JP6675141B2 - リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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図1に示すように、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池100は、互いに対向する板状の負極20及び板状の正極10と、負極20と正極10との間に隣接して配置される板状のセパレータ18と、を備える積層体30と、リチウムイオンを含む非水電解液と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、負極20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される負極リード60と、正極10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される正極リード62とを備える。
を有する。また、正極10は、正極集電体12と、正極集電体12上に形成された正極活物質層14と、を有する。
本実施形態の負極20に形成される負極活物質層24は、負極活物質、バインダー、導電助剤を含有している。
上記の負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛(難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等)、MCF(メソカーボンファイバ)等の炭素材やアルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合物を形成することのできる金属とその酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)などが用いられる。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、負極活物質と集電体22とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリル酸樹脂等を用いることができる。
導電助剤としては負極活物質層24の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、アセチレンブラック、ケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック等の公知の導電助剤を使用することができる。
負極集電体22は、導電性の板材で厚みの薄いものであることが好ましく、厚みが8〜30μmの金属箔であることが好ましい。負極集電体22は、リチウムと合金化しない材料から形成されていることが好ましく、特に銅箔が好ましく利用できる。
非水電解液は、電解質と、非水溶媒として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、下記一般式(I)で表されるリン含有化合物を含有する。
(ただし、式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、ハロゲン基または、炭素数が2から4のアルコキシ基のいずれかを示し、前記ハロゲン基と前記アルコキシ基はいずれも3つずつ有する。)
電解質としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3CF2CO)2、Li2B12FxZ12−x(ZはH、Cl、Brから選ばれ、xは4以上12以下である)等が挙げられ、2種以上を混合して用いてもよい。特に、導電性の観点から、LiPF6を含むことが好ましい。
本実施形態の正極10は、正極集電体12の片面または両面に、正極活物質を含む正極活物質層14が形成された構造を有している。正極活物質層14は、負極と同様に、正極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含む塗料を正極集電体12上に塗布し、正極集電体12上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な酸化物、硫化物又が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上が用いられる。具体的には、リチウムを含有しない金属硫化物及び金属酸化物、並びに、リチウムを含有するリチウム複合酸化物が挙げられる。
正極集電体12は、リチウムイオン二次電池用の集電体に使用されている各種公知の金属箔を用いることができる。具体的には、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
セパレータ18は絶縁性の多孔体から形成されていれば、材料、製法等は特に限定されず、リチウムイオン二次電池に用いられている公知のセパレータを使用することができる。例えば、絶縁性の多孔体としては、公知のポリオレフィン樹脂、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらの単独重合体または共重合体は、1種を単独で使用することができるが、2種以上のものを混合して用いてもよい。また、単層であっても複層であってもよい。
二次電池充放電試験装置を用いて、電圧範囲を2.5Vから4.2Vまでとし、電流密度をシリコン(Si)を含有する粒子の可逆容量を1200mAh/gとし、炭素材の可逆容量を330mAh/gとして1C容量を求め、0.5Cでの電流値で充電、1.0Cでの電流値で放電を行い、充放電サイクル特性の評価を行った。この充放電サイクル特性の評価を放電容量維持率(%)として表し、放電容量維持率(%)は、1サイクル目の放電容量を初期放電容量とし、初期放電容量に対する所定サイクル数における放電容量の割合であり以下の式で表される。
なお、以下に示す実施例の所定サイクル数は500サイクルとした。電池膨れは、まず10サイクルの充放電サイクル特性の評価を行ったのち、恒温槽から取り出し電池の初期厚みの評価を行い、490サイクルの充放電サイクル特性の評価を行ったのちに該電池が初期厚みに対し5%未満の膨れである場合には表中に◎を、5%以上8%未満の膨れである場合〇を、8%を超える場合は×を記した。
(負極の作製)
負極活物質として、SiとSiOをSi/SiO=1/2(重量比)で混合し、遊星ボールミルを用いて粉砕混合を行ったものを使用した。遊星ボールミルのメディアとして直径3mmのアルミナビーズを用い、回転数は500rpmとし、粉砕混合時間は60minとした。
負極活物質として前記SiとSiOの混合物を80質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを5質量部、バインダーとしてポリアミドイミドを15質量部とを混合して負極合剤とした。続いて、負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤塗料とした。この塗料を、厚さ10μmの電解銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が3.4mg/cm2となるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。その後、線圧2000kgf/cmでローラープレスにより加圧成形し、真空中、270〜350℃で1〜3時間熱処理し、厚みが67μmの負極を作製した。
正極活物質としてLiNi0.85Co0.10Al0.05O2を90質量部と、導電助剤としてアセチレンブラックを5質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを5質量部とを混合して正極合剤とした。続いて、正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の正極合剤塗料とした。この塗料を、厚さ20μmのアルミニウム箔の一面に、正極活物質の塗布量が20.4mg/cm2となるように塗布し、100℃で乾燥することで正極活物質層を形成した。その後、ローラープレスにより加圧成形し厚みが132μmの正極を作製した。
表1に示すリン含有化合物(構造(A))と、エチレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、ジエチルカーボネートを体積比0.5:8:22:69.5で混合した溶液中に、LiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させ非水電解液を得た。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製)
上記で作製した負極と正極を、それらの間にポリエチレン多孔膜からなるセパレータを挟んでアルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに、上記で作製した電解液を注入した後、真空シールし、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
非水溶媒中のリン含有化合物と4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを表1に示すように変えた以外は、実施例1−1と同様にして実施例1−2〜1−30のリチウムイオン二次電池を作製した。なお、非水溶媒中におけるエチレンカーボネートと4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの体積比の和は30体積%とし、ジメチルカーボネートとリン含有化合物の体積比の和が70体積%となるよう適宜調整を行った。4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの体積比が30体積%を超える場合は、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとリン含有化合物とジメチルカーボネートの体積比の和が100体積%となるよう適宜調整を行った。また表中、−は、リン含有化合物が含有されていないことを示し、FECは、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを示す。
非水溶媒中の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、実施例1−1と同様にして比較例1−1〜1−4のリチウムイオン二次電池を作製した。
(負極の作製)
負極活物質として実施例1-1で用いたSiとSiOの混合物に、更に人造黒鉛を混合し、負極合剤として前記SiとSiOの混合物を58質量部及び人造黒鉛を22質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを5質量部、バインダーとしてポリアミドイミドを15質量部とし、負極活物質の塗布量が4.3mg/cm2となるように塗布したこと以外は実施例1−1と同様にして実施例2−1の負極を作製した。得られた負極を用いて、実施例1−1と同様にして実施例2−1のリチウムイオン二次電池を作製した。
非水溶媒中の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、実施例2−1と同様にして実施例2−2〜2−18のリチウムイオン二次電池を作製した。
非非水溶媒中の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、実施例2−1と同様にして比較例2−1および2−2のリチウムイオン二次電池を作製した。
(負極の作製)
負極活物質として前記SiとSiOの混合物と人造黒鉛の混合し、負極合剤として前記SiとSiOの混合物を16質量部及び人造黒鉛を64質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを5質量部、バインダーとしてポリアミドイミドを15質量部とし、負極活物質の塗布量が8.7mg/cm2となるように塗布したこと以外は実施例1−1と同様にして実施例3−1の負極を作製した。得られた負極を用いて、実施例1−1と同様にして実施例3−1のリチウムイオン二次電池を作製した。
非水溶媒中の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、実施例3−1と同様にして実施例3−2〜3−18のリチウムイオン二次電池を作製した。
非非水溶媒中の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、実施例3−1と同様にして比較例3−1および3−2のリチウムイオン二次電池を作製した。
(負極の作製)
負極合剤として人造黒鉛を85質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを2質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を13質量部とし、負極活物質の塗布量が14.7mg/cm2となるように塗布したこと以外は実施例1−1と同様にして参考例4−1の負極を作製した。得られた負極を用いて、実施例1−1と同様にして参考例4−1のリチウムイオン二次電池を作製した。
非水溶媒中の第一および第二のリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、参考例4−1と同様にして参考例4−2〜4−18のリチウムイオン二次電池を作製した。
非水溶媒中の第一および第二のリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、実施例4−1と同様にして参考例4−19および4−20のリチウムイオン二次電池を作製した。
(負極の作製)
負極活物質として実施例1−1で用いたSiを遊星ボールミルを用いて粉砕したものを使用した。遊星ボールミルのメディアとして直径3mmのアルミナビーズを用い、回転数は500rpmとし、粉砕混合時間は60minとした。負極合剤として前記Siの粉砕物を負極活物質として80質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを5質量部、バインダーとしてポリアミドイミドを15質量部とし、負極活物質の塗布量が1.5mg/cm2となるように塗布したこと以外は実施例1−1と同様にして実施例5−1の負極を作製した。得られた負極を用いて、実施例1−1と同様にして実施例5−1のリチウムイオン二次電池を作製した。
非水溶媒中の第一および第二のリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、実施例5−1と同様にして実施例5−2〜5−18のリチウムイオン二次電池を作製した。
非水溶媒中の第一および第二のリン含有化合物を表1に示すように変えた以外は、実施例5−1と同様にして比較例5−1および5−2のリチウムイオン二次電池を作製した。
Claims (6)
- 正極と、負極と共にリチウムイオン二次電池用非水電解液とを備え、
前記負極はシリコンまたは酸化シリコンを含有し、
前記リチウムイオン二次電池用非水電解液は、電解質と、下記一般式(I)で表されるリン含有化合物と、非水溶媒として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、を含有し、
前記リン含有化合物を、前記電解質を加える前の前記リチウムイオン二次電池用非水電解液における各成分の混合前の全体積に対する割合として0.5体積%以上3体積%以下、含有し、
前記4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを、前記電解質を加える前の前記リチウムイオン二次電池用非水電解液における各成分の混合前の全体積に対する割合として3体積%以上60体積%以下、含有する
ことを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
- 前記一般式(I)中のR1、R2、R3、R4、R5、R6のうち、R1、R3、R5がハロゲン基であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記ハロゲン基は、フッ素であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが非水溶媒中における体積のうち、8体積%以上30体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量に対する前記一般式(I)で表されるリン含有化合物の含有量の比が、0.02以上1以下であることを特徴とする特徴とする請求項1乃4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記負極が、黒鉛を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
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