JP2016060868A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2016060868A
JP2016060868A JP2014191294A JP2014191294A JP2016060868A JP 2016060868 A JP2016060868 A JP 2016060868A JP 2014191294 A JP2014191294 A JP 2014191294A JP 2014191294 A JP2014191294 A JP 2014191294A JP 2016060868 A JP2016060868 A JP 2016060868A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polyester resin
polyester
film
atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014191294A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6467834B2 (ja
Inventor
泰広 稲川
Yasuhiro Inagawa
泰広 稲川
吉村 仁
Hitoshi Yoshimura
仁 吉村
藤原 奨
Susumu Fujiwara
奨 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2014191294A priority Critical patent/JP6467834B2/ja
Publication of JP2016060868A publication Critical patent/JP2016060868A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6467834B2 publication Critical patent/JP6467834B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

【課題】ポリエーテルイミドを含有するポリエステルの耐熱性を向上し、ゲル化による異物発生を抑制した、製膜性および表面性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリエステルとポリエーテルイミドを主たる成分とするポリエステル樹脂組成物であり、5価のリン原子を820〜2000ppm含有し、該ポリエステル樹脂組成物のアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子及びリン原子の含有量が式(1)を満たすポリエステル樹脂組成物。0.02≦(M/2+M)/P≦0.05・・・(1)[ポリエステル樹脂組成物中の各々の原子の総モル数を表し、Mはアルカリ金属;Mはアルカリ土類金属;Pはリン]
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルとポリエーテルイミドを主たる成分としてなるポリエステル樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、5価のリン、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の各原子を規定の量範囲で含有することにより、耐熱性を向上してゲル化を抑制した、製膜性および表面性に優れたポリエステル樹脂組成物に関する。
ポリエステルは、結晶性、強度、耐薬品性、透明性に優れ、フィルム、繊維、ボトル、押出成形品など様々な用途に使用されている。中でも、フィルム用途ではその優れた機械特性と経済性のため、多方面で使用されており、特に磁気記録用途での有用性は周知である。しかしながら、近年、磁気記録媒体には高密度記録化が要求されている。更なる高密度記録を達成するためには、テープの寸法安定性を高めること、また、磁性層の薄膜化や微粒子磁性体を使用するとともに、微粒子磁性体を高度に分散させて、磁性層表面の平滑性を高めることや記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有効である。
高い寸法安定性を有するポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミドからなる二軸配向ポリエステルフィルムが知られている。しかし、ポリエステルとポリエーテルイミドの共存下では、ポリエステルの分解により発生する水およびラジカルの発生によりポリエーテルイミドの分解が引き起こされ、更にポリエーテルイミドの分解物がポリエステルの分解を促進することで、ポリエステルの耐熱性が悪化し、ゲル状の異物発生を引き起こし、フィルム表面の欠点となる問題がある。
ポリエステルとポリエーテルイミドからなる二軸配向ポリエステルフィルムにおいてゲル化を抑制する方法として、例えば特許文献1では、3価のリン系酸化防止剤を添加する方法が提案されている。
しかしながら、前述の方法では、ポリエーテルイミドの分解およびポリエステルのゲル化の抑制効果としては不十分であり、また、近年要求されている高密度記録化のため、記録トラックを小さくした場合、わずかなフィルム上の欠点であっても、データの欠落および破損の原因となってしまうという問題があり、さらなるゲル化の抑制が要求される。また、酸化防止剤を多量に添加した場合、製膜性が不良となる、フィルム表面へのブリードアウトによる表面性悪化を生じるという課題がある。
特開2009−179739号公報
本発明の目的は、上記した従来の課題を解決し、ポリエーテルイミドを含有するポリエステルの耐熱性を向上し、ゲル化による異物発生を抑制した、製膜性および表面性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
前記した本発明の目的は、ポリエステルとポリエーテルイミドを主たる成分とするポリエステル樹脂組成物であり、5価のリン原子を820〜2000ppm含有し、該ポリエステル樹脂組成物のアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子およびリン原子の含有量が下記式(1)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物によって達成できる。
0.02≦(M/2+M)/P≦0.05 ・・・(1)
[上記式(1)中、Mはポリエステル樹脂組成物中のアルカリ金属原子の総モル数、Mはポリエステル樹脂組成物中のアルカリ土類金属原子の総モル数、Pはポリエステル樹脂組成物のリン原子の総モル数を表す。]
本発明によれば、ポリエステルとポリエーテルイミドを主たる成分としてなるポリエステル樹脂組成物において、5価のリン、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の各原子を規定の量範囲で含有することにより、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性を向上してゲル化による異物発生を抑制し、かつ製膜性に優れ、フィルムとした際に優れた表面性を得ることができる。
本発明におけるポリエステルとは、特に限定されないが、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、ヘキサメチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、ブチレン−2,6−ナフタレート、ヘキサメチレン−2,6−ナフタレート、シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレート単位等から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とするものが好ましい。中でも、エチレンテレフタレートを主要構成単位とするポリエステルは、成形加工性に優れるため特に好ましい。また、2種以上のポリエステルを混合しても良いし、共重合のポリエステルを用いても良い。
本発明で用いるポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合、通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリエステルを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリエステルを得るプロセスである。ここでエステル交換反応においては、通常既知の、マンガン、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物であるエステル交換触媒を添加しても良い。
本発明におけるポリエーテルイミドとは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有するポリマーであれば、特に限定されない。例えば米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報などに記載されたポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特開平9−48852号公報などに記載されたポリマーである。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミド、エーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
その中でも、ポリエステルとの相溶性、溶融成形性の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2016060868
または
Figure 2016060868
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、SABICイノベーティブプラスチック社より入手可能であり、「Ultem1000」、「Ultem1010」、「Ultem1040」、「Ultem5000」、「Ultem6000」および「UltemXH6050」シリーズや「Extem XH」および「Extem UH」の登録商標名等で知られている。
本発明において、ポリエステルとポリエーテルイミドを主たる成分とするポリエステル樹脂組成物とはポリエステル樹脂組成物中のポリエーテルイミドの重量分率が2〜60%であることが耐熱性の点から好ましい。本発明のポリエステル組成物を製造する方法は、特に限定されず、ポリエステルのエステル化もしくはエステル交換反応前にポリエーテルイミドを添加しても良いし、重合後に重合装置へポリエーテルイミドを添加してもよいが、二種のポリマーをよく相溶化するためにはポリエステルとポリエーテルイミドを押出機に投入し、溶融混練する方法が好ましい。
ポリエステル樹脂組成物中のポリエステルとポリエーテルイミドの比率の測定法は、次のとおりである。
すなわち、本発明のポリエステル樹脂組成物を溶媒であるヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルムに溶解し、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステルおよびポリエーテルイミドに特有の吸収(例えばポリエチレンテレフタレートであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収、ポリエーテルイミドはイミド芳香族のプロトンの吸収)のピーク面積強度を求め、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は次のとおりである。
装置 :BRUKER DRX−500(ブルカー社)
溶媒 :HFIP/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisition time:4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
本発明のポリエステル樹脂組成物は、5価のリン原子を820〜2000ppm含有する必要がある。好ましい含有量は1050〜1850ppmであり、より好ましくは1250〜1750ppmである。5価のリン原子を規定の範囲で含有することにより、ポリエーテルイミドの分解を抑制し、ポリエステルのゲル化をも抑制することが可能となる。820ppm未満では、5価のリンによるポリエーテルイミドの分解抑制の効果が不十分となり、ポリエステルのゲル化を引き起こす。2000ppmを超えると、ポリエステル樹脂組成物をフィルムとする際の製膜性が不良となり、更にフィルム表面にリン化合物がブリードアウトすることによる表面性の悪化を引き起こす。5価以外のリン化合物を用いた場合、ゲル化の抑制が不十分となる、あるいはポリエステル樹脂組成物をフィルムとした際のブリードアウトによる表面性悪化を引き起こす。
本発明のポリエステル組成物に5価のリン原子を含有させるために添加するリン化合物としては、特に限定されないが、ポリエーテルイミドの分解を抑制する観点から、トリエチルホスホノアセテート、トリメチルホスフェートが好ましい。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物に5価のリン原子を含有させる方法としては、ポリエステル樹脂組成物に均一に分散させる点およびポリエステルの生産性の点から、ポリエステルおよびポリエーテルイミドの混練時に5価のリン化合物を混練する方法が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子およびリン原子の含有量が下記式(1)を満たす必要がある。尚、ここで言うアルカリ土類金属とは、周期表第IIA族に属するBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Raを指す。各原子の含有量を規定の範囲内とすることにより、5価のリンによるポリエーテルイミドの分解抑制の効果が十分に発揮され、ポリエステルのゲル化を抑制することが可能となる。0.02未満ではフィルムとする際の製膜性の悪化、あるいはリン化合物を多量に添加することにより、ポリエステル樹脂組成物をフィルムとした際のブリードアウトによる表面性悪化を引き起こす。0.05を超えると、ポリエーテルイミドの分解が抑制できず、ポリエステルのゲル化を引き起こす。
0.02≦(M/2+M)/P≦0.05 ・・・(1)
[上記式(1)中、Mはポリエステル樹脂組成物中のアルカリ金属原子の総モル数、Mはポリエステル樹脂組成物中のアルカリ土類金属原子の総モル数、Pはポリエステル樹脂組成物のリン原子の総モル数を表す。]
本発明に用いられるアルカリ金属およびアルカリ土類金属原子を含有させる方法は、特に限定されないが、ポリエステルの製造時に触媒または添加物として含有させることが好ましいことから、アルカリ金属としては酢酸リチウムを、アルカリ土類金属としては酢酸マグネシウムを用いることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステルのゲル化を抑制する観点から、マンガン原子を5〜50ppm含有することが好ましく、より好ましくは10〜40ppm、更に好ましくは15〜30ppmである。マンガン原子の量を規定の範囲とすることにより、ポリエーテルイミドの分解およびポリエステルのゲル化を抑制することが可能となる。マンガン原子を含有させる方法としては、特に限定されないが、ポリエステルの製造時に触媒または添加剤として添加することが好ましい。
次に本発明のポリエステルの製造方法について詳しく説明するが、これに限定されるものではない。ここでは、ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートを用いる。
まず、テレフタル酸とエチレングリコールをエステル化することにより、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応することにより、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。エステル交換反応の場合、エステル交換触媒として酢酸マンガン4水和物を添加する。次にこのBHTを重合槽へ移送し、重合触媒として従来既知のアンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などの重合触媒を添加し、装置内温度をゆっくり280℃まで加熱し、常圧から133Pa以下まで減圧する。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは水槽で急冷され、カッターでペレット状とする。
得られたポリエステルの固有粘度を高くするために、さらに固相重合してもよい。固相重合する場合は、ペレット状ポリエステルを180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合させる。ポリエステルには本発明の効果を妨げない範囲で、従来公知の方法で不活性粒子や各種の添加剤、例えばエポキシ化合物等の末端封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等を必要に応じて適宜含有してもよい。
次に、該ポリエステルのペレットとポリエーテルイミドのペレットを所定の割合で混合し、180℃で3時間以上真空乾燥した後、270℃〜300℃に加熱された溶融押出機に供給する。同時に、ポリエステル樹脂組成物に対してリン元素として820〜2000ppmとなる量の5価のリン化合物を計量器で計量しながら供給し、溶融押出し、ポリエステル樹脂組成物を得る。このときの滞留時間は30〜600秒が好ましく、より好ましくは60〜300秒の条件である。
本発明の磁気記録媒体用フィルムの製造方法の具体例について詳細を説明するが、以下の記述に限定されるものではない。
得られたポリエステルとポリエーテルイミドを主たる成分とするポリエステル樹脂組成物のペレットを、180℃で3時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で、280〜320℃に加熱された押出機に供給し、繊維焼結ステンレス金属フィルター内を通過させた後、スリット状のダイから押出し、キャストドラムに静電荷を印加させながら冷却して未延伸フィルムを得る。この際、本発明のポリエステル樹脂組成物とポリエチレンテレフタレートを所定の割合で混合し、乾燥後、押出機へ供給してもよい。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させることができる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を採用できる。
逐次二軸延伸により延伸する場合は、得られた未延伸フィルムをポリエステル組成物の(ガラス転移温度Tg−30℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下に加熱されたロール群上で接触昇温させて、長手方向に1.1〜4.0倍延伸し、これを一旦冷却した後に、テンタークリップに該フィルムの端部を噛ませて幅方向にポリエステル組成物の(ガラス転移温度Tg+5℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下の温度雰囲気下の中で1.1〜4.0倍延伸し、二軸配向したポリエステル組成物フィルムを得るのである。延伸の終了した二軸配向フィルムはさらにTg+50℃〜Tg+150℃の範囲の温度で熱処理すると寸法安定性が向上する。
上記のようにして得られた二軸配向フィルム(磁気記録媒体用支持体)を、たとえば0.1〜3m幅にスリットし、速度20〜300m/min、張力50〜300N/mで搬送しながら、一方の面(A面)に磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布する。なお、上層に磁性塗料を厚み0.1〜0.3μmで塗布し、下層に非磁性塗料を厚み0.5〜1.5μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80〜130℃で乾燥させる。
次いで、反対側の面(B面)にバックコートを厚み0.3〜0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)を用い、温度70〜120℃、線圧0.5〜5kN/cmで行う。その後、60〜80℃にて24〜72時間エージング処理し、1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる。
以下、単に「部」と記載されている場合は、「質量部」を意味する。
[磁性層形成塗液]
バリウムフェライト磁性粉末 100部
〔板径:20.5nm、板厚:7.6nm、板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)飽和磁化:44Am2/kg、BET比表面積:60m2/g〕
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
[非磁性層形成用塗布液]
非磁性粉体 α酸化鉄 100部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積 50m2/g
pH 7
DBP吸油量 27〜38ml/100g
表面処理層Al2O3 8質量%
カーボンブラック 25部
コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製)
塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 13部
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部
フェニルホスホン酸 3.5部
ブチルステアレート
磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニア記録方式の記録媒体(LTO4やLTO5などのリニア磁気記録媒体))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステル樹脂組成物の金属原子の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用いて、各原子に対する蛍光X線強度を求め、あらかじめ作成しておいた検量線より求めた。
(2)ポリエステル樹脂組成物の5価のリン原子の含有量
Chemagnetics製CMX−300を用い、室温にて固体31P−NMR測定を行った。化学シフト基準としては、85wt%リン酸水溶液(外部基準0.0ppm)、(NHHPO(外部基準1.33ppm)を用いた。得られたスペクトルピークについて、3価リンに帰属するピークの積分値(およそ1100〜160ppmの位置に相当)の合計Iと5価リンに帰属するピークの積分値(およそ50ppm以下、3価よりも低ppmに相当)の合計Iを比として算出、前記(1)により求めたリン原子の含有量Pを用いて、5価のリン原子の含有量Pを、以下の式にて算出した。なお、スピニングサイドバンドは各ピークの主ピークの積分値に合算した。
=P×I/(I+I
(3)ポリエステル樹脂組成物のゲル化率
ポリエステル樹脂組成物1gを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状とし真空乾燥した。この試料を、オーブン中で、大気下、300℃で2.5時間熱処理する。これを、50mlのオルトクロロフェノール(OCP)中、80〜150℃の温度で0.5時間加熱し溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶分の重量を算出し、OCP不溶分のポリエステル樹脂組成物重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
(4)ポリエステル樹脂組成物の製膜性
ポリエステル樹脂組成物99重量部と平均粒径0.06μmのシリカ1重量部を混合し、これらの混合物を溶融混練し、シリカ含有ポリエステル樹脂組成物を作成した。次いで、ポリエステル樹脂組成物80重量部とシリカ含有ポリエステル樹脂組成物20重量部を混合し、これらの混合物を180℃で3時間減圧乾燥し、300℃に加熱された押出機Eに供給し、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内から、ポリエステル樹脂組成物とシリカ含有ポリエステル樹脂組成物の溶融物をシート状に押出して溶融単層シートとし、当該溶融単層シートを表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印可させながら密着冷却固化させて、未延伸フィルムを作成し、以下の基準で製膜性を判断した。
○:問題なくフィルムが作成できた。
△:キャストドラムへの密着性の低下が見られるが、フィルムの作成は問題なかった。
×:キャストドラムへの密着性が不良となり、フィルムの作成が困難となった。
(5)フィルム表面へのリン化合物のブリードアウト有無
上記方法で作成した未延伸フィルムの表面状態を目視確認し、以下の基準で評価した。
○:フィルム表面にブリード物が認められない。
×:フィルム表面にブリード物が認められる。
実施例1
テレフタル酸86重量部とエチレングリコール39重量部とのエステル化反応物(低重合体)をエステル交換反応槽で240℃で溶融し、これにテレフタル酸86重量部、およびエチレングリコール39重量部を加え、250℃で攪拌しながらエステル化反応を続け、水の留出量が理論留出量の97%以上に達したエステル化反応物からテレフタル酸86重量部に相当する反応物を重縮合反応槽に移行した。引き続いて、三酸化アンチモン0.03重量部、トリエチルホスホノアセテートをポリエステルに対してリン原子量として30ppm、酢酸リチウム2水和物をポリエステルに対してリチウム原子量として6ppm、酢酸マグネシウム4水和物をポリエステルに対してマグネシウム原子量として60ppm、酢酸マンガン4水和物をポリエステルに対してマンガン原子量として40ppmとなるよう計量し、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に添加した。その後、エステル化反応生成物を攪拌しながら、反応系を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして、固有粘度0.6のポリエステルを得た。
次いで、上記の方法より得られたポリエステルのペレット50重量部とMw32000のポリエーテルイミド(SABICイノベイティブプラスチックス社製の“ULTEM1010−1000”(登録商標))50重量部、ポリエステルに対してリン原子量として、ポリエステル樹脂組成物として1500ppm含有する量のトリエチルホスホノアセテートを同方向回転型二軸混練押出機(東芝機械株式会社TEM−35B)に供給し、押出温度300℃、剪断速度150秒−1、滞留時間3.5分の条件下で混練、吐出して水冷後ペレタイズしてペレットに成型した。
ポリエステル樹脂組成物の組成および製造条件を表1に、得られたポリエステル樹脂組成物の評価結果を表2に示す。本発明のポリエステル樹脂組成物はゲル化率が0.1%と低く、またフィルム作成時の製膜性は良好であり、フィルム表面にブリード物は認められなかった。
実施例2、3
ポリエステルおよびポリエーテルイミドの比率を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。実施例2においては、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率および製膜性は良好であり、フィルム表面のブリード物も認められなかった。実施例3においては、ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル比率を減少させたことによる、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量の低減により、製膜時のキャストドラムへの密着性低下が若干見られたが問題ないレベルであり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率および製膜性は良好であった。
実施例4
5価のリン化合物をトリメチルホスフェートに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。実施例4においては、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率および製膜性は良好であり、フィルム表面のブリード物も認められなかった。
実施例5、6
リン原子の含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。実施例5においては、リン原子量を減少させたことにより、ゲル化率の増加が見られたが問題ないレベルであり、製膜性は良好であり、フィルム表面のブリード物も認められなかった。実施例6においては、リン原子量を増加させたことにより、製膜時のキャストドラムへの密着性低下が若干見られたが問題ないレベルであり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率および製膜性は良好であった。
実施例7〜10
リチウム原子およびマグネシウム原子の含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。実施例7、8および10においては、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率および製膜性は良好であり、フィルム表面のブリード物も認められなかった。実施例9においては、アルカリ土類金属の含有量を低減させたことにより、製膜時のキャストドラムへの密着性低下が若干見られたが問題ないレベルであり、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率および製膜性は良好であった。
実施例11〜14
マンガン原子の含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。実施例12、14においては、マンガン原子の含有量が好ましい範囲外であることにより、ゲル化率の増加が一応見られたが問題ないレベルであり、製膜性は良好であり、またフィルム表面のブリード物も認められなかった。実施例11、13においては、ポリエステル樹脂組成物のゲル化率および製膜性は良好であり、フィルム表面のブリード物も認められなかった。
実施例15
ポリエステルの重縮合反応において、所定の攪拌トルクとなった時点で、追加のトリエチルホスホノアセテートを重縮合反応槽に添加し、5分間攪拌した後に反応系を窒素パージして常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステルを得た以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。実施例15においては、トリエチルホスホノアセテートを添加した時期を変更したことにより、分散が不十分となりゲル化率の若干の増加が見られたが問題ないレベルであり、製膜性は良好であり、フィルム表面のブリード物も認められなかった。
比較例1
トリエチルホスホノアセテートを3価のリン化合物である、ADEKA製“アデカスタブ PEP−36”に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。比較例1においては、5価のリン化合物ではなく3価のリン化合物を使用したため、フィルムとした際にフィルム表面にブリード物が認められ不良であった。
比較例2、3
リン原子の含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。比較例2においては、リン原子量が規定の範囲に満たないため、ゲル化率の増加が見られ不良であった。比較例3においては、リン原子量が規定の範囲を超えたため、製膜時のキャストドラムへの密着性が不良となりフィルムの採取が困難であり、またフィルム表面にブリード物が確認され不良であった。
比較例4〜6
リチウム原子およびマグネシウム原子の含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。結果を表1および表2に示す。比較例4、5においては、式(1)の範囲を超えたため、ゲル化率の増加が見られ不良であった。比較例6においては、式(1)の範囲に満たないため、製膜時のキャストドラムへの密着性が不良となりフィルムの採取が困難となった。
Figure 2016060868
Figure 2016060868

Claims (3)

  1. ポリエステルとポリエーテルイミドを主たる成分とするポリエステル樹脂組成物であり、5価のリン原子を820〜2000ppm含有し、該ポリエステル樹脂組成物のアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子およびリン原子の含有量が下記式(1)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
    0.02≦(M/2+M)/P≦0.05 ・・・(1)
    [上記式(1)中、Mはポリエステル樹脂組成物中のアルカリ金属原子の総モル数、Mはポリエステル樹脂組成物中のアルカリ土類金属原子の総モル数、Pはポリエステル樹脂組成物のリン原子の総モル数を表す。]
  2. ポリエステル樹脂組成物が、マンガン原子を5〜50ppm含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物を用いて製造した、磁気記録媒体用フィルム。
JP2014191294A 2014-09-19 2014-09-19 ポリエステル樹脂組成物 Active JP6467834B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014191294A JP6467834B2 (ja) 2014-09-19 2014-09-19 ポリエステル樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014191294A JP6467834B2 (ja) 2014-09-19 2014-09-19 ポリエステル樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016060868A true JP2016060868A (ja) 2016-04-25
JP6467834B2 JP6467834B2 (ja) 2019-02-13

Family

ID=55797094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014191294A Active JP6467834B2 (ja) 2014-09-19 2014-09-19 ポリエステル樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6467834B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008081533A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2013072075A (ja) * 2011-09-29 2013-04-22 Toray Ind Inc ポリエステル組成物の製造方法およびフィルム

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008081533A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2013072075A (ja) * 2011-09-29 2013-04-22 Toray Ind Inc ポリエステル組成物の製造方法およびフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP6467834B2 (ja) 2019-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3335683B2 (ja) ポリエステルフイルムおよびその製造方法
EP0226162B1 (en) Polyethylene-2,6-naphthalate film for magnetic recording tapes
JP6787326B2 (ja) ポリエステル樹脂及び該ポリエステル樹脂の製造方法並びにポリエステル樹脂組成物
JP5081910B2 (ja) 電気絶縁用二軸配向フィルム
WO2012023571A1 (ja) 耐加水分解性ポリエステルフィルム
JPS6343931A (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP6467834B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2012052014A (ja) ポリエステル組成物
JP6413581B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2015178552A (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及びその製造方法
US20160122532A1 (en) Thermoplastic resin composition, molded article made therefrom, and method of preparing the thermoplastic resin composition
KR102324818B1 (ko) 폴리에스테르 수지의 제조방법
JP5098719B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JP5069434B2 (ja) ポリエステル組成物およびその製造方法
JPH01223156A (ja) ポリエステル組成物及びそれからなる二軸延伸ポリエステルフィルム
KR102255307B1 (ko) 열가소성 수지 조성물 및 이로 이루어진 성형품
JP2018039918A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP2009179739A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルム
JP2004107471A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
US20040101701A1 (en) PEN-PET-PEN polymeric film
JP2012102251A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JPH06200000A (ja) ポリエステル組成物
JPH06206266A (ja) ポリエステルフィルム及びその製造方法
JPH08333461A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
KR960007337B1 (ko) 폴리에스테르 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170807

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181231

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6467834

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151