が接続されている。感光体帯電チャージャーバイアス電源495には、感光体帯電チャージャーバイアス制御装置490が接続されている。感光体帯電チャージャーバイアス制御装置490には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、感光体帯電チャージャーバイアス制御装置490は、感光体帯電チャージャーバイアス電源495の出力を制御する。
湿式現像装置100Eは、偏芯カム等の湿式現像装置圧接離間駆動装置470に保持され、湿式現像装置圧接離間駆動装置470からの力により、湿式現像装置100Eは、感光体1との間で、圧接離間動作を行なう。湿式現像装置圧接離間駆動装置470には、湿式現像装置圧接離間制御装置475が接続されている。湿式現像装置圧接離間制御装置475には、CPU100Uが接続されている。CPU100Uからの信号を受けて、湿式現像装置圧接離間制御装置475は、湿式現像装置圧接離間駆動装置470を制御する。
図22を参照して、交流バイアス印加ローラー31を清掃するタイミングチャートについて説明する。湿式画像形成装置1000Eが画像形成が終了すると、感光体帯電チャージャー2のバイアスをOFFにし、交流バイアス印加ローラー31のバイアスを交流バイアスから直流バイアス(500V)に切り替える。感光体帯電チャージャー2をOFFにすると感光体1が帯電されないため感光体1の表面電位は約0Vとなる。
図23を参照して、その状態で、画像形成時と同じ現像バイアス(400V)を維持すると現像電位差が形成され、現像ローラー4上のトナー粒子Tは感光体1上に現像される(押し付けられる)。感光体1に現像されたトナー粒子Tは感光体クリーニング部材12(図1参照)により回収される。この時、感光体1と転写ローラー11(図1参照)は離間しておくことが必要である。
一方、感光体1にトナー粒子Tが現像された後の現像ローラー4上にはトナー粒子Tは殆ど存在せず、キャリア液Cがリッチな状態の湿式現像剤41が残存する(極少量のトナー粒子Tが存在)。これにより、交流バイアス印加ローラー31のニップn4にもキャリア液Cがリッチ状態の湿式現像剤41が供給される。
その状態で一定時間、湿式画像形成装置1000Eを駆動することで、画像形成時に交流バイアス印加ローラー31に付着したトナー粒子Tを現像ローラー4に回収することができる。また、現像ローラー4で新たに供給される湿式現像剤41中のトナー粒子Tが少なく、交流バイアス印加ローラー31の清掃時にクリーニングブレード10に新たなトナー堆積物が生じることもない。
その後、実施の形態2の場合と同様に、交流バイアス印加ローラー31を現像ローラー4から離間させ、交流バイアス印加ローラー31の交流バイアス印加ローラー31の駆動をOFF状態にする。これにより、交流バイアス印加ローラー31は、トナー粒子Tが付着していない状態で停止できる。交流バイアス印加ローラー31を離間すると共に現像バイアス、トナー帯電チャージャーバイアスをOFF状態にし、現像ローラー4と感光体1を圧接した状態でさらに、一定時間駆動する。
これにより、感光体1上にトナー粒子Tが分散した状態の湿式現像剤41が供給され、交流バイアス印加ローラー31の清掃時に感光体クリーニング部材12に堆積したトナー粒子を洗い流すことができる。その後、現像ローラー4を感光体1から離間させ停止させる。
これにより、交流バイアス印加ローラー31上にトナー粒子がなく、現像ローラー4のクリーニングブレード10、および、感光体クリーニング部材12にもトナー粒子Tの堆積物がない状態で湿式画像形成装置1000Eおよび湿式現像装置100Eを停止することができる。
以上、本実施の形態における湿式現像装置および湿式画像形成装置によれば、画像形成終了後、トナー帯電チャージャー6への出力を維持した状態で、画像形成に交流バイアス印加ローラー31(以下、交流バイアス印加部材31Aも含む)に印加していた交流バイアスの出力を停止し、交流バイアス印加ローラー31と現像ローラー4との間に、交流バイアス印加ローラー31から現像ローラー4にトナー粒子Tを押し付ける向きの直流バイアスを印加した状態を一定期間維持している。
これにより、トナー粒子Tが帯電した状態で交流バイアス印加ローラー31に交流バイアスを印加せずに、現像バイアスより高い直流バイアスを印加し駆動することで、新たに現像ローラー4によって交流バイアス印加ローラー31に運ばれてくるトナー粒子Tが交流バイアス印加ローラー31に付着することを防止する(交流バイアス印加ローラー31の清掃)。
さらに、画像形成時に交流バイアス印加ローラー31に付着したトナー粒子Tを現像ローラー4に回収することができる。これにより、交流バイアス印加ローラー31上のトナー粒子Tをなくすことができる。さらに、湿式現像装置の停止後の放置時に交流バイアス印加ローラー31上でトナー粒子Tが固化することを防止できる。さらに、湿式現像装置の再駆動時に、交流バイアス印加ローラー31の上にトナー粒子Tが存在しないことから、ケーキングを防止できる。
また、交流バイアス印加ローラー31の清掃後に、交流バイアス印加ローラー31を現像ローラー4から離間し、さらに、トナー帯電チャージャー6の出力を停止させた状態で一定時間、湿式現像装置を駆動することで、交流バイアス印加ローラー31の清掃時に生じるクリーニングブレード10での堆積トナーを回収することができる。
また、画像形成時に除電チャージャー51を用いる場合、交流バイアス印加ローラー31の清掃時には除電チャージャー51の出力は、画像形成時より低くなる(または、停止する)ように制御している。これにより、交流バイアス印加ローラー31の清掃時に除電チャージャー51による逆帯電トナー粒子Tの生成がなく、直流バイアスによる交流バイアス印加ローラー31へのトナー粒子Tの付着を防止することができる。
また、交流バイアス印加ローラー31清掃時には、トナー帯電チャージャー6のバイアスを低くしてトナー帯電量を小さくしている。これにより、交流バイアス印加ローラー31の清掃時に発生するクリーニングブレード10のトナー堆積物を少なくすることができる。また、交流バイアスを先に停止することとなり、リークの防止になる。
なお、上記各実施の形態における交流バイアス印加ローラー31とし、導電性の金属ローラーを用いた場合について述べたが、金属ローラーに変えて表面に導電性のゴムを設けたゴムローラーを用いてもよい。これにより、交流バイアス印加ローラー31と現像ローラー4との間のピーク圧を小さくでき、ニップn1で湿式現像剤41を堰き止めることを抑制することが可能となる。
また、上記各実施の形態においては、トナー帯電チャージャー6および除電チャージャー51に、一般的にチャージャーワイヤーを用いた装置を採用したが、チャージャーワイヤーでは長期間の使用により切断することがある。そこで、ローラー形状のチャージャーを採用することで、機械寿命まで使用することが可能となり、メンテナンスが不要でランニングコストの低下を期待することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。