JP2016061000A - 裁断装置 - Google Patents

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成司 川上
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Abstract

【課題】布生地に印刷された裁断パターンの輪郭から算出された裁断データを取得し、前記布生地を裁断して正しい形状の構成要素を得る裁断装置を提供する。
【解決手段】裁断パターンを設けた布生地を載せるコンベア11と、前記コンベア11と平行に移動自在な裁断部12と、前記コンベア11に載せられた布生地を撮影する画像撮影部13と、裁断パターンの裁断データを前記裁断部12に出力する制御部14とから構成され、制御部14は、画像撮影部13が撮影した布生地の画像から前記布生地に設けられた裁断パターンの輪郭を抽出し、前記輪郭から算出された裁断データを裁断部12に出力する裁断装置1である。
【選択図】図1

Description

本発明は、布生地に印刷された裁断パターンに従って前記布生地を裁断し、構成要素を得る裁断装置に関する。
衣服は、裁断装置により、予め特定された型紙に倣って布生地を裁断して得られる構成要素を縫着し、製造される。文字、図形又はカラーリングは、製造された衣服に後から設けることもできる。しかし、近年では、構成要素となる領域内に文字、図形又はカラーリングを収めた裁断パターンを布生地に予め印刷しておき、前記裁断パターンの輪郭に沿って裁断部を移動させる裁断データに従って裁断部を移動させ、布生地を裁断して構成要素を得る例が増えてきている。このように、裁断パターンを裁断前の布生地に予め印刷する衣服の製造方法は、多品種少量生産に適している。
裁断パターンを裁断前の布生地に予め印刷する場合、印刷そのものや印刷の前処理又は後処理によって、布生地が縮んだり伸びたりし、裁断パターンに設定された理論的な裁断データと布生地に印刷された裁断パターンの輪郭とにずれが生じ、裁断パターンの輪郭に沿った正しい形状の構成要素を得ることができない問題があった。そこで、特許文献1では、裁断パターン(プリントデータ)とは別に、位置補正用のポイントマークを布生地に印刷し、前記ポイントマークから布生地の伸縮を把握して、裁断データ(カッティングデータ)を補正する裁断位置補正方法を提案している(特許文献1・[請求項1])。
特許文献1が開示する裁断位置補正方法は、ポイントマークの位置のゆがみや傾きから布生地のゆがみや傾き(伸縮具合)を知ることにより、裁断データを補正し、裁断装置に配置された布生地のゆがみや傾きでゆがんだ状態又は傾いた状態を含めた構成要素を得ることができ、印刷された絵柄のずれが解消されるとしている。布生地のゆがみや傾きは、布生地の全体的又は部分的な回転も含むとしている(特許文献1・[0009][0010])。これは、布生地を裁断装置に配置する際、正しい向き及び位置からずれていても補正できることを意味すると考えられる。
特開2003-113577公報
裁断パターンが印刷された布生地は、印刷された文字、図形又はカラーリングの種類や大きさ、印刷手段や印刷の前処理又は後処理のほか、布生地そのものの種類によって伸縮度合いや伸縮範囲(布生地全体又は布生地の一部分)が異なり、縦横が均等に伸縮していない。しかし、特許文献1は、布生地の伸縮度合を測るポイントマーカーが伸縮する布生地と同様に位置変化するとの前提に立っている(特許文献1・[0009])。これでは、縦横が均等に伸縮していない布生地の裁断データを正しく補正できず、布生地を裁断して正しい形状の構成要素を得ることができない。
布生地に予め印刷した裁断パターンから構成要素を得る例が増えている理由は、昇華転写印刷の普及によるところが大きい。昇華転写印刷は、従来の印刷と異なり、前処理や後処理が不要な上、従来の印刷よりも多様な文字、図形又はカラーリング(特にグラデーション)が扱える利点があり、これまで以上に多様な衣服を簡単に製造できる利点をもたらしている。ところが、昇華転写印刷は、どうしても布生地に熱を加える必要があり、布生地の種類によって伸縮が生じてしまう。
これから、昇華転写印刷を利用した多様な衣服の製造をより普及させるには、伸縮した布生地を裁断して正しい形状の構成要素を得る技術の確立が望まれる。そこで、昇華転写印刷を念頭に、裁断パターンを印刷することにより縦横が均等に伸縮しない布生地から、布生地に印刷された裁断パターンの輪郭から算出された裁断データを取得し、前記布生地を裁断して正しい形状の構成要素を得るため、裁断装置の構成又は構造について検討した。
検討の結果開発したものが、裁断パターンを設けた布生地を載せる上面が平坦な作業台と、前記作業台の上面と平行に移動自在な裁断部と、前記作業台に載せられた布生地を撮影する画像撮影部と、裁断パターンの裁断データを前記裁断部に出力する制御部とから構成され、制御部は、画像撮影部が撮影した布生地の画像から前記布生地に設けられた裁断パターンの輪郭を抽出し、前記輪郭から算出された裁断データを裁断部に出力することを特徴とする裁断装置である。裁断パターンは、文字、図形又はカラーリングが布生地に設けられれば、印刷によるものに限定されない。裁断パターンは、布生地に複数あってもよく、この場合各裁断パターンに対してそれぞれ裁断データが算出される。
作業台は、載せる布地に凹凸を生じさせないように、上面が平坦であればよい。裁断部は、布地を裁断する裁断手段と、作業台の上面と平行に前記裁断手段を移動させる移動手段とを含む。画像撮影部は、下方に向けられたカメラを作業台上方に支持しており、カメラを移動自在にする場合、移動手段を含む。制御部は、裁断部又は画像撮影部の移動手段の制御や、画像撮影部から受け取った画像を処理して裁断データを出力する装置で、専用装置やソフトウェアで処理能力を付与したパソコンを利用できる。
本発明の裁断装置は、収縮等により変形した布生地に設けられた裁断パターンを画像として画像撮影部により取得し、制御部に取り込んだ前記画像から裁断データを算出し、前記制御部から送られた裁断データに従って裁断部を移動させる。裁断データは、画像より抽出される裁断パターンの輪郭に沿った裁断部の移動経路、例えば特定された起点から一方向に回る一筆書き経路として算出される。裁断パターンの輪郭は、裁断パターンと布生地との境界線として抽出される。裁断パターンと布生地との境界線を明確にするため、裁断パターンの輪郭に暗色の輪郭線を付し、裁断データは前記輪郭線の内周からオフセットした移動経路として算出させてもよい。
裁断部の裁断手段は、算出された裁断データに従って布生地を裁断し、裁断パターンの輪郭に沿った正しい形状の構成要素を得ることができれば、従来公知の回転刃や片刃であってもよいが、作業台は、上面が金属製メッシュ面で、裁断部は、前記作業台に向けて照射するレーザーを裁断手段とする。金属製メッシュ面は、多数の開口にレーザーを通過させて、前記レーザーの反射や布生地の溶着を防止する平坦面で、金属線材を編んで四角形又は六角形の開口を多数設けた網体のほか、薄板を面直交方向に交差させて形成される中空柱状を多数並べた広義のハニカム構造体でもよい。
布生地や構成要素及び端切れは、基本的に、作業者が作業台に載せたり、回収したりする。ここで、作業台が載せた布生地を送るコンベアであると、前記コンベアに載せた布生地の搬入及び搬出、すなわち布生地を作業台に載せたり、前記布生地を裁断して得られた構成要素及び端切れを回収することが自動化できる。また、布生地は、連続した反物として、裁断パターンを設けた部分を裁断装置へ順次送り込み、また同時に構成要素及び端切れを回収できる。コンベアは、布生地を一方向(搬入側及び搬出側が同一線上で異なる)又は双方向(搬入側及び搬出側が同一線上で同じ)に送る。裁断手段がレーザーである場合、コンベアである作業台は、金属製メッシュからなるコンベアである。
画像撮影部は、位置固定されたカメラにより、作業台に載せられた布生地全体を一度に撮影して全体画像を制御部に送ってもよい。しかし、画像撮影部のカメラの高さに制約があり、また布生地が大きいため、一度に布生地全体を撮影すると、全体画像の周囲が歪んでしまい、前記全体画像から算出される裁断データが裁断パターンの輪郭からずれてしまう虞がある。そこで、画像撮影部は、作業台に載せられた布生地を複数の単位画像に分けて撮影し、制御部は、前記単位画像を繋ぎ合わせて全体画像を合成して、前記全体画像から前記布生地に設けられた裁断パターンの輪郭を抽出し、前記輪郭から算出された裁断データを裁断部に出力する。
単位画像は、設置できる画像撮影部のカメラの高さと前記カメラの解像度を加味して大きさが決定される。単位画像は、繋ぎ合わせて全体画像を合成されるので、前記単位画像の大きさから全体画像の分割数、すなわち単位画像の撮影回数と撮影位置とが決定される。複数の単位画像は、全体画像の分割数に等しい数のカメラを予め配置した画像撮影部により一度に撮影できる。しかし、画像撮影部は、作業台の上面と平行に移動自在とし、前記画像撮影部を移動させながら単位画像を順次撮影していくとよい。移動しながら単位画像を撮影する画像撮影部は、全体画像の分割数より少なければよいが、最も簡易には1基の画像撮影部を布生地全体に対して移動する構成がよい。
画像撮影部を移動させる場合、裁断部と独立した移動手段を設けてもよい。しかし、単位画像を撮影し終わり、全体画像を合成して裁断データを算出するまで、裁断部が布生地の裁断のために移動することはないから、前記裁断部の移動手段を利用することが考えられる。すなわち、画像撮影部は、裁断部と一体に構成され、前記裁断部と共に作業台の上面と平行に移動自在にする。これにより、画像撮影部専用の移動手段を省略でき、また単位画像を撮影している間に使用しない裁断部の移動手段を利用できる。
本発明の裁断装置は、縦横が均等に伸縮しない布生地を裁断しながら正しい形状の構成要素を得ることのできる効果がある。これは、作業台に載せた布生地を画像撮影部で撮影して得られた画像から、前記布生地の伸縮等の変形を加味した裁断データを算出し、前記裁断データに従って裁断部を移動させて布生地を裁断し、構成要素を得ることによる効果である。これから、本発明の裁断装置は、特に昇華印刷により裁断パターンを設けるにあたって伸縮する布生地を裁断する場合に好適に利用されるが、例えば裁断前に用意された裁断データのない手描きされた裁断パターンに従って布生地を裁断して構成要素を得る場合にも好適である。
裁断手段が回転カッタとした場合、抽出された裁断パターンの輪郭のうち、鋭角な角部を折り返すことができないため、前記角部で交差する2本の移動経路を設定した裁断データを算出し、また回転カッタを一度布生地から離して移動経路を切り換える制御が必要になる。裁断部の裁断手段をレーザーとすれば、前記2本の移動経路を有する裁断データの算出や裁断部を布生地から離す制御が不要で、布生地の全体画像から抽出された裁断パターンの輪郭をそのまま一筆書き経路として裁断データを算出し、前記裁断データに従って布生地を裁断できるため、作業能率が上がる効果を得る。このほか、裁断手段をレーザーとすれば、構成要素の周縁を瞬時に溶融及び固化し、ほつれを発生させない効果を得る。
作業台が布生地を送るコンベアであると、布生地や構成要素及び端切れの裁断装置に対する搬入及び搬出が自動化でき、作業能率を上げることができる。ここで、画像撮影部による布生地の撮影や、裁断部による構成要素の裁断まで自動化しておけば、裁断パターンを設けた布生地を作業台に載せ、前記布生地を裁断して構成要素及び端切れを分離し、前記構成要素及び端切れの回収までの流れを自動化できる。加えて、裁断パターンを設ける手順を裁断装置上流側に設けた印刷装置で自動化しておくと、印刷から裁断までの流れをすべて自動化でき、更に作業能率を上げることができる。
画像撮影部が布生地を複数の単位画像に分けて撮影し、制御部が前記単位画像を繋ぎ合わせて全体画像を合成し、裁断データを算出するようにすれば、画像撮影部のカメラの改造が低くても、全体画像としての解像度を歪みなく高くすることができ、より正確な裁断データの算出ができる効果を得る。この場合、画像撮影部に移動手段を設けておくと、画像撮影部は1基のみ設ければよく、更に前記移動手段が裁断部の移動手段と兼ねると、裁断部が働かない間、画像撮影部として移動し、単位画像を撮影するようにして、撮影部と画像撮影部のハードウェア及びソフトウェアが共通化し、装置構成を簡素化できる効果を得ることもできる。
本発明を適用した裁断装置の一例を表す斜視図である。 裁断パターンを印刷した布生地をコンベアにより搬入した状態を表す本例の裁断装置の平面図である。 画像撮影部を移動させて最初の単位画像を撮影した状態を表す本例の裁断装置の平面図である。 最初に撮影した単位画像と全体画像との関係を表す説明図である。 画像撮影部を移動させて複数の単位画像を撮影した状態を表す本例の裁断装置の平面図である。 撮影した複数の単位画像と全体画像との関係を表す説明図である。 画像撮影部を移動させてすべての単位画像を撮影し終えた状態を表す本例の裁断装置の平面図である。 すべての単位画像を撮影して完成させた全体画像を表す説明図である。 全体画像における裁断パターンの輪郭線に対してオフセットされた裁断データを算出した状態を表す説明図である。 裁断部を移動させて裁断を開始した状態を表す本例の裁断装置の平面図である。 裁断部を移動させてすべての裁断を終えた状態を表す本例の裁断装置の平面図である。 裁断パターンの裁断を終えた布生地をコンベアにより搬出した状態を表す本例の裁断装置の平面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明を適用した裁断装置1は、図1に見られるように、従来同種の裁断装置と全体構成がほぼ同じである。具体的には、装置外観を構成するベース15に、前記ベース15のY軸方向(長手方向)に延びるコンベア11を左右中央に設け、前記コンベア11を挟むベース15の左右両側に一対の移動ブロック16,16をY軸方向(短手方向)へ移動自在に設け、前記移動ブロック16,16間に架け渡した架橋アーム17に、X軸方向へ移動自在に裁断部12及び画像撮影部13を設けて構成される。
本例の裁断装置1は、裁断手段としてレーザーを用いている。このため、作業台は金属製メッシュからなるコンベア11としている。本例のコンベア11は、搬入された布生地3を含む範囲で全体画像2を取得するため、図2以下に見られるように、前記全体画像2をX軸方向に8分割、Y軸方向に9分割された計72個の単位画像撮影区画111が仮想的に設定されている。コンベア11は、搬入側端に載せられた布生地3を移動させ、単位画像撮影区画111が並ぶ範囲に前記布生地3を移動させ、裁断を終えた布生地3を搬出端へ送り出す。本例の場合、一番右側の列に並ぶ搬入端寄りの単位画像撮影区画111の右下角(搬入寄り角)を、裁断部12を構成するレーザーノズル122の移動基準となる原点112に設定している。
裁断部12は、架橋アーム17に沿って移動自在な支持プレート121と、前記支持プレート121に支持されたレーザーノズル122とから構成される。支持プレート121は、架橋アーム17に内蔵された周回ベルト(図示略)に取り付けられ、前記周回ベルトの周回により、X軸方向に延在する架橋アーム17に沿って、コンベア11と平行に、X軸方向に移動する。架橋アーム17は、Y軸方向に延在してベース15に内蔵された周回ベルト(図示略)の周回により移動する移動ブロック16,16に架け渡されているため、前記移動ブロック16,16に従って、コンベア11と平行に、Y軸方向に移動する。こうして、支持プレート121に支持されたレーザーノズル122は、コンベア11と平行に、X軸方向及びY軸方向に移動自在である。
画像撮影部13は、架橋アーム17に沿って移動自在な支持プレート121と、前記支持プレート121に支持されたカメラ131とから構成される。すなわち、本例の画像撮影部13は、カメラ131の支持基盤となる支持プレート121が上記裁断部12と共用であり、上述した裁断部12同様、支持プレート121に支持されたカメラ131は、コンベア11と平行に、X軸方向及びY軸方向に移動自在である。コンベア11上の位置座標は、レーザーノズル122について、単位画像撮影区画111に設定された原点112を基準とするものである。このため、前記レーザーノズル122からずれた位置で支持プレート121に取り付けられたカメラ131の位置座標は、レーザーノズル122の位置座標に対して前記ずれた位置に応じてオフセットされている。
画像撮影部13のカメラ131により撮影された単位画像25を処理したり、単位画像25を組み合わせて得られる全体画像2(後掲図4ほか参照)からA裁断データ21〜D裁断データ24(後継図9ほか参照)を算出したりする制御部14は、移動ブロック16,16や支持プレート121を移動させる制御機構を兼ねてベース15に組み込むこともできる。しかし、本例の制御部14は、前記制御機構と別に、ベース15近傍に配置している。制御部14は、専用装置として構成してもよいが、本例の制御部14は、汎用のパーソナルコンピュータに画像処理やA裁断データ21〜D裁断データ24の算出処理を担う専用ソフトウェアを組み込んだ構成としている。この場合、前記専用プログラムを組み替えたり、パラメータを変更したりするだけで、仕様変更しやすい利点がある。
本例の裁断装置1により、布生地3に印刷されたA裁断パターン31〜D裁断パターン24からA構成要素35〜D構成要素38を裁断する手順を説明する。本例の布生地3は、A裁断パターン31〜D裁断パターン24の輪郭を抽出しやすくするため、それぞれ太い黒線からなる輪郭線311,321,331,341に囲まれている。A裁断パターン31〜D裁断パターン24に割り当てられた文字、図形又はカラーリングが周囲と明確に区別できるものであれば前記輪郭線311,321,331,341は必要ないが、画像処理によるA裁断データ21〜D裁断データ24(後継図)の算出を容易にする観点から、輪郭線311,321,331,341を設けることが望ましい。輪郭線311,321,331,341は
まず、布生地3は、図2(図示の便宜上、架橋アーム17の大部分を仮想線表示にしている。以下同様)に見られるように、コンベア11の搬入端(図2中下側)に載せ、コンベア11に従って単位画像撮影区画111が並ぶ範囲まで移動させる。このとき、裁断部12及び画像撮影部13は、レーザーノズル122が原点112に一致する位置に移動させている。本発明の裁断装置1は、コンベア11上に置かれた布生地3を撮影した得られた全体画像2からA裁断データ21〜D裁断データ24を算出するため、A裁断パターン31〜D裁断パターン24の印刷により布生地3が伸縮していたり、コンベア11の移動方向に対して布生地3が曲がっていたりしても、問題がない。このため、コンベア11の搬入端に載せられる布生地3は、延反機等から奇麗にコンベア11上に繰り出すほか、作業者の手作業によりコンベア11に載せてもよい。
次に、図3に見られるように、画像撮影部13を移動させて、単位画像撮影区画111毎に布生地3を撮影し、単位画像25を撮影し始める。撮影された単位画像25は、画像データとして制御部14(図1参照)に順次送られる。最初の1枚の単位画像25を撮影した段階は、図4に見られるように、全体画像2に対して最初の区画(X1,Y1)が埋められるだけである。搬入される布生地3の大きさが一定しており、前記布生地3が毎回同じ単位画像撮影区画111が並ぶ範囲に搬入される場合、裁断パターンのない部分が明確なので、前記裁断パターンのない部分は、単位画像25の撮影を省略することもできる。本例は、すべての単位画像25を撮影する場合として説明する。
単位画像25は、画像撮影部13を構成するカメラ131の設置高さや解像度により大きさが異なるが、本例の場合、単位画像撮影区画111の個数及び配列位置に撮影回数及び撮影位置を一致させているため、カメラ131を各単位画像撮影区画111の中心に移動させて、前記単位画像撮影区画111毎に撮影する。仮に単位画像25が単位画像撮影区画111を超える大きさの場合、余剰は重複部分として除去し、単位画像撮影区画111に大きさを揃えた単位画像25を合成して全体画像2とする。単位画像撮影区画111の単位画像25を取得した画像撮影部13は、図5に見られるように、X軸方向に移動して隣の単位画像撮影区画111の単位画像25を撮影することを繰り返し、左端の単位画像撮影区画111の撮影を終えると、Y軸方向に移動ずれると共にX軸方向を原点112側に移動して、再び右端の単位画像撮影区画111から単位画像25を撮影していく。
撮影された単位画像25は、図6に見られるように、逐次制御部14に送られ、順次繋ぎ合わされる又は一時的に保存されて最後の単位画像25が送られてきてから一度に、全体画像2を構成する。例示では、区画(X1,Y1)〜区画(X5,Y5)までの単位画像25が取得され、A裁断パターン31は対応する単位画像25の取り込みを終え、まだ全体画像2が合成できていない状態を表している。本例の裁断装置1は、すべての単位画像撮影区画111から単位画像25を取得してから全体画像2を合成し、前記全体画像2からA裁断パターン31〜D裁断パターン24の輪郭線311,321,331,341を抽出し、そして前記輪郭線311,321,331,341に基づいてA裁断データ21〜D裁断データ24を算出する。
ここで、A裁断パターン31(図6参照)に対応する単位画像25がすべて撮影を終えているので、A裁断データ21のみを先行して算出することが考えられる。しかし、本例の裁断装置1は、裁断部12及び画像撮影部13が支持プレート121を共用しているため、画像撮影部13が単位画像25を撮影するために移動する間、別途裁断部12を移動させてA裁断データ21に従って布生地3を裁断することができない。このため、本例の裁断装置1は、全体画像2を構成した後にA裁断データ21〜D裁断データ24を算出し、それから裁断部12を移動させる手順を踏む。これは、処理時間の増加に繋がるが、裁断部12及び画像撮影部13の移動が早ければ前記増加はほとんど問題にならず、むしろ裁断部12及び画像撮影部13の装置構成や移動制御が簡素となり、製造コストやメンテナンスコストを低減させる利点を生み出している。
こうして、設定された単位画像撮影区画111全部について単位画像25の撮影を終えると、前記単位画像25が送られた制御部14において、図8に見られるように、布生地3とA裁断パターン31〜D裁断パターン24及びそれぞれの輪郭線311,321,331,341が描かれた全体画像2が取得される。既述したように、布生地3の大きさや配置が予め特定されていれば、例えばY軸方向最下段の単位画像25(図8中、区画(X1,Y1)〜区画(X8,Y1))やY軸方向最上段及び直下の段の単位画像25(図8中、区画(X1,Y8)〜区画(X8,Y9))までを除いた範囲で全体画像2を合成してもよい。全体画像3は、ラスターデータで、輪郭線311,321,331,341はドットが並んだ画像として認識される。
制御部14は、全体画像2から輪郭線311,321,331,341をベクトルデータとして抽出し、ベクトルデータとして認識される輪郭線311,321,331,341から、裁断部12のレーザーノズル122の移動経路となるA裁断データ21〜D裁断データ24を算出する。こうした全体画像2の画像処理やA裁断データ21〜D裁断データ24の算出処理は、従来公知の各種手段を利用できる。具体的な手段は、画像撮影部13のカメラ131や制御部14の性能や、画像撮影部13を移動させて単位画像25を撮影し始めてから裁断部12を移動させてA構成要素35〜D構成要素38を裁断し終えるまでの処理時間との兼ね合い等を加味して適宜決定する。
例えば、まず全体画像2を二値化して輪郭線311,321,331,341を強調するラスターデータを作成し、輪郭線311,321,331,341を構成するドットのX座標又はY座標が同じものを並べて単位直線を作成し、前記単位直線上にある代表点(例えば中点)を結んでベクトルデータの輪郭線311,321,331,341を得る。このとき、単位直線上にある代表点は、前記代表点を結んで得られる輪郭線311,321,331,341の法線ベクトルが右に突出するように、右回りに結んでいく。そして、輪郭線311,321,331,341は、それぞれの原点112に一番近い角を起点及び終点として設定する。これから、裁断部12は、例えばA裁断パターン31に設定されたA裁断データ21の原点112に一番近い角を起点として右回りに布生地3を裁断していく。
本例のA裁断データ21〜D裁断データ24は、A裁断パターン31〜D裁断パターン24の輪郭線311,321,331,341に一致した移動経路でなく、前記輪郭線311,321,331,341の内周縁から内側(A裁断パターン31〜D裁断パターン24の文字、図形又はカラーリングが印刷された側)にオフセットされた移動経路として算出している。オフセットは、制御部14において、輪郭線311,321,331,341の中心線、外周線又は内周縁のいずれかを基準にして大きさ(目安として1cm〜3cm)が設定され、変更自在である。ここで、輪郭線311,321,331,341から内側か否かは、例えば上述した輪郭線311,321,331,341の法線ベクトルの向きで判断される。本例の場合、A裁断データ21〜D裁断データ24が右回りなので、各法線ベクトルが右に突出する側がA裁断パターン31〜D裁断パターン24の内側として認識される。
こうして算出されたA裁断データ21〜D裁断データ24は、制御部14から裁断部12(正確には裁断部12を動かす制御機構)へ送られ、図10に見られるように、レーザーノズル122が前記A裁断データ21〜D裁断データ24に沿って右回りに移動するように、レーザーを出力しながら裁断部12を移動させて、布生地3を裁断する。A裁断データ21〜D裁断データ24は、制御部14が認識する論理的なものであり、実際の布生地3には存在しない。このため、レーザーにより裁断された痕である切断線351が、A裁断パターン21の輪郭線311の内側に形成されていく。
A裁断データ21〜D裁断データ24に沿って裁断を終えると、図11に見られるように、布生地3は、A裁断パターン31〜D裁断パターン24の輪郭線311,321,331,341より内側の切断線351,361,371,381で分断されたA構成要素35〜D構成要素38と前記A構成要素35〜D構成要素38を除いた端切れ39に分割される。そして、図12に見られるように、コンベア11を作動させて布生地3を搬出端に送り出すことにより、前記A構成要素35〜D構成要素38と端切れ39とが回収される。このとき、裁断部12及び画像撮影部13は、次の裁断処理のため、レーザーノズル122が原点112に一致するように復帰させておくとよい。
本発明の裁断装置1は、新たな布生地3を単位画像撮影区画111が並ぶ範囲に再び搬入して、上述までと同じ手順を繰り返すことにより、複数の布生地3を順次裁断していくことができる。本発明の裁断装置1は、実際にコンベア11に置かれた布生地3に印刷されたA裁断パターン31〜D裁断パターン24からA裁断データ21〜D裁断データ24を算出するため、搬入される度にA裁断パターン31〜D裁断パターン24が異なっていたり、布生地3の大きさや伸縮具合が異なっていたりしても、A裁断パターン31〜D裁断パターン24に基づいて正確に裁断し、A構成要素35〜D構成要素38を得ることができる。これは、本発明の裁断装置1が多品種少量生産に適していることを意味する。
また、本発明の裁断装置1は、実際にコンベア11に置かれた布生地3に印刷されたA裁断パターン31〜D裁断パターン24からA裁断データ21〜D裁断データ24を算出する際、布生地3の伸縮や姿勢の傾きを問わず、しわ伸ばしや傾きの調整が必要ない。このため、一連の処理手順が自動化されている。これは、布生地3の搬入及び搬出以外、作業者による作業が不要であり、前記搬入及び搬出までも自動化すれば、不具合等の対応以外に、作業者が不要になることを意味する。このように、本発明の裁断装置1は、作業手順が自動化され、大幅な省力化の効果が得られる効果がある。
1 裁断装置
11 コンベア
12 裁断部
121 支持プレート
122 レーザーノズル
13 画像撮影部
131 カメラ
14 制御部
2 全体画像
21 A裁断データ
22 B裁断データ
23 C裁断データ
24 D裁断データ
25 単位画像
3 布生地
31 A裁断パターン
311 A裁断パターンの輪郭線
32 B裁断パターン
321 B裁断パターンの輪郭線
33 C裁断パターン
331 C裁断パターンの輪郭線
34 D裁断パターン
341 D裁断パターンの輪郭線
35 A構成要素
351 A構成要素の切断線
36 B構成要素
361 B構成要素の切断線
37 C構成要素
371 C構成要素の切断線
38 D構成要素
381 D構成要素の切断線
39 端切れ

Claims (6)

  1. 裁断パターンを設けた布生地を載せる上面が平坦な作業台と、
    前記作業台の上面と平行に移動自在な裁断部と、
    前記作業台に載せられた布生地を撮影する画像撮影部と、
    裁断パターンの裁断データを前記裁断部に出力する制御部とから構成され、
    制御部は、画像撮影部が撮影した布生地の画像から前記布生地に設けられた裁断パターンの輪郭を抽出し、前記輪郭から算出された裁断データを裁断部に出力することを特徴とする裁断装置。
  2. 作業台は、上面が金属製メッシュ面で、
    裁断部は、前記作業台に向けて照射するレーザーを裁断手段とする請求項1記載の裁断装置。
  3. 作業台は、載せた布生地を送るコンベアである請求項1又は2いずれか記載の裁断装置。
  4. 画像撮影部は、作業台に載せられた布生地を複数の単位画像に分けて撮影し、
    制御部は、前記単位画像を繋ぎ合わせて全体画像を合成して、前記全体画像から前記布生地に設けられた裁断パターンの輪郭を抽出し、前記輪郭から算出された裁断データを裁断部に出力する請求項1〜3いずれか記載の裁断装置。
  5. 画像撮影部は、作業台の上面と平行に移動自在である請求項4記載の裁断装置。
  6. 画像撮影部は、裁断部と一体に構成され、前記裁断部と共に作業台の上面と平行に移動自在である請求項5記載の裁断装置。
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