以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施形態1)
図1は、カラー画像形成装置の一例を示す概略図であり、図1を用いての本実施形態の画像形成装置の構成及び動作を説明する。尚、本実施形態の画像形成装置は、a〜dの画像形成ステーションを設けているいわゆるタンデムタイプのプリンタである。第1の画像形成ステーションaはイエロー(Y)、第2の画像形成ステーションbはマゼンタ(M)、第3の画像形成ステーションcはシアン(C)、第4の画像形成ステーションdはブラック(Bk)の各色の画像を形成する。各画像形成ステーションの構成は、収容するトナーの色以外では同じであり、以下、第1の画像形成ステーションaを用いて説明する。
第1の画像形成ステーションaは、ドラム状の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)1aと、帯電ローラ2aと、現像器4aと、クリーニング装置5aと、を備える。感光ドラム1aは矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動しトナー像を担持する像担持体である。
さらに、現像器4aは、イエローのトナーを収容し感光ドラム1aにイエロートナーを現像するための装置である。クリーニング装置5aは、感光ドラム1aに付着したトナーを回収するための部材であり、本実施形態では、感光ドラム1aに当接するクリーニング部材であるクリーニングブレードと、クリーニングブレードが回収したトナーを収容する廃トナーボックスを備える。
コントローラ100(制御部)が画像信号を受信することによって画像形成動作が開始され、感光ドラム1aは回転駆動される。感光ドラム1aは回転過程で、帯電ローラ2aにより所定の極性(本実施形態では負極性)で所定の電位に一様に帯電処理され、露光手段3aにより画像信号に応じた露光を受ける。これにより、目的のカラー画像のイエロー色成分像に対応した静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像は現像位置において現像器(イエロー現像器)4aにより現像され、イエロートナー像として可視化される。ここで、現像器に収容されたトナーの正規の帯電極性は、負極性である。この実施形態では帯電ローラによる感光ドラムの帯電極性と同極性に帯電したトナーにより静電潜像を反転現像しているが、本発明は、感光ドラムの帯電極性とは逆極性に帯電したトナーにより静電潜像を正現像するようにした電子写真装置にも適用できる。
中間転写ベルト10は、複数の張架部材11、12、13とで張架され、感光ドラム1aと当接した対向部で同方向に移動する向きに、感光ドラム1aと略同一の周速度で回転移動する。感光ドラム1a上に形成されたイエロートナー像は、感光ドラム1aと中間転写ベルト10との当接部(以下、一次転写部と称す)を通過する過程で、中間転写ベルト10の上に転写される(一次転写)。
本実施形態では、一次転写時には中間転写ベルトに接触する電流供給部材から中間転写ベルトに電流を流し、その電流によって中間転写ベルト10の各画像形成ステーションにおける一次転写部で一次転写電位が形成される。本実施形態の一次転写電位の形成方法については後述する。
感光ドラム1a表面に残留した一次転写残トナーは、クリーニング装置5aにより清掃、除去される。清掃された感光ドラム1aは、次の帯電以下の画像形成プロセスに供せられる。以下、同様にして、第2,3,4の画像形成ステーションb、c、dによって第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が形成され、それぞれの一次転写部で中間転写ベルト10上に順次重ねて転写される。
以上の工程によって目的のカラー画像に対応したフルカラー画像が得られる。中間転写ベルト10上の4色のトナー像は、中間転写ベルト10と二次転写ローラ20が形成する二次転写部を通過する過程で、給紙手段50により給紙された記録材Pの表面に一括転写される(二次転写)。二次転写部材としての二次転写ローラ20は外径8mmのニッケルメッキ鋼棒に、体積抵抗108Ω・cm、厚み5mmに調整したNBRとエピクロルヒドリンゴムを主成分とする発泡スポンジ体で覆った外径18mmのものを用いている。また、二次転写ローラ20は、中間転写ベルト10の外周面に対して、50Nの加圧力で接触し、二次転写部を形成している。二次転写ローラ20は中間転写ベルト10に対して従動回転し、また、中間転写ベルト10上のトナーを紙等の記録材Pに二次転写している時には、転写電源21(電源回路)から2500[V]の二次転写電圧が印加されている。
転写電源21は、電圧を発生するトランスを有し、二次転写ローラ20に二次転写電圧を供給する構成となっている。転写電源21が供給する二次転写電圧は、トランスから出力される電圧をコントローラ100によって、略一定に制御している。また、転写電源21は、100[V]から4000[V]の範囲の出力が可能である。
その後、4色のトナー像を担持した記録材Pは定着器30に導入され、そこで加熱および加圧されることにより4色のトナーが溶融混色して記録材Pに固定される。二次転写後に中間転写ベルト10上に残ったトナーは、クリーニングブレードを備えるクリーニング装置16により清掃、除去される。以上の動作により、フルカラーのプリント画像が形成される。
本画像形成装置全体の制御を行うコントローラ100の構成について図2を参照して説明する。コントローラ100は、図2に示すように、CPU回路部150を有する。CPU回路部150は、ROM151およびRAM152を内蔵する。CPU回路部150は、ROM151に格納されている制御プログラムに応じて、転写制御部201,現像制御部202,露光制御部203,帯電制御部204を統括的に制御する。環境テーブルや紙厚さ対応テーブルはROM151に格納されておりCPUが呼び出して反映される。RAM152は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。転写制御部201は、転写電源21を制御し、不図示の電流検出回路が検出する電流値に基づいて転写電源21から出力する電圧を制御している。コントローラ100は、ホストコンピュータ(不図示)から画像情報と印字命令を受信すると、各制御部(転写制御部201、現像制御部202,露光制御部203,帯電制御部204)を制御して印字動作に必要な画像形成動作を実行する。
次に、中間転写ベルト10と、張架部材11、12、13と、接触部材14について詳細に説明する。
各画像形成ステーションa〜dと対向する位置には、中間転写体として中間転写ベルト10が配置されている。中間転写ベルト10は、樹脂材料に導電剤を添加して導電性を付与した無端状ベルトである。中間転写ベルト10は、張架部材である駆動ローラ11、テンションローラ12、二次転写対向ローラ(二次転写対向部材)13の3軸で張架され、テンションローラ12により総圧60Nの張力で張架されている。中間転写ベルト10は、感光ドラム1a、1b、1c、1dと当接した対向部で同方向に移動する向きに、駆動源(不図示)によって回転する駆動ローラ11によって感光ドラム1a、1b、1c、1dと略同一の周速度で移動可能である。以下、中間転写ベルト10において、二つの張架部材(二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11)の間であって、各感光ドラム1a、1b、1c、1dからトナー像が一次転写される面を一次転写面Mとする。
図3(a)に示すように、中間転写ベルトの移動方向において、感光ドラム1bと感光ドラム1cの間の位置には、中間転写ベルト10に接触する接触部材である金属ローラ14が配置されている。なお、本実施形態では、接触部材は、二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11の間で複数の感光ドラムからトナー像が転写される一次転写面が形成される側で中間転写ベルト10に接触する部材である。
この金属ローラ14は、第2画像形成ステーションbと第3画像形成ステーションcとの中間位置で、感光ドラム1b、1cへの中間転写ベルト10の巻きつき量を確保できるようにする。その為に、感光ドラム1b、1cと中間転写ベルト10で形成される水平面に対して、持ち上げた位置で金属ローラ14の長手方向両端部を保持している。
金属ローラ14は、外径6mmのストレート形状のニッケルメッキされたSUS丸棒で構成され、中間転写ベルト10の回転に伴い、従動して回転する。金属ローラ14は、中間転写ベルト10の内周面側に配置され、中間転写ベルト10の移動方向と直交する長手方向の所定領域に亘って接触している。
第2画像形成ステーションbの感光ドラム1bと第3画像形成ステーションcの感光ドラム1c間の距離をW、感光ドラム1b、1cと金属ローラ14の距離をT、中間転写ベルト10に対する金属ローラ14の持ち上げ高さをH1と定義する。距離Wは、中間転写ベルトの移動方向において、隣接する軸中心と軸中心の間の距離である。本実施形態では、W=60mm、T=30mm、H1=2mmとする。また、感光ドラム1a、1dに対する中間転写ベルト10の巻きつき量を確保するため、図3(b)に示すように、張架ローラ11、13を感光ドラム1a、1b、1c、1dと中間転写ベルト10で形成される水平面よりも持ち上げている。感光ドラム1a、1dに対する中間転写ベルト10の巻きつき量を確保することによって、感光ドラム1a、1dと中間転写ベルト10との接触が不安定になることで発生する転写不良を抑制する効果がある。
張架ローラ13と感光ドラム1a間の距離をD1、張架ローラ11と感光ドラム1d間の距離をD2、中間転写ベルト10に対する張架ローラ13の持ち上げ高さをH2、張架ローラ11の持ち上げ高さをH3とする。その場合、それぞれD1=D2=50mm、H2=H3=2mmとなる。
本実施形態で使用した中間転写ベルト10は、周長700mm、厚さ90μmで、導電剤としてカーボンを混合した無端状のポリイミド樹脂を用いている。電気的特性としては、電子導電性の特性を示し、雰囲気中の温湿度に対する抵抗値変動が小さいのが特徴である。
また、本実施形態では、中間転写ベルト10の材料としてポリイミド樹脂を使用したものの、熱可塑性樹脂であれば、他の材料でもよい。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリロ二トリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の材料及びこれらの混合樹脂を使用しても良い。また、導電剤としてはカーボン以外に、導電性の金属酸化物微粒子を使用することが可能である。
本実施形態の中間転写ベルト10は、体積抵抗率で1×109Ω・cmである。体積抵抗率の測定は、三菱化学株式会社のHiresta−UP(MCP−HT450)にリングプローブのタイプUR(型式MCP−HTP12)を使用して測定する。測定条件は、室内温度は23℃、室内湿度は50%に設定し、印加電圧100[V]、測定時間10secの条件である。本実施形態では、中間転写ベルト10の体積抵抗率は、1×107〜1010Ω・cmの範囲のものが使用可能である。
ここで体積抵抗率は、中間転写ベルトの材料としての導電性の尺度であり、実際に周方向に電流を流して所望な一次転写電位を形成することが可能なベルト(以下、導電性ベルト)であるか否かは、周方向の抵抗の大きさが重要である。
中間転写ベルト10の周方向の抵抗については、図4(a)に示す周方向抵抗測定治具を使用して測定した。まず、装置の構成を説明する。測定する中間転写ベルト10は内面ローラ101と駆動ローラ102でたるみが無いように張架される。金属でできた内面ローラ101は高圧電源(TREK社製高圧電源:Model_610E)103に接続され、駆動ローラ102は接地されている。駆動ローラ102の表面は、中間転写ベルト10に対して十分に抵抗の低い導電ゴムで被覆されており、中間転写ベルト10が100mm/secとなるように回転する。
次に、測定方法について説明する。駆動ローラ102によって中間転写ベルト10を100mm/secで回転させた状態で内面ローラ101に一定電流ILを印加し、内面ローラ101に繋いだ高圧電源103で電圧[V]Lをモニターする。図4(a)に示す測定系は図4(b)に示す等価回路であるとみなす。その場合、内面ローラ101と駆動ローラ102までの距離L(本実施形態では300mm)の長さにおける中間転写ベルト10の周方向の抵抗RLはRL=2[V]L/ILによって算出することが出来る。このRLを中間転写ベルト10の100mm相当の中間転写ベルト周長に換算することで周方向の抵抗を求める。電流供給部材から中間転写ベルト10を通して感光体ドラム1に電流を流すため、周方向の抵抗は1×109Ω以下が好ましい。
本実施形態の構成では、前述した測定方法によって求められた、周方向の抵抗値で1×108Ωの中間転写ベルト10を用いている。本実施形態の中間転写ベルト10は、IL=5μAの定電流で測定を行い、その時のモニター電圧[VL]は750[V]であった。モニター電圧[VL]は、中間転写ベルト10の1周分の区間で行い、その区間測定値の平均値から求めている。また、RLに関しては、RL=2[VL]/ILであるため、RL=2×750/(5×10−6)=3×108Ωとなり、これを100mm相当に換算すると、周方向の抵抗値は、1×108Ωとなる。
本実施形態では、このように周方向に電流が流すことが可能な導電性ベルトを中間転写ベルト10として用いている。
以下、本実施形態の一次転写を実行する為の一次転写電位の形成方法について詳細に説明する。本実施形態の構成では、転写電源として二次転写部材に電圧を印加する二次転写電源21が、一次転写を行うための転写電源として使用される。すなわち二次転写電源21は、一次転写と二次転写の共通の転写電源であり、二次転写ローラ20が本実施形態の電流供給部材であり、二次転写対向ローラ13が本実施形態の対向部材である。二次転写電源21を共通の転写電源として使用すれば、一次転写専用の転写電源が必要なくなりコストダウンすることが可能である。
そして、二次転写電源21が二次転写ローラ20に電圧を印加することによって、二次転写ローラ20から中間転写ベルト10に電流を流す。中間転写ベルト10に流れた電流は、中間転写ベルト10の周方向に流れることで中間転写ベルト10を帯電し、各一次転写部で一次転写電位を形成している。この一次転写電位と感光ドラム電位との電位差によって、感光ドラム1a、1b、1c、1d上のトナーが中間転写ベルト10上に移動することで、一次転写を行っている。
図5は、中間転写ベルト電位と一次転写部での転写効率を示した結果となっている。縦軸の転写効率の値は、一次転写残濃度をマクベス濃度計(メーカー:グレタグマクベス社)で測定した結果を示しており、値が大きいほど一次転写残濃度が高くなるため、転写効率が低下することとなる。本実施形態の構成では、図5のグラフに示されるように一次転写効率が良好となる領域(95%以上の転写効率を達成する領域)は、150[V]〜450[V]の一次転写電位が必要である。
しかしながら、一次転写時には、各一次転写部において各感光ドラム1a、1b、1c、1dへ中間転写ベルト10から電流が流れるため、一次転写電位が所望の電位を維持することが難しい場合がある。例えば、中間転写ベルト10の移動方向において下流側の画像形成ステーション(c、d)は、電流供給部材である二次転写ローラ20から遠い。さらに、下流側の画像形成ステーション(c、d)に到達する中間転写ベルト10の領域は、上流の画像形成ステーション(a、b)の各感光ドラム1に電流が流れてしまった領域である。そのため、下流側の一次転写電位は、上流側よりも低下し易い。また、中間転写ベルト10の周方向に電流が流れる際に、中間転写ベルト10の抵抗によって電圧降下してしまうので、下流側が上流側より一次転写電位が低下し易い。
仮に、下流側の画像形成ステーションが一次転写電位を満たすように二次転写ローラ20から電流を供給すると、上流側の画像形成ステーションの一次転写電位が上昇し、所望の転写効率を得ることが出来なくなる場合がある。そのため、各一次転写部において所望の一次転写電位を維持することができず、転写不良を発生させる恐れがある。
そこで、中間転写ベルト10の一次転写面Mを形成する二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11が、電圧維持素子15を介して接地されている。電圧維持素子15が接続された二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11は、電流供給部材である二次転写ローラ20から中間転写ベルト10を介して電圧維持素子15に電流が流れることで、所定電位以上に維持される。所定電位は、所望の転写効率を得ることができる一次転写電位を各一次転写部で維持できるように設定された電位である。
さらに、二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11の間で、中間転写ベルト10の一次転写面Mが形成される側で中間転写ベルト10に接触する接触部材を配置する。本実施形態では、接触部材として金属ローラ14を配置し、金属ローラ14も電圧維持素子15を介して電気的に接地されている。
本実施形態では電圧維持素子15として、定電圧素子であるツェナーダイオード15を使用している。以下、ツェナーダイオード15に逆方向の電圧を印加した際にアノードとカソード間にかかる電圧をツェナー電圧と定義する。
電圧維持素子15としてツェナーダイオード15を使用する場合は、ツェナーダイオードのツェナー電圧の絶対値が、所定電位以上になるように設定すればよい。本実施形態では、所定電位を150[V]とする。よって、ツェナー電圧は、所定電圧以上を維持するための電圧として300[V]としている。
二次転写電源21から電圧が二次転写ローラ20に印加されることで、二次転写ローラ20から、中間転写ベルト10と二次転写対向ローラ13を介して、接地されているツェナーダイオード15に電流が流れる。このとき、ツェナーダイオード15は、カソード側からアノード側に電流を流すので、逆方向に電圧を印加された状態になる。ツェナーダイオード15のアノード側は接地されているので、ツェナーダイオード15のカソード側はツェナー電圧に維持される。したがって、ツェナーダイオード15のカソード側に接続されている二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11は、300[V]を維持する。また、金属ローラ14は、ツェナーダイオード15に接続されている為、二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11と同様に、300[V]を維持することが可能になる。
よって、一次転写面Mの領域内で、ツェナー電圧300[V]に維持された金属ローラ14によって、中間転写ベルト10に300[V]の電位に維持される箇所が発生する。また、300[V]に維持された二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11によって、中間転写ベルト10の移動方向における一次転写面の最上流の位置と、最下流の位置で、中間転写ベルト10の電位が300[V]に維持される。
このように、中間転写ベルト10の複数の箇所で、中間転写ベルトが所定電位以上に維持されている。そのため、二次転写ローラ20と中間転写ベルト10の接触部から供給される電流だけで一次転写電位を維持することが難しくなっても、足りない電流を二次転写対向ローラ13、駆動ローラ11又は金属ローラ14の接触部から供給することが可能になる。
尚、本実施形態では中間転写ベルト10にテンションを付与するためのテンションローラ12も電圧維持素子(ツェナーダイオード15)に接続されている。テンションローラ12を接地すると、電流が漏れてしまうが、本構成では電流の漏れを抑制可能である。また、テンションローラ12は、一次転写面に対応する中間転写ベルト10に接触する部材ではないので、電気的に絶縁してもよい。
次に、電圧維持素子を各部材に接続したことよって発生する効果について説明する。まず、二次転写対向ローラ13にツェナーダイオード15を接続した効果について説明する。図6に、二次転写部に記録材Pを突入させた前後における第1の画像形成ステーションの一次転写部の電位変化を測定結果である。図6の縦軸は、第1の画像形成ステーションの一次転写部の電位、横軸は時間経過を表している。本実施例の構成での二次転写プロセス中に、中間転写ベルト10に印加される電圧を測定した。TREK社製表面電位測定装置(Model370)及び専用プローブ(Model 3800S−2)を使用し、電圧測定を行っている。二次転写対向ローラ13にツェナーダイオード15を接続し、二次転写対向ローラ13から中間転写ベルト10を介した位置に配置された不図示の金属ローラの電位をモニタリングする事により、中間転写ベルト10の表面電位を測定している。
図6の点線は、ツェナーダイオード15を接続していない時であり、図6の実線は、ツェナーダイオード15を接続している時を表している。この時、二次転写ローラ20から印加された電流のうち過剰な電流を、中間転写ベルト10、二次転写対向ローラ13を介してツェナーダイオード15に流す事が出来るため、中間転写ベルト10の表面電位を所望の200[V]に安定させる事が出来ている。しかしながら、ツェナーダイオード15を接続しない場合では、上述の効果が得られないために、記録材が二次転写部に突入するタイミングから、第1の画像形成ステーションの一次転写部の中間転写ベルト電位が急激に変動している。
このように、二次転写対向ローラ13にツェナーダイオード15を接続することで、記録材が二次転写部に到達した際に二次転写電流を増加させても、一次転写電位を一定に保つことが可能である。
次に、一次転写面に対応する領域に配置された金属ローラ14にツェナーダイオード15を接続した効果について説明する。以下、比較例を用いて、効果の検証を行う。
各比較例に使用する中間転写ベルトは、本実施形態の中間転写ベルト10と同様に、周方向の抵抗値で1×108Ωの導電性ベルトを用いている。効果を調べるため、プロセススピード100mm/secの画像形成装置を用いて、本実施形態及び以下に示す2つの比較例について、一次転写中の各画像形成ステーション部における中間転写ベルト電位を測定した。なお、中間転写ベルト電位測定に関しては、TREK社製表面電位測定装置(Model370)及び専用プローブ(Model 3800S−2)を使用し、各一次転写部の中間転写ベルト10の裏面電位を測定した。
図7、図8を用いて各々の比較例の構成について記載した後、表1を用いて評価結果を述べる。
(比較例1)
図7に示す画像形成装置は、一次転写面を形成する二次転写対向ローラ13を電気的に接地し、駆動ローラ11に一次転写専用の転写電源を接続する構成である。これにより、駆動ローラ11に接続された転写電源から中間転写ベルト10を介して二次転写対向ローラ13に向かって電流を流すことで、各一次転写部に一次転写電位を発生させ一次転写を行う。なお、各ステーションの感光ドラム1a、1b、1c、1dの対向部には、感光ドラム1a、1b、1c、1dと中間転写ベルト10との接触を確保し、一次転写部を形成するために、ローラ部材17a、17b、17c、17dを配置している。ローラ部材17a、17b、17c、17dは、電気的にフロート状態でφ5の金属ローラに厚み2mmの弾性スポンジを被覆した構成となっており、中間転写ベルト10の回転に合わせて、従動回転する構成となっている。その他の画像形成装置の構成については、実施形態1(図1)と同様である。
(比較例2)
図8に示す画像形成装置は、一次転写面を形成する二次転写対向ローラ13にツェナーダイオード19(ツェナー電圧300[V])を接続し、駆動ローラ11を電気的に接地する構成である。これにより、二次転写電源21から中間転写ベルト10を介して二次転写対向ローラ13に向かって電流を流すことで、二次転写対向ローラ13に接続されたツェナーダイオードが300[V]を維持するようになる。そして、二次転写ローラ20から中間転写ベルト10の周方向に電流が流れ、各一次転写部に一次転写電位を発生させ一次転写を行う。この時、張架ローラ13には、ツェナーダイオード19に応じた電位となり(300[V])、この電位が起点となって、各画像形成ステーション部における中間転写ベルト電位に応じて、一次転写される。なお、比較例1と同様に、各ステーションの感光ドラム1a、1b、1c、1dの対向部には、ローラ部材17a、17b、17c、17dを配置している。その他の画像形成装置の構成については、比較例1と同様である。
次に評価結果について述べる。表1は、上述した実施形態及び2つの比較例における画像形成中の中間転写ベルト電位を測定した結果を示している。
比較例1の構成では、駆動ローラ11から二次転写対向ローラ13に向って電流が流れるが、中間転写ベルト10自身の抵抗による電圧降下と、各感光ドラムに対して電流がもれることによる電圧降下が発生する。そのため、二次転写対向ローラ13側の画像形成ステーションaの一次転写電位が、駆動ローラ11側の画像形成ステーションdの一次転写電位に対して低下してしまう。
例えば、比較例1の構成で画像形成ステーションaの一次転写電位を150[V]以上にする為に、転写電源に600[V]を印加すると、転写電源に近い第4画像形成ステーションd(ブラック)での中間転写ベルト電位は、500[V]と非常に高い値となっている。図5に示すように、中間転写ベルト電位が、所望の電位領域から外れてしまうと、転写効率が悪化してしまう。ここでは、転写電界が強くなりすぎると、一次転写部内で放電が発生してしまうことで、本来転写すべきトナーの極性を変えてしまうのが原因である。その結果、中間転写ベルト10に転写されるとトナー量が減ってしまい、第4画像形成ステーションd(ブラック)で濃度不良が発生してしまった。
比較例2の構成では、二次転写ローラ20から中間転写ベルト10を介して二次転写対向ローラ13接続されたツェナーダイオード19に電流が流れる。一定量以上の電流が流れることによってツェナーダイオード19はツェナー電圧300[V]を維持し、二次転写対向ローラ13も300[V]の電圧を維持する。そのため、上流ステーションの第1ステーションaでは、200[V]の中間転写ベルト電位を維持することが可能である。しかしながら、下流ステーションにいくにしたがって、中間転写ベルト電位が低下してしまっている。その結果、所定電位(150[V])よりも低い電位となっている、第3画像形成ステーションc(シアン)と第4画像形成ステーションd(ブラック)で、転写電界が弱いことによる転写不良が発生してしまった。
それに対し、本実施形態(図1)の構成では、第2画像形成ステーションbと第3画像形成ステーションcの間に金属ローラ14を配置し、且つ、中間転写ベルト10を張架するローラ11,12,13も含めて、ツェナーダイオード15を介して接地する。その構成により各ローラ部において、ツェナー電圧である300[V]を維持できるようになる。
比較例1、比較例2、本実施形態の各一次転写部の電位を表1にまとめる。表1に示すように、本実施形態の構成は、各一次転写部での変動が少なく、全ての一次転写電位を所望の転写効率が達成できる電位である所定電位(150[V])以上に維持することが可能である。
以上説明した通り、本実施形態によると、中間転写ベルト10の周方向に電流を流して一次転写電位を形成する一次構成において、第2画像形成ステーションbと第3画像形成ステーションcの間に、ツェナーダイオード15に接続された金属ローラ14を配置する。これにより、各一次転写部での一次転写電位の変動を抑制し、電流供給部材から中間転写ベルトへ電流を流すことで、良好な一次転写性を確保する効果がある。
本実施形態では、金属ローラ14の材質としてニッケルメッキされたSUSを使用したものの、これに限られることはなく、アルミニウム、鉄等の他の金属、または、導電ローラである導電性の樹脂ローラであっても良い。更には、金属ローラ上に弾性部材を被覆したような部材であっても、同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、中間転写ベルト電位を安定化させるため、電圧維持素子として定電圧素子であるツェナーダイオード15を使用したものの、同様の効果を得られる素子であれば、別の定電圧素子(例えば、バリスタなどの素子)を用いてもよい。また、電圧を所定電圧以上に維持できれば抵抗素子でも良く、例えば、100MΩの抵抗素子を使っても良い。抵抗素子を使用する場合、定電圧素子と違い抵抗素子に流れる電流量に応じて電位が変動するため、定電圧素子より電位の管理が難しくなる。
また、電圧維持素子は、複数の電圧維持素子を用いてもよい。本実施形態のように、共通の電圧維持素子15を使用することで、一つの電圧維持素子のみで全ての被接続部材(駆動ローラ11、二次転写対向ローラ13、金属ローラ14等)を同電位にすることが可能である。
また、任意の被接続部材と電圧維持素子15の間に抵抗素子を設けることで、抵抗素子が設けられた被接続部材と、抵抗素子が設けれていない被接続部材との間で電位差を形成してもよい。
また、第2画像形成ステーションbと第3画像形成ステーションcの間に金属ローラ14を1本配置する構成を示したものの、金属ローラ14は、第1画像形成ステーションaと第4画像形成ステーションの間であればどこに配置しても良い。また、図9のように第1画像形成ステーションaと第2画像形成ステーションbの間や、第3画像形成ステーションcと第4画像形成ステーションdの間に複数配置してもよい。
本実施形態のように、第2画像形成ステーションbと第3画像形成ステーションcの間に金属ローラ14を一つ配置することで、一次転写面Mのほぼ中央に所定電位以上を維持する領域を形成することが可能である。それによって、少ない金属ローラ数で一次転写電位の変動を抑制することが可能である。
また、中間転写ベルト10の一次転写面Mを形成する二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11の間に配置される接触部材は、中間転写ベルト10の外周面に接触させてもよい。中間転写ベルト10の外周面に接触させる場合は、例えば、中間転写ベルト10の長手方向端部に接触部材を接触させる方法が考えられる。
また、電流供給部材は、一次転写面Mを形成する張架部材に対向しなくてもよい。例えば、電流供給部材を二次転写ローラ20、対向部材を二次転写対向ローラ13を採用する場合であっても、図10に示すような、二次転写対向ローラ13が一次転写面Mに接触しない位置に設けられた画像形成装置に対しても適用可能である。このような構成であっても、中間転写ベルト10と二次転写対向ローラ13を介して二次転写ローラ13から電流がツェナーダイオード15に直接供給されるので、一次転写面Mに接触する金属ローラ14は、所定電位以上を維持することが可能である。
本実施形態における画像形成動作について、画像形成動作開始から一次転写経て、二次転写が終了するまでのベルト電位と転写電源が出力する2次転写電圧の関係を、図11のタイミングチャート用いて説明する。
コントローラ100から画像信号を受信することによって画像形成動作が始まり、1次転写が開始される前に、S1のタイミングで転写制御部201の制御により転写電源21から電圧V2を印加し始める。これにより、各一次転写部に電位V1が形成される。電位V1は、所望の転写効率を得ることができる一次転写電位以上の電位である。本実施形態では、電位V1を形成する設定として、転写電圧V2を2000Vとしている。続いて、S2のタイミングで第1画像形成ステーションから一次転写が開始され、感光ドラム1から中間転写ベルト10上にトナー像が順次転写される。S3のタイミングでは、中間転写ベルト10上のトナーが二次転写部に到達し、転写電圧を二次転写に必要な電圧V3に変更し、記録材へトナーを転写する。この時の転写電圧V3は2500Vとしている。次いで、S4のタイミングにおいて一次転写が終了し、その後、二次転写が終了し(S5)、画像形成動作が終了する。
図11で示すように、画像形成動作に合わせて、転写制御部201の制御により転写電源が出力する電圧を変動させて場合でも、中間転写ベルトの電位は、電圧維持素子によって維持することが可能である。
尚、図11では、転写電源21を転写制御部201が定電圧制御しているが、一定の電流が流れるように定電流制御を行ってもよい。
また、感光ドラム1a、1b、1c、1dの使用が進むと、感光ドラム表面は帯電ローラ2の放電により劣化し、また感光ドラム表面はクリーニング装置5と摺擦することにより削れ、その膜厚が薄くなる。このとき、使用状況(例えば累積回転数)の異なる感光ドラムが混在すると、各感光ドラムの膜厚はばらつきが生じる。この状態で複数の感光ドラムに一定の帯電電圧Vcdcを印加すると、一般的には、帯電ローラ2と感光ドラム1間のエアギャップに生じる電位差が異なり、感光ドラム表面の帯電電位Vdがばらついてしまう。各感光ドラム表面の帯電電位Vdがばらつくと、転写コントラスト(一次転写部における感光ドラム1と中間転写ベルト10の電位差)が変動してしまう。
そこで、帯電電位Vdのばらつきに応じて、一次転写専用の転写電源の印加電圧を変更することによって各一次転写部の電位を変更する方法が考えられる。しかしながら、本実施形態の構成では、一次転写専用の転写電源がないため、一次転写部の電位を各画像形成ステーションで任意に設定することができない。
そこで、使用環境や使用状態に応じてコントローラ100によって帯電ローラ2a、2b、2c、2dの帯電電圧をそれぞれ変更することで、感光ドラム表面の帯電電位Vdを均一にする方法が考えられる。これにより、各一次転写部で適正な一次転写コントラストを保つことができるようになる。
また、コストダウンのために各帯電ローラに電圧を出力する帯電電源を共通化した場合は、コントローラ100によって各露光手段3a、3b、3c、3dを制御する方法が考えられる。露光手段3a、3b、3c、3dにより画像信号に応じた静電潜像を形成する際に、弱露光によって、感光ドラム1a、1b、1c、1d面の非画像部領域を一様に露光することで、感光ドラム電位を安定化させることが可能である。
ここで、非画像部領域の弱露光について、第1の画像形成ステーションaの露光手段3aを例にとって、図12を用いて説明する。図12において、コントローラ100から送られて来る画像信号は、8ビット=256階調の深さ方向を持つ多値信号(0〜255)であり、この信号が0のときレーザー光はオフ、255のとき完全オン、1〜254の間では両者の中間の値を暫時持つものとする。ここで、非画像部露光レベルは、上記多値信号のレベルにより任意に設定することが可能である。以下の説明においては、この多値信号のレベルとして32を用いて、非画像部露光を行うものとする。コントローラ100から送られて来る画像信号が0の非画像部は、露光制御部203内の画像信号変換回路68aにより32に変換され、画像信号が1から255の値のもの関しては、33から255に圧縮変換している。その後、周波数変調回路61aにより、シリアルな時間軸方向の信号に変換され、本例では解像度が600ドット/インチの各ドットパルスのパルス幅変調に用いられる。
この信号により、レーザードライバー62aが駆動されてレーザーダイオード63aが発光し、レーザー光6aが出射する。このレーザー光6aは、ポリゴンミラー64a、レンズ65a、折り返しミラー66aを含んだ補正光学系67aを経て、走査光として感光ドラム1aに照射される。なお、周波数変調回路61aは、レーザードライバー62aとは離して、コントローラ側に設けても良い。
このように、非画像部を露光することで感光ドラム電位を安定化し、各感光ドラムの膜厚が変化しても良好な一次転写を行うことが可能である。
(実施形態2)
実施形態1では、二次転写対向ローラ13、駆動ローラ11、金属ローラ14に電圧維持素子を接続し、各一次転写部の電位変動を抑制することについて説明した。これに対し、本実施形態では、像担持体である各感光ドラム1a、1b、1c、1dに対応して、複数の接触部材を備え、その複数の接触部材に電圧維持素子を接続することを特徴とする。なお、その他の構成については実施形態1の画像形成装置と同様であるので、同様の部分については同様の符号を付して説明する。
以下図13、図14を参考にして、本実施形態の構成を説明する。図13は、本実施形態の画像形成装置を説明するための概略断面図である。
図13に示すように、本実施形態の構成では、各感光ドラム1a、1b、1c、1dに対応する位置に、中間転写ベルト10を介して金属ローラ23a、23b、23c、23dが各一次転写部よりも下流側にそれぞれ配置されている。中間転写ベルト10を張架する3本の張架ローラ11,12,13と、上記金属ローラ23a、23b、23c、23dは、電圧維持素子として定電圧素子であるツェナーダイオード15を介して接地されている。
上記金属ローラの構成について、図14を用いて詳細を説明する。図14は図13の中で、第1画像形成ステーションaの構成を拡大したものである。図14において、金属ローラ23aは、感光ドラム1aの中心位置に対して、中間転写ベルト10の移動方向下流側に8mmずれた位置に配置されている。また、感光ドラム1aへの中間転写ベルト10の巻きつき量を確保できるように、感光ドラム1aと中間転写ベルト10で形成される水平面に対して、金属ローラ23aの軸受を1mm持ち上げている。
金属ローラ23a、23b、23c、23dの配置については、感光ドラム1a、1b、1c、1dへの接触による傷を避けるため、感光ドラム1a、1b、1c、1dへ接触しない範囲内で、中間転写ベルト電位を安定化させるために、なるべく近づけるようにしている。ここで金属ローラ23a、23b、23cは、中間転写ベルト10の移動方向において、それぞれが対応する一次転写部よりも下流側の位置、且つ、下流側で隣接する感光ドラム1よりも、対応する一次転写部に近い位置に設けられている。また、金属ローラ23dは、対応する一次転写部よりも下流側の位置、且つ、下流側で隣接する駆動ローラ11よりも、対応する一次転写部に近い位置に設けられている。
第1の画像形成ステーションaの感光体ドラム1aと第2の画像形成ステーションbの感光体ドラム1bとの間の距離をW、金属ローラ23aのオフセット距離をK、中間転写ベルト10に対する金属ローラ23aの持ち上げ高さをH4とする。本実施形態では、W=60mm、K=8mm、H4=1mmとなる。なお、金属ローラ23aは、実施形態1と同様に、外径6mmのストレート形状のニッケルメッキSUS棒で構成され、中間転写ベルト10の回転に伴い、従動して回転する。金属ローラ23aは、中間転写ベルト10の移動方向と直交する長手方向の所定領域に亘って接触している。
第2の画像形成ステーションbに配置される金属ローラ23b、第3の画像形成ステーションcに配置される金属ローラ23c、第4の画像形成ステーションdに配置される金属ローラ23d、についても金属ローラ23aと同様の構成となる。その他の画像形成装置構成については、実施形態1と同様であるため、説明は省略する。そして、転写電源21から二次転写ローラ20に電圧を印加することで、中間転写ベルト10を介して二次転写対向ローラ13(二次転写対向部材)に電流が流れる。そして、その電流によってツェナーダイオード15がツェナー電圧(300[V])を維持することになる。ツェナーダイオード15がツェナー電圧を維持することによって、ツェナーダイオード15に接続された各金属ローラ23a、23b、23c、23dもツェナー電圧を維持することになる。
このように、各一次転写部の近傍に配置された金属ローラ23a、23b、23c、23dが、ツェナーダイオード15によって300[V]に維持されている。よって、中間転写ベルト10の各一次転写部近傍で所定電位(150[V])以上に維持される領域を形成することになり、それによって各一次転写部での一次転写電位の変動を最小限に抑え、より良好な一次転写性を確保する効果がある。さらに、本実施構成では、一次転写部毎に近傍に所定電位領域を形成するため、実施形態1の構成よりも、より周方向の抵抗が大きい導電性ベルト(一次転写部毎の電位が変動し易いベルト)を中間転写ベルト10として使用することが可能になる。ベルトの抵抗が低く電流が流れ易いと、一次転写された中間転写ベルト10上のトナー像が飛散し傾向にある。よって、飛散り対策に中間転写ベルト10の抵抗を高くする場合、中間転写ベルト10の周方向に電流が流れにくくなるが、接触部材の数を増やすことで良好な一次転写を行うことが可能である。
本実施形態のように、各金属ローラを一次転写部の下流側に配置する構成であれば、各金属ローラを各感光ドラム1に電流が流れベルト電位が低下した側に配置することになる。よって、一次転写部の上流側に配置するよりも下流側に配置するほうが、一次転写部と金属ローラの間に形成される電位差を大きくし、より電流を供給し易くすることが可能である。
本実施形態では、一次転写部の構成として、各感光ドラム1a、1b、1c、1dの対向位置に対して所定量下流側移動させる構成を示したものの、この構成に限る必要はない。図15に示すように、各接触部材を感光ドラムの直下(対向する位置)に配置する構成であってもよい。図15のように、金属ローラを、感光ドラム直下に配置する場合には、一次転写部確保のために感光ドラム1a、1b、1c、1dに対向部材22a、22b、22c、22dを接触させなければならないため、表層に弾性の導電層を設けたローラが好ましい。
図16に示すよう感光ドラム1aには金属ローラを配置せず、感光ドラム1b、1c、1dの対向位置に対し所定量ずらして金属ローラ23b、23c、23dを配置し、張架ローラ11,12,13とともにツェナーダイオード15を介して接地するような構成であってもよい。画像形成ステーションa(イエロー)に関しては、実施形態1で説明したように、電流供給部材20に近いため、他の画像形成ステーションに比べて二次転写ローラ20から電流供給により一次転写電位を維持できると考えられる。この構成により、画像形成ステーションa(イエロー)に対応する接触部材(金属ローラ23a)を無くすことでコストダウンすることが可能になる。
また、図17に示すように、図3で示した構成に対して、一次転写面Mを形成する駆動ローラ11に関しては、ツェナーダイオード15を接続しない構成であってもよい。(駆動ローラ11は電気的に絶縁になるように構成する。)
その場合、駆動ローラ11に近い画像形成ステーションdの一次転写電位は、一次転写部近傍の金属ローラ24dからの補償される電流によって維持することになる。図17のように、各金属ローラ23と、二次転写ローラ20に中間転写ベルト10を介して対向する二次転写対向部材13とに、電圧維持素子であるツェナーダイオード15が接続されていれば、図13の構成と同様な効果を得ることが可能である。また、中間転写ベルト10の導電性がより低いものを採用すれば、二次転写対向ローラ13と金属ローラ23dのみにツェナーダイオード15を接続する構成でもよい。
また、一次転写面Mを形成する二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11の間に配置される接触部材は、中間転写ベルト10の外周面に接触させてもよい。中間転写ベルト10の外周面に接触させる場合は、例えば、中間転写ベルト10の長手方向端部に接触部材を接触させる方法が考えられる。
本実施形態も実施形態1と同様に、中間転写ベルト電位を安定化させるため、電圧維持素子として定電圧素子であるツェナーダイオード15を使用したものの、同様の効果を得られる素子であれば、別の定電圧素子(例えば、バリスタなどの素子)を用いてもよい。また、一次転写電位を所定電位以上に維持できれば抵抗素子でも良く、例えば、100MΩの抵抗素子を使っても良い。その場合、定電圧素子と違い抵抗素子に流れる電流量に応じて電位が変動するため、定電圧素子より電位の管理が難しくなる。
また、電圧維持素子は、複数の電圧維持素子を用いてもよい。本実施形態のように、共通の電圧維持素子15を使用することで、一つの電圧維持素子のみで全ての駆動ローラ11、二次転写対向ローラ13、金属ローラ24等を同電位に維持することが可能である。
(実施形態3)
実施形態1、2では、電圧維持素子としてツェナーダイオードを採用し、各張架部材、接触部材を正極性の電位を維持する構成を説明した。本実施形態では、各張架部材、接触部材にツェナーダイオードのアノード側を接続し、ツェナーダイオードに接続された各張架部材、接触部材を負極性の電位に維持することを可能にする。
図18は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略図である。実施形態2の図13の電圧維持素子を、ツェナーダイオード15を複数のツェナーダイオード15f、15eに変更した以外は、実施形態2の画像形成装置と同様であるので、同様の部分については同様の符号を付して説明する。
本実施形態では、電圧維持素子15としてツェナー電圧200[V]のツェナーダイオード15eのアノード側を接地している。そしてツェナーダイオード15eのカソード側とツェナーダイオード15fのアノード側を接続し、ツェナーダイオード15fのカソード側を二次転写対向ローラ13と駆動ローラ11に接続している。ツェナーダイオード15fは、ツェナー電圧400[V]を有する。ツェナーダイオード15eを第1のツェナーダイオードとすると、ツェナーダイオード15fは第2のツェナーダイオードであり、逆向きに接続されている。またツェナーダイオード15eのツェナー電圧200[V]を第1の所定電位とすると、ツェナーダイオード15fのツェナー電圧400[V]は第2の所定電位であり、それぞれ絶対値が異なっている。
以下に、中間転写ベルト10の電位を、負極性に維持する場合について説明する。例えば、中間転写ベルト10を清掃する為に中間転写ベルト10上の負極性の付着トナーを各感光ドラム1a〜1dに移動させる場合に、中間転写ベルト10の電位を負極性に維持する必要がある。
二次転写電源21から負極性の電圧(−1000[V])が二次転写ローラ20に印加されることで、接地されているツェナーダイオード15eから、中間転写ベルト10と二次転写対向ローラ13を介して、二次転写ローラ20に電流が流れる。この時、ツェナーダイオード15fは、カソード側からアノード側に電流を流すので、逆方向に電圧を印加された状態になる。ツェナーダイオード15fのカソード側はツェナーダイオード15eを介して接地されているので、ツェナーダイオード15fのアノード側はツェナー電圧に維持される。したがって、ツェナーダイオード15fのアノード側に接続されている二次転写対向ローラ13、駆動ローラ11、金属ローラ23a、23b、23c、23dの電位は―400[V]を維持する。
正極性の電圧を印加した場合と同様に、一次転写面の上下流で中間転写ベルト10の電位を等電位にすることで、一次転写面に亘って中間転写ベルトの電位変動を抑え、各一次転写部電位を所望の電位(−400[V])に維持し易くすることが可能である。各一次転写部電位を所望の負極性電位に維持することで、中間転写ベルト10に付着したトナーのうちの負極性のトナーを各感光ドラム1a〜1dに移動させることが可能になる。
本実施形態では、電圧維持素子として複数のツェナーダイオードを採用し、複数のツェナーダイオードを直列に接続しているが、その理由について説明する。
図19は、二次転写電圧と中間転写ベルト電位の関係を説明する図である。横軸が二次転写電圧[V]、縦軸がベルト電圧[V]を表している。電圧維持素子として、抵抗値が大きな抵抗素子(100[MΩ]の抵抗素子)、バリスタ(バリスタ電圧200[V])、ツェナーダイオードを採用した場合の、二次転写電圧とベルト電位の関係を表している。図25に示されるように、電圧維持素子がバリスタの場合は、ベルト電位が正極性も負極性も同じ大きさの電圧(バリスタ電圧)で保たれる特性になる。これは、バリスタの両端に印加される電圧がバリスタ電圧を超えると、バリスタは急激に電流を流すようになるため、バリスタの両端はバリスタ電圧で維持されるからである。電圧維持素子が抵抗素子の場合、二次転写電圧を大きくするとベルト電位も比例して大きくなる特性がある。
図19の示したように、電圧維持素子としてバリスタを採用すると正極性と負極性のベルト電位の値が一意的(バリスタ電圧)に決定してしまうため、正極性と負極性のベルト電位の値を独立に最適化することができない。例えば、一次転写を行うために各一次転写部電位を200[V]、中間転写ベルト10から各感光ドラムに負極性のトナーを移動させるために各一次転写部電位を−400[V]に維持したい場合に、その要求を満たすことができない。
電圧維持素子として抵抗素子を採用すると、抵抗の片側が接地されているため、正極性と負極性のベルト電位の値は、二次転写電圧に比例して電圧値が上昇する。二次転写電圧は、記録材の材質や周囲環境により適正な値が大きく変化する。一方、一次転写に適した一次転写部電位は、記録材の材質や周囲環境によりあまり変化しない。したがって、記録材の材質や周囲環境によっては、二次転写電圧と一次転写に適した一次転写部電位の両者を適正な値にすることが困難になる。
それに対し、電圧維持素子としてツェナーダイオードを採用する場合、一次転写面に亘って中間転写ベルトの電位変動を抑えつつ、ベルト電位を正極性と負極性それぞれ所定のツェナー電圧に維持することができることができる。よって、電流供給部材から中間転写ベルトに電流を流し、各一次転写部電位を形成する構成において、電源から正極性、負極性の電圧を印加しても各一次転写部電位の変動を抑制し、それぞれ独立して所望の一次転写電位を形成することが可能である。
また、本実施形態では、正極性の電圧を出力する為に1つのツェナーダイオード15eでツェナー電圧を出力する構成を示したものの、この構成に限ることはない。図20に示すように、電圧維持素子としてツェナーダイオードを、三つ直列に接続している。具体的には、ツェナーダイオード15fのカソード側を接地し、ツェナーダイオード15fのアノード側とツェナーダイオード15eのアノード側を接続する。ツェナーダイオード15eのカソード側は、金属ローラ23aとツェナーダイオード15gのアノード側に接続されている。そして、ツェナーダイオード15gのカソード側に二次転写対向ローラ13、金属ローラ23b、c、d、駆動ローラ11が接続されている。
定電圧素子は夫々、ツェナーダイオード15eとしてツェナー電圧200[V]のツェナーダイオード、ツェナーダイオード15fとしてツェナー電圧400[V]のツェナーダイオード、ツェナーダイオード15gとしてツェナー電圧50[V]のツェナーダイオードである。
転写電源21から二次転写ローラ20に正極性の電圧を印加し、二次転写ローラ20から中間転写ベルト10と二次転写対向ローラ13を介してツェナーダイオード15g、ツェナーダイオード15eに一定の電流が流れると、それぞれのツェナー電圧が維持される。ここで、ツェナーダイオード15eのカソード側に接続されている金属ローラ23aは200[V]を維持する。その他の金属ローラ23b、c、dは、ツェナーダイオード15gのカソード側に接続されているので、ツェナーダイオード15eとツェナーダイオード15gのツェナー電圧を足し合わせた電圧250[V]を維持することが可能である。そして負極性の電圧を二次転写ローラ20に印加した場合は、すべての金属ローラ23a、b、c、dが−400[V]を維持することが可能である。例えば、構成によって、第2、3、4の画像形成ステーションの一次転写部電位を第1の画像形成ステーションよりも高くして第2画像形成ステーション以降の転写性を良くすることが可能である。
接続するツェナーダイオードの数を変更して、さらに第2、3、4の画像形成ステーションの一次転写部電位をステーション毎に変更してもよい。また、負極性の電圧を印加した時に一次転写部電位をステーション毎に変更するために、アノード側が接地側にあるツェナーダイオードの数を増やしてもよい。
(実施形態4)
実施形態1では、電流供給部材として二次転写ローラ20のみを使用し、二次転写ローラ20から中間転写ベルト10に電流を供給する構成について説明した。これに対し、本実施形態では、電流供給部材として二次転写ローラ20に加え、他の導電部材からも中間転写ベルト10に電流を供給することを特徴とする。
具体的には、本実施形態では、導電部材として、中間転写ベルト10上の残トナーを清掃するための帯電部材18、17を用いることを特徴とする。なお、その他の構成については実施形態1の画像形成装置と同様であるので、同様の部分については同様の符号を付して説明する。
図21は、本実施形態の画像形成装置を説明するための概略断面図である。本実施形態の画像形成装置は、実施形態1の画像形成装置のクリーニング装置16の代わりに、帯電部材である導電性ブラシ部材18、帯電ローラ部材17を使用して中間転写ベルト10上に残ったトナーを回収する。
二次転写後に中間転写ベルト10上に残ったトナーは、帯電部材である導電性ブラシ部材18、帯電ローラ部材17によって帯電される。導電性ブラシ部材18は、導電性を有する繊維で構成されている。導電性ブラシ部材18には、ブラシ帯電電源60から、所定の電圧が印加され、二次転写残トナーを帯電する構成となっている。本実施形態では、現像器に収容されたトナーの正規の帯電極性は負極性であるので、導電性ブラシ部材18に正極性の電圧をブラシ帯電電源60(第一の帯電電源)から印加して、二次転写残トナーを正極性に帯電する。
導電性ローラ17としては、体積抵抗率109Ω・cmのウレタンゴムを主成分とする弾性ローラを用いた。導電性ローラ17は、中間転写ベルト10を介し二次転写対向ローラ13に対向し総圧9.8Nで不図示のバネにより加圧され、中間転写ベルト10の回転に伴い、従動して回転する。また、導電性ローラ17には、ローラ帯電電源70(第二の帯電電源)から、1500Vの正極性の電圧が印加され、二次転写残トナーを正極性に帯電する構成となっている。
導電性ブラシ部材18は、導電性を有する繊維で構成されている。導電性ブラシ部材16には、導電性ブラシ高圧電源60から、所定の電圧が印加され、2次転写残トナーを帯電する構成となっている。導電性ブラシ部材18を構成する導電性繊維18aはナイロンを主成分とし、密度は100kF/inch2である。導電性繊維18aは、導電剤としてカーボンを使用し、導電性繊維18aの1本の単位長さあたり抵抗値は1×108Ω/cmであり、繊度300T/60Fである。
以上説明した構成において、中間転写ベルト10のクリーニング方法について図22を用いて説明する。
本実施形態において、上述したように現像器4a〜dでトナーは負極性に帯電された後、感光ドラム1a〜1dに現像され、一次転写部で中間転写ベルト10に一次転写される。その後、転写電源21より正極性の電圧を印加された二次転写ローラ20により紙等の記録材Pに二次転写して画像形成を行っている。図22に示すように、二次転写後に中間転写ベルト10上に残留した二次転写残トナーは、二次転写ローラ20に印加した正極性の電圧の影響により正極性に帯電され易い。その結果二次転写残トナーは、正負の極性が混在している。また、記録材P表面の凹凸の影響を受け、二次転写残トナーは局所的に複数層に重なって中間転写ベルト10上に残留する(図22中A)。
中間転写ベルト10の回転方向に対し上流側に位置する導電性ブラシ部材18は回転移動する中間転写ベルト10に対して固定配置され、かつ中間転写ベルト10に対して所定の侵入量で配置されている。導電性ブラシ部材18は、中間転写ベルトの移動中に回転することなく装置内に支持されている。そのため、導電性ブラシ部材18と中間転写ベルト10で形成する帯電部を二次転写残トナーが通過する際は、中間転写ベルト10上に複数層に堆積していた二次転写残トナーは、導電性ブラシ部材18との周速差により機械的に略一層の高さに散らされる(図22中B)。
また、導電性ブラシ部材18にはブラシ帯電電源60より正極性の電圧を印加し定電流制御を行うことで、二次転写残トナーが帯電部を通過時に現像時のトナー極性と逆極性である正極性に帯電する。正極性に帯電しきれなかった負極性トナーは、導電性ブラシ部材18に回収される。その後、導電性ブラシ部材18を通過した二次転写残トナーは、中間転写ベルト10の移動方向に移動し、導電性ローラ部材17に到達する。導電性ローラ部材17には、ローラ帯電電源70により正極性の電圧(本実施形態は1500V)が印加されている。導電性ブラシ部材18を通過し、正極性に帯電された二次転写残トナーは、導電性ローラ部材17通過時に更に帯電される(図22中C)。
最適な電荷が付与された二次転写残トナーは、一次転写部において負極性に帯電された感光ドラム1aに移動させる。中間転写ベルト10から感光ドラム1aに移動した二次転写残トナーは、感光ドラム1a上に配置されたクリーニング装置5aへ回収される。
尚、正極性に帯電された二次転写残トナーを中間転写ベルト10から感光ドラム1aへ移動させるタイミングは、トナー像を感光ドラム1aから中間転写ベルト10に一次転写させるタイミングと同時(転写同時)に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
本実施形態では導電性ブラシ部材18の中間転写ベルト10の回転方向下流側に導電性ローラ部材17を配置しているが、その目的とするところは、帯電部を通過後の帯電量をより均一にすることである。従って、導電性ローラ部材17が無くても二次転写残トナーの帯電量が所定の範囲内であれば、導電性ブラシ部材18のみで二次転写残トナーを帯電してもよい。
上述のように、本実施形態では、電流供給部材として二次転写ローラ20に加え、帯電部材である導電性ブラシ部材18、帯電ローラ17を用いることを特徴とする。以下、その理由について説明する。
実施形態1の二次転写ローラ20の役割には、二次転写性を満たすために二次転写用の所望の電流量を流すことと、一次転写部の中間転写ベルト10の電位を保つために一次転写用の所望の電流量を各感光ドラム1へ流すことの、二つの役割がある。よって、実施形態1では、二次転写用の所望の電流量と一次転写用の所望の電流量を、電流供給部材として二次転写ローラ20のみから供給する必要があった。
ここで、二次転写用の所望の電流量と一次転写用の所望の電流量の関係について説明する。二次転写用の所望の電流量は、二次転写部での記録材Pに対する転写効率が最適になる電流値に設定することが望ましい。本実施形態における、二次転写性の電流推移を図23に示す。図23は、二次転写電流値と二次転写部での転写効率を示した結果となっている。縦軸の転写効率の値は、二次転写残濃度をマクベス濃度計(メーカー:グレタグマクベス社)で測定した結果を示している。縦軸の値が低いほど、転写効率が高いことを示している。記録材PにはBusiness4200(坪量:75g/m2)(メーカー:Xerox社)の開封直後の紙を用いている。この結果から、本実施形態での二次転写に最適な電流量は、最も転写効率が優れた10μAである。
次に、一次転写電位を安定させるために一次転写用の所望の電流量について説明する。二次転写対向ローラ13や、駆動ローラ11、金属ローラ14に電圧維持素子(ツェナーダイオード)15を接続した状態で、二次転写ローラ20から電流を供給した時に得られる中間転写ベルト10の電位の関係を示した結果を、図24に示す。縦軸に電圧維持素子が接続された各部材が中間転写ベルトに接触する領域の電位、横軸に電流値を取っている。
図24内の破線は、一次転写を好適に行うために必要な電位を満たしている電流値となり、その電流値より大きければ、各一次転写部で一次転写を行うに足る電位を形成することが可能である。図24の結果から、本実施形態での一次転写に必要な電位を保つために必要な二次転写電流は、20μA以上となる。二次転写ローラ20から中間転写ベルト10を介して供給された電流は各画像形成ステーションの一次転写部に均等に分配されて流れ込むと考えると、本実施形体では、各画像形成ステーションの感光ドラム1に対して5μAずつ流れると考えられる。電流過剰分は、ツェナーダイオード15側に流れ込む。
よって、一次転写を好適に行うために必要な電流量をTA、中間転写ベルト10に供給される電流量をTBとすると、TBがTA以上を満たすことで、所望の一次転写性能を得ることができる。
電流量TBを二次転写ローラからのみで供給しようとすると、20μA以上を供給する必要があり、二次転写性能が最適な値になる電流量の10μAよりも大きくなってしまう。そこで、実施形態1のように二次転写ローラからのみから電流を供給する場合は、二次転写性能が許容できる範囲で二次転写ローラから供給する電流量を大きくして、所望の一次転写性能を得る必要があった。
そこで、本実施形態では、電流供給部材として帯電部材18、17も使用することで、二次転写ローラ20から供給する電流量を二次転写用の所望の電流量に対して最適になるように設定しつつ、一次転写性も満足することが可能になる。
具体的には、コントローラ100が、ブラシ帯電電源60とローラ帯電電源70を制御して、導電性ブラシ部材18と導電性ローラ17から中間転写ベルト10に電流を供給する。
上述のように、一次転写に必要な電流は20μAである。よって、導電性ブラシ部材18、導電性ローラ17、二次転写ローラ20の合算電流が20μA以上であれば、一次転写に必要な電位は保持される。そこで、帯電部材18、17から10μA以上の電流を供給すれば、二次転写ローラ20から供給する電流10μAであっても、合計で20μA以上となり、二次転写と一次転写を良好に行える。
本実施形態の転写プロセス持の電圧印加タイミングについて、図25を参照して説明する。図25は、画像形成動作開始から一次次転写、二次転写を経て、記録材Pが2枚出力されメインモータが停止するまでの一連の動作を説明する。
画像形成開始時にメインモータをONした状態で、コンロローラ100が各電源を制御して、導電性ブラシ部材18と導電性ローラ17に電流(トナー保持電流)が流れる。(S1)。これは、導電性ブラシ部材18と導電性ローラ17が保持しているトナーの落下を抑制するためである。この時の導電性ブラシ部材18と導電性ローラ17に流れる電流の合算電流である帯電電流の値(トナー保持電流値)は5μAとしている。以下、帯電部材(導電性ブラシ部材18と導電性ローラ17)から中間転写ベルト10に流れる電流を帯電電流とする。
像形成が始まり一次転写が開始される前に、二次転写ローラ20から中間転写ベルト10に対する電流供給を開始する(二次転写ローラ20から供給される電流のことを、以下では二次転写電流とする)。同時に、帯電電流も増加させ、導電性ブラシ16と導電性ローラ17から中間転写ベルト10に電流(一次転写補償電流)を供給する。(S2)。本実施形態では、二次転写電流値が10μA、一次転写補償電流値が15μAとなる。尚、それぞれが供給する電流値は、この設定に限定されない。一次転写のみを行っている時は、例えば、二次転写ローラ20のみから必要な電流を供給してもよい。
所定の電流が中間転写ベルト10に供給されている状態で、一次転写が開示され(S3)、各感光ドラム1から中間転写ベルト10上にトナー像が順次転写される。中間転写ベルト10に一次転写されたトナー像が二次転写部に到達すると、帯電電流を二次転写に必要な電流値に変更する。具体的に、コントローラ100が、二次転写電流値を10μAのまま定電流制御を行い、帯電電流をトナー帯電電流値としての20μAと増加させている(S4)。即ち、本実施形態では、二次転写電流値は、二次転写に最適な電流値として設定された二次転写電流値(10μA)を、一次転写、二次転写を行っている間に供給し続けることが可能である。
その後、二次転写中に一次転写が終了する(S5)。その後、二次転写が終了したタイミングで二次転写電流をOFFにする。(S6)。
二次転写により発生した二次転写残トナーの後端が、導電性ブラシ16および導電性ローラ17を通過するタイミング(S7)まで、導電性ブラシ16と導電性ローラ17の合算電流を20μAのまま維持しトナーを帯電する。S7が終わったタイミングで、帯電電流をトナー保持電流に変更してもよい。中間転写ベルト10上のクリーニング終了時に導電性ブラシ16と導電性ローラ17に印加する電圧をOFFし(S8)、一連の画像形成動作を終了する。
このように、二次転写を実行するタイミングでは、二次転写ローラ20から供給する電流は、二次転写に最適な電流量である10μAとなり、一次転写に足りない分を帯電部材18、19からの帯電電流によって補うことが可能になる。よって、本実施形態では、二次転写性能をより向上させつつ、一次転写を良好に行うことが可能である。
また、本実施形態では、電流供給部材として帯電部材を使用したが、特にこの構成に限定されない。例えば、実施形態1のクリーニング装置16が備えるクリーニングブレードを導電部材として採用してもよい。具体的には、クリーニングブレードに電圧を印加する構成にして、クリーニングブレードを電流供給部材として用いても良い。
尚、帯電電流は、導電性ブラシ部材18や導電性ローラ部材17の二つの合算電流でなくてもよい。例えば、帯電部材を導電性ブラシ部材18のみで形成する場合、帯電電流は、導電性ブラシ部材18から供給される電流のことである。
また、実施形態2のように、各一次転写部に対応して対応部材を配置する構成にも適用することが可能である。例えば、図26に示すように、実施形態2で説明した図17のクリーニング装置16を導電性ブラシ部材18に変更した構成においても、同様の効果がある。
また、中間転写ベルト10の周方向の抵抗が低いものであれば電圧降下が発生し難いので、帯電電流によって中間転写ベルト10に供給する電流量を増やし一次転写部に供給する電流を増やすことが可能になる。二次転写電流量を増加することなく、各一次転写部に供給する電流量を増やすことができれば、画像形成時における各一次転写部の電位の変動を抑制する効果がある。
図27は、以下の画像形成装置を説明する概略図である。図27の画像形成装置は、図21に対して、一次転写面を形成する二つの張架部材(二次転写対向ローラ13、駆動ローラ11)に電圧維持素子としてツェナーダイオード15を接続することは同様であるが、接触部材である金属ローラ14を備えない点で相違する。図27のように、一次転写面を形成する二次転写ローラ13と駆動ローラ11が所定電位以上に維持された状態で、二次転写ローラ20以外から供給される電流が増加させることで、各一次転写部に流れる電流を多くすることが可能である。この構成によって、二次転写ローラ20から供給する電流を増やすことなく、各一次転写部に流れる電流を増やすことが可能になる。また、図28で説明するように、帯電部材16、18の代わりに、クリーニング装置16を配置し、クリーニング装置16のクリーニングブレードに補助電源80を接続する構成でも、図27で説明した画像形成装置と同様の効果がある。