JP2016058343A - 二次電池用電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明はリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化によるサイクル特性劣化を抑制した優れたサイクル特性を有する非水電解質二次電池用電極を提供することを目的とする。【解決手段】集電体1上に少なくとも活物質2とバインダー樹脂と発泡剤とを含む活物質形成用組成物からなる活物質層4を有する二次電池用電極であって、前記活物質層4が発泡剤の発泡により空隙3を有し、前記活物質2がSiOxからなり、また前記発泡剤の平均粒径が0.1〜30μmの範囲であることを特徴とする二次電池用電極である。【選択図】 図1
Description
本発明は、二次電池用電極に関するものである。より詳細には、サイクル特性を向上させうる非水電解質二次電池用負極に関するものである。
近年、石油使用量や温室効果ガス削減、エネルギー基盤のさらなる多様化や効率化を目指し、繰り返し充放電可能な二次電池として、Liイオン二次電池に注目が集まっている。特に、電気自動車やハイブリッド電気自動車および燃料電池車への用途展開が見込まれている。電気自動車においては、航続距離の向上が要求され、今後、二次電池の高エネルギー密度化が一層要求されていくことになる。
現状の負極に注目すると、黒鉛電極が一般に用いられている。黒鉛の理論容量は、372mAh/g(活物質)である。これに対し、黒鉛を上回る容量を示す活物質として、SiやSnが近年注目されている。Siの理論容量は、4200mAh/g(活物質)であり、Snは、990mAh/g(活物質)である。一方、Siは、黒鉛の約11倍の容量を持っているために、Li吸蔵放出に伴う体積変化も大きくなる。Li吸蔵により体積が約4倍増加する。
黒鉛と比べて、大容量を有する活物質を用いた電極は、充放電に伴う大きな体積変化から、電極の導電パスの切断や微粉化に伴う電極からの脱離、集電体と活物質層の剥離などのおそれがある。このことは、電池のサイクル特性を低下させる要因となる。
特許文献1では、金属活物質の表面に酸化アルキレンの反復単位を含む物質で修飾することで容量の低下を抑制する発明が為されている。反復単位の弾性により活物質の膨張を部分的に抑制することができるが、活物質の膨張収縮が大きい場合、体積変化を緩和できず、十分なサイクル特性が得られない。
特許文献2では、発泡剤によって黒鉛の凝集体に気孔を作り、該気孔内部に金属ナノ粒子を分散させるという研究が為されている。これにより、サイクル特性を保ちながらも容量を維持することができる。しかし黒鉛の凝集体内部の気孔部分に金属ナノ粒子を均一に分散させるのは困難なため、容量ばらつきが大きくなり、セルバランスが悪化する恐れがある。
特許文献3では、充放電に伴う電極の膨張・収縮によるサイクル特性低下を、空隙を制御した柱状粒子を形成することで改善している。この発明により、サイクル特性低下の改善と、さらに活物質と集電体の接合面積が大きくなることで活物質と集電体の接合が強くなる。しかしこの発明では活物質層の作製工程が複雑であり、ばらつきの少ない活物質層を作製するのが困難であることやコストが高くなるなどの可能性がある。
以上のように、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化によるサイクル特性劣化の抑制を試みた研究が為されているが、その効果は十分でなく、更なるサイクル特性向上が望まれている。
そこで、本発明は、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化によるサイクル特性劣化を抑制した優れたサイクル特性を有する二次電池用電極を提供することを目的とする。
本発明者はサイクル特性のさらなる向上を狙い、鋭意検討を行った結果、活物質層中に発泡剤を添加し空隙を設けることで、リチウムイオンの吸蔵、放出に伴う体積変化により活物質が脱離することなく、サイクル特性が大きく向上することを見出した。
本発明に係る請求項1の発明は、集電体上に少なくとも活物質とバインダー樹脂と発泡剤とを含む活物質形成用組成物からなる活物質層を有する二次電池用電極であり、
前記活物質層が発泡剤の発泡による空隙を有することを特徴とする二次電池用電極である。
前記活物質層が発泡剤の発泡による空隙を有することを特徴とする二次電池用電極である。
請求項2の発明は、前記活物質がSiOxであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極である。
請求項3の発明は、前記発泡剤の平均粒径(以下、d50と記す)が0.1〜30μmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池用電極である。なお、本発明でいう平均粒径(d50)とはメジアン径であり、粉体をある粒子径から二つに分けたときに、大きい側と小さい側とが等量となる径を意味する。
請求項4の発明は、前記活物質形成用組成物中に占める前記発泡剤の割合が、前記活物質に対して0.5〜5.0重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用電極である。
本発明に係る請求項1の発明によれば、集電体上に少なくとも活物質とバインダー樹脂と発泡剤とを含む活物質形成用組成物からなる活物質層し、前記活物質層が発泡剤の発泡による空隙を有することにより、リチウムイオンの吸蔵及び放出に伴う活物質層の体積変化を緩和することがきる。具体的には、活物質層を形成する工程において発泡剤を含む活物質形成用組成物を塗布、乾燥(熱処理)することにより、活物質層中に発泡剤の発泡による適正な空隙を容易に形成することができる。すなわち、前記発泡剤の選定により集電板と活物質層との密着性を損ねることなく適正な空隙を形成することができ、優れたサイクル特性を有する二次電池用電極を供することができる。
また、請求項2の発明によれば、負極活物質としてSiOxを用いることにより、サイクル特性を高めることができる。すなわち、公知の黒鉛に比べてリチウムイオンの吸蔵及び放出に関して容量が大きいため、より大きな効率向上が得られる。
また、請求項3の発明によれば、前記発泡剤の平均粒径(以下、d50と記す)が0.1〜30μmの範囲であることにより、リチウムイオンの吸蔵及び放出に伴う活物質層の体積変化を緩和できる適正な空隙を形成することができる。
また、請求項4の発明によれば、前記活物質形成用組成物中に占める前記発泡剤の割合が、前記活物質に対して0.5〜5.0重量%の範囲であることにより、活物質と集電体との密着性を低下させることなく、リチウムイオンの吸蔵及び放出に伴う活物質層の体積
変化を緩和できる適正な空隙を形成することができる。
変化を緩和できる適正な空隙を形成することができる。
上記で説明したように、本発明によれば活物質層中に発泡剤を添加し発泡剤の発泡により空隙を設けることで、リチウムイオンの吸蔵、放出に伴う体積変化を緩和し、尚且つ活物質と集電体との密着性を保持することで、サイクル特性の高い二次電池用電極を提供することができる。
本発明に係る二次電池用電極は、図1に示すように、前記集電体1上に少なくとも活物質2とバインダー樹脂と発泡剤とを含む活物質形成用組成物からなる活物質層4を有する二次電池用電極であり、前記活物質層4が空隙3を有することを特徴とする。
本発明で用いられる活物質のうち特に負極活物質は、Liを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば公知のものを使用することができる。中でもLiと合金化する材料が望ましく、特に、黒鉛よりも容量が大きい材料であれば、本発明の効果が顕著に得られる。
Liと合金化する材料としては、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ag、Zn、Hg、およびAuから選択された1つ以上の合金を使用できる。好ましくはSiOxであり、より好ましくは、xは1.5以下であることが好ましい。xが1.5より多いと、十分なLiの吸蔵および放出量を確保することができない。また、該活物質のみならず、黒鉛も活物質として加えても良い。
前記活物質の粒径は、d50が0.5〜10μmであることが望ましい。前記活物質はd50が10μmより大きい場合、総活物質表面積あたりの電流が大きくなり、電極抵抗が増し、容量が低下する。一方、d50が0.5μmより小さい場合、電極スラリーを調液する工程で、活物質が凝集しやすくなり、活物質が均一に分散したスラリーを得ることが困難になり、電極抵抗が高くなり、容量が低下する。
本発明に用いられる前記発泡剤は特に限定するものではないが、熱分解温度がバインダー樹脂の融点を超えるものは適さない。発泡剤としてその熱分解温度がバインダー樹脂の融点を超えると、熱分解処理工程でバインダー樹脂が劣化し、活物質層の密着性が悪化する可能性があるためである。
また、前記発泡剤の粒径は、d50が0.1〜30μmであることが望ましい。0.5μm以下ではリチウムイオンの吸蔵・放出による体積変化の緩和に十分な空隙を形成することができず、30μmより大きい場合、活物質層に占めるひとつあたりの空隙が大きくなり、活物質の集電体への密着性が低下する可能性がある。
さらに発泡剤の添加量は、該活物質重量に対して0.5〜5重量%であることが望ましい。0.5重量%より少ない場合、活物質の体積変化の緩和に十分な空隙を形成することができず、5重量%以上の場合、空隙が多くなり活物質と集電体の密着性の悪化や、導電パスの形成が不十分になる。
本発明に係るバインダー樹脂は、フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、アルギン酸、スチレンブタジエンゴムなどが使用できる。バインダー樹脂は活物質重量に対し、3〜30重量%であることが望ましい。3重量%より少
ない場合、十分な結着ができず、30重量%より大きい場合、電極体積あたりの容量が大きく低下する。
ない場合、十分な結着ができず、30重量%より大きい場合、電極体積あたりの容量が大きく低下する。
また、本発明に係る活物質層形成用組成物には導電助剤を用いることができる。前記導電助剤としては、カーボンブラックや天然黒鉛、人造黒鉛、さらには、酸化チタンや酸化ルテニウムなどの金属酸化物、金属ファイバーなどが使用できる。なかでもストラクチャー構造を呈するカーボンブラックが好ましく、特にその一種であるファーネスブラックやケッチェンブラック、アセチレンブラック(AB)が好ましく用いられる。尚、カーボンブラックとその他の導電剤、例えば、気相成長炭素繊維(VGCF)との混合系も好ましく用いられる。
また、前記活物質層形成用組成物としては、例えば粘度調整用として溶媒を用いることができ、前記バインダー樹脂を溶解するものであれば特に限定するものではない。例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、純水などを使用することができる。
一方、本発明に係る二次電池用電極を用いた二次電池に用いる電解液の溶媒としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの低粘度の鎖状炭酸エステルと、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの高誘電率の環状炭酸エステル、γ‐ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、メチルアセテート、メチルプロピオネート、ビニレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、スルホランおよびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
また、前記電解液に含まれる電解質としては特に制限がなく、例えばLiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiI、LiAlCl4等およびそれらの混合物等が挙げられる。好ましくは、LiBF4、LiPF6のうちの1種または2種以上を混合したリチウム塩がよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
下記活物質形成用組成物をディスパーでプレ分散した後、プラネタリミキサーで本分散して負極スラリーを得た。
<活物質形成用組成物>
・活物質:SiO(d50:6.6μm) 5.00g
・導電助剤:AB 0.98g
:VGCF 0.98g
・バインダー樹脂:ポリフッ化ビニリデン 0.98g
・溶剤:N−メチルピロリドン 58.15g
下記活物質形成用組成物をディスパーでプレ分散した後、プラネタリミキサーで本分散して負極スラリーを得た。
<活物質形成用組成物>
・活物質:SiO(d50:6.6μm) 5.00g
・導電助剤:AB 0.98g
:VGCF 0.98g
・バインダー樹脂:ポリフッ化ビニリデン 0.98g
・溶剤:N−メチルピロリドン 58.15g
次に、上記で得られた負極スラリーに、永和化成工業の4−4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を主成分とする発泡剤(商品名 ネオセルボンN#1000M、d50 4μm)を0.05g添加し、該混合液をディスパーで分散した。
上記で得られたスラリーを厚さ12μmの銅箔からなる集電体に、ドクターブレードを用いて2.8mg/cm2塗布した。その後、80℃で30分乾燥し、密度が1.1g/cm3になるようにプレスして、さらに160℃10分間の熱処理を行い、発泡剤を熱分
解させて負極を作製した。
解させて負極を作製した。
(比較例1)
発泡剤の熱分解として、160℃10分間の熱処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
発泡剤の熱分解として、160℃10分間の熱処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
(コインセルの作製)
実施例1および比較例1で得られた負極を用いて、Li箔を対極としたコインセルを作製し、充放電評価を行なった。負極は、直径15mmの円板に打ち抜き、Li箔は、直径16mmの円板に打ち抜いて、評価を行なった。Li箔は、300μmの厚さとした。コインセルは、正極および負極、セパレータを基本構成とした。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の3:7(v/v)の混合溶液に、LiPF6を1Mとなるように加えたものを使用した。
実施例1および比較例1で得られた負極を用いて、Li箔を対極としたコインセルを作製し、充放電評価を行なった。負極は、直径15mmの円板に打ち抜き、Li箔は、直径16mmの円板に打ち抜いて、評価を行なった。Li箔は、300μmの厚さとした。コインセルは、正極および負極、セパレータを基本構成とした。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の3:7(v/v)の混合溶液に、LiPF6を1Mとなるように加えたものを使用した。
(評価)
上記で作製したコインセルを用いて、以下の条件にてサイクルテストを行った。
充放電は、0.01〜1.5Vで113サイクル行なった。1サイクル目は、0.05C CC充電および0.05C CC放電、2サイクル目は、0.1C CC充電および0.1C CC放電、3サイクル目は、0.2C CC充電および0.2C CC放電、4サイクル目以降は、0.2C CC充電および1.0C CC放電で行なった。4、5サイクル目の平均放電容量を初期サイクルでの放電容量100%とし、以降のサイクルにおける放電容量との比率を求めた。その結果を図2に示す。
上記で作製したコインセルを用いて、以下の条件にてサイクルテストを行った。
充放電は、0.01〜1.5Vで113サイクル行なった。1サイクル目は、0.05C CC充電および0.05C CC放電、2サイクル目は、0.1C CC充電および0.1C CC放電、3サイクル目は、0.2C CC充電および0.2C CC放電、4サイクル目以降は、0.2C CC充電および1.0C CC放電で行なった。4、5サイクル目の平均放電容量を初期サイクルでの放電容量100%とし、以降のサイクルにおける放電容量との比率を求めた。その結果を図2に示す。
図2より、実施例1のサイクル特性は、比較例1に比べ、良好であった。特に、サイクル前半での容量の低下を抑制できた。このことにより、本発明による発泡剤による空隙を負極活物質層に設けることで、活物質の体積変化による活物質の脱離を抑制し、サイクル特性向上の効果があることを確認した。
本発明に係る二次電池用電極はサイクル特性に優れており、高耐久性が要求される電気自動車の駆動用蓄電池や各種エネルギーの蓄電設備、家庭用蓄電設備などの蓄電池として利用することができる。
1・・・集電体
2・・・活物質
3・・・空隙
4・・・活物質層
2・・・活物質
3・・・空隙
4・・・活物質層
Claims (4)
- 集電体上に少なくとも活物質とバインダー樹脂と発泡剤とを含む活物質形成用組成物からなる活物質層を有する二次電池用電極であり、
前記活物質層が発泡剤の発泡による空隙を有することを特徴とする二次電池用電極。 - 前記活物質がSiOxであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極。
- 前記発泡剤の平均粒径が0.1〜30μmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池用電極。
- 前記活物質形成用組成物中に占める前記発泡剤の割合が、前記活物質に対して0.5〜5.0重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用電極。
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CN107359353A (zh) * | 2017-06-19 | 2017-11-17 | 佛山市大为科技有限公司 | 一种改性锂电池集流体表面涂布用水性导电浆料及其制备方法和应用 |
JP2022510820A (ja) * | 2018-12-06 | 2022-01-28 | ネダーランゼ・オルガニサティ・フォーア・トゥーゲパスト-ナトゥールヴェテンシャッペリーク・オンデルゾエク・ティーエヌオー | 伸縮性があり圧縮性のある機能層を含むバッテリーセル及び製造プロセス |
US20220131132A1 (en) * | 2020-10-26 | 2022-04-28 | Prime Planet Energy & Solutions, Inc. | Non-aqueous electrolyte secondary battery |
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2014
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JP7333300B2 (ja) | 2020-10-26 | 2023-08-24 | プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 | 電極の製造方法、電池の製造方法、電極および電池 |
CN114497450B (zh) * | 2020-10-26 | 2024-04-09 | 泰星能源解决方案有限公司 | 非水电解质二次电池 |
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