JP2016060776A - 有機無機複合樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

有機無機複合樹脂粒子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、特殊な分散工程や分散剤を用いなくても、金属原子含有化合物が樹脂粒子の表面及び/又は内部に複合化された有機無機複合樹脂粒子を提供する。【解決手段】イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)と、前記粒子(A)の表面に吸着された、及び/又は前記粒子(A)の内部に吸蔵された金属原子含有化合物(B)とを有する有機無機複合樹脂粒子であり、前記化合物(B)が、水性媒体中に投入した場合に、イオン化した状態または錯体の状態で水性媒体中に溶解している化合物であることを特徴とする有機無機複合樹脂粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、有機無機複合樹脂粒子およびその製造方法に関する。
有機ポリマー粒子と無機材料とを複合化して得られた有機無機複合粒子は、有機/無機それぞれの材料特性を有するため、種々の分野で研究されている。例えば、有機ポリマー粒子とチタニア及び/又はジルコニアとを複合化して得られた材料は、光学材料への応用を目的とした高屈折樹脂材料として、また、有機ポリマー粒子の表面に貴金属ナノ粒子を複合化して得られた材料は、電子材料や触媒材料として、盛んに研究されている。
このような複合粒子としては、例えば、有機ポリマー粒子の原料であるモノマー中に金属の酸化物・窒化物・硫化物からなる無機微粒子を分散させた後、媒体中で無機微粒子分散モノマーの滴を調整し、前記モノマーを重合することで得られた有機無機複合粒子や、前記無機微粒子を透明な合成樹脂中に分散させて得られた高屈折率樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、樹脂本来の透明性を維持したまま無機材料を複合化するには、無機材料をナノサイズで均一に樹脂中に分散させる必要がある。樹脂中における無機材料の分散レベルによっては、樹脂組成物が白濁してしまうという問題点があり、無機材料の分散のために、特殊な分散剤の添加や、特別な分散工程を必要としている。
また、有機高分子化合物とシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機酸化物とのマトリックスが共有結合により結合された有機無機ハイブリッド粒子が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、重合性金属アルコキシドを含む膨潤溶媒で種粒子を膨潤させた後、金属アルコキシド中の不飽和結合により重合させて、次いで金属アルコキシド中のアルコキシ基を加水分解および縮合させることにより複合粒子を得ている。
しかしながら、特許文献2では、重合性金属アルコキシドが必須であり、汎用性が乏しい。
更には、有機無機複合粒子の製造方法として、重合性単量体中で金属アルコキシドとシランカップリング剤とを反応させた後、乳化重合または懸濁重合することにより複合粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3では、無機原料として、高い加水分解性を有する、水不溶性の金属アルコキシド、例えばテトラ−n−プロポキシチタニウムが用いられており、反応条件の厳密な制御が必要である。
特開昭61−291650号公報 特開平07−265686号公報 特開2006−299096号公報
本発明の課題は、従来技術に比べて反応条件を制御することが容易な方法で金属原子含有化合物を含む有機無機複合樹脂粒子を製造すること、特殊な分散工程や分散剤を用いなくても、金属原子含有化合物が樹脂粒子の表面及び/又は内部に複合化された有機無機複合樹脂粒子を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の特定の構成を有する有機無機複合樹脂粒子により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[6]である。
[1]イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)と、前記粒子(A)の表面に吸着された、及び/又は前記粒子(A)の内部に吸蔵された金属原子含有化合物(B)とを有する有機無機複合樹脂粒子であり、前記化合物(B)が、水性媒体中に投入した場合に、イオン化した状態または錯体の状態で水性媒体中に溶解している化合物であることを特徴とする有機無機複合樹脂粒子。
[2]前記粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷と、前記化合物(B)の水性媒体中でのイオン化合物としての電荷とが、反対の関係になる条件で、前記化合物(B)を前記粒子(A)に吸着及び/又は吸蔵させて得られた、前記[1]に記載の有機無機複合樹脂粒子。
[3]前記[1]または[2]に記載の有機無機複合樹脂粒子が有する金属原子含有化合物(B)を反応させることにより得られた有機無機複合粒子。
[4]水性媒体と、イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)と、水性媒体中に投入した場合に、イオン化した状態または錯体の状態で水性媒体中に溶解している金属原子含有化合物(B)とを混合して、前記粒子(A)の表面に前記化合物(B)を吸着させ、及び/又は前記粒子(A)の内部に前記化合物(B)を吸蔵させる工程を有する、有機無機複合樹脂粒子の製造方法。
[5]前記工程において、前記粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷と、前記化合物(B)の水性媒体中でのイオン化合物としての電荷とが、反対の関係になる条件で、前記水性媒体と前記粒子(A)と前記化合物(B)とを混合する、前記[4]に記載の有機無機複合樹脂粒子の製造方法。
[6]前記[4]または[5]に記載の製造方法で得られた有機無機複合樹脂粒子が有する金属原子含有化合物(B)を反応させる、有機無機複合粒子の製造方法。
本発明によれば、従来技術に比べて反応条件を制御することが容易な方法で金属原子含有化合物を含む有機無機複合粒子を製造すること、特殊な分散工程や分散剤を用いなくても、金属原子含有化合物が樹脂粒子の表面及び/又は内部に複合化された有機無機複合樹脂粒子を提供することができる。
図1は、実施例1で得られた複合樹脂粒子の元素分析結果である。 図2は、実施例3で得られた複合粒子の広角X線回折の測定結果である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルを総称する意味で用いる。(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリレート等においても同様である。
〔有機無機複合樹脂粒子〕
本発明の有機無機複合樹脂粒子(以下「複合樹脂粒子」ともいう)は、イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)と、前記粒子(A)の表面に吸着された、及び/又は前記粒子(A)の内部に吸蔵された金属原子含有化合物(B)とを有する。
[金属原子含有化合物(B)]
本発明で用いられる「金属原子含有化合物(B)」とは、当該化合物を水性媒体中に投入した場合に、(好ましくは当該化合物同士で縮合せずに)イオン化した状態または錯体の状態で水性媒体中に溶解している、金属原子含有化合物である。化合物(B)の定義における前記水性媒体は、好ましくは、25℃の水である。
化合物(B)は、チタン、タンタル、ジルコニウム、ビスマス、亜鉛、金、銀、銅、白金、ニッケルおよび鉄から選ばれる少なくとも1種の金属原子を有する化合物であることが好ましい。
化合物(B)としては、公知の化合物を使用でき、具体的には、特開2011−68500号公報で規定している水溶性遷移金属化合物、国際公開第2006/035872号パンフレットで規定している水溶性金属錯体、特開2000−264893号公報で規定している金属錯体として列挙されている化合物が挙げられる。
チタンを含有する化合物としては、例えば、
配位子としてヒドロキシカルボン酸、特に乳酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸を少なくとも有するチタン化合物、具体的には、チタンラクテート(例:ジヒドロキシチタンビスラクテート)、チタンラクテートの塩(例:ジヒドロキシチタンビス(アンモニウムラクテート)等のアンモニウム塩)、アルコキシチタンラクテート(例:ジイソプロポキシチタンビスラクテート等のC1-10アルコキシチタンビスラクテート);
配位子としてアミノアルコールを少なくとも有するチタン化合物、具体的には、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジブトキシチタンビス(トリエタノールアミネート)等のC1-10アルコキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、イソプロキシチタントリス(アミノエチルアミノエタノレート)等のC1-10アルコキシチタントリス(アミノエチルアミノエタノレート);
が挙げられる。
これらの中でも、配位子としてヒドロキシカルボン酸、特に乳酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸を少なくとも有するチタン化合物が好ましく、チタンラクテート、チタンラクテートの塩、アルコキシチタンラクテートが特に好ましい。
他の化合物(B)としては、シュウ酸チタンカリウム、酸化硫酸チタン、四塩化チタン、酸塩化ジルコニウム、塩化金酸、塩化白金酸、酢酸亜鉛、塩化ニッケル、塩化鉄、硫酸銅等が挙げられ、金属イオンとして水に溶解する化合物、適当な配位子と錯体を形成して水に溶解する化合物のどちらでも、利用することができる。
化合物(B)は、樹脂粒子(A)の表面または内部に、化合物の状態で含有されていてもよいし、樹脂粒子(A)と反応している形態でもよい。例えば上記チタンラクテートの場合、上記チタンラクテートは加水分解および脱水縮合した縮合物としてではなく、上記チタンラクテートの状態で、樹脂粒子(A)の表面及び/又は内部に吸着・吸蔵されている状態でもよい。
本発明の複合樹脂粒子は、樹脂粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷と、前記化合物(B)の水性媒体中でのイオン化合物としての電荷とが、反対の関係になる条件で、前記化合物(B)を前記粒子(A)に吸着及び/又は吸蔵させて得られた粒子であることが好ましい。
本発明の複合樹脂粒子は、化合物(B)を、樹脂粒子(A)100質量部に対し、0.01〜10000質量部含有することが好ましく、より好ましくは0.05〜8000質量部、さらに好ましくは0.1〜5000質量部である。化合物(B)の含有量が前記範囲にあると、樹脂粒子(A)を構成する樹脂と化合物(B)とが有する双方の特性を発揮できる点で好ましい。
[イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)およびその製造方法]
樹脂粒子(A)は、イオン性官能基を有する。
《イオン性官能基》
樹脂粒子(A)が有するイオン性官能基としては、例えば、カチオン性官能基、アニオン性官能基が挙げられる。イオン性官能基の電荷は、金属原子含有化合物(B)の水性媒体中でのイオン化合物としての電荷と反対の関係になるように選択することが好ましい。
樹脂粒子(A)が有するイオン性官能基とは反対の電荷を有する化合物(B)を、静電相互作用により前記イオン性官能基と結合させることによって、樹脂粒子(A)は化合物(B)を効率良く粒子の表面または内部に取り込むことができる。例えば、樹脂粒子(A)がカチオン性官能基を有する場合、水性媒体中でアニオン性の化合物(B)が選択され、樹脂粒子(A)がアニオン性官能基を有する場合、水性媒体中でカチオン性の化合物(B)が選択される。
〈カチオン性官能基〉
カチオン性官能基としては、例えば、アミノ基(−NR2)の塩酸塩、イミノ基(>C=NH2 +)、第4級アンモニウム基(−NR3 +)、第4級ホスホニウム基(−PR3 +)が挙げられる。
アミノ基におけるRは、それぞれ独立に水素原子または有機基である。有機基としては、例えば、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基が挙げられる。
第4級アンモニウム基および第4級ホスホニウム基におけるRは、それぞれ独立に有機基である。有機基としては、例えば、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基が挙げられる。
上記アルキル基の炭素数は、通常1〜18、好ましくは1〜12である。上記アリール基の炭素数は、通常6〜18、好ましくは6〜12である。置換のアルキル基とは、アルキル基が有する1以上の水素原子を置換基に置き換えた基である。置換のアリール基とは、アリール基が有する1以上の水素原子を置換基に置き換えた基である。置換基としては、例えば、水酸基が挙げられる。
アミノ基の塩酸塩、イミノ基等の官能基は、pH依存性のカチオン性官能基である。樹脂粒子(A)が化合物(B)を安定的に取り込めることから、カチオン性官能基としては、溶液のpHに依存せず正に帯電している、第4級アンモニウム基および第4級ホスホニウム基が好ましく、第4級アンモニウム基がより好ましい。
カチオン性官能基は、分子内塩を形成していてもよく、塩素、臭素等のハロゲン陰イオン;硫酸陰イオン、スルホン酸陰イオン、リン酸陰イオン、カルボン酸陰イオン等の陰イオンと結合して対塩を形成していてもよい。
〈アニオン性官能基〉
アニオン性官能基としては、例えば、カルボン酸基(−CO2 -)、スルホン酸基(−SO3 -)、硫酸基(−OSO3 -)、リン酸基(−OPO4 -)、ボロン酸(−B(OH)2)が挙げられる。
アニオン性官能基は、分子内塩を形成していてもよく、金属陽イオンまたは有機陽イオンと結合して対塩を形成していてもよい。金属陽イオンとしては、例えば、Na+、K+等のアルカリ金属イオン、Ca2+等のアルカリ土類金属イオンが挙げられる。有機陽イオンとしては、例えば、トリメチルアンモニウム陽イオン(Me3+H)、トリエチルアンモニウム陽イオン(Et3+H)、ジメチルアンモニウム陽イオン(Me2+2)が挙げられる。
《樹脂粒子(A)を構成する樹脂》
樹脂粒子(A)を構成する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネートが挙げられる。これらの中でも、透明性、加工性の観点から、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
樹脂粒子(A)としては、例えば、イオン性官能基が導入された上記樹脂からなる粒子が挙げられる。イオン性官能基の導入方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。(メタ)アクリル樹脂に第4級アンモニウム基を導入する例を、一例として後述する。
樹脂粒子(A)は、イオン性官能基を有するモノマーを重合して得られた樹脂からなる粒子でもよく、イオン性官能基以外の官能基を有する前駆体樹脂粒子(A’)に、前記粒子(A’)が有する官能基と反応してイオン性官能基を形成または導入可能な官能基を有する化合物を反応させて得られた粒子でもよい。
樹脂粒子(A)は、水性媒体中で膨潤可能な樹脂粒子であってもよい。「膨潤可能」とは、例えば、水性媒体中から取り出した樹脂粒子の粒子径Rbと、水性媒体中から取り出した樹脂粒子を105℃で5時間乾燥して得られた樹脂粒子の粒子径Raとの比(Ra/Rb)が、0.99以下であることを意味する。
水性媒体中で膨潤可能な樹脂粒子(A)は、例えば、粒子内部にイオン性官能基を導入することで得ることができる。このような樹脂粒子(A)は水性媒体中で膨潤して、水性媒体を粒子内部に保持しているので、化合物(B)を樹脂粒子(A)内部に効率的に吸蔵することができる。
樹脂粒子(A)の形状は、特に限定されることはなく、球状であっても異方性を有する異形形状であってもよく、多孔質状であってもよく、中空状であってもよい。
本発明の複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(A)は、当該粒子の製造時(モノマー成分の重合時)に、水性媒体を使用して得られた粒子であることが好ましい。
〈(メタ)アクリル樹脂〉
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られる(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーを共重合してもよい。共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、不飽和カルボン酸モノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式基含有(メタ)アクリレート;
イオン性官能基含有(メタ)アクリレート、例えば、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;
イオン性官能基以外の官能基含有(メタ)アクリレート、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;
が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキル化スチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウドスチレン、クロロメチルスチレン等のハロゲン化スチレンが挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーは、イオン性官能基含有モノマーであり、例えば、(メタ)アクリル酸、α−エチル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ヒドロムコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとともに、上記共重合可能な他のモノマーを用いる場合、(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、上記共重合可能な他のモノマーを0〜50質量部用いることが好ましく、より好ましくは0〜20質量部である。多段階でポリマー合成をする場合は、前記量は全段階における合計の使用量である。
また、(メタ)アクリル酸エステルとともに、不飽和二重結合を2個以上有するモノマーを共重合して、(メタ)アクリル系ポリマーに架橋構造を形成してもよい。不飽和二重結合を2個以上有するモノマーとしては、多官能(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ジビニル系モノマー等の重合性炭素/炭素2重結合を2個以上(特に2〜4個)有するモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとともに、上記不飽和二重結合を2個以上有するモノマーを用いる場合、(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、上記不飽和二重結合を2個以上有するモノマーを0〜50質量部用いることが好ましく、より好ましくは0〜20質量部である。多段階でポリマー合成をする場合は、前記量は全段階における合計の使用量である。
《樹脂粒子(A)の製造方法》
樹脂粒子(A)およびその前駆体樹脂粒子(A’)は、例えば、ソープフリー乳化重合、乳化重合、懸濁重合、シード重合等の、水性媒体中での重合方法により調製することができる。
上記重合に用いることのできるモノマー成分としては、例えば(メタ)アクリル樹脂からなる樹脂粒子を製造する場合、〈(メタ)アクリル樹脂〉の欄に記載したモノマーが挙げられる。
上記重合に用いることのできる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
上記重合に用いることのできる乳化剤としては、例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;2−スルホテトラデカン酸1−メチルエステルナトリウム等のアルファスルホン脂肪酸エステル塩;ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、アリルエーテルおよびそれらの硫酸エステルの塩が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。乳化剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。乳化剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
上記重合に用いることのできる分散安定剤としては、例えば、部分鹸化されたポリビニルアルコール;完全鹸化されたポリビニルアルコール;ポリアクリル酸、その共重合体およびこれらの中和物;ポリメタクリル酸、その共重合体およびこれらの中和物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルピロリドンが挙げられる。分散安定剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。分散安定剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
上記重合に用いることのできる水性媒体としては、水、水と親水性有機溶媒との混合物が挙げられる。水としては、例えば、精製水(例:イオン交換水、蒸留水)、地下水、水道水が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類:アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;ギ酸メチル等のエステル類が挙げられる。親水性有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。親水性有機溶媒の添加量は、水100質量部に対し、通常10質量部以下である。本明細書において、特に言及しない限り「水性媒体」とは前記の媒体を指す。
上述の重合方法において、重合温度は、通常50〜90℃、好ましくは60〜80℃であり、重合時間は、通常1〜24時間、好ましくは1〜10時間である。シード重合の場合には、各段階において前記重合条件を採用することができる。
《樹脂粒子に対するイオン性官能基の導入方法》
樹脂粒子にイオン性官能基を導入する方法としては、例えば、
(1)イオン性官能基を有するモノマーを少なくとも用い、前記モノマーを重合することで、樹脂粒子にイオン性官能基を導入する方法;
(2)イオン性官能基以外の官能基を有するモノマーを少なくとも用い、前記モノマーを重合することで、イオン性官能基以外の官能基を有する前駆体樹脂粒子(A’)を調製し、前記粒子(A’)が有する官能基と反応してイオン性官能基を形成または導入可能な官能基を有する化合物(以下「化合物M」ともいう)を、前記粒子(A’)と反応させて、樹脂粒子にイオン性官能基を導入する方法(例えば、『高分子の機能化に関するコロイド化学的研究』、神戸大学学位論文(1983));
(3)(メタ)アクリル酸エステルを重合後、アルカリ条件下でポリ(メタ)アクリル酸エステルのエステル部を加水分解してカルボキシル基を導入する方法(例えば、特開2011−126979号公報);
(4)ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の、イオン性官能基を有さないポリマーからなる樹脂粒子を形成した後、プラズマ処理、紫外線照射処理およびオゾン処理等の表面電荷を与える処理を施すことによって、樹脂粒子にイオン性官能基を導入する方法;
が挙げられる。
ただし、樹脂粒子の内部にイオン性官能基を導入し、当該官能基の電荷と反対の電荷を有する化合物(B)を取り込む観点から、上記方法(1)、(2)または(3)が好ましい。
上記方法(1)において、イオン性官能基を有するモノマーとしては、上述した、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、不飽和カルボン酸モノマー等が挙げられる。
上記方法(2)において、イオン性官能基以外の官能基を有するモノマーとしては、上述した、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記方法(2)において、化合物Mとしては、例えば、前記粒子(A’)が有する官能基と反応してイオン性官能基を形成可能な官能基を有する化合物M1、前記粒子(A’)が有する官能基と反応して化学結合を形成可能な官能基と、イオン性官能基とを有する化合物M2が挙げられる。化合物Mは、前記粒子(A’)が有する官能基に応じて適宜選択される。
前記粒子(A’)が有する官能基がエポキシ基である場合、化合物Mとしては、例えば、第3級アミン化合物、亜硫酸水素ナトリウム等の化合物M1、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸等の化合物M2が挙げられる。
一例として、第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリル系ポリマーについて説明する。前記ポリマーは、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ポリマーに、第3級アミン化合物を加えて4級化することにより得ることができる。この方法では、エポキシ基を第3級アミン化合物で開環して、第4級アンモニウム基を形成する。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、上述したエポキシ基含有(メタ)アクリレートを少なくとも重合することによって得ることができる。例えばシード重合の場合、任意の段階でエポキシ基含有(メタ)アクリレートを重合することができる。
第3級アミン化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン、1−メチルイミダゾールが挙げられる。第3級アミン化合物の使用量は、導入する第4級アンモニウム基の量に合わせて決定することができる。
4級化反応において、(メタ)アクリル系ポリマー中のエポキシ基と、第3級アミン化合物とのモル比(アミン/エポキシ基)は、0.1〜10であることが好ましい。4級化反応は、例えば、40〜90℃で0.5〜6時間かけて行うことができる。
〔有機無機樹脂粒子〕
本発明の有機無機複合粒子(以下「複合粒子」ともいう)は、本発明の有機無機複合粒子が有する金属原子含有化合物(B)を反応させることにより得られた粒子である。本発明の複合粒子では、樹脂粒子の表面及び/又は内部に、化合物(B)に由来する金属成分(例:金属、金属酸化物)が複合化されている。
〔有機無機複合樹脂粒子および有機無機複合粒子の製造方法〕
本発明の有機無機複合樹脂粒子の製造方法は、水性媒体と、イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)と、金属原子含有化合物(B)とを混合して、前記粒子(A)の表面に前記化合物(B)を吸着させ、及び/又は前記粒子(A)の内部に前記化合物(B)を吸蔵させる工程1を有する。
本発明の有機無機複合粒子の製造方法は、工程1で得られた有機無機複合樹脂粒子が有する金属原子含有化合物(B)を反応させる工程2を有する。
本発明の製造方法によれば、樹脂本来の透明性を維持したまま、無機成分が樹脂粒子の表面及び/又は内部に複合化された有機無機複合樹脂粒子および複合粒子を得ることができる。
[工程1]
工程1では、水性媒体と、イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)と、金属原子含有化合物(B)とを混合する。好ましくは、イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)の水性分散液と、金属原子含有化合物(B)とを混合する。前記粒子(A)および前記化合物(B)の詳細は、〔有機無機複合樹脂粒子〕の欄で説明したとおりである。
水性分散液に用いられる水性媒体としては、水、水と親水性有機溶媒との混合物が挙げられる。水としては、例えば、精製水(例:イオン交換水、蒸留水)、地下水、水道水が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類:アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;ギ酸メチル等のエステル類が挙げられる。親水性有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。親水性有機溶媒の添加量は、水100質量部に対し、通常0.1〜10質量部である。
水性分散液中に含まれる樹脂粒子(A)の含有量は、通常1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
工程1では、水性分散液中に含まれる樹脂粒子(A)100質量部に対して、化合物(B)を、通常0.001〜10000質量部、好ましくは0.001〜5000質量部、より好ましくは0.001〜1000質量部配合する。
工程1では、水性媒体と樹脂粒子(A)と化合物(B)との混合液を、混合液の液温が通常1〜95℃、好ましくは1〜90℃の条件で、通常0.5〜10時間、好ましくは0.5〜5時間撹拌する。このような条件で、化合物(B)を樹脂粒子(A)の表面に吸着させ、及び/又は樹脂粒子(A)の内部に吸蔵させることが好ましい。
工程1では、樹脂粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷と、化合物(B)の水性媒体中でのイオン化合物としての電荷とが、反対の関係になる条件で、水性媒体と樹脂粒子(A)と化合物(B)とを混合することが好ましく、前記水性分散液と前記化合物(B)とを混合することがより好ましい。例えば、樹脂粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷が+(カチオン性官能基)である場合は、電荷が−の化合物(B)を用いることが好ましく、樹脂粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷が−(アニオン性官能基)である場合は、電荷が+の化合物(B)を用いることが好ましい。このような条件で混合することにより、化合物(B)が樹脂粒子(A)の表面に良好に吸着され、及び/又は樹脂粒子(A)の内部に良好に吸蔵される。
なお、樹脂粒子(A)が有するイオン性官能基および化合物(B)の電荷は、混合液のpH、温度等により変わることがある。このため、樹脂粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷に応じて、化合物(B)の電荷が反対になる条件で、上記成分を混合することが好ましい。
必要に応じて、化合物(B)を吸着及び/又は吸蔵後の樹脂粒子(A)、すなわち有機無機複合樹脂粒子を乾燥して、粉体化することができる。乾燥条件としては、通常50〜150℃、好ましくは50〜120℃で、通常1〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
このようにして、本発明の有機無機複合樹脂粒子を得ることができる。
[工程2]
工程2では、工程1で得られた、有機無機複合樹脂粒子、すなわち化合物(B)を吸着及び/又は吸蔵した樹脂粒子(A)に関して、樹脂粒子(A)の表面及び/又は内部にて化合物(B)を反応させる。
化合物(B)の反応とは、例えば、加水分解、還元反応が挙げられる。
反応条件としては、加熱や、超音波照射、マイクロ波照射、還元剤の添加等が挙げられる。例えば加熱の場合、その条件は、好ましくは50〜200℃で0.1〜50時間である。この加熱は大気圧下で実施してもよいし、加圧下で実施してもよい。
このようにして、本発明の有機無機複合粒子を得ることができる。
〔有機無機複合樹脂粒子および有機無機複合粒子の物性・用途〕
本発明の複合樹脂粒子および複合粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01〜1000μm、より好ましくは0.01〜100μmである。平均粒子径は、湿式状態の場合にはフロー式粒子像解析法(フロー式画像解析法)を用いて、乾燥状態の場合には走査型電子顕微鏡(以下「SEM」ともいう)を用いて、測定することができる。
本発明の複合樹脂粒子および複合粒子(以下「複合(樹脂)粒子」ともいう)の用途は特に限定されない。
例えば、樹脂粒子と金や銀、銅等の無機成分との複合(樹脂)粒子、バインダーおよび溶剤等を混合して塗料組成物を調製し、この塗料組成物を用いて、電極材料、色素増感太陽電池用電極、透明電極、触媒担体、電子材料用セラミックス、紫外線吸収剤、熱線反射材料等を製造することができる。
また、樹脂粒子とチタンやジルコニア等の無機成分との複合(樹脂)粒子は、高い屈折率を有することから、メガネ、光学部品等の用途に好適に用いることができ、具体的には、メガネ、カメラレンズ、光ピックアップ用対物レンズ、レーザープリンター用レンズ、プロジェクションテレビ投影用レンズ、偏光板、光メディア媒体基板等の透明基材上に設けられる高屈折率被膜用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
[粒子の形状観察]
乾燥状態の場合にはSEM((株)日立ハイテクノロジーズ製、型式:S−4800)を用いて粒子形状を観察し、平均粒子径およびCV値を測定した。湿式状態の場合にはフロー式画像粒子径装置(Sysmex(株)製、型式:FPIA−3000)を用いて粒子形状を観察し、平均粒子径を測定した。
[ζ電位の測定]
ζ電位は、ゼータ電位測定装置(Sysmex(株)製、型式:ゼータサイザー)を用いて測定した。
[屈折率の測定]
屈折率は、カーギル社製屈折率標準液を用いて測定した。ガラス板上に作製した有機無機複合樹脂粒子を適量載せて、その上に屈折率標準液を少量垂らし、複合樹脂粒子の界面を光学顕微鏡で観察し、界面が消えて見えるときの標準液の屈折率を複合樹脂粒子の屈折率とした。
[複合樹脂粒子の元素分析]
複合樹脂粒子の元素分析は、エネルギー分散型X線分析装置(堀場製作所製)にて実施した。作製した有機無機複合樹脂粒子をエポキシ樹脂に埋包し、ウルトラミクロトームにより、厚さ1μmの複合樹脂粒子切片を切り出したものを測定サンプルとした。
[実施例1]
《1段階目の重合:ソープフリー乳化重合》
温度計と窒素導入管とを装着した容量1リットルの四つ口フラスコに、メチルメタクリレート(以下「MMA」ともいう)100部、およびイオン交換水300部を投入して、混合撹拌し、さらに窒素気流下で撹拌を行いながら80℃に昇温し、混合液を得た。加温された前記混合液中に過硫酸カリウム0.5部を加え、80℃に保持しながら6時間反応させ、メタクリル系ポリマー粒子の分散液(A1)を得た。
分散液(A1)から分離・乾燥して得られたメタクリル系ポリマー粒子をSEMにより観察した。メタクリル系ポリマー粒子は、平均粒子径0.4μm、CV値2.0%である、真球状の単分散粒子であった。分散液(A1)中の固形分濃度は24質量%であった。
《2段階目の重合:シード重合》
同様の装置に、MMA100部、過酸化ベンゾイル1.0部、イオン交換水113.2部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を投入して、混合撹拌し、混合液を得た。この混合液に、1段階目の重合で得た分散液(A1)64.2部と、部分鹸化されたポリビニルアルコール((株)クラレ製、品番名:PV−420)をイオン交換水中に5%溶解させて得られた水溶液(以下「PVA5%水溶液」ともいう)80部とを添加し、穏やかに撹拌したあと、75℃で2時間撹拌して、メタクリル系ポリマー粒子の分散液(A2)を得た。
分散液(A2)から分離・乾燥して得られたメタクリル系ポリマー粒子をSEMにより観察した。メタクリル系ポリマー粒子は、平均粒子径0.75μmの真球状粒子であった。分散液(A2)中の固形分濃度は30.5質量%であった。
《3段階目の重合:シード重合》
同様の装置に、MMA100部、過酸化ベンゾイル1.1部、イオン交換水144部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.55部を投入して、混合撹拌し、混合液を得た。この混合液に、2段階目の重合で得た分散液(A2)27.3部、およびPVA5%水溶液80部を添加し、穏やかに撹拌したあと、75℃で2時間撹拌して、メタクリル系ポリマー粒子の分散液(A3)を得た。
分散液(A3)から分離・乾燥して得られたメタクリル系ポリマー粒子をSEMにより観察した。メタクリル系ポリマー粒子は、平均粒子径1.7μmの真球状粒子であった。分散液(A3)中の固形分濃度は29.0質量%であった。
《4段階目の重合:シード重合》
同様の装置に、グリシジルメタクリレート(以下「GMA」ともいう)100部、過酸化ベンゾイル0.5部、イオン交換水144部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.55部を投入して、混合撹拌し、混合液を得た。この混合液に、3段階目の重合で得た分散液(A3)12.3部、およびPVA5%水溶液80部を添加し、穏やかに撹拌したあと、75℃で2時間撹拌して、メタクリル系ポリマー粒子の分散液(A4)を得た。
分散液(A4)中のメタクリル系ポリマー粒子の粒子径をフロー式画像粒子径装置で測定した。メタクリル系ポリマー粒子は、平均粒子径5.0μmの真球状粒子であった。分散液(A4)中の固形分濃度は30.1質量%であった。また、生成した粒子についてζ電位を測定すると−40mVであった。
《ポリマー粒子のイオン変性》
分散液(A4)の固形分濃度を、イオン交換水を用いて10質量%に調整した。温度計と窒素導入管とを装着した容量1リットルの四つ口フラスコに、固形分濃度10質量%の分散液(A4)100部を秤量し、そこにジメチルアミノエタノール6.3部を投入して、混合撹拌し、80℃に昇温し、2時間撹拌して、カチオン変性メタクリル系ポリマー粒子の分散液(A5)を得た。分散液(A5)中の固形分濃度は16質量%であった。
2時間撹拌後、生成した粒子を遠心分離機により分離し、得られた粒子の粒子径をフロー式画像粒子径装置で測定した。生成した粒子の平均粒子径は6.0μmであった。また、生成した粒子は105℃で5時間乾燥すると粒子径が小さく収縮する様子が確認された。このため、生成した粒子は、水で膨潤している粒子であると判断した。また、生成した粒子についてζ電位を測定すると+30mVであり、屈折率は1.52であった。
《チタン/メタクリル系ポリマー複合樹脂粒子の作製》
カチオン変性メタクリル系ポリマー粒子の分散液(A5)30gに、チタンラクテート(マツモトファインケミカル(株)製、製品名:オルガチックス TC−310、Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2、44質量%、水に可溶)を22g添加した。室温にて1時間撹拌し、さらに80℃で1時間撹拌した。その後、遠心分離機により精製し、未複合のチタンラクテートを除去した。得られたチタン/メタクリル系ポリマー複合樹脂粒子の分散液を105℃で1時間乾燥し、複合樹脂粒子からなる乾燥粉末を得た。
得られた複合樹脂粒子の屈折率は1.61であった。また、複合樹脂粒子内部の元素分析を行ったところ、粒子の内部までチタン元素が検出され、メタクリル系ポリマー粒子内部までチタン成分が複合化されていることを確認した。前記粒子の断面画像を図1(A)に、前記断面におけるチタン元素マッピング結果を図1(B)に示す。
[実施例2]
実施例2では、《チタン/メタクリル系ポリマー複合樹脂粒子の作製》において、チタンラクテートを109g加えたこと以外は実施例1と同様に行い、チタン/メタクリル系ポリマー複合樹脂粒子を作製した。得られた複合樹脂粒子の屈折率は1.68であった。また、複合樹脂粒子の元素分析を行ったところ、粒子の内部までチタン元素が検出され、メタクリル系ポリマー粒子内部までチタン成分が複合化されていることを確認した。
[実施例3]
実施例3では、《チタン/メタクリル系ポリマー複合樹脂粒子の作製》において、チタンラクテートを55g加えたこと以外は実施例1と同様に行い、チタン/メタクリル系ポリマー複合樹脂粒子を作製した。このチタン/メタクリル系ポリマー複合樹脂粒子の分散液をステンレス製耐圧容器に封入し、120℃で10時間加熱処理を実施した。得られた複合粒子を105℃で1時間乾燥し、広角X線回折を測定したところ、2〜3nmの大きさのアナターゼ型酸化チタン結晶が複合粒子中に生成しており、ナノ酸化チタン複合メタクリル系ポリマー粒子が生成していることを確認した。
[比較例1]
比較例1では、《ポリマー粒子のイオン変性》を行わず、《チタン/メタクリル系ポリマー複合樹脂粒子の作製》において分散液(A5)の代わりに分散液(A4)を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。しかしながら、得られた複合樹脂粒子からなる粉末の屈折率は1.51であり、屈折率の増加は見られなかった。
[比較例2]
比較例2では複合無機材料として水不溶のテトラオクチルチタネートを用いたこと以外は実施例1と同様に行った。しかしながら、テトラオクチルチタネートを分散液(A5)に添加すると直ぐにテトラオクチルチタネートの加水分解と縮合が起こってしまい、有機無機複合樹脂粒子を得ることが出来なかった。
[実施例4]
《金/メタクリル系ポリマー複合粒子の作製》
カチオン変性メタクリル系ポリマー粒子の分散液(A5)30gに、塩化金酸4水和物(水に可溶)を0.3g添加した。室温にて1時間撹拌した後、クエン酸三ナトリウムを0.35g添加し、80℃で1時間撹拌し、金/メタクリル系ポリマー複合粒子の分散液(A9)を得た。その後、遠心分離機により精製した。
分散液(A9)は赤紫色であり、メタクリル系ポリマー粒子に金ナノ粒子が複合した有機無機複合粒子が得られた。また、分散液(A9)を遠心分離機にかけると、複合粒子を沈降させた上澄みは透明であり、添加した塩化金酸が効率よくメタクリル系ポリマー粒子に複合化されていた。また、複合粒子の元素分析を行ったところ、粒子表面近傍に金元素が検出され、メタクリル系ポリマー粒子の表面近傍に金成分が複合化されていることを確認した。
[比較例3]
比較例3では、《ポリマー粒子のイオン変性》を行わず、《金/メタクリル系ポリマー複合粒子の作製》において分散液(A8)の代わりに分散液(A7)を用いたこと以外は実施例4と同様に行った。しかしながら、得られた金/メタクリル系ポリマー複合粒子の分散液(A10)を遠心分離機にかけると、複合粒子を沈降させた上澄みは赤色を呈しており、メタクリル系ポリマー粒子に複合化されていない塩化金酸が多量に存在し、効率的に金/メタクリル系ポリマー複合粒子が作製できていなかった。

Claims (6)

  1. イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)と、
    前記粒子(A)の表面に吸着された、及び/又は前記粒子(A)の内部に吸蔵された金属原子含有化合物(B)と
    を有する有機無機複合樹脂粒子であり、
    前記化合物(B)が、水性媒体中に投入した場合に、イオン化した状態または錯体の状態で水性媒体中に溶解している化合物である
    ことを特徴とする有機無機複合樹脂粒子。
  2. 前記粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷と、前記化合物(B)の水性媒体中でのイオン化合物としての電荷とが、反対の関係になる条件で、前記化合物(B)を前記粒子(A)に吸着及び/又は吸蔵させて得られた、請求項1に記載の有機無機複合樹脂粒子。
  3. 請求項1または2に記載の有機無機複合樹脂粒子が有する金属原子含有化合物(B)を反応させることにより得られた有機無機複合粒子。
  4. 水性媒体と、イオン性官能基を有する樹脂粒子(A)と、水性媒体中に投入した場合に、イオン化した状態または錯体の状態で水性媒体中に溶解している金属原子含有化合物(B)とを混合して、前記粒子(A)の表面に前記化合物(B)を吸着させ、及び/又は前記粒子(A)の内部に前記化合物(B)を吸蔵させる工程を有する、有機無機複合樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記工程において、前記粒子(A)が有するイオン性官能基の電荷と、前記化合物(B)の水性媒体中でのイオン化合物としての電荷とが、反対の関係になる条件で、前記水性媒体と前記粒子(A)と前記化合物(B)とを混合する、請求項4に記載の有機無機複合樹脂粒子の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の製造方法で得られた有機無機複合樹脂粒子が有する金属原子含有化合物(B)を反応させる、有機無機複合粒子の製造方法。
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