JP2011057889A - 金属複合有機樹脂粒子、金属複合有機樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

金属複合有機樹脂粒子、金属複合有機樹脂粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子を提供する。また、該金属複合有機樹脂粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有する金属複合有機樹脂粒子であって、前記多孔質有機樹脂粒子は、平均細孔径が300nm以下である金属複合有機樹脂粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子に関する。また、本発明は、該金属複合有機樹脂粒子の製造方法に関する。
近年、金属、金属酸化物又は金属塩を有機樹脂バインダーに分散させて得られる塗工組成物が、例えば、基板等の上に塗工された後、乾燥、脱脂、焼成工程を経ることにより、電極材料、色素増感太陽電池用電極、透明電極、触媒担体、電子材料用セラミックス、紫外線吸収剤、熱線反射材料等の様々な構造体を得るために用いられている。このような構造体が、広い表面積、高い平滑性、緻密性等を有し、高い電極効率、触媒効率、透明性等を得るためには、塗工組成物中で、更には、得られる構造体中で、金属、金属酸化物又は金属塩を極めて微細に分散させる必要がある。
金属、金属酸化物又は金属塩を有機樹脂バインダーに分散させる方法として、例えば、粉砕又は析出法により得られた金属等の固体粉末と、有機樹脂バインダーと、有機溶剤とを三本ロール、ビーズミル等の混練装置を用いて分散させる方法が挙げられる。
しかしながら、この方法では、非常に過酷な混練条件を用いなければ金属等の固体粉末を極めて微細に分散させることは困難である。また、この方法で得られた塗工組成物は貯蔵安定性が悪く、使用する前に再度混練して金属等の固体粉末を再分散させる必要があり、生産性に問題がある。
これに対して、金属等の固体粉末の代わりに、重合性モノマーと金属等の固体粉末とを溶媒中に分散させ、重合を行うことにより得られる金属複合有機樹脂粒子を用いる方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、所定の磁性体微粒子を分散させた単量体を含む重合組成物を、懸濁保護剤の存在下、水性溶媒中で攪拌して所定の大きさの油滴に分散し、この状態で懸濁重合を行なって所定の磁性重合体粒子を得る方法が記載されている。特許文献1に記載のような金属複合有機樹脂粒子においては、有機樹脂が金属等の固体粉末を取り囲んでいることから、このような金属複合有機樹脂粒子は有機樹脂バインダーとの相溶性が高く、塗工組成物中で良好に分散することができる。そのため、金属等の固体粉末もまた、塗工組成物中で良好な分散状態をとることができる。
しかしながら、従来、重合性モノマーと金属等の固体粉末とを極めて微細に分散させるためには非常に過酷な条件を用いる必要があり、金属複合有機樹脂粒子における金属等の固体粉末の微分散性は不充分であった。
また、別の金属複合有機樹脂粒子として、例えば、重合性油溶性モノマーとシランカップリング剤とを共存反応、重合させることで得られる金属複合有機樹脂粒子も挙げられる。
しかしながら、この方法で得られる金属複合有機樹脂粒子では、含有する金属がケイ素に限定され、また、金属系成分比率が有機樹脂に比較して高々5%程度と少ないことが問題である。
特開昭59−221302号公報
本発明は、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、該金属複合有機樹脂粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有する金属複合有機樹脂粒子であって、前記多孔質有機樹脂粒子は、平均細孔径が300nm以下である金属複合有機樹脂粒子である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、金属、金属酸化物又は金属塩を、所定の平均細孔径を有する多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有することにより、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子が得られることを見出した。本発明者らは、該金属複合有機樹脂粒子を用いることにより、例えば、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した塗工組成物を得ることができ、このような塗工組成物を用いることにより、例えば、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した構造体を容易に製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有する。
上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径は、上限が300nmである。上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径が300nmを超えると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下し、このような金属複合有機樹脂粒子を用いて製造した構造体は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下する。上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径は、好ましい上限が200nm、より好ましい上限が100nmである。
また、上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径の下限は特に限定されないが、好ましい下限は0.1nmである。上記多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径が0.1nm未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。
なお、本明細書中、多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径とは、NOVA4200e(Sysmex社製)等のガス吸着式細孔径分布測定装置により測定した平均細孔径を意味する。
上記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が0.5μm、好ましい上限が50μmである。上記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子を用いて製造した構造体において、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径が50μmを超えると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、塗工組成物中での分散性が低下することがあり、このような塗工組成物を用いて製造した構造体は、金属、金属酸化物又は金属塩の分散性が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径は、より好ましい下限が1μm、より好ましい上限が30μmである。
なお、本明細書中、多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径とは、LA920(HORIBA社製)等の光散乱回折型粒径分布計により測定した体積平均粒子径を意味する。
上記多孔質有機樹脂粒子のかさ比重は特に限定されないが、好ましい下限が0.01、好ましい上限が0.60である。上記多孔質有機樹脂粒子のかさ比重が0.01未満であると、多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径が増大することがあり、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子のかさ比重が0.60を超えると、多孔質有機樹脂粒子の細孔の数が低下することがあり、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子のかさ比重は、より好ましい下限が0.05、より好ましい上限が0.50である。
なお、本明細書中、多孔質有機樹脂粒子のかさ比重とは、JIS K 7365に準拠して測定したかさ比重を意味する。
上記多孔質有機樹脂粒子の比表面積は特に限定されないが、好ましい下限が50m/gである。上記多孔質有機樹脂粒子の比表面積が50m/g未満であると、多孔質有機樹脂粒子の平均細孔径が低下することがあり、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記多孔質有機樹脂粒子の比表面積は、より好ましい下限が100m/gである。また、上記多孔質有機樹脂粒子の比表面積の上限は特に限定されない。
なお、本明細書中、多孔質有機樹脂粒子の比表面積とは、NOVA4200e(Sysmex社製)等のガス吸着式細孔径分布測定装置により測定した比表面積を意味する。
上記多孔質中空樹脂粒子の製造方法は特に限定されないが、重合性モノマーと、重合性モノマーとは反応しない有機溶剤とを混合した重合性モノマー溶液を調製した後、分散安定剤を含む極性溶媒に懸濁させる工程と、上記重合性モノマーを重合させ、上記有機溶剤を内包するポリマー粒子を得る工程と、得られたポリマー粒子中の上記有機溶剤を除去する工程とを有する方法(以下、方法(1)ともいう)が好ましい。
以下、上記方法(1)について説明する。
上記方法(1)では、まず、重合性モノマーと、重合性モノマーとは反応しない有機溶剤とを混合した重合性モノマー溶液を調製した後、分散安定剤を含む極性溶媒に懸濁させる工程を行う。
上記重合性モノマーは特に限定されず、例えば、単官能性モノマー、多官能性モノマーが挙げられる。
上記単官能性モノマーは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の極性基含有(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、ビニルピリジン、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、エチレン、プロピレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、重合する際の反応性が良好であることから、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のアクリル系モノマーが好ましい。
上記多官能性モノマーは、得られる多孔質有機樹脂粒子の収縮を抑制し、耐圧縮強度を改善する目的で添加される。上記多官能性モノマーは特に限定されず、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリル化合物、トリアリル化合物、ジビニル化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ジ(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記トリ(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記テトラ(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ジビニル化合物は特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
上記有機溶剤は、上記重合性モノマーとは反応しなければ特に限定されず、例えば、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
上記重合性モノマー溶液における上記有機溶剤の配合量は特に限定されないが、上記重合性モノマー100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が300重量部である。上記有機溶剤の配合量が10重量部未満であると、得られる多孔質有機樹脂粒子の空隙率が低下することがある。上記有機溶剤の配合量が300重量部を超えると、得られる多孔質有機樹脂粒子の強度が低下することがある。上記重合性モノマー溶液における上記有機溶剤の配合量の配合量は、より好ましい下限が20重量部、より好ましい上限が200重量部である。
上記重合性モノマーと、上記有機溶剤とを混合した重合性モノマー溶液は、分散安定剤を含む極性溶媒に懸濁され、懸濁液が得られる。上記極性溶媒は特に限定されないが、水が好ましい。
上記分散安定剤は特に限定されず、例えば、シリカ、リン酸三カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン等の無機物、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレン等の水溶性ポリマー、又は、各種アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤等が挙げられる。
上記分散安定剤の添加量は特に限定されず、分散安定剤の種類等により適宜決定されるが、上記重合性モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が20重量部である。
上記極性溶媒には、更に、分散安定助剤が添加されてもよい。
上記分散安定助剤は特に限定されず、例えば、ドデシルフェニルオキサイドジスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
上記重合性モノマー溶液の添加量は特に限定されないが、上記極性溶媒100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が10000重量部である。上記重合性モノマー添加量が10重量部未満であると、得られる多孔質中空樹脂粒子の強度が低下することがある。上記重合性モノマー溶液の添加量が10000重量部を超えると、得られる多孔質中空樹脂粒子の空隙率が低下することがある。上記重合性モノマーの添加量は、上記極性溶媒100重量部に対するより好ましい下限が25重量部、より好ましい上限が3233重量部である。
上記方法(1)では、次いで、上記重合性モノマーを重合させ、上記有機溶剤を内包するポリマー粒子を得る工程を行う。
上記重合の際には、通常、重合開始剤を用いる。上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、上記重合性モノマー溶液と相溶する油溶性のフリーラジカルを発生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、αークミルパーオキシネオデカノエート等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス開始剤等が挙げられる。
上記方法(1)では、次いで、得られたポリマー粒子中の上記有機溶剤を除去する工程を行う。これにより、上述した範囲の平均細孔径、平均粒子径、かさ比重、比表面積を有する上記多孔質有機樹脂粒子が得られる。このような多孔質有機樹脂粒子を用いることにより、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子が得られる。
上記金属、金属酸化物又は金属塩は特に限定されないが、周期律表2a〜4b族のうちの少なくとも1種の金属、又は、該金属からなる金属酸化物若しくは金属塩であることが好ましい。
上記金属として、具体的には、例えば、白金、金、パラジウム、ニッケル、銅等が挙げられる。上記金属酸化物として、具体的には、例えば、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、ジルコニア、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化コバルト、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫等が挙げられる。上記金属塩として、具体的には、例えば、水酸化セリウム、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化(II)鉄、水酸化(III)鉄、水酸化ニッケル、硫酸銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
上記金属、金属酸化物又は金属塩の含有量は特に限定されないが、好ましい下限が金属複合有機樹脂粒子全体の5重量%、好ましい上限が金属複合有機樹脂粒子全体の90重量%である。上記金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が5重量%未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子を用いて、導電性、熱線反射性等の所望とする性能を充分に有する構造体を製造できないことがある。上記金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が90重量%を超えると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下することがあり、このような金属複合有機樹脂粒子を用いて製造した構造体は、金属、金属酸化物又は金属塩の微分散性が低下することがある。上記金属、金属酸化物又は金属塩の含有量は、より好ましい下限が金属複合有機樹脂粒子全体の10重量%、より好ましい上限が金属複合有機樹脂粒子全体の70重量%である。
本発明の金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有することから、有機樹脂バインダーとの相溶性が高く、塗工組成物中で良好に分散することができる。更に、本発明の金属複合有機樹脂粒子においては、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散していることから、本発明の金属複合有機樹脂粒子を用いることで、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した塗工組成物を得ることができ、このような塗工組成物を用いることで、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した構造体を容易に製造することができる。
また、本発明の金属複合有機樹脂粒子を含有する塗工組成物は、金属、金属酸化物又は金属塩の凝集が抑制され、貯蔵安定性にも優れることから、使用する前に再度混練して再分散する必要がない。
本発明の金属複合有機樹脂粒子の用途は特に限定されないが、例えば、本発明の金属複合有機樹脂粒子、有機樹脂バインダー、溶剤等を混合して塗工組成物を作製し、該塗工組成物を用いて、電極材料、色素増感太陽電池用電極、透明電極、触媒担体、電子材料用セラミックス、紫外線吸収剤、熱線反射材料等を製造することができる。本発明の金属複合有機樹脂粒子を用いることで、これらの構造体は、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散していことから、広い表面積、高い平滑性、緻密性等を有し、高い電極効率、触媒効率、透明性等を得ることができる。
本発明の金属複合有機樹脂粒子を製造する方法は特に限定されないが、水を主成分とする媒体中に多孔質有機樹脂粒子と金属イオンとを共存させた分散液を調製する工程と、前記金属イオンを中和、還元若しくは酸化するか、又は、前記金属イオンの溶解度を低下させることにより、前記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程とを有する方法が好ましい。このような本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法もまた、本発明の1つである(第1の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法)。
また、本発明の金属複合有機樹脂粒子を製造する方法として、多孔質有機樹脂粒子と金属アルコキシドとを共存させた分散液を調製する工程と、前記金属アルコキシドを加水分解及び/又は脱水縮合することにより、前記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程とを有する方法も好ましい。このような本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法もまた、本発明の1つである(第2の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法)。
第1の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、まず、水を主成分とする媒体中に上述した多孔質有機樹脂粒子と金属イオンとを共存させた分散液を調製する工程を行う。
上記水を主成分とする媒体は、水を主成分としていれば特に限定されず、例えば、水や、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン等と水との混合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記分散液中の上記多孔質有機樹脂粒子の配合量は特に限定されないが、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が50重量%である。上記多孔質有機樹脂粒子の配合量が0.5重量%未満であると、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔外で析出する金属、金属酸化物又は金属塩の量が増加し、析出した金属、金属酸化物又は金属塩が金属複合有機樹脂粒子の製造に悪影響を及ぼすことがある。上記多孔質有機樹脂粒子の配合量が50重量%を超えると、多孔質有機樹脂粒子が凝集することがある。上記分散液中の上記多孔質有機樹脂粒子の配合量は、より好ましい下限が1重量%、より好ましい上限が30重量%である。
上記金属イオンは、本発明の金属複合有機樹脂粒子に含まれる上記金属、金属酸化物又は金属塩を形成する金属のイオンであれば特に限定されず、具体的には、例えば、パラジウムイオン、ニッケルイオン、セリウムイオン、白金イオン、金イオン、セリウムイオン、亜鉛イオン、ジルコニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、銅イオン、コバルトイオン、アルミニウムイオン、錫イオン等が挙げられる。
上記分散液中の上記金属イオンの配合量は特に限定されないが、好ましい下限が0.001モル%、好ましい上限が10モル%である。上記金属イオンの配合量が0.001モル%未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記金属イオンの配合量が10モル%を超えると、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔外で析出する金属、金属酸化物又は金属塩の量が増加し、得られる金属複合有機樹脂粒子との分離が困難になることがある。上記分散液中の上記金属イオンの配合量は、より好ましい下限が0.01モル%、より好ましい上限が5モル%である。
上記分散液を調製する方法は特に限定されず、例えば、上記多孔質有機樹脂粒子を分散させた分散液と、上記金属イオンを含有する溶液とを混合する方法、上記多孔質有機樹脂粒子の乾燥体と、上記金属イオンを含有する溶液とを混合する方法、上記多孔質有機樹脂粒子を分散させた分散液と、上記金属イオンの乾燥体とを混合する方法等が挙げられる。
なお、上記分散液には、上記多孔質有機樹脂粒子の分散性を向上させるために、界面活性剤等の他の添加剤が添加されてもよい。
第1の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、次いで、上記金属イオンを中和、還元若しくは酸化するか、又は、上記金属イオンの溶解度を低下させることにより、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程を行う。これにより、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子が得られる。
上記金属イオンを中和する方法は特に限定されず、例えば、塩化マグネシウム水溶液に水酸化ナトリウムを添加する、硝酸セリウムにアンモニアを添加する、炭酸ナトリウム水溶液に二酸化炭素を添加する、塩化カルシウム水溶液に炭酸ナトリウムを添加する等の酸性物質にアルカリ性物質を添加したり、アルカリ性物質に酸性物質を添加したりする方法等が挙げられる。
上記金属イオンを還元する方法は特に限定されず、例えば、アンモニア等の還元剤を反応させる方法等が挙げられる。
第2の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、まず、上述した多孔質有機樹脂粒子と金属アルコキシドとを共存させた分散液を調製する工程を行う。
上記分散液中の上記多孔質有機樹脂粒子の配合量は特に限定されず、第1の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法で用いられた配合量と同様の配合量を用いることができる。
上記金属アルコキシドは、本発明の金属複合有機樹脂粒子に含まれる上記金属、金属酸化物又は金属塩を形成する金属のアルコキシドであれば特に限定されず、具体的には、例えば、オルトテトラケイ酸エチル、チタンテトライソプロポキシド等が挙げられる。
上記分散液中の上記金属アルコキシドの配合量は特に限定されないが、好ましい下限が0.001モル%、好ましい上限が10モル%である。上記金属アルコキシドの配合量が0.001モル%未満であると、得られる金属複合有機樹脂粒子は、金属、金属酸化物又は金属塩の含有量が低下することがある。上記金属アルコキシドの配合量が10モル%を超えると、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔外で析出する金属、金属酸化物又は金属塩の量が増加し、得られる金属複合有機樹脂粒子との分離が困難になることがある。上記分散液中の上記金属アルコキシドの配合量は、より好ましい下限が0.01モル%、より好ましい上限が5モル%である。
上記分散液を調製する方法は特に限定されず、例えば、上記多孔質有機樹脂粒子を分散させた分散液と、上記金属アルコキシドを含有する溶液とを混合する方法、上記多孔質有機樹脂粒子の乾燥粉体と、上記金属アルコキシドを含有する溶液とを混合する方法、上記多孔質有機樹脂粒子の乾燥粉体をエタノール等の水と容易に分散する水以外の溶媒に分散させた多孔質有機樹脂粒子分散液と、上記金属アルコキシドを含有する溶液とを混合する方法等が挙げられる。
なお、上記分散液には、上記多孔質有機樹脂粒子の分散性を向上させるために、界面活性剤等の他の添加剤が添加されてもよい。
第2の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、次いで、上記金属アルコキシドを加水分解及び/又は脱水縮合することにより、上記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程を行う。これにより、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子が得られる。
上記加水分解及び/又は脱水縮合する方法は特に限定されず、例えば、アンモニアを反応させる方法、硝酸を反応させる方法等が挙げられる。
第1及び第2の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、上述のようにして金属複合有機樹脂粒子を得た後、更に、得られた金属複合有機樹脂粒子に対して各工程を繰り返して行ってもよい。
より具体的には、例えば、第1の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法により得られた金属複合有機樹脂粒子と、新たな金属イオンとを、水を主成分とする媒体中に共存させた分散液を調製する工程を行い、次いで、上記新たな金属イオンを中和、還元又は酸化することにより、多孔質有機樹脂粒子の細孔内に新たな金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程を行ってもよい。
また、第1及び第2の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法では、上述のようにして金属複合有機樹脂粒子を得た後、析出した金属、金属酸化物又は金属塩を、更に酸化してもよい。
上記酸化する方法は特に限定されず、例えば、金属複合有機樹脂粒子を空気中で加熱する方法等が挙げられる。
第1及び第2の本発明の金属複合有機樹脂粒子の製造方法によれば、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した、本発明の金属複合有機樹脂粒子が得られる。本発明の金属複合有機樹脂粒子を用いることで、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した塗工組成物を得ることができ、このような塗工組成物を用いることで、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した構造体を容易に製造することができる。
本発明によれば、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子を提供することができる。また、本発明によれば、該金属複合有機樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
ジビニルベンゼン100重量部、ノルマルヘプタン30重量部、過酸化ベンゾイル1重量部を溶解させて油系溶液とし、イオン交換水900重量部、ポリビニルアルコール5重量部を溶解させた水系溶液に添加し、超音波ホモジナイザーにより10分間乳化させた。セパラブルフラスコに乳化液を投入し、75℃12時間反応させて多孔質有機樹脂粒子スラリーを得た。吸引濾過により水系溶液を概略除去し、更にイオン交換水を加えて吸引濾過を繰り返し、イオン交換水で洗浄されたウェットケーキ状の多孔質有機樹脂粒子を得た。得られたウェットケーキを70℃の熱風オーブンにて24時間乾燥させ、多孔質有機樹脂粒子を作製した。
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、3μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.25であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、250m/gであり、平均細孔径は、4nmであった。
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子のエタノール分散液と、界面活性剤水溶液と、硫酸パラジウムと、2−アミノピリジン水溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、パラジウムイオンが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、ジメチルアミンボランを添加することにより還元を行い、パラジウムが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出したパラジウム複合粒子を作製した。
得られたパラジウム複合粒子10重量部と、エチルセルロース30重量部と、トルエン30重量部と、メチルエチルケトン(MEK)30重量部とを、3本ロールで5分間混練し、バーコーターにより乾燥厚み20μmとなるように塗工し、乾燥させて、塗工体を作製した。
(実施例2)
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
実施例1で得られたパラジウム複合粒子を、硫酸ニッケル水溶液に投入し、パラジウム複合粒子が3重量%、ニッケルイオンが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、ホスフィン酸ナトリウムを添加することにより還元を行い、ニッケルが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出したニッケル複合粒子を作製した。
得られたニッケル複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗工体を作製した。
(実施例3)
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
実施例1で得られた多孔質有機樹脂粒子の水分散液と、別途作製した硝酸アンモニウムセリウム(IV)水溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、セリウムイオンが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、アンモニアを添加することにより還元を行い、水酸化セリウムが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した水酸化セリウム複合粒子を作製した。
得られた水酸化セリウム複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗工体を作製した。
(実施例4)
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
実施例3で得た水酸化セリウム複合粒子を、空気中で、150℃で24時間加熱することにより、酸化セリウムが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化セリウム複合粒子を作製した。
得られた酸化セリウム複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗工体を作製した。
(実施例5)
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
実施例1で得られた多孔質有機樹脂粒子の水分散液と、別途作製したオルトテトラケイ酸エチルのエタノール溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、オルトテトラケイ酸エチルが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、アンモニアを添加することにより加水分解を行い、酸化ケイ素が多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化ケイ素複合粒子を作製した。
得られた酸化ケイ素複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗工体を作製した。
(実施例6)
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
実施例1で得られた多孔質有機樹脂粒子の乾燥粉体と、別途作製したチタンテトライソプロポキシドのエタノール溶液とを混合して、多孔質有機樹脂粒子が3重量%、チタンテトライソプロポキシドが1モル%で共存した分散液を調製した。この分散液に対して、アンモニアを添加することにより加水分解を行い、酸化チタンが多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化チタン複合粒子を作製した。
得られた酸化チタン複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗工体を作製した。
(実施例7)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
ジビニルベンゼン100重量部、ノルマルヘプタン30重量部、過酸化ベンゾイル1重量部を溶解させて油系溶液とし、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に添加し、ホモジナイザーにより5000回転3分間乳化させた。セパラブルフラスコに乳化液を投入し、75℃12時間反応させて多孔質有機樹脂粒子スラリーを得た。吸引濾過により水系溶液を概略除去し、更にイオン交換水を加えて吸引濾過を繰り返し、イオン交換水で洗浄されたウェットケーキ状の多孔質有機樹脂粒子を得た。得られたウェットケーキを70℃の熱風オーブンにて24時間乾燥させ、多孔質有機樹脂粒子を作製した。
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、17μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.30であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、230m/gであり、平均細孔径は、5nmであった。
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子を用いたこと以外は実施例5と同様にして、酸化ケイ素が多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化ケイ素複合粒子を作製した。
得られた酸化ケイ素複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗工体を作製した。
(実施例8)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
トリメチロールプロパントリメタクリレート50重量部、メタクリル酸メチル50重量部、シクロヘキサン10重量部、酢酸エチル10重量部、過酸化ベンゾイル1重量部を溶解させて油系溶液とし、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に添加し、ホモジナイザーにより5000回転3分間乳化させた。セパラブルフラスコに乳化液を投入し、75℃12時間反応させて多孔質有機樹脂粒子スラリーを得た。吸引濾過により水系溶液を概略除去し、更にイオン交換水を加えて吸引濾過を繰り返し、イオン交換水で洗浄されたウェットケーキ状の多孔質有機樹脂粒子を得た。得られたウェットケーキを70℃の熱風オーブンにて24時間乾燥させ、多孔質有機樹脂粒子を作製した。
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、17μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.45であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、120m/gであり、平均細孔径は、5nmであった。
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子を用いたこと以外は実施例5と同様にして、酸化ケイ素が多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化ケイ素複合粒子を作製した。
得られた酸化ケイ素複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗工体を作製した。
(比較例1)
(塗工体の製造)
平均粒子径20nmの酸化チタン10重量部と、エチルセルロース30重量部と、トルエン30重量部と、MEK30重量部とを、3本ロールで1時間混練し、バーコーターにより乾燥厚み20μmとなるように塗工し、乾燥させて、塗工体を作製した。
(比較例2)
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
平均粒径20nmの酸化チタン30重量部を、スチレン30重量部、ジビニルベンゼン40重量部、過酸化ベンゾイル1重量部からなる油性物質に分散させた分散液を調製した。この分散液を、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に懸濁させ、懸濁重合を行うことにより、酸化チタン複合粒子を作製した。
得られた酸化チタン複合粒子10重量部と、エチルセルロース30重量部と、トルエン30重量部と、MEK30重量部とを、3本ロールで5分間混練し、バーコーターにより乾燥厚み20μmとなるように塗工し、乾燥させて、塗工体を作製した。
(比較例3)
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
スチレン40重量部、ジビニルベンゼン30重量部、シランカップリング剤(KBM5103、アクリル基含有シランカップリング剤)30重量部、過酸化ベンゾイル1重量部からなる油性物質を、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に懸濁させ、懸濁重合を行うことにより、有機ケイ素複合粒子を作製した。
得られた有機ケイ素複合粒子10重量部と、エチルセルロース30重量部と、トルエン30重量部と、MEK30重量部とを、3本ロールで5分間混練し、バーコーターにより乾燥厚み20μmとなるように塗工し、乾燥させて、塗工体を作製した。
(比較例4)
(多孔質有機樹脂粒子の製造)
トリメチロールプロパントリメタクリレート50重量部、アクリロニトリル50重量部、ノルマルヘプタン30重量部、過酸化ベンゾイル1重量部を溶解させて油系溶液とし、イオン交換水400重量部、ポリビニルアルコール1重量部を溶解させた水系溶液に添加し、ホモジナイザーにより5000回転3分間乳化させた。セパラブルフラスコに乳化液を投入し、75℃12時間反応させて多孔質有機樹脂粒子スラリーを得た。吸引濾過により水系溶液を概略除去し、更にイオン交換水を加えて吸引濾過を繰り返し、イオン交換水で洗浄されたウェットケーキ状の多孔質有機樹脂粒子を得た。得られたウェットケーキを70℃の熱風オーブンにて24時間乾燥させ、多孔質有機樹脂粒子を作製した。
得られた多孔質有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により測定した体積平均粒子径は、17μmであった。また、JIS K 7365に準拠して算出したかさ比重は、0.45であった。また、ガス吸着式細孔径分布測定装置(NOVA4200e、Sysmex社製)により測定した比表面積は、0.5m/gであり、平均細孔径は、10000nmであった。
(金属複合有機樹脂粒子及び塗工体の製造)
得られた多孔質有機樹脂粒子を用いたこと以外は実施例5と同様にして、酸化ケイ素が多孔質有機樹脂粒子の細孔内に析出した酸化ケイ素複合粒子を作製した。
得られた酸化ケイ素複合粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、塗工体を作製した。
(評価)
実施例、比較例で得られた金属複合有機樹脂粒子、塗工体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)金属複合有機樹脂粒子の平均粒子径
得られた金属複合有機樹脂粒子について、光散乱回折型粒径分布計(LA920、HORIBA社製)により体積平均粒子径を測定した。
(2)金属、金属酸化物又は金属塩の粒子径
得られた金属複合有機樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームで断面切片を採取した後、この断面切片について、TEM/EDS装置にて元素マッピング画像を得た。得られた元素マッピング画像10点の金属、金属酸化物又は金属塩の個数平均粒子径を算出することにより、金属、金属酸化物又は金属塩の粒子径を評価した。
(3)金属、金属酸化物又は金属塩の含有量(金属複合有機樹脂粒子)
得られた金属複合有機樹脂粒子を約1gはかりとり、800℃のマッフル炉で5時間加熱した。加熱前後の重量から、下記式(2)により、金属複合有機樹脂粒子全体に占める金属、金属酸化物又は金属塩の含有量を算出した。
含有量=(1−(加熱後の粒子重量/加熱前の粒子重量))×100(重量%) (2)
(4)金属、金属酸化物又は金属塩の分散性
得られた塗工体について、ウルトラミクロトームで断面切片を採取した後、この断面切片について、TEM/EDS装置にて元素マッピング画像を得た。得られた元素マッピング画像1μm四方中の元素粒子の数、元素粒子径、凝集の数から、金属、金属酸化物又は金属塩の分散性を評価した。300nm以上の粒子又は凝集が存在する場合を「×」、存在しない場合を「○」とした。
(5)金属、金属酸化物又は金属塩の含有量(塗工体)
得られた塗工体について、塗膜をはがして約1gはかりとり、800℃のマッフル炉で5時間加熱した。加熱前後の重量から、下記式(3)により、塗膜全体に占める金属、金属酸化物又は金属塩の含有量を算出した。
含有量=(1−(加熱後の塗膜重量/加熱前の塗膜重量))×100(重量%) (3)
Figure 2011057889
本発明によれば、金属、金属酸化物又は金属塩が極めて微細に分散した金属複合有機樹脂粒子を提供することができる。また、本発明によれば、該金属複合有機樹脂粒子の製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 金属、金属酸化物又は金属塩を多孔質有機樹脂粒子の細孔内に有する金属複合有機樹脂粒子であって、
    前記多孔質有機樹脂粒子は、平均細孔径が300nm以下である
    ことを特徴とする金属複合有機樹脂粒子。
  2. 金属、金属酸化物又は金属塩の含有量は、金属複合有機樹脂粒子全体の5〜90重量%であることを特徴とする請求項1記載の金属複合有機樹脂粒子。
  3. 多孔質有機樹脂粒子は、平均粒子径が0.5〜50μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の金属複合有機樹脂粒子。
  4. 多孔質有機樹脂粒子は、かさ比重が0.01〜0.60であり、かつ、比表面積が100m/g以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の金属複合有機樹脂粒子。
  5. 金属、金属酸化物又は金属塩は、周期律表2a〜4b族のうちの少なくとも1種の金属、又は、該金属からなる金属酸化物若しくは金属塩であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の金属複合有機樹脂粒子。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の金属複合有機樹脂粒子を製造する方法であって、
    水を主成分とする媒体中に多孔質有機樹脂粒子と金属イオンとを共存させた分散液を調製する工程と、
    前記金属イオンを中和、還元若しくは酸化するか、又は、前記金属イオンの溶解度を低下させることにより、前記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程とを有する
    ことを特徴とする金属複合有機樹脂粒子の製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4又は5記載の金属複合有機樹脂粒子を製造する方法であって、
    多孔質有機樹脂粒子と金属アルコキシドとを共存させた分散液を調製する工程と、
    前記金属アルコキシドを加水分解及び/又は脱水縮合することにより、前記多孔質有機樹脂粒子の細孔内に金属、金属酸化物又は金属塩を析出させる工程とを有する
    ことを特徴とする金属複合有機樹脂粒子の製造方法。
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