JP2016061168A - バルブリフタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の摩擦損失を低減することが可能な表面構造をもつバルブリフタ及びその製造方法を提供する。【解決手段】バルブリフタ冠面の周辺部を、粗さ曲線が0.24〜1μmのRk(周辺)値と-1.5〜-0.2のRsk(周辺)値を有するように加工することで、摩擦損失が少なく耐摩耗性に優れたバルブリフタを得る。【選択図】図5
Description
本発明は、バルブリフタ及びその製造方法に関し、特に、内燃機関における摩擦損失が少なく耐摩耗性に優れたバルブリフタ及びその製造方法に関する。
エネルギー、環境問題に対応して燃費を向上させるため、内燃機関の摩擦損失の低減は重要な課題となっている。内燃機関の主要摺動部としては、動弁系、ピストン系、クランクシャフト系が挙げられる。摩擦損失はこれらの主要摺動部で75〜90%を占めており、中高速回転域ではピストンリング、ピストン、コンロッドの割合が高く、低速回転域では動弁系のフリクションの占める割合が高い。これらの摩擦損失を低減する技術は、基本的に摺動面の表面粗さを低減して摩擦抵抗を低くすること、潤滑の観点から保油性を向上した表面構造とすることを基本に、様々な改良がなされている。
例えば、特許文献1は、タペット(バルブリフタ)に関し、円板状の金属製シムでの中心側の表面粗さを小さくし、周辺側を大きくすることによって、周辺側の粗さに起因してシムの回転を促進し、同時に境界潤滑となりやすい中心側の潤滑油膜厚さを確保して、カムとタペットとの間のフリクションを低減することを開示している。具体的には、中央部の表面粗さを0.05〜0.07 Raとし、周辺部の表面粗さを0.1〜0.12 Raとすることを教示している。
また、特許文献2は、カムとバルブリフタの表面粗さを安価に且つ効果的に向上させて摩擦損失を低減させる表面処理方法として、カムの外周面及びバルブリフタの頂面に40〜200μmの微小ショットを100 m/秒以上の高速で噴射する精密ショットピーニングを施す方法を開示し、摺動面を表面粗さ0.8 μm Rz未満で且つ粗さ性状が微小ディンプル状である平滑面に仕上げるとともに加工硬化させている。特許文献2に開示された処理方法によって得られる表面は、図6に示すような、最表面が平滑で、一定の間隔でディンプル状の凹部が形成された表面構造をしていると教示されている。すなわち、上述した摩擦損失を低減する技術の側面では、摺動面の表面粗さを0.8 μm Rz未満に平滑化すると同時に、ディンプル状凹部の形成により保油性を向上した表面構造を指向したものであるようにみえる。
しかしながら、摺動面の表面粗さを0.8 μm Rz未満とすると規定しただけでは、特にエンジンの回転数が1000回転以下の低回転領域において充分な保油性を示す凹部の深さが得られるとは限らず、また最表面も微小突起等が存在し、充分な摩擦損失の低減に至っていないのが実情である。
本発明は、内燃機関の摩擦損失を低減することが可能な表面構造をもつバルブリフタ及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、内燃機関のバルブリフタ摺動面の表面性状を示す様々な粗さパラメータと動弁系のフリクショントルクデータ(カムの駆動トルクデータ)との相関について、多変量解析等の手段を用いて、鋭意研究した結果、Rk値(JIS B 0671-2:2002)とRsk値(JIS B 0601:2001)がフリクショントルクデータに有意であり、これらの粗さパラメータを所定の値に制御することにより、摩擦損失が少なく耐摩耗性に優れた摺動部材とすることができることに想到し、特願2013−71675として出願した。本発明は、カムの回転に伴って変化するカムとバルブリフタ冠面の接触位置について、最も外周側で速度がゼロになって潤滑油の油膜厚さが薄くなり、潤滑状態が悪化することを考慮し、特に、バルブリフタ冠面の周辺部で油膜厚さが十分確保できる表面性状とすることによって、摩擦損失を低減できることに想到したものである。
すなわち、本発明のバルブリフタは、カムの回転運動をバルブの往復運動に変換する内燃機関のバルブリフタであって、前記バルブリフタはカップ形状を有し、その冠面の粗さ曲線のRk値(JIS B 0671-2:2002)とRsk値(JIS B 0601:2001)を測定したとき、前記冠面の周辺部のRk(周辺)値が0.24〜1μm及びRsk(周辺)値が-1.5〜-0.2であることを特徴とする。前記周辺部の径方向長さは、前記冠面の径の0.1〜0.25であることが好ましい。
さらに、前記冠面の中央部のRk(中央)値と前記周辺部のRk(周辺)値は、
0.2μm<{Rk(周辺)−Rk(中央)}<0.8μm
の関係を満たし、且つ、前記中央部のRsk(中央)値が-1.5〜-0.2であることが好ましい。また、前記中央部のRk(中央)値は、0.24μm未満であり、前記中央部のRsk(中央値)値は、-1.5〜-0.2であることが好ましい。
0.2μm<{Rk(周辺)−Rk(中央)}<0.8μm
の関係を満たし、且つ、前記中央部のRsk(中央)値が-1.5〜-0.2であることが好ましい。また、前記中央部のRk(中央)値は、0.24μm未満であり、前記中央部のRsk(中央値)値は、-1.5〜-0.2であることが好ましい。
また、本発明のバルブリフタの前記冠面は、球面凸形状であり、且つ、前記球面凸形状の突出量が2〜20μmであることが好ましい。
本発明のバルブリフタの製造方法は、カムの回転運動をバルブの往復運動に変換する内燃機関のバルブリフタの製造方法であって、前記バルブリフタの冠面の周辺部の粗さ曲線が0.24μm未満のRk値となるように機械加工した後、ショットピーニング処理を施すことを特徴とする。さらに、前記ショットピーニング処理を施した後、粗さ曲線で-1.5〜-0.5のRsk値を有するように最表面の微小突起を除去する加工を行うことが好ましい。
本発明のバルブリフタは、カムとの潤滑状態が悪化する冠面の周辺部においても、粗さ曲線が所定のRk値を有しているので、保油性が向上して、優れた摩擦性能を示すことができる。この摩擦性能は、前記摺動面の粗さ曲線が負の所定のRsk値を有することにより、表面の平滑性の向上を確保し、さらなる摩擦性能の向上に繋がり、内燃機関の摩擦損失を低減し、最終的には燃費向上に貢献する。さらに、保油性の比較的良好な冠面の中央部を相対的に小さなRk値とすることにより、さらに摩擦損失を低減することが可能となる。また、本発明のバルブリフタの製造方法は、機械工業界では広く利用されているショットピーニング処理やラップ処理のような量産化の容易な手法により製造できるため、容易に実用化することができる。
本発明のバルブリフタは、図1〜図4にその断面図を示すように、内燃機関の直打式動弁系に適用される。図2は冠面(4)が平面状で側面(6)が円柱状の一体形状を有するバルブリフタであり、図3は頂面に別体のシム(7)を備えたバルブリフタであり、図4は冠面(4)が球面凸形状(図4は誇張して描かれている)のバルブリフタである。バルブリフタ(1)は、カム(2)とバルブ(3)の間に配置され、カム(2)の回転運動をバルブ(3)の往復運動に変換する機能を有し、カム(2)とバルブリフタ(1)の冠面(4)の間及びシリンダガイド穴の側壁(5)とバルブリフタ(1)の側面(6)との間で摺動し、特にカム(2)とバルブリフタ冠面(4)の間では大きな荷重下での摺動となるため、優れた摺動特性が求められている。
カム(2)とバルブリフタ冠面(4)の摩擦損失を低減するために、通常、冠面(4)を平滑化して表面粗さを小さくすることが有効であると考えられている。しかし、この平滑化は潤滑油の保油性を低下させる。また、内燃機関の直打式動弁機構では、カム(2)の回転に伴い、カム(2)とバルブリフタ(1)の冠面(4)の接触位置は半径方向に変化する。接触位置が最も外周側になったとき、速度がゼロになって潤滑油の油膜厚さが薄くなり、潤滑状態が悪化する。逆に、内側では、油膜厚さが厚くなり、油膜の剪断抵抗が増加する傾向を示す。
バルブリフタの摺動特性は、摺動面の表面性状を示す粗さパラメータにおいて、特に、JIS B 0671-2:2002に規定されるRk値に強い相関性を示し、バルブリフタ冠面(4)の周辺部(42)のRk(周辺)値が0.24〜1μmの範囲で低摩擦係数の優れた摺動特性を示す。Rk値は、粗さ曲線の突出山部高さと突出谷部深さの間のコア部のレベル差を意味しており、この値が大きくなれば凹部が深くなり保油性が向上すると考えられる。Rk(周辺)値が0.24μm未満では保油性が充分でないため低摩擦係数を示さず、1μmを超えた場合も粗さが粗くなって低摩擦係数を示さない。Rk値は0.3〜0.9μmがより好ましく、0.3〜0.7μmがさらに好ましい。
また、JIS B 0601:2001に規定されるRsk値も次に強い相関性があり、冠面(4)の周辺部(42)のRsk(周辺)値は-1.5〜-0.2とする。Rsk値は、粗さ曲線のスキューネス(skewness:ゆがみ度)を意味しており、粗さ曲線の平均線に対する非対称性の度合を示している。本発明のように表面が平滑であり、窪みのある状態でRsk値は負の値をとる。Rsk(周辺)値が-1.5未満では保油性に影響する凹部の体積が十分でなくなり、-0.2を超えると表面の平滑性が十分でなくなるため好ましくない。Rsk(周辺)値は-1.5〜-0.5がより好ましく、-1.5〜-0.7がさらに好ましい。
上記のバルブリフタ冠面(4)の周辺部(42)は、カム(2)との接触位置が最も外側になる領域を含むものとし、具体的には、周辺部(42)の径方向長さ(a)が冠面(4)の径の0.1〜0.25であることが好ましい。
一方、バルブリフタ冠面(4)の中央部(41)は、カム(2)は所定の摺動速度を有し、比較的良好な保油性を示すことが予測され、よって、摩擦係数を低減するにはRk(中央部)を小さくすることが好ましい。冠面(4)の周辺部(42)とのバランスを考慮すると、冠面(4)の中央部(41)のRk(中央)値と周辺部(42)のRk(周辺)値が、0.2μm<{Rk(周辺)−Rk(中央)}<0.8μmの関係を満たすことが好ましい。また、Rk(中央値)値は0.24μm未満であれば、より好ましい。Rsk(中央)値については、冠面(4)の周辺部(42)と同様に、中央部(41)も-1.5〜-0.2であることが好ましい。
また、バルブリフタは、一般的には、図2に示すように、冠面(4)は平面状で側面(6)は円柱状であるが、本発明では、図4に示すように、冠面(4)は球面凸形状とすることが好ましい。このような形状とすることにより、摩擦損失と摩耗量の両方を低減することが可能となる。冠面(4)の球面凸形状の突出量(p)は2〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。但し、図3に示すように、頂面に別体のシム(7)を設けたバルブリフタにも、本発明の技術的思想が適用できることはいうまでもない。
バルブリフタ(1)は、その冠面(4)でカム(2)と摺動する。よって、動弁系の摩擦損失を低減するには、もちろん、バルブリフタ(1)の摺動面の表面性状だけでなく、その相手材であるカム(2)の表面性状も最適化することが重要となる。本発明のバルブリフタは摺動面の粗さ曲線において、Rk値とRsk値を最適化しているが、相手材の表面性状としては、バルブリフタ摺動面に保持した潤滑油が相手材の凹凸に沿って逃げて枯渇しない程度に平滑な表面性状をしていることが好ましい。すなわち、相手材の平均的な表面性状として、算術平均粗さRa値で表せば0.2μm以下とすることが好ましい。Ra値が0.1μm以下であればより好ましい。
バルブリフタの材質は、特に限定されないが、クロムモリブデン鋼(JIS G4053、SCM材)、合金工具鋼(JIS G4404、SKD11及び相当材)が好ましく使用できる。クロムモリブデン鋼、合金工具鋼の棒材又は板材から、冷間鍛造によりバルブリフタを成形し、少なくとも前者は浸炭焼入れ、後者は焼き入れ焼き戻しを行って使用する。もちろん窒化処理を行うこともできる。さらに、摺動部材のバルブリフタの摺動面とその相手材の摺動面の一方又は両方に、低摩擦、耐摩耗をさらに向上させる目的で、DLC被膜、イオンプレーティング被膜、メッキ被膜などの表面処理を施してもよい。もちろん、それらの表面性状は本発明で規定する粗さ特性をもつものとする。
本発明のバルブリフタの製造方法は、バルブリフタ(1)の冠面(4)の周辺部(42)を0.24μm未満のRk値に機械加工した後、粗さ曲線で0.24〜1μmのRk値を有するようにショットピーニング処理を施すことを特徴とする。ショットピーニング処理を施す前の周辺部のRk値が0.24μm以上では、処理後のRk値が1μmを超えてしまい好ましくない。ショットピーニング処理は、比較的滑らかな表面に油溜りとして機能する微小の凹部を形成してRk値を増加し、保油性を向上させるために行われる。ある程度の深さの微小凹部を形成するという観点では、硬質の微小ショットを高速で吹き付ける公知の方法が使用できる。
ショットピーニング処理は、一般に、被処理物の表面を荒らすと同時にRsk値をある程度変化させる。しかし、上述の微小ショットを使用する方法では、最表面に微小突起が残っており、Rsk値は、バラツキが大きい場合や、摩擦係数を低減するに充分な値になっていない場合もある。もちろん、微小突起が残っていても、なじみ運転によりこれらの微小突起が除去され、その後は、低摩擦係数を示すということも可能であるが、運転初期から優れた低摩擦係数を求める場合には、前記ショットピーニング処理を行った後、粗さ曲線で-1.5〜-0.5のRsk値を有するように最表面の微小突起を除去する加工を行うことが好ましい。微小突起の除去には、ラップ処理や、比較的大きなショットで微小突起をつぶすようなショットピーニング処理を使用することができる。
実施例1及び比較例1
SCM420材から、冷間鍛造、浸炭焼入、研磨加工等の工程を経て、図4に示す形状のバルブリフタを作製した。冠面は球面凸形状(突出量8μm)で、粗さ曲線はRk値が0.17μmであった。実施例1は、このようにして得られたバルブリフタの冠面中央部を遮蔽板にて遮蔽し、冠面の周辺部に平均粒径30μmの微小ショットを0.45 MPaの噴射圧力で約5秒照射するショットピーニング処理を行った。ここで、冠面の周辺部の径方向長さ(a)は、冠面の径の0.15とした。また、ショットピーニング未処理のものを比較例1とした。ショットピーニング処理を施したバルブリフタの表面粗さパラメータ(Rk値、Rsk値)及び摩擦抵抗については、次のように測定した。
SCM420材から、冷間鍛造、浸炭焼入、研磨加工等の工程を経て、図4に示す形状のバルブリフタを作製した。冠面は球面凸形状(突出量8μm)で、粗さ曲線はRk値が0.17μmであった。実施例1は、このようにして得られたバルブリフタの冠面中央部を遮蔽板にて遮蔽し、冠面の周辺部に平均粒径30μmの微小ショットを0.45 MPaの噴射圧力で約5秒照射するショットピーニング処理を行った。ここで、冠面の周辺部の径方向長さ(a)は、冠面の径の0.15とした。また、ショットピーニング未処理のものを比較例1とした。ショットピーニング処理を施したバルブリフタの表面粗さパラメータ(Rk値、Rsk値)及び摩擦抵抗については、次のように測定した。
[1] 表面粗さパラメータ(Rk値、Rsk値)の測定
実施例1のバルブリフタ冠面の周辺部について、触針式表面粗さ試験機を用いて、Rk値とRsk値を測定した。冠面全体の形状並びに冠面の周辺部及び中央部の粗さ曲線を図5の(a)、(b)及び(c)に示す。バルブリフタ5個分の平均値として、Rk値は、0.53μm、Rsk値は-0.25であった。
実施例1のバルブリフタ冠面の周辺部について、触針式表面粗さ試験機を用いて、Rk値とRsk値を測定した。冠面全体の形状並びに冠面の周辺部及び中央部の粗さ曲線を図5の(a)、(b)及び(c)に示す。バルブリフタ5個分の平均値として、Rk値は、0.53μm、Rsk値は-0.25であった。
[2] 摩擦抵抗の測定
バルブリフタの摩擦抵抗の測定は、実機(2.0L、DOHC直列4気筒16バルブ)のシリンダヘッドアッシーを用いて、カム軸をモーターで駆動させ、そのときの駆動トルクを測定することによって行った。測定にあたっては、排気側のカムシャフトのみを駆動し、バルブリフタ8個分のフリクショントルクをトルクメータにより測定した。カムの回転数としては摩擦損失の大きな500 rpm、油温は80℃の条件で測定した。また、カムの表面粗さはRaで0.14μmであった。比較例1のカムの駆動トルクを1としたとき、実施例1の駆動トルクは0.75であった。すなわち、摩擦抵抗は25%低減されたものとみなされる。なお、摩擦抵抗の測定後、300時間の連続運転による摩耗量は、冠面の外周部からの突出量(p)の測定によれば、実施例1も比較例1も1μm以下で殆ど摩耗していなかった。
バルブリフタの摩擦抵抗の測定は、実機(2.0L、DOHC直列4気筒16バルブ)のシリンダヘッドアッシーを用いて、カム軸をモーターで駆動させ、そのときの駆動トルクを測定することによって行った。測定にあたっては、排気側のカムシャフトのみを駆動し、バルブリフタ8個分のフリクショントルクをトルクメータにより測定した。カムの回転数としては摩擦損失の大きな500 rpm、油温は80℃の条件で測定した。また、カムの表面粗さはRaで0.14μmであった。比較例1のカムの駆動トルクを1としたとき、実施例1の駆動トルクは0.75であった。すなわち、摩擦抵抗は25%低減されたものとみなされる。なお、摩擦抵抗の測定後、300時間の連続運転による摩耗量は、冠面の外周部からの突出量(p)の測定によれば、実施例1も比較例1も1μm以下で殆ど摩耗していなかった。
実施例2〜4
実施例1と同様にして、実施例1と同じ形状のバルブリフタを作製した。冠面の球面凸形状の突出量は10μm、粗さ曲線のRk値は0.14μmであった。まず、冠面全体に噴射圧力0.3 MPaで3秒のショットピーニング処理を行い、実施例1で使用したのと同じ遮蔽板で中央部を遮蔽して、周辺部に、表1に示す圧力で5秒間のショットピーニング処理を行った。表面粗さパラメータ(Rk値、Rsk値)の測定と摩擦抵抗の測定も実施例1と同様にして行った。その結果を、実施例1及び比較例1の結果とともに表1に示す。
実施例1と同様にして、実施例1と同じ形状のバルブリフタを作製した。冠面の球面凸形状の突出量は10μm、粗さ曲線のRk値は0.14μmであった。まず、冠面全体に噴射圧力0.3 MPaで3秒のショットピーニング処理を行い、実施例1で使用したのと同じ遮蔽板で中央部を遮蔽して、周辺部に、表1に示す圧力で5秒間のショットピーニング処理を行った。表面粗さパラメータ(Rk値、Rsk値)の測定と摩擦抵抗の測定も実施例1と同様にして行った。その結果を、実施例1及び比較例1の結果とともに表1に示す。
実施例5〜7
実施例5〜7では、それぞれ実施例2〜4と同様にして作製、ショットピーニング処理したバルブリフタに、さらにフィルムラップ加工機を使ってラップ処理を施した。表面粗さパラメータ(Rk値、Rsk値)の測定と摩擦抵抗の測定を、実施例1と同様にして行った。その結果を表2に示す。
実施例5〜7では、それぞれ実施例2〜4と同様にして作製、ショットピーニング処理したバルブリフタに、さらにフィルムラップ加工機を使ってラップ処理を施した。表面粗さパラメータ(Rk値、Rsk値)の測定と摩擦抵抗の測定を、実施例1と同様にして行った。その結果を表2に示す。
1 バルブリフタ
2 カム
3 バルブ
4 バルブリフタ冠面
5 バルブ穴側壁
6 バルブリフタ側面(スカート面)
7 シム
41 冠面中央部
42 冠面周辺部
71 シム中央部
72 シム周辺部
2 カム
3 バルブ
4 バルブリフタ冠面
5 バルブ穴側壁
6 バルブリフタ側面(スカート面)
7 シム
41 冠面中央部
42 冠面周辺部
71 シム中央部
72 シム周辺部
Claims (7)
- カムの回転運動をバルブの往復運動に変換する内燃機関のバルブリフタであって、前記バルブリフタはカップ形状を有し、その冠面の粗さ曲線のRk値(JIS B 0671-2:2002)とRsk値(JIS B 0601:2001)を測定したとき、前記冠面の周辺部のRk(周辺)値が0.24〜1μm及びRsk(周辺)値が-1.5〜-0.2であることを特徴とするバルブリフタ。
- 請求項1に記載のバルブリフタにおいて、前記周辺部の径方向長さが前記冠面の径の0.1〜0.25であることを特徴とするバルブリフタ。
- 請求項1又は2に記載のバルブリフタにおいて、前記冠面の中央部のRk(中央)値と前記周辺部のRk(周辺)値が、
0.2μm<{Rk(周辺)−Rk(中央)}<0.8μm
の関係を満たし、且つ、前記中央部のRsk(中央)値が-1.5〜-0.2であることを特徴とするバルブリフタ。 - 請求項1又は2に記載のバルブリフタにおいて、前記冠面の中央部のRk(中央)値が0.24μm未満であり、前記中央部のRsk(中央値)値が-1.5〜-0.2μmであることを特徴とするバルブリフタ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のバルブリフタにおいて、前記冠面が球面凸形状であり、且つ、前記球面凸形状の突出量が2〜20μmであることを特徴とするバルブリフタ。
- カムの回転運動をバルブの往復運動に変換する内燃機関のバルブリフタの製造方法であって、前記バルブリフタの冠面の周辺部の粗さ曲線が0.24μm未満のRk値となるように機械加工した後、ショットピーニング処理を施すことを特徴とするバルブリフタの製造方法。
- 請求項6に記載のバルブリフタの製造方法において、前記ショットピーニング処理を施した後、粗さ曲線で-1.5〜-0.5のRsk値を有するように最表面の微小突起を除去する加工を行うことを特徴とするバルブリフタの製造方法。
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