JP2016060832A - 蛍光シリカ粒子およびその製造方法、並びにこれを用いた標識試薬および検査キット - Google Patents

蛍光シリカ粒子およびその製造方法、並びにこれを用いた標識試薬および検査キット Download PDF

Info

Publication number
JP2016060832A
JP2016060832A JP2014190079A JP2014190079A JP2016060832A JP 2016060832 A JP2016060832 A JP 2016060832A JP 2014190079 A JP2014190079 A JP 2014190079A JP 2014190079 A JP2014190079 A JP 2014190079A JP 2016060832 A JP2016060832 A JP 2016060832A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
fluorescent
fluorescent dye
silica particles
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014190079A
Other languages
English (en)
Inventor
王林 明
Akira Obayashi
明 王林
立規 猪熊
Tatsunori Iguma
立規 猪熊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp, Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical DIC Corp
Priority to JP2014190079A priority Critical patent/JP2016060832A/ja
Publication of JP2016060832A publication Critical patent/JP2016060832A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

【課題】蛍光色素の保持力に優れる蛍光シリカ粒子の提供。【解決手段】式(1)で表される蛍光色素含有高分子を含む、蛍光シリカ粒子。[Xはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、又は式(2)で表される基;YはH、アルキル基、蛍光色素含有基、アリール基等;Yの少なくとも1つは蛍光色素含有基;nは10〜10000(Zはアルキレン基、アルケニル基、アリレーン基等;mは1〜6)]【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光シリカ粒子およびその製造方法、並びにこれを用いた標識試薬および検査キットに関する。
シリカ粒子は、それ自体では吸光性、蛍光性、磁性等の性質は有さないものの、高い安定性、高い生体適合性、化学修飾容易性を有していることから、近年、標識物質への適用の検討が試みられている。シリカ粒子を標識物質に適用する方策としては、シリカ粒子に蛍光色素を包含させる手法等が挙げられる。
このような蛍光色素を包含するシリカ粒子に関し、例えば、特許文献1には、直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマー(A)と、酸性基を有する化合物(B)と、シリカ(C)とを含有することを特徴とする、ポリアミンを含む単分散性シリカ微粒子に係る発明が記載されている。特許文献1には、酸性基を有する化合物(B)として、蛍光性化合物等の機能性分子を用いることができ、これにより得られる単分散性シリカ微粒子は、蛍光性を発現し、種々の応用分野で好適に用いることが可能となることが記載されている。
なお、特許文献1においては、蛍光性化合物として、テトラフェニルポルフィリンテトラカルボン酸、ピレンジカルボン酸類、ピレンジスルホン酸、ピレンテトラスルホン酸、テトラフェニルポルフィリンテトラスルホン酸、テトラフェニルポルフィリンテトラフォスフォン酸、フタロシアニンテトラスルホン酸等の酸性基を有するアニオン性化合物が用いられうることが記載されている。
国際公開第2006/106760号
しかしながら、特許文献1に記載の単分散性シリカ微粒子は、その内部に蛍光色素を含有させたとしても、例えば、標識物質として使用する環境下(生理食塩水や緩衝液等の塩を含む溶液中)においては、含有させた蛍光色素が溶出する場合があることが判明した。このような場合、標識物質としての適用が困難となる可能性がある。
そこで、本発明は、蛍光色素の保持力に優れる蛍光シリカ粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、窒素原子を含み、前記窒素原子に蛍光色素含有基を共有結合させてなる蛍光色素含有高分子を用いることで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記化学式(1)で表される蛍光色素含有高分子を含む、蛍光シリカ粒子に関する。
Figure 2016060832
この際、上記式(1)において、Xは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基、下記化学式(2)で表される基である。
Figure 2016060832
この際、上記式(2)において、Zは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基で表される基であり、mは、1〜6である。
また、Yは、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基、蛍光色素含有基であり、この際、前記Yの少なくとも1つは蛍光色素含有基である。
さらに、nは、10〜10000である。
本発明によれば、蛍光色素の保持力に優れる蛍光シリカ粒子を得ることができる。
実施例1で製造した蛍光シリカ粒子について行ったTEM観察の写真である。 実施例1の蛍光シリカ粒子分散液の発光スペクトルである。 実施例9の蛍光シリカ粒子分散液の発光スペクトルである。 実施例13の蛍光シリカ粒子分散液の発光スペクトルである。 実施例1、7、および13、並びに比較例1の蛍光シリカ粒子を1.6質量%濃度にてPBS緩衝液で抽出した上澄み溶液の吸光スペクトルを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<蛍光シリカ粒子>
本形態に係る蛍光シリカ粒子は、蛍光色素含有高分子およびシリカを含む。
上述のように、特許文献1において使用されうる蛍光性化合物はアニオン性化合物である。そのため、前記蛍光性化合物を単分散性シリカ微粒子に含有させた場合、当該蛍光性化合物は、通常、直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマー(A)のカチオン性を示しうる窒素原子とのイオン結合により単分散性シリカ微粒子の内部で保持される。一般に、蛍光シリカ粒子に抗体等の生体分子を好適に結合させる、または標識物質として好適に検出に用いる等の場合、蛍光シリカ粒子は、生理食塩水や緩衝溶液等の塩を含む溶液で使用される。このような塩を含む溶液中においては、単分散性シリカ微粒子内部における上記イオン結合に影響が生じうることから、蛍光性化合物が単分散性シリカ微粒子内部から溶出する場合がある。その結果、特許文献1に記載の単分散性シリカ微粒子は、標識物質としての適用が困難となる可能性がある。
一方、本形態に係る蛍光シリカ粒子によれば、蛍光色素は、蛍光色素含有高分子中の窒素原子と共有結合されていることから、高い結合力で保持されている。そのため、塩を含む溶液中であっても、その結合力が影響を受けず、または受けにくく、蛍光シリカ粒子に蛍光色素が保持される。その結果、本形態に係る蛍光シリカ粒子は、生体分子の検出等をするための標識物質として好適に適用することができる。
なお、上記メカニズムはあくまで推定のものであり、上記メカニズムと異なるメカニズムで本発明の効果が得られる場合であっても、本発明の技術的範囲に含まれる。
本形態に係る蛍光シリカ粒子の平均粒径は、1〜1000nmであることが好ましく、5〜800nmであることがより好ましく、10〜600nmであることがさらに好ましい。蛍光シリカ粒子の平均粒径が1nm以上であると、精製や取扱い性が容易となりうることから好ましい。一方、蛍光シリカ粒子の平均粒径が1000nm以下であると、蛍光シリカ粒子は溶液中での沈降が防止または抑制されうることから好ましい。なお、本明細書において、「平均粒径」の値は、透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−1400(日本電子株式会社製)の画像から直接各粒子(少なくとも50個)の直径を測定し、当該直径の平均値を採用するものとする。
さらに、本形態に係る蛍光シリカ粒子のゼータ(ζ)電位は、水溶液中で正であることが好ましく、+30mV以上であることがより好ましく、+35〜+70mVであることがさらに好ましく、+40〜+60mVであることが特に好ましい。なお、本明細書において、蛍光シリカ粒子の「ゼータ電位」の値は、蛍光シリカ粒子の水分散液(蛍光シリカ粒子の濃度:0.25質量%)のゼータ電位を、ゼータ電位測定装置(大塚電子株式会社製)を用いて測定した値を採用するものとする。
蛍光シリカ粒子のゼータ電位が正であることにより、本形態に係る蛍光シリカ粒子は、追加の効果を有しうる。
より詳細には、従来の蛍光シリカ粒子、例えば、蛍光色素をシランカップリング剤等と反応させ、次いで得られた反応物をテトラエトキシシラン(TEOS)等と重合させて蛍光色素を粒子内部に導入した蛍光シリカ粒子は、その表面に有機官能基を有しておらず、蛍光シリカ粒子のゼータ電位は負の値(−45〜−55mV)を示すことが知られている。かような蛍光シリカ粒子に生体分子を共有結合で直接導入することは一般に困難であるため、通常、表面修飾により蛍光シリカ粒子表面に有機官能基を導入することが行われる。
具体的には、静電的相互作用を利用して、蛍光シリカ粒子に、官能基を有するカチオン性高分子等を被覆することにより、蛍光シリカ粒子表面にカチオン性高分子に基づく官能基を導入することができる(この際、得られた蛍光シリカ粒子複合体のゼータ電位は、負から正に反転しうる)。カチオン性高分子に基づく官能基を利用することで、生体分子を導入することができる。
また、得られた正のゼータ電位を有する被覆層に、官能基を有するアニオン性高分子等を静電的相互作用により、さらに被覆させることができる(この際、得られた蛍光シリカ粒子複合体のゼータ電位は、正から負に再度反転しうる)。これにより、蛍光シリカ粒子表面にアニオン性高分子に基づく官能基を導入することができる。アニオン性高分子に基づく官能基を利用することで、生体分子を導入することができる。
すなわち、従来のシリカ粒子においては、アニオン性基を有する生体分子を導入する場合には、蛍光シリカ粒子に、少なくとも1つのカチオン性高分子を被覆する必要がある。また、共有結合でカチオン性基を有する生体分子を導入する場合には、蛍光シリカ粒子に、少なくとも1つのカチオン性高分子およびアニオン性高分子を被覆して官能基を導入する必要がある。そして、上記いずれの場合においても、蛍光シリカ粒子およびカチオン性高分子は、原則として静電的相互作用によるものであることから、結果として、シリカ粒子と生体分子との結合力が不十分となる場合がある。
これに対し、本発明の一実施形態に係る蛍光シリカ粒子のゼータ電位は正である。本形態に係る蛍光シリカ粒子のゼータ電位が正となる理由は必ずしも明らかではないが、蛍光色素含有高分子の少なくとも一部または全部が蛍光シリカ粒子表面に突出または存在していることによるものと推測される。すなわち、蛍光シリカ粒子表面に突出または存在する蛍光色素含有高分子は、カチオン性を示す窒素原子が存在しうることから、蛍光シリカ粒子のゼータ電位は正となりうるのである。
そうすると、本形態に係る蛍光シリカ粒子においては、アニオン性基を有する生体分子を導入する場合には、蛍光シリカ粒子表面に突出または存在している窒素原子を利用することにより直接導入することが可能となる。また、カチオン性基を有する生体分子を導入する場合には、蛍光シリカ粒子に、少なくとも1つのアニオン性高分子を被覆することで導入することが可能となる。この際、いずれの場合にも、上述の従来のシリカ粒子よりもカチオン性高分子による被覆が省略することも可能となるので製造工程が簡便となり、製造コストを抑制することが可能となる。さらに、本形態に係るシリカ粒子表面に、アニオン性基を有する生体分子の導入やアニオン性高分子の被覆を行う場合、共有結合により連結することが可能となることから、結果として、シリカ粒子と生体分子とが高い結合力により結合されうる。
蛍光シリカ粒子の発光強度は、400a.u.以上であることが好ましく、500〜15000a.u.であることがより好ましく、2000〜12000a.u.であることがさらに好ましい。発光強度が400a.u.以上であると、標識試薬として感度がよく検体を検出できることから好ましい。なお、本明細書において、「発光強度」の値は、Quantaurus-QY(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて測定された値を採用するものとする。
また、蛍光シリカ粒子の量子収率は、0.1以上であることが好ましく、0.2〜0.8であることがより好ましく、0.4〜0.6であることがさらに好ましい。量子収率が0.1以上であると、高い発光強度が得られることから好ましい。なお、本明細書において、「量子収率」の値は、Quantaurus-QY(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて測定された値を採用するものとする。
[蛍光色素含有高分子]
本形態に係る蛍光色素含有高分子は、下記化学式(1)で表される。
Figure 2016060832
この際、前記Xは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基、下記化学式(2)で表される基である。
Figure 2016060832
この際、上記式(2)において、Zは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基で表される基であり、mは、1〜6である。
C1〜C10アルキレン基としては、特に制限されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、iso−ブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレン、ペンチレン等が挙げられる。
C2〜C10アルケニレン基としては、特に制限されないが、ビニレン、1−プロピレニレン、2−プロピレニレン、1−ブテニレン、1,3−ブタジエニレン等が挙げられる。
C2〜C10アルキニレン基としては、特に制限されないが、エチニレン等が挙げられる。
C6〜C24アリーレン基としては、特に制限されないが、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、ビフェニレン等が挙げられる。
化学式(2)で表される基としては、特に制限されないが、−CHO−、−(CHO)−、−(CHO)−、−(CHO)−、−(CHO)−、−CHCHO−、−(CHCHO)−、−(CHCHO)−、−(CHCHO)−、−CHCHCHO−、−(CHCHCHO)−、−CH=CHO−、−CHCH=CHO−、−CHOCH=CHO−等が挙げられる。
この際、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基、上記化学式(2)で表される基を構成する水素原子の少なくとも1つは、置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;チオール基;ニトロ基;スルホ基;メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基等のC1〜C10アルコキシ基;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等のC2〜C10アルキルカルボニル基;メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等のC2〜C10アルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
上述のXは単独で含まれていても、2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
これらのうち、Xは、C1〜C10アルキレン基であることが好ましく、メチレン、エチレン、プロピレンであることがより好ましく、エチレンであることがさらに好ましい。
また、Yは、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基、蛍光色素含有基である。
C1〜C10アルキル基としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
C2〜C10アルケニル基としては、特に制限されないが、ビニル基、1−プロピレニル基、2−プロピレニル基、1−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。
C2〜C10アルキニル基としては、特に制限されないが、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
C6〜C24アリール基としては、特に制限されないが、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
なお、上述のC1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基を構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていてもよい。
蛍光色素含有基としては、蛍光および/または燐光を発する色素(本明細書において、「蛍光色素」と称する)を含む基であれば特に制限されないが、通常、蛍光色素および介在基を含む。
前記蛍光色素としては、特に制限されないが、ピレン、ローダミン、フルオレセイン、およびクマリン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。
ピレンは、下記化学式で表される。
Figure 2016060832
ピレン誘導体は、ピレンの少なくとも1つの水素原子が、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、ニトロ基、スルホ基、C1〜C10アルコキシ基、C2〜C10アルキルカルボニル基、およびC2〜C10アルキルオキシカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1つで置換されたものである。この際、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基を構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていてもよい。
具体的なピレン誘導体としては、1−メチル−ピレン、1−エチルピレン、1−ブチルピレン、1−ピレンボロン酸、1−ピレンカルボン酸、1−ピレン酢酸、1−ピレン酪酸、1−ピレンスルホン酸水和物、1−ピレンスルホン酸ナトリウム塩、1−(ブロモアセチル)ピレン等が挙げられる。
なお、通常、前記ピレンまたは前記ピレン誘導体の炭素原子の少なくとも1つは、介在基と結合し、当該介在基を介して窒素原子に結合する。
ローダミンは、下記化学式で表される。
Figure 2016060832
ローダミン誘導体は、ローダミンの少なくとも1つの水素原子が、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、ニトロ基、スルホ基、C1〜C10アルコキシ基、C2〜C10アルキルカルボニル基、およびC2〜C10アルキルオキシカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1つで置換されたものである。この際、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基を構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていてもよい。
この際、ローダミンが所定の位置に一定の置換基を有する場合において、当該置換基が分子内反応を起こすことにより生じる化合物もローダミン誘導体に含まれる。例えば、ローダミンのフェニル基のオルト位がカルボキシ基を置換基として有する場合、当該カルボキシ基が分子内反応によりスピロ環を形成し、以下の構造を有するローダミン誘導体を生じる場合がある。
Figure 2016060832
具体的なローダミン誘導体としては、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン123、5(6)−カルボキシ−X−ローダミン、下記式:
Figure 2016060832
で表される化合物等が挙げられる。
なお、通常、前記ローダミンまたは前記ローダミン誘導体の炭素原子の少なくとも1つは、介在基と結合し、当該介在基を介して窒素原子に結合する。
フルオレセインは、下記化学式で表される。
Figure 2016060832
フルオレセイン誘導体は、フルオレセインの少なくとも1つの水素原子が、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、ニトロ基、スルホ基、C1〜C10アルコキシ基、C2〜C10アルキルカルボニル基、およびC2〜C10アルキルオキシカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1つで置換されたものである。この際、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基を構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていてもよい。
この際、フルオレセイン誘導体には、フルオレセインが有するカルボキシ基が分子内反応を起こすことにより生じる化合物や、所定の位置に一定の置換基を有する場合において、当該置換基が分子内反応により生じる化合物についてもフルオレセイン誘導体に含まれる。例えば、フルオレセインが有するカルボキシ基が分子内反応によりスピロ環を形成し、以下の構造を有するフルオレセイン誘導体を生じる場合がある。
Figure 2016060832
具体的なフルオレセイン誘導体としては、フルオレセインジアセタート、フルオレセイン−o−アクリラート、5−(ブロモメチル)フルオレセイン、ジラウリン酸フルオレセイン、6−[フルオレセイン−5(6)−カルボキサミド]ヘキサン酸等が挙げられる。
なお、通常、前記フルオレセインまたは前記フルオレセイン誘導体の炭素原子の少なくとも1つは、介在基と結合し、当該介在基を介して窒素原子に結合する。
クマリンは、下記化学式で表される。
Figure 2016060832
クマリン誘導体は、クマリンの少なくとも1つの水素原子が、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、ニトロ基、スルホ基、C1〜C10アルコキシ基、C2〜C10アルキルカルボニル基、およびC2〜C10アルキルオキシカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1つで置換されたものである。この際、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基を構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていてもよい。
クマリン誘導体の具体例としては、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン153、クマリン酸、クマリン−3−カルボン酸、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸、6−メチルクマリン、3−アセチルクマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン、5,7−ジヒドロキシ−4−メチルクマリン、7−エトキシクマリン等が挙げられる。
なお、通常、前記クマリンまたは前記クマリン誘導体の炭素原子の少なくとも1つは、介在基と結合し、当該介在基を介して窒素原子に結合する。
上述の蛍光色素のうち、蛍光色素含有基は、ピレン、ローダミン、フルオレセイン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの蛍光色素を含むことが好ましく、ピレン、ローダミン、およびその誘導体を含むことがより好ましく、ピレンおよびその誘導体を含むことがさらに好ましい。
前記介在基としては、特に制限されないが、下記化学式(a)〜(f)からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 2016060832
この際、上記式(a)〜(e)において、Aは、単結合、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基、上記化学式(2)で表される基である。この際、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基、上記化学式(2)で表される基を構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていてもよい。
また、上記式(b)、(d)、および(e)において、Rは、水素原子、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基である。この際、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基を構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていてもよい。
さらに、上記式(f)において、Bは、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基、上記(2)で表される基である。この際、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基、上記化学式(2)で表される基を構成する水素原子の少なくとも1つは、上述の置換基で置換されていてもよい。
なお、上記化学式(a)〜(f)において、「*」には、通常、窒素原子が結合し、AまたはBから生じる結合には、蛍光色素が結合する。例えば、介在基が、化学式(a)においてAが単結合である場合、(b)においてRが水素原子であり、かつ、Aが単結合である場合には、蛍光色素含有高分子のモノマー単位は、それぞれ以下のような構造を有する。
Figure 2016060832
通常、(a)で表される介在基は、蛍光色素およびN−ヒドロスクシンイミド(NHS)エステルまたはカルボン酸ハロゲン化物が結合した蛍光色素−NHSまたは蛍光色素−酸ハロゲン化物と、高分子アミンと、を反応させることで誘導されうる。また、(b)〜(f)で表される介在基については、それぞれ、蛍光色素−イソチオシアネート(NCS)、蛍光色素−スルホン酸ハロゲン化物、蛍光色素−エポキシ化合物、蛍光色素−アルデヒド、蛍光色素−ハロゲン化アルキルが、高分子アミンと反応した場合に誘導されうる。
具体的な介在基を以下に示す。
Figure 2016060832
上述のうち、介在基は、化学式(a)、化学式(b)であることが好ましく、Aが単結合またはC1〜C10アルキレン基である化学式(a)、Aが単結合かつRが水素原子である化学式(c)であることがより好ましく、Aが単結合である化学式(a)であることがさらに好ましい。
蛍光色素含有基の具体的な構造を以下に示す。
Figure 2016060832
上述のようにYの少なくとも1つは蛍光色素含有基である。これにより、蛍光色素含有高分子が蛍光および/または燐光を発しうる。
また、一実施形態において、Yの少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。Yの少なくとも1つが水素原子により後述する表面修飾が容易となりうる。
nは、10〜10000であり、好ましくは30〜8000であり、より好ましくは50〜5000である。nが10未満であると、製造工程において蛍光色素含有高分子を含むシリカナノ粒子が得られない場合がある。一方、nが10000超であると、蛍光色素高分子の合成自体が極めて困難になりうる。
蛍光色素の含有量は、前記蛍光色素含有高分子のアミノ基に対して、0.01〜2mol%であることが好ましく、0.02〜1mol%であることがより好ましい。蛍光色素の含有量が、0.01mol%以上であると、高い蛍光強度が得られうることから好ましい。一方、蛍光色素の含有量が、2mol%以下であると、濃度消光が生じにくいことから好ましい。
好ましい蛍光色素含有高分子の具体的構造を以下に示す。
Figure 2016060832
なお、上記構造式において、pおよびqの総和はnである。
上記化学式(1)で表される蛍光色素含有高分子の含有量は、蛍光シリカ粒子全量に対して、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。蛍光色素含有高分子の含有量が10質量%以上であると、高い粒子収率と高い蛍光強度が得られうることから好ましい。一方、蛍光色素含有高分子の含有量が50質量%以下であると、濃度消光を防止または抑制できることから好ましい。なお、本明細書において、「蛍光色素含有高分子の含有量」の値は、示差熱-熱重量同時測定(TG−DTA)において800℃での質量減少から求めた値を採用するものとする。
蛍光色素含有高分子の重量平均分子量(Mv)は、1000〜500000であることが好ましく、2000〜300000であることがより好ましい。重量平均分子量が1000以上であると、ナノオーダーの球状粒子が得られることから好ましい。一方、重量平均分子量が500000以下であると、高分子の製造が容易であることから好ましい。なお、本明細書において、「重量平均分子量」の値は、別に記載する場合を除き、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値を採用するものとする。
[シリカ]
シリカは、二酸化ケイ素を構成要素とする物質であり、通常、以下のようなシロキサン結合を含む構造を有する。
Figure 2016060832
この際、シリカには、酸素原子と置換して、他の基が含まれていてもよい。当該他の基としては、特に制限されないが、水酸基;C1〜C10アルコキシ基;1〜C10アルケニル基;C1〜C10アルキニル基;3−アミノプロピル基、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミノ基、N−フェニル−3−アミノプロピル基、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基等のC1〜C10アミノ基;3−グリシドキシプロピル基、3−グリシドキシプロピルメチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基;スチリル基;3−メタクリロキシプロピル基等のメタクリル基;3−アクリロキシプロピル基等のアクリル基;3−ウレイドプロピル基等のウレイド基;3−メルカプトプロピル基等のメルカプト基;3−イソシアネートプロピル等のイソシアネート基等が挙げられる。これらの他の基は単独で含まれていても、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。なお、前記他の基は、シリカ合成段階において、原料由来の未反応の基、シランカップリング剤等に由来する基等でありうる。
<蛍光シリカ粒子の製造方法>
蛍光シリカ粒子の製造方法は、特に制限されないが、通常、蛍光色素含有高分子および酸性基を有する化合物を含む会合体を形成する工程(1)と、前記会合体およびシリカソースを反応させる工程(2)と、を含む。その他必要に応じて、蛍光色素含有高分子の合成工程を含んでいてもよい。以下、蛍光色素含有高分子の合成工程、工程(1)、および工程(2)の順に説明する。
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
蛍光色素含有高分子の合成工程は、通常、高分子アミンと、蛍光色素含有基前駆体と、を反応させる工程を含む。これにより、蛍光色素含有高分子を合成することができる。
(高分子アミン)
高分子アミンは、特に制限されないが、下記化学式(3)で表される。
Figure 2016060832
上記化学式(3)において、Xは、上記化学式(1)と同様である。また、Pは、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基であり、この際、前記Pの少なくとも1つは水素原子である。さらに、nは、上記化学式(1)と同様である。
前記Pの少なくとも1つが水素原子であることにより、高分子アミンの「−NH−」が蛍光色素含有基前駆体と反応して、蛍光色素含有高分子を製造することができる。
具体的な高分子アミンとしては、特に制限されないが、ポリメチレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリルアミンなどが挙げられる。
上述のうち、高分子アミンは、ポリアルキレンイミンであることが好ましく、ポリエチレンイミンであることがより好ましく、線状ポリエチレンイミンであることがさらに好ましい。
なお、高分子アミンは、市販品を用いてもよいし、自ら調製したものを用いてもよい。高分子アミンを調製する場合には、公知の技術を適宜参照することができる。
高分子アミンの重量平均分子量(Mv)は、1000〜500000であることが好ましく、2000〜300000であることがより好ましい。重量平均分子量が1000以上であると、ナノオーダーの球状粒子が得られることから好ましい。一方、重量平均分子量が500000以下であると、高分子の製造が容易であることから好ましい。なお、本明細書において、「高分子アミンの重量平均分子量」は、原料となる材料の分子量から算出される値を採用するものとする。例えば、高分子アミンがポリエチレンイミンである場合、その原料となりうるポリエチルオキサゾリンの重量平均分子量からポリエチレンイミンの重量平均分子量を算出することができる。この際、ポリエチルオキサゾリンの重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値を採用するものとする。
(蛍光色素含有基前駆体)
蛍光色素含有基前駆体としては、特に制限されないが、蛍光色素および反応性基を含む。
前記蛍光色素としては、上述のものが挙げられる。前記蛍光色素は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性基としては、高分子アミンの「−NH−」と反応することができるものであれば特に制限されないが、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、カルボン酸ハロゲン化物、イソチオシアネート(NCS)、スルホン酸ハロゲン化物、エポキシ化合物、アルデヒド、ハロゲン化アルキル等が挙げられる。これらのうち、反応性基はN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、イソチオシアネート(NCS)であることが好ましく、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルであることがより好ましい。これらの反応性基は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的な蛍光色素含有基前駆体としては、1−ピレン酪酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル等のピレンNHSエステル;5(6)−カルボキシテトラメチルローダミン−N−スクシンイミジルエステル等のローダミンNHSエステル;ローダミンBイソチオシアネート、ローダミンBイソチオシアネート−デキストラン、ファロイジン−テトラメチルローダミンBイソチオシアナート、テトラメチルローダミン−5−イソチオシアネート等のローダミンイソチオシアネート;5−カルボキシフルオレセイン−N−スクシンイミジルエステル、5−カルボキシフルオレセインジアセタート−N−スクシンイミジルエステル、6−[フルオレセイン−5(6)−カルボキサミド]ヘキサン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル等のフルオレセインNHSエステル;フルオレセインイソチオシアネート;7−メトキシクマリン−3−カルボン酸−N−スクシンイミジル、7−ヒドロキシクマリン−3−カルボン酸−N−スクシンイミジル、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸−N−スクシンイミジルエステル等のクマリンNHSエステル等が挙げられる。
なお、通常、高分子アミンの「−NH−」と反応して得られる反応性基の残基が上述の介在基に相当しうる。例えば、蛍光色素としてピレン、反応性基としてNHSエステルを含む蛍光色素前駆体は、高分子アミンと以下のように反応しうる。
Figure 2016060832
(反応)
高分子アミンおよび蛍光色素含有基前駆体の反応条件等については、特に制限はなく、適宜公知の知見が参照されうる。
[工程(1)]
工程(1)は、蛍光色素含有高分子および酸性基を有する化合物を含む会合体を形成する工程である。
(蛍光色素含有高分子)
蛍光色素含有高分子としては、通常、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。
(酸性基を有する化合物)
酸性基を有する化合物としては、特に制限されず、無機酸、有機酸等が用いられうる。
前記無機酸としては、特に制限されず、リン酸、二リン酸、ポリリン酸、硫酸、二硫酸、硝酸、塩酸、ホウ酸等が挙げられる。
前記有機酸としては、特に制限されず、C2〜C22アルキルカルボン酸(酢酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等)、C6〜C22アルキルスルホン酸、C6〜C22アルキルリン酸等の単官能性長鎖アルキル化合物;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、リンゴ酸、ビフェニルジカルボン酸、オキシビス安息香酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、ジ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル、トリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル等のジカルボン酸;クエン酸、シクロヘキサントリカルボン酸等のトリカルボン酸;メタンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、スチルベンジスルホン酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)等のジスルホン酸;Naphthol yellow S (acid yellow 1)、Yellow 2G (acid yellow 17)、Metanil yellow (acid yellow 36)、Martius yellow (acid yellow 24)、acid blue 1, acid blue 3, acid blue 7, acid blue 9, acid blue 80, acid blue 83, acid blue 90, acid blue 104, acid blue 113, acid blue 182, acid red 1, acid red 18, acid red 27, acid red 52, acid red 87, acid red 92, acid red 94, acid red 249, acid red 289, direct blue 1, direct blue 15, direct blue 71, direct blue 86, direct blue 87, direct blue 199, direct blue 237, direct blue 264, direct blue 273, direct yellow 4, direct yellow 6, direct yellow 11, direct yellow 86, direct yellow 106, direct yellow 119, direct yellow 132, direct yellow 142, direct red 23, direct red 28, direct red 80,direct red 81, direct red 254等の染料;ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸)等の高分子酸;酸性化RNAオリゴマー;酸性化DNAオリゴマー等が挙げられる。
上述のうち、酸性基を有する化合物は、無機酸、有機酸であることが好ましく、二官能性以上の無機酸、二官能性以上の有機酸であることがより好ましく、リン酸であることがさらに好ましい。
酸性基を有する化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(会合体の形成)
アミン高分子を含む蛍光色素含有高分子は、酸性基を有する化合物と相互作用することにより会合体を形成しうる。当該会合体を形成することにより、後述の工程(2)においてシリカソースと好適に反応することができる。
なお、会合形態は、必ずしも明らかではないが、蛍光色素含有高分子が、酸性基を有する化合物により架橋化されているものと推測される。
会合体の形成方法は、特に制限されないが、(1)蛍光色素含有高分子および溶媒を含む溶液または分散液を調製し、次いで、当該溶液または分散液に酸性基を有する化合物を添加する方法、(2)酸性基を有する化合物水溶液を調製し、次いで、当該水溶液に蛍光色素含有高分子を添加する方法、(3)蛍光色素含有高分子および溶媒を含む溶液または分散液と、酸性基を有する化合物水溶液とをそれぞれ調製し、これらの溶液または分散液を混合する方法等が挙げられる。
この際、使用されうる溶媒としては、会合体を形成できるものであれば特に制限されず、水、有機溶媒、並びに水および有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド;ジオキシラン;ピロリドン等が挙げられる。これらのうち、有機溶媒としてはアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましく、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシドを用いることがより好ましい。
上述のうち、溶媒は、水および有機溶媒の混合溶媒であることが好ましく、水およびアルコール系溶媒の混合溶媒、水およびジメチルスルホキシドの混合溶媒であることがより好ましく、水およびメタノールの混合溶媒、水およびエタノールの混合溶媒、水およびジメチルスルホキシドの混合溶媒であることがさらに好ましい。
なお、上述の溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
会合体を形成する際の混合液中の蛍光色素含有高分子の含有量は、混合液の全質量に対し、0.05〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。蛍光色素含有高分子の含有量が0.05質量%以上であると、高効率で蛍光シリカ粒子を製造できることから好ましい。一方、蛍光色素含有高分子の含有量が15質量%以下であると、蛍光シリカ粒子同士が癒着せず、分散した状態で形成されることから好ましい。
酸性基を有する化合物の添加量は、前記蛍光色素含有高分子のアミノ基1molに対して、0.5〜1.5molであることが好ましく、0.6〜1.3molであることがより好ましく、0.7〜1.1mol%であることがさらに好ましい。酸性基を有する化合物の添加量が0.5mol以上であると、会合体が容易にできることから好ましい。一方、酸性基を有する化合物の添加量が1.5mol以下であると、粒子径が揃った単分散性蛍光シリカナノ粒子が形成しやすいことから好ましい。
会合体を形成する際の混合液中のpHは、5〜9であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。pHが5以上であると、球状形態のシリカ粒子ができることから好ましい。一方、pHが9以下であると、シリコンアルコキシドのゾルゲル反応がゲル化せず、穏やかに進行することから好ましい。なお、混合液のpHは、酸性基を有する化合物の添加量や、水酸化ナトリウム等のpH調整試薬を添加等により調整することができる。
また、会合体を形成する際の温度は、20〜60℃であることが好ましく、25〜50℃であることがより好ましい。前記温度が上記範囲にあると、会合体の安定性が得られうることから好ましい。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)で形成した会合体およびシリカソースを反応させる工程である。
(会合体)
会合体は、上述のように、蛍光色素含有高分子が酸性基を有する化合物と相互作用することにより形成されたものであり、ここでは説明を省略する。
(シリカソース)
シリカソースとしては、特に制限されないが、水ガラス、アルコキシシラン、アルコキシシランのオリゴマー、ポリシルセスキオキサン等が挙げられる。
前記アルコキシシランとしては、特に制限されないが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン等が挙げられる。
前記アルコキシシランのオリゴマーとしては、特に制限されないが、テトラメトキシシランの4量体、テトラメトキシシランの7量体、テトラエトキシシランの5量体、テトラエトキシシランの10量体等が挙げられる。
前記ポリシルセスキオキサンとしては、特に制限されないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルアルコキシシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシランが挙げられる。
上述のシリカソースのうち、シリカソースとしては、アルコキシシラン、アルコキシシランのオリゴマーを用いることが好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランの4量体、テトラエトキシシランの5量体を用いることがより好ましい。
なお、上述のシリカソースは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(反応)
工程(1)で形成した会合体およびシリカソースは、例えば、ゾルゲル反応により反応させることで、蛍光シリカ粒子を製造することができる。
より詳細には、工程(1)で形成した会合体が、蛍光シリカ粒子の形状を誘導するテンプレートとしての機能、ゾルゲル反応の足場としての機能、およびシリカソースの加水分解および重合の触媒としての機能を有しうることから、シリカソースとゾルゲル反応を行うことにより、蛍光シリカ粒子を得ることができる。
この際、本発明の一実施形態において、会合体の上記機能により、平均粒径が小さい(平均粒径が200nm以下、好ましくは10〜150nm、より好ましくは20〜100nm)蛍光シリカ粒子を得ることができる。また、別の一実施形態において、会合体の上記機能により、単分散性の蛍光シリカ粒子を得ることができる。また、さらに別の一実施形態において、会合体の触媒としての機能により、ゾルゲル反応におけるアンモニア等の触媒の添加が不要となり、コストの低下、環境負荷の低減等に寄与しうる。
反応方法としては、特に制限されないが、会合体および溶媒を含む溶液または分散液に、シリカソースを添加する方法が挙げられる。
この際使用される溶媒には、工程(1)で会合体を形成する際に使用されるものと同様のものが用いられうる。
ただし、本反応においては、シリカソースを加水分解するため、通常、溶媒には水が混合される。この際、溶媒中の水の含有量は、0.5〜50体積%であることが好ましく、1〜20体積%であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であると、ゾルゲル反応が良好に進行しうることから好ましい。
ゾルゲル反応を行う際の反応液中の会合体の含有量は、特に制限されないが、反応液の全質量に対して、0.25〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。会合体の含有量が上記範囲にあると、ゾルゲル反応を好適に行うことができることから好ましい。
また、ゾルゲル反応を行う際のシリカソースの添加量は、所望とする蛍光シリカ粒子の性能によっても異なるが、会合体の質量に対して、シリカ換算で150〜400質量%であることが好ましく、200〜350質量%であることがより好ましい。
ゾルゲル反応は、通常、溶媒中で会合体およびシリカソースを接触させることで行われる。
ゾルゲル反応時のpHは、5〜9であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。pHが上記範囲にあると、単分散性球状形態の蛍光シリカナノ粒子が形成されやすいことから好ましい。
ゾルゲル反応時の温度は、特に制限されないが、20〜80℃であることが好ましく、50〜70℃であることがより好ましい。前記温度が上記範囲であると、溶媒の蒸発を防止できるとともに、好適な反応速度が得られうることから好ましい。
<標識試薬>
本発明の一形態によれば、上述した蛍光シリカ粒子および生体分子を含む標識試薬が提供される。この際、前記標識試薬は、高分子膜を含んでいてもよい。
(蛍光シリカ粒子)
蛍光シリカとしては、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。
(生体分子)
生体分子としては、特に制限されないが、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体等が挙げられる。これらのうち、臨床応用に好適である観点から、生体分子は抗体であることが好ましい。
前記抗体としては、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、HAV、HBV、HIV等のウイルスに対する抗体;肺炎球菌、レジオネラ菌、髄膜炎菌等の細菌に対する抗体;α-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、CA19−9、CA72−4、CA125等の腫瘍マーカーに対する抗体;トロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT)、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+1)、フィブリノペプタイドA(FPA)、D−ダイマー、フィブリンモノマー複合体(FMC)、可溶性フィブリン(SF)の等の凝固線溶系マーカーに対する抗体;甲状腺刺激ホルモン(TSH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)等のホルモンに対する抗体;インスリンに対する抗体;心筋トロポニン、ミオグロミン、CK−MB等の心疾患のマーカーに対する抗体等が挙げられる。
この際、前記抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。また、抗体の結合断片であってもよいし、抗体の多量体(2量体、3量体、4量体等)であってもよい。
上述の生体分子は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
蛍光シリカ粒子と生体分子との結合様式は、特に制限されず、静電的相互作用、ファンデルワールス力、疎水性相互作用等による物理的な結合であってもよいし、共有結合、水素結合等による化学的な結合であってもよい。
この際、蛍光シリカ粒子と生体分子との結合様式が静電的相互作用の場合には、蛍光シリカ粒子の表面電荷および生体分子が有する表面電荷が適宜考慮されうる。
より詳細には、上述のように、一実施形態において蛍光シリカ粒子のゼータ(ζ)電位が正であることから、静電的相互作用によりアニオン性の生体分子を結合させる場合には、蛍光シリカ粒子にそのまま吸着させることが可能となり、容易に標識試薬を調製することができる。
また、静電的相互作用により、カチオン性の生体分子を結合させる場合には、通常、後述するアニオン性の高分子膜を介して蛍光シリカ粒子にカチオン性高分子を結合させることができる。
なお、蛍光シリカ粒子と生体分子との結合様式が共有結合の場合には、蛍光シリカ粒子の蛍光色素含有高分子がN−H結合を有している(一般式(1)において、Yの少なくとも1つが水素原子である)と、当該N−H結合を利用して容易に生体分子を蛍光シリカ粒子に結合させることができる。
標識試薬における生体分子の含有量は、標識試薬の全質量に対して、1〜30%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。生体分子の含有量が上記範囲であると、標的物質を好適に認識することができることから好ましい。
(高分子膜)
高分子膜は、蛍光シリカ粒子の表面電荷を調整する機能、蛍光シリカ粒子の分散安定性を向上させる機能等を有する。
高分子膜としては、カチオン性高分子膜およびアニオン性高分子膜が挙げられる。
カチオン性高分子膜
前記カチオン性高分子膜はカチオン性高分子を含む。
カチオン性高分子としては、特に制限されないが、アミノ基、第4級アミンモニウム基等のカチオン性基を有する高分子が挙げられる。具体的なカチオン性高分子としては、4級アンモニウム基、アミノ基などの正荷電を帯びることのできる官能基を有するもの、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン等が挙げられる。これらのうち、カチオン性高分子は、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)であることが好ましく、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)であることがより好ましい。これらのカチオン性高分子は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性高分子の重量平均分子量は、特に制限されないが、500〜50000であることが好ましく、1000〜30000であることがより好ましい。カチオン性高分子の重量平均分子量が500以上であると、蛍光シリカナノ粒子のゼータ電位を調整しやすいことから好ましい。一方、カチオン性高分子の重量平均分子量が50000以下であると、蛍光シリカナノ粒子が凝集しにくいことから好ましい。
アニオン性高分子膜
前記アニオン性高分子膜は、アニオン性高分子を含む。
アニオン性高分子としては、特に制限されないが、カルボキシ基、スルホ基等のアニオン性基を有する高分子が挙げられる。具体的なアニオン性高分子としては、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸等が挙げられる。これらのうち、アニオン性高分子は、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリアクリル酸(PAA)であることが好ましく、ポリアクリル酸(PAA)であることがより好ましい。これらのアニオン性高分子は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アニオン性高分子の重量平均分子量は、特に制限されないが、500〜50000であることが好ましく、1000〜30000であることがより好ましい。アニオン性高分子の重量平均分子量が500以上であると、蛍光シリカナノ粒子のゼータ電位を調整しやすいことから好ましい。一方、アニオン性高分子の重量平均分子量が50000以下であると、蛍光シリカナノ粒子が凝集しにくいことから好ましい。
高分子膜は、蛍光シリカ粒子表面に高分子膜の層を形成してもよいし、標識試薬表面に高分子膜の層を形成してもよいが、蛍光シリカ粒子と生体分子との結合を好適に行うことができ、蛍光シリカ粒子の表面電荷の調整を効果的に行うことができる観点から、蛍光シリカ粒子表面に高分子膜の層を形成することが好ましい。
高分子膜は複数の膜が積層されていてもよい。例えば、蛍光シリカ粒子表面にアニオン性高分子膜を形成した場合、前記アニオン性高分子膜表面にさらにカチオン性高分子膜を形成することができる。電荷の異なる高分子膜の数を適宜調整することで、蛍光シリカ粒子の分散安定性を制御することができる。
高分子膜の蛍光シリカ粒子または生体分子との結合様式は、特に制限されないが、静電的相互作用であることが好ましい。なお、蛍光シリカ粒子表面に高分子膜を形成する場合、好ましい一実施形態において蛍光シリカ粒子の表面電荷が正である場合には、アニオン性高分子膜が好適に選択される。
高分子膜の形成方法は特に制限されず、公知の手法が適宜採用されうる。例えば、正の電荷を有する蛍光シリカ粒子に、アニオン性高分子膜およびカチオン性高分子膜を形成する場合には、交互吸着法により蛍光シリカ粒子−アニオン性高分子膜−カチオン性高分子膜がこの順に配置された粒子を形成することができる。
<検査キット>
本発明の一形態によれば、上述した標識試薬を含む検査キットが提供される。
検査キットの用途は特に制限されないが、好ましくはイムノクロマト用検査キットに適用される。
イムノクロマト法とは、抗原等の披検物質を、蛍光色素を有する抗体等の標識試薬に接触させ、免疫複合体を形成しながら毛管現象により多孔質支持体をゆっくり移動させる。そして、多孔質支持体を移動した免疫複合体は、多孔質支持体の所定の位置(テストライン)に固定化された捕捉抗体にトラップされ、免疫複合体を構成する標識試薬が有する蛍光色素を検出することにより、被検物質を検出するというものである。
イムノクロマト法は、迅速かつ簡便な検査が可能であることから、POCT(Point Of Care Testing)の方法として注目されている。
本発明一実施形態において、イムノクロマト用検査キットは、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、メンブレン、テストライン、コントロールライン、吸収パッドを含む。
より詳細には、まず、サンプルパッドに被検物質を添加し、均一に分散させる。この際、サンプルパッドには、被検物質を変換する試薬が含まれることがある。
次に、サンプルパッドの被検物質等は、毛管現象等によりコンジュゲートパッドに移動する。コンジュゲートパッドには、上述した標識試薬を含む。コンジュゲートパッドを被検物質が移動する際に標識試薬が有する生体分子と抗原抗体反応等が行われることで、免疫複合体等が形成されうる。
被検物質、免疫複合体、標識試薬等は、コンジュゲートパッドから毛管現象によりメンブレンに移動する。
被検物質、免疫複合体、標識試薬等は、次に、テストラインに移動する。テストラインは、通常、被検物質に特異的に結合する抗体等の試薬がライン状に担持されており、被検物質、免疫複合体がテストラインで複合体を形成する。例えば、免疫複合体の場合には、標識試薬−被検物質−テストラインの試薬(抗体)のサンドイッチ状の複合体を形成する。
そして、テストラインにおいて固定化されなかった標識試薬等は、メンブレンを介してコントロールラインに移動する。コントロールラインは、通常、標識試薬に特異的に結合する抗体等の試薬がライン状に担持されており、標識試薬がコントロールラインで複合体を形成する。
最後に毛管現象で移動した液体や標識試薬等は、吸収パッドで吸収されて毛管現象による移動が停止される。
ここで、被検物質が標識試薬と免疫複合体等を形成する場合には、テストラインで当該免疫複合体が固定化されるため、免疫複合体が有する標識試薬に基づきテストラインが発光する(陽性)。一方、被検物質が標識試薬と免疫複合体等を形成しない場合には、テストラインで担持されるものに標識試薬は含まれないため、テストラインで発光は生じない(陰性)。なお、通常、陽性および陰性いずれの場合でも、標識試薬に基づきコントロールラインは発光する。
なお、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、メンブレン、テストライン、コントロールライン、吸収パッドを構成する材料等は、特に制限はなく、公知のものが適宜使用されうる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」および「部」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」および「質量部」を表す。
<合成例1>
高分子アミンとして、線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1を調製した。
より詳細には、市販のポリエチルオキサゾリン(重量平均分子量:50000、Aldrich社製)50gを、5Mの塩酸水溶液200mLに溶解させた。次いで、得られた溶液を、オイルバスを用いて95℃で10時間撹拌した。
反応液にメタノール500mLを添加してポリマーを完全に沈殿させ、得られた沈殿物を濾過してメタノールで3回洗浄した。次いで、40℃で5時間真空乾燥し、白色のポリエチレンイミン塩酸塩の粉末43.4gを得た。
なお、得られた粉末をH−NMR(重水)にて同定したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖に由来するピーク1.2ppm(CH3)および2.3ppm(CH2)が完全に消失していることを確認した。これにより、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
最後に上述の白色のポリエチレンイミン塩酸塩の粉末を精製して、線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1を調製した。より詳細には、上記で得た粉末を520gの純水に溶解し、得られた溶液を撹拌しながら28%アンモニア水50gを滴下して、ポリマーを析出させた。得られた懸濁液を一晩撹拌した後、析出したポリマーを濾過し、純水で3回洗浄した後、さらにアセトンで洗浄した。洗浄したポリマーを細かく砕いて、50℃で15時間真空乾燥し、線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1の粉末を得た。なお、収量は21gであった。
線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1の重量平均分子量をポリエチルオキサゾリンの重量平均分子量に基づき計算したところ、約20000であった。
<合成例2>
市販のポリエチルオキサゾリン(重量平均分子量:200000、Aldrich社製)を用いたことを除いては、合成例1と同様の方法で、線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を合成した。
なお、線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2の重量平均分子量を計算したところ、約90000であった。
<合成例3>
市販のポリエチルオキサゾリン(重量平均分子量:500000、Aldrich社製)を用いたことを除いては、合成例1と同様の方法で、線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−3を合成した。
なお、線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−3の重量平均分子量を計算したところ、約210000であった。
<その他>
市販の線状ポリエチレンイミン(L−PEI)(Aldrich社製、数平均分子量:10000)をL−4として準備した。
<実施例1>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例1で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1と、蛍光色素含有基前駆体とを反応させて蛍光色素含有高分子を合成した。
より詳細には、0.2gの線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1を、4gのジメチルスルホキシド(DMSO)に添加し、50℃で加熱することで線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1を溶解させた。得られた溶液を撹拌しながら、0.38%のピレンNHS−1(1−ピレン酪酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)のDMSO溶液1g(ピレンNHS−1の添加量:3.8mg)を添加し、50℃で30分間反応させることで、蛍光色素含有高分子を合成し、蛍光色素含有高分子を含む溶液を得た。
なお、得られた蛍光色素含有高分子は、下記式で表される。
Figure 2016060832
この際、pおよびqの総和は約500である。
[工程(1)]
上記で得た蛍光色素含有高分子を含む溶液に、メタノール7mL、純水8mL、10%リン酸水溶液0.8mLを順次加えて撹拌した。これにより、均一透明な会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
工程(1)で調製した会合体溶液を撹拌しながら、テトラメトキシシランの4量体であるMS51を1.4mL添加し、25℃で5時間撹拌した。これによりゾルゲル反応が進行し、蛍光シリカ粒子が析出した。得られた白濁溶液を18000回転で15分遠心分離して、上清を除去した。メタノールを40mL添加して蛍光シリカ粒子を分散させ、再度18000回転で15分遠心分離して、上清を除去した。当該メタノールによる分散洗浄を更に2回行い、次いで同様の方法で純水を用いた分散洗浄を2回行った。最後に、20mLの純水に粒子を分散させることで、蛍光シリカ粒子の分散液を得た。
蛍光シリカ粒子の分散液を乾燥し、白色粉末の蛍光シリカ粒子を0.76g(収率:83.2%)得た。
上記乾燥前の蛍光シリカ粒子の分散液を用いて蛍光シリカ粒子の平均粒径を測定したところ、180nmであった。なお、蛍光シリカ粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−1400(日本電子株式会社製)により得られるTEMの画像から50個の粒子の直径を直接測定し、その平均値を算出したものである。
なお、上記で得られたTEM画像を図1に示す。図1からも明らかなように、得られた蛍光シリカ粒子は、ほぼ真球状かつ単分散であることが分かる。
また、得られた蛍光シリカ粒子を用いて、蛍光シリカ粒子中のポリエチレンイミンの含有率を測定したところ、22.0質量%であった。なお、ポリエチレンイミンの含有率は、示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)することにより測定した。
また、上記乾燥前の蛍光シリカ粒子の分散液に純水を添加し、蛍光シリカ粒子の濃度を0.25質量%まで希釈した蛍光シリカ粒子の希釈分散液を調製した。当該蛍光シリカ粒子の希釈分散液を用いて、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、+51.70mVであった。なお、ゼータ(ζ)電位は、ゼータ電位測定装置(大塚電子株式会社製)を用いて測定した。
<実施例2>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
0.1gの線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−4を、2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に添加し、50℃で加熱することでL−4を溶解させた。得られた溶液を撹拌しながら、0.5%ピレンNHS−1のDMSO溶液0.5g(ピレンNHS−1の添加量:2.5mg)を添加し、50℃で30分間反応させることで、蛍光色素含有高分子を合成し、蛍光色素含有高分子を含む溶液を得た。
[工程(1)]
実施例1と同様の方法で会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
テトラメトキシシランの4量体であるMS51の添加量を0.7mLに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率:75.2%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ840nm、23.4質量%、+38.75mVであった。
<実施例3>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例2で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を用い、ピレンNHS−1の添加量を2.0mgに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)]
実施例1と同様の方法で会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
テトラメトキシシランの4量体であるMS51の添加量を1.2mLに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率:78.1%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ80nm、21.5質量%、+53.73mVであった。
<実施例4>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例2で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を用い、ピレンNHS−1の添加量を2.0mgに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)]
上記で得た蛍光色素含有高分子を含む溶液に、メタノール19mL、純水4mL、10%リン酸水溶液0.8mLを順次加えて撹拌した。これにより、均一透明な会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
シリカソースとして、テトラエトキシシラン2.0mLを用い、50℃で8時間反応させたことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率:47.6%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、115nm、28.0質量%、+57.32mVであった。
また、上記の蛍光シリカ粒子を緩衝液PBS中に分散させて、光散乱スペクトルを確認したところ、粒子径が殆ど変化せず、凝集しないことがわかった。
<実施例5>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例3で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−3を用い、ピレンNHS−1の添加量を2.0mgに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)]
実施例1と同様の方法で会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
テトラメトキシシランの4量体であるMS51の添加量を1.2mLに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率:69.6%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、70nm、23.9質量%、+56.83mVであった。
<実施例6>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例3で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−3を用い、ピレンNHS−1の添加量を2.0mgに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)および(2)]
実施例4と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率:49.5%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ115nm、27.2質量%、+55.53mVであった。
また、上記の蛍光シリカ粒子を緩衝液PBS中に分散させて、光散乱スペクトルを確認したところ、粒子径が殆ど変化せず、凝集しないことがわかった。
<実施例7>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
蛍光色素含有基前駆体を、下記式:
Figure 2016060832
で表されるフルオレセインNHS−1(フルオレセインNHS−1の添加量:2.0mg)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を得た。
なお、得られた蛍光色素含有高分子は、下記式で表される。
Figure 2016060832
この際、pおよびqの総和は約500である。
[工程(1)および(2)]
実施例4と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率:68.2%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、300nm、25.4質量%、+39.83mVであった。
<実施例8>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
0.1gの線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1を、2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に添加し、50℃で加熱することで線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−1を溶解させた。得られた溶液を撹拌しながら、0.42%のフルオレセインNHS−1のDMSO溶液0.5g(フルオレセインNHS−1の添加量:2.1mg)を添加し、50℃で30分間反応させることで、蛍光色素含有高分子を合成し、蛍光色素含有高分子を含む溶液を得た。
[工程(1)]
上記で得た蛍光色素含有高分子を含む溶液に、メタノール3.5mL、純水4mL、10%リン酸水溶液0.4mLを順次加えて撹拌した。これにより、均一透明な会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
シリカソースとして、テトラメトキシシランの4量体であるMS51を0.7mL用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率:73.0%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、200nm、24.1質量%、+49.44mVであった。
<実施例9>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例2で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を用い、フルオレセインNHS−1(フルオレセインNHS−1の添加量:2.0mg)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)および(2)]
実施例4と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率53.4%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、100nm、27.5質量%、+47.25mVであった。
また、上記の蛍光シリカ粒子を緩衝液PBS中に分散させて、光散乱スペクトルを確認したところ、粒子径が殆ど変化せず、凝集しないことがわかった。
<実施例10>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
0.3gの線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を、6gのジメチルスルホキシド(DMSO)に添加し、50℃で加熱することで線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を溶解させた。得られた溶液を撹拌しながら、0.12%のフルオレセインNHS−1のDMSO溶液1.5g(フルオレセインNHS−1の添加量:1.8mg)を添加し、50℃で30分間反応させることで、蛍光色素含有高分子を合成し、蛍光色素含有高分子を含む溶液を得た。
[工程(1)]
上記で得た蛍光色素含有高分子を含む溶液に、メタノール10.5mL、純水12mL、10%リン酸水溶液1.2mLを順次加えて撹拌した。これにより、均一透明な会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
シリカソースとして、テトラメトキシシランの4量体であるMS51を1.8mL用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率71.3%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、80nm、24.5質量%、+57.07mVであった。
<実施例11>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例3で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−3を用いたことを除いては、実施例10と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)および(2)]
実施例10と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率64.8%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、70nm、21.9質量%、+54.97mVであった。
<実施例12>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
ピレンNHS−1の代わりにフルオレセインNHS−1を用いたことを除いては、実施例6と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)および(2)]
実施例4と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率52.3%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、125nm、%、26.9質量%、+45.02であった。
また、上記の蛍光シリカ粒子を緩衝液PBS中に分散させて、光散乱スペクトルを確認したところ、粒子径が殆ど変化せず、凝集しないことがわかった。
<実施例13>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
蛍光色素含有基前駆体を、下記式:
Figure 2016060832
で表されるローダミンNHS−1(ローダミンNHS−1の添加量:1.0mg)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を得た。
なお、得られた蛍光色素含有高分子は、下記式で表される。
Figure 2016060832
この際、pおよびqの総和は約500である。
[工程(1)および(2)]
実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率72.2%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、180nm、22.5質量%、+50.24mVであった。
<実施例14>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例2で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を用い、ローダミンNHSの添加量を1mgに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
詳細には、0.2gの線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を、2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に添加し、50℃で加熱することで線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−2を溶解させた。得られた溶液を撹拌しながら、0.2%のローダミンNHS−1のDMSO溶液0.5g(ローダミンNHS−1の添加量:1.0mg)を添加し、50℃で30分間反応させることで、蛍光色素含有高分子を合成し、蛍光色素含有高分子を含む溶液を得た。
[工程(1)および(2)]
実施例4と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率61.8%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、105nm、26質量%、+49.76mVであった。
また、上記の蛍光シリカ粒子を緩衝液PBS中に分散させて、光散乱スペクトルを確認したところ、粒子径が殆ど変化せず、凝集しないことがわかった。
<実施例15>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
合成例3で調製した線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−3を用い、ローダミンNHS−1(ローダミンNHS−1の添加量:1.0mg)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)]
実施例1と同様の方法で会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
テトラメトキシシランの4量体であるMS51の添加量を1.2mLに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率70.6%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、70nm、22.8質量%、+58.50mVであった。
<実施例16>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
実施例15と同様の方法で蛍光色素含有高分子を合成した。
[工程(1)および(2)]
実施例4と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率48.7%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、100nm、26.1質量%、+40.76mVであった。
また、上記の蛍光シリカ粒子を緩衝液PBS中に分散させて、光散乱スペクトルを確認したところ、粒子径が殆ど変化せず、凝集しないことがわかった。
<実施例17>
[蛍光色素含有高分子の合成工程]
蛍光色素含有基前駆体を、下記式:
Figure 2016060832
で表されるローダミンNCS−1(ローダミンNCS−1の添加量:0.6mg)に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光色素含有高分子を得た。
なお、得られた蛍光色素含有高分子は、下記式で表される。
Figure 2016060832
この際、pおよびqの総和は約500である。
[工程(1)]
実施例1と同様の方法で会合体溶液を調製した。
[工程(2)]
テトラメトキシシランの4量体であるMS51の添加量を1.2mLに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で蛍光シリカ粒子を製造した(収率:94.0%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、310nm、22.5質量%、+50.05mVであった。
<比較例1>
シリカ粒子にアニオン性の蛍光化合物を含有させた蛍光シリカ粒子を製造した。
より詳細には、市販の線状ポリエチレンイミン(L−PEI)L−4(Mn=10000)0.2gを9mLのメタノールに添加し、撹拌して溶解させた。次いで、純水8mL、0.27%のフルオレセインのメタノール溶液3g、10%リン酸水溶液0.8mLを順次添加することで、色素を導入した均一透明な会合体溶液を調製した。
得られた会合体溶液を撹拌しながら、テトラメトキシシランの4量体であるMS51を1.4mL添加し、25℃で5時間撹拌した。これによりゾルゲル反応が進行し、蛍光シリカ粒子が析出した。得られた懸濁液を10000回転で15分遠心分離して、黄色上清を除去した。メタノールを30mL添加して蛍光シリカ粒子を分散させ、再度10000回転で15分遠心分離して、上清を除去した。次いで同様の方法で純水を用いた分散洗浄を2回行った。最後に、20mLの純水に粒子を分散させることで、蛍光シリカ粒子の分散液を得た(収率:79.7%)。
なお、実施例1と同様の方法で、平均粒径、ポリエチレンイミンの含有率、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、それぞれ、300nm、25.2質量%、+47.05mVであった。
<比較例2>
蛍光色素をシランカップリング剤と反応させ、次いで得られた反応物をテトラエトキシシラン(TEOS)と重合させて蛍光色素を粒子内部に導入した蛍光シリカ粒子を製造した。
ローダミンNHS−1 1.5mgを1mLのDMFに溶解した。得られた溶液に0.75μLの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)を添加し、50℃にて1時間反応させて、均一透明な色素反応溶液を得た。
得られた色素反応液340μLに、テトラエトキシシラン1.3mLを加え、混合した後、エタノール28mL、純水3.5mL、28質量%アンモニア水3.5mLの混合溶液に添加して、室温で5時間反応を行った。
得られた懸濁液を10000回転で15分遠心分離して、上清を除去した。メタノールを30mL添加して蛍光シリカ粒子を分散させ、再度10000回転で15分遠心分離して、上清を除去した。当該メタノールによる分散洗浄を更に2回行い、次いで同様の方法で純水を用いた分散洗浄を2回行った。最後に15mL純水にピンク色の蛍光シリカ粒子を分散させた(収率:93.1%)。
実施例1と同様の方法で、ゼータ(ζ)電位を測定したところ、−55.34mVであった。
実施例1〜17並びに比較例1および2で製造した蛍光シリカ粒子を表1および2に示す。
Figure 2016060832
Figure 2016060832
<評価>
実施例1〜17、および比較例1で製造した蛍光シリカ粒子について、発光特性および緩衝液中での蛍光色素の保持力についての評価を行った。
[発光特性]
発光特性として、吸収ピーク、発光ピーク、発光強度、および量子収率を測定した。前記吸収ピークは、紫外可視近赤外分光光度計UV−3600(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。また、前記発光ピーク、発光強度、および量子収率は、Quantaurus-QY(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて測定した。この際、発光ピークに関しては、吸収ピークの波長の光を励起光として発光スペクトルを測定した。
得られた結果を下記表3に示す。
なお、図2、3、および4には、それぞれ実施例1、9、および13の発光スペクトルを示す。また、図5には、実施例1、7、および13、並びに比較例1の蛍光シリカ粒子を1.6質量%濃度にてPBS緩衝液で抽出した上澄み溶液の吸光スペクトルを示す。
[保持力]
緩衝液中における蛍光色素の保持力を評価した。
蛍光シリカ粒子の分散液(濃度:3質量%)20mLを遠心分離して、上清を除き、沈降物に50mMのPBS緩衝液30mLを添加し、30分撹拌した後、遠心分離を行い、上澄み液を回収した。
得られた上澄み液について、紫外可視近赤外分光光度計UV−3600(株式会社島津製作所製)を用いて、測定された吸収ピークの高さを色素の検量線にあわせ、色素の溶出量を求め、下記基準に従って評価した。
◎:色素の溶出量が、0.2mg/L以下
○:色素の溶出量が、0.2mg/L超0.5mg/L以下
×:色素の溶出量が、0.5mg/L超
得られた結果を下記表3に示す。
Figure 2016060832
表3および図5の結果からも明らかなように、実施例1〜17に係る蛍光シリカ粒子は、いずれも保持力に優れることが分かる。
特に、ピレン誘導体を有する蛍光色素含有高分子およびローダミン誘導体を有する蛍光色素含有高分子を使用した蛍光シリカ粒子(実施例1〜6および実施例13〜17)は保持力に優れることが分かる。
一方、比較例1については、蛍光シリカ粒子中に蛍光色素がイオン結合により保持されているため、PBS緩衝液中において、蛍光色素が脱落した。詳細なメカニズムは不明であるが、例えば、ポリエチレンイミンにイオン結合しているフルオレセインのカルボキシ基が、緩衝液のリン酸基と置換して、フルオレセインが脱落したものと推測される。
また、ピレン誘導体を有する蛍光色素含有高分子を使用した蛍光シリカ粒子(実施例1〜6)は特に発光特性にも優れることが分かる。
なお、表2の結果からも明らかなように、実施例1〜17の蛍光シリカ粒子は、いずれもゼータ(ζ)電位が正であり、標識試薬の製造を簡易に行うことができると予想される。この点については、比較例2の従来の蛍光シリカ粒子のゼータ(ζ)電位が負であることから、その表面状態が異なることは明らかである。

Claims (11)

  1. 下記化学式(1):
    Figure 2016060832
    (上記式(1)において、Xは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基、下記化学式(2):
    Figure 2016060832
    で表される基であり、この際、上記式(2)において、Zは、それぞれ独立して、C1〜C10アルキレン基、C2〜C10アルケニレン基、C2〜C10アルキニレン基、C6〜C24アリーレン基で表される基であり、mは、1〜6であり、
    Yは、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C6〜C24アリール基、蛍光色素含有基であり、この際、前記Yの少なくとも1つは蛍光色素含有基であり、
    nは、10〜10000である。)
    で表される蛍光色素含有高分子を含む、蛍光シリカ粒子。
  2. 前記Xが、C1〜C10アルキレン基である、請求項1に記載の蛍光シリカ粒子。
  3. ゼータ電位が、+30mV以上である、請求項1または2に記載の蛍光シリカ粒子。
  4. 前記蛍光色素含有基が、ピレン、ローダミン、フルオレセイン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの蛍光色素を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光シリカ粒子。
  5. 前記蛍光色素の含有量が、前記蛍光色素含有高分子のアミノ基に対して、0.01〜2mol%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光シリカ粒子。
  6. 前記蛍光色素含有高分子の含有量が、前記蛍光シリカ粒子全量に対して、10〜50質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光シリカ粒子。
  7. 平均粒径が、1〜1000nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光シリカ粒子。
  8. 前記蛍光色素含有高分子および酸性基を有する化合物を含む会合体を形成する工程(1)と、
    前記会合体およびシリカソースを反応させる工程(2)と、
    を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光シリカ粒子の製造方法。
  9. 前記酸性基を有する化合物の添加量が、前記蛍光色素含有高分子のアミノ基1molに対して、0.5〜1.5molである、請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光シリカ粒子または請求項8もしくは9の方法によって製造された蛍光シリカ粒子と、生体分子と、を含む、標識試薬。
  11. 請求項10に記載の標識試薬を含む、検査キット。
JP2014190079A 2014-09-18 2014-09-18 蛍光シリカ粒子およびその製造方法、並びにこれを用いた標識試薬および検査キット Pending JP2016060832A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014190079A JP2016060832A (ja) 2014-09-18 2014-09-18 蛍光シリカ粒子およびその製造方法、並びにこれを用いた標識試薬および検査キット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014190079A JP2016060832A (ja) 2014-09-18 2014-09-18 蛍光シリカ粒子およびその製造方法、並びにこれを用いた標識試薬および検査キット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016060832A true JP2016060832A (ja) 2016-04-25

Family

ID=55796981

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014190079A Pending JP2016060832A (ja) 2014-09-18 2014-09-18 蛍光シリカ粒子およびその製造方法、並びにこれを用いた標識試薬および検査キット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016060832A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109804044A (zh) * 2016-09-30 2019-05-24 住友化学株式会社 复合颗粒
CN111606919A (zh) * 2020-05-22 2020-09-01 北京诺康达医药科技股份有限公司 一种羧基荧光素琥珀酰亚胺酯的溶剂化物及其制备方法
JP2022501475A (ja) * 2018-09-20 2022-01-06 住友化学株式会社 発光粒子
JP2022502534A (ja) * 2018-09-20 2022-01-11 住友化学株式会社 発光粒子
JP2022188774A (ja) * 2016-06-14 2022-12-21 ユニバーシティ オブ ワシントン ポリマー-シリカハイブリッドPdotおよびこれらを使用する方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022188774A (ja) * 2016-06-14 2022-12-21 ユニバーシティ オブ ワシントン ポリマー-シリカハイブリッドPdotおよびこれらを使用する方法
JP7477903B2 (ja) 2016-06-14 2024-05-02 ユニバーシティ オブ ワシントン ポリマー-シリカハイブリッドPdotおよびこれらを使用する方法
CN109804044A (zh) * 2016-09-30 2019-05-24 住友化学株式会社 复合颗粒
JP2022172038A (ja) * 2016-09-30 2022-11-14 住友化学株式会社 複合粒子
JP2022501475A (ja) * 2018-09-20 2022-01-06 住友化学株式会社 発光粒子
JP2022502534A (ja) * 2018-09-20 2022-01-11 住友化学株式会社 発光粒子
JP7389796B2 (ja) 2018-09-20 2023-11-30 住友化学株式会社 発光粒子
JP7414811B2 (ja) 2018-09-20 2024-01-16 住友化学株式会社 発光粒子
CN111606919A (zh) * 2020-05-22 2020-09-01 北京诺康达医药科技股份有限公司 一种羧基荧光素琥珀酰亚胺酯的溶剂化物及其制备方法
CN111606919B (zh) * 2020-05-22 2021-10-15 北京诺康达医药科技股份有限公司 一种羧基荧光素琥珀酰亚胺酯的溶剂化物及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2022172038A (ja) 複合粒子
Bonacchi et al. Luminescent chemosensors based on silica nanoparticles
JP2016060832A (ja) 蛍光シリカ粒子およびその製造方法、並びにこれを用いた標識試薬および検査キット
JP5448369B2 (ja) 粒子表面にアミノ基を有するシリカ粒子の製造方法、粒子表面にアミノ基を有するシリカ粒子、及びそれを用いた複合粒子
EP3853321B1 (en) Light-emitting marker particles
US8716420B2 (en) Amphiphilic polymers and nanocrystals coated therewith
US8822955B2 (en) Polymer-conjugated quantum dots and methods of making the same
KR101348074B1 (ko) 형광 고분자 기반 실리카 나노입자의 제조방법
WO2011088744A1 (zh) 光致发光纳米粒子及其制备方法与应用
JP5224330B2 (ja) コア‐シェル構造のシリカナノ粒子の製造方法、コア‐シェル構造のシリカナノ粒子、及びそれを用いた標識試薬
CN109313954B (zh) 聚合物-二氧化硅混合pdot及其使用方法
CN112739792A (zh) 发光颗粒
CN115103892A (zh) 发光颗粒
JP4391567B2 (ja) 積層構造のシリカナノ粒子の製造方法、積層構造のシリカナノ粒子、及びそれを用いた標識試薬
JP5540867B2 (ja) 有機蛍光色素内包シリカナノ粒子、その製造方法、それを用いた生体物質標識剤
KR101368076B1 (ko) 수용액에서 우수한 분산성을 가지는 표면 개질된 형광 실리카 나노입자 및 그 제조방법
KR100851811B1 (ko) 기능성 물질을 내포하는 실리콘-포함 중합체의 복합체
JP5224359B2 (ja) カルボキシル基を有する有機色素分子を含有するシリカナノ粒子の製造方法、前記製造方法により得られたシリカナノ粒子、それを用いた標識試薬
JP2009222718A (ja) 積層構造のシリカナノ粒子の製造方法、積層構造のシリカナノ粒子、及びそれを用いた標識試薬
JP2011158422A (ja) シリカナノ粒子の製造方法、シリカナノ粒子および標識試薬
US20230093363A1 (en) Light-emitting particles
JP6702326B2 (ja) 環境応答性色素集積ナノ粒子および細胞内環境分析方法
DEEPA ENGINEERED SILICA BASED MATERIALS AND APPLICATIONS
CN116042209A (zh) 一种介孔硅基聚集诱导发光材料的制备方法及应用
KAI CONJUGATED POLYMER BASED FLUORESCENT NANOPARTICLES FOR BIOIMAGING