JP2016056574A - 勾配屋根用雪止め装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な傾斜角度の勾配屋根において、雪止め板により太陽熱を高い効率で集熱して積雪を融かす雪止め装置を提供する。【解決手段】勾配屋根用雪止め装置100は、横葺き屋根130上に設置される。勾配屋根用雪止め装置100は、雪止め板110と複数の取付け金具120で構成される。雪止め板110は、長手方向が横葺き屋根130の傾斜方向と垂直になるように設置される長い平板を含む。雪止め板110は、雪止め板110の表面111で太陽光を受けるとき、太陽光で生じる熱を雪止め板110の裏面に伝えて雪止め板110の裏面に接する積雪を融かす。取付け金具120は、横葺き屋根130の表面に沿って接触する勾配屋根接触部121と雪止め板110を支える雪止め板支持部123とを備えている。勾配屋根接触部121と雪止め板支持部123とのなす角度を選択することによって、雪止め板110と横葺き屋根130とのなす角度を変更できる。【選択図】図1

Description

本発明は、勾配屋根上の積雪の落雪を防ぐとともに、太陽熱を集熱して積雪を融かす勾配屋根用雪止め装置に関する。
特許文献1は、軒先または壁面に設けた金属板と勾配屋根上の雪止め装置とで太陽熱を集熱し、勾配屋根上の積雪を融かす屋根融雪装置を開示する。
また、特許文献2は、太陽熱と電熱を併用して勾配屋根上の積雪を融かす屋根融雪装置で用いられる縦葺き屋根用の雪止め装置を開示する。
特開2010−216229号公報 特許5518243号公報
特許文献1に記載の屋根融雪装置は、積雪を堰き止めるとともに太陽熱を集熱して積雪を融かす雪止め板(横連結バー)を備えている。一方、降雪の多い地方は、緯度が高いため、冬に太陽高度が低くなる。例えば、2月10日の北緯32度、東経141.3度(札幌市)における太陽高度は南中時でも32°にしかならない。そこで、特許文献1に記載の屋根融雪装置では、雪止め板は、太陽光ができるだけ垂直に近い角度で入射するように傾けて設置される。
特許文献2に記載の雪止め装置も、特許文献1に記載の屋根融雪装置と同様に、太陽熱を集熱して積雪を融かす雪止め板を備える。
ところで、勾配屋根には、2.8°から51.3°まで様々な傾斜角度のものがある。
本発明の目的は、様々な傾斜角度の勾配屋根において、太陽熱を高い効率で集熱して積雪を融かすことができる勾配屋根用雪止め装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の勾配屋根用雪止め装置は、
勾配屋根の上に設置される勾配屋根用雪止め装置であって、
長手方向が前記勾配屋根の傾斜方向と垂直になるように設置される長い平板を含み、当該平板の一方の主面で太陽光を受けるとき、当該太陽光で生じる熱を当該平板の他方の主面に伝えて当該他方の主面に接する積雪を融かす雪止め板と、
前記勾配屋根の表面に沿って接触する勾配屋根接触部と前記雪止め板を支える雪止め板支持部とを備えており、前記勾配屋根の傾斜角度に応じて当該勾配屋根接触部と当該雪止め板支持部とのなす角度を選択することができる2個以上の取付け金具と、
を備えることを特徴とする勾配屋根用雪止め装置。
好ましくは、本発明の勾配屋根用雪止め装置は、
前記取付け金具が、軒先側から前記雪止め板を支えることを特徴とする。
好ましくは、本発明の勾配屋根用雪止め装置は、
前記勾配屋根が、横ハゼの一つが立てられた横葺き屋根であり、
前記雪止め板が、前記平板の一方の側部に、前記取付け金具の幅以上の間隔で設けられた2つの切込みの間の部分が折り曲げられた雪止め板ハゼ固定部を備え、
前記取付け金具が、前記勾配屋根接触部と前記雪止め板支持部との間に、前記雪止め板ハゼ固定部に対向して配置され、前記雪止め板ハゼ固定部とともに前記立てられた横ハゼを挟持する取付け金具ハゼ固定部を備え、
前記雪止め板支持部の上部と、前記雪止め板の平板とが固定される、
ことを特徴とする。
好ましくは、本発明の勾配屋根用雪止め装置は、
前記勾配屋根が、折板屋根であり、
前記雪止め板が、前記平板の一方の側部に、前記板折屋根の形状に合致する凹凸を有し、
前記取付け金具の勾配屋根接触部が、前記板折屋根の表面に密着し、前記板折屋根に固定され、
前記取付け金具の雪止め板支持部が、前記雪止め板の平板に密着し、前記雪止め板に固定される、
ことを特徴とする。
好ましくは、本発明の勾配屋根用雪止め装置は、
前記勾配屋根が、縦葺き屋根であり、
前記雪止め板が、前記平板の一方の側部に、前記縦葺き屋根の立てハゼが嵌め込まれる複数の凹部を有し、
前記取付け金具の勾配屋根接触部が、重ねられた2枚の帯状の平鋼板の主要部で構成されており、当該2枚の平鋼板の主要部で前記縦葺き屋根の立てハゼを挟持し、
前記取付け金具の雪止め板支持部が、前記平鋼板の一方の側部に設けられた複数の切込みの中から選択された1つの切込みと前記平鋼板の他方の側部に設けられた複数の切込みの中から選択されたもう1つの切込みとを結ぶ線に沿って前記勾配屋根接触部の左側と右側に折り曲げられた前記各平鋼板の一部によって構成されており、当該左側と右側に折り曲げられた前記各平鋼板の一部が前記雪止め板の平板に密着し、前記雪止め板に固定される、
ことを特徴とする。
本発明によれば、様々な傾斜角度の勾配屋根において、雪止め板により太陽熱を高い効率で集熱して積雪を融かすことができる。
本発明の第1の実施形態に係る勾配屋根用雪止め装置の構成の一例を示す斜視図である。 図1の部分拡大図である。 図2のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 勾配屋根を線図で表した勾配屋根傾斜線図である。 屋根勾配の傾斜角度を尺貫法勾配と分数勾配と度(°)で示す図である。 雪止め板への太陽光の入射の様子の一例を示す図である。 太陽高度cが26°の時の横葺き屋根の傾斜角度b、雪止め板と横葺き屋根の表面のなす角度a、雪止め板の実効高さ(SINa)、および太陽光の有効強度(SINd)の関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る勾配屋根用雪止め装置の構成の一例を示す斜視図である。 図9のC−C線断面図である。 折板屋根用の雪止め板の構成の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る勾配屋根用雪止め装置の構成の一例を示す斜視図である。 図12のD−D線断面図である。 図12の勾配屋根用雪止め装置を軒先側から見た図である。 縦葺き屋根用の雪止め板の構成の一例を示す図である。 取付け金具を製造するために重ねられた2枚の帯状の平鋼板を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る勾配屋根用雪止め装置について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る勾配屋根用雪止め装置100の構成の一例を示す斜視図である。図2は、図1の部分拡大図である。図3は、図2のA−A線断面図である。図4は、図2のB−B線断面図である。
勾配屋根用雪止め装置100は、勾配のある横葺き屋根130用である。勾配屋根用雪止め装置100は、雪止め板110と、2個以上の取付け金具120とを有する。雪止め板110は、横葺き屋根130の上の横ハゼを立て、その立てられた横ハゼ131に2個以上の取付け金具120を用いて取り付けられる。
雪止め板110は、例えば、鉄等の金属製である。雪止め板110の主要部は長い平板であり、補強のため、一方の側部113と他方の側部114が主要部に対して折り曲げられている。
雪止め板110は、横葺き屋根130の上に、その長手方向が横葺き屋根130の傾斜方向と垂直になるように、言い換えると、その長手方向が軒先と並行になるように、設置される。また、太陽光が雪止め板110の表面(一方の主面)111に垂直に近い角度で入射するように、幅方向には、横葺き屋根130の表面と角度aをなして傾いて設置される。雪止め板110は、その表面111で太陽光を受けるとき、太陽光で生じる熱を雪止め板110の裏面(他方の主面)112に伝えて裏面112に接する積雪を融かす。
また、雪止め板110は、平板の一方の側部113に、雪止め板ハゼ固定部115を有する。雪止め板ハゼ固定部115は、一方の側部113に取付け金具120の幅以上の間隔を持って2つの切込み116を入れ、それらの間の部分を折り曲げることにより作成される。
取付け金具120は、勾配屋根接触部121と、取付け金具ハゼ固定部122と、雪止め板支持部123とを有する。取付け金具120は、軒先側から雪止め板110を支える。
勾配屋根接触部121は、横葺き屋根130の表面の屋根板金に沿って接触する。取付け金具120が軒先側に配置されているため、雪止め板110の裏面112に積雪140の荷重がかかると、勾配屋根接触部121は横葺き屋根の表面の屋根板金に押し付けられて密接する。このため、ボルト等を用いて勾配屋根接触部121を横葺き屋根の表面に固定する必要はない。
取付け金具ハゼ固定部122は、横ハゼ131を挟んで雪止め板ハゼ固定部115に対向して配置される。雪止め板ハゼ固定部115と取付け金具ハゼ固定部122とは、ボルト124とナット125を用いて横ハゼ131上方の2ヶ所で固定され、横ハゼ131を挟持する。
雪止め板支持部123の上部は、雪止め板110の平板とボルト126とナット127を用いて固定される。
取付け金具120は、1枚の金属板等の平板を2ヶ所で折り曲げることにより製造される。勾配屋根接触部121と取付け金具ハゼ固定部122とは略直角に折り曲げられている。取付け金具ハゼ固定部122と雪止め板支持部123とは、雪止め板110と横葺き屋根130とが角度aをなすように折り曲げられる。
図5は、勾配屋根を線図で表した勾配屋根傾斜線図である。図6は、屋根勾配の傾斜角度を尺貫法勾配と分数勾配と度(°)で示す。勾配屋根には、2.8°から51.3°まで様々な傾斜角度のものがある。
勾配屋根用雪止め装置100では、勾配屋根接触部121と雪止め板支持部123とのなす角度(すなわち、取付け金具ハゼ固定部122と雪止め板支持部123とのなす角度)を選択することによって、雪止め板110と横葺き屋根130とのなす角度aを変更することができる。このため、勾配屋根用雪止め装置100は、横葺き屋根130の傾斜角度に応じて適切な角度aの取付け金具120を選択して雪止め板110を横葺き屋根130に設置することにより、この広い範囲の傾斜角度の中のいずれの傾斜角度を有する勾配屋根でも太陽熱を高い効率で集熱することができる。
なお、図1に示すように、横葺き屋根130は、軒先に鉛直に配置された鉛直面132を有する。横葺き屋根130の屋根板金は、勾配屋根用雪止め装置100によってその下側(軒先側)の屋根板金133とその上側の屋根板金134とに分割される。鉛直面132および屋根板金133、134と、断熱材を含む下地部135との間には熱伝導性の良い金属板や熱伝導シートが配置されている。
鉛直面132と雪止め板110は、太陽熱を収集する。その太陽熱は金属板や熱伝導シートを介して屋根板金133と屋根板金134に伝えられ、屋根板金133と屋根板金134の上の積雪を融かす。軒先側の屋根板金133は、そこに積もった雪が融けた後に同様に太陽熱を収集し、その太陽熱は屋根板金134に伝えられ、屋根板金134の上の積雪を融かす。
図7は、雪止め板110への太陽光の入射の様子の一例を示す。
雪止め板110と横葺き屋根130の表面とがなす角度をa、横葺き屋根130の傾斜角度をb、太陽高度をc、太陽光の雪止め板110の表面111への入射角度をdとする。このとき、太陽光の強度をfとすると、雪止め板110の表面111はf×SINdの有効強度で太陽光を受ける。また、雪止め板110の幅をhとすると、雪止め板の実効高さはh×SINaとなる。
太陽の南中高度が低いとき、雪止め板110の表面111で太陽光を垂直に受けようとすると、横葺き屋根130の傾斜角度bが大きい場合、雪止め板110と横葺き屋根130の表面とがなす角度aが小さくなり、雪止め板110の実効高さh×SINaが減少する。このため、雪止め板110の表面111で太陽光を少し斜めに受けることにはなるが、雪止め板110の実効高さh×SINaが極端に小さくならない範囲で雪止め板110と横葺き屋根130の表面とがなす角度aを選択する必要がある。
図8は、太陽高度cが26°の時の横葺き屋根130の傾斜角度b、雪止め板110と横葺き屋根130の表面とがなす角度a、雪止め板110の実効高さ(SINa)、および太陽光の有効強度(SINd)の関係を示す。
横葺き屋根130の傾斜角度b=2.8°〜19.2°のとき、雪止め板110と横葺き屋根130の表面とがなす角度a=55°とすると、雪止め板110の実効高さ(SINa)=0.82、太陽光の有効強度(SINd)=0.99〜0.98となる。
また、横葺き屋根130の傾斜角度b=21.8°〜34.9°のとき、雪止め板110と横葺き屋根130の表面とがなす角度a=50°とすると、雪止め板110の実効高さ(SINa)=0.77、太陽光の有効強度(SINd)=0.99〜0.93となる。
また、横葺き屋根130の傾斜角度b=36.8°〜51.3°のとき、雪止め板110と横葺き屋根130の表面とがなす角度a=45°とすると、雪止め板110の実効高さ(SINa)=0.71、太陽光の有効強度(SINd)=0.95〜0.84となる。
従って、例えば、雪止め板110と横葺き屋根130の表面とがなす角度aをそれぞれ55°、50°、45°に設定できる3種類の取付け金具120を用意し、それらの中から傾斜角度bに応じて選択することにより、様々な傾斜角度bの横葺き屋根130において、勾配屋根用雪止め装置100によって太陽熱を高い効率で集熱して積雪を融かすことができる。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る勾配屋根用雪止め装置200の構成の一例を示す。図10は、図9のC−C線断面図である。
勾配屋根用雪止め装置200は、勾配のある板折屋根230用である。板折屋根230は金属製である。勾配屋根用雪止め装置200は、雪止め板210と、2個以上の取付け金具220とを有する。取付け金具220は、板折屋根230の山部231に2個以上取り付けられる。雪止め板210は、それらの取付け金具220によって板折屋根230に取り付けられる。
雪止め板210は、例えば、鉄等の金属製である。図11に示すように、雪止め板210の主要部は長い平板であり、補強のため、一方の側部213と他方の側部214が主要部に対して折り曲げられている。
雪止め板210は、平板の一方の側部213に、板折屋根230の形状に合致する凹凸を有する。雪止め板210は、板折屋根230の上に、その長手方向が板折屋根230の傾斜方向と垂直になるように、言い換えると、その長手方向が軒先と並行になるように、設置される。
また、太陽光が雪止め板210の表面(一方の主面)211に垂直に近い角度で入射するように、幅方向には、板折屋根230の表面と角度aをなして傾いて設置される。雪止め板210は、その表面211で太陽光を受けるとき、太陽光で生じる熱を雪止め板210の裏面(他方の主面)212に伝えて裏面212に接する積雪140を融かす。
取付け金具220は、勾配屋根接触部221と、雪止め板支持部222とを有する。取付け金具220は、軒先側から雪止め板210を支える。
勾配屋根接触部221は、板折屋根230の表面に密着する。勾配屋根接触部221と板折屋根230とは、ボルト223とナット224を用いて固定される。取付け金具220が軒先側に配置されているため、雪止め板210の裏面212に積雪140の荷重がかかると、勾配屋根接触部221は板折屋根230の表面に押し付けられる。
雪止め板支持部222は、雪止め板210の平板に密着し、ボルト225とナット226を用いて雪止め板210に固定される。
取付け金具220は、1枚の金属板等の平板を1ヶ所で折り曲げることにより製造される。勾配屋根接触部221と雪止め板支持部222とは、雪止め板210と板折屋根230とが角度aをなすように折り曲げられる。
勾配屋根用雪止め装置200では、勾配屋根接触部221と雪止め板支持部222とのなす角度を選択することによって、雪止め板210と板折屋根230とのなす角度aを変更して雪止め板210を板折屋根230に設置することができる。このため、勾配屋根用雪止め装置200は、板折屋根230の傾斜角度に応じて適切な角度aの取付け金具220を選択することにより、様々な傾斜角度を有する板折屋根230で太陽熱を高い効率で集熱することができる。
なお、図9に示すように、板折屋根230の表面は、勾配屋根用雪止め装置200によってその下側(軒先側)の表面232とその上側の表面233とに分割される。
雪止め板210は、太陽熱を収集する。その太陽熱は下側の表面232と上側の表面233の上の積雪を融かす。下側の表面232は、そこに積もった雪が融けた後に同様に太陽熱を収集し、その太陽熱は上側の表面233に伝えられ、その上の積雪を融かす。
図12は、本発明の第3の実施形態に係る勾配屋根用雪止め装置300の構成の一例を示す。図13は、図12のD−D線断面図である。図14は、図12の勾配屋根用雪止め装置300を軒先側から見た図である。
勾配屋根用雪止め装置300は、勾配のある縦葺き屋根330用である。勾配屋根用雪止め装置300は、雪止め板310と、2個以上の取付け金具320とを有する。取付け金具320は、縦葺き屋根330の立てハゼ331に取り付けられる。雪止め板310は、取付け金具320によって縦葺き屋根330に取り付けられる。
雪止め板310は、例えば、鉄等の金属製である。図15に示すように、雪止め板310の主要部は長い平板であり、補強のため、一方の側部313と他方の側部314が主要部に対して折り曲げられている。
雪止め板310は、平板の一方の側部313に、縦葺き屋根330の立てハゼ331の形状に合致する複数の凹部315を有する。凹部315には立てハゼ331が嵌め込まれる。雪止め板310は、縦葺き屋根330の上に、その長手方向が縦葺き屋根330の傾斜方向と垂直になるように、言い換えると、その長手方向が軒先と並行になるように、設置される。
また、太陽光が雪止め板310の表面(一方の主面)311に垂直に近い角度で入射するように、幅方向には、縦葺き屋根330の表面と角度aをなして傾いて設置される。雪止め板310は、その表面311で太陽光を受けるとき、太陽光で生じる熱を雪止め板310の裏面(他方の主面)312に伝えて裏面312に接する積雪140を融かす。
取付け金具320は、勾配屋根接触部321と、雪止め板支持部322とを有する。取付け金具320は、軒先側から雪止め板310を支える。
取付け金具320を製造するときは、図16に示すように、まず、2枚の帯状の平鋼板を重ねて所定の長さに切断し、所定の数のボルト穴を開ける。平鋼板は、例えば鉄でできている。次に、帯状の平鋼板の上側の側部(一方の側部)の所定の位置に切込み323Aと切込み323Bを設け、下側の側部(他方の側部)の所定の位置に切込み323Cと切込み323Dを設ける。最後に、上側の切込みと下側の切込みをそれぞれ1づつ選択して、選択された上側の切込みと下側の切込みとを結ぶ線に沿って勾配屋根接触部321の左側と右側にそれぞれ雪止め板支持部322を折り曲げる。このとき、2枚の平鋼板の主要部が勾配屋根接触部321を構成し、左側と右側に折り曲げられた各平鋼板の一部が雪止め板支持部322を構成する。
例えば、切込み323Aと切込み323Dを選択して折り曲げると、勾配屋根接触部321と雪止め板支持部322とのなす角度が45°である取付け金具320となる。また、例えば、切込み323Bと切込み323Dを選択して折り曲げると、勾配屋根接触部321と雪止め板支持部322とのなす角度が50°である取付け金具320となる。更に、例えば、切込み323Bと切込み323Cを選択して折り曲げると、勾配屋根接触部321と雪止め板支持部322とのなす角度が55°である取付け金具320となる。
勾配屋根接触部321は、ボルト324とナット325により締め付けられ、立てハゼ331を挟持する。取付け金具320が軒先側に配置されているため、雪止め板310の裏面312に積雪140の荷重がかかると、勾配屋根接触部321は縦葺き屋根330に押し付けられる。
勾配屋根接触部321の左側と右側にそれぞれ折り曲げられた2つの雪止め板支持部322は、雪止め板310の平板に密着し、ボルト326とナット327を用いて雪止め板310に固定される。
勾配屋根用雪止め装置300では、勾配屋根接触部321と雪止め板支持部322とのなす角度を、例えば、45°、50°、55°から選択することによって、雪止め板310と縦葺き屋根330とのなす角度aを変更して雪止め板310を縦葺き屋根330に設置することができる。このため、勾配屋根用雪止め装置300は、縦葺き屋根330の傾斜角度に応じて、例えば、45°、50°、55°の中から適切な角度aの取付け金具320を選択することにより、様々な傾斜角度を有する縦葺き屋根330で太陽熱を高い効率で集熱することができる。
なお、図12に示すように、縦葺き屋根330は、軒先に鉛直に配置された鉛直面132を有する。縦葺き屋根330の屋根板金は、勾配屋根用雪止め装置300によってその下側(軒先側)の屋根板金332とその上側の屋根板金333とに分割される。鉛直面132および屋根板金332、333と、断熱材を含む下地部135との間には熱伝導性の良い金属板334が配置されている。また、上側の屋根板金333の下の下地部135に、凹に窪んだ収納部335がある。収納部335には、面状発熱体336が金属板334に沿って収納されている。
鉛直面132と雪止め板310は、太陽熱を収集する。その太陽熱は金属板334を介して屋根板金332と屋根板金333に伝えられ、屋根板金332と屋根板金333の上の積雪を融かす。軒先側の屋根板金332は、そこに積もった雪が融けた後に同様に太陽熱を収集し、その太陽熱は屋根板金333に伝えられ、屋根板金333の上の積雪を融かす。更に、面状発熱体115は、電源をオンにして通電されると、屋根板金333の上で広い範囲の積雪を溶かす。
以上説明したように、本発明によれば、様々な傾斜角度の勾配屋根において、雪止め板により太陽熱を高い効率で集熱して積雪を融かすことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
100…勾配屋根用雪止め装置、110…雪止め板、111…雪止め板の表面、112…雪止め板の裏面、113…一方の側部、114…他方の側部、115…雪止め板ハゼ固定部、116…雪止め板の切込み、120…取付け金具、121…勾配屋根接触部、122…取付け金具ハゼ固定部、123…雪止め板支持部、124、126…ボルト、125、127…ナット、130…横葺き屋根、131…横ハゼ、132…鉛直面、133…下側の屋根板金、134…上側の屋根板金、135…下地部、140…積雪、200…勾配屋根用雪止め装置、210…雪止め板、211…雪止め板の表面、212…雪止め板の裏面、213…一方の側部、214…他方の側部、220…取付け金具、221…勾配屋根接触部、222…雪止め板支持部、223、225…ボルト、224、226…ナット、230…板折屋根、231…板折屋根の山部、232…下側の表面、233…上側の表面、300…勾配屋根用雪止め装置、310…雪止め板、311…雪止め板の表面、312…雪止め板の裏面、313…一方の側部、314…他方の側部、315…凹部、320…取付け金具、321…勾配屋根接触部、322…雪止め板支持部、323A、323B、323C、323D…切込み、324、326…ボルト、325、327…ナット、330…縦葺き屋根、331…立てハゼ、332…下側の屋根板金、333…上側の屋根板金、334…金属板、335…収納部、336…面状発熱体
上記目的を達成するために、本発明の勾配屋根用雪止め装置は、
勾配屋根の上に設置される勾配屋根用雪止め装置であって、
長手方向が前記勾配屋根の傾斜方向と垂直になるように設置される長い平板を含み、当該平板の一方の主面で太陽光を受けるとき、当該太陽光で生じる熱を当該平板の他方の主面に伝えて当該他方の主面に接する積雪を融かす雪止め板と、
前記勾配屋根の表面に沿って接触する勾配屋根接触部と前記雪止め板を支える雪止め板支持部とを備えており、前記勾配屋根の傾斜角度に応じ、前記雪止め板に入射する太陽光の有効強度と積雪を堰き止める程度を示す前記雪止め板の実効高さとに基づいて当該勾配屋根接触部と当該雪止め板支持部とのなす角度が設定された2個以上の取付け金具と、
を備えることを特徴とする。
好ましくは、本発明の勾配屋根用雪止め装置は、
前記取付け金具が、軒先側から前記雪止め板を支えることを特徴とする。
好ましくは、本発明の勾配屋根用雪止め装置は、
前記勾配屋根の傾斜角度が所定の範囲に含まれる場合に前記雪止め板と前記勾配屋根の表面とがなす角度が所定の値となるように、前記取付け金具において前記勾配屋根接触部と前記雪止め板支持部とのなす角度が設定されていることを特徴とする。

Claims (5)

  1. 勾配屋根の上に設置される勾配屋根用雪止め装置であって、
    長手方向が前記勾配屋根の傾斜方向と垂直になるように設置される長い平板を含み、当該平板の一方の主面で太陽光を受けるとき、当該太陽光で生じる熱を当該平板の他方の主面に伝えて当該他方の主面に接する積雪を融かす雪止め板と、
    前記勾配屋根の表面に沿って接触する勾配屋根接触部と前記雪止め板を支える雪止め板支持部とを備えており、前記勾配屋根の傾斜角度に応じて当該勾配屋根接触部と当該雪止め板支持部とのなす角度を選択することができる2個以上の取付け金具と、
    を備えることを特徴とする勾配屋根用雪止め装置。
  2. 前記取付け金具が、軒先側から前記雪止め板を支えることを特徴とする請求項1に記載の勾配屋根用雪止め装置。
  3. 前記勾配屋根が、横ハゼの一つが立てられた横葺き屋根であり、
    前記雪止め板が、前記平板の一方の側部に、前記取付け金具の幅以上の間隔で設けられた2つの切込みの間の部分が折り曲げられた雪止め板ハゼ固定部を備え、
    前記取付け金具が、前記勾配屋根接触部と前記雪止め板支持部との間に、前記雪止め板ハゼ固定部に対向して配置され、前記雪止め板ハゼ固定部とともに前記立てられた横ハゼを挟持する取付け金具ハゼ固定部を備え、
    前記雪止め板支持部の上部と、前記雪止め板の平板とが固定される、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の勾配屋根用雪止め装置。
  4. 前記勾配屋根が、折板屋根であり、
    前記雪止め板が、前記平板の一方の側部に、前記板折屋根の形状に合致する凹凸を有し、
    前記取付け金具の勾配屋根接触部が、前記板折屋根の表面に密着し、前記板折屋根に固定され、
    前記取付け金具の雪止め板支持部が、前記雪止め板の平板に密着し、前記雪止め板に固定される、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の勾配屋根用雪止め装置。
  5. 前記勾配屋根が、縦葺き屋根であり、
    前記雪止め板が、前記平板の一方の側部に、前記縦葺き屋根の立てハゼが嵌め込まれる複数の凹部を有し、
    前記取付け金具の勾配屋根接触部が、重ねられた2枚の帯状の平鋼板の主要部で構成されており、当該2枚の平鋼板の主要部で前記縦葺き屋根の立てハゼを挟持し、
    前記取付け金具の雪止め板支持部が、前記平鋼板の一方の側部に設けられた複数の切込みの中から選択された1つの切込みと前記平鋼板の他方の側部に設けられた複数の切込みの中から選択されたもう1つの切込みとを結ぶ線に沿って前記勾配屋根接触部の左側と右側に折り曲げられた前記各平鋼板の一部によって構成されており、当該左側と右側に折り曲げられた前記各平鋼板の一部が前記雪止め板の平板に密着し、前記雪止め板に固定される、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の勾配屋根用雪止め装置。
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