JP2016060119A - 部材接合構造およびインクジェットヘッド、ならびに、部材接合方法およびインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

部材接合構造およびインクジェットヘッド、ならびに、部材接合方法およびインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電素子の電極の導通性が低下することを抑制しつつ圧電素子の電極と接合対象部材とを互いに接合可能な部材接合構造を得る。
【解決手段】圧電素子15と接合対象部材30とを互いに接合するための部材接合構造であって、圧電素子は、圧電部15aと、圧電部の一方の表面を覆うように形成された第1電極15bと、圧電部の他方の表面を覆うように形成された第2電極15cとを備える。第2電極は延出部15eを含み、延出部の表面15s上には、複数の微小突起15pが設けられている。複数の微小突起は、圧電体および/または圧電体の結晶配向を制御する材料から形成されている。接合対象部材30は、接合対象部材と複数の微小突起との間に設けられた接着剤が複数の微小突起の間に入り込んで硬化することで、延出部15eの表面15sに接合される。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電素子と接合対象部材とを互いに接合するための部材接合構造、およびそのような構造を備えたインクジェットヘッドに関する。また本発明は、圧電素子と接合対象部材とを互いに接合するための部材接合方法、およびそのような方法を使用してインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法に関する。
圧電素子は、圧電体から形成された圧電部と、圧電部の一方の表面を覆うように形成された上部電極と、圧電部の他方の表面を覆うように形成された下部電極とを備える。各電極を通して圧電体に電圧が印加されることによって、圧電素子は伸縮(または振動)する。一方、圧電素子の伸縮(または振動)を電気的な信号に変換することで、圧電素子をセンサーの一部として用いる場合もある。圧電素子が組み込まれる装置の構成および用途などに応じて、圧電素子の電極には様々な部材が接合される。
特開平08−090771号公報(特許文献1)には、インクジェットヘッドに関する発明が開示されている。この発明においては、ノズル板および振動板のうちのインク流路板に接合される面が粗面化され、0.1μm〜1.5μmの大きさを有する凹凸がその面上に形成される。粗面化の例としては、化学エッチングおよびドライエッチングなどが開示されている。
特開昭58−224759号公報(特許文献2)にも、インクジェットヘッドに関する発明が開示されている。この発明においては、基板表面のうちの感光性樹脂硬化膜に接合される面が粗面化され、且つ粗面化後の表面が接着向上剤で処理される。粗面化の例としては、サンドブラスト法、化学研磨法、電解研磨法、およびフォトエッチング法などが開示されている。
特開平08−090771号公報 特開昭58−224759号公報
圧電素子が組み込まれる装置の構成および用途などに応じて、圧電素子の電極には様々な部材が接合される。より狭い接合面積で、より高い接合強度を発揮できることが好ましい。たとえばインクジェットヘッドの分野においては、印刷画像の解像度が高くなる一方で(すなわち、チャネル間の間隔を狭くすることが求められる一方で)、ヘッドモジュールはさらなる小型化が求められている。インクジェットヘッドを構成する各種のプレートに対して振動板(ダイアフラム部分)の占める割合が増加している。プレート同士を接合するために使用できる面積は狭くなる傾向にあり、十分な接合強度を得ることが難しくなっている。
ここで、圧電素子の電極と接合対象部材とを互いに接合するために、特許文献1,2に開示された発明を採用したとする。特許文献1,2に開示された発明とは、電極表面を粗面化するために、電極表面にエッチング処理などを施すというものである。この場合、電極表面を粗面化することによって接合力を得ることができるものの、電極そのものがエッチング処理などによって削り取られるため、電極の導通性(導電性)が低下する。電極の導通性は、電極に求められる機能の一つであり、圧電素子の性能にも影響し得る。
本発明は、圧電素子の電極の導通性が低下することを抑制しつつ圧電素子の電極と接合対象部材とを互いに接合可能な部材接合構造、およびそのような構造を備えたインクジェットヘッドを提供することを目的とする。また本発明は、圧電素子の電極の導通性が低下することを抑制しつつ圧電素子の電極と接合対象部材とを互いに接合可能な部材接合方法、およびそのような方法を使用してインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に基づく部材接合構造は、圧電素子と接合対象部材とを互いに接合するための部材接合構造であって、上記圧電素子は、圧電部と、上記圧電部の一方の表面を覆うように形成された第1電極と、上記圧電部の他方の表面を覆うように形成された第2電極と、を備え、上記第2電極は、上記圧電部の側縁部から外方に延出する延出部を含み、上記第2電極に対して上記圧電部が位置している側の上記延出部の表面上には、複数の微小突起が設けられており、複数の上記微小突起は、圧電体および/または圧電体の結晶配向を制御する材料から形成されており、上記接合対象部材は、上記接合対象部材と複数の上記微小突起との間に設けられた接着剤が複数の上記微小突起の間に入り込んで硬化することで、上記延出部の上記表面に接合されている。
好ましくは、複数の上記微小突起は、上記圧電部に含まれる圧電体と同一の材料から形成されている。
好ましくは、複数の上記微小突起は、上記圧電部に含まれる圧電体の結晶配向を制御する配向膜と同一の材料から形成されている。
好ましくは、複数の上記微小突起は、上記微小突起の大きさ毎に複数の領域に分けられて配置されており、かつ規則的なパターンにしたがって配置されている。
好ましくは、上記延出部の上記表面には、複数の上記微小突起が設けられておらず上記延出部の上記表面が露出している露出領域が形成されており、上記露出領域には、上記圧電素子に電圧を印加するための外部配線部材が接合される。
好ましくは、上記延出部の上記表面からの複数の上記微小突起の高さは、6.0μm以下である。
本発明に基づくインクジェットヘッドは、圧力室内のインクを射出するインクジェットヘッドであって、上記圧力室を内部に形成する基板と、上記基板上に積層された、上記圧力室を駆動するための圧電素子と、上記圧力室に連通するインク供給路を有する流路プレートと、を備え、上記圧電素子と上記流路プレートとは、請求項1から6のいずれか1項に記載の部材接合構造により互いに接合されている。
本発明のある局面に基づく部材接合方法は、電極の表面上に圧電体を形成する工程と、上記圧電体にエッチング処理を施し、上記圧電体の一部を上記電極の上記表面上に残存させることによって、上記圧電体と同一の材料を含む複数の微小突起を上記電極の上記表面上に形成する工程と、上記電極の上記表面上に形成された複数の上記微小突起と接合対象部材との間に接着剤を設ける工程と、上記接着剤を複数の上記微小突起の間に入り込ませるようにして硬化させることで、上記接合対象部材を上記電極の上記表面に接合する工程と、を備える。
本発明の他の局面に基づく部材接合方法は、電極の表面上に圧電体の結晶配向を制御する配向膜を形成する工程と、上記配向膜上に圧電体を形成する工程と、上記圧電体および上記配向膜にエッチング処理を施し、上記配向膜の一部を上記電極の上記表面上に残存させることによって、上記配向膜と同一の材料を含む複数の微小突起を上記電極の上記表面上に形成する工程と、上記電極の上記表面上に形成された複数の上記微小突起と接合対象部材との間に接着剤を設ける工程と、上記接着剤を複数の上記微小突起の間に入り込ませるようにして硬化させることで、上記接合対象部材を上記電極に接合する工程と、を備える。
本発明に基づくインクジェットヘッドの製造方法は、圧力室内のインクを射出するインクジェットヘッドの製造方法であって、上記圧力室を内部に形成する基板を準備する工程と、上記圧力室を駆動するための圧電素子を上記基板上に積層する工程と、上記圧力室に連通するインク供給路を有する流路プレートを、本発明に基づく上記の部材接合方法を使用して上記圧電素子に接合する工程と、を備える。
複数の微小突起は、圧電体および/または圧電体の結晶配向を制御する材料から形成される。電極の表面を粗面化するに当たって、電極そのものが削り取られるようなことはほとんどない。電極表面に設けられた複数の微小突起により、接合力を得ることができる。
実施の形態におけるインクジェットヘッドを示す断面図である。 実施の形態における圧電素子と流路プレートとを互いに分離して示す断面図である。 図2中の矢印IIIの方向から見た圧電素子を示す平面図である。 実施の形態における流路プレートが圧電素子と接着された様子を示す平面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第1工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第2工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第3工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第4工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第5工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第6工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第7工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第8工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第9工程を示す断面図である。 実施の形態におけるインクジェットヘッドの製造方法(部材接合方法)の第10工程を示す断面図である。 実施の形態の第1変形例における圧電素子を示す平面図である。 実施の形態の第2変形例における圧電素子を示す平面図である。 実施の形態の第3変形例における圧電素子等を示す断面図である。 実施の形態の第4変形例における下部電極および流路プレート等を示す断面図である。 第4変形例に関する参考例1における下部電極および流路プレート等を示す断面図である。 第4変形例に関する参考例2における下部電極および流路プレート等を示す断面図である。 第4変形例に関する参考例3における下部電極および流路プレート等を示す断面図である。 第4変形例に関する参考例4における下部電極および流路プレート等を示す断面図である。 第4変形例に関する参考例5における下部電極および流路プレート等を示す断面図である。 第4変形例の具体例1に関し、下部電極上に形成された圧電体を示す平面図である。 図24中のXXV−XXV線に沿った矢視断面図である。 第4変形例の具体例1に関し、下部電極とその表面上に形成された複数の微小突起とを示す平面図である。 図26中のXXVII−XXVII線に沿った矢視断面図である。 第4変形例の具体例1に関し、複数の微小突起がレジストパターンによって被覆された様子を示す平面図である。 図28中のXXIX−XXIX線に沿った矢視断面図である。 第4変形例の具体例1に関し、下部電極とその表面上に形成された複数の微小突起を示す平面図(ドライエッチング後)である。 図30中のXXXI−XXXI線に沿った矢視断面図である。 第4変形例の具体例2に関し、下部電極上に形成された圧電体を示す平面図である。 図32中のXXXIII−XXXIII線に沿った矢視断面図である。 第4変形例の具体例2に関し、下部電極とその表面上に形成された複数の微小突起とを示す平面図である。 図34中のXXXV−XXXV線に沿った矢視断面図である。 第4変形例の具体例2に関し、複数の微小突起がレジストパターンによって被覆された様子を示す平面図である。 図36中のXXXVII−XXXVII線に沿った矢視断面図である。 第4変形例の具体例2に関し、下部電極とその表面上に形成された複数の微小突起を示す平面図(ドライエッチング後)である。 図38中のXXXIX−XXXIX線に沿った矢視断面図である。
実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[インクジェットヘッド100]
図1を参照して、実施の形態におけるインクジェットヘッド100について説明する。インクジェットヘッド100は、ヘッド基板10、配線基板20および流路プレート30(接合対象部材)を備える。ヘッド基板10および配線基板20は、流路プレート30を介して一体化される。配線基板20の上面には、マニホールド40が設けられる。マニホールド40は、共通インク室41を形成する。
(ヘッド基板10)
ヘッド基板10(基板)は、圧力室13aを内部に形成する部材であり、ノズルプレート11、中間プレート12、アクチュエータープレート13および上部層14を含む。たとえば、ノズルプレート11はSi基板から形成され、中間プレート12はガラス基板から形成される。
アクチュエータープレート13は、Si層13nと他のSi層13mとの2層構造を有している。上部層14は、SiOからなる熱酸化膜(図14中の熱酸化膜14m)と、Tiからなる密着層(図14中の密着層14n)とを含む。図1の中では、便宜上のため熱酸化膜14mおよび密着層14nを区別せずに、上部層14として一体的に図示している。Si層13mと上部層14(熱酸化膜14mおよび密着層14n)とは、圧電素子15により駆動される振動板として機能することができる。
ノズルプレート11にはノズル孔11aが形成され、中間プレート12には連通路12a,12bが形成され、アクチュエータープレート13には圧力室13aおよび連通路13bが形成される。連通路12aは、圧力室13aをノズル孔11aに連通させ、連通路12bは、連通路13bを圧力室13aに連通させる。上部層14は、開口14aを有し、圧力室13aを配線基板20の側から覆うように設けられる。開口14aは、後述するインク供給路30bを連通路13bに連通させる。
(圧電素子15)
ヘッド基板10(上部層14)の上面に、圧電素子15が積層される。上部層14およびSi層13mが圧電素子15からの駆動力を受けて振動することにより、圧力室13aが駆動される。圧力室13a内のインクは、ノズル孔11aを通して射出する。
圧電素子15は、圧電体から形成される圧電部15aと、圧電部15aの一方の表面を覆うように形成された上部電極15b(第1電極)と、圧電部15aの他方の表面を覆うように形成された下部電極15c(第2電極)とを備える。下部電極15cは、上部層14の表面に形成されており、下部電極15c上に、圧電部15aおよび上部電極15bが順に積層される。上部電極15b上には、はんだ16が設けられる。
図2は、圧電素子15と流路プレート30とを互いに分離して示す断面図である。圧電素子15は、図2中の白色矢印に示すように、流路プレート30に接合される(詳細は後述する)。図3は、図2中の矢印IIIの方向から見た圧電素子15を示す平面図である。
図2および図3を参照して、圧電素子15の下部電極15cは、中央部15dと、延出部15eとを含む。中央部15dの表面に、圧電部15aが積層されている。換言すると、図3に示すように平面視した場合において(配線基板20の側から下部電極15cを見た場合において)、下部電極15cのうちの圧電部15aにより覆われていて視認できない部分が中央部15dである。延出部15eは、中央部15dの周囲に位置する部位である。延出部15eは、圧電部15aの側縁部15tから外方に向かって延出する形状を有する。図3に示すように平面視した場合において、下部電極15cのうちの圧電部15aにより覆われておらず視認可能な部位が延出部15eである。
延出部15eは、表面15s(図1,図2参照)を有する。表面15sは、延出部15eの表面部位のうち、下部電極15cに対して圧電部15aが位置している側に形成された面である。表面15s上には、複数の微小突起15pが設けられている。複数の微小突起15pは、下部電極15c(延出部15e)を構成している部材とは異なる部材から形成される。複数の微小突起15pは、圧電体および/または圧電体の結晶配向を制御する材料から形成することができる。
複数の微小突起15pの材料として用いられる「圧電体」は、たとえば、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物から形成されることができる。たとえば、上記式中の「A」は鉛を含み、上記式中の「B」はジルコニウムおよびチタンのうちの少なくとも一方を含む。上記式中の「B」は、ニオブを含むこともできる。
具体的には、複数の微小突起15pの材料として用いられる圧電体としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(PZTN:Pb(Zn,Ti,Nb)O)、および、チタン酸バリウム(BaTiO)などが挙げられる。圧電体としては、PZTのPbの一部をLaに置換したチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)を用いることもできる。圧電体としては、シリコンを含むニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(PZTNS)を用いることもできる。PZTNSとは、PZTNにSiを添加することにより得られるものである。
詳細は後述するが、複数の微小突起15pを、圧電部15aに含まれる圧電体(圧電部15aを構成している圧電体)と同一の材料から形成することもできる。この場合、圧電部15aを下部電極15c上に形成する工程(たとえばエッチング処理)を実施している際に、複数の微小突起15pも併せて下部電極15c上に形成することができるため、製造効率を向上させることができる。
複数の微小突起15pの材料として用いられる「圧電体の結晶配向を制御する材料」とは、圧電素子に用いられた場合に、いわゆるシード層(配向膜)として機能し得るものである。このような材料は、圧電部15aを構成する圧電体に所定の結晶配向を持たせるために、下部電極15c上に形成される。このような材料が用いられる場合、圧電部15aを構成する圧電体は、シード層を介して下部電極15c上に積層される。複数の微小突起15pは、上述の圧電体に限られず、このような材料から形成されてもよい。
具体的には、圧電体の結晶配向を制御する材料としては、チタン酸ランタン鉛(PLT:(Pb,La)TiO)、チタン酸鉛(PTO:PbTiO)、ニッケル酸ランタン(LNO:LaNiO)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物(SRO:SrRuO)、および、酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられる。これらのうち、PLT、PTOおよびLNOは、圧電体として分類されることもできるが、一般的に、SROおよびMgOは圧電体には該当しない。
詳細は後述するが、複数の微小突起15pを、圧電部15aに含まれる圧電体に所定の結晶配向を持たせるための材料(配向膜)と同一の材料から形成することもできる。この場合、圧電部15aを下部電極15c上に形成する工程(たとえばエッチング処理)を実施している際に、複数の微小突起15pも併せて下部電極15c上に形成することができるため、製造効率を向上させることができる。
図3に示すように、本実施の形態における複数の微小突起15pは、圧電部15aの周囲を取り囲むように設けられている。複数の微小突起15pが形成されている領域は、全体として1つの環形状を呈しており、流路プレート30の下面30g(図2参照)の形状に対応している(図4参照)。延出部15eの表面15s(図2参照)からの複数の微小突起15pの高さHTは、6.0μm以下であることが好ましい。高さHTは、0.1μm以上3.0μm以下であることがより好ましい。
複数の微小突起15pの高さHTは、ばらつきを少なくし、できるだけ均一なものにすると好ましい場合がある。高さHTは、圧電体の種類(膜質)、圧電体の結晶配向を制御する材料の種類、エッチング処理の時間、処理液の種類、および、エッチング処理を施す面積などに応じて調整することができる。圧電体の膜質を面内で異ならせることにより、エッチング後の高さHTや、複数の微小突起15pの分布を調整してもよい。
(配線基板20)
図1を再び参照して、配線基板20は、基板本体21、配線保護層22〜25、下部配線26、上部配線27および取付板28を含む。たとえば、基板本体21はSi基板から形成され、配線保護層22〜25はSiOから形成される。基板本体21には貫通孔21aおよび連通路21bが形成され、取付板28には連通路28aが形成される。基板本体21に設けられた連通路21bは、共通インク室41内のインクを取付板28の連通路28aを通して流入させ、圧力室13aに供給する(矢印AR)。
基板本体21の上面に、配線保護層24を介して上部配線27が設けられる。上部配線27は、配線保護層25で覆われる。上部配線27は、配線基板20の端部に到達するように延在しており、上部配線27の端部は、FPC(図示せず)を介して駆動回路(図示せず)と電気的に接続される。
基板本体21の下面に、配線保護層22を介して下部配線26が設けられる。上部配線27の一部は、貫通孔21aを通して基板本体21の下面に到達しており、下部配線26と導通している。下部配線26は、配線保護層23で覆われる。配線保護層23のうちの圧電素子15と面する部分には、開口部23aが形成される。開口部23aを介して下部配線26の一部は露出している。下部配線26の露出部分には、バンプ29が設けられる。バンプ29は、はんだ16(図1)と接続される。
(流路プレート30)
図2を参照して、流路プレート30は、ヘッド基板10と配線基板20とを接着する。ヘッド基板10と配線基板20とを流路プレート30を介して接着する際、圧電素子15の下部電極15c(延出部15e)と流路プレート30の下面30gとが互いに接着される。流路プレート30は、配線基板20の配線保護層23の下面に予め貼着され、その後、ヘッド基板10および圧電素子15と接着される。
図4は、流路プレート30が圧電素子15と接着された様子を示す平面図である。図2〜図4を参照して、流路プレート30は、配線基板20への貼着後であってヘッド基板10との接合前に、露光および現像によってパターニングされる。パターニングにより、流路プレート30には開口部30aおよびインク供給路30bが形成される。開口部30aは、圧電素子15(ダイアフラム)の振動を許容する空間を形成する(図4参照)。インク供給路30bは、連通路21bを開口14aに連通させる。
流路プレート30は、たとえばNiメッキ、ガラス材、またはシリコン材から形成される。あるいは、流路プレート30は、熱硬化性を有する樹脂から形成することもできる。流路プレート30の形成には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、およびノボラック樹脂などを用いてもよく、感光性接着樹脂シートを用いてもよい。熱硬化性を有する樹脂から流路プレート30を形成した場合、流路プレート30は、接着前の状態では所定の弾性率を有し、接着時に所定の硬化温度(たとえば200℃)に加熱されることによって硬化する。
硬化の際に、流路プレート30の一部(流路プレート30の下面30gの表層部分)は接着剤として機能する。硬化の際、流路プレート30の下面30gと複数の微小突起15pとの間に設けられた接着剤は、複数の微小突起15pの間に入り込んで硬化する。複数の微小突起15pにより、アンカー効果が発揮される。
(部材接合構造)
接着剤の硬化によって、流路プレート30の下面30gは、上部層14の表面に接合されるとともに、下部電極15c(延出部15e)の表面15sに接合される。接着剤の硬化によって、圧電素子15(下部電極15cの延出部15e)と接合対象部材(流路プレート30)とを互いに接合するための部材接合構造が実現される。
流路プレート30がNiメッキ、ガラス材、またはシリコン材から形成される場合には、流路プレート30とは別に、流路プレート30の下面30gとヘッド基板10(複数の微小突起15p)との間に予め接着剤を設けておく。この構成であっても、接着剤が硬化した際に上記と同様なアンカー効果を得ることができ、流路プレート30の下面30gは下部電極15c(延出部15e)の表面15sに接合される。
(作用および効果)
複数の微小突起15pは、圧電体および/または圧電体の結晶配向を制御する材料から形成される。複数の微小突起15pを形成するに当たって、すなわち、下部電極15c(延出部15e)の表面15sを粗面化するに当たって、下部電極15cそのものが削り取られるようなことはほとんどない。したがって、圧電素子15の下部電極15cの導通性が低下することを抑制しつつ、圧電素子15の下部電極15cと流路プレート30とを互いに接合する部材接合構造が実現できる。
たとえば、下部電極15cがPtから形成され、圧電部15aがPZTから形成される場合には、これらの間の界面において組成物の拡散が生じるため、下部電極15cと圧電部15aとの間により強固な接合力が得られる。この強固な接合力は、下部電極15c(延出部15e)の表面15sと複数の微小突起15pとの間においても得られる。電極表面がなんら粗面化されていない場合にはたとえば80kPaの接合強度が得られるのに対して、120kPaの接合強度を得ることが可能となる。また、PtとPZTとの配向や格子定数を合わせることにより、下部電極15c(延出部15e)の表面15sと複数の微小突起15pとの間により強固な接合力を付与することができ、より高いアンカー効果を奏することとなる。
[部材接合方法およびインクジェットヘッド100の製造方法]
図5〜図14を参照して、部材接合方法およびインクジェットヘッド100(図1)の製造方法について説明する。ここで言う部材接合方法とは、概括すると、下部電極15cの表面15s上に圧電体を形成する工程と、上記圧電体にエッチング処理を施し、上記圧電体の一部を下部電極15cの表面15s上に残存させることによって、上記圧電体と同一の材料を含む複数の微小突起15pを下部電極15cの表面15s上に形成する工程と、下部電極15cの表面15s上に形成された複数の微小突起15pと接合対象部材(流路プレート30)との間に接着剤を設ける工程と、上記接着剤を複数の微小突起15pの間に入り込ませるようにして硬化させることで、接合対象部材を下部電極15cの表面15sに接合する工程とを備える。以下、具体的に説明する。
図5を参照して、まず、基材10mを準備する。基材10mは、後にアクチュエータープレート13を構成するSi層13nおよび他のSi層13mと、SiOからなる熱酸化膜14mとを含む。厚さを例示すると、Si層13nは200μmであり、Si層13mは3μmであり、熱酸化膜14mは0.1μmである。
図6を参照して、熱酸化膜14m上にレジスト51を塗布する。露光および現像によってレジスト51に除去部51aを形成し、熱酸化膜14mの一部を露出させる。図7を参照して、除去部51a内へのエッチング処理によって、熱酸化膜14mの一部およびアクチュエータープレート13の一部を順に除去し、開口14aおよび連通路13bを形成する。その後、レジスト51を除去する。図7に示す状態が得られる。
図8を参照して、スパッタにより、熱酸化膜14m上に、Tiからなる密着層14nと、Ptからなる下部電極15cとを順に成膜する。厚さを例示すると、密着層14nは20nmであり、下部電極15cは100nmである。熱酸化膜14mおよび密着層14nは、後に上部層14を構成する。なお図1の中では、熱酸化膜14mおよび密着層14nを区別せずに、上部層14として一体的に図示している。図9を参照して、スパッタにより、下部電極15c上に圧電部15a(圧電体)を形成する。圧電部15aの厚さはたとえば3μmである。スパッタの処理温度は600℃程度である。
圧電部15aの形成には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(PZTN:Pb(Zn,Ti,Nb)O)、および、チタン酸バリウム(BaTiO)などの圧電体を用いることができる。PZTのPbの一部をLaに置換したチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)を用いることもできる。シリコンを含むニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(PZTNS)を用いることもできる。PZTNSとは、PZTNにSiを添加することにより得られるものである。圧電部15aを形成するための成膜法としては、スパッタに限られず、膜の種類に合わせて、パルスレーザーデポジッション(PLD)法やイオンプレーティング法などの物理成膜法、または、ゾルゲル法やMOCVD法などの化学成膜法を使用してもよい。
図10を参照して、スパッタにより、圧電部15a上にTi/Auの2層構造からなる上部電極15bを成膜する。上部電極15bの厚さはたとえば0.2μmである。図11を参照して、上部電極15b上に図示しないレジストを塗布し、露光および現像によってレジストをパターニングする。パターニングされたレジストは、上部電極15bの形状に対応するマスク形状を有する。ウェットエッチング処理により、上部電極15bの一部を除去する。図11に示す状態が得られる。
図12を参照して、上記と同様にレジストの塗布、露光および現像を行ない、上部電極15bを覆うレジスト52を形成する。図12および図13を参照して、圧電部15aにエッチング処理(たとえば、フッ硝酸を用いたウェットエッチング処理)を施すことで、圧電部15aの一部を除去し、圧電部15aのパターン(図13中に示す圧電部15a)を形成する。
ここで、たとえば、エッチング時間を5分間に設定した場合には、下部電極15c上の圧電部15a(レジスト52によりマスキングされていない部分)はすべて除去される。エッチング時間を3.5分間に設定することによって、下部電極15c上の圧電部15a(レジスト52によりマスキングされていない部分)の一部を下部電極15c上に残存させることが可能となる。残存した圧電部15aは、たとえば0.1μmの高さを有する複数の微小突起15pを形成する(図13に示す状態が得られる)。複数の微小突起15pは、圧電部15aを構成する圧電体と同一の材料を含むものである。
エッチング用のレジスト52(図12)については、図4に示す複数の微小突起15pが得られるようなレジスト形状に限られず、微小突起15pを設けたい箇所(圧電体を残存させたい箇所)に、別途設けてもよい。たとえば、複数の微小突起15pを形成したい箇所に、φ6μmのドットパターン形状を有するレジストを設ける。このような手法によれば、ドットパターン形状に対応する部分の圧電体が残存し、複数の微小突起15pが図13に示すように部分的に設けられることとなる。
圧電体や配向膜の種類(膜質)、レジストを形成する領域(レジストのパターン径、形状や密度)、エッチング処理の時間、処理液の種類、および、エッチング処理を施す面積などを調整することによって、必要な領域(接合強度を付与したい箇所)にのみ複数の微小突起15pを設けるとよい。圧電体や配向膜の膜質を面内で異ならせることにより、エッチング後の高さHTや、複数の微小突起15pの分布を調整してもよい。たとえば、ヘッドの駆動時に応力が作用しやすい箇所や、液密性や気密性を付与したい箇所などに、微小突起15pをより多く形成し、接合強度の向上を図るとよい。
接合強度の観点に加えて、複数の微小突起15pが形成されている箇所は、接着剤の流動性を低くするという機能(いわゆるグルーガード機能)も発揮する。必要な箇所に接着剤をより多く供給し、不要な箇所に接着剤をより少なく供給する(あるいは供給しない)ということを期待できる。
複数の微小突起15pにドットパターンやラインパターンを持たせることにより、接着剤が必要な箇所に向かって流れるように案内することも可能である。複数の微小突起15pがいわゆる開いたパターン形状(たとえばCの字形状)を有している場合には、接着剤の中に気泡が残存するようなことも抑制できる。
図14を参照して、次に、上記と同様にレジストを塗布し、露光および現像を行なうことで図示しないマスクを形成する。このマスクは、下部電極15cの一部(延出部15eに対応する部位)と、複数の微小突起15pとを覆う形状を有する。ドライエッチング処理により下部電極15cの一部を除去することで、延出部15eを有する下部電極15cのパターン(図14中に示す下部電極15c)が形成される。
次に、アクチュエータープレート13のSi層13n(支持層)側に図示しないレジストを塗布し、露光および現像を行なうことで図示しないマスクを形成する。DRIE装置を用いたボッシュプロセスにより、Si層13mを残す形でSi層13nに部分的に深堀加工を施す。これにより、圧力室13aがアクチュエータープレート13(Si層13n)の内部に形成される。圧力室13aの大きさは、たとえばφ200μmである。
連通路12a,12b(図1参照)を有する中間プレート12と、ノズル孔11aを有するノズルプレート11とを準備する。中間プレート12は、たとえば200μmの厚さを有する。連通路12aは、たとえばφ100μmの大きさを有する。ノズルプレート11は、たとえば300μmの厚さを有する。ノズルプレート11には、φ50μmの大きさの穴とφ20μmの大きさの穴とからなる2段穴が設けられており、この2段穴はノズル孔11aに連通している。中間プレート12およびノズルプレート11を、アクチュエータープレート13に順に陽極接合にて貼り合わせる。
図2を再び参照して、流路プレート30が準備される。流路プレート30は、配線基板20の配線保護層23の下面に、パターニング形成または貼着され、その後、ヘッド基板10および圧電素子15と接着される。圧電素子15の下部電極15c(延出部15e)と流路プレート30の下面30gとが互いに接着される。
流路プレート30が熱硬化性を有する樹脂などから形成される場合には、流路プレート30が硬化する際に、流路プレート30の一部(流路プレート30の下面30gの表層部分)は接着剤として機能する。硬化の際、流路プレート30の下面30gと複数の微小突起15pとの間に設けられた接着剤は、複数の微小突起15pの間に入り込んで硬化する。以上のようにして行われる部材接合方法によれば、複数の微小突起15pにより、アンカー効果が発揮される。
流路プレート30がNiメッキ、ガラス材、またはシリコン材から形成される場合、流路プレート30とは別に、流路プレート30の下面30gとヘッド基板10(複数の微小突起15p)との間に予め接着剤が設けられる。この構成であっても、上記と同様なアンカー効果が得られ、流路プレート30の下面30gは下部電極15c(延出部15e)の表面15sに接合される。
図1を再び参照して、はんだ16(図1)およびバンプ29は、加熱圧着によって互いに電気的に接合され、マニホールド40は取付板28を介して配線保護層25に取り付けられる。以上のようにして、図1に示すインクジェットヘッド100が得られる。
(作用および効果)
配線基板20側に流路プレート30をパターニング形成または貼着した後に、ヘッド基板10と配線基板20とを流路プレート30を介して接着する。これにより、流路プレート30を配線基板20の下面に設ける際に圧電素子15を損傷させることがなくなり、圧電素子15の損傷による圧電特性の低下を回避することができる。
複数の微小突起15pは、圧電部15aに含まれる圧電体(圧電部15aを構成している圧電体)と同一の材料から形成される。圧電部15aを下部電極15c上に形成する工程(たとえばエッチング処理)を実施している際に、複数の微小突起15pも併せて下部電極15c上に形成することができる。複数の微小突起15pを形成するという目的のために別工程を追加することは特段不要であるため、製造効率を向上させることができる。
複数の微小突起15pの大きさ、形状および配置によっては、圧電体のエッチング処理時間も従来のものに比べて短くすることが可能である。また、従来ではエッチングによって圧電体のうちの不要な部分を完全に取り除くようにしていたため、エッチング時にPtの下地層(TiO)が浸食されてしまうことにより、Ptが剥れやすくなる場合があった。本実施の形態は、エッチングを途中で止めて圧電体の一部を残存させるという手法であるため、Pt層を剥れ難くするという効果も得られるものである。
[第1変形例]
図15を参照して、複数の微小突起15pは、下部電極15cの延出部15eの表面全体に形成してもよい。上述の実施の形態の場合には、複数の微小突起15pは、環状の領域を形成するように、延出部15eの表面の一部に配置されている(図3参照)。上述の通り、圧電体や配向膜の種類(膜質)、レジストを形成する領域(レジストのパターン径、形状や密度)、エッチング処理の時間、処理液の種類、および、エッチング処理を施す面積などを調整することによって、必要な領域(接合強度を付与したい箇所)にのみ複数の微小突起15pを設けるとよい。圧電体や配向膜の膜質を面内で異ならせることにより、エッチング後の高さHT(図2)や、複数の微小突起15pの分布を調整してもよい。
[第2変形例]
図16を参照して、下部電極15cの延出部15eの表面には、露出領域R0が形成されていてもよい。露出領域R0には、複数の微小突起15pが設けられておらず、下部電極15cの延出部15eの表面が露出している。露出領域R0には、圧電素子15に電圧を印加するための外部配線部材42が接合される。
[第3変形例]
図17を参照して、上述の通り、下部電極15c上には、圧電体の結晶配向を制御する材料(配向膜15j)を設けてもよい。この場合、部材接合方法は、下部電極15cの表面15s上に圧電体の結晶配向を制御する配向膜15jを形成する工程と、配向膜15j上に圧電体(圧電部15a)を形成する工程と、圧電体および配向膜15jにエッチング処理を施し、配向膜15jの一部を下部電極15cの表面15s上に残存させることによって、配向膜15jと同一の材料を含む複数の微小突起15pを下部電極15cの表面15s上に形成する工程と、を備えることになる。配向制御によって、圧電部15aを形成する圧電体は、たとえばペロブスカイト層の(100)に配向する。
複数の微小突起15p(図17には図示せず)は、配向膜15jと同一の材料から形成される。圧電部15aを下部電極15c上に形成する工程(エッチング処理)を実施している際に、複数の微小突起15pも併せて下部電極15c上に形成することができるため、製造効率を向上させることができる。
具体例を挙げると、スパッタで、下部電極15c上に100nmの厚さを有するPLT(配向膜15j)を形成する。配向膜15j上に、PZTからなる圧電部15aを形成する。複数の微小突起15pをエッチングによって形成する。この際、エッチング処理時間をたとえば6分間に設定する。6分間という時間は、PLT(配向膜15j)を下部電極15c上に残存させない場合(複数の微小突起15pを形成しない場合)のエッチング時間に比べて長い。
PLTは、PZTに比べて低いエッチングレートを有するため、PZTから複数の微小突起15pを形成する場合に比べて、PLTから複数の微小突起15pを形成する場合の方が、複数の微小突起15pの高さを揃えることが可能となる。なお、PZTから複数の微小突起15pを形成する場合であっても、下部電極15cの側の結晶性を均一にすることによって、複数の微小突起15pの高さを一定にすることができる。圧電部15aの下地層として、エッチングされにくいパイロクロア層を設けることによっても、複数の微小突起15pの高さを一定にすることができる。
複数の微小突起15pの高さの値が配向膜15jの膜厚よりも大きい場合には、複数の微小突起15pは、配向膜15jを構成する部材の材料と、圧電部15aを構成する部材との双方を含むことになる。この場合も、複数の微小突起15pにより、アンカー効果が発揮される。以上説明した第1〜3変形例の構成は、上述した実施の形態における部材接合構造およびインクジェットヘッド、ならびに、部材接合方法およびインクジェットヘッドの製造方法のいずれにも適用可能である。
[第4変形例]
図18は、下部電極15c(延出部15e)と流路プレート30とを拡大して示す断面図である。下部電極15cの表面15sからの複数の微小突起15pの高さは、ばらつきを少なくし、できるだけ均一なものにすると好ましい場合がある。下部電極15cと流路プレート30とを互いに接合する際には、下部電極15cと流路プレート30との間に均一な接触圧が発生するように、これらを加圧した状態で接合する。
この際、複数の微小突起15pは、スペーサーとして機能することも可能となる。複数の微小突起15pの高さに応じて接着剤30kの厚みを調整することが可能となり、接着剤30kの厚みにムラが生じることを抑制でき、ひいては安定した接合強度が得られる。複数の微小突起15pがスペーサーとして機能することにより得られる効果について、以下、より詳しく説明する。
(第4変形例に関する参考例1)
図19は、参考例1における下部電極15c(延出部15e)と流路プレート30とを拡大して示す断面図である。下部電極15cの表面15s上に微小突起は設けられていない。下部電極15cと流路プレート30とを加圧した結果、接着剤30kは、下部電極15cと流路プレート30との間に適切に入り込んでおらず、下部電極15cと流路プレート30との間の接着剤30kの厚さは0μmである。この場合には、下部電極15cと流路プレート30との間の接合強度は極めて低くなり、接着剤30kがインク供給路30bにはみ出してインク供給路30bを塞いだり、インク供給路30bから外部にインクが漏れたりする。下部電極15cと流路プレート30とが十分に接合されないため、プレート間に隙間が空いてしまうこともある。プレート間に隙間が空いてしまった場合には、配線基板20に設けられたバンプ29と上部電極15bとの間に十分な導通性を得られなくこともある。
(第4変形例に関する参考例2)
図20は、参考例2における下部電極15c(延出部15e)と流路プレート30とを拡大して示す断面図である。下部電極15cの表面15s上に微小突起は設けられていない。下部電極15cと流路プレート30とを加圧した結果、接着剤30kは、下部電極15cと流路プレート30との間にわずかに入り込んでいる。下部電極15cと流路プレート30との間の接着剤30kの厚さは0.5μmである。この場合には、下部電極15cと流路プレート30との間の接合強度をある程度得られるが、接着剤30kがインク供給路30bにはみ出してインク供給路30bの一部を塞いでしまうことにより、インクの流れに影響が生じることがある。
(第4変形例に関する参考例3)
図21は、参考例3における下部電極15c(延出部15e)と流路プレート30とを拡大して示す断面図である。下部電極15cの表面15s上に微小突起は設けられていない。下部電極15cと流路プレート30とを加圧した結果、接着剤30kは、下部電極15cと流路プレート30との間に適度に入り込んでいる。下部電極15cと流路プレート30との間の接着剤30kの厚さは1.5μmである。この場合には、下部電極15cと流路プレート30との間の接合強度を十分に得られる。接着剤30kがインク供給路30bにはみ出してインク供給路30bを塞ぐこともほとんどない。インク漏れも発生せず、配線基板20に設けられたバンプ29と上部電極15bとの間の導通性も得られる。
(第4変形例に関する参考例4)
図22は、参考例4における下部電極15c(延出部15e)と流路プレート30とを拡大して示す断面図である。下部電極15cの表面15s上に微小突起は設けられていない。下部電極15cと流路プレート30とを加圧した結果、接着剤30kは、下部電極15cと流路プレート30との間に入り込んではいるものの、十分に広がっていない。下部電極15cと流路プレート30との間の接着剤30kの厚さは3.0μmである。この場合には、下部電極15cと流路プレート30との間の接合強度をある程度得られるが、接着剤30kがインク供給路30bの位置から後退していることにより、隙間30cが形成され、インクの流れに影響が生じる。配線基板20に設けられたバンプ29と上部電極15bとの間の導通性は、参考例2,3の場合よりも低い。
(第4変形例に関する参考例5)
図23は、参考例5における下部電極15c(延出部15e)と流路プレート30とを拡大して示す断面図である。下部電極15cの表面15s上に微小突起は設けられていない。下部電極15cと流路プレート30とを加圧した結果、接着剤30kは、下部電極15cと流路プレート30との間に入り込んではいるものの、ほとんど広がっていない。下部電極15cと流路プレート30との間の接着剤30kの厚さにはムラが生じている。この場合には、下部電極15cと流路プレート30との間の接合強度が低くなる。接着剤30kがインク供給路30bの位置から後退していることにより、隙間30cが形成され、インクの流れに影響が生じる。気泡30dが発生することもある。配線基板20に設けられたバンプ29と上部電極15bとの間の導通性は、参考例2,3,4の場合よりも低い。
図18を再び参照して、上述の通り、下部電極15cの表面15s上に複数の微小突起15pが設けられ、さらに、下部電極15cの表面15sからの複数の微小突起15pの高さは、できるだけ一定である(高さが均一で揃っている)ことが好ましい。この構成によれば、下部電極15cと流路プレート30とを加圧した状態で接合する際に、複数の微小突起15pがスペーサーとして機能する。複数の微小突起15pの高さに応じて接着剤30kの厚みを調整することが可能となり、接着剤30kの厚みにムラが生じることを抑制でき、ひいては安定した接合強度が得られる。すなわち、上記の第4変形例に関する参考例3と同様の効果を期待することが可能となる。
(複数の微小突起15pの高さを調整することについて)
複数の微小突起15pの高さHT(図2)は、ばらつきが少なく、できるだけ一定であると好ましい場合がある。高さHTは、圧電体や配向膜の種類(膜質)、レジストを形成する領域(レジストのパターン径、形状や密度)、エッチング処理の時間、処理液の種類、および、エッチング処理を施す面積などに応じて調整することができる。圧電体や配向膜の膜質を面内で異ならせることにより、高さHTを調整してもよい。
たとえば、単位面積当たりの被エッチング種(圧電体や配向膜)の少ない箇所ではエッチングレートが早くなり、単位面積当たりの被エッチング種の多い箇所ではエッチングレートが遅くなる傾向にある。複数の微小突起15pを形成するためにレジストを用いて圧電体を残存させる場合には、単位面積当たりの被エッチング種の多い箇所においてはレジストの径を小さくし、単位面積当たりの被エッチング種の少ない箇所においてはレジストの径を大きくする。これにより、複数の微小突起15pの高さHTのばらつきが低減できる。
エッチング条件にも依るが、ドライエッチングにより圧電体を除去する場合は、ウェットエッチングにより圧電体を除去する場合に比べてサイドエッチング量が少なくなる。ドライエッチングの場合には、この点も勘案してレジストのパターン径の大きさを設計することが好ましい。レジストのパターン径の大きさにより、微小突起の高さを変えることもできる。たとえば、レジストのパターン径がサイドエッチング寸法の2倍よりも大きい場合には、サイドエッチングが微小突起の高さに影響することはほとんどなく、微小突起はエッチング前の高さと変わらない。一方で、レジストのパターン径がサイドエッチング寸法の2倍よりも小さい場合には、サイドエッチングにより微小突起の上部が除去されることによって、微小突起の高さが低くなる。レジストのパターン径が小さければ小さいほど、エッチング後に形成される微小突起の高さも低くなる。
エッチングレートは、圧電体や配向膜の種類(膜質)によっても変わり得る。エッチング時間を増減させることによって、微小突起の高さや形状を変えることができる。ある領域(以下、第1領域という)内に形成される複数の微小突起の高さと、他の領域(以下、第2領域という)内に形成される複数の微小突起の高さとを、個別に調整したい場合もある。この場合には、第1領域に対応するレジストパターンと、第2領域に対応するレジストパターンとをそれぞれ準備することで、第1領域のエッチング量と第2領域のエッチング量とを変えることが可能となり、微小突起の高さを、第1領域と第2領域とで個別に調整することが可能となる。
具体的には、たとえば、第1領域および第2領域の双方の圧電体にエッチング処理を施して、第1領域および第2領域の双方の領域内に複数の微小突起を形成したのち、第1領域に形成された複数の微小突起のみをレジストによって被覆する。次に、第2領域内に形成されている複数の微小突起を、ドライエッチングによって削る。ここで行われるドライエッチング処理は、下部電極15cを所定形状にパターニングするためのエッチング処理を兼ねた形で実施してもよい。
第2領域内の複数の微小突起は、完全に除去してもよいし、所定の高さ分だけ残存させてもよい。第2領域内に形成されている複数の微小突起をドライエッチング処理によって削る場合には、下部電極15cが浸食されないようなエッチング条件にしたり、下部電極15cが浸食されないようなレジストを用いたりすることが好ましい。第1領域および第2領域の双方の圧電体にエッチング処理を施す際に、剣山状のパターンが形成されるように圧電体を残存させてもよい。剣山状のパターンを形成した残存物(圧電体)は、ドライエッチング処理で容易に除去することができるため、下部電極15cが浸食されることを抑制できる。
以上のような手法によれば、複数の微小突起の高さを揃えたり、複数の微小突起の高さを複数の領域毎に異ならせたりするといったことが可能となる。複数の微小突起の高さを最適化することによって(たとえば高さを均一に揃えることによって)、接着強度を最も大きくできるような最適厚さを有する接着剤を下部電極15cと流路プレート30との間に設けることも可能となる。たとえば、電極表面がなんら粗面化されていない場合には80kPaの接合強度が得られるのに対して、1μmの均一な高さを有する複数の微小突起15pを下部電極15c上に設けた場合には、150kPaの接合強度を得ることが可能となる。
(具体例1)
図24〜図31を参照して、第1領域R1(図30)内に形成される複数の微小突起15p3の高さと、第2領域R2(図30)内に形成される複数の微小突起15p4の高さとを個別に調整する例について説明する。第1領域R1および第2領域R2は、圧電部15aの表面の中心に近い部分に位置する領域である。後述する図32〜図39は、圧電部15aの表面の中心から遠い部分(外周)に位置する第3領域R3および第4領域R4に関するものである。まず、圧電部15aの中心に近い部分である第1領域R1および第2領域R2において、複数の微小突起の高さを個別に調整することについて説明する。
図24は、下部電極15c(図25)上に形成された圧電体(圧電部15a)を示す平面図であり、図25は、図24中のXXV−XXV線に沿った矢視断面図である。図24および図25に示すように、下部電極15c(延出部15e)上には、圧電部15aおよび複数の微小突起15p3,15p4(図30,図31)を形成するための圧電体が積層されている。この圧電体(PZT)の厚さは3μmである。
圧電体(圧電部15a)の上には、第1領域R1(図30)に対応するレジストパターン61と、第2領域R2(図30)に対応するレジストパターン62とが形成されている。レジストパターン61,62は、圧電部15a上へのレジストの塗布、露光および現像によって形成されたものである。レジストパターン61の直径は7μmであり、レジストパターン62の直径は6μmである。レジストパターン61,62が形成された圧電体(圧電部15a)に、ウェットエッチング処理を施す。
図26は、下部電極15c(延出部15e)と、その表面上に形成された複数の微小突起15p1,15p2とを示す平面図であり、図27は、図26中のXXVII−XXVII線に沿った矢視断面図である。図26および図27に示すように、ウェットエッチング処理によって圧電体の一部が残存し、下部電極15cの表面には、複数の微小突起15p1,15p2が形成される。
ここで、複数の微小突起15p1,15p2の寸法を測定する。測定した寸法に基づいて、複数の微小突起15p1の方を残存させるか、複数の微小突起15p2の方を残存させるか、あるいは、複数の微小突起15p1および複数の微小突起15p2の双方を残存させるかを決定する。複数の微小突起15p1をもう少し削るか、複数の微小突起15p2をもう少し削るかといったことをさらに決定してもよい。ここでは一例として、複数の微小突起15p1をもう少し削り、複数の微小突起15p2はそのまま残存させるものとする。
図28は、複数の微小突起15p2がレジストパターン63によって被覆された様子を示す平面図であり、図29は、図28中のXXIX−XXIX線に沿った矢視断面図である。複数の微小突起15p1をもう少し削り、複数の微小突起15p2はそのまま残存させるために、ここでは複数の微小突起15p2のみがレジストパターン63によって被覆される。この状態で、複数の微小突起15p1をドライエッチングによって削る。ここで行われるドライエッチング処理は、下部電極15cを所定形状にパターニングするためのエッチング処理を兼ねた形で実施してもよい。
図30は、下部電極15cとその表面上に形成された複数の微小突起15p3,15p4を示す平面図であり、図31は、図30中のXXXI−XXXI線に沿った矢視断面図である。図30および図31を参照して、以上のような工程を経ることによって、第1領域R1に複数の微小突起15p3を形成でき、第2領域R2に複数の微小突起15p2を形成できる。複数の微小突起15p2の高さは2μm〜3μmであり、複数の微小突起15p3の高さは1μm〜2μmである。すなわち、以上のような手法によれば、複数の微小突起の高さを個別に調整することが可能となる。図30に示す例では、複数の微小突起15p2,15p3は、微小突起の高さ(大きさ)毎に複数の領域R1,R2に分けられて配置されている。複数の微小突起15p2,15p3は、全体として縦横(行列状)に並んでいるため、規則的なパターンにしたがって配置されていると言える。また、第1領域R1および第2領域R2も、整然と並んだ規則的なパターンを形成していると言える。
(具体例2)
図32〜図39を参照して、第3領域R3(図38)内にのみ複数の微小突起15p6を形成し、第4領域R4(図38)内には複数の微小突起を形成させないという例について説明する。上述の具体例1における第1領域R1および第2領域R2は、圧電部15aの表面の中心に近い部分に位置する領域である。本具体例2における図32〜図39は、圧電部15aの表面の中心から遠い部分(外周)に位置する第3領域R3および第4領域R4に関するものである。
図32は、下部電極15c(図25)上に形成された圧電体(圧電部15a)を示す平面図であり、図33は、図32中のXXXIII−XXXIII線に沿った矢視断面図である。図32および図33に示すように、下部電極15c(延出部15e)上には、圧電部15aおよび複数の微小突起15p6(図38,図39)を形成するための圧電体が積層されている。この圧電体(PZT)の厚さは3μmである。
圧電体(圧電部15a)の上には、第3領域R3(図38)に対応するレジストパターン71と、第4領域R4(図38)に対応するレジストパターン72とが形成されている。レジストパターン71,72は、圧電部15a上へのレジストの塗布、露光および現像によって形成されたものである。レジストパターン71の直径は7μmであり、レジストパターン72の直径は6μmである。レジストパターン71,72が形成された圧電体(圧電部15a)に、ウェットエッチング処理を施す。
図34は、下部電極15c(延出部15e)と、その表面上に形成された複数の微小突起15p6,15p7とを示す平面図であり、図35は、図34中のXXXV−XXXV線に沿った矢視断面図である。図34および図35に示すように、ウェットエッチング処理によって圧電体の一部が残存し、下部電極15cの表面には、複数の微小突起15p6,15p7が形成される。
ここで、複数の微小突起15p6,15p7の寸法を測定する。測定した寸法に基づいて、複数の微小突起15p6の方を残存させるか、複数の微小突起15p7の方を残存させるか、あるいは、複数の微小突起15p6および複数の微小突起15p7の双方を残存させるかを決定する。複数の微小突起15p6をもう少し削るか、複数の微小突起15p7をもう少し削るかといったことをさらに決定してもよい。ここでは一例として、複数の微小突起15p6をそのまま残存させ、複数の微小突起15p7の全部を除去するものとする。
図36は、複数の微小突起15p6がレジストパターン73によって被覆された様子を示す平面図であり、図37は、図36中のXXXVII−XXXVII線に沿った矢視断面図である。複数の微小突起15p6をそのまま残存させ、複数の微小突起15p7の全部を除去するために、ここでは複数の微小突起15p6のみがレジストパターン73によって被覆される。この状態で、複数の微小突起15p7をドライエッチングによって削る。ここで行われるドライエッチング処理は、下部電極15cを所定形状にパターニングするためのエッチング処理を兼ねた形で実施してもよい。
図38は、下部電極15cとその表面上に形成された複数の微小突起15p6を示す平面図であり、図39は、図38中のXXXIX−XXXIX線に沿った矢視断面図である。図38および図39を参照して、以上のような工程を経ることによって、第3領域R3内にのみ複数の微小突起15p6を形成でき、第4領域R4には複数の微小突起を形成させないようにすることができる。複数の微小突起15p6の高さは1μm〜2μmである。第4領域R4に、0μm〜1μmの高さを有する複数の微小突起を形成してもよい。以上のような手法によっても、複数の微小突起の高さを個別に調整することが可能となる。この場合も、複数の微小突起は、微小突起の高さ(大きさ)毎に複数の領域R3,R4に分けられて配置されることになる。複数の微小突起15p6は、全体として縦横(行列状)に並んでおり、規則的なパターンにしたがって配置されていると言える。第3領域R3および第4領域R4も、整然と並んだ規則的なパターンを形成していると言える。
以上、実施の形態および各変形例などについて説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 ヘッド基板、10m 基材、11 ノズルプレート、11a ノズル孔、12 中間プレート、12a,12b,13b,21b,28a 連通路、13 アクチュエータープレート、13a 圧力室、14 上部層、14a 開口、14m 熱酸化膜、14n 密着層、15 圧電素子、15a 圧電部、15b 上部電極、15c 下部電極、15d 中央部、15e 延出部、15j 配向膜、15p,15p1,15p2,15p3,15p4,15p6,15p7 複数の微小突起、15s 表面、15t 側縁部、16 はんだ、20 配線基板、21 基板本体、21a 貫通孔、22,23,24,25 配線保護層、23a,30a 開口部、26 下部配線、27 上部配線、28 取付板、29 バンプ、30 流路プレート(接合対象部材)、30b インク供給路、30c 隙間、30d 気泡、30g 下面、30k 接着剤、40 マニホールド、41 共通インク室、42 外部配線部材、51,52 レジスト、51a 除去部、58 特開昭、61,62,63,71,72,73 レジストパターン、100 インクジェットヘッド、HT 高さ、R0 露出領域。

Claims (10)

  1. 圧電素子と接合対象部材とを互いに接合するための部材接合構造であって、
    前記圧電素子は、
    圧電部と、
    前記圧電部の一方の表面を覆うように形成された第1電極と、
    前記圧電部の他方の表面を覆うように形成された第2電極と、を備え、
    前記第2電極は、前記圧電部の側縁部から外方に延出する延出部を含み、
    前記第2電極に対して前記圧電部が位置している側の前記延出部の表面上には、複数の微小突起が設けられており、
    複数の前記微小突起は、圧電体および/または圧電体の結晶配向を制御する材料から形成されており、
    前記接合対象部材は、前記接合対象部材と複数の前記微小突起との間に設けられた接着剤が複数の前記微小突起の間に入り込んで硬化することで、前記延出部の前記表面に接合されている、
    部材接合構造。
  2. 複数の前記微小突起は、前記圧電部に含まれる圧電体と同一の材料から形成されている、
    請求項1に記載の部材接合構造。
  3. 複数の前記微小突起は、前記圧電部に含まれる圧電体の結晶配向を制御する配向膜と同一の材料から形成されている、
    請求項1に記載の部材接合構造。
  4. 複数の前記微小突起は、前記微小突起の大きさ毎に複数の領域に分けられて配置されており、かつ規則的なパターンにしたがって配置されている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の部材接合構造。
  5. 前記延出部の前記表面には、複数の前記微小突起が設けられておらず前記延出部の前記表面が露出している露出領域が形成されており、
    前記露出領域には、前記圧電素子に電圧を印加するための外部配線部材が接合される、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の部材接合構造。
  6. 前記延出部の前記表面からの複数の前記微小突起の高さは、6.0μm以下である、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の部材接合構造。
  7. 圧力室内のインクを射出するインクジェットヘッドであって、
    前記圧力室を内部に形成する基板と、
    前記基板上に積層された、前記圧力室を駆動するための圧電素子と、
    前記圧力室に連通するインク供給路を有する流路プレートと、を備え、
    前記圧電素子と前記流路プレートとは、請求項1から6のいずれか1項に記載の部材接合構造により互いに接合されている、
    インクジェットヘッド。
  8. 電極の表面上に圧電体を形成する工程と、
    前記圧電体にエッチング処理を施し、前記圧電体の一部を前記電極の前記表面上に残存させることによって、前記圧電体と同一の材料を含む複数の微小突起を前記電極の前記表面上に形成する工程と、
    前記電極の前記表面上に形成された複数の前記微小突起と接合対象部材との間に接着剤を設ける工程と、
    前記接着剤を複数の前記微小突起の間に入り込ませるようにして硬化させることで、前記接合対象部材を前記電極の前記表面に接合する工程と、を備える、
    部材接合方法。
  9. 電極の表面上に圧電体の結晶配向を制御する配向膜を形成する工程と、
    前記配向膜上に圧電体を形成する工程と、
    前記圧電体および前記配向膜にエッチング処理を施し、前記配向膜の一部を前記電極の前記表面上に残存させることによって、前記配向膜と同一の材料を含む複数の微小突起を前記電極の前記表面上に形成する工程と、
    前記電極の前記表面上に形成された複数の前記微小突起と接合対象部材との間に接着剤を設ける工程と、
    前記接着剤を複数の前記微小突起の間に入り込ませるようにして硬化させることで、前記接合対象部材を前記電極に接合する工程と、を備える、
    部材接合方法。
  10. 圧力室内のインクを射出するインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記圧力室を内部に形成する基板を準備する工程と、
    前記圧力室を駆動するための圧電素子を前記基板上に積層する工程と、
    前記圧力室に連通するインク供給路を有する流路プレートを、請求項8または9に記載の部材接合方法を使用して前記圧電素子に接合する工程と、を備える、
    インクジェットヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6417549B1 (ja) * 2016-12-12 2018-11-07 パナソニックIpマネジメント株式会社 圧電機能膜、アクチュエータおよびインクジェットヘッド

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